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特開2024-728523,6-二置換-2-ピリジンアルドキシム骨格
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072852
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】3,6-二置換-2-ピリジンアルドキシム骨格
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/53 20060101AFI20240521BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20240521BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240521BHJP
   C07D 473/10 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240521BHJP
   C07D 213/65 20060101ALI20240521BHJP
   C07H 19/167 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C07D213/53 CSP
A61P39/02
A61P25/00
A61P11/00
A61P29/00
A61P35/00
A61P3/10
A61P25/04
A61K31/44
A61K31/444
C07D401/12
A61K31/4709
A61K31/496
C07D473/10
A61K31/522
A61K31/7076
C07D213/65
C07H19/167
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038453
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2021547562の分割
【原出願日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】19305185.1
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(71)【出願人】
【識別番号】509257684
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ストラスブール
(71)【出願人】
【識別番号】521358095
【氏名又は名称】エタ フランセ (ミニステール デ アルメ),レプレゼンテ パル ラ ディルクシオン サントラル デュ セルビス ドゥ サンテ デ アルメ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラシッド バーティ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ ディア
(72)【発明者】
【氏名】アレックス マリアン-インストーン
(72)【発明者】
【氏名】ヤガデシュ イェリ
(57)【要約】
【課題】 本発明は、3,6-二置換-2-ピリジンアルドキシム骨格を有する新規化合物に関する。
【解決手段】
本発明は、式(I):

[式中、R1、R2、および-X-Y-は特定的に規定される]の化合物、またはその薬学的に許容される塩の1種に関する。本発明はまた、治療でのこの化合物の使用、およびそれを調製するプロセスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
R1は、H、あるいは直鎖状または環状のC1-C7アルコキシ基であり、
-X-Y-は、-CH2-(CH2n-、-C≡C-、または
【化2】


であり、
nは0~5の整数であり、
R2は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、-R3-N(R4)(R5)、A基、B基、C基、およびD基から選択される基であり、
【化3】


ここで、A基、またはB基、またはC基、またはD基は、アルキル基によって-Y-X-に結合してもよく、
R3はC1-C4アルキル基であり、かつ
R4およびR5は同一または異なり、それぞれ独立してH、ナフチル基、5-フルオロキノリン-4-イル基、キノリン-4-イル基、または8-メトキシキノリン-4-イル基を表し、あるいは
R4およびR5は、窒素原子とともに4-ベンジル-ピペラジン-1-イル基、または3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル基を形成する]
の化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1種。
【請求項2】
以下の骨格2:
【化4】


[式中、R1およびR2は、請求項1に規定の通りである]
を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2はA基、B基、C基、およびD基から選択され、
【化5】


C基またはD基は、アルキル基によって-Y-X-に連結されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R2はアルキル、ヘテロアリール、アラルキル、または-R3-N(R4)(R5)であり、ここで、
R3はC1-C4アルキル基であり、
R4はHであり、かつ
R5は、ナフチル基、5-フルオロキノリン-4-イル基、キノリン-4-イル基、または8-メトキシキノリン-4-イル基から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
R2は-R3-N(R4)(R5)であり、ここで、R3はC1-C4アルキル基であり、かつ
R4およびR5は、窒素原子とともに4-ベンジル-ピペラジン-1-イル基、または3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル基を形成する、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
以下の骨格3:
【化6】


[式中、R1およびR2は、請求項1に規定の通りであり、nは0~5の整数である]を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R2はアルキル、アリール、アラルキル、または-R3-N(R4)(R5)であり、ここで、
R3はC1-C4アルキル基であり、
R4はHであり、かつ
R5はナフチル基、5-フルオロキノリン-4-イル基、キノリン-4-イル基、または8-メトキシキノリン-4-イル基から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R2は-R3-N(R4)(R5)であり、ここで、R3はC1-C4アルキル基であり、かつ
R4およびR5は、窒素原子とともに4-ベンジル-ピペラジン-1-イル基を形成する、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
R3がメチル、エチル、およびn-プロピルから選択される、請求項4、5、7、または8に記載の化合物。
【請求項10】
以下の骨格4:
【化7】


[式中、R1およびR2は、請求項1に規定の通りである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R2はA基、C基、およびD基から選択され、
【化8】


C基またはD基は、アルキル基によって-Y-X-に連結されている、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
以下の化合物:
6-(5-フェニルペンタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 5:
【化9】


6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒドオキシム 7:
【化10】


6-(ペンタデカ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 9:
【化11】


6-ペンタデシルピコリンアルデヒドオキシム 10:
【化12】


6-(ピリジン-3-イルエチニル)ピコリンアルデヒドオキシム 12:
【化13】


2-((ヒドロキシイミノ)メチル)-6-(ピリジン-1-イウム-3-イルエチニル)ピリジン-1-イウムクロリド 13:
【化14】


N-(4-{6-[(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン-2-イル}ブタ-3-イン-1-イル)ナフタレン-1-アミン 19:
【化15】


N-(4-{6-[(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン-2-イル}ブタ-3-イン-1-イル)ナフタレン-1-アミン 20:
【化16】


6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 25:
【化17】


3-ヒドロキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブチル)ピコリン酸メチル
26:
【化18】


6-(4-((5-フルオロキノリン-4-イル)アミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 30:
【化19】


6-(4-((5-フルオロキノリン-4-イル)アミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 31:
【化20】


6-(4-((8-メトキシキノリン-4-イル)アミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 36:
【化21】


6-(4-((8-メトキシキノリン-4-イル)アミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 37:
【化22】


6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロパ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 42:
【化23】


6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロピル)ピコリンアルデヒドオキシム 43:
【化24】


6-(4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 47:
【化25】


6-(4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 48:
【化26】


6-(4-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 5
1:
【化27】


(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(4-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 56:
【化28】


(2S、3S、4R、5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-N-(4-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド 57:
【化29】


N-(9-((3aR、4R、6R、6aR)-6-(((3-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド 60:
【化30】


6-(3-(((3aR、4R、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-
9-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メトキシ)プロパ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 61:
【化31】


3-メトキシ-6-(5-フェニルペンタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 64:
【化32】


3-メトキシ-6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒドオキシム 65:
【化33】


3-メトキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 67:
【化34】


4-((4-(6-((ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)アミノ)キノリン-1-イウムクロリド 68:
【化35】


3-メトキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 69:
【化36】


4-((4-(6-((ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル)ブチル)アミノ)キノリン-1-イウム 70:
【化37】


(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(4-(6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 72:
【化38】


(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(2-(1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 77:
【化39】


(2S、3S、4R、5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-N-(2-(1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)-メチル)ピリジ
ン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド塩酸塩 78:
【化40】


N-(9-((3aR、4R、6R、6aR)-6-(((1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド 79:
【化41】


から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を調製する方法であって、
式中、-X-Y-は、-CH2-CH2-または-C≡C-であり、
6-ブロモピリジンアルドキシムと末端アルキンを含む化合物との間の薗頭カップリング反応(Sonogashira coupling reaction)を含み、場合によっては、続いて、水素との
反応による還元工程を含む、方法。
【請求項14】
治療に用いるための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
少なくとも1種の有機リン神経剤での中毒による神経障害および/または呼吸不全の治療、および/または神経疾患の治療、および/または炎症の治療、および/または癌の治療、および/または糖尿病の治療、および/または疼痛の治療に用いるための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,6-二置換-2-ピリジンアルドキシム骨格を有する新規化合物に関する。この化合物は、多くの治療的用途および非治療的用途に有用である可能性がある。本発明はまた、前記化合物を含む組成物、特に医薬組成物、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機リン神経剤(OPNA)は、サリン、ソマン、シクロサリン、タブン、O-エチル=S-[2-(ジイソプロピルアミノ)エチル]=メチルホスホノチオアート(VX)を含む化学兵器剤(CWA)、およびパラオキソン、パラチオン、およびテトラエチルピロリン酸塩
(TEPP)などの農薬を含む非常に有毒な化合物である。これらの急性の毒性は、その触媒的なセリンのリン酸化によるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の不可逆的阻害に起因し、それにより、酵素がアセチルコリン(ACh)を加水分解できなくなる。コリン作動性
のシナプスでこの神経伝達物質の蓄積が発生し、ムスカリン性およびニコチン性の受容体の永続的な飽和を引き起こして、最終的には発作および呼吸停止に至る。OPNAの種類と投与量によっては、数分以内に死亡する可能性がある。
【0003】
CWAおよび農薬の化学的前駆体とそれらの合成に関与する比較的単純な化学現象が類似
しているので、これらの薬剤の拡散を制御するための検討では、限定的な成功しか収められなったことを立証している。従って、OPNA中毒に対抗する効果的な対策の開発は、民間人および軍人の両方の集団を保護かつ治療するために、依然解決の困難な課題である。OPNA中毒の現状の治療法は、AChEを再活性化するために、アトロピン(抗ムスカリン薬)とジアゼパム(抗痙攣薬)および標準的なピリジニウムオキシム(プラリドキシムまたは2-PAM、トリメドキシム、HI-6、オビドキシム、またはHLo-7)の組合せを投与することからなる。オキシムは、リン酸化されたセリンのリン原子を攻撃して、OPNAにより阻害されたAChEに作用して、ホスホン酸塩の排除および酵素の触媒活性の回復をもたらす。混成の再活性化合物は、末梢部位リガンド(PSL)と呼ばれる酵素の末梢部位の潜在的なリガンド
に結合したピリジニウムオキシムに基づく構造を有する。その目的は、AChEに対する再活性化因子の親和性を高めることである(Mercey G. et al., Accounts of Chemical Research, 756-766, 2012, Vol. 45, No. 5を参照)。
【0004】
再活性化因子の効率は、再活性化のための二次速度定数kr2によって推定でき、この定
数は、最大再活性化速度定数(kr)と再活性化因子阻害AChE複合体の見掛けの解離定数(KD)との比率である。
【0005】
現時点では、既知のオキシムのいずれもが、OPNA阻害性AChEの全ての種に対して同等に有効であるとは証明されていない。
【0006】
最近の国際出願WO2017/021319号は、アミノキノリン官能基の特定の末梢部位リガンド
(PSL)部分を含む二官能性化合物を開示し、これは、毒性を含むhAChE(すなわちより低いKD)に対する親和性を向上させて、それらが任意の種の有機リン化合物で阻害されたヒトAChEの強力な再活性化因子であることを可能にした。しかしながら、これらの二官能性化合物は、ピリジン基の3位に存在し得るヒドロキシル基を含む。このヒドロキシル基を、合成中に保護かつ脱保護する必要がある。さらに、前記ヒドロキシル基は、分子の内部環化に関与する可能性がある。
【0007】
従って、特に高い収率でかつ大規模に迅速かつ容易に合成される、OPNA中毒に対する治療用途に効率的な化合物の必要性が依然存在する。これらの化合物は、いずれの内部環化
もなく安定している必要がある。
【発明の概要】
【0008】
意外なことに、本発明者らは、今回、水素または特定のアルコキシ基を3位に有する特定のピリジンアルドキシム化合物がこれらの要求を満たすことを見出した。これら化合物は、特に荷電されていないので、血液脳関門を容易に通過できる。
【0009】
実際のところ、そのような化合物は、迅速に、簡潔に、かつ非常に容易に製造できる。得られた化合物は、分子内での環化を起こさず、ヒトの治療に使用できる。
【0010】
特にこれらの化合物は、hAChEのそれらの効果的かつ迅速な再活性化により、OPNA中毒
に対する解毒剤として、または有機リン化合物に対する解毒剤として使用できる。いずれの理論にも拘束されることなく、これらの分子は、hAChEの触媒部位に選択的に結合する
ように思われる。それら化合物は、特に阻害されたAChEの非常に高い再活性化効率を示す。化合物のオキシムは、セリン残基が脱リン酸化すると再生できるので、化合物は何度でも使用できる。これらの化合物は、アデノシン2A受容体の作動薬でもある。結果として、これら化合物は炎症の治療;アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の治療;および癌の治療、かつ特にヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害活性によって、糖尿病の治療および/または疼痛の治療に使用できる。
【0011】
従って、本発明の第1の目的は、式(I):
【化1】

[式中、各種の基は、以下の詳細な説明に規定される通りである]
の化合物である。
【0012】
本発明の別の目的は、以下に詳述するように、特に薗頭反応(Sonogashira reaction)によって、式(I)の化合物を調製するプロセスである。
【0013】
本発明の別の目的は、式(I)の少なくとも1種の化合物および少なくとも1種の薬学的に許容される支持体を含む医薬組成物である。
【0014】
本発明の別の目的は、医薬品として使用する本発明の化合物である。
【0015】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の有機リン神経剤での中毒による神経障害および/または呼吸不全の治療に使用する本発明の化合物である。
【0016】
本発明のさらなる目的は、炎症の治療に使用する本発明の化合物である。
【0017】
本発明のさらなる目的は、アルツハイマー病またはパーキンソン病などの神経学的疾患の治療に使用する本発明の化合物である。
【0018】
本発明のさらなる目的は、癌の治療に使用する本発明の化合物である。
【0019】
本発明のさらなる目的は、糖尿病の治療に使用する本発明の化合物である。
【0020】
本発明のさらなる目的は、疼痛の治療に使用する本発明の化合物である。
【0021】
本発明の第1の目的は、式(I):
【化2】

[式中、
R1はH、あるいは直鎖状または環状(好ましくは芳香族系)のC1-C7アルコキシ基である。好ましくは、R1はメトキシまたはベンジルオキシである;
-X-Y-は、-CH2-(CH2n-、-C≡C-、
【化3】

であるか、あるいは
-X-Y-はBrであり、かつR2は存在しない;
nは0~5の整数である;
R2は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、-R3-N(R4)(R5)、以下に示すA基、B基、C基、およびD基から選択される基であり、ここで、A基、またはB基、またはC基、またはD基は、アルキル基、好ましくはエチル基によって-Y-X-に結合してもよい;
【化4】

R3はC1-C4アルキル基であり、かつ
R4およびR5は同一または異なり、それぞれ独立してH、ナフチル基、5-フルオロキノリン-4-イル基、キノリン-4-イル基、または8-メトキシキノリン-4-イル基を表し、あるいは
R4およびR5は、窒素原子とともに4-ベンジル-ピペラジン-1-イル基または3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-
イル基を形成する]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩のうちの1種である。
【0022】
-X-Y-の規定に関してトリアゾール基の結合点は、前記トリアゾール基の各側部の星印によって示されている。
【化5】
【0023】
式(I)の分子の残り部分への(R2の規定での)A~D部分のうちのいずれか1つの結合点は、星印によって示されている。
【化6】

A基の《Bz》はベンゾイル、ずなわちPh-C(=O)-を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
「薬学的に許容される塩」とは、酸または塩基を有する式(I)の化合物の任意の塩を示す。薬学的に許容される塩は、塩酸塩であってもよい。
【0025】
塩として、式(I)のピリジンを用いて、ピリジニウム塩を生成してもよい。例えば、R4および/またはR5が同一または異なり、それぞれが独立して5-フルオロキノリン-4-イル基、キノリン-4-イル基、または8-メトキシキノリン-4-イル基を表す場合に、前記基を、それぞれ5-フルオロ-4-キノリニウム基、4-キノリニウム基、または8-メトキシ-4-キノリニウム基を生成するために、HClと複合化してもよい。好ましい薬学的に許容される塩は、5-フルオロ-4-キノリニウム基、4-キノリニウム基、および8-メトキシ-4-キノリニウム基である。
【0026】
式(I)の化合物のオキシムを、15N、18O、2H、または3Hなどの1種以上の同位体で標識化してもよい。実際に、このような安定で非毒性かつ非放射性の同位体は、生体内および生体外の生物学的研究を可能にすると思われる。
【0027】
「アルキル」とは、好ましくは1~20個の炭素原子、特に1~15個の炭素原子を含む直鎖状の炭化水素基、あるいは3~20個の炭素原子を含む分岐状または環状の炭化水素基を示す。アルキル基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tertーブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-トリデシル、シクロヘキシル、およびシクロヘキシルメチルの各基が挙げられ、好
ましくは、エチル、プロピル、n-ヘキシル、n-トリデシル、シクロヘキシル、またはシクロヘキシルメチルの各基が挙げられる。
【0028】
1-C4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルから選択される。
【0029】
「直鎖状C1-C7アルコキシ基」とは、Rad-O-基を示し、ここでRadは、直鎖状C1-C7アルキル基である。好ましくは、直鎖状C1-C7アルコキシ基はメトキシである。
【0030】
「環状(好ましくは芳香族)C1-C7アルコキシ基」とは、Rad-O-基を示し、ここでRadは、環状(好ましくは芳香族)C1-C7アルキル基である。好ましくは、環状C1-C7アルコキシ基は、芳香族C1-C7アルコキシ基であり、より好ましくは、ベンジルオキシである。
【0031】
「アリール」とは、単環式または多環式の芳香族炭化水素基を示し、これは必要に応じて置換されていてもよい。好ましくは、アリール基は、フェニル、または多環芳香族炭化水素(PAH)である。好ましいPAHはピレンである。アリールは、少なくとも1つのアルキル基および/または少なくとも1つのシアノ基(-CN)によって置換されていてもよい。アリール基の好ましい例は、フェニルである。
【0032】
「アラルキル」とは、アルキル基によって式(I)の化合物に連結された、上述のようなアリール基を示す。好ましくは、アラルキル基はフェニルプロピルである。アラルキルでは、アリール基が少なくとも1つのアルキル基および/または少なくとも1つのシアノ基(-CN)によって置換されていてもよい。好ましくは、アラルキルはフェニルプロピルである。
【0033】
「ヘテロアリール」とは、芳香環の少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されているアリール基を示し、これは必要に応じて置換されていてもよい。ヘテロ原子は、窒素、酸素、リン、または硫黄であってもよい。好ましくは、ヘテロ原子は窒素である。ヘテロアリール基の例には、ピロール、チオフェン、フラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、およびイソオキサゾールの各基が含まれる。好ましくは、ヘテロアリール基は、4-または3-ピリジノなどのピリジン基である。ヘテロアリールは、少なくとも1つのアルキル基および/または少なくとも1つのシアノ基(-CN)によって置換されていてもよい。好ましくは、ヘテロアリール基は塩形態であり、好ましくは4-または3-ピリジニウムなどのピリジニウム基である。
【0034】
第1の実施態様によれば、式(I)では、-X-Y-はBrであり、かつR2は存在しないことが好ましい。
【0035】
従って、式(I)の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩のうちの1種は、以下の骨格1:
【化7】
[式中、R1は上記で規定された通りである]
を有する。
【0036】
骨格1の化合物では、R1はH、あるいは直鎖状または環状(好ましくは芳香族)のC1
-C7アルコキシ基である。好ましくは、骨格1の化合物では、R1はH、メトキシ、ま
たはベンジルオキシである。
【0037】
第2の実施態様によれば、式(I)では、-X-Y-は-C≡C-であること(骨格2):
【化8】

[式中、R1およびR2は上記で規定された通りである]
が好ましい。
【0038】
骨格2の化合物は、二官能性化合物である。
好ましくは、骨格2の化合物では、R1は、Hおよびメトキシから選択される。
好ましくは、骨格2の化合物では、R2は、A基、B基、C基、およびD基から選択され、
【化9】

好ましくはC基またはD基は、アルキル基、より好ましくはエチル基によって-Y-X-に連結されている。
【0039】
あるいは、好ましくは骨格2の化合物では、R2はアルキル、ヘテロアリール、アラルキル、または-R3-N(R4)(R5)であり、
R3はC1-C4アルキル基であり、好ましくは、R3はメチル、エチル、およびn-プロピルから選択され、
R4はHであり、
R5は、ナフチル基、5-フルオロキノリン-4-イル基、キノリン-4-イル基、または8-メトキシキノリン-4-イル基から選択される。
【0040】
あるいは、好ましくは骨格2の化合物では、R2は-R3-N(R4)(R5)であり
、R3はC1-C4アルキル基であり、好ましくはR3は、メチル、エチル、およびn-プロピルから選択され、
R4とR5は、窒素原子とともに、4-ベンジル-ピペラジン-1-イル基、または3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル基を形成する。
【0041】
骨格2の化合物は、三重結合を持たずR1として-OHを有する化合物と比較して、かつプラリドキシム(2-PAM)やHI-6などの参照分子と比較して、親和性の増大により、pKaの低下および再活性化効率(kr2:/mM・分)の増大を示す。
【0042】
第3の実施態様によれば、式(I)では、-X-Y-は-CH2-(CH2n-(ここ
で、nは0~5の整数である)(骨格3):。
【化10】

[式中、R1およびR2は上記で規定された通りである]
であることが好ましい。
【0043】
骨格3の化合物は、二官能性化合物である。
好ましくは、骨格3の化合物では、R1はHおよびメトキシから選択される。
好ましくは、骨格3の化合物では、R2はアルキル、アリール、アラルキル、または-R3-N(R4)(R5)であり、ここで、
R3はC1-C4アルキル基であり、好ましくはR3はメチル、エチル、およびn-プロピルから選択され、
R4はHであり、
R5は、ナフチル基、5-フルオロキノリン-4-イル基、キノリン-4-イル基、または8-メトキシキノリン-4-イル基から選択される。
【0044】
あるいは、好ましくは骨格3の化合物では、R2は-R3-N(R4)(R5)であり、ここで、R3はC1-C4アルキル基であり、好ましくはR3はメチル、エチル、およびn-プロピルから選択され、かつ
R4とR5は、窒素原子とともに4-ベンジル-ピペラジン-1-イル基を形成する。
【0045】
第4の実施態様によれば、式(I)では、-X-Y-は
【化11】

であること(骨格4):
【化12】

[式中、R1およびR2は上記で規定された通りである]
が好ましい。
【0046】
骨格4の化合物は、三官能性化合物である。
好ましくは、骨格4の化合物では、R1はH、メトキシ、およびベンジルオキシから選択され、好ましくは、R1はHである。
好ましくは、骨格4の化合物では、R2はA基、C基、およびD基から選択され、
【化13】

好ましくはC基またはD基は、アルキル基、より好ましくはエチル基によって-Y-X-に連結されている。
【0047】
骨格4の化合物は、hAChEの触媒部位を選択的に標的とし、かつ非常に良好な再活性化
動力学を示す。
【0048】
好ましくは、式(I)の化合物は、以下の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩の中から選択される:
6-ブロモピコリンアルデヒドオキシム 2:
【化14】

6-(5-フェニルペンタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 5:
【化15】

6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒドオキシム 7:
【化16】

6-(ペンタデカ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 9:
【化17】

6-ペンタデシルピコリンアルデヒドオキシム 10:
【化18】

6-(ピリジン-3-イルエチニル)ピコリンアルデヒドオキシム 12:
【化19】

2-((ヒドロキシイミノ)メチル)-6-(ピリジン-1-イウム-3-イルエチニル)ピリジン-1-イウムクロリド 13:
【化20】

N-(4-{6-[(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン-2-イル}ブタ-3-イン-1-イル)ナフタレン-1-アミン 19:
【化21】

N-(4-{6-[(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン-2-イル}ブタ-3-イン-1-イル)ナフタレン-1-アミン 20:
【化22】

6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 25:
【化23】

3-ヒドロキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブチル)ピコリン酸メチル 26:
【化24】
6-(4-((5-フルオロキノリン-4-イル)アミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 30:
【化25】

6-(4-((5-フルオロキノリン-4-イル)アミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 31:
【化26】

6-(4-((8-メトキシキノリン-4-イル)アミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 36:
【化27】

6-(4-((8-メトキシキノリン-4-イル)アミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 37:
【化28】

6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロパ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 42:
【化29】

6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロピル)ピコリンアルデヒドオキシム 43:
【化30】

6-(4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 47:
【化31】

6-(4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム
48:
【化32】

6-(4-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 51:
【化33】

(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(4-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-
イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 56:
【化34】

(2S、3S、4R、5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-N-(4-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド 57:
【化35】

N-(9-((3aR、4R、6R、6aR)-6-(((3-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド 60:
【化36】

6-(3-(((3aR、4R、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メトキシ)プロパ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 61:
【化37】

3-メトキシ-6-(5-フェニルペンタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオ
キシム 64:
【化38】

3-メトキシ-6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒドオキシム 65:
【化39】

3-メトキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 67:
【化40】

4-((4-(6-((ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)アミノ)キノリン-1-イウムクロリド 68:
【化41】

3-メトキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 69:
【化42】

4-((4-(6-((ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル
)ブチル)アミノ)キノリン-1-イウム 70:
【化43】

(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(4-(6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 72:
【化44】

(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(2-(1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 77:
【化45】

(2S、3S、4R、5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-N-(2-(1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)-メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド塩酸塩 78:
【化46】

N-(9-((3aR、4R、6R、6aR)-6-(((1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-
4-イル)メトキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド 79:
【化47】

より好ましくは、式(I)の化合物は、以下の化合物の中から選択される。
(2S、3S、4R、5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-N-(4-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド 57:
【化48】

6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 25:
【化49】

3-ヒドロキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブチル)ピコリン酸メチル 26:
【化50】

(2S、3S、4R、5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-N-(2-(1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)-メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド塩酸塩 78:
【化51】
【0049】
式(I)の化合物の調製
【0050】
本発明による式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1種は、任意の適切な方法によって合成できる。例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1種は、以下の図式に従って調製してもよい。
【化52】
【0051】
骨格1の式(I)の化合物、すなわちX-YがBrである化合物を、R2-X-Y-H(X-Yは-C≡C-である)と反応させて、X-Yが-C≡C-である骨格2の式(I)の化合物を得る。
次に、(H2による)選択的水素化によって、X-Yが-CH2-CH2-である式(I)
のいずれかの化合物(骨格3)を容易に得ることができる。
【0052】
骨格4の化合物を得るために、アルキンR2-C≡CHを、クリックケミストリーによって、対応するクリック可能な再活性化剤と反応させる。
このような方法は、以下に例示されている。
【0053】
式(I)の化合物の調製
本発明による式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1種は、当業者に既知の任意の適切な方法によって合成してもよい。
【0054】
好ましくは、式(I)の化合物は、以下の説明のように合成される。このプロセスは化学選択的である。特にそのプロセスは、オキシムのいずれの過去の保護工程も必要としない。前記プロセスは、最小数の工程(1個または2個)を含み、周囲温度で迅速に実行される。
【0055】
骨格1
特に骨格1の化合物は、
【化53】

ピコリンアルデヒド前駆体またはピコリノニトリル誘導体のいずれかとヒドロキシルアミン塩酸塩との、好ましくは有機溶媒中での反応によって得ることができる。すべての場合に、塩酸ヒドロキシルアミンは15N元素で標識してもよい。
この合成は、実施例中の6-ブロモピコリンアルデヒドオキシム2について示されている。
【0056】
骨格2
特に、式(I)の化合物である骨格2を合成するプロセスは、骨格1の化合物すなわち6-ブロモピリジンアルドキシムと末端アルキンを有する化合物との間の薗頭カップリング反応(Sonogashira coupling reaction)の後期段階を含んでもよく、好ましくはそれ
からなってもよい。(上記の図式を参照)。
この薗頭カップリング反応は、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチルアミン(Et3N)、または好ましくはそれらの混合物などの溶媒の存在で、かつPd(PPh34
よびCuIなどの触媒の存在で実施してもよい。
この薗頭カップリング反応は、オキシム部分のいかなる保護もなしに実行される。
【0057】
骨格3
次に得られたアルキン(骨格2)を、例えば(Pd/Cなどの)Pd触媒の存在で水素と反応させて還元して、選択的水素化工程で対応するアルキル(骨格3)を得ることができる。
この場合でも、水素化工程は、オキシム部分のいかなる保護もなしに実行される。
【0058】
骨格4
上記のように、かつ上記の図式に示されるように、骨格4の化合物を得るために、アルキンR2-C≡CHを、クリックケミストリーによって、対応するクリック可能な再活性化剤と反応させる。
【0059】
従って、本発明の目的は、式(I)の化合物を調製するプロセスであって、式中、-X-Y-が-CH2-CH2-または-C≡C-であり、R1およびR2が上記で規定された通りであり、このプロセスは、6-ブロモピリジンアルドキシムと末端アルキンを有する化合物との間の薗頭カップリング反応を含み、場合によっては、続いて、水素との反応による還元工程を含む。
【0060】
本発明の化合物の医薬品での使用
本発明の化合物は、好ましくはVX、タブン、サリン、シクロサリン、およびソマンなどの兵器剤、ならびにパラオキソン、パラチオン、およびTEPPなどの農薬から選択され得る少なくとも1種の有機リン神経剤での中毒による神経障害および/または呼吸不全の治療に使用できる。本発明の化合物は、有機リンで阻害されたコリンエステラーゼを再活性化するこれらの効力によって、少なくとも1種の有機リン神経剤での中毒による神経障害および/または呼吸不全の治療に使用できる。
【0061】
あるいは、これらの化合物を、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の投与によって克服
できるアセチルコリン生成の低下を伴う疾患の治療に使用してもよい。このような疾患の例として、特にアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患が挙げられる。
【0062】
本発明の化合物はまた、アデノシン2A受容体の作動薬である。その結果として、これらの化合物は、炎症の治療に、癌の治療に、糖尿病の治療に、および/または疼痛の治療に使用されてもよい。
【0063】
本発明の化合物は、通常、本発明の少なくとも1つの化合物および薬学的に許容される支持体(support)を含む医薬組成物中に含まれる。
【0064】
本発明の組成物中の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1種の量は、患者、投与様式、および期待効果に応じて広範囲に変更してもよい。
【0065】
本発明の化合物または組成物は、経口的または非経口的に、例えば、外用、非経口、筋肉内、静脈内、皮膚、鼻、または直腸の各経路を介して投与できる。
【0066】
本発明の医薬組成物は、顆粒、粉末、錠剤、カプセル、シロップ、乳濁液、懸濁液、および注射、スプレー、経皮パッチ、または坐剤などの非経口投与に用いられる形態を含む種々の形態を示してもよい。これらの剤型は、既知の従来技術によって調製されてもよい。
【0067】
経口投与される固形剤型の調製を、例えば、次のプロセスによって実施してもよい。賦形剤(例えば、乳糖、ショ糖、デンプン、またはマンニトール)、崩壊剤(例えば、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、またはグリコール酸デンプン)、結合剤(例えば、アルファ化デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、カルボマー、デキストリン、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、マルトデキストリン、液体グルコース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、またはグアーガム)、および潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、またはポリエチレン6000)を、活性化合物に添加し、次に得られた混合物を錠剤化する。必要に応じて、(例えば、ココア粉末、ミント、ボルネオール、またはシナモン粉末によって)味を紛らわすために、あるいは活性化合物の腸溶性または徐放性を可能にするために、錠剤を既知の技術によって被覆してもよい。使用可能な被覆製品は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、セルロースアセトフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、およびEudragit(登録商標)(メタクリル酸-アクリル酸共重合体)、Opadry(登録商標)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース+マクロゴール+酸化チタン+乳糖一水和物)である。薬学的に許容される着色剤を添加してもよい(例えば、黄色の酸化鉄、赤色の酸化鉄、またはキノリンイエロー系顔料)。
【0068】
経口投与用の液体剤型には、溶液、懸濁液、および乳濁液が含まれる。水溶液は、有効成分を水に溶解し、その後に必要に応じて香料、着色剤、安定剤、および/または増粘剤を添加して得てもよい。溶解性を改善するために、エタノール、プロピレングリコール、またはその他の薬学的に許容される非水性溶媒を加えることが可能である。経口用の水性懸濁液は、天然または合成のガムまたは樹脂、メチルセルロース、あるいはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの粘性のある生成物とともに、細かく粉砕された活性成分を水中に分散させて得ることができる。
【0069】
注射用の剤型は、例えば、以下の工程により生成してもよい。活性化合物を、水性媒体(例えば、蒸留水、生理食塩水すなわちリンゲル溶液)または油性媒体(例えば、オリーブ油、ゴマ種子油、綿実油、トウモロコシ油、またはプロピレングリコール)のいずれかに、分散剤(例えば、Tween(登録商標) 80、HCO(登録商標) 60(日光ケミカルズ社製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、またはアルギン酸ナトリウム)、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ベンジルアルコール、クロロブタノール、またはフェノール)、等張剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、またはグルコース)、および必要に応じて可溶化剤(例えば、サリチル酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム)あるいは安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン)などの他の添加剤とともに、溶解、懸濁、または乳化する。
【0070】
外用(局所使用)のための剤型は、活性化合物を含む固体、半固体、または液体の組成物から得てもよい。例えば、固体形態を得るために、活性化合物は、賦形剤(例えば、乳糖、マンニトール、デンプン、微結晶性セルロース、またはショ糖)および増粘剤(例えば、天然ガム、セルロース誘導体、またはアクリルポリマー)で処理して、粉末に変換することができる。液体医薬組成物は、前述のように、注射用の形態と実質的に同じ方法で調製される。半固体医薬形態は、好ましくは、水性ゲルまたは油性ゲルの形態、またはポマードの形態である。これらの組成物は、場合によっては、pH調節剤(例えば、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、または水酸化ナトリウム)、および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、または塩化ベンザルコニウム)を含んでもよい。
【0071】
本発明の少なくとも1つの化合物の投与を含む、少なくとも1つの有機リン神経剤に伴う中毒による神経障害および/または呼吸不全を治療する方法を、さらに本明細書に説明する。
本発明の少なくとも1つの化合物を投与することを含む、アルツハイマー病またはパーキンソン病などの神経疾患を治療する方法を、さらに本明細書に説明する。
本発明の少なくとも1つの化合物を投与することを含む、炎症を治療する方法を、さらに本明細書に説明する。
本発明の少なくとも1つの化合物を投与することを含む、癌を治療する方法を、さらに本明細書に説明する。
本発明の少なくとも1つの化合物を投与することを含む、糖尿病を治療する方法を、さらに本明細書に説明する。
本発明の少なくとも1つの化合物を投与することを含む、疼痛を治療する方法を、さらに本明細書に説明する。
【0072】
本発明の文脈内で、用語「治療」は、治癒的、症候的、および/または予防的な治療を示す。特にその用語は、疾患の進行を低下させること、その症状または合併症のうちの少なくとも1つを低減または抑制すること、または何らかの方法で患者の健康状態を改善することを指してもよい。
【0073】
本発明の化合物または組成物の投与は、対象の有機リン神経剤への曝露前に、曝露中に、または曝露後に実施してもよい。
【0074】
本発明では、用語「対象」および「患者」は、互換的に使用され、かつヒト対象を指している。
【0075】
本発明に従って投与される式(I)の化合物または1種の薬学的に許容されるその塩の量は、患者、投与様式、および期待効果に応じて広範囲に変更してもよい。特に、式(I
)の化合物またはまたは1種の薬学的に許容されるその塩は、最大3回の一日用量で、200mg~4000mgの量を含んでもよい。
【0076】
本発明の化合物または組成物は、例えば、抗ムスカリン剤(特にアトロピン)、抗痙攣剤(特にアビザフォンなどのジアゼパムまたはその1種のプロドラッグ)、および/または血液中のOPNAを捕捉しかつ/あるいは分解できるヒトブチリルコリンエステラーゼなどの生体捕集剤である少なくとも1つの他の活性剤とともに同時投与してもよい。
【0077】
用語「同時投与」は、本発明の化合物または組成物の投与とその他の活性剤の投与が、同時、連続的、および/または別々であってもよいことを示している。
【0078】
本発明の化合物のその他での使用
本発明の化合物はさらに、生体内および/または生体外での生物学的研究のための道具として使用してもよい。この用途では、式(I)の化合物または1種の薬学的に許容されるそれらの塩は、それらの検出を可能とする1つ以上の同位体を含んでもよい。
【0079】
以下の実施例は、本発明の例示として提供され、限定するものではない。
【実施例0080】
実施例1:本発明の化合物の合成
I-二官能性ピリジンアルドキシム類似体の合成
6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒドオキシムの合成:
【化54】
【0081】
6-ブロモピコリンアルデヒドオキシム 2:
【化55】
【0082】
この化合物は、以下のL. Zhangら1が公表した論文に従って合成された。6-ブロモピ
コリンアルデヒド1(3.00 g、16.1 mmol)の無水EtOH溶液(50 mL)に、塩酸ヒドロキシ
ルアミン(2.24 g、32.3 mmol)および酢酸ナトリウム(2.65 g、32.3 mmol)を室温で加えた。添加後に、白色懸濁液を伴う無色の溶液を90℃で3時間撹拌した。この溶液を室温
に冷却して真空で濃縮した。得られた白色固体をEtOAc(50 mL)中に溶解した。有機層をH2O(5 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物2
(3.21 g、16.0 mmol、99%)を白色の固体として得た。物理的データおよび分光学的データは、報告値1と一致している。融点168~170°C(文献2 164~166°C);IR(ニート法
)νmax3203、3084、2912、1546、1158、1119、704 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ 11.90(s, 1H, CHNOH)、8.04(s, 1H, CHNOH)、7.82~7.74(m, 2H, NCCHCHCH, NCCHCHCH)、7.63(dd, J = 6.8, 1.7 Hz, 1H, NCCHCHCH;13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ 153.3、147.5、141.0、140.1、128.1、119.3;HRMS(ESI)+ C6H5BrN2O+のm/z計算値は200.9658
、実測値は200.9657。
参考文献:
1.Bioorg. Med. Chem. Lett. 2016, 26, 778-781
【0083】
6-(5-フェニルペンタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒド 4:
【化56】
【0084】
ブロモピコンアルデヒド1(568 mg、3.056 mmol、1.1当量)の脱気THF/Et3N(10 mL/30
mL)溶液に、Pd[PPh3]4(482 mg、0.0.417 mmol、0.15当量)およびCuI(159 mg、0.834
mmol、0.3当量)を加えた。反応混合物を室温で5分間脱気後に、アルキン3(400 mg、2.78 mmol、1当量)を滴加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。(TLCで監視して)完
了後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE 6:94からEtOAc/PE 1:9まで)により精製して、所望の共役ピコンアルデヒド4を無色の油(500 mg、72%)として得た。Rf(20%のEtOAc+PE)0.65;IR(ニート法)νmax 3026、2928、2856、2229、1710、1580、1451、1211、987、805、698、647、542 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)9.99(s, 1H, H18)、7.82~7.71(m, 2H, H3, H4)、7.53(dd, J = 7.5 Hz, 1H, H5)、7.26~7.10(m, 5H, H13-H17)、2.74(t, J = 7.5 Hz, 2H, H11)、2.43(t, J = 7.1 Hz, 2H, H9)、1.92(5重線、J = 7.1, 7.5 Hz, 2H, H10);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)193.09(C18)、152.76(C2)、144.43(C6)、141.21(C12)、137.21(C4)、130.92(C5)、128.47(C14, C16)、128.41(C13, C17)、126.02(C15)、119.94(C3)、92.32(C7)、79.93(C8)、34.90(C11)、29.74(C10)
、18.81(C9);HRMS (ESI)+ C17H16NO+のm/z計算値は250.1226、実測値は250.1239。
【0085】
6-(5-フェニルペンタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 5:
【化57】
【0086】
方法1:
アルデヒド4(100 mg、0.402 mmol、1当量)、塩酸ヒドロキシルアミン(56 mg、0.803
mmol、2当量)、およびCH3CO2Na(100 mg、1.206 mmol、3当量)の乾燥エタノール溶液
(6 mL)を、還流して16時間攪拌した。(TLCで監視して)完了後に、固体を短いセライ
トパッドで濾過して除去し、溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE 1:9)により精製してオキシム5を白色の固体(100 mg、94%)として得た。Rf(20%
のEtOAc+PE)0.35;IR(ニート法)νmax 3177、3005、2933、2876、2226、1568、1495、1445、1257、1159、985、807、734、703、657、576、490 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.85(s. 1H, OH)、8.24(s, 1H, H18)、7.68(dd, J = 0.7, 7.8 Hz, 1H,
H3)、7.56(t, J = 7.8 Hz, 1H, H4)、7.29(dd, J = 0.7, 7.7 Hz, 1H, H5)、7.29
~7.08(m, 5H, H13-H17)、2.71(t, J = 7.5 Hz、2H、H11)、2.39(t, J = 7.1 Hz, 2H, H9)、1.89(5重線、J = 7.1, 7.5 Hz, 2H, H10);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)151.95(C2)、150.51(C18)、144.46(C6)、141.33(C12)、136.73(C4)、128.50(C14, C16)、128.35(C13, C17)、127.13(C5)、125.92(C15)、119.23(C3)、91.47(C7)、80.19(C8)、34.84(C11)、29.78(C10)、18.77(C9);HRMS (ESI)+ C17H17N2O1 +のm/z計算値は265.1335、実測値は265.1360。
【0087】
方法2:
オキシム2(77 mg、0.381 mmol、1.1当量)の脱気THF/Et3N(5 mL/2 mL)溶液に、Pd[PPh3]4(60 mg、0.052 mmol、0.15当量)およびCuI(20 mg、0.104 mmol、0.3当量)を加
えた。反応混合物を室温で5分間脱気後に、アルキン3(50 mg、0.347 mmol、1当量)を滴加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、反応混合物を
減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE 1:9)で精製して、所
望の結合オキシム5を白色の固体(68 mg、74%)として得た。
【0088】
6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒド 6:
【化58】
【0089】
6-置換ピコンアルデヒド4(200 mg、0.802 mmol、1当量)の脱気乾燥EtOAc溶液(4 mL)に、10%のPd/C(21 mg、0.201 mmol、0.25当量)を加えた。H2で3回洗浄後に、反応混合物をH2(1気圧)下の室温で90分間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、セライトの短いカラムで濾過して触媒を除去し、溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE 1:9)で精製して、オキシム6を無色の液体(185 mg、91%)として得た。Rf(20%のEtOAc+PE)0.70;IR(ニート法)νmax 3026、2929、2856、1709、1591、1455、1213、1089、745、689、646、570、496 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)9.97
(s, 1H, H18)、7.73~7.63(m, 2H, H3, H4)、7.26(dd, J = 1.5, 7.7 Hz, 1H, H5)、7.24~7.05(m, 5H, H13-H17)、2.80(t, J = 7.7 Hz, 2H, H7)、2.54(t, J = 7.7 Hz, 2H, H11)、1.73(5重線、J = 7.7 Hz, 2H, H8)、1.60(5重線、J = 7.7 Hz, 2H, H10)、1.35(5重線、J = 7.3, 7.8 Hz, 2H, H9);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)193.87(C18)、163.12(C6)、152.35(C2)、142.50(C12)、137.08(C4)、128.33(C14, C16)、128.20(C13, C17)、127.04(C5)、125.60(C15)、119.08(C3)、37.99(C7)、35.74(C11)、31.20(C10)、29.59(C8)、28.84(C9);HRMS (ESI)+ C17H20NO+のm/z計算値は254.1537、実測値は254.1539。
【0090】
6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒドオキシム 7:
【化59】
【0091】
アルデヒド6(150 mg、0.592 mmol、1当量)、塩酸ヒドロキシルアミン(82 mg、1.184
mmol、2当量)、およびCH3CO2Na(146 mg、1.776 mmol、3当量)の乾燥エタノール溶液
(12 mL)を、還流して16時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、固体を短いセライトパッドで濾過して除去し、溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE 1:9)で精製して所望のオキシム7を白色の固体(135 mg、85%)として得た。Rf(20%のEtOAc+PE)0.40;IR(ニート法)νmax 3080、2926、2856、1720、1575、1452、1269
、986、780、699、658、569、458 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)10.20(br s, 1H, -OH)、8.30(s, 1H, H18)、7.59(br d, J = 8.0 Hz, 1H, H3)、7.50(t, J =
7.8 Hz, 1H, H4)、7.27~6.93(m, 6H, H5, H13-H17)、2.74(t, J = 7.8 Hz, 2H, H7)、2.50(t, J = 7.5 Hz, 2H, H11)、1.68(5重線、J = 7.5, 7.8 Hz, 2H, H8)、1.57(5重線、J = 7.5 Hz, 2H, H10)、1.32(5重線、J = 7.1, 7.8 Hz, 2H, H9);13C NMR
(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)162.23、*160.10(C6)、151.36、*150.73(C2)、150.40
(C18)、142.61、*142.23(C12)、*138.33、136.97(C4)、*129.46、128.33(C14, C16)、128.16(C13, C17)、125.61、*125.53(C5)、*124.23、123.01(C15)、*120.84
、118.112(C3)、37.86、*37.29(C7)、35.75(C11)、31.22、*31.10(C10)、29.82
(C8)、28.91、*28.69(C9)(*シスおよびトランスの混合物);HRMS (ESI) + C17H21N2O+のm/z計算値は269.1648、実測値は269.1670。
【0092】

6-ペンタデシルピコリンアルデヒドオキシム10の合成:
【化60】
【0093】
6-(ペンタデカ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 9:
【化61】
【0094】
オキシム2(51 mg、0.252 mmol、1.05当量)の脱気THF/Et3N(4 mL/2 mL)溶液に、Pd[PPh3]4(42 mg、0.036 mmol、0.15当量)およびCuI(14 mg、0.072 mmol、0.3当量)を加えた。反応混合物を室温で5分間脱気後に、アルキン8(50 mg、0.240 mmol、1当量)を滴加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、反応混合物を
減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE 6:94)で精製して、所
望の結合オキシム9を白色の固体(65 mg、83%)として得た。Rf(20%のEtOAc+PE)0.55;IR(ニート法)νmax3179、3092、2914、2850、2226、1722、1567、1450、1268、1160、992、809、733、709、657、640、549、496 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.5
0(s, 1H, OH)、8.26(s, 1H, H22)、7.72(br d, J = 7.8 Hz, 1H, H3)、7.61(t, J
= 7.8 Hz, 1H, H4)、7.23(br d, J = 7.7 Hz, 1H, H5)、2.41(t, J = 7.2 Hz, 2H, H9)、1.61(5重線、J = 7.2 Hz, 2H, H10)、1.41(m, 2H, H1)、1.24(s, 18H, H12-H20)、0.85(t, J = 6.5 Hz, 3H, H21);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)151.89(C2)、150.73(C22)、143.69(C6)、136.64(C4)、127.13(C5)、125.92(C15)、119.12(C3)、92.10(C7)、79.76(C8)、31.91、29.64、29.49、29.35、29.13、29.00、28.31、22.68、19.40、14.11(C9-C21);HRMS (ESI)+ C21H33N2O1 +の計算値は329.2587
、実測値は329.2549。
【0095】
6-ペンタデシルピコリンアルデヒドオキシム 10:
【化62】
【0096】
オキシム9(35 mg、0.107 mmol、1当量)の脱気乾燥EtOAc溶液(2 mL)に、10%のPd/C
(3 mg、0.027 mmol、0.25当量)を加えた。H2で3回洗浄後に、反応混合物をH2(1気圧)下の室温で2時間撹拌した。完了後に、セライトの短いカラムで濾過して触媒を除去し、
溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE 6:94)によって精製し
てオキシム3を白色の固体(30 mg, 85%)として得た;Rf(20%のEtOAc+PE)0.65;IR(ニート法)νmax 3187、3083、2914、2849、1575、1457、1160、985、777、718、656、517
、479 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.36(br s, 1H, OH)、8.25(s, 1H, H22)、7.61~6.54(m, 2H, H3, H4)、7.11(dd, J = 2.5, 6.1 Hz, 1H, H5)、2.78(t, J = 7.2 Hz, 2H, H7)、1.70(m, 2H, H8)、1.24(s, 24H, H12-H20)、0.86(t, J =
6.6 Hz, 1H, H21);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)162.71(C6)、151.12(C2)、151.02(C23)、136.73(C4)、123.09(C5)、118.21(C3)、38.28、31.92、29.99、29.69、29.56、29.49、29.41、29.36、22.69、14.12(C7-C22);HRMS (ESI)+ C21H37N2O+のm/z計算値は333.2900、実測値は333.2918。
【0097】
2-((ヒドロキシイミノ)メチル)-6-(ピリジン-1-イウム-3-イルエチニル)ピリジン-1-イウムクロリド13の合成:
【化63】
【0098】
3-フルオロ-6-(ピリジン-3-イルエチニル)ピコリンアルデヒドオキシム 12:
【化64】
【0099】
オキシム2(211 mg、1.05 mmol、1.05当量)の脱気THF/Et3N(3 mL/3 mL)溶液に、Pd[PPh3]4(173 mg、0.15 mmol、0.15当量)およびCuI(57 mg、0.30 mmol、0.3当量)を加
えた。反応混合物を室温で5分間脱気後に、アルキン11(103 mg, 1 mmol, 1当量)の脱気乾燥THF(3 mL)溶液を滴加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE
45:55)で精製して、所望の結合オキシム12を白色の固体(200 mg、90%)として得た。Rf(60%のEtOAc+PE)0.35;IR(ニート法)νmax 3065、2764、1578、1561、1443、1288、1143、1042、990、981、798、697、637、563、499 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)11.84(s, 1H, OH)、8.83(br s, 1H, H14)、8.65(br s, 1H, H12)、8.11~8.04(m, 2H, H10, H15)、7.91(br t, J = 7.8 Hz, 1H, H4)、7.83(br d, J = 7.8 Hz, 1H, H3)、7.68(br d, J = 7.8 Hz, 1H, H5)、7.50(dd, J = 4.8, 7.8 Hz, 1H, H11);13C NMR(100 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)152.855(C2)、151.93(C14)、149.70(C12)、148.34(C15)、141.51(C6)、139.03(C10)、137.65(C4)、127.50(C5)、123.78(C11)、119.84(C3)、118.48(C9)、91.27(C7)、85.48(C8);HRMS (ESI) + C13H10N3O+のm/z計算値は224.0818、実測値は224.0840。
【0100】
2-((ヒドロキシイミノ)メチル)-6-(ピリジン-1-イウム-3-イルエチニル)ピリジン-1-イウムクロリド 13:
【化65】
【0101】
化合物12(40 mg)の水溶液(1 mL)に、1.2NのHCl(1 mL)を加え、2分間掻き混ぜ、
それを室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、HCl塩13を白色の固体として定量的収率で得た。IR(ニート法)νmax3018、2970、2502、2080、1561、1465、1290
、1005、813、726、674、548、499 cm-11H NMR(400 MHz, D2O)δ(ppm)9.05(br s,
1H)、8.83(br d, J = 5.8 Hz, 1H)、8.75(dt d, J = 1.6, 8.3 Hz, 1H)、8.19(s,
1H)、8.15~8.04(m, 2H)、7.87(dd, J = 0.6, 8.0 Hz, 1H)、7.81(br d, J = 0.6, 7.8 Hz, 1H);13C NMR(100 MHz, D2O)δ(ppm)150.85、149.74、148.30、144.75、142.04、141.28、139.9、130.03、128.12、123.99、122.81、92.14、85.20;HRMS (ESI)+
C13H10N3O+のm/z計算値は224.0818、実測値は224.0826。
【0102】
6-(4-(ナフタレン-1-イルアミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム20の合成:
【化66】
【0103】
2-(ナフチルアミノ)エタノール 15:
【化67】
【0104】
置換芳香族アミンの合成については、Coutyら1の手順に従う。1-ヨードナフタレン14(2.50 g、9.8 mmol)の溶液に、2-アミノエタノール(1.78 mL、29.5 mmol)、塩化銅(132 mg、1.0 mmol)および新たに粉砕したKOH(1.10 g、19.7 mmol)のDMSO溶液(2 mL)を、室温で18時間撹拌した。海老茶色の溶液にNH4Clの飽和水溶液(5 mL)を加え、こ
の溶液を抽出した(EtOAc、3 × 20 mL)。混合した抽出物を洗浄し(塩水、20 mL)、乾燥させ(MgSO4)、濾過して真空で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(軽質石
油エーテル中の30%のEtOAc)により、ベージュ色の油として表題化合物15(1.68 g、9.0 mmol)を得た。IR(ニート法)νmax 3404、3051、2973、2869、1581、785 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)7.93~7.76(m, 2H, ArH)、7.52~7.29(m, 4H, ArH)、6.67(d, J = 7.3 Hz, 1H, CHCNH)、4.01(t, J = 5.1 Hz, 2H, NHCH2CH2OH)、3.49(t,
J = 5.1 Hz, 2H, NHCH2CH2OH);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)142.8、134.6、128.7、126.4、125.9、125.0、123.9、120.0、118.5、105.5、61.0、46.6。
【0105】
2-[(2-ヒドロキシエチル)(ナフタレン-1-イル)アミノ]アセトニトリル 16:
【化68】
【0106】
芳香族アミノエタノールのN-シアノメチル化については、Coutyら1の手順に従う。2-(ナフチルアミノ)エタノール15(745 mg、4.0 mmol)とパラホルムアルデヒド(717 mg、8.0 mmol)のMeCN溶液(20 mL)を、90°Cで18時間加熱した。白色の懸濁液を室温に冷却し、この反応物にTMSCN(1.06 mL、8.0 mmol)およびAcOH(0.46 mL、8.0 mmol)を
加え、淡黄色の反応溶液を90°Cで18時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、H2O(40 mL
)を加え、水性混合物を抽出した(CH2Cl2、10 mL)。有機抽出物を、NaOH水溶液(1 M、20 mL)、塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過して真空中で濃縮した。シリ
カゲルのクロマトグラフィー(軽質石油エーテル中の30%のEtOAc)により、表題化合物16(850 mg、3.8 mmol、2工程で94%)を無色の固体として得た。融点70~71°C(文献1 71
~73°C);IR(ニート法)νmax 3422、3050、2956、2236、1705、1418、802 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.17(d, J = 8.3 Hz, 1H, 8-CH)、7.91(d, J = 7.6 Hz, 1H, 2-CH)、7.75(d, J = 7.6 Hz, 1H, 4-CH)、7.61~7.42(m, 4H, ArH)、4.17
(s, 2H, CH2CN)、3.78(br t, J = 5.0, 2H, NCH2CH2OH)、3.54(t, J = 5.0 Hz, 2H,
NCH2CH2OH);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)145.8、134.8、129.7、128.5、126.2、126.1、125.8、125.7、122.9、119.1、116.0、61.1、55.1、44.7。
【0107】
1-(ナフタレン-1-イル)アゼチジン-2-カルボニトリル 17:
【化69】
【0108】
芳香族アゼチジンの生成については、Coutyら1の手順に従う。2-[(2-ヒドロキシエチル)(ナフタレン-1-イル)アミノ]アセトニトリル16(500 mg、2.2 mmol)およびEt3N(0.77 mL、5.5 mmol)のCH2Cl2溶液(10 mL)に、0°CでMsCl(0.21 mL、2.6 mmol)を滴加した。無色の反応溶液を0℃で30分間撹拌し、徐々に室温まで温めた。反応物を室温でさらに30分間撹拌した。H2O(20 mL)を加え、有機層を分離して水層を抽出した(CH2Cl2、20mL)。混合した抽出物を、HCl(2 M、10 mL)水溶液と塩水(10 mL)で洗浄し、その後乾燥し(MgSO4)、濾過して真空で濃縮した。淡黄色の残留物を直接次の工程に
供し、無水THF(15 mL)中で取得した。この溶液に、0℃でtBuOK(297 mg、2.6 mol)を
加えた。反応物を徐々に室温まで温めて、H2O(20 mL)を加えた。溶液を抽出し(EtOAc
、3 × 20 mL)、混合した有機物を塩水(20 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過して真空中で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(軽質石油エーテル中の10%のEtOAc)により、表題化合物17(850 mg、3.8 mmol、2工程で94%)を無色の固体として得た。融点129~131°C(文献1 130~131°C);IR(ニート法)νmax 3433、3045、2958、2248、1577、788 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)7.96~7.82(m, 2H, ArH)、7.56~7.38(m, 4H, ArH)、6.75(d, J = 7.3 Hz, 1H, 2-CH)、4.93(dd, J = 8.3, 6.6 Hz, 1H, NCH2CH2CHCN)、4.51(ddd, J = 8.3, 6.6, 4.9 Hz, 1H, NCHHCH2CHCN)、3.88(
dt, J = 8.3, 6.8 Hz, 1H, NCHHCH2CHCN)、2.91~2.80(m, 1H, 2H, NCH2CHHCHCN)、2.78~2.66(m, 1H, NCH2CHHCHCN);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)145.0、134.7、128.6、126.1、125.6、125.2、125.1、122.9、122.5、118.4、109.5、54.3、51.0、22.7
【0109】
N-(3-ブチン-1-イル)ナフチルアミン 18:
【化70】
【0110】
芳香族アゼチジンからの芳香族ホモプロパルギルアミンの生成については、Coutyら1の手順に従う。1-(ナフタレン-1-イル)アゼチジン-2-カルボニトリル17(1.00 g、4.8 mmol)のトルエン溶液(15 mL)に、酸化ジブチルスズ(298 mg、1.2 mmol)およ
びTMSN3(0.95 mL、7.2 mmol)を加えて、この反応物を60℃で96時間撹拌した。褐色の反応溶液を室温に冷却して真空中で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ヘキサン中の2%のEtOAc)により、表題化合物18(454 mg、2.3 mmol、48%)を無色の油として得た。IR(ニート法)νmax 3293、3050、2975、2117、1690、767 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)7.90~7.79(m, 2H, 5-CH, 8-CH)、7.57~7.29(m, 4H, 3-CH, 4-CH, 6-CH, 7-CH)、6.66(d, J = 7.3 Hz, 1H, 2-CH)、3.50(t, J = 6.5 Hz, 2H, NHCH2CH2CCH)、2.69(td, J = 6.5, 2.7 Hz, 2H, NHCH2CH2CCH)、2.11(t, J = 2.7, 1H, NHCH2CH2CCH);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)146.7、134.4、128.7、126.4、125.9、125.0、123.8、121.0、119.9、118.3、85.2、70.4、27.4、18.9。
【0111】
N-(4-{6-[(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン-2-イル}ブタ-3-イン-1-イル)ナフタレン-1-アミン 19:
【化71】
【0112】
N-(3-ブチン-1-イル)ナフチルアミン18(400 mg、2.0 mmol)の脱気無水THF/Et3N溶液(7 mL/3 mL)に、Pd(PPh3)4(238 mg、0.2 mmol)およびCuI(78 mg、0.4 mmol)を加えた。得られたオレンジ色の反応混合物に、6-ブロモピコリンアルデヒドオキシム2(453 mg、2.2 mmol)の脱気無水THF溶液(20 mL)を滴加した。褐色の溶液を室温で16時間撹拌した。この反応物を真空中で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ヘ
キサンからヘキサン中10%のEtOAcまで)により、表題化合物19(350 mg、54%)をオレン
ジ色の固体として得た。融点143~144℃;1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.28(s, 1H, NOH)、7.95~7.73(m, 4H, ArH)、7.67(t, J = 7.8 Hz, 1H, 3-CH)、7.53~7.33(m, 4H, ArH)、6.70(d, J = 7.8 Hz, 1H, 2-CH)、3.66(t, J = 6.7 Hz, 2H, NHCH2CH2)、2.96(t, J = 6.7 Hz, 2H, NHCH2CH2);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)152
.0、150.5、143.1、142.1、136.8、134.4、128.7、127.8、127.3、126.4、125.9、125.0
、123.8、120.0、119.8、105.2、88.6、81.4、42.6、19.8;IR(ニート法)v 3350、3152、3047、2864、2645、2200 cm-1;HRMS (ESI)+ C20H18N3O+のm/z計算値は316.1444、実測値は316.1445。
【0113】
N-(4-{6-[(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン-2-イル}ブタ-3-イン-1-イル)ナフタレン-1-アミン 20:
【化72】
【0114】
N-(4-{6-[(1E)-(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン-2-イル}ブタ-3-イン-1-イル)ナフタレン-1-アミン19(173 mg、0.5 mmol)の脱気無水メタノール懸濁液(10 mL)に、パールマン触媒(77 mg、0.5 mmol)を加えた。反応容器を排気し、水素ガスで5回洗浄した。黒色の反応混合物を室温で18時間撹拌した。セライト
で濾過して触媒を除去し、溶媒を真空中で除去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ヘキサン中に50%のEtOAc)により、表題化合物20(60 mg、34%)を無色の固体として得た。融点151~152°C;IR(ニート法)νmax 3351、3047、2867、2642 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.21(s, 1H, NOH)、7.77~7.67(m, 2H, ArH)、7.60~7.49(m, 2H, ArH)、7.41~7.30(m, 2H, ArH)、7.26(t, J = 8.2 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.15(d, J = 8.2 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.09(dd, J = 7.1, 1.7 Hz, 1H, 7-CH)、6.53(d,
J = 7.5 Hz, 1H, 2-CH)、3.26(t, J = 6.9 Hz, 2H, NHCH2CH2CH2CH2)、2.85(t, J =
6.7 Hz, 2H, NHCH2CH2CH2CH2)、2.00~1.65(m, 4H, NHCH2CH2CH2CH2);13C NMR(101
MHz, CDCl3)δ(ppm)162.0、151.1、151.0、143.4、137.1、134.3、128.6、126.6、125.7、124.7、123.4、123.3、119.9、118.6、117.3、104.4、44.1、37.7、28.8、27.6;HRMS (ESI)+ C20H22N3O+のm/z計算値は320.1757、実測値は320.1759。
参考文献:
1.Couty et al. J. Org. Chem. 2016, 81, 2899-2910
2.Couty et al. Chem. Comms. 2016, 52, 10072-10075
【0115】
3-ヒドロキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブチル)ピコリン酸メチル26の合成:
【化73】
【0116】
4-ブロモキノリン 22:
【化74】
【0117】
ブロモキノリンの合成については、Margolisら1の手順に従う。4-キノリノール21(5.00 g、34.4 mmol)のDMF溶液(50 mL)に、60℃でPBr3(3.34 mL、35.5 mmol)を滴加した。添加すると、発泡を伴って黄色から鮮やかなオレンジ色への変化が観察された。オレンジ色の反応混合物を45℃で45分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、H2O(20 mL)で希釈し、NaHCO3の飽和水溶液を徐々に加えて、反応混合物をpH 10まで塩基化した。溶液
をCH2Cl2(5 × 20 mL)で抽出し、次に有機溶液をH2O(20 mL)と混合して洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過して真空中で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc)により、表題化合物22(5.56 g、26.7 mmol、78%)をクリーム状の固体として得た。物理的データおよび分光学的データは、報告値2と一致している。融点28~29°C(文献2 29.5~30.5°C);IR(ニート法)v 3062、1615、1058 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ 8.68(d, J = 4.6 Hz, 1H, NCH)、8.20(dd, J = 8.4, 0.9 Hz, 1H, NCCHCHCHCH)、8.11(d, J = 8.4 Hz, 1H, NCCHCHCHCH)、7.78(ddd, J = 8.4, 7.0, 1.4 Hz, 1H, NCCHCH)、7.71(d, J = 4.6 Hz, 1H, NCHCH)、7.66(ddd, J = 8.4, 7.0, 1.4 Hz, 1H, NCCHCHCHCH);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ 149.9、149.0、134.2、130.4、129.9、127.9、127.9、126.8、125.1。
【0118】
N-(ブタ-3-イン-1-イル)キノリン-4-アミン 24:
【化75】
【0119】
アルキル化キノリンの合成については、Musondaら3の手順に従う。市販の3-ブチン-1-アミン23(4.72 mL、57.7 mmol)を4-ブロモキノリン22(3.00 g、14.4 mmol)に
加えて、薄いクリーム色のペーストを形成した。このペーストを攪拌せずに80℃で1時間
加熱した。温度を140℃まで上昇させ、ペーストを撹拌しながら18時間加熱した。粘稠な
褐色の反応混合物を室温に冷却し、シリカゲルでのクロマトグラフィー(EtOAc中の20%のMeOH)によって精製して、表題化合物24(2.82 g、14.4 mmol、100%)をクリーム状の固
体として得た。融点165~166°C;IR(ニート法)νmax 3281、3169、3067、1573、1151 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 8.45(d, J = 5.9 Hz, 1H, NCH)、8.30(dd, J =
8.3, 1.2 Hz, 1H, NCCHCHCHCH)、7.93(br. s, 1H, NH)、7.82(dd, J = 8.3, 1.2 Hz, 1H, NCCHCHCHCH)、7.71(ddd, J = 8.3, 7.0, 1.2 Hz, 1H, NCCHCHCHCH)、7.51(ddd, J = 8.3, 7.0, 1.2 Hz, 1H, NCCHCHCHCH)、6.63(d, J = 5.9 Hz, 1H, NCHCH)、3.54(q, J = 7.0 Hz, 2H, NHCH2CH2CCH)、2.91(t, J = 2.7 Hz, 1H, NHCH2CH2CCH)、2.58(td, J = 6.8, 2.7 Hz, 2H, NHCH2CH2CCH);13C NMR(100 MHz, DMSO-d6)δ 151.3、148.2、145.1、130.2、126.4、124.7、122.1、118.1、98.3、82.1、72.6、41.4、17.8;HRMS (ESI)+ C13H13N2 +のm/z計算値は197.1073、実測値は197.1072。
【0120】
6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 25:
【化76】
【0121】
N-(ブタ-3-イン-1-イル)キノリン-4-アミン24(1.00 g、5.1 mmol)の脱気無水THF/Et3N(50 mL/15 mL)溶液にPd(PPh3)4(588 mg、0.5 mmol)およびCuI(194 mg、1.0 mmol)を加えた。得られたオレンジ色の反応混合物に、6-ブロモピコリンアル
デヒドオキシム2(1.13 g、5.6 mmol)の脱気無水THF溶液(20 mL)を滴加した。褐色の
溶液を室温で18時間撹拌した。この反応物を真空中で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc中の20%のMeOH)により、表題化合物25(1.55 g、4.9 mmol、96%)をオ
レンジ色の固体として得た。融点202~203°C(分解後);IR(ニート法)νmax 3291、3068、2947、2241、1617、1222、1051 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.90~11.69(m, 1H, CHNOH)、8.43(br d, J = 5.4 Hz, 1H, NCH)、8.23(d, J = 8.3 Hz, 1H, NCCH)、8.03(s, 1H, CHNOH)、7.85~7.65(m, 4H, ArH)、7.52~7.38(m, 3H, ArH)
、6.60(d, J = 5.4 Hz, 1H, NCHCH、3.61(q, J = 6.7 Hz, 2H, NHCH2CH2)、2.88(t, J = 6.7 Hz, 2H, NHCH2CH2);13C NMR(100 MHz, DMSO-d6)δ 152.5、150.3、149.8、148.4、147.8、142.4、137.8、129.0、128.6、126.8、124.1、121.7、118.9、118.7、98.5、88.7、81.1、48.6、18.6;HRMS (ESI)+ C19H17N4O+のm/z計算値は317.1397、実測値は317.1396。
【0122】
3-ヒドロキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブチル)ピコリン酸メチル 26:
【化77】
【0123】
(E)-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム25(575 mg、1.8 mmol)の脱気無水メタノール懸濁液(20 mL)に
、パールマン触媒(255 mg、1.8 mmol)を加えた。反応容器を排気し、水素ガスで5回洗
浄した。黒色の反応混合物を室温で18時間撹拌した。セライトで濾過して触媒を除去し、溶媒を真空で除去して表題化合物26(550 mg、1.7 mmol、94%)をクリーム状の固体とし
て得た。融点218~219℃;IR(ニート法)νmax 3145、3026、2985、1593、1224、1026、658 cm-11H NMR(400 MHz, D2O)δ 8.15(s, 1H, CHNOH)、8.01(d, J = 7.1 Hz, 1H, NCH)、7.89~7.49(m, 7H, ArH)、6.62(d, J = 7.1 Hz, 1H, NCHCH)、3.54(t, J = 6.6 Hz, 2H, NHCH2CH2CH2CH2)、3.09(t, J = 7.2 Hz, 2H, NHCH2CH2CH2CH2)、1.99
~1.76(m, 4H, NHCH2CH2CH2CH2);13C NMR(100 MHz, D2O)δ 156.1、146.7、145.0、142.7、141.7、137.6、134.1、127.5、127.4、123.2、122.3、122.1、120.2、116.8、98.
2、42.9、33.1、26.1、17.2;HRMS (ESI)+ C19H21N4O+のm/z計算値は321.1710、実測値は3321.1713。
参考文献:
1.Margolis, B. J. et al. J. Org. Chem. 2007, 72, 2232-2235
2.Charette, A. B., et al. J. Org. Chem. 2017, 82, 5046-5067
3.Musonda, C. C et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17, 4733-4736
【0124】
6-(4-((5-フルオロキノリン-4-イル)アミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム31の合成:
【化78】
【0125】
4-ブロモ-5-フルオロキノリン 28:
【化79】
【0126】
アニリンからの置換キノリンの合成については、Kilpin Guyら1の手順、かつキノリノ
ールのブロモキノリンの合成については、Pulleyら2の手順に従う。m-フルオロアニリ
ン27(6.00 g、54.0 mmol)のEtOH溶液(100 mL)に、メルドラム酸(9.49 g、65.9 mmol)およびオルトギ酸トリエチル(21.3 mL、128.0 mmol)を室温で加えた。黄色の溶液を90℃で2.5時間撹拌した。この溶液を0℃に冷却し、得られた黄色の固体を濾過し、冷EtOH
(20 mL)で洗浄した。得られた淡黄色の固体を、乾燥させて、280℃の還流ジフェニルエーテル(50 mL)中に5分かけて徐々に加えた。添加すると、大量の白色ガスが観察され、無色の溶液がオレンジ/褐色に変化した。還流を5分間保持し、反応混合物を室温まで冷
却した。この間に、溶液は遥かに濃い褐色に変わった。石油エーテル(50 mL)をこの溶
液に加え、得られた褐色の成長結晶を、濾過により分離した。シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc中に10%のMeOH)により、5-フルオロキノリン-4-オールと7-フルオロキノリン-4-オールの分離不可能な混合物(19F NMRによると約9:1、7.76 g、47.5 mmol)を得た。この混合物を、直接次の工程に提供した。
【0127】
5-フルオロキノリン-4-オールと7-フルオロキノリン-4-オールの位置異性体の分離不可能な混合物(4.00 g、24.5 mmol)のDMF溶液(30 mL)に、三臭化リン(1.86 mL、19.7 mmol)を60℃で加え、この混合物を45℃で45分間撹拌した。室温まで冷却後に
、H2O(25 mL)を加え、Na2CO3の飽和水溶液を加えて溶液のpHを10に調整した。得られた
結晶をH2O(10 mL)で洗浄した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ヘキサン中に25%のEtOAc)により、4-ブロモ-5-フルオロキノリン28(2.50 g、11.1 mmol、3工程で61%
)のみをオレンジ色の固体として得た。融点89~90°C;IR(ニート法)v 3091、3041、1621 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ 8.67(d, J = 4.6 Hz, 1H, NCH)、8.22(dd, J
= 9.2, 5.9 Hz, 1H, NCCH)、7.75(dd, J = 9.2, 2.7 Hz, 1H,NCCHCHCH)、7.68(d, J
= 4.6 Hz, 1H, NCHCH)、7.44(ddd, J = 9.2, 5.9, 2.7 Hz, 1H, NCCHCH);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ 161.9、150.6、149.6、133.7、128.9、124.7、124.1、118.0、113.1;19F NMR(376 MHz, CDCl3)δ 108.7;HRMS (ESI)+ C9H6BrFN+のm/z計算値は225.9662
、実測値は225.9658。
【0128】
N-(ブタ-3-イン-1-イル)-5-フルオロキノリン-4-アミン 29:
【化80】
【0129】
アルキル化キノリンの合成については、Musondaら3の手順に従う。3-ブチン-1-アミン23(0.55 mL、6.6 mmol)を4-ブロモ-5-フルオロキノリン28(1.50 g、6.6 mmol)に加えて薄いオレンジ色のペーストを生成した。このペーストを攪拌しながら100℃に18時間加熱した。この反応物を120℃にさらに2時間加熱した。粘稠な褐色の反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲルでのクロマトグラフィー(EtOAc中で100%のEtOAc 20%のMeOHまで)で精製して、表題化合物29(1.06 g、4.9 mmol、75%)をクリーム状の固体として
得た。融点225~226°C;IR(ニート法)νmax 3079、2911、2240、1966 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 8.39(d, J = 5.4 Hz, 1H, NCH)、8.27(dd, J = 10.8, 8.3 Hz,
1H, NCCH)、7.47(dd, J = 10.8, 2.5 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.44~7.39(m, 1H, NHCH2CH2CCH)、7.35(ddd, J = 10.8, 8.3, 2.5 Hz, 1H, NCCHCHCH)、6.49(d, J = 5.4 Hz, 1H, NCHCH)、3.45 (q, J = 7.1 Hz, 2H, NHCH2CH2CCH)、2.88(t, J = 2.7 Hz, 1H,
NHCH2CH2CCH)、2.55(td, J = 7.1, 2.7 Hz, 2H, NHCH2CH2CCH);13C NMR(100 MHz, DMSO-d6)δ 163.4、160.9、151.9、149.7、124.5、115.8、113.5、112.2、98.2、82.2、72.4、41.2、17.7;19F NMR(376 MHz, DMSO-d6)δ 112.1;HRMS (ESI)+ C13H12FN2 +のm/z計算値は215.0979、実測値は215.0983 Da。
【0130】
6-(4-((5-フルオロキノリン-4-イル)アミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 30:
【化81】
【0131】
N-(ブタ-3-イン-1-イル)-5-フルオロキノリン-4-アミン29(0.50 g、2.3 mmol)の脱気無水THF/Et3N(7 mL/3 mL)溶液に、Pd(PPh3)4(270 mg、0.2 mmol)お
よびCuI(89 mg、0.4 mmol)を加えた。得られたオレンジ色の反応混合物に、6-ブロモピコリンアルデヒドオキシム2(516 mg、2.6 mmol)の脱気無水THF溶液(20 mL)を滴加
した。褐色の溶液を室温で16時間撹拌した。この反応物を真空で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc)により、表題化合物30(140 mg、0.4 mmol、18%)を淡いクリーム色の固体として得た。融点168~169℃;IR(ニート法)νmax 3500、3435、3034、2960、2239、1966、1599、991 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.79(s, 1H, CHNOH)、8.42(d, J = 5.4 Hz, 1H, NCHCH)、8.30(dd, J = 9.2, 7.1 Hz, 1H, NCCHCHCHCF)、8.02(s, 1H, CHNOH)、7.83~7.69(m, 2H, ArH)、7.53(t, J = 5.6 Hz, 1H, NHCH2CH2)、7.48(dd, J = 10.8, 2.7 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.41(d, J = 7.1 Hz, 1H, NCCHCHCHCF)、7.35(td, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H, NCCHCHCH)、6.58(d, J = 5.4 Hz, 1H,
NCHCH)、3.66~3.51(m, 2H, NHCH2CH2)、2.86(t, J = 7.0 Hz, 2H, NHCH2CH2);13C NMR(100 MHz、DMSO-d6)δ 163.4、160.9、152.4、151.9、149.8、148.4、142.4、137.3、126.9、124.5、119.0、115.9、113.5、112.2、98.4、88.7、81.1、41.0、18.6;19F NMR(376 MHz、DMSO-d6)δ 111.9;HRMS (ESI)+ C19H16FN4O+のm/z計算値は335.1303、
実測値は335.1298。
【0132】
6-(4-((5-フルオロキノリン-4-イル)アミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 31:
【化82】
【0133】
6-(4-((5-フルオロキノリン-4-イル)アミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム30(50 mg、0.1 mmol)の脱気無水メタノール懸濁液(5 mL)に、パールマン触媒(21 mg、0.1 mmol)を加えた。反応容器を排気して水素ガスで5
回洗浄した。黒色の反応混合物を室温で18時間撹拌した。セライトで濾過して触媒を除去し、溶媒を真空で除去して表題化合物31(50 mg、0.1 mmol、99%)をクリーム状の固体として得た。融点206~207℃;IR(ニート法)vmax 3247、2935、2859、1978、1584、806 cm-11H NMR(400 MHz, D2O)δ 8.44(t, J = 8.1 Hz, 1H, NCCHCHCH)、8.19(d, J = 7.3 Hz, 1H, NCHCH)、8.16~8.13(m, 2H, CHNOH, NHCH2CH2CH2CH2)、7.91~7.81(m, 2H, NCCHCHCHCF, NCCHCHCHCF)、7.70(d, J = 8.1 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.42~7.32(m, 2H, NCCHCHCH)、6.70(d, J = 7.3 Hz, NCHCH)、3.58(t, J = 6.8 Hz, 2H, NHCH2CH2CH2CH2)、3.12(t, J = 7.7 Hz, 2H, NHCH2CH2CH2CH2)、2.01~1.76(m, 4H, NHCH2CH2CH2CH2);13C NMR(100 MHz, D2O)δ 166.0、136.5、161.5、159.1、155.8、146.5、141.9、139.0、127.0、125.6、124.0、116.2、113.5、105.1、98.0、42.8、39.9、26.9、25.9;19F NMR(376 MHz, D2O)δ 103.1;HRMS (ESI)+ C19H22FN4O+のm/z計算値は339.1980、実測値は339.1980。
参考文献:
1.Kiplin Guy, R. et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2005, 15, 1015-1018
2.Pulley et al. J. Org. Chem. 2007, 72, 2232-2235
3.Musonda, C. C. et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17, 4733-4736
【0134】
6-(4-((8-メトキシキノリン-4-イル)アミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム37の合成:
【化83】
【0135】
8-メトキシキノリン-4-オール 33:
【化84】
【0136】
アニリンからの置換キノリンの合成については、Kilpin Guyら1の手順に従う。o-ア
ニシジン32(2.50 g、20.3 mmol)のEtOH溶液(20 mL)に、室温でメルドラム酸(3.57 g、24.8 mmol)およびオルトギ酸トリエチル(8.00 mL、48.0 mmol)を加えた。黄色の溶
液を90℃で2.5時間撹拌した。この溶液を0℃まで冷却し、得られた黄色の固体を濾過し、冷EtOH(20 mL)で洗浄した。得られた淡黄色の固体を乾燥させ、280℃で還流ジフェニルエーテル(50 mL)中に5分かけて徐々に加えた。添加すると、大量の白色ガスが観察され、無色の溶液がオレンジ/褐色に変化した。還流を5分間保持し、反応混合物を室温に冷却した。この間に、溶液は遥かに濃い褐色に変化した。石油エーテル(50 mL)をこの溶
液に加え、得られた黄色の成長結晶を、濾過により分離した。シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc中に5%のMeOH)により、8-メトキシキノリン-4-オール33(7.76 g、47.5 mmol)を淡いオレンジ色の固体として得た。融点168℃(文献2:168~169℃);IR(ニート法)v 2921、2851、1272、1041 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)11.35(s, 1H, OH)、7.58~7.70(m, 1H, NCH)、7.38~7.43(m, 1H, ArH)、7.23~7.27(m, 2H, OHCCCH, OMeCCH)、6.95~7.08(m, 1H, OHCCH)、3.99(s, 3H, OMe);13C NMR(101 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)177.1、149.0、139.3、130.5、123.2、119.1、116.7、111.4、109.6、56.6;HRMS (ESI)+ C10H10NO2 +のm/z計算値は176.0706、実測値は176.0707
【0137】
4-ブロモ-8-メトキシキノリン 34:
【化85】
【0138】
キノリノールからのブロモキノリンの合成については、Pulleyら3の手順に従う。8-
メトキシキノリン-4-オール33(2.50 g、14.3 mmol)のDMF溶液(20 mL)に、60℃で
三臭化リン(1.54 mL、16.4 mmol)を加え、この混合物を45℃で45分間撹拌した。室温まで冷却後に、H2O(25 mL)を加え、Na2CO3の飽和水溶液を加えて溶液のpHを10に調整した。得られたクリーム色の結晶を濾過し、H2O(10 mL)で洗浄して4-ブロモ-5-フルオロキノリン34(2.58 g、10.8 mmol、76%)をクリーム状の固体として得た。融点99~101
°C;IR(ニート法)νmax 1252、1085 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.69
(d, J=4.6 Hz, 1H, NCH)、7.78(d, J=8.1 Hz, 1H, BrCCCH)、7.75(d, J=4.8 Hz, 1H, BrCCH)、7.58(t, J=8.2 Hz, 1H, ArH)、7.14(d, J=8.0 Hz, 1H, ArH)、4.12(s,
3H, OMe);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)155.5、148.5、134.1、129.0、128.0
、125.8、118.5、108.5、56.3;HRMS (ESI)+ C10H9BrNO+のm/z計算値は237.9862、実測値は237.9865。
【0139】
N-(ブタ-3-イン-1-イル)-8-メトキシキノリン-4-アミン 35:
【化86】
【0140】
アルキル化キノリンの合成については、Musondaら4の手順に従う。3-ブチン-1-アミン23(1.20 mL、14.7 mmol)を4-ブロモ-8-メトキシキノリン34(0.70 g、2.9 mmol)に加えてオレンジ/黄色のペーストを生成した。このペーストを攪拌せずに80℃に1
時間加熱した。撹拌しながら、温度を100℃まで18時間にわたって上昇させた。粘稠な褐
色の反応混合物を室温まで冷却し、アルミナ(塩基性)ゲルのクロマトグラフィー(EtOAc中に10%のMeOH)により精製して、表題化合物35(0.80 g、2.9 mmol、99%)を淡いオレ
ンジ色の固体として得た。融点154~155°C;IR(ニート法)νmax 3279、2938、2240、753 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)8.36(d, J=5.4 Hz, 1H, NCH)、7.73(d, J=7.8 Hz, 1H, MeOCCHCHCH)、7.35(t, J=8.1 Hz, 1H, MeOCCHCH)、7.10(d, J=7.3
Hz, 1H, OMeCCH)、6.55(d, J=5.4 Hz, 1H, NCHCH)、3.91(s, 3H, OMe)、3.39~3.53(m, 2H, CH2CH2CCH)、2.89(t, J=2.6 Hz, 1H, CH2CH2CCH)、2.56(td, J=7.1, 2.7 Hz, 2H, CH2CH2CCH);13C NMR(101 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)155.2、149.9、148.8、139.6、124.3、119.6、113.3、108.5、99.1、82.5、72.6、55.8、41.5、18.0;HRMS (ESI)+
C14H15N2O+のm/z計算値は227.1179、実測値は227.1183。
【0141】
6-(4-((8-メトキシキノリン-4-イル)アミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 36:
【化87】
【0142】
N-(ブタ-3-イン-1-イル)-8-メトキシキノリン-4-アミン35(1.00 g、4.4 mmol)の脱気無水THF/Et3N(7 mL/3 mL)溶液に、Pd(PPh3)4(511 mg、0.4 mmol)およびCuI(168 mg、0.9 mmol)を加えた。得られたオレンジ色の反応混合物に、6-ブロ
モピコリンアルデヒドオキシム2(977 mg、4.8 mmol)の脱気無水THF溶液(20 mL)を滴
加した。この褐色の溶液を室温で16時間撹拌した。反応物を真空で濃縮した。アルミナ(塩基性)ゲルのクロマトグラフィー(EtOAc中に10%のMeOH)により、表題化合物36(400 mg、1.1 mmol、26%)を黄色の固体として得た。融点171~172℃;IR(ニート法)νmax 3084、2900、2236、1617、1277、745 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.79(s, 1H, CHNOH)、8.35(d, J = 6.1 Hz, 1H, NCHCH)、7.98(m, 2H, NCC(OMe)CHCHCH, CHNOH
)、7.78(t, J = 7.8 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.72(d, J = 7.8 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.49(d, J = 8.2 Hz, 1H, NCC(OMe)CHCHCH)、7.39(d, J = 7.8 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.29(d, J = 8.2 Hz, 1H, NCC(OMe)CHCHCH)、6.84(d, J = 6.1 Hz, 1H, NCHCH)、3.99
(s, 3H, OMe)、3.71(br t, J = 7.0, 2H, NHCH2CH2)、2.90(t, J = 7.0 Hz, 2H, NHCH2CH2);13C NMR(100 MHz, DMSO-d6)δ 152.6、152.5、152.1、148.3、145.1、142.3、137.3、134.2、126.8、125.4、119.0、118.5、113.7、110.3、99.0、88.3、81.3、56.1、48.5、18.7;HRMS (ESI)+ C20H19N4O2 +のm/z計算値は347.1503、実測値は347.1506。
【0143】
6-(4-((8-メトキシキノリン-4-イル)アミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 37:
【化88】
【0144】
6-(4-((8-メトキシキノリン-4-イル)アミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリン-アルデヒドオキシム36(110 mg、0.3 mmol)の脱気無水メタノール懸濁液(10 mL)に、パールマン触媒(9 mg、0.1 mmol)を加えた。反応容器を排気し、水素ガス
で5回洗浄した。黒色の反応混合物を室温で18時間撹拌した。セライトで濾過して触媒を
除去し、溶媒を真空中で除去して、表題化合物37(40 mg、0.1 mmol、36%)をクリーム状の固体として得た。融点107~108℃;IR(ニート法)νmax 2927、1617、1581、980 cm-11H NMR(400 MHz, MeOD-d6)δ 8.29(d, J = 5.6 Hz, 1H, NCHCH)、8.08(s, 1H, CHNOH)、7.71~7.57(m, 3H, ArH)、7.34(t, J = 8.2 Hz, 1H, NCC(OMe)CHCHCH)、7.24~7.19(m, 1H, NCC(OMe)CHCHCH)、7.08(d, J = 7.8 Hz, 1H, NCCHCHCH)、6.48(d, J
= 5.6 Hz, NCHCH)、3.98(s, 3H, OMe)、3.36(t, J = 7.1 Hz, 2H, NHCH2CH2CH2CH2
)、2.83(t, J = 7.1 Hz, 2H, NHCH2CH2CH2CH2)、1.94~1.66(m, 4H, NHCH2CH2CH2CH2);13C NMR(100 MHz, MeOD-d6)δ 163.2、156.2、153.3、152.7、150.0、149.6、140.4、138.8、125.8、124.5、121.1、119.3、113.8、109.3、99.9、56.4、43.8、38.4、28.9、28.7:HRMS (ESI)+ C20H23N4O2 + のm/z計算値は351.1816、実測値は351.1817。
参考文献:
2.Kiplin Guy, R. et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2005, 15, 1015-1018
3.Lauer et al. J. Am. Chem. Soc., 1946, 68, 1268
4.Pulley et al. J. Org. Chem. 2007, 72, 2232-2235
5.Musonda, C. C.; Little, S.; Yardley, V.; Chibale, K. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17, 4733-4736
【0145】
6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロピル)ピコリンアルデヒドオキシム43の合成:
【化89】
【0146】
N-ベンジルピペラジン 39:
【化90】
【0147】
ベンジルピペラジンの合成については、BozellとBiannic1の手順に従う。ピペラジン38(12.9g、149.0mmol)の無水CH2Cl2溶液(100 mL)に、臭化ベンジル(3.56 mL、29.8 mmol)を0℃で滴加した。この反応物を0℃で1時間撹拌した。淡黄色の溶液をNaHCO3の飽和
水溶液(2 × 50 mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して真空中で濃縮した。純粋なEtOHを加えて、白色の沈殿物を溶液から濾過した。この溶液を真空で濃縮して、表題化合物39(24.8 g、141.0 mmol、94%)を粘稠な黄色の油として得た。IR(ニート法)νmax
3289、2990、2960、2120、1120 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)7.36~7.28
(m, 5H, ArH)、3.50(s, 2H, CH2Ph)、2.90(t, J = 4.9 Hz, 4H, CH2N(Bn)CH2)、2.55~2.30(m, 5H, CH2NHCH2);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)138.1、129.2、128.2、127.0、63.7、54.5、46.1。
【0148】
1-ベンジル-4-プロパルギルピペラジン 41:
【化91】
【0149】
ピペラジンのプロパルギル置換については、Corey, M.2の手順に従う。N-ベンジルピペラジン39(1.75 g、9.93 mmol)の溶液に、臭化プロパルギル40(トルエン中に80%)(
1.28 mL、14.9 mmol)およびDIPEA(3.28 mL、19.9 mmol)のCH2Cl2溶液(50 mL)を、室温で18時間撹拌した。H2O(30 mL)を加えて、水相を分離して抽出した(3 × 20 mL)。混合した有機層を洗浄し(塩水、30 mL)、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して真空中で濃縮
した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ヘキサン中に50%のEtOAc)により、表題化合物41(2.04 g、9.5 mmol、96%)をオレンジ色の油として得た。IR(ニート法)νmax 3290
、3026、2933、2807、2117、697 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)7.37~7.28
(m, 5H, ArH)、3.56(s, 2H, PhCH2)、3.30(d, J = 2.5 Hz, 2H, NCH2CCH)、2.73~2.44(m, 8H, PizCH2)、2.25(t, J = 2.5 Hz, 1H, NCH2CCH);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)129.5、129.3、128.3、127.2、78.9、73.20、62.8、52.8、51.7、46.8;HRMS (ESI)+ CxHxNx +のm/z計算値は215.1543、測定値は215.1542。
【0150】
6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロパ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 42:
【化92】
【0151】
1-ベンジル-4-プロパルギルピペラジン41(1.30 g、6.1 mmol)の脱気無水THF/Et3N(7 mL/3 mL)溶液に、Pd(PPh3)4(0.70 g、0.6 mmol)およびCuI(0.23 g、1.2 mmol
)を加えた。得られたオレンジ色の反応混合物に、6-ブロモピコリンアルデヒドオキシム2(1.34 g、6.7 mmol)の脱気無水THF(20 mL)溶液を滴加した。褐色の溶液を室温で18時間撹拌した。反応物を真空で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc)により、表題化合物42(750 mg、2.2 mmol、37%)をクリーム状の固体として得た。融点143~145℃;IR(ニート法)νmax 3150、3048、2944、2808、2364、734 cm-11H NMR(400
MHz, CDCl3)δ(ppm)12.17(s, 1H, NOH)、7.99(s, 1H, CHNOH)、7.71(dd, J = 8.0, 1.0 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.53(t, J = 8.0 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.43~7.20(m, 6H, ArH)、3.70(s, 2H, NCH2CC)、3.63(s, 2H, PhCH2)、3.08~2.36(m, 8H, PizCH2);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)152.7、149.0、142.2、136.4、136.3、129.9
、128.4、127.6、127.1、119.1、85.3、84.3、63.2、52.9、50.5、47.2;HRMS (ESI)+ C20H23N4O+のm/z計算値は335.1866、実測値は335.1863。
【0152】
6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロピル)ピコリンアルデヒドオキシム 43:
【化93】
【0153】
6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロパ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム42(200 mg、0.6 mmol)の脱気無水メタノール懸濁液(10 mL)
に、パールマンの触媒(44 mg、0.3 mmol)を加えた。反応容器を排気し、水素ガスで5回洗浄した。黒色の反応混合物を室温で2時間撹拌した。セライトで濾過して触媒を除去し
、溶媒を真空中で除去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(CH2Cl2からCH2Cl2中の10%のMeOHまで)により、表題化合物43を淡黄色の油(53%)として得た。IR(ニート法)ν
max 3162、3057、2939、2816、808 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.19(s, 1H, CHNOH)、7.58~7.51(m, 2H, ArH)、7.36~7.27(m, 5H, ArH)、7.10(dd, J = 6.5, 2.2 Hz, 1H, NCCHCHCH)、3.55(s, 2H, PhCH2)、2.82(t, J = 7.8 Hz, 1H, NCH2CH2CH2)、2.72~2.35(m, 10H, PizCH2, NCH2CH2CH2)、2.02(5重線、、J = 7.8 Hz, NCH2CH2CH2);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)161.3、151.8、150.3、137.6、136.6
、129.4、128.3、127.2、122.8、118.0、62.9、57.7、25.8、25.5、35.8、26.3;HRMS (ESI)+ C20H27N4O+のm/z計算値は339.2179、実測値は339.2176。
参考文献
1.Bozell. J. J. et al. Org. Lett. 2013, 15, 2730-2733
2.Corey, M., et al. WO2017/184996 A1 (2017)
【0154】
6-(3-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)プロピル)ピコリンアルデヒドオキシム48の合成:
【化94】
【0155】
p-トルエンスルホン酸3-ブチニル 45:
【化95】
【0156】
p-トルンスルホニル保護アルコールの生成については、Winssingerら1の手順に従う
。3-ブチン-1-オール44(3.00 g、42.8 mmol)、DMAP(522 mg、4.3 mmol)およびEt3N(55.6 mL、7.70 mmol)のCH2Cl2溶液(15 mL)に、0°CでTsCl溶液(8.98 g、47.1 mmol)を滴加した。黄色の反応溶液を室温まで温めて2時間撹拌した。H2O(30 mL)を加えて反応物を室温で20分間撹拌した。有機層を分離して水層を抽出した(CH2Cl2、5 × 40 mL)。混合した抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して真空中で濃縮した。これにより、表題化合物45(9.60 g、42.8 mmol、100%)が赤/褐色の油として得られた。IR(ニート
法)νmax3433、3045、2958、2248、1577、788 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)7.81(d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH)、7.36(d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH)、4.11(t, J = 7.1 Hz, 2H, TsOCH2CH2CCH)、2.56(td, J = 7.1, 2.7 Hz, 2H, TsOCH2 TsOCH2CH2CCH)
、2.46(s, 3H, PhCH3)、1.98(t, J = 2.7 Hz, 1H, TsOCH2CH2CCH);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)145.0、132.8、129.9、128.0、78.3、70.7、67.4、21.6、19.4。
【0157】
1-ベンジル-4-(ブタ-3-イン-1-イル)ピペラジン 46:
【化96】
【0158】
アルキル化ピペラジンの生成については、Guarnaら2の手順に従う。p-トルエンスル
ホン酸3-ブチニル45(2.30 mL、10.3 mmol)のDMF溶液(60 mL)に、Na2CO3(1.20 g、11.3 mmol)およびN-ベンジルピペラジン39(2.00 g、11.3 mmol)を加えた。オレンジ色の溶液を80℃で一晩撹拌した。反応混合物をH2O(10 mL)で停止し、エーテル(10 mL
)を加えた。有機層を分離し、H2O(5 × 10 mL)、塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して真空中で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(100%のCH2Cl2からCH2Cl2中の10%のMeOHまで)により、表題化合物46(1.70 g、7.4 mmol、72%)をオレンジ色の油として得た。IR(ニート法)νmax 3291、3026、2939、2807、2119、1676、697 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)7.35~7.28(m, 5H, ArH)、3.52(s, 2H, PhCH2)、2.61(t, J = 7.6 Hz, 2H, NCH2CH2CCH)、2.58~2.42(m, 8H, PizCH2)、2.41~2.34(m, 2H, NCH2CH2CCH)、1.97(t, J = 2.7 Hz, 1H, NCH2CH2CCH);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)138.1、129.2、128.2、127.0、82.8、69.0、63.0、57.0、52.9
、52.8、16.8;HRMS (ESI)+ CxHxNx+のm/z計算値は229.1699、実測値は229.1695。
【0159】
6-(4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 47:
【化97】
【0160】
1-ベンジル-4-(ブタ-3-イン-1-イル)ピペラジン46(1.55 g、6.8 mmol)の脱気無水THF/Et3N(7 mL/3 mL)溶液に、Pd(PPh3)4(1.16 g、0.7 mmol)およびCuI(0.19 g、1.4 mmol)を加えた。得られたオレンジ色の反応混合物に、6-ブロモピコリン
アルデヒドオキシム2(1.50 g、7.47 mmol)の脱気無水THF溶液(20 mL)を滴加した。褐色の溶液を室温で18時間撹拌した。この反応物を真空で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ヘキサン中50%のEtOAcからEtOAcまで)により、表題化合物47(150 mg、0.4
mmol、6%)をクリーム状の固体として得た。融点134~136°C;IR(ニート法)νmax 3161、3060、2954、2808、2231、740 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)11.48(s,
1H, NOH)、8.20(s, 1H, CHNOH)、7.76(dd, J = 8.0, 1.0 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.59(t, J = 8.0 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.35~7.27(m, 6H, ArH)、3.56(s, 2H, PhCH2)、2.82~2.41(m, 12H, PizCH2, NCH2CH2CC);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)152.9、149.7、143.1、137.4、136.5、129.5、128.3、127.3、126.7、119.1、89.1、80.8、63.0、56.6、52.6、52.5、17.4;HRMS (ESI)+ C21H25N4O+のm/z計算値は349.2023、実測値は349.2018。
参考文献
1.Winssinger et al. Chem. Comms. 2010, 46, 5476-5478
2.Guarna et al. J. Med. Chem. 2010, 53, 7119-7128
【0161】
6-(4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム
48:
【化98】
【0162】
6-(4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム47(60 mg、0.2 mmol)の脱気無水メタノール(5 mL)懸濁液に、
パラジウム(炭素表面に10%、4 mg、0.04 mmol)を加えた。反応容器を排気し水素ガスで5回洗浄した。黒色の反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。触媒をセライトで濾過して除去し、溶媒を真空中で除去して表題化合物48(53 mg、0.2 mmol、87%)を黄色の油として得た。IR(ニート法)νmax 3181、3060、2938、2818、791 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.18(s, 1H, CHNOH)、7.62~7.50(m, 2H, ArH)、7.34~7.29(m, 5H, ArH)、7.11(dd, J = 7.3, 1.4 Hz, 1H, NCCHCHCH)、5.31(s, 2H, PhCH2)、2.82(t,
J = 7.3 Hz, 2H, NCH2CH2CH2CH2)、2.59~2.31(m, 10H, PizCH2, NCH2CH2CH2CH2)、1.76(5重線、J = 7.3 Hz, NCH2CH2CH2CH2)、1.58(br s, 2H, NCH2CH2CH2 CH2);13C NMR(101 MHz, CDCl3)δ(ppm)161.9、151.5、150.6、136.7、136.6、129.3、128.2、127.1、122.9、118.1、63.0、58.4、53.0、52.7、37.9、27.6、26.1;HRMS (ESI)+ C20H27N4O+のm/z計算値は353.2336、実測値は353.2332。
【0163】
6-(4-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシムの合成
51:
【化99】
【0164】
1-(ブタ-3-イン-1-イル)-3,7-ジメチル-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン 50:
【化100】
【0165】
光延反応(Mitsunobu reaction)による置換アミンの合成については、Itoら1の手順に従う。3-ブチン-1-オール44(0.10 mL、1.4 mmol)、テオブロミン49(500 mg、2.8
mmol)およびトリフェニルホスフィン(728 mg、2.8 mmol)のTHF溶液(15 mL)に、ADDP(700 mg、2.8 mmol)を室温で加えた。黄色の反応物を60℃に24時間加熱した。クリー
ム色の反応溶液を希釈し(H2O、50 mL)、水溶液を抽出した(EtOAc、3 × 20 mL)。混
合した有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。白色の残留物をシリカ
ゲルのクロマトグラフィー(EtOAc)により精製して、1-(ブタ-3-イン-1-イル
)-3,7-ジメチル-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン50(120 mg、0.5 mmol、37%)を白色の固体として得た。融点192~193°C;IR(ニート法)νmax 3228、3107、2951、1697、1651 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)8.00(s, 1H, NCHN)、3.99(t, J = 7.6 Hz, 2H, NCH2CH2CCH)、3.87(s, 3H, NCHN(CH3))、3.40(s, 3H, NCON(CH3))、2.84(t, J = 2.7 Hz, 1H, NCH2CH2CCH)、2.45(td, J = 7.6, 2.7 Hz, 1H, NCH2CH2CCH);13C NMR(101 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)154.6、151.1、148.7、143.5、107.0、81.5、73.0、40.6、33.6、29.8、17.3;HRMS (ESI)+ C11H13N4O2 +のm/z計算値は233.1033かつ実測値は233.1035、C11H12N4NaO2 +のm/z計算値は255.0852かつ実測値は255.0857。
【0166】
6-(4-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 51:
【化101】
【0167】
1-(ブタ-3-イン-1-イル)3,7-ジメチル-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン50(200 mg、0.9 mmol)の脱気無水THF/Et3N(7 mL/3 mL)溶液に、Pd(PPh3)4(99 mg、0.1 mmol)およびCuI(33 mg、0.2 mmol)を加えた。得られたオレンジ色の反
応混合物に、6-ブロモピコリンアルデヒドオキシム2(190 mg、1.0 mmol)の脱気無水THF(10 mL)溶液を滴加した。褐色の溶液を室温で16時間撹拌した。この反応物を真空中
で濃縮して、粗生成物としてオレンジ色の固体を得た。シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAcからEtOAc中10% MeOHまで)により、表題化合物51(111 mg、0.3 mmol、36%)を
無色の固体として得た。融点210~211℃;IR(ニート法)νmax 3178、3087、2872、2230、1700、1647、759 cm-11H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.75(s, 1H, CHNOH)、8.03(s, 1H, CHNOH)、8.00(s, 1H, NCHN)、7.79(t, J = 8.1 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.73(dd, J = 8.1, 1.0 Hz, 1H, NCCHCHCH)、7.39(dd, J = 8.1, 1.0 Hz, 1H, NCCHCHCH)、4.12(t, J = 7.5 Hz, 2H, NHCH2CH2)、3.88(s, 3H, NCHN(CH3))、3.42(s, 3H, NCON(CH3))、2.75(t, J = 7.5 Hz, 2H, NHCH2CH2);13C NMR(100 MHz, DMSO-d6)δ 154.2、152.4、150.7、148.4、148.3、143.1、142.3、137.3、126.8、119.0、118.9、106.5、87.4、81.3、33.2、29.4、17.7;HRMS (ESI)+ C17H17N6O3 +のm/z計算値は353.1357、実測値は353.1358。
参考文献
1.Ito, S. et al. Tet. Letts., 1993, 34, 1639-1642
【0168】
II-二官能性Neca類似体の合成
【化102】
【0169】
(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(ブタ-3-イン-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-フロ[3、4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 54:
【化103】
【0170】
(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロ-フロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボン酸 53の合成は、Debnath, J.ら1の手順を用いて達成された。
【0171】
酸53(500 mg、1.56 mmol、1当量)の乾燥ピリジン撹拌溶液(15 mL)に、1-アミノ-3-ブチン22(140 μL、1.71 mmol、1.1当量)およびEDCI(598 mg、3.12 mmol、2当
量)を連続して加え、反応混合物を窒素雰囲気下の室温で一晩撹拌した。完了後に、この反応混合物を減圧下で直接濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAcから95:5
のEtOAc/MeOHまで)によって精製して、所望のアミド54を淡黄色の固体(500 mg、80%)
として得た。Rf(純粋なEtOAc)0.18;IR(ニート法)νmax 3289、3142、1672、1601、1526、1206、1090、1058、868、789、645、514 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm
)8.32(s, 1H)、7.89(s, 1H)、7.28(m, 1H)、6.33(s, 2H)、6.13(d, J = 2.5 H
z, 1H)、5.47(dd, J = 2.1, 6.2 Hz, 1H)、5.39(dd, J = 2.5, 6.2 Hz, 1H)、4.74
(d, J = 2.1 Hz, 1H)、3.21(m, 2H)、2.21(m, 1H)、2.10(m, 1H)、1.82(t, J =
2.6 Hz, 1H)、1.63(s, 3H)、1.40(s, 3H);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)168.98、155.86、153.11、148.99、139.82、120.21、114.37、91.70、86.33、83.59、82.88、80.81、69.83、37.49、26.95、25.07、18.85;HRMS (ESI)+ C17H21N6O4 +のm/z計算値
は373.1575、実測値は373.1619。
【0172】
(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(4-(6-ホルミルピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 55:
【化104】
【0173】
メチル6-ブロモピコリンアルデヒド1(275 mg、1.478 mmol、1.1当量)の脱気THF/Et3N(10 mL/8 mL)溶液に、Pd[PPh3]4(233 mg、0.202 mmol、0.15当量)およびCuI(77 mg、0.403 mmol、0.3当量)を加えた。この反応混合物を室温で5分間脱気した後に、アル
キン54(500 mg、1.344 mmol、1当量)の脱気THF溶液(10 mL)を滴加し、反応混合物を
室温で16時間撹拌した。完了後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(純粋なEtOAcから9:1のEtOAc/MeOHまで)によって精製して、所望の結合ピコリンアルデヒド55を濃厚シロップ(510 mg、80%)として得た。IR(ニート法)νmax 3318、1638、1582、1452、1209、1078、868、797、646、509 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)9.90(s, 1H)、8.24(s, 1H)、7.85~7.65(m, 3H)、7.38(m, 1H)、6.40(s, 1H)、6.02(s, 1H)、5.33(s, 2H)、4.70(s, 1H)、3.35(m, 2H)、2.60~2.32(m, 2H)、1.57(s, 3H)、1.31(s, 3H);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)192.88、169.13、155.67、153.12、152.63、148.97、143.63、139.87、137.20、130.85、120.19、114.62、91.94、88.87、85.74、83.55、82.54、80.66、37.41、27.09、25.11、20.08;HRMS (ESI)+ C23H24N7O5 +のm/z計算値は478.1806、実測値は478.1833。
【0174】
(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(4-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 56:
【化105】
【0175】
ピコリンアルデヒド55(80 mg、0.168 mmol、1当量)、塩酸ヒドロキシルアミン(23 mg、0.336 mmol、2当量)、およびCH3CO2Na(41 mg、0.503 mmol、3当量)の乾燥エタノー
ル溶液(5 mL)を、還流させて16時間撹拌した。減圧濃縮後に、粗生成物をCH2Cl2(5 * 10 mL)で洗浄して、全ての不純物を除去した。丸底フラスコ内に存在する化合物はピコ
リンアルデヒドオキシム56であり、これを高真空中で乾燥させて(82 mg、定量的収率)
1H NMRにより確認した。Rf(EtOAc);IR(ニート法)νmax 3186、2925、1643、1579
、1207、1089、980、867、797、726、649、509 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.20(s, 1H)、8.11(s, 1H)、7.92(m, 2H)、7.46(m, 2H)、7.02(m, 3H)、6.05(d, J = 2.7 Hz, 1H)、5.35(dd, J = 2.0, 6.2 Hz, 1H)、5.29(dd, J= 2.7, 6.2 Hz, 1H)、4.74(d,J = 2.0 Hz, 1H)、3.41(m, 2H)、2.57~2.33(m, 2H)、1.59(s, 3H)、1.433(s, 3H);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)169.14、155.54、152.89、152.05、149.16、148.60、142.61、139.82、136.66、126.72、119.58、119.47、114.74、91.86、88.15、85.78、83.45、82.68、81.13 37.45、27.11、25.14、20.21;HRMS (ESI)+
C23H25N8O5 +のm/z計算値は493.1901、実測値は493.1942。
【0176】
(2S、3S、4R、5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-N-(4-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド 57:
【化106】
【0177】
オキシム56(30 mg、0.061 mmol、1当量)の乾燥MeOH撹拌溶液(5 mL)に、1.2 Nの HCl(185 μL、0.610 mmol、10当量)を加え、反応混合物を55°Cで5時間撹拌した。完了後に、反応混合物を減圧下で直接濃縮し、残留物を逆相カラムクロマトグラフィー(1:4のMeOH/H2O)によって精製して、塩57を白色の固体として定量的収率で得た。IR(ニート法
)νmax 3192、2927、1644、1580、1448、1305、1254、1045、989、808、726、642、533 cm-11H NMR(400 MHz, CD3OD)δ(ppm)8.26(s, 1H)、8.25(s,1H)、7.90(s, 1H
)、7.68(br d, J = 7.8 Hz, 1H)、7.0(t, J = 7.8 Hz, 1H)、7.13(d, J = 7.5 Hz,
1H)、6.30(d, J = 7.9 Hz, 1H)、4.85(s, 1H)、4.54(s, 1H)、4.39(br d, J = 4.3 Hz, 1H)、3.63(m, 2H)、2.74(m, 2H);13C NMR(100 MHz, CD3OD)δ(ppm)172.76、157.47、154.03、153.96、150.15、149.49、143.97、142.67、138.49、128.24、121.22、120.73、90.84、89.91、86.78、82.11、75.30、73.56、38.93、21.02;HRMS (ESI)+ C23H25N8O5 +のm/z計算値は493.1901、実測値は493.1942。
参考文献
1.Debnath, J. et al. Bioorg. Med. Chem. 2010, 18, 8257-8263
【0178】
III -二官能性疑似Neca類似体の合成
【化107】
【0179】
N-(9-((3aR、4R、6R、6aR)-6-(((3-(6-ホルミルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド 59:
【化108】
【0180】
N-(9-((3aR、4R、6R、6aR)-2,2-ジメチル-6-((プロパ-2-イン-1-イルオキシ)メチル)-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド 58の合成は、Silvia, F.ら1の既知の手順を用いて達成された。
【0181】
6-ブロモピコリンアルデヒド1(91 mg、0.490 mmol、1.1当量)の脱気THF/Et3N(3 mL/2 mL)溶液に、Pd[PPh3]4(77 mg、0.067 mmol、0.15当量)およびCuI(25 mg、0.134 mmol、0.3当量)を加えた。反応混合物を室温で5分間脱気後に、アルキン58(200 mg、0.445 mmol、1当量)の脱気THF溶液(3 mL)を滴加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。完了後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(4:1のEtOAc/石油エーテル)によって精製して、所望の結合ピコリンアルデヒド59を濃厚なシロ
ップ(200 mg、81%)として得た。IR(ニート法)νmax 2935、1704、1609、1580、1452
、1248、1210、1074、864、709、645、541 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)9.97(s, 1H)、8.76(s, 1H)、8.32(s, 1H)、7.94(d, J= 7.6 Hz, 2H)、7.85~7.77
(m, 2H)、7.63~7.51(m, 2H)、7.45(t, J= 7.6 Hz, 2H)、6.25(d, J = 2.1 Hz, 2H)、5.32(dd, J= 2.1, 6.2 Hz, 1H)、5.03(dd, J= 2.1, 6.2 Hz, 1H)、4.56(q, J=
2.9 Hz, 1H)、4.37(s, 2H)、3.89~3.77(m, 2H)、1.61(s, 3H)、1.37(s, 3H)
13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)192.58、164.85、152.75、152.59、151.49、149.28、142.85、141.91、137.53、13335、132.81、131.23、128.78、127.81、123.24、120.91、114.32、91.61、85.94、 85.47、85.20、84.55、70.32、59.09、27.12、25.28:HRMS (ESI)+ C29H27N6O6 +のm/z計算値は555.2005、実測値は555.1987。
【0182】
N-(9-((3aR、4R、6R、6aR)-6-(((3-(6-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド 60:および
【化109】

6-(3-(((3aR、4R、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メトキシ)プロパ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 61:
【化110】
【0183】
ピコリンアルデヒド59(200 mg, 0.361 mmol, 1当量)、塩酸ヒドロキシルアミン(50 mg、0.722 mmol、2当量)、およびCH3CO2Na(89 mg、1.083 mmol、3当量)の乾燥エタノ
ール溶液(10 mL)を、還流して16時間撹拌した。完了後に、この反応混合物を減圧下で
濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、まずDCMからMeOH/DCM(2:98
)まで溶出して、60を白色の固体(80 mg、39%)として得た。IR(ニート法)νmax 3196、2924、1698、1610、1581、1453、1246、1210、1075、907、727、644、551 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.83(s, 1H)、8.38(s, 1H)、8.11(s, 1H)、7.99~7.89(m, 2H)、7.54~7.27(m, 6H)、6.27(d, J = 2.3 Hz, 2H)、5.31(dd, J = 2.3,
6.0 Hz, 1H)、5.03(dd, J = 2.3, 6.1 Hz, 1H)、4.48(br q, J = 3.4 Hz, 1H)、4.37、4.30(2d, J = 16.1 Hz, 2H)、3.88(dd, J = 3.4, 10.3 Hz, 1H)、3.76(dd,J = 4.0, 10.3 Hz, 1H)、1.62(s, 3H)、1.38(s, 3H);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)165.11、152.73、152.22、151.35、149.67、149.37、141.87、136.74、133.45、132.69、128.63、127.92、127.22、122.87、120.30、114.28、91.87、86.05、85.03、84.34、81.89、70.23、59.17、27.11、25.26;HRMS (ESI)+ C29H28N7O6 +のm/z計算値は570.2075
、実測値は570.2096。
【0184】
さらなる溶出(5:95のMeOH/DCM)により、61を白色の固体(75 mg、45%)として得た。
IR(ニート法)νmax 3176、2925、1639、1450、1374、1207、1077、978、865、796、717、648、510 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.30(s, 1H)、8.21(s, 1H)、8.15(s, 1H)、7.64~7.52(m, 2H)、7.26(s, 1H)、7.01~6.87(m, 2H)、6.20(d,
J = 1.8 Hz, 2H)、5.35(m, 1H)、5.03(m, 1H)、4.57(m, 1H)、4.35(m, 2H)、3.88~3.76(m, 2H)、1.61(s, 3H)、1.38(s, 3H);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)155.35、152.55、152.47、149.34、149.08、141.96、139.32、136.75、132.82、127.10、119.93、114.13、91.70、86.10、85.72、84.86、84.38、81.88、70.21、 59.11、27.07、25.27;HRMS (ESI)+ C22H24N7O5 +のm/z計算値は466.1812、実測値は466.1833。
参考文献
1.Silvia, F. et al. J. Med. Chem. 2015, 58, 8269-8284
【0185】
IV-二官能性3-メトキシピリジンアルドキシム類似体の合成
3-メトキシ-6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒドオキシム65の合成:
【化111】
【0186】
3-メトキシ-6-(5-フェニルペンタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒド 63:
【化112】
【0187】
市販の6-ブロモ-3-メトキシピコリンアルデヒド62(75 mg、0.347 mmol、1.0当量)の脱気THF/Et3N(4 mL/2 mL)溶液に、Pd[PPh3]4(60 mg、0.052 mmol、0.15当量)お
よびCuI(20 mg、0.104 mmol、0.3当量)を加えた。この反応混合物を室温で5分間脱気後に、アルキン3(50 mg、0.347 mmol、1当量)を滴加し、反応混合物を室温で16時間撹拌
した。(TLCで監視して)完了後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロ
マトグラフィー(1:4のEtOAc/PE)で精製して、所望の結合メトキシピコンアルデヒド63を無色の液体(80 mg、83%)として得た。Rf(30%のEtOAc+PE)0.25;IR(ニート法)νmax 2941、2230、1709、1552、1466、1267、1007、747、699、542 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)10.21(s, 1H, H18)、7.52(d, J = 8.8 Hz, 1H, H4)、7.33(d, J
= 8.8 Hz, 1H, H5)、7.28~7.13(m, 5H, H13-H17)、3.93(s, 3H, -OMe)、2.74(t,
J = 7.5 Hz, 2H, H11)、2.39(t, J = 7.1 Hz, 2H, H9)、1.91(5重線、J = 7.1, 7.5
Hz, 2H, H10);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)195.52(C18)、156.25、141.28
、140.73、136.02、132.0、128.44、128.32、125.91、120.41(Ar)、90.27(C7)、79.4
4(C8)、56.03(-OMe)、34.86(C11)、29.76(C10)、18.72(C9);HRMS (ESI)+ C18H18N1O2 +のm/z計算値は280.1332、実測値は280.1348。
【0188】
3-メトキシ-6-(5-フェニルペンタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 64:
【化113】
【0189】
アルデヒド63(45 mg、0.161 mmol、1当量)、塩酸ヒドロキシルアミン(22 mg、0.322
mmol、2当量)、およびCH3CO2Na(40mg、0.483mmol、3当量)の乾燥エタノール溶液(3 mL)を還流して16時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、固体を短いセライトパッ
ドで濾過して除去し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(3
:7のEtOAc/PE)で精製してオキシム64を白色の固体(45 mg、95%)として得た。Rf(50%のEtOAc+PE)0.35;IR(ニート法)νmax 3247、2938、2234、1564、1463、1263、975、828、745、698、649、487 cm-1*1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)10.42(br s, 1H, OH)、8.42、8.10(2s, 1.2H, H18, H18’)、7.46~7.19(m, 7.6 H, Ar)、3.94、3.91(2s, 3.6H, -OMe)、2.81、2.80(2t, J= 7.5 Hz, 2.4H, H11, H11’)、2.47、2.44(2t, J = 7.1 Hz, 2.4H, H9, H9’)、2.02~1.92(m, 2.4H, H10, H10’);*13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)153.54、151.66、147.87、141.41、141.17、140.65、140.23、136.37、135.53、131.86、129.18、128.47、128.34、128.29、127.83、125.93、125.84、119.29、118.69(Ar)、90.98、89.24(C7)、79.93、78.76(C8)、55.93、55.70(-OMe
)、34.85、34.76(C11)、29.86、29.73(C10)、18.74、18.57(C9)(*シス-トラン
ス異性体は1:5の比率);HRMS (ESI)+ C18H18N2NaO2 +のm/z計算値は317.1260、実測値は317.1256。
【0190】
3-メトキシ-6-(5-フェニルペンチル)ピコリンアルデヒドオキシム 65:
【化114】
【0191】
メトキシピリジンアルドキシム64(25 mg、0.085 mmol、1当量)の脱気乾燥EtOAc溶液
(2 mL)に、10%のPd/C(4.5 mg、0.042 mmol、0.5当量)を加えた。H2で3回洗浄した後
に、反応混合物をH2(1気圧)下の室温で3時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、
触媒をセライトの短いカラムで濾過して除去し、溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(1:9のEtOAc/PE)で精製して、オキシム65を無色の液体(24 mg、95%)として得た。Rf(50%のEtOAc+PE)0.40;IR(ニート法)νmax 3253、2927、2855、1570、1464、1269、1127、975、746、698 cm-1*1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)8.40、8.02(2s, 1.2H, H18, H18’)、7.24~6.96(m, 9.4 H, Ar)、3.79、3.78(2s, 3.6H, - OMe)、2.70~2.62(m, 2.5H, H11, H11’)、2.55~2.49(m, 2.5H, H7, H7’)、1.68~1.52(m, 5 H, H8, H8’, H10, H10’)、1.35~1.28(m, 2.5H, H9, H9’);*13C NMR
(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)154.25、152.57、150.87、150.67、146.82、142.71、142.4
7、140.12、139.24、137.09、128.35、128.21、128.16、125.59、125.51、125.06、123.58、119.91、119.18(Ar)、55.82、55.63(-OMe)、37.23、36.25(C11)、35.78、35.73(C7)、31.25、31.12(C10)、29.85、29.67(C9)、28.90、28.65(C8)(*シス-トランス異性体は1:4の比率);HRMS (ESI)+ C18H23N2O2 +のm/z計算値は299.1754、実測値は299.1740。
【0192】
V-キノリン由来のメトキシピリジンアルドキシム類似体の合成:
【化115】
【0193】
3-メトキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒド 66:
【化116】
【0194】
市販の6-ブロモ-3-メトキシピコリンアルデヒド62(97 mg、0.448 mmol、1.1当量)の脱気THF/Et3N(3 mL/3 mL)溶液に、Pd[PPh3]4(71 mg、0.061 mmol、0.15当量)お
よびCuI(23 mg、0.122 mmol、0.3当量)を加えた。反応混合物を室温で5分間脱気後に、アルキン24(80 mg、0.408 mmol、1当量)のTHF溶液(3 mL)を滴加し、反応混合物を室
温で16時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留
物をカラムクロマトグラフィー(1:9のMeOH/EtOAc)で精製して、所望の結合メトキシピコンアルデヒド66を淡黄色の固体(126 mg、93%)として得た。Rf(30%のMeOH+EtOAc)0.25;IR(ニート法)νmax 3281、2926、2233、1704、1582、1434、1267、1126、1009、763、694、521、494 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)10.21(s, 1H, H18)、7.52(d, J = 8.8 Hz, 1H, H4)、7.33(d, J = 8.8 Hz, 1H, H5)、7.28~7.13(m, 5H, H1
3-H17)、3.93(s, 3H, -OMe)、2.74(t, J = 7.5 Hz, 2H, H11)、2.39(t, J = 7.1 Hz, 2H, H9)、1.91(5重線、J = 7.1, 7.5 Hz, 2H, H10);13C NMR(100 MHz, CDCl3
δ(ppm)195.52(C18)、156.25、141.28、140.73、136.02、132.0、128.44、128.32、125.91、120.41(Ar)、90.27(C7)、79.44(C8)、56.03( -OMe)、34.86(C11)、29.76(C10)、18.72(C9);HRMS (ESI)+ C18H18N1O2 +のm/z計算値は280.1332、実測値は280.1348。
【0195】
3-メトキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブタ-1-イン-1-イル)ピコリンアルデヒドオキシム 67:
【化117】
【0196】
アルデヒド66(100 mg、0.362 mmol、1当量)、塩酸ヒドロキシルアミン(50 mg、0.724 mmol、2当量)、およびCH3CO2Na(89 mg、1.086 mmol、3当量)の乾燥エタノール溶液
(5 mL)を、還流して16時間攪拌した。(TLCで監視して)完了後に、この固体を短いセ
ライトパッドで濾過して除去し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(1:9のMeOH/EtOAc)で精製して、オキシム67を白色の固体(65 mg、62%)として
得た。Rf(30%のMeOH+EtOAc)0.2;IR(ニート法)νmax 3319、2924、1897、1586、1460、1242、1115、982、829、760、649、524 cm-11H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)11.63(br s, 1H, OH)、8.41(d, J = 5.2 Hz, 1H, Ar)、8.22(s, 1H, -C-NOH)、8.21(d, J = 8.5 Hz, 1H, Ar)、7.79(d, J = 8.5 Hz, 1H, Ar)、7.61(t, J= 7.6 Hz, 1H, Ar)、7.50~7.36(m, 4 H, Ar)、6.58(d,J = 5.4 Hz, 1H, Ar)、3.85(s, 3H, -OMe)、3.58(q, J = 5.9, 7.1 Hz, 2H, H10)、2.83(t, J= 7.1 Hz, 2H, H9);13C NMR
(125 MHz, DMSO-d6)δ(ppm)153.77、151.22、149.97、148.83、145.06、140.87、134.59、129.57、129.24、128.54、124.42、122.07、120.24、119.30、98.94(Ar)、87.06
(C8)、81.50(C7)、56.46(-OMe)、41.75(C10)、19.08(C9);HRMS (ESI)+ C20H19N4O2 +のm/z計算値は347.1503、実測値は347.1491。
【0197】
4-((4-(6-((ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)アミノ)キノリン-1-イウムクロリド 68:
【化118】
【0198】
化合物67(9.5 mg)のMeOH/H2O(0.5 mL/0.5 mL)溶液に、1.2 NのHCl(0.1 mL)を加
え2分間攪拌して、室温に10分間放置した。反応混合物を減圧下で濃縮して、HCl塩68を白色の固体として定量的収率で得た。IR(ニート法)νmax 3186、3099、2838、2237、1615、1593、1449、1277、1007、760、649、530、491 cm-11H NMR(500 MHz, D2O)δ(ppm)*8.18~8.08(m, 3H, Ar)、*7.96~7.91(m, 1.5 H, Ar)、*7.74~7.70(m, 1.5 H, Ar)、*7.62~7.54(m, 3H, Ar)、*7.51~7.40(m, 4.5 H, Ar)、*6.73~6.70(m, 1.5
H, Ar)、*3.92(s, 1.5H, -OMe)、*3.84(the, J = 6.6 Hz, 1H, H10’)、3.80(s,
3H, -OMe)、3.75(t, J = 6.6 Hz, 2H, H10)、*2.98(t, J = 6.6 Hz, 1H, H9’)、2.89(t, J = 6.6 Hz, 2H, H9);*13C NMR(125 MHz, D2O)δ(ppm)156.49、154.95、142.15、142.03、141.86、141.45、140.04、139.68、138.68、137.60、137.00、134.19、131.06、130.37、128.51、128.26、17.55、127.52、125.38 、122.39、120.29、120.22、119.12、116.93、116.81、98.55、98.47(Ar)、94.74(C8)、76.76(C7)、57.71、57.22(-OMe)、41.65、41.10(C10)、19.5(C9)(*シス-トランス異性体は1:2の比率);HRMS (ESI)+ C20H20ClN4O2 +のm/z計算値は347.1503、実測値は347.1461。
【0199】
3-メトキシ-6-(4-(キノリン-4-イルアミノ)ブチル)ピコリンアルデヒドオキシム 69:
【化119】
【0200】
メトキシピリジンアルドキシム67(25 mg、0.085 mmol、1当量)の脱気乾燥EtOAc溶液
(2 mL)に、10%のPd/C(4.5 mg、0.042 mmol、0.5当量)を加えた。H2で3回洗浄後に、
反応混合物をH2(1気圧)下の室温で3時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、触媒
をセライトの短いカラムで濾過して除去し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(1:9のEtOAc/PE)で精製して、オキシム69を無色の液体(24 mg、95%
)として得た。Rf(50%のEtOAc+PE)0.40;IR(ニート法)νmax 3327、2923、2853、1582、1457、1272、1126、968、763、694、540、473 cm-1*1 H NMR(400 MHz, CDCl3)δ
(ppm)8.42(2s, 1H, H18, H18’)、8.32(d, J = 5.7 Hz, 1H, Ar)、8.10(dd, J = 1.2, 8.6 Hz, 1H, Ar)、7.79(d, J = 1.2, 8.6 Hz, 1H, Ar)、7.64(m, 1 H, Ar)、7.44(m, 1H、Ar)、7.39(d, J = 8.7 Hz, 1H, Ar)、7.26(d, J = 8.7 Hz, 1H, Ar)、6.50(d, J = 5.8 Hz, 1H, Ar)、3.87(s, 3H, -OMe)、3.42(t, J = 6.9 Hz, 1H, H10)、3.42(t, J = 6.9 Hz, 1H, H10)、2.83(t, J = 7.5 Hz, 1H, H7)、1.87~1.77(m, 4H, H8, H9);*13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)155.21、154.35、153.13、150.73、148.33、145.93、140.73、138.63、130.85、128.33、125.82、122.51、121.43、120.31、99.30(Ar)、56.53(-OMe )、43.86(C10)、37.37(C7)、28.95(C9)、28.82(C8)(*シス-トランス異性体は1:4の比率);HRMS (ESI)+ C20H23N4O2 +のm/z計算値は351.1816、実測値は351.1827。
【0201】
4-((4-(6-((ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル)ブチル)アミノ)キノリン-1-イウム 70:
【化120】
【0202】
化合物69(8 mg)のMeOH/H2O(0.5 mL/0.5 mL)溶液に、1.2 NのHCl(0.1 mL)を加え
、2分間撹拌して室温で10分間放置した。反応混合物を減圧下で濃縮して、HCl塩70を白色
の固体として定量的収率で得た。IR(ニート法)νmax 3237、3111、2926、1617、1594、1452、1291、1011、764、663、592 cm-11H NMR(500 MHz, D2O)δ(ppm)8.20(s, 1H, H18)、8.19(d, J = 8.6 Hz, 1H, Ar)、8.04(d, J = 8.6 Hz, 1H, Ar)、7.94~7.87(m, 2H, Ar)、7.75(dd, J = 8.6, 18.8 Hz, 1H, Ar)、7.64(t, J = 8.8 Hz, 1H, Ar)、6.64(d, J = 7.2 Hz, 1H, Ar)、3.93(s, 3H, -OMe)、3.55(t, J = 6.5 Hz, 1H, H10)、3.01(t, J = 6.8 Hz, 1H, H7)、1.95~1.80(m, 4H, H8, H9);*13 C NMR(125 MHz, D2O)δ(ppm)156.07、154.21、150.14、141.63、139.57、137.60、134.14、133.86、129.10、128.69、127.47、122.29、120.27、116.86、98.31(Ar)、57.45(-OMe )、42.83(C10)、32.20(C7)、26.12(C9)、25.81(C8)(*シス-トランス異性体は1:2の比率);HRMS (ESI)+ C20H23N4O2 +のm/z計算値は351.1816、実測値は351.1782。
【0203】
(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(4-(6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)-5-メトキシピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 72:
【化121】
【0204】
市販の6-ブロモ-3-メトキシピコリンアルデヒド62(192 mg、0.887 mmol、1.1当
量)の脱気THF/Et3N(5 mL/5 mL)溶液に、Pd[PPh3]4(140 mg、0.121 mmol、0.15等量)およびCuI(46 mg、0.242 mmol、0.3当量)を加えた。この反応混合物を室温で5分間脱気後に、アルキン54(300 mg、0.806 mmol、1当量)のTHF溶液(5 mL)を滴加して、反応混合物を室温で16時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、反応混合物を減圧下で濃縮
し、残留物を小さなフィルターカラム(5:95のMeOH/EtOAc)に通して、所望の結合メトキシピコンアルデヒド71(360 mg、88%)を薄黄色の固体として得た。この粗アルデヒドは
、精製せずに次の工程に直接用いた。
【0205】
アルデヒド71(220 mg、0.433 mmol、1当量)、塩酸ヒドロキシルアミン(60 mg、0.867 mmol、2当量)、およびCH3CO2Na(107 mg、1.299 mmol、3当量)の乾燥エタノール(7 mL)溶液を、還流して16時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、固体を短いセライ
トパッドで濾過して除去し、溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(1:9
のMeOH/EtOAc)により精製して、オキシム72を白色の固体(180 mg、78%)として得た。Rf(30%のMeOH+EtOAc)0.2;IR(ニート法)νmax 3185、2926、1640、1464、1264、1209
、1090、971、868、797、647、510 cm-11H NMR(400 MHz, MeOD)δ(ppm)8.39~8.11(3s, 3H, Ar, -C=NOH)、7.37(d, J = 8.6, 1H, H4)、7.26(d, J = 8.6 Hz, 1H, H5
)、6.34(br s, H, -CH)、5.57(dd, J = 1.8, 6.0 Hz, 1H, -CH)、5.41(br d, J = 6.0 Hz, 1H, -CH)、4.68(d, J = 1.8 Hz, 1H, -CH)、3.89(s, 3H, -OCH3)、3.21(m, 1H, -CH2)、3.09(m, 1H, -CH2)、2.27(m, 1H, -CH2)、2.10(m, 1H, -CH2)、1.57(s, 3H, -CH3)、1.37(s, 3H, -CH3);13C NMR(100 MHz, MeOD)δ(ppm)172.07、
157.33、155.15、153.99、150.30、145.21、142.55、141.69、135.92、129.89、120.84、120.49、115.17(Ar)、92.41(C16)、88.65(C15)、87.34(C8)、85.36(C14)、85.26(C13)、81.58(C7)、56.74(C30)、38.79(C10)、27.29(C28)、25.54(C29)、20.47(C9);HRMS (ESI)+ C24H27N8O6 +のm/z計算値は523.2048、実測値は523.2038。
【0206】
VI-三官能性Neca化合物の合成
【化122】
【0207】
6-(アジドメチル)ピコリンアルデヒド 75:
【化123】
【0208】
6-(アジドメチル)ピコリン酸メチル 74の合成は、Harekrushna, Bら1の十分に確
立された手順を用いて達成された。
【0209】
アジドエステル74(100 mg、0.521 mmol、1当量)の乾燥CH2Cl2溶液(5 mL)に、-78℃でDIBAL-H(CH2Cl2中の1 M溶液、1.563 mL、1.563 mmol、3当量)を滴加し、反応混合物
を-78℃で5時間撹拌した。反応終了後に、反応混合物をMeOH(3 mL)で停止し、冷却浴を
取り外した。この混合物を室温に温めて、反応混合物をH2Oで希釈してEtOAcで抽出した。混合した有機層をMgSO4で乾燥させた。固体を濾別して、溶媒を蒸発させてアルデヒド75
を得た。この粗アルデヒド75を、精製せずに次の工程に直接提供した。IR(ニート法)νmax 2836、2098、1709、1591、1457、1255、990、777、641 cm-11H NMR(400 MHz, CDCl3)δ(ppm)10.04(s, 1H)、7.94~7.86(m, 2H)、7.56(m, 2H)、4.57(s, 2H);13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ(ppm)193.07、156.73、152.59、138.11、126.05、102.78、55.15;HRMS (ESI)+ C7H7N4O1 +のm/z計算値163.0604、実測値163.0614。
【0210】
6-(アジドメチル)ピコリンアルデヒドオキシム 76:
【化124】
【0211】
粗ピコリンアルデヒド75(0.521 mmol、1当量)、塩酸ヒドロキシルアミン(73 mg、1.042、2当量)、およびCH3CO2Na(128 mg、1.563 mmol、3当量)の乾燥エタノール溶液(5
mL)を、80°Cで16時間撹拌した。完了後に、セライトの短いカラムで濾過して固体を除去し、溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(1:9のEtOAc/PE)によって
精製して、オキシム76を濃厚なシロップ(70 mg、76%)として得た。IR(ニート法)νmax 3182、3010、2889、2084、1572、1590、1459、12666、1233、1158、994、966、782、741、651、619、501 cm-11H NMR(400 MHz, CD3OD)δ(ppm)8.10(s, 1H)、7.86~7.76(m, 2H)、7.40(dd, J = 1.8, 6.8 Hz, 2H)、4.48(s, 2H);13C NMR(100 MHz, CD3OD)δ(ppm)157.29、153.94、149.93、139.26、1323.66、120.86、56.16;HRMS (ESI)+ C7H8N5O1 +のm/z計算値は178.0721、実測値は178.0723508.1867。
【0212】
(3aS、4S、6R、6aR)-6-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-N-(2-(1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-カルボキサミド 77:
【化125】
【0213】
オキシム76(52 mg、0.295 mmol、1.1当量)のt-BuOH/H2O(2 mL/1.5 mL)攪拌溶液に
、CuSO4(17 mg、0.107 mmol、0.4当量)、アスコルビン酸ナトリウム(21 mg、0.107 mmol、0.4当量)、およびアルキン54(100 mg、0.268 mmol、1当量)を加えた。この反応混合物を80℃で6時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(5:95のMeOH/EtOAc)によって精製して、所望のトリアゾール化合物77を白色の固体(85 mg、58%)として得た。IR(ニート法)νmax 3192、2924、1644、1598、1458、1376、1209、1155、1057、992、868、797、648、511 cm-11H NMR(400 MHz, CD3OD)δ(ppm)8.20(s, 1H)、8.08(s, 1H)、8.05(s, 1H)、7.75~7.70(m, 2H)、7.12(m, 1H)、6.30((d, J = 1.7 Hz, 1H)、5.62(s, 2H)、5.50(dd, J = 1.9, 6.1 Hz, 1H)、4.62(d, J = 1.9 Hz, 1H)、3.24~3.01(m, 2H)、2.
61~2.41(m, 2H)、1.57(s, 3H)、1.38(s, 3H);13C NMR(100 MHz, CD3OD)δ(ppm)171.91、157.38、156.08、153.97、150.27、150.06、146.45、142.54、139.28、124.46、123.53、121.07、120.55、115.24、92.65、88.38、85.28、85.06、56.09、 39.64、27.31、25.91、25.55;HRMS (ESI)+ C24H28N11O5 +のm/z計算値は550.2237、実測値は550.2269。
【0214】
(2S、3S、4R、5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-N-(2-(1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)-メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド塩酸塩 78:
【化126】
【0215】
トリアゾール77(23 mg、0.042 mmol、1当量)の乾燥MeOH撹拌溶液(2 mL)に、1.2 N
のHCl(127 μL、0.42 mmol、10当量)を加え、反応混合物を55°Cで4時間撹拌した。完
了後に、反応混合物を減圧下で直接濃縮し、残留物を逆相カラムクロマトグラフィー(3:7のMeOH/H2O)によって精製して、HCl塩78(15 mg、72%)を白色の固体として得た。IR(ニート法)νmax 3196、1640、1588、1458、1427、1306、1254、1113、1054、997、796、647 cm-11H NMR(400 MHz, CD3OD)δ(ppm)7.99(s, 1H)、8.89(s, 1H)、7.83(s, 1H)、7.42(t, J = 7.8 Hz, 1H)、7.29(t, J = 9.3 Hz, 1H)、7.20(s, 1H)、7.13(t, J = 7.8 Hz, 1H)、5.77(d, J = 8.3 Hz, 1H)、5.44~5.38((2d, J = 14.8 Hz,
2H)、4.43(s, 1H)、4.32(br d, J = 5.0 Hz, 1H)、4.08(dd, J = 4.8, 8.3 Hz, 1H)、3.61(m, 1H)、3.35(m, 1H)、3.08~299(m, 1H)、3.96~288(m, 1H);13C NMR(100 MHz, CD3OD)δ(ppm)172.32、155.44、153.78、151.99、150.84、147.61、142.13、138.97、124.62、124.41、121.56、119.75、89.21、85.20、73.72、72.06、55.28、49.50(MeOH)、39.92、24.77;HRMS (ESI)+ C21H334N11O5 +のm/z計算値は510.1957、実
測値は510.1956。
参考文献
1.Harekrushna, B. et al. Chem. Eur. J. 2015, 21, 10179-10184
【0216】
VII -三官能性疑似Neca化合物の合成
【化127】
【0217】
N-(9-((3aR、4R、6R、6aR)-6-(((1-((6-(-(ヒドロキシイミノ)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド 79:
【化128】
【0218】
オキシム76(44 mg、0.245 mmol、1.1当量)のt-BuOH/H2O(2 mL/1.5 mL)攪拌溶液に
、CuSO4(17 mg、0.045 mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(18 mg、0.045 mmol、0.2当量)、およびアルキン58(100 mg、0.223 mmol、1当量)を加えた。この反応混合物を80℃で6時間撹拌した。(TLCで監視して)完了後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(純粋なEtOAc-5:95のMeOH/EtOAc)で精製して、
所望のトリアゾール化合物79を白色の固体(100 mg、72%)として得た。IR(ニート法)
νmax 2924、1698、1610、1581、1455、1248、1211、1070、994、796、709、645、563 cm-11H NMR(400 MHz, CD3OD)δ(ppm)10.88(br s, 1H)、9.31(br s, 1H)、8.77(s, 1H)、8.31(s, 1H)、8.14(s, 1H)、7.95~7.80(m, 3H)、7.51~7.28(m, 5H)
、6.99(d, J = 7.5 Hz, 1H)、6.25(d, J = 2.3 Hz, 1H)、5.63(s, 2H)、5.21(dd,
J = 2.2, 5.9 Hz, 1H)、4.98(dd, J = 1.6, 5.9 Hz, 1H)、4.65~4.50(m, 3H)、3.82(dd, J = 2.2, 10.6 Hz, 1H)、3.70(dd, J = 3.0, 10.6 Hz, 1H)、1.61(s, 3H)
、1.37(s, 3H);13C NMR(100 MHz, CD3OD)δ(ppm)165.35、154.38、152.69、151.64、151.44、150.02、149.19、143.91、141.90、137.62、133.31、128.56、127.93、124.13、122.78、122.07、120.42、114.09、92.26、86.27、85.28、81.85、70.67、64.47、55.03、27.11、25.24;HRMS (ESI)+ C30H31N10O6 +のm/z計算値は627.2414、実測値は627.2423。
【0219】
実施例2:本発明の化合物によるヒトアセチルコリンエステラーゼ(hAChE)の生体外で
の再活性化
O-エチル=S-[2-(ジイソプロピルアミノ)エチル]=メチルホスホノチオアート(VX)、タブン、サリン、またはパラオキソンによって阻害されたhAChEでの実施例1
の化合物57、78、25、および26の活性化特性について試験した。
【0220】
2-PAM(プラリドキシム、または2-[(E)-(ヒドロキシイミノ)メチル]-1-
メチルピリジニウム)およびHI6(塩化アソキシム、または[1-[(4-カルバモイル
ピリジン-1-イウム-1-イル)メトキシメチル]ピリジン-2-イリデン]メチル-オキソアザニウムジクロリド)を比較化合物として使用した。
【0221】
手順として、材料および方法は、国際出願WO2017021319号、European Journal of Medicinal Chemistry 2014, 78, 455-467、およびJ. Med. Chem. 2018, 61, 7630-7639に既に説明の通りとした。
【0222】
IC50の測定
組換えhAChEは、過去の説明のように生成かつ精製された(Carletti et al 2008 J Am Chem Soc 130(47): 1601 1-20を参照)。化合物をMeOHに溶解して5 mMまたは10 mMの保存溶液を作製し、リン酸緩衝液(リン酸ナトリウム;0.1 M、pH 7.4)でさらに希釈した。
組換えhAChEの活性は、1 mLのエルマン緩衝液(リン酸ナトリウム;0.1 M、pH 7.4、0.1%のBSA、0.5 mMのDTNB、25°C)中の種々の濃度のオキシムの存在下で分光光度法(412 nmでの吸光度)により測定した。試験した各濃度について、少なくとも2回測定を実施した
。酵素阻害の50%を生み出す化合物の濃度を、標準のIC50式:%活性=100*IC50/(IC50+[Ox])を用いるProFit(Quantumsoft)を使用した非線形近似によって決定した。
【0223】
OPNAによるhAChEの阻害
組換えhAChEを、過去の説明のように生成および精製した(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18975951を参照)。VXおよびタブンは、DGA maitrise NRBC (Vert le Petit, France)から提供された。VX、サリン、タブン、およびパラオキソンの保存溶液は、5 mM
のイソプロパノール溶液であった。120μMのhAChEの阻害は、5倍に過剰のOPNAを用いて実施し、25°Cのトリス緩衝液(20 mM、pH 7.4、0.1%のBSA)中で実施した。20分間の培養
後に、阻害されたhAChEをPD-10カラム(GE Healthcare)で脱塩した。
【0224】
OPNAによって阻害されたhAChEの再活性化
OPNAで阻害されたhAChEを、リン酸緩衝液(0.1 M、pH 7.4、0.1%のBSA)中の少なくと
も4倍または5倍濃度のオキシムとともに37°Cで培養した。培養混合物中のMeOHの最終濃
度は2%未満であり、酵素の安定性には影響を与えなかった。再活性化速度に応じて1~10
分の範囲の時間間隔で、種々の濃度のオキシムを含有する各溶液の10個の分割量を、hAChE活性の測定用に1 mLのエルマン緩衝液(0.1 Mのリン酸、pH 7.4、0.1%のBSA、0.5 mMのDTNB、25°C)中に1 mMのアセチルチオコリンを含むキュベットに移した。
【0225】
対照での酵素活性は、実験中は一定に保持された。再活性化された酵素の百分率(% Ereact)は、回収された酵素活性と対照での活性の比率として計算された。各オキシム濃度の見掛けの再活性化速度定数、阻害された酵素-オキシム複合体(E-POx)の解離定数ΚD、および最大再活性化速度定数krは、次の式から導出される標準オキシム濃度依存の再活性化式を用いるProFit(Quantumsoft)での非線形近似によって計算された。
【数1】

E-P:酵素
Ox:オキシム化合物
E-Pox:酵素-オキシム複合体
【0226】
結果は次の通りである(表1および表2)。
【0227】
【表1】
【0228】
表1は、化合物57が、対照の2-PAMおよびHI6に比較して、VX、タブン、サリン、およびパラオキソンに対してより高い再活性化速度(kr/min)を示すこと、また化合物78は、参照の2-PAMおよびHI6に比較して、VX、タブン、およびサリンに対してより高い再活性化速度(kr/分)を示すことを表している。
【0229】
化合物25および26は、VXまたはサリンによって阻害されるAChEに対して強い親和性を示す。これらの化合物は、2-PAMおよびHI6よりも高い再活性化(kr2/mM・分)を示す。
【0230】
【表2】
【0231】
表2は、化合物25および26が、AChEに対して非常に高い親和性を示し、これらは、2-PAMおよびHI6の親和性よりも高いことを示している。化合物25は、最大の親和性を示す。