(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072797
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】トレーディングカード判別システム、トレーディングカード判別方法、およびトレーディングカード判別プログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 10/74 20220101AFI20240521BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20240521BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240521BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240521BHJP
【FI】
G06V10/74
G06V10/82
G06Q50/10
G06T7/00 350C
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188215
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2022183359
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】300019803
【氏名又は名称】株式会社テイツー
(71)【出願人】
【識別番号】501084031
【氏名又は名称】株式会社システム・ケイ
(74)【代理人】
【識別番号】100131853
【弁理士】
【氏名又は名称】澤邉 由美子
(72)【発明者】
【氏名】杉▲崎▼ 辰也
(72)【発明者】
【氏名】上野 祥基
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕介
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA18
5L096DA02
5L096HA11
5L096JA05
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】トレーディングカードを容易に判別できるトレーディングカード判別システム等を提供する。
【解決手段】特徴量算出部111は、画像データを入力とし、特徴量を出力する学習済みモデル123を用いて、判別対象カードの画像データから特徴量の組を算出し、距離算出部112は、カード識別情報と特徴量の組とを対応付けて記憶する特徴量記憶部122に記憶する特徴量の組からなる第1特徴ベクトルと、算出した特徴量の組からなる第2特徴ベクトルに基づき、第1特徴ベクトルと第2特徴ベクトルとの距離を算出し、カード判別部113は、算出した距離が所定の条件に合致するか否かを判別し、情報取得部115は、特徴ベクトルの距離が所定の条件に合致する場合、所定の条件に合致する第1特徴ベクトルに対応するカード識別情報を特徴量記憶部122から取得し、取得したカード識別情報に対応付けられたカード情報をカード情報記憶部121から取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーディングカード判別システムであって、
判別サーバは、
カード識別情報と、特徴量の組とを対応付けて記憶する特徴量記憶手段と、
前記カード識別情報と、カード情報とを対応付けて記憶するカード情報記憶手段と、
通信ネットワークを介して接続する店舗端末から送信されたトレーディングカードの画像データを受信する受信手段と、
画像データを入力とし、特徴量を出力する学習済みモデルを用いて、前記受信手段によって受信した前記画像データから特徴量の組を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量記憶手段に記憶する前記特徴量の組からなる第1特徴ベクトルと、前記特徴量算出手段によって算出した前記特徴量の組からなる第2特徴ベクトルと、に基づいて、前記第1特徴ベクトルと前記第2特徴ベクトルとの距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段によって算出した前記距離が所定の条件に合致するか否かを判別するカード判別手段と、
前記距離算出手段によって算出した前記距離が前記所定の条件に合致する場合、前記所定の条件に合致した前記第1特徴ベクトルに対応する前記カード識別情報を前記特徴量記憶手段から取得し、取得した前記カード識別情報に対応付けられたカード情報を前記カード情報記憶手段から取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得した前記カード識別情報および前記カード情報を前記店舗端末に送信する送信手段と、を備え
前記店舗端末は、
前記判別サーバから送信された前記カード識別情報および前記カード情報を表示する表示手段、
を備えるトレーディングカード判別システム。
【請求項2】
コンピュータが実行するトレーディングカード判別方法であって、
画像データを入力とし、特徴量を出力する学習済みモデルを用いて、判別対象であるトレーディングカードの画像データから特徴量の組を算出する特徴量算出ステップと、
カード識別情報と特徴量の組とを対応付けて記憶する特徴量記憶部に記憶する前記特徴量の組からなる第1特徴ベクトルと、前記特徴量算出ステップによって算出した前記画像データの特徴量の組からなる第2特徴ベクトルに基づき、前記第1特徴ベクトルと前記第2特徴ベクトルとの距離を算出する距離算出ステップと、
前記距離算出ステップによって算出した前記距離が所定の条件に合致するか否かを判別するカード判別ステップと、
前記距離算出ステップによって算出した前記距離が所定の条件に合致する場合、前記所定の条件に合致する前記第1特徴ベクトルに対応する前記カード識別情報を前記特徴量記憶部から取得し、取得した前記カード識別情報に対応付けられたカード情報をカード情報記憶部から取得する情報取得ステップと、
を含むトレーディングカード判別方法。
【請求項3】
前記距離算出ステップは、前記第1特徴ベクトルと、前記第2特徴ベクトルに基づき、前記第1特徴ベクトルと前記第2特徴ベクトルとの角度を算出し、
前記カード判別ステップは、前記距離算出ステップによって算出された前記角度が所定の条件に合致するか否かを判別する、請求項2に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項4】
前記特徴量算出ステップは、画像データを前記学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力した特徴量の組を前記カード識別情報に対応付けて前記特徴量記憶部に格納する、請求項2に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項5】
前記カード情報記憶部は、前記カード識別情報に対応付けて前記ハッシュ値を記憶し、
前記判別対象であるトレーディングカードの画像データからハッシュ値を算出し、算出した前記ハッシュ値と、前記カード情報記憶部に記憶する前記ハッシュ値とが所定の条件に合致するか否かを判別するハッシュ値判別ステップ、を含む請求項2に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項6】
前記判別対象であるトレーディングカードぞれぞれの、前記カード識別情報および前記カード情報をPOSシステムに送信する、請求項2に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項7】
トレーディングカードの全部または一部を撮像した画像データと、前記画像データの撮像時の撮像情報とを受信する画像受信ステップと、
前記画像受信ステップによって受信した前記画像データおよび前記撮像情報に基づき、前記判別対象であるトレーディングカードの画像データに調整する画像調整ステップと、を含む請求項2に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項8】
トレーディングカード判別システムであって、
判別サーバは、
カード識別情報と、特徴量の組とを対応付けて記憶する特徴量記憶手段と、
前記カード識別情報と、カード情報とを対応付けて記憶するカード情報記憶手段と、
通信ネットワークを介して接続する店舗端末から送信されたトレーディングカードの画像データと、前記カード識別情報と、を受信する受信手段と、
画像データを入力とし、特徴量を出力する学習済みモデルを用いて、前記受信手段によって受信した前記画像データから特徴量の組を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量記憶手段に記憶する前記カード識別情報に対応付けられた特徴量の組からなる第1特徴ベクトルと、前記特徴量算出手段によって算出した前記特徴量の組からなる第2特徴ベクトルと、に基づいて、前記第1特徴ベクトルと前記第2特徴ベクトルとの距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段によって算出した前記距離が所定の条件に合致するか否かによって、前記画像データの真偽を判別するカード真偽判別手段と、
前記カード真偽判別手段によって判別した真偽結果を前記店舗端末に送信する送信手段と、を備え
前記店舗端末は、
前記判別サーバから送信された前記真偽結果を表示する表示手段、
を備えるトレーディングカード判別システム。
【請求項9】
コンピュータが実行するトレーディングカード判別方法であって、
画像データを入力し、特徴量を出力する学習済みモデルを用いて、判別対象であるトレーディングカードの画像データの特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
カード識別情報と特徴量の組とを対応付けて記憶する特徴量記憶部に記憶する、前記画像データの前記カード識別情報に対応付けられた特徴量の組からなる第1特徴ベクトルと、前記特徴量算出ステップによって算出した前記特徴量の組からなる第2特徴ベクトルと、に基づいて、前記第1特徴ベクトルと前記第2特徴ベクトルとの距離を算出する距離算出ステップと、
前記距離算出ステップによって算出した前記距離が所定の条件に合致するか否かによって前記画像データの真偽を判別するカード真偽判別ステップと、
を含むトレーディングカード判別方法。
【請求項10】
前記距離算出ステップは、前記第1特徴ベクトルと、前記第2特徴ベクトルに基づき、前記第1特徴ベクトルと前記第2特徴ベクトルとの角度を算出し、
前記カード真偽判別ステップは、前記距離算出ステップによって算出した前記角度が所定の条件に合致するか否かによって前記画像データの真偽を判別する、請求項9に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項11】
前記特徴量記憶部は、前記カード識別情報に対応付けて、真正品または偽造品を示す真偽情報を記憶し、
前記距離算出ステップは、前記第2特徴ベクトルと、前記特徴量記憶部に記憶する、前記画像データの前記カード識別情報に対応付けられた、真正品の特徴量の組からなる第3特徴ベクトルに基づいて、前記第2特徴ベクトルと前記第3特徴ベクトルとの距離である第1距離を算出し、
前記第2特徴ベクトルと、前記特徴量記憶部に記憶する、前記画像データの前記カード識別情報に対応付けられた、偽造品の特徴量の組からなる第4特徴ベクトルに基づいて、前記第2特徴ベクトルと前記第4特徴ベクトルとの距離である第2距離を算出し、
前記カード真偽判別ステップは、前記距離算出ステップによって算出した前記第1距離と前記第2距離に基づいて、前記画像データの真偽を判別する、請求項9に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項12】
前記距離算出ステップは、前記第2特徴ベクトルと、前記第3特徴ベクトルに基づき、前記第2特徴ベクトルと前記第3特徴ベクトルとの角度である第1角度を算出し、
前記第2特徴ベクトルと、前記第4特徴ベクトルに基づいて、前記第2特徴ベクトルと前記第4特徴ベクトルとの角度である第2角度を算出し、
前記カード判別ステップは、前記距離算出ステップによって算出された前記第1角度と前記第2角度に基づいて、前記画像データの真偽を判別する、請求項11に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項13】
真正品の画像データおよび偽造品の画像データを教師データとして、前記真正品の画像データの特徴量の組からなる特徴ベクトルと、前記偽造品の画像データの特徴量の組からなる特徴ベクトルとの距離が大きくなるよう学習した学習済みモデルを生成する、請求項11に記載のトレーディングカード判別方法。
【請求項14】
トレーディングカード判別システムであって、
判別サーバは、
カード識別情報と、特徴量の組と、を対応付けて記憶する特徴量記憶手段と、
トレーディングカードそれぞれのカード識別情報と、特徴量の組と、を対応付けて記憶する個別特徴量記憶手段と、
買取が入力されたトレーディングカードのカード識別情報および特徴量の組を前記個別特徴量記憶手段に格納し、前記個別特徴量記憶手段に記憶する前記カード識別情報に対応付けられた特徴量の組に基づいて、前記特徴量記憶手段に記憶する前記カード識別情報ごとの特徴量を更新する特徴量更新手段と、
を備えることを特徴とするトレーディングカード判別システム。
【請求項15】
カード識別情報と特徴量の組とを対応付けて記憶する特徴量記憶部と、トレーディングカードそれぞれのカード識別情報と特徴量の組とを対応付けて記憶する個別特徴量記憶部と、を備えるコンピュータが実行するトレーディングカード判別方法であって、
買取が入力されたトレーディングカードのカード識別情報および特徴量の組を前記個別特徴量記憶部に格納し、前記個別特徴量記憶部に記憶する前記カード識別情報に対応付けられた特徴量の組に基づいて、前記特徴量記憶部に記憶する前記カード識別情報ごとの特徴量を更新する特徴量更新ステップと、
を含むことを特徴とするトレーディング判別方法。
【請求項16】
請求項2~7、9~13、15のいずれか1つに記載するトレーディングカード判別方法をコンピュータに実行させることを特徴とするトレーディングカード判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーディングカード判別システム、トレーディングカード判別方法、およびトレーディングカード判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トレーディングカードは、さまざまな絵柄や写真等が印刷されたカードであり、トレーディングカードゲームで使用されるほか、コレクターによって収集や交換、売買が行われている。市場に出回っているトレーディングカードは多種多様であり、新たなカードも次々に発売されている。このため、トレーディングカードを売買する店舗では、経験が浅い担当者は無論、経験豊富な担当者であっても、買取対象のトレーディングカードを容易に判別することは難しい。このような課題を解決するために、買取ニーズ動向情報に基づいて、店舗装置の半導体記憶部に一括して展開可能な予め設定された所定数の照合用画像データ群を画像マスタデータから抽出して店舗装置に配信し、撮影された買取対象画像データとキャッシュ済みの複数の照合用画像データとを比較し、買取対象画像データに合致する照合用画像データを特定する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる技術では、照合用画像データを買取ニーズによって絞り込んでも、買取対象画像データと照合用画像データそれぞれを照合する必要があるため、処理が煩雑で多くの時間がかかるという問題があった。また、近年トレーディングカードの偽造品も多くなっているため、買取対象のトレーディングカードが真正品か偽造品かを判定する必要もあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、トレーディングカードを容易に判別することができるトレーディングカード判別システム、トレーディングカード判別方法およびトレーディングカード判別プログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、トレーディングカードの真偽を容易に判別することができるトレーディングカード判別システム、トレーディングカード判別方法およびトレーディングカード判別プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像データを入力とし、特徴量を出力する学習済みモデルを用いて、判別対象であるトレーディングカードの画像データから特徴量の組を算出し、カード識別情報と、特徴量の組とを対応付けて記憶する特徴量記憶部に記憶する特徴量の組からなる第1特徴ベクトルと、算出した画像データの特徴量の組からなる第2特徴ベクトルに基づき、第1特徴ベクトルと第2特徴ベクトルとの距離を算出し、算出した距離が所定の条件に合致するか否かを判別し、算出した距離が所定の条件に合致する場合、所定の条件に合致する第1特徴ベクトルに対応するカード識別情報を特徴量記憶部から取得し、取得したカード識別情報に対応付けられたカード情報をカード情報記憶部から取得することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、画像データを入力し、特徴量を出力する学習済みモデルを用いて、判別対象であるトレーディングカードの画像データの特徴量を算出し、算出した特徴量の組からなる第1特徴ベクトルと、カード識別情報と特徴量の組とを対応付けて記憶する特徴量記憶部に記憶する、画像データのカード識別情報に対応付けられた特徴量の組からなる第2特徴ベクトルに基づいて、第1特徴ベクトルと第2特徴ベクトルとの距離を算出し、算出した距離が所定の条件に合致するか否かによって画像データの真偽を判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述したように構成した本発明によれば、トレーディングカードを容易に判別することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、トレーディングカードの真偽を容易に判別することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1にかかる判別サーバ100と店舗端末200とを備えるトレーディングカード判別システム10の構成を示すブロック図である。
【
図2】カード情報記憶部121と特徴量記憶部122のデータ構成の一例を示す説明図である。
【
図3】判別サーバ100と店舗端末200が実行するトレーディングカード判別処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】実施例2にかかる判別サーバ300と店舗端末200とを備えるトレーディングカード判別システム20の構成を示すブロック図である。
【
図5】判別サーバ300と店舗端末200が実行するトレーディングカード真偽判別処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】学習済みモデル323が出力した特徴量の一例を示す説明図である。
【
図7】実施例3にかかる判別サーバ400と携帯端末500とを備えるトレーディングカード判別システム30の構成を示すブロック図である。
【
図8】判別サーバ400と携帯端末500が実行するトレーディングカード判別処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施例4にかかる判別サーバ600と店舗端末200とを備えるトレーディングカード判別システム40の構成を示すブロック図である。
【
図10】実施例2の
図5のフローチャートに続けて、判別サーバ600と店舗端末200が実行する特徴量更新処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照し本願にかかるトレーディングカード判別システム、トレーディングカード判別方法、およびトレーディングカード判別プログラムを実施するための形態である実施例を説明する。なお、以下の説明は、本願の実施の形態の例示であり、本願にかかるトレーディングカード判別システム、トレーディングカード判別方法、およびトレーディングカード判別プログラムは、これらの実施例に限定されるものではない。
【0011】
<実施例1>
図1は、実施例1にかかる判別サーバ100と店舗端末200とを備えるトレーディングカード判別システム10の構成を示すブロック図である。判別サーバ100は、トレーディングカードを判別するコンピュータである。店舗端末200-1~店舗端末200-n(以下、店舗端末200と示す。)は、トレーディングカードの買取等を行う店舗で操作されるコンピュータであり、判別サーバ100とネットワークNを介して接続されている。店舗端末200は、トレーディングカードの画像データ等を判別サーバ100に送信し、判別サーバ100から受信したトレーディングカード情報を表示画面に表示する。
【0012】
まず、判別サーバ100について説明する。判別サーバ100は、
図1に示すように、制御部110と、記憶部120と、通信部130とを備える。
【0013】
記憶部120は、各部を制御するためのプログラム、アプリケーションプログラム、各種制御情報や中間ファイル等に加え、カード情報記憶部121と、特徴量記憶部122と、学習済みモデル123とを記憶する。
【0014】
図2は、カード情報記憶部121と特徴量記憶部122のデータ構成の一例を示す説明図である。カード情報記憶部121は、トレーディングカードに関する情報を記憶する。
図2(a)に示すように、カード情報記憶部121は、カード種別と、カードIDと、レア度と、画像データと、ハッシュ値と、評価額と、その他の情報とを対応付けて記憶する。カード種別とカードIDとレア度の組合せは、カード識別情報といい、トレーディングカードを一意に識別する。カード情報記憶部121に記憶するデータのうち、カード識別情報以外のデータの一部または全部をカード情報という。なお、カード識別情報は、カード種別を予め1種類に定めている場合は、カードIDとレア度の組合せとしてよく、カード種別とカードIDを予め定めている場合は、レア度のみとしてもよい。
【0015】
カード種別は、ゲーム名(例えば、カードゲームA、カードゲームB等)やスポーツ名(例えば、プロ野球、Jリーグ等)等のカードの種類を示す情報である。カードIDは、同一のカード種別における個々のカードを識別する情報である。レア度は、カードIDが同一だが、絵柄や背景の色・加工等の違いがある場合に、当該カードの希少性(レアリティ)を示す情報である。
【0016】
画像データは、トレーディングカードの画像データである。なお、画像データは、カードの片面のみの画像データ、またはカードの両面の画像データを記憶する。ハッシュ値は、画像データから算出したハッシュ値である。ハッシュ値算出には、dHash(difference hash)等の知覚ハッシュのアルゴリズムを用いる。知覚ハッシュ値は、従来のハッシュ関数とは異なり、データ同士が類似しているとハッシュ値が近くなる。評価額は、当該カードの買取価格である。評価額は、図示しない買取価格管理サーバから所定のタイミングでの評価額を取得して格納してもよい。また、評価額には、カード状態(美品、キズ、スレ等)それぞれに応じた価格または値引き金額や値引率等を記憶してもよい。その他の情報として、学習済みモデル123に入力する画像データがカード全体ではない場合の所定の領域(1でも複数でも可)や店舗端末200で表示するためのカード名等を記憶する。
【0017】
特徴量記憶部122は、トレーディングカードの画像データを入力とし、特徴量を出力する学習済みモデル123から出力した、トレーディングカードの画像データの特徴量を記憶する。
図2(b)に示すように、特徴量記憶部122は、カード種別と、カードIDと、レア度と、特徴量1~特徴量mと、その他の情報とを対応付けて記憶する。
【0018】
カード情報記憶部121と特徴量記憶部122のデータ構成の一例は、上述した通りであるが、店舗端末200での入力や別の方法で判断することで、カード種別が予め分かっている場合は、カード種別ごとにカード情報記憶部121および特徴量記憶部122を記憶してもよい。さらに、カード種別とカードIDが予め分かっている場合は、カード種別とカードIDごとにカード情報記憶部121および特徴量記憶部122を記憶してもよい。
【0019】
学習済みモデル123は、トレーディングカードの画像データを入力とし、特徴量を出力する学習済みモデルである。学習済みモデル123は、一例として、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)等で用いられる学習済みモデルである。学習済みモデル123は、トレーディングカードの画像データを読み込ませて、トレーディングカード(すなわち、カード種別とカードIDとレア度の組合せ)を判別できる特徴量を出力するよう事前に学習させる。なお、学習済みモデル123は、カード種別ごとに、カードIDとレア度を判別できる特徴量を出力するよう事前に学習させてもよく、カード種別とカードIDごとに、レア度を判別できる特徴量を出力するよう事前に学習させてもよい。また、学習済モデル123は、画像データを分類するために提供されている既存の学習済みモデルを使用してもよい。
【0020】
制御部110は、記憶部120に記憶する種々のプログラムおよび制御情報を展開して実行することにより、判別サーバ100の各部の動作を制御する。制御部110は、特徴量算出部111と、距離算出部112と、カード判別部113と、ハッシュ値判別部114と、情報取得部115と、を備える。
【0021】
特徴量算出部111は、学習済みモデル123を用いて、トレーディングカードの画像データを入力とし、特徴量を出力することによって、トレーディングカードの特徴量を算出する。特徴量算出部111は、判別対象であるトレーディングカード(以下、判別対象カードという。)の画像データを学習済みモデル123に入力し、学習済みモデル123から特徴量を出力することによって、判別対象カードの特徴量の組を算出する。
【0022】
距離算出部112は、判別対象カードの特徴量の組からなる特徴ベクトルと、特徴量記憶部122に記憶するトレーディングカードそれぞれの特徴量の組からなる特徴ベクトルに基づいて、判別対象カードの特徴ベクトルとトレーディングカードそれぞれの特徴ベクトルとの距離を算出する。なお、特徴ベクトルとの距離に代えて、判別対象カードの特徴ベクトルとトレーディングカードそれぞれの特徴ベクトルとの角度を算出してもよい。
【0023】
カード判別部113は、判別対象カードの特徴ベクトルとトレーディングカードそれぞれの特徴ベクトルとの距離または角度が所定の条件に合致するか否かによって、判別対象カードがどのトレーディングカードであるかを判別する。
【0024】
ハッシュ値判別部114は、判別対象カードの画像データからハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する。ハッシュ値判別部114は、カード情報記憶部121に記憶された、トレーディングカードそれぞれのハッシュ値と、判別対象カードのハッシュ値が所定の条件に合致するか否かを判断し、判別対象カードがどのトレーディングカードであるかを判別する。
【0025】
情報取得部115は、カード判別部113によって判別されたトレーディングカードに対応するカード識別情報を特徴量記憶部122から取得し、カード識別情報に対応付けられたカード情報をカード情報記憶部121から取得する。また、カード情報には、店舗端末200の表示画面に判別対象カードの画像データと対比して表示するために、画像データを含めてもよい。
【0026】
通信部130は、ネットワークNを介して店舗端末200やその他の装置と互いに通信可能に接続し、店舗端末200やその他の装置との間でデータを送受信する。ネットワークNは、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)、移動体通信網等の任意の通信ネットワークおよびその組合せであり、その一部または全部が有線または無線であってもよい。
【0027】
次に、店舗端末200の構成について説明する。店舗端末200は、通信部201と、制御部202と、入出力部203と、スキャナ204とを備える。また、店舗端末200は、図示しないPOS(Point of Sale)システムと連携し、トレーディングカードの買取処理を実行する。
【0028】
通信部201は、ネットワークNを介して判別サーバ100やその他の装置と互いに通信可能に接続し、判別サーバ100やその他の装置との間でデータを送受信する。通信部201は、トレーディングカードの画像データおよびトレーディングカードに関する情報を判別サーバ100に送信する。通信部201は、判別サーバ100から送信されたトレーディングカードそれぞれのカード識別情報およびカード情報を受信する。
【0029】
制御部202は、図示しない記憶部に記憶する種々のプログラムおよび制御情報を展開して実行することにより、店舗端末200の各部の動作を制御する。
【0030】
入出力部203は、操作者による操作等を入力装置から受付け、操作等に対する結果やメニュー画面等を表示画面に表示する。入出力部203は、入力画面からトレーディングカードに関する情報の入力を受付ける。また、入出力部203は、判別サーバ100から送信されたトレーディングカードそれぞれのカード識別情報およびカード情報を表示画面に表示する。
【0031】
スキャナ204は、トレーディングカードを読込み、トレーディングカードごとの画像データを生成する。スキャナ204は、トレーディングカードを折り曲げないフィーダを備えることによって、トレーディングカードに不要な力を加えることなく連続して読み込むことができる。
【0032】
上述のように構成された判別サーバ100と店舗端末200で実行するトレーディングカード判別処理について説明する。
図3は、判別サーバ100と店舗端末200が実行するトレーディングカード判別処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
店舗端末200において、スキャナ204は、トレーディングカードを読込み(ステップS301)、トレーディングカードの画像データを生成する。スキャナ204で読込むトレーディングカードは、1枚でも複数枚でもよい。入出力部203は、表示装置に表示された入力画面から読込んだトレーディングカードに関する情報の入力を受付ける(ステップS302)。トレーディングカードに関する情報は、例えば、カード状態等(以下、入力情報という。)である。通信部201は、トレーディングカードの画像データと入力情報を判別サーバ100に送信する(ステップS303)。
【0034】
判別サーバ100において、通信部130は、店舗端末200から送信されたトレーディングカードの画像データと入力情報を受信する(ステップS304)。特徴量算出部111は、判別対象カードの画像データを学習済みモデル123に入力する(ステップS305)。特徴量算出部111は、学習済みモデル123から判別対象カードの画像データの特徴量を出力する(ステップS306)。より具体的には、学習済みモデル123に判別対象カードの画像データを入力すると、特徴量の組が出力される。
【0035】
距離算出部112は、判別対象カードの特徴量の組からなる特徴ベクトルと、トレーディングカードの特徴量の組からなる特徴ベクトルとに基づいて、判別対象カードの特徴ベクトルとトレーディングカードの特徴ベクトルの距離を算出する(ステップS307)。ここで、トレーディングカードの特徴ベクトルは、特徴量記憶部122に記憶するトレーディングカードそれぞれ(すなわち、カード識別情報それぞれ)の特徴量の組からなる特徴ベクトルである。
【0036】
カード判別部113は、距離算出部112によって算出した特徴ベクトルの距離が所定の条件に合致するか否かを判断する(ステップS308)。所定の条件は、一例として、特徴ベクトルの距離が予め定めた閾値以内であるか否かである。特徴ベクトルの距離が予め定めた閾値以内であるトレーディングカードが複数ある場合は、複数のトレーディングカードのすべてを判別対象カードの候補としてもよい。また、特徴ベクトルの距離が予め定めた閾値以内で、かつ、距離が最も近いトレーディングカードを判別対象カードと判別してもよい。なお、距離算出部112は、特徴ベクトルの距離に代えて、特徴ベクトルの角度を算出してもよい。カード判別部113は、特徴ベクトルの角度を算出した場合、特徴ベクトルの距離の場合と同様に、特徴ベクトルの角度が予め定めた閾値以内であるか否か等によってトレーディングカードを判別する。他の実施例でも同様である。
【0037】
カード判別部113は、特徴ベクトルの距離が所定の条件に合致すると判断した場合(ステップS308:Yes)、情報取得部115は、所定の条件に合致したトレーディングカードのカード識別情報およびカード情報を取得する(ステップS309)。より具体的には、情報取得部115は、特徴ベクトルの距離が所定の条件に合致するトレーディングカードのカード識別情報を特徴量情報記憶部122から取得する。情報取得部115は、カード識別情報に対応付けられた画像データ、評価額等のカード情報をカード情報記憶部121から取得する。情報取得部115は、判別対象カードそれぞれに、カード識別情報およびカード情報を対応付ける。
【0038】
カード判別部113は、特徴ベクトルの距離が所定の条件に合致しないと判断した場合(ステップS308:No)、カード判別部113は、カード判別不可と判断する(ステップS310)。情報取得部115は、判別対象カードのカード情報として、カード情報なしを設定する(ステップS311)。通信部130は、判別対象カードそれぞれのカード識別情報およびカード情報を店舗端末200に送信する(ステップS312)。
【0039】
店舗端末200において、通信部201は、判別サーバ100から判別対象カードのカード識別情報およびカード情報を受信する(ステップS313)。入出力部203は、判別対象カードそれぞれのカード識別情報およびカード情報を表示画面に表示する(ステップS314)。通信部201は、判別対象カードそれぞれのカード識別情報およびカード情報を図示しないPOSシステムに送信する。POSシステムでは、判別対象カードそれぞれのカード識別情報およびカード情報を連携することでトレーディングカードの買取処理を実行することができる。
【0040】
上述したように、判別サーバ100は、トレーディングカードの画像データの特徴量を用いることによって判別対象カードがどのトレーディングカードであるかを容易に判別することができる。また、少なくとも1枚の真正品のトレーディングカードの画像データの特徴量を特徴量記憶部122に格納しておくことによって、判別対象カードを判別することができる。これにより、多くのカードを入手することが難しいレアカードや最近発売されたカードであっても判別対象とすることができる。
【0041】
また、判別対象カードの判別において、所定の条件に合致しない場合にはカード判別不可と判断することによって、カード情報記憶部121に格納していないトレーディングカード(例えば、レアカードや発売してまもないカード等)や偽造品の可能性等を判別することができる。なお、判別対象カードが所定の条件に合致しない場合であっても、所定の条件に合致しない旨を示したうえで、特徴ベクトルの距離が最も近いトレーディングカードを提示してもよい。また、判別対象カードの判別結果としてトレーディングカードを提示する場合は、カード種別、カードIDとレア度とともに、当該トレーディングカードとの合致の度合い(例えば、特徴ベクトルの距離)を表示してもよい。
【0042】
カード判別不可と判断した判別対象カードは、真正品であれば、レアカードや発売してまもないカード等であるため、判別対象カードの画像データを入力し、学習済みモデル123から出力した特徴量をカード種別、カードID、レア度に対応付けて特徴量記憶部122に記憶するとともに、カード種別、カードID、レア度、画像データ、ハッシュ値、評価額等をカード情報記憶部121に記憶してもよい。これによって、新たなトレーディングカードを判別対象とすることができる。
【0043】
上述した処理では、距離算出部112において、特徴量1~特徴量mすべてを特徴ベクトルとして、特徴ベクトルの距離を算出したが、特徴量1~特徴量mすべてを用いる必要はなく、例えば、カード種別ごとに、特徴ベクトルの距離の差異が大きくなる特徴量を選択し、特徴ベクトルとしてもよい。また、同一のカードIDのレア度を判別する場合は、カードIDごとに、特徴ベクトルの距離の差異が大きくなる特徴量を選択し、特徴ベクトルとしてもよい。
【0044】
学習済みモデル123に入力する画像データは、トレーディングカードの1枚すべての画像データではなく、画像データの一部、例えば、カードの中心部分の領域やカードの隅の領域等の所定の領域やカード内の枠線で囲まれた領域等としてもよく、カード種別やカードIDごとに異なる領域としてもよい。この場合は、カードの所定の領域の画像データの特徴量を特徴量記憶部122に格納し、判別対象カードの画像データについても同様の領域の特徴量から特徴ベクトルの距離を算出し、トレーディングカードを判別する。
【0045】
上述した処理では、カード状態を店舗端末200で入力したが、学習済みモデル123によってカード状態を判別するようにしてもよい。カード状態について学習済みモデル123を用いて判別する場合は、1つの学習済みモデル123で、カード種別とカードIDとレア度とカード状態を判別してもよい。また、カード状態のみを判別する学習済みモデル123を生成し、カード種別とカードIDとレア度とは別の学習済みモデル123で判別してもよい。なお、カード種別、カードID、レア度は、それぞれを別々の学習済みモデル123で判別してもよく、カード種別、カードID、レア度の任意の組合せを学習済みモデル123で判別してもよい。
【0046】
判別対象カードの画像データは、スキャナ204で読込んだ画像データをそのまま使用するほか、スキャナ204に設定された環境に応じて補正処理した画像データの特徴量を用いてトレーディングカードを判別してもよい。また、画像データから生成したモノクロやグレースケールの画像データの特徴量やRBG成分等を抽出した画像データの特徴量を用いてトレーディングカードを判別してもよい。なお、上述した画像データの特徴量は、自由に組み合わせてカード判別に用いることができる。
【0047】
次に、ハッシュ値を用いたトレーディングカードの判別について説明する。ハッシュ値判別部114は、店舗端末200から受信した、判別対象カードの画像データのハッシュ値を算出する。ハッシュ値判別部114は、判別対象カードの画像データのハッシュ値と、カード情報記憶部121に記憶するトレーディングカードごとのハッシュ値との距離が閾値内か否かによって、判別対象カードがどのトレーディングカードであるか否かを判別する。ハッシュ値判別部114は、比較する画像データのハッシュ値のハミング距離を利用して距離を算出する。ハッシュ値判別部114は、ハッシュ値の距離が近いほど画像が一致していると判断する。
【0048】
図3のフローチャートにおいて、ハッシュ値判別部114は、
図3に示すステップS305~ステップS311を実行する前に、ハッシュ値によるカード判別を実行する。ハッシュ値判別部114によってトレーディングカードが判別できた場合は、ハッシュ値判別部114で判別したトレーディングカードのカード識別情報およびカード情報を店舗端末200に送信してもよい。また、ハッシュ値判別部114によって、トレーディングカードが判別できた場合であっても、さらにステップS305~ステップS311の処理を実行してもよい。
【0049】
ハッシュ値判別部114によって、判別対象カードを複数のトレーディングカードのいずれかに絞り込んだ場合は、さらにステップS305~ステップS311の処理を実行して、絞り込んだカードのなかからトレーディングカードを判別してもよい。また、カード判別部113が判別対象カードの候補を複数抽出した場合、ステップS311の後に、ハッシュ値判別部114が判別対象カードのハッシュ値を算出し、複数の候補のトレーディングカードそれぞれとのハッシュ値の比較によって、トレーディングカードを判別してもよい。
【0050】
上述したトレーディングカード判別処理を実行する際の事前準備について説明する。真正品のトレーディングカードの画像データを入手した場合、学習済みモデル123に画像データを入力し、学習済みモデル123から出力した特徴量を特徴量記憶部122に格納する。特徴量記憶部122には、カード種別とカードIDとレア度とに対応付けて特徴量を格納する。なお、同一のカード種別、カードID、レア度の画像データを複数入手した場合は、特徴量1~特徴量mそれぞれの中心値(画像データそれぞれの特徴量1~特徴量mの平均値であり、画像データそれぞれの特徴量1~特徴量mの分布の重心、中央値、最頻値等であってもよい。)を特徴量記憶部122に格納する。カード情報記憶部121には、カード種別とカードIDとレア度とに対応付けてトレーディングカードに関する情報を格納する。
【0051】
学習済みモデル123を用いて出力する特徴量と識別結果について説明する。学習済みモデル123は、一例として、入力層、複数の畳み込み層とマックスプーリング層、複数の全結合層、出力層(ソフトマックス関数)を備える。学習済みモデル123は、入力層に画像データを入力することによって、入力した画像データがそれぞれのトレーディングカードである確率を示す識別結果を出力層から出力する。また、学習済みモデル123は、識別結果を出力する前の全結合層から特徴量を出力する。
【0052】
次に、学習済みモデル123自体の学習について説明する。学習済みモデル123は、真正品のトレーディングカードの画像データを教師データとして入力し、識別結果においてカード種別、カードID、レア度が異なるトレーディングカードであることを判別できるように学習させる。このように学習済みモデル123自体を学習させることにより、カード種別、カードID、レア度が異なるカードの特徴量の差異が大きくなり、カード判別部113でのカード判別の精度を向上させることができる。なお、学習済みモデル123は、カード種別、カードID、レア度のそれぞれを別々に判別する3つの学習済みモデルを生成し、カード種別、カードID、レア度をそれぞれ判別してもよい。また、カード種別とカードIDを判別する学習済みモデル、カードIDとレア度を判別する学習済みモデル、カード種別とレア度を判別する学習済みモデルを生成し、カード種別とカードID、カードIDとレア度、カード種別とレア度を判別してもよい。
【0053】
<実施例2>
図4は、実施例2にかかる判別サーバ300と店舗端末200とを備えるトレーディングカード判別システム20の構成を示すブロック図である。判別サーバ300は、判別対象カードの真偽を判別するコンピュータである。判別サーバ300は、
図4に示すように、制御部310と、記憶部320と、通信部130とを備える。各装置および各部において、実施例1で示した符号と同一である場合は、ほぼ同一の機能および構成を備えるため、ここでの説明は省略し、上述した説明を参照する。
【0054】
真偽判別部313は、判別対象カードの画像データに基づいて、判別対象カードが真正品か偽造品かを判別する。より具体的には、真偽判別部313は、学習済みモデル323に判別対象カードの画像データを入力し、出力した判別対象カードの特徴量の組からなる特徴ベクトルと、真正品のトレーディングカードの特徴量の組からなる特徴ベクトルの距離を算出し、判別対象カードの真偽を判別する。また、真偽判別部313は、判別対象カードの特徴ベクトルと真正品のトレーディングカードの特徴ベクトルとの距離と、判別対象カードの特徴ベクトルと偽造品のトレーディングカードの特徴ベクトルとの距離との差異から、判別対象カードの真偽を判別する。
【0055】
特徴量記憶部322は、特徴量記憶部122のデータ構成である、カード種別と、カードIDと、レア度と、特徴量1~特徴量mと、その他の情報とに加え、カード種別とカードIDとレア度とに対応付けて真偽情報(真正品か偽造品かの別)を記憶する。特徴量記憶部322は、トレーディングカードごと(カード識別情報ごと)に、少なくとも真正品の特徴量1~特徴量mを格納する。なお、偽造品が入手できた場合は、偽造品の特徴量1~特徴量mを格納する。
【0056】
学習済みモデル323は、カード識別情報ごと(カード種別とカードIDとレア度ごと)に、真正品と偽造品の特徴量の差異が大きくなるように学習した学習済みモデルである。また、偽造品が入手できない場合は、真正品それぞれの特徴量の差異が小さくなるように学習する。なお、学習済みモデル323は、カード識別情報ごと(カード種別ごと、カード種別とカードIDごと)に、真正品と偽造品の特徴量の差異が大きくなるように学習した学習済みモデルであってもよい。
【0057】
上述したように構成された判別サーバ300と店舗端末200で実行するトレーディングカード真偽判別処理について説明する。
図5は、判別サーバ300と店舗端末200が実行するトレーディングカード真偽判別処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
店舗端末200において、スキャナ204は、トレーディングカードを読込み(ステップS501)、トレーディングカードの画像データを生成する。スキャナ204で読込むトレーディングカードは、1枚でも複数枚でもよい。入出力部203は、表示装置に表示された入力画面から読込んだトレーディングカードに関する情報の入力を受付ける(ステップS502)。トレーディングカードに関する情報の入力には、カード識別情報を含む。通信部201は、トレーディングカードの画像データと入力情報を判別サーバ100に送信する(ステップS503)。
【0059】
判別サーバ300において、通信部130は、店舗端末200からトレーディングカードの画像データと入力情報を受信する(ステップS504)。
【0060】
特徴量算出部111は、判別対象カードの画像データを学習済みモデル323に入力する(ステップS505)。特徴量算出部111は、学習済みモデル323から判別対象カードの画像データの特徴量を出力する(ステップS506)。距離算出部112は、特徴量記憶部322に記憶する、カード種別とカードIDとレア度と真正品とに対応付けられた特徴量を取得する。距離算出部112は、判別対象カードの特徴量の組である特徴ベクトルと、特徴量記憶部322から取得した特徴量の組である特徴ベクトルに基づいて特徴ベクトルの距離を算出する(ステップS507)。
【0061】
真偽判別部313は、特徴ベクトルの距離が所定の条件に合致するか否かを判断する(ステップS508)。具体的には、真偽判別部313は、特徴ベクトルの距離が予め定められた閾値内か否かを判断する。判別対象カードの特徴ベクトルと、真正品の特徴ベクトルとの距離が所定の閾値内であれば、真正品であると判断する。また、特徴量記憶部322に偽造品の特徴量が記憶されている場合は、真正品との特徴ベクトルとの距離と偽造品との特徴ベクトルとの距離を算出し、真正品と偽造品のうち特徴ベクトルの距離が近いほうと判別してもよい。
【0062】
真偽判別部313は、特徴ベクトルの距離が所定の条件に合致すると判断した場合(ステップS508:Yes)、判別対象カードが真正品であると判断する(ステップS509)。真偽判別部313は、特徴ベクトルの距離が所定の条件に合致しないと判断した場合(ステップS508:No)、カードは偽造品であると判別する(ステップS510)。通信部130は、判別対象カードそれぞれに対応付けられた真正品または偽造品の別を示す真偽情報を店舗端末200に送信する(ステップS511)。
【0063】
店舗端末200において、通信部201は、判別サーバ300から判別対象カードそれぞれに対応付けられた真偽情報を受信する(ステップS512)。入出力部203は、判別対象カードそれぞれに対応付けられた真偽情報を表示画面に表示する(ステップS513)。
【0064】
このように、判別サーバ300は、トレーディングカードの画像データの特徴量を用いることによって判別対象カードが真正品か偽造品かを容易に判別することができる。教師データとなる偽造品を入手することが困難であっても、真正品の画像データの特徴量を蓄積し、蓄積した特徴量の中心値を用いることによってトレーディングカードの真偽を判別することができる。なお、本実施例でも、実施例1と同様に、学習済みモデル323から出力されたすべての特徴量を特徴ベクトルとして距離を算出することに代えて、選択した特徴量を特徴ベクトルとして距離を算出してもよい。本実施例は、実施例1の前または後に実行してもよい。
【0065】
図6は、学習済みモデル323が出力した特徴量の一例を示す説明図である。
図6(a)は、学習済みモデル323で出力した、真正品の画像データの2つの特徴量を示す図である。
図6では模式的に特徴量の軸を特徴量xと特徴量yの2つとして示したが、特徴量を2つに限るものではなく、すべての特徴量を示すm次元としても、予め定められた、1または複数の特徴量としてもよい。
図6(a)には、偽造品のデータはないが、真正品の特徴量の中心値と判別対象カードの特徴量が所定の条件に合致する(例えば、所定の距離内である)場合は、真正品と判断することができる。
【0066】
図6(b)は、学習済みモデル323で出力した、真正品と偽造品の特徴量を示す説明図である。
図6(b)は、真正品と偽造品を学習する前であるが、この時点であっても、判別対象のトレーディングカードの特徴量と、真正品の特徴量の中心値および偽造品の特徴量の中心値からの距離を対比することで真偽を判別することができる。
【0067】
図6(c)は、真正品と偽造品を判別可能に学習した後に出力した、真正品と偽造品の特徴量を示す説明図である。真正品と偽造品の特徴量を判別可能に学習したことにより、判別対象カードの真偽を
図6(b)より精度高く判別することができる。
【0068】
図6(d)は、真正品と偽造品の判別をさらに学習した、真正品と偽造品の特徴量を示す説明図である。学習済みモデル323は、真正品と偽造品の特徴量の距離1がより遠くになるよう、真正品同士と偽造品同士の特徴量の距離2がより近くになるように学習した。これにより、偽造品の画像データが少ない場合であっても、判別対象カードの真偽を精度高く判別することができる。また、学習済みモデル323は、特徴量の組合せや数を変え、真正品と偽造品の特徴量の距離1がより遠くになり、真正品同士と偽造品同士の特徴量の距離2がより近くになるような特徴量を選択するよう学習させてもよい。
【0069】
なお、特徴量を算出するトレーディングカードの画像データは、実施例1と同様に、トレーディングカード全体の画像データであっても、トレーディングカードの一部である所定の領域の画像データであってもよい。所定の領域は、カード種別、カードID、レア度それぞれにおいて異なっていてもよく、複数の領域であってもよい。また、上述した実施例では、カード種別、カードID、レア度で特定されるトレーディングカードごとに真偽を判別したが、カード種別ごと、または、カード種別およびカードIDごとに、真偽が判別できるよう学習済みモデル323を学習させ、店舗端末200でカード種別の入力を受付け、または、カード種別およびカードIDの入力を受付けて、カード種別の真偽、またはカード種別およびカードIDの真偽を判別してもよい。なお、この場合は、特徴量記憶部322は、カード種別ごと、カード種別およびカードIDごとに、真偽が判別できる場合は、カード種別ごと、カード種別およびカードIDごとの特徴量を格納する。
【0070】
<実施例3>
図7は、実施例3にかかる判別サーバ400と携帯端末500とを備えるトレーディングカード判別システム30の構成を示すブロック図である。判別サーバ400は、判別対象カードを判別するコンピュータである。判別サーバ400は、実施例1で説明した判別サーバ100の機能と構成とほぼ同一である。携帯端末500-1~携帯端末500-k(以下、携帯端末500と示す。)は、トレーディングカードの買取等を依頼するユーザによって操作されるコンピュータであり、判別サーバ400とネットワークNを介して接続している。
【0071】
判別サーバ400は、判別サーバ100の構成に加え、画像調整部416を備える。画像調整部416は、携帯端末500でトレーディングカードを撮像した際の撮像に関する情報(以下、撮像情報という。)に基づいて、1枚または複数枚の画像データがスキャナ204で読込んだ画像データと同様になるよう画像を補正し調整する。
【0072】
携帯端末500は、スマートフォンや携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等であり、判別サーバ400との間でデータを送受信する。携帯端末500は、通信部501と、制御部502と、入出力部503と、カメラ504とを備える。カメラ504は、携帯端末500に内蔵、または外付けすることによって、トレーディングカードを撮像することができる。
【0073】
上述のように構成された判別サーバ400と携帯端末500で実行するトレーディングカード判別処理について説明する。
図8は、判別サーバ400と携帯端末500が実行するトレーディングカード判別処理手順を示すフローチャートである。
【0074】
携帯端末500において、操作者による操作に応じ、カメラ504は、トレーディングカードを撮像する(ステップS801)。より具体的には、カメラ504は、トレーディングカードを撮像することによってトレーディングカードを含む画像データを生成し、撮像時の撮像情報を取得する。入出力部503は、表示画面にカメラ504が撮像する画像を表示するとともに、トレーディングカード全体やカード判別に必要なトレーディングカードの領域が撮像できるような枠や記号等の目印を表示する。入出力部503は、目印に応じてトレーディングカード全体や所定の領域を撮像できるか否かを判断し、想定されたトレーディングカード全体や所定の領域を撮像できるようにカメラの位置や方向等に調整するための指示を表示してもよい。カメラ504の位置や方向等を調整するための指示は音声であってもよい。また、制御部502は、カメラ504によって撮像されたトレーディングカードの画像データが、カード判別に必要な所定の条件に合致するか否かを判断し、条件に合致しないと判断した場合は、再度撮像するよう指示してもよい。トレーディングカードの画像データは、1枚に限ることなく、複数枚の異なる倍率やカードの大きさ、傾き、画像の明るさ等の画像を撮像してもよい。また、画像に代えて、動画を撮像してもよい。
【0075】
入出力部503は、表示装置に表示された入力画面から撮像したトレーディングカードに関する情報の入力を受付ける(ステップS802)。通信部501は、トレーディングカードの画像データと撮像情報と入力情報を判別サーバ400に送信する(ステップS803)。
【0076】
判別サーバ400において、通信部130は、携帯端末500から送信されたトレーディングカードの画像データと撮像情報と入力情報を受信する(ステップS804)。画像調整部416は、トレーディングカードの画像データと撮像情報に基づいて、トレーディングカードの画像データを調整する(ステップS805)。複数の画像データを受信した場合は、複数の画像データと撮像情報に基づいて、1つの判別対象カードの画像データになるよう調整する。ステップS806~ステップS812の処理は、
図3のステップS305~ステップS311と同様なので、
図3のステップS305~ステップS311の説明を参照し、ここでの説明は省略する。
【0077】
通信部130は、判別対象カードに対応付けられたカード識別情報およびカード情報を携帯端末500に送信する(ステップS813)。
【0078】
携帯端末500において、通信部501は、判別サーバ400から送信された、判別対象カードのカード識別情報およびカード情報を受信する(ステップS814)。入出力部503は、判別対象カードのカード識別情報およびカード情報を表示画面に表示する(ステップS815)。
【0079】
上述したように、携帯端末500は、撮像したトレーディングカードの画像データを判別サーバ400に送信することによってトレーディングカードを判別することができ、トレーディングカードのカード識別情報およびカード情報を携帯端末500で確認することができる。また、判別サーバ400は、判別サーバ300の機能および構成を備えることによって、携帯端末500は、トレーディングカードの判別に代えて、または加えて、トレーディングカードの真偽を確認することができる。
【0080】
<実施例4>
本実施例では、実施例2のトレーディングカード真偽判別処理後、店舗端末200においてトレーディングカードを買い取ると判断した場合、買い取ると判断したトレーディングカードの特徴量を加えて特徴量記憶部322に記憶する特徴量を更新する処理について説明する。
【0081】
図9は、実施例4にかかる判別サーバ600と店舗端末200とを備えるトレーディングカード判別システム40の構成を示すブロック図である。判別サーバ600は、
図4に示す実施例2の構成に加え、制御部610に特徴量更新部616を備え、記憶部620に個別特徴量記憶部624を備える。
【0082】
個別特徴量記憶部624は、これまでスキャナ等で取得した、真正品のトレーディングカード1枚1枚のカード識別情報(カード種別、カードID、レア度)と特徴量とその他の情報とを対応付けて記憶する。より具体的には、個別特徴量記憶部624は、
図5のステップS506で学習済みモデル323から出力された特徴量であり、かつ、買取されたトレーディングカードの特徴量をカード識別情報に対応付けて記憶する。
【0083】
特徴量更新部616は、店舗端末200で買取の入力を受付けたトレーディングカードのカード識別情報と特徴量とを対応付けて個別特徴量記憶部624に格納し、個別特徴量記憶部624に記憶する特徴量からカード識別情報それぞれのトレーディングカードの特徴量を算出し、特徴量記憶部322に格納する。より具体的には、特徴量更新部616は、店舗端末200に真偽情報を送信したトレーディングカードそれぞれに対し店舗端末200で買取と入力されたか否かを判断する。特徴量更新部616は、買取の入力を受付けたトレーディングカードのカード識別情報と特徴量を個別特徴量記憶部624に格納し、個別特徴量記憶部624のうちのカード識別情報が一致する特徴量から、カード識別情報それぞれのトレーディングカードの特徴量を算出し、特徴量記憶部322に格納することで特徴量を更新する。
【0084】
図10は、実施例2の
図5のフローチャートに続けて、判別サーバ600と店舗端末200が実行する特徴量更新処理手順を示すフローチャートである。本実施例では、実施例2での処理(
図5のステップS506)において、特徴量算出部111は、トレーディングカードの特徴量の組をカード識別情報に対応付けて、図示しない一時保存の記憶部に格納する。また、ハッシュ値算出部114が画像データのハッシュ値を算出する場合は、カード識別情報に対応付けてハッシュ値も図示しない一時保存の記憶部に格納する。
【0085】
図10に戻り、店舗端末200の入出力部203は、表示画面に表示されたトレーディングカードそれぞれに対し、買取か否かの入力を受付ける(ステップS514)。表示画面は、少なくともスキャナで読み込んだトレーディングカードそれぞれを識別する情報と、トレーディングカードそれぞれに対する真偽情報と、買取か否かを入力するフォームとを表示する。通信部201は、トレーディングカードごとの買取か否かを示す買取情報を判別サーバ300に送信する(ステップS515)。
【0086】
判別サーバ300において、通信部130は、トレーディングカードごとの買取情報を店舗端末200から受信する(ステップS516)。
【0087】
特徴量更新部616は、トレーディングカードそれぞれに対し買取の入力を受付けたか否かを判断する(ステップS517)。トレーディングカードが買取の入力を受付けたと判断した場合(ステップS517:Yes)、特徴量更新部616は、図示しない一時保存の記憶部からトレーディングカードに対応付けられた特徴量を取得する(ステップS518)。特徴量更新部616は、図示しない一時保存の記憶部から取得したトレーディングカードに対応する、カード識別情報と特徴量を個別特徴量記憶部624に格納する(ステップS519)。特徴量更新部616は、個別特徴量記憶部624に記憶する特徴量から、カード識別情報ごとの新たな特徴量を算出する(ステップS520)。特徴量の算出方法は、上述した、真正品のトレーディングカードの画像データを複数取得した場合と同様に、特徴量の中心値(複数の特徴量それぞれの平均値、分布の重心、中央値、最頻値等)を算出する。特徴量更新部616は、算出したカード識別情報ごとの特徴量を特徴量記憶部322に格納する(ステップS521)。通信部130は、買取対象であるトレーディングカードに関する情報をPOSシステムに送信する(ステップS522)。POSシステムは、トレーディングカードの買取処理を実行する。なお、複数のトレーディングカードの買取を判断した場合は、買取の入力を受付けたトレーディングカードすべてのカード識別情報と特徴量を個別特徴量記憶部624に格納したあとに、ステップS520でカード識別情報ごとの新たな特徴量を算出してもよい。
【0088】
このように、店舗端末200で買取の入力を受付けることで、トレーディングカードは、真正品であると判断され、真正品と判断されたトレーディングカードの特徴量を加えた特徴量を用いて、カード識別情報ごとの新たな特徴量を算出し、特徴量記憶部322に記憶する特徴量を更新することができる。これによって、より多くの真正品に基づく特徴量を真偽判別で使用することができ、真偽の判断精度が向上する。また、店舗でのトレーディングカードの買取り処理の流れのなかで、買取する、すなわち真正品と判断したトレーディングカードの特徴量を入手することができる。これによって、真正品のトレーディングカードの特徴量を容易に特徴量記憶部322に反映することができ、真偽の判断精度が向上する。
【0089】
なお、店舗端末200で買取しない旨の入力を受付けたトレーディングカードについても、偽造品である旨を加えたうえで、個別特徴量記憶部624に格納し、カード識別情報ごとの偽造品の特徴量として算出してもよい。
【0090】
上述した実施例では、
図5のフローチャートに続けた処理として説明したが、同様に、実施例1の
図3および実施例3の
図8のフローチャートに続けた処理としてもよい。この場合、実施例1の判別サーバ100または実施例3の判別サーバ400は、それぞれの構成に加え、特徴量更新部616と個別特徴量記憶部624を備える。また、
図3のステップS306にまたは
図8のステップS807において、特徴量算出部111は、トレーディングカードの特徴量を、カード識別情報に対応付けて、図示しない一時保存の記憶部に格納する。また、ハッシュ値算出部114が画像データのハッシュ値を算出する場合は、カード識別情報に対応付けて、ハッシュ値も格納する。
【0091】
この場合も、
図3のステップS314、ステップS312に続けて、または
図8のステップS815以降にユーザの操作する携帯端末500から買取の依頼を判別サーバ400に送信し、判別サーバ400で
図10のフローチャートの処理を実行することによって、店舗端末200または判別サーバ400で買取の入力を受付けた、すなわち真正品と判断されたトレーディングカードの特徴量を加えた特徴量で特徴量記憶部122を更新することができる。
【0092】
さらに、買取の入力を受付けたトレーディングカードの画像データおよびトレーディングカードに関する情報を用いて、学習済みモデル123、学習済みモデル323を学習させてもよい。これにより、より多くの真正品のトレーディングカードを用いて学習することができるため、学習済みモデル123、学習済みモデル323がトレーディングカードのカード種別、カードID、レア度や、トレーディングカードの真偽をより精度高く判別できる特徴量を出力することができる。
【0093】
上述した実施例1~4にかかる判別サーバ100、300、400、600、店舗端末200、携帯端末500のハードウェア構成は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含み、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置、通信制御装置等を備えた通常のコンピュータであり、ROMやRAM、HDD等に記憶されたプログラムをCPU等が読み出し動作させることによって、上述した構成や機能を実現する。なお、制御部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等の電子回路であってもよい。
【0094】
判別サーバ100、300、400、600、店舗端末200、携帯端末500で動作するプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納しておき、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供したり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD、USBメモリ、SDカード等のコンピュータで読取り可能な記録媒体に記録し提供してもよい。また、上述した機能や処理を実現するプログラムは、API(Application Programming Interface)やSaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという利用形態で提供してもよい。
【0095】
上述した実施例では、判別サーバ100、300、400、600、店舗端末200、携帯端末500を別々の装置として説明したが、判別サーバ100、300、400、600、店舗端末200、携帯端末500の機能および構成の全部または一部を1つの装置として構成してもよく、判別サーバ100、300、400、600、店舗端末200、携帯端末500の機能および構成の一部および全部を組合せて構成してもよい。
【0096】
なお、本発明は、上述した実施例そのままに限定されるものではなく、必ずしも物理的に図示したように構成されている必要はない。また、本発明は、実施例で説明した構成要素の全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じ、任意の単位で機能的または物理的に分割、統合、入替、変形または削除して構成することができる。
【符号の説明】
【0097】
100…判別サーバ、110…制御部、111…特徴量算出部、112…距離算出部、113…カード判別部、114…ハッシュ値判別部、115…情報取得部、120…記憶部、121…カード情報記憶部、122…特徴量記憶部、123…学習済みモデル、130…通信部、200…店舗端末、201…通信部、202…制御部、203…入出力部、204…スキャナ、300…判別サーバ、310…制御部、313…真偽判別部、320…記憶部、322…特徴量記憶部、323…学習済みモデル、400…判別サーバ、410…制御部、416…画像調整部、500…携帯端末、501…通信部、502…制御部、503…入出力部、504…カメラ、600…判別サーバ、616…特徴量更新部、624…個別特徴量記憶部