IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図1
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図2
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図3
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図4
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図5
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図6
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図7
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図8
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図9
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図10
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図11
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図12
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図13
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図14
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図15
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図16
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図17
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図18
  • 特開-異物検知装置及びコイル装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072603
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】異物検知装置及びコイル装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20240521BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20240521BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20240521BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240521BHJP
【FI】
H02J50/60
H01F5/00 E
H01F38/14
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183536
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】小野坂 健
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】三島 大地
(72)【発明者】
【氏名】長岡 真吾
(57)【要約】
【課題】異物検知困難な領域を減らすためにサーチコイルに重ねて配置する追加のサーチコイルのサイズを小さくする。
【解決手段】異物検知装置は、複数の第1コイルを有する第1サーチコイルと、複数の第2コイルを有する第2サーチコイルと、制御部とを備える。隣り合う第1コイルに流れる電流が逆向きとなるように複数の第1コイルは電気的に直列接続され、隣り合う第2コイルに流れる電流が逆向きとなるように第2コイルは電気的に直列接続されている。隣り合う第1コイルの境界部には、各第1コイルが有する配線が互いに平行且つ近接して配置されている。制御部は、各サーチコイルに電圧を印加して異物の有無を判定する。第2コイルの配線に囲まれた領域が第1コイルの境界部の端部と重なるように第2サーチコイルが配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において配列された複数の第1コイルを有する第1サーチコイルと、
平面視において配列された複数の第2コイルを有する少なくとも1つの第2サーチコイルと、
前記第1サーチコイル及び前記第2サーチコイルに電圧を印加可能な制御部と、を備え、
前記第1サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第1コイルの一方に第1巻回方向の電流が流れるときに、隣り合う2つの前記第1コイルの他方に前記第1巻回方向と逆方向の第2巻回方向の電流が流れるように、複数の前記第1コイルは電気的に直列接続され、
前記第2サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第2コイルの一方に前記第1巻回方向の電流が流れるときに、隣り合う2つの前記第2コイルの他方に前記第2巻回方向の電流が流れるように、複数の前記第2コイルは電気的に直列接続され、
前記第1サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第1コイルの境界部には、2つの前記第1コイルの一方が有する配線と、2つの前記第1コイルの他方が有する配線とが互いに平行且つ近接して配置され、
前記制御部は、前記第1サーチコイルに電圧を印加することによって前記第1サーチコイル上の異物の有無を判定し、前記第2サーチコイルに電圧を印加することによって前記第2サーチコイル上の異物の有無を判定し、
平面視において、前記第2コイルの配線に囲まれた領域が前記第1コイルの前記境界部の端部を含む前記第1コイルの前記境界部の一部と重なるように、前記第2サーチコイルが配置されている異物検知装置。
【請求項2】
平面視において、前記第2コイルの配線に囲まれた領域が重なっている前記第1コイルの前記境界部の端部は、複数の前記第1コイルに囲まれている請求項1に記載の異物検知装置。
【請求項3】
前記第1サーチコイルは、平面視において2行2列に配列された4つの前記第1コイルを有し、
平面視において、前記第2コイルの配線に囲まれた領域が4つの前記第1コイルの中央部に位置する前記境界部と重なるように、前記第2サーチコイルが配置されている請求項2に記載の異物検知装置。
【請求項4】
平面視において、1つの前記第2サーチコイルは、前記第1サーチコイルより小さい請求項1に記載の異物検知装置。
【請求項5】
平面視において、前記第1サーチコイルの外縁部と重なっている前記第2サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第2コイルの境界部は、前記第1サーチコイルの外方に位置している請求項1に記載の異物検知装置。
【請求項6】
前記第2サーチコイルは、2つの前記第2コイルを有する請求項1に記載の異物検知装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1サーチコイル及び前記第2サーチコイルに対して選択的に電圧を印加する請求項1から6のいずれか1項に記載の異物検知装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1サーチコイルに電圧を印加して前記第1サーチコイル上の異物の有無を判定した後、前記第2サーチコイルに電圧を印加して前記第2サーチコイル上の異物の有無を判定する請求項7に記載の異物検知装置。
【請求項9】
平面視において配列された複数の第1コイルを有する第1サーチコイルと、
平面視において配列された複数の第2コイルを有する少なくとも1つの第2サーチコイルと、を備え、
前記第1サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第1コイルの一方に第1巻回方向の電流が流れるときに、隣り合う2つの前記第1コイルの他方に前記第1巻回方向と逆方向の第2巻回方向の電流が流れるように、複数の前記第1コイルは電気的に直列接続され、
前記第2サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第2コイルの一方に前記第1巻回方向の電流が流れるときに、隣り合う2つの前記第2コイルの他方に前記第2巻回方向の電流が流れるように、複数の前記第2コイルは電気的に直列接続され、
前記第1サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第1コイルの境界部には、2つの前記第1コイルの一方が有する配線と、2つの前記第1コイルの他方が有する配線とが互いに平行且つ近接して配置され、
平面視において、前記第2コイルの配線に囲まれた領域が前記第1コイルの前記境界部の端部を含む前記第1コイルの前記境界部の一部と重なるように、前記第2サーチコイルが配置されているコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイルを有するコイル装置と当該コイル装置を有する異物検知装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
コイルを有する異物検知装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された異物検知装置は、セットセンサコイルと、セットセンサコイルの電圧に応じて異物を検出する判定装置とを備える。セットセンサコイルは、第1巻き方向の複数の第1ユニットセンサコイルと、第1巻き方向と逆の方向の第2巻き方向の複数の第2ユニットセンサコイルとを備える。
【0003】
特許文献1に開示された異物検知装置では、セットセンサコイル上に異物が存在しない場合、外部からの磁束に貫かれた第1ユニットセンサコイルと第2ユニットセンサコイルとの各々に、同じ大きさ且つ逆符号の起電力が生じる。第1ユニットセンサコイルに生じた起電力と第2ユニットセンサコイルに生じた起電力とは相殺される。よって、異物が存在しない場合、セットセンサコイルに生じる起電力はゼロである。
【0004】
一方、特許文献1に開示された異物検知装置では、セットセンサコイル上に異物が存在する場合、各ユニットセンサコイルを貫く外部からの磁束に偏りが生じる。これにより、セットセンサコイルに生じる起電力はゼロでなくなる。判定装置は、セットセンサコイルの電力がゼロであるか否かによって異物の存在の有無を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/031209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された異物検知装置の検知方式は、外部からの磁束によってセットセンサコイルに発生する起電力に基づいて異物の有無を検知する他励方式である。他励方式の異物検知装置では、隣り合う第1ユニットセンサコイルと第2ユニットセンサコイルとの境界線上に異物が存在すると、異物が存在しない場合と同様に起電力が相殺され、セットセンサコイルに生じる起電力がゼロとなるおそれがある。つまり、他励方式の異物検知装置では、隣り合う第1ユニットセンサコイルと第2ユニットセンサコイルとの境界線の全域が、異物検知困難な領域である低感度領域である。
【0007】
特許文献1には、2つのセットセンサコイルが互いにずれた位置に重ねて配置された異物検知装置が開示されている。この異物検知装置では、一方のセットセンサコイルにおいて低感度領域上に異物が存在して異物検知ができない場合であっても、他方のセットセンサコイルにおいて異物検知が可能である。
【0008】
しかしながら、他励方式の異物検知装置では、前述したように、低感度領域が第1ユニットセンサコイルと第2ユニットセンサコイルとの境界線の全域に亘っている。そのため、1つのセットセンサコイルの低感度領域に追加のセットセンサコイルを重ねる場合、追加のセットセンサコイルのサイズが大きくなってしまう。例えば、異物検知装置が無線電力伝送に適用される場合に、セットセンサコイルの存在によって無線電力伝送の給電量が小さくなるおそれがあるため、セットセンサコイルのサイズは出来るだけ小さい方がよい。
【0009】
従って、本開示の目的は、前記課題を解決することにあって、異物検知困難な低感度領域を減らすために1つのサーチコイルに重ねて配置する追加のサーチコイルのサイズを小さくすることができる異物検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る異物検知装置は、
平面視において配列された複数の第1コイルを有する第1サーチコイルと、
平面視において配列された複数の第2コイルを有する少なくとも1つの第2サーチコイルと、
前記第1サーチコイル及び前記第2サーチコイルに電圧を印加可能な制御部と、を備え、
前記第1サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第1コイルの一方に第1巻回方向の電流が流れるときに、隣り合う2つの前記第1コイルの他方に前記第1巻回方向と逆方向の第2巻回方向の電流が流れるように、複数の前記第1コイルは電気的に直列接続され、
前記第2サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第2コイルの一方に前記第1巻回方向の電流が流れるときに、隣り合う2つの前記第2コイルの他方に前記第2巻回方向の電流が流れるように、複数の前記第2コイルは電気的に直列接続され、
前記第1サーチコイルにおいて、隣り合う2つの前記第1コイルの境界部には、2つの前記第1コイルの一方が有する配線と、2つの前記第1コイルの他方が有する配線とが互いに平行且つ近接して配置され、
前記制御部は、前記第1サーチコイルに電圧を印加することによって前記第1サーチコイル上の異物の有無を判定し、前記第2サーチコイルに電圧を印加することによって前記第2サーチコイル上の異物の有無を判定し、
平面視において、前記第2コイルの配線に囲まれた領域が前記第1コイルの前記境界部の端部を含む前記第1コイルの前記境界部の一部と重なるように、前記第2サーチコイルが配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、異物検知困難な低感度領域を減らすために1つのサーチコイルに重ねて配置する追加のサーチコイルのサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る無線給電装置の一例を模式的に例示する。
図2図2は、実施形態に係る第1サーチコイルを示す平面図を例示する。
図3図3は、実施形態に係る第1サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。
図4図4は、実施形態に係る第2サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。
図5図5は、実施形態に係る第1サーチコイル及び第2サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。
図6図6は、実施形態に係る制御部のブロック図を模式的に例示する。
図7図7は、サーチコイルに電圧を印加したときの時間に対する電圧を示すグラフを模式的に例示する。
図8図8は、異物検知装置による異物検知の順序を説明するためのフローチャートを例示する。
図9図9は、異物検知装置による異物の有無の判定の手順を説明するためのフローチャートを例示する。
図10図10は、変形例の第1サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。
図11図11は、変形例の第1サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。
図12図12は、変形例の第1サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。
図13図13は、変形例の第2サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。
図14図14は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。
図15図15は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。
図16図16は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。
図17図17は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。
図18図18は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。
図19図19は、変形例の第1サーチコイル及び第2サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態に係る無線給電装置の一例を模式的に例示する。図1に示す異物検知装置10は、例えば、無線給電装置1に適用される。異物検知装置10は、無線給電装置1において無線給電が実行されているときに、無線給電装置1に異物が混入しているか否かを判定する。
【0014】
図1に示すように、無線給電装置1は、送信コイル2と、送信側カバー3と、送信制御部4と、受信コイル5と、受信側カバー6と、受信制御部7と、異物検知装置10とを備える。
【0015】
送信コイル2は、例えば、基板の表面や内部に形成された配線パターンを有している。配線パターンは配線の一例である。配線パターンは、銅等の導電性の材料で構成されている。配線パターンは、渦巻形状や螺旋形状等に形成されている。なお、送信コイル2の構成は、基板に形成された配線パターンに限らない。例えば、送信コイル2は、渦巻形状や螺旋形状等に形成された電線で構成されていてもよい。この場合、電線は配線の一例である。
【0016】
送信側カバー3は、箱状の部材である。送信側カバー3の内部に、送信コイル2が配置されている。送信側カバー3の材料は、任意であり、例えば樹脂である。図1では、送信側カバー3の下方が開放されているが、送信側カバー3の構成はこれに限らない。例えば、送信側カバー3の側方が開放されていてもよいし、送信側カバー3は開放されていなくてもよい。
【0017】
送信制御部4は、送信コイル2から受信コイル5への無線電力伝送(Wireless Power Transfer : WPT)の送信を制御する。送信制御部4は、例えばマイクロコントローラ(Microcontroller Unit : MCU)を備える。送信制御部4のMCUは、給電開始の信号を受け取ると、送信コイル2へ電圧を印加する。給電開始の信号は、例えば、無線給電装置1の全体動作を制御する制御部(不図示)や、外部機器との通信を仲介するインタフェース部(不図示)等から送信制御部4へ伝達される。電圧を印加された送信コイル2には電流が流れる。これにより、送信コイル2を貫くように磁束が発生する。本実施形態において、送信制御部4は、異物検知装置10の制御部40と電気的に接続されている。
【0018】
送信コイル2と送信側カバー3と送信制御部4とは、無線給電装置1の送信機(Transmitter : Tx)の構成要素である。
【0019】
受信コイル5は、送信コイル2の上方に、送信コイル2と対向して配置されている。受信コイル5と送信コイル2との間には、送信側カバー3と受信側カバー6と異物検知装置10の第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30とが設けられている。受信コイル5は、送信コイル2と同様に構成されている。送信コイル2に発生した磁束が受信コイル5を貫くことによって、受信コイル5に起電力が発生する。つまり、送信コイル2から受信コイル5へ電力伝送される。
【0020】
受信側カバー6は、送信側カバー3と同様に構成されている。受信側カバー6の内部に、受信コイル5が配置されている。
【0021】
受信制御部7は、送信コイル2から受信コイル5への無線電力伝送の受信を制御する。受信制御部7は、例えばマイクロコントローラを備える。受信制御部7が実行する受信コイル5に対する制御は、例えば出力電圧の制御である。出力電圧は、無線給電装置1に接続されている機器やバッテリーに応じて適切な値に調整(制御)される。
【0022】
受信コイル5と受信側カバー6と受信制御部7とは、無線給電装置1の受信機(Receiver : Rx)の構成要素である。
【0023】
異物検知装置10は、異物検知(Foreign Object Detection : FOD)を行うものである。本実施形態において、異物検知装置10は、無線給電装置1の送信コイル2と受信コイル5との間への金属等を含む異物50の混入の有無を判定する。無線給電装置1が無線給電を実行しているときに送信コイル2と受信コイル5との間に異物50が混入した場合、異物50は発熱するおそれがある。異物検知装置10は、異物50が有ると判定した場合、送信制御部4へ、送信コイル2への電圧の印加を停止する旨の信号を送信する。当該信号を受け取った送信制御部4は、送信コイル2への電圧の印加を停止する。これにより、異物50の発熱を低減または防止することができる。
【0024】
異物検知装置10は、コイル装置15と、制御部40とを備える。コイル装置15は、第1サーチコイル20と、複数の第2サーチコイル30と、を備える。なお、図1では、3つの第2サーチコイル30が示されているが、本実施形態において、異物検知装置10は、5つの第2サーチコイル30を備える(図5参照)。
【0025】
第1サーチコイル20と複数の第2サーチコイル30とは、送信側カバー3の内部に配置されている。第1サーチコイル20と複数の第2サーチコイル30とは、送信コイル2の上方に位置しており、送信コイル2と上下方向100に対向している。第1サーチコイル20と複数の第2サーチコイル30とは、受信コイル5の下方に位置しており、送信側カバー3と受信側カバー6とを挟んで、受信コイル5と上下方向100に対向している。なお、図1では、第1サーチコイル20が第2サーチコイル30の上方に配置されているが、逆の配置でもよい。つまり、第2サーチコイル30が第1サーチコイル20の上方に配置されていてもよい。
【0026】
図2は、実施形態に係る第1サーチコイルを示す平面図を例示する。図2に示すように、第1サーチコイル20は、4つの第1コイル201、202、203、204を有する。なお、第1サーチコイル20が有する第1コイルは4つに限らない。また、図2において、4つの第1コイル201、202、203、204は、互いに同一形状且つ同一サイズであるが、互いに異なる形状であってもよいし、互いに異なるサイズであってもよい。
【0027】
上方から見た平面視において、4つの第1コイル201、202、203、204は、上下方向100と交差する仮想平面上に配列されている。本実施形態において、4つの第1コイル201、202、203、204は、2行2列に配列されている。
【0028】
第1コイル201は、配線パターン201A、201B、201Cによって構成されている。第1コイル202は、配線パターン202A、202B、202Cによって構成されている。第1コイル203は、配線パターン203A、203B、203Cによって構成されている。第1コイル204は、配線パターン204A、204B、204Cによって構成されている。
【0029】
4つの第1コイル201、202、203、204は、以下の2条件を満たすように、電気的に直列接続されている。第1の条件は、隣り合う2つの第1コイルの境界部には、2つの第1コイルの一方が有する配線パターンと、2つの第1コイルの他方が有する配線パターンとが互いに平行且つ近接して配置されている。第2の条件は、第1サーチコイル20に電流が流れるときに、4つの第1コイル201、202、203、204のうち隣り合う2つの第1コイルに流れる電流の向きが互いに逆向きとなる。
【0030】
第1の条件について、以下に詳述する。図2において破線で示す領域は、4つの第1コイル201、202、203、204の境界部20Aである。第1コイル201、202の境界部20Aにおいて、第1コイル201の配線パターン201Cと、第1コイル202の配線パターン202Cとが互いに平行且つ近接して配置されている。また、第1コイル201、203の境界部20Aにおいて、第1コイル201の配線パターン201Bと、第1コイル203の配線パターン203Bとが互いに平行且つ近接して配置されている。また、第1コイル202、204の境界部20Aにおいて、第1コイル202の配線パターン202Bと、第1コイル204の配線パターン204Bとが互いに平行且つ近接して配置されている。また、第1コイル203、204の境界部20Aにおいて、第1コイル203の配線パターン203Cと、第1コイル204の配線パターン204Cとが互いに平行且つ近接して配置されている。なお、互いに平行とは、完全に平行であるだけでなく、略平行であることも含む。
【0031】
第2の条件に付いて、以下に詳述する。図2に矢印で示すように、第1コイル201に反時計回りの電流I1が流れるとき、第1コイル201と隣り合う第1コイル202には時計回りの電流I2が流れ、第1コイル201と隣り合う第1コイル203には時計回りの電流I3が流れる。また、第1コイル201に反時計回りの電流I1が流れるときに時計回りI2、I3の電流が流れる第1コイル202、203と隣り合う第1コイル204には、反時計回りI4の電流が流れる。反時計回りの電流I1、I4は、第1巻回方向の電流の一例である。時計回りの電流I2、I3は、第2巻回方向の電流の一例である。以上の場合、第1コイル201、204には、図2の紙面の奥側から手前側の方向への磁束が発生し、第1コイル202、203には、図2の紙面の手前側から奥側への磁束が発生する。
【0032】
以上より、第1サーチコイル20において、隣り合う2つの第1コイルの一方に第1巻回方向の電流が流れるときに、隣り合う2つの第1コイルの他方に第1巻回方向と逆方向の第2巻回方向の電流が流れるように、複数の第1コイル201、202、203、204は電気的に直列接続されている。
【0033】
前記のように4つの第1コイル201、202、203、204が電気的に直列接続されている場合、第1サーチコイル20に電流が流れるときの隣り合う配線パターンに流れる電流が同じ向きとなる。詳述すると、第1コイル201の配線パターン201Bに流れる電流の向きは、第1コイル203の配線パターン203Bに流れる電流の向きと同じである。また、第1コイル201の配線パターン201Cに流れる電流の向きは、第1コイル202の配線パターン202Cに流れる電流の向きと同じである。また、第1コイル204の配線パターン204Bに流れる電流の向きは、第1コイル202の配線パターン202Bに流れる電流の向きと同じである。また、第1コイル204の配線パターン204Cに流れる電流の向きは、第1コイル203の配線パターン203Cに流れる電流の向きと同じである。
【0034】
図2に示す第1コイル201、202、203、204の各々のターン数は2であるが、2以外のターン数であってもよい。また、第1コイル201、202、203、204のターン数は互いに異なっていてもよい。
【0035】
図3は、実施形態に係る第1サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。図4は、実施形態に係る第2サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。図3及び図4並びに後述する図5図10図13、及び図19において、第1サーチコイル20は、簡略化のために、図2に示すような配線パターンが示された図に代えて、図3に示すような模式的な記載とされている。同様に、第2サーチコイル30も、図4に示すような模式的な記載とされている。
【0036】
以下に、第2サーチコイル30の構成が説明される。ここで、異物検知装置10は、図5に示すように5つの第2サーチコイル30(31~35)を備えるが、各第2サーチコイル30の構成は同じであるため、ここでは、第2サーチコイル31の構成が説明され、他の第2サーチコイル32~35の構成の説明は省略される。
【0037】
図4に示すように、第2サーチコイル30は、2つの第2コイル301、302を有する。なお、第2サーチコイル30が有する第2コイルは2つに限らない。また、図4において、2つの第2コイル301、302は、互いに同一形状且つ同一サイズであるが、互いに異なる形状であってもよいし、互いに異なるサイズであってもよい。
【0038】
上方から見た平面視において、2つの第2コイル301、302は、上下方向100と交差する配列されている。本実施形態において、2つの第2コイル301、302は、並んで配列されている。
【0039】
2つの第2コイル301、302は、第1サーチコイル20の第1の条件及び第2の条件と同様の条件を満たすように、電気的に直列接続されている。
【0040】
第1の条件は、隣り合う2つの第2コイル301、302の境界部30Aには、2つの第2コイルの一方301が有する配線パターンと、2つの第2コイルの他方302が有する配線パターンとが互いに平行且つ近接して配置されている。なお、第1の条件に対応する条件は、満たされていなくてもよい。
【0041】
第2の条件は、第2サーチコイル30に電流が流れるときに、隣り合う2つの第2コイル301、302に流れる電流の向きが互いに逆向きとなる。
【0042】
詳細には、図4に矢印で示すように、第2コイル301に反時計回りの電流I5が流れるとき、第2コイル301と隣り合う第2コイル302には時計回りの電流I6が流れる。反時計回りの電流I5は、第1巻回方向の電流の一例である。時計回りの電流I6は、第2巻回方向の電流の一例である。以上の場合、第2コイル301には、図2の紙面の奥側から手前側の方向への磁束が発生し、第2コイル302には、図2の紙面の手前側から奥側への磁束が発生する。
【0043】
以上より、第2サーチコイル30において、隣り合う2つの第2コイルの一方301に第1巻回方向の電流が流れるときに、隣り合う2つの第2コイルの他方302に第1巻回方向と逆方向の第2巻回方向の電流が流れるように、複数の第2コイル301、302は電気的に直列接続されている。
【0044】
第1サーチコイル20に電流が流れるときと同様に、前記のように2つの第2コイル301、302が電気的に直列接続されている場合、第2サーチコイル30に電流が流れるときの隣り合う配線パターンに流れる電流が同じ向きとなる。
【0045】
第2コイル301、302の各々のターン数は2であるが、ターン数は2に限らない。また、第2コイル301、302のターン数は互いに異なっていてもよい。
【0046】
図3に示すように、第1サーチコイル20及びその周辺領域は、境界部20Aと、周縁部20Bと、囲繞部20Cとを含む。境界部20Aは、第1サーチコイル20において隣り合う2つの第1コイルの境界を構成する配線パターン及びその周辺の領域である。周縁部20Bは、第1サーチコイル20の外縁を構成する配線パターン及びその周辺の領域である。囲繞部20Cは、第1サーチコイル20の第1コイル201、202、203、204において各配線パターンに囲まれた領域である。
【0047】
境界部20Aは、主部20Aaと、端部20Ab、20Acとを含む。端部20Abは、平面視における第1サーチコイル20の外縁部における隣り合う2つの第1コイルの境界部である。端部20Acは、平面視における第1サーチコイル20の外縁部ではない領域における隣り合う複数の第1コイルの境界部である。平面視における第1サーチコイル20の外縁部ではない領域は、平面視における第1サーチコイル20の内部を指す。平面視における第1サーチコイル20の内部は、平面視における配線パターン201A、202A、203A、204Aの内側の領域を指す。本実施形態では、端部20Acは、平面視における第1サーチコイル20の内部のうち、第1サーチコイル20の中央部に位置している。なお、端部20Acは、第1サーチコイル20の外縁部ではない領域であって中央部ではない領域に位置していてもよい。主部20Aaは、境界部20Aのうち端部20Ab、20Acを除く領域である。
【0048】
図4に示すように、第2サーチコイル30及びその周辺領域は、境界部30Aと、周縁部30Bと、囲繞部30Cとを含む。境界部30Aは、第2サーチコイル30において隣り合う2つの第2コイルの境界を構成する配線パターン及びその周辺の領域である。周縁部30Bは、第2サーチコイル30の外縁を構成する配線パターン及びその周辺の領域である。囲繞部30Cは、第2サーチコイル30の第2コイル301、302において各配線パターンに囲まれた領域である。
【0049】
境界部30Aは、主部30Aaと、端部30Abとを含む。端部30Abは、境界部30Aの両端部に位置しており、第2サーチコイル30の外縁における隣り合う2つの第2コイル301、302の境界部である。主部30Aaは、境界部30Aのうち端部30Abを除く領域である。なお、本実施形態では、第2サーチコイル30は、第1サーチコイル20の境界部20Aの端部20Acのように中央部に位置する端部を有していないが、このような端部を有していてもよい。
【0050】
図1に示すように、第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30は、送信コイル2と受信コイル5との間に位置している。そのため、送信コイル2から受信コイル5への無線電力伝送中に、送信コイル2において発生する磁束が第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30を貫く。これにより、第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30に誘導電流が発生する。ここで、第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30の配線パターンは前記の第2の条件を満たすように形成されている。そのため、第1サーチコイル20の各第1コイル201、202、203、204において発生した誘導電流は互いに打ち消し合い、第2サーチコイル30の各第2コイル301、302において発生した誘導電流は互いに打ち消し合う。これにより、送信コイル2において発生する磁束による第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30の発熱が低減される。
【0051】
後述するように、第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30には、制御部40から電圧が印加される。すると、第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30には、図2及び図4に示す矢印の向きに電流が流れる。これにより、第1サーチコイル20において、第1コイル201、204には、図2の紙面の奥側から手前側の方向への磁束が発生し、第1コイル202、203には、図2の紙面の手前側から奥側への磁束が発生する。また、第2サーチコイル30において、第2コイル301には、図2の紙面の奥側から手前側の方向への磁束が発生し、第2コイル302には、図2の紙面の手前側から奥側への磁束が発生する。
【0052】
このとき、第1サーチコイル20の境界部20Aの端部20Ab、20Acでは、隣り合う2つの第1コイルにおいて発生する磁束が打ち消し合う。同様に、第2サーチコイル30の境界部30Aの端部30Abでは、隣り合う2つの第2コイルにおいて発生する磁束が打ち消し合う。これにより、境界部20Aの端部20Ab、20Acと境界部30Aの端部30Abとにおいて、磁束密度が低下する。この磁束密度の低下により、境界部20Aの端部20Ab、20Acと境界部30Aの端部30Abとの上に異物50(図1参照)がある場合に、異物50の検知が困難となるおそれがある。つまり、境界部20Aの端部20Ab、20Acと境界部30Aの端部30Abとは、異物検知困難な領域である低感度領域である。
【0053】
一方、第1サーチコイル20の境界部20Aの端部20Ab、20Ac以外の領域(主部20Aa、周縁部20B、囲繞部20C)では、端部20Ab、20Acと比べて磁束密度の低下が小さい又は磁束密度が低下しない。同様に、第2サーチコイル30の境界部30Aの端部30Ab以外の領域(主部30Aa、周縁部30B、囲繞部30C)では、端部30Abと比べて磁束密度の低下が小さい又は磁束密度が低下しない。
【0054】
以上を踏まえて、異物検知装置10では、第1サーチコイル20の低感動領域に、第2サーチコイル30の低感動領域とは異なる領域が重ねて配置されている。以下に詳述する。
【0055】
図5は、実施形態に係る第1サーチコイル及び第2サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。図5に示すように、本実施形態において、異物検知装置10は、5つの第2サーチコイル30(31~35)を備える。なお、異物検知装置10が備える第2サーチコイル30の数は、5つに限らない。異物検知装置10は、少なくとも1つの第2サーチコイル30を備えていればよい。
【0056】
図5に示すように、平面視において、第2コイル301の囲繞部30Cが第1サーチコイル20の境界部20Aの端部20Ab、20Acと重なるように、第2サーチコイル30が第1サーチコイル20と重なるように配置されている。なお、平面視において、第2コイル302の囲繞部30Cが第1サーチコイル20の境界部20Aの端部20Ab、20Acと重なるように、第2サーチコイル30が第1サーチコイル20と重なるように配置されていてもよい。
【0057】
本実施形態では、第2サーチコイル31の囲繞部30Cは、第1サーチコイル20の境界部20Aの端部20Ac上に配置されている。
【0058】
つまり、平面視において、第2サーチコイル31の囲繞部30Cは、第1サーチコイル20の境界部20Aの端部のうち、第1サーチコイル20の外縁部ではない領域(第1サーチコイル20の内部)に位置する端部20Acに重なっている。平面視において、第2サーチコイル31の囲繞部30Cが重なっている境界部20Aの端部20Acは、複数の第1コイル201~204に囲まれている。
【0059】
また、第2サーチコイル32の囲繞部30Cは、第1コイル201、202の境界部20Aの端部20Ab上に配置されている。第2サーチコイル33の囲繞部30Cは、第1コイル202、204の境界部20Aの端部20Ab上に配置されている。第2サーチコイル34の囲繞部30Cは、第1コイル203、204の境界部20Aの端部20Ab上に配置されている。第2サーチコイル35の囲繞部30Cは、第1コイル201、203の境界部20Aの端部20Ab上に配置されている。
【0060】
つまり、平面視において、第2サーチコイル32、33、34、35の囲繞部30Cは、第1サーチコイル20の境界部20Aの端部のうち、第1サーチコイル20の外縁部に位置する端部に重なっている。
【0061】
平面視における第1サーチコイル20の外縁部は、例えば、平面視における配線パターン201A、202A、203A、204Aがある領域を指す。平面視において、第2サーチコイル32、33、34、35の囲繞部30Cが重なっている境界部20Aの端部20Abは、複数の第1コイル201~204に完全には囲まれていない。例えば、第2サーチコイル32の囲繞部30Cが重なっている境界部20Aの端部20Abは、その一部(図2の紙面下半分)を2つの第1コイル201、202によって囲まれているが、残り(図2の紙面上半分)は第1コイルによって囲まれていない。
【0062】
以上のように、平面視において第1サーチコイル20と第2サーチコイル30とが重なって配置されていることにより、以下の効果が奏される。つまり、第1サーチコイル20の低感度領域上にある異物50が検知できない場合であっても、当該低感度領域に重ねて配置された第2サーチコイル30に対する検知を行うことによって、当該低感度領域上にある異物50を検知することができる。
【0063】
本実施形態では、平面視において、各第2サーチコイル30は、第1サーチコイル20より小さい。しかし、平面視において、第2サーチコイル30は、第1サーチコイル20以上のサイズであってもよい。例えば、第2サーチコイル30は、第1サーチコイル20と同様に4つのコイルを有していてもよい。
【0064】
平面視において、境界部30Aの囲繞部30Cが境界部20Aの端部20Ab、20Acに加えて境界部20Aの主部20Aaの一部と重なるように、第2サーチコイル30が第1サーチコイル20と重なるように配置されていてもよい。つまり、平面視において、第2コイルの配線パターンに囲まれた領域が第1コイルの境界部20Aの端部20Ab、20Acを含む第1コイルの境界部20Aの一部と重なるように、第2サーチコイル30が配置されている。
【0065】
図1に示す制御部40は、第1サーチコイル20と第2サーチコイル30とに電圧を印加可能である。また、制御部40は、第1サーチコイル20と第2サーチコイル30に発生する共振波形から異物50の有無を判定する。
【0066】
図6は、実施形態に係る制御部のブロック図を模式的に例示する。図6に示すように、制御部40は、マイクロコントローラ(MCU)41と、電圧印加回路42と、サーチコイル(Search Coil : SC)切替部43と、スイッチ44とを備える。
【0067】
MCU41は、前述した電圧の印加と異物50の有無の判定とを実現するための演算を実行する。電圧印加回路42は、MCU41からの命令に基づいて、第1サーチコイル20と第2サーチコイル30とに適切なレベルの電圧を印加するための増幅等を実行する回路を有する。また、電圧印加回路42は、第1サーチコイル20と第2サーチコイル30とからの共振波形をMCU41へ送る。SC切替部43は、MCU41からの命令に基づいて、電圧印加回路42からの電圧を当該命令に対応するサーチコイル20、31、32、33、34、35へ送るようにスイッチ44を切り替える。
【0068】
図6に示すスイッチ44から延びた信号線SC20、SC31、SC32、SC33、SC34、SC35は、それぞれ第1サーチコイル20、第2サーチコイル31、第2サーチコイル32、第2サーチコイル33、第2サーチコイル34、第2サーチコイル35と電機的に接続されている。各サーチコイル20、31、32、33、34、35は、制御部40のスイッチ44と電気的に接続された信号線と、制御部40の基準電位と電気的に接続されたグランド線とを有する。図2に示す信号線SC20は、制御部40のスイッチ44と電気的に接続されており、図2に示すグランド線GNDは、制御部40の基準電位と電気的に接続されている。図3及び図4では、信号線及びグランド線は省略されている。
【0069】
制御部40の構成は、図6に示すような構成に限らない。例えば、制御部40は、メモリとCPU(Central Processing Unit)とを備えていてもよい。この場合、例えば、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、前記の演算が実行される。また、例えば、制御部40は、前記の演算が実行可能な回路によって構成されていてもよい。このような回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等である。制御部40は、前述した構成が組み合わされて実現されてもよい。例えば、制御部40は、メモリと、CPUと、ASICとを備えていてもよい。
【0070】
本実施形態において、制御部40は、第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30に対して選択的に電圧を印加し、印加した電圧によって第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30に発生する共振波形から異物50の有無を判定する。以下に詳述する。
【0071】
図7は、サーチコイルに電圧を印加したときの時間に対する電圧を示すグラフを模式的に例示する。図7に示すように、制御部40は、スイッチ44によって選択されている選択サーチコイル(第1サーチコイル20及び第2サーチコイル31~35の何れかのサーチコイル)に対してインパルス電圧を印加する。第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30の各々は、並列LC共振回路となっている。そのため、選択サーチコイルでは、印加されたインパルス電圧に対して共振波形が発生する。
【0072】
選択サーチコイル上に異物50が無い場合、図7の上段に示すような共振波形が発生する。一方、選択サーチコイル上に異物50が有る場合、図7に下段に示すような共振波形が発生する。図7の上段に示す共振波形の周期は、図7の下段に示す共振波形の周期より長い。制御部40は、この周期の違いに基づいて、異物50の有無を判定する。制御部40内のメモリ(不図示)には、予め設定された電圧閾値Vthと予め設定された時間閾値Tthとが記憶されている。
【0073】
電圧閾値Vthは、制御部40に内蔵されたタイマ回路のカウント開始のタイミングを設定するためのものである。共振波形の電圧値が電圧閾値Vthを超えたタイミングで、タイマ回路はカウント開始する。制御部40は、共振波形の振動数が予め設定された回数(図7では5回)となるまでの時間(以下、振動時間と称する。)をタイマ回路によって測定する。なお、タイマ回路は、異物50の有無の判定後にリセットされる。
【0074】
選択サーチコイル上に異物50が無い場合の振動時間TwoF0が予め測定されて、制御部40内のメモリに記憶されている。制御部40は、異物50の有無の判定においてタイマ回路によって測定した振動時間TwF0を、メモリに記憶されている振動時間TwoF0と比較して、2つの振動時間の差分ΔTを算出する。この差分ΔTをメモリに記憶されている時間閾値Tthと比較する。選択サーチコイル上に異物50が有る場合の共振波形の周期は、選択サーチコイル上に異物50が無い場合の共振波形の周期より短い。制御部40は、差分ΔTが時間閾値Tthより小さい場合に選択サーチコイル上に異物50が無いと判定し、差分ΔTが時間閾値Tthより大きい場合に選択サーチコイル上に異物50が有ると判定する。なお、本実施形態では、差分ΔTが時間閾値Tthと同じ場合、制御部40は、選択サーチコイル上に異物50が無いと判定するが、異物50が有ると判定してもよい。
【0075】
以下、異物検知装置10による異物検知の動作が、図8及び図9を参照しつつ説明される。図8は、異物検知装置による異物検知の順序を説明するためのフローチャートを例示する。図9は、異物検知装置による異物の有無の判定の手順を説明するためのフローチャートを例示する。
【0076】
異物検知装置10による異物検知は、例えば、無線給電装置1の無線給電中に、予め設定された時間(例えば1秒)毎に実行される。
【0077】
図8に示すように、異物検知において、制御部40は、最初に、第1サーチコイル20上の異物50の有無、例えば送信側カバー3の上面における第1サーチコイル20の真上に異物50が有るか否かを検知する(S10)。次に、制御部40は、第2サーチコイル30上の異物50の有無、例えば送信側カバー3の上面における第2サーチコイル30の真上に異物50が有るか否かを検知する(S20~S60)。本実施形態において、制御部40は、第2サーチコイル31、32、33、34、35の順序で異物50の有無を検知する(S20~S60)。つまり、本実施形態において、制御部40は、第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30に対して選択的に電圧を印加する。また、制御部40は、第1サーチコイル20上の異物50の有無を検知した後、第2サーチコイル30上の異物50の有無を検知する。なお、異物検知の順序は、図8に示す順序に限らない。例えば、図8とは逆に、制御部40は、第2サーチコイル30上の異物50の有無を検知した後、第1サーチコイル20上の異物50の有無を検知してもよい。
【0078】
図8に示す各ステップ(S10~S60)において、図9に示す処理が実行される。以下、図9が参照されつつ、ステップS10において実行される異物有無判定の処理が説明される。
【0079】
図9に示すように、SC切替部43がMCU41からの命令に基づいてスイッチ44を信号線SC20にセットする。これにより、制御部40と第1サーチコイル20とが電気的に接続される(S110)。このとき、制御部40と第2サーチコイル30とは電気的に接続されていない。
【0080】
次に、電圧印加回路42がMCU41からの命令に基づいてスイッチ44によって選択されている第1サーチコイル20へインパルス電圧を印加する(S120)。これにより、第1サーチコイル20において発生する共振波形が制御部40へ送られる。
【0081】
制御部40は、前述のようにして、差分ΔTを算出して、差分ΔTと時間閾値Tthとを比較する(S130)。
【0082】
差分ΔTが時間閾値Tthより大きい場合(S130:NO)、制御部40は、第1サーチコイル20上に異物が有ると判定する(S150)。一方、差分ΔTが時間閾値Tth以下の場合(S130:YES)、制御部40は、第1サーチコイル20上に異物が無いと判定する(S140)。以上のようにして、ステップS10において、制御部40は、第1サーチコイルに電圧を印加することによって第1サーチコイル20上の異物50の有無を判定する。
【0083】
第1サーチコイル20上に異物50が有ると判定した場合、制御部40は、送信制御部4へ給電停止信号を送る(S150)。給電停止信号を受け取った送信制御部4は、送信コイル2への電圧の印加を停止する。この場合、無線給電が停止され、図8に示す異物検知処理も停止される。
【0084】
第1サーチコイル20上に異物50が無いと判定した場合(S140)、制御部40は、続けて図8のステップS20以降の処理を実行する。つまり、制御部40は、続けて第2サーチコイル30上に異物が有るか否かを判定する。ステップS20以降においても、ステップS10と同様に、図9に示す処理が実行される。
【0085】
例えば、ステップS20において実行される図9に示す処理では、制御部40と第2サーチコイル31とが電気的に接続され(S110)、第2サーチコイル31へインパルス電圧が印加される(S120)。次に、制御部40は、差分ΔTを算出して、差分ΔTと時間閾値Tthとを比較する(S130)。制御部40は、差分ΔTが時間閾値Tth以下の場合に(S130:YES)第2サーチコイル31上に異物が無いと判定し(S140)、差分ΔTが時間閾値Tthより大きい場合(S130:NO)に第2サーチコイル31上に異物が有ると判定する(S150)。以上のようにして、ステップS20において、制御部40は、第2サーチコイル31に電圧を印加することによって第2サーチコイル31上の異物50の有無を判定する。第2サーチコイル32、33、34、35上の異物50の有無の判定も同様にして実行される。
【0086】
本実施形態によれば、制御部40は、第1サーチコイル20に電圧を印加することによって第1サーチコイル20上の異物の有無を判定し、第2サーチコイル30(31~35)に電圧を印加することによって第2サーチコイル30上の異物の有無を判定する。つまり、本実施形態の検知方式は、他励方式ではなく、自コイルに印加される電圧に基づいて異物の有無を検知する自励方式である。自励方式では、異物検知困難な領域である低感度領域は、隣り合う2つの第1コイルの境界部20Aの全域ではなく第1コイルの境界部20Aの端部20Ab、20Acである。
【0087】
本実施形態では、平面視において、第2コイル301の配線パターンに囲まれた領域である囲繞部30Cが第1コイルの境界部20Aの端部20Ab、20Acと重なるように、第2サーチコイル30が配置されている。これにより、第1サーチコイル20の低感度領域上に異物が存在しているために第1サーチコイル20への電圧の印加によって当該異物の検知が困難な場合であっても、第2サーチコイル30への電圧の印加によって当該異物を検知することができる。
【0088】
また、本実施形態では、平面視において、第2コイル301の配線パターン301A、301Bに囲まれた領域である囲繞部30Cが第1コイの境界部20Aの一部と重なるように、各第2サーチコイル31~35が配置されている。つまり、本実施形態では、平面視において、各第2サーチコイル31~35は、第1コイルの境界部20Aの全域でなく一部と重なるように配置されている。そのため、本実施形態では、各第2サーチコイル31~35のサイズを小さくすることができる。
【0089】
平面視において、第1コイルの境界部20Aの端部20Ab、20Acは、第1サーチコイル20の外縁部と、第1サーチコイル20の外縁部以外(第1サーチコイル20の内部)とに位置し得る。第1サーチコイル20上の異物を検知する場合、第1サーチコイル20の内部において異物を検知することの必要性は、第1サーチコイル20の外縁部において異物を検知することの必要性より高い。本実施形態によれば、平面視において、第2コイル301の配線パターン301A、301Bに囲まれた領域である囲繞部30Cが重なっている第1コイルの境界部20Aの端部20Acは、複数の第1コイル201~204に囲まれている。つまり、平面視において、囲繞部30Cが重なっている第1コイル201~204の境界部20Aの端部20Acは、第1サーチコイル20の内部の一部である第1サーチコイル20の中央部に位置している。すなわち、本実施形態によれば、異物の検知の必要性が高い領域において、異物検知の確実性を向上させることができる。
【0090】
各第2サーチコイル31~35は、平面視において第1サーチコイル20の低感度領域を包含できる大きさであればよい。本実施形態によれば、平面視において各第2サーチコイル31~35は第1サーチコイル20より小さい。そのため、各第2サーチコイル31~35が必要以上に大きくなることを抑制することができる。
【0091】
本実施形態によれば、各第2サーチコイル31~35は2つの第2コイル301、302を有する。この場合、各第2サーチコイル31~35が3つ以上の第2コイルを有する構成よりも、各第2サーチコイル31~35を小さくすることができる。
【0092】
制御部40が第1サーチコイル20と第2サーチコイル30とに並行して電圧を印加する場合、第1サーチコイル20に生じた磁束と第2サーチコイル30に生じた磁束とが相互に作用して、異物50の誤検知が起こるおそれがある。本実施形態によれば、制御部40は第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30に対して選択的に電圧を印加するため、前記の誤検知が起こる可能性を低くすることができる。
【0093】
本実施形態によれば、最初に第1サーチコイル20に電圧を印加して第1サーチコイル20の低感度領域を除く領域における異物の有無を検知し、その後に、第2サーチコイル30に電圧を印加して第1サーチコイル20の低感度領域における異物の有無を検知することができる。通常、第1サーチコイル20上の領域において低感度領域が占める割合は、低感度領域以外の領域が占める割合より小さい。つまり、本実施形態によれば、第1サーチコイル20上の異物の有無を検知する場合に、多くの割合を占める領域における異物の有無を先行して検知する。これにより、異物検知を迅速に実行し得る。
【0094】
本実施形態では、第1サーチコイル20は図2及び図3に示すような形状であるが、これに限らない。
【0095】
例えば、異物検知装置10は、図10に示すような四角形状の第1サーチコイル21を備えていてもよい。図10は、変形例の第1サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。第1サーチコイル21は、4つの第1コイル211~214を有する。第1サーチコイル21及びその周辺領域は、境界部21Aと、周縁部21Bと、囲繞部21Cとを含む。境界部21Aは、主部21Aaと、端部21Ab、21Acとを含む。
【0096】
また、例えば、異物検知装置10は、図11に示すような円形状の第1サーチコイル22を備えていてもよい。図11は、変形例の第1サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。第1サーチコイル22は、8つの第1コイル221~228を有する。第1サーチコイル22及びその周辺領域は、境界部22Aと、周縁部22Bと、囲繞部22Cとを含む。境界部22Aは、主部22Aaと、端部22Ab、22Acとを含む。
【0097】
また、例えば、異物検知装置10は、図12に示すような四角形状の第1サーチコイル23を備えていてもよい。図12は、変形例の第1サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。第1サーチコイル23は、6つの第1コイル231~236を有する。第1サーチコイル23及びその周辺領域は、境界部23Aと、周縁部23Bと、囲繞部23Cとを含む。境界部23Aは、主部23Aaと、端部23Ab、23Acとを含む。第1サーチコイル23は、2つの端部23Acを含む。
【0098】
本実施形態では、第2サーチコイル30は図4に示すような形状であるが、これに限らない。
【0099】
例えば、異物検知装置10は、図13に示すような円形状の第2サーチコイル36を備えていてもよい。図13は、変形例の第2サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。第2サーチコイル36は、2つの第2コイル361、362を有する。第2サーチコイル36及びその周辺領域は、境界部36Aと、周縁部36Bと、囲繞部36Cとを含む。境界部36Aは、主部36Aaと、端部36Abとを含む。
【0100】
本実施形態の無線給電装置1では、送信機及び受信機が上下方向100に並んで配置され、送信コイル2と受信コイル5とが上下方向100に対向する構成が説明されたが、これに限らない。例えば、送信機及び受信機が上下方向100と直交する水平方向に並んで配置され、送信コイル2と受信コイル5とが水平方向に対向していてもよい。つまり、送信コイル2と受信コイル5とは、垂直などに起立して配置されていてもよい。
【0101】
本実施形態の無線給電装置1では、受信機(受信コイル5、受信側カバー6、受信制御部7)が送信機(送信コイル2、送信側カバー3、送信制御部4)の上方に配置され、異物検知装置10の第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30が送信側カバー3の内部に配置された構成が説明されたが、これに限らない。図14は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。例えば、図14に示す無線給電装置1Aのように、送信機が受信機の上方に配置され、異物検知装置10の第1サーチコイル20及び第2サーチコイル30が送信側カバー3の内部に配置されていてもよい。
【0102】
本実施形態の無線給電装置1では、異物検知装置10の第1サーチコイル20と第2サーチコイル30とは、送信側カバー3の内部に配置された構成が説明されたが、これに限らない。
【0103】
図15は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。例えば、図15に示す無線給電装置1Bのように、送信機が受信機の上方に配置された構成において、異物検知装置10の第1サーチコイル20と第2サーチコイル30とが、受信側カバー6の内部に配置されていてもよい。
【0104】
図16は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。また、例えば、図16に示す無線給電装置1Cのように、受信機が送信機の上方に配置された構成において、異物検知装置10の第1サーチコイル20と第2サーチコイル30とが、受信側カバー6の内部に配置されていてもよい。
【0105】
本実施形態では、無線給電装置1が送信制御部4と受信制御部7とを備えている構成が説明されたが、これに限らない。
【0106】
図17は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。例えば、図17に示す無線給電装置1Dは、送信制御部4を備える一方で受信制御部7を備えていない。よって、無線給電装置1Dは、図1に示す無線給電装置1に比べて、受信機に搭載される部品数を少なくすることができる。
【0107】
図17に示す無線給電装置1Dは、送信機が通信部8を備え、受信機が通信部9を備える。通信部8は、送信制御部4と電気的に接続されている。通信部9は、受信コイル5と電気的に接続されている。図17に破線の矢印で示すように、通信部8と通信部9とは互いに無線通信可能に構成されている。図17に示す構成の場合、送信制御部4が、受信機の通信部9から送信機の通信部8へ送られた情報に基づいて、出力電圧の調整(制御)を行う。つまり、図1に示す無線給電装置1では受信制御部7が行っていた出力電圧の調整を、図17に示す無線給電装置1Dでは、送信制御部4が行う。
【0108】
なお、無線給電装置1Dは、図1に示す無線給電装置1から受信制御部7を除いて通信部8、9を追加した構成であるが、これに限らない。例えば、無線給電装置は、図14に示す無線給電装置1Aから受信制御部7を除いて通信部8、9を追加したものであってもよい。
【0109】
図18は、変形例の無線給電装置を模式的に例示する。例えば、図18に示す無線給電装置1Eは、受信制御部7を備える一方で送信制御部4を備えていない。よって、無線給電装置1Eは、図15に示す無線給電装置1Bに比べて、送信機に搭載される部品数を少なくすることができる。
【0110】
図18に示す無線給電装置1Eは、送信機が通信部8を備え、受信機が通信部9を備える。通信部8は、送信コイル2と電気的に接続されている。通信部9は、受信制御部7と電気的に接続されている。図18に破線の矢印で示すように、通信部8と通信部9とは互いに無線通信可能に構成されている。図18に示す構成の場合、受信制御部7は、受信コイル5から出力される電圧を調整(制御)する。例えば、送信機の通信部8から常に(或いは一定時間毎に)一定の出力がなされる。通信部9を介して当該出力の情報を取得した受信制御部7が、取得した情報に基づいて、バッテリー等に適切な電圧を供給できるように受信コイル5の出力電圧を制御する。図18に示すような、送信制御部4を備えていない無線給電装置1Eでは、送電側の制御が不要になるために給電開始までの時間を早くすることができる。
【0111】
なお、無線給電装置1Eは、図15に示す無線給電装置1Bから送信制御部4を除いて通信部8、9を追加した構成であるが、これに限らない。例えば、無線給電装置は、図16に示す無線給電装置1Cから送信制御部4を除いて通信部8、9を追加したものであってもよい。
【0112】
本実施形態の無線給電装置1では、第1サーチコイル20の全ての端部20Ab、20Acに第2サーチコイル30が重ねられている構成が説明されたが、これに限らない。例えば、第1サーチコイル20の端部20Acに第2サーチコイル30が重ねられる一方で、第1サーチコイル20の端部20Abに第2サーチコイル30が重ねられていなくてもよい。また、例えば、第1サーチコイル20の一部の端部20Abのみに第2サーチコイル30が重ねられてもよい。
【0113】
本実施形態の無線給電装置1では、図5に示すように、平面視において、第1サーチコイル20の外縁部と重なって配置された第2サーチコイル32~35の境界部30Aの一部が第1サーチコイル20に重なっている構成が説明されたが、これに限らない。図19は、変形例の第1サーチコイル及び第2サーチコイルを示す平面図を模式的に例示する。例えば、図19に示すように、平面視において、第2サーチコイル32~35の境界部30Aは、第1サーチコイル20の外方に位置して、第1サーチコイル20と重なっていなくてもよい。
【0114】
図19に示す構成によれば、平面視において、隣り合う2つの第2コイル301、302の境界部30Aは、第1サーチコイル20の外方に位置している。つまり、平面視において、隣り合う2つの第2コイル301、302の境界部30Aの端部30Ab(第2サーチコイル30の低感度領域)は、第1サーチコイル20の外方に位置している。これにより、第1サーチコイル20と第2サーチコイル30との間における磁束の相互作用を低減することができる。
【0115】
本実施形態では、異物検知装置10が無線給電装置1に設けられた構成が説明されたが、異物検知装置10が設けられるのは無線給電装置1に限らない。異物検知装置10は、自コイルに印加される電圧に基づいて異物の有無を検知する自励方式が採用可能な装置であればいずれの装置にも適用可能である。異物検知装置10は、例えば、食品検査装置やゴミ分別機等に適用可能である。
【0116】
前記した説明は、以下のようにも表現することができる。
【0117】
(1) 本開示の一態様の異物検知装置10は、平面視において配列された複数の第1コイル201、202、203、204を有する第1サーチコイル20と、平面視において配列された複数の第2コイル301、302を有する少なくとも1つの第2サーチコイル30と、前記第1サーチコイル20及び前記第2サーチコイル30に電圧を印加可能な制御部40と、を備え、前記第1サーチコイル20において、隣り合う2つの前記第1コイルの一方201、204に第1巻回方向の電流I1、I4が流れるときに、隣り合う2つの前記第1コイルの他方202、203に前記第1巻回方向と逆方向の第2巻回方向の電流I2、I3が流れるように、複数の前記第1コイル201、202、203、204は電気的に直列接続され、前記第2サーチコイル30において、隣り合う2つの前記第2コイルの一方301に前記第1巻回方向の電流I5が流れるときに、隣り合う2つの前記第2コイルの他方302に前記第2巻回方向の電流I6が流れるように、複数の前記第2コイル301、302は電気的に直列接続され、前記第1サーチコイル20において、隣り合う2つの前記第1コイルの境界部20Aには、2つの前記第1コイルの一方201、204が有する配線(配線パターン201B、201C、204B、204C)と、2つの前記第1コイルの他方202、203が有する配線(配線パターン202B、202C、203B、203C)とが互いに平行且つ近接して配置され、前記制御部40は、前記第1サーチコイル20に電圧を印加することによって前記第1サーチコイル20上の異物50の有無を判定し、前記第2サーチコイル30に電圧を印加することによって前記第2サーチコイル30上の異物50の有無を判定し、平面視において、前記第2コイル301の配線(配線パターン301A、301B)に囲まれた領域(囲繞部30C)が前記第1コイル201、202、203、204の前記境界部20Aの端部20Ab、20Acを含む前記第1コイル201、202、203、204の前記境界部20Aの一部と重なるように、前記第2サーチコイル30が配置されている。
【0118】
(2) (1)の異物検知装置10では、平面視において、前記第2コイル301の配線に囲まれた領域(囲繞部30C)が重なっている前記第1コイル201、202、203、204の前記境界部20Aの端部20Acは、複数の前記第1コイル201、202、203、204に囲まれていてもよい。
【0119】
(3)前記第1サーチコイルは、平面視において2行2列に配列された4つの前記第1コイルを有していてもよく、
平面視において、前記第2コイルの配線に囲まれた領域が4つの前記第1コイルの中央部に位置する前記境界部と重なるように、前記第2サーチコイルが配置されていてもよい。
【0120】
(4) (1)から(3)のいずれか1つの異物検知装置10では、平面視において、1つの前記第2サーチコイル30は、前記第1サーチコイル20より小さくてもよい。
【0121】
(5) (1)から(4)のいずれか1つの異物検知装置10では、平面視において、前記第1サーチコイル20の外縁部(配線パターン201A、202A、203A、204A)と重なっている前記第2サーチコイル30において、隣り合う2つの前記第2コイル301、302の境界部30Aは、前記第1サーチコイル20の外方に位置していてもよい。
【0122】
(6) (1)から(5)のいずれか1つの異物検知装置10では、前記第2サーチコイル30は、2つの前記第2コイル301、302を有していてもよい。
【0123】
(7) (1)から(6)のいずれか1つの異物検知装置10では、前記制御部40は、前記第1サーチコイル20及び前記第2サーチコイル30に対して選択的に電圧を印加してもよい。
【0124】
(8) (7)の異物検知装置10では、前記制御部40は、前記第1サーチコイル20に電圧を印加して前記第1サーチコイル20上の異物50の有無を判定した後、前記第2サーチコイル30に電圧を印加して前記第2サーチコイル30上の異物50の有無を判定してもよい。
【0125】
(9) 本開示の一態様のコイル装置15は、平面視において配列された複数の第1コイル201、202、203、204を有する第1サーチコイル20と、平面視において配列された複数の第2コイル301、302を有する少なくとも1つの第2サーチコイル30と、を備え、前記第1サーチコイル20において、隣り合う2つの前記第1コイルの一方201、204に第1巻回方向の電流I1、I4が流れるときに、隣り合う2つの前記第1コイルの他方202、203に前記第1巻回方向と逆方向の第2巻回方向の電流I2、I3が流れるように、複数の前記第1コイル201、202、203、204は電気的に直列接続され、前記第2サーチコイル30において、隣り合う2つの前記第2コイルの一方301に前記第1巻回方向の電流I5が流れるときに、隣り合う2つの前記第2コイルの他方302に前記第2巻回方向の電流I6が流れるように、複数の前記第2コイル301、302は電気的に直列接続され、前記第1サーチコイル20において、隣り合う2つの前記第1コイルの境界部20Aには、2つの前記第1コイルの一方201、204が有する配線(配線パターン201B、201C、204B、204C)と、2つの前記第1コイルの他方202、203が有する配線(配線パターン202B、202C、203B、203C)とが互いに平行且つ近接して配置され、平面視において、前記第2コイル301の配線(配線パターン301A、301B)に囲まれた領域(囲繞部30C)が前記第1コイル201、202、203、204の前記境界部20Aの端部20Ab、20Acを含む前記第1コイル201、202、203、204の前記境界部20Aの一部と重なるように、前記第2サーチコイル30が配置されている。
【0126】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0127】
本開示は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0128】
10 異物検知装置
20 第1サーチコイル
20A 境界部
20Ab 端部
20Ac 端部
201 第1コイル
201B 配線パターン(配線)
201C 配線パターン(配線)
202 第1コイル
202B 配線パターン(配線)
202C 配線パターン(配線)
203 第1コイル
203B 配線パターン(配線)
203C 配線パターン(配線)
204 第1コイル
204B 配線パターン(配線)
204C 配線パターン(配線)
30 第2サーチコイル
30C 囲繞部(第2コイルの配線に囲まれた領域)
301 第2コイル
301A 配線パターン(配線)
301B 配線パターン(配線)
302 第2コイル
302A 配線パターン(配線)
302B 配線パターン(配線)
40 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19