(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072573
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】水泳用浮具
(51)【国際特許分類】
A63B 31/00 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
A63B31/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183479
(22)【出願日】2022-11-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 説明年月日:令和4年(2022年)4月29日 説明場所 :エムジータントレーディング 〔刊行物等〕 発行年月日:令和4年(2022年)5月26日 刊行物名 :2022年度版Swimavaカタログ 第5、10、16頁(自社製品パンフレット) 〔刊行物等〕 販売年月日:令和4年(2022年)6月9日 販売場所 :ベベエンライトン インターナショナルカンパニーリミテッド 〔刊行物等〕 販売年月日:令和4年(2022年)6月21日 販売場所 :シティスケープジェネラルトレーディング 〔刊行物等〕 発行年月日:令和4年(2022年)6月24日 刊行物名 :2022年度版Swimavaカタログ 第5、10、16頁(自社製品パンフレット) 〔刊行物等〕 送付年月日:令和4年(2022年)6月24日 送付場所 :エムジータントレーディング 〔刊行物等〕 販売年月日:令和4年(2022年)6月28日 販売場所 :シティスケープジェネラルトレーディング 〔刊行物等〕 販売年月日:令和4年(2022年)7月5日 販売場所 :ビービーウェルネスカンパニーリミテッド 〔刊行物等〕 販売年月日:令和4年(2022年)7月21日 販売場所 :ベベエンライトン インターナショナルカンパニーリミテッド 〔刊行物等〕 説明年月日:令和4年(2022年)8月4日、5日、29日 説明場所 :ロベルト グランハ エストレラ氏 〔刊行物等〕 送付年月日:令和4年(2022年)8月30日 送付場所 :ロベルト グランハ エストレラ氏 〔刊行物等〕 発行年月日:令和4年(2022年)8月30日 刊行物名 :2022年度版Swimavaカタログ 第5、10、16頁(自社製品パンフレット) 〔刊行物等〕 販売年月日:令和4年(2022年)9月2日 販売場所 :有限会社FUNAZAWA 〔刊行物等〕 発行年月日:令和4年(2022年)9月23日 刊行物名 :Kidzzmo、秋冬2022年号、第141頁 出版社「Kodomo Communications Ltd(コドモコミュニケーションズリミテッド)」
(71)【出願人】
【識別番号】522448849
【氏名又は名称】スイマーバ インターナショナル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Swimava International Ltd.
【住所又は居所原語表記】1909, Clifford Center, 778-784 Cheung Sha wan, Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】100187067
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 道一
(72)【発明者】
【氏名】カイ ティンチャン
(57)【要約】
【課題】水泳が苦手な者等でも水泳での基本姿勢を安心して行うことのできる水泳用浮具を提供する。
【解決手段】水泳者1の胴部を囲う第1の浮具10と、第1の浮具10の後端側に設けられる第2の浮具20と、第1及び第2の浮具10、20に設けられ、水泳者1の胴部及び股部を腹側から支える支持部30とを備え、支持部30は、一端が第1の浮具10に取り付けられるとともに、他端が第2の浮具20に取り付けられるものであって、第2の浮具20は、支持部30が押し下げられる程度に応じて下方に引かれることで、支持部30が水中に沈むことを防ぐ浮力を生じさせることを特徴とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水泳者の胴部を囲う第1の浮具と、
該第1の浮具の後端側に設けられる第2の浮具と、
該第1及び第2の浮具に設けられ、該水泳者の胴部及び股部を腹側から支える支持部とを備え、
該支持部は、一端が該第1の浮具に取り付けられるとともに、他端が該第2の浮具に取り付けられるものであって、該第2の浮具は、該支持部が押し下げられる程度に応じて下方に引かれることで、該支持部が水中に沈むことを防ぐ浮力を生じさせることを特徴とする水泳用浮具。
【請求項2】
該第2の浮具が、該第1の浮具の後端側に着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水泳用浮具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水泳が苦手な者等でも水泳での基本姿勢を安心して行うことのできる水泳用浮具に関する。
【背景技術】
【0002】
水の中を泳ぐためには、水への抵抗を少なくすべく、水中での姿勢を水平方向に直線状(指先から足先までを水面に対して略平行(概ね一直線)に伸ばした状態)に維持しなければならない。
【0003】
このような水中での姿勢は、一般に「ストリームライン」と呼ばれ、水泳での基本姿勢とされるものであるが、水への恐怖心が強いとされる、水泳が苦手な者や水泳経験のない又は浅い乳幼児(以下、これらの者を合わせて「水泳者」という。)が、顔を水面方向に向けた状態(うつ伏せ状態)で、このような基本姿勢(以下、うつ伏せ状態でのこの基本姿勢のことを「水泳基本姿勢」という。)を水中で維持しようとしたとしても、水泳者は、その恐怖心から生じる溺れることへの不安から、顔を直ちに水面から引き上げ、いち早く安心して呼吸ができる状態を確保しようとすることから(特に乳幼児は本能的にこのような動作を行う)、結果として、水中での水泳基本姿勢を維持し続けることができない。
【0004】
このことについて具体的に説明すると、水泳者が、このようなかたちで水面から顔を引き上げると、特に水泳者の足下(膝から足首あたりまでの部分)は、重力の影響により、この顔を上げる程度に応じて、水面に対して垂直方向に引き下げられることになる。そして、水泳者の足下が、このように引き下げられてしまうと、水中における水泳者の姿勢は、次第に水泳基本姿勢から直立した姿勢(水平方向から水面に対して垂直方向)へと変更されてしまうことから、水泳者は、顔を直ちに水面から引き上げてしまうことで(これが原因で)、水中での水泳基本姿勢を維持し続けることができない(直ぐに水泳基本姿勢から直立した姿勢になる)のである。
【0005】
そこで、このような課題を解決すべく、水泳者に対して、水中での水泳基本姿勢を習得させるためには、水泳者が感じる水への恐怖心(溺れることへの不安)を取り除くことが必要であるが、そのためには、水泳者に水泳基本姿勢そのものをいきなり教えるのは得策でなく、まずは、徐々にこのような恐怖心を払拭させるためにも、「水面から顔を引き上げた状態で上半身を水平方向に浮かせるとともに、下半身(特に足下付近)にも浮力を与えることのできる浮具」を使用して、水泳者に、体全体のバランスを保ちながら水泳基本姿勢に近い姿勢を水中でとらせることが肝要である。
【0006】
この点、水中でのバランスを保つ従来の浮き具として、合成樹脂シートを溶着することによって気室を形成するようにした浮き具であって、人への主な浮力を生じさせる第1浮き部と、この第1浮き部の周囲に所定の間隔をおいて配置される第2浮き部と、この第2浮き部及び前記第1浮き部とを相対変位可能に連結する連結部材とにより構成したことを特徴とする浮き具が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、この特許文献1に記載の浮き具は、第1浮き部と第2浮き部とを連結部材により相対変位可能に連結することで、主に、第1浮き部に乗せた幼児の水中への転覆を阻止するものであるが、この浮き具では、上記のとおり、第1浮き部と第2浮き部とが相対変位可能に連結されており、第2浮き部は、第1浮き部と無関係に独自に浮き沈みするものとなっていることから(第1浮き部と第2浮き部は、それぞれが、波の動きや形状に応じて独自に変位するものであり、第2浮き部の動きが第1浮き部に直接伝わることはない)、水泳者は、この浮き具を使用したとしても、安心して、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることができない。以下、この点について具体的に説明する。
【0009】
ある物体から生じる浮力の大きさは、その物体の水に沈んでいる部分の体積の大きさによって大きくなるところ、水泳者が、特許文献1に記載の浮き具を使用して(第1浮き部に体を入れて)水の中に入ると、第1浮き部は、水泳者の重み(体重)によって、その一部が水の中に沈み込む分、これに応じた浮力を発生させることから、水泳者は、第1浮き部を装着することで、水面から顔を上げた状態で水に浮かぶことができる。
【0010】
しかし、このときの水泳者の水中での姿勢は、足下が水面に対して垂直方向に引き下げられたままであり、未だ水泳基本姿勢とは程遠い直立した姿勢であることから、水泳者は、次に、水泳基本姿勢に近い姿勢をとるためにも、顔を水面に近づけながら(上半身を前方に倒しながら)足下を水面方向に向けて引き上げる必要があるが、水への恐怖心が強い水泳者にとって、このような動作は至難の業である(つまり、水泳者は、顔を水面に近づけると、そのまま前方に倒れ、転覆してしまうのではないかとの不安(恐怖)から、なかなか足下を水面方向に向けて引き上げることができないのである)。
【0011】
そこで、このような水への恐怖心を払拭させるためには、何らかの手段で水泳者の足下に浮力を与え、自然と足下が水面方向に向けて引き上げられるようにすることが望ましいが、特許文献1に記載の浮き具には、水泳者の足下に浮力を与えるような手段は存在しない。
【0012】
これについて順に説明すると、特許文献1に記載の浮き具では、第2浮き部が第1浮き部と連結されていることから、一見、この第2浮き部が水泳者の足下に浮力を与える役割を果たすかのようにも思われるが、第2浮き部は、第1浮き部と相対変位可能に連結され、第1浮き部とは無関係に独自に浮き沈みするものであって、第2浮き部の動きが第1浮き部に直接伝わることはないのであるから、第1浮き部が、水泳者の重みによって、その一部が水の中に沈み込んだとしても、第2浮き部が、これに合わせて水の中に沈み込むことはない(むしろ、このときの第2浮き部は、水面に浮かんでいる状態となる)。
【0013】
したがって、第1浮き部が、水泳者の重みによって、その一部が水の中に沈み込む分、これに応じた浮力を発生させたとしても、このときの第2浮き部は水面に浮かんだままなのであり、第2浮き部が、この第1浮き部の動きに合わせて浮力を発生させることはないのであるから、特許文献1に記載の浮き具には、水泳者の足下に浮力を与えるような手段は存在しないのである。
【0014】
よって、水泳者は、特許文献1に記載の浮き具を使用したとしても、足下への浮力を得ることができないことから、安心して、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることができない。
【0015】
そこで、本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、水泳者が、安心して、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることができる水泳用浮具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に係る発明の水泳用浮具は、水泳者の胴部を囲う第1の浮具と、該第1の浮具の後端側に設けられる第2の浮具と、該第1及び第2の浮具に設けられ、該水泳者の胴部及び股部を腹側から支える支持部とを備え、該支持部は、一端が該第1の浮具に取り付けられるとともに、他端が該第2の浮具に取り付けられるものであって、該第2の浮具は、該支持部が押し下げられる程度に応じて下方に引かれることで、該支持部が水中に沈むことを防ぐ浮力を生じさせることを特徴とする。
【0017】
この請求項1に係る発明は、水泳者の胴部及び股部を腹側から支える支持部の一端が、水泳者の胴部を囲う第1の浮具に取り付けられるとともに、その他端が、第1の浮具の後端側に設けられる第2の浮具に取り付けられていること等から、請求項1に係る発明では、水中における水泳者の姿勢を、水泳基本姿勢に近い姿勢に保つことができる。よって、水泳者は、請求項1に係る発明の水泳用浮具を用いることで、安心して、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることができる。以下、この点について詳しく説明する。
【0018】
水泳者が請求項1に係る発明の水泳用浮具を装着して水の中に入ると、このときの水泳者の胴部は、第1の浮具に囲われた状態となることから(第1の浮具の中央には、水泳者が体を通し入れるための空洞部が存在し、水泳者がこの空洞部に体を通し入れると、水泳者の胴部は第1の浮具によって囲われた状態となる。詳細は後述する)、第1の浮具からは、水泳者の重みによって、その一部が水の中に沈み込む分、これに応じた浮力が発生することになる。そのため、水泳者は、まず、この第1の浮具の浮力によって、水面から顔を上げた状態で水の中で浮かぶことができる。
【0019】
しかし、このときの水泳者の水中での姿勢は、足下が水面に対して垂直方向に引き下げられたままであり、未だ水泳基本姿勢とは程遠い直立した姿勢であることから、水泳者は、次に、水泳基本姿勢に近い姿勢をとるためにも、顔を水面に近づけながら(上半身を前方に倒しながら)足下を水面方向に向けて引き上げる必要があるが、上述のとおり、このような動作は、水泳者にとって至難の業である。
【0020】
そこで、このような動作を水泳者に無理なく(水への恐怖心を払拭させ)自然なかたちで行わせるためには、上述のとおり、水泳者の足下に浮力を与え、自然と足下が水面方向に向けて引き上げられるようにする必要があるが、このときの水泳者の胴部及び股部は、腹側から支持部によって支えられるとともに、この支持部は、一端が第1の浮具に、その他端が第1の浮具の後端側(つまり、水泳者の足下側)に設けられる第2の浮具に、それぞれ取り付けられていることから、水泳者は、請求項1に係る発明の水泳用浮具を用いることで、無理なく自然なかたちで足下を水面方向に向けて引き上げることができる。
【0021】
これについて順に説明すると、このときの支持部は、水泳者の胴部及び股部を腹側から支えるため、これにより加わる水泳者の重みにより、その分、水中に押し下げられる(沈む)ことになるが、支持部の他端は、第1の浮具の後端側(つまり、水泳者の足下側)に設けられる第2の浮具に取り付けられていることから、このときの第2の浮具からは、これとは反対に、支持部を水面方向に持ち上げようとする浮力が発生することになる。つまり、支持部の他端が第2の浮具に取り付けられることで、第2の浮具は、支持部が水中に押し下げられる動きに合わせて(支持部が押し下げられる程度に応じて)、水中に押し下げられる(下方に引かれる)格好となることから、第2の浮具からは、これによって、この水中に押し下げられた(沈み込む)分に応じた浮力が発生することになるのである。(これにより、第2の浮具は、その浮力によって、支持部が水中に沈むことを防ぐ役割を果たすことになる。換言すれば、第2の浮具は、支持部が押し下げられる程度に応じて下方に引かれることで、支持部が水中に沈むことを防ぐ浮力を生じさせることになるのである)。したがって、請求項1に係る発明の水泳用浮具では、この結果として、第1の浮具の後端側(つまり、水泳者の足下側)に設けられる第2の浮具より、水泳者の足下に、このような浮力を与えることになることから、水泳者は、これを用いることで、無理なく自然なかたちで足下を水面方向に向けて引き上げることができるのである。
【0022】
そして、請求項1に係る発明の水泳用浮具では、水泳者が、上記のようなかたちで足下を水面方向に向けて引き上げた後も、上記(段落[0021]のこと)の第2の浮具から生じる浮力の影響を受けた支持部が水泳者の胴部及び股部を腹側から支えることで、引き続き、水泳者にこの姿勢を維持させる(つまり、胴部及び股部が沈むことで、足下が水面に対して垂直方向に引き下げられることを防止する)ことができることから、水泳者は、この水泳用浮具を用いることで、無理なく(水への恐怖心を払拭させ)自然なかたちで、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることができる。
【0023】
以上より、請求項1に係る発明では、水中における水泳者の姿勢を、水泳基本姿勢に近い姿勢に保つことができることから、水泳者は、これに係る水泳用浮具を用いることで、安心して、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることができる。
【0024】
請求項2に係る発明の水泳用浮具は、請求項1に係る発明に係る水泳用浮具において、該第2の浮具が、該第1の浮具の後端側に着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0025】
この請求項2に係る発明は、第2の浮具が、第1の浮具の後端側に着脱可能に設けられていることから、この発明では、請求項1に係る発明の効果に加えて、水泳者は、さらに、容易かつ安全に請求項2に係る発明の水泳用浮具を装着することができる。なお、この発明は、特に、この水泳用浮具を、水に浮かばせた状態で、乳幼児(「水泳者」のこと。以下同じ。)に装着する場合に効果を発揮することから、以下では、この場合を例に挙げて、詳細について説明する。
【0026】
請求項2に係る発明の水泳用浮具を、水に浮かばせた状態で、乳幼児に装着する際には、保護者(乳幼児の保護者のこと。以下同じ。)は、第1の浮具が乳幼児の胴部を囲うよう、第1の浮具の中央にある空洞部に、乳幼児を上から(乳幼児を持ち上げて足先から)通し入れる必要があるが、このときに、第2の浮具を第1の浮具に取り付けたままにしておくと、当該空洞部は、第1及び第2の浮具に設けられる(取り付けられる)支持部により、その面積を狭められてしまうことから(このときに第1の浮具を上から見ると、当該空洞部は、乳幼児の足を通し入れる左右のスペースしか残らない)、保護者が、このような状態で、足を前後左右にバタバタと動かす傾向がある乳幼児を、この残されたスペース(当該空洞部)に通し入れることは困難である。つまり、このようなかたちで当該空洞部の面積が狭められてしまうと、保護者が、乳幼児をそこに通し入れようとしても、乳幼児の足先が支持部にあたる確率は高まることから(※)、このような状態で、乳幼児を第1の浮具の空洞部に通し入れることは容易ではないのである(※第2の浮具が第1の浮具に取り付けられたままだと、乳幼児の足先が支持部にあたり、これが踏み込まれても、このときの支持部が水中に垂れ下がることはないのであるから、乳幼児の足先が支持部にあたると、足が支持部に引っ掛かる結果(当該空洞部への通し入れの障害)となる)。
【0027】
しかし、このときに、第2の浮具を第1の浮具から取り外しておけば、乳幼児の足先が支持部にあたり、これが踏み込まれたとしても、支持部は、第1の浮具に取り付けられている箇所を支点として、水中に垂れ下がることになることから、この場合に乳幼児の足が支持部に引っ掛かることはない。したがって、保護者は、乳幼児を当該空洞部に通し入れる際に、第2の浮具を第1の浮具から取り外しておけば、当該空洞部の状態(面積の広さ)に関係なく、スムーズ(容易)に乳幼児を通し入れることができる。
【0028】
なお、この際、乳幼児に踏み込まれた支持部は、上述のとおり、水中に垂れ下がることになり、また、これに合わせて、支持部に取り付けられる第2の浮具も水中に沈み込むことになるが、もし、保護者が、これらを(特に第2の浮具を)水中にもぐり又は手を伸ばして取り出そうとすると、保護者は、その際に、行動の予測が難しい乳幼児から目を離す可能性があり、この場合には、その隙に、乳幼児が水の中に転覆する危険すらある。
【0029】
しかし、請求項2に係る発明の水泳用浮具では、これらは結局、第2の浮具から発生する浮力により、再び、水面方向に浮かび上がってくることになることから、保護者は、わざわざ、これらを(特に第2の浮具を)、水中にもぐり又は手を伸ばして取り出す必要はない。したがって、保護者は、乳幼児を当該空洞部に通し入れ第1の浮具を装着した後、再び浮かび上がった第2の浮具を手に取り、これを第1の浮具に取り付けることで、乳幼児から目を離すことなく(しっかりと見守りながら)、安全に請求項2に係る発明の水泳用浮具を乳幼児に装着させることができる。
【0030】
以上より、請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明の効果に加えて、水泳者(特に乳幼児)は、さらに、容易かつ安全に請求項2に係る発明の水泳用浮具を装着することができる(別の装着方法ではあるが、第2の浮具を第1の浮具から取り外しておくことで、保護者は、第1の浮具を、乳幼児の頭から被せることもできる)。
【発明の効果】
【0031】
上記のとおり、本発明によれば、水泳者が、安心して、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることができる水泳用浮具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施例1に係る水泳用浮具の平面図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る水泳用浮具の斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る水泳用浮具の第1の浮具のみを表す平面図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る水泳用浮具の右側面図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る水泳用浮具において、第2の浮具を第1の浮具から取り外した状態を表す右側面図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る水泳用浮具を水に浮かばせた状態を表す右側面図である。
【
図7】本発明の実施例1に係る水泳用浮具において、水泳者が水の中で第1の浮具を装着している状態を表す右側面図である。
【
図8】本発明の実施例1に係る水泳用浮具を、水泳者が水の中で装着している状態を表す右側面図である。
【
図9】本発明の実施例2に係る水泳用浮具の右側面図である。
【
図10】本発明の実施例3に係る水泳用浮具において、留め具(バックル)を取り外した状態を表す平面図である。
【
図11】本発明の実施例3に係る水泳用浮具において、留め具(バックル)を連結させた状態を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下では、乳幼児が本発明を使用する場合を例に挙げて(前提として)、その説明を行うものとする。
【実施例0034】
まず、
図1乃至
図5を用いて、本発明の実施例1に係る水泳用浮具100の形態について説明する。
【0035】
図1は本発明の実施例1に係る水泳用浮具の平面図であり、
図2は本発明の実施例1に係る水泳用浮具の斜視図である。また、
図3は本発明の実施例1に係る水泳用浮具の第1の浮具のみを表す平面図を、
図4は本発明の実施例1に係る水泳用浮具の右側面図を、
図5は本発明の実施例1に係る水泳用浮具において、第2の浮具を第1の浮具から取り外した状態を表す右側面図を、それぞれ表す。
【0036】
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、水泳用浮具100は、第1の浮具10、第2の浮具20及び支持部30を備えるものである。
【0037】
[第1の浮具10]
図1及び
図3に示すように、第1の浮具10は、全体が、平面視において略円形状にて形成されており、その中央には、水泳者の体を通し入れるための、同形状からなる空洞部11が設けられている。また、第1の浮具10の後端には、後述する第2の浮具20を第1の浮具10に取り付けるための留め具(雌バックルa1)が設けられている。
【0038】
なお、第1の浮具10は、空気注入式の浮具となっており、第1の浮具10の任意の箇所(位置)に設けられる空気栓(図示略)から空気を注入することで膨らませることができるようになっている(つまり、第1の浮具10は、このように膨らませることで、上記のような平面視略円形状となる)。
【0039】
平面視における、第1の浮具10の横方向の長さは概ね50cm、縦方向の長さは概ね53cmに形成され、同じく平面視における空洞部11の大きさは、横方向の長さが概ね20cm、縦方向の長さが概ね22cmに形成される(
図1及び
図3参照)。なお、第1の浮具10を膨らませた状態での厚み(
図4及び
図5における縦方向の長さ)は最大で概ね15cmに形成される。また、第1の浮具10の素材には、例えば、塩化ビニル樹脂等を用いることができる。
【0040】
[第2の浮具20]
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、第2の浮具20は、全体が略球形状にて形成されており、その一方の面側(
図1及び
図4で見た場合の、第1の浮具10の前端方向にある面側)には、第1の浮具10の後端に設けられる留め具(雌バックルa1)と連結するための留め具(雄バックルa2)が設けられている。これにより、第2の浮具20は、雌バックルa1と雄バックルa2を連結することで、第1の浮具10の後端側に取り付けることができるとともに、雌バックルa1と雄バックルa2の連結を解除することで、第1の浮具10から取り外すことができるようになっている(つまり、第2の浮具20は第1の浮具10の後端側に着脱可能に設けられていることになる)。
【0041】
なお、第2の浮具20は、空気注入式の浮具となっており、第2の浮具20の任意の箇所(位置)に設けられる空気栓(図示略)から空気を注入することで膨らませることができるようになっている(つまり、第2の浮具20は、このように膨らませることで、全体が上記のような略球形状となる)。また、第2の浮具20は、後述する支持部30の他端に取り付けられる。
【0042】
平面視における第2の浮具20の横方向の長さは概ね20cm(
図1参照)、右側面視における第2の浮具20の縦方向の長さは概ね20cm(
図4参照)、第2の浮具20を膨らませた状態での厚み(
図4における横方向の長さ)は最大で概ね18cmに形成される。また、第2の浮具20の素材には、例えば、塩化ビニル樹脂等を用いることができる。
【0043】
[支持部30]
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、支持部30は、シート形状からなり、全体が平面視において縦長の略長方形状となるよう形成される。
【0044】
支持部30は、一端が空洞部11の前端(
図1及び
図4で見た場合の、第1の浮具10の前端方向にある端)かつ第1の浮具10の底面側に取り付けられるとともに、他端が第2の浮具20の下側(
図4で見た場合の第2の浮具20下側)に取り付けられる(これらは取り外すことができない状態で、つまり一体として取り付けられる。このように、支持部30は、第1及び第2の浮具10、20に設けられる)。これにより、支持部30は、第2の浮具20が雌バックルa1と雄バックルa2を連結することで第1の浮具10の後端側に取り付けられた場合には、
図4に示すように、この第2の浮具20の動きに合わせて第1の浮具10に向けて(
図4で見た場合の上側に)持ち上げられるのに対し、第2の浮具20が雌バックルa1と雄バックルa2の連結を解除することで第1の浮具10から取り外された場合には、
図5に示すように、この第2の浮具20の動きに合わせて第1の浮具10から離れるよう(
図5で見た場合の下側に)垂れ下がる格好となる(実際に、支持部30が、自然なかたちで、このように垂れ下がるのは空中での場合であり、水中における支持部30の動きは、段落[0027]~段落[0029]で説明したとおりである)。
【0045】
平面視における、支持部30の横方向(短手方向)の長さは概ね10cm、縦方向(長手方向)の長さは概ね40cmに形成され(
図1参照)、厚み(
図4における縦方向の長さ)は概ね1cmに形成される。また、支持部30の素材には、例えば、塩化ビニル樹脂等を用いることができる。
【0046】
次に、
図6乃至
図8を用いて、本発明の実施例1に係る水泳用浮具100の使用方法について説明する。
【0047】
図6は本発明の実施例1に係る水泳用浮具を水に浮かばせた状態を表す右側面図であり、
図7は本発明の実施例1に係る水泳用浮具において、水泳者が水の中で第1の浮具を装着している状態を表す右側面図である。また、
図8は本発明の実施例1に係る水泳用浮具を、水泳者が水の中で装着している状態を表す右側面図である。
【0048】
図6に示すように、乳幼児(上述のとおり「水泳者」のこと。)の保護者は、まず、水泳用浮具100を水面に浮かべるようにする。このとき、水泳用浮具100には、まだ乳幼児の体重が加えられていないことから、第1の浮具10及び第2の浮具20は、水の中に沈み込むことなく、全体が水面に浮かんだままの状態である。
【0049】
次に、保護者は、第1の浮具10が乳幼児の胴部を囲うよう、第1の浮具10の中央にある空洞部11に、乳幼児1を上から(乳幼児1を持ち上げて足先から)通し入れる(
図7)。このとき、保護者は、スムーズ(容易)に乳幼児1を空洞部11に通し入れるためにも、事前に、雌バックルa1と雄バックルa2の連結を解除して第2の浮具20を第1の浮具10から取り外しておくとよい(この理由については、段落[0024]~段落[0027]を参照)。
【0050】
なお、乳幼児1を空洞部11に通し入れると、第1の浮具10は、乳幼児1の体重が加えられる分、その一部が水の中(
図7のG1方向)に沈み込み、これに応じた浮力(
図7のF1方向への力)を発生させることから、乳幼児1は、その浮力によって、足下が水面に対して垂直方向に引き下げられた格好で水に浮かんだ状態となる(
図7)。
【0051】
図7に示すとおり、乳幼児1のこのような水中での姿勢は、未だ水泳基本姿勢とは程遠い直立した姿勢(水泳基本姿勢に近い姿勢とはいえない状態)であることから、次に保護者は、乳幼児1の水中での姿勢を、水泳基本姿勢に近い姿勢にさせるべく、この状態から、支持部30を乳幼児1の股の下(足の間)に通し入れ、そのまま第2の浮具20を第1の浮具10に取り付ける(雌バックルa1と雄バックルa2を連結させる)ようにする(
図7及び
図8)。なおこのとき、保護者は、段落[0028]~段落[0029]に記載のように、再び浮かび上がった第2の浮具20を手に取ることで、この操作を安全に行うことができる。
【0052】
図8に示すように、このような態様で第2の浮具20を第1の浮具10に取り付けると、支持部30は、第2の浮具20の動きに合わせて第1の浮具10に向けて(
図4で見た場合の上側に)持ち上げられる格好となり、乳幼児1の胴部及び股部は、この支持部30の動きによって、同じく第1の浮具10に向けて、持ち上げられる格好となることから(つまり、乳幼児1の胴部及び股部は腹側から支持部30により持ち上げられる)、このときの水中における乳幼児の姿勢は、支持部30が乳幼児1の胴部及び股部を腹側から持ち上げる(支える)ことで、足下が、水面に対して垂直方向に引き下げられた状態から水面方向に向けて引き上げられた状態に変更されることになる。
【0053】
また、このとき、支持部30は、乳幼児1の胴部及び股部を腹側から支えるため、これにより加わる乳幼児1の体重分の重みによって、その分、水中(
図8のG2方向)に押し下げられる(沈む)ことになるが、支持部30の他端は、第1の浮具10の後端側(つまり、乳幼児1の足下側)に取り付けられる第2の浮具20に取り付けられていることから、このときの第2の浮具20からは、これとは反対に、支持部30を水面方向に持ち上げようとする浮力(支持部30が水中に沈むことを防ぐ浮力のこと。
図8のF2方向への力)が発生することになる。つまり、支持部30の他端が第2の浮具20に取り付けられることで、第2の浮具20は、支持部30が水中に押し下げられる動きに合わせて(支持部が押し下げられる程度に応じて)、水中(
図8のG2方向)に押し下げられる(下方に引かれる)格好となることから、第2の浮具20からは、これによって、この水中に押し下げられた(沈み込む)分に応じた浮力(
図8のF2方向への力)が発生することになるのである。したがって、このときの第2の浮具20は、第1の浮具10の後端側である乳幼児1の足下側に位置していることから、結果として、乳幼児1の足下には、この第2の浮具20から発生する浮力が与えられることになるのである。
【0054】
よって、水泳用浮具100は、このような使用により、支持部30が乳幼児1の胴部及び股部を腹側から支えることで、水中における乳幼児1の姿勢を、足下が水面方向に向けて引き上げられた状態にするとともに、第2の浮具20が、支持部30が押し下げられる程度に応じて乳幼児1の足下に浮力を与えることになるから(これにより、自然と乳幼児1の足下が水面方向に向けて引き上げられる)、乳幼児1は、水泳用浮具100を使用することで、無理なく(水への恐怖心を払拭させ)自然なかたちで、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることが可能になる。
【0055】
また、水泳用浮具100では、乳幼児1が、このようなかたちで水泳基本姿勢に近い姿勢をとった後も、上記(段落[0053]のこと)の第2の浮具から生じる浮力の影響を受けた支持部30が、乳幼児1の胴部及び股部を腹側から支えることで、引き続き、乳幼児1にこの姿勢を維持させる(つまり、胴部及び股部が沈むことで、足下が水面に対して垂直方向に引き下げられることを防止する)ことができることから、乳幼児1は、この水泳用浮具100を用いることで、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢を無理なく維持することができる。
【0056】
このように、本実施例1は、水泳者の胴部及び股部を腹側から支える支持部30の一端が、水泳者の胴部を囲う第1の浮具10に取り付けられるとともに、その他端が、第1の浮具10の後端側に設けられる第2の浮具20に取り付けられるものであって、第2の浮具20が、支持部30が押し下げられる程度に応じて下方に引かれることで、支持部30が水中に沈むことを防ぐ浮力を生じさせるものとなっていることから、本実施例1では、水中における水泳者の姿勢を、水泳基本姿勢に近い姿勢に保つことができる。よって、水泳者は、本実施例1を用いることで、安心して、水中において、水泳基本姿勢に近い姿勢をとることができる(水泳用浮具100に第2の浮具20が存在せず、支持部30の他端が第1の浮具10の後端側に直接取り付けられている構成を仮定すると、この構成では、支持部30に水泳者の重みが加わると、支持部30は、第2の浮具20が存在しないことで、水中に押し下げられたままとなることから、第1の浮具10は、これに引きずられる格好で、後端側が水中に引き込まれるとともに、前端側が、この後端側の動きに従って、水面から持ち上がる格好となる。したがって、このような構成では、水泳者の足下は、さらに水面に対して垂直方向に引き下げられる結果となり、その足下を水面方向に向けて引き上げることはできないことから、このような仮定を前提に考えると、第2の浮具20を上記のように構成する本実施例1により、極めて優れた効果が発揮されることは一目瞭然である)。
【0057】
また、本実施例1では、段落[0024]~段落[0030]に記載のとおり、第2の浮具20が、第1の浮具10の後端側に着脱可能に設けられていることから、水泳者は、さらに、容易かつ安全に本実施例1に係る水泳用浮具100を装着することができる。
【0058】
[本実施例1に係る水泳用浮具100の変形例]
なお、本実施例1では、水泳用浮具100を乳幼児用のものとして説明したが、小学生(12歳程度の者)や大人等のあらゆる者が水泳用浮具100を使用できることはいうまでもない。なお、乳幼児以外の者が水泳用浮具100を使用する場合には、第1の浮具10、第2の浮具20及び支持部30を、水泳用浮具100を使用する者の体格に合わせた寸法で形成するようにするとよい(例えば、小学生用のものであれば、本実施例1で示したこれらの寸法から概ね1.3倍にして形成する等)。
【0059】
また、本実施例1では、空洞部11が平面視において略円形状からなるものとしているが、空洞部11に水泳者の体を通し入れる(第1の浮具10が乳幼児の胴部を囲う)ことができるのであれば、空洞部11の形状を、例えば、楕円形状や四角形状等の他の形状にしても構わない。
【0060】
さらに、本実施例1では、雌バックルa1と雄バックルa2を連結・解除することで、第1の浮具10と第2の浮具20の着脱を可能にしているが、これらの着脱が可能となるのであれば、例えば、プラスチック製等の水に浮く素材からなる他の留め具(フックタイプの留め具等)を使用して、これらの着脱を実現してもよい。なお、本実施例1において、雄バックルa2は、
図1及び
図4に示すように、第2の浮具20の一方の面側の中央付近に設けられているが、雄バックルa2等の留め具を、第2の浮具20の一方の面側の上側付近に設けることも可能である。
【0061】
加えて、本実施例1では、第1の浮具10を空気注入式の浮具としているが、第1の浮具10が水に浮かぶ性質のものであれば、これを、空気注入式ではなく、例えば、水に浮きやすい軽量な素材(発泡ポリエチレン等の発泡素材)からなる浮具として構成しても構わない。
【0062】
また、本実施例1では、第2の浮具20についても空気注入式の浮具としているが、これについても、第2の浮具20が水に浮かぶ性質のものであれば、これを、空気注入式ではなく、例えば、水に浮きやすい軽量な素材(発泡ポリエチレン等の発泡素材)からなる浮具として構成できることは勿論である。
【0063】
また、本実施例1では、第2の浮具20の形状を略球形状にて形成するものとしているが、第2の浮具20が水に浮かぶのであれば、第2の浮具20の形状を、例えば、楕円形状や四角形状等の他の形状にしても構わない。
【0064】
また、本実施例1では、第2の浮具20を第1の浮具10の後端側に着脱可能に設けるものとしているが、第2の浮具20を、第1の浮具10の後端側に取り外すことができない状態で(つまり、第1の浮具10と第2の浮具20を一体として)設けるようにしても構わない。このように構成したとしても、第2の浮具20が、支持部30が押し下げられる程度に応じて水中に押し下げられる(下方に引かれる)ことに変わりはないのであるから、本実施例1に係る水泳用浮具100を、このように変形したとしても、第2の浮具20は水泳者の足下に必要な浮力を与えることができる。
【0065】
また、本実施例1では、支持部30の、一端を空洞部11の前端かつ第1の浮具10の底面側に、他端を第2の浮具20の下側に、それぞれ取り外すことができない状態で(つまり、一体として)取り付ける(設ける)ものとしているが、支持部30が乳幼児1の胴部及び股部を腹側から支えるのであれば、例えば、バックル等の(雌バックルa1と雄バックルa2のような)留め具を用いて、支持部30を、第1の浮具10及び第2の浮具20に着脱可能に取り付ける(設ける)ようにしても構わない。このような構成では、例えば、支持部30が不要となった水泳者(水泳用浮具100を使用して、水泳基本姿勢に近い姿勢を安定して取ることができるようになった水泳者)は、上達の程度に応じて、わざわざ、それに見合った他の水泳用浮具を購入する必要はなく、支持部30を取り外し、第1の浮具10及び第2の浮具20のみで構成された水泳用浮具を使用して(つまり、1つの水泳用浮具で)水泳の練習ができることから、このような構成を採用することで、状況に応じた様々な練習が可能となる水泳用浮具を水泳者に提供することができる。また、この構成では、支持部30が破損した場合でも、これのみの交換が可能であることから、水泳者に対して、極めて経済的な水泳用浮具を提供することもできる。
【0066】
また、本実施例1では、支持部30の一端を、空洞部11の前端(
図1及び
図4で見た場合の、第1の浮具10の前端方向にある端)かつ第1の浮具10の底面側に取り付けるものとしているが、支持部30が水泳者の胴部及び股部を腹側から支えるのであれば、この取り付け位置は他の位置であっても構わない。具体的には、支持部30が水泳者の胴部及び股部を腹側から支えるものであって、支持部30の他端が、第1の浮具10の後端側に設けられる第2の浮具20の下側に取り付けられていることを踏まえると、支持部30の一端の第1の浮具10への取り付け位置は、水泳用浮具100を装着した場合における水泳者の体の前側とする必要があることから(
図7及び
図8参照)、支持部30の一端は、この範囲で、第1の浮具10への取り付けが可能となる。例えば、支持部30の一端を、第1の浮具10の底面かつ前端側に取り付けてもよいし、空洞部11の前端かつ第1の浮具10の上側付近(
図4で見た場合の、第1の浮具10の上側の面付近)に取り付けてもよい。
【0067】
また、本実施例1では、支持部30の素材について、塩化ビニル樹脂等を用いることができる旨、説明したが、支持部30が第1の浮具10及び第2の浮具20から生じる浮力を阻害しないのであれば、支持部30の素材には、例えば、水に浮きやすい軽量な素材(発泡ポリエチレン等の発泡素材)等の他の素材を用いることもできる。
【0068】
また、本実施例1では、水泳用浮具100の装着方法について、水泳用浮具100を水面に浮かべた状態から、第1の浮具10の中央にある空洞部11に、乳幼児1を上から通し入れる方法を説明したが、水泳用浮具100をプールサイド等の陸上で装着できることは勿論であるし、これを頭から被る等して装着できることは当然である。
この構成では、第2の浮具50が、もともと、第1の浮具40の後端側の斜め下という、より水中に沈み込みやすい箇所に位置することに加え、支持部60が、水泳者の体重分の重みによって水中に押し下げられた場合には、このような箇所に位置する第2の浮具50を外側(雄バックルb2が設けられていない面側)から強く水中に引き込もうとすることから、実施例2に係る水泳用浮具200では、第2の浮具50をより水中に押し下げることができる。よって、このように構成することで、水泳者の足下には、より強い浮力(第2の浮具50から生じる強い浮力)が与えられることになる。
なお、実施例1に係る水泳用浮具100と同様に、第1の浮具40と第2の浮具50を一体として設けてもよいし、支持部60の他端を第2の浮具50に着脱可能に取り付けるようにしても構わない。また、第2の浮具50を第1の浮具40の後端側の斜め下の位置に設ける構成又は支持部60の他端を第2の浮具50の雄バックルb2が設けられていない面側に取り付ける構成のいずれか一方の構成を、実施例1に係る水泳用浮具100に適用できることは勿論である。