(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072599
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183524
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池澤 佑太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC24
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】車両が片側一車線を走行している場合に、車両が交差点を右左折するための支援制御が適切に実行できなくなる可能性を低減できる運転支援制御を提供する。
【解決手段】運転支援装置は、車両の前方に交差点を検知し、且つ、車両が右左折しようとする右左折方向が禁止方向でない場合、交差点の右左折を支援するための支援制御を実行する。運転支援装置は、車両が走行する車線上に標示された路面矢印を検知した場合、路面矢印に基いて特定した右左折を禁止する禁止方向を所定の記憶領域に記憶し、車両が片側一車線でない車線を走行している場合において車両が路面矢印を通過してからの走行距離が第1消去距離以上となったとき、禁止方向を記憶領域から消去し、車両が片側一車線を走行している場合において走行距離が第1消去距離よりも短い第2消去距離以上となったとき、禁止方向を記憶領域から消去する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方の風景を撮影して画像データを取得するように構成されたカメラと、
所定の支援条件が成立した場合、交差点の右左折を支援するための支援制御を実行するように構成された制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像データに基いて前記車両が走行する車線上に標示された路面矢印を検知した場合、前記路面矢印に基いて特定した右左折を禁止する禁止方向を所定の記憶領域に記憶し、
前記車両の前方に前記交差点を検知しているとの第1条件が成立し、且つ、
前記車両が右左折しようとする右左折方向が前記禁止方向でないとの第2条件の両方が成立した場合、前記支援条件が成立したと判定し、
前記車両が片側一車線でない車線を走行している場合において前記車両が前記路面矢印を通過してからの走行距離が所定の第1消去距離以上となったとき、前記禁止方向を前記記憶領域から消去し、
前記車両が前記片側一車線を走行している場合において前記走行距離が前記第1消去距離よりも短い第2消去距離以上となったとき、前記禁止方向を前記記憶領域から消去する、
ように構成された、運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記制御部は、
前記車両の速度を表す車速を所定の支援車速まで減速させるように前記車両を制御する減速制御、及び、
前記右左折に関する情報を含む支援画面を前記車両の表示装置に表示する表示制御
の少なくとも一方を、前記支援制御として実行する、
ように構成された、運転支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記制御部は、
前記画像データに基いて前記路面矢印を検知した場合、前記路面矢印に基いて特定した前記右左折を許可する許可方向を特定し、前記許可方向以外の方向を前記禁止方向として特定し、
前記許可方向及び前記禁止方向を前記記憶領域に記憶し、
前記支援条件が成立し且つ前記許可方向が記憶されていない場合、前記支援条件が成立し且つ前記右左折方向と前記許可方向とが一致した場合に比べて、前記支援制御を抑制し、
前記車両が前記片側一車線を走行している場合、前記走行距離が前記第2消去距離よりも長い第3消去距離以上となったとき、前記許可方向を前記記憶領域から消去する、
ように構成された、運転支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運転支援装置において、
前記制御部は、
前記車両が前記片側一車線でない車線を走行している場合、前記走行距離が前記第1消去距離以上となったとき、前記許可方向を前記記憶領域から消去し、
前記第3消去距離を前記第1消去距離と同じ値に予め設定するように構成された、
運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が交差点で右左折を行う場合に右左折を支援するための支援制御を行う運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、右左折を支援するための支援制御を実行する運転支援装置が知られている。このような運転支援装置は、車両が走行する車線上に標示された路面矢印に基いて右左折の禁止方向を特定し、車両が右左折しようとする右左折方向が禁止方向でない場合に支援制御を実行する。なお、路面矢印は、車両の進行が許される許可方向を示すものである。
【0003】
路面矢印は交差点の手前に標示されているため、運転支援装置は、特定した禁止方向を記憶しておく必要がある。例えば、特許文献1に記載の運転支援装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、路面矢印に関する情報を記憶しておき、路面矢印が最後に検知された後の走行距離が閾値距離以上となった場合に路面矢印に関する情報を消去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
複数の交差点が連続して設置されており、手前の交差点に適用され且つ奥の交差点に適用されない路面矢印がある。特に片側一車線では、「信号機が設置されていない交差点」及び「車両が走行する車線に交差する交差車線の幅が狭い交差点」等が多いため、交差点が検知されにくい。手前の交差点が検知されず且つ路面矢印から奥の交差点までの距離が上記閾値距離未満である場合、従来装置は、手前の交差点にのみ適用される路面矢印を消去しないので、路面矢印を奥の交差点に誤って適用してしまう。この結果、従来装置は、奥の交差点で車両が右左折を行う場合に支援制御を適切に実行できなくなる可能性がある。
【0006】
本発明は前述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、車両が片側一車線を走行している場合に、支援制御が適切に実行できなくなる可能性を低減できる運転支援制御を提供することにある。
【0007】
本発明の運転支援装置(以下、「本発明装置」と称呼する。)は、
車両の前方の風景を撮影して画像データを取得するように構成されたカメラ(22)と、
所定の支援条件が成立した場合、交差点の右左折を支援するための支援制御を実行するように構成された制御部(20)と、を備え、
前記制御部は、
前記画像データに基いて前記車両が走行する車線上に標示された路面矢印を検知した場合(ステップ315「Yes」)、前記路面矢印に基いて特定した右左折を禁止する禁止方向を所定の記憶領域(28a)に記憶し(ステップ330)、
前記車両の前方に前記交差点を検知しているとの第1条件が成立し(ステップ505「Yes」)、且つ、
前記車両が右左折しようとする右左折方向が前記禁止方向でないとの第2条件の両方が成立した場合(ステップ520「No」)、前記支援条件が成立したと判定し、
前記車両が片側一車線でない車線を走行している場合において(ステップ420「No」)前記車両が前記路面矢印を通過してからの走行距離が所定の第1消去距離以上となったとき(ステップ425「Yes」)、前記禁止方向を前記記憶領域から消去し(ステップ430)、
前記車両が前記片側一車線を走行している場合において(ステップ420「Yes」)前記走行距離が前記第1消去距離よりも短い第2消去距離以上となったとき(ステップ440「Yes」)、前記禁止方向を前記記憶領域から消去する(ステップ430)、
ように構成されている。
【0008】
片側一車線では、交差点が検知されない可能性が高まる。交差点が検知できないことに起因して、その交差点の手前に標示された路面矢印を次の交差点に誤って適用してしまう可能性が高い。本発明装置は、車両が片側一車線を走行している場合には、車両が路面矢印を通過してからの走行距離が「第1消去距離よりも短い第2消去距離」以上となったときに、禁止方向を記憶領域から消去する。これにより、車両が片側一車線を走行している場合に路面矢印の交差点への誤適用の可能性を低減でき、支援制御が適切に実行できなくなる可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る運転支援装置の概略構成図である。
【
図3】運転支援装置のCPUが実行するルーチンのフローチャートである。
【
図4】運転支援装置のCPUが実行するルーチンのフローチャートである。
【
図5】運転支援装置のCPUが実行するルーチンのフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態の変形例に係る運転支援装置のCPUが実行するルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示したように、本実施形態に係る運転支援装置(以下、「本装置10」と称呼する。)は、車両VAに適用され、
図1に示した構成要素を備える。
【0011】
運転支援ECU20は、自動運転の一種である後述する支援制御を実行するECUであり、以下、「ECU20」と表記する。
【0012】
本明細書において、「ECU」はマイクロコンピュータを主要部として備える電子式制御装置である。ECUは、制御部、コントローラ又はコンピュータとも称呼される。マイクロコンピュータは、CPU(プロセッサ)、ROM、RAM及びインタフェース等を含む。ECU20の機能は、複数のECUにより実現されてもよい。
【0013】
カメラ22は、車両VAの前方の風景を撮影することにより画像データを取得し、画像データに基いて路面矢印情報及び信号機情報を取得する。カメラ22は、路面矢印情報及び信号機情報をECU20に送信する。
【0014】
路面矢印情報は、車両VAが走行する車線に標示された路面矢印RAに関する情報であり、路面矢印RAが進行を許可している許可方向と、路面矢印RAまでの距離Draと、を含む。信号機情報は、道路に設置された信号機TRまでの距離Dtrを含む。
【0015】
車速センサ24は、車両VAの速度を表す車速Vsを検出する。加速度センサ26は、車両VAの前後方向の加速度Gを検出する。ECU20は、これらの検出値を取得する。
【0016】
ウィンカーレバー28は、車両VAの図示しないステアリングホイール付近に設けられる。運転者がウィンカーレバー28を下方向に操作した場合には右ウィンカー30Rが作動(点滅)する。運転者がウィンカーレバー28を上方向に操作した場合には左ウィンカー30Lが作動(点滅)する。なお、ウィンカーレバー28の操作方向と左右ウィンカー(30R、30L)の作動との関係はこれに限定されない。
【0017】
右ウィンカー30Rは車両VAの右側に配設されている。左ウィンカー30Lは車両VAの左側に配設されている。パワートレーンアクチュエータ32は、車両VAの駆動装置(例えば、内燃機関及び/又は電動機)が発生する駆動力を変更する。ブレーキアクチュエータ34は、車両VAに付与される制動力を制御する。表示装置36は車両VAの車室内に配設される。表示装置36は、交差点までの距離を表す支援画面を表示する。記憶装置38は、ECU20がデータの読み書き可能である禁止方向記憶領域38aを有する。禁止方向記憶領域38aには、右方向及び左方向のうち「路面矢印RAにより進行が禁止される禁止方向」が記憶される。
【0018】
(作動)
ECU20は、車両VAが交差点にて右左折を行う場合に、その右左折を支援するための支援制御を実行する。一例として、ECU20は、車速Vsを所定の支援車速Vrlまで減速させる減速制御を上記支援制御として実行する。なお、ECU20は、表示装置36に上記支援画面を表示させる表示制御を上記支援制御として実行してもよいし、減速制御及び表示制御の両方を上記支援制御として実行してもよい。
【0019】
より詳細には、ECU20は、以下の条件1及び条件2の総てが成立した場合、所定の支援条件が成立したと判定し、支援制御を実行する。
【0020】
条件1:ECU20が交差点を検知したこと。
一例として、ECU20は、信号機情報に基いて距離Dtrを特定し、距離Dtrが所定の開始距離Dst以下となった場合に交差点を検知したと判定する。
【0021】
条件2:車両VAが右左折しようとする右左折方向が禁止方向でないこと。
ECU20は、ウィンカーレバー28の操作方向に基いて右左折方向を特定する。即ち、ECU20は、ウィンカーレバー28の操作方向が下方向である場合には右左折方向が右方向であると特定し、ウィンカーレバー28の操作方向が上方向である場合には右左折方向が左方向であると特定する。
更に、ECU20は、路面矢印情報に基いて許可方向を特定し、右方向及び左方向のうち許可方向でない方向を禁止方向として特定する。そして、ECU20は、禁止方向を禁止方向記憶領域38aに記憶する。
右左折方向が禁止方向である場合、車両VAが交差点で右左折を行う可能性が低いので、支援条件の一つとしている。例えば、禁止方向が左方向である場合において、右折を行うために停車している先行車を車両VAが左方向から追い越すとき、右左折方向と禁止方向とが一致する。
【0022】
ところで、ECU20は、路面矢印RAにより特定される禁止方向が適用されるべきでない交差点に適用されることを防止するために、禁止方向記憶領域38aに記憶された禁止方向を消去する必要がある。ECU20は、車両VAが路面矢印RAを通過した後の走行距離Dが所定の消去距離Dth以上となった場合、禁止方向を消去する。特に、本実施形態のECU20は、車両VAが片側一車線でない車線を走行している場合の第1消去距離D1thよりも、車両VAが片側一車線を走行している場合の第2消去距離D2thを短くする点に特徴がある。
【0023】
図2に示したように、片側一車線の道路に二つの交差点IN1及びIN2が存在し、且つ、路面矢印RAの許可方向及び禁止方向が手前の交差点IN1にのみ適用される。路面矢印RAは交差点IN1での左折を禁じるが交差点IN2での左折は禁じない。
交差点IN1には信号機TRが設置されず、交差点IN2には信号機TRが設置されている。このため、ECU20は、信号機情報に基いて交差点IN2を検知できるが、交差点IN1を検知できない。「信号機TRが設置されていない交差点」(即ち、ECU20が検知できない交差点)は、片側一車線の道路に特に多く存在する。上記した特徴のように、車両VAが片側一車線を走行している場合、ECU20は、走行距離Dが「第1消去距離D1thよりも短い第2消去距離D2th」以上となった場合に禁止方向を消去する。これにより、本実施形態によれば、路面矢印RAの許可方向及び禁止方向が交差点IN2にも適用される可能性を低減でき、交差点IN2にて車両VAが左折を行うときに支援制御が実行されない可能性を低減できる。
【0024】
(作動例)
図2に示した時点t1にて、ECU20は、路面矢印RAを検知し、禁止方向(左)を禁止方向記憶領域38aに記憶する。時点t2にて、ECU20は、車両VAが路面矢印RAを通過したと判定し、走行距離Dをカウントし始める。
【0025】
時点t3にて、ECU20は、走行距離Dが第2消去距離D2th以上となり、禁止方向(左)を禁止方向記憶領域38aから消去する。
【0026】
なお、ECU20は、画像データに基いて片側一車線条件が成立しているか否かを所定時間が経過する毎に判定する。詳細には、ECU20は、以下の条件3及び条件4の両方が成立した場合、片側一車線条件が成立したと判定する。
【0027】
条件3:車両VAの左側にガードレール、縁石及び道路端等を検知していること。
条件4:車両VAが走行する走行車線の右側に隣接車線があり、当該隣接車線を走行する隣接車両が車両VAに向かって走行する対向車であること。
【0028】
時点t4にて、距離Dtrが開始距離Dst以下となっており、ウィンカーレバー28が上方向に操作される。この場合、距離Dtrが開始距離Dst以下であるので、上記条件1が成立する。禁止方向記憶領域38aには禁止方向が記憶されていないので、右左折方向(左方向)と禁止方向でないので、上記条件2が成立する。従って、ECU20は、時点t4にて上記支援条件が成立したと判定し、支援制御を実行する。
【0029】
仮に、ECU20は、車両VAが片側一車線でない車線(例えば、片側二車線)を走行していると判定した場合、走行距離Dが「第2消去距離D2thよりも長い第1消去距離D1th」以上となったときに、禁止方向を消去する。
【0030】
(具体的作動)
ECU20のCPUは、
図3にフローチャートにより示したルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0031】
<禁止方向記憶ルーチン>
適当な時点が到来すると、CPUは、
図3のステップ300から処理を開始し、ステップ305及びステップ310を実行する。
ステップ305:CPUは、路面矢印情報を取得する。
ステップ310:CPUは、検知フラグXdetの値が「0」であるか否かを判定する。CPUは、路面矢印RAが検知された時点から車両VAがその路面矢印RAを通過する時点までの期間、検知フラグXdetを「1」に設定する。なお、CPUは、初期化ルーチンにて検知フラグXdetを「0」に設定する。CPUは、イグニッションキースイッチがオフ位置からオン位置へと変更されたときに初期化ルーチンを実行する。
【0032】
CPUは、検知フラグXdetが「0」であると判定した場合(ステップ310「Yes」)、ステップ315にて路面矢印RAが検知されたか否かを路面矢印情報に基いて判定する。
【0033】
CPUは、路面矢印RAが検知されたと判定した場合(ステップ315「Yes」)、ステップ320乃至ステップ335を実行する。
ステップ320:CPUは、禁止方向記憶領域38aに既に記憶されている禁止方向を消去する。
ステップ325:CPUは、検知フラグXdetを「1」に設定し、通過フラグXpassを「0」に設定する。CPUは、車両VAが路面矢印RAを通過した場合に通過フラグXpassを「1」に設定し、その路面矢印RAの禁止方向を消去した場合に「0」に設定する。
【0034】
ステップ330:CPUは、路面矢印情報に基いて禁止方向を特定する。
ステップ335:CPUは、禁止方向を禁止方向記憶領域38aに記憶する。
その後、CPUは、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0035】
CPUは、ステップ310にて検知フラグXdetが「1」であると判定した場合(ステップ305「No」)、ステップ340にて、車両VAが路面矢印RAを通過したか否かを路面矢印情報に基いて判定する。
【0036】
CPUは、車両VAが路面矢印RAを通過したと判定した場合(ステップ340「Yes」)、ステップ345及びステップ350を実行する。
ステップ345:CPUは、検知フラグXdetを「0」に設定し、通過フラグXpassを「1」に設定する。
ステップ350:CPUは、走行距離Dを「0」に設定する。
その後、CPUは、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0037】
路面矢印RAが検知されていないとCPUが判定した場合(ステップ315「No」)、車両VAが路面矢印RAを通過していないとCPUが判定した場合(ステップ340「No」)、CPUはステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0038】
<禁止方向消去ルーチン>
適当な時点が到来すると、CPUは、
図4のステップ400から処理を開始し、ステップ405に進む。ステップ405にて、CPUは、通過フラグXpassが「1」であるか否かを判定する。
【0039】
CPUは、通過フラグXpassが「1」であると判定した場合(ステップ405「Yes」)ステップ410乃至ステップ420を実行する。
ステップ410:CPUは、カメラ22から画像データを取得する。
ステップ415:CPUは、本ルーチンが前回実行されてから今回実行されるまでの期間に車両VAが走行した今回走行距離Dpを走行距離Dに加算する。CPUは、車速センサ24からの検出値に基いて今回走行距離Dpを特定する。
ステップ420:CPUは、画像データに基いて、車両VAが片側一車線を走行しているか否かを判定する。
【0040】
CPUは、車両VAが片側一車線を走行していないと判定した場合(ステップ420「No」)、ステップ425にて、走行距離Dが第1消去距離D1th以上であるか否かを判定する。
【0041】
CPUは、走行距離Dが第1消去距離D1th以上であると判定した場合(ステップ425「Yes」)、ステップ430及びステップ435を実行する。その後、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ430:CPUは、禁止方向記憶領域38aに記憶されている禁止方向を消去する。
ステップ435:CPUは、通過フラグXpassを「0」に設定する。
【0042】
CPUは、車両VAが片側一車線を走行していると判定した場合(ステップ420「Yes」)、ステップ440にて、走行距離Dが第2消去距離D2th以上であるか否かを判定する。CPUは、走行距離Dが第2消去距離D2th以上であると判定した場合(ステップ440「Yes」)、ステップ430以降の処理に進む。
【0043】
通過フラグXpassが「0」であるとCPUが判定した場合(ステップ405「No」)、走行距離Dが第1消去距離D1th未満であるとCPUが判定した場合(ステップ425「No」)、走行距離Dが第2消去距離D2th未満であるとCPUが判定した場合(ステップ440「No」)、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0044】
<支援制御ルーチン>
適当な時点が到来すると、CPUは、
図5のステップ500から処理を開始し、ステップ505に進む。ステップ505にて、CPUは、交差点を検知しているか否かを判定する。詳細には、CPUは、距離Dtrが開始距離Dst以下であるか否かを判定する。
【0045】
CPUは、交差点を検知していると判定した場合(ステップ505「Yes」)、ステップ510にてウィンカーレバー28が操作されたか否かを判定する。
【0046】
CPUは、ウィンカーレバー28が操作されたと判定した場合(ステップ510「Yes」)、ステップ515及びステップ520を実行する。
ステップ515:CPUは、禁止方向記憶領域28aに記憶されている禁止方向を取得する。
ステップ520:CPUは、ウィンカーレバー28の操作方向に基いて特定される右左折方向と禁止方向とが一致するか否かを判定する。CPUは、禁止方向が禁止方向記憶領域28aに記憶されていない場合には右左折方向と禁止方向とが一致しないと判定する。
【0047】
CPUは、右左折方向が禁止方向と一致しないと判定した場合(ステップ520「No」)、ステップ525にて支援制御を実行し、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0048】
CPUは、車速Vsを支援速度Vrlと一致させるための目標加速度Gtgt(Gtgt<0)を取得する。そして、CPUは、車両VAの加速度Gが目標加速度Gtgtと一致するようにパワートレーンアクチュエータ32及びブレーキアクチュエータ34を制御する。
【0049】
交差点を検知していないとCPUが判定した場合(ステップ505「No」)、ウィンカーレバー28が操作されていないとCPUが判定した場合(ステップ510「No」)、右左折方向が禁止方向と一致するとCPUが判定した場合(ステップ520「Yes」)、CPUは、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0050】
以上により、ECU20は、車両VAが片側一車線を走行している場合、走行距離Dが「第1消去距離D1thよりも短い第2消去距離D2th」以下となったときに禁止方向を消去する。片側一車線では、信号機TRが設置されない交差点が多いことに起因してECU20が交差点を検知できない可能性が高い。このような片側一車線で、ECU20は、「検知できない交差点」にのみ適用される路面矢印RAを「検知できた交差点」に適用する可能性を低減できる。
【0051】
(変形例)
本変形例のECU20は、路面矢印RAを検知した場合、路面矢印RAに基いて特定された許可方向及び禁止方向を禁止方向記憶領域28aに記憶する。ECU20は、支援条件が成立した場合、ECU20は、支援条件が成立し且つ許可方向が禁止方向記憶領域28aに記憶されていない場合、支援条件が成立し且つ右左折方向と許可方向とが一致した場合に比べて、支援制御を抑制する。
【0052】
ECU20は、車両VAが片側一車線を走行している場合、走行距離Dが「第2消去距離D2thよりも長い第3消去距離D3th」以上となったときに許可方向を禁止方向記憶領域28aから消去する。例えば、第3消去距離D3thは第1消去距離D1thと同じ値に設定される。なお、ECU20は、車両VAが片側一車線でない車線を走行している場合、走行距離Dが第1消去距離D1th以上となったときに許可方向を消去する。
【0053】
ECU20は、路面矢印RAの通過後に新たな路面矢印RAを検知した場合、禁止方向記憶領域28aに記憶されている許可方向及び禁止方向を消去し、新たな路面矢印RAに基いて特定される許可方向及び禁止方向を禁止方向記憶領域28aに記憶する。
【0054】
上記実施形態では、手前の交差点IN1の路面矢印RAの禁止方向が奥の交差点IN2に適用されると支援制御が実行されない可能性があるので、車両VAが片側一車線である場合には、禁止方向の消去距離を短くしている。しかし、手前の交差点IN1の路面矢印RAの許可方向は奥の交差点IN2に適用されたとしても、新たな路面矢印RAが検知されない限り、問題は生じない。車両VAが路面矢印RAを通過してから第2消去距離D2thよりも長い区間で車両VAが右左折を行う可能性は高いと考えられる。このため、本変形例では、上記したように、許可方向の消去距離を第2消去距離D2thよりも長くしている。
【0055】
許可方向が記憶されていなければ、車両VAは、新たな路面矢印RAを検知せずに路面矢印RAを通過してから第1消去距離D1th(又は第3消去距離D3th)以上走行している。このため、許可方向が記憶されていない場合の車両VAは右左折を行う可能性は、許可方向が記憶され且つ右左折方向と許可方向とが一致する場合に比べて低いと考えられる。従って、支援条件が成立し且つ許可方向が記憶されていない場合、ECU20は、通常の支援制御よりも抑制された抑制支援制御を実行する。
【0056】
本変形例のECU20のCPUは、
図4に示した禁止方向消去ルーチンに代えて
図6に示した方向消去ルーチンを実行する。
図6では、
図4に示した処理と同じ処理には同じ符号を付与し、その処理の説明を省略する。
【0057】
CPUは、適当な時点が到来すると、
図6のステップ600から処理を開始し、
図6に示した
図6に示したステップ425にて「Yes」と判定した場合、ステップ605に進む。ステップ605にて、CPUは、禁止方向記憶領域38aに記憶されている許可方向及び禁止方向を消去し、
図6に示したステップ435に進む。
【0058】
CPUは、
図6に示したステップ440にて「Yes」と判定した場合、ステップ610及びステップ615を実行する。
ステップ610:CPUは、禁止方向記憶領域38aに記憶されている禁止方向を消去する。
ステップ615:CPUは、走行距離Dが「第2消去距離D2thよりも長い第3消去距離D3th」以上であるか否かを判定する。
【0059】
CPUは、走行距離Dが第3消去距離D3th以上であると判定した場合(ステップ615「Yes」)、ステップ620にて、禁止方向記憶領域38aに記憶されている許可方向を消去する。その後、CPUは、
図6に示したステップ435に進む。CPUは、走行距離Dが第3消去距離D3th未満であると判定した場合(ステップ615「No」)、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0060】
抑制された支援制御(抑制支援制御)について説明する。
CPUは、支援制御として減速制御を実行する場合、目標加速度Gtgtが所定加速度Gpd(Gpd<0)よりも小さい場合、加速度Gが所定加速度Gpdと一致するようにパワートレーンアクチュエータ32及びブレーキアクチュエータ34を制御する。抑制支援制御においては、CPUは、目標加速度Gtgtが「所定加速度Gpdよりも大きな抑制加速度Gyok(Gyok<0)」よりも小さい場合、加速度Gが抑制加速度Gyokと一致するようにパワートレーンアクチュエータ32及びブレーキアクチュエータ34を制御する。
【0061】
CPUは、支援制御として表示制御を実行する場合、距離Dtrが表示距離Ddp以下となった場合、支援画面を表示装置36に表示させる。抑制支援制御においては、CPUは、距離Dtrが「表示距離Ddpよりも短い抑制表示距離Dyok」以下となった場合、支援画面を表示装置36に表示させる。
【0062】
上記実施形態では、ECU20は、信号機TRを検知することにより交差点を検知したが、これに限定されない。例えば、ECU20は、二つの交差線間の交差線間距離が閾値距離以上である箇所を交差点として検知してもよい。詳細には、ECU20は、画像データに基いて白線を認識する。そして、ECU20は、車両VAが走行している走行車線を区分する区分線を特定し、区分線と交差する交差線を特定する。このように、ECU20が白線に基いて交差点を検知する場合であっても、ECU20は、交差線を特定できなければ交差点を検知できない。片側一車線では走行車線に交差する交差車線の幅が短い交差点が多いため、ECU20は、交差線を特定できないために交差点を検知できない可能性が高い。
【0063】
本装置10は、エンジン自動車、ハイブリッド車、プラグインハブリッド車、燃料電池車及び電気自動車等の車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10…運転支援装置、20…運転支援ECU、22…カメラ、28…ウィンカーレバー、30R…右ウィンカー、30L…左ウィンカー、32…パワートレーンアクチュエータ、34…ブレーキアクチュエータ、38…記憶装置、38a…禁止方向記憶領域。