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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007287
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】OCT装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108702
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA09
4C316AB03
4C316FA06
4C316FB05
4C316FB06
4C316FB12
4C316FB16
4C316FB22
4C316FC07
4C316FY01
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】 不慣れな検者であっても前眼部OCTを撮影しやすいOCT装置を提供すること。
【解決手段】 OCT装置は、被検眼の撮影部位に対して測定光を照射すると共に、前記測定光と参照光とのスペクトル干渉信号を検出するOCT光学系と、前記撮影部位に対して観察光を照射すると共に、前記観察部位からの観察光の反射光に基づいて前記観察部位の正面画像を取得するための観察光学系と、被検眼の眼底と前眼部との間で前記OCT光学系および前記観察光学系における前記撮影部位を変更する変更手段と、前記OCT光学系および前記観察光学系を含む撮影ユニットを、被検眼に対して移動させる駆動部と、制御部と、を備え、被検眼の前眼部が前記撮影部位である場合に、前記制御部は、前記観察光学系を介して逐次取得される前眼部の正面画像を画面上の第1領域に表示させると共に、前記駆動部を制御するための操作入力を前記第1領域を介して受け付ける。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の撮影部位に対して測定光を照射すると共に、前記測定光と参照光とのスペクトル干渉信号を検出するOCT光学系と、
前記撮影部位に対して観察光を照射すると共に、前記観察部位からの観察光の反射光に基づいて前記観察部位の正面画像を取得するための観察光学系と、
被検眼の眼底と前眼部との間で前記OCT光学系および前記観察光学系における前記撮影部位を変更する変更手段と、
前記OCT光学系および前記観察光学系を含む撮影ユニットを、被検眼に対して移動させる駆動部と、
制御部と、を備え、
被検眼の前眼部が前記撮影部位である場合に、前記制御部は、前記観察光学系を介して逐次取得される前眼部の正面画像を画面上の第1領域に表示させると共に、前記駆動部を制御するための操作入力を前記第1領域を介して受け付けるOCT装置。
【請求項2】
被検眼の前眼部が前記撮影部位である場合に、前記制御部は、前記第1領域における前眼部の正面画像上で位置を指定する操作入力を、ポインティングデバイスを介して受け付けると共に、指定された位置に表示される前眼部の組織が前記第1領域内の所定位置に表示されるように、被検眼に対して前記撮影ユニットをXY方向に関して移動させる請求項1記載のOCT装置。
【請求項3】
被検眼の眼底が前記撮影部位である場合に、前記制御部は、前記観察光学系を介して逐次取得される眼底の正面画像を前記第1領域に表示させると共に、眼底上のスキャン位置をXY方向に関して変更するための操作入力を前記第1領域を介して受け付ける請求項1または2記載のOCT装置。
【請求項4】
前記観察光学系とは異なる第2観察光学系であって、被検眼の眼底が前記撮影部位である場合に被検眼の前眼部を観察するための第2観察光学系を備え、
前記制御手段は、被検眼の眼底が前記撮影部位である場合には、前記第2領域には、前記第2観察光学系を介して逐次取得される前眼部の正面画像を第2観察画像として表示させる、請求項1から3のいずれかに記載のOCT装置。
【請求項5】
前記制御手段は、被検眼の前眼部が前記撮影部位である場合には、前記第2領域における前記第2観察画像の表示制御を停止する、請求項4記載のOCT装置。
【請求項6】
前記画面上には、前記第1領域と共に第3領域が配置されており、
前記制御手段は、前記第3領域には、前記OCT光学系を介して逐次取得される被検眼のOCT画像によるライブ画像を表示させる、請求項1から5のいずれかに記載のOCT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、OCT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科分野では、被検眼の組織の断層画像を撮影する装置である、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)として、光学系を切り換えて、眼底OCTと前眼部OCTとを選択的に撮影する装置が知られている。例えば、特許文献1には、眼底OCTに対してアダプタレンズを装着することで、前眼部OCTを簡易的に撮影可能な装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-138904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前眼部OCTを簡易的に撮影可能な装置において、前眼部OCTを撮影する際の装置の操作性は、十分検討されていなかった。これに対し、本開示は従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、不慣れな検者であっても前眼部OCTを撮影しやすいOCT装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様に係るOCT装置は、被検眼の撮影部位に対して測定光を照射すると共に、前記測定光と参照光とのスペクトル干渉信号を検出するOCT光学系と、前記撮影部位に対して観察光を照射すると共に、前記観察部位からの観察光の反射光に基づいて前記観察部位の正面画像を取得するための観察光学系と、被検眼の眼底と前眼部との間で前記OCT光学系および前記観察光学系における前記撮影部位を変更する変更手段と、前記OCT光学系および前記観察光学系を含む撮影ユニットを、被検眼に対して移動させる駆動部と、制御部と、を備え、被検眼の前眼部が前記撮影部位である場合に、前記制御部は、前記観察光学系を介して逐次取得される前眼部の正面画像を画面上の第1領域に表示させると共に、前記駆動部を制御するための操作入力を前記第1領域を介して受け付ける。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、不慣れな検者であっても前眼部OCTを撮影しやすいOCT装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例におけるOCT装置の装置構成を示す図である。
図2】前眼部を撮影する際の装置構成を示す図である。
図3】実施例における動作の流れを示したフローチャートである。
図4】実施例の眼底モードにおける撮影画面を示している。
図5】実施例の前眼部モードにおける撮影画面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「概要」
本開示に例示するOCT装置は、少なくとも、OCT光学系と、観察光学系と、変更部と、駆動部と、制御部と、を備える。OCT光学系は、被検眼の撮影部位に対して測定光を照射すると共に、測定光と参照光とのスペクトル干渉信号を検出する。観察光学系は、撮影部位に対して観察光を照射すると共に、観察部位からの観察光の反射光に基づいて観察部位の正面画像を取得するために利用される。変更部は、被検眼の眼底と前眼部との間で、OCT光学系および観察光学系における被検眼の撮影部位を変更する。駆動部は、OCT光学系および観察光学系を含む撮影ユニットを、被検眼に対して移動させる。被検眼の前眼部が撮影部位である場合に、制御部は、観察光学系を介して逐次取得される前眼部の正面画像を画面上の第1領域に表示させる。また、被検眼の前眼部が撮影部位である場合に、制御部は、駆動部を制御するための操作入力を第1領域を介して受け付ける。
【0009】
被検眼の前眼部が撮影部位である場合には、逐次取得される前眼部の正面画像が表示された第1領域を介して、被検眼に対する撮影ユニットの位置を確認できると共に、撮影ユニットを移動させるための操作を入力できるので、検者による前眼部モードでの撮影ユニットの位置を調整する操作が容易になる。
【0010】
また、被検眼の前眼部が撮影部位である場合に、制御部は、第1領域における前眼部の正面画像上で位置を指定する操作入力を、ポインティングデバイスを介して受け付けてもよい。更に、被検眼の前眼部が撮影部位である場合に、制御部は、指定された位置に表示される前眼部の組織が第1領域内の所定位置に表示されるように、被検眼に対して撮影ユニットをXY方向に関して移動させてもよい。これにより、OCT光学系および観察光学系の光軸が、XY方向に関して移動される。
【0011】
ポインティングデバイスを操作した際に第1領域において指定した位置に表示される前眼部の組織が第1領域内の所定位置に表示されるように撮影ユニットが移動されるので、検者の所望の位置に撮影ユニットを容易に移動させることができる。前眼部OCTのXY方向に関するおおまかなスキャン位置は、被検眼に対する撮影ユニットのXY方向の位置に応じて定められる。よって、前眼部OCTのXY方向に関するスキャン位置が、第1領域における前眼部の正面画像上で位置を指定する操作入力に基づいて容易に調整される。
【0012】
但し、ポインティングデバイスを介した操作入力として、他の操作入力が採用されても良い。例えば、第1領域に表示される前眼部の正面画像がポインティングデバイスによってドラッグされる場合、ドラッグの移動方向および移動量に応じて、ドラッグの移動方向とは反対方向に撮影ユニット2が移動されるように、駆動部が制御されても良い。また、制御部は、タッチパネルを介して操作入力を受け付けても良い。タッチパネルには、第1領域が設けられ、前眼部モードでは第1領域に前眼部の正面画像が表示される。この場合、タッチパネルによって検出された第1領域に対するフリック操作、回転ジェスチャー操作またはロングタップ操作に基づいて駆動部を制御し、被検眼Eに対する撮影ユニット2の位置を調整しても良い(操作入力および操作入力に応じた駆動部の動作の詳細については、例えば、本出願人による特開2014-205078号公報および特開2017-176545号公報、等を参照されたい。
【0013】
被検眼の眼底が撮影部位である場合に、制御部は、観察光学系を介して逐次取得される眼底の正面画像を第1領域に表示させると共に、眼底上のスキャン位置をXY方向に関して変更するための操作入力を、第1領域を介して受け付ける。この場合、制御部は、OCT光学系および固視光学系のうち少なくともいずれかを制御することによって、眼底上のスキャン位置をXY方向に関して変更する。このように、撮影部位が前眼部である場合と眼底である場合とのいずれにおいても、第1領域を介して受け付ける操作は、XY方向に関してスキャン位置を変更するための操作となるので、不慣れな検者であっても装置の操作方法を理解させやすい。
【0014】
なお、撮影部位が前眼部である場合と眼底である場合との間で、画面上の第1領域の位置は一定であってもよい。また、第1領域以外の画面レイアウトも同一であってもよい。これにより、不慣れな検者であっても装置の操作方法をいっそう理解させやすくなる。
【0015】
また、OCT装置は、観察光学系とは異なる第2観察光学系を備えていても良い。第2観察光学系は、被検眼の眼底が撮影部位である場合に被検眼の前眼部を観察するために利用される。制御部は、被検眼の眼底が撮影部位である場合には、第2領域には、第2観察光学系を介して逐次取得される前眼部の正面画像を第2観察画像として表示させる。これによって、被検眼の眼底が撮影部位である場合に、前眼部の正面画像による観察画像を利用することで、被検眼に対する撮影ユニットの位置調整が容易になる。また、自動アライメントおよびトラッキングが、第2観察画像に基づいて実行されてもよい。なお、観察光学系と第2観察光学系とは、互いに異なる光源および受光素子(撮像素子)を有していても良い。
【0016】
制御部は、被検眼の前眼部が撮影部位である場合には、第2領域における第2観察画像の表示制御を停止してもよい。被検眼の前眼部が撮影部位である場合には、第2観察光学系によって適正な前眼部の正面画像を取得しにくくなるので、第2領域における第2観察画像の表示制御が停止されると共に、観察光学系を介して取得される前眼部の観察画像が第1領域に表示されるようになるので、被検眼Eに対する撮影ユニット2の位置の調整状態について、検者に誤解を与えにくい。
【0017】
画面上には、第1領域と共に第3領域が配置されていてもよい。制御部は、第3領域には、OCT光学系を介して逐次取得される被検眼のOCT画像によるライブ画像を表示させてもよい。
【0018】
「実施例」
図面を参照して、本開示の一実施例を示す。実施例に係るOCT装置1は、被検眼のOCTデータを取得する。本実施例のOCT装置1では、眼底のOCTデータと、前眼部のOCTデータとが、選択的に撮影される。
【0019】
最初に、図1および図2を参照しつつ、OCT装置1の構成を説明する。図1は、眼底のOCTデータを撮影可能な状態における装置構成を示している。図2は、前眼部のOCTデータを撮影可能な状態における装置構成を示している。図1に対して図2は、撮影ユニット2に前眼部アタッチメント65が装着されている点が相違している。
【0020】
なお、実施例の説明においては、被検眼Eの軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。
【0021】
図1,2に示すように、実施例に係るOCT装置1は、撮影ユニット2、駆動部5、および、制御部70を、有している。
【0022】
<測定部>
撮影ユニット2は、OCT装置1における主要な光学系を有する。本実施例において、撮影ユニット2は、OCT光学系(干渉光学系)10と、第1観察光学系(SLO光学系)30と、第2観察光学系40(前眼部観察光学系)と、を有する。OCT光学系10、第1観察光学系30、第2観察光学系40、の光路は、ビームスプリッタ/コンバイナ16,17によって分岐/結合される。
【0023】
<OCT光学系>
OCT光学系10は、被検眼に照射される測定光と参照光とのスペクトル干渉信号を検出する。OCT光学系10は、例えば、SD-OCTであってもよいし、SS-OCTであってもよいし、その他の撮影原理によるOCTであってもよい。
【0024】
OCT光学系10は、OCT光源11、光分割器12、参照光学系20、および、検出器25を少なくとも有する。なお、本実施例における参照光学系20は、反射型の光学系であるものとして説明するが、透過型の光学系であってもよい。
【0025】
OCT光源11は、低コヒーレント光を発する。OCT光源11から出射された光は、光分割器12によって、測定光と参照光とに分割される。本実施例において、光分割器12は、カップラ(スプリッタ)が利用される。測定光は、導光光学系10aを介して被検眼へ導かれ、参照光は、参照光学系20へ導かれる。図1において、ポラライザ13は、参照光路上に配置されている。参照光は、参照光路上に配置された図示なきミラーによって折り返され、光分割器12によって、測定光の戻り光と合波された状態で、検出器25へ入射する。これにより、戻り光と、参照光とのスペクトル干渉信号が検出される。例えば、SD-OCTにおいては、スペクトロメータが検出器25として利用される。
【0026】
本実施例において、参照光学系20配置される図示なきミラーは、光軸に沿って移動可能であって、ミラーの位置に応じて測定光と参照光との光路長差が調整される。また、ポラライザ13によって、測定光と参照光との偏光が調整される。
【0027】
その他、光分割器12と被検眼Eとの間の光路上には、フォーカシングレンズ14、走査部(光スキャナ)15、および、対物レンズ60、が配置されている。
【0028】
本実施例では、フォーカシングレンズ14が光軸方向へ変位されることによって、OCT光学系10におけるフォーカス位置が変更される。
【0029】
走査部15は、OCT画像の取得位置を変更するために利用される。走査部15は、測定光を、被検眼の撮影部位において二次元的に走査させるために利用されてもよい。走査部15は、例えば、走査方向が互いに異なる2つの光スキャナを含んでいてもよい。各々の光スキャナは、ガルバノミラーであってもよいし、その他の光スキャナであってもよい。
【0030】
対物レンズ60は、測定光を被検眼における撮影部位へ導く。対物レンズ60を介して走査部15と共役な位置を旋回点として、測定光は旋回される。図1に示すように、旋回点に被検眼の前眼部が位置する場合、測定光は虹彩でケラレることなく眼底に到達し、走査部15の駆動に基づいて眼底上で測定光が走査される。この場合、測定光の集光面は眼底上に形成される。
【0031】
<前眼部アタッチメント>
本実施例において、前眼部アタッチメント65は、被検眼Eの眼底と前眼部との間でOCT光学系10および第1観察光学系30における撮影部位を変更するために利用される。図2に示すように、前眼部OCTを取得する際には、対物レンズ60と被検眼Eとの間に前眼部アタッチメント65(アタッチメントレンズ65a)が挿入される。これにより、眼底OCTを取得する場合と、前眼部OCTを取得する場合との間で、測定光の走査態様が変更される。アタッチメントレンズ65aが挿入されることで、テレセントリックに測定光が照射されて前眼部OCTが取得される。更には、アタッチメントレンズ65aが挿入されることで、測定光の集光面がそれぞれ前眼部に位置するように、測定光の集光状態が変更される。
【0032】
<第1観察光学系>
第1観察光学系30は、観察画像として、撮影部位の正面画像を取得するために利用される。前眼部アタッチメント65が装着されていない(退避された)状態では、第1観察光学系30を介して眼底の正面画像が、観察画像として取得される。前眼部アタッチメント65が装着された状態では、第1観察光学系30を介して、前眼部の正面画像が観察画像として取得される。
【0033】
図1では、第1観察光学系30の一例として、SLO光学系が示されている。第1観察光学系30は、照射光学系と、受光光学系と、を少なくとも有していてもよい。照射光学系は、被検眼の撮影部位に対して観察光を照射する。受光光学系は、観察光による眼底反射光を受光素子39によって受光する。受光素子30からの出力信号に基づいて観察画像が逐次取得される。
【0034】
第1観察光学系30は、更に、フォーカス調整部を有する。フォーカス調整部は、フォーカシングレンズ34を含む。
【0035】
観察光源31には、例えば、レーザダイオード光源が用いられる。観察光路には、フォーカシングレンズ34の他に、走査部35、および、対物レンズ60が配置されている。走査部35は、被検眼の撮影部位において二次元的に光を走査する。走査部35は、例えば、ポリゴンミラーと、ガルバノスキャナとの組み合わせを含んでいてもよい。
【0036】
また、観察光源31とフォーカシングレンズ34との間には、ビームスプリッタ33が配置されている。そして、ビームスプリッタ33の透過方向には、共焦点開口37と、受光素子39と、が配置されている。
【0037】
観察光は、ビームスプリッタ33によって反射された後、フォーカシングレンズ34を介して、走査部35に達する。走査部35を経た光は、ビームスプリッタ17を透過した後、対物レンズ60を介して、被検眼の撮影部位に照射される。
【0038】
撮影部位からの反射光は、投光経路を遡って、ビームスプリッタ33まで導かれる。撮影部位からの反射光は、ビームスプリッタ33を透過し、更に、共焦点開口37を介して、受光素子39によって受光される。受光素子39からの受光信号に基づいて、撮影部位の正面画像が形成される。形成された正面画像は、メモリ72に記憶されてもよい。
【0039】
<第2観察光学系>
第2観察光学系40は、被検眼Eの前眼部の正面画像(観察画像という)を観察するために利用される。第2観察光学系40は、少なくとも撮像素子45を有する。本実施例では、OCT光学系10および第1観察光学系30の撮像部位が眼底である場合に、撮像素子45に前眼部の像が結像する。すなわち、前眼部アタッチメント65が装着されていない状態で、撮像素子45と前眼部とが略共役な関係となる。第2観察光学系40を介して取得される前眼部の観察画像は、眼底撮影時における被検眼Eする撮影ユニット2のアライメントに利用される。
【0040】
<固視投影光学系>
OCT装置1は、固視標投影光学系を更に有する。固視標投影光学系は、内部固視灯であってもよい。固視標投影光学系は、被検眼Eに対して固視標(固視光束)を投影することによって、被検眼Eの視線方向を誘導する。本実施例において、固視標投影光学系は、固視標の呈示位置を2次元的に変更でき、被検眼Eを複数の方向に誘導できる。結果的に撮像部位が変更される。本実施例において、固視投影光学系は、SLO光学系である第1観察光学系30によって兼用される。観察光源とは異なる可視光源を設け、可視光の投影タイミングを制御することによって、被検眼Eに対して固視標が投影される。
【0041】
<駆動部>
駆動部5は、撮影ユニット3を、被検眼Eに対してXYZの各方向に移動させる。駆動部5は、各方向に撮影ユニット2を移動させるためのアクチュエータを有しており、制御部70からの制御信号に基づいて駆動される。
【0042】
<制御系>
次に、OCT装置1の制御系について説明する。
【0043】
OCT装置1の制御部70は、OCT装置1における各種動作を司る。また、本実施例では、制御部70によって、各種の画像処理が行われる。つまり、制御部70によって、画像処理器が兼用される。制御部70は、例えば、CPU、RAM、および、ROM等によって構成されてもよい。
【0044】
また、本実施例において、制御部70は、モニタ80に接続されており、モニタ80の表示制御を行う。更に、制御部70は、メモリ72、操作部85、等と接続されている。
【0045】
操作部85として、本実施例では、マウス等のポインティングデバイスを有していてもよい。また、モニタ80が、タッチパネルディスプレイであってもよく 、この場合は、モニタ80が操作部85を兼用するい。モニタ80および操作部85は、ネットワーク等を介して、OCT装置1とは遠隔地に配置されていてもよい。
【0046】
<動作説明>
次に、図3図5を参照して、OCT装置1における動作を説明する。図3は、撮影時における動作の流れを示したフローチャートである。図4および図5に示した撮影画面100を介して、撮影時における各種操作が入力される。図4は、眼底のOCTデータを撮影する際の画面構成を示している。図5は、前眼部のOCTデータを撮影する際の画面構成を示している。本実施例の撮影画面100には、例えば、光学系を介して取得される被検眼の画像が表示される表示領域として、第1領域110、第2領域120、および、第3領域130、が少なくとも設けられている。第1領域110は、撮影部位の正面画像を表示するために利用される。例えば、第1観察光学系30を介して取得される観察画像が、第1領域110に表示されてもよい。第2領域120は、第2観察光学系40を介して取得される第2観察画像が表示される。第3領域130は、撮影部位のOCT画像を表示するために利用される。例えば、リアルタイムなBスキャン画像が、第1領域110に表示されてもよい。図4,5に示すように、眼底のOCTデータを撮影する場合も、前眼部のOCTデータを撮影する場合も、撮影画面100上における、それぞれの表示領域110,120,130の配置は一定である。また、撮影画面100には、撮影条件を設定したり、装置の状態を表示したり、するための各種ユーザーインターフェースが配置されている(詳細は後述する)。
【0047】
例えば、本実施例では、最初に、撮影部位およびスキャンパターンが設定される(S1)。OCTのスキャンパターンには、ライン、クロス、マルチ、マップ、ラジアル、サークル、等の種々のものが知られている。本実施例のOCT装置1には、1以上のスキャンパターンによる組み合わせが、疾患および用途に応じて予め複数用意されている。また、各々の組み合わせにおいて、撮影部位は、スキャンパターン毎に予め定められている。検者は、スキャンパターン選択部140を操作することで、疾患および用途に応じて、いずれかの組み合わせを選択できる。
【0048】
選択された組み合わせに含まれる各スキャンパターンの内訳が、リスト150の内容に反映される。図4,5のリスト150においては、スキャン毎のスキャン設定を示すテキストが表示される。テキストには、スキャン設定として、撮影対象眼(左右のいずれか)と、撮影部位と、スキャンパターンと、が含まれている。撮影対象眼は、撮影対象眼選択ボタン160を操作することによって、選択および変更可能である。
【0049】
リスト150に表示されるスキャン設定に従って順次、撮影が実施される。通常、リスト150の上から下へ順番に撮影が実施される。次の撮影における(次にキャプチャーボタン180を操作したときに実行される)スキャン設定が選択されている場合に、選択されたスキャン設定と対応するテキストが、リスト150上で強調される。また、検者の所望のスキャン設定と対応するテキストに対し、ポインティングデバイスによる選択操作を行うことで、次の撮影におけるスキャン設定を変更可能である。
【0050】
<眼底モード>
眼底撮影用のスキャン設定が選択されている場合、制御部70によって、装置の撮影モードが眼底モードに設定される(S2:眼底モード)。この場合、検者は、前眼部アタッチメント65を退避させておく。
【0051】
眼底モードにおいて、制御部70は、第1観察光学系30および第2観察光学系40のそれぞれを制御して、観察画像を取得し、撮影画面100に表示させる(図4参照)。
【0052】
その後、自動又は手動で、アライメントが行われる(S3)。第2領域120に表示される前眼部の観察画像に基づいて、被検眼Eに対する撮影ユニット2の位置が調整される。撮影ユニット2の位置を調整するうえで、被検眼の角膜にアライメント指標が投影し、前眼部観察画像に映り込む指標像を利用してもよい(詳しくは、例えば、本出願人による特開2015-195874号公報等を参照されたい)。アライメントの結果、XY方向に関しては、OCT光学系10および第1観察光学系30の光軸が、瞳孔を通過するように調整される。これにより、第1領域110には、第1観察光学系30を介して取得される眼底の観察画像が表示される。また、Z方向に関しては、被検眼Eから撮影ユニット2までの作動距離が、予め定められた値(許容範囲)となるように調整される。
【0053】
少なくともアライメントが完了した段階で、制御部70は、OCT光学系10を制御して、被検眼EのOCTデータの取得を開始する。
【0054】
本実施例では、アライメント完了後に、検者がオプティマイズボタン170を操作することによって、OCT光学系10の調整処理が実行される(S4)。本実施例の調整処理では、一例として、光路長差、フォーカス、および、偏光の各々が調整される。被検眼の眼軸長に応じて光路長差が調整されることによって、第3領域130に、眼底の断層画像が表示されるようになる。フォーカスおよび偏光の各々が調整されることによって、良好な画質で断層画像を撮影可能になる。
【0055】
本実施例において、第1領域110の眼底観察画像上には、スキャン位置(スキャンライン)を示すグラフィック(以下、スキャンラインSLと記す)が重畳される。選択中のスキャン設定(スキャンパターン)と対応するスキャン位置に、スキャンラインSLは重畳される。本実施例では、第1領域110上で、スキャンラインSLの位置を移動させる操作が入力可能であってもよく、当該操作に基づいて眼底上のスキャン位置が変更可能であってもよい。スキャンラインSLの位置を移動させる操作としては、スキャンラインSLの平行移動、回転移動、端点の移動、(複数のスキャンラインの)交点の移動、のうちもいずれかが利用されてもよい。
【0056】
第1領域110の眼底観察画像を介して、例えば、固視標の呈示位置が変更可能であっても良い。例えば、検者が眼底観察画像上の1点を選択した場合に、当該1点が第1領域110において画像中心に位置するように、固視標の呈示位置が制御されてもよい。
【0057】
キャプチャーボタン180が操作されることによって、予め設定されたスキャン位置においてOCT画像が撮影される(S5)。撮影結果は、検者に確認させる度にモニタ80に表示されてもよい。撮影に成功していればメモリ72に保存され、失敗していれば再撮影が実施されてもよい。
【0058】
本実施例では、リスト150に示されたいずれかのスキャン設定に対する撮影が完了していなければ、S1に戻って処理を続ける。なお、このとき、スキャンパターンの組み合わせは引き継がれると共に、リスト150に示されたスキャン設定のうち撮影前のいずれかが、次のスキャン設定として自動的に選択されてもよい。一方、本実施例では、リスト150に示されたすべてのスキャン設定に対して撮影が完了していれば、一連の撮影動作は終了となる(S6:撮影完了)。
【0059】
<前眼部モード>
前眼部モードについて説明する。眼底撮影用のスキャン設定が選択されている場合、制御部70によって、装置の撮影モードが前眼部モードに設定される(S2:前眼部モード)。この場合、検者は、前眼部アタッチメント65を装着しておく。本実施例の前眼部モードでは、OCT光学系10におけるフォーカスレンズ14の位置、および、測定光と参照光との光路長差(参照光学系20における図示なきミラーの位置)は、予め定められた所定位置にそれぞれ調整される。また、第1観察光学系30におけるフォーカスレンズ34の位置についても同様である。その後、前眼部モードにおいて、OCT光学系10におけるフォーカスレンズ14の位置、および、測定光と参照光との光路長差、第1観察光学系30におけるフォーカスレンズ34の位置、の移動は制限される。詳細については、例えば、本出願人による「特開2011-147609号公報」を参照されたい。
【0060】
前眼部モードにおいて、制御部70は、第1観察光学系30を制御して、前眼部の正面画像を観察画像として取得し、撮影画面100に表示させる(図5参照)。また、制御部70は、OCT光学系10を制御して、OCTデータの取得を開始する。随時取得されるOCTデータは、第3領域130に表示される。
【0061】
一方で、前眼部モードにおいて、第2観察光学系40は、前眼部にフォーカスが合わない。前眼部モードで第2領域120にフォーカスが合っていない前眼部正面画像が表示されてしまうと、被検眼Eに対する撮影ユニット2の位置が適切に調整されていたとしても、不適切な状態であると検者に誤解されてしまうおそれがある。そこで、制御部70は、第2観察光学系40を介した第2観察画像の取得を行わないように、第2観察光学系40、および、前眼部照明を制御し、更に、第2領域120に対する表示制御を行う。
【0062】
その後、自動又は手動で、アライメントが行われる(S7)。第1領域110に表示される前眼部の観察画像に基づいて、被検眼Eに対する撮影ユニット2の位置が調整される。
【0063】
ここで、手動によるアライメントの手法を例示する。第1領域110(および、第1領域110に表示される前眼部の観察画像)を介して、撮影ユニット2を移動させるための操作入力を受け付ける。例えば、XY方向に関しては、ポインティングデバイスを介して前眼部の観察画像上で位置を指定すると、指定された位置に表示されている前眼部の組織が、第1領域110内の所定位置に表示されるように、被検眼Eに対して撮影ユニット2が移動する。
【0064】
本実施例において、第1領域110内の所定位置は、第1領域110の中心であるものとする。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、所定位置として他の位置を適宜採用可能である。
【0065】
Z方向に関しては、まず、第1領域110に表示される観察画像を参照しつつ、該観察画像の焦点が合う方向にラフに撮影ユニット2を移動させる。移動の結果、第3領域130において前眼部のOCTデータが描写されるようになったら、前眼部における所望の深さ領域の画像が、第3領域130に描写されるように、Z方向に関して撮影ユニット2の位置を調整する。
【0066】
Z方向に関して撮影ユニット2を移動させるために、制御部70は、XY方向に関して撮影ユニット2を移動させるための操作と異なる操作が要求される。例えば、図4,5においては、前後移動ボタン190a,190bを操作することによって、Z方向に関して撮影ユニット2が移動される。前後移動ボタン190a,190bは、前進および後退とそれぞれ対応する2つのボタンである。制御部70は、押下したボタンと対応する方向に、撮影ユニット2を継続的に移動させる。この場合、撮影ユニット2の移動量は、ボタンの押下時間に比例する。但し、Z方向に関して撮影ユニット2が移動するための操作は、必ずしもこれに限られるものではなく、他の種々の操作を併用または代用できる。例えば、ポインティングデバイスとして、マウスが利用される場合は、マウスのホイール操作が利用されてもよい。この場合、撮影画面100上のカーソルC(ポインタ)が、第1領域110に配置されている場合に、ホイール操作が入力されることによって、制御部70は、撮影ユニット2をZ方向に関して移動させてもよい。撮影ユニット2の移動量は、ホイールの操作量に応じて決定されてもよい。また、モニタ80がタッチパネルディスプレイである場合は、第1領域110上でのピンチイン/ピンチアウトが利用されてもよい。
【0067】
なお、本実施例の前眼部モードでは、前眼部アタッチメント65が装着された結果として、眼底モードよりも作動距離が短くなっている。これに対し、前眼部モードにおける撮影ユニット3の移動速度が、眼底モードに比べて遅くなるように、駆動部5が制御されてもよい。また、本実施例のZ方向の移動のための操作のように、撮影ユニット3の移動量が入力量(操作量)に応じて定められる場合、前眼部モードにおける入力量(操作量)に対する移動量が、眼底モードに比べて小さくなるように、駆動部5が制御されてもよい。
【0068】
このように、前眼部モードでは、第1領域110を介して、被検眼Eに対する撮影ユニット2の位置を確認できると共に、撮影ユニット2を移動させるための操作を入力できるので、検者による前眼部モードでの撮影ユニット2の位置を調整する操作が容易になる。また、前眼部モードでは第2観察光学系40のフォーカスが合わなくなってしまうが、前眼部モードでは第2領域120での前眼部正面画像の表示は行われなくなるので、被検眼Eに対する撮影ユニット2の位置の調整状態が検者に誤解されにくい。
【0069】
本実施例において、第1領域110の前眼部観察画像上には、スキャン位置(スキャンライン)を示すグラフィック(以下、スキャンラインSLと記す)が重畳される。第1領域110上で、スキャンラインSLの位置を移動させる操作が入力可能であってもよく、当該操作に基づいて前眼部上のスキャン位置が変更可能であってもよい。
【0070】
所望のスキャン位置が設定された後に、キャプチャーボタン180が操作されることによって前眼部のOCT画像が撮影される(S8)。
【0071】
<変形例>
以上、実施形態に基づいて本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態では、被検眼Eの眼底と前眼部との間でOCT光学系10および第1観察光学系30における撮影部位を変更するための変更手段の一例として、前眼部アタッチメント65(およびアタッチメントレンズ65a)を着脱し、対物光学系を切換るものを例示したが、撮影部位を変更するための変更手段は、必ずしも対物光学系を切換るものに限定されない。例えば、眼底を撮影する場合と、前眼部を撮影する場合との間で、対物光学系を変更することなく、被検眼と撮影ユニットとの間隔を少なくとも変更することによって、OCT光学系および第1観察光学系における撮影部位を変更してもよい。例えば、眼底を撮影する場合に対して、被検眼から撮影ユニットを遠ざけることによって撮影部位を前眼部に変更することができる。この場合、変更手段は、例えば、撮影ユニットを移動させる駆動部であってもよいし、被検者の顔を支持する顔支持部(図示せず)の位置を変更する機構であってもよい。被検眼と撮影ユニットとの間隔を変更することによって、第2観察光学系を介して適切な観察画像の取得は困難になるため、上記実施例と同様に、前眼部OCTを撮影するときの第1領域を介した操作入力および制御は有用である。
【0073】
また、例えば、前眼部のOCTを撮影する際に、第3表示領域130に表示される前眼部のOCT画像を介して、被検眼Eに対して撮影ユニット2の位置を調整するための操作を受け付けても良い。例えば、ポインティングデバイスを介して断層画像上で位置を指定すると、指定された位置に表示されている前眼部の組織が、第3領域130第1領域110内の所定位置に表示されるように、被検眼Eに対して撮影ユニット2が移動してもよい。この場合、前眼部のOCT画像をスキャンラインに沿う方向(横断方向)に移動しても良いし、深さ方向に移動してもよい。
【0074】
また、上記実施例では、前眼部アタッチメント60を装着することによって、物体側に略テレセントリックな光学系によって前眼部が撮影されるため、XY方向に関して被検眼Eと撮影ユニット2との位置関係が変更してもOCT画像の傾きはそれほど変化しないが、前眼部のOCTを取得する際に、光学系が物体側に非テレセントリックであれば、XY方向に関して被検眼Eと撮影ユニット2との位置関係が変更してもOCT画像の傾きが変化することになる。そこで、例えば、第3表示領域130に表示される前眼部のOCT画像の傾きを変更するために操作入力を受け付けてもよく、操作入力に応じてXY方向に関して撮影ユニット2の位置が制御されてもよい。例えば、操作部85としてタッチパネルディスプレイが利用される場合、OCT画像上の2点をタッチし回転させることで、目標とする傾きが回転量として入力されてもよい。
【0075】
また、上記実施例において、制御部70は、前眼部モードにおいて取得される第1観察画像において、角膜頂点を検出してもよい。角膜頂点は、例えば、第1観察画像に生じる角膜反射像に基づいて検出されてもよい。角膜反射像は、例えば、観察光が角膜頂点によって反射されることで生じたものであってもよい。制御部70は、検出された角膜頂点を所定位置へ誘導するための誘導処理を実行しても良い。誘導処理では、例えば、角膜頂点を所定位置へ移動させるための操作入力を促すグラフィックを、第1観察画像上に表示させてもよい。グラフィックの態様は、操作入力および操作入力に対する駆動制御の内容に応じて適宜設定され得る。例えば、前眼部の観察画像上で位置を指定すると、指定された位置に表示されている前眼部の組織が、第1領域110内の所定位置に表示されるように、被検眼Eに対して撮影ユニット2を移動させるのであれば、例えば、検出された角膜頂点に対して電子的な指標をマージして、第1観察画像上に表示してもよい。これにより、前眼部の観察画像上で、角膜頂点を正確に指定しやすくなる。なお、電子的な指標の形状は、適宜、選択可能である。
【0076】
また、上記実施例では、前眼部アタッチメント65が装着された結果として、眼底モードよりも作動距離が短くなってしまう場合は、第3領域の前眼部のOCT画像に基づいて、撮影ユニット2が被検眼Eに近づく方向への移動を制限してもよい。この場合、例えば、制御部70は、OCT画像における所定の閾値よりもゼロディレイ側の領域に、前眼部の像が生じている場合には、それ以上、撮影ユニット2が被検眼Eに接近しないように、駆動部5を制御してもよい。また、OCT画像に、角膜よりも眼底側にある前眼部の特定の組織の像が生じているか否かを検出し、特定の組織の像が生じている場合には、それ以上、撮影ユニット2が被検眼Eに接近しないように、駆動部5を制御してもよい。特定の組織は、例えば、水晶体、虹彩、隅角、等のうちいずれかであっても良いし、他の組織であっても良い。また、必ずしもこれに限られるものではなく、他の方法で被検眼と撮影ユニット2との距離が検出可能であれば、検出された距離に基づいて、被検眼に対する必要以上の撮影ユニット2の接近を抑制してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 OCT装置
2 撮影ユニット
5 駆動部
10 OCT光学系
30 観察光学系
70 制御部
110 第1領域
図1
図2
図3
図4
図5