(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072592
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20240521BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20240521BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240521BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H05K9/00 F
H05K9/00 E
G06F1/16 312E
G06F1/16 312L
H01Q1/24 Z
H01Q1/52
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183510
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 諒太
(72)【発明者】
【氏名】陸 謙逸
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 純
(72)【発明者】
【氏名】坂東 正明
【テーマコード(参考)】
5E321
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5E321AA03
5E321AA05
5E321AA11
5E321BB44
5E321GG05
5E321GH03
5J046AB01
5J046UA08
5J047AB01
5J047FD01
(57)【要約】
【課題】アンテナと電子部品との間をシールドすることができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、筐体と、前記筐体内に設けられた発熱体と、前記筐体内に設けられ、電波を受信可能なアンテナと、前記筐体内で前記アンテナと並ぶように配置された電子部品と、プレート状の金属部品を有し、前記筐体内で前記発熱体を冷却する冷却モジュールと、を備え、前記金属部品は、前記アンテナと前記電子部品との間に介在するシールド壁を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体内に設けられた発熱体と、
前記筐体内に設けられ、電波を受信可能なアンテナと、
前記筐体内で前記アンテナと並ぶように配置された電子部品と、
プレート状の金属部品を有し、前記筐体内で前記発熱体を冷却する冷却モジュールと、
を備え、
前記金属部品は、前記アンテナと前記電子部品との間に介在するシールド壁を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記冷却モジュールは、
前記発熱体に当接する受熱部材と、
前記受熱部材を前記発熱体に押圧する弾性部材と、
を有し、
前記シールド壁は、前記受熱部材又は前記弾性部材に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記金属部品は、前記筐体の平面方向に沿って突出する突出プレート部を有し、
前記シールド壁は、前記突出プレート部の端部に屈曲形成され、前記アンテナと前記電子部品との間で起立するように配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
さらに、前記筐体の内面から突出する壁部を備え、
前記壁部は、前記アンテナと前記電子部品との間で前記シールド壁と並んで起立している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項3に記載の電子機器であって、
さらに、前記シールド壁と前記筐体の内面との間に挟まれた導電性クッション材を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項4に記載の電子機器であって、
さらに、前記シールド壁と前記筐体の内面との間に挟まれた第1導電性クッション材と、
前記壁部と前記シールド壁との間に挟まれた第2導電性クッション材を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記筐体の平面方向に沿う方向を基準とした場合に、前記発熱体と前記電子部品と前記アンテナとがこの順に配置されており、
前記突出プレート部は、前記金属部品の一側部から突出するように設けられ、前記電子部品の頂面上を通過している
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCやタブレット型PCのような電子機器には、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ(RAM:Random Access Memory)等を実装した基板の他、無線通信用のアンテナ等が搭載されている。この種の電子機器は、電子部品(例えばメモリ)からの電磁波ノイズがアンテナの受信感度に影響を及ぼすことを防止するため、電子部品をシールドする必要がある。従来、このようなシールドとして、電子部品の周囲を金属製のシールド箱で囲んだ構成がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子機器は、筐体内での各部品のレイアウトの都合上、例えばアンテナとメモリとを近くに配置しなければならない場合もある。ところが、この種の電子機器は、筐体の小型化に対する要望が大きい。このため、例えばメモリの周囲を囲むシールド箱の設置スペースの確保やこれを基板に固定するためのクリップの設置スペース等を確保することができない場合がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、アンテナと電子部品との間をシールドすることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、筐体と、前記筐体内に設けられた発熱体と、前記筐体内に設けられ、電波を受信可能なアンテナと、前記筐体内で前記アンテナと並ぶように配置された電子部品と、プレート状の金属部品を有し、前記筐体内で前記発熱体を冷却する冷却モジュールと、を備え、前記金属部品は、前記アンテナと前記電子部品との間に介在するシールド壁を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、アンテナと電子部品との間をシールドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、筐体の内部構造を模式的に示した底面図である。
【
図4】
図4は、メモリ及びその周辺部での断面構造を示す筐体の模式的な側面断面図である。
【
図5】
図5は、第2構成例に係るシールド構造を備えた構成におけるメモリ及びその周辺部での断面構造を示す筐体の模式的な側面断面図である。
【
図6】
図6は、第3構成例に係るシールド構造を備えた構成におけるメモリ及びその周辺部での断面構造を示す筐体の模式的な側面断面図である。
【
図7】
図7は、第4構成例に係るシールド構造を備えた構成におけるメモリ及びその周辺部での断面構造を示す筐体の模式的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、電子機器10は、筐体11とディスプレイ筐体12とをヒンジ14で相対的に回動可能に連結したノート型PCである。本実施形態の電子機器10は、ヒンジ14によって筐体11,12間を360度の角度範囲で回転可能に構成されている。電子機器10は、筐体11,12間の角度を0度とした場合に筐体11,12間が閉じられた収納形態となり、120度前後とした場合にノート型PCの形態となり、360度とした場合にタブレット型PCの形態となる。本発明に係る電子機器は、筐体11,12間を0度から180度程度の間で回動可能なクラムシェル型のノート型PCでもよいし、デスクトップ型PC、タブレット型PC、スマートフォン、又はゲーム機等でもよい。
【0011】
ディスプレイ筐体12は、筐体11よりも薄い扁平な箱体である。ディスプレイ筐体12には、ディスプレイ16が搭載されている。ディスプレイ16は、例えば有機ELや液晶で構成される。
【0012】
以下、筐体11及びこれに搭載された各構成要素について、
図1に示すように筐体11,12間を所定角度に開いてディスプレイ16を視認する姿勢を基準とし、手前側を前、奥側を後、幅方向を左右、厚み方向を上下、と呼んで説明する。
【0013】
筐体11は、扁平な箱体である。筐体11は、上面11a及び四周の側面11bを形成する第1カバー部材18と、底面11cを形成する第2カバー部材19とで箱状に構成されている。上側の第1カバー部材18は、下面が開口した略バスタブ形状を有する。下側の第2カバー部材19は、略平板形状を有し、第1カバー部材18の下面開口を閉じる蓋体となる(
図4参照)。筐体11は、第2カバー部材19が略バスタブ形状に形成され、第1カバー部材18が第2カバー部材19の上面開口を閉じる蓋体として構成されてもよい。
【0014】
筐体11の上面11aには、キーボード20及びタッチパッド21が設けられている。ヒンジ14は、筐体11の後縁部と、これと隣接するディスプレイ筐体12の一縁部との間を相対的に回動可能に連結している。
【0015】
図2は、筐体11の内部構造を模式的に示した底面図であり、第2カバー部材19を取り外して筐体11内を下から見た図であるある。
【0016】
図2に示すように、筐体11の内部には、冷却モジュール22と、マザーボード24と、アンテナ26a,26bと、バッテリ装置28と、スピーカー装置30a,30bとが設けられている。筐体11の内部には、さらに各種の電子部品や機械部品等が設けられる。
【0017】
マザーボード24は、電子機器10のメインボードとなるプリント基板であり、筐体11の後方で左右に延在している。マザーボード24は、略中央にCPU32が実装されている。マザーボード24は、さらにGPU(Graphics Processing Unit)を実装していてもよい。マザーボード24は、さらにメモリ(RAM)33、通信モジュール34、SSD(Solid State Drive)35、コネクタ36,37の他、パワーコンポーネント等の各種電子部品を実装している。マザーボード24は、下面がCPU32等の実装面となり、下面が第1カバー部材18に対する取付面となる。マザーボード24は、外周縁部に沿って設けられた複数のボス部24aを有し、各ボス部24aを介して第1カバー部材18の内面18aにねじ止めされる。
【0018】
メモリ33は、CPU32と接続され、CPU32が各種の処理を実行する際等に使用されるメインメモリ(主記憶装置)である。メモリ33は、例えば3個の半導体チップが左右に並んで配置される。通信モジュール34は、例えばWWAN(Wireless WAN)に対応したモジュールである。WWAN用のアンテナ38a,38bは、筐体11の左右の前角部にそれぞれ設けられている。SSD35は、データを保存しておくための記憶装置である。コネクタ36は、ディスプレイ16に接続されたフレキシブル基板が接続される。コネクタ37は、ディスプレイ16が搭載したタッチパネルに接続されたフレキシブル基板が接続される。
【0019】
アンテナ26a,26b(以下、まとめて「アンテナ26」と呼ぶこともある)は、筐体11の後端部の中央で左右に並んで設けられている。アンテナ26は、例えばWLAN(Wireless LAN)の電波を受信可能且つ送信可能である。WLAN用の通信モジュールは、マザーボード24に適宜実装されてもよいし、通信モジュール34と一体に設けられてもよい。
【0020】
バッテリ装置28は、電子機器10の電源となる充電池である。バッテリ装置28は、冷却モジュール22及びマザーボード24の前方に配置され、筐体11の前端部に沿って左右に延在している。
【0021】
次に、冷却モジュール22の構成例を説明する。
【0022】
CPU32は、筐体11に搭載された電子部品の中で最大級の発熱体である。冷却モジュール22は、CPU32が発生する熱を吸熱及び拡散すると共に筐体11外に排出し、これによりCPU32を冷却する。冷却モジュール22は、例えばマザーボード24の実装面の一部を覆うように積層される。GPUを搭載した構成の場合、冷却モジュール22はGPUの冷却用に用いられてもよい。
【0023】
図2に示すように、冷却モジュール22は、2本のヒートパイプ40,41と、一対のファン42,43と、一対のヒートシンク44,45と、受熱部材46と、弾性部材48,49とを備える。
【0024】
ヒートパイプ40,41は、パイプ型の熱輸送デバイスである。ヒートパイプ40,41は、一部が前後に並んで当接又は近接した状態で並列されている。一方のヒートパイプ40は、第1端部が受熱部材46を介してCPU32と接続され、第2端部が一方のヒートシンク44と接続されている。他方のヒートパイプ41は、第1端部が受熱部材46を介してCPU32と接続され、第2端部が他方のヒートシンク45と接続されている。ヒートパイプ40,41は、金属パイプを薄く扁平に潰して断面楕円形状に形成し、金属パイプ内に形成された密閉空間に作動流体を封入した構成である。作動流体は、密閉空間内で相変化を生じながら流通し、熱を高効率に輸送する。
【0025】
左右のファン42,43は、大きさや風量等は多少異なるが、実質的に左右対称構造である。同様に、左右のヒートシンク44,45も実質的に左右対称構造である。ファン42,43及びヒートシンク44,45は、左右一対ではなく、一方のみで構成されてもよい。
【0026】
ファン42(43)は、後向きに開口した排気口42a(43a)がヒートシンク44(45)に面して配置されている。ファン42,43は、ファン筐体の内部に収容されたインペラをモータによって回転させる遠心ファンである。ファン42,43は、ファン筐体の上下両面又は一面に吸気口が開口している。ヒートシンク44,45は、前後方向に沿って延在すると共に上下方向に起立した複数のフィンを左右方向に等間隔に並べた構造である。隣接するフィンの間には、ファン42,43から送られた空気が通過する隙間が形成されている。
【0027】
図3Aは、
図2に示すメモリ33及びその周辺部を拡大した図である。
図3Bは、
図3Aに示す突出プレート部49bを2点鎖線で示した図である。
図4は、メモリ33及びその周辺部での断面構造を示す筐体11の模式的な側面断面図である。
【0028】
図2~
図4に示すように、受熱部材46は、CPU32と密着し、CPU32が発生する熱を受け取る金属部品である。受熱部材46は、銅又はアルミニウムのような高い熱伝導率を有する金属のプレート状部材である。本実施形態の受熱部材46は、矩形状の銅プレートである。受熱部材46は、CPU32を覆う位置でマザーボード24の実装面に積層するように配置され、CPU32の頂面に当接する。ヒートパイプ40,41は、互いに前後に並列した部分が受熱部材46の下面に接続されている。
【0029】
弾性部材48,49は、受熱部材46をCPU32に押圧し、相互の密着性を高めるための金属部品である。弾性部材48,49は、例えばSUS等の金属で形成されたプレート状のばね材(板ばね)である。
【0030】
一方の弾性部材48は、左右に横長な受熱部材46の一方の長辺(前縁部)を押圧するものである。
図2に示すように、弾性部材48は、押圧部48aと、熱伝導プレート部48bとを有する。押圧部48aは、弓なりに屈曲したプレートである。押圧部48aは、両端部がマザーボード24の実装面にねじ止めされることで、受熱部材46をCPU32に対して付勢する。熱伝導プレート部48bは、押圧部48aの一側部から前方に向かって突出したプレートである。熱伝導プレート部48bは、例えばマザーボード24に実装されたパワーコンポーネント等の発熱体を覆い、その熱を吸熱及び拡散する。熱伝導プレート部48bは、省略されてもよい。
【0031】
他方の弾性部材49は、受熱部材46の他方の長辺(後縁部)を押圧するものである。
図2~
図4に示すように、弾性部材49は、押圧部49aと、突出プレート部49bと、シールド壁49cとを有する。押圧部49aは、弓なりに屈曲したプレートであり、両端部がマザーボード24の実装面にねじ止めされることで、受熱部材46をCPU32に対して付勢する。突出プレート部49bは、押圧部49aの一側部から後方に向かって突出したプレートである。突出プレート部49bは、CPU32の後側で左右に並んだ3個のメモリ33の頂面(下面)上を通過して後方に突出している。シールド壁49cは、突出プレート部49bの端部(後端部)を上方に略直角に屈曲して形成したものであり、上下に起立した姿勢で設置される(
図4参照)。
【0032】
ところで、本実施形態の電子機器10は、
図2~
図4に示すように、筐体11内の左右中央付近の後部で、CPU32とメモリ33とアンテナ26とが前後に並んでいる。すなわち、当該電子機器10は、筐体11を可能な限り小型化しつつ、バッテリ装置30等の容量を確保する等のレイアウトの都合上、メモリ33とアンテナ26とが近接して配置されている。このため、アンテナ26は、メモリ33が発生する電磁波ノイズの影響を受けて受信感度が低下することが懸念される。ところが、当該電子機器10は、筐体11内での部品スペースの都合上、メモリ33とアンテナ26との間に十分な隙間を形成することが難しく、メモリ33を覆う従来のシールド箱を設置するスペースを確保することができない。特に本実施形態では、メモリ33とアンテナ26との間にボス部24aもあるため、シールド箱の設置スペースの確保一層難しくなっている。
【0033】
そこで、本実施形態の電子機器10は、冷却モジュール22を構成する金属部品にシールド機能を持たせ、狭いスペースでのシールド構造の構築を可能としている。
【0034】
先ず、第1構成例に係るシールド構造の構成及び作用効果を説明する。
【0035】
図3A~
図4に示すように、第1構成例に係るシールド構造は、シールド壁49cを有する。シールド壁49cは、アンテナ26とメモリ33の間に介在し、左右に沿って延在している。シールド壁49cは、少なくとも全てのメモリ33の後縁部を覆い隠すことができる左右方向長さを有することが好ましい。これにより電子機器10は、アンテナ26とメモリ33の間に金属製のシールド壁49cが設けられ、アンテナ26がメモリ33の電磁波ノイズの影響を受けることを抑制できる。
【0036】
第1構成例に係るシールド構造は、さらに、筐体11を構成する第1カバー部材18の内面18aから突出した壁部50を有することができる。第1カバー部材18は、例えばマグネシウム合金や炭素繊維強化樹脂等の導電性材料で形成されている。壁部50は、第1カバー部材18に一体的に成形され、左右に沿って延在する金属製の立壁である。壁部50は、アンテナ26とメモリ33の間でシールド壁49cの前面と対向して起立している。つまり壁部50は、シールド壁49cと互い違いに配置されて前後に並んでいる。壁部50の左右方向長さはシールド壁49cと略同一でよい。これにより電子機器10は、アンテナ26とメモリ33の間に2枚の金属プレートであるシールド壁49c及び壁部50が配置され、メモリ33のシールド性能が一層向上する。特に壁部50とシールド壁49cとは、上下に互い違いに配置されているため、シールド性能が一層向上する。
【0037】
第1構成例に係るシールド構造は、導電性クッション材52,53を備えることが好ましい。導電性クッション材52,53は、導電性を有するスポンジやガスケット等のクッション材である。導電性クッション材52は、突出プレート部49bの下面と第2カバー部材19の内面との間に挟まれ、突出プレート部49b(シールド壁49c)と金属製の第2カバー部材19とを電気的に接続する。導電性クッション材53は、壁部50の先端と突出プレート部49bの上面との間に挟まれ、第1カバー部材18と突出プレート部49b(シールド壁49c)とを電気的に接続する。
【0038】
導電性クッション材52,53は、いずれか一方のみを設置してもよいが、両方を備えることが好ましい。そうすると、電子機器10は、アンテナ26とメモリ33の間に、第1カバー部材18、壁部50、突出プレート部49b(シールド壁49c)、及び第2カバー部材19が電気的に接続された高性能のシールド構造が構築される。
図4中の2点鎖線で示すように、シールド壁49cの先端と第1カバー部材18の内面18aとの間にも導電性クッション材52,53と同様な導電性クッション材54を設けてもよい。
【0039】
ここで、電子機器10は、
図2に示すように筐体11の平面方向に沿う方向(前後方向)を基準とした場合に、CPU32とメモリ33とアンテナ26とがこの順に並ぶように配置されている。そして、突出プレート部49bは、弾性部材49の一側部から突出してメモリ33の頂面上を通過している。これにより電子機器10は、
図4に示すように、メモリ33の頂面側が突出プレート部49bによってシールドされ、シールド性能が一層向上する。
【0040】
次に、第2構成例に係るシールド構造の構成及び作用効果を説明する。
図5は、第2構成例に係るシールド構造を備えた構成におけるメモリ33及びその周辺部での断面構造を示す筐体11の模式的な側面断面図である。
【0041】
図5に示すシールド構造は、
図4に示す第1構成例のシールド構造と比べて、シールド壁49cと壁部50の配置が前後逆である点が相違する。すなわち、
図5に示す第2構成例において、壁部50は、シールド壁49cの後面側で起立している。導電性クッション材53は、シールド壁49cの後面と壁部50の前面との間に設置されるとよい。従って、このようなシールド構造においても、アンテナ26とメモリ33の間に金属製のシールド壁49c及び壁部50が設けられ、アンテナ26がメモリ33の電磁波ノイズの影響を受けることを抑制できる。
【0042】
次に、第3構成例に係るシールド構造の構成及び作用効果を説明する。
図6は、第3構成例に係るシールド構造を備えた構成におけるメモリ33及びその周辺部での断面構造を示す筐体11の模式的な側面断面図である。
【0043】
図6に示すシールド構造は、
図4及び
図5に示す第1及び第2構成例のシールド構造と比べて、壁部50を持たない点が相違する。すなわち、
図6に示す第3構成例は、シールド壁49cのみがアンテナ26とメモリ33の間に介在した構成である。従って、このようなシールド構造においても、アンテナ26とメモリ33の間に金属製のシールド壁49cが設けられ、アンテナ26がメモリ33の電磁波ノイズの影響を受けることを抑制できる。なお、当該シールド構造は、壁部50を持たないため、
図4及び
図5に示す構成例よりもシールド性能は劣るが、壁部50の分だけ前後方向の寸法を短くすることができる。このため、当該シールド構造は、アンテナ26とメモリ33との間の隙間がさらに狭い構成にも対応できる。
【0044】
図6に示すように、この場合は、シールド壁49cの先端と第1カバー部材18の内面18aとの間に導電性クッション材55を挟むことが好ましい。導電性クッション材55は、上記した導電性クッション材52,53と同様な部材である。これにより電子機器10は、アンテナ26とメモリ33の間に、第1カバー部材18、突出プレート部49b(シールド壁49c)、及び第2カバー部材19が電気的に接続された高性能のシールド構造が構築される。
【0045】
次に、第4構成例に係るシールド構造の構成及び作用効果を説明する。
図7は、第4構成例に係るシールド構造を備えた構成におけるメモリ33及びその周辺部での断面構造を示す筐体11の模式的な側面断面図である。
【0046】
上記した第1、第2及び第3構成例のシールド構造は、弾性部材49に設けた突出プレート部49b及びシールド壁49cでアンテナ26とメモリ33の間をシールドしていた。これに対して、
図7に示すシールド構造は、受熱部材46に設けた突出プレート部46a及びシールド壁46bでアンテナ26とメモリ33の間をシールドする構成である。すなわち、メモリ33をシールドする突出プレート部及びシールド壁は、弾性部材49以外に設けてもよく、
図7では受熱部材46に設けた構成を例示している。従って、このようなシールド構造においても、アンテナ26とメモリ33の間に金属製のシールド壁46b及び壁部50が設けられ、さらに突出プレート部46aでメモリ33の頂面が覆われるため、アンテナ26がメモリ33の電磁波ノイズの影響を受けることを抑制できる。
図7に示す構成例においても、
図6に示す構成例と同様に壁部50を省略した構成としてもよい。
【0047】
但し、弾性部材49は、通常、素材となる大判のプレート材から切り出して成形している。このため、突出プレート部及びシールド壁は、受熱部材46ではなく弾性部材49に形成する構成とすると、製造工程を追加せずに容易に成形が可能となるという利点がある。
【0048】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0049】
上記では、アンテナ26とメモリ33との間の電磁波シールド構造を例示したが、シールド対象となる電子部品はメモリ以外でもよく、例えばWLAN通信モジュール等でもよい。また上記では、シールド壁を形成する金属部品として受熱部材46又は弾性部材49を用いる構成を例示したが、冷却モジュール22を構成する他の金属部品を用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 電子機器
11 筐体
18 第1カバー部材
19 第2カバー部材
22 冷却モジュール
24 マザーボード
26a,26b,38a,38b アンテナ
32 CPU
33 メモリ
46 受熱部材
46a,49b 突出プレート部
46b,49c シールド壁
48,49 弾性部材
50 壁部
52~55 導電性クッション材
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体内に設けられた発熱体と、
前記筐体内に設けられ、電波を受信可能なアンテナと、
前記筐体内で前記アンテナと並ぶように配置された電子部品と、
プレート状の金属部品を有し、前記筐体内で前記発熱体を冷却する冷却モジュールと、
を備え、
前記金属部品は、前記アンテナと前記電子部品との間に介在するシールド壁を有し、
前記冷却モジュールは、
前記発熱体に当接する受熱部材と、
前記受熱部材を前記発熱体に押圧する弾性部材と、
を有し、
前記シールド壁は、前記受熱部材又は前記弾性部材に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記金属部品は、前記筐体の平面方向に沿って突出する突出プレート部を有し、
前記シールド壁は、前記突出プレート部の端部に屈曲形成され、前記アンテナと前記電子部品との間で起立するように配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体内に設けられた発熱体と、
前記筐体内に設けられ、電波を受信可能なアンテナと、
前記筐体内で前記アンテナと並ぶように配置された電子部品と、
プレート状の金属部品を有し、前記筐体内で前記発熱体を冷却する冷却モジュールと、
を備え、
前記金属部品は、前記アンテナと前記電子部品との間に介在するシールド壁を有し、
前記金属部品は、前記筐体の平面方向に沿って突出する突出プレート部を有し、
前記シールド壁は、前記突出プレート部の端部に屈曲形成され、前記アンテナと前記電子部品との間で起立するように配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電子機器であって、
さらに、前記筐体の内面から突出する壁部を備え、
前記壁部は、前記アンテナと前記電子部品との間で前記シールド壁と並んで起立している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の電子機器であって、
さらに、前記シールド壁と前記筐体の内面との間に挟まれた導電性クッション材を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項4に記載の電子機器であって、
さらに、前記シールド壁と前記筐体の内面との間に挟まれた第1導電性クッション材と、
前記壁部と前記シールド壁との間に挟まれた第2導電性クッション材を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の電子機器であって、
前記筐体の平面方向に沿う方向を基準とした場合に、前記発熱体と前記電子部品と前記アンテナとがこの順に配置されており、
前記突出プレート部は、前記金属部品の一側部から突出するように設けられ、前記電子部品の頂面上を通過している
ことを特徴とする電子機器。