IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭化成株式会社の特許一覧

特開2024-72593品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム
<>
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図1
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図2
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図3
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図4
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図5
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図6
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図7
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図8
  • 特開-品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072593
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/195 20060101AFI20240521BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240521BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240521BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240521BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240521BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240521BHJP
   G16Y 40/35 20200101ALI20240521BHJP
【FI】
B41J2/195
B05C11/00
B05C11/10
B05C5/00 101
B41J2/01 401
B41J2/175 101
G16Y40/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183512
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】湯本 徹
(72)【発明者】
【氏名】譽田 祥己
(72)【発明者】
【氏名】古川 雅志
(72)【発明者】
【氏名】藤井 重克
【テーマコード(参考)】
2C056
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA20
2C056EA26
2C056EB20
2C056EB29
2C056EB30
2C056EC26
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA02
4F042AA06
4F042BA08
4F042BA09
4F042BA12
4F042BA17
4F042BA19
4F042CA01
4F042CB03
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】回路基板の配線形成装置によって用いられるインクの特性を適切に管理することを可能とする品質管理システム等を提供する。
【解決手段】品質管理システムは、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と、品質管理サーバと、を有するインクの品質管理システムであって、検出装置は、貯留されたインクの特性を検出するセンサと、検出されたインクの特性に関する情報を品質管理サーバに送信する送信部と、を有し、品質管理サーバは、インクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定する判定部と、特性条件が満たされる場合に、通知を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と、品質管理サーバと、を有するインクの品質管理システムであって、
前記検出装置は、
前記貯留されたインクの特性を検出するセンサと、
前記検出されたインクの特性に関する情報を前記品質管理サーバに送信する送信部と、を有し、
前記品質管理サーバは、
前記インクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記特性条件が満たされる場合に、通知を出力する出力部と、を有する、
ことを特徴とする品質管理システム。
【請求項2】
前記センサは、前記インクの特性として、前記インクの吸光度を検出する、
請求項1に記載の品質管理システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記インクの吸光度をxとしたときに、次の数式
y=-10.2x+248
で規定されるyが80以下の場合に、前記特性条件が満たされると判定する、
請求項2に記載の品質管理システム。
【請求項4】
前記センサは、前記インクの特性として、前記インクの温度、pH、密度、濃度または前記ナノ粒子の平均粒子径を検出する、
請求項1に記載の品質管理システム。
【請求項5】
前記出力部は、前記通知として、前記配線形成装置に異常があることを示す情報を出力する、
請求項1に記載の品質管理システム。
【請求項6】
前記センサは、前記貯留されたインクの量をさらに検出し、
前記送信部は、前記検出されたインクの量に関する情報を前記品質管理サーバにさらに送信し、
前記判定部は、前記インクの量に関する情報が量条件を満たすか否かをさらに判定し、
前記出力部は、前記量条件が満たされる場合に、第2の通知を出力する、
請求項1に記載の品質管理システム。
【請求項7】
前記品質管理サーバは、前記インクの量の初期値を記憶する記憶部をさらに有し、
前記判定部は、前記インクの量が前記初期値の20%以下である場合に、前記量条件が満たされていると判定する、
請求項6に記載の品質管理システム。
【請求項8】
前記出力部は、前記第2の通知として、前記インクまたは前記インクの構成成分の追加を促す情報を出力する、
請求項6に記載の品質管理システム。
【請求項9】
前記出力部は、前記第2の通知として、前記インクの発注を促す情報を出力する、
請求項6に記載の品質管理システム。
【請求項10】
前記ナノ粒子は、金属または金属含有化合物である、
請求項1に記載の品質管理システム。
【請求項11】
前記通知を取得し、記憶し、管理する通知管理サーバをさらに有する、
請求項1に記載の品質管理システム。
【請求項12】
平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と、品質管理サーバと、を有するインクの品質管理システムによって実行される品質管理方法であって、
前記貯留されたインクの特性を検出し、
前記検出されたインクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定し、
前記特性条件が満たされる場合に、通知を出力する、
ことを含むことを特徴とする品質管理方法。
【請求項13】
平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と通信する品質管理サーバであって、
前記検出装置によって検出された、前記貯留されたインクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記特性条件が満たされる場合に、通知を出力する出力部と、
を有することを特徴とする品質管理サーバ。
【請求項14】
平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と通信する品質管理サーバの制御プログラムであって、
前記検出装置によって検出された、前記貯留されたインクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定し、
前記特性条件が満たされる場合に、通知を出力する、
ことを前記品質管理サーバに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回路基板は、配線形成装置が基板上に導電性の配線を形成することにより生成される。例えば、特許文献1には、インクジェット法を用いて導電材料を微小な液滴として吐出してプリント配線板に導体パターンを印刷することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-168339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような配線の形成に用いられるインクは、印刷機のインクタンクで長期間にわたって保管されると特性が変化し、インクジェット印刷機による吐出に支障が生じるおそれがある。配線形成装置では、インクの特性を適切に管理することが求められている。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、配線形成装置によって用いられるインクの特性を適切に管理することを可能とする品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る品質管理システムは、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と、品質管理サーバと、を有するインクの品質管理システムであって、検出装置は、貯留されたインクの特性を検出するセンサと、検出されたインクの特性に関する情報を品質管理サーバに送信する送信部と、を有し、品質管理サーバは、インクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定する判定部と、特性条件が満たされる場合に、通知を出力する出力部と、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
また、センサは、インクの特性として、インクの吸光度を検出することが好ましい。
【0008】
また、判定部は、インクの吸光度をxとしたときに、次の数式
y=-10.2x+248
で規定されるyが80以下の場合に、特性条件が満たされると判定することが好ましい。
【0009】
また、センサは、インクの特性として、インクの温度、pH、密度、濃度またはナノ粒子の平均粒子径を検出することが好ましい。
【0010】
また、出力部は、通知として、配線形成装置に異常があることを示す情報を出力することが好ましい。
【0011】
また、センサは、貯留されたインクの量をさらに検出し、送信部は、検出されたインクの量に関する情報を品質管理サーバにさらに送信し、判定部は、インクの量に関する情報が量条件を満たすか否かをさらに判定し、出力部は、量条件が満たされる場合に、第2の通知を出力することが好ましい。
【0012】
また、品質管理サーバは、インクの量の初期値を記憶する記憶部をさらに有し、判定部は、インクの量が初期値の20%以下である場合に、量条件が満たされていると判定する、ことが好ましい。
【0013】
また、出力部は、第2の通知として、インクまたはインクの構成成分の追加を促す情報を出力することが好ましい。
【0014】
また、出力部は、第2の通知として、インクの発注を促す情報を出力することが好ましい。
【0015】
また、ナノ粒子は、金属または金属含有化合物であることが好ましい。
【0016】
また、品質管理システムは、通知を取得し、記憶し、管理する通知管理サーバをさらに有することが好ましい。
【0017】
本発明の実施形態に係る品質管理方法は、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と、品質管理サーバと、を有するインクの品質管理システムによって実行される品質管理方法であって、貯留されたインクの特性を検出し、検出されたインクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定し、特性条件が満たされる場合に、通知を出力する、ことを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の実施形態に係る品質管理サーバは、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と通信する品質管理サーバであって、検出装置によって検出された、貯留されたインクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定する判定部と、特性条件が満たされる場合に、通知を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態に係る制御プログラムは、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクを貯留する配線形成装置のインクタンクに配置される検出装置と通信する品質管理サーバの制御プログラムであって、検出装置によって検出された、貯留されたインクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否かを判定し、特性条件が満たされる場合に、通知を出力する、ことを品質管理サーバに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る品質管理システム、品質管理方法、品質管理サーバおよび制御プログラムは、配線形成装置によって用いられるインクの特性を適切に管理することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】品質管理システム1の概略構成を示す図である。
図2】検出装置2の機能ブロック図である。
図3】品質管理サーバ3の機能ブロック図である。
図4】通知管理サーバ4の機能ブロック図である。
図5】監視端末5の機能ブロック図である。
図6】インク情報テーブルT1のデータ構造の例を示す図である。
図7】通知テーブルT2のデータ構造の例を示す図である。
図8】通知出力処理の流れの例を示すシーケンス図である。
図9】通知管理処理の流れの例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る品質管理システム1の概略構成を示す図である。品質管理システム1は、インクジェット印刷機である配線形成装置PのインクタンクTに貯留されたインクの特性を管理する。配線形成装置Pに貯留されるインクは、金属または金属化合物を含有する、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含むインクである。配線形成装置Pは、インクタンクTに貯留されたインクをヘッドHが備えるインクジェットノズルから回路基板上に吐出することにより、回路基板上に導電性の配線を形成する。
【0024】
インクに含まれるナノ粒子に含有される金属は、例えば、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、イリジウム、白金、金、タリウム、鉛、およびビスマスからなる群から選択される1種または2種以上の合金若しくは混合物である。金属は、高い導電性を有し取扱いが容易である銅または銀であることが好ましく、銅であることが特に好ましい。
【0025】
ナノ粒子に含有される金属化合物は、上述した群から選択される1種または2種以上の金属の化合物である。金属の化合物は、例えば、金属酸化物である。ナノ粒子が金属酸化物を含有する場合、基板上に吐出されたインクにレーザ光が照射されることにより金属酸化物が還元され、高い導電性を有するようになる。金属酸化物は、空気中での安定性が高く安価である酸化銅であることが好ましい。酸化銅は、酸化銅(I)および酸化銅(II)のうち、酸素元素が少ないため、抵抗値の小さい焼結物が形成可能である酸化銅(I)であることが好ましい。
【0026】
品質管理システム1は、検出装置2、品質管理サーバ3、通知管理サーバ4および監視端末5を有する。検出装置2、品質管理サーバ3、通知管理サーバ4および監視端末5は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。
【0027】
検出装置2は、インクタンクTに配置される端末である。検出装置2は、インクタンクTに貯留されたインクの特性および量を検出し、インクの特性および量に関する情報を品質管理サーバ3に送信する。品質管理サーバ3は、インクの特性および量に関する情報が所定の条件を満たす場合に、通知を出力する。所定の条件は、インクの特性が変化していると認められるための条件、またはインクの量が減少していると認められるための条件である。通知管理サーバ4は、品質管理サーバ3から出力された通知を取得し、記憶し、管理する。監視端末5は、品質管理サーバ3から出力された通知を表示する。また、監視端末5は、通知管理サーバ4によって管理されている通知の情報を通知管理サーバ4から取得して表示する。
【0028】
図2は、検出装置2の機能ブロック図である。検出装置2は、記憶部21、通信部22、センサ23および処理部24を有する。
【0029】
記憶部21は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部21は、プログラムとして、処理部24による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部31にインストールされる。
【0030】
通信部22は、検出装置2を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部22が備える通信インタフェース回路は、近距離無線通信、無線LAN、移動体通信等の通信インタフェース回路である。通信部22は、データを他の装置から受信して処理部24に供給するとともに、処理部24から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0031】
センサ23は、インクタンクTに貯留されたインクの特性および量を検出するための構成である。センサ23は、インクの特性として、例えばインクの温度、pH、密度、濃度、吸光度およびインクに含まれるナノ粒子の平均粒子径のうちの一つまたは複数を検出する。センサ23は、インクの量として、インクの重量および体積のうちの一つまたは複数を検出する。
【0032】
例えば、センサ23は、インクの温度、pHを検出するために、温度計、pH計をそれぞれ備える。また、センサ23は、インクの密度を検出するために、振動式密度計を備える。また、センサ23は、インクの濃度、吸光度を検出するために、光度計を備える。光度計は、LD(Laser Diode)等の所定の波長の光を照射する発光器とフォトダイオード等の受光器とを備え、発光器から照射されてインクを透過した光の強度を受光器で検出することにより、インクの吸光度を検出する。あらかじめ設定された吸光度とインクの濃度との対応関係に基づいて、インクの濃度が検出される。光度計は分光光度計でもよい。また、センサ23は、インクに含まれるナノ粒子の平均粒子径を算出するために、レーザ回折散乱法を用いる粒子径センサを備える。粒子径センサは、LD等の所定の波長の光を照射する発光器と、発光器に対して所定の位置関係で配置された受光器を備え、発光器から照射されてインクで散乱された光の強度の角度依存性に基づいて粒子径を検出する。また、センサ23は、インクの重量、体積を検出するために、重量計、インクの界面位置を測定する液面計を備える。上述した例に限られず、センサ23は、インクの温度、pH、密度、濃度、吸光度、平均粒子径、重量または体積を検出する他の計測器を備えてもよい。
【0033】
センサ23は、処理部24から供給される制御信号に基づいて、定期または不定期にインクの特性および量を検出する。センサ23は、検出したインクの特性および量に関する情報を生成し、処理部24に供給する。
【0034】
処理部24は、検出装置2の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備える。処理部24は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備えてもよい。処理部24は、記憶部21に記憶されているプログラムに基づいて検出装置2の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0035】
処理部24は、検出部241および送信部242をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部24が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして検出装置2に実装されてもよい。
【0036】
図3は、品質管理サーバ3の機能ブロック図である。品質管理サーバ3は、記憶部31、通信部32および処理部33を有する。
【0037】
記憶部31は、データおよびプログラムを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部31は、プログラムとして、処理部33による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部31にインストールされる。
【0038】
通信部32は、品質管理サーバ3を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部32が備える通信インタフェース回路は、有線LAN、無線LAN、移動体通信等の通信インタフェース回路である。通信部32は、データを他の装置から受信して処理部33に供給するとともに、処理部33から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0039】
処理部33は、品質管理サーバ3の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部33は、例えばCPUを備える。処理部33は、DSP、LSI、ASIC等を備えてもよい。処理部33は、記憶部31に記憶されているプログラムに基づいて品質管理サーバ3の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0040】
処理部33は、取得部331、判定部332および出力部333をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部33が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして品質管理サーバ3に実装されてもよい。
【0041】
図4は、通知管理サーバ4の機能ブロック図である。通知管理サーバ4は、記憶部41、通信部42および処理部43を有する。
【0042】
記憶部41は、データおよびプログラムを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部41は、プログラムとして、処理部43による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部41にインストールされる。
【0043】
通信部42は、通知管理サーバ4を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部42が備える通信インタフェース回路は、有線LAN、無線LAN、移動体通信等の通信インタフェース回路である。通信部42は、データを他の装置から受信して処理部43に供給するとともに、処理部43から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0044】
処理部43は、通知管理サーバ4の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部43は、例えばCPUを備える。処理部43は、DSP、LSI、ASIC等を備えてもよい。処理部43は、記憶部41に記憶されているプログラムに基づいて通知管理サーバ4の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0045】
処理部43は、取得部431および管理部432をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部43が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして通知管理サーバ4に実装されてもよい。
【0046】
図5は、監視端末5の機能ブロック図である。監視端末5は、PC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機等の情報処理端末である。監視端末5は、記憶部51、通信部52、表示部53、操作部54および処理部55を有する。
【0047】
記憶部51は、データおよびプログラムを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部51は、プログラムとして、処理部55による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部51にインストールされる。
【0048】
通信部52は、監視端末5を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部52が備える通信インタフェース回路は、有線LAN、無線LAN、移動体通信等の通信インタフェース回路である。通信部52は、データを他の装置から受信して処理部55に供給するとともに、処理部55から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0049】
表示部53は、画像を表示するための構成であり、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを備える。表示部53は、処理部55から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0050】
操作部54は、監視端末5に対する操作を受け付けるための構成であり、キーボード、キーパッド、マウス等を備える。操作部54は、表示部53と一体化されたタッチパネルを備えてもよい。操作部54は、受け付けた操作に応じた信号を処理部55に供給する。
【0051】
処理部55は、監視端末5の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部55は、例えばCPUを備える。処理部55は、DSP、LSI、ASIC等を備えてもよい。処理部55は、記憶部51に記憶されているプログラムに基づいて監視端末5の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0052】
処理部55は、通知表示部551、受付部552および管理結果表示部553をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部55が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして監視端末5に実装されてもよい。
【0053】
図6は、品質管理サーバ3の記憶部31に記憶されるインク情報テーブルT1のデータ構造の例を示す図である。インク情報テーブルT1は、検出装置2によって検出されたインクの特性および量に関する情報を管理する。インク情報テーブルT1は、検出時刻、温度、pH、密度、平均粒子径、濃度、吸光度、重量、体積等を相互に関連付けて記憶する。
【0054】
検出時刻は、検出装置2によってインクの特性および量が検出された時刻である。温度、pH、密度、平均粒子径、濃度および吸光度は、インクの特性に関する情報の一例である。重量および体積は、インクの量に関する情報の一例である。なお、インクの特性および量に関する情報として、上述した情報の全てが記憶されなくてもよい。また、上述した情報とは異なる情報がインクの特性または量に関する情報として記憶されてもよい。インク情報テーブルT1のデータは、品質管理サーバ3が検出装置2からインクの特性および量に関する情報を取得するたびに追加される。
【0055】
図7は、通知管理サーバ4の記憶部41に記憶される通知テーブルT2のデータ構造の例を示す図である。通知テーブルT2は、品質管理サーバ3から出力された通知を管理する。通知テーブルT2は、通知時刻、通知の概要、通知の詳細等を相互に関連付けて記憶する。
【0056】
通知時刻は、品質管理サーバ3によって通知が出力された時刻である。通知の概要は、配線形成装置Pに異常があることを示す情報、またはインクの補充を促す情報を含む。インクの特性に関する情報が所定の条件を満たすと品質管理サーバ3が判定した場合、配線形成装置Pに異常があることを示す情報を含む通知が出力される。インクの量に関する情報が所定の条件を満たすと品質管理サーバ3が判定した場合、インクの補充を促す情報を含む通知が出力される。通知の詳細は、インクの特性および量に関する情報のうち、所定の条件を満たすと品質管理サーバ3が判定した情報を含む。通知テーブルT2のデータは、通知管理サーバ4が品質管理サーバ3から通知を取得するたびに追加される。
【0057】
図8は、品質管理システム1によって実行される通知出力処理の流れの例を示すシーケンス図である。通知出力処理は、検出装置2がインクの特性および量を検出することにより開始される。通知出力処理は、品質管理システム1の各装置の処理部が、あらかじめ記憶されたプログラムに基づいて他の構成と協働することにより実現される。
【0058】
最初に、検出装置2の検出部241は、センサ23に制御信号を供給することにより、インクの特性および量を検出する(ステップS101)。検出部231は、センサ23によって検出されたインクの特性および量に関する情報をセンサ23から取得する。検出部231は、インクの特性に関する情報として、インクの温度、pH、密度、平均粒子径、濃度および吸光度を取得する。検出部231は、インクの量に関する情報として、インクの重量および体積を取得する。
【0059】
次に、検出装置2の送信部242は、通信部22を介して、インクの特性および量に関する情報を品質管理サーバ3に送信する(ステップS102)。
【0060】
次に、品質管理サーバ3の取得部331は、検出装置2から送信されたインクの特性および量に関する情報を取得する(ステップS103)。取得部331は、取得した情報を記憶部31のインク情報テーブルT1に記憶する。
【0061】
次に、品質管理サーバ3の判定部332は、インクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否か、およびインクの量に関する情報が量条件を満たすか否かを判定する(ステップS104)。
【0062】
特性条件は、インクの特性に異常があると認められる条件である。例えば、判定部332は、インクの温度、pHまたは密度が所定範囲外にあるときに、特性条件が満たされると判定する。温度の所定範囲は、インクの特性の変化が生じにくい温度範囲である。温度の所定範囲は、好ましくは-30℃以上10℃以下であり、より好ましくは-20℃以上0℃以下である。pHの所定範囲は、インクの製品仕様を満たすpHの範囲である。密度の所定範囲は、インクの製品仕様を満たす密度の範囲である。また、判定部332は、インクの平均粒子径が所定範囲外にあるときに、特性条件が満たされると判定する。平均粒子径の所定範囲は、ナノ粒子が高い安定性を有し、かつインクによる微細な配線形成が可能となるような範囲である。例えば、平均粒子径の所定範囲の下限は1nmであり、好ましくは5nmである。平均粒子径の所定範囲の上限は100nmであり、好ましくは40nmである。また、判定部332は、インクの濃度または吸光度が閾値以上であるときに、特性条件が満たされると判定する。濃度および吸光度の閾値は、配線形成装置Pからのインクの吐出に支障がない濃度および吸光度の範囲に基づいて設定される。上述したインクの特性に関する所定範囲または閾値は、インクの種類に応じてあらかじめ設定される。
【0063】
好ましくは、判定部332は、あらかじめ記憶部41に記憶された吸光度とインクの吐出率との関係に基づいて、取得されたインクの吸光度xに対応する吐出率yを算出する。吐出率yは、インクを吐出可能なインクジェットノズルの数に対する、インクを実際に吐出したノズルの数の比率、すなわちインクを実際に吐出したノズルの割合をパーセント表示したものである。インクの吸光度が上昇する原因の一つとしてインクの分散剤の凝集があり、分散剤がノズルの近傍で凝集した場合には吐出率が減少するため、吸光度xが大きくなるほど吐出率yが減少する。吐出率yが減少すると、回路基板上に配線を形成する際に断線が生じ、回路基板の信頼性が低下する。判定部332は、吐出率yが所定の閾値より大きい場合に回路基板の信頼性が安定すると判定する。すなわち、判定部332は、吐出率yが所定の閾値以下の場合に特性条件が満たされると判定する。これにより、判定部332は、回路基板の信頼性の低下を防止するようにインクの吸光度を適切に管理することを可能とする。
【0064】
吸光度xと吐出率yとの関係は、吸光度の測定光の波長が680nmであり、測定光の光路長が1cmである場合には、次の式
y=-10.2x+248
で規定される。上述の式は、吸光度と吐出率との関係を近似した実験式である。判定部332は、上述の式で規定される吐出率yが80以下の場合に、特性条件が満たされると判定する。
【0065】
量条件は、インクタンクTに貯留されているインクの量が減少していると認められる条件である。例えば、判定部332は、インクの重量または体積が所定値以下であるときに、量条件が満たされると判定する。重量の所定値は、インクタンクが貯留可能なインクの最大重量に基づいて設定され、例えば最大重量の20%の値に設定される。体積の所定値は、インクタンクが貯留可能なインクの最大体積に基づいて設定され、例えば最大体積の20%の値に設定される。
【0066】
品質管理サーバ3の出力部333は、特性条件または量条件が満たされる場合に、通知を出力する(ステップS105)。出力部333は、特性条件が満たされる場合に、通信部32を介して、配線形成装置Pに異常があることを示す情報を含む通知を監視端末5に送信することにより出力する。また、出力部333は、量条件が満たされる場合に、通信部32を介して、インクの追加を促す情報を含む通知を監視端末5に送信することにより出力する。
【0067】
特性条件が満たされる場合には、配線形成装置PまたはインクタンクTに異常があり、インクが適切に保管されていない可能性がある。したがって、特性条件が満たされる場合には、配線形成装置Pに異常があることを示す情報を含む通知が出力される。量条件が満たされる場合には、インクタンクTに貯留されているインクの量が少なくなっている可能性がある。したがって、量条件が満たされる場合には、インクの追加を促す情報を含む通知が出力される。
【0068】
監視端末5の通知表示部551は、品質管理サーバ3から出力された通知を表示部53に表示する(ステップS106)。
【0069】
また、出力部333は、特性条件または量条件が満たされる場合に、通信部32を介して、ステップS105と同様の通知を通知管理サーバ4に送信することにより出力する(ステップS107)。
【0070】
通知管理サーバ4の取得部431は、通知を取得して記憶部41の通知テーブルT2に記憶する(ステップS108)。以上で、通知出力処理が終了する。
【0071】
図9は、品質管理システム1によって実行される通知管理処理の流れの例を示すシーケンス図である。通知管理処理は、監視端末5のユーザによる管理操作に応じて開始される。管理操作は、通知を管理するための、監視端末5の操作部54に対する操作である。通知出力処理は、品質管理システム1の各装置の処理部が、あらかじめ記憶されたプログラムに基づいて他の構成と協働することにより実現される。
【0072】
最初に、監視端末5の受付部551は、操作部54に対する管理操作を受け付ける(ステップS201)。管理操作は、通知テーブルT2に記憶された通知を一覧表示し、検索し、または編集するための操作である。受付部551は、受け付けた管理操作に応じた管理信号を生成し、通信部52を介して通知管理サーバ4に送信する。
【0073】
次に、通知管理サーバ4の管理部432は、管理信号に基づいて通知を管理する(ステップS202)。管理信号が示す管理操作が通知を一覧表示するための操作である場合、管理部432は、通知テーブルT2に記憶された通知を一覧表示するための表示データを生成する。管理信号が示す管理操作が通知を検索するための操作である場合、管理部432は、通知テーブルT2から管理操作が示す検索条件に適合する通知を抽出する。管理部432は、抽出された通知を一覧表示するための表示データを生成する。管理信号が示す管理操作が通知を編集する操作である場合、管理部432は、通知テーブルT2に記憶されたデータを管理操作が示す編集内容に従って編集する。管理部432は、編集が正常に行われたことを示す表示データを生成する。管理部432は、通信部42を介して、生成された表示データを監視端末5に送信する。
【0074】
次に、監視端末5の管理結果表示部553は、管理結果を表示する(ステップS203)。管理結果表示部553は、受信した表示データに基づく画像を管理結果として表示部53に表示する。この表示を確認した配線形成装置Pの利用者は、例えばインクの発注の有無を問い合わせる。以上で、通知管理処理が終了する。
【0075】
以上説明したように、品質管理システム1は、配線形成装置PのインクタンクTに貯留されたナノ粒子を含むインクの特性を検出し、インクの特性に関する情報が特性条件を満たす場合に、通知を出力する。これにより、品質管理システム1は、配線形成装置によって用いられるインクの特性を適切に管理することを可能とする。その結果、品質管理システム1は、配線形成装置からインクが適切に吐出されないことに起因する回路基板の信頼性の低下を防止することができる。
【0076】
また、品質管理システム1は、インクの特性として、インクの吸光度を検出する。これにより、品質管理システム1は、回路基板の信頼性に影響するインクの吸光度を適切に管理することを可能とする。
【0077】
また、品質管理システム1は、インクの吸光度をxとしたときに、次の数式
y=-10.2x+248
で規定されるyが80以下の場合に、特性条件が満たされると判定する。これにより、品質管理システム1は、回路基板の信頼性の低下を防止するようにインクの吸光度を管理することを可能とする。
【0078】
また、品質管理システム1は、通知として、配線形成装置に異常があることを示す情報を出力する。これにより、品質管理システム1は、インクの特性に影響する配線形成装置の異常にユーザが対処することを可能とする。
【0079】
また、品質管理システム1は、貯留されたインクの量をさらに検出し、インクの量に関する情報が量条件を満たす場合に、第2の通知を出力する。これにより、品質管理システム1は、インクの量を適切に管理することを可能とする。
【0080】
また、品質管理システム1は、インクの量の初期値を記憶する記憶部をさらに有し、インクの量が初期値の20%以下である場合に、量条件が満たされていると判定する。これにより、品質管理システム1は、インクの量をより適切に管理することを可能とする。
【0081】
また、品質管理システム1は、第2の通知として、インクの追加を促す情報を出力する。これにより、品質管理システム1は、インクの量を適切に維持することを可能とする。
【0082】
また、品質管理システム1は、通知を取得し、記憶し、管理する通知管理サーバ4をさらに有する。これにより、品質管理システム1は、利用者がインクの特性を容易に把握することを可能とする。
【0083】
品質管理システム1には、次に述べるような変形例が適用されてもよい。
【0084】
上述した説明では、通知出力処理のステップS101において、検出装置2のセンサ23はインクの特性および量を検出するものとしたが、このような例に限られない。センサ23は、インクの特性および量のうち、インクの特性のみ、またはインクの量のみを検出してもよい。
【0085】
また、上述した説明では、通知出力処理のステップS104において、品質管理サーバ3の判定部332は、インクの特性に関する情報が特性条件を満たすか否か、およびインクの量に関する情報が量条件を満たすか否かをそれぞれ判定するものとしたが、このような例に限られない。判定部332は、インクの特性に関する情報および量に関する情報の組合せに基づいて通知を出力してもよい。例えば、判定部332は、インクの特性におよび量に関する情報をあらかじめ記憶部31に記憶された学習済みモデルに入力し、学習済みモデルからの出力に基づいて通知を出力してもよい。学習済みモデルは、インクの特性および量に関する情報と、配線形成装置Pの異常の有無およびインクの補充の要否とが関連付けられた教師データにより学習された学習モデルである。学習モデルは、深層ニューラルネットワーク、決定木等である。判定部332が学習済みモデルを用いることにより、インクの特性および量に関するパラメータの様々な組み合わせについて条件を記憶する必要がなくなり、記憶容量が低減される。また、判定部332が学習済みモデルを用いることにより、パラメータの様々な組み合わせに応じた複雑な判定を実行する必要がなくなり、判定処理の処理負荷が低減される。
【0086】
上述した説明では、通知出力処理のステップS105およびS107において、出力部334は、量条件が満たされる場合にインクの追加を促す情報を含む通知を出力するものとしたが、このような例に限られない。出力部334は、量条件が満たされる場合に、インクの構成成分の追加を促す情報を含む通知を出力してもよい。また、出力部334は、量条件が満たされる場合にインクの発注を促す情報を含む通知を出力してもよい。これにより、品質管理システム1は、配線形成装置Pの利用者がインクの量を適切に管理できるようにインクを購入することを可能とする。
【0087】
上述した説明では、通知出力処理のステップS105およびS107において、出力部334は、インクの特性または量に関する情報が所定の条件を満たす場合に通知を出力するものとしたが、このような例に限られない。品質管理サーバ3は、所定の条件が満たされる場合に、配線形成装置Pによる配線の形成を停止してもよい。例えば、通知出力処理のステップS104において、出力部334は、通信部32を介して、回路基板上への配線の形成を停止させる制御信号を配線形成装置Pに送信する。これにより、品質管理システム1は、回路基板の歩止まりの低下をより確実に防止することを可能とする。例えば、判定部332は、インク若しくはインクタンクの温度が10℃を超えた場合、またはy=-10.2x+248で規定される吐出率yが80以下の場合に配線の形成を停止してもよい。
【0088】
上述した説明では、通知出力処理のステップS105およびS107において、出力部334は、配線形成装置Pに異常があることを示す情報、またはインクの補充を促す情報を含む通知を出力するものとしたが、このような例に限られない。出力部334は、インクの特性または量に関する情報に基づいて推定されるインクの交換時期を含む通知を出力してもよい。この場合、出力部334は、あらかじめ設定されたインクの特性および量に関する情報とインクの交換時期との対応関係に基づいて、インクの交換時期を推定する。出力部334は、インクの特性および量に関する情報とインクの交換時期とが関連付けられた教師データによって学習された学習済みモデルを用いてインクの交換時期を推定してもよい。出力部334は、通信部32を介して、推定された交換時期を含む通知を通知管理サーバ4および監視端末5に送信する。これにより、品質管理サーバ3は、配線形成装置Pの利用者がインクの交換時期を把握して、インクの特性または量をより適切に管理することを可能とする。
【0089】
上述した説明では、通知出力処理のステップS105およびS107において、出力部334は、インクの特性または量に関する情報が所定の条件を満たす場合に、通知管理サーバ4および監視端末5の両方に通知を出力するものとしたが、このような例に限られない。出力部334は、インクの特性または量に関する情報が第1の条件を満たす場合に通知管理サーバ4に通知を出力し、インクの特性または量に関する情報が第1の条件とは異なる第2の条件を満たす場合に監視端末5に通知を出力してもよい。すなわち、品質管理サーバ3が通知管理サーバ4に通知を出力する条件と監視端末5に通知を出力する条件とが異なっていてもよい。例えば、第2の条件は、第1の条件よりもインクの特性に深刻な異常が認められる条件、または第1の条件よりもインクの量が減少していると認められる条件である。これにより、品質管理システム1は、通知管理サーバ4においてインクの特性または量を適切に管理するとともに、必要に応じて監視端末5を介してインクの特性の異常または量の減少を適切に配線形成装置Pの利用者に通知することを可能とする。
【0090】
上述した検出装置2、品質管理サーバ3、通知管理サーバ4および監視端末5の機能の一部または全部は、品質管理システム1の他の装置によって実現されてもよい。また、品質管理システム1の複数の装置の機能が一つの装置によって実現されてもよい。例えば、品質管理サーバ3、通知管理サーバ4および監視端末5の機能が、一つの情報処理装置によって実現されてもよい。検出装置2、品質管理サーバ3、通知管理サーバ4または監視端末5の機能は、複数の装置によって実現されてもよい。
【0091】
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 品質管理システム
2 検出装置
23 センサ
242 送信部
3 品質管理サーバ
331 取得部
332 判定部
333 出力部
4 通知管理サーバ
431 取得部
432 管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9