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特開2024-72554ピックアップ装置およびピックアップ装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072554
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ピックアップ装置およびピックアップ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20240521BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183434
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】塙 康弘
【テーマコード(参考)】
5F047
5F131
【Fターム(参考)】
5F047FA04
5F047FA08
5F131AA04
5F131BA52
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA09
5F131DA03
5F131DA33
5F131DB22
5F131DB62
5F131EA07
5F131EC32
5F131EC33
5F131EC72
5F131EC74
5F131EC75
(57)【要約】
【課題】より構造が簡単で、ダイシングテープからの剥離の際に、チップ部品に加わる曲げモーメントが低減されるピックアップ装置等を提供する。
【解決手段】ピックアップ装置は、ダイシングテープに貼付されたチップ部品をピックアップする装置であって、ダイシングテープの下面を介してチップ部品を押圧する第1の先端部を備えた第1の突き上げピンおよび第2の先端部を備えた第2の突き上げピンと、第1および第2の突き上げピンをチップ部品の方向に突き上げる突き上げ手段とを有し、前記チップ部品の中央部と外周部の間の、第1の方向で第1の先端部が移動可能であり、第2の方向で第2の先端部が移動可能であり、第1の先端部をチップ部品の中央部から外周部に向けて第1の方向に付勢する第1の付勢手段と、第2の先端部をチップ部品の中央部から外周部に向けて第2の方向に付勢する第2の付勢手段と、が設けられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置であって、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端部を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記チップ部品の中央部から外周部へ向かう第1の方向およびその反対方向に前記チップ部品の中央部および外周部の間で前記第1の先端部が移動可能に設けられた第1の突き上げピンと、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端部を、前記第1の突き上げピンと異なるダイシングテープ側の一端部に備え、前記チップ部品の中央部から外周部へ向かう方向であって前記第1の方向と異なる方向である第2の方向およびその反対方向に前記チップ部品の中央部および外周部の間で前記第2の先端部が移動可能に設けられた第2の突き上げピンと、
前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記チップ部品の方向に突き上げる突き上げ手段と、
前記第1の先端部を前記チップ部品の中央部から外周部に向けて前記第1の方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記第2の先端部を前記チップ部品の中央部から外周部に向けて前記第2の方向に付勢する第2の付勢手段と、
を備えたピックアップ装置。
【請求項2】
前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンの組が、複数組設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のピックアップ装置。
【請求項3】
前記第1の先端部の形状が第1の曲率の曲面であり、
前記第2の先端部の形状が第2の曲率の曲面である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のピックアップ装置。
【請求項4】
前記第1の先端部に前記ダイシングテープの下面に沿って転がることが可能な第1のローラが設けられ、
前記第2の先端部に前記ダイシングテープの下面に沿って転がることが可能な第2のローラが設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のピックアップ装置。
【請求項5】
前記第1の付勢手段と前記第2の付勢手段とが、圧縮バネである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のピックアップ装置。
【請求項6】
前記第1の付勢手段と前記第2の付勢手段とが、ねじりバネである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のピックアップ装置。
【請求項7】
前記チップ部品の上面と対向する位置に設けられ、前記チップ部品を吸着するコレットと、
前記コレットを少なくとも前記チップ部品の上面の法線の方向に移動させるコレット駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載のピックアップ装置。
【請求項8】
ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置の制御方法であって、
前記ピックアップ装置は、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端部を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記チップ部品の中央部から外周部へ向かう第1の方向およびその反対方向に前記チップ部品の中央部および外周部の間で前記第1の先端部が移動可能に設けられた第1の突き上げピンと、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端部を、前記第1の突き上げピンと異なるダイシングテープ側の一端部に備え、前記チップ部品の中央部から外周部へ向かう方向であって前記第1の方向と異なる方向である第2の方向およびその反対方向に前記チップ部品の中央部および外周部の間で前記第2の先端部が移動可能に設けられた第2の突き上げピンと、
前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記チップ部品の方向に突き上げる突き上げ手段と、
前記第1の先端部を前記チップ部品の中央部から外周部に向けて前記第1の方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記第2の先端部を前記チップ部品の中央部から外周部に向けて前記第2の方向に付勢する第2の付勢手段と、
を備え、
前記ピックアップ装置の制御方法は、
前記第1の突き上げピンの先端の位置が前記チップ部品の一端部の近傍になるように制御し、
前記第2の突き上げピンの先端の位置が前記チップ部品の他端部の近傍になるように制御し、
前記突き上げ手段が、前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記チップ部品の方向に突き上げる、
ことを特徴とするピックアップ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピックアップ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体等のチップ部品の製造では、一般的に、1枚のウェハに複数のチップ部品が形成される。そして、ダイシング等の分割手法を用いて、ウェハが個々のチップ部品に分割される。一般的なダイシングでは、ダイシングテープが用いられる。ダイシングテープは片面に粘着性を有するフィルムである。ダイシングテープは、ダイシングシート、ウェハシート、粘着シートなどとも呼ばれる。
【0003】
ダイシングを行う際に、まずウェハの裏面がダイシングテープに貼付される。次にダイシングによってウェハが個々のチップ部品に分割される。ダイシングが終わると、次に、ダイシングテープを引き延ばす加工であるエキスパンドが施され、チップ部品とチップ部品の間に隙間が形成される。次に、紫外線照射等によって、ダイシングテープの粘着性が低下される。次にコレットと呼ばれる吸着手段を備えたピックアップ装置によって、チップ部品の表面が吸着され、チップ部品がピックアップされる。この際、一般的な方法では、突き上げピンによって、ダイシングテープの裏面が突き上げられる。この突き上げによって、チップ部品のダイシングテープからの剥離が促進される。
【0004】
上記のピックアップ装置では、チップ部品の中央を1本の突き上げピンで突き上げるのが最も簡単な構成である。この構成で突き上げを行うと、チップ部品の端部から剥離が始まる。この際、突き上げピンの先端部が突き当たっている場所を支点とし、チップ部品の端部を作用点とし、作用点にダイシングテープの粘着力(剥離力)が作用する曲げモーメントが発生する。チップ部品のサイズが大きくなると、支点から、作用点であるチップ部品の端部までの距離が長くなる。これに伴って、チップ部品に加わる曲げモーメントが大きくなる。この曲げモーメントによりチップ部品に加わる応力がチップ部品の破壊応力を超えると、チップ部品に破損が生じる。このため、チップ部品のサイズが大きくなると、チップ部品が破損するリスクが増大する。
【0005】
そこで、チップ部品に加わる曲げモーメントを低減する方法が特許文献1で提案されている。例えば、特許文献1には、チップ部品(チップ)の外周部から剥離を行うピックアップ方法および装置の発明が記載されている。特許文献1のピックアップ装置は、径の異なる複数の筒体(第1吸引筒体、第2吸引筒体、第1突き上げ筒体、第2突き上げ筒体)と複数の突き上げピンを備えている。
【0006】
ピックアップにおいては、まず、最も外側の筒体(第1吸引筒体)の吸引孔を介してダイシングテープ(貼付シート、ダイシングシート)を吸引することにより、ダイシングテープが第1吸引筒体の上端部に吸着される(引用文献1の図3(a))。
【0007】
次に、第1吸引筒体の内側に配置されている第1突き上げ筒体、第2吸引筒体、第2突き上げ筒体および突き上げピンを同じ高さまで上昇させて、ダイシングテープを介してチップ部品を上方に突き上げる(引用文献1の図3(b))。これにより、チップ部品が貼り付けられているダイシングテープのうち、第1突き上げ筒体の外周側でチップ部品の下面の外周縁からチップ部品の内側に向かってわずかに剥離される。この動作では、第1突き上げ筒体の突き当り部分が支点となり、第1吸引筒体の上のチップ部品端部が剥離ポイント(作用点)になる。
【0008】
次に、第1吸着筒体と第1突き上げ筒体の高さを維持したまま、第1突き上げ筒体の内側に位置する第2突き上げ筒体と第2吸引筒体と突き上げピンが同じ高さだけ上昇される。これにより、第2突き上げ筒体が、ダイシングテープを介してチップ部品をさらに上方に突き上げる(引用文献1の図3(c))。これにより、第2突き上げ筒体の外周側で、先の貼付面外周縁からチップ部品の内側に向って、さらにダイシングテープが剥離される。この動作では、第2突き上げ筒体の突き当り部分が支点となり、第1突き上げ筒体の上のチップ部品端部が剥離ポイント(作用点)になる。
【0009】
次に、第1吸着筒体と第1突き上げ筒体と第2突き上げ筒体の高さを維持したまま、第2突き上げ筒体よりも内側に位置する第2吸着筒体と突き上げピンを同じ高さだけさらに上昇させ、チップ部品をさらに突き上げる(引用文献1の図3(d))。これにより、第2吸着筒体の外周側で、先の貼付面外周縁からチップ1の内側に向って、さらにダイシングテープが剥離される。この動作では、第2突き上げ筒体の突き当り部分が支点となり、第1突き上げ筒体の上のチップ部品端部が剥離ポイント(作用点)になる。
【0010】
次に、第1吸着筒体、第1突き上げ筒体、第2突き上げ筒体および第2吸着筒体の高さが維持される。そして、この状態のまま、突き上げピンがさらに上昇される。これにより、チップ部品がさらに突き上げられる。その結果、突き上げピンの先端上にチップ部品が支持される(引用文献1の図3(e))。この時、第2吸着筒体の吸引溝からの吸引により第2吸着筒体に接するダイシングテープが第2吸着筒体に吸着されて固定される。こうして、突き上げピンにより、ダイシングテープからチップ部品がより効果的に剥離される。この動作では、突き上げピンの突き当り部分が支点となり、第2突き上げ筒体の上のチップ部品端部が剥離ポイント(作用点)になる。
【0011】
以上の各工程において、支点から作用点までの距離が、チップ部品の中心を1本の突き上げピンの突上げる構成と比較して、短くなる。このため、チップ部品の中心を1本の突き上げピンの突上げる構成に比べて、チップ部品に作用する曲げモーメントが大幅に低減される。そして、特許文献1に記載の技術では、剥離の進行に応じて、順次、内側の筒体や突き上げピンが突き上げられる。こうして、ダイシングテープがチップの外周縁から順次剥離され、ダイシングテープとチップ部品との間の貼付面積が徐々に減少される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006-005030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1のピックアップ装置では、複数の筒体や突き上げピンを独立して動かすために、複数のアクチュエータが複数の筒体や突き上げピンごとに設けられていた。このため構造が複雑になるという問題があった。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、より構造が簡単で、ダイシングテープからの剥離の際に、チップ部品に加わる曲げモーメントが低減されるピックアップ装置等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明のピックアップ装置は、ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置であって、前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端部を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記チップ部品の中央部から外周部へ向かう第1の方向およびその反対方向に前記チップ部品の中央部および外周部の間で前記第1の先端部が移動可能に設けられた第1の突き上げピンと、前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端部を、前記第1の突き上げピンと異なるダイシングテープ側の一端部に備え、前記チップ部品の中央部から外周部へ向かう方向であって前記第1の方向と異なる方向である第2の方向およびその反対方向に前記チップ部品の中央部および外周部の間で前記第2の先端部が移動可能に設けられた第2の突き上げピンと、前記第1の先端部を前記チップ部品の中央部から外周部に向けて前記第1の方向に付勢する第1の付勢手段と、前記第2の先端部を前記チップ部品の中央部から外周部に向けて前記第2の方向に付勢する第2の付勢手段と、備える。
【0016】
また、本発明のピックアップ装置の制御方法は、ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置の制御方法であって、前記ピックアップ装置は、前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端部を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記チップ部品の中央部から外周部へ向かう第1の方向およびその反対方向に前記チップ部品の中央部および外周部の間で前記第1の先端部が移動可能に設けられた第1の突き上げピンと、前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端部を、前記第1の突き上げピンと異なるダイシングテープ側の一端部に備え、前記チップ部品の中央部から外周部へ向かう方向であって前記第1の方向と異なる方向である第2の方向およびその反対方向に前記チップ部品の中央部および外周部の間で前記第2の先端部が移動可能に設けられた第2の突き上げピンと、前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記チップ部品の方向に突き上げる突き上げ手段と、前記第1の先端部を前記チップ部品の中央部から外周部に向けて前記第1の方向に付勢する第1の付勢手段と、前記第2の先端部を前記チップ部品の中央部から外周部に向けて前記第2の方向に付勢する第2の付勢手段と、を備え、前記ピックアップ装置の制御方法は、前記第1の突き上げピンの先端の位置が前記チップ部品の一端部の近傍になるように制御し、前記第2の突き上げピンの先端の位置が前記チップ部品の他端部の近傍になるように制御し、前記突き上げ手段が、前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記チップ部品の方向に突き上げる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果は、より構造が簡単で、ダイシングテープからの剥離の際に、チップ部品に加わる曲げモーメントが低減されるピックアップ装置等を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態のピックアップ装置を示す側面図である。
図2】第1の実施形態のピックアップ装置の第1の動作状態を示す側面図である。
図3】第1の実施形態のピックアップ装置の第2の動作状態を示す側面図である。
図4】第1の実施形態のピックアップ装置の第3の動作状態を示す側面図である。
図5】第1の実施形態のピックアップ装置の具体例を示す側面図である。
図6】第1の実施形態のピックアップ装置の突き上げピンの配置の一例を示す平面図である。
図7】第1の実施形態のピックアップ装置の突き上げピンの配置の別の一例を示す平面図である。
図8】第1の実施形態のピックアップ装置の第1の変形例を示す側面図である。
図9】第1の実施形態のピックアップ装置の第2の変形例を示す側面図である。
図10】第1の実施形態のピックアップ装置の第3の変形例を示す側面図である。
図11】第1の実施形態のピックアップ装置の第3の変形例の動作の一例を示す側面図である。
図12】第2の実施形態のピックアップ装置を示す側面図である。
図13】第2の実施形態のピックアップ装置の第1の動作状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のピックアップ装置を示す側面図である。ピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。ピックアップ装置100は、第1の突き上げピン10と、第2の突き上げピン20と、突き上げ手段30と、第1の付勢手段40と、第2の付勢手段50と、を有する。
【0021】
なお、以降の説明では、ダイシングテープ200のチップ部品300が貼付されている面を上面とし、反対の面を下面とする。また、ダイシングテープ200の上面の方向を上方、下面の方向を下方とする。また、チップ部品300の上面の法線が法線nと称される。
【0022】
第1の突き上げピン10は、チップ部品300を押圧するための第1の先端部11をダイシングテープ200側の一端部に備える。ダイシングテープ200の下面を介して、第1の先端部11が、チップ部品300を押圧する。また、可動機構60によって、第1の先端部11は、第1の方向およびその反対方向に移動可能である。第1の方向は、チップ部品300の中央部から外周部へ向かう方向である。
【0023】
第2の突き上げピン20は、チップ部品300を押圧するための第2の先端部21をダイシングテープ200側の一端部に備える。ダイシングテープ200の下面を介して、第2の先端部21が、チップ部品300を押圧する。また、可動機構60によって、第2の先端部21は、第2の方向およびその反対方向に移動可能である。第2の方向は、チップ部品300の中央部から外周部へ向かう方向である。また、第2の方向は、第1の方向とは異なる方向である。
【0024】
第1の付勢手段40は、前記チップ部品の中央部から外周部に向けて第1の方向に第1の先端部11を付勢する。第1の方向は、前述の通り、チップ部品300の中央部から外周部へ向かう方向である。
【0025】
第2の付勢手段50は、チップ部品300の中央部から外周部に向けて第2の方向に、第2の先端部21を付勢する。なお、第2の方向は、チップ部品300の中央部から外周部へ向かう方向である。また、第2の方向は、第1の方向とは異なる方向である。
【0026】
チップ部品300が貼付されたダイシングテープ200は、例えば、吸着ブロック70によって吸着固定される。第1の突き上げピン10および第2の突き上げピン20に対応する位置では、吸着ブロック70に開口部が設けられている。開口部は、例えば、第1の突き上げピン10および第2の突き上げピン20の移動範囲を含む長穴である。これにより、第1の先端部11および第2の先端部21がダイシングテープ200下面に接触できる。
【0027】
次に、ピックアップ装置100の動作について説明する。以下の説明では、第1の動作状態、第2の動作状態、第3の動作状態の順に動作が進行する。図2は、第1の実施形態のピックアップ装置100の第1の動作状態を示す側面図である。突き上げ手段30によって、第1の突き上げピン10および第2の突き上げピン20が上方に移動され、第1の先端部11および第2の先端部21がダイシングテープ200の下面に当接している。第1の先端部11がダイシングテープ200に当接する位置は、チップ部品300の一方の端部(図2では左側の端部)である。また、第2の先端部21がダイシングテープ200に当接する位置は、チップ部品300の他方の端部(図2では右側の端部)である。このような位置関係となるように、予め、第1の先端部11と第2の先端部21の位置が制御される。この状態から、突き上げが開始される。
【0028】
図3は、第1の実施形態のピックアップ装置100の第2の動作状態を示す側面図である。第1の先端部11と第2の先端部21の突き上げによって、チップ部品300の端部が、ダイシングテープ200から剥離している。この時、ダイシングテープ200が上方に凸の形になる。そして、ダイシングテープ200には元の面に戻ろうとする張力が働く。図3に示すように、第1の先端部11が接触している部分では、この張力F1が、下方向およびチップ部品300の中心に向かう方向の成分を持つ。このため、第1の付勢手段40の付勢力に抗して、第1の先端部11がチップ部品300の中心方向に移動する。同様に、第2の先端部21には、張力F2が作用する。張力F2は、下方向およびチップ部品300の中心に向かう方向の成分を持つ。この張力F2によって、第2の付勢手段50の付勢力に抗して、第2の先端部21がチップ部品300の中心方向に移動する。
【0029】
図4は、第1の実施形態のピックアップ装置100の第3の動作状態を示す側面図である。図4には、第3の状態から、第1の先端部11および第2の先端部21が、さらに上方に突き上げられた状態が示されている。突き上げによって、チップ部品300とダイシングテープ200の剥離が、チップ部品300中心方向に進行している。そして、張力F1によって、第1の先端部11がチップ部品300の中心に向かって移動する。同様に、張力F2によって、第2の先端部21がチップ部品300の中心に向かって移動する。
【0030】
以上の動作では、チップ部品300とダイシングテープ200の剥離が、チップ部品300の端部から始まる。そして、突き上げに伴って、第1の先端部11と第2の先端部21がチップ部品300の中心に向かって移動する。同時に、剥離ポイントがチップ部品300の中心に向かって移動する。すなわち、チップ部品300の端部から剥離が開始され、剥離がチップ部品300の中心に向かって進行する。この際、第1の先端部11および第2の先端部21を動かす動力は、ダイシングテープ200の張力だけである。つまり、突き上げピンを動かすアクチュエータを用いることなく、特許文献1と同様な剥離が実行される。
【0031】
次に、ピックアップ装置100の具体例な構成について説明する。図5は、第1の実施形態のピックアップ装置100の具体例を示す側面図である。本具体例のピックアップ装置100は、可動機構60として、第1のシャフト611と、第2のシャフト612とを備える。また、第1の突き上げピン10の第1の先端部11の反対側には、第1のシャフト611に対してスライドされる第1の基部12が設けられている。同様に、第2の突き上げピン20の第2の先端部21の反対側には、第2のシャフト612に対してスライドされる第2の基部22が設けられている。また、第1のシャフト611の、第2のシャフト612の反対側の端部には、第1のストッパ621が設けられている。第1のストッパ621によって、第1の基部12の、チップ部品300の端部から外側方向への移動が制限される。同様に、第2のシャフト612の、第1のシャフト611の反対側の端部には、第2のストッパ622が設けられている。第2のストッパ622によって、第2の基部22の、チップ部品300の端部から外側方向への移動が制限される。第1の付勢手段40および第2の付勢手段50は、例えば、つるまきバネである。第1の先端部11の先端の曲率である第1の曲率は、例えば、第1の突き上げピン10の胴部の軸回りの曲率の1/10から1倍程度に設定される。同様に、第2の先端部21の先端の曲率である第2の曲率は、例えば、第2の突き上げピン20の胴部の軸回りの曲率の1/10から1倍程度に設定される。
【0032】
図6は、第1の実施形態のピックアップ装置100の突き上げピンの配置の一例を示す平面図である。第1の突き上げピン10がチップ部品300の一方の端部に対応し、第2の突き上げピン20がチップ部品300の他方の端部に対応するように配置されている。第1の突き上げピン10の移動方向である第1の方向と、第2の突き上げピン20の移動方向である第2の方向とは、平行で向きが逆である。第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とは、両者の中点について点対称に配置される。
【0033】
第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の組は複数設けられても良い。図7は、第1の実施形態のピックアップ装置100の突き上げピンの配置の別の一例を示す平面図である。図7の例では、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の組が2つ設けられている。1つが第1の組10―1であり、もう一つが第2の組10-2である。第1の組10-1は、第1の突き上げピン10aと、第1の付勢手段40aと、第2の突き上げピン20aと、第2の付勢手段50aを備える。第2の組10-2は、第1の突き上げピン10bと、第1の付勢手段40bと、第2の突き上げピン20bと、第2の付勢手段50bを備える。
【0034】
第1の突き上げピン10aおよび第2の突き上げピン20aの移動方向と、第1の突き上げピン10bおよび第2の突き上げピン20bの移動方向とは、直交している。第1の突き上げピン10a、第2の突き上げピン20a、第1の突き上げピン10b、第2の突き上げピン20bは、例えば、それぞれが矩形のチップ部品300の4隅に対応するように配置される。このような配置とすることで、曲げモーメントが大きな部分を作ることなく、矩形のチップ部品300の突き上げが実行される。
【0035】
なお、上記では、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の組が2組の例について説明したが、3組以上であっても良い。そして、例えば、それぞれの組において、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とが、両者の中点について点対称に配置される。
【0036】
次に、ピックアップ装置100に具体的な構成の変形例について説明する。
【0037】
(第1の変形例)
図8は、第1の実施形態のピックアップ装置100の第1の変形例を示す側面図である。第1の変形例では、第1の突き上げピン10の第1の先端部11cと、第2の突き上げピン20の第2の先端部21cとが、球状である。第1の先端部11cと第2の先端部21cを曲率の大きな球状とすることで、第1の先端部11cとダイシングテープ200の下面の間の摩擦力が低減される。これにより、第1の先端部11cがスムーズにチップ部品300の中心に向かって移動できる。同様に、第2の先端部21cがスムーズにチップ部品300の中心に向かって移動できる。第1の先端部11cの第1の曲率は、例えば、第1の突き上げピン10の胴部の軸回りの曲率の1.5から3倍程度に設定される。第2の先端部21cの第2の曲率も同様に設定される。
【0038】
(第2の変形例)
図9は、第1の実施形態のピックアップ装置100の第2の変形例を示す側面図である。第1の変形例では、第1の突き上げピン10の第1の先端部11dがローラである。このローラは、ダイシングテープ200の下面に沿って転がることが可能である。同様に、第2の突き上げピン20の第2の先端部21dが、ローラである。
【0039】
このような構成とすることで、第1の先端部11dとダイシングテープ200の下面の間の摩擦力が低減される。これにより、第1の先端部11dがスムーズにチップ部品300の中心に向かって移動できる。同様に、第2の先端部21dがスムーズにチップ部品300の中心に向かって移動できる。
【0040】
(第3の変形例)
図10は、第1の実施形態のピックアップ装置100の第3の変形例を示す側面図である。第3の変形例では、第1の突き上げピン10eが、第1の基部12eを中心に、傾くようになっている。第1の突き上げピン10eが、チップ部品300の中心に向かって傾く。そして、チップ部品300の中心から遠ざかる方向に、第1の付勢手段40eが、第1の先端部11eを付勢する。第1の付勢手段40eは、例えば、ねじりバネである。また、第1のストッパ621eによって、法線nよりチップ部品300の中心から遠ざかる方向の第1の突き上げピン10eの回転が制限される。同様に、第2の突き上げピン20eが、第2の基部22eを中心に、傾くようになっている。第2の突き上げピン20eが、チップ部品300の中心に向かって傾く。そして、チップ部品300の中心から遠ざかる方向に、第2の付勢手段50eが、第2の先端部21eを付勢する。第2の付勢手段50eは、例えば、ねじりバネである。また、第2のストッパ622eによって、法線nよりチップ部品300の中心から遠ざかる方向の第2の突き上げピン20eの回転が制限される。
【0041】
なお、図10では、第1の先端部11eおよび第2の先端部21eが、第2の変形例と同様なローラである構成が例示されている。
【0042】
図11は、第1の実施形態のピックアップ装置100の第3の変形例の動作の一例を示す側面図である。突き上げ手段30によって、第1の突き上げピン10eと第2の突き上げピン20が、突き上げられている。そして、チップ部品300の一端部および他端部が、ダイシングテープ200から剥離している。この際、変形したダイシングテープ200からの張力によって、第1の突き上げピン10eが、チップ部品300の中心方向に傾いている。これにより、第1の先端部11eが、チップ部品300の中心方向に移動している。同様に、第2の先端部21eが、チップ部品300の中心方向に移動している。
【0043】
この例から明らかなように、突き上げが上方に進行することによって、第1の先端部11eと第2の先端部21eとが、チップ部品300の中心方向に移動する。同時に、チップ部品300とダイシングテープ200の剥離ポイントが、チップ部品300の中心方向に移動する。つまり、チップ部品300の端部から剥離が開始され、剥離ポイントがチップ部品300の中心に向かって進行する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のピックアップ装置100によれば、チップ部品300の端部から剥離が開始され、剥離ポイントがチップ部品300の中心に向かって進行する。そして、突き上げピンを動かすアクチュエータを用いることなく、この動作が実行される。つまり、特許文献1より簡単な構成で、チップ部品加わる曲げモーメントの小さな剥離が実行される。
【0045】
以上、第1の実施形態のピックアップ装置100等について説明した。
【0046】
ピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。ピックアップ装置100は、第1の突き上げピン10と、第2の突き上げピン20と、突き上げ手段30と、第1の付勢手段40と、第2の付勢手段50と、を有する。第1の突き上げピン10は、チップ部品300を押圧するための第1の先端部11をダイシングテープ側の一端部に備える。ダイシングテープ200の下面を介して、第1の先端部11が、チップ部品300を押圧する。また、可動機構60によって、第1の先端部11は、第1の方向およびその反対方向に中央部および外周部の間で移動可能である。第1の方向は、チップ部品300の中央部から外周部へ向かう方向である。第2の突き上げピン20は、チップ部品300を押圧するための第2の先端部21をダイシングテープ200側の一端部に備える。ダイシングテープ200の下面を介して、第2の先端部21が、チップ部品300を押圧する。また、可動機構60によって、第2の先端部21は、第2の方向およびその反対方向に移動可能である。第2の方向は、チップ部品300の中央部から外周部へ向かう方向である。また、第2の方向は、第1の方向とは異なる方向である。チップ部品300の中央部から外周部に向けて、第1の付勢手段40が第1の先端部11を付勢する。その方向は、第1の方向に沿った方向である。チップ部品300の中央部から外周部に向けて、第2の付勢手段50が第2の先端部21を付勢する。その方向は、第2の方向に沿った方向である。
【0047】
以上の構成では、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の突き上げが進行すると、第1の先端部11と第2の先端部21が、チップ部品300の一端部および他端部からチップ部品300の中心方向に移動する。これによって、チップに大きな曲げモーメントが加わることなく、チップ部品300の端部から中心に向かって、剥離が進行される。
【0048】
また、一態様によれば、ピックアップ装置100の第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の組が、複数組設けられる。
【0049】
このような構成とすることにより、チップ部品300に大きな曲げモーメントが加わらない位置を突き上げられる。
【0050】
また、一態様によれば、ピックアップ装置100において、第1の先端部11の形状が第1の曲率の曲面であり、第2の先端部21の形状が第2の曲率の曲面である。
【0051】
上記の、第1の曲率と第2の曲率とを適宜選択することにより、第1の先端部11と第2の先端部21が、ダイシングテープ200の下面に沿って、スムーズに移動される。
【0052】
また、一態様によれば、ピックアップ装置100において、第1の先端部11に、第1のローラが設けられる。第1のローラは、ダイシングテープ200の下面に沿って転がることが可能である。同様に、第2の先端部21に、第2のローラが設けられる。第2のローラは、ダイシングテープ200の下面に沿って転がることが可能である。
【0053】
上記の構成とすることにより、第1の先端部11と第2の先端部21が、ダイシングテープ200の下面に沿って、スムーズに移動される。
【0054】
また、一態様によれば、ピックアップ装置100において、第1の付勢手段40と第2の付勢手段50とが、圧縮バネである。この構成で、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の向きが、法線の向きに保たれた状態で、第1の先端部11と第2の先端部21が、平行移動する。
【0055】
このような構成とすることによって、突き上げに伴って生じるダイシングテープ200の張力によって、第1の先端部11と第2の先端部21が、チップ部品300中心方向に移動される。
【0056】
また、一態様によれば、ピックアップ装置100において、第1の付勢手段40と第2の付勢手段50とが、ねじりバネである。そして、突き上げに伴って生じるダイシングテープ200の張力によって、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20が、チップ部品300の中心方向に向かって傾けられる。
【0057】
このような構成とすることによって、突き上げピンの突き上げに伴って、第1の先端部11と第2の先端部21が、チップ部品300中心方向に移動される。
【0058】
また本実施形態のピックアップ装置の制御方法は、ピックアップ装置100を制御する。ピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。ピックアップ装置100は、第1の突き上げピン10と、第2の突き上げピン20と、突き上げ手段30と、第1の付勢手段40と、第2の付勢手段50と、を有する。第1の突き上げピン10は、チップ部品300を押圧するための第1の先端部11をダイシングテープ側の一端部に備える。ダイシングテープ200の下面を介して、第1の先端部11が、チップ部品300を押圧する。また、可動機構60によって、第1の先端部11は、中央部および外周部の間で第1の方向およびその反対方向に移動可能である。第1の方向は、チップ部品300の中央部から外周部へ向かう方向である。第2の突き上げピン20は、チップ部品300を押圧するための第2の先端部21をダイシングテープ200側の一端部に備える。ダイシングテープ200の下面を介して、第2の先端部21が、チップ部品300を押圧する。また、可動機構60によって、第2の先端部21は、第2の方向およびその反対方向に移動可能である。第2の方向は、チップ部品300の中央部から外周部へ向かう方向である。また、第2の方向は、第1の方向とは異なる方向である。チップ部品300の中央部から外周部に向けて、第1の付勢手段40が第1の先端部11を付勢する。その方向は、第1の方向に沿った方向である。チップ部品300の中央部から外周部に向けて、第2の付勢手段50が第2の先端部21を付勢する。その方向は、第2の方向に沿った方向である。そして、ピックアップ装置の制御方法では、チップ部品300の一端部の近傍になるように、第1の突き上げピン10の先端の位置が制御される。また、チップ部品300の他端部の近傍になるように、第2の突き上げピン20の先端の位置が制御される。そして、突き上げ手段30が、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とをチップ部品300の方向に突き上げる。
【0059】
以上の構成では、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の突き上げが進行すると、第1の先端部11と第2の先端部21が、チップ部品300の一端部および他端部からチップ部品300の中心方向に移動する。これによって、チップに大きな曲げモーメントが加わることなく、チップ部品300の端部から中心に向かって、剥離が進行される。
【0060】
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態のピックアップ装置101を示す側面図である。ピックアップ装置101は、第1の実施形態のピックアップ装置100の構成に加えて、コレット90と、コレット駆動手段91とを備えている。
【0061】
コレット90は、チップ部品300の上面と対向する位置に設けられる。そして、コレット90は、チップ部品300を吸着する。
【0062】
コレット駆動手段91は、コレット90を少なくとも法線nの方向に移動させる。コレット駆動手段91はコレットに負荷する力を調整できるようになっている。また、図示はしていないが、コレット90の位置は、コレット位置検出手段で検出される。
【0063】
次に、ピックアップ装置101の動作について説明する。図13は、第2の実施形態のピックアップ装置101の第1の動作状態を示す側面図である。コレット90がチップ部品300の上面に当接している。そして、第1の先端部11と第2の先端部21が、ダイシングテープ200の下面を介して、チップ部品300を突き上げている。そして、第1の先端部11と第2の先端部21の突き上げを妨げないように、コレット駆動手段91がコレットに付加する荷重を制御している。
【0064】
図13の例では、第1の先端部11がチップ部品300の一端部からチップ部品300の中心部に向かって移動している。同様に、第2の先端部21がチップ部品300の他端部からチップ部品300の中心部に向かって移動している。また、チップ部品300の第1の先端部11より外側の部分が、ダイシングテープ200から剥離している。同様に、チップ部品300の第2の先端部21より外側の部分が、ダイシングテープ200から剥離している。
【0065】
この状態から、突き上げが進行されると、第1の先端部11と第2の先端部21がチップ部品300の中心に向かって移動する。同時に、剥離ポイントもチップ部品300の中心に向かって移動する。このような動作によって、ダイシングテープ200からのチップ部品300の剥離が進行する。
【0066】
なお、コレット駆動手段91の駆動を制御するコントローラには、ピックアップ位置が、予め設定されている。ピックアップ位置で、コレット90がチップ部品300をダイシングテープ200から引きはがす。コレット駆動手段91は、チップ部品300がピックアップ位置まで突き上げられると、コレット90を上方に移動させる。これにより、チップ部品300がダイシングテープ200から引き離される。こうして、コレット90によって、チップ部品300がダイシングテープ200からピックアップされる。
【0067】
以上、本実施形態のピックアップ装置101等について説明した。
【0068】
ピックアップ装置101は、第1の実施形態のピックアップ装置100の構成に加えて、コレット90と、コレット駆動手段91を備えている。チップ部品300の上面と対向する位置にコレット90が設けられる。そして、コレット90が、チップ部品300を吸着する。また、コレット駆動手段91が、コレット90を移動方向に駆動する。コレット90の移動方向は、少なくともチップ部品300の上面の法線の方向を含む。
【0069】
上述した第1乃至第2の実施形態の処理を、コンピュータに実行させるプログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体も本発明の範囲に含む。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、などを用いることができる。
【0070】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 第1の突き上げピン
20 第2の突き上げピン
30 突き上げ手段
40 第1の付勢手段
50 第2の付勢手段
60 可動機構
70 吸着ブロック
90 コレット
91 コレット駆動手段
100、101 ピックアップ装置
200 ダイシングテープ
300 チップ部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13