(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072615
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】針付縫合糸の包装構造
(51)【国際特許分類】
A61B 17/06 20060101AFI20240521BHJP
A61B 50/30 20160101ALI20240521BHJP
【FI】
A61B17/06 520
A61B50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183556
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】390003229
【氏名又は名称】マニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180264
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 貴大
(72)【発明者】
【氏名】高野 祐磨
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB18
4C160BB27
4C160BB28
(57)【要約】
【課題】針付縫合糸の包装構造において、針付縫合糸を取り出す際に、容易に且つ縫合糸が絡まらない様に取り出すことができるとともに、針付縫合糸を取り出した後に、糸が出来るだけまっすぐになるようにする。
【解決手段】台板2の長手方向の片側の端部2bに複数の並列したスリット4を有するとともに、台板2の両面上で複数のループ1cを形成した縫合糸1aが、単体でスリット4を通過するように構成した。また複数のループ1cの大きさ及び/又は形成位置が異なるように構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸を縫合針の元端に一体的に接続して構成した針付縫合糸を台板に取り付けて包装する、針付縫合糸の包装構造において、前記台板の長手方向の片側端部に複数の並列したスリットを有するとともに、前記台板の両面上で複数のループを形成した前記縫合糸が、単体で前記スリットを通過するように構成したことを特徴とする、針付縫合糸の包装構造。
【請求項2】
前記針付縫合糸の縫合針が、前記台板の側部側且つ前記スリットの近傍で台板に保持されており、前記縫合針に接続した縫合糸は、台板両面上でのループ形成とスリット通過により、前記縫合針が保持された前記側部側と反対の側部側に連続した1本の縫合糸として構成されている、請求項1に記載の針付縫合糸の包装構造。
【請求項3】
前記複数のループの大きさ及び/又は形成位置が異なることを特徴とする、請求項1または2に記載の針付縫合糸の包装構造。
【請求項4】
前記台板が、該台板の両面を保持可能な包装部材に収納されていることを特徴とする、請求項1~3に記載の針付縫合糸の包装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縫合針の元端に一体的に取り付けられた縫合糸(針付縫合糸)を台板に取り付けて包装する包装構造に係り、特に、針付縫合糸を取り出す際に、容易に且つ縫合糸が絡まらない様に取り出せるとともに、針付縫合糸を取り出した後に、糸が出来るだけまっすぐになるようにした針付縫合糸の包装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の針付縫合糸の包装手段としては、特許文献1、2に示す技術が知られている。
上記特許文献1に示す包装手段は、縫合糸を台板の外周縁に沿って巻き付けたり、或いは台板の内部に穿設された円の一部を用いたスリットの中に縫合糸を押し込みながら巻き廻したりすることによって縫合糸を台板に安定して取り付けた包装構造に関するものである。また特許文献2に示す包装手段は、前記台板の両側部に予め穿設されたスリットに縫合糸を往復の2回に亘って挿入しながら仮着して台板の裏側にループを形成した包装構造に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-156440号公報
【特許文献2】特許第2961156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に示す包装手段では、縫合糸に折り癖が付き、台板から縫合糸を引き抜く際にスムーズに行かずに引っ掛かる等の問題があった。-旦縫合糸に折り癖が付くと、台板から引き抜いた後にもその癖が残っているので、結果的に、縫合手術に支障が生じてしまう。
また特許文献2に示す包装手段では、スリットが台板の長手方向の両端部に設けられていることに加え、台板の裏側に形成したループの輪が小さいため、縫合糸に何度も折り癖が形成されてしまうという問題や、縫合針から遠い端部側のスリットにおいて、針付縫合糸を引き出す際に抵抗が発生するという問題があり、さらに、台板の裏側に縫合糸を多く出せないため、取り付ける縫合糸の長さに制限が出てしまうという問題があった。
製造においては、ループを形成する際に基準が無いため、作業者の熟練が必要である、といった問題もあった。
本発明の目的は、針付縫合糸を取り出す際に、容易に且つ縫合糸が絡まらない様に取り出せるとともに、針付縫合糸を引き出した後に、縫合糸が出来るだけまっすぐになるようにした針付縫合糸の包装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る針付縫合糸の包装構造は、
縫合糸を縫合針の元端に一体的に接続して構成した針付縫合糸を台板に取り付けて包装する、針付縫合糸の包装構造において、前記台板の長手方向の片側端部に複数の並列したスリットを有するとともに、前記台板の両面上で複数のループを形成した前記縫合糸が、単体で前記スリットを通過するように構成したことを特徴とするものである。
前記針付縫合糸の縫合針が、台板の側部側且つスリットの近傍で台板に保持されており、前記縫合針に接続した縫合糸は、台板両面上でのループ形成とスリット通過により、縫合針が保持された前記側部側と反対の側部側に連続した1本の縫合糸として構成されていることとしても良い。
また、前記複数のループの大きさ及び/又は形成位置が異なるようにしたり、前記台板が、該台板の両面を保持可能な包装部材に収納されていたりしても良い。
【発明の効果】
【0006】
針付縫合糸の包装構造において、台板の長手方向の片側端部に複数の並列したスリットを有するとともに、台板の両面上で複数のループを形成した縫合糸が、単体でスリットを通過するように構成したことで、縫合糸に折癖が形成されることがなく、針付縫合糸を引き出す際にも、(台板に巻き付けていないため)台板の長手方向の外側に引っ張るだけで台板から縫合糸が外れ、同時にスリットから抜ける方向に引き出されるため、抵抗が生じることなく、スムーズに引き出すことが出来るという効果を奏する。
また、針付縫合糸の縫合針が、台板の側部側且つスリットの近傍で台板に保持されており、縫合針に接続した縫合糸は、台板両面上でのループ形成とスリット通過により、縫合針が保持された側部側と反対の側部側に連続した1本の縫合糸として構成されていることで、多様な長さの縫合糸を取り付けることが可能であるとともに、針付縫合糸を絡まらないように引き出すことが可能である。
さらに、複数のループの大きさ及び/又は形成位置が異なるようにしたことにより、ループ同士が絡まらないようにすることが可能であり、台板が、台板の両面を保持可能な包装部材に収納されていることにより、縫合糸を外側から保持してループの位置を維持させ、ループ同士が絡まらないようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る針付縫合糸の包装構造の平面図である。
【
図2】(a) 本発明に係る針付縫合糸の包装構造の台板の平面図である。 (b)
図2(a)に示す(b)部分の拡大図である。
【
図3】本発明に係る針付縫合糸の包装構造の複数のループを形成する方法を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る針付縫合糸の包装構造の台板が、台板の両面を保持可能な包装部材に収納されるとともに、針付縫合糸を引き出している状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る針付縫合糸の包装構造の平面図である。台板2に針付縫合糸1(1a,1b,1c)が取り付けられている状態(台板の表面側)を示しており、縫合針1aは台板の左側(側部2a側)に位置する針保持部8に保持され、縫合針1aに接続した縫合糸1bが、ループ1cを形成しつつ、スリット4を通過して台板2の裏面に回り、ループ1cを形成し、再度スリット4を通過して台板2の表面に回り、ループ1cを形成、を繰り返し、台板2の右側に連なるように構成されている。
【0010】
縫合針1aを保持する針保持部8は、スリット4の近傍にあり、縫合針1aの先端を台板の側面で保持している。針保持部8は、台板の窪んだ部分に設けられており、縫合針1aが台板の外側の包装部材を突き破ることを防止している。
【0011】
図2(a)は、本発明に係る針付縫合糸の包装構造の台板2の平面図である。
台板2は略短冊状の平面形状を有していて、針保持部8に対応する部分が窪んでいる。針保持部8の近傍に位置する、台板2の端部2bには、端部2bの端に交差する方向のスリット4が並列に複数設けられており、縫合糸1bが単体で(1本で)通過するようになっている。
図2(b)は、
図2(a)で丸囲みした(b)の拡大図である。スリット4に入る手前(スリットより上部)で溝5が設けられており、縫合糸1bを挿入し易いようになっている。
【0012】
スリット4の位置する端部2bの逆方向には、ループ形成用孔部6が設けられている。
図3に示す通り、ループ形成用孔部6にループ形成用軸10を通し、針保持部8に保持した縫合針1aに接続する縫合糸1bを、ループ形成用軸10に巻き付けることでループ1cを形成する。スリット4を通過させた後、裏面でも同様にループ形成用軸10に巻き付けてループ1cを形成し、再度表面(おもてめん)に回ったら、最初に巻き付けたループ形成用軸10の右側に位置するループ形成用軸10に巻き付け、ループを形成する。
【0013】
ループ形成用孔部6の位置は、針保持部8に近くなるほど台板2の長手方向の中央寄りになり、遠くなるほど、台板2の長手方向の下部寄りになる。すなわち、針保持部8に近くなるほどスリット4までのループの大きさが小さく、遠くなるほど、ループの大きさが大きくなる。このように、複数のループ1cの大きさを異なるものとすることで、針付縫合糸1(1a,1b,1c)を引き出す際に互いになるべく接触しないようにし、糸絡まりを防止することが可能となる。
【0014】
また台板2の針保持部8の下方に突起7が形成されており、針保持部8に保持した縫合針1aに接続する縫合糸1bが裏面に回ることを防止する。
【0015】
さらに台板2の右側の側部2a(針保持部8と反対側)には、スリット9が設けられており、端部2bに設けられたスリット4で保持した縫合糸1bの端部が長く余ってしまう場合に、保持することが可能である。
【0016】
図4は、台板2が、台板2の両面を保持可能な包装部材3に収納されるとともに、針付縫合糸1(1a,1b,1c)を引き出している状態を説明する図である。
包装部材3を台板2に密着させて包装することにより、糸がバラバラになることを防止し、糸絡まりを軽減することができる。
【0017】
包装部材3としては2枚のシートを重ね、コの字状に周囲を接着して形成した袋であることが好ましいが、袋に限定するものではなく、例えば台紙で台板を保持しても良い。
【0018】
本発明では台板に縫合糸を巻き付けていないため、針付縫合糸1(1a,1b,1c)を取り出す際、包装部材3から台板2を取り出してから針付縫合糸1(1a,1b,1c)を外すといった作業は不要となり、包装部材3に収納した状態で、縫合針1aを台板2の上方向に引っ張るだけで縫合糸1bが外れ、同時にスリットから抜ける方向に引き出されるため、抵抗が生じることなく、スムーズに引き出すことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係る針付縫合糸の包装構造は、縫合手術の際に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 針付縫合糸
1a 縫合針
1b 縫合糸
1c ループ
2 台板
2a 側部
2b 端部
3 包装部材
4 スリット
5 溝
6 ループ形成用孔部
7 突起
8 針保持部
9 スリット(側部)
10 ループ形成用軸
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縫合針の元端に一体的に取り付けられた縫合糸(針付縫合糸)を台板に取り付けて包装する包装構造に係り、特に、針付縫合糸を取り出す際に、容易に且つ縫合糸が絡まらない様に取り出せるとともに、針付縫合糸を取り出した後に、糸が出来るだけまっすぐになるようにした針付縫合糸の包装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の針付縫合糸の包装手段としては、特許文献1、2に示す技術が知られている。
上記特許文献1に示す包装手段は、縫合糸を台板の外周縁に沿って巻き付けたり、或いは台板の内部に穿設された円の一部を用いたスリットの中に縫合糸を押し込みながら巻き廻したりすることによって縫合糸を台板に安定して取り付けた包装構造に関するものである。また特許文献2に示す包装手段は、前記台板の両側部に予め穿設されたスリットに縫合糸を往復の2回に亘って挿入しながら仮着して台板の裏側にループを形成した包装構造に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-156440号公報
【特許文献2】特許第2961156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に示す包装手段では、縫合糸に折り癖が付き、台板から縫合糸を引き抜く際にスムーズに行かずに引っ掛かる等の問題があった。-旦縫合糸に折り癖が付くと、台板から引き抜いた後にもその癖が残っているので、結果的に、縫合手術に支障が生じてしまう。
また特許文献2に示す包装手段では、スリットが台板の長手方向の両端部に設けられていることに加え、台板の裏側に形成したループの輪が小さいため、縫合糸に何度も折り癖が形成されてしまうという問題や、縫合針から遠い端部側のスリットにおいて、針付縫合糸を引き出す際に抵抗が発生するという問題があり、さらに、台板の裏側に縫合糸を多く出せないため、取り付ける縫合糸の長さに制限が出てしまうという問題があった。
製造においては、ループを形成する際に基準が無いため、作業者の熟練が必要である、といった問題もあった。
本発明の目的は、針付縫合糸を取り出す際に、容易に且つ縫合糸が絡まらない様に取り出せるとともに、針付縫合糸を引き出した後に、縫合糸が出来るだけまっすぐになるようにした針付縫合糸の包装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る針付縫合糸の包装構造は、
縫合糸を縫合針の元端に一体的に接続して構成した針付縫合糸を略短冊状の台板に取り付けて包装する、針付縫合糸の包装構造において、前記台板の長手方向の片側端部に複数の並列したスリットを有するとともに、前記台板の両面上で複数のループを形成した前記縫合糸が、単体で前記スリットを通過するように構成したことを特徴とするものである。
前記針付縫合糸の縫合針が、台板の側部側且つスリットの近傍で台板に保持されており、前記縫合針に接続した縫合糸は、台板の両面上でのループ形成とスリット通過により、縫合針が保持された前記側部側と反対の側部側に連続した1本の縫合糸として構成されていることとしても良い。
また、前記複数のループの大きさ及び/又は形成位置が異なるようにしたり、前記台板が、該台板の両面を保持可能な包装部材に収納されていたりしても良い。
【発明の効果】
【0006】
針付縫合糸の包装構造において、台板の長手方向の片側端部に複数の並列したスリットを有するとともに、台板の両面上で複数のループを形成した縫合糸が、単体でスリットを通過するように構成したことで、縫合糸に折癖が形成されることがなく、針付縫合糸を引き出す際にも、(台板に巻き付けていないため)台板の長手方向の外側に引っ張るだけで台板から縫合糸が外れ、同時にスリットから抜ける方向に引き出されるため、抵抗が生じることなく、スムーズに引き出すことが出来るという効果を奏する。
また、針付縫合糸の縫合針が、台板の側部側且つスリットの近傍で台板に保持されており、縫合針に接続した縫合糸は、台板両面上でのループ形成とスリット通過により、縫合針が保持された側部側と反対の側部側に連続した1本の縫合糸として構成されていることで、多様な長さの縫合糸を取り付けることが可能であるとともに、針付縫合糸を絡まらないように引き出すことが可能である。
さらに、複数のループの大きさ及び/又は形成位置が異なるようにしたことにより、ループ同士が絡まらないようにすることが可能であり、台板が、台板の両面を保持可能な包装部材に収納されていることにより、縫合糸を外側から保持してループの位置を維持させ、ループ同士が絡まらないようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る針付縫合糸の包装構造の平面図である。
【
図2】(a) 本発明に係る針付縫合糸の包装構造の台板の平面図である。 (b)
図2(a)に示す(b)部分の拡大図である。
【
図3】本発明に係る針付縫合糸の包装構造の複数のループを形成する方法を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る針付縫合糸の包装構造の台板が、台板の両面を保持可能な包装部材に収納されるとともに、針付縫合糸を引き出している状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る針付縫合糸の包装構造の平面図である。台板2に針付縫合糸1(1a,1b,1c)が取り付けられている状態(台板の表面側)を示しており、縫合針1aは台板の左側(側部2a側)に位置する針保持部8に保持され、縫合針1aに接続した縫合糸1bが、ループ1cを形成しつつ、スリット4を通過して台板2の裏面に回り、ループ1cを形成し、再度スリット4を通過して台板2の表面に回り、ループ1cを形成、を繰り返し、台板2の右側に連なるように構成されている。
なお、ループ1cというのは、図1に示しているように、往復する縫合糸1bとその端部に形成される半輪状部分とからなり、特に、折り癖が付くような急激な折り返しではなく、滑らかに半輪状を形成しているものとする。
【0010】
縫合針1aを保持する針保持部8は、スリット4の近傍にあり、縫合針1aの先端を台板の側面で保持している。針保持部8は、台板の窪んだ部分に設けられており、縫合針1aが台板の外側の包装部材を突き破ることを防止している。
【0011】
図2(a)は、本発明に係る針付縫合糸の包装構造の台板2の平面図である。
台板2は略短冊状の平面形状を有していて、針保持部8に対応する部分が窪んでいる。針保持部8の近傍に位置する、台板2の端部2bには、端部2bの端に交差する方向のスリット4が並列に複数設けられており、縫合糸1bが単体で(1本で)通過するようになっている。
つまり、縫合糸1bが単体でスリット4を通過するというのは、1カ所のスリット4に対して、縫合糸1bが複数回通過することがないという意味である。図2(b)は、
図2(a)で丸囲みした(b)の拡大図である。スリット4に入る手前(スリットより上部)で溝5が設けられており、縫合糸1bを挿入し易いようになっている。
【0012】
スリット4の位置する端部2bの逆方向には、ループ形成用孔部6が設けられている。
図3に示す通り、ループ形成用孔部6にループ形成用軸10を通し、針保持部8に保持した縫合針1aに接続する縫合糸1bを、ループ形成用軸10に巻き付けることでループ1cを形成する。スリット4を通過させた後、裏面でも同様にループ形成用軸10に巻き付けてループ1cを形成し、再度表面(おもてめん)に回ったら、最初に巻き付けたループ形成用軸10の右側に位置するループ形成用軸10に巻き付け、ループを形成する。
つまり、図3に示す通り、連続した1本の縫合糸1bは、縫合針1aが保持される針保持部8を備えた台板2の側部側からスタートし、反対の側部側に向かって、スリット4の通過と台板2の両面上でのループ1cの形成とを繰り返しながら、台板2に取り付けられていることになる。
【0013】
ループ形成用孔部6の位置は、針保持部8に近くなるほど台板2の長手方向の中央寄りになり、遠くなるほど、台板2の長手方向の下部寄りになる。すなわち、針保持部8に近くなるほどスリット4までのループの大きさが小さく、遠くなるほど、ループの大きさが大きくなる。つまり、スリット4からループ形成用孔部6までの距離を、それぞれのループ形成用孔部6によって異なることとすることで、複数のループ1cの大きさ及び/又は形成位置が異なることになる。このように、複数のループ1cの大きさを異なるものとすることで、針付縫合糸1(1a,1b,1c)を引き出す際に互いになるべく接触しないようにし、糸絡まりを防止することが可能となる。
【0014】
また台板2の針保持部8の下方に突起7が形成されており、針保持部8に保持した縫合針1aに接続する縫合糸1bが裏面に回ることを防止する。
【0015】
さらに台板2の右側の側部2a(針保持部8と反対側)には、スリット9が設けられており、端部2bに設けられたスリット4で保持した縫合糸1bの端部が長く余ってしまう場合に、保持することが可能である。
【0016】
図4は、台板2が、台板2の両面を保持可能な包装部材3に収納されるとともに、針付縫合糸1(1a,1b,1c)を引き出している状態を説明する図である。
なお、台板2の両面を保持するというのは、台板2の表裏の両面に包装部材3が密着している状態とする。
包装部材3を台板2に密着させて包装することにより、糸がバラバラになることを防止し、糸絡まりを軽減することができる。
【0017】
包装部材3としては2枚のシートを重ね、コの字状に周囲を接着して形成した袋であることが好ましいが、袋に限定するものではなく、例えば台紙で台板を保持しても良い。
【0018】
本発明では台板に縫合糸を巻き付けていないため、針付縫合糸1(1a,1b,1c)を取り出す際、包装部材3から台板2を取り出してから針付縫合糸1(1a,1b,1c)を外すといった作業は不要となり、包装部材3に収納した状態で、縫合針1aを台板2の上方向に引っ張るだけで縫合糸1bが外れ、同時にスリットから抜ける方向に引き出されるため、抵抗が生じることなく、スムーズに引き出すことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係る針付縫合糸の包装構造は、縫合手術の際に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 針付縫合糸
1a 縫合針
1b 縫合糸
1c ループ
2 台板
2a 側部
2b 端部
3 包装部材
4 スリット
5 溝
6 ループ形成用孔部
7 突起
8 針保持部
9 スリット(側部)
10 ループ形成用軸
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸を縫合針の元端に一体的に接続して構成した針付縫合糸を略短冊状の台板に取り付けて包装する、針付縫合糸の包装構造において、前記台板の長手方向の片側端部に複数の並列したスリットを有するとともに、前記台板の両面上で複数のループを形成した前記縫合糸が、単体で前記スリットを通過するように構成したことを特徴とする、針付縫合糸の包装構造。
【請求項2】
前記針付縫合糸の縫合針が、前記台板の側部側且つ前記スリットの近傍で該台板に保持されており、前記縫合針に接続した縫合糸は、前記台板の両面上でのループ形成とスリット通過により、前記縫合針が保持された前記側部側と反対の側部側に連続した1本の縫合糸として構成されている、請求項1に記載の針付縫合糸の包装構造。
【請求項3】
前記複数のループの大きさ及び/又は形成位置が異なることを特徴とする、請求項1に記載の針付縫合糸の包装構造。
【請求項4】
前記台板が、該台板の両面を保持可能な包装部材に収納されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の針付縫合糸の包装構造。