IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072597
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240521BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/393 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183520
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】三浦 博史
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AR01
2C061KK01
2C061KK25
2C061KK32
2H270LA18
2H270LA80
2H270LB01
2H270LD03
2H270MA08
2H270MA14
2H270MB11
2H270MB28
2H270MB36
2H270MH01
2H270ZC02
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】印刷濃度を適正に補正することができるようにする。
【解決手段】搬送部材と、濃度検出パターンを搬送部材に形成する複数の画像形成ユニットと、濃度検出パターンの濃度を検出し、センサ検出電圧を発生させる濃度検出部と、印字率が100〔%〕の印刷を行う場合に、センサ検出電圧に対応する第1の濃度値を算出し、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合に、現像剤層厚に基づいて、現像剤ドット面積を算出し、現像剤ドット面積に基づいて、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の第2の濃度値を算出する濃度値変換部Pr4と、目標印刷濃度値及び第1、第2の濃度値に基づいて印刷濃度を補正する濃度補正制御部を有する。センサ検出電圧と印刷濃度との相関関係を維持することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)媒体を搬送する搬送部材と、
(b)前記媒体の搬送方向に沿って配設され、各色の現像剤像から成る濃度検出パターンを前記搬送部材に形成する複数の画像形成ユニットと、
(c)前記搬送部材と対向させて配設され、前記濃度検出パターンの濃度を検出し、センサ検出電圧を発生させる濃度検出部と、
(d)印字率が100〔%〕の印刷を行う場合に、前記濃度検出部によって発生させられたセンサ検出電圧に対応する第1の濃度値を算出し、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合に、前記第1の濃度値に対応する現像剤層厚に基づいて、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の現像剤ドット面積を算出し、該現像剤ドット面積に基づいて、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の第2の濃度値を算出する濃度値変換部と、
(e)目標印刷濃度値及び前記第1、第2の濃度値に基づいて印刷濃度を補正する濃度補正制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度値変換部は、前記現像剤層厚に対応する、濃度検出パターンの現像剤ドット面積が基準値であると仮定した場合における推測濃度値を算出し、該推測濃度値に基づいて前記現像剤ドット面積を算出する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記濃度値変換部は、前記推測濃度値に対応する、濃度検出パターンの現像剤ドット面積が基準値であると仮定した場合における推測センサ検出電圧と、前記濃度検出パターンの濃度を検出したときのセンサ検出電圧との電圧差に基づいて前記現像剤ドット面積を算出する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
所定の枚数の印刷が行われた場合に、前記濃度値変換部は第1、第2の濃度値を算出し、前記濃度補正制御部は印刷濃度を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置の電源が投入された場合に、前記濃度値変換部は第1、第2の濃度値を算出し、前記濃度補正制御部は印刷濃度を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記濃度補正制御部は、目標印刷濃度と前記第1、第2の濃度値との差に基づいて、前記画像形成ユニットにおいて像担持体に形成された静電潜像を現像するための現像電圧を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記濃度補正制御部は、目標印刷濃度値と前記第1、第2の濃度値との差に基づいて、前記画像形成ユニットにおいて像担持体を露光する露光量を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、電子写真式のプリンタには、画像形成ユニット、LEDヘッド、転写ユニット、定着器等が配設され、前記画像形成ユニットに、感光体ドラム、帯電ローラ、現像ローラ等が配設され、帯電ローラによって一様に帯電させられた感光体ドラムの表面がLEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像が現像ローラによって現像されてトナー像が形成され、転写ユニットによってトナー像が用紙に転写され、定着器においてトナー像が用紙に定着させられて画像が形成され、印刷が行われるようになっている。
【0003】
ところで、転写ユニットにおいて用紙が搬送ベルトによって搬送されるようになっているプリンタにおいては、搬送ベルト上のトナー量がセンサによって検出され、検出結果に基づいて用紙に形成される画像の濃度である印刷濃度が補正される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-258281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、LEDヘッドの発光特性、感光体ドラムの露光特性等が、経時的に変化したり、プリンタが置かれている環境によって変化したりすると、印刷濃度を精度良く補正することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、従来のプリンタの問題点を解決して、印刷濃度を適正に補正することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の画像形成装置においては、媒体を搬送する搬送部材と、前記媒体の搬送方向に沿って配設され、各色の現像剤像から成る濃度検出パターンを前記搬送部材に形成する複数の画像形成ユニットと、前記搬送部材と対向させて配設され、前記濃度検出パターンの濃度を検出し、センサ検出電圧を発生させる濃度検出部と、印字率が100〔%〕の印刷を行う場合に、前記濃度検出部によって発生させられたセンサ検出電圧に対応する第1の濃度値を算出し、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合に、前記第1の濃度値に対応する現像剤層厚に基づいて、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の現像剤ドット面積を算出し、該現像剤ドット面積に基づいて印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の第2の濃度値を算出する濃度値変換部と、目標印刷濃度値及び前記第1、第2の濃度値に基づいて印刷濃度を補正する濃度補正制御部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置においては、媒体を搬送する搬送部材と、前記媒体の搬送方向に沿って配設され、各色の現像剤像から成る濃度検出パターンを前記搬送部材に形成する複数の画像形成ユニットと、前記搬送部材と対向させて配設され、前記濃度検出パターンの濃度を検出し、センサ検出電圧を発生させる濃度検出部と、印字率が100〔%〕の印刷を行う場合に、前記濃度検出部によって発生させられたセンサ検出電圧に対応する第1の濃度値を算出し、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合に、前記第1の濃度値に対応する現像剤層厚に基づいて、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の現像剤ドット面積を算出し、該現像剤ドット面積に基づいて印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の第2の濃度値を算出する濃度値変換部と、目標印刷濃度値及び前記第1、第2の濃度値に基づいて印刷濃度を補正する濃度補正制御部とを有する。
【0009】
この場合、印字率が100〔%〕の印刷を行う場合に、濃度検出部によって発生させられたセンサ検出電圧に対応する第1の濃度値が算出され、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合に、前記第1の濃度値に対応する現像剤層厚に基づいて、印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の現像剤ドット面積が算出され、該現像剤ドット面積に基づいて印字率が100〔%〕より低い印刷を行う場合の第2の濃度値が算出されるので、露光装置の光量、像担持体の露光特性等が、経時的に変化したり、画像形成装置が置かれている環境によって変化したりしても、センサ検出電圧と印刷濃度との相関関係を維持することができる。
【0010】
したがって、印刷濃度を精度良く補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図3】本発明の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第1の図である。
図4】本発明の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第2の図である。
図5】本発明の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第3の図である。
図6】本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルの例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態における濃度値-トナー層厚変換テーブルの例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態におけるトナー層厚-濃度値変換テーブルの例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧差-トナードット面積変換テーブルの例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態における目標印刷濃度値テーブルの例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態における現像電圧調整量テーブルの例を示す図である。
図12】本発明の実施の形態における露光時間調整量テーブルの例を示す図である。
図13】本発明の実施の形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態における濃度検出パターンの例を示す図である。
図15】本発明の実施の形態におけるプリンタの寸法図である。
図16】本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第1の図である。
図17】本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第2の図である。
図18】本発明の実施の形態における濃度値とトナー層厚との関係を示す図である。
図19】本発明の実施の形態におけるトナー層厚と濃度値との関係を示す図である。
図20】本発明の実施の形態におけるデューティが50〔%〕であるときのトナードットパターンの例を示す図である。
図21】本発明の実施の形態における濃度値とセンサ検出電圧との関係を示す第1の図である。
図22】本発明の実施の形態における濃度値とセンサ検出電圧との関係を示す第2の図である。
図23】本発明の実施の形態における電圧差とトナードット面積との関係を示す図である。
図24】本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第3の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0013】
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0014】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体であり、該装置本体Bdの下部に媒体収容部としての給紙カセット11が配設され、該給紙カセット11に媒体としての図示されない用紙が収容される。また、給紙カセット11の前端に隣接させて、用紙を1枚ずつ分離させて給紙するための給紙機構12が配設される。
【0015】
該給紙機構12は、繰出部材としてのホッピングローラ13及び図示されない分離装置から成り、給紙機構12によって1枚ずつ分離させられた用紙は、媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に給紙され、搬送部材としてのレジストローラ対m1に送られた後、画像形成部Q1に送られる。なお、用紙の位置、ジャム(用紙詰まり)等を検出するために、用紙搬送路Rt1におけるレジストローラ対m1より上流側及び下流側に、第1、第2の媒体検出部としてのセンサs1、s2が配設される。
【0016】
前記画像形成部Q1は、用紙の搬送方向に沿って配設され、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色の画像を形成する印刷機構としての複数の画像形成ユニット(イメージドラムユニット)16i(i=K、C、M、Y)、各画像形成ユニット16iに配設された像担持体としての感光体ドラム31i(i=K、C、M、Y)と対向させて配設された露光装置としてのLEDヘッド22i(i=K、C、M、Y)、及び画像形成ユニット16iの下方において、装置本体Bdに対して着脱自在に配設された転写ユニットu1を備える。
【0017】
各画像形成ユニット16iは、装置本体Bdに対して着脱自在に、かつ、独立に配設され、画像形成ユニット16iの本体、すなわち、ユニット本体28、及び該ユニット本体28に対して着脱自在に配設され、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ29を備える。
【0018】
前記ユニット本体28は、トナーカートリッジ29の下方に形成され、トナーカートリッジ29から供給されたトナーを貯蔵するトナー貯蔵部30、前記感光体ドラム31i、該感光体ドラム31iの表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ32、トナーを保持する現像部としての、かつ、現像剤担持体としての現像ローラ33、前記トナー貯蔵部30内のトナーを現像ローラ33に供給する現像剤供給部材としての供給ローラ34、前記現像ローラ33上に供給されたトナーを均一に薄層化する現像剤層規制部材としての現像ブレード35、感光体ドラム31iの表面を除電する除電装置37等を備える。
【0019】
前記LEDヘッド22iは、感光体ドラム31iの主走査方向に配設された発光素子としての図示されないLED素子のアレイから成るLEDアレイ、該LEDアレイを駆動する図示されないドライブIC、各LED素子を駆動するデータを保持するレジスタ群を備えた図示されない基板、LEDアレイの光を集光する図示されないロッドレンズアレイ等を備え、後述されるLEDヘッドインタフェース部53(図1)を介して入力される画像データ信号に基づいて、各LEDヘッド22iのLEDアレイを発光させ、感光体ドラム31iの表面を露光し、潜像としての静電潜像を形成する。
【0020】
また、前記転写ユニットu1は、第1のローラとしての駆動ローラr1、第2のローラとしての従動ローラr2、駆動ローラr1及び従動ローラr2によって走行自在に張設され、走行に伴って用紙を搬送する無端状の搬送部材としての、かつ、ベルト部材としての搬送ベルト17、該搬送ベルト17の上方ベルト部17aを挟んで前記感光体ドラム31iと対向させて回転自在に配設された転写部材としての転写ローラ21i(i=K、C、M、Y)、前記駆動ローラr1の近傍において、前記搬送ベルト17の下方ベルト部17bと対向させて配設された濃度検出装置としての濃度センサユニットsd、並びに搬送ベルト17の走行方向(矢印A方向)における濃度センサユニットsdより下流側において、下方ベルト部17bを介して従動ローラr2と対向させて配設されたクリーニング装置38を備える。
【0021】
なお、用紙の位置、ジャム(用紙詰まり)等を検出するために、用紙搬送路Rt1における搬送ベルト17より下流側に、第3の媒体検出部としてのセンサs3が配設される。
【0022】
前記搬送ベルト17は、継目のないエンドレス状に形成された高抵抗の半導電性プラスチックフィルムから成る。
【0023】
前記濃度センサユニットsdは、濃度検出部としての濃度センサ44、及び該濃度センサ44の表面を覆う被覆部材としてのカバー49を備える。
【0024】
前記クリーニング装置38は、可撓性のゴム材料又は樹脂材料から成り、前記搬送ベルト17に付着したトナーを掻き取り、除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレード39、及び除去されたトナーを廃棄現像剤としての廃トナーとして収容する廃棄現像剤収容部としての廃トナータンク40を備える。
【0025】
用紙搬送路Rt1における転写ユニットu1より下流側に、定着装置としての定着器18が、装置本体Bdに対して着脱自在に配設される。前記定着器18は、回転自在に配設され、内部にハロゲンランプ等の加熱部材としてのヒータHtを備えた第1の定着部材としてのヒートローラ(加熱ローラ)19、及び該ヒートローラ19と対向させて回転自在に配設された第2の定着部材としての加圧ローラ20を備える。
【0026】
ヒートローラ19の表面の近傍には温度検出部としてのサーミスタthが配設され、該サーミスタthはヒートローラ19の温度を検出する。また、用紙の位置、ジャム(用紙詰まり)等を検出するために、用紙搬送路Rt1における定着器18より下流側に第4の媒体検出部としてのセンサs4が配設される。
【0027】
前記プリンタ10において、給紙用の駆動部としてのホッピングモータM1(図1)が駆動されると、ホッピングローラ13が回転させられ、給紙カセット11から用紙が繰り出され、用紙搬送路Rt1に給紙される。
【0028】
また、搬送用の駆動部としてのレジストモータM2が駆動されると、レジストローラ対m1が回転させられ、用紙は斜行(スキュー)が矯正されて用紙搬送路Rt1を搬送され、画像形成部Q1に送られる。
【0029】
そして、画像形成部Q1において、画像形成用の駆動部としてのドラムモータM3が駆動されると、各画像形成ユニット16iの感光体ドラム31iが回転させられ、図示されないギヤを介して帯電ローラ32、現像ローラ33及び供給ローラ34が回転させられ、感光体ドラム31iの表面が、帯電ローラ32によって一様に帯電させられ、LEDヘッド22iによって露光されて、前述されたように表面に静電潜像が形成される。
【0030】
トナーカートリッジ29からトナー貯蔵部30に供給されたトナーは、供給ローラ34によって現像ローラ33に供給され、現像ブレード35によって層厚が規制されて現像ローラ33上で薄層化される。このとき、トナーは供給ローラ34及び現像ブレード35との摩擦によって負の極性に帯電させられる。
【0031】
そして、前記静電潜像に、現像ローラ33上で薄層化されたトナーが静電気力によって付着させられてトナー像が形成される。
【0032】
また、画像形成部Q1において、ベルト走行用の駆動部としてのベルトモータM4が駆動されると、駆動ローラr1が回転させられ、搬送ベルト17が矢印A方向に走行させられる。画像形成部Q1に供給された用紙Pは、静電気によって搬送ベルト17に吸着され、搬送ベルト17の走行に伴って搬送され、各感光体ドラム31iと各転写ローラ21iとの間を通過し、該各転写ローラ21iによって、各画像形成ユニット16iにおいて各感光体ドラム31iに形成されたブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色のトナー像が用紙に順次重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。
【0033】
そして、定着器18において、定着用の駆動部としての定着モータM5が駆動されると、ヒートローラ19が回転させられ、それに伴って、加圧ローラ20が連れ回りで回転させられ、用紙上のトナー像が、ヒートローラ19によって加熱され、加圧ローラ20によって加圧されて用紙に定着させられる。このようにして、用紙にカラーの画像が形成される。
【0034】
定着器18においてカラーの画像が形成された用紙は、排出部材としての図示されない排出ローラ対によって装置本体Bd外に排出され、筐体Csの頂壁に形成されたスタッカStに積載される。
【0035】
次に、濃度センサ44について説明する。
【0036】
図3は本発明の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第1の図、図4は本発明の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第2の図、図5は本発明の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第3の図である。
【0037】
図において、44は濃度センサである。該濃度センサ44は、搬送ベルト17(下方ベルト部17b)上にブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色のトナーによって形成された濃度検出パターンPtiと対向させて配設された、発光1系統、受光2系統の反射型光センサであり、濃度検出パターンPtiの反射光の強度を測定することによって、濃度検出パターンPtiにおける、シアン、マゼンタ又はイエローの色で形成された検出部位、並びにブラックの色で形成された検出部位の濃度を検出する。
【0038】
そのために、濃度センサ44は、濃度検出用の光emを発生させ、搬送ベルト17に向けて照射する発光部としての赤外LED57、該赤外LED57によって発生させられた光emの拡散反射光re1を受ける第1の受光部としての拡散反射光受光用のフォトトランジスタ58、及び赤外LED57によって発生させられた光emの鏡面反射光re2を受ける第2の受光部としての鏡面反射光受光用のフォトトランジスタ59を備える。
【0039】
搬送ベルト17上に形成された濃度検出パターンPtiにおけるシアン、マゼンタ又はイエローの色で形成された検出部位の濃度を検出する場合、赤外LED57によって発生させられた光emが濃度検出パターンPtiに照射されると、図4に示されるように、フォトトランジスタ58は、拡散反射光re1を受け、拡散反射光re1の光量に応じた電圧のセンサ出力を生成する。濃度検出パターンPtiにおけるシアン、マゼンタ又はイエローの色で形成された検出部位のトナーの量、すなわち、トナー量が多く、濃度が高い場合、拡散反射光re1の光量が多くなり、フォトトランジスタ58の出力電圧が高くなり、濃度センサ44によって発生させられるセンサ検出電圧が高くなる。一方、シアン、マゼンタ又はイエローの色で形成された検出部位のトナー量が少なく、濃度が低い場合、拡散反射光re1の光量が少なくなり、フォトトランジスタ58の出力電圧が低くなり、濃度センサ44によって発生させられるセンサ検出電圧が低くなる。
【0040】
また、搬送ベルト17上に形成された濃度検出パターンPtiにおけるブラックの色で形成された検出部位の濃度を検出する場合、赤外LED57によって発生させられた光emが濃度検出パターンPtiに照射されると、図5に示されるように、フォトトランジスタ59は、鏡面反射光re2を受け、鏡面反射光re2の光量に応じた出力電圧を発生させる。
【0041】
濃度検出パターンPtiにおけるブラックの色で形成された検出部位のトナーは光emを吸収するので、ブラックの色で形成された部分のトナー量が少なく、濃度が低い場合、鏡面反射光re2の光量が多くなり、フォトトランジスタ59の出力電圧が高くなり、濃度センサ44によって発生させられるセンサ検出電圧が高くなる。一方、ブラックの色で形成された検出部位のトナー量が多く、濃度が高い場合、鏡面反射光re2の光量が少なくなり、フォトトランジスタ59の出力電圧が低くなり、濃度センサ44によって発生させられるセンサ検出電圧が低くなる。
【0042】
したがって、フォトトランジスタ59による濃度検出パターンPtiの濃度の検出精度を高くするために、搬送ベルト17における前記濃度センサ44と対向する面に光沢を付与する処理が施され、搬送ベルト17の鏡面反射率が均一に、かつ、高くされる。
【0043】
前記赤外LED57及びフォトトランジスタ59は、搬送ベルト17における光emの放射面Saの法線に対する光emの入射角と鏡面反射光re2の反射角とが等しくなるように配設され、フォトトランジスタ58は、光emと拡散反射光re1とが干渉しない程度に赤外LED57に隣接させて配設される。
【0044】
なお、前述されたように、濃度センサ44と搬送ベルト17との間にはカバー49(図2)が配設される。該カバー49は、図示されない開閉機構によって移動自在に、かつ、開閉自在に配設され、後述されるパターン印刷・検出部Pr3(図1)によるパターン印刷・検出処理、濃度値変換部Pr4による濃度値変換処理、濃度補正制御部Pr5による濃度補正制御処理等の濃度補正処理が行われている間は、濃度センサ44と搬送ベルト17とが対向するように退避させられ、濃度補正処理が行われていない間は、トナー、紙粉等によって濃度センサ44が汚れないように濃度センサ44を覆う。
【0045】
また、カバー49は、後述されるキャリブレーション処理部Pr2による濃度センサ44のキャリブレーション、すなわち、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtiの検出部位の濃度の検出を行う際に、赤外LED57の発光電流の調整を行うときの基準反射物としても使用される。なお、フォトトランジスタ59で濃度検出パターンの濃度の検出を行う際の、濃度センサ44の赤外LED57の発光電流の調整を行うときの基準反射物としては搬送ベルト17が使用される。
【0046】
ところで、搬送ベルト17上に濃度検出パターンを形成し、該濃度検出パターンの濃度を濃度センサ44によって検出し、濃度センサ44のセンサ検出電圧に基づいて、現像ローラ33に印加される現像電圧、LEDヘッド22iの駆動時間(発光量)を表す露光時間等を、印刷濃度が目標とする印刷濃度になるよう補正することが考えられる。
【0047】
ところが、LEDヘッド22iの発光特性、感光体ドラム31iの露光特性等が、経時的に変化したり、プリンタ10が置かれている温度、湿度等の環境によって変化したりすると、濃度センサ44のセンサ検出電圧と印刷濃度とに相関関係を維持することが困難になり、印刷濃度を精度良く補正することができなくなってしまう。
【0048】
また、濃度検出パターンにおいて、用紙における所定の面積中におけるトナーの占める面積割合を表す印字率、すなわち、デューティが100〔%〕であるベタの印刷を行う場合において、搬送ベルト17にベタの濃度検出パターンを形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンの濃度を検出した場合は、濃度センサ44のセンサ検出電圧と印刷濃度とに相関関係があるが、デューティが100〔%〕より低い中間調濃度の印刷を行う場合において、搬送ベルト17に中間調濃度の濃度検出パターンを形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンの濃度を検出した場合は、濃度センサ44のセンサ検出電圧と印刷濃度とに相関関係がなくなり、前記現像電圧及び露光時間を補正しても、印刷濃度が目標とする印刷濃度にならなくなってしまう。
【0049】
すなわち、濃度センサ44のセンサ検出電圧によって表される中間調濃度の濃度検出パターンのトナー量は、濃度検出パターンにおけるトナー層厚とトナードット面積との積で表されるが、実験によると、中間調濃度の濃度検出パターンのトナードット面積と印刷濃度とには相関関係があるのに対して、中間調濃度の濃度検出パターンのトナー層厚と印刷濃度とには相関関係がなく、トナー層厚が所定以上厚くなると、印刷濃度が飽和してしまうことが分かった。
【0050】
そのため、中間調濃度の濃度検出パターンにおいては、トナー量が同じであっても、トナー層厚が薄く、トナードット面積が広い濃度検出パターンと、トナー層厚が厚く、トナードット面積が狭い濃度検出パターンとで印刷濃度が異なってしまう。
【0051】
したがって、濃度センサ44によって濃度検出パターンの濃度を検出し、濃度センサ44のセンサ検出電圧に基づいて現像電圧及び露光時間を補正しても、印刷濃度を目標とする印刷濃度にすることができない。
【0052】
そこで、本実施の形態においては、デューティが100〔%〕である濃度検出パターンのセンサ検出電圧(=トナー層厚)、及びデューティが100〔%〕より低い、本実施の形態においては、50〔%〕である濃度検出パターンのセンサ検出電圧(=トナー層厚)に基づいてトナードット面積を算出し、該トナードット面積に基づいて現像電圧及び露光時間を補正するようにしている。
【0053】
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
【0054】
図1は本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図、図6は本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルの例を示す図、図7は本発明の実施の形態における濃度値-トナー層厚変換テーブルの例を示す図、図8は本発明の実施の形態におけるトナー層厚-濃度値変換テーブルの例を示す図、図9は本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧差-トナードット面積変換テーブルの例を示す図、図10は本発明の実施の形態における目標印刷濃度値テーブルの例を示す図、図11は本発明の実施の形態における現像電圧調整量テーブルの例を示す図、図12は本発明の実施の形態における露光時間調整量テーブルの例を示す図である。
【0055】
図において、10はプリンタ、51はホストインタフェース部、52は主制御部としてのコマンド・画像処理部、53はLEDヘッドインタフェース部、22iはLEDヘッド、s1~s4はセンサ、thはサーミスタ、44は濃度センサ、Htはヒータ、61は印刷機構用の制御部(機構制御部)、62は第1の記憶装置としてのROM、63は第2の記憶装置としてのRAM、64は第3の記憶装置としてのフラッシュROM、65はプリンタ10の図示されない電源装置に接続された高圧制御部、M1はホッピングモータ、M2はレジストモータ、M3はドラムモータ、M4はベルトモータ、M5は定着モータである。
【0056】
前記ホストインタフェース部51は、上位装置(外部装置)としての図示されないホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担い、コネクタ及び通信用のチップで構成され、ホストコンピュータから送られたコマンド(印刷命令)、印刷データ、各種の設定値等の印刷情報を受信する。
【0057】
コマンド・画像処理部52は、図示されないマイクロプロセッサ、RAM、展開用の特別なハードウェア等から成り、プリンタ10の全体を制御するとともに、ホストコンピュータから受信したコマンド及び印刷データを解釈し、ビットマップに展開し、画像データを生成する。
【0058】
LEDヘッドインタフェース部53は、図示されないLSI、RAM等から成り、コマンド・画像処理部52から送られた画像データを各LEDヘッド22iのインタフェースに合わせて加工し、カラー画像信号であるブラック画像信号、シアン画像信号、マゼンタ画像信号及びイエロー画像信号として各LEDヘッド22iに送る。
【0059】
前記制御部61は、コマンド・画像処理部52からの指令に従って、各センサs1~s4、サーミスタth、濃度センサ44等からの入力に基づいて、ヒータHtのオン・オフを制御したり、高圧制御部65の制御を行ったり、ホッピングモータM1、レジストモータM2、ドラムモータM3、ベルトモータM4、定着モータM5等の各モータを駆動し、ホッピングローラ13、レジストローラ対m1、感光体ドラム31i、駆動ローラr1、ヒートローラ19等を回転させたりする。
【0060】
また、前記制御部61は、年月日及び時刻から成る日時を計時したり、経過時間を計時したりする計時装置としてのタイマTM、総印刷枚数を計数する印刷枚数カウンタCT等を備える。
【0061】
前記ROM62には、各種の制御パラメータである、図6に示される第1のテーブルとしてのセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1、図7に示される第2のテーブルとしての濃度値-トナー層厚変換テーブルTb2、図8に示される第3のテーブルとしてのトナー層厚-濃度値変換テーブルTb3、図9に示される第4のテーブルとしてのセンサ検出電圧差-トナードット面積変換テーブルTb4、図10に示される第5のテーブルとしての目標印刷濃度値テーブルTb5、図11に示される第6のテーブルとしての現像電圧調整量テーブルTb6、図12に示される第7のテーブルとしての露光時間調整量テーブルTb7が記録される。さらに、ROM62には、濃度補正処理に使用される後述される濃度検出パターンPti(図14)の濃度検出用パターンデータがあらかじめ記録される。
【0062】
RAM63には、制御部61が制御を行うに当たり使用される設定値等の、生成されたデータが一時的に記録される。
【0063】
フラッシュROM64には、濃度補正制御部Pr5による濃度補正処理が終了した後に、濃度補正処理が終了した日時、及び濃度補正処理が終了した日時における総印刷枚数が更新され、記録されるとともに、濃度補正処理の結果である現像電圧調整量及び露光時間調整量が更新され、記録される。
【0064】
前記高圧制御部65は、図示されないマイクロプロセッサ、LSI等から成り、制御部61の指示を受けて、帯電電圧発生部Pw1によって発生させた帯電電圧を帯電ローラ32に印加し、現像電圧発生部Pw2によって発生させた現像電圧を現像ローラ33に印加し、供給電圧発生部Pw3によって発生させた供給電圧を供給ローラ34に印加し、転写電圧発生部Pw4によって発生させた転写電圧を転写ローラ21iに印加する。
【0065】
前記制御部61は、濃度補正処理実行判定部Pr1、キャリブレーション処理部Pr2、パターン印刷・検出部Pr3、濃度値変換部Pr4、濃度補正制御部Pr5等を有する。前記パターン印刷・検出部Pr3、濃度値変換部Pr4、濃度補正制御部Pr5等によって濃度補正処理が行われる。
【0066】
濃度補正処理実行判定部Pr1は、濃度補正処理実行判定処理を行い、前記濃度補正処理を行うための濃度補正処理実行条件が成立したかどうかを、所定の枚数の印刷が行われたかどうかによって判断し、所定の枚数の印刷が行われた場合に、濃度補正処理実行条件が成立したと判断する。
【0067】
なお、前記濃度補正処理実行判定部Pr1は、プリンタ10の電源が投入されたかどうによって、濃度補正処理実行条件が成立したかどうかを判断することもでき、濃度補正処理実行条件が成立した場合、所定の枚数の印刷が行われたこと、又はプリンタ10の電源が投入されたことのいずれによって濃度補正処理実行条件が成立したかを濃度補正制御部Pr5に通知する。
【0068】
キャリブレーション処理部Pr2は、キャリブレーション処理を行い、濃度センサ44自体の温度変化による赤外LED57の発光特性の変化(プリンタ10の使用状態による変化分)、製造上発生しうる濃度センサ44自体の発光・受光感度のばらつきによる変化等を吸収するために、赤外LED57の発光電流を調整することによって、濃度センサ44のキャリブレーションを行う。
【0069】
パターン印刷・検出部Pr3は、パターン印刷・検出処理を行い、ROM62から濃度検出パターンデータを読み出し、搬送ベルト17の表面に図14に示される濃度検出パターンPtiを形成するとともに、形成した濃度検出パターンPtiの濃度を濃度センサ44によって検出する。
【0070】
濃度値変換部Pr4は、濃度値変換処理を行い、濃度センサ44が濃度検出パターンPtiの濃度を検出して発生させたセンサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100、KV50、CV50、MV50、YV50を読み込み、センサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1、濃度値-トナー層厚変換テーブルTb2、トナー層厚-濃度値変換テーブルTb3及びセンサ検出電圧差-トナードット面積変換テーブルTb4を参照し、デューティが100〔%〕の印刷を行う場合に、第1の濃度値として、第1のセットの各色のパッチの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100を算出し、デューティが100〔%〕より低い印刷を行う場合に、前記濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100に対応する現像剤層厚としてのトナー層厚KL、CL、ML、YLに基づいて、現像剤ドット面積としてのトナードット面積KS、CS、MS、YSを算出し、該トナードット面積KS、CS、MS、YSに基づいて、第2の濃度値として、濃度値KOD50、COD50、MOD50、YOD50を算出する。
【0071】
濃度補正制御部Pr5は、濃度補正制御処理を行い、パターン印刷・検出部Pr3及び濃度値変換部Pr4と共に、濃度補正処理の全体を制御する。そのために、濃度補正制御部Pr5は、目標印刷濃度値テーブルTb5、現像電圧調整量テーブルTb6及び露光時間調整量テーブルTb7を参照し、目標印刷濃度値と前記第1、第2の濃度値との差に基づいて、現像電圧を補正するための調整量である現像電圧調整量、及び露光量を補正するための露光時間の調整量である露光時間調整量を算出し、印刷濃度を補正する。
【0072】
次に、制御部61の動作について説明する。
【0073】
図13は本発明の実施の形態における制御部の動作を示すフローチャート、図14は本発明の実施の形態における濃度検出パターンの例を示す図、図15は本発明の実施の形態におけるプリンタの寸法図、図16は本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第1の図、図17は本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第2の図、図18は本発明の実施の形態における濃度値とトナー層厚との関係を示す図、図19は本発明の実施の形態におけるトナー層厚と濃度値との関係を示す図、図20は本発明の実施の形態におけるデューティが50〔%〕であるときのトナードットパターンの例を示す図、図21は本発明の実施の形態における濃度値とセンサ検出電圧との関係を示す第1の図、図22は本発明の実施の形態における濃度値とセンサ検出電圧との関係を示す第2の図、図23は本発明の実施の形態における電圧差とトナードット面積との関係を示す図である。なお、図16において、横軸にセンサ検出電圧KV100を、縦軸に濃度値KOD100を、図17において、横軸にセンサ検出電圧CV100を、縦軸に濃度値COD100を、図18において、横軸に濃度値COD100を、縦軸にトナー層厚CLを、図19において、横軸にトナー層厚CLを、縦軸に濃度値CODS50を、図21において、横軸に濃度値KODS50を、縦軸にセンサ検出電圧KVS50を、図22において、横軸に濃度値CODS50を、縦軸にセンサ検出電圧CVS50を、図23において、横軸に電圧差δCVを、縦軸にトナードット面積CSを採ってある。
【0074】
まず、濃度補正処理実行判定部Pr1は、濃度補正処理実行条件が成立するのを待機する(ステップS1)。そのために、濃度補正処理実行判定部Pr1は、フラッシュROM64から前回濃度補正処理が終了した日時及び該日時における総印刷枚数を読み出し、総印刷枚数の変化量を表す印刷枚数が500〔枚〕になったかどうかを判断し、印刷枚数が500〔枚〕になると、濃度補正処理実行条件が成立したと判断する。
【0075】
濃度補正処理実行条件が成立すると、キャリブレーション処理部Pr2は濃度センサ44のキャリブレーションを行う(ステップS2)。そのために、キャリブレーション処理部Pr2は、フォトトランジスタ58、59の出力電圧が、あらかじめ設定されている設定値になるように赤外LED57の発光電流を調整する。本実施の形態においては、赤外LED57の発光電流の範囲を15~50〔mA〕とし、フォトトランジスタ58、59の各出力電圧の範囲を0~3〔V〕とした。
【0076】
本実施の形態においては、フォトトランジスタ58の出力電圧を検出する際の濃度センサ44のキャリブレーションの基準反射物として、濃度センサ44と搬送ベルト17との間に配設されるカバー49が使用される。そして、フォトトランジスタ58の出力電圧が設定値、本実施の形態においては、2.50〔V〕になるように赤外LED57の発光電流が調整される。
【0077】
また、本実施の形態においては、フォトトランジスタ59の出力電圧を検出する際の濃度センサ44のキャリブレーションの基準反射物として、搬送ベルト17が使用される。そして、フォトトランジスタ59の出力電圧が設定値、本実施の形態においては、2.50〔V〕になるように赤外LED57の発光電流が調整される。
【0078】
次に、パターン印刷・検出部Pr3は、ROM62から濃度検出パターンデータを読み出し、該濃度検出パターンデータに基づいて、図14に示されるような濃度検出パターンPtiを搬送ベルト17上に形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtiの濃度を検出する(ステップS3)。そのために、パターン印刷・検出部Pr3は、濃度検出パターンデータに基づいて各感光体ドラム31iの表面に濃度検出パターンPtiのトナー像を形成し、前記搬送ベルト17に転写する。
【0079】
濃度検出パターンPtiは、図14において、矢印で示される搬送ベルト17の走行方向における下流側から上流側にかけて形成されたブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチから成る第1のセットの4個のパッチ、並びに第1のセットの4個のパッチより上流側に形成されたブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチから成る第2の4個のパッチによって形成される。そして、第1のセットの各パッチは、デューティが100〔%〕で形成され、第2のセットの各パッチは、デューティが50〔%〕で形成される。
【0080】
また、濃度センサ44は、濃度検出パターンPtiの濃度を検出するに当たり、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチについてはフォトトランジスタ58の出力電圧を読み取り、ブラックパッチについてはフォトトランジスタ59の出力電圧を読み取り、センサ検出電圧として生成する。
【0081】
各パッチは、パッチ長がLp〔mm〕にされ、搬送ベルト17の走行方向において連続して形成され、各パッチ間の距離は0〔mm〕にされる。
【0082】
そして、濃度検出パターンPtiのトナー像を感光体ドラム31iに形成するとき、すなわち、印刷時の現像電圧は、あらかじめ設定された初期値DB
DB=-200〔V〕
にされ、露光時間は、あらかじめ設定された初期値DK
DK=0.28〔ms〕
にされる。
【0083】
なお、解像度が600〔dpi〕であり、1ドット(dot)当たりのピッチが0.042〔mm〕である場合、印刷時の搬送ベルト17の線速度を150〔mm/s〕とすると、副走査方向における1ドット当たりのLEDヘッド22iの駆動周期は0.28〔ms〕になる。
【0084】
ここで、図15に示されるように、プリンタ10における各画像形成ユニット16iの各感光体ドラム31iと転写ユニットu1の各転写ローラ21iとが搬送ベルト17を介して当接する部分を転写ニップ部とし、該転写ニップ部間の距離をLd〔mm〕とすると、前記パッチ長Lp〔mm〕は、
Lp=Ld/3〔mm〕
にされる。
【0085】
ところで、パターン印刷・検出部Pr3が濃度検出パターンPtiのトナー像を各感光体ドラム31iに形成する際において、感光体ドラム31i上の第1のセットのブラックパッチのトナー像の先端が感光体ドラム31Kと転写ローラ21Kとの転写ニップ部(ブラックの転写ニップ部)に到達するタイミングを起点として、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がブラックパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Kに転写電圧VTR0を印加し、第1のセットのブラックパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0086】
そして、搬送ベルト17が距離Ld〔mm〕走行させられると、搬送ベルト17に転写された濃度検出パターンPtiの第1のセットのブラックパッチのトナー像の後端が感光体ドラム31Cと転写ローラ21Cとのニップ部(シアンの転写ニップ部)に到達するタイミングに合わせて、濃度検出パターンPtiの第1のセットのシアンパッチのトナー像の先端が到達するように、感光体ドラム31C上に第1のセットのシアンパッチのトナー像が形成され、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がシアンパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Cに転写電圧VTR0を印加し、第1のセットのシアンパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0087】
続いて、搬送ベルト17が距離Ld〔mm〕走行させられると、搬送ベルト17に転写された濃度検出パターンPtiの第1のセットのシアンパッチのトナー像の後端が感光体ドラム31Mと転写ローラ21Mとの転写ニップ部(マゼンタの転写ニップ部)に到達するタイミングに合わせて、濃度検出パターンPtiの第1のセットのマゼンタパッチのトナー像の先端が到達するように、感光体ドラム31M上に第1のセットのマゼンタパッチのトナー像が形成され、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がマゼンタパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Mに転写電圧VTR0を印加し、第1のセットのマゼンタパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0088】
さらに、搬送ベルト17が距離Ld〔mm〕走行させられると、搬送ベルト17に転写された濃度検出パターンPtiの第1のセットのマゼンタパッチのトナー像の後端が感光体ドラム31Yと転写ローラ21Yとの転写ニップ部(イエローの転写ニップ部)に到達するタイミングに合わせて、濃度検出パターンPtiの第1のセットのイエローパッチのトナー像の先端が到達するように、感光体ドラム31Y上に第1のセットのイエローパッチのトナー像が形成され、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がイエローパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Yに転写電圧VTR0を印加し、第1のセットのイエローパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0089】
そして、濃度検出パターンPtiの第1のセットのブラックパッチが搬送ベルト17上に転写された後、搬送ベルト17が距離3×Lp〔mm〕走行させられるタイミングに合わせて、濃度検出パターンPtiの第2のセットのブラックパッチのトナー像の先端が感光体ドラム31Kと転写ローラ21Kとの転写ニップ部に到達するように、第2のセットのブラックパッチのトナー像が感光体ドラム31Kに形成され、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がブラックパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Kに転写電圧VTR0を印加し、第1のセットのブラックパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0090】
そして、同様に、第2のセットのシアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチが搬送ベルト17に転写され、搬送ベルト17上に濃度検出パターンPtiが形成される。
【0091】
なお、本実施の形態において、転写ローラ21iに印加される転写電圧VTR0は2000〔V〕にされる。
【0092】
このようにして、搬送ベルト17上に濃度検出パターンPtiが形成されると、パターン印刷・検出部Pr3は、濃度検出パターンPtiの第1のセットのブラックパッチの先端が感光体ドラム31Yと転写ローラ21Yとの間の転写ニップ部を通過してから、搬送ベルト17を距離Ls〔mm〕走行させ、濃度検出パターンPtiの第1のセットのブラックパッチの先端を濃度センサ44の位置に置き、更に搬送ベルト17をLp/2〔mm〕走行させることによって、第1のセットのブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチの各パッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。
【0093】
続いて、パターン印刷・検出部Pr3は、濃度センサ44の赤外LED57をキャリブレーション処理部Pr2による濃度センサ44のキャリブレーションで調整された発光電流で発光させ、濃度検出パターンPtiに赤外光を照射し、濃度が検出されるパッチがブラックパッチである場合、フォトトランジスタ59の出力電圧を読み取り、濃度が検出されるパッチがシアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチである場合、フォトトランジスタ58の出力電圧を読み取る。
【0094】
本実施の形態においては、最初に濃度が検出されるパッチがブラックパッチであるので、パターン印刷・検出部Pr3は、フォトトランジスタ59の出力電圧を読み取ると、搬送ベルト17を距離Lp〔mm〕走行させ、第1のセットのシアンパッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。次に濃度が検出されるパッチはシアンパッチであるので、パターン印刷・検出部Pr3は、フォトトランジスタ58の出力電圧を読み取り、搬送ベルト17を距離Lp〔mm〕走行させ、第1のセットのマゼンタパッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。そして、次に濃度が検出されるパッチはマゼンタパッチであるので、パターン印刷・検出部Pr3は、フォトトランジスタ58の出力電圧を読み取り、搬送ベルト17を距離Lp〔mm〕走行させ、第1のセットのイエローパッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。また、次に検出されるパッチはイエローパッチであるので、パターン印刷・検出部Pr3は、フォトトランジスタ58の出力電圧を読み取り、搬送ベルト17を距離Lp〔mm〕走行させ、第2のセットのブラックパッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。同様にして、パターン印刷・検出部Pr3は、第2のセットのブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチの濃度を検出する。
【0095】
そして、パターン印刷・検出部Pr3は、濃度検出パターンPtiの第1のセットのブラックパッチを検出したときのセンサ検出電圧をKV100とし、第1のセットのシアンパッチを検出したときのセンサ検出電圧をCV100とし、第1のセットのマゼンタパッチを検出したときのセンサ検出電圧をMV100とし、第1のセットのイエローパッチを検出したときのセンサ検出電圧をYV100とし、第2のセットのブラックパッチを検出したときのセンサ検出電圧をKV50とし、第2のセットのシアンパッチを検出したときのセンサ検出電圧をCV50とし、第2のセットのマゼンタパッチを検出したときのセンサ検出電圧をMV50とし、第2のセットのイエローパッチを検出したときのセンサ検出電圧をYV50としてRAM63に記録する。
【0096】
続いて、濃度値変換部Pr4は、前記センサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100、KV50、CV50、MV50、YV50に基づいて、第1の濃度値として、第1のセットの各色のパッチの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100を算出し、第2の濃度値として、第2のセットの各色のパッチの濃度値KOD50、COD50、MOD50、YOD50を算出する(ステップS4)。
【0097】
そのために、濃度値変換部Pr4は、まず、図6に示されるセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1を参照し、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数A~Cを読み出す。
センサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1のテーブル値は、濃度検出パターンPtiの第1のセットのデューティが100〔%〕の各色のパッチを検出したときのセンサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100と濃度値との関係を2次近似式で表したとき、及び第2のセットのデューティが50〔%〕の各色のパッチを検出したときのセンサ検出電圧KV50、CV50、MV50、YV50と濃度値との関係を2次近似式で表したときの、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数A~Cである。
【0098】
なお、図16及び17は、濃度検出パターンPtiの第1のセットのデューティが100〔%〕の各色のパッチを検出したときのセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す。
【0099】
図16において、LK1は、ブラックパッチのセンサ検出電圧KV100と濃度値KOD100との関係を2次近似式で表す線であり、図17において、LC1は、シアンパッチのセンサ検出電圧CV100と濃度値COD100との関係を2次近似式で表す線である。なお、マゼンタパッチ及びイエローパッチについても、センサ検出電圧MV100、YV100と濃度値MOD100、YOD100とを2次近似式で表すことができる。
【0100】
次に、濃度値変換部Pr4は、RAM63から各センサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100を読み出し、該各センサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100及び前記各係数A~Cに基づいて、濃度検出パターンPtiの第1のセットのブラックパッチの濃度値KOD100、シアンパッチの濃度値COD100、マゼンタパッチの濃度値MOD100、及びイエローパッチの濃度値YOD100を、前記第1の濃度値として式(1)~(4)によって算出する。
【0101】
KOD100=K100(A)×KV100 +K100(B)×KV100+K100(C) …(1)
COD100=C100(A)×CV100 +C100(B)×CV100+C100(C) …(2)
MOD100=M100(A)×MV100 +M100(B)×MV100+M100(C) …(3)
YOD100=Y100(A)×YV100 +Y100(B)×YV100+Y100(C) …(4)
次に、濃度値変換部Pr4は、図7に示される濃度値-トナー層厚変換テーブルTb2を参照し、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数D~Fを読み出す。
【0102】
濃度値-トナー層厚変換テーブルTb2のテーブル値は、濃度検出パターンPtiの第1のセットのデューティが100〔%〕の各色のパッチを印刷したときの濃度値と、トナー層厚との関係を、例えば、図18に示される2次近似式で表したときの、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数D~Fである。
【0103】
図18において、LC2は、シアンパッチの濃度値COD100とトナー層厚CLとの関係を2次近似式で表す線である。なお、ブラックパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチについても、濃度値KOD100、MOD100、YOD100と各トナー層厚KL、ML、YLとを2次近似式で表すことができる。
【0104】
次に、濃度値変換部Pr4は、各濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100及び前記各係数D~Fに基づいて、濃度検出パターンPtiの第1のセットのブラックパッチのトナー層厚KL、シアンパッチのトナー層厚CL、マゼンタパッチのトナー層厚ML及びイエローパッチのトナー層厚YLを式(5)~(8)によって算出する。
【0105】
KL=K(D)×KOD100 +K(E)×KOD100+K(F) …(5)
CL=C(D)×COD100 +C(E)×COD100+C(F) …(6)
ML=M(D)×MOD100 +M(E)×MOD100+M(F) …(7)
YL=Y(D)×YOD100 +Y(E)×YOD100+Y(F) …(8)
ここで、濃度値変換部Pr4は、濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕の各色のパッチのトナードット面積が基準値Sであると仮定した場合に、前記トナー層厚KL、CL、ML、YLにおける濃度値KODS50、CODS50、MODS50、YODS50を算出する。なお、本実施の形態において、トナードット面積の基準値Sは0.064〔mm〕にされる。
【0106】
そのために、濃度値変換部Pr4は、まず、図8に示されるトナー層厚-濃度値変換テーブルTb3を参照し、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数G~Iを読み出す。
【0107】
トナー層厚-濃度値変換テーブルTb3のテーブル値は、濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕の各色のパッチを印刷したときのトナー層厚と濃度値との関係を、例えば、図19に示される2次近似式で表したときの、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数G~Iである。
【0108】
図19において、LC3はシアンパッチのトナー層厚CLと濃度値CODS50との関係を2次近似式で表す線である。なお、ブラックパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチについても、濃度値KODS50、MODS50、YODS50とトナー層厚KL、ML、YLとを2次近似式で表すことができる。
【0109】
なお、算出される濃度値KODS50、CODS50、MODS50、YODS50は、トナードット面積が基準値Sであると仮定した場合の推測値、すなわち、推測濃度値であり、前記パターン印刷・検出部Pr3が、濃度検出パターンPtiの第2のセットのブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチの濃度を濃度センサ44によって検出したときの、すなわち、パターン検出時のセンサ検出電圧KV50、CV50、MV50、YV50を濃度値に変換したときの値ではない。これは、各色のパッチの濃度を濃度センサ44によって検出した時点では、各色のパッチのトナードット面積は分からないからである。
【0110】
次に、濃度値変換部Pr4は、ブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチの各トナー層厚KL、CL、ML、YL及び各係数G~Iに基づいて、トナードット面積が基準値Sであると仮定した場合の濃度検出パターンPtiの第2のセットのブラックパッチの濃度値KODS50、シアンパッチの濃度値CODS50、マゼンタパッチの濃度値MODS50及びイエローパッチの濃度値YODS50を式(9)~(12)によって算出する。
【0111】
KODS50=K(G)×KL+K(H)×KL+K(I) …(9)
CODS50=C(G)×CL+C(H)×CL+C(I) …(10)
MODS50=M(G)×ML+M(H)×ML+M(I) …(11)
YODS50=Y(G)×YL+Y(H)×YL+Y(I) …(12)
なお、濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕であるときのトナードットパターンは、図20に示されるように、縦横6ドットの塗りつぶしの有無を繰り返すパターンにされる。また、解像度が600〔dpi〕である場合、1ドットを0.042〔mm〕とすると、縦横6ドットの1辺は0.252〔mm〕になる。
【0112】
次に、濃度値変換部Pr4は、トナードット面積が基準値Sであると仮定した場合の、濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕である各色のパッチのセンサ検出電圧を算出する。
【0113】
そのために、濃度値変換部Pr4は、図6に示されるセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1を参照し、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数A~Cを読み出す。
【0114】
センサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1のテーブル値は、濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕の各色のパッチの濃度値とセンサ検出電圧との関係を2次近似式で表したときの、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数A~Cである。
【0115】
図21において、LK2はブラックパッチの濃度値KODS50とセンサ検出電圧KVS50との関係を2次近似式で表す線であり、図22において、LC4はシアンパッチの濃度値CODS50とセンサ検出電圧CVS50との関係を2次近似式で表す線である。なお、マゼンタパッチ及びイエローパッチについても、濃度値MODS50、YODS50とセンサ検出電圧MVS50、YVS50とを2次近似式で表すことができる。
【0116】
ここで、算出されるセンサ検出電圧KVS50、CVS50、MVS50、YVS50は、トナードット面積が基準値Sであると仮定した場合の推測値、すなわち、推測検出電圧であり、前記パターン検出時のセンサ検出電圧KV50、CV50、MV50、YV50ではない。これは、ブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチの濃度を濃度センサ44によって検出した時点では、各色のパッチのトナードット面積は分からないからである。
【0117】
次に、濃度値変換部Pr4は、濃度値KODS50、YODS50、YODS50、YODS50及び各係数A~Cに基づいて、トナードット面積が基準値Sであると仮定した場合の濃度検出パターンPtiの第2のセットのブラックパッチのセンサ検出電圧KVS50、シアンパッチのセンサ検出電圧CVS50、マゼンタパッチのセンサ検出電圧MVS50及びイエローパッチのセンサ検出電圧YVS50を式(13)~(16)によって算出する。
【0118】
KVS50=K50(A)×KODS50 +K50(B)×KODS50+K50(C) …(13)
CVS50=C50(A)×CODS50 +C50(B)×CODS50+C50(C) …(14)
MVS50=M50(A)×MODS50 +M50(B)×MODS50+M50(C) …(15)
YVS50=Y50(A)×YODS50 +Y50(B)×YODS50+Y50(C) …(16)
次に、濃度値変換部Pr4は、トナードット面積が基準値Sであると仮定した場合の濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕である各色のパッチのセンサ検出電圧KVS50、CVS50、MVS50、YVS50と、各色のパッチの濃度を濃度センサ44によって検出したときのセンサ検出電圧KV50、CV50、MV50、YV50との電圧差δKV、δCV、δMV、δYV
δKV=KVS50-KV50
δCV=CVS50-CV50
δMV=MVS50-MV50
δYV=YVS50-YV50
に基づいて、トナードット面積を算出する。該トナードット面積は、前記パターン検出時の各色のトナードット面積である。
【0119】
そのために、濃度値変換部Pr4は、図9に示されるセンサ検出電圧差-トナードット面積変換テーブルTb4を参照し、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数J及びKを読み出す。
【0120】
センサ検出電圧差-トナードット面積変換テーブルTb4のテーブル値は、濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕である各色のパッチの電圧差δKV、δCV、δMV、δYVとトナードット面積KS、CS、MS、YSとの関係を、例えば、図23に示される1次近似式で表したときの、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数J及びKである。
【0121】
図23において、LC5は、シアンパッチの電圧差δCVとトナードット面積CSとの関係を1次近似式で表す線である。なお、ブラックパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチについても、電位差δKV、δMV、δYVとトナードット面積KS、MS、YSとの関係を1次近似式で表すことができる。
【0122】
次に、濃度値変換部Pr4は、電圧差δKV、δCV、δMV、δYV並びに各係数J及びKに基づいて、濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕であるブラックパッチのトナードット面積KS、シアンパッチのトナードット面積CS、マゼンタパッチのトナードット面積MS及びイエローパッチのトナードット面積YSを、式(17)~(20)によって算出する。
【0123】
KS=K(J)×δKV+K(K) …(17)
CS=C(J)×δCV+C(K) …(18)
MS=M(J)×δMV+M(K) …(19)
YS=Y(J)×δYV+Y(K) …(20)
なお、本実施の形態において、係数K(K)、C(K)、M(K)、Y(K)は0.064にされ、電圧差δKV、δCV、δMV、δYVが0〔V〕であるときに、トナードット面積KS、CS、MS、YSは基準値である0.064〔mm〕になる。
【0124】
次に、濃度値変換部Pr4は、トナードット面積KS、CS、MS、YSに基づいて、デューティが100〔%〕より低い印刷を行う場合の第2の濃度値を算出する。
【0125】
この場合、トナードット面積KS、CS、MS、YSと濃度値KOD50、COD50、MOD50、YOD50とは比例関係を有するので、第2のセットの各色のパッチの濃度値KOD50、COD50、MOD50、YOD50を、トナードット面積が基準値Sであると仮定した場合の濃度値KODS50、CODS50、MODS50、YODS50との面積比に基づいて算出することができる。
【0126】
したがって、濃度値変換部Pr4は、濃度検出パターンPtiの第2のセットのブラックパッチの濃度値KOD50、シアンパッチの濃度値COD50、マゼンタパッチの濃度値MOD50及びイエローパッチの濃度値YOD50を、前記第2の濃度値として式(21)~(24)によって算出する。
【0127】
KOD50=KODS50×KS/S …(21)
COD50=CODS50×CS/S …(22)
MOD50=MODS50×MS/S …(23)
YOD50=YODS50×YS/S …(24)
このようにして、濃度変換部Pr4によって、濃度検出パターンPtiの第1、第2のセットの各色のパッチのセンサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100、KV50、CV50、MV50、YV50に基づいて濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD50、COD50、MOD50、YOD50が算出されると、濃度補正制御部Pr5は、各画像形成ユニット16iの現像ローラ33に印加される現像電圧を補正する(ステップS5)。
【0128】
そのために、前記濃度補正制御部Pr5は、まず、図10に示される目標濃度値テーブルTb5を参照し、目標印刷濃度値KODT100、CODT100、MODT100、YODT100、KODT50、CODT50、MODT50、YODT50を読み出し、目標印刷濃度値KODT100、CODT100、MODT100、YODT100、KODT50、CODT50、MODT50、YODT50と、濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD50、COD50、MOD50、YOD50との差分δKOD100、δCOD100、δMOD100、δYOD100、δKOD50、δCOD50、δMOD50、δYOD50
δKOD100=KODT100-KOD100
δCOD100=CODT100-COD100
δMOD100=MODT100-MOD100
δYOD100=YODT100-YOD100
δKOD50=KODT50-KOD50
δCOD50=CODT50-COD50
δMOD50=MODT50-MOD50
δYOD50=YODT50-YOD50
を算出するとともに、図11に示される現像電圧調整量テーブルTb6を参照し、差分δKOD100、δCOD100、δMOD100、δYOD100、δKOD50、δCOD50、δMOD50、δYOD50に対応する現像電圧調整量ΔKDB100、ΔCDB100、ΔMDB100、ΔYDB100、ΔKDB50、ΔCDB50、ΔMDB50、ΔYDB50を読み出す。
【0129】
該現像電圧調整量ΔKDB100、ΔCDB100、ΔMDB100、ΔYDB100、ΔKDB50、ΔCDB50、ΔMDB50、ΔYDB50は、現像電圧が1〔V〕変化するときの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD50、COD50、MOD50、YOD50の変化量である。現像電圧を変化させると、トナー層厚を変化させることができ、低デューティから高デューティまで印刷濃度を調整することができる。
【0130】
続いて、濃度補正制御部Pr5は、差分δKOD100、δCOD100、δMOD100、δYOD100、δKOD50、δCOD50、δMOD50、δYOD50、及び現像電圧調整量ΔKDB100、ΔCDB100、ΔMDB100、ΔYDB100、ΔKDB50、ΔCDB50、ΔMDB50、ΔYDB50に基づいて、現像電圧調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を算出する。
【0131】
なお、本実施の形態においては、デューティが100〔%〕である場合の現像電圧調整量の計算値と、デューティが50〔%〕である場合の現像電圧調整量の計算値との平均値を現像電圧調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)とする。
【0132】
したがって、濃度補正制御部Pr5は、ブラックの現像電圧調整量KDB(A)、シアンの現像電圧調整量CDB(A)、マゼンタの現像電圧調整量MDB(A)及びイエローの現像電圧調整量YDB(A)を式(25)~(28)によって算出する。
【0133】
KDB(A)=-(δKOD100/ΔKDB100+δKOD50/ΔKDB50)/2 …(25)
CDB(A)=-(δCOD100/ΔCDB100+δCOD50/ΔCDB50)/2 …(26)
MDB(A)=-(δMOD100/ΔMDB100+δMOD50/ΔMDB50)/2 …(27)
YDB(A)=-(δYOD100/ΔYDB100+δYOD50/ΔYDB50)/2 …(28)
濃度補正制御部Pr5は、算出した現像電圧調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を高圧制御部65に送り、現像電圧を増減するよう指示すると、現像電圧発生部Pw2は、印刷動作時に現像電圧の初期値DBに現像電圧調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を加えた現像電圧KDB、CDB、MDB、YDBを各現像ローラ33に印加する。
【0134】
すなわち、濃度補正制御部Pr5は、ブラックの現像電圧KDB、シアンの現像電圧CDB、マゼンタの現像電圧MDB及びイエローの現像電圧YDBを式(29)~(32)によって算出する。
【0135】
KDB=DB+KDB(A) …(29)
CDB=DB+CDB(A) …(30)
MDB=DB+MDB(A) …(31)
YDB=DB+YDB(A) …(32)
続いて、パターン印刷・検出部Pr3は、現像電圧KDB、CDB、MDB、YDBが各現像ローラ33に印加された状態で、ROM62から濃度検出パターンデータを読み出し、該濃度検出パターンデータに基づいて図14に示される濃度検出パターンPtiを搬送ベルト17上に形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtiの濃度を検出する(ステップS6)。
【0136】
次に、濃度値変換部Pr4は、ステップS4において第1の濃度値を算出した方法と同様の方法で、パターン検出時のブラック、シアン、マゼンタ及びイエローのセンサ検出電圧に基づいて、濃度検出パターンPtiの第1のセットのブラックパッチの濃度値KOD´100、シアンパッチの濃度値COD´100、マゼンタパッチの濃度値MOD´100及びイエローパッチの濃度値YOD´100、並びに第2のセットのブラックパッチの濃度値KOD´50、シアンパッチの濃度値COD´50、マゼンタパッチの濃度値MOD´50及びイエローパッチの濃度値YOD´50を第3の濃度値として算出する(ステップS7)。
【0137】
そして、濃度補正制御部Pr5は、各LEDヘッド22iの露光時間を補正する(ステップS8)。
【0138】
そのために、前記濃度補正制御部Pr5は、まず、図10に示される目標濃度値テーブルTb5を参照し、目標印刷濃度値KODT100、CODT100、MODT100、YODT100、KODT50、CODT50、MODT50、YODT50を読み出し、目標印刷濃度値KODT100、CODT100、MODT100、YODT100、KODT50、CODT50、MODT50、YODT50と、濃度値KOD´100、COD´100、MOD´100、YOD´100、KOD´50、COD´50、MOD´50、YOD´50との差分δKOD´100、δCOD´100、δMOD´100、δYOD´100、δKOD´50、δCOD´50、δMOD´50、δYOD´50
δKOD´100=KODT100-KOD´100
δCOD´100=CODT100-COD´100
δMOD´100=MODT100-MOD´100
δYOD´100=YODT100-YOD´100
δKOD´50=KODT50-KOD´50
δCOD´50=CODT50-COD´50
δMOD´50=MODT50-MOD´50
δYOD´50=YODT50-YOD´50
を算出するとともに、図12に示される露光時間調整量テーブルTb7を参照し、差分δKOD´50、δCOD´50、δMOD´50、δYOD´50に対応する露光時間単位調整量ΔKDK50、ΔCDK50、ΔMDK50、ΔYDK50を読み出す。
【0139】
該露光時間単位調整量ΔKDK50、ΔCDK50、ΔMDK50、ΔYDK50は、露光時間が1〔%〕変化するときの濃度値KOD50、COD50、MOD50、YOD50の変化量である。露光時間を変化させると、主として低デューティ部から中間デューティ部の濃度を増減させることができる。なお、デューティが100〔%〕である場合、ベタ画像が形成され、露光時間によってドットの大小を調整することができないのに対して、デューティが50〔%〕である場合、露光時間によってドットの大小を調整することができるので、露光時間調整量テーブルTb7には、差分δKOD´50、δCOD´50、δMOD´50、δYOD´50に対応する露光時間単位調整量ΔKDK50、ΔCDK50、ΔMDK50、ΔYDK50だけが記録される。
【0140】
続いて、濃度補正制御部Pr5は、差分δKOD´50、δCOD´50、δMOD´50、δYOD´50及び露光時間単位調整量ΔKDK50、ΔCDK50、ΔMDK50、ΔYDK50に基づいて、ブラックの露光時間調整量KDK(A)、シアンの露光時間調整量CDK(A)、マゼンタの露光時間調整量MDK(A)及びイエローの露光時間調整量YDK(A)を式(33)~(36)によって算出する。
【0141】
KDK(A)=δKOD´50/ΔKDK50 …(33)
CDK(A)=δCOD´50/ΔCDK50 …(34)
MDK(A)=δMOD´50/ΔMDK50 …(35)
YDK(A)=δYOD´50/ΔYDK50 …(36)
そして、濃度補正制御部Pr5は、算出した露光時間調整量KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)及び現像電圧調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)をLEDヘッドインタフェース部53に送り、露光時間を増減するよう指示すると、LEDヘッドインタフェース部53は、印刷動作時の露光時間の初期値DKに露光時間調整量KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)を乗算して得られた値をそれぞれ初期値DKに加算することによって算出された露光時間KDK、CDK、MDK、YDKで各LEDヘッド22iを駆動する。
【0142】
すなわち、濃度補正制御部Pr5は、ブラックの露光時間KDK、シアンの露光時間CDK、マゼンタの露光時間MDK及びイエローの露光時間YDKを式(37)~(40)によって算出する。
【0143】
KDK=DK+DK×KDK(A) …(37)
CDK=DK+DK×CDK(A) …(38)
MDK=DK+DK×MDK(A) …(39)
YDK=DK+DK×YDK(A) …(40)
続いて、濃度補正制御部Pr5は、補正がされた現像電圧KDB、CDB、MDB、YDB及び露光時間KDK、CDK、MDK、YDKをフラッシュROM64に記録する(ステップS9)。
【0144】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 濃度補正処理実行判定部Pr1は濃度補正処理実行条件が成立するのを待機する。濃度補正処理実行条件が成立した場合はステップS2に進む。
ステップS2 キャリブレーション処理部Pr2は濃度センサ44のキャリブレーションを行う。
ステップS3 パターン印刷・検出部Pr3は濃度検出パターンPtiを搬送ベルト17上に形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtiの濃度を検出する。
ステップS4 濃度値変換部Pr4は第1、第2の濃度値を算出する。
ステップS5 濃度補正制御部Pr5は各画像形成ユニット16iの現像ローラ33に印加される現像電圧を補正する。
ステップS6 パターン印刷・検出部Pr3は濃度検出パターンPtiを搬送ベルト17上に形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtiの濃度を検出する。
ステップS7 濃度値変換部Pr4は第3の濃度値を算出する。
ステップS8 濃度補正制御部Pr5は各LEDヘッド22iの露光時間を補正する。
ステップS9 濃度補正制御部Pr5は補正がされた現像電圧KDB、CDB、MDB、YDB及び露光時間KDK1、CDK1、MDK1、YDK1をフラッシュROM64に記録し、処理を終了する。
【0145】
このように、本実施の形態においては、デューティが100〔%〕の印刷を行う場合に、濃度センサ44によって発生させられたセンサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100に対応する第1の濃度値として濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100が算出され、デューティが100〔%〕より低い印刷を行う場合に、前記濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100に対応するトナー層厚KL、ML、YLに基づいてデューティが100〔%〕より低い印刷を行う場合の、トナードット面積KS、CS、MS、YSが算出され、該トナードット面積KS、CS、MS、YSに基づいて、デューティが100〔%〕より低い印刷を行う場合の第2の濃度値として濃度値KOD50、COD50、MOD50、YOD50が算出されるので、LEDヘッド22iの発光特性、感光体ドラム31iの露光特性等が、経時的に変化したり、プリンタ10が置かれている環境によって変化したりしても、濃度値KV100、CV100、MV100、YV100、KV50、CV50、MV50、YV50と印刷濃度との相関関係のずれの影響を受けることがなくなる。
【0146】
したがって、印刷濃度を精度良く補正することができる。
【0147】
次に、例えば、濃度センサ44がデューティが50〔%〕であるシアンパッチの濃度を検出したときのセンサ検出電圧CV50と、該センサ検出電圧CV50に基づいて算出された濃度値COD50との関係について説明する。
【0148】
図24は本発明の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第3の図である。なお、図において、横軸にセンサ検出電圧CV50を、縦軸に濃度値COD50を採ってある。
【0149】
デューティが50〔%〕であるシアンパッチの濃度を検出したときのセンサ検出電圧CV50に基づいて濃度値を算出する際に、デューティが100〔%〕であるときと同様に、図6に示されるセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1を参照して、デューティが50〔%〕であるときのセンサ検出電圧と濃度値の関係を示す2次近似式の係数A~Cを読み出し、係数A~C及びセンサ検出電圧に基づいて濃度値を算出することが考えられる。
【0150】
ここで、係数Aを-0.177とし、係数Bを0.908とし、係数Cを-0.192とし、デューティが50〔%〕であるときのセンサ検出電圧を1.700〔V〕とすると、濃度値COD50は、図の▲で示されるように、
COD50=-0.177×1.700+0.908×1.700-0.192
=0.840〔V〕
になる。
【0151】
しかしながら、LEDヘッド22iの光量、感光体ドラム31iの露光特性等が、経時的に変化したり、プリンタ10が置かれている温度、湿度等の環境によって変化したりすると、印刷濃度が変化することがあり、実際に測定した印刷濃度は、図の×で示されるように0.900であった。すなわち、センサ検出電圧に基づいて算出した濃度値と実際の印刷濃度との差が0.060になり、印刷濃度を目標とする印刷濃度にするのが困難になってしまう。
【0152】
本実施の形態においては、濃度検出パターンPtiの第1のセットのシアンパッチを検出したときのセンサ検出電圧CV100を2.700〔V〕とし、センサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1のテーブル値C100(A)を-0.478とし、C100(B)を2.722とし、C100(C)を-2.293とすると、シアンパッチの濃度値COD100は、前記式(2)より1.572となる。
【0153】
また、濃度値-トナー層厚変換テーブルTb2のテーブル値C(D)を14.626とし、C(E)を-36.105とし、C(F)を26.121とすると、濃度検出パターンPtiのシアンパッチのトナー層厚CLは、式(6)より5.507〔μm〕になる。
【0154】
そして、トナー層厚-濃度値変換テーブルTb3のテーブル値C(G)を-0.006とし、C(H)を0.179とし、C(I)を-0.004とすると、トナードット面積が基準値Sだったと仮定した場合の濃度検出パターンPtiの第2のセットのシアンパッチの濃度値CODS50は、式(10)より0.800になる。
【0155】
また、センサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1のテーブル値C50(A)を3.573とし、C50(B)を-2.811とし、C50(C)を1.545とすると、トナードット面積が基準値Sであると仮定した場合の濃度検出パターンPtiの第2のセットのシアンパッチのセンサ検出電圧CVS50は、式(14)より1.583〔V〕になる。
【0156】
そして、濃度検出パターンPtiの第2のセットのシアンパッチのセンサ検出電圧CV50を1.700〔V〕とし、センサ検出電圧差-トナードット面積変換テーブルTb4のテーブル値C(J)を0.074とし、C(K)を0.064とすると、濃度検出パターンPtiの第2のセットのデューティが50〔%〕のシアンパッチのトナードット面積CSは、式(18)より0.073〔mm〕になる。
【0157】
また、濃度検出パターンPtiの第2のセットのシアンパッチの濃度値COD50は、前記式(22)より0.913になる。ここで、用紙における実際の印刷濃度が0.900である場合、本実施の形態において算出した濃度値との差は0.013になり、センサ検出電圧に基づいて算出した濃度値と実際の印刷濃度との差0.060の約1/5にすることができる。
【0158】
本実施の形態においては、画像形成ユニット16iが4個配設されるようになっているが、少なくとも1つ以上の画像形成ユニットを有するプリンタに適用することができる。
【0159】
前記実施の形態においてはプリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0160】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0161】
10 プリンタ
16i 画像形成ユニット
17 搬送ベルト
44 濃度センサ
KL、KC、KM、KY トナー層厚
KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD50、COD50、MOD50、YOD50 濃度値
KODT100、CODT100、MODT100、YODT100、KODT50、CODT50、MODT50、YODT50 目標印刷濃度値
KS、CS、MS、YS トナードット面積
KV100、CV100、MV100、YV100、KV50、CV50、MV50、YV50 センサ検出電圧
Pr4 濃度値変換部
Pr5 濃度補正制御部
Pti 濃度検出パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24