(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072729
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】超音波液体処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 65/02 20060101AFI20240521BHJP
B01D 61/18 20060101ALI20240521BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240521BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20240521BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240521BHJP
【FI】
B01D65/02 510
B01D61/18
B01D29/04 510Z
B01D29/04 520C
B01D29/38 520D
C02F1/44 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183746
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】522449503
【氏名又は名称】株式会社つくりのちえ
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】神 雅彦
【テーマコード(参考)】
4D006
4D116
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA41
4D006KA57
4D006KC19
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4D006PC51
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4D116VV30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な構成で、効率よく濾過して液体処理することが可能な超音波液体処理装置を提供する。
【解決手段】超音波ユニットは、液体を濾過する構造であり、超音波ユニットの超音波振動により、超音波ユニットが液体を濾過して処理し、または液体に圧力を与えた状態において、超音波ユニットの超音波振動により、超音波ユニットが液体を濾過して処理することで、簡単な構成で、効率よく濾過して液体処理することが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を処理する処理部と、
前記処理部に配置される超音波ユニットと、
前記超音波ユニットを駆動する超音波発信機と、を含み、
前記超音波ユニットは、
液体を濾過する構造であり、
前記超音波ユニットの超音波振動により、前記超音波ユニットが液体を濾過して処理することを特徴とする超音波液体処理装置。
【請求項2】
液体を処理する処理部と、
前記処理部に配置される超音波ユニットと、
前記超音波ユニットを駆動する超音波発信機と、
液体を流す方向に圧力を与える圧力付与手段と、を含み、
前記超音波ユニットは、
液体を濾過する構造であり、
前記圧力付与手段により、液体に圧力を与えた状態において、
前記超音波ユニットの超音波振動により、前記超音波ユニットが液体を濾過して処理することを特徴とする超音波液体処理装置。
【請求項3】
前記超音波ユニットは、
フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、
前記フィルタ膜と、前記超音波振動子は、分離した構成であり、
前記超音波振動子の超音波振動により、液体を送り、前記フィルタ膜が液体を濾過して処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波液体処理装置。
【請求項4】
前記超音波ユニットは、
フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、
前記フィルタ膜と、前記超音波振動子は、一体にした構成であり、
前記超音波振動子の超音波振動により、前記フィルタ膜が一体で振動し、液体を送り、
前記フィルタ膜が液体を濾過して処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波液体処理装置。
【請求項5】
前記超音波ユニットは、
超音波振動子を含み、
前記超音波振動子は、膜にした構成であり、
前記超音波振動子の超音波振動により、液体を送り、液体を濾過して処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波液体処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、
無加圧式濾過タンクであり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、
無加圧式浄水器であり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~10μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、
ソーラー式浄水器であり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~10μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置。
【請求項9】
処理部は、
フィルタ容器であり、
圧力付与手段は、
ポンプであり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置。
【請求項10】
前記フィルタ容器は、
前記超音波ユニットを複数配置して複数の処理室に区画し、
前記複数の超音波ユニットは、
液体を流す方向に沿って膜孔サイズが小さい構成であり、
前記複数の処理室は、
濾過物を回収する回収経路を有することを特徴とする請求項9に記載の超音波液体処理装置。
【請求項11】
処理部は、
分級・濃縮容器であり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.1μm~100μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであり、
前記分級・濃縮容器により、分級・濃縮を行うことを特徴とする請求項2、請求項3、
請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置。
【請求項12】
前記超音波ユニットは、
超音波振動の間欠制御が可能であることを特徴とする請求項11に記載の超音波液体処理装置。
【請求項13】
処理部は、
フィルタ容器であり、
圧力付与手段は、
ポンプであり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであり、
前記フィルタ容器により、浄化を行うことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置。
【請求項14】
処理部は、 フィルタ容器であり、
前記超音波ユニットは、
クロスフロー濾過であり、
膜孔サイズが0.001μm~1μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波振動により、液体を濾過して処理する超音波液体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、金属、セラミック等の無機固形物、有機系の固形物は、研削、研磨または粉砕等の処理が施され、その際に微粒子が発生する。そしてこれらの微粒子は、一般に水等の流体により流され、排水や汚水として放出される。
【0003】
このような処理には、高価な濾過処理装置等が用いられ、濾過処理装置等で被除去物が取り除かれ、排水がきれいな流体となり再利用されたり、除去できずに残ったものを産業廃棄物として処理しており、特に水は、きれいな状態にして川や海等の自然界に戻されたり、再利用される。
【0004】
このような処理において、濾過処理装置等には、タンク(貯留槽)を用いる場合があり、タンク(貯留槽)では、排水が貯められており、フィルタ膜の下層には濾過水が貯められる。この貯められた濾過水は、ポンプで色々な所に輸送される。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような液体の処理において、フィルタ膜を用いる場合があるが、フィルタ膜は、例えばコンタミ、補足物により、処理量が低下するなどの問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、上記課題を解決するために、簡単な構成で、効率よく濾過して液体処理することが可能な超音波液体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、
液体を処理する処理部と、
前記処理部に配置される超音波ユニットと、
前記超音波ユニットを駆動する超音波発信機と、を含み、
前記超音波ユニットは、
液体を濾過する構造であり、
前記超音波ユニットの超音波振動により、前記超音波ユニットが液体を濾過して処理することを特徴とする超音波液体処理装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
液体を処理する処理部と、
前記処理部に配置される超音波ユニットと、
前記超音波ユニットを駆動する超音波発信機と、
液体を流す方向に圧力を与える圧力付与手段と、を含み、
前記超音波ユニットは、
液体を濾過する構造であり、
前記圧力付与手段により、液体に圧力を与えた状態において、
前記超音波ユニットの超音波振動により、前記超音波ユニットが液体を濾過して処理することを特徴とする超音波液体処理装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、
前記超音波ユニットは、
フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、
前記フィルタ膜と、前記超音波振動子は、分離した構成であり、
前記超音波振動子の超音波振動により、液体を送り、前記フィルタ膜が液体を濾過して処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波液体処理装置である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、
前記超音波ユニットは、
フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、
前記フィルタ膜と、前記超音波振動子は、一体にした構成であり、
前記超音波振動子の超音波振動により、前記フィルタ膜が一体で振動し、液体を送り、
前記フィルタ膜が液体を濾過して処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波液体処理装置である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、
前記超音波ユニットは、
超音波振動子を含み、
前記超音波振動子は、膜にした構成であり、
前記超音波振動子の超音波振動により、液体を送り、液体を濾過して処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波液体処理装置である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、
前記処理部は、
無加圧式濾過タンクであり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、
前記処理部は、
無加圧式浄水器であり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~10μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、
前記処理部は、
ソーラー式浄水器であり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~10μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、
処理部は、
フィルタ容器であり、
圧力付与手段は、
ポンプであり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、
前記フィルタ容器は、
前記超音波ユニットを複数配置して複数の処理室に区画し、
前記複数の超音波ユニットは、
液体を流す方向に沿って膜孔サイズが小さい構成であり、
前記複数の処理室は、
濾過物を回収する回収経路を有することを特徴とする請求項9に記載の超音波液体処理装置である。
【0019】
請求項11に記載の発明は、
処理部は、
分級・濃縮容器であり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.1μm~100μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであり、
前記分級・濃縮容器により、分級・濃縮を行うことを特徴とする請求項2、請求項3、
請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置である。
【0020】
請求項12に記載の発明は、
前記超音波ユニットは、
超音波振動の間欠制御が可能であることを特徴とする請求項11に記載の超音波液体処理装置である。
【0021】
請求項13に記載の発明は、
処理部は、
フィルタ容器であり、
圧力付与手段は、
ポンプであり、
前記超音波ユニットは、
膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであり、
前記フィルタ容器により、浄化を行うことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置である。
【0022】
請求項14に記載の発明は、
処理部は、
フィルタ容器であり、
前記超音波ユニットは、
クロスフロー濾過であり、
膜孔サイズが0.001μm~1μmの濾過する構造であり、
超音波振動が20KHz~4MHzであることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載の超音波液体処理装置である。
【発明の効果】
【0023】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0024】
請求項1乃至請求項14に記載の発明では、超音波ユニットは、液体を濾過する構造であり、超音波ユニットの超音波振動により、超音波ユニットが液体を濾過して処理し、または液体に圧力を与えた状態において、超音波ユニットの超音波振動により、超音波ユニットが液体を濾過して処理することで、簡単な構成で、効率よく濾過して液体処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】超音波液体処理装置の実施形態を示す図である。
【
図5】超音波液体処理装置の実施形態を示す図である。
【
図6】超音波液体処理装置の効果を説明する図である。
【
図7】実施例1の超音波液体処理装置を示す図である。
【
図8】実施例2の超音波液体処理装置を示す図である。
【
図9】実施例3の超音波液体処理装置を示す図である。
【
図10】実施例4の超音波液体処理装置を示す図である。
【
図11】実施例5の超音波液体処理装置を示す図である。
【
図12】実施例6の超音波液体処理装置を示す図である。
【
図13】実施例7の超音波液体処理装置を示す図である。
【
図14】実施例8の超音波液体処理装置を示す図である。
【
図15】実施例9の超音波液体処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の超音波液体処理装置の実施形態について説明する。この実施形態は、超音波液体処理装置の好ましい形態を示すものであるが、この発明はこれに限定されない。処理される液体は、飲料水、食用液、薬液、クーラント液、洗浄液、バイオ液、海水、河川水、湖水、雨水、上下水などである。
【0027】
(超音波ユニット)
この実施形態の超音波ユニット10を、
図1乃至
図3に基づいて説明する。この超音波ユニット10は、超音波発信機30により駆動される。
【0028】
図1の実施形態において、超音波ユニット10は、フィルタ膜11と、超音波振動子12と、を含み、フィルタ膜11と、超音波振動子12は、分離した構成である。この分離した構成は、フィルタ膜11と、超音波振動子12とが、別物体であればよい。配置構造は、フィルタ膜11と、超音波振動子12が接触して配置され、あるいは所定間隔を隔てて配置した構成でもよい。
【0029】
この実施形態では、超音波振動子12の超音波振動により、液体を送り、フィルタ膜11が液体を濾過して処理する。
【0030】
図2の実施形態において、超音波ユニット10は、フィルタ膜11と、超音波振動子12と、を含み、フィルタ膜11と、超音波振動子12は、一体にした構成である。この一体にした構成は、フィルタ膜11を塗布により超音波振動子12と一体にし、あるいはフィルタ膜11を接着により超音波振動子12と一体にしたものでもよく、一体にする構造は特に限定されない。
【0031】
この実施形態では、超音波振動子12の超音波振動により、フィルタ膜11が一体で振動し、液体を送り、濾過して処理する。
【0032】
図3の実施形態において、超音波ユニット10は、超音波振動子12により構成し、超音波振動子12は、膜にした構成である。この構成は、フィルタ膜を用いないで、超音波振動子12のみである。
【0033】
この実施形態では、超音波振動子12の超音波振動により、超音波振動子12のみによって液体を送り、濾過して処理する。
【0034】
[フィルタ膜]
フィルタ膜11は、例えば合成樹脂で成形され、合成樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリプロピレンのうちの少なくとも1つを含んでもよく、特に限定されないが、処理する液体に応じて好ましいものが選択される。
【0035】
[超音波振動子]
超音波振動子12は、例えば、チタン酸ジルコニア酸鉛(圧電セラミック)を使用するPZT振動子やボルト締めランジュバン型振動子のBL振動子等を用いることができる。使用条件により、振動子のみを直接配置する場合や金属等の振動板を振動子に接合して配置する場合や金属等のホーンと呼ばれる音響放射体を接合して配置することができる。この超音波振動子は板状、棒状、円筒状の形状等でもよい。
【0036】
(超音波液体処理装置)
この超音波液体処理装置20の実施形態を、
図4及び
図5に基づいて説明する。
【0037】
図4の実施形態において、超音波液体処理装置20は、液体を処理する処理部21と、処理部21に配置される超音波ユニット10と、超音波ユニット10を駆動する超音波発信機30と、を含む。超音波ユニット10は、液体を濾過する構造であり、超音波ユニット10は、超音波振動子12の超音波振動により、液体を送り、フィルタ膜11で濾過して処理する。
【0038】
この実施形態において、超音波ユニット10は、
図1の実施形態を用いたが、
図2の実施形態、または
図3の実施形態を用いることができ、超音波ユニット10の超音波振動により、超音波ユニット10が液体を通して濾過処理を可能にする。
【0039】
図5の実施形態において、超音波液体処理装置20は、液体を処理する処理部21と、処理部21に配置される超音波ユニット10と、超音波ユニット10を駆動する超音波発信機30と、液体を流す方向に圧力を与える圧力付与手段22と、を含む。超音波ユニット10は、液体を濾過する構造であり、圧力付与手段22により、液体に圧力を与えた状態において、超音波ユニット10は、超音波振動子12の超音波振動により、液体を送り、フィルタ膜11で濾過して処理する。
【0040】
この実施形態において、超音波ユニット10は、
図1の実施形態を用いたが、
図2の実施形態、または
図3の実施形態を用いることができ、超音波ユニット10の超音波振動により、液体を濾過する処理量を増加させ、かつ液体を流す方向に与える圧力を低下させることができる。
【0041】
(超音波液体処理装置の効果)
図6は超音波液体処理装置20の効果を説明する図である。
図6(a)の比較例では、処理部にフィルタ膜を配置し、フィルタ膜の濾過により処理を行う。フィルタ膜には、コンタミや補足物が付着し、フィルタ膜の目詰りが発生して液体の処理量が低下する。
【0042】
図6(b)の実施形態では、処理部21には、超音波ユニット10が配置される。この超音波ユニット10は、
図1の実施形態と同様に構成され、フィルタ膜11と、超音波振動子12は、分離した構成である。
【0043】
この超音波ユニット10は、超音波振動子12の超音波振動により、コンタミ・補足物を、フィルタ膜11や超音波振動子12から分離分散させて濾過し、液体の処理量を保持することができる。
【0044】
図6(b)の実施形態では、超音波ユニット10は、
図1の実施形態と同様に構成したが、
図2の実施形態または
図3の実施形態と同様に構成したものでも、同様に液体の処理量を保持することができる。
【0045】
(実施例)
[実施例1]
実施例1を、
図7に基づいて説明する。
図7(a)は実施例であり、
図7(b)は比較例である。
【0046】
実施例1の超音波液体処理装置において、処理部は、無加圧式濾過タンクである。超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造であり、超音波振動が20KHz~4MHzである。液体としては、クーラント液、下水を処理した。
【0047】
超音波ユニットは、フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、フィルタ膜と、超音波振動子は、分離した構成である。
【0048】
この実施例1では、超音波振動子の超音波振動により、液体を送り、フィルタ膜が液体を濾過して処理することができたが、比較例では、フィルタ膜のみであり、超音波振動する超音波振動子がないため、液体を送ることができず、濾過処理が不十分であった。
【0049】
超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造であり、超音波振動が20KHz~4MHzであり、クーラント液、下水の濾過処理において、微細物が混入したり、処理量が低下するなどの問題が生じなく、好ましい濾過処理を行うことができた。
【0050】
[実施例2]
実施例2を、
図8に基づいて説明する。
図8(a)は実施例であり、
図8(b)は比較例である。
【0051】
実施例2の超音波液体処理装置において、処理部は、無加圧式浄水器である。超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~10μmの濾過する構造であり、超音波振動が20KHz~4MHzである。液体としては、海水、河川水、湖水、雨水、上下水などの水を処理した。
【0052】
超音波ユニットは、フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、フィルタ膜と、超音波振動子は、分離した構成である。
【0053】
この実施例2では、超音波振動子の超音波振動により、フィルタ膜が液体を濾過して処理することができたが、比較例では、フィルタ膜のみで超音波振動子がないため、濾過処理が不十分であった。
【0054】
超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~10μmの濾過する構造であり、超音波振動が20KHz~4MHzであり、海水、河川水、湖水、雨水、上下水の濾過処理において、微細物が混入したり、処理量が低下するなどの問題が生じなく、好ましい濾過処理を行うことができた。
【0055】
[実施例3]
実施例3を、
図9に基づいて説明する。
図9(a)は実施例であり、
図9(b)は比較例である。
【0056】
実施例3の超音波液体処理装置において、処理部は、ソーラー式浄水器である。超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~10μmの濾過する構造で、超音波振動が20KHz~4MHzである。液体としては、海水、河川水、湖水、雨水、上下水などの水を処理した。
【0057】
超音波ユニットは、フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、フィルタ膜と、超音波振動子は、分離した構成である。超音波振動子は、超音波発信機により駆動される。超音波発信機には、ソーラーパネルが接続され、ソーラーパネルから電源を得ている。
【0058】
電気インフラがない地域や災害時等超音波の省電力を活用し、太陽光で超音波ユニットを駆動し、浄水を実現している。
【0059】
この実施例3では、超音波振動子膜の超音波振動により、フィルタ膜が液体を濾過して処理することができたが、比較例では、フィルタ膜のみで超音波振動子がないため、濾過処理が不十分であった。
【0060】
超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~10μmの濾過する構造で、超音波振動が20KHz~4MHzであり、海水、河川水、湖水、雨水、上下水の濾過処理において、微細物が混入したり、処理量が低下するなどの問題が生じなく、好ましい濾過処理を行うことができた。
【0061】
[実施例4]
実施例4を、
図10に基づいて説明する。
図10(a)は実施例であり、
図10(b)は比較例である。
【0062】
実施例4の超音波液体処理装置において、処理部は、フィルタ容器である。超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造で、超音波振動が20KHz~4MHzである。液体としては、海水、河川水、湖水、雨水、上下水などの水を処理した。
【0063】
超音波ユニットは、フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、フィルタ膜と、超音波振動子は、分離した構成である。液体を流す方向に圧力を与える圧力付与手段としてポンプを用いた。
【0064】
ポンプによる圧力が2Mpaでは、通水の処理量が40L/minであった。また、ポンプによる圧力が1Mpaでは、通水の処理量が20L/minであった。
【0065】
この実施例4では、超音波振動子の超音波振動により、フィルタ膜が液体を濾過して処理することができたが、比較例では、フィルタ膜のみで超音波振動子がないため、ポンプによる圧力が2Mpaであっても、通水の処理量が20L/minであり、濾過処理が不十分であった。
【0066】
超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造で、超音波振動が20KHz~4MHzであり、海水、河川水、湖水、雨水、上下水などの濾過処理において、微細物が混入したり、処理量が低下するなどの問題が生じなく、好ましい濾過処理を行うことができた。
【0067】
[実施例5]
実施例5を、
図11に基づいて説明する。
図11はフィルタ容器を多段式に構成している。フィルタ容器は、超音波ユニットを複数配置して複数の処理室に区画した構成であり、この実施例では、超音波ユニットを3か所に配置し、3個の処理室が形成されているが、これに限定されず複数の処理室を設ける。
【0068】
複数の超音波ユニットは、液体を流す方向に沿って膜孔サイズが小さい構成である。処理液の粘度分布が広範囲の場合には、例えば、粗濾過超音波の膜孔サイズが約10μm、精密濾過超音波の膜孔サイズが約0.1μm、限界濾過超音波の膜孔サイズが約0.001μmが配置され、このような構成により効率的な濾過や分離回収が可能である。
【0069】
複数の処理室は、濾過物を回収する回収経路を有し、この回収経路から分離回収液を回収する。回収経路のバルブは、常時開いた状態としてもよく、定期間で開閉する構成でもよい。
【0070】
この超音波液体処理装置において、処理部は、フィルタ容器である。超音波ユニットは、超音波振動が20KHz~4MHzである。液体としては、海水、河川水、飲料水、食用液、薬液、洗浄液、バイオ燃料などを処理した。
【0071】
[実施例6]
実施例6を、
図12に基づいて説明する。
図12(a)は処理状態であり、
図12(b)は回収状態である。
【0072】
実施例6の超音波液体処理装置において、処理部は、分級・濃縮容器である。超音波ユニットは、膜孔サイズが0.1μm~100μmの濾過する構造であり、超音波振動が20KHz~4MHzである。液体としては、飲料水、食用液、薬液、クーラント液、洗浄液、バイオ液を処理した。
【0073】
超音波ユニットは、フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、フィルタ膜と、超音波振動子は、分離した構成である。液体を流す方向に圧力を与える圧力付与手段としてポンプを用いた。
【0074】
この実施例4では、ポンプにより液体を分級・濃縮容器に送り、分級・濃縮容器において、超音波振動子の超音波振動により、フィルタ膜が液体を濾過し、原液と回収物を、目詰りを防止しながら分級・濃縮処理する(
図12(a))。
【0075】
処理が終了し、ポンプを停止すると、分級・濃縮容器の底部に回収物が溜まり、バルブを開放して回収した(
図12(b))。
【0076】
超音波ユニットは、膜孔サイズが0.1μm~100μmの濾過する構造で、
超音波振動が20KHz~4MHzであり、飲料水、食用液、薬液、クーラント液、洗浄液、バイオ液の分級・濃縮処理において、微細物が混入したり、処理量が低下するなどの問題が生じなく、好ましい分級・濃縮処理を行うことができた。
【0077】
[実施例7]
実施例7を、
図13に基づいて説明する。
図13(a)は超音波振動の間欠制御の超音波オフ時であり、
図13(b)は超音波振動の間欠制御の超音波オン時である。
【0078】
超音波ユニットは、超音波振動の間欠制御が可能である。制御部は、タイマー、処理液の圧力センサ、処理液の濃度センサなどの情報に基づいて超音波発信機を間欠制御し、
図13(a)が超音波オフ時であり、
図13(b)が超音波オン時である。
【0079】
一定の濃度に濃縮したい場合や逆洗をしたい場合には、タイマー、処理液の圧力センサ、処理液の濃度センサなどの情報に基づいて、超音波振動の間欠制御を行うことで、効率的濾過、分離、濃縮が可能である。
【0080】
超音波ユニットは、膜孔サイズが0.01μm~100μmの濾過する構造で、超音波振動が20KHz~4MHzであり、飲料水、食用液、薬液、クーラント液、洗浄液、バイオ液の分級・濃縮処理において、微細物が混入したり、処理量が低下するなどの問題が生じなく、好ましい分級・濃縮処理を行うことができた。
【0081】
[実施例8]
実施例8を、
図14に基づいて説明する。
図14(a)は実施例であり、
図14(b)は比較例である。
【0082】
実施例8の超音波液体処理装置において、処理部は、フィルタ容器である。超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造で、超音波振動が20KHz~4MHzである。液体としては、飲料水、食用液、薬液、クーラント液、洗浄液、バイオ液、海水、河川水、湖水、雨水、上下水などの水を処理した。
【0083】
超音波ユニットは、フィルタ膜と、超音波振動子膜と、を含み、フィルタ膜と、超音波振動子膜は、分離した構成である。液体を流す方向に圧力を与える圧力付与手段としてポンプを用いた。
【0084】
ポンプによる圧力が0.2Mpaでは、通水の処理量が20L/minであった。
【0085】
この実施例8では、超音波振動子膜の超音波振動により、コンタミ、補足物を常に分離分散し、目詰りなくフィルタ膜が液体を濾過して処理することができたが、比較例では、フィルタ膜のみで超音波振動子膜がないため、ポンプによる圧力が0.2Mpaであっても、目詰りにより通水の処理量が1L/minであり、濾過処理が不十分であった。
【0086】
超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~100μmの濾過する構造で、超音波振動が20KHz~4MHzであり、飲料水、食用液、薬液、クーラント液、洗浄液、バイオ液、海水、河川水、湖水、雨水、上下水の濾過処理において、微細物が混入したり、処理量が低下するなどの問題が生じなく、好ましい濾過処理を行うことができた。
【0087】
[実施例9]
実施例9を、
図15に基づいて説明する。
図15(a)は実施例であり、
図15(b)は比較例である。
【0088】
実施例9の超音波液体処理装置において、処理部は、フィルタ容器である。超音波ユニットは、クロスフロー濾過であり、膜孔サイズが0.001μm~1μmの濾過する構造であり、超音波振動が20KHz~4MHzである。液体としては、海水、河川水、湖水、雨水、上下水などの水を処理した。
【0089】
超音波ユニットは、フィルタ膜と、超音波振動子と、を含み、フィルタ膜と、超音波振動子は、分離した構成である。液体を流す方向に圧力を与える圧力付与手段としてポンプを用いた。
【0090】
ポンプによる圧力が0.2Mpaでは、濃縮液が1L/minで、処理液が10L/minであった。
【0091】
この実施例9では、超音波振動子の超音波振動により、処理液を増加させ、濃縮液を減少させることができるが、比較例では、処理液が1L/minで少ないため、所定の処理液を得るには、大量の濃縮液を必要とする。
【0092】
超音波ユニットは、膜孔サイズが0.001μm~1μmの濾過する構造で、超音波振動が20KHz~4MHzであり、海水、河川水、湖水、雨水、上下水の濾過処理において、微細物が混入したり、処理量が低下するなどの問題が生じなく、好ましい濾過処理を行うことができた。
【産業上の利用可能性】
【0093】
この発明は、超音波振動により、液体を濾過して処理する超音波液体処理装置に適用され、簡単な構成で、効率よく濾過して液体処理することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 超音波ユニット
11 フィルタ膜
12 超音波振動子
20 超音波液体処理装置
21 処理部
30 超音波発信機