(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072808
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 71/12 20060101AFI20240521BHJP
C08K 5/5313 20060101ALI20240521BHJP
C08K 5/5399 20060101ALI20240521BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20240521BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240521BHJP
C08K 7/22 20060101ALI20240521BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20240521BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240521BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C08L71/12
C08K5/5313
C08K5/5399
C08K5/521
C08K3/013
C08K7/22
B32B15/20
B32B15/08 105
H05K1/03 610H
H05K1/03 610S
H05K1/03 630H
【審査請求】未請求
【請求項の数】50
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023193712
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】63/425,787
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523220189
【氏名又は名称】エージーシー マルチ マテリアル アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ライバオ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ビヴォナ
(72)【発明者】
【氏名】中島 陽司
(72)【発明者】
【氏名】中西 智亮
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ロイ・アルメン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・チャン
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AA14A
4F100AA19A
4F100AA20A
4F100AA21A
4F100AA34A
4F100AB01B
4F100AB01C
4F100AB33B
4F100AB33C
4F100AG00A
4F100AH02A
4F100AH08A
4F100AH08H
4F100AK25A
4F100AK49A
4F100AK51A
4F100AK54A
4F100AL09A
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4F100CA02A
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4F100JJ07
4F100JJ07A
4J002BC02X
4J002CH07W
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4J002EU199
4J002EW046
4J002EW136
4J002EW156
4J002EX019
4J002EX079
4J002EZ009
4J002FA107
4J002FD017
4J002FD136
4J002GF00
4J002GQ01
(57)【要約】
【課題】優れた電気特性、向上した難燃性、向上した機械特性、及び向上した密着特性を示しうる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】本開示は、少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)コポリマーと、少なくとも1種のリン含有難燃剤と、少なくとも1種のラジカル開始剤とを含む硬化性組成物に関する。本開示は、フィルム、積層体、プレプレグ、及び/又は回路板を形成するための該組成物の使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピリミジン、ピラジン又はピリダジン基を含むモノマー単位を含む少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーと、
少なくとも1種のリン含有難燃剤と、
少なくとも1種のラジカル開始剤と
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、マレイミド、スチレン、アリル、アリルエーテル、アクリレート、メタクリレート、イソシアヌレート又はベンゾキサジン基を含む官能基を末端基とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、式(5)~(9):
【化1】
(式中、R
1は、H、C
1~C
10アルキル、又はアリールであり、R
2、R
3及びR
6の各々は、独立に、C
1~C
10アルキルであり、R
4、R
5、R
7及びR
8の各々は、H又はC
1~C
10アルキルであり、pは、0~4の整数であり、qは、0~4の整数であり、rは、0~4の整数である)
のうちの1つのモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、組成物の固形分の約1質量%から約50質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のリン含有難燃剤が、アルミニウムジエチルホスフィネート、p-キシリレン-ビス-ジフェニルホスフィンオキシド、(2,5-ジアリルオキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、トリス(2-アリルフェノキシ)トリフェノキシシクロトリホスファゼン、レゾルシノールビス(ジ-2,6-ジメチルフェニルホスフェート)、シアノフェノキシ(フェノキシ)シクロホスファゼン、クレシルオキシ(フェノキシ)シクロホスファゼン、スピロシクロホスファゼン又はビニル含有ホスファゼンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
難燃剤が、組成物の固形分の約1質量%から約50質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
難燃剤が、組成物の固形分の約1質量%から約40質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の充填材を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の充填材が、シリカ、アルミナ、石英、二酸化チタン、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム又はポリマー粒子を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の充填材が、中空粒子を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
中空粒子が、中空シリカ粒子又は中空ポリマー粒子を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
粒子が、約0.7μmから約10μmの平均径を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の充填材が、組成物の固形分の約10質量%から約65質量%の量で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種のラジカル開始剤が、過酸化物、炭化水素又はアゾ化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1種のラジカル開始剤が、ビス(4-ビニルフェニル)エタン、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、ジ-(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン又は2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタンを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種のラジカル開始剤が、組成物の固形分の約0.1質量%から約10質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のエラストマーを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種のエラストマーが、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)コポリマー、ポリ(メチルスチレン-エチレン-ブチレン-メチルスチレン)コポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)コポリマー、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン-co-エチルスチレン)コポリマー、ポリ(メチルスチレン-co-4-(ジメチルビニルシリルメチル)スチレン)コポリマー、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン-co-スチレン)コポリマー、ポリジビニルベンゼンコポリマー、ポリ(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)コポリマー、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)コポリマー、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)コポリマー又はポリ(エチレン-プロピレン-ジエン)コポリマーを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
エラストマーが、組成物の固形分の約1質量%から約40質量%の量で存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1種の有機溶媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1種の有機溶媒が、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン又はキシレンを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1種の有機溶媒が、組成物の全質量の約1質量%から約50質量%の量で存在する、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1種の架橋剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも1種の架橋剤が、ビス(4-ビニルフェニル)エタン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン-co-スチレン)コポリマー、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリレート化合物、ビスフェノールAジアリルエーテル、アセナフチレン、シアン酸エステル、ベンゾキサジン又はビスマレイミドを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも1種の架橋剤が、組成物の固形分の約1質量%から約30質量%の量で存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1種のカップリング剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1種のカップリング剤が、シラン、チタネート又はジルコネートを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも1種のカップリング剤が、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、加水分解ビニルベンジルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート又はテトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)ジルコネートを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
少なくとも1種のカップリング剤が、組成物の固形分の約0.1質量%から約5質量%の量で存在する、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
ハロゲンを実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
請求項1に記載の組成物から調製されるフィルム。
【請求項32】
最大で約3.1の誘電率を有する、請求項31に記載のフィルム。
【請求項33】
最大で約0.002の誘電正接を有する、請求項31に記載のフィルム。
【請求項34】
請求項1に記載の組成物が含浸された織布又は不織布基板を含むプレプレグ製品。
【請求項35】
基板が、ガラス布を含む、請求項34に記載のプレプレグ製品。
【請求項36】
請求項34に記載のプレプレグ製品から調製される少なくとも1つの層を含む積層体。
【請求項37】
少なくとも1種の金属箔を少なくとも1つの層の表面に更に含む、請求項36に記載の積層体。
【請求項38】
金属箔が、銅箔である、請求項37に記載の積層体。
【請求項39】
請求項36に記載の積層体を含む、電子製品に使用される回路板。
【請求項40】
請求項1に記載の組成物を織布又は不織布基板に含浸する工程と、
組成物を硬化させてプレプレグ製品を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項41】
組成物を硬化させる工程が、約150℃から約250℃の範囲の温度で実施される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
プレプレグ製品を金属箔に貼付して積層体を形成する工程を更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
積層体を印刷回路板に変換する工程を更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
液体のリン含有難燃剤が存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項45】
液体のリン含有難燃剤が架橋性である、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
液体のリン含有難燃剤が、組成物の固形分の約1質量%から約30質量%の量で存在する、請求項44に記載の組成物。
【請求項47】
架橋性の液体のリン含有難燃剤が、トリス(2-アリルフェノキシ)トリフェノキシシクロトリホスファゼンである、請求項44に記載の組成物。
【請求項48】
全難燃剤量が、組成物の固形分の約1質量%から約50質量%である、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
少なくとも1種の充填材が、中空シリカ粒子を含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項50】
中空シリカ粒子が、組成物の固形分の約10質量%から約35質量%の量で存在する、請求項49に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2022年11月16日出願の米国仮出願第63/425,787号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、硬化性組成物、並びに関連方法、フィルム、積層体、プレプレグ、及び回路板に関する。
【背景技術】
【0003】
高速コンピューティング及び通信システムの需要の高まりに対応するために、印刷回路板(PCB)積層体の誘電正接(Df)及び挿入損失のさらなる低減が必要である。また、PCB材料の製造及び処分に関する環境上の懸念により、今では多くの家電用途において、ハロゲンフリー樹脂組成物の使用が必要とされている。
【0004】
現行の低損失樹脂系では、Df及び挿入損失が低いことが確認されたが、現在必要とされている低Df基準を満たすことはできない従来のポリ(フェニレンエーテル)(PPE)及び炭化水素樹脂系配合物が広く使用されている。また、炭化水素樹脂系配合物は、非常に低い損失を示しうるが、それらは、UL94燃焼性能が劣る。これを克服するためには、密着特性の低下(例えば、銅剥離強度及び内層接着強度(ILBS)の低下)、熱特性の低下(例えば、熱膨張係数(CTE)の低下)、及び耐湿性の低下、並びにDfの上昇をもたらす非常に高い難燃性レベルが通常必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、含窒素ポリ(アリーレンエーテル)ポリマー及びリン含有難燃剤を含む特定の硬化性組成物が、従来の硬化性組成物(例えば、PPEを含む硬化性組成物)と比較して、優れた電気特性(例えば、低Dk及び低Df)、向上した難燃性(例えば、UL94 V-0燃焼性能の達成)、向上した機械特性(例えば、層間接着強度)、及び向上した密着特性(例えば、剥離強度)を示しうるという予期せぬ発見に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本開示は、(1)ピリミジン、ピラジン又はピリダジン基を含むモノマー単位を含む少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーと、(2)少なくとも1種のリン含有難燃剤と、(3)少なくとも1種のラジカル開始剤とを含む硬化性組成物(例えば、ハロゲンフリー硬化性組成物)を特徴とする。
【0008】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の硬化性組成物から調製されるフィルム(例えば、自立型若しくは支持フィルム)を特徴とする。
【0009】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の硬化性組成物が含浸された織布又は不織布基板(例えば、織布又は不織布)を含むプレプレグ製品を特徴とする。
【0010】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のプレプレグ製品から調製される少なくとも1つの層を含む積層体を特徴とする。
【0011】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の積層体を含む電子製品に使用される回路板(例えば、印刷回路板)を特徴とする。
【0012】
更に別の態様では、本開示は、本明細書に記載の硬化性組成物を織布又は不織布基板に含浸する工程と、及び組成物を硬化させてプレプレグ製品を形成する工程とを含む、方法を特徴とする。
【0013】
開示されている組成物及び方法の1つ又は複数の実施形態の詳細が以下の説明に記載される。開示されている組成物及び方法の他の特徴、目的及び利点は、以下の説明及び請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般に、本開示は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種以上の)ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーと、少なくとも1種のリン含有難燃剤と、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種以上の)ラジカル開始剤とを含む硬化性組成物を対象とする。一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br又はI)を実質的に含まないものでありうる。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマー又はコポリマー(例えば、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、交互コポリマー又はブロックコポリマー)でありうる。
【0015】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、(例えば、開始剤又は熱の存在下で)硬化性又は架橋性である。一部の実施形態において、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、ポリマー鎖末端(即ち、末端基)又はポリマー鎖の中央(即ち側鎖)に存在しうる少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を含みうる。本明細書に用いられているように、「炭素-炭素二重結合」は、エチレン基又はビニル基等の非芳香族炭素-炭素二重結合を指す。例えば、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、マレイミド、スチレン、アリル、アリルエーテル、アクリレート、メタクリレート又はベンゾキサジン基(炭素-炭素二重結合を含む)を含む官能基を末端に有することができる。
【0016】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、炭素-炭素二重結合を含まず、熱によりラジカルを生成しうることで、架橋しうる官能基を含む。当該官能基の一例は、置換又は非置換ベンゼン基である。
【0017】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、そのポリマー構造に窒素原子を含みうる。理論に縛られることを望まないが、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの窒素及び難燃剤のリンは、チャー形成及び難燃性の強化に至る相乗効果をもたらすことができると考えられる。そのため、含窒素ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを使用すると、硬化性組成物における難燃剤の量を低下することで、銅剥離強度、ILBS、CTE、耐湿性及びDfの向上等の優れた特性を得ることができる。
【0018】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、少なくとも1つの(例えば、2つ又は3つ以上の)第1のモノマー単位、及び任意選択で第1のモノマー単位と異なる少なくとも1つの(例えば2つ又は3つ以上の)第2のモノマー単位を含みうる。本明細書で言及される「モノマー単位」という語句は、モノマーから形成される基を指し、当該技術分野で公知の「モノマー繰り返し単位」と区別なく用いられる。一部の実施形態において、コポリマーは、第1のモノマー単位及び任意選択の第2のモノマー単位のみを含み、他のモノマー単位を全く含まない。
【0019】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、ピリダジン、ピリミジン又はピラジン基を含むモノマー単位を含みうる。当該ポリマーの例は、以下の式(1)~(3):
【0020】
【0021】
(式中、nは、0、1又は2であり、各Rは、独立に、炭素数が1~20の一価の炭化水素基(例えば、C1~C20アルキル又はC6~C20アリール)、CN、NO2又はN(R'R'')であり、R'及びR''の各々は、C1~C20アルキル又はアリールであり、Xは、芳香族基(例えばフェニレン基)を含む二価の有機基である)
のうちの1つに示される化学構造を有するモノマー単位を含みうる。一部の実施形態において、式(1)~(3)におけるXは、以下の式(4):
【0022】
【0023】
(式中、mは、0、1、2、3、4又は5であり、Ar1及びAr2の各々は、独立に、1つ又は複数の(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの)C1~C20アルキルにより置換されていてもよい芳香族基(例えばフェニレン基)であり、Lは、単結合、-O-、-S-、-N(Ra)-、-C(O)-、-SO2-、-P(O)-、又は炭素数が1~20の二価の炭化水素基(例えば、1つ又は複数の(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの)C1~C10アルキルにより置換されていてもよい、C1~C20アルキル又は
【0024】
【0025】
)である)
に示される化学構造を有しうる。
【0026】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、以下の式(5)~(9):
【0027】
【0028】
(式中、R1は、H、C1~C10アルキル又はアリールであり、R2、R3及びR6の各々は、独立に、C1~C10アルキルであり、R4、R5、R7及びR8の各々は、H又はC1~C10アルキルであり、pは、0~4の整数であり、qは、0~4の整数であり、rは、0~4の整数である)
のうちの1つに示される化学構造を有するモノマー単位を含みうる。
【0029】
本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの例は、以下の化学構造:
【0030】
【0031】
(式中、p、q、r、R2、R3及びR6は、以上に定義されている)
のうちの1つを有するモノマー単位を含みうる。当該ポリマーの具体的な例は、以下の化学構造:
【0032】
【0033】
(式中、nは、1~100の整数である)
を有する。本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの市販品の例としては、日本合成ゴム株式会社から市販されている官能化ポリ(ピリミジンアリールエーテル)コポリマーJSR HC-G0021及びHC-G0030が挙げられる。
【0034】
一部の実施形態において、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、本明細書に記載の硬化性組成物の全質量又は本明細書に記載の硬化性組成物の固形分の少なくとも約1質量%(例えば、少なくとも約2質量%、少なくとも約4質量%、少なくとも約5質量%、少なくとも約6質量%、少なくとも約8質量%、少なくとも約10質量%、少なくとも約12質量%、少なくとも約14質量%、少なくとも約15質量%、少なくとも約16質量%、少なくとも約18質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約25質量%、少なくとも約30質量%、少なくとも約35質量%、又は少なくとも約40質量%)から最大で約50質量%(例えば、最大で約45質量%、最大で約40質量%、最大で約35質量%、最大で約30質量%、最大で約25質量%、最大で約20質量%、最大で約15質量%、又は最大で約10質量%)の量で存在する。理論に縛られることを望まないが、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含む硬化性組成物は、優れた電気特性(例えば、低Dk又はDf)及び難燃性を有することができると考えられる。
【0035】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種以上の)難燃剤を含みうる。一部の実施形態において、難燃剤は、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーと反応することが可能な1つ又は複数の官能基(例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、マレイミド基、シトラコンイミド基又は(メタ)アクリレート基)を含みうる。一部の実施形態において、難燃剤は、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーと反応しないものでありうる。一部の実施形態において、本明細書に記載の難燃剤は、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br又はI)を含まない。一部の実施形態において、難燃剤は、本明細書に記載の硬化性組成物に可溶性でありうる(例えば、溶解度が少なくとも約10mg/mLである)。一部の実施形態において、難燃剤は、本明細書に記載の硬化性組成物に不溶性でありうる(例えば、溶解度が最大で約1mg/mLである)。
【0036】
一部の実施形態において、難燃剤は、その化学構造にリン原子を含みうる。リン含有難燃剤の例としては、リン酸エステル難燃剤、ホスフィン酸エステル難燃剤及びホスファゼン難燃剤が挙げられる。好適なリン含有難燃剤の具体例としては、アルミニウムジエチルホスフィネート(例えば、クラリアントスペシャルティケミカルズ社から市販されているOP-935)、p-キシリレン-ビス-ジフェニルホスフィンオキシド(例えば、晉一化工股扮有限公司(Chin Yee Chemical Industries)社から市販されているPQ-60)、(2,5-ジアリルオキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン(例えば、大塚化学株式会社から市販されているSPB-100)、トリス(2-アリルフェノキシ)トリフェノキシシクロトリホスファゼン(例えば、大塚化学株式会社から市販されているSPV-100)、レゾルシノールビス(ジ-2,6-ジメチルフェニルホスフェート)(例えば、第八化学工業株式会社から市販されているPX-200)、シアノフェノキシ(フェノキシ)シクロホスファゼン、クレシルオキシ(フェノキシ)シクロホスファゼン、スピロシクロホスファゼン、及びビニル含有ホスファゼンが挙げられる。理論に縛られることを望まないが、難燃剤のリン及びポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの窒素は、チャー形成及び難燃性の強化に至る相乗効果をもたらすことで、必要な難燃剤の量を減少させ、硬化性組成物の特性(例えば、銅剥離強度、ILBS、CTE、耐湿性及びDf)を向上させることができると考えられる。一部の実施形態において、難燃剤は、それ自体がその化学構造に窒素原子を含むことで、当該相乗効果を促進できる。
【0037】
一部の実施形態において、本明細書に記載の難燃剤は、比較的低い誘電正接(Df)を有しうる。例えば、難燃剤は、最大で約0.0025(例えば、最大で約0.0024、最大で約0.0022、最大で約0.002、最大で約0.0018、最大で約0.0016、最大で約0.0015、最大で約0.0014、最大で約0.0012、最大で約0.001、又は最大で約0.0008)から少なくとも約0.0005(例えば、少なくとも約0.0006、少なくとも約0.0008、又は少なくとも約0.001)の範囲のDfを有しうる。
【0038】
一部の実施形態において、難燃剤は、本明細書に記載の硬化性組成物の全質量又は本明細書に記載の硬化性組成物の固形分の少なくとも約1質量%(例えば、少なくとも約2質量%、少なくとも約4質量%、少なくとも約5質量%、少なくとも約6質量%、少なくとも約8質量%、少なくとも約10質量%、少なくとも約12質量%、少なくとも約14質量%、少なくとも約15質量%、少なくとも約16質量%、少なくとも約18質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約25質量%、少なくとも約30質量%、又は少なくとも約35質量%)から最大で約45質量%(例えば、最大で約43質量%、最大で約41質量%、最大で約39質量%、最大で約37質量%、最大で約35質量%、最大で約30質量%、最大で約25質量%、最大で約20質量%、最大で約15質量%、又は最大で約10質量%)の量で存在する。
【0039】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種以上の)ラジカル開始剤を含みうる。一部の実施形態において、ラジカル開始剤は、過酸化物(例えば、ジ-(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、若しくはジクミルペルオキシド)、芳香族炭化水素(例えば、ビス(4-ビニルフェニル)エタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、若しくは2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン)、又はアゾ化合物(例えば、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン))を含みうる。理論に縛られることを望まないが、ラジカル開始剤は、硬化性組成物がプレプレグ製品又は積層体を形成するために使用される場合に、(例えば、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの架橋反応を開始させることによって)組成物の硬化を容易にすることができると考えられる。
【0040】
一部の実施形態において、本明細書に記載のラジカル開始剤は、非過酸化物のラジカル開始剤である。理論に縛られることを望まないが、過酸化物の開始剤の分解生成物(及び過酸化物の開始剤自体)は、極性であり、硬化組成物におけるDfを増大させうると考えられる。一方、理論に縛られることを望まないが、非過酸化物の開始剤(例えば、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン等の炭化水素)は、極性原子を含まないため、硬化組成物のDfを低下させることができると考えられる。
【0041】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、過酸化物のラジカル開始剤及び非過酸化物のラジカル開始剤の両方を含みうる。理論に縛られることを望まないが、非過酸化物の開始剤は、比較的高い活性エネルギーを有しうるため、本明細書に記載の組成物の硬化に有効でない場合があると考えられる。したがって、理論に縛られることを望まないが、一部の実施形態において、過酸化物の開始剤と非過酸化物の開始剤との組合せを使用することにより、最適な硬化速度及びDfを有する硬化性組成物を得ることができると考えられる。
【0042】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、ラジカル開始剤を含まない。一部の実施形態において、組成物は加熱によって硬化されうる。
【0043】
一部の実施形態において、ラジカル開始剤は、本明細書に記載の硬化性組成物の全質量又は本明細書に記載の硬化性組成物の固形分の少なくとも約0.1質量%(例えば、少なくとも約0.2質量%、少なくとも約0.4質量%、少なくとも約0.5質量%、少なくとも約0.6質量%、少なくとも約0.8質量%、少なくとも約1質量%、少なくとも約1.5質量%、少なくとも約2質量%、少なくとも約2.5質量%、又は少なくとも約3質量%)から最大で約10質量%(例えば、最大で約9質量%、最大で約8質量%、最大で約7質量%、最大で約6質量%、最大で約5質量%、最大で約4質量%、最大で約3質量%、最大で約2.5質量%、最大で約2質量%、最大で約1.5質量%、最大で約1質量%、最大で約0.8質量%、最大で約0.6質量%、又は最大で約0.5質量%)の量で存在する。
【0044】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーと異なる少なくとも1種の(例えば、2種又は3種以上の)エラストマーを任意選択で含みうる。一部の実施形態において、エラストマーは、エチレンモノマー単位、プロピレンモノマー単位、ブチレンモノマー単位、イソブチレンモノマー単位、ブタジエンモノマー単位、イソプレンモノマー単位、シクロヘキセンモノマー単位、スチレンモノマー単位、又はそれらの組合せを含みうる。好適なエラストマーの例としては、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)コポリマー、ポリ(メチルスチレン-エチレン-ブチレン-メチルスチレン)コポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)コポリマー、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン-co-エチルスチレン)コポリマー、ポリ(メチルスチレン-co-4-(ジメチルビニルシリルメチル)スチレン)コポリマー、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン-co-スチレン)コポリマー、ポリジビニルベンゼンコポリマー、ポリ(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)(SEPS)コポリマー、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(SBS)コポリマー、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)コポリマー、又はポリ(エチレン-プロピレン-ジエン)(EPD)コポリマーを挙げることができる。
【0045】
一部の実施形態において、エラストマーは、本明細書に記載の硬化性組成物の全質量又は本明細書に記載の硬化性組成物の固形分の少なくとも約1質量%(例えば、少なくとも約2質量%、少なくとも約4質量%、少なくとも約5質量%、少なくとも約6質量%、少なくとも約8質量%、少なくとも約10質量%、少なくとも約15質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約25質量%、少なくとも約30質量%、又は少なくとも約35質量%)から最大で約40質量%(例えば、最大で約35質量%、最大で約30質量%、最大で約25質量%、最大で約20質量%、最大で約15質量%、最大で約10質量%、最大で約8質量%、最大で約6質量%、最大で約5質量%、又は最大で約4質量%)の量で存在する。好ましくは、エラストマーは、本明細書に記載の硬化性組成物の固形分の約1質量%から約10質量%の量で存在する。理論に縛られることを望まないが、エラストマーは、本明細書に記載の硬化性組成物の熱特性の向上(例えば、ガラス転移温度の上昇及び/又は熱膨張率の低下)、機械特性(例えば、銅剥離強度及び/又は内層接着強度)の向上、又は電気特性(例えば、Dk及び/又はDf)の向上を可能にすると考えられる。
【0046】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種以上の)充填材(例えば無機充填材)を含みうる。好適な充填材の例としては、シリカ、アルミナ、石英、酸化チタン、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム及びポリマー粒子が挙げられる。一部の実施形態において、ポリマー粒子は、フルオロ含有ポリマー(例えばポリテトラフルオロエチレン)を含みうる。一部の実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1種の充填材は、1種又は複数の(例えば2種又は3種の)非中空の固形充填材及び/又は1種又は複数の(例えば2種又は3種の)中空充填材を含みうる。
【0047】
一部の実施形態において、充填材は、中空シリカ粒子(例えば、中空シリカビーズ)を含みうる。理論に縛られることを望まないが、充填材として中空粒子を使用すると、本明細書に記載の硬化性組成物の電気特性を向上させる(例えば、Dk及び/又はDfを低下させる)ことができると考えられる。
【0048】
一部の実施形態において、本明細書に記載の充填材(例えば中空シリカ粒子)は、比較的高純度でありうる。例えば、充填材(例えば中空シリカ粒子)は、少なくとも約95質量%(例えば、少なくとも約96質量%、少なくとも約97質量%、少なくとも約98質量%、少なくとも約99質量%、又は少なくとも約99.5質量%)の二酸化ケイ素を含みうる。理論に縛られることを望まないが、高純度の中空充填材を使用することにより、当該充填材から構成されるプレプレグ製品又は積層体のDfを低下させることができ、信頼性の問題の原因となりうる金属汚染を軽減することができると考えられる。
【0049】
一部の実施形態において、本明細書に記載の充填材(例えば中空シリカ粒子)は、比較的低密度でありうる。例えば、充填材(例えば中空シリカ粒子)は、最大で約1.5g/cm3(例えば、最大で約1.4g/cm3、最大で約1.2g/cm3、最大で約1g/cm3、最大で約0.8g/cm3、最大で約0.6g/cm3、最大で約0.5g/cm3、又は最大で約0.4g/cm3)の密度を有しうる。理論に縛られることを望まないが、低密度充填材は、比較的高い多孔性を有しうるため、低密度充填材を使用すると、当該充填材から作製されるプレプレグ製品又は積層体のDf及び/又はDkを低下させることができると考えられる。
【0050】
一部の実施形態において、本明細書に記載の充填材は、比較的低い誘電率(Dk)及び/又は比較的低い誘電正接(Df)を有しうる。例えば、本明細書に記載の充填材は、10GHzにおいて最大で約3.1(例えば、最大で約3、最大で約2.9、最大で約2.8、最大で約2.7、最大で約2.6、最大で約2.5、最大で約2.4、最大で約2.2、又は最大で約2)から少なくとも約1(例えば、少なくとも約1.5)の範囲のDkを有しうる。一部の実施形態において、本明細書に記載の充填材は、最大で約0.002(例えば、最大で約0.0018、最大で約0.0016、最大で約0.0015、最大で約0.0014、最大で約0.0012、最大で約0.001、又は最大で約0.0008)から少なくとも約0.0005(例えば、少なくとも約0.0006、少なくとも約0.0008、又は少なくとも約0.001)の範囲の誘電正接(Df)を有しうる。
【0051】
一部の実施形態において、本明細書で言及されている充填材は、比較的小さな粒径を有しうる。例えば、充填材は、粒径のD50値が、最大で約10μm(例えば、最大で約8μm、最大で約6μm、最大で約5μm、最大で約4μm、又は最大で約2μm)及び/又は少なくとも約0.5μm(例えば、少なくとも約0.8μm、少なくとも約1μm、少なくとも約1.5μm、又は少なくとも約2μm)でありうる。理論に縛られることを望まないが、比較的小さな粒径を有する充填材を使用することにより、当該充填材から構成されるプレプレグ製品又は積層体のPCB処理時における欠陥を低減できると考えられる。
【0052】
一部の実施形態において、少なくとも1種の充填材は、本明細書に記載の硬化性組成物の全質量又は本明細書に記載の硬化性組成物の固形分の少なくとも約10質量%(例えば、少なくとも約15質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約25質量%、少なくとも約30質量%、少なくとも約35質量%、少なくとも約40質量%、少なくとも約45質量%、少なくとも約50質量%、少なくとも約55質量%、又は少なくとも約60質量%)から最大で約65質量%(例えば、最大で約60質量%、最大で約55質量%、最大で約50質量%、最大で約45質量%、最大で約40質量%、最大で約35質量%、最大で約30質量%、最大で約25質量%、又は最大で約20質量%)の量で存在する。
【0053】
一部の実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1種の充填材は、中空シリカ粒子を含む第1の充填材、及び中空シリカ粒子と異なる第2の充填材、例えば、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、酸化チタン、ガラス(例えば中空ガラス)、フルオロ含有ポリマー(例えばポリテトラフルオロエチレン)又はシリコーンを含む充填材を含みうる。
【0054】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、少なくとも1種の(例えば2種又は3種以上の)カップリング剤を任意選択で更に含みうる。一部の実施形態において、カップリング剤は、シラン、チタネート又はジルコネートを含みうる。好適なカップリング剤の例としては、メタクリロキシプロピル-トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、加水分解ビニルベンジルアミノエチルアミノ-プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシ-シラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、又はテトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)ジルコネートが挙げられる。理論に縛られることを望まないが、カップリング剤は、硬化性組成物における無機充填材の分散性を向上させ、充填材と硬化性組成物のポリマーとの密着性、及びプレプレグ製品のガラス布と硬化性組成物のポリマーとの密着性を向上させ、硬化性組成物の耐湿及び耐溶媒性を向上させ、硬化性組成物における空隙の数を減少させることができると考えられる。
【0055】
一部の実施形態において、カップリング剤は、充填材を本明細書に記載の硬化性組成物に含める前に、充填材の表面上に(例えば表面処理剤として)塗布することができる。一部の実施形態において、カップリング剤を、充填材から独立した成分として、本明細書に記載の硬化性組成物に含めることができる。
【0056】
一部の実施形態において、カップリング剤は、本明細書に記載の硬化性組成物の全質量又は本明細書に記載の硬化性組成物の固形分の少なくとも約0.1質量%(例えば、少なくとも約0.2質量%、少なくとも約0.3質量%、少なくとも約0.4質量%、少なくとも約0.5質量%、少なくとも約0.6質量%、少なくとも約0.7質量%、少なくとも約0.8質量%、又は少なくとも約0.9質量%)から最大で約5質量%(例えば、最大で約0.9質量%、最大で約0.8質量%、最大で約0.7質量%、最大で約0.6質量%、最大で約0.5質量%、最大で約0.4質量%、最大で約0.3質量%、又は最大で約0.2質量%)の量で存在する。
【0057】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種以上の)架橋剤を任意選択で更に含みうる。一部の実施形態において、架橋剤は、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ビス(ビニルフェニル)エーテル、ブロモスチレン(例えばジブロモスチレン)、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン-co-スチレン)コポリマー、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート、マレイミド化合物(例えばビスマレイミド)、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、アリルベンゾキサジン、アリルホスファゼン、アリルシクロホスファゼン(例えば、トリス(2-アリルフェノキシ)トリフェノキシシクロトリホスファゼン)、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、トランス-スチルベン、5-ビニル-2-ノルボルネン、トリシクロペンタジエン、ジメタノ-1H-ベンズ[フィ]ンデン、1,1-ジフェニルエチレン、4-ベンズヒドリルスチレン、ジイソプロペニルベンゼン、ジアリルイソフタレート、アルファメチルスチレン、ビス(ビニルフェニル)エタン化合物(例えば、1,2-ビス(4-ビニルフェニル)エタン、1,2-ビス(3-ビニルフェニル-4-ビニルフェニル)エタン、1,2-ビス(3-ビニルフェニル)エタン)、シラン(例えば、ビニルシラン若しくはアリルシラン)、シロキサン(例えば、ビニルシロキサン若しくはアリルシロキサン)、又はシルセスキオキサン(例えば、ビニルシルセスキオキサン若しくはアリルシルセスキオキサン)を含みうる。理論に縛られることを望まないが、架橋剤は、硬化性組成物がプレプレグ製品又は積層体を形成するために使用される場合に、組成物の硬化を容易にすることができると考えられる。
【0058】
一部の実施形態において、本明細書に記載の架橋剤は、本明細書に記載の硬化性組成物の全質量又は本明細書に記載の硬化性組成物の固形分の少なくとも約1質量%(例えば、少なくとも約2質量%、少なくとも約3質量%、少なくとも約4質量%、少なくとも約5質量%、少なくとも約6質量%、少なくとも約8質量%、少なくとも約10質量%、少なくとも約12質量%、少なくとも約14質量%、少なくとも約15質量%、少なくとも約16質量%、少なくとも約18質量%、又は少なくとも約20質量%)から最大で約30質量%(例えば、最大で約25質量%、最大で約20質量%、最大で約15質量%、最大で約10質量%、最大で約8質量%、最大で約6質量%、最大で約5質量%、又は最大で約4質量%)の量で存在する。一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、架橋剤を含まないものでありうる。
【0059】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、少なくとも1種の(例えば2種又は3種以上の)有機溶媒を任意選択で更に含みうる。一部の実施形態において、有機溶媒としては、2-ヘプタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ベンゼン、アニソール、トルエン、1,3,5-トリメチルベンゼン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はそれらの組合せが含まれる。
【0060】
一部の実施形態において、有機溶媒は、本明細書に記載の硬化性組成物の全質量の少なくとも約1質量%(例えば、少なくとも約5質量%、少なくとも約10質量%、少なくとも約15質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約25質量%、少なくとも約30質量%、少なくとも約35質量%、又は少なくとも約40質量%)から最大で約50質量%(例えば、最大で約45質量%、最大で約40質量%、最大で約35質量%、最大で約30質量%、最大で約25質量%、最大で約20質量%、最大で約15質量%、又は最大で約10質量%)の量で存在する。理論に縛られることを望まないが、有機溶媒が硬化性組成物の約1質量%未満であれば、硬化性組成物の粘度が、硬化性組成物を容易に処理できないほど高くなりうると考えられる。また、理論に縛られることを望まないが、有機溶媒が、硬化性組成物の約50質量%より多くなると、硬化性組成物の粘度が低くなりすぎて、基板表面上に被覆組成物を維持することができなくなるため、コーティングの均一性及びコーティングの効率が低下しうると考えられる。
【0061】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、組成物をフィルムとして鋳造する場合に、10GHzにおいて最大で約3.1(例えば、最大で約3、最大で約2.9、最大で約2.8、最大で約2.7、最大で約2.6、最大で約2.5、最大で約2.4、最大で約2.2、又は最大で約2)から少なくとも約1.5の誘電率(Dk)を有する。一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物は、組成物をフィルムとして鋳造する場合に、最大で約0.002(例えば、最大で約0.0018、最大で約0.0016、最大で約0.0015、最大で約0.0014、最大で約0.0012、最大で約0.001、又は最大で約0.0008)から少なくとも約0.0005(例えば、少なくとも約0.0006、少なくとも約0.0008、又は少なくとも約0.001)の誘電正接(Df)を有する。
【0062】
本明細書に記載の硬化性組成物は、当該技術分野で周知の方法によって調製できる。例えば、硬化性組成物は、成分を混ぜ合わせることによって調製できる。
【0063】
一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載の硬化性組成物から調製されるフィルム(例えば、自立型フィルム又は支持フィルム)を特徴とする。例えば、支持フィルムは、硬化性組成物を基板にコーティングして基板に支持されたフィルムを形成することによって調製できる。別の例として、自立型フィルムは、硬化性組成物を基板にコーティングして層(例えばポリマー層)を形成し、層を基板から除去(例えば剥離)して自立型フィルムを形成することによって調製できる。一部の実施形態において、フィルム(例えば、自立型又は支持フィルム)は、部分的に硬化される。一部の実施形態において、フィルム(例えば、自立型又は支持フィルム)は硬化されない。
【0064】
一部の実施形態において、本明細書に記載のフィルムは、10GHzにおいて最大で約3.1(例えば、最大で約3、最大で約2.9、最大で約2.8、最大で約2.7、最大で約2.6、最大で約2.5、最大で約2.4、最大で約2.2、又は最大で約2)から少なくとも約1.5の誘電率(Dk)を有しうる。一部の実施形態において、本明細書に記載のフィルムは、最大で約0.002(例えば、最大で約0.0018、最大で約0.0016、最大で約0.0015、最大で約0.0014、最大で約0.0012、最大で約0.001、又は最大で約0.0008)から少なくとも約0.0005(例えば、少なくとも約0.0006、少なくとも約0.0008、又は少なくとも約0.001)の誘電正接(Df)を有しうる。
【0065】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物を金属基板(例えば銅箔)の表面に塗布して、樹脂被覆金属基板(例えば樹脂被覆銅箔)を形成することができる。当該樹脂被覆金属基板において、硬化性組成物は、(例えば部分的又は完全に)硬化されたもの、又は未硬化のものでありうる。樹脂被覆金属基板は、印刷回路板(PCB)又は配線板における多層回路を形成するための誘電体として使用できる。
【0066】
一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載の硬化性組成物から調製されるプレプレグ製品を特徴とする。一部の実施形態において、プレプレグ製品は、本明細書に記載の硬化性組成物が含浸された基材(例えば織布又は不織布基板(例えば織物又は繊維状材料))を含む。基材は、支持又は強化材料としても知られている。本明細書に記載のプレプレグ製品は、例えば印刷配線又は回路板を製造するために、エレクトロニクス業界で使用されうる。
【0067】
一部の実施形態において、本開示は、基材(例えば、(織物又は繊維性材料等の)織布又は不織布基板)を使用せずに、本明細書に記載の硬化性組成物から調製される非強化フィルム(例えば、自立型フィルム又は支持フィルム)を特徴とする。例えば、支持フィルムは、硬化性組成物を基板にコーティングして、基板に支持されたフィルムを形成することによって調製できる。別の例として、自立型フィルムは、硬化性組成物を基板にコーティングして層(例えばポリマー層)を形成し、層を基板から除去(例えば剥離)して自立型フィルムを形成することによって調製できる。一部の実施形態において、フィルム(例えば、自立型又は支持フィルム)は、部分的に硬化される。一部の実施形態において、フィルム(例えば、自立型又は支持フィルム)は、硬化されない。本明細書に記載の非強化フィルムは、例えばICパッケージ及び印刷配線又は回路板を製造するためにエレクトロニクス業界でビルドアップフィルムとして使用されうる。
【0068】
一般に、本明細書に記載のプレプレグ製品は、本明細書に記載の硬化性組成物を基材(通常はガラス繊維をベースとする基材、織布若しくは不織布基板としての基材、又は一方向に配向した平行フィラメントのクロスプライ積層体の形態の基材)に含浸させた後、硬化性組成物全体又はその一部を(例えば約150℃から約250℃の範囲の温度で)硬化させることによって製造できる。部分的に硬化した組成物が含浸された基材は、通常、「プレプレグ」と称する。本明細書に言及されるように、「プレプレグ」又は「プレプレグ製品」という用語は、区別なく使用される。プレプレグから印刷配線板を作製するために、例えば、1つ又は複数のプレプレグの層が、1つ又は複数の銅の層とラミネートされる。
【0069】
一部の実施形態において、本明細書に記載のプレプレグに使用される基材(例えば、織布又は不織布基板を含む基材)は、ガラス及びアスベスト等の無機繊維基材を含みうる。難燃性の観点からガラス繊維基材が好ましい。ガラス繊維基材の例としては、Eガラス、NEガラス(日東紡績株式会社、日本)、Cガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、石英ガラス、Lガラス、L2ガラス又はNERガラス、短繊維が有機バインダーによりシート状材料に接着されたガラス不織布、及びガラス繊維及び他の繊維型が混合され織物状になったものを使用する織布が挙げられるが、それらに限定されない。
【0070】
一部の実施形態において、本明細書に記載の硬化性組成物を基材(例えば織布又は不織布基板)に含浸した後、乾燥することによってプレプレグを製造することができる。一部の実施形態において、本明細書に記載のプレプレグは、本明細書の定義による樹脂含有量が少なくとも約50質量%(例えば、少なくとも約52質量%、少なくとも約54質量%、少なくとも約55質量%、少なくとも約56質量%、少なくとも約58質量%、少なくとも約60質量%、少なくとも約62質量%、少なくとも約64質量%、又は少なくとも約65質量%)から最大で約80質量%(例えば、最大で約78質量%、最大で約76質量%、最大で約75質量%、最大で約74質量%、最大で約72質量%、最大で約70質量%、最大で約68質量%、最大で約66質量%、又は最大で約65質量%)でありうる。
【0071】
一部の実施形態において、そのようにして形成されたプレプレグの表面の一方又は両方に金属基板が貼付されて、積層体を形成することができる。一部の実施形態において、以上のように形成されたプレプレグを必要に応じて1つ又は複数のプレプレグの層と任意選択でラミネートして複合構造体を作製することができ、金属箔(例えば銅又はアルミニウム箔)を複合構造体の表面の一方又は両方に貼付して積層体(例えば金属クラッド積層体)を得ることができる。そのようにして形成された積層体に、加圧及びホットプレス等のさらなる処理を任意選択で施すことで、プレプレグ層を少なくとも部分的に(又は完全に)硬化させることができる。積層体(例えば、銅クラッド積層体)を、さらなるプレプレグ層と更に積層し、硬化させて、多層印刷回路板を作製することができる。
【0072】
一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載のプレプレグ製品から調製される少なくとも1つの(例えば2つ又は3つ以上の)層を含む積層体を特徴とする。一部の実施形態において、積層体は、(1)銅基板(例えば銅箔)及び(2)銅基板上にラミネートされた少なくとも1つのプレプレグ層を含みうる。一部の実施形態において、プレプレグ層の一方又は両方の表面を銅基板とラミネートすることができる。一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載の多数の銅クラッド積層体が、任意選択で1つ又は複数のプレプレグ層を2つの銅クラッド積層体の間にして、互いの上部に積層された多層積層体を特徴とする。そのようにして形成された多層積層体をプレスし、硬化させて多層印刷回路板を形成することができる。
【0073】
一部の実施形態において、非強化フィルム(例えば、自立型フィルム又は支持フィルム)は、ICパッケージ及び印刷回路板をより薄くするためのビルドアップ材料として使用される。
【0074】
一部の実施形態において、非強化フィルム(例えば、自立型フィルム又は支持フィルム)は、最大で約150μm(例えば、最大で約100μm、最大で約90μm、最大で約80μm、最大で約70μm、最大で約60μm、又は最大で約40μm)から少なくとも約10μmの厚みを有する。
【0075】
一部の実施形態において、プレプレグ層(即ち、本明細書に記載のプレプレグ製品から調製される層)又は積層体は、10GHzにおいて最大で約3.1(例えば、最大で約3、最大で約2.9、最大で約2.8、最大で約2.7、最大で約2.6、又は最大で約2.5)から少なくとも約2.2の誘電率(Dk)を有する。
【0076】
一部の実施形態において、プレプレグ層(即ち、本明細書に記載のプレプレグ製品から調製される層)又は積層体は、最大で約0.002(例えば、最大で約0.0019、最大で約0.0018、最大で約0.0017、最大で約0.0016、最大で約0.0015、最大で約0.0014、最大で約0.0013、最大で約0.0012、最大で約0.0011、又は最大で約0.001)から少なくとも約0.0005(例えば、少なくとも約0.0006、少なくとも約0.0008、又は少なくとも約0.001)の誘電正接(Df)を有する。理論に縛られることを望まないが、比較的低いDk及び/又はDfを有するプレプレグ層又は積層体は、積層体又は多層回路板構造体の総誘電損失を低減させ、シグナル損失を低下させることができると考えられる。
【0077】
一部の実施形態において、硬化した非強化フィルムは、最大で約0.003(例えば、最大で約0.0026、最大で約0.0024、最大で約0.0022、最大で約0.0020、最大で約0.0018、最大で約0.0016、最大で約0.0014、最大で約0.0012、最大で約0.0011、又は最大で約0.001)から少なくとも約0.0005(例えば、少なくとも約0.0006、少なくとも約0.0008、又は少なくとも約0.001)の誘電正接(Df)を有する。理論に縛られることを望まないが、比較的低いDk及び/又はDfを有するプレプレグ層又は積層体は、積層体又は多層回路板構造体の総誘電損失を低減させ、シグナル損失を低下させることができると考えられる。
【0078】
一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載の積層体から得られる印刷回路又は配線板を特徴とする。例えば、銅箔クラッド積層板の銅箔に対して回路処理を実施することによって印刷回路又は配線板を得ることができる。回路処理は、例えば、銅箔の表面にレジストパターンを形成し、箔の不要な部分をエッチングにより除去し、レジストパターンを除去し、必要な貫通穴を穿孔により形成し、再度レジストパターンを形成し、めっきにより貫通穴を接続し、最後にレジストパターンを除去することによって実施されうる。更に上記銅箔クラッド積層板を、上記と同様の条件下で上記のようにして得られた印刷配線板の表面にラミネートした後で、上記と同様にして回路処理を実施することによって、多層印刷回路又は配線板を得ることができる。この場合、必ずしも貫通穴を形成する必要はなく、ビア穴を所定位置に形成してもよく、両者を形成することもできる。例えば、印刷回路板(PCB)において、回路板の異なる層上の対応する位置における2つのパッドを、電解めっきによって導電性にすることができる、回路板を貫通するビア穴によって電気的に接続することができる。次いで、これらの積層板を必要な回数だけラミネートして印刷回路又は配線板を形成する。
【0079】
上記のようにして製造された印刷回路又は配線板を内層回路板の形態で一方又は両方の面上の銅基板とラミネートすることができる。このラミネーション成形は、通常、加熱及び加圧下で実施される。次いで、得られた金属箔クラッド積層板に対して、上記と同様にして回路処理を実施することにより多層印刷回路板を得ることができる。
【実施例0080】
以下の実施例を参照しながら本開示をより詳細に説明するが、これらの実施例は、例示を目的としたもので、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0081】
材料
以下の実施例において、BVPEは、レジナエレクトロニックマテリアルズ社のビス(4-ビニルフェニル)エタンである。アラルダイトMT35610は、ハンツマン社から市販されているビスフェノールAベンゾキサジンである。BMI-TMHは、ダイワ化成株式会社から市販されている1,6-ビスマレイミド(2,2,4-トリメチル)ヘキサンである。P-dベンゾキサジン及びLDAICは、四国化成社から市販されている。NE-X-9470Sは、DIC株式会社から市販されている。LME11613は、ハンツマン社から市販されている。コポリマーAは、米国特許第11,130,861号の実施例1に記載されているコポリマーAを指す。SBS-Aは、ニッソーアメリカ社から市販されているスチレン-ブタジエンコポリマーである。SEBS-Aは、無水マレイン酸により変性されたSEBSエラストマーである。MSEBMSは、ポリ(メチルスチレン-エチレン-ブチレン-メチルスチレン)コポリマーである。M1913は、旭化成株式会社から市販されている、約30質量%のスチレンモノマー単位又は30質量%のポリスチレンを含み、無水マレイン酸により変性されたSEBSエラストマーである。クレイトン1536、クレイトン1648及びクレイトンD1623は、クレイトン社から市販されているSEBSエラストマーである。ベクター4411は、デクスコポリマーズ社から市販されているSISエラストマーである。セプトン2104は、株式会社クラレから市販されている、約65質量%のスチレンモノマー単位又は65質量%のポリスチレンを含むSEPSエラストマーである。Tuftec(商標)MP10は、旭化成株式会社から市販されているアミノ変性SEBSである。リコン-100は、クレイバレー社から市販されているブタジエンスチレンコポリマーである。HC-G0021及びHC-G0030は、日本合成ゴム株式会社から市販されているスチレン終端N含有ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーである。EQ2410-SMC及びEQ1010-SMCは、Zhejiang Third Age Material Technology社(中国)から市販されている、平均径がそれぞれ2ミクロン及び0.6ミクロンの固形球状シリカ粒子である。SC2500-SVJは、表面改質された固形シリカであり、アドマテックス社から市販されている。SS-15Vは、シベルコ社から市販されている球状シリカである。HS-200-TM(トリメチルシリル結合型)、HS-200-MT(メタクリルシリル結合型)、HS-200-VN(ビニルシリル結合型)及びHS-200(未処理)は、AGC Si-Tech社から市販されている。
【0082】
BES5-1150Pは、レジナエレクトロニクス社から市販されているリン含有難燃剤(即ち、p-キシリレン-ビス-ジフェニルホスフィンオキシド)であり、粒径が10ミクロン未満になるように粉砕されている。PQ-60は、晉一化工股扮有限公司社から市販されているリン含有難燃剤(即ち、p-キシリレン-ビス-ジフェニルホスフィンオキシド)である。OP945は、クラリアントプラスチック&コーティングス社から市販されている有機ホスフィネートである。BP-PZは、大塚化学株式会社から市販されているホスファゼン難燃剤である。アルテキシアは、アルベマール社から市販されている6H-ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン-6,6'-(1,4-エタンジイル)ビス-6,6'-ジオキシドである。PX-200は、第八化学工業株式会社から市販されているレゾルシノールビス(ジ-2,6-ジメチルフェニルホスフェート)である。SPB-100は、大塚化学株式会社から市販されているヘキサフェノキシシクロトリホスファゼンである。SPV-100は、大塚化学株式会社から市販されているトリス(2-アリルフェノキシ)トリフェノキシシクロトリホスファゼンである。サイテックス-8010は、アルベマール社から市販されている臭素含有難燃剤(即ち、1,1'(エタン-1,2-ジイル)ビス[ペンタブロモ-ベンゼン])である。FP-72TPは、株式会社伏見製薬所から市販されているシクロホスファゼン誘導体難燃剤である。CCDFB及びCC-P3は、ユナイテッドイニシエーターズ(United Initiators)社から市販されている非過酸化物の開始剤(即ち、それぞれ2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン及びポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン)である。ペルブチルDは、日油株式会社から市販されている過酸化物の開始剤(即ち、ジ-tert-ブチルペルオキシド)である。VR-110は、富士フィルム株式会社から市販されているアゾ開始剤(即ち、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン))である。DiDOPOは、ライフケミカル社(中国)から市販されている6,6'-(1-フェニルエタン-1,2-ジイル)ビス(6H-ジベンゾ[c,e][1,2]オキサホスフィニン6-オキシド)である。VulCup Rは、アルケマ社から市販されているα,α-ビス(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼンである。DYBPは、ユナイテッドイニシエータ社から市販されている2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3である。DCPは、アルケマS.A社から市販されているジクミルペルオキシドである。OFS-6030は、ダウ社から市販されているメタクリロキシプロピルトリメトキシシランである。OFS-6224は、ダウ・ケミカル社から市販されている加水分解ビニルベンジルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランである。OFS-6124は、ダウ・ケミカル社から市販されているフェニルトリメトキシシランである。SIB 1817.0は、ゲレスト社から市販されている1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンである。
【0083】
基本手順1
プレプレグ及び積層体の調製
可溶性樹脂成分をトルエンに溶解させることによって硬化性組成物を調製した。不溶性シリカ及び難燃性成分を添加し、ロータ-ステータミキサーを使用して樹脂ワニスに分散させた。硬化性組成物を、接地された金属型に注ぎ込み、硬化性組成物をガラス布(1078NEガラス又は2116NEガラス)に、11~12ミルの間隙幅の金属棒の間隙に引き通すことによって含浸させた。試料を室温にて空気流で10分間乾燥させ、次いで4分間かけて130℃まで加熱して、乾燥プレプレグを形成した。乾燥プレプレグを12×12インチの片に裁断し、2つのプレプレグの層を1オンスのHS2-M2-VSP銅箔(三井金属鉱業株式会社)の両側にラミネートして積層体を形成した。積層体を以下のように硬化させた。積層体をプレス機にセットした後、200psi、250psi、300psi、350psi又は450psiの圧力を2層プレプレグに加え、次いで2層プレプレグを、以下に記載のサイクルA~Kのうちの1つにより硬化させた。
サイクルA:積層体を6°F/分の加熱速度で室温から420°Fに加熱し、420°Fに2時間維持し、10°F/分の冷却速度で室温まで冷却した。ラミネーション圧力は350psiとした。
サイクルB:積層体を6°F/分の加熱速度で室温から310°Fに加熱し、310°Fに30分間維持し、6°F/分の加熱速度で310°Fから420°Fに加熱し、420°Fに80分間維持し、10°F/分の冷却速度で室温まで冷却した。ラミネーション圧力は350psiとした。
サイクルC:積層体を6°F/分の加熱速度で室温から420°Fに加熱し、420°Fに3時間維持し、10°F/分の冷却速度で室温まで冷却した。ラミネーション圧力は350psiとした。
サイクルD:ラミネーション圧力を200psiとしたことを除いてはサイクルCと同様である。
サイクルE:ラミネーション圧力を250psiとしたことを除いてはサイクルCと同様である。
サイクルF:ラミネーション圧力を300psiとしたことを除いてはサイクルCと同様である。
サイクルG:積層体を450°Fに180分間維持したことを除いてはサイクルCと同様である。
サイクルH:積層体を6°F/分の加熱速度で室温から350°Fに加熱し、350°Fに30分間維持し、6°F/分の加熱速度で350°Fから420°Fに加熱し、420°Fに60分間維持し、10°F/分の冷却速度で室温まで冷却した。ラミネーション圧力は450psiとした。
サイクルI:積層体を420°Fに150分間維持したことを除いてはサイクルHと同様である。
サイクルJ:ラミネーション圧力を250psiとしたことを除いてはサイクルHと同様である。
サイクルK:積層体を420°Fに120分間維持したことを除いてはサイクルHと同様である。
【0084】
樹脂流動用非強化フィルムの調製
可溶性樹脂成分をトルエンに溶解させることによって硬化性組成物を調製した。不溶性シリカ及び難燃性成分を添加し、ロータ-ステータミキサーを使用して樹脂ワニスに分散させた。次いで、巻線ラップアイロンメーヤー湿式フィルムアプリケータロッド(wire-wound wrapped iron Mayer wet film applicator rod)を使用して樹脂組成物をポリマー剥離剤被覆紙に一定の厚さにコーティングした。次いで、紙キャリア上の樹脂組成物を150℃で10分間、又はトルエンが全て蒸発するまで加熱した。次いで、固化した樹脂組成物を剥離剤被覆紙から分離して、非強化フィルムを得た。
【0085】
Dk/Df及びCTE測定用非強化積層体の調製
次いで、上記非強化フィルムを、以下のサイクルLにより、2枚の0.5オンスHS1 VSP銅箔の間にラミネートして、両面銅クラッド積層体を得た。試料のある部分をエッチングして誘電特性測定用の銅を除去し、銅の他の部分は、銅剥離強度測定用に保持した。
【0086】
サイクルL:積層体を6°F/分の加熱速度で室温から450°Fまで加熱し、450°Fに2時間維持し、10°F/分の冷却速度で室温まで冷却した。ラミネーション圧力は50psi付近であった。
【0087】
燃焼性試験用非強化試料の調製
樹脂組成物を、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmになるように、アプリケータでPETフィルムにコーティングし、80℃で10分間乾燥させた。バッチ型真空圧ラミネータMVLP-300を使用して、銅箔を含まない厚み0.2mmのFR-4基板の両側に樹脂シートをラミネートした。ラミネーションは、圧力を30秒間で13Pa以下の圧力まで低下させることによって実施した。次いで、積層体を1.0MPaの圧力にて110℃で30秒間プレスした。PETフィルムを支持体から剥離した後、厚みが160μmになるまで、同様にして40μm厚の樹脂シートを両側にラミネートした。PETフィルムを剥離し、ラミネート試料を窒素雰囲気下にて230℃で2時間硬化させた。硬化試料を幅が12.7mmで長さが12.7mmの片に裁断した。上記のように5つの試料のセットを調製した。
【0088】
基本手順2
特性測定
樹脂含有量(RC)
ガラス布の質量を、それに硬化性組成物がコーティングされる前に測定した。コーティング及び乾燥後に、形成されたプレプレグの全質量を測定した。RCは、以下の式に基づいて算出した。
RC=(全プレプレグ質量-ガラス布質量)/(全プレプレグ質量)×100%
【0089】
Cu剥離強度試験
IPC-TM-650試験法マニュアル2.4.8.剥離強度を用いて、単位面積当たり1オンスのCu質量に基づいて、2116NEガラスから調製された積層体によりCu剥離強度を測定した。ユナイテッドSSTM-1モデルをCu剥離強度測定に使用した。
【0090】
Dk及びDf試験
スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)法を使用することによってDf及びDk値を分析した。アジレント・テクノロジー社のネットワークアナライザN5230Aにより、10GHzにおけるDf及びDk値を測定した。「AB」は、試料を120℃で2時間維持した後の測定値を指す。「RT」は、試料を45~55%の湿度下にて室温で16時間維持した後の測定値を指す。以下に記載されるDk及びDfの結果は、(データが2116NEガラスから調製された積層体により得られた)CE-6、及びFE-25~FE-35を除いて、1078NEガラスから調製された積層体により得られた。
【0091】
樹脂流動
非強化フィルムの樹脂流動をIPC-TM-650試験法マニュアル2.3.17により測定した。
【0092】
CTE測定
25℃から260℃までのCTE(z軸)値を、0.25×0.25インチの非強化積層体を使用して、TAインスツルメンツ社のTMA450によって測定した。
【0093】
燃焼性
2116NEガラス布を含む12層の積層体、又は基本手順1に記載されている、FR-4基板を含む非強化積層体を使用して、UL94に基づき燃焼性を評価した。
【0094】
(実施例1)
硬化性組成物及び比較硬化性組成物の調製及び特徴付け
配合物例1~24(FE-1~FE-24)を基本手順1に従って調製した。これらの組成物の成分及びこれらの組成物から形成した積層体の特性を以下のTable 1(表1)及びTable 2(表2)にまとめる。Table 1(表1)に示される百分率は、組成物の全固形分における成分の質量百分率を指す。積層体を1078NE又は2116NEガラス布プレプレグシート及び1オンスHS2-M2-VSP銅箔(三井金属鉱業株式会社)から作製した。FE-9を除くFE-1~FE-11をサイクルAにより硬化させた。FE-9をサイクルDにより硬化させた。FE-12をサイクルBにより硬化させた。FE-13、FE-14、FE-16並びにFE-19及びFE-20をサイクルCにより硬化させた。FE-15、FE-17、FE-18及びFE-21をサイクルEにより硬化させた。FE-22及びFE-24をサイクルFにより硬化させた。FE-23をサイクルGにより硬化させた。
【0095】
【0096】
【0097】
Table 2(表2)に示されるように、(いずれもN含有ポリ(アリーレンエーテル)及びリン含有難燃剤を含む)FE-1~FE-24は、意外にも優れた電気特性(例えば、比較的低いDf)及び機械特性(例えば、比較的高い、即ち3.0ポンド/インチ超のCu剥離強度)を示した。
【0098】
また、Table 2(表2)に示されるように、発明例は、優れた難燃性を示し、UL94 V-0燃焼性基準を概ね満たしていた。
【0099】
比較配合物例1~10(CE-1~CE-10)を基本手順1に従って調製した。これらの組成物の成分及びこれらの組成物から形成した積層体の特性を以下のTable 3(表3)及びTable 4(表4)にまとめる。Table 3(表3)に示される百分率は、組成物の全固形分における成分の質量百分率を指す。積層体を1078NE又は2116NEガラス布及び1オンスHS1-M2-VSP銅箔(三井金属鉱業株式会社)から作製した。CE-1及びCE-2をサイクルHにより硬化させた。CE-3~CE-5をサイクルIにより硬化させた。CE-6~CE-9をサイクルJにより硬化させた。CE-10をサイクルKにより硬化させた。
【0100】
【0101】
【0102】
Table 4(表4)に示されるように、(いずれも本明細書に記載のポリ(アリーレンエーテル)を含まない)CE-1~CE-10は、電気特性が比較的劣っていた(例えば、Dfが比較的高かった)。理論に縛られることを望まないが、CE-1~CE-10におけるPPEポリマーは、最小溶融粘度が、ポリ(アリーレンエーテル)を含む本開示の硬化性組成物より比較的高かったため、これらの組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)を含む本開示の硬化性組成物と比較して低レベルのシリカ充填材を含む必要があるため、Dfがより高くなると考えられる。これらの組成物がより高レベルのシリカ又は難燃剤を含むと、樹脂組成物同士の接着性の低下を引き起こす高粘性及び低流動により、ILBSのような機械特性が低下する。
【0103】
また、CE-6は、比較的低い密着性を示した(例えば、銅剥離強度値が3ポンド/インチ未満であった)。理論に縛られることを望まないが、難燃性レベルが高いと、銅剥離強度の低下の原因となると考えられる。
【0104】
配合物例25~35(FE-25~FE-35)を基本手順1の非強化フィルムの調製及び非強化積層体の調製のセクションに従って調製した。これらの組成物の成分、及びこれらの組成物から形成した積層体の特性を以下のTable 5(表5)及びTable 6(表6)にまとめる。
【0105】
【0106】
【0107】
Table 6(表6)に示されるように、(いずれもN含有ポリ(アリーレンエーテル)及びリン含有難燃剤を含む)FE-25~FE35は、意外にも、Dkが極めて低く、樹脂流動が高く、CTEが低く、難燃性が良好であった。
【0108】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。