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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072637
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】排気アダプタ
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
F24H9/02 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183595
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】弓削 良祐
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AC07
3L037AC11
(57)【要約】
【課題】排気アダプタが取り付けられた燃焼装置であっても、排気アダプタを取り外すことなく燃焼装置の前カバーを取り外し可能とする排気アダプタを提供する。
【解決手段】排気アダプタ1は、側方壁6及び上方壁7を備え、下方が開放された箱状の本体2と、前記本体2の側方壁6に開口し、燃焼排気を排出する排気出口11と、前記本体2内に設けられ、燃焼装置30の排気筒40に接続される排気連結部4と、前記本体2内に設けられ、前記排気連結部4から前記排気出口11までを連接する排気流路部5と、前記本体2の側方壁6のうち、燃焼装置30の前カバー34が位置する前側の側方壁6に下端から所定高さ及び所定幅にわたって設けられた切欠部20と、前記切欠部20を開閉可能に覆う前蓋8とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開放部を有する箱状のケーシングと、前記開放部を覆いケーシングに取り外し可能に固定される前カバーと、前記ケーシングの天面から上方に突出する排気筒とを備えた燃焼装置に接続される排気アダプタであって、
側方壁及び上方壁を備え、下方が開放された箱状の本体と、
前記本体の側方壁に開口し、燃焼排気を排出する排気出口と、
前記本体内に設けられ、前記排気筒に接続される排気連結部と、
前記本体内に設けられ、前記排気連結部から前記排気出口までを連接する排気流路部と、
前記本体の側方壁のうち、前記前カバーが位置する前側の側方壁に下端から所定高さ及び所定幅にわたって設けられた切欠部と、
前記切欠部を開閉可能に覆う前蓋とを備える、排気アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の排気アダプタにおいて、
前記前蓋は、ヒンジによって前記切欠部に対して開閉可能に前記本体と固定されている、排気アダプタ。
【請求項3】
請求項2に記載の排気アダプタにおいて、
前記ヒンジは、前記前蓋を開状態の位置で保持する係合部と被係合部とが設けられている、排気アダプタ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の排気アダプタにおいて、
前記本体を前記燃焼装置に固定する締結部が前記本体内に設けられている、排気アダプタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に接続する排気アダプタに関し、例えば、屋内設置型の燃焼装置を屋外設置型に適用することを可能とする排気アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置等の燃焼装置は、燃焼排気を排出する排気筒を備えている。屋内設置型の燃焼装置では、排気筒を建物の壁に設置する排気配管と接続するため、排気筒は、燃焼装置の天面部から突出して設けられるものが多い。屋外設置型の燃焼装置では、燃焼排気が建物の壁や軒などに直接当たらないようにするため、排気筒は、燃焼装置の前面部又は側面部に設けられている。このように燃焼装置は、屋内設置型と屋外設置型とで排気系の構造が異なるため、燃焼装置のメーカは、屋内設置型と屋外設置型とに応じて燃焼装置を生産する必要があり、ユーザにおいても、燃焼装置を屋内設置から屋外設置に変更する場合は新たな燃焼装置に買い換える必要があった。
【0003】
従来、排気筒を天面部に備える燃焼装置において、前面に排気窓を開設した外装ケースを燃焼装置の天面部に設置して燃焼排気を前方に向かってのみ行われるようにした技術が知られていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-187721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来技術は、燃焼装置を屋内設置型から屋外設置型へと変換するものではなかった。本発明者は、屋内設置型の燃焼装置を屋外設置型の燃焼装置に変換可能とする新規な排気アダプタの開発を検討した。排気アダプタを燃焼装置の天面部に設置する場合、排気アダプタに燃焼装置と一体感を持たせて正面からのデザイン性を高めようとすると、排気アダプタによって燃焼装置の天面部に配設された前カバーの固定手段や前カバーの上端部を覆う構成となる。この場合、燃焼装置のメンテナンス等で前カバーを取り外すには排気アダプタを一旦取り外す必要があり、メンテナンス等の作業性を低下させるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、排気アダプタが取り付けられた燃焼装置であっても、排気アダプタを取り外すことなく燃焼装置の前カバーを取り外し可能とする排気アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る排気アダプタは、
前方に開放部を有する箱状のケーシングと、前記開放部を覆いケーシングに取り外し可能に固定される前カバーと、前記ケーシングの天面から上方に突出する排気筒とを備えた燃焼装置に接続される排気アダプタであって、
側方壁及び上方壁を備え、下方が開放された箱状の本体と、
前記本体の側方壁に開口し、燃焼排気を排出する排気出口と、
前記本体内に設けられ、前記排気筒に接続される排気連結部と、
前記本体内に設けられ、前記排気連結部から前記排気出口までを連接する排気流路部と、
前記本体の側方壁のうち、前記前カバーが位置する前側の側方壁に下端から所定高さ及び所定幅にわたって設けられた切欠部と、
前記切欠部を開閉可能に覆う前蓋とを備える構成とする。
【0008】
前記構成により、前蓋を退避させて切欠部を開放することで、燃焼装置の前カバーを取り外す時に排気アダプタが干渉しないようにすることができる。また、前カバーの上端部にケーシングとの固定手段を有する場合でも、切欠部を通して固定手段の固定を解除することができる。従って、排気アダプタを取り外すことなく燃焼装置に取り付けた状態で燃焼装置の前カバーをケーシングから取り外すことができる。よって、排気アダプタが取り付けられた状態の燃焼装置であっても、前カバーの取り外し作業を手間なく行うことができる。
【0009】
前記排気アダプタにおいて、
前記前蓋は、ヒンジによって前記切欠部に対して開閉可能に前記本体と固定されている構成とすることができる。
【0010】
この構成により、前蓋を排気アダプタから完全に取り外さなくても開状態とすることで燃焼装置の前カバーの取り外しを行うことができる。従って、前カバー取り外し時の作業性を向上することができる。
【0011】
前記排気アダプタにおいて、
前記ヒンジは、前記前蓋を開状態の位置で保持する係合部と被係合部とが設けられている構成とすることができる。
【0012】
この構成により、ヒンジによって前蓋が開状態に保持されるので、作業者が前蓋を開状態に保持させる必要がないため、前カバー取り外し時の作業性をより向上することができる。
【0013】
前記排気アダプタにおいて、
前記本体を前記燃焼装置に固定する締結部が前記本体内に設けられている構成とすることができる。
【0014】
この構成により、締結部が本体内に隠蔽されるため、排気アダプタを取り付けた燃焼装置の見栄えを良くすることができる。また、排気アダプタを燃焼装置に取り付ける際、前蓋を開けて切欠部を通して燃焼装置の前面側から締結部の締結作業を行うことが可能であり、排気アダプタ取り付け時の作業性が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態における燃焼装置を示す正面図である。
図2】本実施形態における燃焼装置の内部構成を示す模式図である。
図3】本実施形態の排気アダプタの前蓋を開状態とした場合における燃焼装置を示す斜視図である。
図4】本実施形態の排気アダプタの前蓋を開状態とした場合における燃焼装置を示す正面図である。
図5】本実施形態の排気アダプタを燃焼装置の天面部に設置するときの状態を示す斜視図である。
図6】本実施形態の排気アダプタにおいて、前蓋が閉状態の場合を示す斜視図(同図(a))及び前蓋が開状態の場合を示す斜視図(同図(b))である。
図7】本実施形態の排気アダプタを示す断面図である。
図8】本実施形態の排気アダプタを底面側から示す斜視図である。
図9】前蓋を取り付けているヒンジの部分を拡大した一部断面図である。
図10】前蓋が閉状態のときのヒンジの係合部の位置関係を示す断面図(同図(a))及び前蓋が開状態のときのヒンジの係合部の位置関係を示す断面図(同図(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1図4に示す燃焼装置30は、給湯装置を構成するものであり、前方に開放部31を有する箱状のケーシング32と、開放部31を覆いケーシング32に取り外し可能に固定された前カバー34とを備え、ケーシング32と前カバー34とで装置の外郭となる装置本体が構成される。なお、本明細書では、図1及び図3より、燃焼装置30の前カバー34側を前面とし、前後、左右、上下の位置関係を規定する。
【0017】
図2に示すように、ケーシング32内には、燃焼部35と、熱交換部36と、送風手段37と、給気部38と、排気部39とが配設されている。排気部39は、排気下流部に円筒状の排気筒40を有する。給気部38は、給気上流部に、円筒状の給気筒41と、排気筒40を内周部に配設するリング状給気筒42とを有する。排気筒40、給気筒41及びリング状給気筒42は、ケーシング32の天面部33(燃焼装置30の天面部でもある。)から上方に突出して配設されている。送風手段37は、給気部38から燃焼装置30内に導入した空気を燃料供給管43から供給される燃料ガスと混合し、混合ガスとして燃焼部35に供給する。燃焼部35は、燃焼部35に備えるバーナ(不図示)により混合ガスを燃焼させて燃焼排気を生成する。熱交換部36は、燃焼部35から送り込まれた燃焼排気により給水管44から伝熱管(不図示)に流入される流体(水)を加熱する。熱交換部36で加熱された流体は、伝熱管から出湯管45に流出され、給湯端末に供給される。熱交換部36で流体を加熱した後の燃焼排気は、排気部39から器具外に排出される。
【0018】
前カバー34は、ケーシング32の開放部31と合致した矩形状の前面部を有し、前面部の外周縁に後方へ延びる周壁部が形成された浅底箱型形状を有している。前カバー34は、ケーシング32の開放部31に対して上下位置で固定されている。具体的に、図3図4図5に示すように、ケーシング32の天面部33には、前側の左右位置にパッチン錠46が設けられ、前カバー34の上部の周壁部には、上面の左右位置にパッチン錠46を引っ掛けるフック47が設けられている。ケーシング32の開放部31の下部には、ビス孔を有する取付部48(図2参照)が設けられ、前カバー34の下部の周壁部には、ビス49aを通す貫通孔を有する固定片49が設けられている。これにより、前カバー34をケーシング32の開放部31に配置し、ケーシング32の天面部33のパッチン錠46を前カバー34の上部のフック47に係合させ、また、ケーシング32の下部の取付部48と前カバー34の下部の固定片49とをビス49aにより固定することで、ケーシング32の開放部31に前カバー34が取り外し可能に固定される。なお、前カバー34の上部の固定手段は、パッチン錠46以外にビス止め等の他の固定手段であってもよい。
【0019】
本実施形態では、燃焼装置30の天面部33に排気筒40と接続する排気アダプタ1が設置されている。燃焼装置30は、天面部33に排気アダプタ1を設置しないものを屋内設置型の燃焼装置30とし、天面部33に排気アダプタ1を設置したものを屋外設置型の燃焼装置30に適用することができる。すなわち、屋内設置型の燃焼装置30に対し天面部33に排気アダプタ1を設置することにより、屋外設置型の燃焼装置30に変換することができる。ところで、排気アダプタ1を燃焼装置30の天面部33全体を覆って設置した場合は、前カバー34の上部の固定手段(46,47)や前カバー34の上端部が排気アダプタ1によって覆い隠されてしまう。この場合、燃焼装置30のメンテナンス等で前カバー34を取り外すには排気アダプタ1を一旦取り外す必要がある。しかし、本実施形態では、排気アダプタ1を設置して屋外設置型の燃焼装置30とした場合でも、排気アダプタ1を取り付すことなく燃焼装置30の前カバー34を取り外し可能とするように排気アダプタ1を構成している。
【0020】
以下、本実施形態の排気アダプタ1について説明する。
図6図7図8に示すように、本実施形態の排気アダプタ1は、外部部品となる本体2と、内部部品として本体2内に設けられた排気導流体3とを備えている。排気導流体3は、排気連結部4と排気流路部5とで構成されている。
【0021】
本体2は、側方壁6及び上方壁7を備え、下方が開放された箱状に形成されている。本体2の上方壁7は、長方形形状を有し、後部よりも前部が高い傾斜面となっている。本体2の側方壁6は、上方壁7の周縁部から下方へ延設されている。前側の側方壁6には、開閉可能な前蓋8が取り付けられている。前蓋8は、前方へ膨出した形状を有し、閉状態で燃焼装置30の前カバー34と面一となる寸法に形成されている。後側の側方壁6は、燃焼装置30のケーシング32の背面と面一となる寸法に形成されている。前蓋8及び後側の側方壁6は、下端が前カバー34の上端及びケーシング32の背面の上端と略一致する寸法に形成されている。左右側の側方壁6は、上下方向の中間部付近から下端までの下部が外方へ膨出した膨出形状を有し、燃焼装置30のケーシング32の左右面と面一となる寸法に形成されている。左右側の側方壁6は、下端がケーシング32の左右面と天面との間の丸みを帯びた隅部に被る位置まで延出する寸法に形成されている。このように、排気アダプタ1は、燃焼装置30の天面部33に設置された状態では、外部部品の本体2が燃焼装置30の天面部33を覆い装置本体2の前後面及び左右面と面一となり、燃焼装置30との一体感を有し、正面からのデザイン性が高められている。なお、排気アダプタ1の本体2は、燃焼装置30の天面部33よりも多少大きい又は小さいサイズであってもよいし、本体2の下端部が燃焼装置30の上部を多少覆う位置まで延びていてもよい。なお、本実施形態では、本体2と排気導流体3と前蓋8とは樹脂材料によって成形されている。
【0022】
本体2における左右側の側方壁6の下部には、前後方向に横長に開口した給気口9が設けられている。本体2内における左右の側方壁6付近には、給気口9に対向して側方壁6と平行に延在するガイド板10(図8参照)が設けられている。このガイド板10によって給気口9を通して外部から本体2内に流入した空気は、下方に流されて燃焼装置30の天面部33の給気筒41及びリング状給気筒42に導かれる。前側の側方壁6における上端から中間部付近までの上部は、斜め上を向いた傾斜面となっている。この傾斜面には、左右方向に横長に開口した排気出口11が設けられている。排気出口11には、本体2内で排気流路部5が連通するように接続されている。排気出口11を形成する前側の側方壁6の内面には、排気出口11の上部と下部とに本体2内に突出する板状の挿入凸部12が設けられている。上下の挿入凸部12は、排気流路部5内に配置され、排気出口11の周縁部に燃焼排気を滞留させて排気出口11周囲の側方壁6の温度低下を防ぐ空間を形成することができる。また、前側の側方壁6の内面には、下側の挿入凸部12より下方の左右位置に、外側端部が上方に湾曲した受板部60が設けられている。左右の受板部60は、前側の側方壁6の内面に配設される排気流路部5のフランジ14の隅部外周に沿うように設けられている。
【0023】
図7に示すように、排気導流体3は、燃焼装置30の排気筒40に接続される排気連結部4と、排気連結部4から本体2の排気出口11までの間を連接する排気流路部5とを備えている。排気連結部4と排気流路部5とは、一体化されており、各々の内部空間が連通されている。
【0024】
排気連結部4は、燃焼装置30の排気筒40の内周形状に沿うように円筒状に形成されている。排気連結部4の上端部は、排気流路部5に接合されている。排気連結部4の下部は、燃焼装置30の排気筒40内に筒状パッキン(不図示)を介して挿入されて排気筒40と連通するように接続されている。
【0025】
排気流路部5は、燃焼装置30の燃焼排気が流れる内部空間を有し、前端部に横長に開口した開口部13を有する偏平な箱型に形成されている。排気流路部5の底面の中央部には、排気連結部4が内部空間と連通するように接合されている。排気流路部5の開口部13の外周縁には、外向きのフランジ14が形成されている。排気流路部5のフランジ14は、環状のパッキン15を配設して排気出口11の外周部における本体2内の前側の側方壁6に押し付けて接続されている。これにより、排気流路部5の開口部13が本体2の排気出口11と連通されて、燃焼装置30の燃焼排気は、排気筒40から、排気連結部4及び排気流路部5を通って、排気出口11から外部に排出される。
【0026】
排気流路部5の後部は、略U字状に外方に膨れる膨出部16が形成されており、膨出部16の外面には、左右幅方向の中間部に本体2とビスで固定する固定部17が設けられている。本体2の上方壁7の内面における後部には、排気流路部5の膨出部16の外面に圧接される摺動案内部18と、排気流路部5の固定部17とビス固定する固定基台19とが設けられている。摺動案内部18は、膨出部16の左右端部位置に対応する2箇所と中央位置に対応する左右2箇所の計4つ設けられている。固定基台19は、ネジ孔を有し、膨出部16の中間部に対応する1箇所に設けられている。排気流路部5は、膨出部16を摺動案内部18に圧接した状態で固定部17を固定基台19にビス固定して本体2内に取り付けられている。摺動案内部18の前部は、先端側から基端側に向かうに従い前方へ傾斜した凹弧状部18aが形成されている。排気流路部5の膨出部16の外面は、凸弧状面16aに形成されている。これにより、排気流路部5は、膨出部16の凸弧状面16aが摺動案内部18の凹弧状部18aに先端側から基端側に押し込まれることで摺動案内部18によって前方へ押し付けられ、排気流路部5のフランジ14と本体2内の前側の側方壁6との間に配設されたパッキン15は、高い圧縮状態に保持される。従って、排気流路部5の開口部13と本体2の排気出口11との間は、パッキン15による気密が高く確保され、排気流路部5内の燃焼排気や結露水が開口部13から本体2内に漏れないように密閉される。
【0027】
本実施形態では、本体2において、前側の側方壁6には、下端から中間部付近までの所定高さで左右全幅にわたって切り欠かれた切欠部20が設けられている。前側の側方壁6には、切欠部20を覆う前蓋8が取り付けられている。前蓋8は、ヒンジ21によって切欠部20に対して開閉可能に本体2と固定されている。ヒンジ21は、切欠部20の上端部及び前蓋8の上部における左右位置に設けられており、前蓋8を上方へ回動させて開状態とすることができる。前蓋8を開状態にすることで切欠部20が開放される。
【0028】
図9図10に示すように、ヒンジ21は、切欠部20の上端部から前方へ突設された2本のアーム22間に設けられた円柱状のヒンジ軸23と、前蓋8の上部内面に突設され、ヒンジ軸23を挟む2枚のヒンジ挟持板24とで構成されている。ヒンジ軸23には、リブ状の凸部25(係合部)が設けられ、ヒンジ挟持板24には、凸部25が嵌る凹部26(被係合部)が設けられている。前蓋8が閉状態の位置では、ヒンジ軸23の凸部25とヒンジ挟持板24の凹部26とが係合しない位置関係に形成されている(図10(a)参照)。前蓋8を上方へ回動させて開状態にすると、ヒンジ軸23の凸部25とヒンジ挟持板24の凹部26とが係合して、前蓋8が開状態の位置で保持される(図10(b)参照)。なお、本実施形態では、ヒンジ21を前蓋8の上部に設けているが、ヒンジ21を前蓋8の右側端部又は左側端部の側端部に設けて前蓋8を右開き又は左開きとしてもよいし、また、前蓋8を左右に分割して、前蓋8の左右両側端部にヒンジ21を設けて前蓋8を観音開きとしてもよい。
【0029】
前蓋8の左右側端部は、本体2の左右側の側方壁6に沿うように曲げられており、この曲げ部分の後端部に係合片27(図9参照)が設けられている。左右側の側方壁6における前縁部の内面には、前蓋8の係合片27と係合する係合凸部28(図9参照)が設けられている。前蓋8が閉状態の位置では、前蓋8の係合片27と左右側の側方壁6の係合凸部28とが係合して、前蓋8が安易に開かないように閉状態の位置で保持される。なお、本実施形態では、前蓋8の閉状態位置の保持手段は、前記の係合片27と係合凸部28とによる係合手段とするが、磁石による吸着手段等であってもよい。
【0030】
以上の構成より、本実施形態の排気アダプタ1によれば、燃焼装置30のメンテナンス等の際、前蓋8を開状態にして退避させて切欠部20を開放することで、燃焼装置30の前カバー34の取り外し時に排気アダプタ1が干渉しないようにすることができる(図3参照)。従って、排気アダプタ1を取り外すことなく燃焼装置30に取り付けた状態で燃焼装置30の前カバー34をケーシング32から取り外すことができる。よって、排気アダプタ1が取り付けられた状態の燃焼装置30であっても、前カバー34の取り外し作業を手間なく行うことができる。また、前蓋8は、ヒンジ21によって切欠部20に対して開閉可能に本体2と固定されているので、前蓋8を排気アダプタ1の本体2から完全に取り外さなくても前蓋8を開状態とすることで燃焼装置30の前カバー34の取り外しを行うことができる。従って、前カバー34取り外し時の作業性を向上することができる。さらに、ヒンジ21は、前蓋8を開状態の位置で保持する係合部25及び被係合部26(図10参照)が設けられているので、ヒンジ21の係合部25と被係合部26の係合によって前蓋8を開状態に保持することで、作業者が前蓋8を開状態に保持させる必要がないため、前カバー34取り外し時の作業性をより向上することができる。
【0031】
また、排気アダプタ1の本体2内には、排気アダプタ1を燃焼装置30の天面部33に取り付けるための締結部となる固定板部51(図4図5図7等を参照)が設けられている。固定板部51は、左右の側方壁6の内面に設けられ、ビス51aを通す貫通孔が設けられている。左右の固定板部51は、ビス51aの貫通孔が前方の切欠部20側を向くように配設されている。燃焼装置30の天面部33の左右端部には、ビス51aのネジ孔を有するL型の固定部品52(図5参照)が取り付けられている。左右の固定部品52は、ネジ孔が前方を向くように配設されている。よって、排気アダプタ1は、左右の固定板部51を燃焼装置30の左右の固定部品52にビス51aにより固定することで燃焼装置30の天面部33に取り付けられている。
【0032】
図5に示すように、排気アダプタ1を燃焼装置30の天面部33に取り付ける際、燃焼装置30の天面部33にL型の固定部品52をビス止め等で取り付けておく。そして、排気アダプタ1の排気連結部4を燃焼装置30の排気筒40内に挿入して、排気アダプタ1を燃焼装置30の天面部33上に配置させる。燃焼装置30の天面部33上に配置した排気アダプタ1は、前蓋8を開状態とすることで排気アダプタ1の切欠部20を通して、燃焼装置30の前面側から排気アダプタ1の本体2内の固定板部51と燃焼装置30の天面部33の固定部品52とをビス51aで固定する。これにより、燃焼装置30の天面部33上に排気アダプタ1が取り付けられる。
【0033】
排気アダプタ1の固定板部51や燃焼装置30の固定部品52は、排気アダプタ1の前蓋8を閉状態にすることで、排気アダプタ1の本体2内に隠蔽される。このように締結部である固定板部51を排気アダプタ1の本体2内に設けることで、排気アダプタ1を取り付けた燃焼装置30の見栄えを良くすることができる。また、排気アダプタ1を燃焼装置30に取り付ける際、本体2内の固定板部51と固定部品52とをビス止めする作業は、前蓋8を開状態に保持して切欠部20を通して燃焼装置30の前面側から行うことができる。従って、燃焼装置30の前面側から排気アダプタ1の取り付け作業を行えるため、燃焼装置30の天面部33側から作業する場合に比べ、排気アダプタ1を燃焼装置30に取り付ける作業性を向上することができる。
【0034】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で任意に変更を行うことが可能である。
例えば、排気アダプタ1の前蓋8は、排気アダプタ1の本体2から完全に取り外せる構成であってもよい。また、本実施形態では燃焼装置30の天面部33に給気筒41及びリング状給気筒42が設けられ、給気口9を通して外部から本体2内に流入した空気は、給気筒41及びリング状給気筒42に導かれているが、いずれか一方が閉塞されて他方からのみ空気が燃焼装置30内に供給されてもよいし、給気筒41又はリング状給気筒42のいずれか一方のみが燃焼装置30の天面部33に設けられる構成でもよい。更に、前蓋8を本体2から脱着可能とし、他のデザインを有する前蓋と交換することもできる。こうすることで、燃焼装置30の前カバーのデザインを変更しても前蓋をそれに合わせたものに交換することで、デザインの統一感を保つことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 排気アダプタ
2 本体
3 排気導流体
4 排気連結部
5 排気流路部
6 側方壁
7 上方壁
8 前蓋
9 給気口
10 ガイド板
11 排気出口
12 挿入凸部
13 開口部
14 フランジ
15 パッキン
16 膨出部
16a 凸弧状面
17 固定部
18 摺動案内部
18a 凹弧状部
19 固定基台
20 切欠部
21 ヒンジ
22 アーム
23 ヒンジ軸
24 ヒンジ挟持板
25 凸部
26 凹部
27 係合片
28 係合凸部
30 燃焼装置
31 開放部
32 ケーシング
33 天面部
34 前カバー
35 燃焼部
36 熱交換部
37 送風手段
38 給気部
39 排気部
40 排気筒
41 給気筒
42 リング状給気筒
43 燃料供給管
44 給水管
45 出湯管
46 パッチン錠
47 フック
48 取付部
49 固定片
51 固定板部
52 固定部品

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10