(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072611
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/30 20230101AFI20240521BHJP
H01L 21/8249 20060101ALI20240521BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240521BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240521BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H10B43/30
H01L27/06 321C
H01L27/06 321F
H01L29/78 301R
H01L29/78 301P
H01L27/088 331A
H01L21/76 L
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183551
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 清
(72)【発明者】
【氏名】森山 卓史
【テーマコード(参考)】
5F032
5F048
5F083
5F101
5F140
【Fターム(参考)】
5F032AA36
5F032AA37
5F048AA04
5F048AB01
5F048AC01
5F048BB05
5F048BB11
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5F083EP22
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5F083NA01
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5F083PR05
5F083PR21
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5F083PR52
5F083ZA28
5F101BA45
5F101BB04
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5F101BD13
5F101BE07
5F101BH01
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5F140BD10
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5F140BF04
5F140BF44
5F140BG08
5F140BG12
5F140BG14
5F140CB04
5F140CB06
5F140CB10
(57)【要約】
【課題】高誘電率絶縁膜を構成する材料が意図しない場所に再付着することが抑制されている半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置SD1は、第1領域R1に配置され、高誘電率絶縁膜HKを含む第1素子SE1と、第2領域R2に配置された第2素子SE2と、第1領域R1と第2領域R2との間に配置されており、第1素子R1と第2素子R2との間を電気的に分離する素子分離部ISLとを備える。素子分離部ISLの表面には、段差部STPが形成されている。半導体装置は、段差部を跨ぐダミーパターンをさらに備える。ダミーパターンは、第1高誘電率絶縁膜と、第1高誘電率絶縁膜の上面を覆う導電膜とを含む。第1高誘電率絶縁膜は、ダミーパターンの両側面に露出している。ダミーパターンの両側面に露出する第1高誘電率絶縁膜を覆うサイドウォール絶縁膜をさらに備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域に配置され、第1高誘電率絶縁膜を含む第1素子と、
第2領域に配置された第2素子と、
前記第1領域と前記第2領域との間に配置されており、前記第1素子と前記第2素子との間を電気的に分離する素子分離部とを備え、
前記素子分離部の表面には、段差部が形成されており、
前記段差部を跨ぐダミーパターンをさらに備え、
前記ダミーパターンは、前記第1高誘電率絶縁膜と、前記第1高誘電率絶縁膜の上面を覆う導電膜とを含み、
前記第1高誘電率絶縁膜は、前記ダミーパターンの両側面に露出しており、
前記ダミーパターンの前記両側面に露出する前記第1高誘電率絶縁膜を覆うサイドウォール絶縁膜をさらに備える、半導体装置。
【請求項2】
前記段差部のステップ高さは、前記第1高誘電率絶縁膜の膜厚よりも大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記段差部は、ステップ面と、前記ステップ面に対して前記第1領域側に位置する第1テラス面と、前記ステップ面に対して前記第2領域側に位置する第2テラス面とにより構成されており、
前記ステップ面、前記第1テラス面、及び前記第2テラス面の各々は、前記素子分離部に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記段差部は、ステップ面と、前記ステップ面に対して前記第1領域側に位置する第1テラス面と、前記ステップ面に対して前記第2領域側に位置する第2テラス面とにより構成されており、
前記第1テラス面及び前記ステップ面は、前記第1領域内において前記素子分離部と隣接する半導体領域に形成されており、
前記第2テラス面は、前記素子分離部に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
主面と、前記主面に配置されたトレンチとを有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記トレンチを埋め込む絶縁膜と、を備え、
前記素子分離部は、前記トレンチと前記絶縁膜とにより構成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2素子は、高誘電率の絶縁膜を含まないように構成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2素子は、第2高誘電率絶縁膜と、前記第2高誘電率絶縁膜の下方に位置する絶縁膜とを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1高誘電率絶縁膜を構成する材料は、窒化ケイ素と比べて高い比誘電率を有する材料である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1高誘電率絶縁膜は、窒化ケイ素と比べて高い比誘電率を有する材料からなる誘電体層と、前記誘電体層内に分散している金属微粒子とを有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記誘電体層は、第1金属を含み、
前記金属微粒子は、前記第1金属とは異なる第2金属により構成されている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1領域に配置された第1高誘電率絶縁膜を含む第1素子と、第2領域に配置された第2素子と、前記第1領域と前記第2領域との間に配置されており前記第1素子と前記第2素子との間を電気的に分離する素子分離部とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記第1領域内から前記第2領域内に渡って延びる主面と、前記主面に配置され、その表面に段差部を有する前記素子分離部とを有する半導体基板を準備する工程と、
前記主面と前記素子分離部とを覆うように、高誘電率の絶縁膜と前記絶縁膜の上面を覆う被覆膜とを成膜する工程と、
前記絶縁膜及び前記被覆膜を部分的に除去することにより、前記段差部を跨ぐようにダミーパターンを形成する工程と、を備え、
前記ダミーパターンは、前記絶縁膜から形成された前記第1高誘電率絶縁膜と、前記被覆膜から形成された導電膜とを含むように形成され、さらに
前記ダミーパターンの両側面に露出する前記第1高誘電率絶縁膜を覆うサイドウォール絶縁膜を形成する工程を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記サイドウォール絶縁膜を形成する工程後に、前記第1領域及び前記第2領域の各々において、前記第1素子及び前記第2素子の各々を構成する不純物領域を形成する工程をさらに備える、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ダミーパターンを形成する工程では、前記高誘電率の絶縁膜及び前記被覆膜のうち前記段差部を跨いでいる部分と、前記第1素子が形成される部分とを覆うマスクを用いて、前記高誘電率の絶縁膜及び前記被覆膜がエッチングされることにより、前記ダミーパターンと、前記第1素子の一部とが同時に形成され、
前記サイドウォール絶縁膜を形成する工程では、前記第1素子及び前記ダミーパターンの各々に前記サイドウォール絶縁膜が形成される、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2素子は、高誘電率の絶縁膜を含まないように構成されており、前記主面に接するボトム膜を含み、
前記半導体基板を準備する工程は、
前記素子分離部の表面を含む前記主面上に、前記ボトム膜を成膜する工程と、
前記第2領域において前記ボトム膜を部分的に除去することにより、前記ボトム膜から前記第2素子の一部を形成する工程とを含み、
前記第2素子の一部を形成する工程では、前記素子分離部のうち前記第2領域側に位置する一部上に位置する前記ボトム膜が除去され、かつ前記素子分離部のうち前記第2領域側に位置する一部が薄肉化することにより、前記段差部が形成される、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2素子は、第2高誘電率絶縁膜と、前記第2高誘電率絶縁膜よりも下方に位置し前記主面に接するボトム膜とを含み、
前記半導体基板を準備する工程は、
前記素子分離部の表面を含む前記主面上に、前記ボトム膜を成膜する工程と、
前記第1領域及び前記素子分離部のうち前記第1領域側に位置する一部上に位置する前記ボトム膜を除去し、前記第2領域に前記ボトム膜を形成する工程とを含み、
前記ボトム膜を形成する工程において、前記素子分離部のうち前記第1領域側に位置する残部が薄肉化することにより、前記段差部が形成され、
前記高誘電率の絶縁膜と前記被覆膜とを成膜する工程では、前記第2領域において、前記高誘電率の絶縁膜と前記被覆膜とが前記ボトム膜の上面を覆うように成膜され、
前記ダミーパターンを形成する工程では、前記被覆膜から前記第1素子及び前記第2素子の各々のゲート電極が形成され、さらに、前記第1領域において前記第1高誘電率絶縁膜から前記第1素子のゲート絶縁膜が形成され、前記第2領域において前記ボトム膜及び前記第2高誘電率絶縁膜から前記第2素子の前記ゲート絶縁膜が形成される、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-154789号公報(特許文献1)には、メモリセル領域と、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成されている周辺回路領域と、メモリセル領域と周辺回路領域との間に形成されている素子分離領域とを備える半導体装置が開示されている。MISFETは、ゲート絶縁膜用の高誘電率絶縁膜(High-k)と、ゲート電極用の導電膜とを含む。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置の製造方法では、メモリセル領域にメモリゲート電極が形成され、さらにメモリゲート電極を覆うための絶縁膜がメモリセル領域から素子分離領域の一部にまで連なるように形成される。これにより、素子分離領域上には、絶縁膜に起因した段差部が形成される。その後、高誘電率絶縁膜及び導電膜が周辺回路領域、段差部を有する素子分離領域、及びメモリセル領域に渡って成膜された後パターニングされる。その結果、上記段差部の側面には、高誘電率絶縁膜及び導電膜を含む残存部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記残存部は上面及び側面を有し、高誘電率絶縁膜は残存部の上面及び側面において表出する。そのため、上記半導体装置の製造方法では、上記残存部の上面及び側面が表出している状態において行われる各処理時に、高誘電率絶縁膜を構成する材料の一部が離脱して半導体装置の他の領域又は製造装置内等の意図しない場所に再付着するおそれがある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る半導体装置は、第1領域に配置され、第1高誘電率絶縁膜を含む第1素子と、第2領域に配置された第2素子と、第1領域と第2領域との間に配置されており、第1素子と第2素子との間を電気的に分離する素子分離部とを備える。素子分離部の表面には、段差部が形成されている。半導体装置は、段差部を跨ぐダミーパターンをさらに備える。ダミーパターンは、第1高誘電率絶縁膜と、第1高誘電率絶縁膜の上面を覆う導電膜とを含む。第1高誘電率絶縁膜は、ダミーパターンの両側面に露出している。ダミーパターンの両側面に露出する第1高誘電率絶縁膜を覆うサイドウォール絶縁膜をさらに備える。
【0008】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、第1領域に配置された第1高誘電率絶縁膜を含む第1素子と、第2領域に配置された第2素子と、第1領域と第2領域との間に配置されており第1素子と第2素子との間を電気的に分離する素子分離部とを備える半導体装置の製造方法である。半導体装置の製造方法は、第1領域内から第2領域内に渡って延びる主面と、当該主面に配置され、その表面に段差部を有する素子分離部とを有する半導体基板を準備する工程と、上記主面と素子分離部とを覆うように、高誘電率の絶縁膜と絶縁膜の上面を覆う導電膜とを成膜する工程と、絶縁膜及び被覆膜を部分的に除去することにより、段差部を跨ぐようにダミーパターンを形成する工程と、を備える。ダミーパターンは、絶縁膜から形成された第1高誘電率絶縁膜と、被覆膜から形成された導電膜とを含むように形成される。半導体装置の製造方法は、さらにダミーパターンの両側面に露出する第1高誘電率絶縁膜を覆うサイドウォール絶縁膜を形成する工程を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、高誘電率絶縁膜を構成する材料が意図しない場所に再付着することが抑制されている半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の一工程を説明するための断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図3に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図4に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図5に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図6に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図7に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図8に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図9に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図10に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図12】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、
図11に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図13】実施の形態2に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の一工程を説明するための断面図である。
【
図15】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法において、
図14に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図16】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法において、
図15に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図17】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法において、
図16に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図18】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法において、
図17に示される工程後の一工程を説明するための断面図である。
【
図19】実施の形態3に係る半導体装置の高誘電率絶縁膜を説明するための断面図である。
【
図20】実施の形態3に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0012】
(実施の形態1)
<実施の形態1に係る半導体装置の構成>
図1に示されるように、実施の形態1に係る半導体装置SD1は、第1領域R1に含まれる第1素子SE1、第2領域R2に含まれる第2素子SE2、及び素子分離領域R3に含まれる素子分離部ISLを備える。
【0013】
図1に示されるように、第1領域R1、第2領域R2、及び素子分離領域R3の各々は、半導体基板SUBの一部領域である。半導体基板SUBの主面MSFは、第1領域R1内から第2領域R2内に渡って延びている。素子分離領域R3は、半導体基板SUBの主面MSFに沿った方向において第1領域R1と第2領域R2との間に配置されている。
【0014】
第1素子SE1は、高誘電率絶縁膜HK1(第1高誘電率絶縁膜)を含む。第1素子SE1は、任意の半導体素子であればよいが、例えばMISFETである。第1素子SE1は、サイドウォール絶縁膜SWIを含む。第2素子SE2は、高誘電率絶縁膜HKを含まない。第2素子SE2は、高誘電率絶縁膜HKを含まない任意の半導体素子であればよいが、例えばMONOS型のメモリ素子である。素子分離部ISLは、第1素子SE1と第2素子SE2との間を電気的に分離する。素子分離部ISLは、STI(Shallow Trench Isolation)である。
【0015】
図1に示されるように、素子分離部ISLの表面には、段差部STPが形成されている。段差部STPは、ステップ面STSと、第1テラス面TRS1と、第2テラス面TRS2とを有する。第1テラス面TRS1は、ステップ面STSよりも第1領域R1側に位置する。第1テラス面TRS1は、ステップ面STSと第1領域R1との間に位置する。第2テラス面TRS2は、ステップ面STSよりも第2領域R2側に位置する。第2テラス面TRS2は、ステップ面STSと第2領域R2との間に位置する。第2テラス面TRS2は、ステップ面STSを介して、第1テラス面TRS1と接続されている。ステップ面STSは、第1テラス面TRS1及び第2テラス面TRS2の各々と交差する方向に延びている。ステップ面STSは、例えば第1テラス面TRS1及び第2テラス面TRS2の各々と直交している。
【0016】
本明細書において、「素子分離部ISLの表面に形成されている段差部STP」は、ステップ面STS、第1テラス面TRS1、及び第2テラス面TRS2のうち少なくともいずれかが素子分離部ISLの表面により構成されている段差部を意味する。
【0017】
半導体装置SD1の段差部STPは、ステップ面STS、第1テラス面TRS1、及び第2テラス面TRS2の各々が素子分離部ISLの表面により構成されている。異なる観点から言えば、素子分離部ISLは、トレンチに埋め込まれている絶縁膜の厚みが相対的に大きい厚肉部ISLaと、その厚みが相対的に小さい薄肉部ISLbとを有している。半導体装置SD1では、第1テラス面TRS1は、第2テラス面TRS2よりも上方に位置する。第1テラス面TRS1は、厚肉部ISLaの上面の一部である。第2テラス面TRS2は、薄肉部ISLbの上面の一部である。ステップ面STSは、厚肉部ISLaの側面である。第2テラス面TRS2は、半導体基板SUBの主面MSFよりも低い。
【0018】
図1に示されるように、半導体装置SD1は、段差部STPを跨ぐように形成されているダミーパターンDM1をさらに備える。ダミーパターンDM1は、素子分離部ISLの厚肉部ISLa上に位置する第1部分と、第1部分と連なっておりかつ素子分離部ISLの薄肉部ISLb上に位置する第2部分とを有している。半導体装置SD1において、ダミーパターンDM1は、第1素子SE1の一部と同等の構成を備えている。半導体装置SD1の製造方法において、ダミーパターンDM1は、第1素子SE1の一部を形成する工程においてこれと同時に形成される。半導体装置SD1において、ダミーパターンDM1の構成は、第2素子SE2の構成とは異なっている。ダミーパターンDM1は、第1素子SE1と同様に、高誘電率絶縁膜HK及び第1導電膜CF1とを有している。
【0019】
高誘電率絶縁膜HKを構成する材料は、窒化ケイ素(Si3N4)よりも高い比誘電率を有する任意の材料であればよい。高誘電率絶縁膜HKを構成する材料の比誘電率は、8.0以上である。好ましくは、高誘電率絶縁膜HKを構成する材料は、いわゆるHigh-k材料である。好ましくは、高誘電率絶縁体膜HKを構成する材料は、第1金属を含む。好ましくは、第1金属は、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、及びイットリウム(Y)からなる群から選択される少なくともいずれかを含む。好ましくは、高誘電率絶縁膜HKを構成する材料は、酸化ハフニウム(Hf02)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta2O3)、HfAlON、酸化イットリウム(Y2O3)からなる群から選択される少なくともいずれかを含む。高誘電率絶縁膜HKは、その内部または表面に分散しておりかつ上記第1金属とは異なる第2金属により構成されている金属微粒子を有していてもよい。後者の構成については、実施の形態3において後述する。
【0020】
ダミーパターンDM1の上面には、第1導電膜CF1のみが露出している。第1導電膜CF1は、高誘電率絶縁膜HKの上面を覆う導電膜である。ダミーパターンDM1において互いに反対方向を向いている両側面には、高誘電率絶縁膜HKが露出している。高誘電率絶縁膜HKは、ダミーパターンDM1において、その側面にのみ露出し、その上面には露出していない。
【0021】
図1に示されるように、半導体装置SD1は、ダミーパターンDM1の両側面に露出する高誘電率絶縁膜HKを覆うサイドウォール絶縁膜DSWIをさらに備える。サイドウォール絶縁膜DWSIは、ダミーパターンDM1の両側面に露出している高誘電率絶縁膜HKと接している。サイドウォール絶縁膜DSWIは、少なくともダミーパターンDM1の高誘電率絶縁膜HKを覆っていればよいが、好ましくはダミーパターンDM1の側面の全体を覆っている。高誘電率絶縁膜HKは、第1導電膜CF1、後述する第1絶縁膜IF1、及びサイドウォール絶縁膜DWSIと接しており、後述する層間絶縁膜ILDと接していない。
【0022】
サイドウォール絶縁膜DSWIを構成する材料は、第1素子SE1に含まれるサイドウォール絶縁膜SWIを構成する材料と同じであり、例えば酸化ケイ素(SiO2)及び窒化ケイ素(Si3N4)の少なくともいずれかを含む。サイドウォール絶縁膜SWI及びサイドウォール絶縁膜DSWIの各々は、SiO2膜とSi3N4膜との積層膜であってもよい。
【0023】
半導体装置SD1の第1領域R1、第2領域R2、及び素子分離領域R3には、層間絶縁膜ILDが形成されている。層間絶縁膜ILDは、第1素子SE1、第2素子SE2、ダミーパターンDM1及びサイドウォール絶縁膜DSWIの周囲を埋め込んでいる。層間絶縁膜ILDを構成する材料は、例えばSiO2である。
【0024】
半導体装置SD1は、より具体的には、以下の構成を備えている。
半導体基材SBは、例えば単結晶の半導体材料により構成されている。半導体基材SBは、例えば単結晶シリコンで構成されている。第1半導体領域SR1a、第2半導体領域SR1b、第3半導体領域SR3、第4半導体領域SR2a、第5半導体領域SR2b及び第6半導体領域SR4の各々は、不純物が半導体基材SBにドープされることにより形成されている。
【0025】
図1に示されるように、半導体基板SUBの第1領域R1には、半導体基材SB上に、第1半導体領域SR1a、第2半導体領域SR1b、及び第3半導体領域SR3が形成されている。第1半導体領域SR1a及び第2半導体領域SR1bは、半導体基板SUBの主面MSFに形成されている。第3半導体領域SR3は、第1半導体領域SR1a及び第2半導体領域SR1bを囲むように、半導体基板SUBの主面MSFに形成されている。第1半導体領域SR1a及び第2半導体領域SR1bは、第3半導体領域SR3を挟んで互いに間隔を空けて配置されている。
【0026】
第1半導体領域SR1a及び第2半導体領域SR1bの導電型は、第3半導体領域SR3の導電型とは異なる。第1半導体領域SR1a及び第2半導体領域SR1bの導電型がn型である場合、第3半導体領域SR3の導電型はp型である。第1半導体領域SR1a及び第2半導体領域SR1bの導電型がp型である場合、第3半導体領域SR3の導電型はn型である。
【0027】
図1に示されるように、第1素子SE1は、例えばMISFETである。第1素子SE1は、第1半導体領域SR1a、第2半導体領域SR1b、第3半導体領域SR3、ゲート絶縁膜GI1、ゲート電極GT、及びサイドウォール絶縁膜SWIを含む。
【0028】
第1半導体領域SR1aは、例えば上記トランジスタのソース領域である。第2半導体領域SR1bは、例えば上記トランジスタのドレイン領域である。第3半導体領域SR3は、上記トランジスタのウェル領域である。
【0029】
図1に示されるように、ゲート絶縁膜GI1及びゲート電極GTは、第1半導体領域SR1aと第2半導体領域SR1bとの間に挟まれている第3半導体領域SR3の表面上に形成されている。
【0030】
図1に示されるように、ゲート絶縁膜GI1は、第1絶縁膜IF1と高誘電率絶縁膜HKとの積層体である。第1絶縁膜IF1の比誘電率は、高誘電率絶縁膜HKの比誘電率よりも低い。第1絶縁膜IF1は、高誘電率絶縁膜HKと半導体基板SUBとの間を隔てている。第1絶縁膜IF1は、第3半導体領域SR3の表面に接している。高誘電率絶縁膜HKは、第1絶縁膜IF1上に形成されている。ゲート電極GTは、ゲート絶縁膜GI1上に形成されている。第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及びゲート電極GTが、この記載順に第3半導体領域SR3の表面から上方に向かって積層している。本明細書では、第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及びゲート電極GTの積層体を、第1積層体ST1とも記載する。
【0031】
図1に示されるように、第1積層体ST1は、ゲート電極GTのみが表出する上面と、第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK及びゲート電極GTの各々が表出する側面とを有している。異なる観点から言えば、高誘電率絶縁膜HKは、第1積層体ST1の側面に表出している。高誘電率絶縁膜HKは、第1積層体ST1の上面に表出していない。
【0032】
図1に示されるように、サイドウォール絶縁膜SWIは、第1積層体ST1の上記側面を覆っている。
【0033】
第1絶縁膜IF1を構成する材料は、電気的絶縁性を有し、高誘電率絶縁膜HKよりも低い比誘電率を有する材料であり、例えばSiO2及びSi3N4の少なくともいずれかである。
【0034】
ゲート電極GTを構成する材料は、導電性を有する任意の材料であればよい。ゲート電極GTは、例えば不純物がドープされたポリシリコンにより構成されている。
【0035】
図1に示されるように、半導体基板SUBの第2領域R2には、半導体基材SB上に、第4半導体領域SR2a、第5半導体領域SR2b、及び第6半導体領域SR4が形成されている。第4半導体領域SR2a及び第5半導体領域SR2bは、半導体基板SUBの主面MSFに形成されている。第6半導体領域SR4は、第4半導体領域SR2a及び第5半導体領域SR2bを囲むように、半導体基板SUBの主面MSFに形成されている。第4半導体領域SR2a及び第5半導体領域SR2bは、第6半導体領域SR4を挟んで互いに間隔を空けて配置されている。
【0036】
第4半導体領域SR2a及び第5半導体領域SR2bの導電型は、第6半導体領域SR4の導電型とは異なる。第4半導体領域SR2a及び第5半導体領域SR2bの導電型がn型である場合、第6半導体領域SR4の導電型はp型である。第4半導体領域SR2a及び第5半導体領域SR2bの導電型がp型である場合、第6半導体領域SR4の導電型はn型である。
【0037】
図1に示されるように、第2素子SE2は、例えばMONOS型のメモリ素子であり、MONOS膜を適用したスプリットゲート型のトランジスタを備える。第2素子SE2は、第4半導体領域SR2a、第5半導体領域SR2b、第6半導体領域SR4、ゲート絶縁膜GI2、コントロールゲート電極CG、積層絶縁膜ONO、メモリゲート電極MG、及びキャップ絶縁膜CI1,CI2を含む。
【0038】
第4半導体領域SR2aは、例えば上記メモリ素子におけるソース領域である。第5半導体領域SR2bは、例えば上記メモリ素子におけるドレイン領域である。第6半導体領域SR4は、上記メモリ素子におけるウェル領域である。
【0039】
図1に示されるように、ゲート絶縁膜GI2及び積層絶縁膜ONOは、第4半導体領域SR2aと第5半導体領域SR2bとの間に挟まれている第6半導体領域SR4の表面上に並んで形成されている。ゲート絶縁膜GI2及び積層絶縁膜ONOは、第6半導体領域SR4の表面と接している。
【0040】
コントロールゲート電極CGは、ゲート絶縁膜GI2上に形成されている。ゲート絶縁膜GI2とコントロールゲート電極CGとが、メモリ素子のコントロールゲートを構成する。メモリゲート電極MGは、積層絶縁膜ONO上に形成されている。積層絶縁膜ONOとメモリ電極MGとがメモリ素子のメモリゲートを構成する。
【0041】
積層絶縁膜ONOは、第6半導体領域SR4とメモリゲート電極MGとの間に介在している部分と、コントロールゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間に介在している部分とを有している。コントロールゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、その間に介在する積層絶縁膜ONOによって電気的に分離されている。コントロールゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、その間に積層絶縁膜ONOとは異なる絶縁膜を形成することによって、電気的に分離されてもよい。メモリゲート電極MGは、コントロールゲート電極CGの側面上に、積層絶縁膜ONOを介在させてサイドウォール状に形成されている。
【0042】
コントロールゲート電極CG上には、キャップ絶縁膜CI1が形成されている。さらに、キャップ絶縁膜CI2が、第2領域R2の表面、すなわち半導体基板SUBの主面MSF、ゲート絶縁膜GI2、コントロールゲート電極CG、積層絶縁膜ONO、メモリゲート電極MG、及びキャップ絶縁膜CI1、を覆うように形成されている。
【0043】
ゲート絶縁膜GI2及び積層絶縁膜ONOは、高誘電率絶縁膜HKを含まない。ゲート絶縁膜GI2を構成する材料は、電気的絶縁性を有し、高誘電率絶縁膜HKよりも低い比誘電率を有する材料であり、例えばSiO2及びSi3N4の少なくともいずれかである。積層絶縁膜ONOは、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸化シリコン膜を積層させた積層膜である。コントロールゲート電極CG及びメモリゲート電極MGの各々は、導電性を有する任意の材料であればよい。コントロールゲート電極CG及びメモリゲート電極MGの各々は、例えば不純物がドープされたポリシリコンにより構成されている。キャップ絶縁膜CI1を構成する材料は、例えばSi3N4である。
【0044】
図1に示されるように、半導体基板SUBの素子分離領域R3には、半導体基材SB上に素子分離部ISLが形成されている。素子分離部ISLの表面には、段差部STPが形成されている。ダミーパターンDM1は、段差部STPを跨ぐように、素子分離部ISL上に形成されている。
【0045】
ダミーパターンDM1は、第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1を含む。第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1は、この記載順に、段差部STPのステップ面STS、第1テラス面TRS1、及び第2テラス面TRS2の各々の上に積層している。ダミーパターンDM1の一部は、素子分離部ISLの厚肉部ISLa上に形成されている。ダミーパターンDM1の残部は、素子分離部ISLの薄肉部ISLb上に形成されている。ダミーパターンDM1の高さ、すなわち素子分離部ISLの表面からダミーパターンDM1の上面までの最短距離は、第1素子SE1の上記積層体ST1の高さと同等である。
【0046】
第1絶縁膜IF1の下面は、段差部STPのステップ面STS、第1テラス面TRS1、及び第2テラス面TRS2の各々と接している。高誘電率絶縁膜HKの下面は、第1絶縁膜IF1の上面と接している。第1導電膜CF1の下面は、高誘電率絶縁膜HKの上面と接している。
【0047】
ダミーパターンDM1において互いに反対方向を向いている両側面には、第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1の各々が露出している。サイドウォール絶縁膜DSWIは、ダミーパターンDM1の両側面から露出している第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1の各々を覆っている。
【0048】
第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、第1導電膜CF1、及びサイドウォール絶縁膜DSWIは、それぞれ、第1素子SE1のゲート絶縁膜GI1、高誘電率絶縁膜HK、ゲート電極GT、及びサイドウォール絶縁膜SWIと同等の構成を有している。
【0049】
<実施の形態1に係る半導体装置の製造方法>
以下、
図2~
図11を参照して、実施の形態1に係る半導体装置SD1の製造方法を説明する。
【0050】
半導体装置SD1の製造方法は、素子分離部ISLの表面に段差部STPが形成されている半導体基板SUBを準備する工程(S1)、段差部STPを跨ぐように高誘電率絶縁膜HK及び第1導電膜CF1を成膜する工程(S2)、高誘電率絶縁膜HK及び第1導電膜CF1からダミーパターンDM1を形成する工程(S3)、及びサイドウォール絶縁膜SWIを形成する工程(S4)を備える。
【0051】
工程(S1)で準備される半導体基板SUBにおいて、段差部STPは任意の方法により形成されていればよいが、例えば以下のように形成される。
【0052】
素子分離部ISLを有する半導体基板SUBが準備される(工程(S1a))。素子分離部ISLは、半導体基板SUBの素子分離領域R3内において主面MSFにトレンチを形成し、当該トレンチに絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離領域R3内の主面MSFに形成される。
【0053】
次に、半導体基板SUBの第2領域R2内に第2素子SE2の一部(ゲート絶縁膜GI2、コントロールゲート電極CG、及びキャップ絶縁膜CI1)が形成されるとともに、素子分離部ISLの表面に段差部STPが形成される(工程(S1b))。
【0054】
工程(S1b)では、第1に、
図3に示されるように、素子分離部ISLを有する半導体基板SUBの主面MSF上に、ゲート絶縁膜GI2、第2導電膜CF2、及びキャップ絶縁膜CI1の積層膜(ボトム膜)が成膜される。成膜方法は、特に制限されないが、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法である。ゲート絶縁膜GI2、第2導電膜CF2、及びキャップ絶縁膜CI1は、第1領域R1、第2領域R2、及び素子分離領域R3の各々に成膜される。
【0055】
工程(S1b)では、第2に、
図4に示されるように、ゲート絶縁膜GI2、第2導電膜CF2、及びキャップ絶縁膜CI1が、マスクMK1を用いたエッチング処理によりパターニングされる。マスクMK1は、第2領域R2において第2素子SE2が形成されるべき領域に位置する部分と、第1領域R1の全体に渡って形成されている部分と、素子分離部ISLにおいて第1領域R1側に位置する一部分に位置する部分を覆うようにキャップ絶縁膜CI1上に形成される部分とを有している。マスクMK1のうち第1領域R1に位置する部分(第1領域の全体に渡って形成されている部分)の端部は、素子分離部ISL上に配置される。マスクMK1のうち第1領域R1の全体に渡って形成されている部分の端部が第1領域R1内に配置される場合、第1領域R1において半導体基板SUB上に形成されている任意の膜(例えばゲート絶縁膜GI2、第2導電膜CF2、及びキャップ絶縁膜CI1を含む積層膜)の一部がエッチング処理によって除去されることになり、第1領域R1において当該膜の残渣が発生してしまうおそれがある。マスクMK1のうち第1領域R1の全体に渡って形成されている部分の端部が第2領域R2内に配置される場合、第2素子SE2を構成しないゲート絶縁膜GI2、第2導電膜CF2、及びキャップ絶縁膜CI1を含むダミーパターンが第2領域R2上に形成されるため、第2素子SE2の第2導電膜CF2とダミーパターンの第2導電膜CF2とが短絡するおそれがある。
【0056】
これにより、第2領域R2内において、ゲート絶縁膜GI2、第2導電膜CF2、及びキャップ絶縁膜CI1から、それぞれ、第2素子SE2のゲート絶縁膜GI2、コントロールゲート電極CG、及びキャップ絶縁膜CI1が形成される。さらに、本工程では、オーバーエッチング処理が施される。これにより、素子分離部ISLの表面に、段差部STPa及び段差部STPbが形成される。その後、マスクMK1が除去される。
【0057】
段差部STPaは、ステップ面STSa、第1テラス面TRS1及び第2テラス面TRS2aを有する。ステップ面STSa、第1テラス面TRS1及び第2テラス面TRS2aは、素子分離部ISLの絶縁膜の表面である。段差部STPaの第2テラス面TRS2aは、例えば半導体装置SD1の第2テラス面TRS2よりも上方に位置している。段差部STPaのステップ面STSaは、例えば半導体装置SD1のステップ面STSの一部分(上方部分)である。
【0058】
段差部STPbは、段差部STPaよりも第2領域R2側に形成される。段差部STPbは、素子分離部ISLを構成するトレンチの側壁面の一部であるステップ面と、素子分離部ISLの薄肉部ISLbの上面の一部からなるテラス面と、第2領域R2内の半導体基板SUBの主面MSFの一部からなるテラス面とにより構成される。
【0059】
段差部STPa及び段差部STPbのうち、段差部STPaから形成される段差部STP上にのみ、ダミーパターンDM1が形成される。段差部STPb上には、ダミーパターンは形成されない。
【0060】
段差部STPaのステップ高さは、本工程でのオーバーエッチングの処理量に応じる。段差部STPaのステップ高さは、最終的に製造される半導体装置SD1における段差部STPのステップ高さ以下であり、例えば半導体装置SD1における段差部STPのステップ高さ未満である。後工程において、素子分離部ISLの薄肉部は、例えば本工程よりも薄肉化される。
【0061】
工程(S1b)では、第3に、
図5に示されるように、積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3が、段差部STPを跨ぐように成膜される。積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3の成膜方法は、特に制限されないが、例えばCVD法である。積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3は、第1領域R1、第2領域R2、及び素子分離領域R3の各々に成膜される。
【0062】
工程(S1b)では、第4に、
図6に示されるように、積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3が、異方性エッチング(エッチバック)処理される。これにより、第2領域R2において、積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3が、コントロールゲート電極CGを挟む1対のサイドウォール状パターンに加工される。素子分離領域R3には、積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3の残存部が、素子分離部ISLの段差部STPaの第2テラス面TRS2a上に形成される。
【0063】
工程(S1b)では、第5に、
図7に示されるように、第2領域R2において積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3からなりコントロールゲート電極CGを挟む1対のサイドウォール状パターンの一方が除去されるとともに、素子分離領域R3において上記残存部が除去される。具体的には、第2領域R2及び素子分離領域R3において積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3を除去すべき領域のみを露出させるマスクMK2を用いて、積層絶縁膜ONO及び第3導電膜CF3が除去される。このとき、素子分離部ISLの薄肉部ISLbは、さらに薄肉化される。その後、マスクMK2が除去される。このようにして、メモリゲート電極MGが形成される。
【0064】
なお、マスクMK2は、第2領域R2において第2素子SE2が形成されるべき領域に位置する部分、第1領域R1の全体に渡って形成されている部分、及び素子分離部ISLにおいて上記残存部と第1領域R1との間に位置する部分の少なくとも一部に配置されているとともに、素子分離部ISLにおいて上記残存部を露出させるように主面MSF上に形成されている部分を有している。マスクMK2のうち第1領域R1の全体に渡って形成されている部分の端部は、素子分離領域R3において上記段差部と第1領域R1との間に配置される。仮に、マスクMK2のうち第1領域R1の全体に渡って形成されている部分の端部が第1領域R1内に配置される場合、第1領域R1において半導体基板SUB上に形成されている任意の膜の一部がエッチング処理によって除去されることになり、第1領域R1において当該膜の残渣が発生してしまうおそれがあるためである。
【0065】
工程(S1b)では、第6に、
図8に示されるように、キャップ絶縁膜CI2が第2領域R2の表面上に形成される。キャップ絶縁膜CI2は、例えばCVD法により成膜された後、写真製版及びエッチング処理によりパターニングされることにより、形成される。工程(S1b)では、このようにして、段差部STPが素子分離部ISLの表面に形成されている半導体基板SUBが形成される。段差部STPは、ステップ面STS、第1テラス面TRS1、及び第2テラス面TRS2を有している。
【0066】
工程(S2)では、
図9に示されるように、第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1が、工程(S1)にて準備された半導体基板SUBの段差部STPを跨ぐように成膜される。第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1は、少なくとも第1領域R1及び素子分離領域R3に成膜される。例えば、第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1が第1領域R1、第2領域R2、及び素子分離領域R3に成膜された後、第2領域R2に成膜された第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1のみが除去されることにより、
図9に示される構造体が得られる。高誘電率絶縁膜HKの成膜方法は、例えばALD(Atomic layer Deposition)法、もしくはスパッタ法である。第1絶縁膜IF1及び第1導電膜CF1の各々の成膜方法は、例えばCVD法である。
【0067】
図9に示されるように、第1導電膜CF1の上面には、段差部STPに起因した段差が形成される。第1導電膜CF1の上面は、第1領域R1側に位置する平坦面と、第2領域R2側に位置する平坦面と、両平坦面間を接続しかつ平坦面の各々と交差する方向に延びているステップ面とを有する。
【0068】
工程(S3)では、第1に、
図10に示されるように、マスクMK3が形成される。マスクMK3は、第1領域R1において第1素子SE1が形成されるべき領域と、第2領域R2の全体と、段差部STPを跨ぐ領域とを覆うように、形成される。
【0069】
図10に示されるように、素子分離部ISL上に位置するマスクMK3は、例えば第1導電膜CF1の上面に形成されている段差を跨ぐように形成される。素子分離部ISL上に位置するマスクMK3の第1領域R1側を向いた側面は、素子分離部ISLの厚肉部ISLa上に形成される。素子分離部ISL上に位置するマスクMK3の第2領域R2側を向いた側面は、素子分離部ISLの薄肉部ISLb上にであって第1導電膜CF1の上面の上記ステップ面よりも第2領域R2側に形成される。
【0070】
工程(S3)では、第2に、
図11に示されるように、上記マスクMK3から露出している第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1が部分的に除去される。これにより、第1領域R1において、第1素子SE1のゲート絶縁膜GI1が第1絶縁膜IF1及び高誘電率絶縁膜HKから形成され、ゲート電極GTが第1導電膜CF1から形成される。つまり、第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及びゲート電極GTからなる第1積層体ST1が形成される。さらに、素子分離領域R3において、ダミーパターンDM1が段差部STPを跨ぐように形成される。本工程(S3)におけるダミーパターンDM1では、素子分離部ISLの厚肉部ISLa上に位置する高誘電率絶縁膜HKの側面HKS、及び素子分離部ISLの薄肉部ISLb上に位置する高誘電率絶縁膜HKの側面HKSは、外部に露出している。マスクMK3は、上記除去終了後に除去される。
【0071】
工程(S4)では、
図12に示されるように第1素子SE1の第1積層体ST1の両側面を覆うサイドウォール絶縁膜SWI、及びダミーパターンDM1の両側面を覆うサイドウォール絶縁膜DSWIが形成される。サイドウォール絶縁膜SWI及びサイドウォール絶縁膜DSWIは、半導体基板SUBの主面MSFを覆うように図示しない絶縁膜を成膜した後、その絶縁膜に異方性エッチング処理を行うことにより、同時に形成される。
【0072】
このようにして、
図1に示される半導体装置SD1の主要部分が製造される。
<効果>
半導体装置SD1の効果を、比較例に係る半導体装置との対比に基づいて説明する。
【0073】
比較例に係る半導体装置は、ダミーパターンDM1に代えて、段差部のステップ面に対してサイドウォール状に残されており、段差部を跨ぐように形成されていない残存部(ダミーパターン)を備えている。比較例におけるダミーパターンは、第1絶縁膜、高誘電率絶縁膜、及び第1導電膜から第1素子のゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する際に、素子分離部ISLの段差部STP上にマスクMK3を形成せず、素子分離領域R3内の第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1の全体に異方性エッチング処理を施した場合に、残存するものである。比較例におけるダミーパターンは、上面と第2領域側に位置する側面とを有し、高誘電率絶縁膜は、ダミーパターンの上面及び側面において露出する。
【0074】
比較例に係る半導体装置では、高誘電率絶縁膜HKがダミーパターンの上面及び側面において露出する。比較例におけるダミーパターンの上面を覆う保護膜は、第1素子のゲート絶縁膜及びゲート電極の側面を覆うサイドウォール絶縁膜を形成する工程において、形成し得ない。また、比較例におけるダミーパターンの側面の高さ(主面MSFに直交する方向の長さ)は、第1素子のゲート絶縁膜及びゲート電極の側面の高さよりも低い。そのため、第1素子のゲート絶縁膜及びゲート電極の側面を覆うサイドウォール絶縁膜を形成する工程において、比較例におけるダミーパターンの上面及び側面を覆う絶縁膜を形成することは困難である。
【0075】
そのため、比較例に係る半導体装置では、高誘電率絶縁膜HKがダミーパターンにおいて露出することを防止することは困難である。その結果、比較例に係る半導体装置の製造方法では、ダミーパターンの上面及び側面が表出している状態において行われる各処理時に、高誘電率絶縁膜を構成する材料の一部が離脱して半導体装置の他の領域又は製造装置内等の意図しない場所に再付着するという問題がある。
【0076】
これに対し、半導体装置SD1では、サイドウォール絶縁膜DSWIが、ダミーパターンDM1の両側面に露出する高誘電率絶縁膜HKを覆っているため、高誘電率絶縁膜HKを構成する材料の一部が離脱して半導体装置SD1の他の領域又は製造装置内等の意図しない場所に再付着することが防止され得る。
【0077】
なお、比較例に係る半導体装置において、上記問題を解消する方法として、第1素子のゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程においてダミーパターンを残さずに除去しきる方法が挙げられる。しかし、段差部のステップ高さが高誘電率絶縁膜の膜厚を超えている場合、当該段差部のステップ面にサイドウォール状に残存したダミーパターンを第1素子のゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程において完全に除去することは困難である。比較例におけるダミーパターンを完全に除去するには、ダミーパターンの除去のみを目的とする工程を実施する必要が生じる。
【0078】
これに対し、半導体装置SD1の製造方法では、ダミーパターンの除去のみを目的とする工程が不要である。工程(S3)において段差部STP上をも覆うマスクMK3を用いて第1素子SE1のゲート絶縁膜GI及びゲート電極GTを形成することにより、これと同時にダミーパターンDM1が形成される。その結果、高誘電率絶縁膜を構成する材料の離脱及び再付着が防止された半導体装置SD1は、高誘電率絶縁膜を構成する材料の離脱及び再付着が防止されていない比較例に係る半導体装置と同等の工数で、製造され得る。
【0079】
また、比較例に係る半導体装置において、段差部のステップ高さが高誘電率絶縁膜HKの膜厚を超えている場合、当該段差部のステップ面上にサイドウォール状に形成されている残存部は除去されにくい。そのため、比較例におけるダミーパターンの上面から高誘電率絶縁膜が露出することによる上記問題を解消することは困難である。
【0080】
これに対し、上述のように、半導体装置SD1では、段差部STPのステップ高さは、高誘電率絶縁膜HKの膜厚を超えていても、高誘電率絶縁膜を構成する材料の一部が離脱して半導体装置SD1の他の領域又は製造装置内等の意図しない場所に再付着することが防止され得る。
【0081】
(実施の形態2)
<実施の形態2に係る半導体装置の構成>
図13に示されるように、実施の形態2に係る半導体装置SD2は、実施の形態1に係る半導体装置SD1と基本的に同様の構成を備えるが、第1素子SE1及び第2素子SE2が高誘電率絶縁膜HKを含み、ダミーパターンDM1に加えてダミーパターンDM2を備えている点で、半導体装置SD1とは異なる。以下では、半導体装置SD2が半導体装置SD1とは異なる点を主に説明する。
【0082】
図13に示されるように、第2素子SE2は、第1素子SE1と同様に、高誘電率絶縁膜HK(第2高誘電率絶縁膜)を含む。第2素子SE2は、例えば第1素子SE1よりも耐圧が高められている高耐圧半導体素子である。第2素子SE2は、ゲート絶縁膜GI2と、ゲート電極GT2と、ゲート絶縁膜GI2及びゲート電極GT2の側面を覆うサイドウォール絶縁膜SWIとを備える。第2素子SE2のゲート絶縁膜GI2は、第2絶縁膜IF2(ボトム膜)と、高誘電率絶縁膜HKとを含む。
【0083】
図13に示されるように、素子分離部ISLの表面には、第1段差部STP1及び第2段差部STP2が形成されている。
【0084】
図13に示されるように、第1段差部STP1は、
図1に示される半導体装置SD1における段差部STPと基本的に同様の構成を備えるが、ステップ面STSよりも第1領域R1側に位置する第1テラス面TRS1が、ステップ面STSよりも第2領域R2側に位置する第2テラス面TRS2よりも低い位置に形成されている点で、段差部STPとは異なる。半導体装置SD2の素子分離部ISLでは、厚肉部ISLaが第2領域R2側に、薄肉部ISLbが第1領域R1側に形成されている。
【0085】
図13に示されるように、第2段差部STP2は、第2ステップ面STS2と、第3テラス面TRS3と、第4テラス面TRS4とを有する。第2ステップ面STS2は、素子分離部ISLを構成するトレンチの側壁面の一部である。第2ステップ面STS2は、第1段差部STP1よりも第1領域R1側に位置し、第2領域R2側を向いている。第3テラス面TRS3は、第2ステップ面STS2よりも第1領域R1側に位置する。第3テラス面TRS3は、第1領域R1の半導体基板SUBの主面MSFの一部である。第4テラス面TRS4は、第2ステップ面STS2よりも第2領域R2側に位置する。第4テラス面TRS4は、第2ステップ面STS2を介して、第3テラス面TRS3と接続されている。第4テラス面TRS4は、素子分離部ISLの薄肉部ISLbの上面の一部である。第4テラス面TRS4は、例えば第1段差部STP1の第1テラス面TRS1と同一平面上に位置する。
【0086】
図13に示されるように、半導体装置SD2の第1段差部STP1は、ステップ面STS、第1テラス面TRS1、及び第2テラス面TRS2の各々が素子分離部ISLの表面により構成されている。半導体装置SD2の第2段差部STP2は、第2ステップ面STS2及び第3テラス面TRS3が半導体基板SUBの表面により構成されており、第4テラス面TRS4が素子分離部ISLの表面により構成されている。
【0087】
図13に示されるように、半導体装置SD2は、第1段差部STP1を跨ぐように形成されている第1ダミーパターンDM1と、第2段差部STP2を跨ぐように形成されている第2ダミーパターンDM2とを備える。第2ダミーパターンDM2は、第1素子SE1の一部と同様の構成を備える。第1ダミーパターンDM1において、素子分離部ISLの厚肉部ISLa上に位置する上記第1部分は、第2素子SE2の一部と同様の構成を備えている。第1ダミーパターンDM1において、素子分離部ISLの薄肉部ISLb上に位置する上記第2部分は、第1素子SE1の一部と同様の構成を備えている。第1ダミーパターンDM1に含まれる第1絶縁膜IF1は、例えばステップ面STS及び第2絶縁膜IF2の第1領域R1側を向いた側面に接している。
【0088】
後述する半導体装置SD2の製造方法において、第1ダミーパターンDM1及び第2ダミーパターンDM2の各々は、第1素子SE1及び第2素子SE2の各々の一部を形成する工程においてこれらと同時に形成される。
【0089】
図13に示されるように、第1ダミーパターンDM1及び第2ダミーパターンDM2の各上面には、第1導電膜CF1のみが露出している。第1ダミーパターンDM1及び第2ダミーパターンDM2の各々において互いに反対方向を向いている両側面には、高誘電率絶縁膜HKが露出している。高誘電率絶縁膜HKは、第1ダミーパターンDM1及び第2ダミーパターンDM2の各々において、その両側面にのみ露出し、その上面には露出していない。
【0090】
図13に示されるように、半導体装置SD2は、第1ダミーパターンDM1の両側面に露出する高誘電率絶縁膜HKを覆うサイドウォール絶縁膜DSWIと、第2ダミーパターンDM2の両側面に露出する高誘電率絶縁膜HKを覆うサイドウォール絶縁膜DSWIとをさらに備える。
【0091】
図13に示されるように、第2ダミーパターンDM2は、第1素子SE1と電気的に分離されている。第2ダミーパターンDM2は、第1半導体領域SR1a及び第2半導体領域SR1bと電気的に分離されている。
【0092】
なお、半導体装置SD2において、第2素子SE2のゲート絶縁膜GI2は、第2絶縁膜IF2と、第2絶縁膜IF2上に形成されている第1絶縁膜IF1との積層膜であってもよい。この場合、第1ダミーパターンDM1においてステップ面STSよりも第2領域R2側に位置する第2部分は、第2絶縁膜IF2、第1絶縁膜IF1、及び第1導電膜CF1の積層膜により構成される。
【0093】
<半導体装置SD2の製造方法>
半導体装置SD2の製造方法は、半導体装置SD1の製造方法と基本的に同様の構成を備える。以下では、半導体装置SD2の製造方法が半導体装置SD1の製造方法とは異なる点を主に説明する。
【0094】
工程(S1)では、素子分離部ISLの表面に第1段差部STP1及び第2段差部STP2が形成されている半導体基板SUBが準備される。
【0095】
具体的には、工程(S1a)にて準備された素子分離部ISLを備える半導体基板SUBの第2領域R2内に、第2素子SE2の一部(第2絶縁膜IF2)が形成されることにより、素子分離部ISLの表面に第1段差部STP1及び第2段差部STP2が形成される(工程(S1c))。
【0096】
工程(S1c)では、第1に、
図14に示されるように、素子分離部ISLを有する半導体基板SUBの主面MSF上に、第2絶縁膜IF2が成膜される。成膜方法は、特に制限されないが、例えばCVD法である。第2絶縁膜IF2は、第1領域R1、第2領域R2、及び素子分離領域R3の各々に成膜される。
【0097】
工程(S1c)では、第2に、
図15に示されるように、第2絶縁膜IF2が、マスクMK4を用いたエッチング処理によりパターニングされる。マスクMK4は、第2領域R2の全体と、素子分離部ISLにおいて第2領域R2側に位置する一部分とを覆うように、第2絶縁膜IF2上に形成される。
【0098】
これにより、第2領域R2内において、第2領域R2及び素子分離部ISLにおいて第2領域R2側に位置する一部分に、第2絶縁膜IF2が形成される。さらに、本工程では、オーバーエッチング処理が施される。これにより、素子分離部ISLの表面に、第1段差部STP1及び第2段差部STP2が形成される。その後、マスクMK4は、除去される。
【0099】
第1段差部STP1は、半導体装置SD1の製造方法の工程(S1b)において形成される段差部STPと基本的に同様であり、ステップ面STS、第1テラス面TRS1及び第2テラス面TRS2を有する。ステップ面STS、第1テラス面TRS1及び第2テラス面TRS2は、素子分離部ISLの絶縁膜の表面である。
【0100】
第2段差部STP2は、半導体装置SD1の製造方法の工程(S1b)において形成される段差部STPbと基本的に同様であるが、第1段差部STP1よりも第1領域R1側に形成される。第2段差部STP2は、素子分離部ISLを構成するトレンチの側壁面の一部である第2ステップ面STS2と、第1領域R1内の半導体基板SUBの主面MSFの一部からなる第3テラス面TRS3と、素子分離部ISLの薄肉部ISLbの上面の一部からなる第4テラス面TRS4とにより構成される。第2段差部STP2の第4テラス面TRS4は、第1段差部STP1の第1テラス面TRS1と同一平面上に位置する。
【0101】
工程(S2)では、第1に、第1絶縁膜IF1が、少なくとも第1領域R1の全体及び素子分離部ISLにおいて第1領域R1側に位置する薄肉部ISLbの全体を覆うように形成される。第1絶縁膜IF1は、第1段差部STP1の第1テラス面TRS1及びステップ面STS、第2段差部STP2の第2ステップ面STS2、第3テラス面TRS3、及び第4テラス面TRS4、並びに第2絶縁膜IF2の側面と接するように形成される。第1絶縁膜IF1は、例えばCVD法により成膜された絶縁膜を写真製版及びエッチング処理によってパターニングすることにより、形成される。
【0102】
なお、上述のように、第1絶縁膜IF1は、第2絶縁膜IF2上に形成されてもよい。
工程(S2)では、第2に、
図16に示されるように、高誘電率絶縁膜HK及び第1導電膜CF1が、第1段差部STP1及び第2段差部STP2を跨ぐように成膜される。高誘電率絶縁膜HK及び第1導電膜CF1は、第1領域R1、第2領域R2、及び素子分離領域R3の各々に成膜される。第1領域R1内及び素子分離部ISLの薄肉部ISLb上において、高誘電率絶縁膜HKは、第1絶縁膜IF1上に成膜される。第2領域R2内及び素子分離部ISLの厚肉部ISLa上において、高誘電率絶縁膜HKは、第2絶縁膜IF2上に成膜される。高誘電率絶縁膜HKの成膜方法は、例えばALD法である。第1導電膜CF1の成膜方法は、例えばCVD法である。
【0103】
工程(S3)では、第1に、
図17に示されるように、マスクMK5が形成される。マスクMK5は、第1素子SE1及び第2素子SE2の各々が形成されるべき領域と、第1段差部STP1を跨ぐ領域と、第2段差部STP2を跨ぐ領域とを覆うように形成される。
【0104】
工程(S3)では、第2に、
図18に示されるように、第1領域R1における第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1の積層膜と、第2領域R2における第2絶縁膜IF2、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1の積層膜とが、マスクMK5を用いたエッチング処理により同時にパターニングされる。これにより、第1領域R1において、第1絶縁膜IF1、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1の積層膜から、第1素子SE1のゲート絶縁膜GI及びゲート電極GT1が形成される。第2領域R2において、第2絶縁膜IF2、高誘電率絶縁膜HK、及び第1導電膜CF1の積層膜から、第2素子SE2のゲート絶縁膜GI2及びゲート電極GT2が形成される。さらに素子分離領域R3において、第1ダミーパターンDM1が第1段差部STP1を跨ぐように形成され、第2ダミーパターンDM2が第2段差部STP2を跨ぐように形成される。
【0105】
本工程(S3)における第1ダミーパターンDM1及び第2ダミーパターンDM2の各々では、高誘電率絶縁膜HKの側面が外部に露出している。マスクMK5は、上記除去終了後に除去される。
【0106】
工程(S4)では、第1素子SE1のゲート絶縁膜GI1及びゲート電極GT1の両側面及び第2素子SE2のゲート絶縁膜GI2及びゲート電極GT2の両側面の各々を覆うサイドウォール絶縁膜SWI、及び第1ダミーパターンDM1及び第2ダミーパターンDM2の各々の両側面を覆うサイドウォール絶縁膜DSWIが、形成される。サイドウォール絶縁膜SWI及びサイドウォール絶縁膜DSWIは、半導体基板SUBの主面MSFを覆うように図示しない絶縁膜を成膜した後、その絶縁膜に異方性エッチング処理を行うことにより、同時に形成される。
【0107】
このようにして、
図13に示される半導体装置SD2の主要部分が製造される。
<効果>
半導体装置SD2において、第1素子SE1及び第2素子SE2は、いずれも高誘電率絶縁膜HKを含む。そのため、半導体装置SD2の製造方法において、高誘電率絶縁膜HKは第1領域R1、第2領域R2、及び素子分離領域R3内に渡って成膜されることが好ましい。他方、このように成膜される高誘電率絶縁膜HKは、素子分離部ISLの表面に形成された第1段差部STP1及び第2段差部STP2の各々を跨ぐことになる。そのため、上述した比較例に係る半導体装置の製造方法と同様に高誘電率絶縁膜HKを加工すると、第1段差部STP1及び第2段差部STP2の各々のステップ面上にサイドウォール状のダミーパターンが形成され、さらに各ダミーパターンの上面及び側面において高誘電率絶縁膜が露出することになる。上述のように、第1素子及び第2素子の各々のゲート絶縁膜及びゲート電極の側面にサイドウォール絶縁膜を形成する工程において、上記ダミーパターンの上面及び側面を覆う保護膜を、当該サイドウォール絶縁膜と同時に形成することは困難である。
【0108】
これに対し、半導体装置SD2では、サイドウォール絶縁膜DSWIが、第1ダミーパターンDM1及び第2ダミーパターンDM2の各々の両側面に露出する高誘電率絶縁膜HKを覆っているため、高誘電率絶縁膜を構成する材料の一部が離脱して半導体装置SD2の他の領域又は製造装置内等の意図しない場所に再付着することが防止され得る。
【0109】
半導体装置SD2の製造方法においても、半導体装置SD1の製造方法と同様に、ダミーパターンの除去のみを目的とする工程が不要である。工程(S3)において第1段差部STP1及び第2段差部STP2上をも覆うマスクMK5を用いて第1素子SE1のゲート絶縁膜GI1及びゲート電極GT1、並びに第2素子SE2のゲート絶縁膜GI2及びゲート電極GT2を形成することにより、これらと同時に第1ダミーパターンDM1及び第2ダミーパターンDM2を形成できる。そのため、半導体装置SD2の製造コストは、ダミーパターンの除去のみを目的とする工程を経て製造される半導体装置の製造コストと比べて、低く抑えられている。
【0110】
(実施の形態3)
<実施の形態3に係る半導体装置の構成>
実施の形態3に係る半導体装置SD3は、実施の形態2に係る半導体装置SD2と基本的に同様の構成を備えるが、高誘電率絶縁膜HKがその内部に分散している複数の金属微粒子MFPを有する点で、半導体装置SD2とは異なる。以下では、半導体装置SD3が半導体装置SD2とは異なる点を主に説明する。
【0111】
半導体装置SD3における高誘電率絶縁膜HKは、強誘電体としての性質を有する。高誘電率絶縁膜HKは、比誘電率が窒化ケイ素(Si3N4)よりも高い材料からなる誘電体膜HKBと、誘電体膜HKBに添加されている複数の金属微粒子MFPとを含む。誘電体膜HKBを構成する材料は、第1金属を含む。好ましくは、第1金属は、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、及びイットリウム(Y)からなる群から選択される少なくともいずれかを含む。誘電体膜HKBを構成する材料は、例えばHfO2である。高誘電率絶縁膜HKにおける誘電体膜HKBの結晶構造は、直方晶(Orthorhombic)である。複数の金属微粒子MFPは、誘電体膜HKBの内部または表面に分散している。複数の金属微粒子MFPは、上記第1金属とは異なる第2金属を含む。複数の金属微粒子MFPは、第2金属単体または合金からなる微粒子である。第1金属がHfである場合、第2金属は、例えばAl又はTiである。複数の金属微粒子MFPは、例えばAl、酸化アルミニウム(AlO2)、窒化アルミニウム(AlN)、及びTiからなる群から選択される少なくともいずれかを含む。
【0112】
金属微粒子MFPの粒径は、ナノオーダーである。
図19に示されるように複数の金属微粒子MFPは、高誘電率絶縁膜HKにおいて、高誘電率絶縁膜HKの延在方向において分散して配置されている。複数の金属微粒子MFPは、高誘電率絶縁膜HKにおいて、高誘電率絶縁膜HKの厚さ方向において分散して配置されていてもよい。
【0113】
図20に示されるように、半導体装置SD3は、例えば高誘電率絶縁膜HKと第1導電膜CF1との間に介在する第4導電膜CF4をさらに備えている。第4導電膜CF4を構成する材料は、例えば窒化チタン(TiN)を含む。つまり、第1素子SE1、第2素子SE2、第1ダミーパターンDM1、及び第2ダミーパターンDM2の各々は、高誘電率絶縁膜HK、第4導電膜CF4、及び第1導電膜CF1がこの記載順に下方から上方に積層している積層膜を含む。
【0114】
半導体装置SD3の製造方法は、実施の形態2に係る半導体装置SD2の製造方法と基本的に同様の構成を備える。工程(S2)において、高誘電率絶縁膜HKは、例えば、ALD法又はスピンコート法等により第1絶縁膜IF1又は第2絶縁膜IF2上に成膜される。好ましくは、成膜処理後に、高誘電率絶縁膜HKに対してアニール処理が行われる。また、工程(S2)において、第4導電膜CF4は、高誘電率絶縁膜HKが形成された後、第1導電膜CF1と連続して成膜され得る。
【0115】
半導体装置SD3では、サイドウォール絶縁膜DSWIが、ダミーパターンDM1の両側面に露出する高誘電率絶縁膜HKを覆っているため、高誘電率絶縁膜HK中の金属微粒子MFPが離脱して半導体装置SD3の他の領域又は製造装置内等の意図しない場所に再付着することが防止され得る。
【0116】
なお、実施の形態3に係る半導体装置SD3は、高誘電率絶縁膜HKがSi3N4と比べて比誘電率が高い材料からなる強誘電体層と強誘電体層内に分散している金属微粒子とを有する点を除き、実施の形態1に係る半導体装置SD1と同様の構成を備えていてもよい。
【0117】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0118】
SD1,SD2,SD3 半導体装置、R1 第1領域、R2 第2領域、R3 素子分離領域、SE1 第1素子、SE2 第2素子、ISL 素子分離部、ISLa 厚肉部、ISLb 薄肉部、DM1,DM2 ダミーパターン、SUB 半導体基板、SB 半導体基材、SR1a 第1半導体領域、SR1b 第2半導体領域、SR2b 第5半導体領域、SR2a 第4半導体領域、SR3 第3半導体領域、SR4 第6半導体領域、GI,GI1,GI2 ゲート絶縁膜、GT,GT1,GT2 ゲート電極、CG コントロールゲート電極、MG メモリゲート電極、ONO 積層絶縁膜、CI,CI1,CI2 キャップ絶縁膜、DSWI,SWI サイドウォール絶縁膜、HK 高誘電率絶縁膜、IF1 第1絶縁膜、IF2 第2絶縁膜、ILD 層間絶縁膜、MKB ベース部、MFP 金属微粒子、MK1,MK2,MK3,MK4,MK5 マスク、MSF 主面、STP 段差部、STP1 第1段差部、STP2 第2段差部、TRS1 第1テラス面、TRS2 第2テラス面、TRS3 第3テラス面、TRS4 第4テラス面、STS ステップ面、STS2 第2ステップ面。