(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072789
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ハードディスクドライブのマルチディスクパック積層構造
(51)【国際特許分類】
G11B 33/12 20060101AFI20240521BHJP
G11B 19/20 20060101ALI20240521BHJP
G11B 17/038 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G11B33/12 313C
G11B19/20 D
G11B17/038
G11B33/12 306Z
G11B33/12 313M
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178954
(22)【出願日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】63/426,015
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/223,469
(32)【優先日】2023-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】富田 孝史
(72)【発明者】
【氏名】坂田 泰宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】規定されたフォームファクタ内でディスクの数を増加させ、性能を向上させる大容量ハードディスクドライブ(HDD)を提供する。
【解決手段】マルチディスクパックシステム300は、ベースプラットフォーム307上に上下に取り付けられた第1のスピンドルモータアセンブリ302及び第2のスピンドルモータアセンブリ304を含む。各モータアセンブリは、小型軸方向磁束モータを含んでもよい。各モータのための第1の電気配線302w及び第2の電気配線304wは、ベースポスト306の構造的切り欠き306c特徴部内でベースポストにおける電気コネクタ313にルーティングされる。マルチディスクパックアセンブリの垂直高さを更に低減するために、コンパクトなねじ付きディスククランプ302c、304c及びモータハブ(流体動圧軸受302b、304b及びハブ302h、304h)を実装する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクドライブ(HDD)であって、
ベースプラットフォームから延在するベースポストを含むベース部と、
第1のスピンドルモータアセンブリであって、
第1モータブラケットと、
第1のディスククランプと、を含む第1のスピンドルモータアセンブリと、
第2のスピンドルモータアセンブリであって、
第2モータブラケットと、
第2のディスククランプと、を含む第2のスピンドルモータアセンブリと、
を備え、
前記第1のスピンドルモータアセンブリは、前記第1のモータブラケットが前記ベースプラットフォームと相互作用するように、前記ベースポスト上に取り付けられ、
前記第2のスピンドルモータアセンブリは、前記第2のモータブラケットが前記第1のディスククランプと相互作用するように、前記第1のスピンドルモータアセンブリを覆って前記ベースポスト上に取り付けられる、
HDD。
【請求項2】
前記第1及び第2スピンドルモータアセンブリの各々は、軸方向磁束モータを含む、請求項1に記載のHDD。
【請求項3】
前記ベース部に結合された電気コネクタを更に備え、
前記第1のスピンドルモータアセンブリは、前記ベースポストに沿って前記電気コネクタにルーティングされた第1の電気配線を更に備え、
前記第2のスピンドルモータアセンブリは、前記ベースポストに沿って前記電気コネクタまでルーティングされた第2の電気配線を更に備える、
請求項1に記載のHDD。
【請求項4】
前記第1及び第2の電気配線の各々は、前記ベースポストの構造的切り欠き特徴部内にルーティングされている、請求項3に記載のHDD。
【請求項5】
前記第1及び第2のスピンドルモータアセンブリの各々は、それぞれのスピンドルモータハブの環状ねじ付き受容特徴部の外周上に内側ねじ山を更に備え、
前記第1及び第2のディスククランプの各々は、クランプハブの外周上に、対応するスピンドルモータハブのねじ付き受容特徴部と機械的に噛合するように構成された、円周ねじ山を備える、
請求項1に記載のHDD。
【請求項6】
前記第1及び第2のスピンドルモータアセンブリの各々は、前記ベースポストが貫通して配置される中空シャフトを含む、請求項1に記載のHDD。
【請求項7】
上部カバーと、
前記トップカバーを貫通し、前記ベースポストに螺合されるねじと、
を更に備える請求項6に記載のHDD。
【請求項8】
前記第1のスピンドルモータアセンブリ上に回転可能に取り付けられた複数の第1のディスク媒体と
前記第2のスピンドルモータアセンブリ上に回転可能に取り付けられた複数の第2のディスク媒体と、
を更に備え、
前記第1のスピンドルモータアセンブリは、前記第2のディスク媒体を回転させる前記第2のスピンドルモータアセンブリとは独立して、前記第1のディスク媒体を回転させるように構成されている、請求項1に記載のHDD。
【請求項9】
前記第1のスピンドルモータアセンブリ上に回転可能に取り付けられた複数の第1のディスク媒体と、
前記第2のスピンドルモータアセンブリ上に回転可能に取り付けられた複数の第2のディスク媒体と、
前記第1のディスク媒体のそれぞれのディスク媒体に対して読み取り及び書き込みを行うように構成された読み取り-書き込み変換器をそれぞれが収容する第1の複数のヘッドスライダと、
前記第1のディスク媒体の部分にアクセスするために前記第1の複数のヘッドスライダを移動させるように構成された第1のアクチュエータと、
前記第2のディスク媒体のそれぞれのディスク媒体に対して読み取り及び書き込みを行うように構成された読み取り-書き込み変換器をそれぞれが収容する第2の複数のヘッドスライダと、
前記第2のディスク媒体の部分にアクセスするために前記第2の複数のヘッドスライダを移動させるように構成された第2のアクチュエータと、
を更に備える、請求項1に記載のHDD。
【請求項10】
前記第1のスピンドルモータアセンブリは、前記第2のディスク媒体を回転させる前記第2のスピンドルモータアセンブリとは独立して前記第1のディスク媒体を回転させるように構成され、
前記第1のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータが前記第2のディスク媒体の部分にアクセスするために前記第2の複数のヘッドスライダを移動させることとは独立して、前記第1のディスク媒体の部分にアクセスするために前記第1の複数のヘッドスライダを移動させるように構成されている、請求項9に記載のHDD。
【請求項11】
前記第1のスピンドルモータアセンブリ上に回転可能に取り付けられた複数の第1のディスク媒体と、
前記第2のスピンドルモータアセンブリ上に回転可能に取り付けられた複数の第2のディスク媒体と、
前記第1及び第2のディスク媒体のそれぞれのディスク媒体に対して読み取り及び書き込みするように構成された読み取り-書き込み変換器をそれぞれ収容する複数のヘッドスライダと、
前記第1及び第2のディスク媒体の部分にアクセスするために前記複数のヘッドスライダを移動させるように構成された単一のアクチュエータと、
を更に備える、請求項1に記載のHDD。
【請求項12】
前記第1のスピンドルモータアセンブリ上に回転可能に取り付けられた複数の第1のディスク媒体と、
前記第2のスピンドルモータアセンブリ上に回転可能に取り付けられた複数の第2のディスク媒体と、
前記第1及び第2のディスク媒体のそれぞれのディスク媒体に対して読み取り及び書き込みを行うように構成された読み取り-書き込み変換器をそれぞれが収容する複数のヘッドスライダと、
アクチュエータエレベータアセンブリと、
前記アクチュエータエレベータアセンブリに取り付けられ、前記第1及び第2のディスク媒体の部分にアクセスするために前記複数のヘッドスライダを移動させるように構成されたアクチュエータと、
を更に備える、請求項1に記載のHDD。
【請求項13】
ハードディスクドライブ(HDD)を組み立てる方法であって、
ベース部のベースプラットフォームから延在するベースポストの上に第1のスピンドルモータアセンブリを位置決めすることと、
前記ベースポスト上に配置された前記第1のスピンドルモータアセンブリの上に第2のスピンドルモータアセンブリを位置決めすることと、
前記ベース部の上にカバーを位置決めすることと、
前記カバーを通して前記ベースポストにねじ付き締結具を締結することと、
を含む方法。
【請求項14】
前記第1及び第2のスピンドルモータアセンブリの各々を位置決めすることは、軸方向磁束モータを備える各スピンドルモータアセンブリを位置決めすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のスピンドルモータアセンブリから前記ベースポスト内の凹部に沿って前記ベース部に結合された電気コネクタまで電気配線をルーティングすることと、
前記第2のスピンドルモータアセンブリから前記凹部に沿って前記電気コネクタまで電気配線をルーティングすることと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び第2のスピンドルモータアセンブリの各々を位置決めすることは、それぞれのスピンドルモータハブの環状ねじ付き受容特徴部の内側ねじ山にねじ留めされる外周上の円周ねじ山を有するディスククランプハブを備える各スピンドルモータアセンブリを位置決めすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2のスピンドルモータアセンブリの各々を位置決めすることは、前記ベースポストの上に中空シャフトを位置決めすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1及び第2のスピンドルモータアセンブリの各々を位置決めすることは、上部に回転可能に取り付けられた複数のディスク媒体を備える各スピンドルモータアセンブリを位置決めすることを含み、
前記第1のスピンドルモータアセンブリは、その対応するディスク媒体を回転させる前記第2のスピンドルモータアセンブリとは独立して、その対応するディスク媒体を回転させるように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
マルチアクチュエータハードディスクドライブ(HDD)であって、
ベースプラットフォームから延在するベースポストを含むベース部分と、
前記ベースポストに取り付けられた中空シャフトを備える第1のスピンドルモータアセンブリであって、前記第1のスピンドルモータアセンブリの第1のボトムブラケットが前記ベースプラットフォームと相互作用し、
対応するスピンドルモータハブの環状ねじ付き受容特徴部の外周上の雌ねじ山と機械的に噛合するように構成された、クランプハブの外周上の円周ねじ山を備える、第1のディスククランプと、
前記第1のスピンドルモータアセンブリの前記スピンドルモータハブに取り付けられた第1の複数のディスク媒体と、を更に備える第1のスピンドルモータアセンブリと、
前記第1のスピンドルモータアセンブリを覆って前記ベースポストに取り付けられた中空シャフトを備える第2のスピンドルモータアセンブリであって、前記第2のスピンドルモータベースアセンブリの第2のボトムブラケットは前記第1のディスククランプと相互作用し、
前記第2のスピンドルモータアセンブリのスピンドルハブに取り付けられた第2の複数のディスク媒体を更に備える第2のスピンドルモータアセンブリと、
第1のアクチュエータシステムであって、
前記第1の複数のディスク媒体の部分にアクセスするために第1の複数のヘッドスライダを移動させるための第1の手段を備え、各ヘッドスライダが、前記第1の複数のディスク媒体のうちの少なくとも1つのディスク媒体に対して読み取り及び書き込みを行うように構成された読み取り-書き込み変換器をそれぞれ収容する、第1のアクチュエータシステムと、
第2のアクチュエータシステムであって、
前記第2の複数のディスク媒体の部分にアクセスするために第2の複数のヘッドスライダを移動させるための第2の手段を備え、各ヘッドスライダが、前記第2の複数のディスク媒体のうちの少なくとも1つのディスク媒体に対して読み取り及び書き込みを行うように構成された読み取り-書き込み変換器をそれぞれ収容する、第2のアクチュエータシステムと、
を備える、マルチアクチュエータHDD。
【請求項20】
前記第1及び第2のスピンドルモータアセンブリの各々は、軸方向磁束モータを備える、請求項19に記載のマルチアクチュエータHDD。
【請求項21】
前記ベース部に結合された電気コネクタを更に備え、
前記第1のスピンドルモータアセンブリは、前記ベースポスト内の構造凹部内で前記電気コネクタにルーティングされた第1の電気配線を更に備え、
前記第2のスピンドルモータアセンブリは、前記構造凹部内で前記電気コネクタにルーティングされた第2の電気配線を更に備える、請求項19に記載のマルチアクチュエータHDD。
【請求項22】
前記第1のスピンドルモータアセンブリは、前記第2の複数のディスク媒体を回転させる前記第2のスピンドルモータアセンブリとは独立して、前記第1の複数のディスク媒体を回転させるように構成された、請求項19に記載のマルチアクチュエータHDD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般にデータ記憶装置に関し、特に、複数のディスクスタックを有するハードディスクドライブに関し得る。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)は、保護エンクロージャ内に収容され、磁気表面を有する1つ以上の円形ディスク上にデジタル符号化データを記憶する、不揮発性記憶デバイスである。HDDが動作中のとき、各磁気記録ディスクは、スピンドルシステムによって急速に回転される。データは、アクチュエータによってディスクの特定の場所の上に位置付けられたスライダに収容された読み取り-書き込みヘッド(又は「トランスデューサ」)を使用して磁気記録ディスクから読み取られ、磁気記録ディスクに書き込まれる。読み取り-書き込みヘッドは、磁場を使用して、磁気記録ディスクの表面にデータを書き込み、この表面からデータを読み取る。書き込みヘッドは、書き込みヘッドのコイルを通って流れる電流を使用して磁場を生成することによって機能する。異なるパターンの正及び負の電流を伴って、書き込みヘッドに電気パルスが送られる。書き込みヘッドのコイル内の電流は、ヘッドと磁気記録ディスクとの間の間隙にわたる局所的な磁場を生成し、この記録媒体上の小領域を順番に磁化する。
【0003】
面密度(ディスク表面の所与の領域に記憶することができる情報ビットの量の尺度)を増加させることは、ハードディスクドライブの技術進化の現在進行中の目標の1つである。一形態では、この目標は、企業、クラウドコンピューティング/ストレージ、及びデータセンタ環境のコンテキストにおいて特に魅力的な大容量HDDのタイプにおいて明らかになる。しかしながら、大容量HDDの性能は、容量の増加に比例して必ずしもスケールアップしていない。これにより、大容量HDDの性能を向上させるための様々な手段を開発して実装する必要が生じ、負担の一部が機構にシフトしてきた。上記に対する1つのアプローチは、規定されたフォームファクタ内でディスクの数を増加させることである。これらのHDDは、主に、ハイパースケール環境におけるデータセンタ内のニアラインストレージのために使用されるので、これらの大容量ドライブの性能は、レイテンシを最小化するために、1秒当たりの入出力動作(Input/Output Operations Per Second、IOPs)の密度要件(いくつかの事例では、同様にIOPs/TBと呼ばれる)も満たさなければならない。この要求は、データへの並列アクセスを提供するための複数のアクチュエータへのシフトをもたらした。
【0004】
本セクションに記載された手法は、追求し得る手法であるが、必ずしも以前に考案又は追求された手法ではない。したがって、別段の指示がない限り、本セクションに記載された手法のいずれも、それらが本セクションに含まれることによって単に先行技術として適格であると仮定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
実施形態は、添付図面の図において、限定としてではなく、例として示されており、同様の参照番号は類似の要素を指す。
【0006】
【
図1】実施形態によるハードディスクドライブ(HDD)を示す平面図である。
【
図2】実施形態によるデュアルアクチュエータを示す側断面図である。
【
図3A】実施形態によるHDDマルチディスクパックシステムを示す側断面図である。
【
図3B】実施形態による、
図3Aのマルチディスクパックシステムを示す分解断面側面図である。
【
図4】実施形態による、
図3AのHDDマルチディスクパックシステムを更に示す分解断面斜視図である。
【
図5A】実施形態による、軸方向磁束モータを示す側面図である。
【
図5B】実施形態による、
図5Aの軸方向磁束モータを示す断面平面図である。
【
図6】
図6Aは、実施形態による、
図3Aのディスクパックのディスククランプを示す側断面図である。
図6Bは、実施形態による、
図6Aのディスククランプの一部分を示す側断面図である。
【
図7】実施形態による、マルチディスクパックハードディスクドライブを組み立てる方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一般的に、複数スピンドルモータハードディスクドライブ(HDD)へのアプローチが説明される。「スピンドルモータ」という用語は、本明細書では、
図1を参照して説明した駆動モータなどの、データ読み取り(及び場合によっては書き込み)動作のためにディスク媒体を回転させるように構成された記録ディスク媒体スピンドルモータアセンブリに関して使用される。以下の明細書では、説明を目的として、本明細書に記載された本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本明細書に記載された本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。他の例では、本明細書に記載された本発明の実施形態を不必要に不明瞭にすることを回避するために、周知の構造及びデバイスがブロック図の形態で表される。
導入
用語
【0008】
本明細書における「実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、記載されている特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味することが意図される。しかしながら、そのような語句の実例は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0009】
「実質的に」という用語は、大部分又はほぼ構造化された、構成された、寸法決めされたなどの特徴を記載していることが理解されるであろうが、その製造公差などは、実際には、構造、構成、寸法などが、常には又は必ずしも正確に述べられない状況を結果として生じ得る。例えば、「実質的に垂直な」として構造を記載するとすれば、側壁は全ての実用上の目的で垂直であるが、正確に90度ではない場合があるように、その用語にはその明白な意味が割り当てられる。
【0010】
「最適な」、「最適化する」、「最小の」、「最小化する」、「最大の」、「最大化する」などの用語は、それと関連付けられた特定の値を有しない場合があるが、そのような用語が本明細書で使用される場合、当業者であれば、そのような用語が、本開示の全体と一致する有益な方向に、値、パラメータ、メトリックなどに影響を及ぼすことを含むと理解することが意図される。例えば、何かの値を「最小」として記載することは、値が実際に理論上の最小値(例えば、ゼロ)に等しいことを必要としないが、対応する目標が理論上の最小値に向かって有益な方向に値を移動させることになるという点で、実際的な意味で理解されるべきである。
コンテキスト
【0011】
大容量HDDの性能は、記憶容量の増加に比例してスケールアップされていないという観察を想起されたい。複数のクラスタ化されたノードを有するデータセンタなどのクラスタ化された環境における大容量HDDの高いレイテンシは、記憶されたデータへのより遅いアクセスに起因するボトルネックをもたらす。HDDの容量が増加し続けるにつれて、高容量HDDのデータ動作のためのレイテンシを低減することによって性能(例えば、IOPS)を向上させる圧力が更に強くなってきている。HDD性能を向上させることへの1つの可能な手法は、マルチアクチュエータシステムの実装であり、マルチアクチュエータシステムでは、ディスクスタックの複数の記録ディスクから独立してかつ同時に読み取り及び/又は書き込みを行うために、複数の独立して動作するアクチュエータが、例えば単一の共有ピボットシャフト上に組み立てられる。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、マルチアクチュエータ配置に依存しない。
【0012】
図2は、実施形態による、デュアルアクチュエータシステムを示す側断面図である。一般化されたアクチュエータシステム200は、少なくとも部分的に貫通するボア203を有するシャフト202を備える。実施形態によれば、シャフト202は、ピボットシャフトとして、又は、ハードディスクドライブ(HDD)などのマルチアクチュエータデータ記憶装置の複数のアクチュエータ構成要素のための、アクチュエータピボットアセンブリ若しくは共有シャフトアセンブリの一部として、利用される。したがって、アクチュエータシステム200はシャフト202を備え、シャフト202の周りには、第1の又は下側回転アクチュエータアセンブリ204(例えば、ボイスコイルアクチュエータであり、
図1のキャリッジ134などのキャリッジ204aを含む)が、シャフト202の第1の位置で、下側軸受アセンブリ206を間に挟んで回転可能に結合され、また、第2の上側回転アクチュエータアセンブリ205(例えば、ボイスコイルアクチュエータであり、
図1のキャリッジ134などのキャリッジ205aを含む)が、シャフト202の第2の位置で、上側軸受アセンブリ207を間に挟んで回転可能に結合されている。あるいは、実施形態によれば、ピボットシャフトとして利用されるシャフト202の機能は、シャフト202などの共有シャフトアセンブリではなく、別個のシャフト、例えば、それぞれのアクチュエータアセンブリ204、205ごとに1つのシャフトを用いて実装されてもよい。これは、単一の共有シャフト上に取り付けられる、アクチュエータアセンブリ204及びアクチュエータアセンブリ205等の、複数のアクチュエータアセンブリの独立動作に関連付けられる、望ましくない構造動力学上の干渉を切り離し得る。単一アクチュエータHDDについて
図1を参照して図示及び説明したのと同様に、各アクチュエータアセンブリ204、205は、一般に、その対応するヘッドスタックアセンブリ(HSA)及びヘッドジンバルアセンブリ(HGA)とともに、ディスクスタックの、複数の記録ディスクからの読み取り及び/又は複数の記録ディスクへの書き込みを、独立に及び同時に、行うことができる。
【0013】
更に、保存用記憶装置の必要性が増大している。テープは、データバックアップのための従来の解決策であるが、データにアクセスするのが非常に遅い。現在のアーカイブはますます「アクティブ」なアーカイブとなっており、これは、あるレベルの連続的なランダム読み取りデータアクセスが必要とされることを意味する。従来のハードディスクドライブ(HDD)を使用することができるが、コストが不必要に高いと考えられる場合がある。考慮される他の手法は、特大直径ディスクを有するHDD及びエクストラトールフォームファクタを有するHDDを含む場合があり、どちらも、例えば、一意の構成要素及び組立プロセスに起因する大きな資本投資、コスト節約の文脈での低価提案、一意に大きなフォームファクタに起因する市場での採用に対する障壁を必要とする。しかしながら、1つの可能なアプローチは、1つ以上の回転ディスクスタック内にn個のディスクを有するが、2n個未満の読み取り書き込みヘッドを含む、標準HDDフォームファクタ(例えば、3.5インチフォームファクタ)及び大部分が一般的なHDDアーキテクチャを含む。そのような記憶装置は、ヘッドを移動させて異なるディスク表面(非限定的な例として、エアドライブの場合は5+ディスク、Heドライブの場合は8+ディスクを除いて2つのヘッドのみ)と嵌合させることができる関節機構を利用してもよく、主なコスト削減は、ドライブ内のヘッドの大部分を排除することから得ることができる。
【0014】
そのような1つのアプローチは、アクチュエータサブシステム(例えば、「ピボットカートリッジ」)のアクチュエータピボット及びピボット軸受内に配置され、1つ又は複数のディスクパックに対応するディスク媒体にアクセスするために少なくとも1つのアクチュエータアームをそれぞれのHGAとともに垂直に並進させるように構成された、アクチュエータエレベータサブアセンブリを形成するために、ボールねじカムアセンブリ内に配置されたステッパモータなどを用いて、回転運動を直線運動に変換するアクチュエータサブシステムを含む場合がある。そのような1つの非限定的なアプローチは、「In-Pivot Stepper Motor For Ball Screw Cam Elevator Mechanism for Cold Storage Data Storage Device」と題されたMyersらの米国特許第10,811,044号に説明されており、その全内容は、本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照することによって組み込まれる。別のそのような非限定的な手法は、「Low-Profile Ball Screw Cam Elevator Mechanism for Cold Storage Data Storage Device」と題されたMyersらの米国特許第10,902,871号に説明されており、その全内容は、本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照することによって組み込まれる。アクチュエータアセンブリを移動させるためのエレベータプラットフォームアセンブリを含む更に別の非限定的アプローチは、「System For Disk-To-Disk Access For Reduced-Head Data Storage Device」と題されたGarbarinoの米国特許第11,031,037号に説明されており、その全内容は、本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照することによって組み込まれる。
マルチディスクパックシステム
【0015】
図3Aは、実施形態による、ハードディスクドライブ(HDD)を示す断面側面図であり、
図3Bは、実施形態による
図3Aの複数ディスクパックシステムを示す分解断面側面図である。マルチディスクパックシステム300は、第1の(「下側」又は「底部」とも称する)スピンドルモータアセンブリ302と、第2の(「上側」又は「頂部」とも称する)スピンドルモータアセンブリ304とを備え、両方とも、ベースプラットフォーム307から延在するベースポスト306を備えるベース部上に取り付けられ、各々が互いに独立して動作するように構成される。なお、この配置はまた、図示された2つを超えるさらなるスピンドルモータアセンブリを実装してもよく、独立したディスクパックの数は、実装される対応するアクチュエータアセンブリの数に等しくても等しくなくてもよい。実際に、マルチディスクパックシステム300は、単一アクチュエータ構成で実装されてもよく、依然として従来の単一アクチュエータシステムを上回る利点を提供することが企図される。マルチディスクパックシステム300は、スピンドルモータアセンブリ302、304のうちの1つ以上とアクチュエータエレベータサブアセンブリとの間の何らかの協調制御を用いて、本明細書の他の箇所で参照されるようなアクチュエータエレベータサブアセンブリ構成を用いて実装され得ることが更に企図される。
【0016】
実施形態によれば、各スピンドルモータアセンブリ302、304は、対応するフランジ及びディスククランプを備える。したがって、第1のスピンドルモータアセンブリ302は、第1のフランジ302fと、第1のモータブラケット302mbと、第1のディスククランプ302cとを備え、第2のスピンドルモータアセンブリ304は、第2のフランジ304fと、第2のモータブラケット304mbと、第2のディスククランプ304cとを備える。実施形態によれば、第1のスピンドルモータアセンブリ302は、第1のモータブラケット302mbがベースプラットフォーム307と相互作用するようにベースポスト306上に取り付けられ、第2のスピンドルモータアセンブリ304は、第2のモータブラケット302mbが第1のディスククランプ302cと相互作用するように第1のスピンドルモータアセンブリ302の上、上方、上部のベースポスト306上に取り付けられる。例えば、構造安定性、個々の及び結合された動的応答、動作衝撃応答等を改善するために、スペーサ又はダンパ又は他の支持部品のような、第1及び第2のスピンドルモータアセンブリ302、304の間に配置される中間構造が考慮される。実施形態によれば、第1及び第2のスピンドルモータアセンブリ302、304の各々は、ベースポスト306上に装着するための中空シャフト302s、304sを備え、すなわち、ベースポスト306は、中空シャフト通って配置される。
【0017】
一般に、各スピンドルモータアセンブリ302、304は、モジュール式アセンブリとして構成され、例えば、対応する流体動圧軸受302b、304bと、ハブ302h、304h(「スピンドルモータハブ」又は「スピンドルハブ」とも呼ばれる)上に取り付けられHDDで一般的であるようにスペーサ303s、305sによって分離された複数のディスク媒体303、305を備えるように、事前に組み立てられる。したがって、図示された構成におけるベースポスト306上への複数のスピンドルモータアセンブリ302、304の組み立ては、ねじ308(
図3B)又はHDDカバー310(
図3B)を通してベースポスト306とねじ係合される何らかの他のタイプの一般的な締結具を介して、複数のスピンドルモータアセンブリ302、304をベース部、すなわちベースポスト306上に締結することを含む、比較的単純かつ簡単なプロセスと考えられる。
【0018】
しかしながら、マルチディスクパックHDDに関する1つの課題は、HDDの上部にさらなる電子回路を実装しなければならないことよりも、独立したスピンドルモータアセンブリ302、304の各々に電力を供給する必要性、例えば、ベース部の底部に結合された電子機器(例えば、フレキシブルプリント回路、すなわち「FPC 312」)に上部スピンドルモータ304を電気的に接続する手法、を含む。実施形態によれば、システム300は、ベース部に機械的に結合され、FPC 312(
図3B)に電気的に結合された電気コネクタ313(
図3B)を更に備え、第1のスピンドルモータアセンブリ302は、ベースポスト306に沿って電気コネクタ313にルーティングされる第1の電気配線302wを更に備え、第2のスピンドルモータアセンブリ304は、ベースポスト306に沿って電気コネクタ313にルーティングされる第2の電気配線304wを更に備える。実施形態によれば、第1及び第2の電気配線302w、304wの各々は、ベースポスト306の構造的切り欠き306c特徴(例えば、凹部)内にルーティングされる。ここで、ベース部の底部又はベース部との界面領域における配線の周りの残りの空間は、必要に応じて気密封止を提供するために接着剤又は他の材料で充填することができる。
【0019】
図4は、実施形態による、
図3AのHDDマルチディスクパックシステムを更に示す分解断面斜視図である。
図4は、第1のフランジ302f及び第1のディスククランプ302cを備え、第1の複数のディスク媒体303を保持する第1のスピンドルモータアセンブリ302と、第2のフランジ304f及び第2のディスククランプ304cを備え、第2の複数のディスク媒体305を保持する第2のスピンドルモータアセンブリ304を備え、その両方が、ベースプラットフォーム307から延在するベースポスト306上に取り付けられる、マルチディスクパックシステム300の追加の図を提供する。ここでも、第1のモータブラケット302mbは、ベースプラットフォーム307と構造的に接合し、第2のモータブラケット304mbは、第1のクランプ302cと構造的に接合する。ここではまた、第1及び第2のスピンドルモータアセンブリ302、304の環状ねじ付き受容特徴部604tが見え、その重要性は、
図6A-6Bを参照してより詳細に図示及び説明される。
軸方向磁束電磁石(Axial Flux Electromagnet、AFEM)モータ
【0020】
実施形態によれば、第1及び第2のスピンドルモータアセンブリ302、304の各々は、軸方向磁束モータを備える。AFEM(軸方向磁束電磁)モータ(「パンケーキ」モータと呼ばれることもある)は、ロータとステータとの間のギャップ、したがって、その2つの間の磁束の方向が、より一般的な半径方向磁束又は半径方向ギャップモータの同心円筒形状のように半径方向ではなく、回転軸に平行に整列されるモータ構造の形状である。一般に、AFEMモータは、所与の電磁体積(例えば、固定子のスタック長さ及びエアギャップの平均直径、又は電力密度を考慮する)に対して、任意の従来の半径方向磁束モータと比較してより大きい電磁トルクを提供することができ、より短くより直接的な磁束経路、及びより良好な冷却特性を有する。
【0021】
図5Aは、軸方向磁束モータを示す側面図であり、
図5Bは、
図5Aの軸方向磁束モータを示す断面平面図であり、いずれも実施形態によるのである。
図5AのAFEMモータ500(又は単に「モータ500」)は、回転/回転可能なモータハブ502と、それぞれが対応するコア突出部の周りに巻かれた複数のコイル505を有するステータ504と、磁極を通して磁束510を搬送するためのヨーク506(例えば、鋳鉄又は鋼)と、軸方向に磁化された環状磁石508(例えば、ロータ用)とを備える例示的な軸方向磁束電磁石(ic)モータを示す。ステータコイル505の巻き数及びワイヤゲージは、特定の電磁トルクに対して設計及び最適化されて、電気的及び磁気的負荷に従って製品最小要件を満たすことができる。好適な非限定的な例では、回転子磁石508は、12極(9つの固定子スロットを有する)、8極(12の固定子スロットを有する)、16極(12の固定子スロットを有する)を有するように軸方向に磁化されてもよく、9つのスロットが
図5Bの例に示されている。
【0022】
図5Bは、モータブラケット500mb(例えば、
図3A~
図4のモータブラケット302mb、304mbを参照)によって支持されたスピンドルモータシャフト500s(例えば、
図3A~
図3Bの中空シャフト302s、304sを参照)によって取り囲まれたベースポスト306を、ベースポスト306(例えば、
図3A~
図3Bの電気コネクタ313を参照)の構造的切り欠き306c特徴部に沿って電気コネクタ313にルーティングされたモータ電気配線500w(例えば、
図3A~
図3Bの電気配線302w、304wを参照)とともに更に示す。この場合も、AFEMモータは、例えば所与の電磁体積に対して従来の半径方向磁束モータに比べてより大きな電磁トルクを提供することができるので、この文脈において好適かつコンパクトな実装形態、すなわち、高性能マルチディスクパックHDD内の共有ベースポスト上に複数のスピンドルモータアセンブリを空間的に効率的に積層する実装形態を提供する。
ねじ付きディスククランプ
【0023】
図6Aは、
図3Aのディスクパック用のディスククランプを示す側断面図であり、
図6Bは、
図6Aのディスククランプの一部を示す拡大側断面図であり、両方とも実施形態によるものである。垂直方向(すなわち、スピンドルモータの回転軸と一致するz高さ)のコンパクトディスククランプの必要性を考慮して、実施形態による、ねじ付きディスククランプ及びスピンドルモータインターフェースが説明される。
【0024】
第1及び第2のスピンドルモータアセンブリ302、304(
図3A~4)の環状ねじ付き受容特徴部604tは、本明細書で以前に紹介された。図示されるように、第1及び第2のスピンドルモータアセンブリ302、304のそれぞれのハブ302h、304h(
図3A)のために実装され得るスピンドルモータハブ604は、環状ねじ付き受容特徴部604tの外周上に内側ねじ山を備える。すなわち、ハブ604は、外側ねじ山を有する、環状ねじ付き凹部又はチャネル、すなわち、ねじ付き受容特徴部604tを備える。このねじ付き受容特徴部604tは、ディスククランプ602の対応するねじ付き特徴のための固定受容部として機能する。第1及び第2のスピンドルモータアセンブリ302、304の各々のためのクランプ302c、304c(
図3A、4)のために実装され得るディスククランプ602は、対応するスピンドルモータハブ604のねじ付き受容特徴部604tと機械的に噛合するように構成された、ディスククランプ602のハブの外周上に円周ねじ山602tを備える。実施形態によれば、位置決め(例えば、ツーリング)穴604hは、ディスククランプ602ハブの周囲に設けられるが、十分なクランプ力のためにねじ付き締結具は必要とされない。したがって、垂直方向にコンパクトなディスククランプ602が提供され、これは、嵌合するねじ付き特徴部602t、604tによって、対応するモータハブ604内に効果的にかつ大部分が凹まされるか又は埋め込まれており、ディスクスタックの上部の上に配置されて十分なクランプ力のためにその周囲にいくつかの締結具を必要とする従来のディスククランプとは、対照的である。したがって、そのようなコンパクトディスククランプ602-モータハブ604の配置は、積層された複数スピンドルモータ、マルチディスクパックHDDのための空間的に効率的な実装を更に可能にする。
マルチディスクパックハードディスクドライブの組立方法
【0025】
図7は、実施形態による、マルチディスクパックハードディスクドライブを組み立てる方法を示す流れ図である。
ブロック702において、ベース部のベースプラットフォームから延在するベースポストの上に第1のスピンドルモータアセンブリが配置される。例えば、第1のスピンドルモータアセンブリ302(
図3A~
図4)の中空シャフト302s(
図3A)は、ベースプラットフォーム307(
図3B~
図4)から延在するベースポスト306(
図3B~
図4)の上及び周囲に配置される。
【0026】
ブロック704において、電気配線を、第1のスピンドルモータアセンブリから、ベースポスト内の凹部に沿って、ベース部に結合された電気コネクタにルーティングする。例えば、スピンドルモータアセンブリ302の電気配線302w(
図3A~
図3B)は、ベースポスト306の構造的切り欠き306c(
図3B)特徴に沿って電気コネクタ313(
図3A~
図3B、
図5B)にルーティングされる。
【0027】
ブロック706において、ベースポスト上に配置された第1のスピンドルモータアセンブリの上に第2のスピンドルモータアセンブリを配置する。例えば、スピンドルモータアセンブリ304(
図3A~
図4)の中空シャフト304s(
図3A)が、ベースポスト306上に既に位置決めされたスピンドルモータアセンブリ302の上に位置決めされ(ブロック702)、これにより、スピンドルモータアセンブリ304もベースポスト306の上及び周りに位置決めされる。
【0028】
ブロック708において、電気配線を、第2のスピンドルモータアセンブリから、ベースポスト内の凹部に沿って、ベース部に結合された電気コネクタにルーティングする。例えば、スピンドルモータアセンブリ304の電気配線304w(
図3A~
図3B)は、ベースポスト306の構造的切り欠き306c特徴に沿って電気コネクタ313にルーティングされる。
【0029】
ブロック710において、ベース部の上にカバーを配置する。例えば、HDDカバー310(
図4)は、HDDベース部(例えば、
図1のHDDハウジング168参照)の上に配置される。
【0030】
ブロック712において、カバーを介してねじ付き締結具をベースポストに締結する。例えば、ねじ308(
図3B~
図4)は、HDDカバー310を介してベースポスト306に締結される。
【0031】
一般に、HDD性能を向上させる1つの手法は、複数の独立して動作するアクチュエータが、ディスクパック(又は「ディスクスタック」)の複数の記録ディスクから独立して同時に読み取り及び/又は書き込みを行うように構成されたマルチアクチュエータシステムの実装を含む。デュアルアクチュエータ又はスプリットアクチュエータのHDDでは、性能を向上させるために、デュアルVCM(ボイスコイルモータ)が用いられる。更に、「分割単一アクチュエータ」構成では、一度に1つのみのアクチュエータを能動的に使用することが企図される。ドライブ内に第2のスピンドルモータを追加し、ディスクをモータ間で分割することによって、各ディスクパックの使用量及び電力消費に対するより細かい制御が可能になる。すなわち、マルチディスクパックシステム300(
図3A~
図4)などのデュアルスピンドルモータ設計の使用は、分割アクチュエータ設計を使用して性能を向上させることによって、媒体上のアクティビティの増加に起因して増加する電力問題に対処することができる。別の言い方をすれば、ドライブの一部が任意の所与の時間に使用されていないので、電力消費を大幅に低減することができ、したがって、スピンドルモータ及びアクチュエータの各セットは、低電力又はアイドルモードで動作するように独立して制御されてもよく、又は電力を節約するために完全にオフにされてもよい。
例示的な動作コンテキストの物理的説明
【0032】
実施形態は、ハードディスクドライブ(HDD)などのデジタルデータ記憶デバイス(digital data storage device、DSD)のコンテキストで使用され得る。したがって、実施形態によれば、従来のHDD100を示す平面図は、従来のHDDが典型的にどのように動作するかを記載するのを助長するために
図1に示されている。
【0033】
図1は、磁気読み取り-書き込みヘッド110aを含むスライダ110bを含むHDD100の構成要素の機能的配置を示す。まとめて、スライダ110b及びヘッド110aはヘッドスライダと称され得る。HDD100は、ヘッドスライダを含む少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリ(head gimbal assembly、HGA)110と、典型的にはフレクシャを介してヘッドスライダに装着されたリードサスペンション110cと、リードサスペンション110cに装着されたロードビーム110dとを含む。HDD100はまた、スピンドル124上に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの記録媒体120と、媒体120を回転させるためにスピンドル124に取り付けられた駆動モータ(不可視)と、を含む。トランスデューサとも称され得る読み取り-書き込みヘッド110aは、HDD100の媒体120に記憶された情報をそれぞれ書き込み及び読み取るための書き込み要素及び読み取り要素を含む。媒体120又は複数のディスク媒体は、ディスククランプ128でスピンドル124に固定されてもよい。
【0034】
HDD100は、HGA110に装着されたアーム132と、キャリッジ134と、キャリッジ134に装着されたボイスコイル140を含む電機子136及びボイスコイル磁石(図示せず)を含むステータ144を含むボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)とを更に含む。VCMの電機子136は、キャリッジ134に取り付けられており、アーム132及びHGA110を移動させ、媒体120の部分にアクセスするように構成されており、全てまとめて、介在するピボット軸受アセンブリ152で枢動シャフト148上に装着されている。複数のディスクを有するHDDの場合、キャリッジ134は、キャリッジに櫛の外観を与える連動したアームアレイを搬送するようにキャリッジが配置されているため、「Eブロック」又は櫛と称され得る。
【0035】
ヘッドスライダが結合されたフレクシャと、フレクシャが結合されたアクチュエータアーム(例えば、アーム132)及び/又はロードビームと、アクチュエータアームが結合されたアクチュエータ(例えば、VCM)と、を含む、ヘッドジンバルアセンブリ(例えば、HGA110)を備えるアセンブリは、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)と総称され得る。ただし、HSAは、記載されたものよりも多い又は少ない構成要素を含んでもよい。例えば、HSAは、電気相互接続部品を更に含むアセンブリを指し得る。一般に、HSAは、読み取り動作及び書き込み動作のために、ヘッドスライダを媒体120の部分にアクセスするように移動させるように構成されたアセンブリである。
【0036】
図1を更に参照すると、ヘッド110aへの書き込み信号及びヘッド110aからの読み取り信号を含む電気信号(例えば、VCMのボイスコイル140への電流)は、可撓性ケーブルアセンブリ(flexible cable assembly、FCA)156(又は「フレックスケーブル」、又は「フレキシブルプリント回路」(flexible printed circuit、FPC))によって送信される。フレックスケーブル156とヘッド110aとの間の相互接続は、読み取り信号用のオンボード前置増幅器、並びに他の読み取りチャネル及び書き込みチャネル電子部品を有し得る、アーム電子機器(arm-electronics、AE)モジュール160を含んでもよい。AEモジュール160は、図示のようにキャリッジ134に取り付けられてもよい。フレックスケーブル156は、いくつかの構成では、HDD筐体168によって提供された電気フィードスルーを通して電気通信を提供する電気コネクタブロック164に結合されてもよい。HDD筐体168(又は「エンクロージャベース」又は「ベースプレート」又は単に「ベース」又は「モータベースアセンブリ」)は、HDDカバーとともに、HDD100の情報記憶構成要素のための半封止された(又は、いくつかの構成では気密封止された)保護エンクロージャを提供する。
【0037】
デジタル信号プロセッサ(digital-signal processor、DSP)を含むディスクコントローラ及びサーボ電子機器を含む他の電子部品は、駆動モータ、VCMのボイスコイル140及びHGA110のヘッド110aに、電気信号を提供する。駆動モータに提供される電気信号は、駆動モータがスピンドル124にトルクを提供しながら回転することを可能にし、次いでトルクはスピンドル124に添設された媒体120に伝達される。その結果、媒体120は、方向172に回転する。回転媒体120は、スライダ110bが、情報が記録された薄い磁気記録層と接触することなく媒体120の表面の上方に浮上するように、スライダ110bの空気軸受表面(ABS)が乗る空気軸受として作用する空気のクッションを形成する。同様に、非限定的な例としてのヘリウムなどの空気より軽いガスが利用されるHDDにおいて、回転する媒体120は、スライダ110bがその上に乗るガス又は流体軸受として作用する、ガスのクッションを生成する。
【0038】
VCMのボイスコイル140に提供される電気信号は、HGA110のヘッド110aが、情報が記録されるトラック176にアクセスすることを可能にする。こうして、弧180を通るVCMスイングの電機子136は、HGA110のヘッド110aが媒体120上の様々なトラックにアクセスすることを可能にする。情報は、セクタ184などの媒体120上のセクタに配置された複数の半径方向に入れ子になったトラック内の媒体120上に記憶される。それに対応して、各トラックは、セクタ化されたトラック部分188などの複数のセクタ化されたトラック部分(又は「トラックセクタ」)から構成されている。各セクタ化されたトラック部分188は、記録された情報と、エラー訂正符号情報、及びトラック176を識別する情報であるABCDサーボバースト信号パターンなどのサーボバースト信号パターンを含むヘッダと、を含んでもよい。トラック176にアクセスする際、HGA110のヘッド110aの読み取り要素はサーボバースト信号パターンを読み取り、サーボバースト信号パターンは、サーボ電子機器に位置誤差信号(position-error-signal、PES)を提供し、サーボ電子機器は、VCMのボイスコイル140に提供される電気信号を制御することによって、ヘッド110aがトラック176に追従することを可能にする。トラック176を見つけ、特定のセクタ化されたトラック部分188を識別すると、ヘッド110aは、トラック176から情報を読み取るか、又は、外部エージェント、例えば、コンピュータシステムのマイクロプロセッサからディスクコントローラによって受信された命令に応じて、トラック176に情報を書き込む。
【0039】
HDDの電子アーキテクチャは、ハードディスクコントローラ(hard disk controller、「HDC」)、インターフェースコントローラ、アーム電子モジュール、データチャネル、モータドライバ、サーボプロセッサ、バッファメモリなどの、HDDの動作のための自体のそれぞれの機能を実行するための、多数の電子部品を含む。そのような部品のうちの2つ以上は、「チップ上のシステム」(system on a chip、「SOC」)と称される単一の集積回路基板上で組み合わされてもよい。そのような電子部品の、全てではないがいくつかは、典型的には、HDD筐体168などのHDDの底部側に結合されたプリント基板上に配置される。
【0040】
図1を参照して示され及び記載されたHDD100などの、本明細書におけるハードディスクドライブへの言及は、「ハイブリッドドライブ」と称されることがある情報記憶デバイスを包含してもよい。ハイブリッドドライブとは、一般に、電気的に消去可能でプログラム可能であるフラッシュ又は他のソリッドステート(例えば、集積回路)メモリなどの不揮発性メモリを使用するソリッドステートデバイス(solid-state storage device、SSD)と組み合わされた従来のHDD(例えば、HDD100を参照)の、両方の機能を有する記憶デバイスを指す。異なるタイプの記憶媒体の動作、管理、及び制御は、通常異なるため、ハイブリッドドライブのソリッドステート部分は、それ自体の対応するコントローラ機能を含んでもよく、コントローラ機能は、HDD機能とともに単一のコントローラに統合され得る。ハイブリッドドライブは、非限定的な例として、頻繁にアクセスされるデータを記憶する、I/O集約データなどを記憶するなどのために、ソリッドステートメモリをキャッシュメモリとして使用するなどによって、ソリッドステート部分をいくつかの方式で動作させて利用するように設計及び構成されてもよい。更に、ハイブリッドドライブは、ホスト接続のための1つ又は複数のインターフェースのいずれかで、単一のエンクロージャの2つの記憶デバイス、すなわち従来のHDD及びSSDとして本質的に設計及び構成されてもよい。
拡張物及び代替物
【0041】
前述の説明において、本発明の実施形態は、実装形態ごとに変わり得る多数の具体的な詳細を参照して記載されてきた。したがって、実施形態のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができる。こうして、本発明であり、本出願人らが本発明であることを意図するものの唯一及び排他的な指示物は、本出願に由来する特許請求の範囲のセットであり、そのような特許請求の範囲が由来し、任意の後続の補正を含む、特定の形態をなす。そのような特許請求の範囲に包含される用語について本明細書に明示的に記載される定義は、特許請求の範囲で使用されるような用語の意味を支配するものとする。それゆえ、特許請求項に明示的に記載されていない限定、要素、特性、特徴、利点又は属性は、決してそのような特許請求項の範囲を限定すべきでない。これにより、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく例示的とみなされるものである。
【0042】
加えて、本明細書では、特定のプロセス工程が特定の順序で記載されてもよく、アルファベット及び英数字符号を使用して、特定の工程を識別することができる。本明細書において特記されない限り、実施形態は、そのような工程を実施する任意の特定の順序に必ずしも限定されない。特に、符号は単に工程の簡便な識別に使用され、そのような工程を実施する特定の順序を指定又は必要とすることは意図されていない。
【外国語明細書】