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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072610
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20240521BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240521BHJP
   H01G 4/33 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01L21/90 A
H01L27/04 D
H01L27/04 C
H01G4/33 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183546
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】平岩 英治
(72)【発明者】
【氏名】満生 彰
【テーマコード(参考)】
5E082
5F033
5F038
【Fターム(参考)】
5E082AB03
5E082BC36
5E082EE05
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG19
5E082FG22
5E082FG27
5E082FG42
5E082FG56
5E082LL15
5F033HH08
5F033HH18
5F033HH33
5F033JJ19
5F033KK08
5F033KK18
5F033KK33
5F033PP15
5F033QQ08
5F033QQ09
5F033QQ11
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033SS11
5F033WW09
5F033XX03
5F038AC02
5F038AC04
5F038AC05
5F038CA05
5F038CA16
(57)【要約】
【課題】絶縁耐圧の低下が抑制されていながらも、従来の半導体装置と比べて配線パターンが微細化され得る半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置SD1の製造方法は、MIM領域MR及び配線領域LRに、第1導電体膜CF1、誘電体膜DF、及び第2導電体膜CF2を順に成膜する工程、第2導電体膜を選択的に除去することにより残存した第2導電体膜CF2から容量素子MEの上部電極UEを形成する工程、露出した誘電体膜DFを選択的に除去することにより配線領域LRにおいて第1導電体膜CF1を露出させ、MIM領域MRにおいて上部電極UEの真下領域から外側へはみ出すように残存したフランジ部FLを有する誘電体層ILを形成する工程、及び、第1導電体膜CF1を選択的に除去することにより、第1導電体膜CF1から容量素子MEの下部電極BEを形成し、配線領域LRにおいてその上面が露出した第1導電体膜CF1から配線パターンLPを形成する工程を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量素子を形成する第1領域と、配線パターンを形成する第2領域とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記第1領域及び前記第2領域に、第1導電体膜、誘電体膜、及び第2導電体膜を順に成膜する工程と、
前記誘電体膜が露出するように前記第2導電体膜を選択的に除去することにより、前記第1領域において、残存した前記第2導電体膜から前記容量素子の上部電極を形成する工程と、
露出した前記誘電体膜を選択的に除去することにより、前記第2領域において前記第1導電体膜を露出させ、前記第1領域において前記上部電極の真下領域から外側へはみ出すように残存したフランジ部を有する誘電体層を形成する工程と、
前記第1導電体膜を選択的に除去することにより、前記第1領域において前記第1導電体膜から前記容量素子の下部電極を形成し、前記第2領域においてその上面が露出した前記第1導電体膜から前記配線パターンを形成する工程と、を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記誘電体層を形成する工程では、前記第1領域において前記第1導電体膜の一部を前記誘電体層から露出させ、
前記配線パターンを形成する工程では、平面視において前記誘電体層から露出する部分を有する前記下部電極を形成する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記上部電極の側端面と前記フランジ部の側端面との間の最短距離は、50nm以上である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記上部電極を形成する工程後であって、前記誘電体層を形成する工程の前に、前記上部電極及び前記誘電体膜を覆うように第1絶縁膜を成膜する工程をさらに備え、
前記誘電体層を形成する工程では、前記第1絶縁膜に異方性エッチング処理を施すことにより、前記上部電極の側端面を覆うサイドウォール絶縁膜を形成するとともに、平面視において前記上部電極及び前記サイドウォール絶縁膜から露出する前記誘電体膜を除去して、前記サイドウォール絶縁膜と前記第1導電体膜との間に前記フランジ部を形成する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記誘電体層を形成する工程後に、前記第1導電体膜上にハードマスク絶縁膜を形成する工程をさらに備え、
前記配線パターンを形成する工程では、前記ハードマスク絶縁膜を用いて前記第1導電体膜の一部を除去することによって、前記ハードマスク絶縁膜の下に前記下部電極及び前記配線パターンを形成する、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記下部電極及び前記配線パターンを形成する工程後に、上面を有する第3絶縁膜を前記ハードマスク絶縁膜上に形成する工程と、
前記ハードマスク絶縁膜及び前記第3絶縁膜を貫通するビアを形成する工程と、
前記第3絶縁膜の前記上面上に、前記ビアと電気的に接続される第3導電体膜を形成する工程とをさらに備える、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1導電体膜、前記誘電体膜、及び前記第2導電体膜を順に成膜する工程後に、前記第2導電体膜上に第2ハードマスク絶縁膜を形成する工程をさらに備え、
前記上部電極を形成する工程では、前記第2ハードマスク絶縁膜から露出する前記第2導電体膜を選択的に除去することにより、前記第1領域において、前記第2ハードマスク絶縁膜の下の前記第2導電体膜から前記容量素子の上部電極を形成し、
前記第1絶縁膜を成膜する工程では、前記第2ハードマスク絶縁膜、前記上部電極、及び前記誘電体膜を覆うように前記第1絶縁膜を成膜し、
前記誘電体層を形成する工程では、前記第1絶縁膜に異方性エッチング処理を施すことにより、前記第2ハードマスク絶縁膜及び前記上部電極の各側端面を覆う前記サイドウォール絶縁膜を形成する、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
MIM容量素子と、
配線パターンと、
前記MIM容量素子及び前記配線パターン上に形成されている層間絶縁膜とを備え、
前記MIM容量素子は、下部電極、前記下部電極上に形成された誘電体層、及び前記誘電体層上に形成された上部電極を含み、
前記誘電体層は、前記上部電極の真下領域から外側へはみ出すように残存したフランジ部を有し、
前記配線パターンの上面は、前記層間絶縁膜と接している、半導体装置。
【請求項9】
前記下部電極の上面の一部は、前記層間絶縁膜と接している、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記上部電極の側端面と前記フランジ部の側端面との間の最短距離は、50nm以上である、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記MIM容量素子はサイドウォール絶縁膜をさらに含み、
前記サイドウォール絶縁膜は、前記フランジ部上に配置されており、かつ前記上部電極の側端面を覆っている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記層間絶縁膜は、前記配線パターンの上面及び前記MIM容量素子の表面に接するハードマスク絶縁膜を含む、請求項8に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-191182号公報(特許文献1)に記載の半導体装置では、MIM容量素子の下部電極と、少なくとも1つの配線から成る配線パターンとが、1つの導電層をパターニングすることにより形成されている。MIM容量素子の容量絶縁膜は、下部電極上のみならず、配線領域の配線パターン上にも形成されている。
【0003】
上記半導体装置の製造方法では、下部導電体膜、容量絶縁膜、及び上部導電体膜が順に成膜された後、マスクを用いて上部導電体膜をエッチングすることにより上部電極を形成し、さらに連続して当該マスクを用いて容量絶縁膜を途中までエッチングする。その後、上部電極及び容量絶縁膜の各々の側面を覆うマスクを用いて、容量絶縁膜の残膜と下部導電体膜とをエッチングすることにより、容量絶縁膜、下部電極、及び配線パターンが同時に形成される。これにより、上記半導体装置では、当該エッチング処理において上部電極及び容量絶縁膜の側面に導電性堆積物(デポ)が付着しないため、絶縁耐圧の低下が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-191182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、配線パターンの微細化が進んでいる。
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置のように容量絶縁膜と配線パターンとが1つのマスクを用いて連続して加工される半導体装置では、配線パターンの微細化は困難である。
【0006】
特許文献1に記載の半導体装置では、容量絶縁膜の残膜の厚みにばらつきが生じるおそれがある。容量絶縁膜の残膜が厚いと、隣り合う配線間を埋め込む絶縁膜が適切に成膜されず、当該埋め込み絶縁膜内にボイドが形成されるおそれがある。他方、容量絶縁膜の残膜が薄いと、隣り合う配線間を埋め込む絶縁膜を形成する際に配線の上縁部が露出し、配線の露出部を構成する材料が配線間にリスパッタされて、配線間がショートするおそれがある。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、容量素子を形成する第1領域と、配線パターンを形成する第2領域とを有する半導体装置の製造方法である。半導体装置の製造方法は、第1領域及び第2領域に、第1導電体膜、誘電体膜、及び第2導電体膜を順に成膜する工程、第2導電体膜を選択的に除去することにより残存した第2導電体膜から容量素子の上部電極を形成する工程を備える。さらに半導体装置の製造方法は、露出した誘電体膜を選択的に除去することにより第2領域において第1導電体膜を露出させ、第1領域においてフランジ部を有する誘電体層を形成する工程、及び、第1導電体膜を選択的に除去することにより、第2領域においてその上面が露出した第1導電体膜から配線パターンを形成する工程を備える。
【0009】
本開示に係る半導体装置は、MIM容量素子と、配線パターンと、MIM容量素子及び配線パターン上に形成されている層間絶縁膜とを備える。MIM容量素子は、下部電極、下部電極上に形成された誘電体層、及び誘電体層上に形成された上部電極を含む。誘電体層は、上部電極の真下領域から外側へはみ出すように残存したフランジ部を有している。配線パターンの上面は、層間絶縁膜と接している。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、絶縁耐圧の低下が抑制されていながらも、従来の半導体装置と比べて配線パターンが微細化され得る半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る半導体装置を示す部分拡大断面図である。
図2図1中の矢印II-IIから視た部分拡大平面図である。
図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大断面図である。
図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図3に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図4に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図5に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図7】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図6に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図8】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図7に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図9】実施の形態2に係る半導体装置を示す部分拡大断面図である。
図10図9中の矢印X-Xから視た部分拡大平面図である。
図11】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大断面図である。
図12】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法において、図11に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図13】実施の形態3に係る半導体装置を示す部分拡大断面図である。
図14】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大断面図である。
図15】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法において、図14に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図16】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法において、図15に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図17】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法において、図16に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図18】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法において、図17に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図19】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法において、図18に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図20】実施の形態2に係る半導体装置の変形例を示す部分拡大断面図である。
図21図20に示される半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大断面図である。
図22図20に示される半導体装置の製造方法において、図21に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図23図20に示される半導体装置の製造方法において、図22に示される工程後の一工程を示す断面図である。
図24】比較例に係る半導体装置の製造方法において、配線領域に残された誘電体膜の膜厚が薄い場合に起こり得る不具合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。以下では、説明の便宜上、互いに直交する第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zが、用いられる。
【0013】
本実施の形態において幾何学的な文言および位置・大小・方向等の相対的な関係を表す文言、たとえば「直交」、「沿って」、「合同」、「同等」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。
【0014】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
図1に示されるように、実施の形態1に係る半導体装置SD1は、たとえばマイクロコントローラである。半導体装置SD1は、たとえばチップ状態であり、半導体基板SUBを有している。半導体基板SUBは、主表面MSFを有している。主表面MSFは、第1方向X及び第2方向Yに沿って延びており、第3方向Zと直交する。
【0015】
なお、本実施の形態の半導体装置SD1は、半導体チップに限定されず、半導体チップに分割される前のウエハ状態でもよく、また半導体チップが封止樹脂で封止されたパッケージ状態でもよい。また本明細書における平面視とは、半導体基板SUBの主表面SMFに対して直交する第3方向Zから見た視点を意味する。また本明細書における下方又は下部とは、第3方向Zにおいて比較対象よりも半導体基板SUBに近い側を意味、上方又は上部とはその反対側を意味する。
【0016】
図1に示されるように、半導体基板SUBの主表面SMF上には、少なくとも、MIM領域MR(第1領域)と配線領域LR(第2領域)とが形成されている。MIM領域MRには、少なくとも1つのMIM容量素子MEが形成されている。MIM容量素子MEは、下部電極BEと、誘電体層ILと、上部電極UEとにより構成されている。配線領域LRには、複数の配線MLを含む配線パターンLPが形成されている。MIM容量素子ME及び配線パターンLPは、絶縁膜INに埋め込まれている。絶縁膜INは、第3方向Zにおいて半導体基板SUBから順に積層している、第1層間絶縁膜IN1、第2層間絶縁膜IN2、及び第3層間絶縁膜IN3を有する。第2層間絶縁膜IN2は、第1層間絶縁膜IN1に対して半導体基板SUBとは反対側に配置されている。第3層間絶縁膜IN3は、第2層間絶縁膜IN2に対して半導体基板SUBとは反対側に配置されている。つまり第1層間絶縁膜IN1は半導体基板SUB上に配置され、第2層間絶縁膜IN2は第1層間絶縁膜IN1上に配置され、第3層間絶縁膜IN3は第2層間絶縁膜IN2上に配置されている。MIM容量素子MEの下部電極BE及び配線領域LRの配線パターンLPの各々は、第2層間絶縁膜IN2の上面上に成膜された1つの導電体膜がパターニングされることにより形成されている。第3層間絶縁膜IN3は、MIM容量素子ME及び配線パターンLP上に形成されている。第3層間絶縁膜IN3は、MIM容量素子MEの表面及び配線パターンLPの上面と接している。なお、図1以外の各図では、絶縁膜INの図示が省略されている。
【0017】
MIM領域MRには、複数のMIM容量素子MEが形成されていてもよい。複数のMIM容量素子MEの各々の下部電極BEは、互いに電気的に並列に接続されていてもよい。この場合、複数のMIM容量素子MEの各々の下部電極BEは、1つの導電膜により構成されていてもよい。配線領域LRには、少なくとも1つの配線MLから成る配線パターンLPが形成されていればよい。配線領域LRは、例えば第2方向YにおいてMIM領域MRと並んで配置されているが、第1方向XにおいてMIM領域MRと並んで配置されていてもよい。
【0018】
<MIM容量素子の構成>
図1及び図2に示されるように、MIM容量素子MEの誘電体層ILは、下部電極BEの上面の一部上に形成されている。異なる観点から言えば、下部電極BEの上面BEFは、誘電体層ILと接している領域と、誘電体層ILと接していない領域とを有している。下部電極BEの上面のうち誘電体層ILと接していない領域は、第3層間絶縁膜IN3と接している。
【0019】
図1及び図2に示されるように、誘電体層ILは、本体部MBと、フランジ部FLとを含む。
【0020】
図1に示されるように、本体部MBは、第3方向Zにおいて、上部電極UEと下部電極BEとの間に挟まれている。本体部MBは、上部電極UEの下面と接している上面と、下部電極BEと接している下面と、第3層間絶縁膜IN3と接している側端面MBSとを有している。本体部MBの側端面MBSは、上部電極UEの側端面と連なっている。本体部MBの側端面MBSの上端は、上部電極UEの側端面の下端、及び本体部MBの上面の外縁と接続されている。
【0021】
図1及び図2に示されるように、フランジ部FLは、上部電極UEの側端面および本体部MBの側端面MBSから外側に突出している。フランジ部FLは、平面視において、上部電極UE及び本体部MBを囲むように設けられている。フランジ部FLは、第3層間絶縁膜IN3と接している上面及び側端面FLSと、下部電極BEと接している下面とを有している。フランジ部FLの側端面FLSと本体部MBの側端面MBSとの間の距離を、フランジ部FLの幅とする。好ましくは、フランジ部FLの最小幅は、50nm以上である。第1方向Xにおけるフランジ部FLの幅W1は、例えば第2方向Yにおけるフランジ部の幅W2と等しい。つまりフランジ部FLの側端面FLSは、第1方向Xおよび第2方向Yにおいて、上部電極UEの側端面と離間している。なお、第1方向Xにおけるフランジ部FLの幅は、例えば第2方向Yにおけるフランジ部FLの幅よりも異なっていてもよい。フランジ部FLは、例えば本体部MBよりも薄い。なお、フランジ部FLの厚みは、本体部MBの厚みと同等であってもよい。フランジ部FLの厚みは、後述する半導体装置SD1の製造方法における上部電極UEを形成する工程でのオーバーエッチング処理の有無、及びオーバーエッチング処理が行われる場合にはその条件に応じて決まる。
【0022】
図2に示されるように、上部電極UEの平面形状は、例えば長方形である。誘電体層ILの本体部MB及びフランジ部FLの各々の平面形状は、例えば長方形である。下部電極BEの平面形状は、例えば長方形である。なお、上部電極UE、誘電体層ILの本体部MB及びフランジ部FL、並びに下部電極BEの各々の平面形状は、任意の形状であればよい。
【0023】
図1に示されるように、下部電極BEは、第1ビアBVを介して、第1引き出し配線BLに接続されている。第1引き出し配線BLは、半導体基板SUBの主表面SMFと下部電極BEの下面との間に配置されている。第1引き出し配線BLは、第1層間絶縁膜IN1の上面上に形成されている。第1ビアBVは、第1引き出し配線BLの上面と下部電極BEの下面との間を隔てている第2層間絶縁膜IN2を貫いている。
【0024】
図1に示されるように、上部電極UEは、第2ビアUV1を介して、第2引き出し配線UL1に接続されている。第2引き出し配線UL1は、第3層間絶縁膜IN3の上面上に形成されている。第2ビアUV1は、上部電極UEの上面と第1引き出し配線UL1の下面との間を隔てている第3層間絶縁膜IN3を貫いている。
【0025】
図2に示されるように、平面視において、第2ビアUV1は、上部電極UEの中心と重なるように形成されている。
【0026】
下部電極BEを構成する材料は、例えばアルミニウム(Al)を含む。下部電極BEは、例えば、チタン(Ti)からなるTi層、窒化チタン(TiN)からなるTiN層、AlからなるAl層、及びTiN層が第3方向Zに下方から順に積層されてなる積層体である。上部電極UEを構成する材料は、例えば窒化チタン(TiN)を含む。上部電極UEは、例えばTiN層のみにより構成されている。
【0027】
誘電体層ILを構成する材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、及び窒化ケイ素(SiN)からなる群から選択される少なくともいずれかを含む。
【0028】
下部電極BEの厚みは、上部電極UE及び誘電体層ILの各々の厚みよりも大きい。上部電極UEの厚みは、50nm以上である。上部電極UEの厚みは、典型的には80nmである。
【0029】
第1引き出し配線BL及び第2引き出し配線UL1を構成する材料は、例えばAlを含む。第1引き出し配線BL及び第2引き出し配線UL1は、例えば、下部電極BEと同様に、第3方向Zにおいて下方から順に積層したTi層、TiN層、Al層、及びTiN層からなる積層体である。第1ビアBV及び第2ビアUV1の各々を構成する材料は、例えばタングステン(W)を含む。
【0030】
第1層間絶縁膜IN1、第2層間絶縁膜IN2、及び第3層間絶縁膜IN3の各々を構成する材料は、例えばSiOを含む。
【0031】
<配線パターンの構成>
図1及び図2に示されるように、配線パターンLPは、第2方向Yに互いに間隔を空けて配置されている複数の配線MLを含む。複数の配線ML間には、第2層間絶縁膜IN2が充填されている。複数の配線MLの各上面は、第3層間絶縁膜IN3と接している。複数の配線MLの各々は、例えば互いに電気的に接続されていない。
【0032】
図1に示されるように、1つの配線MLは、第3ビアUV2を介して、第3引き出し配線UL2に接続されている。図1には示されていないが、他の配線MLも、図示しないビアを介して、図示しない引き出し配線に接続されている。第3引き出し配線UL2は、第3層間絶縁膜IN3の上面上に形成されている。第3ビアUV2は、配線MLの上面と第3引き出し配線UL2の下面との間を隔てている第3層間絶縁膜IN3を貫いている。
【0033】
複数の配線MLの第2方向Yの間隔は、例えば複数の配線MLの各々の厚みと同等又はそれ未満である。
【0034】
複数の配線MLの各々を構成する材料は、下部電極BEを構成する材料と同じである。第3引き出し配線UL2を構成する材料は、例えば第2引き出し配線UL1を構成する材料と同じである。第3ビアUV2を構成する材料は、例えば第2ビアUV1を構成する材料と同じである。
【0035】
<半導体装置の製造方法>
次に、図3図7を参照して、実施の形態1に係る半導体装置SD1の製造方法について説明する。なお、図4図7では、半導体基板SUB、絶縁膜IN、第1引き出し配線BL、及び第1ビアBVの図示が省略されている。
【0036】
第1に、図3に示されるように、半導体基板SUBが準備される。MIM領域MR及び配線領域LRにおいて、半導体基板SUBの主表面SMF上には、第1層間絶縁膜IN1及び第2層間絶縁膜IN2が形成されている。なお、図示されていないが、第2層間絶縁膜IN2の下方には、第1引き出し配線BL及び第1ビアBVが形成されている。また、図示されていないが、本工程にて準備される半導体基板SUBには、半導体装置SD1に含まれる任意の素子構造(例えばトランジスタ)が形成されていてもよい。このような半導体基板を形成する方法は、従来公知の方法により行われればよいため、ここでは説明を省略する。
【0037】
第2に、図4に示されるように、第1導電体膜CF1、誘電体膜DF、及び第2導電体膜CF2が、第2層間絶縁膜IN2の上面上に形成される。第1導電体膜CF1、誘電体膜DF、及び第2導電体膜CF2は、この記載順に、下方から上方に連続して成膜される。第1導電体膜CF1、誘電体膜DF、及び第2導電体膜CF2を成膜方法は、特に制限されないが、例えばスパッタリング法である。
【0038】
第3に、図5に示されるように、上部電極UEが第2導電体膜CF2から形成される。さらに、誘電体膜DFに、本体部MBと、本体部MBよりも薄い薄肉部DTIとが形成される。
【0039】
具体的には、第1マスクMK1が第2導電体膜CF2の上面上に形成される。第1マスクMK1は、例えば写真製版により形成されたレジストマスクである。第1マスクMK1は、MIM領域MRにおける半導体基板SUBの主表面SMF上にのみ形成される。次に、第2導電体膜CF2が、第1マスクMK1を用いて、ドライエッチング法等によりパターニングされる。本パターニング処理は、第2導電体膜CF2を除去すべき領域に第2導電膜CF2の残渣が生じないように、行われる。例えば、本パターニング処理は、オーバーエッチング処理を含む。この場合誘電体膜DFのうち、平面視において上部電極UEから露出する部分の厚みが減じられる。このようにして、上部電極UEが形成される。さらに、誘電体膜DFに、上部電極UEと第1導電体膜CF1との間に挟まれている本体部MBと、平面視において上部電極UEから露出しており本体部MBよりも薄い薄肉部DTIとが形成される。本体部MBは、本工程後に加工されない。本体部MBには、側端面MBSが形成される。なお、本パターニング処理において、上記残渣を生じさせないための処理は、オーバーエッチング処理に限られない。つまり、本パターニング処理において、オーバーエッチング処理は必須ではない。オーバーエッチング処理が行われない場合、誘電体膜DFはエッチングされないため、薄肉部DTIは形成されない。つまり、誘電体膜DFのうち平面視において上部電極UEから露出している部分の厚みは、本体部MBの厚みと同等となる。この場合、半導体装置SD1において、フランジ部FLの厚みは、本体部MBの厚みと同等となる。
【0040】
本体部MB及び薄肉部DTIは、例えば第1マスクMK1を用いたオーバーエッチング処理により形成される。薄肉部DTIは、平面視において上部電極UE及び本体部MBを囲むように形成される。本体部MB及び薄肉部DTIが形成された後、第1マスクMK1は上部電極UE上から除去される。
【0041】
第4に、図6に示されるように、誘電体層ILが誘電体膜DFから形成される。具体的には、第2マスクMK2が、上部電極UEの側端面及び本体部MBの側端面MBSを覆うように、薄肉部DTIの一部上に、形成される。第2マスクMK2は、例えば写真製版により形成されたレジストマスクである。第2マスクMK2は、配線領域LRにおける半導体基板SUBの主表面SMF上には形成されない。第2マスクMK2は、例えばMIM領域MRにおける半導体基板SUBの主表面SMF上にのみ形成される。
【0042】
次に、誘電体膜DFの薄肉部DTIが、第2マスクMK2を用いて、ドライエッチング法等によりパターニングされる。これにより、フランジ部FLが薄肉部DTIから形成される。このようにして、本体部MB及びフランジ部FLを含む誘電体層ILが、誘電体膜DFから形成される。フランジ部FLが形成された後、第2マスクMK2は上部電極UE及び誘電体層IL上から除去される。
【0043】
第5に、図7に示されるように、下部電極BE及び配線パターンLPが第1導電体膜CF1から形成される。具体的には、第3マスクMK3が、MIM領域MR及び配線領域LRの各々の第1導電体膜CF1の一部上に、形成される。MIM領域MRにおいて、第3マスクMK3は、上部電極UEの側端面、本体部MBの側端面MBS、及びフランジ部FLの側端面FLSを覆うように形成される。第3マスクMK3の膜厚は、配線パターンLP及び下部電極BEの加工が完了するまで第3マスクMK3が適切に保持される限りにおいて、薄く設定され得る。第3マスクMK3は、例えば写真製版により形成されたレジストマスクである。次に、第1導電体膜CF1が、第3マスクMK3を用いて、ドライエッチング法等によりパターニングされる。これにより、MIM領域MRにおいては、下部電極BEが第1導電体膜CF1から形成される。同時に、配線領域LRにおいては、配線パターンLPが第1導電体膜CF1から形成される。下部電極BE及び配線パターンLPが形成された後、第3マスクMK3はこれらの上から除去される。これにより、MIM領域MRにおいてMIM容量素子MEが形成され、配線領域LRにおいて配線パターンLPが形成される。
【0044】
第6に、図8に示されるように、第3層間絶縁膜IN3が、MIM容量素子ME及び配線パターンLPを覆うように形成される。第3層間絶縁膜IN3は、例えばHDP-CVD(High Density Plasma Chemical Vapor Deposition)法により成膜された層間絶縁膜の一部をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により除去することにより、形成される。その後、第2ビアUV1及び第3ビアUV2、並びに第2引き出し配線UL1及び第3引き出し配線UL2が、形成される。第3層間絶縁膜IN3、第2ビアUV1及び第3ビアUV2、並びに第2引き出し配線UL1及び第3引き出し配線UL2の各々を形成する方法は、従来公知の方法により行われればよいため、ここでは説明を省略する。以上により、半導体装置SD1が製造される。
【0045】
<半導体装置の効果>
半導体装置SD1の効果を比較例との対比に基づいて説明する。比較例に係る半導体装置は、上記特許文献1に記載の半導体装置と同様の構成を備え、MIM容量の誘電体層がMIM領域の下部電極及び配線領域の配線パターンの各々の上面全体に形成される。そのため、比較例において配線パターンの微細化を図ると、その製造方法において誘電体層と配線パターン及び下部電極とを同時に形成するためのマスクが配線パターンの加工が完了するまで保持されずに、配線パターンに形状異常が生じるおそれがある。この場合に生じる配線パターンの形状異常は、特に配線パターンの延在方向に直交する断面形状の異常として現れる。このような配線パターンの形状異常の発生を抑制する観点で、比較例では、マスクの薄膜化は制限され、結果配線パターンの微細化も制限される。
【0046】
これに対し、半導体装置SD1では、誘電体層ILが配線パターンLP上に形成されていない。そのため、半導体装置SD1の製造方法において、配線パターンLP及び下部電極BEを形成するための第3マスクMK3の膜厚は、比較例の製造方法において配線パターンの加工に用いられるマスクよりも薄く設定され得る。第3マスクMK3の膜厚は、配線パターンLP及び下部電極BEの加工が完了するまで保持され得る限りにおいて薄く設定され得る。その結果、半導体装置SD1の配線パターンLPは、比較例の配線パターンと比べて、微細化され得る。
【0047】
さらに、半導体装置SD1において、誘電体層ILは、上部電極UEと下部電極BEとの間に挟まれる本体部MBと、平面視において上部電極UE及び本体部MBを囲むフランジ部FLとを含んでいる。このような半導体装置SD1の製造方法では、誘電体膜DFの薄肉部DTIの一部がエッチングされてフランジ部FLが形成される際に、MIM容量素子MEの上部電極UE及び誘電体層ILの各側面に導電性堆積物が付着しない。そのため、半導体装置SD1では、MIM領域MRにおいてフランジ部FLが形成されていない半導体装置と比べて、MIM容量素子MEの絶縁耐圧の低下が抑制されており、信頼性が高い。
【0048】
(実施の形態2)
図9及び図10に示されるように、実施の形態2に係る半導体装置SD2は、実施の形態1に係る半導体装置SD1と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、MIM容量素子MEがサイドウォール絶縁膜SWIを含んでいる点で、半導体装置SD1とは異なる。以下では、実施の形態2に係る半導体装置SD2が実施の形態1に係る半導体装置SD1とは異なる点を主に説明する。なお、図9では、半導体基板SUB、絶縁膜IN、第1引き出し配線BL、及び第1ビアBVの図示が省略されている。
【0049】
図9に示されるように、サイドウォール絶縁膜SWIは、フランジ部FL上に配置されており、上部電極UEの側端面及び本体部MBの側端面MBSを覆っている。サイドウォール絶縁膜SWIは、本体部MBの側端面MBS、フランジ部FLの上面、及び絶縁膜INの各々と接している。サイドウォール絶縁膜SWIは、誘電体層ILと絶縁膜INとの間に介在する。図10に示されるように、サイドウォール絶縁膜SWIは、平面視において、上部電極UE及び誘電体層ILの本体部MBの全周を囲むように形成されている。サイドウォール絶縁膜SWIを構成する材料は、電気的絶縁性を有する任意の材料であればよいが、例えばSiO2を含む。サイドウォール絶縁膜SWIを構成する材料は、誘電体層ILを構成する材料と同じであってもよい。サイドウォール絶縁膜SWIを構成する材料は、誘電体層ILを構成する材料とは異なっていてもよい。
【0050】
半導体装置SD2の製造方法は、半導体装置SD1の製造方法と基本的に同様の構成を備えるが、上部電極UEを形成する工程後であって誘電体層ILを形成する工程の前に、上部電極UE及び誘電体膜DFを覆うように第1絶縁膜を成膜する工程をさらに備え、誘電体層ILを形成する工程において第1絶縁膜に異方性エッチング処理(エッチバック処理)を施すことによりサイドウォール絶縁膜SWIとフランジ部FLとを連続して形成する点で、半導体装置SD1の製造方法とは異なる。以下では、半導体装置SD2の製造方法が半導体装置SD1の製造方法とは異なる点を主に説明する。
【0051】
半導体装置SD1の製造方法と同様に上部電極UEが形成された後、図11に示されるように、第1絶縁膜IF1が、上部電極UE及び誘電体膜DFの薄肉部DTIを覆うように形成される。第1絶縁膜IF1は、上部電極UEの側端面UES及び誘電体膜DFの本体部MBの側端面MBSを覆っている。
【0052】
図12に示されるように、第1絶縁膜IF1を成膜する工程後に、誘電体層ILを形成する工程が実施される。本工程では、第1絶縁膜IF1に異方性エッチング処理を施すことにより、サイドウォール絶縁膜SWIが第1絶縁膜IF1から形成される。さらにサイドウォール絶縁膜SWIから露出する薄肉部DTIが除去されることにより、フランジ部FLが形成される。第1絶縁膜IF1(サイドウォール絶縁膜SWI)を構成する材料が誘電体層ILを構成する材料と同じである場合、サイドウォール絶縁膜SWIを形成するための第1エッチング処理と、フランジ部FLを形成するための第2エッチング処理とは、同一条件にて中断することなく実施され得る。他方、第1絶縁膜IF1(サイドウォール絶縁膜SWI)を構成する材料が誘電体層ILを構成する材料と異なる場合、サイドウォール絶縁膜SWIを形成するための第1エッチング処理が終了後、フランジ部FLを形成するための第2エッチング処理が第1エッチング処理とは別条件で実施される。
【0053】
その後、半導体装置SD1の製造方法と同様に下部電極BE及び配線パターンPL等が形成されることにより、半導体装置SD2が製造され得る。
【0054】
半導体装置SD1では、フランジ部FLがフォトリソグラフィを用いて形成されるため、フォトリソグラフィによる位置合わせ精度を考慮して、第2マスクMK2を上部電極UEに対して比較的大きく形成する必要がある。そのため、半導体装置SD1におけるフランジ部FLの幅は比較的広く設定される。これに対し、半導体装置SD2では、フランジ部FLがフォトリソグラフィを用いることなく自己整合的に(セルフアラインで)形成され得る。従って、第2マスクMK2を形成する必要がないためフォトリソグラフィによる位置合わせ精度を考慮する必要がない。そのため、半導体装置SD2におけるフランジ部FLの幅は、第1絶縁膜IF1の膜厚に応じて精度良く制御され得る。そのため、半導体装置SD2では、MIM容量素子MEの信頼性が損なわれない限りにおいて、半導体装置SD1におけるフランジ部FLの幅よりも狭く設定され得る。
【0055】
また、半導体装置SD2の製造方法では、フランジ部FLがサイドウォール絶縁膜SWIとともに異方性エッチング処理により形成されるため、半導体装置SD1の製造方法において用いられるフランジ部FLを形成するための第2マスクMK2が不要となる。つまり、半導体装置SD2の製造方法では、第2マスクMK2を写真製版により形成するためのフォトマスクが不要となるため、製造コストが抑えられる。
【0056】
(実施の形態3)
図13に示されるように、実施の形態3に係る半導体装置SD3は、実施の形態2に係る半導体装置SD2と基本的に同様の構成を備え同様の効果を奏するが、第3層間絶縁膜IN3がハードマスク絶縁膜HMIと埋め込み絶縁膜EMIとを含む点で、半導体装置SD2とは異なる。以下では、実施の形態3に係る半導体装置SD3が実施の形態2に係る半導体装置SD2とは異なる点を主に説明する。
【0057】
ハードマスク絶縁膜HMIは、MIM領域MRにおいて上部電極UE及び誘電体層ILの表面、並びに下部電極BEの上面のうち誘電体層ILから露出している一部と接しており、配線領域LRにおいて配線パターンLPの上面と接している。ハードマスク絶縁膜HMIを構成する材料は、下部電極BE及び配線パターンLPを形成する工程において被加工対象物である第1導電体膜CF1に対するエッチング選択比が高く電気的絶縁性を有する任意の材料であればよいが、例えばSiO2を含む。ハードマスク絶縁膜HMIの膜厚は、配線パターンLP及び下部電極BEの加工が完了するまでハードマスク絶縁膜HMIが適切に保持され、かつ隣り合う配線MP間に埋め込み絶縁膜EMIを適切に成膜できるように、設定される。
【0058】
埋め込み絶縁膜EMIは、ハードマスク絶縁膜HMI上に形成されている。埋め込み絶縁膜EMIは、第2層間絶縁膜IN2上に形成されている凹凸構造を埋め込むように形成されている。埋め込み絶縁膜EMIは、配線領域LRにおいて、隣り合う配線ML間及びハードマスク絶縁膜HMI間を埋め込む。埋め込み絶縁膜EMIは、配線領域LRにおいて配線パターンLPの側端面並びにハードマスク絶縁膜HMIの側端面及び上面と接している。埋め込み絶縁膜EMIは、MIM領域MRにおいて、MIM容量素子MEの周囲を覆っている。埋め込み絶縁膜EMIは、MIM領域MRにおいて下部電極BEの側端面BES並びにハードマスク絶縁膜HMIの側端面及び上面と接している。埋め込み絶縁膜EMIを構成する材料は、例えばSiOを含む。
【0059】
半導体装置SD3の製造方法は、半導体装置SD2の製造方法と基本的に同様の構成を備えるが、誘電体層ILを形成する工程の後に、MIM領域MR及び配線領域LRにハードマスク絶縁膜HMIを形成する工程と、ハードマスク絶縁膜HMIをマスクとして第1導電体膜CF1をパターニングする工程とをさらに備える点で、半導体装置SD2の製造方法とは異なる。以下では、半導体装置SD3の製造方法が半導体装置SD2の製造方法とは異なる点を主に説明する。
【0060】
図14に示されるようにサイドウォール絶縁膜SWI及びフランジ部FLを含む誘電体層ILが形成された後、図15に示されるように、第2絶縁膜IF2が、MIM領域MR及び配線領域LRにおいて第1導電体膜CF1の全体上に成膜される。第2絶縁膜IF2は、第1導電体膜CF1の上面及びMIM容量素子MEの表面を覆っている。
【0061】
図16及び図17に示されるように、ハードマスク絶縁膜HMIが第2絶縁膜IF2から形成される。具体的には、図16に示されるように、第4マスクMK4が、第1導電体膜CF1のうち下部電極BE及び配線パターンLPが形成されるべき領域上に形成される。第4マスクMK4は、例えば写真製版により形成されたレジストマスクである。
【0062】
次に、第2絶縁膜IF2が、第4マスクMK4を用いて、ドライエッチング法等によりパターニングされる。これにより、図17に示されるように、ハードマスク絶縁膜HMIが第2絶縁膜IF2から形成される。ハードマスク絶縁膜HMIが形成された後、第4マスクMK4は除去される。
【0063】
図18に示されるように、ハードマスク絶縁膜HMIを用いて、下部電極BE及び配線パターンLPが第1導電体膜CF1から形成される。これにより、MIM領域MRにおいては、下部電極BEが第1導電体膜CF1から形成される。同時に、配線領域LRにおいては、配線パターンLPが第1導電体膜CF1から形成される。ハードマスク絶縁膜HMIは、下部電極BE及び配線パターンLPが形成された後にも除去されずに残される。これにより、MIM領域MRにおいて、MIM容量素子MEの上部電極UE及び誘電体層ILの表面とMIM容量素子MEの下部電極BEの上部表面とを覆うハードマスク絶縁膜HMIが形成される。また、配線領域LRにおいて、配線パターンLPの上面を覆うハードマスク絶縁膜HMIが形成される。
【0064】
図19に示されるように、埋め込み絶縁膜EMIが、MIM領域MR及び配線領域LRの第2層間絶縁膜IN2上に形成される。埋め込み絶縁膜EMIは、例えば、HDP-CVD(High Density Plasma Chemical Vapor Deposition)法により成膜された絶縁膜の一部をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により除去することにより、形成される。埋め込み絶縁膜EMIは、配線領域LRにおいて、隣り合う配線ML間及びハードマスク絶縁膜HMI間を埋め込む。埋め込み絶縁膜EMIは、MIM領域MRにおいて、MIM容量素子MEの周囲を埋め込む。
【0065】
半導体装置SD3の製造方法では、ハードマスク絶縁膜HMIを用いて下部電極BE及び配線パターンLPが形成されるため、レジストから成る第3マスクMK3を用いて下部電極BE及び配線パターンLPが形成される半導体装置SD2と比べて、より微細な配線パターンLPを形成可能である。
【0066】
なお、配線領域LRの配線パターンLP上に残存した誘電体膜(容量絶縁膜)を備える比較例に係る半導体装置において、ハードマスク絶縁膜を用いて誘電体膜と導電体膜とを加工する場合にも、誘電体膜の残膜とハードマスク絶縁膜との厚みの総和にばらつきが生じることを抑制することは困難であるため、半導体装置SD3と比較して配線パターンの微細化は困難である。比較例において、誘電体膜の残膜とハードマスク絶縁膜との厚みの総和が大きくなると、隣り合う配線間を埋め込む絶縁膜が適切に成膜されず、当該埋め込み絶縁膜内にボイドが形成されるおそれがある。他方、図24に示されるように、誘電体膜の残膜とハードマスク絶縁膜との厚みの総和が小さくなると、隣り合う配線間を埋め込む絶縁膜を形成する際に、配線の上縁部が露出し、配線の露出部を構成する導電性材料(例えばTi)が配線間にリスパッタされて、当該導電性材料からなる堆積物MRSが配線ML間に形成されて、配線MP間がショートするおそれがある。
【0067】
これに対し、半導体装置SD3では、半導体装置SD1と同様に、配線パターンLPが配線領域LRにおいて上面が露出した第1導電体膜CF1から形成されるため、比較例と比べて微細化が可能となる。
【0068】
<変形例>
半導体装置SD1~SD3は、MIM容量素子MEの上部電極UE上に形成されている第2ハードマスク絶縁膜HMI2をさらに備えていてもよい。半導体装置SD1~SD3の製造方法では、上部電極UEを形成する工程において第1マスクMK1に代えて第2ハードマスク絶縁膜HMI2が用いられてもよい。特に、第2ハードマスク絶縁膜HMI2は、MIM容量素子MEがサイドウォール絶縁膜SWIを含む半導体装置SD2及び半導体装置SD3において好適である。
【0069】
図20に示される半導体装置SD4は、半導体装置SD2と基本的に同様の構成を備えるが、第2ハードマスク絶縁膜HMI2を備えている点で半導体装置SD2とは異なる。半導体装置SD4の製造方法は、半導体装置SD2の製造方法と基本的に同様であるが、上部電極UEを形成する工程において第1マスクMK1に代えて第2ハードマスク絶縁膜HMI2が用いられる点で、半導体装置SD2の製造方法とは異なる。以下では、半導体装置SD4及びその製造方法が半導体装置SD2及びその製造方法とは異なる点を主に説明する。
【0070】
第2ハードマスク絶縁膜HMI2は、MIM領域MRにおいて上部電極UEの上面と接している。第2ハードマスク絶縁膜HMI2を構成する材料は、上部電極UEを形成する工程において被加工対象物である第2導電体膜CF2に対するエッチング選択比が高く電気的絶縁性を有する任意の材料であればよいが、例えばSiO2を含む。第2ハードマスク絶縁膜HMI2の膜厚は、上部電極UEの加工が完了するまで第2ハードマスク絶縁膜HMI2が適切に保持されるように、設定される。
【0071】
サイドウォール絶縁膜SWIは、第2ハードマスク絶縁膜HMI2の側端面、上部電極UEの側端面、及び本体部MBの側端面MBSを覆っている。
【0072】
第2ビアUV1は、上部電極UEの上面と第1引き出し配線UL1の下面との間を隔てている第2ハードマスク絶縁膜HMI2及び第3層間絶縁膜IN3(図1参照)を貫いている。
【0073】
半導体装置SD4の製造方法では、図21に示されるように、第2導電体膜CF2上に、第2ハードマスク絶縁膜HMI2が形成される。第2ハードマスク絶縁膜HMI2は、上述したハードマスク絶縁膜HMIと同様の方法により、第2導電体膜CF2のうち上部電極UE及び本体部MBが形成されるべき領域上に形成される。さらに本体部MB及び本体部MBよりも薄い薄肉部DTIが誘電体膜DFに形成される。
【0074】
図22に示されるように、第1絶縁膜IF1が、第2ハードマスク絶縁膜HMI2、上部電極UE、及び誘電体膜DFの薄肉部DTIを覆うように形成される。第1絶縁膜IF1は、第2ハードマスク絶縁膜HMI2の側端面MHIS、上部電極UEの側端面UES、及び誘電体膜DFの本体部MBの側端面MBSを覆っている。
【0075】
図23に示されるように、第1絶縁膜IF1に異方性エッチング処理を施すことにより、サイドウォール絶縁膜SWIが第1絶縁膜IF1から形成される。さらに連続してサイドウォール絶縁膜SWIから露出する薄肉部DTIが除去されることにより、フランジ部FLが形成される。本工程において、上部電極UEは、第2ハードマスク絶縁膜HMI2及びサイドウォール絶縁膜SWIによって覆われているため、エッチング処理に曝されない。
【0076】
その後、半導体装置SD1の製造方法と同様に下部電極BE及び配線パターンPL等が形成されることにより、半導体装置SD4が製造され得る。
【0077】
半導体装置SD4の効果を半導体装置SD2との対比に基づいて説明する。半導体装置SD2の製造方法におけるサイドウォール絶縁膜SWIを形成する工程では、第1絶縁膜IF1のエッチング処理が進行する過程で上部電極UEの上面が露出するため、上部電極UEの上面、特に上面の外縁部(肩部)、がエッチングされてMIM容量素子MEの容量値にばらつきが生じるおそれがある。これに対し、半導体装置SD4の製造方法におけるサイドウォール絶縁膜SWIを形成する工程では、上部電極UEは、第2ハードマスク絶縁膜HMI2及び第1絶縁膜IF1によって終始覆われているため、エッチング処理に曝されない。したがって、半導体装置SD4では、MIM容量素子MEの容量値のばらつきが抑制され得る。
【0078】
なお、半導体装置SD1~SD4では、誘電体層ILが配線領域LR上に形成されていなければよい。誘電体層ILは、MIM領域MRにおいて、下部電極BEの上面の全体上に形成されていてもよい。異なる観点から言えば、下部電極BEの上面BEFの全体が、誘電体層ILと接していてもよい。フランジ部FLの側端面FLSは、下部電極BEの側端面BESと第3方向Zに連なっていてもよい。このような半導体装置SD1~SD4は、上記製造方法の誘電体層ILを形成する工程において、誘電体膜DFの薄肉部DTIのうち少なくとも配線領域LR上の全部が除去されることにより、製造され得る。
【0079】
また、半導体装置SD1~SD4では、上述のように、フランジ部FLの厚みが本体部MBの厚みと等しくてもよい。異なる観点から言えば、半導体装置SD1~SD4では、本体部MBには側端面MBSが形成されていなくてもよい。半導体装置SD2~SD4において、サイドウォール絶縁膜SWIは、少なくとも上部電極UEの側端面UESを覆っていればよい。
【0080】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0081】
BE 下部電極、BL 第1引き出し配線、BV 第1ビア、CF1 第1導電体膜、CF2 第2導電体膜、DF 誘電体膜、DTI 薄肉部、EMI 埋め込み絶縁膜、FL フランジ部、HMI ハードマスク絶縁膜、HMI2 第2ハードマスク絶縁膜、IF1 第1絶縁膜、IF2 第2絶縁膜、IL 誘電体層、IN 絶縁膜、IN1 第1層間絶縁膜、IN2 第2層間絶縁膜、IN3 第3層間絶縁膜、LP 配線パターン、LR 配線領域、ME MIM容量素子、MK1 第1マスク、MK2 第2マスク、MK3 第3マスク、MK4 第4マスク、ML 配線、MR MIM領域、MRS 堆積物、SD1,SD2,SD3 半導体装置、SMF 主表面、SUB 半導体基板、SWI サイドウォール絶縁膜、UE 上部電極、UL1 第2引き出し配線、UL2 第3引き出し配線、UV1 第2ビア、UV2 第3ビア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24