(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072812
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20240521BHJP
【FI】
G07D11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194415
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2022183208
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】寺西 研
(72)【発明者】
【氏名】迫 謙次
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 良
(72)【発明者】
【氏名】重田 和之
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141FH04
3E141FJ05
3E141FL01
3E141FL03
(57)【要約】
【課題】業務効率の改善を図ることが可能となる貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣を収納する紙幣金庫141と、硬貨を収納する硬貨金庫142と、釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納体134を保管可能な保管スペース131とを備え、保管スペース131は、釣銭準備金が取り出された状態の空の釣銭準備金収納体134を保管可能である。これにより、紙幣金庫141及び硬貨金庫142を回収する際に、空の釣銭準備金収納体134も保管スペース131から回収することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を収納する紙幣金庫と、
硬貨を収納する硬貨金庫と、
釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納体を保管可能な保管スペースと
を備え、
前記保管スペースは、釣銭準備金が取り出された状態の空の前記釣銭準備金収納体を保管可能であることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記保管スペースの前側に、開閉可能であって閉状態でロックされる開閉扉が設けられ、
空の前記釣銭準備金収納体を前記保管スペースに保管する収納体返却処理を案内すると共に前記収納体返却処理の指示操作が入力される表示操作部と、
前記表示操作部に前記収納体返却処理の指示操作が入力されると前記開閉扉の閉状態でのロックを解除する制御部と
を有することを特徴とする請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記保管スペースに対し前記釣銭準備金収納体を入出する釣銭受渡モードと、前記保管スペースに対し前記釣銭準備金収納体以外の重要物を入出する重要物保管モードとのうちの一方を選択するモード選択を案内すると共に、当該モード選択の指示操作が入力される表示操作部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記モード選択の指示操作で前記釣銭受渡モードが選択された場合、
前記保管スペースへ空の前記釣銭準備金収納体を保管する収納体返却処理と、
前記保管スペースから釣銭準備金を収納している前記釣銭準備金収納体を取り出す釣銭準備金取出処理と
が可能となることを特徴とする請求項3記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記モード選択の指示操作で前記重要物保管モードが選択された場合、
前記保管スペースへ前記重要物を保管する重要物保管処理と、
前記保管スペースから前記重要物を取り出す重要物取出処理と
が可能となることを特徴とする請求項3記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
使用者のID情報の入力を案内するID認証画面を表示させる表示操作部を有し、
前記表示操作部は、前記保管スペースに空の前記釣銭準備金収納体を保管している場合、前記ID認証画面に、前記保管スペースに空の前記釣銭準備金収納体を保管している空状態釣銭準備金収納体保管ステータスである旨を表示させることを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記貨幣処理装置のステータスが複数ある場合、前記表示操作部は、前記ID認証画面を表示させた状態で一覧表示操作が入力されると、複数の前記ステータスを一覧表示することを特徴とする請求項6記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記紙幣金庫と前記硬貨金庫と前記保管スペースとを有する貨幣金庫部が、装置本体から引き出し可能であると共に、前記装置本体に押し込まれた押し込み状態でロックされ、
前記貨幣金庫部の前記装置本体からの引き出しを伴う引出包含処理を案内すると共に前記引出包含処理の指示操作が入力される表示操作部と、
前記表示操作部に前記引出包含処理の指示操作が入力されると、前記表示操作部に注意喚起を行わせると共に、前記貨幣金庫部の前記押し込み状態でのロックを解除する制御部と
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記表示操作部に前記引出包含処理の指示操作が入力されると、前記表示操作部に注意喚起を行わせた後、所定時間経過後に、前記貨幣金庫部の前記押し込み状態でのロックを解除することを特徴とする請求項8記載の貨幣処理装置。
【請求項10】
前記保管スペースへ空の前記釣銭準備金収納体を保管する収納体返却処理の際に、収納体返却処理が行われた旨を用紙に印字すると共に、
前記保管スペースから釣銭準備金を収納している前記釣銭準備金収納体を取り出す釣銭準備金取出処理の際に、釣銭準備金取出処理が行われた旨を用紙に印字する
プリンタを有することを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣処理装置。
【請求項11】
前記保管スペースの開閉履歴を表示する表示部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやショッピングセンター等の店舗においては、警備会社の担当者が、貨幣処理装置から売上金が入った貨幣金庫(紙幣金庫・硬貨金庫等)を回収することが行われている。その際に、警備会社が予め用意した釣銭準備金を店舗側に受け渡す業務も行われている。その業務を、店舗の担当者が不在の場合にも可能とするため、釣銭準備金を保管可能な保管スペースを設けた貨幣処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、釣銭準備金は、バッグや布袋等の釣銭準備金収納体に入れられた状態で運搬されるため、上記の貨幣処理装置においても、釣銭準備金収納体に入れられた状態で保管スペースに保管されることになる。そして、店舗の担当者は、貨幣処理装置から釣銭準備金収納体を取り出し、この釣銭準備金収納体から釣銭準備金を取り出すことになる。このように釣銭準備金が取り出された後の空の釣銭準備金収納体は、店舗の担当者が警備会社の担当者に返却するようになっていた。言い換えれば、店舗の担当者は、警備会社の担当者に会わなければ空の状態の釣銭準備金収納体を返却することができなかった。このため、業務効率の点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、業務効率の改善を図ることが可能となる貨幣処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様は、紙幣を収納する紙幣金庫と、硬貨を収納する硬貨金庫と、釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納体を保管可能な保管スペースとを備え、前記保管スペースは、釣銭準備金が取り出された状態の空の前記釣銭準備金収納体を保管可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、業務効率の改善を図ることが可能となる貨幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の制御系のブロック図である。
【
図3】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置における貨幣金庫部の引き出し状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置における保管庫扉の開状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図6】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「ID認証」画面を示す図である。
【
図7】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の複数情報表示画面を示す図である。
【
図8】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「メインメニュー」画面を示す図である。
【
図9】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「回収/釣銭」画面を示す図である。
【
図10】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「カセット回収」画面を示す図である。
【
図11】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置が発行する「回収(機入貨幣)」の伝票を示す図である。
【
図12】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置が発行する「釣銭保管」の伝票を示す図である。
【
図13】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置が発行する「バッグ取出」の伝票を示す図である。
【
図14】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置が発行する「釣銭取出」の伝票を示す図である。
【
図15】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置が発行する「バッグ返却」の伝票を示す図である。
【
図16】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「回収/保管」画面を示す図である。
【
図17】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「保管」画面を示す図である。
【
図18】本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「保管庫開閉履歴」画面を示す図である。
【
図19】本発明に係る第2実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「重要物保管開始」画面を示す図である。
【
図20】本発明に係る第2実施形態の貨幣処理装置の表示入力部の「取出許可ID指定」画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置を
図1~
図18を参照して以下に説明する。本実施形態の貨幣処理装置11は、セットされた紙幣及び硬貨からなる貨幣を識別し、受け入れ可能と識別された貨幣を計数して内部に収納するものである。本実施形態の貨幣処理装置11は、収納している貨幣を出金処理しない入金専用機であり、例えば、コンビニエンスストアやショッピングセンター等の店舗において、売上金を収納し管理するために用いられる売上金入金機である。なお、本実施形態では貨幣処理装置11として入金専用機を例にとり説明するが、本発明は、入金専用機以外の種々の貨幣処理装置に適用可能であり、例えば貨幣を入出金する入出金機にも適用可能である。
【0010】
以下の説明において使用する「前」は貨幣処理装置11の使用者側、「後」は貨幣処理装置11の使用者とは反対側、「左」は貨幣処理装置11の使用者から見た左、「右」は貨幣処理装置11の使用者から見た右である。よって、以下の説明において使用する「前後方向」は、貨幣処理装置11の前後方向である装置前後方向であり、「左右方向」は、貨幣処理装置11の左右方向である装置左右方向である。
【0011】
<構成>
図1に示すように、貨幣処理装置11は、その主体となる装置本体21を有しており、この装置本体21の前後方向の中間から前部が、上方に向いてほぼ水平に広がる主上面22を有している。装置本体21は、後部が、主上面22の後端縁部から後上がりに傾斜して広がる操作面23を有している。主上面22の前端縁部は、装置本体21の前方に向く主前面28に繋がっている。主前面28は前後方向に直交して広がっている。主前面28には上下方向中間位置の右端側に主電源スイッチ29が設けられている。
【0012】
装置本体21は、操作面23の上部と、操作面23の上下方向の中間且つ左右方向の中間位置とに、使用者に対し視覚的及び聴覚的に表示を行うと共に使用者の操作入力を受け付ける表示操作部31(表示部)を有している。また、装置本体21は、操作面23の上下方向の中間から下部の左右方向の右側に、計数結果等を紙面に印字するジャーナルプリンタ32(プリンタ)を有している。また、装置本体21は、操作面23の上下方向の中間から下部の左右方向の左側に、通帳に印字する通帳プリンタ33を有している。なお、通帳プリンタ33はなくても良い。
【0013】
貨幣処理装置11は、
図2に示すように、表示操作部31、ジャーナルプリンタ32及び通帳プリンタ33を含んだ貨幣処理装置11の全体を制御する制御部35と、各種情報を記憶する記憶部36とを有している。
【0014】
図1に示すように、表示操作部31は、操作面23の上下方向の中間且つ左右方向の中間位置に設けられた表示入力部41を有している。表示入力部41は、使用者に対し画面表示を行うLCD画面を含むタッチパネルである。また、表示操作部31は、操作面23における表示入力部41の右側に上から順に並設された複数、具体的には3つの「完了」ボタン42、「スタート」ボタン43及び「ストップ」ボタン44を有している。また、表示操作部31は、操作面23における表示入力部41の上側に左右に延びて設けられた磁気カードリーダ45と、通帳プリンタ33の上側且つ磁気カードリーダ45の左右方向の左側に設けられたICカードリーダ46とを有している。表示操作部31は、音声を発生させる図示略の音声発生部を更に有している。なお、ICカードリーダ46はなくても良い。
【0015】
表示入力部41は、貨幣処理装置11による貨幣の計数結果や貨幣処理装置11の状態を表示すると共に操作画面を表示する。また、表示入力部41は、操作画面に対するタッチ操作の操作入力を受け付ける。
【0016】
「完了」ボタン42、「スタート」ボタン43及び「ストップ」ボタン44は、何れも押圧操作の操作入力を受け付ける。「完了」ボタン42は、確定及び完了の入力キーであり、処理の完了時、入力の確定時及び処理の決定時等に押圧操作される。「スタート」ボタン43は、スタート操作の入力ボタンであり、入金動作及び計数動作の開始時に押圧操作される。「ストップ」ボタン44は、ストップ操作の入力ボタンであり、入金動作及び計数動作の停止時に押圧操作される。
【0017】
磁気カードリーダ45は、ID情報を記憶した磁気カードが使用者によって走査されることになり、この磁気カードからID情報を含む記憶情報を読み取る。ICカードリーダ46は、ID情報を記憶したICカードが近接すると、このICカードからID情報を含む記憶情報を読み取る。
【0018】
貨幣処理装置11には、主上面22の右側の前部位置に、貨幣処理装置11の外から入金及び計数対象の硬貨がセットされる硬貨ホッパ61が設けられている。硬貨ホッパ61は、主上面22において上方に向けて開口する硬貨投入口62と、装置本体21に揺動可能に連結され、揺動して硬貨投入口62を開閉する蓋部63とを有している。硬貨ホッパ61には、蓋部63が手動により開かれた開状態で硬貨投入口62を介して硬貨が投入されることになり、このようにして硬貨がセットされる。硬貨ホッパ61は、セットされた硬貨を一枚ずつに分離して所定の間隔をあけて貨幣処理装置11内に繰り出す。
【0019】
装置本体21には、主上面22の左側の前部位置に、貨幣処理装置11の外から入金及び計数対象の紙幣がセットされる紙幣ホッパ71が設けられている。紙幣ホッパ71には、集積状態の紙幣が横長の姿勢でセットされることになる。紙幣ホッパ71は、セットされた紙幣を一枚ずつに分離して所定の間隔をあけて貨幣処理装置11内に繰り出す。
【0020】
装置本体21には、紙幣ホッパ71の下側に、受け入れ不可と識別され計数されなかった紙幣を貨幣処理装置11の外部に取り出し可能にリジェクトする紙幣リジェクト口72が、主前面28から後方に凹むように設けられている。紙幣リジェクト口72は、貨幣処理装置11の内部から繰り出された紙幣を上下に集積させる。紙幣リジェクト口72に繰り出された紙幣は、紙幣リジェクト口72から前方に引き抜かれて貨幣処理装置11から取り出される。
【0021】
装置本体21の主前面28には、紙幣リジェクト口72の下側に、前方に開口する返却開口部80が設けられている。貨幣処理装置11は、この返却開口部80を開閉する返却扉81を備える紙幣一時貯留部82を有している。紙幣一時貯留部82は受け入れ可能と識別された紙幣を計数後に一時貯留する。紙幣一時貯留部82は、紙幣を水平に広がる状態で上下に集積させて貯留する。紙幣一時貯留部82は、前部の返却扉81が開閉可能とであり、底部も開閉可能である。
【0022】
紙幣一時貯留部82は、返却扉81が、返却開口部80を閉じた状態で装置本体21の主前面28と略面一となる。紙幣一時貯留部82は、底部を開いて一時貯留していた紙幣を図示略の押し込み機構で鉛直下方に移動させる。紙幣一時貯留部82は、返却扉81が返却開口部80を開くことで、貯留している紙幣を貨幣処理装置11の外部に返却開口部80を介して取り出し可能に返却する。
【0023】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、返却扉81を、返却開口部80を閉じた状態で装置本体21にロックする電磁式の返却扉ロック機構83と、返却扉81が返却開口部80を閉じた状態にあるか開いた状態にあるかを検知する返却扉検知センサ84とを有している。返却扉ロック機構83及び返却扉検知センサ84は、
図1に示す装置本体21に設けられている。返却扉ロック機構83は、制御部35に駆動されて装置本体21に対する返却扉81のロックを解除する一方、返却扉81が開状態になった後に閉状態になると、これを機械的且つ自動的に装置本体21にロックする。
【0024】
図1に示すように、装置本体21の主前面28には、返却開口部80の右側に、前方に開口する挿入開口部91が設けられている。貨幣処理装置11は、この挿入開口部91から装置本体21に挿入される硬貨返却箱92を有している。硬貨返却箱92は、上方に開口する箱形状であり、硬貨を外部に返却する際に収容する。硬貨返却箱92は、受け入れ不可と識別され計数されなかった硬貨を貨幣処理装置11の外部に取り出し可能にリジェクトするために収容すると共に、受け入れ可能と識別され計数された硬貨を貨幣処理装置11の外部に取り出し可能に返却するために収容する。
【0025】
硬貨返却箱92は、装置本体21に押し込まれた押し込み状態で、装置本体21の主前面28と略面一となり、上部開口が装置本体21内に隠れる。硬貨返却箱92は、装置本体21から主前面28よりも前方に引き出し可能であり、装置本体21から前方に引き出されて引き出し状態となることで、収容している硬貨が上部開口を介して貨幣処理装置11の外部に取り出し可能となる。
【0026】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、硬貨返却箱92を装置本体21に対し押し込み状態で引き出し不可にロックする電磁式の硬貨返却箱ロック機構93と、装置本体21に対し硬貨返却箱92が押し込み状態にあるか否かを検知する硬貨返却箱検知センサ94と、装置本体21に対し押し込み状態にある硬貨返却箱92の硬貨の有無を検知する残留硬貨検知センサ95とを有している。硬貨返却箱ロック機構93、硬貨返却箱検知センサ94及び残留硬貨検知センサ95は、
図1に示す装置本体21に設けられている。
【0027】
貨幣処理装置11は、
図3に示すように、紙幣一時貯留部82及び硬貨返却箱92よりも下側に、装置本体21に対して引き出し可能な貨幣金庫部101を有している。装置本体21には、前方に開口する開口部104を有して後方に凹む収容凹部105が形成されている。収容凹部105は、
図1に示すように貨幣金庫部101が押し込まれた閉状態にあるときに貨幣金庫部101によって隠れる。
【0028】
貨幣金庫部101は、装置本体21に前後方向にスライド可能に支持されており、装置本体21に対して、
図1に示すように装置本体21内に押し込まれた押し込み状態と、
図3に示すように装置本体21から前方に引き出された引き出し状態との間でスライドする。
【0029】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、収容凹部105内に押し込まれた押し込み状態の貨幣金庫部101を引き出し不可にロックする電磁式の貨幣金庫部ロック機構112と、貨幣金庫部101が押し込み状態にあるか否かを検知する貨幣金庫部検知センサ113とを有している。貨幣金庫部ロック機構112及び貨幣金庫部検知センサ113は、
図1及び
図3に示す装置本体21に設けられている。貨幣金庫部ロック機構112は、制御部35に駆動されて装置本体21に対する貨幣金庫部101のロックを解除する一方、貨幣金庫部101が引き出し状態になった後に押し込み状態になると、これを機械的且つ自動的に装置本体21にロックする。装置本体21には、押し込み状態の貨幣金庫部101を前方に付勢する図示略の付勢部材が設けられており、貨幣金庫部ロック機構112が装置本体21に対する貨幣金庫部101のロックを解除すると、この付勢部材が装置本体21に対し貨幣金庫部101を前方に若干押し出す。
【0030】
図3に示すように、貨幣金庫部101は、装置本体21に前後方向にスライド可能に支持された有底四角筒状のスライド体121を有している。スライド体121は、収容凹部105内に押し込まれた押し込み状態と、収容凹部105から前方に引き出された引き出し状態との間でスライドする。貨幣金庫部ロック機構112は、このスライド体121を装置本体21に対し引き出し不可にロックすることになり、貨幣金庫部検知センサ113は、このスライド体121が押し込み状態にあるか否かを検知する。
【0031】
スライド体121は、装置本体21にスライド可能に支持される右側の側壁部122及び図示略の左側の側壁部と、右側の側壁部122及び図示略の左側の側壁部の前端縁部同士を連結する矩形状の前壁部123と、右側の側壁部122及び図示略の左側の側壁部の後端縁部同士を連結する後壁部124と、右側の側壁部122及び図示略の左側の側壁部の間にこれらに平行に配置されて前壁部123と後壁部124とを連結する中間壁部125と、図示略の底部とを有している。前壁部123及び後壁部124は、前後方向に対し直交して広がっており、右側の側壁部122、図示略の左側の側壁部及び中間壁部125は左右方向に対し直交して広がっている。
【0032】
スライド体121は、
図1に示すように、装置本体21に押し込まれた押し込み状態で、前壁部123が、装置本体21の主前面28と略面一となる。
【0033】
図3に示すように、右側の側壁部122と中間壁部125と前壁部123と後壁部124と図示略の底部とで囲まれた範囲が、保管スペース131となっている。保管スペース131は上方に開口している。前壁部123の右側には、
図4に示すように、前後方向に貫通する入出口132が形成されている。入出口132は、保管スペース131に連通しており、保管スペース131を前方に開放する。
【0034】
保管スペース131は、釣銭準備金を収納した
図5に示す釣銭準備金収納バッグ134(釣銭準備金収納体)を保管可能なスペースとなっている。保管スペース131は、釣銭準備金が取り出された状態の空の釣銭準備金収納バッグ134も保管可能となっている。ここで、釣銭準備金を安全且つ容易に運搬するために収納する釣銭準備金収納体としては、鍵付きの防犯カバンであり、釣銭準備金収納バッグ134以外にも布袋や箱等がある。保管スペース131の上部開口は、
図1及び
図4に示すようにスライド体121が押し込み状態にあるときには、釣銭準備金収納バッグ134の出し入れが装置本体21で物理的に規制されて不可となり、
図3に示すようにスライド体121が引き出し状態にあるときに、釣銭準備金収納バッグ134の出し入れが装置本体21で物理的に規制されることなく可能となる。ここで、保管スペース131には、釣銭準備金収納バッグ134ではなく、書類、印鑑、通帳、鍵、金券、損券、損貨等の重要物も収納可能である。保管スペース131に、釣銭準備金収納バッグ134ではなく重要物を保管する場合、保管スペース131の上部開口を、スライド体121に対し着脱可能な図示略の蓋体で閉塞する。図示略の蓋体がスライド体121に取り付けられると、保管スペース131の上部開口は、スライド体121が引き出し状態にあるときも、重要物の出し入れが蓋体で物理的に規制されて不可となる。
【0035】
図2に示すように、貨幣処理装置11は保管センサ135を有している。保管センサ135は、保管スペース131にある釣銭準備金収納バッグ134の有無を検知する。保管センサ135は、例えば、保管スペース131を挟んで設けられる発光部と受光部と有する光学式のセンサである。保管センサ135は、保管スペース131に釣銭準備金収納バッグ134があると、発光部の発光が釣銭準備金収納バッグ134で遮光されることによって受光部が受光できない状態になり、これにより釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にあることを検知する。また、保管センサ135は、保管スペース131に釣銭準備金収納バッグ134がないと、発光部の発光が遮光されることなく受光部で受光される状態になり、これにより釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にないことを検知する。保管センサ135は、スライド体121に設けられている。
【0036】
図3に示すように、中間壁部125と図示略の左側の側壁部と前壁部123と後壁部124と図示略の底部とで囲まれた範囲が、貨幣収納スペース137となっている。貨幣金庫部101は、スライド体121とは別体の紙幣金庫141及び硬貨金庫142を有している。貨幣収納スペース137は、前部が紙幣金庫141が装填される紙幣金庫装填スペース138となっており、紙幣金庫装填スペース138よりも後側の後部が硬貨金庫142が装填される硬貨金庫装填スペース139となっている。
【0037】
図4に示すように、貨幣金庫部101は、スライド体121の前壁部123に揺動可能に連結されて入出口132を開閉する保管庫扉145(開閉扉)を有している。保管庫扉145は、入出口132の左側縁部に鉛直軸回りに揺動可能となるように支持されており、入出口132を開閉する。保管庫扉145は、入出口132を閉じた状態で、
図1に示すように押し込み状態のスライド体121の前壁部123及び装置本体21の主前面28と略面一となる。
図3に示すように、保管スペース131を形成するスライド体121の右側の側壁部122、中間壁部125、前壁部123、後壁部124及び図示略の底部と、入出口132と、保管庫扉145とが保管庫144を構成している。保管庫144の内側に保管スペース131が設けられている。
【0038】
開閉可能な保管庫扉145は、保管スペース131の前方にある。保管スペース131の前方は、閉状態の保管庫扉145を隔てて貨幣処理装置11の外に臨んでいる。
図4に示すように、スライド体121、即ち貨幣金庫部101が押し込み状態にあっても保管庫扉145が開かれることで、保管スペース131は、入出口132を介して釣銭準備金収納バッグ134あるいは重要物の出し入れが可能となる。保管スペース131は、スライド体121が押し込み状態にあり且つ保管庫扉145が閉状態にあれば、釣銭準備金収納バッグ134あるいは重要物の出し入れが不可となる。保管庫扉145が開状態にあれば、保管スペース131は、貨幣処理装置11の前面側から直接アクセス可能となる。
【0039】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、保管庫扉145を閉状態でスライド体121に対し開作動不可にロックする電磁式の保管庫扉ロック機構146と、保管庫扉145が閉状態にあるか否かを検知する保管庫扉検知センサ147とを有している。言い換えれば、保管スペース131の前方に設けられた保管庫扉145は、保管庫扉ロック機構146によって閉状態でロックされる。これら保管庫扉ロック機構146及び保管庫扉検知センサ147は、スライド体121に設けられている。保管庫扉ロック機構146は、制御部35に駆動されてスライド体121に対する保管庫扉145のロックを解除する一方、保管庫扉145が開状態になった後に閉状態になると、これを機械的且つ自動的にスライド体121にロックする。スライド体121には、閉状態の保管庫扉145を開方向に付勢する図示略の付勢部材が設けられており、保管庫扉ロック機構146がスライド体121に対する保管庫扉145のロックを解除すると、この付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させる。なお、保管庫扉ロック機構146は、電磁式に限られるものではなく、保管庫扉145を閉状態でロック及びロック解除するシリンダ錠と、これを作動させる別体の専用鍵とで構成しても良い。
【0040】
図3に示すように、スライド体121の貨幣収納スペース137は上方に開口している。貨幣収納スペース137の前部の紙幣金庫装填スペース138に紙幣金庫141が上方から装填されて装填状態になる。紙幣金庫141は上方に引き上げられて紙幣金庫装填スペース138から取り外される。紙幣金庫装填スペース138は、スライド体121が押し込み状態にあるときには、紙幣金庫141の出し入れが装置本体21で物理的に規制されて不可となり、スライド体121が引き出し状態にあるときに、紙幣金庫141の出し入れが装置本体21で物理的に規制されることなく可能となる。
【0041】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、紙幣金庫装填スペース138の紙幣金庫141が装填状態にあるか否かを検知する紙幣金庫検知センサ152を有している。紙幣金庫検知センサ152は、
図4に示すスライド体121に設けられている。
【0042】
貨幣収納スペース137の後部の硬貨金庫装填スペース139には、硬貨金庫142が上方から装填されて装填状態になる。硬貨金庫142は上方に引き上げられて硬貨金庫装填スペース139から取り外される。硬貨金庫装填スペース139は、スライド体121が押し込み状態にあるときは、硬貨金庫142の出し入れが装置本体21で物理的に規制されて不可となり、スライド体121が引き出し状態にあるときは、硬貨金庫142の出し入れが装置本体21で物理的に規制されることなく可能となる。
【0043】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、硬貨金庫装填スペース139の硬貨金庫142が装填状態にあるか否かを検知する硬貨金庫検知センサ156を有している。硬貨金庫検知センサ156は、
図3に示すスライド体121に設けられている。
【0044】
図3に示すように、保管スペース131と紙幣金庫141と硬貨金庫142とを含む貨幣金庫部101が一体に装置本体21から引き出し可能とされている。この貨幣金庫部101は、貨幣金庫部101を装置本体21から引き出さずに保管スペース131を開閉する保管庫扉145を有している。
【0045】
紙幣金庫141は、上部に内外に開口する紙幣受入開口部161を有する箱状の紙幣金庫本体162と、紙幣受入開口部161を開閉する紙幣金庫シャッタ163と、紙幣金庫シャッタ163を紙幣受入開口部161を閉じた閉状態で開不可にロックする図示略の紙幣金庫シャッタロックとを有している。紙幣金庫141は、紙幣金庫本体162が、紙幣を、紙幣受入開口部161を介して内部に受け入れて上下に集積させて収納する。
【0046】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、図示略の紙幣金庫シャッタロックのロックを解除して紙幣金庫シャッタ163を開作動させたり、紙幣金庫シャッタ163を閉作動させて図示略の紙幣金庫シャッタロックをロック状態とする紙幣金庫シャッタ開閉機構166を有している。紙幣金庫シャッタ開閉機構166は、
図3に示す装置本体21に設けられている。
【0047】
図3に示す紙幣金庫本体162は、図示は略すが、側部に紙幣取出開口部が設けられており、この紙幣取出開口部が揺動する紙幣金庫扉で開閉可能となっている。紙幣金庫本体162は、紙幣金庫開口部を閉じた閉状態で紙幣金庫扉をロックする紙幣金庫シリンダ錠を有している。この紙幣金庫シリンダ錠は別体の対応する金庫キーでロック及びロック解除される。紙幣金庫141は、紙幣金庫装填スペース138から取り外されて、紙幣金庫扉が開かれることで、内部の紙幣が外部に取り出し可能となる。
【0048】
硬貨金庫142は、上部に内外に開口する硬貨受入開口部171を有する箱状の硬貨金庫本体172と、硬貨受入開口部171を開閉する硬貨金庫シャッタ173と、硬貨金庫シャッタ173を硬貨受入開口部171を閉じた閉状態で開不可にロックする図示略の硬貨金庫シャッタロックとを有している。硬貨金庫142は、硬貨金庫本体172が、硬貨受入開口部171を介して硬貨を内部に受け入れて収納する。
【0049】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、図示略の硬貨金庫シャッタロックのロックを解除して硬貨金庫シャッタ173を開作動させたり、硬貨金庫シャッタ173を閉作動させて図示略の硬貨金庫シャッタロックをロック状態とする硬貨金庫シャッタ開閉機構176を有している。硬貨金庫シャッタ開閉機構176は、
図3に示す装置本体21に設けられている。
【0050】
硬貨金庫142が硬貨金庫装填スペース139に装填された状態にあるスライド体121が、
図3に示すように装置本体21に対し引き出された引き出し状態から、
図1に示すように押し込み状態になる際に、硬貨金庫142は、
図2に示す硬貨金庫シャッタ開閉機構176によって図示略の硬貨金庫シャッタロックによる硬貨金庫シャッタ173のロックが解除されて硬貨金庫シャッタ173が開状態とされる。また、硬貨金庫142は、スライド体121が、
図1に示す押し込み状態から、
図3に示すように引き出される際に、硬貨金庫シャッタ開閉機構176によって硬貨金庫シャッタ173が閉状態とされる。すると、硬貨金庫シャッタ173は図示略の硬貨金庫シャッタロックによりロックされる。
【0051】
図3に示す硬貨金庫本体172は、図示は略すが、図示略の硬貨金庫シャッタロックによる硬貨金庫シャッタ173のロックを解除する硬貨金庫シリンダ錠を有している。この硬貨金庫シリンダ錠は別体の対応する金庫キーでロック解除される。硬貨金庫142は、硬貨金庫装填スペース139から取り外され、金庫キーで硬貨金庫シリンダ錠のロックが解除されて、硬貨金庫シャッタ173が開かれることで、内部の硬貨が外部に取り出し可能となる。
【0052】
紙幣金庫141と硬貨金庫142と保管スペース131とを有する貨幣金庫部101が、装置本体21から引き出し可能である。貨幣金庫部101は、装置本体21に押し込まれた押し込み状態で貨幣金庫部ロック機構112によってロックされる。
【0053】
装置本体21の収容凹部105よりも上側は、左側が、紙幣ホッパ71、紙幣リジェクト口72及び紙幣一時貯留部82を含む紙幣処理部181となっている。紙幣処理部181は、紙幣ホッパ71にセットされた紙幣を識別し識別結果に基づいて振り分ける。紙幣金庫141は、スライド体121に装填されてスライド体121と共に収容凹部105に押し込まれた状態にあるとき、紙幣処理部181からの紙幣を収納する。
【0054】
また、装置本体21の収容凹部105よりも上側は、右側が、硬貨ホッパ61及び硬貨返却箱92を含む硬貨処理部182となっている。硬貨処理部182は、硬貨ホッパ61にセットされた硬貨を識別し識別結果に基づいて振り分ける。硬貨金庫142は、スライド体121に装填されてスライド体121と共に収容凹部105に押し込まれた状態で、硬貨処理部182からの硬貨を収納する。
【0055】
図5に示すように、紙幣処理部181は、紙幣ホッパ71から間隔をあけて一枚ずつ繰り出された紙幣を搬送する紙幣搬送部191と、紙幣搬送部191で搬送中の紙幣を識別する紙幣識別部192とを有している。
【0056】
紙幣識別部192は、紙幣搬送部191で搬送されている紙幣の金種を識別することになり、識別した紙幣が、受け入れ可能な金種の紙幣であるか、それ以外の受け入れ不可な紙幣であるかを識別すると共に、受け入れ可能な金種の紙幣については、金種別に計数を行う。
【0057】
紙幣搬送部191は、紙幣ホッパ71からの紙幣を紙幣識別部192の識別結果に基づいて紙幣一時貯留部82及び紙幣リジェクト口72の一方に振り分ける。紙幣搬送部191は、紙幣を計数する入金処理及び計数処理において、紙幣ホッパ71から繰り出された紙幣のうち、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣を紙幣一時貯留部82に搬送する。紙幣搬送部191は、紙幣を計数する入金処理及び計数処理において、紙幣ホッパ71から繰り出された紙幣のうち、紙幣識別部192で受け入れ不可と識別された紙幣を、紙幣リジェクト口72に搬送する。
【0058】
紙幣一時貯留部82は、紙幣を入金する入金処理において一時貯留した紙幣を、表示入力部41への入力操作に基づいて紙幣金庫141に収納する。即ち、紙幣一時貯留部82は、入金処理において一時貯留した紙幣を、表示入力部41への確定操作に基づく収納処理によって紙幣金庫141に収納する。また、紙幣一時貯留部82は、表示入力部41へのキャンセル操作に基づく返却処理によって返却扉81が開可能となり、これにより、入金処理において一時貯留した紙幣が返却可能となる。紙幣一時貯留部82は、入金処理において一時貯留した紙幣を、表示入力部41への確定操作に基づく返却処理によって装置本体21から取り出し可能となる。
【0059】
硬貨処理部182は、硬貨ホッパ61から間隔をあけて一枚ずつ繰り出された硬貨を搬送する硬貨搬送部201と、硬貨搬送部201で搬送中の硬貨を識別する硬貨識別部202とを有している。
【0060】
硬貨識別部202は、硬貨搬送部201で搬送されている硬貨の金種を識別することになり、識別した硬貨が、受け入れ可能な金種の硬貨であるか、それ以外の受け入れ不可な硬貨であるかを識別すると共に、受け入れ可能な金種の硬貨については、金種別に計数を行う。
【0061】
硬貨搬送部201は、硬貨ホッパ61からの硬貨を硬貨識別部202の識別結果に基づいて硬貨返却箱92及び硬貨一時貯留部203の一方に振り分ける。硬貨搬送部201は、硬貨を計数する入金処理及び計数処理において、硬貨ホッパ61から繰り出された硬貨のうち、硬貨識別部202で受け入れ可能と識別された硬貨を硬貨一時貯留部203に搬送する。硬貨搬送部201は、硬貨を計数する入金処理及び計数処理において、硬貨ホッパ61から繰り出された硬貨のうち、硬貨識別部202で受け入れ不可と識別された硬貨を、硬貨返却箱92に搬送する。
【0062】
硬貨一時貯留部203は、硬貨を計数する入金処理において一時貯留した硬貨を、表示入力部41への入力操作に基づいて、硬貨返却箱92及び硬貨金庫142の一方に収納させる。即ち、硬貨一時貯留部203は、入金処理において一時貯留した硬貨を、表示入力部41への確定操作に基づく収納処理によって硬貨金庫142に収納する。また、硬貨一時貯留部203は、入金処理において一時貯留した硬貨を、表示入力部41へのキャンセル操作に基づく返却処理によって硬貨返却箱92に収納する。
【0063】
<動作>
貨幣処理装置11の主電源スイッチ29がオンされて主電源が立ち上げられると、制御部35は初期化処理を行う。初期化処理では、制御部35は貨幣処理装置11に初期化動作を行わせる。制御部35は、主電源が立ち上げられると表示入力部41に立ち上げ状態を示す画面を表示させることになり、初期化動作中は表示入力部41に初期化動作中である旨を表示させる。
【0064】
この初期化動作後及び前回の処理終了後には、貨幣処理装置11は、処理を待機する待機状態となる。貨幣処理装置11が待機状態にあるとき、制御部35は、表示入力部41に、使用者のID情報の入力を案内する、
図6に示すような「ID認証」画面301を表示させている。
【0065】
「ID認証」画面301は、磁気カードリーダ45の走査、ICカードリーダ46の近接及び表示入力部41への入力の何れかによるID認証を促す認証促進表示部302を有している。また、「ID認証」画面301は、認証促進表示部302の下側に、貨幣処理装置11の状態を示す装置状態表示部303を有している。装置状態表示部303は、貨幣処理装置11の状態を示すステータスのうち、優先度の高いステータスを表示する。
図6に示す例では、装置状態表示部303に、返却する空の釣銭準備金収納バッグ134が保管庫144内の保管スペース131に収納されている旨を示す「バッグ保管中」を表示している。すなわち、後述するバッグ返却処理が行われ、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134を検知している場合、言い換えれば、保管スペース131に空の釣銭準備金収納バッグ134を保管している場合に、制御部35は、貨幣処理装置11が、保管スペース131に空の釣銭準備金収納バッグ134を保管している空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスであると判断し、空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスである旨を示す「バッグ保管中」を「ID認証」画面301の装置状態表示部303に表示させる。
【0066】
装置状態表示部303の下側には、貨幣処理装置11の状態を示すステータスが複数ある場合に、それらを表示させる一覧表示操作を行うための複数情報表示指示操作部304が表示されている。複数情報表示指示操作部304は、上向きの矢印を表示させており、複数情報表示指示操作部304がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、
図7に示すような第2の「ID認証」画面としての複数情報表示画面311を表示させる。複数情報表示画面311は、貨幣処理装置11の状態を示すステータスが複数ある場合に、それらを一覧で表示させる装置状態複数表示部312を有している。装置状態複数表示部312には、貨幣処理装置11の状態を示すステータスが複数ある場合に、それらを優先度の高い順に上から下に昇順で表示させる。
図7に示す例では、貨幣処理装置11の優先度が最も高いステータスが、硬貨金庫142がフルである場合を示しており、装置状態複数表示部312の最上段に、その旨を示す「硬貨カセットフル」を表示させている。また、
図7に示す例では、貨幣処理装置11の優先度が次に高いステータスが、空の釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131に収納されている空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスである場合を示しており、装置状態複数表示部312の上から二段目に、その旨を示す「バッグ保管中」を表示させている。即ち、貨幣処理装置11のステータスが複数ある場合、表示入力部41は、「ID認証」画面301を表示させた待機状態で、一覧表示操作である複数情報表示指示操作部304への指示操作が入力されると、複数のステータスを一覧表示する。なお、貨幣処理装置11の状態を示すステータスが複数ある場合に、優先度の高い順に限らず、それらを時系列的に装置状態複数表示部312に表示させても良い。
【0067】
装置状態複数表示部312の上側には、複数情報表示画面311を「ID認証」画面301に戻すための戻り指示操作部313が表示されている。戻り指示操作部313は、下向きの矢印を表示させており、戻り指示操作部313がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、
図6に示すような「ID認証」画面301を表示させる。
【0068】
「ID認証」画面301を表示入力部41に表示させた状態で、磁気カードリーダ45の走査、ICカードリーダ46の近接及び表示入力部41への入力の何れかによりID情報が入力されると、制御部35は、このID情報が、記憶部36に記憶された、この貨幣処理装置11の使用が許可されたID情報に含まれる場合には、記憶部36に記憶された、このID情報に応じて許可された処理を選択させる
図8に示すような「メインメニュー」画面321を表示入力部41に表示させる。なお、入力されたID情報が、記憶部36に記憶された、この貨幣処理装置11の使用が許可されたID情報に含まれる場合には、次に表示入力部41に「ID認証」画面301を表示させる基本状態に戻るまで、制御部35は、このID情報に基づいた処理を行う。ここで、「ID認証」画面301を表示させている状態で所定時間が経過すると、制御部35は、貨幣処理装置11を省電力モードへ移行させ、省電力モードへ移行後は、表示入力部41へのタッチ操作、「完了」ボタン42の押圧操作、「スタート」ボタン43の押圧操作及び「ストップ」ボタン44の押圧操作の何れかがあると、貨幣処理装置11を省電力モードから通常電力モードに移行させる。なお、制御部35は、「ID認証」画面301を表示入力部41に表示させた状態でID情報が入力され、これを認証すると、表示入力部41にてパスワード入力を求め、表示入力部41に入力されたパスワードを認証すると、「メインメニュー」画面321を表示入力部41に表示させるようにしても良い。
【0069】
「メインメニュー」画面321は、複数の処理の中から一つの処理を選択させる処理選択表示部322を有している。「メインメニュー」画面321は、処理選択表示部322の下側に、
図6に示す「ID認証」画面301の装置状態表示部303と同様の装置状態表示部323を有しており、装置状態表示部303の下側に、
図6に示す「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304と同様の複数情報表示指示操作部324を有している。
図8に示す例では、「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323に、返却する空の釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131に収納されている旨を示す「バッグ保管中」を表示している。「メインメニュー」画面321において、複数情報表示指示操作部324がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、
図7に示す複数情報表示画面311と同様の図示略の複数情報表示画面を表示させる。
【0070】
「店舗の担当者による売上金の入金処理」
使用者としての店舗の担当者が入金処理を行う場合、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させた待機状態で、表示操作部31にID情報の入力が行われた後、
図8に示す「メインメニュー」画面321において処理選択表示部322のうち「入金」指示操作部326がタッチ操作、即ち指示操作される。ここで、「入金」指示操作部326の指示操作は、表示操作部31に入力されたID情報が、入金処理が許可されたID情報である場合のみ可能となる。例えば、入金処理が許可されていない警備会社の回収担当者のID情報では、「入金」指示操作部326の指示操作を受け付けない、又は、「メインメニュー」画面321において処理選択表示部322に「入金」指示操作部326が表示されない。
【0071】
「入金」指示操作部326が指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に図示略の入金処理の案内画面を表示させる。この案内画面の案内に従って、店舗の担当者は、紙幣ホッパ71に紙幣をセットすると共に、蓋部63を開いて硬貨ホッパ61に硬貨をセットする。その後、店舗の担当者は、「スタート」ボタン43を押圧操作する。これを受けて、制御部35は、紙幣処理部181の紙幣ホッパ71、紙幣搬送部191及び紙幣識別部192を駆動すると共に、硬貨処理部182の硬貨ホッパ61、硬貨搬送部201及び硬貨識別部202を駆動する。
【0072】
紙幣処理部181において、駆動された紙幣ホッパ71は、セットされた紙幣を所定の間隔で一枚ずつ、紙幣搬送部191に繰り出すことになり、紙幣搬送部191が紙幣を搬送する。そして、紙幣搬送部191で搬送中の紙幣を紙幣識別部192が識別する。
【0073】
紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣は、紙幣搬送部191が紙幣一時貯留部82に搬送し、紙幣一時貯留部82が下から上に順次集積させる。また、紙幣識別部192で受け入れ不可と識別された紙幣は、紙幣搬送部191が紙幣リジェクト口72に搬送し、紙幣リジェクト口72が下から上に順次集積させる。
【0074】
硬貨処理部182において、駆動された硬貨ホッパ61は、セットされた硬貨を所定の間隔で一枚ずつ、硬貨搬送部201に繰り出すことになり、硬貨搬送部201が硬貨を搬送する。そして、硬貨搬送部201で搬送中の硬貨を硬貨識別部202が識別する。
【0075】
硬貨識別部202で受け入れ可能と識別された硬貨は、硬貨搬送部201が硬貨一時貯留部203に搬送し、硬貨一時貯留部203が貯留させる。また、硬貨識別部202で受け入れ不可と識別された硬貨は、硬貨搬送部201が硬貨返却箱92に搬送し、硬貨返却箱92が貯留させる。
【0076】
以上のようにして、紙幣処理部181において紙幣ホッパ71の紙幣が全て繰り出されて、紙幣一時貯留部82或いは紙幣リジェクト口72に搬送されると共に、硬貨処理部182において硬貨ホッパ61の硬貨が全て繰り出されて、硬貨一時貯留部203或いは硬貨返却箱92に搬送されたことを各部の図示略のセンサで検知すると、制御部35は、紙幣識別部192及び硬貨識別部202の識別結果を表示入力部41に表示させる。例えば、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣の金種別の枚数及び総額と、硬貨識別部202で受け入れ可能と識別された硬貨の金種別の枚数及び総額と、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣の総額及び硬貨識別部202で受け入れ可能と識別された硬貨の総額を加算した入金貨幣の総額とを、表示入力部41に表示させる。
【0077】
それと共に、制御部35は、硬貨処理部182の硬貨返却箱92にリジェクトされた硬貨を残留硬貨検知センサ95が検知していれば、硬貨返却箱92の硬貨の取り出しを促す表示を表示入力部41に表示させる。これを見て、店舗の担当者が硬貨返却箱92を装置本体21から引き出して硬貨返却箱92に貯留されている硬貨を取り出した後に硬貨返却箱92を装置本体21に押し込む。硬貨返却箱92が装置本体21に押し込まれると、制御部35は、硬貨返却箱92が押し込み状態になったことを硬貨返却箱検知センサ94の検知結果で確認する。
【0078】
制御部35は、計数結果を了解して一時貯留している貨幣を収納する収納処理、及び、一時貯留している貨幣を返却する返却処理の表示入力部41への指示操作を待つ。
【0079】
「収納処理」
表示入力部41に、収納処理の指示操作が入力されると、制御部35は、紙幣処理部181については、紙幣一時貯留部82の底部を開放して、紙幣一時貯留部82に貯留していた紙幣を、紙幣受入開口部161を介して紙幣金庫141の紙幣金庫本体162内に収納させる。
【0080】
また、表示入力部41に、収納処理の指示操作が入力されると、制御部35は、硬貨処理部182については、硬貨一時貯留部203が、硬貨受入開口部171を介して硬貨金庫142の硬貨金庫本体172に収納させる。
【0081】
この収納処理を終了するに当たり、制御部35は、例えば、その前段に行われた入金処理において入力された回収担当者のID番号と、貨幣処理装置11の識別情報と、入金処理の実行日時と、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣及び硬貨識別部202で受け入れ可能と識別された硬貨のそれぞれの金種別の数量と、これらが収納された旨とを関連付けて記憶部36に記憶する。その後、必要に応じて、ジャーナルプリンタ32によるジャーナル印字又は通帳プリンタ33による通帳印字が行われるようにしても良い。
【0082】
収納処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0083】
「返却処理」
表示入力部41に、返却処理の指示操作が入力されると、制御部35は、紙幣処理部181について、返却扉ロック機構83を駆動して、紙幣一時貯留部82の返却扉81の装置本体21へのロックを解除すると共に、紙幣一時貯留部82からの紙幣の取り出しを促す表示を表示入力部41に表示させる。これを見て、店舗の担当者が、返却扉81を開いて、紙幣一時貯留部82に一時貯留されていた紙幣を取り出す。その後、返却扉81が閉状態とされると、返却扉ロック機構83が、返却扉81を閉状態で装置本体21にロックする。制御部35は、返却扉81が閉状態になったことを返却扉検知センサ84の検知結果で確認する。
【0084】
また、表示入力部41に、返却処理の指示操作が入力されると、制御部35は、硬貨処理部182について、硬貨一時貯留部203から硬貨を硬貨返却箱92に放出させる。その後、制御部35は、硬貨返却箱ロック機構93を駆動して、硬貨返却箱92の装置本体21へのロックを解除すると共に、硬貨返却箱92からの硬貨の取り出しを促す表示を表示入力部41に表示させる。これを見て、店舗の担当者が、硬貨返却箱92を装置本体21から引き出して硬貨を取り出す。その後、硬貨返却箱92が装置本体21に押し込まれると、制御部35は、硬貨返却箱92が押し込み状態になったことを硬貨返却箱検知センサ94の検知結果で確認する。この場合、通帳プリンタ33による通帳印字は必要ないが、ジャーナルプリンタ32によるジャーナル印字は行うようにしても良い。
【0085】
制御部35は、紙幣一時貯留部82の返却扉81が開状態とされた後に閉状態とされたことを返却扉検知センサ84が検知し、硬貨返却箱92が装置本体21から引き出された後に装置本体21に押し込まれたことを硬貨返却箱検知センサ94が検知すると、返却処理を終了する。
【0086】
返却処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0087】
「保管モード設定処理」
保管モード設定処理を行う場合、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させた待機状態で、表示操作部31にID情報の入力が行われ、
図8に示す「メインメニュー」画面321において処理選択表示部322のうち「その他」指示操作部327がタッチ操作、即ち指示操作される。ここで、「その他」指示操作部327の指示操作は、表示操作部31に入力されたID情報が、設定処理が許可されたID情報である場合のみ可能となる。例えば、店舗側の入金処理のみが許可された担当者のID情報や、警備会社の回収担当者のID情報では、「その他」指示操作部327の指示操作を受け付けず、店舗側の各種処理が許可された管理者のID情報では、「その他」指示操作部327の指示操作を受け付ける。なお、保守員等が操作する各種設定画面において保管モード設定処理を行うようにしても良い。
【0088】
「メインメニュー」画面321において「その他」指示操作部327が指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に各種設定画面を表示させる。この各種設定画面において、保管モード設定処理がタッチ操作、即ち指示操作される。すると、制御部35は、保管モード設定処理として、保管スペース131に対し釣銭準備金収納バッグ134を入出する釣銭受渡モードと、保管スペース131に対し釣銭準備金収納バッグ134以外の、書類、印鑑、通帳、鍵、金券、損券、損貨等の重要物を入出する重要物保管モードとのうちの一方を選択するモード選択を案内すると共に、当該モード選択の指示操作を待機するモード選択画面を表示させる。このモード選択画面において、釣銭受渡モードがタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を釣銭受渡モードで動作させる。このモード選択画面において、重要物保管モードがタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を重要物保管モードで動作させる。
【0089】
ここで、モード選択の指示操作で釣銭受渡モードが選択された場合、貨幣処理装置11は、釣銭受渡モードとなり、保管スペース131へ空の釣銭準備金収納バッグ134を保管する、後述するバッグ返却処理と、保管スペース131から釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納バッグ134を取り出す、後述する釣銭準備金取出処理とが可能となる。
【0090】
他方、モード選択の指示操作で重要物保管モードが選択された場合、貨幣処理装置11は、重要物保管モードとなり、保管スペース131へ重要物を保管する、後述する重要物保管処理と、保管スペース131から重要物を取り出す、後述する重要物取出処理とが可能となる。
【0091】
なお、上記した
図6に示す「ID認証」画面301の装置状態表示部303、
図7に示す複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312及び
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323の「バッグ保管中」は、釣銭受渡モードにおいて表示されるものであり、重要物保管モードでは表示されることはない。
【0092】
[釣銭受渡モード]
「警備会社の担当者による売上金の回収処理」
釣銭受渡モードにおいて、使用者としての警備会社の回収担当者が回収処理(引出包含処理)を行う場合、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させた待機状態において表示操作部31にID情報の入力が行われると、制御部35は、このID情報が、記憶部36に記憶された、この貨幣処理装置11の使用が許可されたID情報に含まれる場合には、記憶部36に記憶された、このID情報に応じて許可された処理を選択させる、
図8に示すような「メインメニュー」画面321を表示入力部41に表示させる。
【0093】
ここで、上記したように、制御部35は、空の釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある場合、即ち貨幣処理装置11が空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスにある場合、その優先度が最も高ければ、「ID認証」画面301の装置状態表示部303と、「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323とに、空の釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「バッグ保管中」を表示させる。また、制御部35は、貨幣処理装置11が空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスにある場合、その優先度とは関係なく、「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304を指示操作後の複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312と、「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、空の釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「バッグ保管中」を表示させる。これらによって、回収担当者に空の釣銭準備金収納バッグ134があることを認識させることができる。
【0094】
回収担当者が回収処理を行う場合、
図8に示す「メインメニュー」画面321において処理選択表示部322のうち「回収/釣銭」指示操作部328がタッチ操作、即ち指示操作される。すると、制御部35は、釣銭受渡モードであることから、
図9に示すような「回収/釣銭」画面331を表示入力部41に表示させる。
【0095】
「回収/釣銭」画面331は、複数の処理の中から一つの処理を選択させる処理選択表示部332を有している。回収処理では、
図9に示す「回収/釣銭」画面331において処理選択表示部332のうち「回収」指示操作部333がタッチ操作、即ち指示操作される。ここで、「回収」指示操作部333の指示操作は、表示操作部31に入力されたID情報が回収処理が許可されたID情報である場合のみ可能となる。例えば、店舗側の入金処理のみが許可された担当者のID情報では、「回収」指示操作部333の指示操作を受け付けず、警備会社の回収処理が許可された回収担当者のID情報では、「回収」指示操作部333の指示操作を受け付ける。
【0096】
「回収/釣銭」画面331において、「回収」指示操作部333が指示操作されると、制御部35は、紙幣金庫141に収納されている紙幣の売上金の金額の表示と、硬貨金庫142に収納されている硬貨の売上金の金額の表示とを含む図示略のカセット回収最終指示画面を表示入力部41に表示させる。このカセット回収最終指示画面には、「取消」指示操作部と、「回収」指示操作部とが表示されており、これらのうちの「回収」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、
図10に示すような回収処理の注意喚起を含む「カセット回収」画面341を表示させる。それと共に、制御部35は、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、貨幣金庫部ロック機構112による貨幣金庫部101への装置本体21のロックを解除する。カセット回収最終指示画面において、「取消」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0097】
「カセット回収」画面341は、貨幣金庫部101の引き出しを促す旨の操作内容テキスト表示部342と、貨幣金庫部101の引き出し時の注意事項の内容を示す注意事項テキスト表示部343とを含むテキスト表示部344と、操作内容及び注意事項の内容をイラストで表示するイラスト表示部345とを有している。イラスト表示部345は、貨幣処理装置11の全体を示す装置イラスト表示部346を含んでいる。装置イラスト表示部346は、装置本体21を示す装置本体表示部347と、貨幣金庫部101を示す貨幣金庫部イラスト表示部348とを有している。「カセット回収」画面341では、貨幣金庫部イラスト表示部348を、装置本体表示部347とは異なる形態で強調表示する。例えば、装置本体表示部347を白抜きとし、貨幣金庫部イラスト表示部348を青塗りとする。また、「カセット回収」画面341は、イラスト表示部345のうちの装置イラスト表示部346の周囲を囲む周囲表示部349を、貨幣金庫部イラスト表示部348とは異なる形態で強調表示する。例えば、周囲表示部349を、黄色の点滅表示とする。なお、「カセット回収」画面341の、テキスト表示部344及びイラスト表示部345を除く部分を貨幣金庫部イラスト表示部348とは異なる形態(例えば黄色の点滅)で強調表示するようにしても良い。
【0098】
ここで、制御部35は、表示入力部41に「カセット回収」画面341を表示させると共に図示略の音声発生部により警告音を発生させた後、所定時間(例えば2.5秒~3秒)経過した後に、貨幣金庫部ロック機構112による貨幣金庫部101への装置本体21のロックを解除する。これにより、貨幣金庫部101が図示略の付勢部材により装置本体21から前方にわずかに飛び出すことになり、貨幣金庫部101は装置本体21から前方への引き出しが可能な状態になる。制御部35は、貨幣金庫部ロック機構112による貨幣金庫部101への装置本体21のロックを解除すると、図示略の音声発生部によるブザー音等の警告音を停止させる。
【0099】
以上のように、表示操作部31は、その表示入力部41が、
図9に示す「回収/釣銭」画面331において貨幣金庫部101の装置本体21からの引き出しを伴う回収処理を案内すると共に、「回収/釣銭」画面331及び図示略のカセット回収最終指示画面において、この回収処理の指示操作が入力される。表示操作部31の表示入力部41に、「回収/釣銭」画面331及び図示略のカセット回収最終指示画面において回収処理の指示操作が入力されると、制御部35は、表示入力部41に、
図10に示す「カセット回収」画面341で注意喚起を行わせると共に、貨幣金庫部101の押し込み状態でのロックを解除する。しかも、制御部35は、表示操作部31の表示入力部41に、「回収/釣銭」画面331及び図示略のカセット回収最終指示画面において回収処理の指示操作が入力されると、表示入力部41に、
図10に示す「カセット回収」画面341で注意喚起を行わせた後、所定時間経過後に、貨幣金庫部101の押し込み状態でのロックを解除する。
【0100】
「カセット回収」画面341の案内に従って、回収担当者は、手動で貨幣金庫部101の装置本体21から引き出して引き出し状態とする。そして、回収担当者は、売上金入りの紙幣金庫141をスライド体121の紙幣金庫装填スペース138から抜き取り、抜き取った売上金入りの紙幣金庫141と交換する空の紙幣金庫141を紙幣金庫装填スペース138に上部開口から装填する。すると、制御部35は、紙幣金庫141が取り外し状態になった後、装填状態になったことを紙幣金庫検知センサ152の検知結果で確認する。
【0101】
また、回収担当者は、売上金入りの硬貨金庫142をスライド体121の硬貨金庫装填スペース139から抜き取り、抜き取った売上金入りの硬貨金庫142と交換する空の硬貨金庫142を硬貨金庫装填スペース139に上部開口から装填する。すると、制御部35は、硬貨金庫142が取り外し状態になった後、装填状態になったことを硬貨金庫検知センサ156の検知結果で確認する。
【0102】
加えて、回収担当者は、引き出し状態のスライド体121の保管スペース131に保管されていた空の釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131から上部開口を介して取り出す。空の釣銭準備金収納バッグ134の保管スペース131からの取り出しは、スライド体121が装置本体21から引き出された引き出し状態にあれば、何時行っても良い。制御部35は、空の釣銭準備金収納バッグ134が取り出されたことを保管センサ135が検知すると、貨幣処理装置11の空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスを解除する。
【0103】
次に、回収担当者は、引き出し状態のスライド体121の保管スペース131に上部開口を介して持参した釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134を収納する。釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134の保管スペース131への収納は、スライド体121が装置本体21から引き出された引き出し状態にあって、空の釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131から取り出した後であれば、何時行っても良い。釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134には、棒金、束紙幣、バラ紙幣及びバラ硬貨のうちの少なくとも一つからなる釣銭準備金が収納されている。なお、釣銭準備金としては、棒金及び束紙幣の組み合わせが一般的である。制御部35は、釣銭準備金収納バッグ134が収納されたことを保管センサ135が検知することで、保管スペース131に釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134を保管していることを確認すると、貨幣処理装置11が、釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスであると判断する。
【0104】
回収担当者は、上記のように、売上金入りの紙幣金庫141を紙幣金庫装填スペース138から取り出し、空の紙幣金庫141を紙幣金庫装填スペース138に装填し、売上金入りの硬貨金庫142を硬貨金庫装填スペース139から取り出し、空の硬貨金庫142を硬貨金庫装填スペース139に装填し、空の釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131から取り出し、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131へ収納した後に、貨幣金庫部101を装置本体21内に押し込んで押し込み状態とする。すると、貨幣金庫部ロック機構112が、押し込み状態になった貨幣金庫部101を装置本体21にロックする。
【0105】
以上のようにして、警備会社の回収担当者は、貨幣処理装置11の売上金入りの紙幣金庫141及び売上金入りの硬貨金庫142を回収する。また、警備会社の回収担当者は、この回収と共に、空の釣銭準備金収納バッグ134を貨幣処理装置11の保管スペース131から回収し、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134を貨幣処理装置11の保管スペース131に収納する。
【0106】
制御部35は、上記したように、紙幣金庫141が取り外し状態になった後に装填状態になったことを紙幣金庫検知センサ152が検知し、硬貨金庫142が取り外し状態になった後に装填状態になったことを硬貨金庫検知センサ156が検知し、釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131からなくなった後、釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある状態になったことを保管センサ135が検知し、これらの後、貨幣金庫部101が押し込み状態になったことを、貨幣金庫部検知センサ113が検知すると、回収処理を終了する。
【0107】
制御部35は、回収処理を終了するに当たって、今回の回収処理に関連する、例えば、回収処理の処理通番と、貨幣処理装置11の識別情報と、回収処理で回収された売上金の売上日と、店舗の識別情報と、入力された回収担当者のID情報と、回収された売上金の金種別の内訳及び合計金額と、
図9に示す「回収/釣銭」画面331において処理選択表示部332のうち「回収」指示操作部333が指示操作された日時と、貨幣金庫部ロック機構112を駆動してロック解除状態にした日時と、貨幣金庫部検知センサ113が貨幣金庫部101の引き出し状態を検知した日時と、紙幣金庫検知センサ152が紙幣金庫装填スペース138からの紙幣金庫141の取り出しを検知した日時と、硬貨金庫検知センサ156が硬貨金庫装填スペース139からの硬貨金庫142の取り出しを検知した日時と、保管センサ135が保管スペース131からの釣銭準備金収納バッグ134の取り出しを検知した日時と、紙幣金庫検知センサ152が紙幣金庫装填スペース138への紙幣金庫141の装填を再び検知した日時と、硬貨金庫検知センサ156が硬貨金庫装填スペース139への硬貨金庫142の装填を再び検知した日時と、保管センサ135が保管スペース131への釣銭準備金収納バッグ134の収納を再び検知した日時と、貨幣金庫部検知センサ113が貨幣金庫部101の押し込み状態を再び検知した日時とを関連付けて、記憶部36に記憶する。
【0108】
また、制御部35は、回収処理を終了するに当たって、今回の回収処理に関連する、例えば、
図11に示すような伝票351をジャーナルプリンタ32で紙面に印字させて作成する。この伝票351には、回収を行った旨の「回収(機入貨幣)」テキスト352と、今回の回収処理の処理通番353と、貨幣処理装置11の識別情報354と、回収処理の実行日時355と、回収処理で回収された売上金の売上日356と、店舗の識別情報357と、入力された回収担当者のID情報358と、店舗の識別情報及び貨幣処理装置11の識別情報を含む二次元コード359と、回収された売上金のうち紙幣の金種別の内訳360と、回収された売上金のうち紙幣の合計金額361と、回収された売上金のうち硬貨の金種別の内訳362と、回収された売上金のうち硬貨の合計金額363と、回収された売上金のうち紙幣及び硬貨、即ち現金の合計金額364と、回収された売上金の合計金額365とが印字されている。ここで、回収処理の実行日時355は、例えば「回収」指示操作部333が指示操作された日時が設定される。回収担当者は、回収した何れも売上金入りの紙幣金庫141及び硬貨金庫142と共に、伝票351を管理センタに持ち帰る。
【0109】
また、制御部35は、回収処理を終了するに当たって、この回収処理において、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134の保管スペース131への収納を一旦検知しなくなった後、再び保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134の保管スペース131への収納を検知すると、今回の回収処理に関連する、例えば、
図12に示すような伝票371をジャーナルプリンタ32で紙面に印字させて作成する。この伝票371には、釣銭準備金の保管を行った旨の「釣銭保管」テキスト372と、今回の回収処理の処理通番373と、貨幣処理装置11の識別情報374と、回収処理の実行日時375と、店舗の識別情報376と、入力された回収担当者のID情報377と、釣銭準備金がある旨の「釣銭あり」テキスト378と、が印字されている。
【0110】
また、制御部35は、回収処理を終了するに当たって、この回収処理において、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134の保管スペース131への収納を一旦検知しなくなると、今回の回収処理に関連する、例えば、
図13に示すような伝票381をジャーナルプリンタ32で紙面に印字させて作成する。この伝票381には、バッグ取出を行った旨の「バッグ取出」テキスト382と、今回の回収処理の処理通番383と、貨幣処理装置11の識別情報384と、回収処理の実行日時385と、店舗の識別情報386と、入力された店舗担当者のID情報387と、空の釣銭準備金収納バッグ134がない旨の「バッグなし」テキスト388とが印字されている。
【0111】
回収処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。それと共に、制御部35は、貨幣処理装置11が釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスである場合、その優先度が最も高ければ、
図6に示す「ID認証」画面301の装置状態表示部303と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323とに、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「釣銭保管中」を表示させる。また、制御部35は、貨幣処理装置11が釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスである場合、その優先度とは関係なく、
図6に示す「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304を指示操作後の
図7に示す複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「釣銭保管中」を表示させる。これらによって、その後、何れの処理を行う場合においても、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にあることを使用者に認識させることができる。ここで、「釣銭保管中」の表示に関しては、「ID認証」画面301で、後述する釣銭準備金取出処理が許可されたID情報が認証された状態でのみ表示可能とし、入金処理のみが許可された担当者のID情報が認証された状態では表示されないようにして、釣銭保管中であることを無闇に表示せず、セキュリティを高めるようにしても良い。
【0112】
なお、制御部35は、回収処理において、貨幣金庫部101が引き出し状態になった後、押し込み状態になったことを、貨幣金庫部検知センサ113が検知すると、その時点を確認時点として、紙幣金庫141が装填状態にあることを紙幣金庫検知センサ152の検知結果で確認し、硬貨金庫142が装填状態にあることを硬貨金庫検知センサ156の検知結果で確認すると共に、釣銭準備金収納バッグ134が収納されていることを保管センサ135の検知結果で確認するようにしても良い。即ち、この場合、貨幣金庫部101が引き出し状態にあるときは、これらの確認を行わないようにすることになる。この場合、制御部35は、確認時点で、紙幣金庫141が装填状態にあることを紙幣金庫検知センサ152が検知すると、紙幣金庫装填スペース138から売上金入りの紙幣金庫141が取り出された後、空の紙幣金庫141が紙幣金庫装填スペース138にセットされたものとし、硬貨金庫142が装填状態にあることを硬貨金庫検知センサ156が検知すると、硬貨金庫装填スペース139から売上金入りの硬貨金庫142が取り出された後、空の硬貨金庫142が硬貨金庫装填スペース139にセットされたものとし、釣銭準備金収納バッグ134が収納されていることを保管センサ135が検知すると、保管スペース131から空の釣銭準備金収納バッグ134が取り出された後、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にセットされたものとし、貨幣処理装置11が、保管スペース131に釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134を保管している釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスであると判断する。
【0113】
「店舗の担当者による釣銭準備金取出処理」
使用者としての店舗担当者が、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134を保管庫144内の保管スペース131から取り出す釣銭準備金取出処理を行う場合、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させた待機状態において表示操作部31にID情報の入力が行われると、制御部35は、このID情報が、記憶部36に記憶された、この貨幣処理装置11の使用が許可されたID情報に含まれる場合には、記憶部36に記憶された、このID情報に応じて許可された処理を選択させる、
図8に示すような「メインメニュー」画面321を表示入力部41に表示させる。
【0114】
ここで、上記したように、制御部35は、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある場合、即ち貨幣処理装置11が釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスである場合、その優先度が最も高ければ、
図6に示す「ID認証」画面301の装置状態表示部303と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323とに、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「釣銭保管中」を表示させる。また、制御部35は、貨幣処理装置11が釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスである場合、その優先度とは関係なく、
図6に示す「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304を指示操作後の
図7に示す複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「釣銭保管中」を表示させる。これらによって、何れの処理を行う場合においても、保管スペース131に釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134があることを店舗担当者に認識させることができる。
【0115】
店舗担当者が釣銭準備金取出処理を行う場合、
図8に示す「メインメニュー」画面321において処理選択表示部322のうち「回収/釣銭」指示操作部328がタッチ操作、即ち指示操作される。すると、制御部35は、釣銭受渡モードであることから、
図9に示すような「回収/釣銭」画面331を表示入力部41に表示させる。
【0116】
すると、「回収/釣銭」画面331において、処理選択表示部332のうち「釣銭取出」指示操作部334がタッチ操作、即ち指示操作される。ここで、「釣銭取出」指示操作部334の指示操作は、貨幣処理装置11が釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスである場合のみ可能となる。また、「釣銭取出」指示操作部334の指示操作は、表示操作部31に入力されたID情報が釣銭準備金取出処理が許可されたID情報である場合のみ可能となる。例えば、店舗側の入金処理のみが許可された担当者のID情報や、警備会社の回収処理のみが許可された回収担当者のID情報では、「釣銭取出」指示操作部334の指示操作を受け付けず、例えば、店舗側の各種処理が許可された管理者のID情報では、「釣銭取出」指示操作部334の指示操作を受け付ける。
【0117】
「回収/釣銭」画面331において、「釣銭取出」指示操作部334が指示操作されると、制御部35は、釣銭取出を開始する旨の案内の表示を含む図示略の釣銭取出指示画面を表示入力部41に表示させる。この釣銭取出指示画面には、「取消」指示操作部と、「開始」指示操作部とが表示されており、これらのうちの「開始」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、釣銭準備金収納バッグ134の取り出しを案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の釣銭取出案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。すると、図示略の付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させて開状態にする。釣銭取出指示画面において、「取消」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0118】
保管庫扉145が開方向に若干揺動すると、店舗担当者は、保管庫扉145を更に開き、入出口132から保管スペース131に手を入れて保管スペース131にある釣銭準備金入りの釣銭準備金収納バッグ134を取り出す。これにより、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134が取り出されたことを検知する。すると、制御部35は、表示入力部41に、保管庫扉145を閉じることを案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の第2の釣銭取出案内画面を表示させる。これを見て、店舗担当者は、手動で保管庫扉145を閉じる。これにより、保管庫扉ロック機構146が保管庫扉145をスライド体121に対してロックする。保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知すると、制御部35は、図示略の音声発生部によるブザー音等の警告音を停止させると共に、保管スペース131の釣銭準備金収納バッグ134の残留を保管センサ135で検知させる。保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134を検知しなければ、釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスを解除すると共に、釣銭準備金取出処理を終了する。
【0119】
制御部35は、釣銭準備金取出処理を終了するに当たって、今回の釣銭準備金取出処理に関連する、例えば、釣銭準備金取出処理の処理通番と、貨幣処理装置11の識別情報と、店舗の識別情報と、入力された店舗担当者のID情報と、
図9に示す「回収/釣銭」画面331において処理選択表示部332のうち「釣銭取出」指示操作部334が指示操作された日時と、保管庫扉ロック機構146を駆動してロック解除状態にした日時と、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134がないことを検知した日時と、ロック解除状態の後に保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した日時とを関連付けて、記憶部36に記憶する。
【0120】
また、制御部35は、釣銭準備金取出処理を終了するに当たって、今回の釣銭準備金取出処理に関連する、例えば、
図14に示すような伝票391をジャーナルプリンタ32で紙面に印字させて作成する。この伝票391には、釣銭取出を行った旨の「釣銭取出」テキスト392と、今回の釣銭準備金取出処理の処理通番393と、貨幣処理装置11の識別情報394と、釣銭準備金取出処理の実行日時395と、店舗の識別情報396と、入力された店舗担当者のID情報397と、釣銭準備金がない旨の「釣銭なし」テキスト398とが印字されている。釣銭準備金取出処理の実行日時395は、例えば「釣銭取出」指示操作部334が指示操作された日時が設定される。このように、ジャーナルプリンタ32は、保管スペース131から釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納バッグ134を取り出す釣銭準備金取出処理の際に、釣銭準備金取出処理が行われた旨を用紙に印字して伝票391を作成する。
【0121】
釣銭準備金取出処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。この場合、制御部35は、貨幣処理装置11が釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスでなくなるため、「ID認証」画面301の装置状態表示部303と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323と、
図6に示す「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304を指示操作後の
図7に示す複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「釣銭保管中」及び「バッグ保管中」を表示させることはない。
【0122】
ここで、釣銭準備金取出処理において、保管庫扉ロック機構146によるロック解除後に、保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した時点で、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134を検知していると、制御部35は、表示入力部41に、釣銭準備金収納バッグ134の残留を案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の第2の釣銭取出指示画面を表示させる。この第2の釣銭取出指示画面には、「取消」指示操作部と、「開始」指示操作部とが表示されており、これらのうちの「開始」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、上記と同様、表示入力部41に、釣銭準備金収納バッグ134の取り出しを案内する釣銭取出案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。第2の釣銭取出指示画面において、「取消」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。この場合、制御部35は、貨幣処理装置11を釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスのままとする。
【0123】
以上の釣銭準備金取出処理において取り出された釣銭準備金収納バッグ134から、貨幣が取り出されて釣銭準備金として使用される。これにより、釣銭準備金収納バッグ134は空となる。
【0124】
「店舗の担当者によるバッグ返却処理」
使用者としての店舗担当者が、空の釣銭準備金収納バッグ134を保管庫144内の保管スペース131に収納するバッグ返却処理(収納体返却処理)を行う場合、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させた待機状態において表示操作部31にID情報の入力が行われると、制御部35は、このID情報が、記憶部36に記憶された、この貨幣処理装置11の使用が許可されたID情報に含まれる場合には、記憶部36に記憶された、このID情報に応じて許可された処理を選択させる、
図8に示すような「メインメニュー」画面321を表示入力部41に表示させる。
【0125】
店舗担当者がバッグ返却処理を行う場合、
図8に示す「メインメニュー」画面321において処理選択表示部322のうち「回収/釣銭」指示操作部328がタッチ操作、即ち指示操作される。すると、制御部35は、釣銭受渡モードであることから、
図9に示すような「回収/釣銭」画面331を表示入力部41に表示させる。
【0126】
この「回収/釣銭」画面331において、処理選択表示部332のうち「バッグ返却」指示操作部335がタッチ操作、即ち指示操作される。ここで、「バッグ返却」指示操作部335の指示操作は、貨幣処理装置11が空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスではなく且つ釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスでない場合、即ち保管スペース131に釣銭準備金収納バッグ134がない場合のみ可能となる。また、「バッグ返却」指示操作部335の指示操作は、表示操作部31に入力されたID情報がバッグ返却処理が許可されたID情報である場合のみ可能となる。例えば、回収処理のみが許可された警備会社の回収担当者のID情報では、「バッグ返却」指示操作部335の指示操作を受け付けない。
【0127】
「回収/釣銭」画面331において、「バッグ返却」指示操作部335がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、バッグ返却を開始する旨の案内の表示を含む図示略のバッグ返却指示画面を表示入力部41に表示させる。このバッグ返却指示画面には、「取消」指示操作部と、「開始」指示操作部とが表示されており、これらのうちの「開始」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、釣銭準備金収納バッグ134の返却を案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略のバッグ返却案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。すると、図示略の付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させて開状態にする。バッグ返却指示画面において、「取消」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0128】
保管庫扉145が開方向に若干揺動すると、店舗担当者は、保管庫扉145を更に開き、空の釣銭準備金収納バッグ134を入出口132から保管スペース131に挿入する。これにより、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134が返却されたことを検知する。すると、制御部35は、表示入力部41に、保管庫扉145を閉じることを案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の第2のバッグ返却案内画面を表示させる。これを見て、店舗担当者は、手動で保管庫扉145を閉じる。これにより、保管庫扉ロック機構146が保管庫扉145をスライド体121にロックする。保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知すると、制御部35は、図示略の音声発生部によるブザー音等の警告音を停止させると共に、保管スペース131の釣銭準備金収納バッグ134の残留を保管センサ135で検知させる。保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134を検知すれば、貨幣処理装置11を、空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスにすると共に、バッグ返却処理を終了する。
【0129】
制御部35は、バッグ返却処理を終了するに当たって、今回のバッグ返却処理に関連する、例えば、バッグ返却処理の処理通番と、貨幣処理装置11の識別情報と、店舗の識別情報と、入力された店舗担当者のID情報と、
図9に示す「回収/釣銭」画面331において処理選択表示部332のうち「バッグ返却」指示操作部335が指示操作された日時と、保管庫扉ロック機構146を駆動してロック解除状態にした日時と、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134があることを検知した日時と、ロック解除状態の後に保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した日時とを関連付けて、記憶部36に記憶する。
【0130】
また、制御部35は、バッグ返却処理を終了するに当たって、今回のバッグ返却処理に関連する、例えば、
図15に示すような伝票401をジャーナルプリンタ32で紙面に印字させて作成する。この伝票401には、バッグ返却を行った旨の「バッグ返却」のテキスト402と、今回のバッグ返却処理の処理通番403と、貨幣処理装置11の識別情報404と、バッグ返却処理の実行日時405と、店舗の識別情報406と、入力された店舗担当者のID情報407と、空の釣銭準備金収納バッグ134がある旨の「バッグあり」テキスト408とが印字されている。バッグ返却処理の実行日時405は、例えば「バッグ返却」指示操作部335が指示操作された日時が設定される。このように、ジャーナルプリンタ32は、保管スペース131へ空の釣銭準備金収納バッグ134を保管するバッグ返却処理の際に、バッグ返却処理が行われた旨を用紙に印字して伝票401を作成する。
【0131】
バッグ返却処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。この場合、貨幣処理装置11が、空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスになるため、制御部35は、その優先度が最も高ければ、
図6に示す「ID認証」画面301の装置状態表示部303と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323とに、空の釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「バッグ保管中」を表示させる。また、制御部35は、貨幣処理装置11が釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスである場合、その優先度とは関係なく、
図6に示す「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304を指示操作後の
図7に示す複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、空の釣銭準備金収納バッグ134が保管スペース131にある旨の「バッグ保管中」を表示させる。これらによって、保管スペース131に空の釣銭準備金収納バッグ134があることを警備会社の回収担当者に認識させることができる。
【0132】
ここで、バッグ返却処理において、保管庫扉ロック機構146によるロック解除後に、保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した時点で、保管センサ135が釣銭準備金収納バッグ134を検知していないと、制御部35は、表示入力部41に、釣銭準備金収納バッグ134が保管されていないことを案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の第2のバッグ返却指示画面を表示させる。この第2のバッグ返却指示画面には、「取消」指示操作部と、「開始」指示操作部とが表示されており、これらのうちの「開始」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、上記と同様、表示入力部41に、釣銭準備金収納バッグ134の取り出しを案内するバッグ返却案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。第2のバッグ返却指示画面において、「取消」指示操作部がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。この場合、制御部35は、貨幣処理装置11が釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスでなく、空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータスでもないままとする。
【0133】
以上のように、表示操作部31は、その表示入力部41に、空の釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131に保管するバッグ返却処理を案内すると共にバッグ返却処理の指示操作が入力される。制御部35は、表示操作部31の表示入力部41にバッグ返却処理の指示操作が入力されると保管庫扉145の閉状態でのロックを解除する。
【0134】
[重要物保管モード]
上記したモード選択の指示操作で重要物保管モードが選択されると、貨幣処理装置11は重要物保管モードとなる。この重要物保管モードでは、スライド体121に図示略の蓋体を取り付けて、保管スペース131の上部開口を蓋体で閉塞する。この重要物保管モードでは、釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131に保管することはない運用となる。重要物保管モードにおいて、保管スペース131の上部開口を蓋体で閉塞しなくても良い。
【0135】
「警備会社又は店舗の回収担当者による売上金の回収処理」
重要物保管モードでの回収処理は、釣銭受渡モードでの回収処理とほぼ同様である。但し、重要物保管モードでの回収処理では、貨幣処理装置11が空状態釣銭準備金収納バッグ保管ステータス及び釣銭準備金入り釣銭準備金収納バッグ保管ステータスになることはないため、
図6に示す「ID認証」画面301の装置状態表示部303と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323と、
図6に示す「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304を指示操作後の
図7に示す複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、「バッグ保管中」及び「釣銭保管中」を表示させることはない。
【0136】
重要物保管モードでの回収処理においても、釣銭受渡モードでの回収処理と同様の手順で処理を進めて貨幣金庫部101を装置本体21から引き出して引き出し状態とする。そして、回収担当者は、釣銭受渡モードでの回収処理と同様に、売上金入りの紙幣金庫141をスライド体121の紙幣金庫装填スペース138から抜き取り、抜き取った売上金入りの紙幣金庫141と交換する空の紙幣金庫141をスライド体121の紙幣金庫装填スペース138に上部開口から装填する。すると、制御部35は、紙幣金庫141が取り出された後、装填状態になったことを紙幣金庫検知センサ152の検知結果で確認する。
【0137】
また、回収担当者は、硬貨金庫142をスライド体121の硬貨金庫装填スペース139から抜き取り、抜き取った売上金入りの硬貨金庫142と交換する空の硬貨金庫142をスライド体121の硬貨金庫装填スペース139に上部開口から装填する。すると、制御部35は、硬貨金庫142が取り出された後、装填状態になったことを硬貨金庫検知センサ156の検知結果で確認する。
【0138】
回収担当者は、上記のように、売上金入りの紙幣金庫141を紙幣金庫装填スペース138から抜き取り、空の紙幣金庫141を紙幣金庫装填スペース138に装填し、硬貨金庫142を硬貨金庫装填スペース139から抜き取り、空の硬貨金庫142を硬貨金庫装填スペース139に装填した後に貨幣金庫部101を装置本体21内に押し込んで押し込み状態とする。すると、貨幣金庫部ロック機構112が、押し込み状態になった貨幣金庫部101を装置本体21にロックする。制御部35は、貨幣金庫部101が押し込み状態になったことを、貨幣金庫部検知センサ113の検知結果で確認する。
【0139】
以上のようにして、警備会社又は店舗の回収担当者は、貨幣処理装置11の売上金入りの紙幣金庫141及び売上金入りの硬貨金庫142を回収する。制御部35は、回収処理を終了するに当たって、釣銭受渡モードでの回収処理とほぼ同様に、情報の記憶部36への記憶と、ジャーナルプリンタ32での伝票351の印字とを行う。回収処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0140】
重要物保管モードでの回収処理では、保管スペース131の上部開口を蓋体で閉塞しているため、貨幣金庫部101を装置本体21が引き出した状態でも、警備会社の回収担当者が保管スペース131にアクセスすることは規制される。
【0141】
「店舗の担当者による重要物保管処理と重要物取出処理とを合わせた重要物入出処理」
使用者としての店舗担当者が、重要物の保管スペース131に対する重要物の出し入れを行う重要物入出処理を行う場合、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させた待機状態において表示操作部31にID情報の入力が行われると、制御部35は、このID情報が、記憶部36に記憶された、この貨幣処理装置11の使用が許可されたID情報に含まれる場合には、記憶部36に記憶された、このID情報に応じて許可された処理を選択させる、
図8に示すような「メインメニュー」画面321を表示入力部41に表示させる。
【0142】
店舗担当者が重要物入出処理を行う場合、
図8に示す「メインメニュー」画面321において処理選択表示部322のうち「回収/釣銭」指示操作部328がタッチ操作、即ち指示操作される。すると、制御部35は、重要物保管モードであることから、
図16に示すような「回収/保管」画面411を表示入力部41に表示させる。
【0143】
「回収/保管」画面411は、複数の処理の中から一つの処理を選択させる処理選択表示部412を有している。「回収/保管」画面411において処理選択表示部412のうち「保管庫扉オープン」指示操作部413がタッチ操作、即ち指示操作される。ここで、「保管庫扉オープン」指示操作部413は、表示操作部31に入力されたID情報が重要物入出処理が許可されたID情報である場合のみ可能となる。例えば、店舗側の入金処理のみが許可された担当者のID情報や、警備会社の回収処理のみが許可された回収担当者のID情報では、「保管庫扉オープン」指示操作部413の指示操作を受け付けず、例えば、店舗側の各種処理が許可された管理者のID情報では、「保管庫扉オープン」指示操作部413の指示操作を受け付ける。
【0144】
「回収/保管」画面411において、「保管庫扉オープン」指示操作部413が指示操作されると、制御部35は、
図17に示すような、保管庫扉145を開く旨の表示を含む「保管」画面421を表示入力部41に表示させる。この「保管」画面421には、「取消」指示操作部422と、「開始」指示操作部423と、「開閉履歴」指示操作部424とが表示されており、これらのうちの「開始」指示操作部423がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、重要物の出し入れを案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の重要物入出案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。すると、図示略の付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させて開状態にする。「保管」画面421において、「取消」指示操作部422がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0145】
保管庫扉145が開方向に若干揺動すると、店舗担当者は、保管庫扉145を更に開き、入出口132を介して保管スペース131から重要物を抜き取ったり、保管スペース131に重要物をセットしたり、これらの両方を行ったりする。その後、店舗担当者は、手動で保管庫扉145を閉じる。これにより、保管庫扉ロック機構146が保管庫扉145をスライド体121に対してロックする。保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知すると、制御部35は、図示略の音声発生部によるブザー音等の警告音を停止させて、重要物入出処理を終了する。
【0146】
制御部35は、重要物入出処理を終了するに当たって、今回の重要物入出処理に関連する、例えば、入力された店舗担当者のID情報と、
図16に示す「回収/保管」画面411において「保管庫扉オープン」指示操作部413が指示操作された日時と、保管庫扉ロック機構146を駆動してロック解除状態にした日時と、ロック解除状態の後に保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した日時とを関連付けて、記憶部36に記憶する。
【0147】
重要物入出処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0148】
図17に示す「保管」画面421において、「開閉履歴」指示操作部424がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、保管庫扉145の各開及び各閉のそれぞれに対する履歴である、
図18に示すような「保管庫開閉履歴」画面431を表示入力部41に表示させる。この「保管庫開閉履歴」画面431の例では、保管庫扉145の一の閉操作に関連した、処理日時、店舗担当者のID情報及び「閉」操作である旨を上段に表示させ、保管庫扉145の一の開操作に関連した、処理日時、店舗担当者のID情報及び「開」操作である旨を下段に表示させている。
【0149】
このように、表示操作部31は、その表示入力部41が、保管スペース131の開閉履歴を表示する。
【0150】
なお、保管スペース131に重要物があれば、制御部35は、その優先度が最も高ければ、
図6に示す「ID認証」画面301の装置状態表示部303と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323とに、重要物が保管スペース131にある旨の「重要物保管中」を表示させるようにしても良い。また、その場合、制御部35は、その優先度とは関係なく、
図6に示す「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304を指示操作後の
図7に示す複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、重要物が保管スペース131にある旨の「重要物保管中」を表示させるようにしても良い。また、保管スペース131に重要物がない場合に、制御部35は、これらの「重要物保管中」を表示させないようにするようにしても良い。これらによって、保管スペース131に重要物があることを店舗担当者に認識させることができる。更に、「重要物保管中」の表示に関しては、「ID認証」画面301で、重要物入出処理が許可されたID情報が認証された状態でのみ表示可能とし、入金処理のみが許可された担当者のID情報が認証された状態では表示されないようにして、重要物保管中であることを無闇に表示せず、セキュリティを高めるようにしても良い。
【0151】
以上に述べた貨幣処理装置11によれば、釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納バッグ134を保管可能な保管スペース131に、釣銭準備金が取り出された状態の空の釣銭準備金収納バッグを保管可能である。よって、店舗側で空の釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131に保管しておくことができ、これにより、警備会社の担当者が、例えば貨幣処理装置11から売上金を回収する際に、保管スペース131から、空の釣銭準備金収納バッグ134を取り出すことができる。したがって、店舗側の人間が立ち会わずに、店舗側から警備会社側に空の釣銭準備金収納バッグ134を受け渡すことができ、店舗側の空の釣銭準備金収納バッグ134を返却する担当者及び警備会社側の空の釣銭準備金収納バッグ134を回収する担当者双方の業務効率の改善を図ることができる。
【0152】
また、表示操作部31が空の釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131に保管するバッグ返却処理を案内し、これにより、表示操作部31にバッグ返却処理の指示操作が入力されると、制御部35が、保管スペース131の前側にある保管庫扉145の閉状態でのロックを解除する。これにより、店舗担当者は、保管庫扉145を開けて、空の釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131に保管することができる。したがって、空の釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131に保管する作業が容易且つ円滑にでき、店舗側の空の釣銭準備金収納バッグ134を返却する担当者の更なる業務効率の改善を図ることができる。
【0153】
また、表示操作部31が、保管スペース131に対し釣銭準備金収納バッグ134を入出する釣銭受渡モードと、保管スペース131に対し釣銭準備金収納バッグ134以外の重要物を入出する重要物保管モードとのうちの一方を選択するモード選択を案内し、これにより、表示操作部31に当該モード選択の指示操作が入力される。よって、保管スペース131を、釣銭準備金収納バッグ134の保管用としたり、重要物の保管用としたりすることができ、保管スペース131の使用の自由度が上がる。
【0154】
また、モード選択の指示操作で釣銭受渡モードが選択された場合、保管スペース131へ空の釣銭準備金収納バッグ134を保管する収納バッグ返却処理と、保管スペース131から釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納バッグ134を取り出す釣銭準備金取出処理とが可能となる。このため、釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納バッグ134及び空の釣銭準備金収納バッグ134の保管が可能となる。
【0155】
また、モード選択の指示操作で重要物保管モードが選択された場合、保管スペース131へ重要物を保管する重要物保管処理と、保管スペース131から重要物を取り出す重要物取出処理とが可能となる。このため、重要物の保管が可能となる。
【0156】
また、保管スペース131に空の釣銭準備金収納バッグ134を保管している場合、表示操作部31は、使用者のID情報の入力を案内する
図6に示す「ID認証」画面301に、保管スペース131に空の釣銭準備金収納バッグ134を保管している空状態釣銭準備金収納体保管ステータスである旨を表示させる。このため、使用者に、空状態釣銭準備金収納体保管ステータスである旨を容易に認識させることができる。
【0157】
また、貨幣処理装置11のステータスが複数ある場合、表示操作部31は、「ID認証」画面301を表示させた待機状態で一覧表示操作が入力されると、複数のステータスを一覧表示する。これにより、使用者に、複数のステータスを容易に認識させることができる。
【0158】
また、表示操作部31が、貨幣金庫部101の装置本体21からの引き出しを伴う回収処理を案内し、これにより、表示操作部31に、回収処理の指示操作が入力されると、制御部35が、表示操作部31に注意喚起を行わせると共に、貨幣金庫部101の押し込み状態でのロックを解除する。よって、使用者に注意喚起を行うことができる。
【0159】
また、制御部35は、表示操作部31に回収処理の指示操作が入力されると、表示操作部31に注意喚起を行わせた後、所定時間経過後に、貨幣金庫部101の押し込み状態でのロックを解除する。よって、使用者に確実に注意喚起を行うことができる。
【0160】
また、保管スペース131へ空の釣銭準備金収納バッグ134を保管する収納バッグ返却処理の際に、収納バッグ返却処理が行われた旨をジャーナルプリンタ32で用紙に印字する。これにより、保管スペース131に空の釣銭準備金収納バッグ134が保管されたことを書面に残すことができる。加えて、保管スペース131から釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納バッグ134を取り出す釣銭準備金取出処理の際に、釣銭準備金取出処理が行われた旨をジャーナルプリンタ32で用紙に印字する。これにより、保管スペース131から釣銭準備金を収納している釣銭準備金収納バッグ134が取り出されたことを書面に残すことができる。これにより、釣銭準備金収納バッグ134の出し入れの管理が容易となる。
【0161】
また、表示操作部31に、保管スペース131の開閉履歴を表示させることができるため、保管スペース131の開閉の管理が容易となる。
【0162】
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態の貨幣処理装置を主に
図19および
図20を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0163】
第2実施形態においては、
図3に示す保管スペース131の重要物の有無を検知する重量センサ等の図示略の保管有無検知センサを有している。そして、第2実施形態においては、重要物保管モードでの動作が、第1実施形態とは一部相違している。
【0164】
[重要物保管モード]
第1実施形態と同様、
図3に示す表示入力部41に、
図6に示すような「ID認証」画面301を表示させた状態で、ID情報が入力され、このID情報が、記憶部36に記憶された、この貨幣処理装置11の使用が許可されたID情報に含まれる場合には、制御部35は、記憶部36に記憶された、このID情報に応じて許可された処理を選択させる
図8に示すような「メインメニュー」画面321を表示入力部41に表示させる。
【0165】
「メインメニュー」画面321において「その他」指示操作部327が指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に各種設定画面を表示させる。この各種設定画面において、保管モード設定処理がタッチ操作、即ち指示操作される。すると、制御部35は、保管モード設定処理として釣銭受渡モードと重要物保管モードとのうちの一方を選択するモード選択を案内すると共に、当該モード選択の指示操作を待機するモード選択画面を表示させる。このモード選択画面において、重要物保管モードがタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を重要物保管モードで動作させる。
【0166】
モード選択の指示操作で重要物保管モードが選択された場合、貨幣処理装置11は、重要物保管モードとなり、
図3に示す保管スペース131へ重要物を保管する重要物保管処理と、保管スペース131から重要物を取り出す重要物取出処理とが可能となる。重要物保管モードでは、スライド体121に図示略の蓋体を取り付けて、保管スペース131の上部開口を蓋体で閉塞し、釣銭準備金収納バッグ134を保管スペース131に保管することがない運用となる。重要物保管モードにおいて、保管スペース131の上部開口を蓋体で閉塞しなくても良い。
【0167】
重要物保管モードでは、
図6に示す「ID認証」画面301の装置状態表示部303と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323と、
図6に示す「ID認証」画面301の複数情報表示指示操作部304を指示操作後の
図7に示す複数情報表示画面311の装置状態複数表示部312と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、「バッグ保管中」及び「釣銭保管中」を表示させることはない。
【0168】
「店舗の担当者による重要物保管処理および重要物取出処理」
重要物保管モードにおいて、使用者としての店舗担当者が、重要物の保管スペース131に対して、重要物を保管する重要物保管処理或いは重要物の取り出しを行う重要物取出処理を行う場合、表示入力部41に
図6に示すような「ID認証」画面301を表示させた待機状態において表示操作部31に第1実施形態と同様にしてID情報の入力が行われる。すると、制御部35は、このID情報が、記憶部36に記憶された、この貨幣処理装置11の使用が許可されたID情報に含まれる場合には、記憶部36に記憶された、このID情報に応じて許可された処理を選択させる、
図8に示すような「メインメニュー」画面321を表示入力部41に表示させる。
【0169】
店舗担当者が重要物保管処理或いは重要物取出処理を行う場合、この「メインメニュー」画面において処理選択表示部322のうち「回収/釣銭」指示操作部328がタッチ操作、即ち指示操作される。すると、制御部35は、重要物保管モードであることから、
図16に示すような「回収/保管」画面411を表示入力部41に表示させる。ここで、制御部35は、図示略の保管有無検知センサによって、保管スペース131に重要物がないことが検知されれば、今回の処理は重要物保管処理であると判断し、保管スペース131に重要物があることが検知されれば、今回の処理は重要物取出処理であると判断する。
【0170】
「回収/保管」画面411は、複数の処理の中から一つの処理を選択させる処理選択表示部412を有している。店舗担当者が重要物保管処理或いは重要物取出処理を行う場合、「回収/保管」画面411において処理選択表示部412のうち「保管庫扉オープン」指示操作部413がタッチ操作、即ち指示操作される。ここで、制御部35は、今回の処理が重要物保管処理であると判断した場合、「保管庫扉オープン」指示操作部413については、「ID認証」画面301を表示させた待機状態において表示操作部31に入力されたID情報が、重要物保管処理が許可されたID情報である場合のみ指示操作可能とする。また、制御部35は、今回の処理が重要物取出処理であると判断している場合、「保管庫扉オープン」指示操作部413については、「ID認証」画面301を表示させた待機状態において表示操作部31に入力されたID情報が、重要物取出処理が許可されたID情報である場合のみ指示操作可能とする。
【0171】
{重要物保管処理}
【0172】
今回の処理が重要物保管処理であると判断した状態で、「回収/保管」画面411において、「保管庫扉オープン」指示操作部413が指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、
図19に示すような「重要物保管開始」画面501を表示させる。制御部35は、「重要物保管開始」画面501には、入力操作説明表示部502と、「ID番号入力」指示操作部503と、
図17に示す「保管」画面421と同様の、「取消」指示操作部422、「開始」指示操作部423および「開閉履歴」指示操作部424とを表示させる。
【0173】
入力操作説明表示部502は、今回保管する重要物を取り出せるID情報であるID番号を指定しない場合は、「開始」指示操作部423の指示操作を促し、取り出せるID番号を指定する場合は、「ID番号入力」指示操作部503の指示操作を促す表示を表示する。そして、「重要物保管開始」画面501において、「ID番号入力」指示操作部503がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、「重要物保管開始」画面501のポップアップ画面として、
図20に示す「ID指定」画面511を表示させる。
【0174】
「ID指定」画面511は、入力されたID番号を表示する入力ID表示部512と、ID番号を構成する数字が順に入力されるテンキー表示部513と、入力ID表示部512の数字のカーソル位置を変更する操作が入力されるカーソル位置変更キー表示部514と、カーソル位置の数字を消去する操作が入力される消去キー表示部515と、入力されたID番号の確定操作が入力されるリターンキー表示部516と、ポップアップ画面としての「ID指定」画面511を閉じる操作が入力されるポップアップ閉表示部517とを有している。
【0175】
「ID指定」画面511において、テンキー表示部513、カーソル位置変更キー表示部514および消去キー表示部515が適宜操作されID番号が入力されて、リターンキー表示部516に確定操作が入力されると、制御部35は、表示入力部41に、重要物の保管を案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の重要物保管案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。すると、図示略の付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させて開状態にする。
【0176】
他方、
図19に示す「重要物保管開始」画面501において、「ID番号入力」指示操作部503が指示操作されなかった場合と、
図20に示す「ID指定」画面511において、ポップアップ閉表示部517が指示操作された場合と、において、
図19に示す「開始」指示操作部423がタッチ操作、すなわち指示操作されると、制御部35は、表示入力部41に、重要物の保管を案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の重要物保管案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。すると、図示略の付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させて開状態にする。
【0177】
なお、「重要物保管開始」画面501において、「取消」指示操作部422がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0178】
保管庫扉145が開方向に若干揺動すると、店舗担当者は、保管庫扉145を更に開き、入出口132を介して保管スペース131に重要物をセットする。その後、店舗担当者は、手動で保管庫扉145を閉じる。これにより、保管庫扉ロック機構146が保管庫扉145をスライド体121に対してロックする。保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知すると共に、図示略の保管有無検知センサが、保管スペース131に重要物があることを検知すると、制御部35は、図示略の音声発生部によるブザー音等の警告音を停止させて、重要物保管処理を終了する。
【0179】
なお、保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した状態で、図示略の保管有無検知センサが、保管スペース131に重要物があることを検知しなければ、制御部35は、表示入力部41に、保管スペース131への重要物の保管忘れが発生した旨のアラーム表示を表示させる。この状態では、表示入力部41への操作入力で、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを再び解除することが可能となる。保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知すると共に図示略の保管有無検知センサが保管スペース131に重要物があることを検知する状態になるか、或いは、保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した状態で表示入力部41に重要物保管処理の取り消し操作が入力されるまで、制御部35は、以上を繰り返す。表示入力部41に重要物保管処理の取り消し操作が入力されると、制御部35は、表示入力部41を、「回収/保管」画面411を表示させる状態に戻す。
【0180】
制御部35は、重要物保管処理を終了するに当たって、今回の重要物保管処理に関連する、例えば、「ID認証」画面301を表示させた状態において入力された店舗担当者のID情報と、
図16に示す「回収/保管」画面411において「保管庫扉オープン」指示操作部413が指示操作された日時と、保管庫扉ロック機構146を駆動してロック解除状態にした日時と、ロック解除状態の後に保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した日時とを関連付けると共に、「ID指定」画面511においてID情報としてのID番号が入力されて確定操作が入力された場合には、そのID番号を、取出許可ID情報としての取出許可ID番号として、更に関連付けて、記憶部36に記憶する。
【0181】
重要物保管処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示すような「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0182】
{重要物取出処理}
今回の処理が重要物取出処理であると判断した状態で、「回収/保管」画面411において、「保管庫扉オープン」指示操作部413が指示操作されると、制御部35は、記憶部36の記憶情報から、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して取出許可ID番号が設定されている場合、この取出許可ID番号と、今回の重要物取出処理において、「ID認証」画面301を表示させた状態で入力されたID情報との一致および不一致を判断する。
【0183】
現在保管スペース131に保管されている重要物に対して設定されている取出許可ID番号と、今回の重要物取出処理において「ID認証」画面301を表示させた状態で入力されたID情報とが一致する場合、制御部35は、表示入力部41に、
図17に示す「保管」画面421を表示させる。この「保管」画面421において、「開始」指示操作部423がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、重要物の取り出しを案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の重要物取出案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。すると、図示略の付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させて開状態にする。即ち、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して設定されている取出許可ID番号と、今回の重要物取出処理において「ID認証」画面301を表示させた状態で入力されたID情報とが一致する場合、制御部35は、保管庫扉145の開時においてはID認証操作を不要とする。
【0184】
他方、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して設定されている取出許可ID番号と、今回の重要物取出処理において「ID認証」画面301を表示させた状態で入力されたID情報とが不一致の場合、制御部35は、表示入力部41に、
図20に示す「ID指定」画面511をポップアップ画面として表示させる。この「ID指定」画面511において、ID番号が入力されると、この入力されたID番号と、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して設定されて記憶部36に記憶されている取出許可ID番号との一致および不一致を判断する。即ち、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して設定されている取出許可ID番号と、今回の重要物取出処理において「ID認証」画面301を表示させた状態で入力されたID情報とが一致しない場合、制御部35は、保管庫扉145の開時においてID認証操作を必要とする。
【0185】
「ID指定」画面511において入力されたID情報であるID番号と、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して設定されている取出許可ID番号とが一致する場合、制御部35は、表示入力部41に、重要物の取り出しを案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の重要物取出案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。すると、図示略の付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させて開状態にする。
【0186】
「ID指定」画面511において入力されたID番号と、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して設定されている取出許可ID番号とが一致しない場合、制御部35は、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除することなく、表示入力部41に、入力されたID番号が間違っている旨のアラーム表示を表示すると共に、再入力の有無の指示操作を受け付ける再入力受付画面を表示させる。この再入力受付画面において、再入力ありの指示操作が入力されると、制御部35は、「ID指定」画面511を再度表示入力部41に表示させる。再入力受付画面において、再入力なしの指示操作が入力された場合と、再入力が所定の複数回繰り返されても、入力されたID番号と取出許可ID番号とが一致しない場合とについては、制御部35は、表示入力部41を、「回収/保管」画面411を表示させる状態に戻す。
【0187】
今回の処理が重要物取出処理であると判断した状態で、「回収/保管」画面411において、「保管庫扉オープン」指示操作部413が指示操作されると、制御部35は、記憶部36の記憶情報から、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して取出許可ID番号が設定されていない場合、表示入力部41に、
図17に示す「保管」画面421を表示させる。この「保管」画面421において、「開始」指示操作部423がタッチ操作、即ち指示操作されると、制御部35は、重要物の取り出しを案内するテキスト表示及びイラスト表示を含む図示略の重要物取出案内画面を表示させ、図示略の音声発生部によりブザー音等の警告音を発生させると共に、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを解除する。すると、図示略の付勢部材がスライド体121に対し保管庫扉145を開方向に若干揺動させて開状態にする。即ち、現在保管スペース131に保管されている重要物に対して取出許可ID番号が設定されていなければ、当然、保管庫扉145の開時においてはID認証操作が不要となる。
【0188】
保管庫扉145が開方向に若干揺動すると、店舗担当者は、保管庫扉145を更に開き、入出口132を介して保管スペース131から重要物を取り出す。その後、店舗担当者は、手動で保管庫扉145を閉じる。これにより、保管庫扉ロック機構146が保管庫扉145をスライド体121に対してロックする。保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知すると共に、図示略の保管有無検知センサが、保管スペース131に重要物がないことを検知すると、制御部35は、図示略の音声発生部によるブザー音等の警告音を停止させて、重要物保管処理を終了する。
【0189】
なお、保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した状態で、図示略の保管有無検知センサが、保管スペース131に重要物があることを検知すると、制御部35は、表示入力部41に、保管スペース131に重要物の取り出し忘れがある旨のアラーム表示を表示させる。この状態では、表示入力部41への操作入力で、保管庫扉ロック機構146による保管庫扉145へのスライド体121のロックを再び解除することが可能となる。保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知すると共に図示略の保管有無検知センサが保管スペース131に重要物がないことを検知する状態になるか、或いは、保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した状態で表示入力部41に重要物取出処理の取り消し操作が入力されるまで、制御部35は、以上を繰り返す。表示入力部41に重要物取出処理の取り消し操作が入力されると、制御部35は、表示入力部41を、「回収/保管」画面411を表示させる状態に戻す。
【0190】
制御部35は、重要物取出処理を終了するに当たって、今回の重要物保管処理に関連する、例えば、「ID認証」画面301を表示させた状態において入力された店舗担当者のID情報と、
図16に示す「回収/保管」画面411において「保管庫扉オープン」指示操作部413が指示操作された日時と、保管庫扉ロック機構146を駆動してロック解除状態にした日時と、ロック解除状態の後に保管庫扉145が閉状態になったことを保管庫扉検知センサ147が検知した日時とを関連付けると共に、「ID指定」画面511においてID番号が入力されて確定操作が入力された場合には、そのID番号である取出許可ID番号を、更に関連付けて、記憶部36に記憶する。
【0191】
重要物取出処理を終了すると、制御部35は、貨幣処理装置11を、表示入力部41に
図6に示す「ID認証」画面301を表示させる待機状態に戻す。
【0192】
ここで、重要物保管モードにおいては、「ID認証」画面301を表示させた待機状態において表示操作部31にID情報の入力が行われ、このID情報としてのID番号が、記憶部36に記憶された取出許可ID番号と一致する場合、制御部35は、
図8に示す「メインメニュー」画面321の装置状態表示部323と、
図8に示す「メインメニュー」画面321の複数情報表示指示操作部324を指示操作後の図示略の複数情報表示画面の装置状態複数表示部とに、「重要物保管中」を表示させる。これにより、貨幣処理装置11を使用する使用者に対して、保管した重要物があることを報知することができる。
【0193】
以上に述べた第2実施形態によれば、重要物保管処理において、保管スペース131に重要物を保管する際に、その取り出しを許可する取出許可ID番号を設定したり、設定しなかったりできる。重要物保管処理において、取り出しを許可する取出許可ID番号を設定すれば、重要物取出処理において、対応する重要物保管処理にて設定された取出許可ID番号と同じID番号が入力された場合にのみ、保管庫扉145を開いて重要物の取り出しが可能となる。また、重要物保管処理において、取出許可ID番号が設定されなければ、重要物取出処理において、入力されたID情報が、第1実施形態と同様の重要物入出処理が許可されたID情報である場合に、保管庫扉145を開いて重要物の取り出しが可能となる。
【0194】
なお、第2実施形態においては、上述したように、重要物保管処理にて取出許可ID番号が設定されると、その後の重要物取出処理にて、「ID認証」画面301を表示させた状態で入力されたID情報としてのID番号が、この取出許可ID番号と一致する場合と、「ID指定」画面511において入力されたID番号が、この取出許可ID番号と一致する場合とについては、保管庫扉145を開くことが可能である。よって、保管庫扉145を開いて、追加で重要物を保管スペース131に保管したり、重要物の一部を保管スペース131から取り出したりと、保管スペース131への重要物の出し入れを自由に行うことが可能である。すなわち、取出許可ID番号の入力があれば、保管スペース131への重要物の出し入れを自由に行うことができる。
【0195】
また、第2実施形態においては、重要物保管処理にて、取出許可ID番号を設定する際に、複数のID番号を取出許可ID番号に設定したり、複数の使用者が登録されたグループで設定したりすることが可能である。グループとしては、例えば、同じ課に所属する使用者のグループ、同じフロア内に在籍する使用者のグループ、同じ店舗に在籍する使用者のグループ等である。
【0196】
また、第2実施形態においては、重要物保管処理にて、取出許可ID番号に加えて、暗証番号を設定するようにしても良い。この場合、制御部35は、重要物取出処理にて、この取出許可ID番号と、この暗証番号とが入力された場合のみ、保管庫扉ロック機構146で保管庫扉145を開状態にする。なお、この場合、制御部35は、重要物保管処理にて設定された暗証番号をジャーナルプリンタ32で紙面に印字して発行するようにする。この暗証番号は、制御部35がランダムな番号から設定したり、重要物保管処理時に使用者により設定させたりすることができる。制御部35は、重要物取出処理にて、重要物保管処理時に設定された暗証番号が入力されれば、取出許可ID番号が入力されなくても、保管庫扉ロック機構146で保管庫扉145を開状態にするようにしても良い。
【0197】
また、第2実施形態において、重要物保管処理にて保管された重要物が所定期間連続で取り出されなかった場合に、表示入力部41にその旨のアラーム表示を表示させることも可能である。この所定期間は、デフォルトで設定された期間とすることが可能であり、重要物保管処理時に表示入力部41への入力で任意に設定可能とすることも可能である。
【0198】
また、第2実施形態において、重要物保管処理にて保管された重要物が所定時刻又は所定日時まで取り出されなかった場合に、表示入力部41にその旨のアラーム表示を表示させることも可能である。この所定時刻又は所定日時は、重要物保管処理時に表示入力部41への入力で任意に設定可能とすることが可能である。
【0199】
以上の実施形態においては、貨幣金庫部101のスライド体121の前壁部123及び閉状態の保管庫扉145が貨幣処理装置11の前面を構成する場合を例にとり説明したが、特開2020-67915号公報の
図1~
図3に示すように、これらの前に開閉可能な貨幣金庫扉を設けても良い。
また、実施形態において、保管センサ135に加えて、又は保管センサ135にかえて、保管スペース131に重量センサを設けて、保管スペース131の釣銭準備金収納バッグ134の有無および重要物の有無を検知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0200】
11…貨幣処理装置、31…表示操作部(表示部)、32…ジャーナルプリンタ(プリンタ)、35…制御部、131…保管スペース、134…釣銭準備金収納バッグ(釣銭準備金収納体)、141…紙幣金庫、142…硬貨金庫、145…保管庫扉(開閉扉)。