(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072556
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】車両の照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/24 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B60Q1/24 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183437
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】野本 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】青木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】浦野 慎一
(72)【発明者】
【氏名】種村 美里
(72)【発明者】
【氏名】井上 法行
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA18
3K339AA22
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA07
3K339BA22
3K339BA26
3K339BA28
3K339DA01
3K339GB11
3K339GB21
3K339JA21
3K339KA06
3K339KA07
3K339KA27
3K339MA05
3K339MA10
3K339MB02
3K339MC01
3K339MC03
3K339MC17
3K339MC66
3K339MC74
3K339MC75
3K339MC76
3K339MC96
(57)【要約】
【課題】ユーザーの利便性および商品価値の向上を図る上で有利な車両の照明装置を提供する。
【解決手段】照度測定部12で測定した照度Eが予め定められたしきい値Emin以下でかつユーザー検出部42で検出された距離ΔLが第1所定値L1以下の場合、ユーザー検出部42で検出された角度θに対応して光源部14を制御することにより照明光26を車両22の周囲の地面24からユーザー位置の近傍の地面24に向けて連続させて照射させるようにした。ユーザーUが車両22に対して接近あるいは離間する方向に対して、光源部14による照明光26の照射方向を合致させることができるため、ユーザーUの足元に対して適切に照明光26が照射される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の照度を測定する照度測定部と、
前記車両に設けられ前記車両の周囲の地面に向かって照明光を照射すると共に前記照明光の照射方向が制御可能に構成された光源部と、
車両位置からユーザー位置までの距離と、平面視したときに車両前後方向に延在する仮想線に対して前記車両位置と前記ユーザー位置とを結ぶ直線とがなす角度とを検出するユーザー検出部と、
前記照度測定部で測定した照度が予め定められたしきい値以下でかつ前記ユーザー検出部で検出された前記距離が第1所定値以下の場合、前記ユーザー検出部で検出された前記角度に対応して前記光源部を制御することにより前記照明光を前記車両の周囲の地面から前記ユーザー位置の近傍の地面に向けて連続させて照射させる制御部と、
を備えることを特徴とする車両の照明装置。
【請求項2】
前記車両の周囲の地面から前記車両から離れる方向に前記地面を連続的に前記照明光で照射させる個別照射領域が前記車両の周囲に沿って分割されて複数設定され、
前記光源部は、前記個別照射領域に対応して前記個別照射領域のそれぞれに向けて前記照明光を照射するように設けられた複数の個別光源を備え、
前記制御部による前記光源部の制御は、前記ユーザー検出部で検出された前記角度に基づいて前記複数の個別光源を選択的に動作させるようになされる、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の照明装置。
【請求項3】
前記複数の個別光源の選択的な動作は、
前記ユーザー検出部で検出された前記角度に基づいて1つの前記個別照射領域を照射する1つの前記個別光源を動作させる第1動作と、
前記ユーザー検出部で検出された前記角度に基づいて隣り合う前記個別照射領域に向けてそれぞれ前記照明光を照射する2つの前記個別光源を同時に動作させる第2動作とを含む、
ことを特徴とする請求項2記載の車両の照明装置。
【請求項4】
前記第2動作では、2つの前記個別光源の前記照明光によって照射される前記地面の照度が、前記第1動作において1つの前記個別光源の前記照明光によって照射される前記地面の照度とほぼ同じ値となるように、2つの前記個別光源の光量が制御される、
ことを特徴とする請求項3記載の車両の照明装置。
【請求項5】
前記車両に近接した地面の部分を全て前記照明光で照射させる単一の近接照射領域が設定され、
前記光源部は、前記近接照射領域に向けて前記照明光を照射する近接光源をさらに備え、
前記制御部による前記光源部の制御は、前記ユーザー検出部で検出された前記距離が前記第1所定値よりも小さい値である第2所定値以下であった場合に、前記複数の個別光源の全てを非動作とすると共に前記近接光源を動作させる、
ことを特徴とする請求項2記載の車両の照明装置。
【請求項6】
前記車両の周囲の地面から前記車両から離れる方向に前記地面を連続的に照射させる個別照射領域が前記車両の周囲に沿って分割されて複数設定され、
前記光源部は、前記個別照射領域に向けて選択的に前記照射光を照射可能な可動光源と、前記可動光源を前記複数の個別照射領域に向けて選択的に移動させる移動部とを備え、
前記制御部による前記光源部の制御は、前記ユーザー検出部で検出された前記角度に基づいて前記移動部を制御することでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の照明装置。
【請求項7】
前記車両は、前記ユーザーが所持する携帯端末と無線回線を介して通信を行なう通信部を備え、
前記ユーザー検出部は、前記通信部によって受信した受信信号に基づいて、前記距離と前記角度とを検出する測位機能を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の照明装置。
【請求項8】
前記ユーザーが乗車あるいは降車したことを検知する乗車検知部を備え、
前記制御部は、前記乗車検知部の検知結果に基づいて前記光源部の制御を行なう、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転席側のドアミラーに地面を照射するランプを設け、ユーザーによる発信機による解錠動作に連動してランプを動作させるようにした車両が提供されている(特許文献1参照)。
また、車両の複数のドアのそれぞれに対応して送信アンテナとランプとを設置しておき、携帯機から送信アンテナに送信される信号に基づいてユーザーが接近しようとするドアを識別し、その識別結果に基づいてユーザーが接近しようとするドアに対応するランプを動作させるようにした車両が提供されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-206138号公報
【特許文献2】特開2007-138613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術によれば、例えば、夜間などで照明がない暗い環境下においては、ユーザーが乗車するために車両に接近したときに、ユーザーの足元をランプの照明光で照らすことができるため便利である。
しかしながら、上記従来技術では、運転席側のランプを動作させることに留まり、あるいは、複数のドアに対応して設けられたランプを選択的に動作させることに留まっている。
そのため、ユーザーの車両に対する接近方向に対してランプによる照明光の照射方向が極めて制約されたものとなっており、ユーザーの利便性および商品価値の向上を図る上で改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ユーザーの利便性および商品価値の向上を図る上で有利な車両の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、車両の周囲の照度を測定する照度測定部と、前記車両に設けられ前記車両の周囲の地面に向かって照明光を照射すると共に前記照明光の照射方向が制御可能に構成された光源部と、車両位置からユーザー位置までの距離と、平面視したときに車両前後方向に延在する仮想線に対して前記車両位置と前記ユーザー位置とを結ぶ直線とがなす角度とを検出するユーザー検出部と、前記照度測定部で測定した照度が予め定められたしきい値以下でかつ前記ユーザー検出部で検出された前記距離が第1所定値以下の場合、前記ユーザー検出部で検出された前記角度に対応して前記光源部を制御することにより前記照明光を前記車両の周囲の地面から前記ユーザー位置の近傍の地面に向けて連続させて照射させる制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、ユーザー検出部で検出された角度に対応して光源部を制御することにより照明光を車両の周囲の地面からユーザー位置の近傍の地面に向けて連続させて照射させるようにした。
したがって、ユーザーが車両に対して接近あるいは離間する方向に対して、光源部による照明光の照射方向を合致させることができるため、ユーザーの足元に対して適切に照明光が照射される。
そのため、ユーザーは足元の地面が照明光で照射された状態で快適に歩行することができるため、ユーザーの利便性を向上させることは無論のこと、ユーザーの足元に向けて照明光を照射するといった演出によって、ユーザーに対してもてなし感を効果的に与えることができ車両の商品価値の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る車両の照明装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】車両と個別照射領域および近接照射領域との関係を示す平面図である。
【
図4】(A)-(F)はユーザーに対応して検出された角度θと、6つの個別光源の光量Pとの関係を示す線図である。
【
図5】実施の形態に係る車両の照明装置においてユーザーが車両に乗車するために車両に接近していく場合の動作フローチャートである。
【
図6】実施の形態に係る車両の照明装置においてユーザーが車両から降車して車両から離間していく場合の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両の照明装置10は、照度測定部12と、光源部14と、通信部16と、乗車検知部18と、情報処理装置20とを含んで構成されている。
照度測定部12は、車両の周囲の照度を測定するものであり、車両の適宜箇所に設けられている。
【0009】
図3に示すように、光源部14は、車両22に設けられ車両22の周囲の地面24に向かって照明光26を照射すると共に照明光26の照射方向が制御可能に構成されている。
本実施の形態では、光源部14は、車両22の運転席側のサイドドア2202の下方箇所であるサイドシル2204に設けられており、本実施の形態では、光源部14は車両前後方向においてサイドミラー2206とほぼ同じ位置に配置されている。
図1に示すように、光源部14は、複数の個別光源28(28A-28F)と、1つの近接光源30とを含んで構成されている。
図2に示すように、車両22の周囲の地面24から車両22から離れる方向に地面24を連続的に照明光26を照射させる個別照射領域32が複数設定されている。
本実施の形態では、平面視したとき光源部14を中心として車幅方向外側の180度の範囲を30度単位で区切って放射状に分割された6つの個別照射領域32A-32Fが設定されている。なお、
図2において符号FRは車両前方を示す。
【0010】
本実施の形態では、平面視したとき光源部14を通り車幅方向に延在する仮想線34の角度を0度として時計回りの角度を正の角度、反時計回りの角度を負の角度として説明する。そして、この角度は、後述するユーザー検出部42によって車両22のユーザーU(本実施の形態では車両22の運転者)に対応して検出される角度θに対応している。
6つの個別光源28A-28Fは、6つの個別照射領域32A-32Fに対応して6つの個別照射領域32A-32Fのそれぞれに向けて照明光26を照射するように設けられており、例えば、LEDによって構成されている。
なお、1つの個別光源28から照射された照明光26の大部分は、その個別光源28に対応する個別照射領域32に照射されるが、照明光26の一部はその個別照射領域32に隣接する個別照射領域32の一部にも照射されることになる。
【0011】
また、
図2に示すように、車両22に近接した地面24の部分を全て照明光26で照射させる単一の近接照射領域36が設定されている。
本実施の形態では、近接照射領域36は、6つの個別照射領域32A-32Fのうち車両22に近接した部分と重複している。
近接光源30は、近接照射領域36に向けて照明光26を照射するように設けられており、例えば、個別光源28と同様にLEDによって構成されている。
なお、
図2においては、6つの個別照射領域32A-32Fは同形同大の扇状を呈し、近接照射領域36は半円状を呈しているものとして描いているが、それら領域32、36の形状は限定されるものではなく、また、個別照射領域32の数は任意である。
【0012】
図1に示すように、通信部16は車両22に設けられ、ユーザーUが所持する携帯端末38と無線回線40を介して通信を行なうものである。
本実施の形態では、携帯端末38としてスマートフォンが用いられる。
なお、通信部16は、予め携帯端末38に設定された識別情報が登録されている。
したがって、通信部16は、識別情報が登録された携帯端末38との無線回線40による通信のみが許可される一方、識別番号が登録されていない携帯端末との無線回線40による通信はなされない。
本実施の形態では、無線回線40として、AoA(Angle Of Arrival:到達角度)方式による角度の検出が可能なBluetooth(登録商標)またはUWB(超広帯域無線通信)が用いられる。AoA方式による角度検出については公知であるため、具体的な説明は割愛する。
【0013】
乗車検知部18は、車両22に設けられユーザーUが乗車あるいは降車したことを検知するものである。
乗車検知部18は、例えば、座席のシートクッションに設けられた感圧センサなど従来公知の様々なセンサが使用可能である。
【0014】
図1に示すように、情報処理装置20(コンピュータ)は、インターフェースを介して照度測定部12、光源部14、乗車検知部18、通信部16に接続され、CPUが記憶装置に格納された所定の制御プログラムを実行することにより、以下に説明する位置角度算出部20Aおよび制御部20Bとして機能する。
【0015】
位置角度算出部20Aは、通信部16によって受信した無線回線40の受信信号に基づいて、車両位置からユーザー位置までの距離ΔLと、平面視したときに車両前後方向に延在する仮想線に対して車両位置とユーザー位置とを結ぶ直線とがなす角度θとを算出するものである。
本実施の形態では、位置角度算出部20Aは、通信部16によって受信した受信信号の信号強度に基づいて距離ΔLを算出すると共に、通信部16によって受信した受信信号に基づいてAoA方式による角度θの算出を行なう。
本実施の形態では、通信部16および位置角度算出部20Aによって、距離ΔLと角度θとを検出するユーザー検出部42が構成されている。
【0016】
制御部20Bは、照度測定部12で測定した照度Eが予め定められたしきい値Emin以下である場合、言い換えると、光源部14による照明光26の照射の必要があると判断される場合であり、かつ、ユーザー検出部42で検出された距離ΔLが第1所定値L1以下の場合に、ユーザー検出部42で検出された角度θに対応して光源部14を制御することにより照明光26を車両22の周囲の地面24からユーザー位置の近傍の地面24に向けて連続させて照射させるものである。
ここで、第1所定値L1は、例えば、20m、30mなど適宜値に設定され、また、第1所定値L1を異なった数値に切り替え可能に設定するなど任意である。
【0017】
図4(A)-(F)は、角度θと個別光源28A-28Fの光量Pとの関係を示す線図である。
例えば、
図2に示すように、ユーザーUが複数の個別照射領域32が並べられた方向において個別照射領域32Aの中央部分に所在し、検出されたユーザーUの角度θが75度であったとすると、
図4(A)に示すように、1つの個別光源28Aの光量Pが100%に制御されその照明光26が個別照射領域32Aに向けて照射される。
この際、
図4(B)-(F)に示すように、残りの5つの個別光源28B-28Fの光量Pは0%に制御される。
【0018】
また、ユーザーUが複数の個別照射領域32が並べられた方向において個別照射領域32Bの中央部分に所在し、検出されたユーザーUの角度θが45度であったとすると、
図4(B)に示すように、1つの個別光源28Bの光量Pが100%に制御されその照明光26が個別照射領域32Bに向けて照射される。
この際、
図4(A)、(C)-(F)に示すように、残りの5つの個別光源28A、28C-28Fの光量Pは0%に制御される。
【0019】
また、ユーザーUが複数の個別照射領域32が並べられた方向において個別照射領域32Aと個別照射領域32Bとの中間部分に所在し、検出されたユーザーUの角度θが60度であったとすると、
図4(A)、(B)に示すように、1つの個別光源28Aの光量Pが50%、その隣の個別光源28Bの光量Pが50%に制御され各照明光26が個別照射領域32A、32Bの双方に向けて照射される。
この際、
図4(C)-(F)に示すように、残りの4つの個別光源28C-28Fの光量Pは0%に制御される。
【0020】
また、ユーザーUが複数の個別照射領域32が並べられた方向において個別照射領域32Aの中央部分よりも個別照射領域32B側に近い部分に所在し、検出されたユーザーUの角度θが65度であったとすると、
図4(A)、(B)に示すように、1つの個別光源28Aの光量Pが70%、その隣の個別光源28Bの光量Pが30%に制御され各照明光26が個別照射領域32A、32Bの双方に向けて照射される。
この際、
図4(C)-(F)に示すように、残りの4つの個別光源28C-28Fの光量Pは0%に制御される。
【0021】
また、
図4(A)-(F)に示されているように、隣り合う2つの個別光源28が同時に動作する場合、ユーザーUの角度θの数値に対応して2つの個別光源28の光量Pの値は連続的に変化する。
そして、隣り合う2つの個別光源28が同時に動作する場合には、2つの個別光源28の光量Pの総和が100%となるように2つの個別光源28の光量Pの値が連続的に変化するように制御される。
すなわち、一方の個別光源28の光量Pが90%、80%、70%、60%、50%となったとき、他方の個別光源28の光量Pは10%、20%、30%、40%、50%となる。
このように1つの個別光源28によって照射される地面24の照度と、2つの個別光源28によって照射される地面24の照度が同じ値となるように2つの個別光源28の光量Pが制御される。
【0022】
ユーザーUの角度θが上述した角度以外の場合であっても、角度θが90度から-90度の範囲において、制御部20Bによる光源部14の制御が上記と同様になされ、角度θに対応する個別照射領域32に向けて照明光26が照射される。
すなわち、制御部20Bによる光源部14の制御は、ユーザー検出部42で検出された角度θに基づいて複数の個別光源28を選択的に動作させることで、個別照射領域32に対応して個別照射領域32のそれぞれに向けて照明光26が照射される。
また、複数の個別光源28の選択的な動作は、ユーザー検出部42で検出された角度θに基づいて1つの個別照射領域32を照射する1つの個別光源28を動作させる第1動作と、ユーザー検出部42で検出された角度θに基づいて隣り合う個別照射領域32に向けてそれぞれ照明光26を照射する2つの個別光源28を同時に動作させる第2動作とを含んでいる。
そして、第2動作では、2つの個別光源28の照明光26によって照射される地面24の照度が、第1動作において1つの個別光源28の照明光26によって照射される地面24の照度とほぼ同じ値となるように、2つの個別光源28の光量が制御される。
【0023】
また、制御部20Bは、ユーザー検出部42で検出された距離ΔLが第1所定値L1よりも小さい値である第2所定値L2以下であった場合に、複数の個別光源28の全てを非動作とすると共に近接光源30を動作させる。
ここで、第2所定値L2は、例えば、5m、10mなど適宜値に設定され、また、第2所定値L2を異なった数値に切り替え可能に設定するなど任意である。
すなわち、
図2に示すように、近接光源30から近接照射領域36に向けて広い角度にわたって照明光26が地面24に照射されることになる。
また、制御部20Bは、後述するように乗車検知部18によるユーザーUの乗車あるいは降車の検知結果に基づいて光源部14の制御を行なう。
【0024】
次に、
図5のフローチャートを参照してユーザーUが車両22に接近して乗車する場合の動作について説明する。
なお、車両22が無人状態にある場合、情報処理装置20は以下の処理を定期的に実行しているものとする。
まず、制御部20Bは、照度測定部12から供給される照度Eがしきい値Emin以下であるか否かを判定する(ステップS10)。
ステップS10が否定ならばステップS10を繰り返す。
ステップS10が肯定ならば、車両22の周辺環境が照明光26を必要とする暗い状態であるため、制御部20Bは、位置角度算出部20Aから距離ΔL、角度θの検出結果が供給されたか否かを判定する(ステップS12)。
【0025】
ステップS12が否定であれば、ユーザーUが所持する携帯端末38と通信部16との無線回線40を介した通信が成立していないので、制御部20Bは、ステップS12を繰り返す。
ステップS12が肯定であれば、上記通信が成立し距離ΔL、角度θの検出結果が供給されたことになる。
すなわち、制御部20Bは、距離ΔLが第1所定値L1以下であるか否かを判定する(ステップS14)。
ステップS14が否定ならば、ステップS12に戻り、制御部20Bは、距離ΔL、角度θの検出結果の供給を待機する。
ステップS14が肯定ならば、制御部20Bは、距離ΔLが第2所定値L2以下であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0026】
ステップS16が否定であれば、制御部20Bは、角度θに対応して6つの個別光源28を選択的に動作させ、1つあるいは2つの個別光源28から個別照射領域32に向けて照明光26を照射させ(ステップS18)、ステップS10に戻り同様の処理を繰り返す。
ステップS16が肯定であれば、制御部20Bは、6つの個別光源28の動作を停止すると共に、近接光源30を動作させ近接光源30から近接照射領域36に向けて照明光26を照射させる(ステップS20)。
次いで、制御部20Bは、乗車検知部18からの検知結果に基づいてユーザーUが乗車したか否かを判定する(ステップS22)。
ステップS22が否定ならば、ステップS22を繰り返す。
ステップS22が肯定ならば、制御部20Bは、近接光源30を停止して非動作とする(ステップS24)。これにより、全ての個別光源28および近接光源30が非動作となり、光源部14からの照明光26の照射が停止され、一連の処理が終了する。言い換えると、制御部20Bは、ユーザーUが乗車した場合に光源部14を非動作とするので、光源部14による無駄な電力消費が抑制される。
また、ユーザーUが乗車したのちは、
図5の制御動作は実行しない。
【0027】
次に、
図6のフローチャートを参照してユーザーUが車両22から降車して車両22から離間する場合の動作について説明する。
なお、車両22が有人状態にある場合、情報処理装置20は以下の処理を定期的に実行しているものとする。
まず、制御部20Bは、照度測定部12から供給される照度Eがしきい値Emin以下であるか否かを判定する(ステップS50)。
ステップS50が否定ならば、ステップS50に戻る。
ステップS50が肯定ならば、制御部20Bは、乗車検知部18からの検知結果に基づいてユーザーUが降車したか否かを判定する(ステップS52)。
【0028】
ステップS52が否定ならばステップS52を繰り返す。
ステップS52が肯定ならば、制御部20Bは、位置角度算出部20Aから距離ΔL、角度θの検出結果が供給されたか否かを判定する(ステップS54)。
ステップS54が否定であれば、制御部20Bは、ステップS54を繰り返す。
ステップS54が肯定であれば、制御部20Bは、距離ΔLが第2所定値L2以下であるか否かを判定する(ステップS56)。
ステップS56が肯定であれば、制御部20Bは、近接光源30を動作させ近接光源30から近接照射領域36に向けて照明光26を照射させる(ステップS58)。
そして、ステップS54に戻りステップS54、S56、S58の処理を繰り返す。
なお、ステップS52が肯定である場合、すなわち、ユーザーUが降車した場合に、制御部20Bは、ステップS54以降の処理に進むことで光源部14の動作を許容することになる。したがって、ユーザーUが降車しない限り光源部14が動作せず、光源部14による無駄な電力消費が抑制される。
【0029】
やがて、ユーザーUが車両22から離間し、ステップS56が否定となり、すなわち、距離ΔLが第2所定値L2よりも大きいと判定されると、制御部20Bは、距離ΔLが第1所定値L1以下であるか否かを判定する(ステップS60)。
ステップS60が肯定であれば、制御部20Bは、近接光源30を非動作とし(ステップS62)、角度θに対応して6つの個別光源28を選択的に動作させ、1つあるいは2つの個別光源28から個別照射領域32に向けて照明光26を照射させ(ステップS64)、ステップS54に戻り同様の処理を繰り返す。
やがて、ユーザーUがさらに車両22から離間して距離ΔLが第1所定値L1よりも大きな値となることでステップS60が否定となると、制御部20Bは、個別光源28の動作を停止し(ステップS66)、一連の処理を終了する。
【0030】
本実施の形態によれば、照度測定部12で測定した照度Eが予め定められたしきい値Emin以下でかつユーザー検出部42で検出された距離ΔLが第1所定値L1以下の場合、ユーザー検出部42で検出された角度θに対応して光源部14を制御することにより照明光26を車両22の周囲の地面24からユーザー位置の近傍の地面24に向けて連続させて照射させるようにした。
したがって、ユーザーUが車両22に対して接近あるいは離間する方向に対して、光源部14による照明光26の照射方向を合致させることができるため、ユーザーUの足元に対して適切に照明光26が照射される。
そのため、例えば、夜間などで周囲に照明がない暗い環境下において、ユーザーUが乗車する際、あるいは、降車する際に、ユーザーUは足元の地面24が照明光26で照射された状態で快適に歩行することができるため、ユーザーUの利便性を向上させることは無論のこと、照明光26を車両22の周囲の地面24からユーザー位置の近傍の地面24に向けて連続させて照射するといった演出によって、ユーザーUに対してもてなし感を与える上で有利となり、車両22の商品価値の向上を図る上で有利となる。
【0031】
また、本実施の形態では、車両22の周囲の地面24から車両22から離れる方向に地面24を連続的に照明光26で照射させる個別照射領域32が車両22の周囲に沿って分割されて複数設定され、それら複数の個別照射領域32に対応して個別照射領域32のそれぞれに向けて照明光26を照射するように複数の個別光源28を設け、ユーザー検出部42で検出された角度θに基づいて複数の個別光源28を選択的に動作させるようにした。
したがって、各個別光源28によって個別照射領域32に向けて照明光26を照射するので、ユーザーUが車両22に対して接近あるいは離間する方向に対して、光源部14による照明光26の照射方向をより精度良く合致させ、ユーザーUの足元に対してより適切に照明光26を照射させる上で有利となり、ユーザーUの利便性の向上を図り、車両22の商品価値を高める上でより有利となる。
【0032】
また、本実施の形態では、複数の個別光源28の選択的な動作は、ユーザー検出部42で検出された角度θに基づいて1つの個別照射領域32を照射する1つの個別光源28を動作させる第1動作と、ユーザー検出部42で検出された角度θに基づいて隣り合う個別照射領域32に向けてそれぞれ照明光26を照射する2つの個別光源28を同時に動作させる第2動作とを含むようにした。
したがってユーザー検出部42で検出された角度θに基づいて、複数の個別照射領域32が並べられた方向におけるユーザー位置に対応したユーザーUの足元に向けて光源部14から照明光26を的確に照射させる上で有利となり、ユーザーUの利便性の向上を図り、車両22の商品価値を高める上でより有利となる。
【0033】
また、本実施の形態では、第2動作では、2つの個別光源28の照明光26によって照射される地面24の照度が、第1動作において1つの個別光源28の照明光26によって照射される地面24の照度とほぼ同じ値となるように、2つの個別光源28の光量が制御される。
したがって、複数の個別照射領域32が並べられた方向におけるユーザー位置に拘わらず、光源部14によって一定の照度で照明光26をユーザーUの足元に照射させる上でより有利となり、ユーザーUの利便性の向上を図り、車両22の商品価値を高める上でより有利となる。
【0034】
また、本実施の形態では、車両22に近接した地面24の部分を全て照明光26で照射させる単一の近接照射領域36に向けて照明光26を照射する近接光源30を設け、制御部20Bによる光源部14の制御は、ユーザー検出部42で検出された距離ΔLが第1所定値L1よりも小さい値である第2所定値L2以下であった場合に、複数の個別光源28の全てを非動作とすると共に近接光源30を動作させるようにした。
したがって、ユーザーUが車両22に乗車する直前または降車した直後には、個別光源28からの照明光26の照射がなされることなく、近接光源30から近接照射領域36に向けて照明光26が広い範囲にわたって地面24に照射されるので、ユーザーUの足元に対して光源部14によって適切に照明光26を照射させる上で有利となり、ユーザーUの利便性の向上を図り、車両22の商品価値を高める上でより有利となる。
【0035】
また、本実施の形態では、車両22は、ユーザーUが所持する携帯端末38と無線回線40を介して通信を行なう通信部16を備え、ユーザー検出部42は、通信部16によって受信した受信信号に基づいて、距離ΔLと角度θとを検出する測位機能を備えている。
したがって、スマートフォンなどのように広く流通している携帯端末38を利用すればよいため、車両22の照明装置10を安価に手軽に利用することができ、ユーザーUの利便性の向上を図り、車両22の商品価値を高める上でより有利となる。
【0036】
また、本実施の形態では、制御部20Bは、乗車検知部18によるユーザーUの乗車または降車の検知結果に基づいて光源部14を制御するので、ユーザーUが乗車した場合に光源部14を非動作とし、また、ユーザーUが降車した場合に光源部14の動作を許容することにより、光源部14による照明光26の照射が不要な場合における電力消費を抑制でき、車両22の省電力化を図る上で有利となる。
なお、本実施の形態では、乗車検知部18として感圧センサを用いた場合について説明した。
しかしながら、制御部20Bが、通信部16において携帯端末38からの受信信号の強度が所定強度以上となったことをもってユーザー22の乗車を検知し、逆に、受信信号の強度が所定強度を下回ったことをもってユーザー22の降車を検知するようにしてもよく、その場合は、通信部16および制御部20Bが乗車検知部としても機能することになる。
【0037】
また、本実施の形態では、光源部14が、複数の個別照射領域32に対応して個別照射領域32のそれぞれに向けて照明光26を照射するように複数の個別光源28を備える場合について説明したが、以下の変形例としてもよい。
すなわち、何れも図示しないが、光源部14は、個別照射領域32に向けて選択的に照射光を照射可能な可動光源と、可動光源を複数の個別照射領域32に向けて選択的に移動させる移動部とを備える。
そして、制御部20Bによる光源部14の制御は、ユーザー検出部42で検出された角度θに基づいて移動部を制御することでなされる。
このような変形例においても実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0038】
また、本実施の形態では、光源部14による照明光26の照射の必要の有無を判断するために、照度測定部12で測定した照度Eを用いたが、照度測定部12で測定した照度Eに基づいて光源部14から照射される照明光26の光量を制御するようにしてもよい。
具体的には、照度Eが低いほど照明光26の光量を大きく制御するようにしてもよい。
その場合には、車両22の周辺環境が暗いほど照明光26によって地面24を明るく照射することができるため、ユーザーUが足元を見やすくなり、利便性の向上を図る上で有利となる。
【0039】
また、本実施の形態では、光源部14を運転席側のサイドドア2202の下方のサイドシル2204の箇所に設けた場合について説明したが、光源部14は車両22の周囲の地面24に向かって照明光26を照射することができればよく、光源部14の配置箇所は任意である。
例えば、光源部14を、助手席側や後部座席側のサイドドアの下方のサイドシル2204の箇所に設けてもよく、あるいは、サイドミラー2206の下方のサイドドア2202の箇所に設けてもよい。
また、リアゲートを備えた車両22であれば、リアゲートの下方の車両22の箇所やリアゲートに設けても良い。
【0040】
また、本実施の形態では、携帯端末38としてスマートフォンを用いた場合について説明したが、携帯端末38として、キーレスエントリーやスマートエントリーなどで使用されるオペレーションキー(携帯機)を用いてもよい。
その場合には、オペレーションキーと無線回線を介して解錠あるいは施錠を行なうための通信を行なう通信部に、本実施の形態の通信部16の機能を追加して設ければよい。
この場合も本実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0041】
10 車両の照明装置
12 照度測定部
14 光源部
16 通信部
18 乗車検知部
20 情報処理装置
20A 位置角度算出部
20B 制御部
22 車両
2202 サイドドア
2204 サイドシル
2206 サイドミラー
24 地面
26 照明光
28(28A-28F) 個別光源
30 近接光源
32(32A-32F) 個別照射領域
34 仮想線
36 近接照射領域
38 携帯端末
40 無線回線
42 ユーザー検出部
U ユーザー