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特開2024-72551電池パックの抵抗溶接方法および抵抗溶接装置
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  • 特開-電池パックの抵抗溶接方法および抵抗溶接装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072551
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】電池パックの抵抗溶接方法および抵抗溶接装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/516 20210101AFI20240521BHJP
   B23K 11/00 20060101ALI20240521BHJP
   B23K 11/14 20060101ALI20240521BHJP
   B23K 11/11 20060101ALI20240521BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/522 20210101ALI20240521BHJP
【FI】
H01M50/516
B23K11/00 560
B23K11/14
B23K11/11 540
H01M50/503
H01M50/522
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183427
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】596008817
【氏名又は名称】ナグシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100167977
【弁理士】
【氏名又は名称】大友 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】浅田 隆弘
【テーマコード(参考)】
4E165
5H043
【Fターム(参考)】
4E165AA13
4E165AB14
4E165AC06
4E165BB02
4E165BB14
5H043AA03
5H043BA19
5H043CA03
5H043FA04
5H043HA16D
5H043JA01D
5H043JA03D
5H043JA13D
5H043KA08D
(57)【要約】
【課題】特有のスリット形状をもつ連結部材を用いることにより、容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくするとともに、電池パックにした場合に電池間の有効な電流経路を大きくすることができる、電池パックの抵抗溶接方法および抵抗溶接装置を提供する。
【解決手段】連結部材2の各スリット3は、それぞれ一方の電池1の溶接個所6側に開口した一方端3aを有し、少なくとも一部3bが互いに反対向けに傾斜して略平行に離間した状態で延びて、隣接する電池1、1間の中間位置を超えて、他方端3cが他方の電池1の溶接個所6側の近傍まで至る形状を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数並べられた電池と板状の銅製または銅合金製の連結部材とが抵抗溶接されるもので、前記連結部材が隣り合う電池の2つの電極の溶接個所を覆って長手方向に延びる矩形形状を有し、その幅方向中央部に開口した一方端を有して長手方向に延びるスリットが形成されて、一対の溶接電極のそれぞれが前記スリットを跨いで前記連結部材における前記電池と反対側の外面に接触されて、前記溶接電極間が通電され、各電池同士が電気的に接続される電池パックの抵抗溶接装置であって、
各スリットは、それぞれ一方の電池の溶接個所側に開口した一方端を有し、少なくとも一部が互いに反対向けに傾斜して略平行に離間した状態で延びて、隣接する電池間の中間位置を超えて、他方端が他方の電池の溶接個所側の近傍まで至る形状を備えている、電池パックの抵抗溶接装置。
【請求項2】
請求項1において、
各スリットが直線形状を有している、電池パックの抵抗溶接装置。
【請求項3】
請求項1において、
各スリットが湾曲形状を有している、電池パックの抵抗溶接装置。
【請求項4】
請求項1において、
各スリットが前記溶接個所の位置において前記矩形の連結部材と平行な直線形状を有し、その後クの字状に折れ曲がった形状を有している、電池パックの抵抗溶接装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記連結部材には、各電池の溶接個所ごとに、これに対向してそれぞれ当該溶接箇所に向かって突出されて、前記スリットを挟んで長手方向にそれぞれ少なくとも2個または連続する突出面を有するプロジェクションが形成されている、電池パックの抵抗溶接装置。
【請求項6】
複数並べた電池と板状の銅製または銅合金製の連結部材とを抵抗溶接するとき、前記連結部材が隣り合う電池の2つの電極の溶接個所を覆って長手方向に延びる矩形形状を有し、その幅方向中央部の開口した一方端を有して長手方向に延びるスリットを形成して、一対の溶接電極のそれぞれを前記スリットを跨いで前記連結部材における前記電池と反対側の外面に接触させて、前記溶接電極間を通電させ、各電池同士を電気的に接続する電池パックの抵抗溶接方法であって、
各スリットは、それぞれ一方の電池の溶接個所側に開口した一方端を有し、少なくとも一部が互いに反対向けに傾斜して略平行に離間した状態で延びて、隣接する電池間の中間位置を超えて、他方端が他方の電池の溶接個所側の近傍まで至る形状を備えている、電池パックの抵抗溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池と連結部材を抵抗溶接して、各電池を電気的に接続する電池パックの抵抗溶接方法および抵抗溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、少なくとも2つの電池を並べたものと、これらを覆う板状の連結部材(タブ)とを抵抗溶接してそれぞれ電気的に接続する組電池(電池パック)が知られている。ここで、抵抗溶接とは、一対の溶接電極を金属材料に当てて、加圧しながら大電流を短時間流して、金属の抵抗発熱を利用し、ナゲット(合金層)を生成して溶融接続するものである。
【0003】
近年、例えば車載用の電池パックでは、高出力が必要とされ、連結部材がニッケル(Ni)製から、さらに導電率が高く(電気抵抗が低く)、熱伝導率が高い銅(Cu)または銅合金製へ移行される傾向にある。
【0004】
この組電池では、一対の溶接電極を銅製の連結部材(タブ)に当てて通電した場合に、銅の導電率の高さによって電極から連結部材を通り電極に流れる電流(無効分流)が大きくなって、実際に溶接したい部分に流れる電流は小さくなる。
【0005】
このとき、図6(A)のように、連結部材52の無効分流を小さくするために、連結部材52に一方端が開口したスリット53を設けて、一対の溶接電極のそれぞれを当該スリット53を跨いで連結部材52に接触させて通電し、抵抗溶接することが知られている。
【0006】
しかし、このようなスリット53では、スリット53の長手方向の長さが短いので、図6(B)のように抵抗溶接に際して溶接に必要な溶接電流Aに対して、不要な無効分流A55がそれ程小さくならない。その一方、図6(A)のように、スリット53の長さを破線部(図示α)のようにできるだけ単に延ばしたのでは、無効分流A55はより小さくなるものの、各スリット53間の距離が短くなって連結部材52の強度不足となり、また完全に分離させたのでは、抵抗溶接に際して連結部材52を供給するとき、ともに取り扱いに支障がある。ただ電池パックにした場合には、図6(C)のように、当該スリット53によって電池1、1間の電流経路が阻害されることがないので、大きな電流経路A56を確保することができる。
【0007】
従来から、取り扱い時の連結部材の変形や破損を招くことなく、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくして安定した電池と連結部材との溶接品質を得るために、連結部材の一方端が開口しない、つまり開口端をもたないスリットを設けることが知られている(例えば、特許文献1)。開口端をもたないスリットの回りを無効分流が流れることにより、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-020860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1では、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくできるものの、この状態で電池パックにしたとき、当該スリットによって電池間の電流経路が阻害されて狭くなってしまい、この狭い電流経路の部分で発熱して、焼き切れる可能性があり、実用的でない場合が生じ得る。
【0010】
また、同様に、図7(A)のような一方端を開口したスリット63でも、図7(B)のように抵抗溶接に際して不要な無効分流A66が小さくなるものの、図7(C)のように電池パックにした場合に、スリット63によって電池1、1間の電流経路A67が狭くなり、やはりこの狭い電流経路の部分(図示β)で発熱して、焼き切れる可能性がある。
【0011】
本発明は、上記課題を解決して、特有のスリット形状をもつ連結部材を用いることにより、容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくするとともに、電池パックにした場合に電池間の有効な電流経路を大きくすることができる、電池パックの抵抗溶接方法および抵抗溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池パックの抵抗溶接方法または抵抗溶接装置は、複数並べられた電池と板状の銅製または銅合金製の連結部材とが抵抗溶接されるもので、前記連結部材が隣り合う電池の2つの電極の溶接個所を覆って長手方向に延びる矩形形状を有し、その幅方向中央部に開口した一方端を有して長手方向に延びるスリットが形成されて、一対の溶接電極のそれぞれが前記スリットを跨いで前記連結部材における前記電池と反対側の外面に接触されて、前記溶接電極間が通電され、各電池同士が電気的に接続されるものであって、
各スリットは、それぞれ一方の電池の溶接個所側に開口した一方端を有し、少なくとも一部が互いに反対向けに傾斜して略平行に離間した状態で延びて、隣接する電池間の中間位置を超えて、他方端が他方の電池の溶接個所側の近傍まで至る形状を備えている。
【0013】
この構成によれば、連結部材の各スリットは、それぞれ一方の電池の溶接個所側の開口した一方端から延びて、少なくとも一部が互いに反対向けに傾斜して略平行に離間した状態で、隣接する電池間の中間位置を超えて、他方の電池の溶接個所側の近傍まで他方端が延びる形状を備えており、各スリットを離間した状態でオーバーラップさせているので、容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して各スリットのオーバーラップさせた長さ分だけ不要な無効分流を小さくするとともに、電池パックにした場合に、各スリットの互いに傾斜して略平行に離間させた形状により、電池間の電流が各スリット間を斜め方向に流れて、その電流経路を阻害することなく有効に大きく確保することができる。また、各スリットの長手方向の長さを長くしながら、連結部材の強度を確保した形状を有しており、抵抗溶接に際して連結部材の変形や破損を招くことなくその取り扱いが容易となる。
【0014】
好ましくは、各スリットが直線形状を有している。この場合、単純な直線形状であることから、より容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくするとともに、電池パックにした場合に、電池間の有効な電流経路を大きく確保することができる。
【0015】
好ましくは、各スリットが湾曲形状を有している。この場合、単純な湾曲形状であることから、より容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくするとともに、電池パックにした場合に、電池間の有効な電流経路を大きく確保することができる。
【0016】
好ましくは、各スリットが前記溶接個所の位置において前記矩形の連結部材と平行な直線形状を有し、その後クの字状に折れ曲がった形状を有している。この場合、より容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくするとともに、電池パックにした場合に、電池間の有効な電流経路を大きくすることができ、かつ電池の外径が小さい電池パックの場合に、スリットが溶接個所で傾斜しない直線形状であるので、その分だけ幅方向に張り出さないことから連結部材の全体幅を小さく抑えることができ、電池パックを小型化するのに有効となる。
【0017】
また、好ましくは、前記連結部材には、各電池の溶接個所ごとに、これに対向してそれぞれ当該溶接箇所に向かって突出されて、前記スリットを挟んで長手方向にそれぞれ少なくとも2個または連続する突出面を有するプロジェクションが形成されている。この場合、より容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して不要な無効分流を小さくするとともに、電池パックにした場合に、電池間の電流経路を大きく確保することができ、かつ電池と連結部材の接合面積が大きくなってトルク負荷に強くなり強固で安定した溶接が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、連結部材の各スリットを離間した状態でオーバーラップさせているので、容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して各スリットのオーバーラップさせた長さ分だけ不要な無効分流を小さくするとともに、電池パックにした場合に、各スリットの互いに傾斜して略平行に離間させた形状により電池間の電流経路を阻害することなく電流経路を有効に大きく確保することができる。また、各スリットの長手方向の長さを長くしながら、連結部材の強度を確保した形状を有しており、抵抗溶接に際して連結部材の変形や破損を招くことなく取り扱いが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)は本発明の一実施形態にかかる電池パックの抵抗溶接装置を示す正面図、(B)はその側面図、(C)は電池パックの側面模式図である。
図2】(A)は図1の電池パックを示す平面図、(B)はその平面模式図および一部側面摸式図、(C)はその平面模式図である。
図3】スリットの変形例を示す平面図である。
図4】スリットの変形例を示す平面図である。
図5】(A)、(B)はプロジェクションの変形例を示す斜視図である。
図6】(A)は従来の電池パックの一例を示す平面図、(B)はその平面模式図および一部側面摸式図、(C)はその平面模式図である。
図7】(A)は従来の電池パックの他例を示す平面図、(B)はその平面模式図および一部側面摸式図、(C)はその平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1(A)は本発明にかかる複数の電池1を板状の連結部材2と抵抗溶接する電池パックの抵抗溶接装置を示す正面図、図2(A)は電池パック7を示す平面図、(B)はその平面模式図および一部側面摸式図、(C)はその平面模式図である。図1(C)のように、電池1の+電極1aおよび隣り合う電池1の-電極1bと連結部材2とを抵抗溶接して、各電池1同士をそれぞれ連結部材2によって電気的に接続して電池パック7が形成される。
【0021】
電池1は例えば円筒型リチウムイオン電池であり、板状の連結部材2は、例えば銅または銅合金製である。なお、銅よりも導電率の低いニッケル製を使用してもよい。
【0022】
図1(A)のように、一対の溶接電極10、11が図示しない溶接用電源から電力供給されて、一対の溶接電極10、11のそれぞれがスリット3を跨いで連結部材2における電池1と反対側の外面に接触されて、溶接電極10、11間が通電され、各電池同士が電気的に接続される。また連結部材2には、各電池1の溶接個所6ごとに、これに対向してそれぞれ当該溶接箇所6(電極1a)に向かって突出されて、スリット3を挟んで長手方向Yにそれぞれ少なくとも2個または連続する突出面を有するプロジェクション5が形成されている。
【0023】
この例では、図2(A)のように、プロジェクション5が各電池1の溶接個所6ごとに、スリット3を挟んで長手方向Yにそれぞれ2個、合計4個形成されている。この場合、電池パックにした場合に、電池1と連結部材2の接合面積が大きくなってトルク負荷に強くなり強固で安定した溶接が可能となる。このプロジェクション5は、例えばプレス加工により円錐状の突出部を形成している。
【0024】
図1(A)、(B)のように、溶接電流Aが、連結部材2に形成されたプロジェクション5を通るように強制的に誘導される。これにより、連結部材2と電池1の電極1a間に抵抗発熱によるナゲット(合金層)8が形成されて、電池1の電極1aが連結部材2に抵抗溶接される。このとき、銅の導電率の高さによって銅製の連結部材2に流れる無効分流A1をスリット3によって少なくする。図1(A)、(B)では、電池1の電極1aとして+電極を抵抗溶接しているが、-電極1bの抵抗溶接も同様である。
【0025】
図2(A)のように、連結部材2は、隣り合う電池1の2つの電極1a、1bの溶接個所6を覆って長手方向Yに延びる矩形形状を有し、その幅方向Xの中央部に開口した一方端を有し長手方向Yに延びるスリット3が形成されている。各スリット3は、例えば直線形状で、それぞれ一方の電池1の溶接個所6側に開口した一方端3aを有し、その一部3bが互いに反対向けに傾斜して略平行に離間した状態で延びて、隣接する電池1、1間の中間位置を超えて、他方端3cが他方の電池1の溶接個所6側の近傍まで至る形状を有している。
【0026】
図2(B)のように、各スリット3の一部3bを離間した状態でオーバーラップさせているので、また単純な直線形状であることから、容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して各スリット3のオーバーラップさせた長さ分だけ不要な無効分流A1を小さくすることができる。また、各スリット3の長手方向Yの長さを長くしながら、連結部材2の強度を確保した形状を有しており、抵抗溶接に際して連結部材2の変形や破損を招くことなくその取り扱いが容易となる。
【0027】
また、電池パック7にした場合に、図2(C)のように、各スリット3の一部3bの互いに傾斜して略平行に離間させた形状により、電池1、1間の電流A2が各スリット3間を斜め方向に流れて、その電流経路を阻害することなく有効に大きく確保することができる。
【0028】
図3はスリットの変形例を示す平面図である。この連結部材12の各スリット13は前記した直線形状に代えて湾曲形状を有している。スリット13は一方の電池1の溶接個所6側に開口した一方端13aを有し、湾曲状の一部13bが互いに反対向けに傾斜して略平行に離間した状態で延びて、他方端13cが他方の電池1の溶接個所6側の近傍まで延びる形状を有する。この場合も同様に、単純な湾曲形状であることから、より容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して不要な無効分流A1を小さくするとともに、電池パック7にした場合に、電池1、1間の電流経路を大きく確保することができる。
【0029】
図4はスリットの変形例を示す平面図である。この連結部材22の各スリット23は、溶接個所6の位置において矩形の連結部材22と平行な直線形状を有し、その後クの字状に折れ曲がった形状を有している。スリット23は一方の電池1の溶接個所6側に開口した一方端23aを有し、クの字状の一部23bが互いに反対向けに傾斜して略平行に離間した状態で延びて、他方端23c他方の電池1の溶接個所6側の近傍まで至る形状を有する。この場合も同様に、より容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して不要な無効分流A1を小さくするとともに、電池パック7にした場合に、電池1、1間の有効な電流経路を大きくすることができ、かつ電池の外径が小さい電池パックの場合に、スリット23が溶接個所6で傾斜しない直線形状であるので、その分だけ幅方向Xに張り出さないことから連結部材23の全体幅を小さく抑えることが可能となり、電池パックを小型化するのに有効となる。
【0030】
図5(A)、(B)はプロジェクションの変形例を示す斜視図である。図5(A)では、連結部材32の長手方向Yに延びるスリット33を挟んでそれぞれプロジェクション5Aが形成され、この突出部は側面視で長方形の角型で、頂面が幅の狭い平面である。この例では、突出部がバーリング加工により形成されるが、鍛造または切削加工により形成されてもよい。電池パックにした場合に、このプロジェクション5Aにより、同様に電池1と連結部材32の接合面積が大きくなってトルク負荷に強くなり強固で安定した溶接が可能となる。
【0031】
図5(B)では、連結部材42の長手方向Yに延びるスリット43を挟んでそれぞれプロジェクション5Bが形成され、この突出部は、側面視で山型形状を有し、頂部が長いロング型であり、プレス加工、鍛造または切削加工により形成される。電池パックにした場合に、このプロジェクション5Bにより、同様に電池1と連結部材42の接合面積が大きくなってトルク負荷に強くなり強固で安定した溶接が可能となる。
【0032】
例えば電池パックは、マトリックス状に配置された電池と、上下から多数の連結部材が抵抗溶接されて、直列および並列に接続されたうえで(シリーズパラ)、安全装置を組み込んだ回路基板に接続されて構成される。
【0033】
このように、本発明は、連結部材2の各スリット3を離間した状態でオーバーラップさせているので、容易かつ簡単な構成で、抵抗溶接に際して各スリット3のオーバーラップさせた長さ分だけ不要な無効分流A1を小さくするとともに、電池パックにした場合に、各スリット3の互いに傾斜して略平行に離間させた形状により電池間の電流経路を阻害することなく電流経路を有効に大きく確保することができる。また、各スリット3の長手方向Yの長さを長くしながら、連結部材2の強度を確保した形状を有しており、抵抗溶接に際して連結部材2の変形や破損を招くことなくその取り扱いが容易となる。
【0034】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1:電池
1a:+電極
1b:-電極
2:連結部材
3:スリット
5、5A、5B:プロジェクション
6:溶接個所
7:電池パック
10、11:溶接電極
12:連結部材
13:スリット
22:連結部材
23:スリット
A:溶接電流
A1:無効分流
X:幅方向
Y:長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7