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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072767
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240521BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118286
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/425,760
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳田 元
(72)【発明者】
【氏名】山口 貢載
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】小堤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】島田 俊明
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JC12
3B087DE01
3B087DE09
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】バイブレータを有する乗物用シートにおいて、パッドの構造を簡素にすると共に、バイブレータの組付け作業を容易にする。
【解決手段】乗物用シート(1)は、フレーム(30)と、フレームに支持され、裏面に凹部54を有するパッド(32)と、凹部に配置されるバイブレータ64とを有する。また乗物用シートは凹部及びバイブレータを跨いでパッドの裏面に接着されたシート材65を更に有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートであって、
フレームと、
前記フレームに支持され、裏面に凹部を有するパッドと、
前記凹部に配置されるバイブレータと、
前記凹部及び前記バイブレータを跨いで前記パッドの裏面に接着されたシート材とを有する乗物用シート。
【請求項2】
前記シート材は、粘着テープであり、前記パッドの裏面及び前記バイブレータに接着されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記バイブレータは、前記凹部に嵌合している請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記パッド及び前記フレームは、乗員の背部を支持するシートバックを構成し、
前記フレームの後部には、前記パッドの裏面に対して後方に隙間をおいてバックカバーが設けられている請求項1~3のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記フレームの内側に、受圧部材が設けられ、
前記パッドの裏面が後方から前記受圧部材に支持され、
前後方向において、前記バイブレータが前記受圧部材と対向している請求項1~3のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記受圧部材は、前記フレームに架け渡された金属製のワイヤと、前記ワイヤに支持され、面が前後を向く板状部材とを有し、
前後方向において、前記バイブレータが前記板状部材と対向している請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記板状部材は、前記バイブレータと対向する部分に複数の肉抜き部を有する請求項6に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記フレームの内側に、受圧部材が設けられ、
前記受圧部材には、前後方向に貫通する開口が設けられ、
前記パッドの裏面が後方から前記受圧部材に支持され、
前後方向から見て、前記バイブレータが前記開口と重なる位置に配置されている請求項1~3のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記バイブレータは前記凹部から突出し、かつ前記開口を通過している請求項8に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記パッド及び前記フレームは、乗員の背部を支持するシートバックを構成し、
前記シートバックは、本体部と、前記本体部の上端に一体に設けられたヘッドレスト部と、前記本体部の上部と前記ヘッドレスト部の下部との前部に設けられ、前記本体部及び前記ヘッドレスト部に対して前方に突出したネックピロー部とを有し、
前記ネックピロー部の下縁に、送風口が設けられ、
前記バイブレータは、前記送風口の下方に配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内部に切欠空間が形成されたパッドと、切欠空間に設けられたバイブレータとを有する乗物用シートを開示している。この乗物用シートによれば、バイブレータと着座者との間にパッドを介在させつつ、バイブレータを着座者に近づけて配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5104728号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッドの内部にバイブレータを設ける場合、パッドにバイブレータを収容するための収容部を形成する必要があり、パッドの形状が複雑になるという問題がある。また、収容部にバイブレータを取り付けるため作業が必要になるという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、バイブレータを有する乗物用シートにおいて、パッドの構造を簡素にすると共に、バイブレータの組付け作業を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、乗物用シート(1)であって、フレーム(30)と、前記フレームに支持され、裏面に凹部(54)を有するパッド(32)と、前記凹部に配置されるバイブレータ(64)と、前記凹部及び前記バイブレータを跨いで前記パッドの裏面に接着されたシート材(65)とを有する。
【0007】
この態様によれば、バイブレータを収容する凹部がパッドの裏面に開口しているため、バイブレータのパッドへの配置が容易である。また、バイブレータは、パッドに接着されるシート材によって凹部内に保持されるため、バイブレータをパッドに安定性良く固定することができる。これらにより、パッドの構造を簡素にすると共に、バイブレータの組付け作業を容易にすることができる。
【0008】
上記の態様において、前記シート材は、粘着テープであり、前記パッドの裏面及び前記バイブレータに接着されてもよい。
【0009】
この態様によれば、シート材のパッドへの接着が容易になる。
【0010】
上記の態様において、前記バイブレータは、前記凹部に嵌合してもよい。
【0011】
この態様によれば、バイブレータの振動がパッドに伝達され易くなる。
【0012】
上記の態様において、前記パッド及び前記フレームは、乗員の背部を支持するシートバック(3)を構成し、前記フレームの後部には、前記パッドの裏面に対して後方に隙間をおいてバックカバー(36)が設けられてもよい。
【0013】
この態様によれば、バイブレータの振動音が乗物用シートの後方に伝達され難くなる。
【0014】
上記の態様において、前記フレームの内側に、受圧部材(50)が設けられ、前記パッドの裏面が後方から前記受圧部材に支持され、前後方向において、前記バイブレータが前記受圧部材と対向してもよい。
【0015】
この態様によれば、バイブレータが凹部から脱落することを抑制することができる。
【0016】
上記の態様において、前記受圧部材は、前記フレームに架け渡された金属製のワイヤ(51)と、前記ワイヤに支持され、面が前後を向く板状部材(52)とを有し、前後方向において、前記バイブレータが前記板状部材と対向してもよい。
【0017】
この態様によれば、板状部材によってバイブレータを後方から安定性良く支持することができる。
【0018】
上記の態様において、前記板状部材は、前記バイブレータと対向する部分に複数の肉抜き部(55)を有してもよい。
【0019】
この態様によれば、板状部材のバイブレータと対向する部分が変形し易くなり、乗員の背部によって押されたバイブレータが後方に移動することができる。これにより、バイブレータが乗員の背部に不快感を与えることが抑制される。
【0020】
上記の態様において、前記フレームの内側に、受圧部材(50)が設けられ、前記受圧部材には、前後方向に貫通する開口(68)が設けられ、前記パッドの裏面が後方から前記受圧部材に支持され、前後方向から見て、前記バイブレータが前記開口と重なる位置に配置されてもよい。
【0021】
この態様によれば、乗員の背部によって押されたバイブレータが板状部材を通過して後方に移動することができる。これにより、バイブレータが乗員の背部に不快感を与えることが抑制される。
【0022】
上記の態様において、前記バイブレータは前記凹部から突出し、かつ前記開口を通過してもよい。
【0023】
この態様によれば、凹部の深さに対してバイブレータの厚みが大きい場合に、バイブレータと板状部材との干渉を避けて、パッドを板状部材に接触させることができる。
【0024】
上記の態様において、前記パッド及び前記フレームは、乗員の背部を支持するシートバック(3)を構成し、前記シートバックは、本体部(3A)と、前記本体部の上端に一体に設けられたヘッドレスト部(3B)と、前記本体部の上部と前記ヘッドレスト部の下部との前部に設けられ、前記本体部及び前記ヘッドレスト部に対して前方に突出したネックピロー部(3C)とを有し、前記ネックピロー部の下縁に、送風口(63)が設けられ、前記バイブレータは、前記送風口の下方に配置されてもよい。
【0025】
この態様によれば、送風口を乗員の首部の付近に配置することができる。これにより、乗員の体感温度を効率良く調節することができる。また、送風口との干渉を避けて、バイブレータをパッドに配置することができる。
【発明の効果】
【0026】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、乗物用シート(1)であって、フレーム(30)と、前記フレームに支持され、裏面に凹部(54)を有するパッド(32)と、前記凹部に配置されるバイブレータ(64)と、前記凹部及び前記バイブレータを跨いで前記パッドの裏面に接着されたシート材(65)とを有する。
【0027】
この態様によれば、バイブレータを収容する凹部がパッドの裏面に開口しているため、バイブレータのパッドへの配置が容易である。また、バイブレータは、パッドに接着されるシート材によって凹部内に保持されるため、バイブレータをパッドに安定性良く固定することができる。これらにより、パッドの構造を簡素にすると共に、バイブレータの組付け作業を容易にすることができる。
【0028】
上記の態様において、前記シート材は、粘着テープであり、前記パッドの裏面及び前記バイブレータに接着されてもよい。
【0029】
この態様によれば、シート材のパッドへの接着が容易になる。
【0030】
上記の態様において、前記バイブレータは、前記凹部に嵌合してもよい。
【0031】
この態様によれば、バイブレータの振動がパッドに伝達され易くなる。
【0032】
上記の態様において、前記パッド及び前記フレームは、乗員の背部を支持するシートバック(3)を構成し、前記フレームの後部には、前記パッドの裏面に対して後方に隙間をおいてバックカバー(36)が設けられてもよい。
【0033】
この態様によれば、バイブレータの振動音が乗物用シートの後方に伝達され難くなる。
【0034】
上記の態様において、前記フレームの内側に、受圧部材(50)が設けられ、前記パッドの裏面が後方から前記受圧部材に支持され、前後方向において、前記バイブレータが前記受圧部材と対向してもよい。
【0035】
この態様によれば、バイブレータが凹部から脱落することを抑制することができる。
【0036】
上記の態様において、前記受圧部材は、前記フレームに架け渡された金属製のワイヤ(51)と、前記ワイヤに支持され、面が前後を向く板状部材(52)とを有し、前後方向において、前記バイブレータが前記板状部材と対向してもよい。
【0037】
この態様によれば、板状部材によってバイブレータを後方から安定性良く支持することができる。
【0038】
上記の態様において、前記板状部材は、前記バイブレータと対向する部分に複数の肉抜き部(55)を有してもよい。
【0039】
この態様によれば、板状部材のバイブレータと対向する部分が変形し易くなり、乗員の背部によって押されたバイブレータが後方に移動することができる。これにより、バイブレータが乗員の背部に不快感を与えることが抑制される。
【0040】
上記の態様において、前記フレームの内側に、受圧部材(50)が設けられ、前記受圧部材には、前後方向に貫通する開口(68)が設けられ、前記パッドの裏面が後方から前記受圧部材に支持され、前後方向から見て、前記バイブレータが前記開口と重なる位置に配置されてもよい。
【0041】
この態様によれば、乗員の背部によって押されたバイブレータが板状部材を通過して後方に移動することができる。これにより、バイブレータが乗員の背部に不快感を与えることが抑制される。
【0042】
上記の態様において、前記バイブレータは前記凹部から突出し、かつ前記開口を通過してもよい。
【0043】
この態様によれば、凹部の深さに対してバイブレータの厚みが大きい場合に、バイブレータと板状部材との干渉を避けて、パッドを板状部材に接触させることができる。
【0044】
上記の態様において、前記パッド及び前記フレームは、乗員の背部を支持するシートバック(3)を構成し、前記シートバックは、本体部(3A)と、前記本体部の上端に一体に設けられたヘッドレスト部(3B)と、前記本体部の上部と前記ヘッドレスト部の下部との前部に設けられ、前記本体部及び前記ヘッドレスト部に対して前方に突出したネックピロー部(3C)とを有し、前記ネックピロー部の下縁に、送風口(63)が設けられ、前記バイブレータは、前記送風口の下方に配置されてもよい。
【0045】
この態様によれば、送風口を乗員の首部の付近に配置することができる。これにより、乗員の体感温度を効率良く調節することができる。また、送風口との干渉を避けて、バイブレータをパッドに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】実施形態に係るシートの斜視図
図2】シートの下部を示す正面図
図3】シートバックを示す正面図
図4】シートバックの上部を示す側断面図(図1のIV-IV断面図)
図5】シートバックの中央部を示す側断面図(図1のV-V断面図)
図6】シートバックの中央部の要部を示す側断面図
図7】シートバックの変形例を示す正面図
図8】シートバックの中央部の変形例を示す側断面図
図9】シートバックの中央部の変形例を示す側断面図
図10】リクライニング機構及び回動機構を示す斜視図
図11】リクライニング機構及び回動機構を示す正面図
図12】リクライニング機構及び回動機構を示す斜視図
図13】シートバックの変形例を示す正面図
図14】アームレスト協調制御の構成を示す図
図15】アームレスト協調制御を示す側面図
図16】アームレスト協調制御に係るフロー図
図17】アームレスト協調制御の変形例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明に係る乗物用シートを自動車のシート1に適用した実施形態について説明する。以下、車両を基準として、前後、左右、及び、上下の各方向を定める。
【0048】
図1に示すように、シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、オットマン4と、左右一対のアームレスト5と、回転装置6とを有する。シートクッション2は、回転装置6を介して車両のフロア8に設けられている。回転装置6はスライドレールを介して車両のフロア8に設けられてもよい。シートクッション2は乗員の臀部及び大腿部を下方から支持する。
【0049】
シートバック3はシートクッション2の後部に設けられている。シートバック3はシートクッション2に対して回動可能に設けられている。シートバック3は、本体部3Aと、本体部3Aの上端に一体に設けられたヘッドレスト部3Bと、本体部3Aの上部とヘッドレスト部3Bの下部との前部に設けられたネックピロー部3Cとを有する。本体部3Aは乗員の背部を後方から支持する。ヘッドレスト部3Bは、乗員の頭部を後方から支持する。ネックピロー部3Cは乗員の頸部を後方から支持する。
【0050】
オットマン4はシートクッション2の前部に設けられている。オットマン4はシートクッション2に対して回動可能に設けられてもよい。オットマン4は乗員の下腿部を前方から支持する。各アームレスト5はシートバック3の左右の側部から前方に延びている。各アームレスト5はシートバック3に対して回動可能に設けられている。アームレスト5は乗員の腕を下方から支持することができる。
【0051】
回転装置6はフロア8に設けられたベース部材10と、ベース部材10に上下方向の軸線回りに回転可能に支持された支持部材11とを有する。回転装置6は、ベース部材10に対して支持部材11を回転させる回転駆動機構12を有してもよい。
【0052】
シートクッション2は、骨格としてのシートクッションフレーム20と、シートクッションフレーム20に支持されるパッドとしてのシートクッションパッド21と、シートクッションパッド21の外面に被せられた表皮材22とを有する。シートクッションフレーム20は、例えば左右一対のシートクッションサイドメンバ23と、左右のシートクッションサイドメンバ23の前端に結合したフロントメンバと、左右のシートクッションサイドメンバ23の後端に結合したリアメンバと、フロントメンバ及びリアメンバに架け渡された受圧部材とを有する公知の構成であってよい。シートクッション2は、支持部材11に結合されている。
【0053】
図2に示すようにシートクッション2は、左右一対のサイドカバー24を有する。各サイドカバー24は例えば樹脂材から形成されてよい。サイドカバー24は対応するシートクッションサイドメンバ23の前端部を左右外方から覆う。前方から見て、シートクッションパッド21の左右の端部は、左右において対応するサイドカバー24の上方に延びている。すなわち、各サイドカバー24の上方にシートクッションパッド21の左右の端部が配置されている。シートクッションパッド21の左右の側縁は、左右において対応するサイドカバー24の左右の外縁に沿って配置されているとよい。これによりシートクッション2を幅広く見せることができる。
【0054】
図1及び図3に示すようにシートバック3は、骨格としてのシートバックフレーム30と、シートバックフレーム30に支持されるパッドとしてのシートバックパッド32と、シートバックパッド32及びシートバックフレーム30を覆う表皮材34とを有する。またシートバック3は、シートバックフレーム30の後部に設けられたバックカバーとしてのシートバックカバー36とを有する。
【0055】
図3及び図4に示すように、シートバックフレーム30は、上下に延びる左右一対のシートバックサイドメンバ38を有する。またシートバックフレーム30は、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ38の上端に結合されたアッパメンバ40と、左右のシートバックサイドメンバ38の下端に結合されたロアメンバ42とを有する。更にシートバックフレーム30は、アッパメンバ40とロアメンバ42との間を左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ38に結合されたミドルメンバ44を有する。更にシートバックフレーム30は、アッパメンバ40から上方に延びる左右一対のピラー46と、左右に延び、左右のピラー46の上端に結合された連結部材48とを有する。シートバックサイドメンバ38、アッパメンバ40、ロアメンバ42及びミドルメンバ44は、金属板を折り曲げ成形することにより形成されている。
【0056】
シートバックフレーム30の内側には受圧部材50が設けられている。受圧部材50は、ランバーサポートともいう。受圧部材50は、シートバックフレーム30に架け渡された金属製のワイヤ51と、ワイヤ51に支持され、面が前後を向く板状部材52とを有する。本実施形態では、ワイヤ51は、上下方向に延びる左右一対のワイヤ縦部51Aと、左右一対のワイヤ縦部51Aの下部を連結するワイヤ下部51Bとを有するとよい。ワイヤ下部51Bはロアメンバ42に接続されている。左右のワイヤ縦部51Aの上端はミドルメンバ44に接続されている。板状部材52は、左右のワイヤ縦部51Aの上下方向における中間部に結合されている。板状部材52は樹脂材料から形成されてよい。板状部材52には、前後方向に貫通する複数の肉抜き孔55(肉抜き部)が形成されている。肉抜き孔55のいくつかは、左右方向に延び、板状部材52の左右の側縁に到達していてもよい。肉抜き孔55は、板状部材52の可撓性を高める。
【0057】
シートバックパッド32は上下方向に延びている。シートバックパッド32は、発泡性の樹脂によって形成されてよい。シートバックパッド32はシートバックフレーム30を前から覆うように配置されている。シートバックパッド32の乗員側を向く面を表面とし、相反する面を裏面とする。シートバックパッド32の裏面が後方から受圧部材50に支持されている。
【0058】
図4に示すように、ネックピロー部3Cは、シートバックパッド32の表面から前方に突出した凸部32Aによって形成されている。凸部32Aの表面は、表皮材34によって覆われている。凸部32Aは、左右方向に延びている。左右方向から見て、凸部32Aの表面は前方に向けて凸となる曲面に形成されている。ネックピロー部3Cの下端は、アッパメンバ40と概ね同じ高さに配置されている。また、ネックピロー部3Cは、ピラー46の下部と同じ高さに配置されている。凸部32Aの表面は、シートバックパッド32と異なるパッド部材53によって構成されてもよい。例えば、パッド部材53とシートバックパッド32とは、弾性率が異なる樹脂によって形成されるとよい。
【0059】
図5及び図6に示すように、シートバックパッド32の裏面には凹部54が形成されている。凹部54はシートバックパッド32の裏面から前方に向けて凹んでいる。
【0060】
図3から図5に示すように、シートバックカバー36は、シートバックフレーム30の後部に結合されている。シートバックカバー36は、シートバック3の後部の外面を形成する。シートバックカバー36は例えば樹脂材から形成されてよい。シートバックカバー36は中央部36Aと、中央部36Aの左右の両端から前方に延びる左右の側部36Bとを有する。中央部36Aの面は前後方向を向く。図5に示すように、中央部36Aはシートバックパッド32の裏面に対して後方に隙間をおいて設けられている。また、中央部36Aは、受圧部材50に対して後方に隙間をおいて設けられている。左右の側部36Bの面は左右方向を向く。側部36Bは対応するシートバックサイドメンバ38を左右外方から覆う。
【0061】
図4に示すように、シートバック3には、送風装置60が設けられている。送風装置60はブロワ61と、ブロワ61に接続されたダクト62と、ダクト62に接続された送風口63とを有する。ブロワ61は例えばシロッコファンであってよい。ブロワ61は左右のピラー46の後部に取り付けられている。ブロワ61は連結部材48の後部に取り付けられてもよい。ダクト62の一端はブロワ61の吐出口に接続される。ダクト62は、左右のピラー46の間を通過して、ピラー46の前方に向かって延びている。ダクト62の他端は送風口63に接続される。送風口63はシートバックパッド32に形成される。
【0062】
送風口63はネックピロー部3Cの下縁に設けられている。送風口63はシートバックパッド32の裏面から表面に貫通している。ダクト62の他端部は、送風口63に挿入されてよい。送風口63は乗員の頸部の付近に配置されるため、乗員の体感温度を効率良く調節することができる。
【0063】
図5及び図6に示すように、シート1はバイブレータ64を有する。バイブレータ64は、例えばコイル、マグネット及びヨークを含む公知の構成であってよい。コイルは図示しないハーネスを介して車両に設けられた図示しない電源に電気的に接続されるとよい。コイルに流れる電流の向きが周期的に変化することによってコイルが発生する磁界が変化する。これにより、マグネットが結合されたヨークが磁界の変化に応じて振動する。バイブレータ64は、その振動の向きがシートバックパッド32の表面に対して垂直になるように配置されるとよいが、その振動の向きがシートバックパッド32の表面に対して平行になるように配置されてもよい。なお他の実施形態では、バイブレータ64は、乗員に音を伝達するためのスピーカであってもよい。
【0064】
バイブレータ64は、シートバックパッド32の裏面に形成された凹部54に設けられている。バイブレータ64は、前後方向において受圧部材50と対向している。バイブレータ64は、前後方向において板状部材52と対向している。より詳細には、バイブレータ64は肉抜き孔55に対向している。これによりバイブレータ64は板状部材52によって後方から安定性良く支持される。更に、バイブレータ64は、送風口63の下方に配置されている。これによりバイブレータ64は、送風口63との干渉を避けてシートバックパッド32に配置される。バイブレータ64は、凹部54に嵌合しているとよい。バイブレータ64が凹部54に嵌合した状態において、バイブレータ64の後面はシートバックパッド32の裏面を外挿した面上に配置されるとよい。図6に示すようにシートバックパッド32の裏面には、シート材65が凹部54及びバイブレータ64を跨いで接着されている。シート材65は、粘着テープであり、シートバックパッド32の裏面及びバイブレータ64に接着されている。
【0065】
バイブレータ64の組付方法について説明する。図5及び図6に示すように最初にシートバックパッド32が用意される。シートバックパッド32は成型によって成形され、裏面に凹部54が形成される。次にバイブレータ64がシートバックパッド32に設けられた凹部54に嵌合される。次に、シート材65がシートバックパッド32の裏面及びバイブレータ64に接着され、バイブレータ64がシートバックパッド32に固定される。次にシートバックパッド32が、受圧部材50が取り付けられたシートバックフレーム30に取り付けられる。シートバックパッド32はシートバックフレーム30及び受圧部材50の前方に配置される。これによりシートバックパッド32がシートバックフレーム30及び受圧部材50に支持される。次に、表皮材34がシートバックパッド32及びシートバックフレーム30に被せられる。次に、シートバックカバー36がシートバックフレーム30の後部に取り付けられる。
【0066】
図5及び図6に示すようにバイブレータ64を収容する凹部54がシートバックパッド32の裏面に開口しているため、バイブレータ64のシートバックパッド32への配置が容易である。また、バイブレータ64は、シートバックパッド32に接着されるシート材65によって凹部54内に保持されるため、バイブレータ64をパッドに安定性良く固定することができる。これらにより、シートバックパッド32の構造を簡素にすると共に、バイブレータ64の組付け作業を容易にすることができる。シート材65が粘着テープである場合、シート材65のシートバックパッド32への接着が容易になる。
【0067】
バイブレータ64が凹部54に嵌合しているため、バイブレータ64の振動がシートバックパッド32に伝達され易くなる。また、バイブレータ64のシートバック3に対する位置が安定する。
【0068】
バイブレータ64の後方には、隙間を介してシートバックカバー36が配置されている。これによりバイブレータ64の振動音がシート1の後方に伝達され難くなる。
【0069】
バイブレータ64は、前後方向において受圧部材50と対向している。これによりバイブレータ64が凹部54から脱落することを抑制することができる。
【0070】
肉抜き孔55は、板状部材52の可撓性を高める。これにより板状部材52のバイブレータ64と対向する部分が変形し易くなり、乗員の背部によって押されたバイブレータ64が後方に移動することができる。したがって、バイブレータ64が乗員の背部に不快感を与えることが抑制される。
【0071】
受圧部材50の板状部材52の形状は、変更してもよい。例えば、図7及び図8に示すように、板状部材52には前後方向に貫通する開口68が設けられている。ワイヤ51は、前後方向から見て開口68と重ならない位置に設けられている。凹部54は、板状部材52に設けられた開口68と対向する位置に設けられている。これによりバイブレータ64は、前後方向から見て、板状部材52に設けられた開口68と重なる位置に配置されている。これらにより乗員の背部によって押されたバイブレータ64が板状部材52に設けられた開口68を通過して後方に移動することができる。したがって、バイブレータ64が乗員の背部に不快感を与えることが抑制される。
【0072】
上記の板状部材52に加え、凹部54の形状も変更してよい。例えば、図9に示すように、凹部54の深さは、バイブレータ64の前後の厚さよりも小さい。これによりバイブレータ64は、凹部54からは突出している。突出したバイブレータ64の部分は、板状部材52に設けられた開口68を通過している。これらにより凹部54の深さに対してバイブレータ64の厚みが大きい場合に、バイブレータ64と板状部材52との干渉を避けて、シートバックパッド32を板状部材52に接触させることができる。
【0073】
図10及び図11に示すように、シート1は、シートバック3をシートクッション2に対して回動可能にするためのリクライニング機構70を有する。リクライニング機構70は、左右の本体部71と、左右の本体部71に接続された駆動軸72と、駆動軸72を回転させる電動アクチュエータ73とを有する。
【0074】
各本体部71は内歯ギヤを含む第1部材71Aと、内歯ギヤに噛み合う外歯ギヤを含む第2部材71Bとを有する。外歯ギヤは内歯ギヤに対して偏心している。第1部材71Aはシートクッションサイドメンバ23の後部に結合され、第2部材71Bはシートバックサイドメンバ38の下部に結合されている。左右の本体部71は、同軸上に配置されている。駆動軸72は、左右方向に延び、左右のシートバックサイドメンバ38を貫通して左右の第2部材71Bに結合されている。電動アクチュエータ73は、電動モータ73Aと、電動モータ73Aの回転を減速して駆動軸72に伝達する減速機構73Bとを含む。電動アクチュエータ73は、右側のシートバックサイドメンバ38の左右内側に配置されている。電動アクチュエータ73は、左側のシートバックサイドメンバ38の左右内側に配置されてもよい。電動アクチュエータ73は、駆動軸72を介して左右の第2部材71Bを対応する第1部材71Aに対して回転させる。これにより、シートバック3はシートクッション2に対して回動する。
【0075】
アームレスト5は、骨格としての図示しないアームレストフレームと、アームレストフレームを覆うアームレストカバー75とを有する。また右側のアームレスト5には、後述する回動機構80の操作を受け付けるための入力装置76が設けられている。入力装置76はリクライニング機構70の操作及び送風装置60の操作も受け付けてよい。
【0076】
左右のアームレストフレームは、支持軸81を介して対応するシートバックサイドメンバ38に回動可能に支持されている。アームレストフレームは金属板をプレス加工することにより形成されてよい。
【0077】
アームレスト5のそれぞれには、回動機構80が設けられている。左側のアームレスト5には左側回動機構80Aが設けられている。右側のアームレスト5には右側回動機構80Bが設けられている。回動機構80は対応するアームレスト5をシートバック3に対して回動させる。左右のアームレスト5は、互いに独立してシートバック3に対して回動可能である。
【0078】
左右の回動機構80は、同一の構成を有するため、右側回動機構80Bについて説明する。回動機構80は、アームレストフレームに結合された支持軸81と、支持軸81に結合されたセクタギヤ82と、セクタギヤ82に噛み合うピニオン83(図11参照)を含む電動アクチュエータ84とを有する。
【0079】
シートバックサイドメンバ38の右側面には、右方に突出する円筒形の軸受部85が設けられている(図11参照)。支持軸81は、左右方向に延び、軸受部85に回動可能に支持されている。支持軸81の右端部はアームレストフレームに接続されている。支持軸81の左端は、シートバックサイドメンバ38を貫通し、シートバックサイドメンバ38の左方に突出している。
【0080】
セクタギヤ82は支持軸81の左端に結合されている。セクタギヤ82は、支持軸81から下方に延びている。
【0081】
電動アクチュエータ84は、電動モータ84Aと、減速機構84Bと、減速機構84Bの出力軸86に結合されたピニオン83とを有する。電動モータ84A及び減速機構84Bは、シートバックサイドメンバ38の外側面に結合され、シートバックカバー36とシートバックサイドメンバ38との間に配置されている。出力軸86は、左右方向に延び、減速機構84Bからシートバックサイドメンバ38を貫通し、シートバックサイドメンバ38の内方に突出している。出力軸86は、支持軸81よりも下方に配置されている。出力軸86の先端にはピニオン83が結合されている。ピニオン83は、セクタギヤ82の下方に配置され、セクタギヤ82に噛み合っている。
【0082】
アームレストカバー75の前部の左右幅は、アームレストカバー75の後部の左右幅よりも広い。アームレストカバー75の後部の左右内側の端部は、回動機構80の電動アクチュエータ84よりも左右外方にある。アームレストカバー75の前部の左右内側の端部は、前方から見て回動機構80の電動アクチュエータ84に重なる。これによりシートバックカバー36の側部36Bの下部が回動機構80の電動アクチュエータ84を受容するべく左右外方に膨出している場合、アームレスト5はシートバックカバー36の側部36Bの下部に干渉することなく上方に回動できる。右側のアームレストカバー75の上面には、入力装置76が設けられている。
【0083】
電動アクチュエータ84は、ピニオン83及びセクタギヤ82を介して支持軸81を回動させる。電動アクチュエータ84は、アームレスト5をシートバック3に対して回動させる。アームレスト5のシートバック3に対する回動の速さは、シートバック3のシートクッション2に対する回動の速さと概ね等しくてよい。
【0084】
図10及び図12に示すように、シートバックサイドメンバ38の内側面には、セクタギヤ82及びピニオン83を保護するブラケット88及びブラケットカバー91が設けられている。
【0085】
図10に示すように、ブラケット88は金属板を折り曲げ成形することにより形成されてよい。ブラケット88は面が左右方向を向く主部88Aと、主部88Aの側縁から左右外方に延びる複数の脚部88Bとを有する。ブラケット88は、複数の脚部88Bにおいてシートバックサイドメンバ38に結合されている。複数の脚部88Bは、シートバックサイドメンバ38に締結又は溶接されているとよい。主部88Aには、リクライニング機構70の電動アクチュエータ73との干渉を避けるために第1切欠部89が設けられている。第1切欠部89は、主部88Aの下部かつ後部に設けられているとよい。
【0086】
セクタギヤ82及びピニオン83は、主部88Aとシートバックサイドメンバ38との間に配置される。支持軸81の先端は、主部88Aに形成された軸受孔90に支持されてもよい。同様に、駆動軸72の先端は主部88Aに形成された他の軸受孔に支持されてもよい。
【0087】
図12に示すように、ブラケットカバー91はブラケット88に支持されている。ブラケットカバー91は樹脂材料から形成されてもよい。ブラケットカバー91は面が左右方向を向く第1部分91Aと、第1部分91Aの前縁から左右外方に延びる第2部分91Bとを有する。第2部分91Bの面は前後方向を向く。第1部分91Aはブラケット88の主部88Aよりも左右内方に配置される。第2部分91Bは、セクタギヤ82及びピニオン83の前方に配置されている。ブラケットカバー91には、リクライニング機構70の電動アクチュエータ73との干渉を避けるために第2切欠部92が設けられている。第2切欠部92は、主部88Aの下部かつ後部に設けられているとよい。図13に示すようにブラケットカバー91の内側面には、エアセル93が設けられるとよい。エアセル93は、空気の供給を受けて膨張し、シートバックパッド32を前方に突出させる。
【0088】
ブラケット88及びブラケットカバー91により、セクタギヤ82及びピニオン83のシートバックパッド32に対する干渉が抑制される。加えて、右側に配置されたセクタギヤ82及びピニオン83のリクライニング機構70の電動アクチュエータ73に対する干渉が抑制される。
【0089】
入力装置76は、例えばタッチパネルディスプレイや、メカニカルスイッチであるとよい。本実施形態では、入力装置76は、タッチパネルディスプレイである。入力装置76のディスプレイには、リクライニング機構70の角度、アームレスト5の角度、及び送風装置60の出力を設定するためのスイッチが表示されるとよい。
【0090】
入力装置76は、右側のアームレスト5に設けられている。入力装置76はアームレストカバー75の前端部に収容されている。入力装置76のディスプレイの上面はアームレストカバー75の上面に対して同一平面上に配置されるとよい。
【0091】
図14に示すように、左右の回動機構80A、80B、入力装置76、リクライニング機構70、及び送風装置60は、制御装置95に接続されている。制御装置95は、演算処理装置(CPU、MPU等のプロセッサ)、記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)を備え、アームレスト5の回動及びシートバック3の回動に必要な各種処理を実行するように構成されたコンピュータからなる。制御装置95が各種処理を実行するように構成されているとは、制御装置95を構成する演算処理装置(プロセッサ)が、入力装置76の操作入力に従って、記憶装置(メモリ)から必要なデータ及びアプリケーションソフトウェアを読み取り、当該ソフトウェアに従って当該所定の演算処理を実行するようにプログラムされていることを意味する。制御装置95は、例えば、シートクッション2の内部、シートバック3の内部、アームレスト5の内部に設けられるとよい。
【0092】
制御装置95は、入力装置76からの信号に基づいて、左側回動機構80A、右側回動機構80B、リクライニング機構70、及び送風装置60を制御する。また、制御装置95は、シートバック3の回動に応じて左側のアームレスト5及び右側のアームレスト5の回動を回動させるアームレスト協調制御を実行する。
【0093】
図15(A)に示すように、シートバック3が起立した初期位置にあるとき、左右のアームレスト5は水平方向に延びた初期位置にある。シートバック3は、初期位置において、10~30度程度後傾しているとよい。
【0094】
入力装置76のディスプレイには、例えば、シートバック3を後方に回動させるための後回動スイッチと、シートバック3を前方に回動させるための前回動スイッチとが表示される。入力装置76は、後回動スイッチが乗員によって押されている間、制御装置95に後回動信号を出力する。また、入力装置76は、前回動スイッチが乗員によって押されている間、制御装置95に前回動信号を出力する。
【0095】
制御装置95は、図16に示すアームレスト協調制御を実行する。最初に、制御装置95は、入力装置76から後回動信号を受けているか否かを判定する(ST1)。制御装置95は、後回動信号を受けている場合(ST1の判定結果がYes)、シートバック3を後方に回動させるべく、リクライニング機構70の電動モータ73Aを駆動する(ST2)。続いて、制御装置95は、右側のアームレスト5を上方に回動させるべく、右側回動機構80Bの電動モータ84Aを駆動する(ST3)。続いて、制御装置95は、左側のアームレスト5を下方に回動させるべく、左側回動機構80Aの電動モータ84Aを駆動する(ST4)。
【0096】
制御装置95は、後回動信号を受けていない場合(ST1の判定結果がNo)、入力装置76から前回動信号を受けているか否かを判定する(ST5)。制御装置95は、前回動信号を受けている場合(ST5の判定結果がYes)、シートバック3を前方に回動させるべく、リクライニング機構70の電動モータ73Aを駆動する(ST6)。続いて、制御装置95は、右側のアームレスト5を下方に回動させるべく、右側回動機構80Bの電動モータ84Aを駆動する(ST7)。続いて、制御装置95は、左側のアームレスト5を上方に回動させるべく、左側回動機構80Aの電動モータ84Aを駆動する(ST8)。
【0097】
制御装置95は、前回動信号を受けていない場合(ST5の判定結果がNo)、リクライニング機構70の電動モータ73A、右側回動機構80Bの電動モータ84A及び左側回動機構80Aの電動モータ84Aを駆動させない。
【0098】
制御装置95がアームレスト協調制御を実行することによって、図15(B)に示すように、シートバック3が後方に回動するときには、右側のアームレスト5が上方に回動し、左側のアームレスト5が下方に回動する。これによりシートバック3が後傾した状態において、乗員が見やすい位置に入力装置76のディスプレイが配置される。したがって入力装置76の操作性が向上する。また、左側のアームレスト5は概ね水平に延び、乗員の左腕を支持することができる。これにより乗員は左腕を休めることができる。
【0099】
入力装置76の構成は、異なっていてもよい。例えば、図17に示すように、入力装置96は左側のアームレスト5に設けられている。入力装置96はメカニカルスイッチである。入力装置96はリクライニング機構70を回動させるための操作を受け付けるとよい。入力装置96はシートバック3を後方に回動させるための後回動スイッチ96Aと、シートバック3を前方に回動させるための前回動スイッチ96Bとを有する。後回動スイッチ96Aは前回動スイッチ96Bの後方に設けられるとよい。
【0100】
右側のアームレスト5にはディスプレイ97が設けられている。ディスプレイ97は車内の温度等を表示してよい。ディスプレイ97の前端部は、例えばヒンジ98を介してアームレストカバー75に接続されるとよい。これによりディスプレイ97はアームレストカバー75に対して回動可能に設けられている。ディスプレイ97の回動する角度は適宜調整可能であってよい。ディスプレイ97は、アームレストカバー75の上面に沿った収納位置と、アームレストカバー75から上方に延び、乗員側を向く使用位置との間で回動する。
【0101】
制御装置95は、シートバック3の後方への回動に応じて、ディスプレイ97が設けられた右側のアームレスト5を上方に回動させ、かつ左側のアームレスト5を下方に回動させるとよい。これにより、シートバック3が後傾した状態(図17(B)参照)において、乗員が見やすい位置にディスプレイ97が配置される。また、左側のアームレスト5は概ね水平に延び、乗員の左腕を支持することができる。
【0102】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、バイブレータ64はシートバックパッド32に配置されているが、シートクッションパッド21に配置されてよい。
【符号の説明】
【0103】
1 :シート
3 :シートバック
3A :本体部
3B :ヘッドレスト部
3C :ネックピロー部
30 :シートバックフレーム(フレーム)
32 :シートバックパッド(パッド)
36 :シートバックカバー(バックカバー)
50 :受圧部材
51 :ワイヤ
52 :板状部材
55 :肉抜き孔(肉抜き部)
63 :送風口
64 :バイブレータ
65 :シート材
68 :開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17