(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072885
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/31 20060101AFI20240521BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20240521BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240521BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240521BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240521BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240521BHJP
A23L 7/10 20160101ALN20240521BHJP
【FI】
A61K36/31
A61K38/00
A61P17/18
A61P43/00 121
A23L33/10
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L2/38 J
A23L7/10 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024051166
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2022153424の分割
【原出願日】2018-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】三井 雄史
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】 有用な機能を有するケール含有経口組成物を提供すること。
【解決手段】 ケールと、プロテオグリカンと、コラーゲン及びヒアルロン酸から選ばれる少なくとも1種の素材とを含有することを特徴とする経口組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケールとプロテオグリカンとを含有することを特徴とする経口組成物(ただし、以下の(1)~(4)の組成物を除く)。
(1)野菜類、山野草類、きのこ類、海藻及び果物類を利用した発酵酵素液と穀物類を利用した発酵酵素粉末とを混合したことを特徴とする発酵食品
(2)大麦若葉、プロテオグリカン及びN-アセチルグルコサミンを含んでなる飲食品組成物
(3)大麦若葉、ゴーヤ、明日葉、桑葉、クマ笹、生姜、ボタンボウフウ、ごま若葉、ごぼう、プラセンタ、りんご繊維及びエラスチンを含有する青汁
(4)大麦若葉、熊笹、桑の葉、明日葉、抹茶、コラーゲン、プラセンタ、米、押麦、モチ玄米、はだか麦、黒米、もち麦、青肌玄米、米粒麦、もちきび、ひえ、とうもろこし、緑米、もちあわ、小豆、赤米、アマランサス、はと麦、たかきび及びうるちあわを含有する青汁
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケールを含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する関心の高まり等を背景に、種々の健康食品の開発が行われており、健康食品に用いられる様々な素材の研究が行われている。
【0003】
例えば、ケールは、キャベツなどと同じアブラナ科植物の1種であり、ビタミンCなどのビタミン類、ミネラル類、食物繊維、クロロフィルなどに富み、また、胃炎や胃潰瘍の予防、肝機能の改善や便秘に有効であるなど、人体の健康維持に適する健康素材として注目を浴びている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、健康志向と同様に安全志向の高い昨今では、日常的に食されているケールのような安全な素材を用いたものが好まれ、このような食経験のあるケール等の安全な素材が有する有用な機能をより活用することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、有用な機能を有するケール含有経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ケールと共にプロテオグリカンを用いることにより、優れた線維芽細胞保護作用(線維芽細胞賦活作用)が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。また、ケールと共にプロテオグリカン等の特定の素材を用いることにより、分散性が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]ケールとプロテオグリカンとを含有することを特徴とする経口組成物。
[2]さらに、プラセンタ、アスタキサンチン、コラーゲン、ヒアルロン酸及び抹茶から選ばれる少なくとも1種の素材を含有することを特徴とする上記[1]に記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経口組成物は、優れた線維芽細胞保護作用を有する。また、本発明の経口組成物は、分散性が高く、ダマの形成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の組成物をヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)に適用した場合の酸化ストレスによる細胞障害抑制率(線維芽細胞賦活率)の結果を示す図である。
【
図2】本発明の組成物の分散試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の経口組成物は、ケールとプロテオグリカンとを含有することを特徴とする。本発明の経口組成物は、さらに、プラセンタ、アスタキサンチン、コラーゲン、ヒアルロン酸及び抹茶から選ばれる少なくとも1種の素材(以下、プロテオグリカンも含めて他素材ということがある)を含有することが好ましい。
【0012】
本発明の経口組成物は、優れた線維芽細胞保護作用を有する。すなわち、本発明の経口組成物は、コラーゲンやヒアルロン酸の産生に寄与する線維芽細胞を保護して、紫外線等のダメージから皮膚を保護することができ、しわ防止や老化防止(アンチエイジング)などの美容効果を得ることができる。
【0013】
また、ケールと他素材を含有する本発明の経口組成物は、ケールに比して高い分散性を有する。すなわち、本発明の経口組成物は、凝集しにくい粉体(粉末)である。したがって、水やお湯等の液体に溶かして摂取する場合、溶けやすく、簡単に混合することができる。さらに、製品の製造工程では、粉末の混合工程において粉末同士の付着を抑制し、ダマの形成を抑制して均一な混合が可能となる。すなわち、本発明の分散性の高い経口組成物は、単に混合するだけで調製できるものであり、その調製も容易である。例えば、凝集性が強く、塊を形成しやすい原料を混合する際には、その原料について粉砕機を用いた解砕等の前処理を行い、原料の流動性を確保したうえで仕込み、さらに、仕込み後は、再凝集しないようできるだけ速やかに給気し、流動を開始する必要があることが知られているが、このような煩雑な操作を行う必要がない。また、凝集性が強く、ダマを形成しやすい原料と賦形剤を予め混合することで付着性を緩和できる場合があることも知られているが、このような添加も必要ない。
【0014】
また、本発明の組成物は分散性が高いことから、さらに本発明の成分以外の素材を混合して本発明の経口組成物とする場合にも、上記のような煩雑な操作を行う必要がなく、単に混合するだけで調製することができる。
【0015】
[ケール]
ケールは、アブラナ科植物である。本発明において用いられるケールの品種は特に制限されるものではなく、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード、緑葉カンラン等の様々な種類のケールを用いることができる。ケールは、収穫後、直ちに乾燥、粉砕等の加工処理を施したものであることが好ましい。処理までに時間を要する場合には、ケールの変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましい。また、葉と共に茎を含んでいてもよい。また、ケールは、大麦若葉、クマザサ、明日葉、甘藷、ヨモギ等の他の青汁素材と混合して用いてもよい。
【0016】
ケールは、ケールを加工した加工物を用いてもよく、例えば、粉砕物、搾汁、抽出物等として用いることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等を挙げることができる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(搾汁末、エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水(温水、熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、ケールの含有する栄養成分を有効に活用できることから、ケールを乾燥し粉砕して粉末化した乾燥粉末であることが好ましい。乾燥粉末は、粒径75μm以下のものが60%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0017】
[他素材]
(プロテオグリカン)
プロテオグリカンは、タンパク質をコアとして、コンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸等のグリコサミノグリカンが共有結合した複合多糖であり、動物組織、特に軟骨組織に多く存在する。プロテオグリカンは生体内で、コア蛋白質がさらにヒアルロン酸に結合した構造で存在することも知られており、その分子量は、数万~数千万と大きい。本発明で用いるプロテオグリカンとしては、具体的に、動物由来のプロテオグリカンを挙げることができ、特に、サケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンが好ましい。また、市販品を使用することができる。本発明においては、粉末状のものが好ましく、ケールと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、粒径は40メッシュを通過するものが80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0018】
(プラセンタ)
プラセンタとしては、ヒト、ブタ、ウマ等の哺乳類やサケ等の魚類に由来するプラセンタの抽出物を用いることができ、サケ卵巣膜に由来するプラセンタの抽出物が好ましい。抽出方法は、従来公知の方法を用いることができ、液状、粉末状、固体状、顆粒状等の各種形態のものを用いることができる。本発明においては、粉末状のものが好ましく、ケール及びプロテオグリカンと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、粒径は40メッシュを通過するものが80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0019】
(アスタキサンチン)
本発明に用いられるアスタキサンチンは、カロテノイドの一種であり、抗酸化作用はビタミンEの1000倍といわれており、天然物由来のものであっても、合成により得られるものであってもよい。天然物由来のものとしては、例えば、ヘマトコッカス藻等の藻類、エビ・カニ等の甲殻類、サケ・タイ等の魚類などから得られるアスタキサンチンを挙げることができ、特に、ヘマトコッカス藻から得られるアスタキサンが好ましい。天然物由来の抽出物や化学合成品は市販されており、これら市販品を使用することができる。本発明においては、粉末状のものが好ましく、ケール及びプロテオグリカンと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、粒径は30メッシュを通過するものが80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0020】
(コラーゲン)
コラーゲンとしては、動物由来のコラーゲンであっても、合成コラーゲンであってもよく、コラーゲンタンパク質の他、コラーゲンタンパク質を加水分解して得られるコラーゲンペプチドや、コラーゲン分子をプロテアーゼで処理し、テロペプチド部分を取り除いたアテロコラーゲンが含まれる。動物由来のコラーゲンとしては、特に魚類由来のコラーゲンが好ましい。コラーゲンの平均分子量(重量平均分子量)としては、特に制限されるものではないが、例えば、500~100000であることが好ましく、1000~50000であることがより好ましい。本発明においては、粉末状のものが好ましく、ケール及びプロテオグリカンと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、粒径は40メッシュを通過するものが80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0021】
(ヒアルロン酸)
ヒアルロン酸としては、例えば、鶏冠等の動物組織から抽出したものや、乳酸菌等の微生物により生成されたものを用いることができる。鶏冠は、古くから食用に供されており、安全性の面で問題がないので、ヒアルロン酸の代わりに鶏冠の粉砕物等を用いてもよい。また、ヒアルロン酸は、塩の形態であってもよい。ヒアルロン酸の塩としては、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなどが挙げられる。
【0022】
(抹茶)
抹茶は、ツバキ科、チャノキ属の植物を由来とする緑茶の1種であり、てん茶や煎茶、玉露などの緑茶を粉末にしたものである。本発明においては、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。本発明においては、粉末状のものが好ましく、ケール及びプロテオグリカンと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、粒径は75μm以下のものが80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0023】
本発明の経口組成物は、一般的な食品、食品添加剤、飼料等の他、線維芽細胞保護作用に基づく美肌効果を有することから、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、医薬品(医薬部外品を含む)として用いることができる。
【0024】
すなわち、本発明の経口組成物は、いわゆる健康食品や医薬品等の肌美容のために用いられる美肌用経口組成物として用いることができ、かかる美肌用経口組成物としては、ケール及びプロテオグリカンを含有し、肌美容に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに、皮膚保護効果、皮膚バリア機能改善・向上効果、皮膚のターンオーバー促進効果、線維芽細胞賦活効果等の肌美容の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の美肌用経口組成物は、製品の包装等に、本発明の成分(ケール及びプロテオグリカン)が肌美容の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、特定の素材を有効成分として表示したものであってもよい。
【0025】
具体的に、いわゆる健康食品においては、「肌をバリアする」、「肌を守る」、「肌のバリア機能を高める」、「肌の保湿力を高める」、「しみが気になる方に」、「しわが気になる方に」、「ストレスに負けない肌に」、「紫外線に負けない肌に」、「美容にうれしい」、「肌にうれしい」等を表示したものを例示することができる。本発明の経口組成物は、上記の効果が気になる人であれば性別や年齢に関係なく摂取することができるが、本発明の組成物の効果をより有効に享受することができることから、女性が摂取することが好ましい。
【0026】
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料(粉末飲料)や、食品添加剤を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0027】
本発明の経口組成物におけるケール及び他素材(本発明の成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0028】
一般的には、本発明の経口組成物が錠状、錠剤状等のサプリメントや医薬品の場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で組成物全体の0.01~100質量%含まれていることが好ましく、0.1~80質量%含まれていることがより好ましく、1~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0029】
本発明の経口組成物が容器詰飲料である場合には、本発明の成分が組成物全体の0.001~30質量%含まれていることが好ましく、0.01~20質量%含まれていることがより好ましく、0.1~15質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0030】
また、本発明の経口組成物が青汁等のインスタント飲料である場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で組成物全体の0.01~100質量%含まれていることが好ましく、0.1~80質量%含まれていることがより好ましく、1~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0031】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、本発明の成分が乾燥質量換算で本発明の経口組成物全体の70%以上含まれていることが好ましく、80%以上含まれていることがより好ましく、90%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0032】
本発明の経口組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たり、ケール摂取量が乾燥質量換算で、0.01g/日以上となるように摂取することが好ましく、0.1g/日以上となるように摂取することがより好ましく、1g/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、30g/日であり、好ましくは20g/日であり、より好ましくは10g/日である。本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0033】
ケール及び他素材の配合質量比としては、乾燥質量換算で、0.0001:1~10000:1であることが好ましく、0.001:1~1000:1であることがより好ましく、0.01:1~100:1であることがさらに好ましい。
【0034】
本発明の経口組成物は、必要に応じて、本発明の成分以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の成分以外の他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【0035】
本発明の経口組成物は、後述する実施例で示された線維芽細胞保護作用を奏することにより、線維芽細胞保護用組成物、線維芽細胞賦活用組成物、皮膚バリア機能改善・向上用組成物、皮膚のターンオーバー促進用組成物、美肌用組成物として優れたものとなりうる。また、後述する実施例で示された分散性向上の作用を奏することにより、凝集しにくく分散性の高い組成物となりうる。
【実施例0036】
以下、実施例に基づき、本発明を説明する。
[実施例1]
(原料)
ケールとしては、ケールを乾燥して粉末化したケール乾燥粉末(粒径75μm以下が90%以上;東洋新薬社製)を用いた。
プロテオグリカンとしては、サケ鼻軟骨から抽出したプロテオグリカン乾燥粉末(40メッシュパスが90%以上)を用いた。
プラセンタとしては、鮭卵巣膜から抽出・精製したプラセンタ乾燥粉末(40メッシュパスが90%以上)を用いた。
アスタキサンチンとしては、ヘマトコッカス藻から抽出したアスタキサンチン乾燥粉末(30メッシュパスが90%以上;アスタキサンチン含量2.0%以上)を用いた。
コラーゲンとしては、海洋魚の鱗から精製し、低分子化したコラーゲンペプチド(平均分子量2000~2500)の乾燥粉末(40メッシュパスが90%以上)を用いた。
ヒアルロン酸としては、ヒアルロン酸ナトリウム粉末を用いた。
抹茶としては、てん茶の茶葉を乾燥して粉末化した抹茶乾燥粉末(粒径75μm以下が90%以上;東洋新薬社製)を用いた。
【0037】
[試験例1]
[酸化ストレスによる細胞障害抑制試験(細胞賦活活性確認試験)]
(サンプル液の調製)
<ケール>
ケール乾燥粉末を0.5%DMSO含有10%FBS含有DMEM培地(以下、添加用培地)に20mg/mLの濃度になるように懸濁して、ボルテックスミキサーを用いて10分間攪拌した。遠心上清を0.2μmフィルターを通して滅菌し、添加用培地で1mg/mLの濃度に希釈したものをサンプル液とした。
【0038】
<プロテオグリカン>
プロテオグリカン乾燥粉末を用いる以外はケールと同様にして、サンプル液を調製した。
【0039】
<アスタキサンチン>
アスタキサンチン乾燥粉末を25%DMSO含有10%FBS含有DMEM培地に200mg/mLの濃度になるように懸濁した。10%FBS含有DMEM培地にて4mg/mLの濃度に調製した。遠心上清を0.2μmフィルターを通して滅菌し、添加用培地で1mg/mLの濃度に希釈したものをサンプル液とした。
【0040】
<ケール+プロテオグリカン>
1mg/mLの濃度に調製した各サンプル溶液を等量ずつ混合して調製した。
<ケール+プロテオグリカン+アスタキサンチン>
1mg/mLの濃度に調製した各サンプル溶液を等量ずつ混合して調製した。
<コントロール>
添加用培地そのものをサンプル液とした。
【0041】
(試験)
37℃、5%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて、ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)を10%FBS含有DMEMにて培養した。
トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cm2フラスコからコラーゲンコートした96ウェルプレートの各ウェルに10,000cells/ウェルの細胞密度で播種した。
37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間培養した後、培養上清を除去し、1mg/mLの濃度に調製した各サンプル溶液を200μL添加して24時間培養した。
24時間培養後の細胞に過酸化水素を100μMの濃度となるように添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で90分培養した。
【0042】
過酸化水素の添加方法としては、200μL/ウェルで培養している被験物質含有培地の上に、添加用培地で500μMの濃度に調製した過酸化水素を50μL/ウェルずつ添加することで、過酸化水素の終濃度を100μMとした。
過酸化水素を添加し、90分培養後の細胞を300μL/ウェルのPBSで1回洗浄した後、無血清DMEM培地で30倍希釈したCell Counting Kit-8溶液(同仁化学社製)を150μL/ウェルで添加した。
【0043】
37℃、5%CO2インキュベーター内に静置して適度に発色させた後、各ウェルの450nmにおける吸光度を測定した。
得られたデータを元に、コントロールに対する、酸化ストレスによる線維芽細胞の障害抑制率(細胞賦活活性)(% of control)を下記式に基づいて算出した。
【0044】
% of control = (Data sample-Data blank)/(Data control-Data blank)×100
【0045】
式中、「Data sample」は各被験物質添加ウェルの吸光度を表し、「Data control」はコントロールのウェルの吸光度を表し、「Data blank」は細胞がないウェルの吸光度を表す。
【0046】
その結果を
図1に示す。
図1に示されるように、本発明の組成物(ケール+プロテオグリカン)は、酸化ストレスによる線維芽細胞の障害抑制率(細胞賦活活性)が相乗的に向上しており、さらにアスタキサンチンを加えた本発明の組成物(ケール+プロテオグリカン+アスタキサンチン)は、その向上が顕著であった。したがって、本発明の経口組成物によれば、線維芽細胞が保護され、高い美肌効果を得ることができる。
【0047】
[試験例2]
(分散性試験)
各原料を篩(呼び寸法:710)にかけた。2原料以上を組み合わせる場合は表1の割合に従って分散度を測定するために必要な量を計りとり、均一になるまで手で振ってビニール袋内で混合した。
【0048】
被験物質10gを計りとり、ホソカワミクロン社製の粉体特定評価装置「パウダテスタPT-X」を用いて分散度を測定した。分散度の測定は当該機器のマニュアルに従って行った。
【0049】
なお、分散度は以下のような方法によって測定される。
規定重量(W)の試料を規定の高さから受け皿に落下させて、受け皿に乗った試料の重量(W1)を測定する。さらに、次の式によって、分散度を算出する。
【0050】
分散度(%)=(W-W1)/W×100
【0051】
各被験物質の構成及びその結果を表1及び
図2に示す。
【0052】
【0053】
表1及び
図2に示すように、ケール及びプロテオグリカンと共に、他素材を配合した本発明の組成物は、ケール単独(比較例1)に比して、いずれも分散度が高く、分散性が向上した。また、分散性の効果は、相乗的なものであった。
【0054】
[配合例]
表2に示す粉末状の飲食用組成物(本発明の経口組成物)を調製した。得られた本発明の組成物3gを150mLの水と混合し、飲用したところ、ケールの臭いや味が改善され、総合的な嗜好性に優れた飲料が得られた。
【0055】