(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072894
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】穿刺状態識別システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
A61M5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045463
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 太輝人
(72)【発明者】
【氏名】鬼村 祐治
(72)【発明者】
【氏名】桑野 陽一郎
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066LL13
4C066LL30
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】穿刺した針の状態を認識しやすくすることのできる穿刺状態識別システムを提供する。
【解決手段】針50の穿刺時に用いられる超音波プローブ20から人体の断面画像を取得する画像取得部30と、取得した断面画像から血管Vと針の先端部Nとを認識する画像解析部32と、取得した断面画像を表示する表示部36と、画像解析部32で認識した血管Vと針の先端部Nとの位置関係が一定の条件を満たす場合に、通知を行う通知部34と、を有する穿刺状態識別システム10である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針の穿刺時に用いられる超音波プローブから人体の断面画像を取得する画像取得部と、
取得した前記断面画像から血管と前記針の先端部とを認識し、穿刺状態を識別するために、前記血管と前記針の先端部との位置関係、前記血管の形状、前記血管の位置変化、の情報のいずれか1つ以上を検出する画像解析部と、を有する穿刺状態識別システム。
【請求項2】
前記画像解析部で検出した前記情報が一定の条件を満たす場合に、通知を行う通知部を有する請求項1に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項3】
前記通知部は、前記画像解析部で検出した前記血管と前記針の先端部との位置関係の情報について、前記血管と前記針の先端部とが認識された場合に、通知を行う請求項2に記載の穿刺状態識別システム
【請求項4】
前記画像解析部は、前記針の先端部と前記血管の表面との距離を検出し、
前記通知部は、前記画像解析部で検出した前記血管と前記針の先端部との位置関係の情報について、前記針の先端部が前記血管の表面に到達するまでの間である場合に、前記針の先端部と前記血管の表面との距離を示す通知を行う請求項2または3に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項5】
前記通知部は、前記画像解析部で検出した前記血管と前記針の先端部との位置関係の情報について、前記針の先端部が前記血管の表面に到達した場合に、通知を行う請求項2~4のいずれか1項に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項6】
前記通知部は、前記画像解析部で検出した前記血管の形状の情報について、前記血管の表面が窪んだ場合に、通知を行う請求項2~4のいずれか1項に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項7】
前記通知部は、前記画像解析部で検出した前記血管と前記針の先端部との位置関係の情報について、前記針の先端部が前記血管内に位置していた場合に、通知を行う請求項2~6のいずれか1項に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項8】
前記通知部は、前記画像解析部で検出した前記血管と前記針の先端部との位置関係の情報について、前記針の先端部が前記血管に最初に到達した側と反対側の表面に到達した場合に、通知を行う請求項2~7のいずれか1項に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項9】
前記通知部は、前記画像解析部で検出した前記血管と前記針の先端部との位置関係の情報について、前記針の先端部が前記血管を径方向に通過した場合に、通知を行う請求項2~8のいずれか1項に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項10】
前記通知部は、前記画像解析部で検出した前記血管の位置変化について、前記血管の位置変化が一定以上の場合に、通知を行う請求項2~9のいずれか1項に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項11】
前記画像取得部で取得した前記断面画像を表示する表示部を有し、
前記通知部は、前記表示部に前記血管と前記針の先端部との位置関係を示す表示をさせることで、通知を行う請求項2~10のいずれか1項に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項12】
前記通知部は、前記表示部に文字を表示する、または、前記画像解析部で認識した前記針の先端部と前記血管の輪郭を彩色する、あるいは、前記表示部に表示された前記断面画像の輝度を変更することにより、通知を行う請求項11に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項13】
前記通知部は、前記画像解析部で認識した前記血管と前記針の先端部との位置関係が一定の条件を満たしたら、前記表示部が表示する前記断面画像に、前記針の先端部付近の拡大画像を重畳して表示することで、通知を行う請求項11に記載の穿刺状態識別システム。
【請求項14】
音声発生部を有し、
前記通知部は、前記音声発生部に音声を発生させることで通知を行う請求項2~10のいずれか1項に記載の穿刺状態識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブで取得した画像に基づき、穿刺した針の状態を識別する穿刺状態識別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤投与や血管内治療のアクセスサイト確保のため、人体に注射針を穿刺する血管穿刺が行われる。血管穿刺において、術者は、皮膚表面から血管を目視することはできないため、標準的な血管走行の知識や血管脈動の触知などの技量によって、血管位置を推定している。しかし、しばしば血管穿刺の失敗が生じ、患者に身体的、精神的苦痛を与えている。
【0003】
穿刺位置を特定するために、近年では、近赤外線画像や超音波エコー、光残響イメージングなどの血管位置を可視化する技術が用いられることがある。例えば、超音波プローブによりモニタに腕の断面画像を表示するものとして、特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再公表特許第2017/022073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波エコー等により、血管位置を特定することができるが、エコー画像はモノクローム画像であり、針や血管の位置の認識、あるいは、針が血管に到達したことを認識するには、解剖学的知識や画像読影技術が必要である。このため、針が血管に到達しているにも関わらず、そのまま針の挿入を継続し、血管を貫通するなど、穿刺に失敗する可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、穿刺した針の状態を認識するための穿刺状態識別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る穿刺状態識別システムは、針の穿刺時に用いられる超音波プローブから人体の断面画像を取得する画像取得部と、取得した前記断面画像から血管と前記針の先端部とを認識し、穿刺状態を識別するために、前記血管と前記針の先端部との位置関係、前記血管の形状、前記血管の位置変化、の情報のいずれか1つ以上を検出する画像解析部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した穿刺状態識別システムは、穿刺した針の状態を識別できるので、断面画像の読影に習熟していなくても、穿刺の実施者が針と血管の位置関係を容易に把握でき、確実に穿刺を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の穿刺状態識別システムのブロック図である。
【
図2】穿刺状態識別システムと超音波プローブの正面図である。
【
図3】超音波プローブの下面を表す図であって、断面画像を取得する腕との位置関係を表した図である。
【
図4】超音波プローブと針および血管との関係を表した説明図である。
【
図5】表示部に表示される断面画像の一例を表した模式図である。
【
図6】穿刺状態識別システムの動作フローチャートである。
【
図7】針の先端部と血管との位置関係が変化した際の、表示部における第1形態の表示態様の変化を表した説明図である。
【
図8】針の先端部と血管との位置関係が変化した際の、表示部における第2形態の表示態様の変化を表した説明図である。
【
図9】表示部における第3形態の表示態様を表した説明図である。
【
図10】表示部における第4形態の表示態様を表した説明図である。
【
図11】針の先端部が血管の表面を窪ませている状態の説明図である。
【
図12】針の先端部により血管が移動している状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
本発明の実施形態に係る穿刺状態識別システムは、人体の腕への穿刺を行う際に用いられ、超音波プローブで取得した腕の断面画像を取得し、穿刺状態を識別するために、血管と針の先端部との位置関係、血管の形状、血管の位置変化、の情報のいずれか1つ以上を検出するシステムである。
【0012】
図1に示すように、穿刺状態識別システム10は、超音波プローブ20と接続される。穿刺状態識別システム10は、超音波プローブ20から人体の断面画像を取得する画像取得部30と、画像取得部30で取得した断面画像を解析する画像解析部32と、画像取得部30で取得した断面画像を表示する表示部36と、一定の条件を満たした場合に通知を行う通知部34とを有している。
【0013】
図2、
図3に示すように、超音波プローブ20は、皮膚表面に接触して人体の断面画像を取得する撮像部22を下面に有している。撮像部22は、超音波プローブ20の下面において一方向に沿って延び、その略全幅に渡るように設けられている。撮像部22は、超音波を発生する振動子を有し、その反射波を検出することで人体内部の断面画像を得るエコー装置である。本実施形態では、血管Vの軸方向と直交する断面画像を取得するので、腕Hの長さ方向に対して撮像部22の長さ方向が直交するように配置される。
【0014】
図4に示すように、針50は腕Hの表面のうち、超音波プローブ20に隣接した位置から斜め方向に穿刺される。表示部36で表示される断面画像は、撮像部22の直下の断面であるので、針50は、血管Vのうち撮像部22の直下の位置を目標として穿刺される。
【0015】
図5に示すように、超音波プローブ20で取得される断面画像には、血管Vの断面が表示される。また、穿刺した針50が撮像部22の直下に近づいてくると、針の先端部Nが断面画像に表れる。
【0016】
穿刺状態識別システム10の動作フローについて説明する。まず、画像取得部30は、超音波プローブ20から断面画像を取得する(S1)。断面画像を取得したら、画像解析部32は断面画像を解析し、断面画像中で血管Vと認識される領域および針の先端部Nと認識される領域を検出する(S2)。断面画像中で血管Vや針の先端部Nと認識される領域を検出するには、同種の画像を多数用意して機械学習、あるいはディープランニングの手法を用いることができる。また、撮像部22においてドップラー法により血流のある領域を検出し、当該領域を血管の領域として認識することもできる。針の先端部Nの認識については、針50の表面に特定のパターンを施し、超音波画像での識別性を向上させることもできる。
【0017】
断面画像から血管Vと針の先端部Nが検出されたら、通知部34は、これらの位置関係が一定条件を満たす場合(S3)に、通知を行う(S4)。本実施形態において一定条件は複数あり、合致した条件に応じて通知を行う。通知部34は、表示部36の表示態様を変化させることにより、通知を行う。その後、S1からのフローが繰り返される。
【0018】
本実施形態における通知部34が通知を行う一定条件は、画像解析部32が取得した断面画像から血管Vと針の先端部Nとが認識されたこと(条件1)、針の先端部Nが認識されてから針の先端部Nが血管Vの表面に到達するまでの間であること(条件2)、針の先端部Nが血管Vの表面に到達したこと(条件3)、針の先端部Nが血管V内に位置していること(条件4)、針の先端部Nが血管Vに最初に到達した側と反対側の表面に到達したこと(条件5)、針の先端部Nが血管Vを径方向に通過したこと(条件6)である。
【0019】
表示部36における第1形態の表示態様は、
図5に示す断面画像の表示に、各条件に合致した文字を表示する。条件1では、
図7(a)に示すように「Active」の文字が表示される。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管Vに近づいていることを認識できる。条件2では、
図7(b)に示すように、針の先端部Nから血管Vの表面までの距離が表示される。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nをあとどの程度挿入すればよいかを把握できる。針の先端部Nから血管Vの表面までの距離は、画像解析部32で算出される。
【0020】
条件3では、
図7(c)に示すように、「Contact」の文字が表示される。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管Vに到達したことを認識できる。条件4と条件5では、
図7(d)と
図7(e)に示すように、「Intraluminal」の文字が表示される。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管V内に位置していることを認識できる。条件6では、
図7(f)に示すように、「Out of lumen」の文字が表示される。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管Vを貫通したことを認識できる。
【0021】
このように、針の先端部Nと血管Vとの位置関係が一定条件を満たす場合に、各条件に合致した通知を行うことにより、穿刺の実施者が針50の進退や停止を行うか否かの判断を容易に行うことができる。
【0022】
通知部34による通知は、他の表示態様によってなされてもよい。表示部36における第2形態の表示態様は、
図5に示す断面画像の表示に対し、針の先端部Nと血管Vの輪郭を彩色して表示する。針の先端部Nと血管Vの色は、各条件に応じて変化する。
図8では、線種の違いで色の違いを表現している。条件1は
図8(a)に、条件2は
図8(b)に、条件3は
図8(c)に、条件4は
図8(d)に、条件5は
図8(e)に、条件6は
図8(f)に、それぞれ対応する。
図8(b)に示す条件2において、針の先端部Nの輪郭は、血管Vの表面までの距離が変化することで色が変化する。これにより、穿刺の実施者が針50をどの程度進めてよいか、容易に判断できる。また、その他の各条件において、針の先端部Nの輪郭と血管Vの輪郭は、同じ色でもよいし、異なる色でもよい。このように、針の先端部Nと血管Vの輪郭の色を変化させて通知することにより、穿刺の実施者が直感的に針の先端部Nの状態を把握できる。
【0023】
表示部36における第3形態の表示態様は、
図5に示す断面画像の表示から、
図9に示すように、断面画像の輝度を変更する。断面画像の輝度は、各条件において変化する。また、特定の条件において、断面画像の輝度を反転するようにしてもよい。例えば、針の先端部Nが血管V内に位置する条件4の場合に、輝度を反転してもよい。また、特定の条件において、断面画像の輝度を周期的に変化させて、点滅するようにしてもよい。
【0024】
表示部36における第4形態の表示態様は、
図5に示す断面画像の表示から、
図10に示すように、針の先端部N付近の拡大画像を重畳して表示する。これにより、針の先端部Nと血管Vとの位置関係をより把握しやすくすることができる。拡大画像は、針の先端部Nが血管Vに近づいていく条件1~条件3の間、表示し、針の先端部Nが血管Vの内部に到達した条件4以降は、表示しないようにしてもよい。
【0025】
第1形態~第4形態の表示態様は、組み合わせて表示してもよい。例えば、第1形態のように断面画像に文字を表示しつつ、第2形態のように針の先端部Nと血管Vの輪郭を彩色して表示してもよい。また、各条件において、それぞれ異なる表示態様で表示されるようにしてもよい。例えば、条件1~条件3では、第4形態のように拡大画像を表示し、条件4~条件6では、第1形態のように文字を表示してもよい。
【0026】
また、通知部34による通知は、表示部36での表示に限られない。例えば、穿刺状態識別システム10に音声発生部を設け、通知部34は、第1条件の場合に音声発生部から音声を発生させることができる。音声の発生は、表示部36での表示による通知と併せて行うことができる。
【0027】
条件3について、
図11に示すように、針の先端部Nが血管Vの壁面を押圧し、血管Vの皮膚表面側の端部における窪み形状Wを検出した場合に、針の先端部Nが血管Vの表面に到達したと判断してもよい。画像解析部32は、穿刺を開始する前の断面画像と穿刺中に取得された断面画像とを比較し、それらにおける血管Vの形状の相違が一定以上となった場合に、血管Vに窪み形状Wが形成されたと判断することができる。
【0028】
また、血管Vが窪んだあと、針の先端部Nが血管V内に挿入されると、血管が柔軟な場合には窪み形状Wが解消するが、血管が硬い場合には窪み形状Wがそのまま維持される。そこで、画像解析部32は、血管Vの窪み形状Wを検出した際の断面画像と、針の先端部Nが血管V内に挿入されたあと、一定時間内に取得された断面画像とを比較し、窪み形状Wの変化が一定以下であった場合には、通知部34が穿刺後の血管貫通に注意するよう促す通知を行うようにしてもよい。
【0029】
穿刺時には、針に押されることにより、血管の位置が変化することがある。血管の位置変化の方向および程度は、画像解析部32が、記憶された穿刺前の断面画像と、穿刺後の断面画像とを比較することで検出される。
図12に示すように、針の先端部Nが近接することで、血管Vが想像線で示す元の位置から実線で示す位置まで移動し、その移動量が一定以上であった場合には、通知部34が通知を行ってもよい。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る穿刺状態識別システム10は、針50の穿刺時に用いられる超音波プローブ20から人体の断面画像を取得する画像取得部30と、取得した断面画像から血管Vと針の先端部Nとを認識し、穿刺状態を識別するために、血管Vと針の先端部Nとの位置関係、血管Vの形状、血管Vの位置変化、の情報のいずれか1つ以上を検出する画像解析部32と、を有する。このように構成した穿刺状態識別システム10は、穿刺した針50の状態を識別できるので、断面画像の読影に習熟していなくても、穿刺の実施者が針50と血管Vの位置関係を容易に把握でき、確実に穿刺を実施することができる。
【0031】
また、画像解析部32で検出した情報が一定の条件を満たす場合に、通知を行う通知部34を有するようにしてもよい。これにより、穿刺状態を識別した情報を、穿刺の実施者が直ちに把握できる。
【0032】
また、通知部34は、画像解析部32で検出した血管Vと針の先端部Nとの位置関係の情報について、血管Vと針の先端部Nとが認識された場合に、通知を行うようにしてもよい。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管Vに近づいていることを認識できる。
【0033】
また、画像解析部32は、針の先端部Nと血管Vの表面との距離を検出し、通知部34は、画像解析部32で検出した血管Vと針の先端部Nとの位置関係の情報について、針の先端部Nが血管Vの表面に到達するまでの間である場合に、針の先端部Nと血管Vの表面との距離を示す通知を行うようにしてもよい。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nをあとどの程度挿入すればよいかを把握できる。
【0034】
また、通知部34は、画像解析部32で検出した血管Vと針の先端部Nとの位置関係の情報について、針の先端部Nが血管Vの表面に到達した場合に、通知を行うようにしてもよい。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管Vに到達したことを認識できる。
【0035】
また、通知部34は、画像解析部32で検出した血管Vの形状の情報について、針の先端部Nにより血管Vの表面が窪んだ場合に、通知を行うようにしてもよい。これにより、針の先端部Nと血管Vとの接触状態をより確実に判別できる。
【0036】
また、通知部34は、画像解析部32で検出した血管Vと針の先端部Nとの位置関係の情報について、針の先端部Nが血管V内に位置していた場合に、通知を行うようにしてもよい。これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管V内に位置していることを認識できる。
【0037】
また、通知部34は、画像解析部32で検出した血管Vと針の先端部Nとの位置関係の情報について、針の先端部Nが血管Vに最初に到達した側と反対側の表面に到達した場合に、通知を行うようにしてもよい。穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管Vを突き抜ける前に、そのことを認識できる。
【0038】
また、通知部34は、画像解析部32で検出した血管Vと針の先端部Nとの位置関係の情報について、針の先端部Nが血管Vを径方向に通過した場合に、通知を行うようにしてもよい。これにより、これにより、穿刺の実施者は、針の先端部Nが血管Vを貫通したことを認識できる。
【0039】
また、通知部34は、画像解析部32で検出した血管Vの位置変化について、血管Vの位置変化が一定以上の場合に、通知を行うようにしてもよい。これにより、針の先端部Nに押されることにより血管の位置が移動したことを穿刺の実施者が認識できる。
【0040】
また、画像取得部32で取得した断面画像を表示する表示部36を有し、通知部34は、表示部36に血管Vと針の先端部Nとの位置関係を示す表示をさせることで、通知を行うようにしてもよい。これにより、穿刺の実施者は、断面画像を見ながら針の先端部Nと血管Vとの位置関係を容易に把握できる。
【0041】
また、通知部34は、表示部36に文字を表示する、または、画像解析部32で認識した針の先端部Nと血管Vの輪郭を彩色する、あるいは、表示部36に表示された断面画像の輝度を変更することにより、通知を行うようにしてもよい。これにより、穿刺の実施者が針の先端部Nと血管Vとの位置関係を確実に把握できる。
【0042】
また、通知部34は、画像解析部32で認識した血管Vと針の先端部Nとの位置関係が一定の条件を満たしたら、表示部36が表示する断面画像に、針の先端部N付近の拡大画像を重畳して表示することで、通知を行うようにしてもよい。これにより、穿刺の実施者が針の先端部Nと血管Vとの位置関係を見やすくすることができる。
【0043】
また、音声発生部を有し、通知部34は、音声発生部に音声を発生させることで通知を行うようにしてもよい。これにより、穿刺の実施者は、断面画像に集中しつつ、音声で状態を把握できる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 穿刺状態識別システム
20 超音波プローブ
22 撮像部
30 画像取得部
32 画像解析部
34 通知部
36 表示部
50 針
H 腕
V 血管
N 針先端部