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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072784
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】生体信号計測装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173565
(22)【出願日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2022183460
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】堀田 祐有
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 朝彦
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084JA02
3B084JC01
(57)【要約】
【課題】被験対象の体動に由来するノイズが生体信号の計測結果に与える影響を抑制することができる生体信号計測装置を提供する。
【解決手段】被験対象を載置する載置部と、前記被験対象に関する生体信号を計測する1または複数の計測センサと、前記計測センサを保持するセンサ保持体と、を備え、前記載置部は、凹部を有し、前記計測センサの少なくとも一部は、前記載置部の前記凹部の内部に配置されており、前記センサ保持体および前記計測センサと、前記載置部とは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である、生体信号計測装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験対象を載置する載置部と、
前記被験対象に関する生体信号を計測する1または複数の計測センサと、
前記計測センサを保持するセンサ保持体と、
を備え、
前記載置部は、凹部を有し、
前記計測センサの少なくとも一部は、前記載置部の前記凹部の内部に配置されており、 前記センサ保持体および前記計測センサと、前記載置部とは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である、
生体信号計測装置。
【請求項2】
前記載置部および前記センサ保持体の少なくとも一方と床との間に配置される防振部を備える、
請求項1に記載の生体信号計測装置。
【請求項3】
前記計測センサを収納するセンサ収納部を備え、
前記センサ収納部は、前記センサ保持体に含まれる構造である、または、前記センサ保持体とは別体で前記センサ保持体に取り付け可能な構造である、
請求項1または請求項2に記載の生体信号計測装置。
【請求項4】
前記センサ収納部は、複数の前記計測センサをアレイ状に設置する構造を有する、
請求項3に記載の生体信号計測装置。
【請求項5】
ホールカバーを備え、
前記載置部の前記凹部は、貫通穴であり、
前記貫通穴に前記ホールカバーが取り付けられ、
前記ホールカバーと、前記センサ保持体および前記計測センサとは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である、
請求項1または請求項2に記載の生体信号計測装置。
【請求項6】
前記ホールカバーの前記計測センサの側であって前記計測センサが配置される部分に計測センサ対応凹部を備える、
請求項5に記載の生体信号計測装置。
【請求項7】
前記計測センサは、磁気センサであり、
前記ホールカバーは、非磁性体で構成される、
請求項5に記載の生体信号計測装置。
【請求項8】
前記載置部の一部の位置または角度の少なくとも一方を調整する載置部調整部を備える、
請求項1または請求項2に記載の生体信号計測装置。
【請求項9】
前記センサ保持体に、前記計測センサの位置または角度の少なくとも一方を直接または間接に調整する計測センサ調整部を備える、
請求項1または請求項2に記載の生体信号計測装置。
【請求項10】
環境ノイズを計測する1または複数のリファレンスセンサと、
前記リファレンスセンサを保持するリファレンスセンサ保持体と、
を備え、
前記リファレンスセンサ保持体および前記リファレンスセンサと、前記載置部とは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である、
請求項1または請求項2に記載の生体信号計測装置。
【請求項11】
前記計測センサは、磁気センサであり、
前記載置部は、非磁性体で構成される、
請求項1または請求項2に記載の生体信号計測装置。
【請求項12】
前記載置部は、椅子であり、
前記凹部は、前記椅子の背もたれ部に設けられている、
請求項1または請求項2に記載の生体信号計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体信号計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、椅子型の生体信号計測装置では、生体信号を計測するセンサ(計測センサ)を椅子の内部に備える場合があり、被験者の体動に由来するノイズが計測結果に重畳することがある。ここで、当該体動は、例えば、呼吸あるいは心拍動を含む。
【0003】
このようなノイズを除去するための代表的なノイズ除去手法として、ハイパスフィルタあるいはローパスフィルタを用いた周波数フィルタリングの手法があるが、計測が希望される信号(関心信号)の周波数帯と体動ノイズの周波数帯とが近い場合には、体動ノイズは関心信号にも影響を及ぼしてしまう。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された乗物シート用生体情報検出装置では、シートの内部に、複数の生体センサが分散して備えられている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/192636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、生体センサ(計測センサ)がシートに埋め込まれているため、被験者の体動に由来するノイズが計測結果に重畳する影響が大きかった。
【0007】
具体例として、計測センサとして磁気センサが用いられる場合、磁気センサは振動に影響を受けやすいため、被験者の体動に由来するノイズの影響が大きい。特に、被験者の身体が磁気センサに直接接触する場合、あるいは、被験者の身体が接触するシートに磁気センサが接触する場合、このようなノイズの影響が大きい。
【0008】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、被験対象の体動に由来するノイズが生体信号の計測結果に与える影響を抑制することができる生体信号計測装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、被験対象を載置する載置部と、前記被験対象に関する生体信号を計測する1または複数の計測センサと、前記計測センサを保持するセンサ保持体と、を備え、前記載置部は、凹部を有し、前記計測センサの少なくとも一部は、前記載置部の前記凹部の内部に配置されており、前記センサ保持体および前記計測センサと、前記載置部とは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である、生体信号計測装置である。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る生体信号計測装置によれば、被験対象の体動に由来するノイズが生体信号の計測結果に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態(第1実施形態)に係る生体信号計測装置の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態(第1実施形態)に係る生体信号計測装置の凹部の付近の構成の一例を示す図である。
図3】実施形態(第1実施形態)に係る生体信号計測装置の利用状況の一例を示す図である。
図4】実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置の構成の一例を示す図である。
図5】実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置を側面から見た様子の一例を示す図である。
図6】実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置の凹部の付近の構成の一例を示す図である。
図7】実施形態(第2実施形態)に係る土台部および板状部を除いて生体信号計測装置の凹部の付近を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図8】実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置の凹部の付近を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図9】実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図10】実施形態(第3実施形態)に係る生体信号計測装置の椅子およびホールカバーを背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図11】実施形態(第3実施形態)に係る生体信号計測装置の凹部の付近の構成の一例を示す図である。
図12】実施形態(第3実施形態)に係る生体信号計測装置の凹部の付近の側面から見た断面の様子の一例を示す図である。
図13】実施形態(第3実施形態)に係るホールカバーを背面の斜め下方から見た様子の一例を示す図である。
図14】実施形態(第3実施形態)に係るホールカバーを上面の斜め上方から見た様子の一例を示す図である。
図15】実施形態(第4実施形態)に係る生体信号計測装置の構成の一例を示す図である。
図16】実施形態(第5実施形態)に係る生体信号計測装置の構成の一例を示す図である。
図17】実施形態(第6実施形態)に係る生体信号計測装置の構成の一例を示す図である。
図18】実施形態(第6実施形態)に係る生体信号計測装置の構成の他の一例を示す図である。
図19】実施形態(第7実施形態)に係る椅子の構成の一例を示す図である。
図20】実施形態(第7実施形態)に係る椅子を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図21】実施形態(第9実施形態)に係るホールカバーの一部を側面から見た断面の様子の一例を示す図である。
図22】実施形態(第9実施形態)に係るホールカバーの一部を背面の斜め下方から見た様子の一例を示す図である。
図23】実施形態(第10実施形態)に係る防振部を有する生体信号計測装置の構成の第1例を示す図である。
図24】実施形態(第10実施形態)に係る防振部を有する生体信号計測装置の構成の第2例を示す図である。
図25】実施形態(第10実施形態)に係る防振部を有する生体信号計測装置の構成の第3例を示す図である。
図26】実施形態(第10実施形態)に係る防振部を有する生体信号計測装置の構成の第4例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、装置を構成する各構成部に説明のための名称を付すが、当該名称は他の名称で呼ばれてもよい。また、各構成部は、必ずしも例示した構成に限られず、他の構成が用いられてもよい。
【0013】
(第1実施形態)
[生体信号計測装置]
図1は、実施形態(第1実施形態)に係る生体信号計測装置1の構成の一例を示す図である。
図2は、実施形態(第1実施形態)に係る生体信号計測装置1の凹部114の付近の構成の一例を示す図である。
図1および図2には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
本実施形態では、Z軸に平行な方向が、重力方向に平行な方向である。Z軸の正の側が上側であり、Z軸の負の側が下側である。
また、本実施形態では、XY平面は、重力方向に対して垂直な面である。
【0014】
生体信号計測装置1は、椅子11と、センサ保持体21と、計測センサ171と、を備える。
本実施形態では、生体信号計測装置1を構成する椅子11およびセンサ保持体21が、被設置部に、直接または間接に(例えば、防振部を介して)置かれている状態を例として説明する。
当該被設置部は、生体信号計測装置1が置かれる場所であり、例えば、床の面または板の面などである。
図1の例では、被設置面は、板31の面である。
板31は、例えば、緩衝材を用いて構成されてもよく、当該緩衝材により振動(衝撃)を吸収して、計測センサ171の計測結果に含まれるノイズを低減することが可能である。
【0015】
ここで、本実施形態では、板31の面は、重力方向(上下方向)に対して垂直な面(水平な面)であることを想定して説明する。
なお、生体信号計測装置1は、他の向きの面に設置されてもよく、例えば、水平方向から多少傾いた面に設置されてもよい。
【0016】
本実施形態では、生体信号を計測する対象となる生体が、人間である場合を示す。本実施形態では、当該人間を被験者と呼ぶ場合がある。
他の例として、生体は、人間以外の動物であってもよい。
【0017】
本実施形態では、生体信号として、生体に起因する磁気の信号(磁気信号)を計測する場合を示す。
他の例として、生体信号は、生体に起因する電気の信号(電気信号)、または、生体に起因する温度の信号(温度信号)などであってもよい。具体例として、生体信号は、心電図の信号であってもよい。
【0018】
<椅子>
椅子11は、被験対象(本実施形態では、被験者)が載置する載置部の一例である。 椅子11は、脚部111と、座面部112と、背もたれ部113と、を有する。
脚部111は、土台となる部分であり、底面を有している。当該底面は、被設置面(図1の例では、板31の面)と接せられる。本実施形態では、当該底面は、平面(または、ほぼ平面)である。
【0019】
座面部112は、脚部111の上方に設けられている。
ここで、座面部112は、例えば、脚部111と一体化されて構成されてもよく、あるいは、脚部111とは別体として構成されてもよい。
座面部112は、上方に座面を有している。当該座面は、例えば、水平面に対して平行な面であってもよく、あるいは、水平面に対して傾きを持つ面であってもよい。
【0020】
背もたれ部113は、脚部111の上方に設けられている。
ここで、背もたれ部113は、例えば、脚部111または座面部112のうちの少なくとも一方と一体化されて構成されてもよく、あるいは、これらとは別体として構成されてもよい。
【0021】
背もたれ部113は、座面部112の座面に対して所定の角度で斜め上方に延びる。 ここで、座面部112の座面と、背もたれ部113の背もたれ面との間の角度は、180度未満となっている。
【0022】
背もたれ部113は、凹部114を有している。
本実施形態では、凹部114は、背もたれ部113の上面と下面とを貫通する穴部(貫通穴の部分)である。凹部114は、背もたれ部113の面(上面および下面)のうちの一部の領域に設けられている。つまり、凹部114は、椅子11の背もたれ部113の一部がくり抜かれた構造を有している。なお、本実施形態では、凹部114が貫通している例を示すが、他の例として、貫通していない凹部が用いられてもよく、例えば、背もたれ部113の下面の方から貫通せずに一部くり抜かれたような構造を有する凹部が用いられてもよい。
【0023】
ここで、本実施形態では、凹部114は、背もたれ部113の面(上面および下面)において、正方形(または、ほぼ正方形)の形状を有しているが、他の形状が用いられてもよく、例えば、長方形、円、または、楕円などの形状が用いられてもよい。
【0024】
<センサ保持体>
センサ保持体21は、三脚部151と、軸部152と、接続部153と、を備える。 三脚部151は、土台となる部分であり、被設置面(図1の例では、板31の面)に接せられる。
軸部152は、棒状の部分である。軸部152の一端は三脚部151と繋がっており、軸部152の他端は接続部153の一端と繋がっている。
【0025】
接続部153は、本実施形態では、所定形状の線状の形状を有している。
接続部153の一端は軸部152の他端と接続されている。接続部153の他端は、計測センサ171を取り付けることが可能な取付部161を有している。
取付部161は、計測センサ171を着脱することが可能な機構を有している。
図1および図2の例では、取付部161に計測センサ171が取り付けられている。
【0026】
ここで、三脚部151、軸部152、および、接続部153は、例えば、互いに着脱可能な構成であってもよく、あるいは、これらのうちの一部または全部が一体化されていてもよい。
また、取付部161と計測センサ171とは、他の例として、着脱不能に(固定的に)一体化されていてもよい。
【0027】
<計測センサ>
計測センサ171は、被験対象(本実施形態では、被験者)に関する生体信号を計測する機能を有する。本実施形態では、計測センサ171は、生体に起因する磁気の信号(磁気信号)を計測する磁気センサである。
本実施形態では、計測センサ171における所定面が取付部161と接続されているが、取り付けの態様としては他の態様が用いられてもよい。なお、計測センサ171では、例えば、センサ内部の感度点において検知対象(例えば、磁気など)を感知する。
【0028】
<椅子およびセンサ保持体の配置>
本実施形態では、椅子11と、センサ保持体21(および、計測センサ171)とは、物理的に分離しており、完全に独立している。
そして、椅子11と、センサ保持体21(および、計測センサ171)とは、互いに接触しないように配置されている。
【0029】
図1の例では、椅子11の背もたれ部113の下面の下方(または、その付近)にセンサ保持体21が設置されている。
そして、計測センサ171が、椅子11の背もたれ部113の下面の側から凹部114の内部に挿入された状態となっている。計測センサ171は、背もたれ部113の上面に平行(または、ほぼ平行)な面にまでは達しない位置に配置されている。
【0030】
<生体信号計測装置の利用状況>
図3は、実施形態(第1実施形態)に係る生体信号計測装置1の利用状況の一例を示す図である。
図3には、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0031】
図3の例では、人間である被験者211が椅子11に座っている状況を示してある。 被験者211は、椅子11の座面部112に座っており、被験者211の背中が背もたれ部113の上面に接している。被験者211の足は、板31の面に接している。
【0032】
図3の例では、背もたれ部113の凹部114は、被験者211の背中の面に含まれている。
図3に示されるような利用状況において、センサ保持体21および計測センサ171は、椅子11および被験者211と接触しない位置に配置されている。
図3の例では、計測センサ171は、被験者211の心臓に起因する磁気信号を計測することが可能であるが、これに限られず、他の生体信号を計測する構成が用いられてもよい。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置1では、被験対象(本実施形態では、被験者211)の体動に由来するノイズが生体信号の計測結果に与える影響を抑制することができる。
本実施形態に係る生体信号計測装置1では、被験者211が椅子11に座った状態で、センサ保持体21および計測センサ171が被験者211と接触しない配置とすることで、被験者211の体動に由来するノイズが計測センサ171の計測結果に重畳する影響を抑制することができる。
【0034】
ここで、本実施形態に係る生体信号計測装置1では、椅子11の背面に凹部114が設けられており、計測センサ171の少なくとも一部(全部でもよい)は凹部114の内部に配置されている。そして、生体信号の計測が行われるとき(利用状況であるとき)には、センサ保持体21および計測センサ171と、椅子11とが、完全に物理的に分離した構造となっていて互いに接触しない配置とされる。
このような配置により、被験者211の体動が計測センサ171に伝わらないことが実現され、当該体動に由来するノイズ(体動ノイズ)が計測結果に重畳することが防止される。
また、凹部114の内部に計測センサ171の少なくとも一部を配置することで、計測センサ171を被験者211の身体に近付けることが可能である。
【0035】
このように、本実施形態に係る生体信号計測装置1では、例えば、被験者211の体動に由来するノイズが計測センサ171の計測結果に重畳することを防ぎつつ、被験者211と計測センサ171との距離を近付けることができる。
また、本実施形態に係る生体信号計測装置1では、例えば、計測センサ171の位置を、被験者211の体格あるいは関心信号に応じて適度な位置に配置することが可能である。
ここで、関心信号は、計測が希望される信号(生体信号)であり、目的信号などと呼ばれてもよい。
【0036】
ここで、例えば、特許文献1に記載された技術のように、椅子の内部に計測センサが備えられる場合には、被験者の体格などに合わせて計測センサの配置を変更することが難しいことが多い。
これに対して、本実施形態に係る生体信号計測装置1では、例えば、計測センサ171を被験者211に接触させずに計測を行うことができ、被験者211と計測センサ171との位置関係を適度に調整することが可能である。
【0037】
ここで、本実施形態では、1個のセンサ保持体21が用いられる場合を示したが、センサ保持体の数は、2個以上であってもよい。
また、本実施形態では、1個のセンサ保持体21に1個の計測センサ171が取り付けられる場合を示したが、他の例として、1個のセンサ保持体に2個以上の計測センサが取り付けられる構成が用いられてもよい。
また、センサ保持体21の配置、および、計測センサ171の配置としては、それぞれ、様々な配置が用いられてもよい。
【0038】
また、椅子11の凹部114の形状としては、任意の形状を有してもよく、例えば、椅子11の背もたれ部113の面(上下の面)において、凹部が円状または楕円状などであってもよい。
また、椅子11において凹部が備えられる位置としては、任意の位置が用いられてもよく、例えば、椅子11に座った被験者211の身体の一部に対応する位置が用いられてもよい。
また、椅子11に備えられる凹部の数としては、必ずしも1個に限られず、2個以上の凹部が備えられてもよい。
【0039】
<椅子の材質>
本実施形態に係る生体信号計測装置1では、例えば、椅子11の材質として、磁性体を使用せずに、非磁性体から構成されてもよい。
このような構成では、例えば、椅子における磁性体の振動に起因する磁気ノイズを無くすことができ、これにより、被験者211の体動に由来するノイズが計測センサ171の計測結果(本実施形態では、磁気信号)に重畳する影響を低減することができ、計測センサ171の計測結果(本実施形態では、磁気信号)の精度を高めることができる。
【0040】
ここで、非磁性体としては、例えば、非磁性体の金属、木、皮、あるいは、ウレタンまたはアクリル等の樹脂、などが用いられてもよい。
例えば、椅子11の内部には、ウレタン等の樹脂が詰められていてもよい。
なお、他の例として、椅子11の材質としては、磁性体を含んでもよい。
【0041】
[計測センサの配置を調整可能な構成例]
図1および図2に示される生体信号計測装置1において、さらに、センサ保持体21の接続部153が変形可能な部材として構成されてもよい。当該部材としては、特に限定はなく、例えば、フレキシブルアームであってもよい。当該フレキシブルアームは、例えば、変形可能な樹脂または金属などを用いて構成されていてもよい。
【0042】
本例では、生体信号計測装置1のオペレーターなどの手動により、接続部153が変形されることで、計測センサ171の配置を調整(変更)することが可能である。
ここで、計測センサ171の配置の調整としては、例えば、計測センサ171の位置の調整と、計測センサ171の角度(例えば、所定の面などが向く角度)の調整と、の一方または両方を含む。
【0043】
以上のように、本例に係る生体信号計測装置1では、計測センサ171の配置を調整することが可能であり、これにより、例えば、被験者211が楽な姿勢のまま計測を行うことができ、安定した状態で生体信号を計測することができる。
本例に係る生体信号計測装置1では、椅子11の凹部114の内部等で計測センサ171を自由に配置することができ、被験者211の体格あるいは生体信号の計測部位(例えば、心臓などの身体の部位)の位置に合わせて、計測センサ171の位置または角度を調整することが可能である。
【0044】
ここで、計測センサ171の配置を調整することが可能な構成としては、本例に限られず、他の任意の構成が用いられてもよい。
また、本例では、オペレーターなどの手動により計測センサ171の配置を調整することが可能な構成を示したが、他の例として、電動(例えば、モーターなど)により計測センサ171の配置を調整することが可能な構成が用いられてもよく、この場合、生体信号計測装置1は、計測センサ171の配置(例えば、位置と角度の一方または両方)の変更を指示するためにオペレーターなどにより操作される操作部を備えてもよい。
【0045】
(第2実施形態)
[生体信号計測装置]
図4は、実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置301の構成の一例を示す図である。
図5は、実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置301を側面から見た様子の一例を示す図である。図5の例では、X軸の正側から負側を見る視点での側面の様子を示してある。
図6は、実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置301の凹部414の付近の構成の一例を示す図である。
【0046】
図4図5および図6には、それぞれ、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
本実施形態では、Z軸に平行な方向が、重力方向に平行な方向である。Z軸の正の側が上側であり、Z軸の負の側が下側である。
また、本実施形態では、XY平面は、重力方向に対して垂直な面である。
【0047】
ここで、本実施形態に係る生体信号計測装置301の構成は、概略的には、センサ保持体321および計測センサ471に関する構成部が第1実施形態(図1の例)の場合と相違しており、他の構成部は第1実施形態(図1の例)の場合と同様である。
本実施形態では、第1実施形態の場合とは相違する構成部について詳しく説明し、第1実施形態の場合と同様な構成部については詳しい説明を省略する。
【0048】
生体信号計測装置301は、椅子311と、センサ保持体321と、計測センサ471と、を備える。
本実施形態では、生体信号計測装置301を構成する椅子311およびセンサ保持体321が、被設置部に、直接または間接に(例えば、防振部を介して)置かれている状態を例として説明する。
当該被設置部は、生体信号計測装置301が置かれる場所であり、例えば、床の面または板の面などである。
図4の例では、被設置面は、板331の面である。
板331は、例えば、緩衝材を用いて構成されてもよく、当該緩衝材により振動(衝撃)を吸収して、計測センサ171の計測結果に含まれるノイズを低減することが可能である。
【0049】
<椅子>
椅子311は、脚部411と、座面部412と、背もたれ部413と、を有する。
背もたれ部413は、凹部414を有している。
ここで、本実施形態に係る椅子311の構成は、第1実施形態(図1の例)に係る椅子11の構成と同様であり、詳しい説明を省略する。
【0050】
<センサ保持体>
センサ保持体321は、土台部451と、支持部452と、センサ収納部461と、を備える。
ここで、本実施形態では、土台部451に対して、2個の支持部452を備えるが、説明の便宜上、1個の支持部452に符号を付してある。これら2個の支持部452は、幅方向(例えば、X軸に平行な方向)の一方側(X軸の正側)と他方側(X軸の負側)にそれぞれ備えられている。
【0051】
土台部451は、土台となる部分であり、被設置面(図4の例では、板331の面)に接せられる。
本実施形態では、土台部451は、複数の板状の部材が組み合わされて構成されているが、これに限定されず、任意の構成が用いられてもよい。
【0052】
支持部452は、上方の面が板面状の部分である。支持部452は土台部451の上部と繋がっており、支持部452の上方の面はセンサ収納部461の背面と繋がっている。 本実施形態では、支持部452の上方の面が、水平方向に対して、一対の辺のうちの一方の辺の高さの位置が他方の辺の高さの位置よりも上方になるように配置されている。つまり、側面視で、支持部452の上方の面が上下方向に関して斜めになっている。
【0053】
本実施形態では、例えば、支持部452の上方の面の側には、センサ収納部461を取り付けることが可能な取付部を有している。
本実施形態では、当該取付部は、センサ収納部461を着脱することが可能な機構を有している。
【0054】
ここで、土台部451および支持部452は、例えば、互いに着脱可能な構成であってもよく、あるいは、これらが一体化されていてもよい。
また、支持部452とセンサ収納部461とは、着脱不能に一体化されていてもよい。
【0055】
センサ収納部461は、計測センサを収納することが可能な収納部であり、本実施形態では、複数の計測センサをアレイ状に収納することが可能な収納部である。
本実施形態では、センサ収納部461は、概略的には、直方体状の形状を有しており、その直方体の一面は開口しており、その開口部を通じる内部(空洞状の部分)に、複数の計測センサをアレイ状に収納する機構(収納機構)を備えている。本実施形態では、複数の計測センサのアレイは、センサ収納部461の開口面の直交する辺のうちの一方の辺に平行に複数並ぶとともに他方の辺に平行に複数並ぶアレイであり、例えば、格子状に規則正しく計測センサが並んでいるアレイである。なお、このように複数のセンサ(ここでは、計測センサ)がアレイ状に並べられたものは、センサアレイと呼ばれてもよい。
なお、本実施形態では、複数の計測センサをアレイ状に収納することが可能な構造を有するセンサ収納部461を示すが、これに限られず、他の任意の配置で計測センサを収納することが可能な構造を有するセンサ収納部が用いられてもよい。
【0056】
ここで、センサ収納部461の収納機構は、複数の計測センサのそれぞれを着脱することが可能な機構であるが、他の例として、センサ収納部461の収納機構と計測センサとが固定的に一体化されていてもよい。
【0057】
図4等の例では、センサ収納部461の開口部の面に対向する面(背面)は、支持部452の上面に取り付けられている。これにより、側面視で、センサ収納部461の開口部の面およびそれに対向する面(背面)が上下方向に関して斜めになっている。
【0058】
本実施形態では、センサ収納部461の当該面(背面)は、その中央(または、ほぼ中央)の位置に、穴部511を有している。
本実施形態では、穴部511は、円状の形状を有しているが、他の形状を有していてもよく、例えば、長方形状または楕円状などの形状を有していてもよい。
本実施形態では、センサ収納部461の当該面(背面)において、その中央(または、ほぼ中央)の位置に穴部511を備えているが、これに限られず、他の位置に穴部511が備えられてもよい。
【0059】
<計測センサ>
本実施形態では、センサ収納部461の収納部に、複数の計測センサがアレイ状に取り付けられている。
本実施形態では、図5等の例において、複数の計測センサのうちの1個の計測センサ471のみに符号を付してある。
【0060】
計測センサ471は、被験対象(本実施形態では、被験者)に関する生体信号を計測する機能を有する。本実施形態では、計測センサ471は、生体に起因する磁気の信号(磁気信号)を計測する磁気センサである。
本実施形態では、計測センサ471における所定の面などが、センサ収納部461の開口部の外部に向くように配置されているが、配置の態様としては他の態様が用いられてもよい。
【0061】
ここで、本実施形態では、センサ収納部461は、センサ保持体321に含まれるとして説明したが、他の例として、センサ保持体321とは別体であって、センサ保持体321に取り付け可能であると捉えられてもよい。
【0062】
<椅子およびセンサ保持体の配置>
本実施形態では、椅子311と、センサ保持体321(および、複数の計測センサ471)とは、物理的に分離しており、完全に独立している。
そして、椅子311と、センサ保持体321(および、複数の計測センサ471)とは、互いに接触しないように配置されている。
【0063】
本実施形態では、椅子311の凹部414の内部に、センサ収納部461が収納されている。なお、椅子311の凹部414とセンサ収納部461とは接触しないように配置される。
図4等の例では、センサ収納部461の開口部の面において、当該面の上下の対の辺のうち、当該面の下方の辺は背もたれ部413の下方(凹部414の下方)に位置し、当該面の上方の辺は背もたれ部413の上方(凹部414の上方)に位置するように、配置されている。
【0064】
<生体信号計測装置の利用状況>
生体信号計測装置301の利用状況は、図3の例と同様である。
【0065】
<生体信号計測装置の背面の様子の例>
図7は、実施形態(第2実施形態)に係る土台部451および支持部452を除いて生体信号計測装置301の凹部414の付近を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図8は、実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置301の凹部414の付近を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図9は、実施形態(第2実施形態)に係る生体信号計測装置301を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図7図8および図9には、それぞれ、図4と同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0066】
<センサ収納部の穴部>
本実施形態では、それぞれの計測センサ471は、ケーブル(図示を省略)の一端と接続されており、当該ケーブルの他端は所定装置(図示を省略)と接続されている。それぞれの計測センサ471と当該所定装置とは、当該ケーブルを介して、通信することが可能である。
当該所定装置は、例えば、コンピューターであり、複数の計測センサ471のそれぞれから出力される計測結果の信号(生体信号)を受信して取得し、取得した生体信号について所定の処理を実行する。当該所定の処理は、任意の処理であってもよく、例えば、取得した生体信号を記憶部に記憶する処理、あるいは、取得した生体信号に所定の演算を施す処理などであってもよい。
【0067】
本実施形態では、センサ収納部461の穴部511は、これら複数のケーブルを通すことが可能な領域を有している。
また、本実施形態では、これら複数のケーブルが所定装置に接続できるように、センサ保持体321はセンサ収納部461の穴部511を塞がない構成を有している。
【0068】
ここで、例えば、これら複数のケーブルはセンサ収納部461の穴部511以外の箇所に通されてもよく、この場合、センサ収納部461の穴部511は備えられなくてもよい。
また、例えば、それぞれの計測センサ471と所定装置(例えば、コンピューター)とは、有線のケーブルを備えずに、無線で通信を行ってもよく、この場合、センサ収納部461の穴部511は備えられなくてもよい。
【0069】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置301では、例えば第1実施形態の場合と同様に、被験対象(本実施形態では、被験者)の体動に由来するノイズが生体信号の計測結果に与える影響を抑制することができる。
本実施形態に係る生体信号計測装置301では、被験者が椅子311に座った状態で、センサ保持体321および計測センサ471が被験者と接触しない配置とすることで、被験者の体動に由来するノイズが計測センサ471の計測結果に重畳する影響を抑制することができる。
【0070】
ここで、本実施形態に係る生体信号計測装置301では、椅子311の背面に凹部414が設けられており、複数の計測センサ471の少なくとも一部(全部でもよい)は凹部414の内部に配置されている。そして、生体信号の計測が行われるとき(利用状況であるとき)には、センサ保持体321および計測センサ471と、椅子311とが、完全に物理的に分離した構造となっていて互いに接触しない配置とされる。
このような配置により、被験者の体動が計測センサ471に伝わらないことが実現され、当該体動に由来するノイズ(体動ノイズ)が計測結果に重畳することが防止される。 また、凹部414の内部に計測センサ471の少なくとも一部を配置することで、計測センサ471を被験者の身体に近付けることが可能である。
【0071】
このように、本実施形態に係る生体信号計測装置301では、例えば、被験者の体動に由来するノイズが計測センサ471の計測結果に重畳することを防ぎつつ、被験者と計測センサ471との距離を近付けることができる。
また、本実施形態に係る生体信号計測装置301では、例えば、計測センサ471の位置を、被験者の体格あるいは関心信号に応じて適度な位置に配置することが可能である。 ここで、関心信号は、計測が希望される信号(生体信号)であり、目的信号などと呼ばれてもよい。
【0072】
例えば、複数の計測センサ471のうちの1以上の少なくとも一部が、凹部414の内部に配置されている。
例えば、複数の計測センサ471のすべてについて、それぞれの計測センサ471の少なくとも一部が、凹部414の内部に配置されている。当該一部(それぞれの計測センサの一部分)は、例えば、複数の計測センサ471のすべてについて共通であってもよい。
【0073】
一例として、本実施形態のように複数の計測センサをアレイ状に収納するセンサ収納部の収納面の形状として、当該アレイ状の部分の中心に近い方が周辺よりも突出している形状が用いられてもよく、具体例として、球面状の形状が用いられてもよい。この場合、例えば、当該アレイ状の部分の中心に近い一部の計測センサが部分的にまたは全体的に凹部414の内部に配置され、周辺の他の計測センサが凹部の外部に配置されるような配置態様が用いられてもよい。
【0074】
本実施形態に係る生体信号計測装置301では、複数の計測センサ471が用いられることで、総じて、生体信号を捉えやすくすることができる。
なお、複数の計測センサ471のそれぞれにより計測される生体信号は、例えば、別々に処理されてもよく、あるいは、平均化などされて、その平均化などの結果の処理(複数の生体信号の平均結果などの処理)が行われてもよい。
【0075】
ここで、本実施形態では、1個のセンサ保持体321が用いられる場合を示したが、センサ保持体の数は、2個以上であってもよい。
また、センサ保持体321の配置、および、計測センサ471の配置としては、それぞれ、様々な配置が用いられてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、複数の計測センサがアレイ状に配置される構成を示したが、複数の計測センサの配置態様としては、これに限られず、他の任意の配置態様が用いられてもよい。
【0077】
(第3実施形態)
[ホールカバーを備える生体信号計測装置]
図10図14を参照して、生体信号計測装置301がホールカバー611を備える場合について説明する。
ここで、図10図14の例では、図4図9に示される生体信号計測装置301がさらにホールカバー611を備える場合を説明する。
なお、図10図11の例では、図示を簡易化するために、ホールカバー611の詳しい構成部分については符号の図示を省略する。図12図14において、ホールカバー611の詳しい構成部分について符号を用いて説明する。
【0078】
図10は、実施形態(第3実施形態)に係る生体信号計測装置301の椅子311およびホールカバー611を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図10には、図4と同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0079】
図10の例では、説明の便宜上、椅子311に対してホールカバー611が分解された状態を示してある。
ホールカバー611は、椅子311の背もたれ部413の下方から、椅子311の背もたれ部413の凹部414の内部に嵌め込まれる。そして、ホールカバー611は、被験者が椅子311に座った状態で、当該被験者を支持する支持部となる。本実施形態では、ホールカバー611は、椅子311におけるホールカバー611の周辺部と合わせて、被験者の該当箇所(本実施形態では、被験者の背中付近)を支持することができる程度の強度で構成される。
【0080】
ここで、本実施形態では、椅子311とホールカバー611とは着脱することが可能な構成であるが、他の例として、椅子311とホールカバー611とが固定的に一体化されていてもよい。
なお、ホールカバー611は、例えば、椅子311の構成部であると捉えられてもよく、あるいは、椅子311とは独立した構成部であると捉えられてもよい。
【0081】
図11は、実施形態(第3実施形態)に係る生体信号計測装置301の凹部414の付近の構成の一例を示す図である。
ここで、図11では、図示の都合上、ホールカバー611の上面部を透明に図示して、凹部414の内部に存在するセンサ収納部461および計測センサ471の様子を示してある。なお、ホールカバー611の上面部は透明な部材から構成されてもよいが、本実施形態では、ホールカバー611の上面部は不透明な部材から構成されている。本実施形態では、凹部414は、背もたれ部413の上面と下面とを貫通する穴部である。
なお、ホールカバー611の上面部は、例えば、前面部などと呼ばれてもよい。
図12は、実施形態(第3実施形態)に係る生体信号計測装置301の凹部414の付近の側面から見た断面の様子の一例を示す図である。当該断面は、幅方向(例えば、X軸に平行な方向)について、椅子311の中央部付近の断面である。
ここで、凹部414の内部に存在するセンサ収容部461および複数の計測センサ471は、ホールカバー611とは接触しない位置に配置されている。つまり、センサ保持体321および複数の計測センサ471(本実施形態では、センサアレイ)は、ホールカバー611と接触しない位置に配置されており、両者の間には隙間が存在する。
【0082】
<ホールカバー>
図13は、実施形態(第3実施形態)に係るホールカバー611を背面の斜め下方から見た様子の一例を示す図である。
図14は、実施形態(第3実施形態)に係るホールカバー611を上面の斜め上方から見た様子の一例を示す図である。
図13および図14には、それぞれ、図4と同様なXYZ直交座標系を示してある。なお、図13および図14の例では、椅子311にホールカバー611が取り付けられた状態について、XYZ直交座標系を示してある。
【0083】
ホールカバー611は、概略的には、枠部651と、4個のL字部661~664と、を有している。
枠部651は、椅子311の背もたれ部413の凹部414の内部に嵌まる形状を有する。
本実施形態では、枠部651は、上面側に面(上面部671)を有しており、背面側は開口部となっている。当該開口部は、上面部671と、上面部671が有する4個の辺のそれぞれに繋がる側面側の4個の面(側面部)と、で囲まれた部分である。
なお、本実施形態では、上面部671は、枠部651と一体であって枠部651の一部となっているが、他の例として、上面部671は枠部(ここでは、枠部651から上面部671を除いた部分)と別体であると捉えられてもよい。
【0084】
本実施形態では、枠部651は、正方形(または、ほぼ正方形)の形状を有する上面部671を有する枠の部分である。
枠部651は、当該正方形の4個の辺のそれぞれの位置に板状部材(側面部の部材)を有しており、当該正方形(上面部671)および4個の側面部で囲まれる内部は中空である。当該板状部材は、枠の側面を構成する部材となっている。当該板状部材の面(枠の外側に向いている面および内側に向いている面)は、例えば、長方形(または、ほぼ長方形)の形状を有している。
枠部651が椅子311の凹部414に嵌められた状態では、4個の当該板状部材の一方の面(枠の外側に向いている面)は、凹部414の内面(凹部414の内部の面)と接する。また、この状態では、上面部671は、椅子311の凹部414のうちの上面側を塞ぎ、背もたれ部413の上面の部分を形成する。この状態では、被験者が椅子311に座ったときに、当該被験者の背中がホールカバー611(主に、上面部671)にも当たって支持される。
【0085】
枠部651が有する4個の当該板状部材の他方の面(枠の内側に向いている面)には、それぞれ、L字部661~664の一面が繋がっている。
それぞれのL字部661~664は、例えば、互いに所定の角度(例えば、90度)で交差する2個の板状部がL字状に繋がっていて構成されている。
枠部651が有する4個の当該板状部材のそれぞれの他方の面(枠の内側に向いている面)には、それぞれのL字部661~664のL字状の一方の板状部の一面が接続されており、当該L字状の他方の板状部は枠部651の外側(枠部651の中空部ではない側)に延びるように配置されている。
【0086】
本実施形態では、枠部651の中空部の中空方向に沿った視点で見た場合に、枠部651の枠の正方形(または、ほぼ正方形)の各辺から外側へ伸びるように、それぞれのL字部661~664のL字状の他方の板状部が配置されている。
枠部651が椅子311の凹部414に嵌められた状態では、当該他方の板状部の一面(椅子311の背もたれ部413の背面と対向する側の面)は、椅子311の背もたれ部413の背面と接する。
【0087】
本実施形態では、ホールカバー611の枠部651は、椅子311の凹部414に嵌められた状態で、外部からの力無しでは凹部414から抜け落ちない形状を有している。つまり、本実施形態では、生体信号計測装置301のオペレーター(人)などの手動により、椅子311の凹部414に対してホールカバー611の枠部651が嵌め込まれて取り付けられ、また、椅子311の凹部414に取り付けられているホールカバー611の枠部651が取り外される。
【0088】
他の例として、生体信号計測装置301は、ホールカバー611の枠部651が椅子311の凹部414に嵌められた状態で、ホールカバー611と椅子311とを固定する固定具を備えてもよい。
当該固定具としては、任意の固定具が用いられてもよく、例えば、ネジ、係止部、または、接着剤などが用いられてもよい。
このように、椅子311とホールカバー611とを固定する手法としては、特に限定はなく、例えば、ネジを用いて固定する手法、係止部を用いて固定する手法、あるいは、接着剤を用いて固定する手法などが用いられてもよい。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置301では、例えば第2実施形態と同様な効果を得ることができ、さらに、ホールカバー611を備える。
ホールカバー611は、例えば、椅子311の背面から背もたれ部413に取り付けられ、センサ保持体321および複数の計測センサ471(本実施形態では、センサアレイ)と接触しない。本実施形態では、センサ保持体321および複数の計測センサ471と、ホールカバー611とは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である。
【0090】
本実施形態に係る生体信号計測装置301では、被験者の身体をホールカバー611で支えることができる。これにより、本実施形態に係る生体信号計測装置301では、被験者が安定した状態(例えば、椅子311に座っているときの揺れが少ない状態)で、計測センサ471を被験者と接触させず、かつ、計測センサ471を被験者に近付けることができ、より高い精度で生体信号を計測することが可能となる。
【0091】
<ホールカバーの材質>
本実施形態に係る生体信号計測装置301では、例えば、ホールカバー611の材質として、磁性体を使用せずに、非磁性体から構成されてもよい。
このような構成では、例えば、ホールカバーにおける磁性体の振動に起因する磁気ノイズを無くすことができ、これにより、被験者211の体動に由来するノイズが計測センサ471の計測結果(本実施形態では、磁気信号)に重畳する影響を低減することができ、計測センサ471の計測結果(本実施形態では、磁気信号)の精度を高めることができる。
【0092】
ここで、非磁性体としては、例えば、非磁性体の金属、木、皮、あるいは、ウレタンまたはアクリル等の樹脂、などが用いられてもよい。
なお、他の例として、ホールカバー611の材質としては、磁性体を含んでもよい。
【0093】
本実施形態に係る生体信号計測装置301では、例えば、椅子311およびホールカバー611の材質として、磁性体を使用せずに、非磁性体から構成されてもよい。
このような構成では、さらに、計測センサ471の計測結果(本実施形態では、磁気信号)の精度を高めることができる。
【0094】
(第4実施形態)
[椅子調整部を備える生体信号計測装置]
図15を参照して、生体信号計測装置301aが椅子調整部711を備える場合について説明する。
ここで、図15の例では、図4に示される生体信号計測装置301と同様な構成においてさらに椅子調整部711を備える生体信号計測装置301aを示す。
このため、本実施形態では、図4に示される生体信号計測装置301と同様な構成部については、同じ符号を付して説明する。
【0095】
図15は、実施形態(第4実施形態)に係る生体信号計測装置301aの構成の一例を示す図である。
図15には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
【0096】
生体信号計測装置301aは、椅子311aと、センサ保持体321と、計測センサ471と、を備える。
本実施形態では、生体信号計測装置301aを構成する椅子311aおよびセンサ保持体321が、被設置部に、直接または間接に(例えば、防振部を介して)置かれている状態を例として説明する。
当該被設置部は、生体信号計測装置301aが置かれる場所であり、例えば、床の面または板の面などである。
図15の例では、被設置面は、板331の面である。
【0097】
ここで、本実施形態では、センサ保持体321および計測センサ471としては、図4の例と同様な構成を有している。
【0098】
<椅子>
椅子311aは、脚部411と、座面部412と、背もたれ部413と、椅子調整部711と、を有する。
背もたれ部413は、凹部414を有している。
【0099】
ここで、本実施形態では、椅子311aの構成は、図4に示される椅子311の構成と比べて、概略的には、椅子調整部711を備える点で相違しており、他の点で同様である。
椅子調整部711は、例えば、椅子311aの座面部412の座面に対する背もたれ部413の上面の角度(傾き)を調整する機構を有している。
【0100】
図15の例では、椅子調整部711は、レバーなどの操作部を有している。そして、椅子調整部711は、オペレーターなど(例えば、被験者であってもよい)の手動により当該操作部が操作されることで、椅子311aの背もたれ部413の角度を調整することが可能な機構を有している。
図15の例では、このような操作部は、座面部412と背もたれ部413との繋ぎ目付近であって、被験者が椅子311aに座った場合の左側(被験者から見て左側)に配置されているが、その配置箇所としては、これに限られず、他の箇所が用いられてもよい。
【0101】
一例として、椅子調整部711は、オペレーターなど(例えば、被験者であってもよい)の手動により座面部412の座面に対する背もたれ部413の上面の角度を変更することが可能な機構を有しており、その変更が可能な状態と不可能な状態とを切り替える操作部(例えば、ストッパーとなるレバーなど)を有していてもよい。この場合、被験者などは、当該操作部により当該変更が可能な状態に切り替えて当該角度を変更し、任意の角度に調整した後に、当該操作部により当該変更が不可能な状態に切り替えることで、当該角度の調整を行うことができる。
他の例として、椅子調整部711は、電動(例えば、モーターなど)により座面部412の座面に対する背もたれ部413の上面の角度を変更することが可能な機構を有しており、その変更を指示するための操作部を有していてもよい。この場合、被験者などは、当該操作部を操作することで、当該角度の調整を行うことができる。
【0102】
ここでは、椅子調整部711が椅子311aの背もたれ部413の角度を調整することが可能な例を示したが、椅子調整部711は、椅子311aにおける他の調整対象を調整することが可能であってもよく、また、例えば、2以上の調整対象を調整することが可能であってもよい。
当該他の調整対象としては、例えば、座面部412の高さ方向の位置などであってもよい。なお、各種の調整を行うための機構は、例えば、背もたれ部413の角度を調整する機構と同様に、任意の機構が用いられてもよい。
一例として、当該他の調整対象として、椅子311aの位置(椅子311a自体の位置)が用いられてもよく、この場合、椅子311aの位置を1以上の所定方向に移動させることが可能なレールの機構が用いられてもよい。当該所定方向として、例えば、幅方向(例えば、X軸に平行な方向)、および、前後方向(例えば、Y軸に平行な方向)の一方または両方が用いられてもよい。
【0103】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置301aでは、椅子311aの一部または全部(椅子311a自体)の配置を調整することが可能であり、これにより、例えば、被験者が楽な姿勢のまま計測を行うことができ、安定した状態で生体信号を計測することができる。
ここで、椅子調整部711(載置部調整部の一例)は、例えば、椅子311aの一部の位置または角度の少なくとも一方を調整する。
【0104】
(第5実施形態)
[計測センサ調整部を備える生体信号計測装置]
図16を参照して、生体信号計測装置301bが計測センサ調整部751を備える場合について説明する。
ここで、図16の例では、図15に示される生体信号計測装置301aと同様な構成においてさらに計測センサ調整部751を備える生体信号計測装置301bを示す。
このため、本実施形態では、図15に示される生体信号計測装置301aと同様な構成部については、同じ符号を付して説明する。
【0105】
図16は、実施形態(第5実施形態)に係る生体信号計測装置301bの構成の一例を示す図である。
図16には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。 なお、図16の例では、説明の便宜上、生体信号計測装置301bの構成の一部として、
椅子311aの一部およびセンサ保持体321bの一部を下方から斜視した様子の一例を示してある。
【0106】
生体信号計測装置301bは、椅子311aと、センサ保持体321bと、計測センサ471と、を備える。
本実施形態では、生体信号計測装置301bを構成する椅子311aおよびセンサ保持体321bが、被設置部に、直接または間接に(例えば、防振部を介して)置かれている状態を例として説明する。
当該被設置部は、生体信号計測装置301bが置かれる場所であり、例えば、床の面または板の面などである。
図16の例では、被設置面は、板331(図16では、図示を省略)の面である。
【0107】
ここで、本実施形態では、椅子311aおよび計測センサ471としては、図15の例と同様な構成を有している。
【0108】
<センサ保持体>
センサ保持体321bは、土台部451と、支持部452と、センサ収納部461と、計測センサ調整部751と、を備える。
【0109】
ここで、本実施形態では、センサ保持体321bの構成は、図15(および図4)に示されるセンサ保持体321の構成と比べて、概略的には、計測センサ調整部751を備える点で相違しており、他の点で同様である。
計測センサ調整部751は、例えば、上下方向(または、水平方向でもよい。)に対する支持部452(本実施形態では、両側にある2個の支持部)の上面(上方の面)の角度(傾き)を調整する機構を有している。本実施形態では、支持部452の上面の角度が調整されると、それに伴って、支持部452に設けられたセンサ収納部461の角度が調整され、それに伴ってセンサ収納部461に収納された計測センサ471の角度が調整される。
【0110】
図16の例では、計測センサ調整部751は、レバーなどの操作部を有している。そして、計測センサ調整部751は、オペレーターなどの手動により当該操作部が操作されることで、支持部452の上面の角度を調整することが可能な機構を有している。
図16の例では、このような操作部は、支持部452に備えられており、支持部452において、被験者が椅子311aに座った場合の左側(被験者から見て左側)の面に配置されているが、その配置箇所としては、これに限られず、他の箇所が用いられてもよい。
【0111】
一例として、計測センサ調整部751は、オペレーターなどの手動により上下方向に対する支持部452の上面の角度を変更することが可能な機構を有しており、その変更が可能な状態と不可能な状態とを切り替える操作部(例えば、ストッパーとなるレバーなど)を有していてもよい。この場合、オペレーターなどは、当該操作部により当該変更が可能な状態に切り替えて当該角度を変更し、任意の角度に調整した後に、当該操作部により当該変更が不可能な状態に切り替えることで、当該角度の調整を行うことができる。
他の例として、計測センサ調整部751は、電動(例えば、モーターなど)により上下方向に対する支持部452の上面の角度を変更することが可能な機構を有しており、その変更を指示するための操作部を有していてもよい。この場合、オペレーターなどは、当該操作部を操作することで、当該角度の調整を行うことができる。
【0112】
ここでは、計測センサ調整部751がセンサ保持体321bの支持部452の上面の角度(つまり、計測センサ471が向く角度)を調整することが可能な例を示したが、計測センサ調整部751は、計測センサ471に関する他の調整対象を調整することが可能であってもよく、また、例えば、2以上の調整対象を調整することが可能であってもよい。 当該他の調整対象としては、例えば、支持部452(その上面)の高さ方向の位置(つまり、計測センサ471の高さ方向の位置)などであってもよい。なお、各種の調整を行うための機構は、例えば、支持部452の上面の角度を調整する機構と同様に、任意の機構が用いられてもよい。
一例として、当該他の調整対象として、センサ保持体321bの位置(センサ保持体321b自体の位置)が用いられてもよく、この場合、センサ保持体321bの位置を1以上の所定方向に移動させることが可能なレールの機構が用いられてもよい。当該所定方向として、例えば、幅方向(例えば、X軸に平行な方向)、および、前後方向(例えば、Y軸に平行な方向)の一方または両方が用いられてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、計測センサ調整部751が、センサ保持体321bの支持部452の上面の角度等を変更する場合を示したが、他の例として、センサ保持体321bの土台部451の角度等、または、センサ収納部461の角度等を変更する構成が用いられてもよい。
【0114】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置301bでは、計測センサ471の配置を調整することが可能であり、これにより、例えば、被験者が楽な姿勢のまま計測を行うことができ、安定した状態で生体信号を計測することができる。
本例に係る生体信号計測装置301bでは、椅子311aの凹部414の内部等で計測センサ471を自由に配置することができ、被験者の体格あるいは生体信号の計測部位(例えば、心臓などの身体の部位)の位置に合わせて、計測センサ471の位置または角度を調整することが可能である。
ここで、計測センサ調整部751は、例えば、計測センサ471の位置または角度の少なくとも一方を直接または間接に調整する。
【0115】
(第6実施形態)
[リファレンスセンサ保持体およびリファレンスセンサを備える生体信号計測装置] 図17図18を参照して、生体信号計測装置がリファレンスセンサ保持体およびリファレンスセンサを備える場合について説明する。
ここで、図17図18の例では、図16に示される生体信号計測装置301bと同様な構成においてさらにリファレンスセンサ保持体およびリファレンスセンサを備える生体信号計測装置を示す。
このため、本実施形態では、図16に示される生体信号計測装置301bと同様な構成部については、同じ符号を付して説明する。
【0116】
<生体信号計測装置の一例>
図17は、実施形態(第6実施形態)に係る生体信号計測装置801の構成の一例を示す図である。
図17には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
【0117】
生体信号計測装置801は、椅子311aと、センサ保持体321bと、計測センサ471と、2個のリファレンスセンサ保持体821A、821Bと、それぞれのリファレンスセンサ保持体821A、821Bにより保持されるリファレンスセンサ921A、921Bと、を備える。
【0118】
本実施形態では、生体信号計測装置801を構成する椅子311a、センサ保持体321b、および、リファレンスセンサ保持体821A、821Bが、被設置部に、直接または間接に(例えば、防振部を介して)置かれている状態を例として説明する。
当該被設置部は、生体信号計測装置801が置かれる場所であり、例えば、床の面または板の面などである。
図17の例では、被設置面は、板331の面である。
【0119】
ここで、本実施形態では、椅子311a、センサ保持体321b、および、計測センサ471としては、図16の例と同様な構成を有している。
本実施形態では、リファレンスセンサ保持体821Aの構成とリファレンスセンサ保持体821Bの構成とは同様であり、リファレンスセンサ保持体821Aを代表させて説明する。
また、本実施形態では、リファレンスセンサ921Aの構成とリファレンスセンサ921Bの構成とは同様であり、リファレンスセンサ921Aを代表させて説明する。
【0120】
<リファレンスセンサ保持体>
リファレンスセンサ保持体821Aは、脚部911Aと、軸部912Aと、リファレンスセンサ収納部913Aと、を備える。
脚部911Aは、土台となる部分であり、被設置面(図17の例では、板331の面)に接せられる。
本実施形態では、脚部911Aは、四脚の構成を有しているが、これに限定されず、任意の構成が用いられてもよい。
【0121】
軸部912Aは、棒状の部分である。軸部912Aの一端は脚部911Aと繋がっており、軸部912Aの他端はリファレンスセンサ収納部913Aの背面と繋がっている。
【0122】
リファレンスセンサ収納部913Aは、複数のリファレンスセンサを収納することが可能な収納部である。
本実施形態では、リファレンスセンサ収納部913Aは、概略的には、直方体状の形状を有しており、その直方体の一面に、複数のリファレンスセンサを(例えば、アレイ状または他の配置で)収納する機構(収納機構)を備えている。本実施形態では、複数のリファレンスセンサの収納機構は、リファレンスセンサ収納部913Aの収納面の直交する辺のうちの一方の辺に平行に複数並ぶとともに他方の辺に平行に複数並ぶアレイであり、例えば、格子状に規則正しくリファレンスセンサが並んでいるアレイである。なお、このように複数のセンサ(ここでは、リファレンスセンサ)がアレイ状に並べられたものは、センサアレイと呼ばれてもよい。
【0123】
ここで、リファレンスセンサ収納部913Aの収納機構は、複数のリファレンスセンサのそれぞれを着脱することが可能な機構であるが、他の例として、リファレンスセンサ収納部913Aの収納機構とリファレンスセンサとが固定的に一体化されていてもよい。
【0124】
図17の例では、リファレンスセンサ収納部913Aの収納面に対向する面(背面)は、軸部912Aの他端(上側の端)に取り付けられている。
本実施形態では、リファレンスセンサ収納部913Aの収納面が、水平方向に対して、一対の辺のうちの一方の辺の高さの位置が他方の辺の高さの位置よりも上方になるように配置されている。つまり、側面視で、リファレンスセンサ収納部913Aの収納面が上下方向に関して斜めになっている。
【0125】
ここで、軸部912Aおよびリファレンスセンサ収納部913Aは、例えば、互いに着脱可能な構成であってもよく、あるいは、これらが一体化されていてもよい。
【0126】
<リファレンスセンサ>
本実施形態では、リファレンスセンサ収納部913Aの収納面に、複数のリファレンスセンサが取り付けられている。
本実施形態では、図17の例において、これら複数のリファレンスセンサのうちの1個のリファレンスセンサ921Aのみに符号を付してある。
【0127】
リファレンスセンサ921Aは、所定のリファレンス信号を計測する機能を有する。本実施形態では、リファレンスセンサ921Aは、環境における磁気の信号(磁気信号)を計測する磁気センサである。
本実施形態では、リファレンスセンサ921Aにおける所定の面などがリファレンスセンサ収納部913Aの収納面の外部に向くように配置されているが、配置の態様としては他の態様が用いられてもよい。
本実施形態では、リファレンス信号は、計測センサ471による計測対象となる関心信号(生体信号)に対して、環境ノイズとなる信号である。
【0128】
ここで、本実施形態では、リファレンスセンサ収納部913Aは、リファレンスセンサ保持体821Aに含まれるとして説明したが、他の例として、リファレンスセンサ保持体821Aとは別体であると捉えられてもよい。
【0129】
<椅子、センサ保持体、および、リファレンスセンサ保持体の配置>
本実施形態では、椅子311aと、センサ保持体321b(および、複数の計測センサ471)と、リファレンスセンサ保持体821A(および、複数のリファレンスセンサ921A)と、リファレンスセンサ保持体821B(および、複数のリファレンスセンサ921B)とは、物理的に分離しており、完全に独立している。
そして、これらは、互いに接触しないように配置されている。
【0130】
図17の例では、リファレンスセンサ保持体821A(および、複数のリファレンスセンサ921A)は、センサ保持体321bの位置に対して、被験者が椅子311aに座った場合の左側(被験者から見て左側)に配置されている。また、リファレンスセンサ保持体821A(および、複数のリファレンスセンサ921A)は、リファレンスセンサ収納部913Aの収納面が、背もたれ部413の上面が向く方向と同じ(または、それに近い)斜め上方を向くように、配置されている。
【0131】
また、図17の例では、リファレンスセンサ保持体821B(および、複数のリファレンスセンサ921B)は、センサ保持体321bの位置に対して、被験者が椅子311aに座った場合の右側(被験者から見て右側)に配置されている。また、リファレンスセンサ保持体821B(および、複数のリファレンスセンサ921B)は、リファレンスセンサ収納部の収納面が、背もたれ部413の上面が向く方向と同じ(または、それに近い)斜め上方を向くように、配置されている。
【0132】
<生体信号計測装置の他の例>
図18は、実施形態(第6実施形態)に係る生体信号計測装置1001の構成の他の一例を示す図である。
図18には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
【0133】
生体信号計測装置1001は、椅子311aと、センサ保持体321cと、計測センサ471と、2個のリファレンスセンサ保持体1111A、1111Bと、それぞれのリファレンスセンサ保持体1111A、1111Bにより保持されるリファレンスセンサ1121A、1121Bと、を備える。
【0134】
本実施形態では、生体信号計測装置1001を構成する椅子311aおよびセンサ保持体321cが、被設置部に、直接または間接に(例えば、防振部を介して)置かれている状態を例として説明する。
当該被設置部は、生体信号計測装置1001が置かれる場所であり、例えば、床の面または板の面などである。
図18の例では、被設置面は、板331の面である。
【0135】
ここで、本実施形態では、椅子311aおよび計測センサ471としては、図16の例と同様な構成を有している。
【0136】
<センサ保持体>
センサ保持体321cは、図16に示されるセンサ保持体321bと同様な構成において、さらに、2個のリファレンスセンサ保持体1111A、1111Bを備える。
図18の例では、センサ保持体321bにおいて、支持部452の上面とその裏面を表面および背面とした場合に、土台部451の2個の側面のそれぞれに、リファレンスセンサ保持体1111Aおよびリファレンスセンサ保持体1111Bを備えている。
図18の例では、センサ保持体321bの土台部451において、被験者が椅子311aに座った場合の左側(被験者から左側)にリファレンスセンサ保持体1111Aが備えられており、被験者が椅子311aに座った場合の右側(被験者から右側)にリファレンスセンサ保持体1111Bが備えられている。
【0137】
本実施形態では、リファレンスセンサ保持体1111Aの構成とリファレンスセンサ保持体1111Bの構成とは同様であり、リファレンスセンサ保持体1111Aを代表させて説明する。
また、本実施形態では、リファレンスセンサ1121Aの構成とリファレンスセンサ1121Bの構成とは同様であり、リファレンスセンサ1121Aを代表させて説明する。
【0138】
<リファレンスセンサ保持体>
図18の例では、リファレンスセンサ保持体1111Aは、図17に示されるリファレンスセンサ収納部913Aと同様な構成を有している。
本実施形態では、リファレンスセンサ保持体1111Aの収納面(リファレンスセンサの収納面)が、水平方向に対して、一対の辺のうちの一方の辺の高さの位置が他方の辺の高さの位置よりも上方になるように配置されている。つまり、側面視で、リファレンスセンサ保持体1111Aの収納面が上下方向に関して斜めになっている。
【0139】
ここで、センサ保持体321cおよびリファレンスセンサ保持体1111Aは、例えば、互いに着脱可能な構成であってもよく、あるいは、これらが一体化されていてもよい。
【0140】
<リファレンスセンサ>
本実施形態では、リファレンスセンサ保持体1111Aの収納面に、複数のリファレンスセンサが取り付けられている。
本実施形態では、図18の例において、これら複数のリファレンスセンサのうちの1個のリファレンスセンサ1121Aのみに符号を付してある。
【0141】
リファレンスセンサ1121Aは、図17に示されるリファレンスセンサ921Aと同様な構成を有している。
本実施形態では、リファレンスセンサ1121Aにおける所定の面などがリファレンスセンサ保持体1111Aの収納面の外部に向くように配置されているが、配置の態様としては他の態様が用いられてもよい。
【0142】
<椅子、センサ保持体、および、リファレンスセンサ保持体の配置>
本実施形態では、椅子311aと、センサ保持体321c(および、複数の計測センサ471)とは、物理的に分離しており、完全に独立している。
そして、これらは、互いに接触しないように配置されている。
ここで、図18の例では、リファレンスセンサ保持体1111A(および、複数のリファレンスセンサ1121A)と、リファレンスセンサ保持体1111B(および、複数のリファレンスセンサ1121B)は、センサ保持体321cに設けられており、椅子311aとは、物理的に分離しており、完全に独立している。
【0143】
図18の例では、リファレンスセンサ保持体1111A(および、複数のリファレンスセンサ1121A)は、リファレンスセンサ保持体1111Aの収納面が、背もたれ部413の上面が向く方向と同じ(または、それに近い)斜め上方を向くように、配置されている。
また、図18の例では、リファレンスセンサ保持体1111B(および、複数のリファレンスセンサ1121B)は、リファレンスセンサ保持体1111Bの収納面が、背もたれ部413の上面が向く方向と同じ(または、それに近い)斜め上方を向くように、配置されている。
【0144】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置801では、リファレンスセンサ921A、921Bによりリファレンス信号を計測することができ、リファレンス信号を用いたノイズ低減手法によって、計測センサ471の計測結果に含まれるノイズを低減することができる。
同様に、本実施形態に係る生体信号計測装置1001では、リファレンスセンサ1121A、1121Bによりリファレンス信号を計測することができ、リファレンス信号を用いたノイズ低減手法によって、計測センサ471の計測結果に含まれるノイズを低減することができる。
【0145】
ここで、生体信号計測装置801の例では、リファレンスセンサ保持体821A、821Bは、センサ保持体321bに対して、別体となっている。
また、生体信号計測装置1001の例では、リファレンスセンサ保持体1111A、1111Bは、センサ保持体321cと一体となっている。
【0146】
なお、リファレンス信号としては、例えば、関心信号(計測が希望される生体信号)を含まない環境ノイズのみの信号が用いられてもよい。
また、ノイズ低減手法としては、任意の手法が用いられてもよく、例えば、アダプティブノイズキャンセリング(ANC:Adaptive Noise Cancelling)等の信号処理が用いられてもよい。ANC等により、例えば、計測センサ471の計測結果に含まれる環境ノイズを低減させることが可能である。
【0147】
ここで、図17および図18の例では、2個のリファレンスセンサ保持体が用いられる場合を示したが、リファレンスセンサ保持体の数は、1個であってもよく、あるいは、3個以上であってもよい。
また、図17および図18の例では、複数のリファレンスセンサが用いられる場合を示したが、リファレンスセンサの数は、1個であってもよい。
また、リファレンスセンサ保持体の配置、および、リファレンスセンサの配置としては、それぞれ、様々な配置が用いられてもよい。
【0148】
また、図17および図18の例では、リファレンスセンサ保持体の配置が固定される場合を示したが、他の例として、リファレンスセンサ保持体は、リファレンスセンサの配置を調整することが可能な構成が用いられてもよい。
例えば、リファレンスセンサ保持体の一部(リファレンスセンサの配置に影響する部分)の配置を変更(調整)することが可能な構成が用いられてもよい。当該配置は、例えば、位置と角度の一方または両方を含んでもよい。
また、このような配置の変更(調整)は、例えば、オペレーターなどの手動により行われる構成が用いられてもよく、あるいは、オペレーターなどが操作部を操作することに応じて、電動(例えば、モーターなど)で行われる構成が用いられてもよい。
【0149】
(第7実施形態)
[生体信号計測装置における椅子の変形例]
図19は、実施形態(第7実施形態)に係る椅子2001の構成の一例を示す図である。
図20は、実施形態(第7実施形態)に係る椅子2001を背面の下方から見た様子の一例を示す図である。
図19および図20には、それぞれ、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
また、図19および図20には、図4に示されるのと同様な板331を示してある。
【0150】
<椅子>
椅子2001は、脚部2011と、座面部2012と、背もたれ部2013と、を備える。
背もたれ部2013は、凹部2014を有している。
【0151】
本実施形態では、図1に示される椅子11あるいは図4に示される椅子311と比べて、概略的には、凹部2014が貫通していない構成である点で相違しており、他の点で同様である。
本実施形態では、凹部2014は、背もたれ部2013の背面の側において開口しており、背もたれ部2013の上面の側において塞がっている。
凹部2014は、背もたれ部2013の上面の側に、覆い部2111を有している。覆い部2111は、背もたれ部2013の上面の側を塞いでいる。
【0152】
ここで、覆い部2111は、例えば、椅子2001の背もたれ部2013と一体であってもよく、あるいは、椅子2001の背もたれ部2013とは別体であってもよい。
また、覆い部2111は、例えば、椅子2001に対して固定的に設けられていてもよく、あるいは、椅子2001に対して着脱可能な構成を有していてもよい。
覆い部2111が椅子2001に対して着脱可能な場合には、凹部2014の一面が覆い部2111によって覆われている状態と、凹部2014が貫通している状態と、を使い分けることが可能である。
なお、図19の例では、説明の便宜上、覆い部2111の範囲を示しているが、例えば、覆い部2111の範囲は、椅子2001の上方から視覚的に把握可能であってもよく、あるいは、椅子2001の上方から視覚的に把握できなくてもよい。
【0153】
図19および図20に示されるような椅子2001は、任意の実施形態における椅子の代わりに用いられてもよい。
つまり、椅子の背もたれ部の凹部は、必ずしも貫通していなくてもよい。
【0154】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置では、貫通していない凹部2014を有する椅子2001が用いられる場合においても、以上の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0155】
(第8実施形態)
[載置部の変形例]
以上の実施形態では、被験対象(例えば、被験者)が載置される載置部として、椅子が用いられる場合を示したが、載置部としては、他の構成が用いられてもよい。
例えば、載置部として、被験対象(例えば、被験者)が寝ることが可能な面(例えば、上面である載置面)を有するベッドが用いられてもよい。
ベッドでは、例えば、被験者は、臥位の姿勢で載置する。臥位としては、例えば、背臥位(仰向け)、腹臥位(うつぶせ)、側臥位(横向き)などがある。
【0156】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置では、ベッドなどの載置部が用いられる場合においても、以上の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0157】
(第9実施形態)
[ホールカバーの変形例]
図21図22を参照して、図10図14に示されるホールカバー611の変形例を示す。
図21は、実施形態(第9実施形態)に係るホールカバー611Aの一部を側面から見た断面の様子の一例を示す図である。
図22は、実施形態(第9実施形態)に係るホールカバー611Aの一部を背面の斜め下方から見た様子の一例を示す図である。
図21および図22には、説明の便宜上、図10図14と同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0158】
ここで、変形例に係るホールカバー611Aの構成は、図10図14に示されるホールカバー611の構成と比べて、ホールカバー611Aの上面部671Aの付近の構成が異なっており、他の部分の構成は同様である。
このため、図21の例では、ホールカバー611Aについて、上面部671Aの付近の構成例を示してあり、他の部分の図示を省略してある。当該他の部分の構成は、図10図14に示されるホールカバー611の構成と同様である。なお、本実施形態では、図10図14の場合と同様に、上面部671Aは枠部651Aの一部分である。
また、図21の例では、計測センサ側の構成として、複数の計測センサ471のみを示してあり、他の部分の図示を省略してある。当該他の部分の構成は、図10図14の場合と同様である。
【0159】
ホールカバー611Aでは、上面部671Aは上面に対して垂直な方向(本実施形態では、上面から背面に向かう方向)に所定の厚みを有しており、その厚みのうち、それぞれの計測センサ471に対応する部分に凹部(計測センサ対応凹部)を有している。
図21の例では、このような凹部は複数の計測センサ471と同数設けられているが、図示を簡易化するために、1個の凹部3011のみに符号を付してある。また、図21の例では、その凹部3011に対応する1個の計測センサ471のみに符号を付してある。
ここで、それぞれの凹部は、例えば、同様な構成(例えば、形状等)を有している。
【0160】
凹部3011は、厚みを有する上面部671Aの背面側から上面側に穴部を有する。当該穴部は、上面側では貫通していない。
凹部3011は、凹部3011に対応する位置に配置される計測センサ471の先端部(ここでは、上面側の先端部)を収納して、当該先端部と接触しない形状を有している。一例として、当該先端部は、凹部3011の深さに対して90%程度の深さまで収容されてもよいが、他の態様が用いられてもよい。
【0161】
図22の例では、計測センサ471および凹部3011の配置関係を示してあり、図示を簡易化するために、1個の計測センサ471の先端部のみを図示してあり、また、1個の計測センサ471および1個の凹部3011のみに符号を付してある。これらの配置関係は、図21の場合と同様である。
【0162】
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測装置では、ホールカバー611Aの上面部671Aが有する厚み部分のうち、それぞれの計測センサ471に対応する位置に、それぞれの計測センサ471の先端部と接触せずに当該先端部を収容する凹部3011を備えた。
したがって、本実施形態に係る生体信号計測装置では、ホールカバー611Aに厚みがあるとき、当該厚みの部分に凹部3011が設けられない場合と比べて、計測センサ471がホールカバー611Aに接触しない配置を維持して、計測センサ471をより被験者(本例では、椅子311に座った被験者の背中)に近付けることができ、目的信号をより高い精度で計測することができる。
【0163】
ここで、凹部3011の形状等としては、様々な態様が用いられてもよい。
また、本実施形態では、1個の計測センサ471ごとに1個の凹部3011が設けられる構成例を示したが、他の例として、2個以上の計測センサ(ここでは、計測センサの総数よりも少ない数の計測センサ)のまとまりごとに1個の凹部が設けられる構成とされてもよい。
なお、凹部3011は、例えば、凹み、穴部、または、ざぐり、などと呼ばれてもよい。
【0164】
(第10実施形態)
[防振部を有する生体信号計測装置]
以上の実施形態においても防振部に言及しているが、本実施形態において、防振部に着目した構成例を示す。
図23図26を参照して、防振部を有する生体信号計測装置の例を示す。
ここで、図23図26の例では、図4図9に示される椅子311およびセンサ保持体321に防振部を適用した場合を示す。
図23図26には、それぞれ、説明の便宜上、図4図9と同様なXYZ直交座標系を示してある。
なお、図23図26の例では、図示を簡易化するために、椅子311およびセンサ保持体321について、詳しい構成部分の符号の図示を省略する。
【0165】
<第1例>
図23は、実施形態(第10実施形態)に係る防振部4011を有する生体信号計測装置の構成の第1例を示す図である。
本例では、生体信号計測装置は、椅子311と、センサ保持体321と、防振部4011を含む。
防振部4011は、椅子311およびセンサ保持体321の下方に配置されている。防振部4011は、例えば、平面板の形状を有しており、その平面板の面上に椅子311およびセンサ保持体321が載っている。
防振部4011は、振動を防ぐ機能を有しており、例えば、除振マットから構成されてもよい。
【0166】
防振部4011の平面板の一方の面(下側の面)は、平面状の床4021の上に載っている。
防振部4011の平面板の他方の面(上側の面)に、椅子311およびセンサ保持体321が載っている。
なお、床4021は、例えば、生体信号計測装置の構成部として含まれなくてもよい。
【0167】
このように、第1例に係る生体信号計測装置では、椅子311およびセンサ保持体321の下側に、共通の防振部4011(一体となっている防振部4011)を備える。
したがって、第1例に係る生体信号計測装置では、例えば、床4021を介して計測センサに伝わる振動が低減され、計測される信号への振動成分の重畳を防ぐことができる。ここで、当該振動としては、例えば、建物自体の微小な揺れ、椅子311あるいはセンサ保持体321の固有振動、または、被験者の体動に由来する振動などがある。
また、第1例に係る生体信号計測装置では、例えば、床4021を介して椅子311および被験者に伝わる振動の低減が図られ、これにより、計測の精度を高めることが可能である。
【0168】
<第2例>
図24は、実施形態(第10実施形態)に係る防振部4111、4112を有する生体信号計測装置の構成の第2例を示す図である。
本例では、生体信号計測装置は、椅子311と、センサ保持体321と、2個の防振部4111~4112を含む。
2個の防振部4111~4112は、床4121の上側に配置される。
【0169】
ここで、第2例に係る生体信号計測装置の構成は、第1例に係る生体信号計測装置の構成と比べて、椅子311の下側に配置される防振部4111と、センサ保持体321の下側に配置される防振部4112と、が別々の構成部として設けられている点で異なっており、他の点で同様である。
【0170】
このように、第2例に係る生体信号計測装置では、椅子311の下側に防振部4111を備え、センサ保持体321の下側に防振部4112を備える。
したがって、第2例に係る生体信号計測装置では、例えば、床4121を介して計測センサに伝わる振動が低減され、計測される信号への振動成分の重畳を防ぐことができる。
また、第2例に係る生体信号計測装置では、例えば、床4121を介して椅子311および被験者に伝わる振動の低減が図られ、これにより、計測の精度を高めることが可能である。
【0171】
<第3例>
図25は、実施形態(第10実施形態)に係る防振部4211を有する生体信号計測装置の構成の第3例を示す図である。
本例では、生体信号計測装置は、椅子311と、センサ保持体321と、防振部4211を含む。
防振部4211は、床4221の上側に配置される。
【0172】
ここで、第3例に係る生体信号計測装置の構成は、第2例に係る生体信号計測装置の構成と比べて、概略的には、椅子311の下側に配置される防振部4211が設けられているが、センサ保持体321の下側に配置される防振部が設けられていない点で異なっており、他の点で同様である。なお、例えば、防振部4211の上下方向の厚みに応じて、椅子311およびセンサ保持体321のうちの一方または両方の高さが任意に調整されてもよい。
【0173】
このように、第3例に係る生体信号計測装置では、椅子311の下側に防振部4211を備える。
したがって、第3例に係る生体信号計測装置では、例えば、床4221を介して椅子311および被験者に伝わる振動の低減が図られ、これにより、計測の精度を高めることが可能である。
【0174】
<第4例>
図26は、実施形態(第10実施形態)に係る防振部4311を有する生体信号計測装置の構成の第4例を示す図である。
本例では、生体信号計測装置は、椅子311と、センサ保持体321と、防振部4311を含む。
防振部4311は、床4321の上側に配置される。
【0175】
ここで、第4例に係る生体信号計測装置の構成は、第2例に係る生体信号計測装置の構成と比べて、概略的には、椅子311の下側に配置される防振部が設けられていないが、センサ保持体321の下側に配置される防振部4311が設けられている点で異なっており、他の点で同様である。なお、例えば、防振部4311の上下方向の厚みに応じて、椅子311およびセンサ保持体321のうちの一方または両方の高さが任意に調整されてもよい。
【0176】
このように、第4例に係る生体信号計測装置では、センサ保持体321の下側に防振部4311を備える。
したがって、第4例に係る生体信号計測装置では、例えば、床4321を介して計測センサに伝わる振動が低減され、計測される信号への振動成分の重畳を防ぐことができる。
【0177】
<第1例~第4例について>
なお、第1例~第4例に係る防振部の構成例は例示であり、他の様々な防振部の構成が用いられてもよい。
また、第1例~第4例では、図4図9に示される椅子311およびセンサ保持体321に防振部を適用した場合を示したが、他の構成例に係る椅子およびセンサ保持体に防振部を適用した構成が用いられてもよい。
また、防振部の材質などとしては、様々な態様が用いられてもよい。
【0178】
[以上の実施形態について]
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0179】
[付記]
以下で、構成例を示す。
【0180】
[構成例1]
被験対象を載置する載置部と、
前記被験対象に関する生体信号を計測する1または複数の計測センサと、
前記計測センサを保持するセンサ保持体と、
を備え、
前記載置部は、凹部を有し、
前記計測センサの少なくとも一部は、前記載置部の前記凹部の内部に配置されており、 前記センサ保持体および前記計測センサと、前記載置部とは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である、
生体信号計測装置。
【0181】
[構成例2]
前記載置部および前記センサ保持体の少なくとも一方と床との間に配置される防振部を備える、
[構成例1]に記載の生体信号計測装置。
【0182】
[構成例3]
前記計測センサを収納するセンサ収納部を備え、
前記センサ収納部は、前記センサ保持体に含まれる構造である、または、前記センサ保持体とは別体で前記センサ保持体に取り付け可能な構造である、
[構成例1]または[構成例2]に記載の生体信号計測装置。
【0183】
[構成例4]
前記センサ収納部は、複数の前記計測センサをアレイ状に設置する構造を有する、
[構成例3]に記載の生体信号計測装置。
【0184】
[構成例5]
ホールカバーを備え、
前記載置部の前記凹部は、貫通穴であり、
前記貫通穴に前記ホールカバーが取り付けられ、
前記ホールカバーと、前記センサ保持体および前記計測センサとは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である、
[構成例1]から[構成例4]のいずれか1項に記載の生体信号計測装置。
【0185】
[構成例6]
前記ホールカバーの前記計測センサの側であって前記計測センサが配置される部分に凹部(計測センサ対応凹部)を備える、
[構成例5]に記載の生体信号計測装置。
【0186】
[構成例7]
前記計測センサは、磁気センサであり、
前記ホールカバーは、非磁性体で構成される、
[構成例5]または[構成例6]に記載の生体信号計測装置。
【0187】
[構成例8]
前記載置部の一部の位置または角度の少なくとも一方を調整する載置部調整部を備える、
[構成例1]から[構成例7]のいずれか1項に記載の生体信号計測装置。
【0188】
[構成例9]
前記センサ保持体に、前記計測センサの位置または角度の少なくとも一方を直接または間接に調整する計測センサ調整部を備える、
[構成例1]から[構成例8]のいずれか1項に記載の生体信号計測装置。
【0189】
[構成例10]
環境ノイズを計測する1または複数のリファレンスセンサと、
前記リファレンスセンサを保持するリファレンスセンサ保持体と、
を備え、
前記リファレンスセンサ保持体および前記リファレンスセンサと、前記載置部とは、物理的に分離されていて互いに接触しない配置である、
[構成例1]から[構成例9]のいずれか1項に記載の生体信号計測装置。
【0190】
[構成例11]
前記計測センサは、磁気センサであり、
前記載置部は、非磁性体で構成される、
[構成例1]から[構成例10]のいずれか1項に記載の生体信号計測装置。
【0191】
[構成例12]
前記載置部は、椅子であり、
前記凹部は、前記椅子の背もたれ部に設けられている、
[構成例1]から[構成例11]のいずれか1項に記載の生体信号計測装置。
【符号の説明】
【0192】
1、301、301a、301b、801、1001…生体信号計測装置、11、311、311a,2001…椅子、21、321、321b、321c…センサ保持体、31、331…板、111、411、911A、2011…脚部、112、412、2012…座面部、113、413、2013…背もたれ部、114、414、2014、3011…凹部、151…三脚部、152、912A…軸部、153…接続部、161…取付部、171、471…計測センサ、211…被験者、451…土台部、452…支持部、461…センサ収納部、511…穴部、611、611A…ホールカバー、651、651A…枠部、661~664…L字部、671、671A…上面部、711…椅子調整部、751…計測センサ調整部、821A、821B、1111A、1111B…リファレンスセンサ保持体、911A…脚部、913A…リファレンスセンサ収納部、921A、921B、1121A、1121B…リファレンスセンサ、2111…覆い部、4011、4111~4112、4211、4311…防振部、4021、4121、4221、4321…床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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