(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072777
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】浅層斜板沈降装置及び粒子捕集方法
(51)【国際特許分類】
B01D 45/02 20060101AFI20240521BHJP
B01D 45/08 20060101ALI20240521BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B01D45/02
B01D45/08 Z
F27D17/00 105A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141255
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202211433393.6
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523332585
【氏名又は名称】シーイーアールアイ エンバイロメント プロテクション テクノロジー カンパニーリミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520445303
【氏名又は名称】エムシーシー キャピタル エンジニアリング アンド リサーチ インコーポレーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ユアンマン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チンミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ミンファ
(72)【発明者】
【氏名】ムー ホアイピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン フォンポ
(72)【発明者】
【氏名】リン ウェンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン リン
【テーマコード(参考)】
4D031
4K056
【Fターム(参考)】
4D031AA01
4D031AB02
4D031BA01
4D031BA06
4D031DA01
4D031EA01
4K056AA02
4K056CA02
4K056DB13
4K056DB26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率的、簡潔でかつ高中低温、高中低流速の間欠的な変換に適用可能な乾式センチミリメートルレベルの大粒子を捕集する浅層斜板沈降装置及び粒子捕集方法を提供する。
【解決手段】装置は、それぞれ複数の浅層沈降ユニット211を含む複数の沈降層21を含み、浅層沈降ユニットは、平行的に間隔を隔てて設けられた下斜板及び複数の上斜板からなる斜板群を含み、隣接する上斜板の間、下斜板とそれに隣接する上斜板との間は、ヒューム沈降通路を構成し、斜板群におけるヒューム沈降通路の入口101に位置する一側は、捕集された粒子が下側に向けて流れるように、下向きに傾斜して設置され、下斜板及び各上斜板は、上向きのアーチ状折り板として配置され、アーチ状折り板の頂折り目線は、ヒュームの流れ方向に沿って設けられ、斜板群におけるヒューム沈降通路の出口に位置する一側に、バッフル板が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浅層斜板沈降装置であって、
ヒューム通路におけるヒューム入口とヒューム出口との間に設けられ、ヒュームを流通させ、且つヒューム中の粒子を沈降させて捕集するために用いられ、
該浅層斜板沈降装置は、平行的に間隔を隔てて設けられた複数の沈降層を含み、各前記沈降層は、複数の浅層沈降ユニットを含み、前記浅層沈降ユニットは斜板群を含み、前記斜板群は、平行的に間隔を隔てて設けられた下斜板及び複数の上斜板を含み、
隣接する上斜板の間、および下斜板とそれに隣接する上斜板との間は、ヒューム沈降通路を構成し、
前記斜板群におけるヒューム沈降通路の入口に位置する一側は、捕集された粒子が下側に向けて流れるように、下向きに傾斜して設置され、
前記下斜板及び各前記上斜板は、上向きのアーチ状折り板として配置され、
前記アーチ状折り板の頂折り目線は、ヒュームの流れ方向に沿って設けられ、
前記下斜板及び各前記上斜板は、2軸傾斜構造を構成し、
前記斜板群におけるヒューム沈降通路の出口に位置する一側に、バッフル板が設けられることを特徴とする浅層斜板沈降装置。
【請求項2】
前記バッフル板は、垂直面と第二夾角をなすように傾斜して設置され、
前記バッフル板と、各前記上斜板及び前記下斜板との間隔は、上から下に漸増するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の浅層斜板沈降装置。
【請求項3】
支持ロッド構造をさらに含み、
前記支持ロッド構造に、各前記沈降層の前記浅層沈降ユニットが支持されて接続されることを特徴とする請求項2に記載の浅層斜板沈降装置。
【請求項4】
前記浅層沈降ユニットは、斜板支持材をさらに含み、
前記斜板支持材に、前記斜板群が支持されて接続され、
前記斜板支持材は、前記支持ロッド構造に接続されることを特徴とする請求項3に記載の浅層斜板沈降装置。
【請求項5】
前記下斜板及び各前記上斜板は、いずれも水平面と第一夾角をなすように傾斜して設置され、
前記下斜板及び各前記上斜板の一側又は両側に、前記斜板支持材が接続して設置されることを特徴とする請求項4に記載の浅層斜板沈降装置。
【請求項6】
前記第一夾角は、30°以上かつ90°未満であることを特徴とする請求項5に記載の浅層斜板沈降装置。
【請求項7】
前記支持ロッド構造は、ロッド本体を含み、
前記ロッド本体に、接続ユニットが間隔を隔てて設けられ、
各前記接続ユニットに、前記斜板支持材が固定的に接続されることを特徴とする請求項4に記載の浅層斜板沈降装置。
【請求項8】
前記接続ユニットは、接続リブ、係止座又はブラケットであることを特徴とする請求項7に記載の浅層斜板沈降装置。
【請求項9】
前記支持ロッド構造は、ヒュームの流通方向に沿って設けられた前支持ロッド列及び後支持ロッド列を含み、
前記前支持ロッド列及び前記後支持ロッド列に、各前記沈降層の前記浅層沈降ユニットが支持されて接続されることを特徴とする請求項3に記載の浅層斜板沈降装置。
【請求項10】
粒子捕集方法であって、
ヒューム通路におけるヒューム入口とヒューム出口との間に、請求項1から9のいずれか一項に記載の浅層斜板沈降装置を設けることと、
ヒューム入口を介してヒューム通路に入ったヒュームを、ヒューム減速構造により減速させた後に、浅層斜板沈降装置に向けて流して、減速されたヒュームは、浅層沈降ユニットのうち、隣接する上斜板の間、および下斜板とそれに隣接する上斜板との間のヒューム沈降通路を流れ、バッフル板によりガイドされてヒューム出口に向けて流れるようになることと、
ヒューム中の粒子を、下斜板及び上斜板における灰排出口に近接する一側に沈降させ、かつ下斜板及び上斜板に沈降された粒子を、下向きに灰排出口に向けて流すことと、
を含むことを特徴とする粒子捕集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鋼の技術分野に関し、特に高温作業条件に適用可能な浅層斜板沈降装置及び粒子捕集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転炉製鋼は、間欠的な製造方式である。転炉の正常的な溶製製造段階では、ヒュームの温度が高く、ヒューム量が大きく、粉塵含有量が大きく、ライン内のヒュームの流速が高く、CO含有量が高く、携帯された大粒子の高温火種に起因してヒュームを点火させて爆発が発生することを防止するために、排熱回収の前に高温大粒子、特にセンチミリメートルレベルの大粒子(平均粒径が50μm以上の粒子)の分離を完了することによって、排熱回収段階に亘って爆発現象が発生しないように確保する必要がある。転炉準備動作段階では、ヒュームの温度が低下され、ヒューム量が小さく、粉塵含有量も低下され、ライン内のヒュームの流速が小さく、CO含有量が爆発の上下限濃度区間にあり、十分なエネルギーの大粒子火種が同時に存在すれば、爆発を引き起こす可能性が高いため、該段階の大粒子の捕集は同様に重要である。
【0003】
現在、ヒュームに含有されたセンチミリメートルレベルの大粒子の分離捕集技術は様々であり、主に湿式又は半乾式分離、サイクロン分離及びポケット形分離等があり、重力、遠心力、慣性力及び抵抗力で、それをヒュームから分離する。湿式又は半乾式分離技術は、付加的な水使用量、及び粉塵粒子(主成分はFe2О3である)の理化学的性質の高温、水有り条件での変化が必要であるため、粉塵の二次利用に影響を与え、サイクロン分離技術は、ヒュームの渦流が発生しやすく、ポケット形分離技術は、圧力損失が大きく、かつ高温ヒュームに適用されない。したがって、効率的、簡潔でかつ高中低温、高中低流速の間欠的な変換に適用可能な乾式センチミリメートルレベルの大粒子の捕集技術を開発する必要がある。
【0004】
本発明者は、長期間関連業界に従事した経験と実践を基に、従来の技術の欠陥を克服するように、浅層斜板沈降装置及び粒子捕集方法を提案した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、浅層沈降ユニットの各斜板に、2軸傾斜を採用することによって、高温熱応力に起因する変形の斜板沈降効果への影響を減少させ、灰堆積を減少させ、かつ浅層沈降ユニットの後部に、バッフル板を設けることによって、高温ヒュームの流出時の次の接触ユニットに対する正面フラッシングを減少させる浅層斜板沈降装置及び粒子捕集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、このようにして実現される。
【0007】
浅層斜板沈降装置であって、ヒューム通路におけるヒューム入口とヒューム出口との間に設けられ、該浅層斜板沈降装置は、ヒュームを流通させ、且つヒューム中の粒子を沈降させて捕集するために用いられ、該浅層斜板沈降装置は、平行的に間隔を隔てて設けられた複数の沈降層を含み、各前記沈降層は、複数の浅層沈降ユニットを含み、前記浅層沈降ユニットは斜板群を含み、前記斜板群は、平行的に間隔を隔てて設けられた下斜板及び複数の上斜板を含み、隣接する上斜板の間、および下斜板とそれに隣接する上斜板との間は、ヒューム沈降通路を構成し、前記斜板群におけるヒューム沈降通路の入口に位置する一側は、捕集された粒子が下側に向けて流れるように、下向きに傾斜して設置され、前記下斜板及び各前記上斜板は、上向きのアーチ状折り板として配置され、前記アーチ状折り板の頂折り目線は、ヒュームの流れ方向に沿って設けられ、前記下斜板及び各前記上斜板は、2軸傾斜構造を構成し、前記斜板群におけるヒューム沈降通路の出口に位置する一側に、バッフル板が設けられる浅層斜板沈降装置。
【0008】
本発明の一好適な実施の形態において、前記バッフル板は、垂直面と第二夾角をなすように傾斜して設置され、前記バッフル板と、各前記上斜板及び前記下斜板との間隔は、上から下に漸増するように設けられる。
【0009】
本発明の一好適な実施の形態において、浅層斜板沈降装置は、支持ロッド構造をさらに含み、前記支持ロッド構造に、各前記沈降層の前記浅層沈降ユニットが支持されて接続される。
【0010】
本発明の一好適な実施の形態において、前記浅層沈降ユニットは、斜板支持材をさらに含み、前記斜板支持材に、前記斜板群が支持されて接続され、前記斜板支持材は、前記支持ロッド構造に接続される。
【0011】
本発明の一好適な実施の形態において、前記下斜板及び各前記上斜板は、いずれも水平面と第一夾角をなすように傾斜して設置され、前記下斜板及び各前記上斜板の一側又は両側に、前記斜板支持材が接続して設置される。
【0012】
本発明の一好適な実施の形態において、前記第一夾角は、30°以上かつ90°未満である。
【0013】
本発明の一好適な実施の形態において、前記支持ロッド構造は、ロッド本体を含み、前記ロッド本体に、接続ユニットが間隔を隔てて設けられ、各前記接続ユニットに、前記斜板支持材が固定的に接続される。
【0014】
本発明の一好適な実施の形態において、前記接続ユニットは、接続リブ、係止座又はブラケットである。
【0015】
本発明の一好適な実施の形態において、前記支持ロッド構造は、ヒュームの流通方向に沿って設けられた前支持ロッド列及び後支持ロッド列を含み、前記前支持ロッド列及び前記後支持ロッド列に、各前記沈降層の前記浅層沈降ユニットが支持されて接続される。
【0016】
本発明の目的は、さらにこのようにして実現可能である。
【0017】
粒子捕集方法であって、ヒューム通路におけるヒューム入口とヒューム出口との間に、前述のような浅層斜板沈降装置を設けることと、ヒューム入口を介してヒューム通路に入ったヒュームを、ヒューム減速構造により減速させた後に、浅層斜板沈降装置に向けて流し、減速されたヒュームは、浅層沈降ユニットのうち、隣接する上斜板の間、及び下斜板とそれに隣接する上斜板との間のヒューム沈降通路を流れ、バッフル板によりガイドされてヒューム出口に向けて流れるようになることと、ヒューム中の粒子を、下斜板及び上斜板における灰排出口に近接する一側に沈降させ、かつ下斜板及び上斜板に沈降された粒子を、下向きに灰排出口に向けて流すことと、を含む粒子捕集方法。
【0018】
上記のように、本発明の浅層斜板沈降装置及び粒子捕集方法は、以下のような有益な効果を有する。
【0019】
本発明の斜板沈降領域内に、浅層斜板沈降装置を設けることによって、粉塵含有ヒュームが低い流速で浅層斜板沈降装置に入った後、粒子が斜板に沈降されて、煤塵粒子の分離が実現され、浅層沈降技術を用いて、浅層沈降ユニットは、適切な斜板の層数及び斜板の間隔を設定することにより、沈降効果を確保する。
【0020】
浅層沈降ユニットの各斜板に、2軸傾斜構造を採用することによって、高温熱応力に起因する鋼板の変形の沈降及び収集効果への影響を減少させることができる。
【0021】
浅層沈降ユニットの斜板群のテール部に、バッフル板を設けることによって、ヒュームのガイド作用を果たすだけでなく、ヒューム、特に高温ヒュームの次の接触ユニットに対する直接的なフラッシングを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の図面は、本発明を概略的に説明し解釈することを意図するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【
図1】本発明の浅層斜板沈降装置が円筒状煙道内に用いられる概略図である。
【
図5】本発明の上斜板が等脚台形を呈しかつ前後辺が直線である場合の概略図である。
【
図6】本発明の上斜板が等脚台形を呈しかつ前後辺が円弧である場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の技術的特徴、目的及び効果をより明確に理解するために、図面を参照しながら本発明の具体的な実施の形態を説明する。
【0024】
ここで説明された本発明の具体的な実施の形態は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、どのような方式で本発明を限定するものと理解されてはならない。本発明の教示で、当業者は、本発明による任意の可能な変更を構想することができ、これらはいずれも本発明の範囲に属すると見なされるべきである。説明すべきこととして、ある素子が他の素子に「設けられる」と称される場合、それは他の素子に直接に位置してもよく、又は介在素子が存在してもよい。ある素子が他の素子に「接続される」と言及される場合、それは他の素子に直接に接続されてもよく、又は介在素子が同時に存在する可能性がある。「取付」、「繋がる」、「接続」という用語は、例えば、機械的接続又は電気的接続であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよく、直接に繋がれてもよく、又は中間媒体を介して間接的に繋がれてもよいように、広義に理解すべきであり、本技術分野で通常の知識を有する者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の具体的な意味を理解することができる。本文で使用される「垂直な」、「水平な」、「上」、「下」、「左」、「右」という用語及び類似する表現は、説明のためのものに過ぎず、唯一の実施の形態であることを表すものではない。
【0025】
他に定義されない限り、本文で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じである。本文において、本願の明細書で使用される用語は、具体的な実施の形態を説明するためのものに過ぎず、本願を限定することを意図するものではない。本文で使用される用語である「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列挙された項目の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0026】
図1から
図6に示すように、本発明は、浅層斜板沈降装置2を提供し、該装置は、ヒューム通路(ヒューム通路には、ヒューム入口101、ヒューム出口102及び灰排出口103が設けられる)におけるヒューム入口101とヒューム出口102との間に設けられ、浅層斜板沈降装置は、ヒュームを流通させかつ減速されたヒューム中の粒子を沈降させて捕集するために用いられ、ヒューム通路における浅層斜板沈降装置2が設けられた領域は、斜板沈降領域を構成し、
浅層斜板沈降装置2は、間隔を隔てて平行に設けられた複数の沈降層21を含み、各沈降層21は、傾斜して設置された複数の浅層沈降ユニット211を含み、浅層沈降ユニット211は、間隔を隔てて平行に設けられた下斜板2111及び複数の上斜板2112からなる斜板群を含み、隣接する上斜板2112の間、下斜板2111とそれに隣接する上斜板2112との間は、ヒューム沈降通路を構成し、ヒューム沈降通路の通路横断面は、板の間隔により決められ、板の間隔は、実際の要求に応じて決定され、その値の範囲は、一般的に10mm≦b≦300mmであり、
斜板群におけるヒューム沈降通路の入口に位置する一側は、捕集された粒子が下向きに流れるように、下向きに傾斜して設置され、すなわち下斜板2111及び各上斜板2112における灰排出口103に近接する一側は、捕集された粒子が灰排出口に流れるように、下向きに傾斜して設置され、
図2、
図4に示すように、下斜板2111及び各上斜板2112は、上向きのアーチ状折り板として配置され、アーチ状折り板の頂折り目線は、ヒュームの流れ方向に沿って設けられ、浅層沈降ユニット211の各斜板(下斜板2111及び各上斜板2112)は、2軸傾斜構造を形成し、従来の技術において、高温ヒューム又は高低温ヒュームが斜板沈降領域を周期的に流れる場合、斜板は熱応力作用により変形しやすく、粒子の沈降過程及び沈降された粒子を下向きに滑落させて収集する過程に悪影響を与えるが、本発明の下斜板2111及び各上斜板2112に、2軸傾斜構造を採用することによって、高温熱応力に起因する変形の沈降及び収集効果への影響を減少させることができ、
図2、
図3に示すように、斜板群におけるヒューム沈降通路の出口に位置する一側に、テール部バッフル板2114が設けられ、すなわち斜板群(下斜板2111及び各上斜板2112)における灰排出口103から離れる一側に、テール部バッフル板2114が設けられ、従来の技術において、高温ヒュームが斜板沈降領域を流れた後、次の接触ユニット(例えば円筒状煙道のアウタースリーブの内壁)を直接にフラッシングし、次の接触ユニット(例えば円筒状煙道のアウタースリーブの内壁)の摩耗が進行される。テール部バッフル板2114は、ヒュームのガイド作用を果たし、かつテール部バッフル板2114は、高温ヒュームが浅層沈降ユニット211から流出される時の次の接触ユニット(例えば円筒状煙道のアウタースリーブの内壁)に対する正面フラッシング摩耗を減少させることができる。
【0027】
本発明の斜板沈降領域内に、浅層斜板沈降装置を設けることによって、粉塵含有ヒュームが低い流速で浅層斜板沈降装置に入った後、粒子が斜板に沈降されて、煤塵粒子の分離が実現され、浅層沈降技術を用いて、浅層沈降ユニットは、適切な斜板の層数及び斜板の間隔を設定することにより、沈降効果を確保し、
浅層沈降ユニットの各斜板に、2軸傾斜構造を採用することによって、高温熱応力に起因する鋼板の変形の沈降及び収集効果への影響を減少させることができ、
浅層沈降ユニットの斜板群のテール部に、バッフル板を設けることによって、ヒュームのガイド作用を果たすだけでなく、ヒューム、特に高温ヒュームの次の接触ユニットに対する直接的なフラッシングを防止することができる。
【0028】
さらに、
図3に示すように、テール部バッフル板2114は、鋼板であり、テール部バッフル板2114は、垂直面と第二夾角βをなすように傾斜して設置され、テール部バッフル板2114と、各上斜板2112及び下斜板2111との間隔は、上から下に漸増するように設けられる。
【0029】
テール部バッフル板2114と下斜板2111との間の断面積は、各浅層沈降ユニット211のヒューム入口の断面積以上であることによって、可能の限り、ヒュームを浅層斜板沈降装置2から流出された後の速度が増加しないように維持させる。ヒュームは、斜板群から流出された後、テール部バッフル板2114に当たって、ヒュームの向きが変化され、次の接触ユニットに対する直接的なフラッシングを回避させる。
【0030】
さらに、テール部バッフル板2114の非風上面に、取付ハンドルが設けられ、単一の浅層沈降ユニット211の吊持を容易にする。
【0031】
さらに、
図1、
図2に示すように、浅層斜板沈降装置は、ヒューム通路内に設けられた支持ロッド構造22をさらに含み、支持ロッド構造22に、各沈降層の浅層沈降ユニット211が支持されて接続される。
【0032】
さらに、下斜板及び各上斜板は、いずれも水平面と第一夾角αをなすように傾斜して設置され、下斜板2111及び各上斜板2112の一側又は両側に、斜板支持材2113が接続設置される。
【0033】
本発明の一具体的な実施例において、第一夾角αは、30°以上かつ90°未満である。第二夾角βの範囲は、0°≦β<(90°-α)である。
【0034】
さらに、下斜板2111及び各上斜板2112は、鋼板で製造され、斜板支持材2113は、鋼板、山形鋼、溝形鋼、角鋼又は丸鋼で製造され、溶接又は係止溝等の形式で支持ロッド構造22に接続される。
【0035】
下斜板2111及び各上斜板2112の形状は、同じであるか類似する。鋼板の前後に関する定義は、ヒュームの気流方向と一致し、鋼板の前辺の幅w1は、一般的に100~500mmとし、鋼板の長さlは、100~1500mmとし、鋼板の後辺の幅w2は、内筒の直径及び鋼板の長さにより決められ、一般的に100~700mmである。円筒状煙道内では、下斜板2111及び各上斜板2112は、等脚台形鋼板であり、矩形煙道内では、気流が浅層沈降装置の前後を流れる時の流通面積に応じて、下斜板2111及び各上斜板2112は、矩形又は等脚台形鋼板である。
【0036】
等脚台形鋼板/矩形鋼板は、台形/矩形の中心線に沿って両側に折り曲げられ、アーチ状折り板(中心線が高く、脚部が低い2つの小傾斜角の斜面)を形成し、等脚台形鋼板の左右の脚部(鋼板の前後方向間の両側)/矩形鋼板の左右の側辺の輪郭は、斜板支持材2113の寸法及び位置に基づいて、デバリング、支持係止溝の事前残し、平滑化削減等の処理を行う。
【0037】
下斜板2111及び各上斜板2112における脚部の前寄りの位置に、下斜板2111及び各層の上斜板2112を順に接続する前左支持材と前右支持材が設けられ、前左支持材、前右支持材(斜板支持材2113)は、鋼板、支持ロッド、山形鋼、溝形鋼等であってもよく、溶接で又は下斜板2111又は各上斜板2112に係止溝を設ける等の形式で接続される。下斜板2111及び各上斜板2112における脚部の後寄りの位置に、後左支持材と後右支持材が設けられる。
【0038】
さらに、
図5、
図6に示すように、支持ロッド構造22は、接続ユニット224が間隔を隔てて設けられたロッド本体223を含み、各接続ユニットに、斜板支持材2113が固定的に接続される。
【0039】
本実施の形態において、ロッド本体は、鋼管、水冷配管、丸鋼等の形式であってもよく、接続ユニットは、接続リブ、係止座又はブラケットであり、浅層沈降ユニット211を支持するために、ロッド本体は、異なる位置に接続ユニットが設けられる。
【0040】
本発明は、浅層斜板沈降による粒子捕集方法をさらに提供し、該方法は、ヒューム通路におけるヒューム入口101とヒューム出口102との間に、前述の浅層斜板沈降装置2を設けることと、ヒューム入口を介してヒューム通路に入ったヒュームを、ヒューム減速構造により減速させた後に、浅層斜板沈降装置2に向けて流して、減速されたヒュームは、浅層沈降ユニット211のうち、隣接する上斜板2112の間、下斜板2111とそれに隣接する上斜板2112との間のヒューム沈降通路を流れ、テール部バッフル板2114によりガイドされてヒューム出口に向けて流れるようにすることと、ヒューム中の粒子を、下斜板2111及び上斜板2112における灰排出口に近接する一側に沈降させ、かつ下斜板2111及び上斜板2112に沈降された粒子を、下向きに灰排出口に向けて流すことと、を含む。
【0041】
(実施例1)
図1に示すように、ヒューム通路は、円筒状煙道3であり、円筒状煙道3は、インナースリーブ31を含み、インナースリーブ31の下方に、ホッパー32が設けられ、ホッパー32の頂端の直径は、インナースリーブ31の外径よりも大きく設けられ、インナースリーブ31及びホッパー32の外側に、アウタースリーブ33が径方向に間隔を隔てて嵌設され、インナースリーブ31の頂端に、ヒューム入口101が設けられ、インナースリーブ31の側壁に、ヒューム流通構造34が連通して設けられ、ヒューム流通構造34は、インナースリーブ31内のヒュームを減速してアウタースリーブにガイドすることによってヒューム減速構造を構成するために用いられ、アウタースリーブ33の底端に、ヒューム出口102が設けられ、ホッパー32の底端は、アウタースリーブ33の底端に露出して設けられ、ホッパー32の底端に、灰排出口103が設けられ、
ヒューム流通構造34とアウタースリーブ33の内壁との間に、浅層斜板沈降装置2が設けられ、下斜板2111及び各上斜板2112におけるインナースリーブ31に近接する一側は、ホッパー32の上方に位置し、かつ下斜板2111及び各上斜板2112におけるインナースリーブ31に近接する一側は、捕集された粒子が灰排出口103に向けて流れるように、下向きに傾斜して設置され、下斜板2111及び各上斜板2112におけるインナースリーブ31から離れる一側に、テール部バッフル板2114が設けられ、下斜板2111及び各上斜板2112は、アーチ状折り板として配置され、アーチ状折り板の頂折り目線は、インナースリーブ31からアウタースリーブ33へ延伸して設けられる。
【0042】
さらに、
図1、
図2に示すように、ヒューム流通構造34とアウタースリーブ33の内壁との間に、軸方向に貫通する支持ロッド構造22が設けられ、支持ロッド構造22は、ヒューム流通方向に沿って設けられた前支持ロッド列221及び後支持ロッド列222を含み、前支持ロッド列221及び後支持ロッド列222に、各沈降層の浅層沈降ユニット211が支持接続される。
【0043】
斜板沈降領域内で、上から下へ貫通する内外二重(前支持ロッド列221及び後支持ロッド列222)の冷却配管を支持ロッド構造22とし、複数セットの浅層沈降ユニットが上から下へ環状に設けられて浅層斜板沈降装置2を構成することことで、環状斜板沈降領域が形成される。
【0044】
斜板群は、a層の上斜板2112(a≧1)及び1層の下斜板2111からなり、斜板支持材2113は、前左支持材、前右支持材、後左支持材及び後右支持材を含み、テール部バッフル板2114は、後右支持材に接続される。
【0045】
ある転炉のヒュームが気化して煙道を冷却した後の粒子捕集装置を例として、該粒子捕集装置のインナースリーブの仕様は、DN2300mmであり、インナースリーブ31とアウタースリーブ33との間に、二重の冷却配管(前支持ロッド列221及び後支持ロッド列222)が上から下へ斜板沈降領域を貫通するように均一に分布され、各冷却配管(前支持ロッド列221及び後支持ロッド列222)は、いずれも24本の水冷受熱管(ロッド本体)からなる。
【0046】
単一の浅層沈降ユニット211を支持するために、内外(前支持ロッド列221及び後支持ロッド列222)の各水冷受熱管(ロッド本体)のそれぞれに、9つの支持平滑面ブラケット及び係止溝ブラケット(接続ユニット)が上から下へ均一に分布される。内外二重の冷却配管(前支持ロッド列221及び後支持ロッド列222)間に、上から下へ9層配置され、各層には24セットの浅層沈降ユニット211が環状に均一に分布され、浅層斜板沈降装置2を構成することで、斜板沈降領域が形成される。
【0047】
各浅層沈降ユニット211の仕様は一致し、斜板群は、5層の上斜板2112及び1層の下斜板2111からなり、斜板支持材2113は、前左支持材、前右支持材及び後支持フレームを含む。そのうち、後支持フレームは、後左支持材、後右支持材、テール部バッフル板2114、位置決めフックピン及び取付ハンドルを含む。
【0048】
上斜板2112及び下斜板2111は、いずれも前辺が狭く後辺が広い等脚台形鋼板であり、
図5は、本発明の上斜板が等脚台形を呈しかつ前後辺が直線である場合の概略図であり、
図6は、本発明の上斜板が等脚台形を呈しかつ前後辺が円弧である場合の概略図であり、等脚台形鋼板の前辺の幅は、いずれも300mmであり、等脚台形鋼板の長さは、600mmとし、等脚台形鋼板の後辺の幅は、500mmとする。等脚台形鋼板は、台形の中心線に沿って両側に折り曲げられ、アーチ状折り板(中心線が高く、脚部が低い2つの小傾斜角の斜面)を形成し、折り曲げられた前辺の幅は、280mmであり、後辺の幅は、480mmである。等脚台形鋼板の左右の脚部(鋼板の前後方向間の両側)の輪郭は、斜板支持材2113の寸法及び位置に基づいて、デバリング、平滑化削減等の処理を行い、下斜板2111は、さらに脚部に支持係止溝を事前に残す必要がある。
【0049】
5層の上斜板2112及び下斜板2111と水平面との間の第一夾角αは45°であり、斜板自体に備えられる2つの斜面(アーチ状折り板の頂折り目線の両側)と2軸傾斜の斜板群を形成する。
【0050】
隣接する上斜板2112の間、下斜板2111とそれに隣接する上斜板2112との間の間隔bは、70mmであり、下斜板2111及び各上斜板2112における脚部の前寄りの位置に、前左支持材、前右支持材が設けられ、前左支持材、前右支持材は、いずれも耐熱鋼板であり、斜板群の後辺に、後支持フレームが設けられる。後支持フレームは、左後支持板及び右後支持板を含み、左後支持板及び右後支持板は、いずれも鋼板であり、左後支持板及び右後支持板の上下の側辺は、いずれも上斜板2112(下斜板2111)に平行であり、その垂直方向の1つの側縁部に、係止溝が設けられて、各層の斜板(下斜板2111及び各上斜板2112)が接続され、かつ該側縁部の下端に位置決めフックピンが設けられて、垂直方向の他側がテール部バッフル板2114に接続される。
【0051】
テール部バッフル板2114も鋼板であり、テール部バッフル板2114と垂直面との間の第二夾角βは10°であり、テール部バッフル板2114と各斜板の後辺との間の間隔は、上から下に漸増するように設けられる。テール部バッフル板2114の非風上面に、2つの取付ハンドルが設けられ、単一の浅層沈降ユニットの吊持を容易にする。
【0052】
上記実施例において、使用された鋼板の材質は、いずれも耐熱鋼板である。単一の浅層沈降ユニット211は、下斜板と水冷配管に事前に残した平滑面ブラケット及び係止溝ブラケットとの間の接続により、粒子捕集装置における支持を実現する。
【0053】
上記のように、本発明の浅層斜板沈降装置及び粒子捕集方法は、以下のような有益な効果を有する。
【0054】
本発明の斜板沈降領域内に、浅層斜板沈降装置を設けることによって、粉塵含有ヒュームが低い流速で浅層斜板沈降装置に入った後、粒子が斜板に沈降されて、煤塵粒子の分離が実現され、浅層沈降技術を用いて、浅層沈降ユニットは、適切な斜板の層数及び斜板の間隔を設定することにより、沈降効果を確保する。
【0055】
浅層沈降ユニットの各斜板に、2軸傾斜構造を採用することによって、高温熱応力に起因する鋼板の変形の沈降及び収集効果への影響を減少させることができる。
【0056】
浅層沈降ユニットの斜板群のテール部に、バッフル板を設けることによって、ヒュームのガイド作用を果たすだけでなく、ヒューム、特に高温ヒュームの次の接触ユニットに対する直接的なフラッシングを防止することができる。
【0057】
上記は、本発明の例示的な具体的な実施の形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。任意の当業者によって本発明の概念及び原則を逸脱しなくなされた同等の変更及び修正は、いずれも本発明の保護範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0058】
101 ヒューム入口
102 ヒューム出口
103 灰排出口
2 浅層斜板沈降装置
21 沈降層
211 浅層沈降ユニット
2111 下斜板
2112 上斜板
2113 斜板支持材
2114 テール部バッフル板
22 支持ロッド構造
221 前支持ロッド列
222 後支持ロッド列
223 ロッド本体
224 接続ユニット
3 円筒状煙道
31 インナースリーブ
32 ホッパー
33 アウタースリーブ
34 ヒューム流通構造