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特開2024-72897測定装置、測定方法および測定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072897
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】測定装置、測定方法および測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/029 20060101AFI20240522BHJP
   A61B 5/0507 20210101ALI20240522BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
A61B5/029
A61B5/0507
A61B5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054954
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】須田 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢部 滝太郎
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭
(72)【発明者】
【氏名】曽根 淳
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA03
4C017AA14
4C017AB04
4C017AC40
4C038SS08
4C038SV01
4C038SX07
4C038VA04
4C038VB33
4C038VB40
4C127AA10
4C127EE03
(57)【要約】
【課題】生体の心拍に関する情報とともに、呼吸に関する情報を得ることが可能な測定装置、測定方法および測定プログラムを提供する。
【解決手段】測定装置は、生体の対象部位に向けて所定の波長域の電磁波を送信する送信部11と、送信部11から送信されて生体の対象部位および/または対象部位近傍を透過した電磁波を受信する受信部12と、受信部12により受信された所定期間の電磁波に関する電磁波情報を取得する取得部211と、取得部211により取得された電磁波情報に基づいて、生体の心臓から拍出される血液量を推定する心拍出量推定部215と、生体の呼吸に関する呼吸情報に基づいて、所定期間における生体の呼気期間Teおよび吸気期間Tiを推定する呼吸状態推定部214とを含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の対象部位に向けて所定の波長域の電磁波を送信する送信部と、
前記送信部から送信されて前記生体の前記対象部位および/または前記対象部位近傍を透過した前記電磁波を受信する受信部と、
前記受信部により受信された所定期間の前記電磁波に関する電磁波情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記電磁波情報に基づいて、前記生体の心臓から拍出される血液量を推定する心拍出量推定部と、
前記生体の呼吸に関する呼吸情報に基づいて、前記所定期間における前記生体の呼気期間および吸気期間を推定する呼吸状態推定部と
を備える測定装置。
【請求項2】
前記呼吸情報は、前記取得部により取得された前記電磁波情報を含む請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記呼吸状態推定部は、前記受信部により受信された前記電磁波に対応する受信電圧に基づいて、前記生体の前記呼気期間および前記吸気期間を推定する請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記心拍出量推定部は、前記電磁波情報と、前記呼吸状態推定部により推定された前記生体の呼気期間および前記吸気期間とに基づいて、前記生体の呼気期間および前記吸気期間の少なくとも一方における前記生体の心臓から拍出される血液量を推定する請求項1~3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記心拍出量推定部は、さらに、前記生体の一回拍出量の呼吸性変動値を推定する請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記心拍出量推定部により推定された前記呼吸性変動値に基づいて、前記生体の輸液反応性を評価する評価部をさらに有する請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記評価部により評価された前記生体の輸液反応性に基づいて、前記生体への輸液量を決定する輸液量決定部をさらに有する請求項6に記載の測定装置。
【請求項8】
前記送信部および前記受信部の少なくとも一方は、互いに異なる位置に配置された複数のアンテナ素子を含み、
各々の前記アンテナ素子によって前記電磁波情報が生成される請求項1~7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
複数の前記アンテナ素子のうち、オン状態とする前記アンテナ素子を順に切り替える素子切替部をさらに有する請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記素子切替部は、オン状態とする前記アンテナ素子を、1ミリ秒以下の間隔で切り替える請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
複数の前記アンテナ素子から、前記心臓から拍出される血液量を推定するための第1アンテナ素子と、前記呼吸情報を得るための第2アンテナ素子とを選択する選択部をさらに有する請求項8~10のいずれかに記載の測定装置。
【請求項12】
前記受信部が、複数の前記アンテナ素子を含む請求項11に記載の測定装置。
【請求項13】
前記選択部は、各々の前記アンテナ素子により受信された前記電磁波に対応する受信電圧のベースラインの変動量に基づいて、前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とを選択する請求項11に記載の測定装置。
【請求項14】
前記選択部により選択された前記第1アンテナ素子または前記第2アンテナ素子の数が、全ての前記アンテナ素子の数に占める割合に基づいて、前記送信部および前記受信部の少なくとも一方の設置位置が適切か否かを判断する判断部をさらに有する請求項11~13のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項15】
前記判断部により前記送信部および前記受信部の少なくとも一方の設置位置が適切でないと判断されたとき、前記送信部および前記受信部の少なくとも一方の適切な設置位置への移動方向を決定する方向決定部をさらに有する請求項14に記載の測定装置。
【請求項16】
前記取得部により取得された前記電磁波情報を用いて、前記生体の心拍波形を生成するためのフィルタを設計する設計部をさらに有する請求項12または13に記載の測定装置。
【請求項17】
前記選択部により選択された前記第1アンテナ素子を用いて取得された前記電磁波に関する電磁波情報および前記選択部により選択された前記第2アンテナ素子を用いて取得された前記電磁波に関する電磁波情報に基づいて、前記生体の一回拍出量の呼吸性変動値を推定する、請求項11~16のいずれかに記載の測定装置。
【請求項18】
前記呼吸情報は、呼吸計測装置により測定された前記生体の呼吸に関する計測情報を含む請求項1~17のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項19】
前記電磁波はマイクロ波である請求項1~18のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項20】
生体の対象部位に向けて所定の波長域の電磁波を送信することと、
前記生体の前記対象部位および/または前記対象部位近傍を透過した前記電磁波を受信することと、
受信された所定期間の前記電磁波に関する電磁波情報を取得することと、
取得された前記電磁波情報に基づいて、前記生体の心臓から拍出される血液量を推定することと、
前記生体の呼吸に関する呼吸情報に基づいて、前記所定期間における前記生体の呼気期間および吸気期間を推定することと
を含む測定方法。
【請求項21】
生体の対象部位に向けて送信され、かつ、前記生体の前記対象部位および/または前記対象部位近傍を透過して受信された所定の波長域の電磁波に関する電磁波情報を取得することと、
取得された前記電磁波情報に基づいて、前記生体の心臓から拍出される血液量を推定することと、
前記生体の呼吸に関する呼吸情報に基づいて、前記所定期間における前記生体の呼気期間および吸気期間を推定することと
を含む処理をコンピューターに実行させるための測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、測定方法および測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
心拍出量(CO:cardiac output)、一回拍出量(SV:stroke volume)および心係数(CI:cardiac index)等の生体の心拍に関する情報は、心不全等の診療を行ううえで重要な指標となり得る。特許文献1には、マイクロ波を用いて生体の心拍に関する情報を得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/194093号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような心拍に関する情報を、生体の呼吸に関する情報とともに得ることにより、診療等に、より効果的に役立てることができる。たとえば、一回拍出量変動(SVV:stroke volume variation)は、呼吸による一回拍出量の変動の大きさを表し、患者の輸液反応性を評価するための指標となり得る。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、生体の心拍に関する情報とともに、呼吸に関する情報を得ることが可能な測定装置、測定方法および測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の測定装置は、生体の対象部位に向けて所定の波長域の電磁波を送信する送信部と、前記送信部から送信されて前記生体の前記対象部位および/または前記対象部位近傍を透過した前記電磁波を受信する受信部と、前記受信部により受信された所定期間の前記電磁波に関する電磁波情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記電磁波情報に基づいて、前記生体の心臓から拍出される血液量を推定する心拍出量推定部と、前記生体の呼吸に関する呼吸情報に基づいて、前記所定期間における前記生体の呼気期間および吸気期間を推定する呼吸状態推定部とを備える。
【0007】
また、上記目的を達成するため本発明の測定方法は、生体の対象部位に向けて所定の波長域の電磁波を送信することと、前記生体の前記対象部位および/または前記対象部位近傍を透過した前記電磁波を受信することと、受信された所定期間の前記電磁波に関する電磁波情報を取得することと、取得された前記電磁波情報に基づいて、前記生体の心臓から拍出される血液量を推定することと、前記生体の呼吸に関する呼吸情報に基づいて、前記所定期間における前記生体の呼気期間および吸気期間を推定することとを含む。
【0008】
また、上記目的を達成するため本発明の測定プログラムは、生体の対象部位に向けて送信され、かつ、前記生体の前記対象部位および/または前記対象部位近傍を透過して受信された所定の波長域の電磁波に関する電磁波情報を取得することと、取得された前記電磁波情報に基づいて、前記生体の心臓から拍出される血液量を推定することと、前記生体の呼吸に関する呼吸情報に基づいて、前記所定期間における前記生体の呼気期間および吸気期間を推定することとを含む処理をコンピューターに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る測定装置、測定方法および測定プログラムでは、生体の心臓から拍出される血液量が推定されるとともに、呼気期間および吸気期間が推定される。したがって、生体の心臓から拍出される血液量に関する情報とともに、呼吸に関する情報を得ることが可能となる。これにより、たとえば、生体の呼気期間および吸気期間各々における心拍出量および一回拍出量と、一回拍出量の呼吸性変動とを推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る測定装置の全体構成の一例を表す図である。
図2図1に示した測定装置の各部を表すブロック図である。
図3図2に示した送信部の構成の一例を表す平面図である。
図4図2に示した受信部の構成の一例を表す平面図である。
図5図4に示したアンテナ素子の切り替えについて説明するための平面図である。
図6図2に示した制御部により取得される電磁波情報の一例を表す図である。
図7】(A)は、受信電圧のベースラインの一例を表す図であり、(B)は、(A)に示した一部を拡大して表す図である。
図8図4に示した受信部と、患者の心臓との配置の一例を表す平面図である。
図9図2に示した信号処理部により推定される患者の呼気期間および吸気期間の一例を表す図である。
図10図2に示した信号処理部が一回拍出量変動等を推定する方法について説明するための図である。
図11図2に示した信号処理部による処理の一例を表すフローチャートである。
図12】変形例1に係る測定装置の信号処理部の機能を表すブロック図である。
図13図12に示した信号処理部による処理の一例を表すフローチャートである。
図14】変形例2に係る測定装置の信号処理部の機能を表すブロック図である。
図15図14に示した信号処理部による処理の一例を表すフローチャートである。
図16】変形例3に係る測定装置の信号処理部の機能を表すブロック図である。
図17図16に示した信号処理部による処理の一例を表すフローチャートである。
図18】(A)(B)は、図3および図4に示した送信部および受信部の他の例を表す平面図である。
図19】(A)(B)は、図3および図4に示した送信部および受信部のその他の例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、心拍出量とは、通常は1分間に心臓から拍出される血液の量のことをいうが、本明細書においては、心臓の拍動により心臓から拍出される血液の量を心拍出量ということがある。
【0012】
<実施形態>
〔測定装置1000の構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る測定装置1000の全体構成を示す概略図であり、図2は、この測定装置1000の各部の構成の一例を示すブロック図である。測定装置1000は、たとえば、送信部11、受信部12および制御部20を有している(図1および図2)。送信部11および受信部12は、各々、信号ケーブル13を介して制御部20に電気的に接続されている。
【0013】
この測定装置1000は、たとえば、病院等で使用される装置であり、患者90(生体)の心臓91に関する指標、具体的には、心拍出量、一回拍出量、心係数および一回拍出量の呼吸性変動等の測定に用いられる。この測定装置1000により、たとえば、心不全の検査、心臓91の手術中および手術後の経過観察、または心臓病の薬の投薬効果および副作用等の検証等がなされる。
【0014】
たとえば、看護師および医師等の測定装置1000の使用者は、測定装置1000を使用する際に、患者の心臓91を間にして送信部11および受信部12が対向するように、これらを配置する。このとき、外部電波による影響を減少させるために、布製の電波シールドや電波吸収体等の素材をもちいて、患者90の胸部、送信部11および受信部12を覆うようにしてもよい。
【0015】
たとえば、使用者は、ベッド95上に受信部12を配置し、この受信部12に乗るようにしてベッド95上に仰向けになった患者90の上方に送信部11を配置する。送信部11は、たとえば、移動式の固定台(図示せず)に取り付けられており、患者90と離間した状態で、患者90の上方に配置されている。患者90と離間させて送信部11を配置することにより、患者90の呼吸動作を妨げることなく、患者90の心臓91に関する指標を測定することが可能となる。また、患者90との接触に起因した送信部11の位置ずれを抑えることが可能となる。
【0016】
測定装置1000の使用時には、たとえば、制御部20は、移動式の架台(図示せず)上に配置され、ベッド95近傍に配置されている。測定装置1000の使用時の送信部11、受信部12および制御部20の配置は、図1に例示した配置に限定されない。たとえば、図1に示した送信部11および受信部12の配置が、逆であってもよい。
【0017】
(送信部11)
送信部11は、患者90の心臓91近傍に向けて所定の波長域の電磁波を送信する。この送信部11は、たとえば、電磁波生成部111およびアンテナ素子t1を有している(図2)。ここでは、心臓91近傍が、本発明の対象部位の一具体例に対応する。
【0018】
図3は、送信部11の平面構成の一例を表している。電磁波生成部111およびアンテナ素子t1は、たとえば、基板110上に設けられている。基板110は、たとえば、四角形または長方形の平面形状を有する板状部材であり、基板110の一辺の長さは、たとえば、数十mm~二百数十mmである。
【0019】
電磁波生成部111は、送信部11から患者90の心臓91近傍に送信される電磁波を生成する。この電磁波生成部111は、たとえば、電磁波生成器により構成されている。電磁波生成部111により生成される電磁波は、電波であることが好ましく、マイクロ波であることがより好ましい。マイクロ波の周波数は、たとえば、0.3GHz~300GHzである。電磁波生成部111が生成する電磁波は、周波数0.3GHz~30GHzのマイクロ波であることが好ましく、0.4GHz~1.0GHzのマイクロ波であることがより好ましい。このような周波数のマイクロ波は、生体透過性が高く、また、心臓91の収縮および拡張に対応する誘電率変化の感度が高い。このため、マイクロ波を用いて心臓91に関する指標を測定することにより、測定精度を高めることが可能となる。たとえば、電磁波生成部111が生成する電磁波は、連続波およびパルス波等であってもよく、位相変調または周波数変調が施されていてもよい。電磁波生成部111により生成される電磁波の電力の大きさは、受信部12において十分検出できる程度の大きさであればよい。
【0020】
アンテナ素子t1は、電磁波生成部111により生成された電磁波を患者90の心臓91近傍に向けて放射する。送信部11は、たとえば、基板110上に1つのアンテナ素子t1を有している。このアンテナ素子t1は、たとえば、パッチアンテナ、ダイポール形式の線状アンテナ、またはループアンテナ等により構成されている。アンテナ素子t1は、たとえば、パッチアンテナにより構成されており、このパッチアンテナの一辺または直径の大きさは、数十mm~百数十mm程度である。
【0021】
(受信部12)
受信部12は、送信部11(より具体的には、アンテナ素子t1)から送信されて患者90の心臓91および/または心臓91近傍を透過した電磁波を受信するとともに、受信した電磁波に関する電磁波情報を制御部20に出力する。この受信部12は、たとえば、アンテナアレイ121、素子切替部122、およびサンプリング部123を有している(図2)。
【0022】
図4は、受信部12の平面構成の一例を表している。アンテナアレイ121、素子切替部122、およびサンプリング部123は、たとえば、基板120上に設けられている。基板120は、たとえば、四角形の平面形状を有する板状部材であり、基板120の一辺の長さは、たとえば、数十mm~二百数十mmである。
【0023】
アンテナアレイ121は、送信部11から送信された電磁波の少なくとも一部を受信する。このアンテナアレイ121は、複数のアンテナ素子r1,r2,r3・・・rx(以下、これらを総称して、「アンテナ素子r」ともいう)を含んでいる。この複数のアンテナ素子rは、たとえば、基板120上に、マトリクス状(行列状)に配置されている。詳細は後述するが、ここでは、受信部12が複数のアンテナ素子rを含んでいるので、複数のアンテナ素子rから、第1アンテナ素子(後述の図8の第1アンテナ素子r)および第2アンテナ素子(後述の図8の第2アンテナ素子r)を選択することが可能となる。これにより、測定装置1000は、高い精度で、患者90の心拍に関する情報および呼吸に関する情報を出力することが可能となる。
【0024】
各アンテナ素子rは、たとえば、ダイポール形式の線状アンテナまたは微小ループアンテナ等により構成されている。各アンテナ素子rは、たとえば、ループアンテナにより構成されており、このループアンテナの一辺または直径の大きさは、数mm~十数mm程度である。アンテナアレイ121が有する複数のアンテナ素子rの種類および大きさ等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。基板120上の隣り合う位置に配置されたアンテナ素子rの間には、間隙が設けられている。アンテナアレイ121の大きさは、平面(たとえば、図4の平面)視で、患者90の心臓91の大きさよりも大きいことが好ましく、アンテナアレイ121の平面形状は、たとえば、1辺が100mm~250mm程度の四角形である。
【0025】
アンテナアレイ121が有するアンテナ素子rの数は、40個以上100個以下であることが好ましい。アンテナアレイ121が、40個以上のアンテナ素子rを有することにより、より好適な位置に配置された第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を選択することが可能となり、患者90の心拍に関する情報および呼吸に関する情報の精度を向上させることができる。アンテナアレイ121が、100個以下のアンテナ素子rを有することにより、測定装置1000のコストを抑えることが可能となる。図4に例示したアンテナアレイ121は、7行×7列の49個のアンテナ素子r(アンテナ素子r1~r49)を有している。
【0026】
素子切替部122は、各アンテナ素子r1・・・rxに対応する複数のスイッチング素子s1・・・sx(以下、これらを総称して、「スイッチング素子s」ともいう)を有しており(図2)、複数のアンテナ素子rのうち、オン状態とするアンテナ素子rを順々に切り替える役割を担っている。素子切替部122では、たとえば、1つのアンテナ素子rがオン状態となっているとき、残りのアンテナ素子rがオフ状態となるようにスイッチング素子sが動作する。これにより、複数のアンテナ素子rが個々に、患者90の心臓91近傍を透過した電磁波を受信することが可能となる。
【0027】
図5を用いて、アンテナ素子rの切り替え動作を説明する。素子切替部122は、たとえば、まず、スイッチング素子s1をオン状態とすることにより、アンテナ素子r1をオン状態とする。このとき、他のスイッチング素子s2・・・sxはオフ状態である。素子切替部122は、アンテナ素子r1をオン状態とした後、切替時間ts経過後、スイッチング素子s1をオン状態からオフ状態にするとともに、スイッチング素子s2をオフ状態からオン状態にする。これにより、アンテナ素子r1がオフ状態となり、アンテナ素子r2がオン状態となる。このとき、他のスイッチング素子s3・・・sx(アンテナ素子r3・・・sx)はオフ状態に維持される。
【0028】
このようにして、素子切替部122は、たとえば、アンテナ素子r1からアンテナ素子r49までの全てのアンテナ素子rを順次オン状態に切り替えた後、再び、アンテナ素子r1をオン状態とし、同様のスイッチング動作を複数回繰り返す。素子切替部122は、たとえば、このアンテナ素子r1~アンテナ素子r49までのスイッチング動作を200回繰り返す。即ち、全てのアンテナ素子rが200回ずつオン状態となる。アンテナ素子rのオン状態が切り替えられる間隔、即ち、切替時間tsは1ミリ秒以下であることが好ましく、たとえば、100マイクロ秒である。切替時間tsが100マイクロ秒であるとき、49個のアンテナ素子rは、5ミリ秒以下の間に順次オン状態とされる。したがって、心臓91の変動周期等の患者90の体の変動周期よりも十分に短い時間、即ち、5ミリ秒以下の間に受信部12の各アンテナ素子rが電磁波を受信する。これにより、全アンテナ素子について同一の時間帯に波形を取得できるため、各アンテナ素子rが電磁波を受信する時間帯のずれに起因するデータの精度等への影響を抑えることができる。
【0029】
素子切替部122では、たとえば、オフ状態のアンテナ素子rの終端条件が制御される。具体的には、素子切替部122は、オフ状態のアンテナ素子rを、高周波的に接地する。これにより、オフ状態のアンテナ素子に起因する誘導障害等の影響を軽減することが可能となる。
【0030】
サンプリング部123は、たとえば、サンプリング回路、AD変換回路およびバッファー回路を含んでいる。このサンプリング部123は、オン状態のアンテナ素子r各々が受信した電磁波をサンプリングし、電界強度をデジタル化する。受信部12により受信された電磁波に関する電磁波情報は、たとえば、このようにデジタル化され、制御部20に送られる。サンプリング部123は、たとえば、サンプリングの都度、または所定単位(たとえば、アンテナ素子r1~rx)毎に、制御部20に電磁波情報を送信する。
【0031】
(制御部20)
送信部11および受信部12に電気的に接続された制御部20は、送信部11および受信部12を制御するとともに、受信部12から取得した電磁波情報に基づいて、たとえば、患者90の心拍出量、一回拍出量および一回拍出量変動の少なくともいずれか1つを推定する。この制御部20は、たとえば、送受信コントローラー14、信号処理部21、記憶部22、入出力I/F(インターフェース)23および通信I/F24を有している。
【0032】
送受信コントローラー14は、送信部11および受信部12における電磁波の送受信のタイミングを制御する。受信部12のアンテナ素子r各々により受信された電磁波に基づく電磁波情報は、この送受信コントローラー14を介して信号処理部21に送られる。
【0033】
信号処理部21は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を含んでいる。この信号処理部21では、たとえば、ROMまたは記憶部22等に記憶されたプログラムにしたがって、受信部12により受信された電磁波情報が処理される。信号処理部21は、プログラムを実行することにより、たとえば、取得部211、選択部212、波形生成部213、呼吸状態推定部214、心拍出量推定部215および出力部216として機能する。これら信号処理部21の各機能の詳細は後述する。
【0034】
記憶部22には、たとえば、予め各種プログラムおよび各種データ等が格納されている。この記憶部22は、たとえば、半導体メモリまたはハードディスク等の磁気メモリ等から構成されている。
【0035】
入出力I/F23は、たとえば、USB(Universal Serial Bus)およびDVI(Digital Visual Interface)の規格等に準拠した入出力端子を有するインターフェースである。この入出力I/F23は、たとえば、キーボード、マウスおよびマイク等の入力装置と、ディスプレイ、スピーカおよびプリンタ等の出力装置とに接続されている。図3に示した例では、入出力I/F23は、液晶パネル51に接続されている。液晶パネル51は、タッチパネルであってもよい。
【0036】
通信I/F24は、たとえば、有線または無線通信によって、PC(パーソナルコンピュータ)およびタブレット端末等の外部の端末装置とデータ等の送受信を行うためのインターフェースである。測定装置1000と外部の端末装置との通信は、たとえば、ネットワーク経由、またはピアツーピアで行われる。有線通信には、たとえば、イーサネット(登録商標)、SATA(Serial ATA)、PCI ExpressおよびIEEE1394等の規格が用いられる。無線通信には、たとえば、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11および4G等が用いられる。図2に示した例では、通信I/F24は、PC61に接続されている。
【0037】
ここで、信号処理部21の各機能の詳細を説明する。
【0038】
取得部211は、送受信コントローラー14を介して、所定期間における電磁波情報を取得する。この電磁波情報は、所定期間において、複数のアンテナ素子r各々に受信された電磁波に関する情報である。
【0039】
図6は、所定のアンテナ素子rに受信された電磁波に関する電磁波情報の一例を表している。電磁波情報は、たとえば、アンテナ素子rにより受信された電磁波に対応する受信電圧に関する情報である。この受信電圧は、心臓91の拡張および収縮に伴って変化する。取得部211は、たとえば、各アンテナ素子rの各時間における受信電圧に関する情報を取得する。
【0040】
選択部212は、複数のアンテナ素子rから、第1アンテナ素子(後述の図8の第1アンテナ素子r)および第2アンテナ素子(後述の図8の第2アンテナ素子r)を選択する。第1アンテナ素子は、患者90の心拍波形を生成して心臓が拍出する血液量を推定するためのアンテナ素子rであり、第2アンテナ素子は、患者90の呼吸に関する呼吸情報を得るためのアンテナ素子rである。選択部212は、たとえば、取得部211により取得された電磁波情報に基づいて、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子を選択する。たとえば、呼吸(吸気または呼気)に伴う所定期間における受信電圧のベースラインの変動量が比較的小さいアンテナ素子r(たとえば、後述の図7(A)参照)を第1アンテナ素子に、受信電圧のベースラインの変動量が比較的大きいアンテナ素子r(たとえば、後述の図10参照)を第2アンテナ素子に、各々選択してもよい。
【0041】
図7(A)は受信電圧のベースラインの一例を表し、図7(B)は図7(A)に示した部分Pの拡大図である。受信電圧は、心臓91の拡張および収縮に加え、様々な要因で変化する(図7(B))。受信電圧のベースラインは、所定の時間毎の受信電圧の平均値Avで表される。この所定の時間は、患者90の心周期の整数倍、たとえば、心拍波形の1~10拍分の平均値から算出する。なお、呼吸の周期に鑑み、より長く平均値を取得してもよい。
【0042】
図8は、患者90の心臓91近傍に配置された受信部12の一例を表している。患者90の心臓91により近い位置に配置されたアンテナ素子r25は、患者90の呼吸の影響を受けにくく、高い精度で心臓91に関する情報(具体的には、心拍波形)を得ることができる。なお、アンテナ素子rにより取得された情報が心臓91に関する情報とともに呼吸情報を含んでいても、フィルタ処理により心拍波形を抽出できることから、アンテナ素子r25のみではなく、複数のアンテナ素子rを選択し、心臓に関する情報(具体的には心拍波形)を平均化してもよい。これにより、心臓に関する情報の精度を向上させることが可能となる。
【0043】
一方、患者90の肺(図示せず)により近い位置に配置されたアンテナ素子r(アンテナ素子r1、r2、r6、r7等)は、患者90の呼吸の影響を受けやすく、高い精度で呼吸情報を得ることができる。後述するように、発明者らは、呼吸に伴う空気容量の変化に起因して、吸気期間Tの受信電圧のベースラインが、呼気期間Tの受信電圧のベースラインよりも大きくなることを見出しており(後述の図9参照)、患者90の肺により近い位置に配置されたアンテナ素子rでは、この呼吸に伴う受信電圧のベースラインの変動量がより大きくなることを確認している。したがって、選択部212が、呼吸(吸気または呼気)にともなう受信電圧のベースラインの変動量が小さいアンテナ素子r(たとえば、アンテナ素子r25)を第1アンテナ素子rに選択し、受信電圧のベースラインの変動量がより大きいアンテナ素子r(たとえば、アンテナ素子r1、r2、r6、r7等)を第2アンテナ素子rに選択することにより、測定装置1000により測定される患者90の心拍波形および呼吸情報の精度を向上させることが可能となる。
【0044】
選択部212は、第1アンテナ素子rおよび第2アンテナ素子rを1つずつ選択してもよく、複数選択してもよい。第1アンテナ素子rおよび第2アンテナ素子rのうちの一方が、1つであり、他方が複数であってもよい。選択部212により選択される第1アンテナ素子rの数は、全てのアンテナ素子rの数の50%以上であることが好ましい。これにより、より高い精度で患者90の心臓91に関する情報を取得することができ、より正確に心拍出量および一回拍出量等を推定することができる。
【0045】
波形生成部213は、取得部211により取得された電磁波情報に基づいて、より具体的には、選択部212により選択された第1アンテナ素子rの受信電圧に基づいて、所定期間における患者90の心拍に関する心拍波形(送信アンテナから照射された電磁波に対し、それを受け取った受信アンテナが作り出す電圧の波形)を生成する(後述の図10参照)。
【0046】
呼吸状態推定部214は、患者90の呼吸に関する呼吸情報に基づいて、より具体的には、選択部212により選択された第2アンテナ素子rの受信電圧に基づいて、所定期間における患者90の呼気期間(後述の図9の呼気期間Te)および吸気期間を推定する。吸気期間は、患者90が息を吸っている期間であり、呼気期間(後述の図9の吸気期間Ti)は、患者90が息を吐いている期間である。呼吸状態推定部214では、患者90が医師等の指示に応じて、大きく息を吸ったタイミングに合わせて、吸気期間の開始時点を推定してもよい。
【0047】
図9は、各時間における第2アンテナ素子rの受信電圧の一例を表している。発明者らは、患者90の吸気期間Tiでは、呼気期間Teに比べて受信電圧のベースラインが上昇することを確認している。呼吸状態推定部214は、たとえば、第2アンテナ素子rの受信電圧のベースラインがより高い期間を吸気期間Ti、より低い期間を呼気期間Teと推定する。
【0048】
呼吸状態推定部214は、第2アンテナ素子rから取得される情報に加えて、外部の呼吸計測装置によって測定される患者90の呼吸に関する計測情報を用いて、呼気期間Teおよび吸気期間Tiを推定してもよい。この呼吸計測装置は、たとえば、スパイロメーター等であり、患者90の呼吸量を定量的に測定できる装置であることが好ましい。
【0049】
心拍出量推定部215は、取得部211により取得された電磁波情報に基づいて、患者90の心臓91から拍出される血液量を推定する。具体的には、心拍出量推定部215は、波形生成部213により生成された患者90の心拍波形に基づいて患者90の心拍出量を推定する。心拍出量推定部215は、さらに、この心拍出量と、呼吸状態推定部214により推定された患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Tiとに基づいて、患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Ti各々における一回拍出量または心拍出量を推定する。心拍出量推定部215は、さらに、患者90の一回拍出量変動を推定することが好ましい。
【0050】
図10は、波形生成部213および呼吸状態推定部214によって得られた所定期間における患者90の心拍波形と、呼気期間Teおよび吸気期間Tiとを表している。送信部11から送信されたマイクロ波は、送信部11と受信部12との間に存在する血液を透過する際に損失が生じ、その血液の量に応じて減衰して受信部12に到達し、受信電圧を生じさせる。したがって、送信部11と受信部12との間の血液量が多い時間帯では受信電圧は小さく検出され、血液量が小さい時間帯では、受信電圧は大きく検出されることから、受信電圧の振幅Ae、Aiは、一回拍出量に応じた値となる。よって、心拍出量推定部215は、受信電圧の振幅に基づいて、心拍出量を推定することができる。第1アンテナ素子rが複数選択された場合は、各第1アンテナ素子rに関する波形に基づいて心拍出量を推定し、推定した心拍出量の平均値を心拍出量とする。心拍出量推定部215は、たとえば、呼気期間Teにおける心拍波形の振幅Aeおよび吸気期間Tiにおける心拍波形の振幅Aiに基づいて、呼気期間Teおよび吸気期間Ti各々における一回拍出量または心拍出量と、一回拍出量変動とを推定する。
【0051】
本実施形態では、上記のように、波形生成部213、心拍出量推定部215および呼吸状態推定部214によって、所定期間における患者90の心拍波形が生成され、心拍出量が推定されるとともに、呼気期間Teおよび吸気期間Tiが推定される。したがって、患者90の心臓から拍出される血液量に関する情報および呼吸に関する情報を含む一回拍出量変動等を推定することができる。
【0052】
心拍出量推定部215は、呼気期間Teおよび吸気期間Tiの少なくとも一方における一回拍出量または心拍出量を推定してもよく、一回拍出量および心拍出量をともに推定してもよい。心拍出量推定部215は、心拍出量および一回拍出量の少なくとも一方の呼吸性変動値を推定することが好ましい。
【0053】
出力部216は、心拍出量推定部215によって推定された推定結果に関する情報を、たとえば、液晶パネル51等に表示すること等によって出力する。
【0054】
〔信号処理部21の処理方法〕
図11は、信号処理部21による処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
(ステップS101)
まず、信号処理部21は、受信部12によって受信された電磁波に関する電磁波情報を取得する。具体的には、制御部20が、送信部11に電磁波の送信を指示するとともに、受信部12に電磁波の受信を指示することにより、受信部12に電磁波が受信される。信号処理部21は、複数のアンテナ素子r各々の電磁波情報を取得する。
【0056】
(ステップS102)
次に、信号処理部21は、ステップS101で取得した電磁波情報に基づいて、受信部12の複数のアンテナ素子rから、第1アンテナ素子rおよび第2アンテナ素子rを選択する。具体的には、信号処理部21は、呼吸(吸気または呼気)にともなう各アンテナ素子rの受信電圧のベースラインの変動量に基づいて、第1アンテナ素子rおよび第2アンテナ素子rを選択する。
【0057】
(ステップS103)
次に、信号処理部21は、ステップS102で選択された第1アンテナ素子rの電磁波情報、具体的には、第1アンテナ素子rの受信電圧に基づいて、所定期間における患者90の心拍に関する心拍波形を生成するとともに、生成した心拍波形に基づいて心拍出量を推定する。
【0058】
(ステップS104)
続いて、信号処理部21は、ステップS102で選択された第2アンテナ素子rの電磁波情報、具体的には、第2アンテナ素子rの受信電圧のベースラインの上昇および下降に基づいて、所定期間における患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Tiを推定する。
【0059】
(ステップS105)
次いで、信号処理部21は、ステップS103で推定した心拍出量と、ステップS104で推定した患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Tiとに基づいて、患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Ti各々における一回拍出量または心拍出量と、一回拍出量変動とを推定する。
【0060】
(ステップS106)
この後、信号処理部21は、ステップS105で推定した推定結果を液晶パネル51等に表示することにより出力し、処理を終了する。
【0061】
〔測定装置1000の作用効果〕
本実施形態の測定装置1000では、信号処理部21が波形生成部213、心拍出量推定部215および呼吸状態推定部214として機能するので、所定期間において、患者90の心拍出量が推定されるとともに、呼気期間Teおよび吸気期間Tiが推定される。したがって、患者90の心臓から拍出される血液量に関する情報とともに、呼吸に関する情報を得ることが可能となり、たとえば、一回拍出量変動等を推定することができる。以下、この作用効果について説明する。
【0062】
一回拍出量変動は、以下のように、臨床上、有用な指標である。
【0063】
一回拍出量変動は、呼気期間の一回拍出量と吸気期間の一回拍出量との変化率であり、輸液反応性を評価するための指標となり得る。たとえば、一回拍出量変動が10%以上~15%以上であるとき、循環血液量が不足傾向であり、輸液反応性が有ると評価できる。これにより、医師等は、患者への輸液の実施または輸液の追加等が有効な治療であると判断することができる。一方、一回拍出量変動が10%よりも低いとき、循環血液量は十分であり、輸液反応性が無いと評価できる。これにより、医師等は、患者に対し、輸液以外での治療(たとえば、強心剤または血管拡張剤等の薬剤)が必要であると判断することができる。このように、一回拍出量変動は、有効な治療法を決定するうえで重要な値となり得る。
【0064】
たとえば、測定装置の信号処理部が、患者の呼気期間および吸気期間を推定しない場合、測定装置は、このような臨床上、有用な指標となり得る一回拍出量変動等を推定することはできない。
【0065】
これに対し、測定装置1000では、信号処理部21が波形生成部213および呼吸状態推定部214として機能するので、所定期間において、患者90の心拍出量が推定されるとともに、呼気期間Teおよび吸気期間Tiが推定される。これにより、患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Ti各々の心拍出量および一回拍出量を推定することが可能となり、ひいては、一回拍出量変動等の臨床上の有用な指標を推定することができる。
【0066】
また、測定装置1000では、受信部12により受信された電磁波に対応する受信電圧に基づいて、患者90の心拍波形が生成されるとともに、呼気期間Teおよび吸気期間Tiが推定される。具体的には、受信電圧のベースラインに基づいて、したがって、患者の呼気期間および吸気期間を推定するために、外部の呼吸状態計測装置を用いる必要がなく、簡便に、一回拍出量変動等を推定することができる。
【0067】
また、測定装置1000では、受信部12が複数のアンテナ素子rを含んでいるので、心拍波形を生成するための第1アンテナ素子rと、呼吸情報を得るための第2アンテナ素子rとを選択することができる。これにより、高い精度で、患者90の心拍に関する情報および呼吸に関する情報を得ることができ、一回拍出量変動等をより正確に推定することが可能となる。
【0068】
たとえば、患者90が心不全患者であるとき、起座呼吸および心房細動等に起因して、受信部12で生成される電磁波情報が複雑になりやすい。このように、複雑な電磁波情報であっても、測定装置1000では、第1アンテナ素子rおよび第2アンテナ素子rによって、患者90の心臓91に関する情報と、肺に関する情報とに分けられる。したがって、測定装置1000では、患者90が心不全患者であるときにも、高い精度で、患者90の心拍に関する情報および呼吸に関する情報を得ることが可能となる。
【0069】
また、測定装置1000では、受信部12により受信された電磁波を用いて、患者90の心拍波形が生成されるので、非侵襲的に、患者90の負担を軽減して心拍出量および一回拍出量を推定することができる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置1000では、所定期間において、患者90の心拍波形が生成されるとともに、呼気期間Teおよび吸気期間Tiが推定される。したがって、生体の心拍に関する情報とともに、呼吸に関する情報を得ることが可能となる。これにより、たとえば、1回心拍出量変動等の臨床上の有用な指標を推定することができる。
【0071】
以下、上記実施形態で説明した測定装置の変形例を説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、上記実施形態で説明した測定装置の各構成と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0072】
<変形例1>
図12は、変形例1に係る測定装置1000の信号処理部21の機能構成の一例を表している。この信号処理部21は、取得部211、選択部212、波形生成部213、呼吸状態推定部214、心拍出量推定部215および出力部216に加えて、評価部311および輸液量決定部312として機能する。この点を除き、変形例1に係る測定装置1000は、上記実施形態で説明した測定装置1000と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏する。
【0073】
評価部311は、心拍出量推定部215により推定された一回拍出量変動に基づいて、患者90の輸液反応性の有無を評価する。評価部311は、たとえば、一回拍出量変動が10%以上~15%以上であるとき、患者90の輸液反応性が有ると評価し、一回拍出量変動10%よりも低いとき、患者90の輸液反応性が無いと評価する。
【0074】
輸液量決定部312は、評価部311により評価された患者90の輸液反応性の有無に基づいて、患者90への輸液量を決定する。輸液量決定部312は、たとえば、予め制御部20に入力された患者90への現在の輸液量と、評価部311により評価された患者90の輸液反応性の有無とに基づいて、患者90への今後の輸液量を決定する。たとえば、評価部311が、患者90の輸液反応性が有ると評価したとき、輸液量決定部312は、現在よりも増加させて輸液量を決定する。一方、評価部311が、患者90の輸液反応性が無いと評価したとき、輸液量決定部312は、現在よりも減少させて輸液量を決定する。あるいは、輸液量決定部312は、輸液の停止(輸液量ゼロ)を決定してもよい。輸液量決定部312により決定された輸液量に関する情報は、たとえば、液晶パネル51等に表示されることによって出力されてもよく、あるいは、輸液ポンプ等に出力されてもよい。輸液ポンプは、測定装置1000から出力された輸液量に関する情報に基づいて、患者90への輸液を行ってもよい。
【0075】
図13は、このような信号処理部21による処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
(ステップS201~S205)
まず、信号処理部21は、上記実施形態で説明したステップS101~S105と同様にして、患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Ti各々における一回拍出量または心拍出量と、一回拍出量変動とを推定する。
【0077】
(ステップS206)
次に、信号処理部21は、ステップS205で推定された一回拍出量変動に基づいて、患者90の輸液反応性を評価する。たとえば、一回拍出量変動が10%以上であるとき(ステップS206:YES)、信号処理部21は患者90の輸液反応性が有ると評価し、処理をステップS207に進める。一方、一回拍出量変動が10%未満であるとき(ステップS206:NO)、信号処理部21は患者90の輸液反応性が無いと評価し、処理をステップS208に進める。
【0078】
(ステップS207)
ステップS206で、患者90の輸液反応性が有ると評価されたとき、信号処理部21は、現在よりも増加させて、患者90へ輸液量を決定する。
【0079】
(ステップS208)
ステップS206で、患者90の輸液反応性が無いと評価されたとき、信号処理部21は、現在よりも減少させて、患者90への輸液量を決定、あるいは、輸液を停止することを決定する。
【0080】
(ステップS209)
信号処理部21は、ステップS207またはステップS208で輸液量を決定した後、この輸液量に関する情報を出力して、処理を終了する。信号処理部21は、輸液量に関する情報とともに、ステップS205で推定した推定結果を出力してもよい。
【0081】
このような変形例に係る測定装置1000では、上記実施形態で説明したのと同様に、所定期間において、患者90の心臓91から拍出される血液量が推定されるとともに、呼気期間Teおよび吸気期間Tiが推定される。したがって、生体の心臓から拍出される血液量に関する情報とともに、呼吸に関する情報を得ることが可能となる。
【0082】
さらに、この測定装置1000では、患者90の輸液反応性が評価され、患者90への輸液量が決定されるので、医師等の負担をより軽減することが可能となる。
【0083】
<変形例2>
図14は、変形例2に係る測定装置1000の信号処理部21の機能構成の一例を表している。この信号処理部21は、取得部211、選択部212、波形生成部213、呼吸状態推定部214、心拍出量推定部215および出力部216に加えて、判断部411および方向決定部412として機能する。この点を除き、変形例2に係る測定装置1000は、上記実施形態で説明した測定装置1000と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏する。
【0084】
判断部411は、たとえば、現在の受信部12の設置位置が適切か否かを判断する。判断部411は、送信部11および受信部12の少なくとも一方の設置位置が適切か否かを判断すればよい。判断部411は、たとえば、選択部212により選択された第1アンテナ素子rまたは第2アンテナ素子rの数が、全てのアンテナ素子rの数に占める割合に基づいて、現在の受信部12の設置位置が適切か否かを判断する。たとえば、選択部212により選択された第1アンテナ素子rの数が、全てのアンテナ素子rの数に占める割合(以下、単に、第1アンテナ素子rの割合という。)が50%以上であるとき、判断部411は、現在の受信部12の設置位置が適切であると判断する。一方、選択部212により選択された第1アンテナ素子rの割合が50%未満であるとき、判断部411は、現在の受信部12の設置位置が適切でないと判断する。
【0085】
方向決定部412は、判断部411により現在の受信部12の設置位置が適切でないと判断されたとき、適切な設置位置への受信部12の移動方向を決定する。方向決定部412は、送信部11の移動方向を決定してもよく、送信部11および受信部12の移動方向を決定してもよい。方向決定部412は、たとえば、所定期間における各アンテナ素子rの受信電圧のベースラインの変動量に基づいて、移動方向を決定する。方向決定部412により決定された送信部11または受信部12の移動方向に関する情報は、たとえば、液晶パネル51等に表示されることによって出力される。あるいは、測定装置1000は、方向決定部412により決定された送信部11または受信部12の移動方向に応じて、送信部11または受信部12を動かす駆動部を有していてもよい。
【0086】
図15は、このような信号処理部21による処理の一例を示すフローチャートである。
【0087】
(ステップS301、S302)
まず、信号処理部21は、上記実施形態で説明したステップS101、S102と同様にして、受信部12の複数のアンテナ素子rから、第1アンテナ素子rまたは第2アンテナ素子rを選択する。
【0088】
(ステップS303)
次に、信号処理部21は、ステップS302で選択された第1アンテナ素子rの割合に基づいて、現在の受信部12の設置位置が適切か否かを判断する。たとえば、信号処理部21は、ステップS302で選択された第1アンテナ素子rの割合が50%以上であるとき、現在の受信部12の設置位置が適切であると判断し(ステップS303:YES)、処理をステップ306に進める。一方、ステップS302で選択された第1アンテナ素子rの割合が50%未満であるとき、現在の受信部12の設置位置が適切でないと判断し(ステップS303:NO)、処理をステップ304に進める。
【0089】
(ステップS304、S305)
ステップS303で、現在の受信部12の設置位置が適切でないと判断されたとき、信号処理部21は、適切な設置位置への受信部12の移動方向を決定した後(ステップS304)、決定した移動方向に関する情報を出力する(ステップS305)。信号処理部21は、たとえば、この移動方向に関する情報を液晶パネル51等に表示することによって出力し、医師等の使用者は、液晶パネル51等に表示された移動方向に関する情報にしたがって、受信部12を移動させる。この後、信号処理部21は、ステップS301の処理に戻り、受信部12から電磁波情報を取得する。
【0090】
(ステップS306~S309)
ステップS303で、現在の受信部12の設置位置が適切であると判断されたとき、信号処理部21は、上記実施形態で説明したステップS103~S106と同様にして、患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Ti各々における一回拍出量または心拍出量と、一回拍出量変動とを推定し、この推定結果を出力することにより、処理を終了する。
【0091】
このような変形例に係る測定装置1000では、上記実施形態で説明したのと同様に、所定期間において、患者90の心臓91から拍出される血液量とともに、呼気期間Teおよび吸気期間Tiが推定される。したがって、生体の心臓から拍出される血液量に関する情報とともに、呼吸に関する情報を得ることが可能となる。
【0092】
さらに、この測定装置1000では、送信部11および受信部12の少なくとも一方の設置位置について、適切か否かが評価されるので、より適切な位置で患者90の心臓91および肺に関する情報を取得することが可能となる。これにより、より正確に、一回拍出量変動等を推定することができる。
【0093】
<変形例3>
図16は、変形例3に係る測定装置1000の信号処理部21の機能構成の一例を表している。この信号処理部21は、取得部211、選択部212、波形生成部213、呼吸状態推定部214、心拍出量推定部215および出力部216に加えて、設計部511およびフィルタ波形生成部512として機能する。この点を除き、変形例3に係る測定装置1000は、上記実施形態で説明した測定装置1000と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏する。
【0094】
設計部511は、患者90の心拍波形を生成するためのフィルタを設計する。このフィルタは、たとえば、患者90の呼吸に関する周波数および患者90の心拍に関する周波数を用いて設計される。患者90の呼吸に関する周波数および患者90の心拍に関する周波数は、たとえば、信号処理部21が取得した電磁波情報から算出される。このフィルタをかけることにより、電磁波情報から、患者90の呼吸に関する情報が除去されるとともに、患者90の心拍に関する情報が抽出される。
【0095】
フィルタ波形生成部512は、設計部511により設計されたフィルタを用いて、心拍波形を生成する。たとえば、フィルタ波形生成部512は、第1アンテナ素子rにより受信された電磁波に基づく電磁波情報を、フィルタにかけることにより、心拍波形を生成する。
【0096】
図17は、このような信号処理部21による処理の一例を示すフローチャートである。
【0097】
(ステップS401~S403)
まず、信号処理部21は、上記実施形態で説明したステップS101、S102と同様にして、受信部12の複数のアンテナ素子rから、第1アンテナ素子rまたは第2アンテナ素子rを選択する(ステップS401、S402)。次いで、信号処理部21は、上記実施形態で説明したステップS104と同様にして、患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Tiを推定する(ステップS403)。
【0098】
(ステップS404)
次に、信号処理部21は、ステップS401で取得した電磁波情報を用いてフィルタを設計する。
【0099】
(ステップS405)
続いて、信号処理部21は、第1アンテナ素子rにより受信された電磁波情報に、ステップS404で設計したフィルタをかけることにより、患者90の心拍波形を生成する。
【0100】
(ステップS406、S407)
この後、信号処理部21は、上記実施形態で説明したステップS105、S106と同様にして、患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Ti各々における一回拍出量または心拍出量と、一回拍出量変動とを推定し、この推定結果を出力することにより、処理を終了する。
【0101】
このような変形例に係る測定装置1000では、上記実施形態で説明したのと同様に、所定期間において、患者90の心拍波形が生成されるとともに、呼気期間Teおよび吸気期間Tiが推定される。したがって、患者90の心拍に関する情報とともに、呼吸に関する情報を得ることが可能となる。
【0102】
さらに、この測定装置1000では、患者90の心拍波形を生成するためのフィルタが設計され、このフィルタを用いて、心拍波形が生成されるので、より高い精度で、患者90の心拍に関する情報を得ることができる。
【0103】
<その他の変形例>
本発明に係る測定装置の構成は、上述の実施形態および変形例で説明した測定装置1000の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種種改変することができる。
【0104】
たとえば、上記実施形態では、1つのアンテナ素子t1を有する送信部11と、複数のアンテナ素子rを有する受信部12とを含む測定装置1000について説明したが、送信部11および受信部12の構成は、これに限定されない。
【0105】
図18(A)(B)および図19(A)(B)は、送信部11および受信部12の構成の他の例を表している。たとえば、測定装置1000は、複数のアンテナ素子t1,t2,t3・・・txを有する送信部11と、複数のアンテナ素子r1,r2,r3・・・rxを有する受信部12とを含んでいてもよい(図18(A)(B))。あるいは、測定装置1000は、複数のアンテナ素子t1,t2,t3・・・txを有する送信部11と、1つのアンテナ素子r1を有する受信部12とを含んでいてもよい(図19(A)(B))。
【0106】
上記実施形態で説明したように、測定装置1000が、1つのアンテナ素子t1を有する送信部11と、複数のアンテナ素子rを有する受信部12とを含むことにより、送信される電磁波の位置が安定し、制御部20が安定して電磁波情報を取得することができる。
【0107】
また、上記実施形態では、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子が選択された後に、改めて第1アンテナ素子と第2アンテナ素子を用いて取得した波形に基づいて一回拍出量変動等を推定したが、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子により既に取得した波形に基づいて一回拍出量変動等を推定してもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、信号処理部21(より具体的には、呼吸状態推定部214)が、受信電圧のベースラインに基づいて、患者90の呼気期間Teおよび吸気期間Tiを推定する例について説明したが、信号処理部21は、他の方法を用いて呼気期間Teおよび吸気期間Tiを推定してもよい。たとえば、呼吸に関する波形の振幅強度等に基づいて、複数のアンテナ素子から肺の影響を大きく受ける素子を選別、併せて心臓由来の波形を取得できる素子を選別し(肺に近いアンテナ素子程、肺由来の波形幅は大きくなる)、呼気期間Teおよび吸気期間Tiを推定してもよい。あるいは、スパイロメーター等の外部の呼吸計測装置から取得した情報を用いて呼気期間Teおよび吸気期間Tiを推定してもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、信号処理部21(より具体的には、選択部212)が、呼吸(吸気または呼気)にともなう受信電圧のベースラインの変動量に基づいて、第1アンテナ素子rおよび第2アンテナ素子rを選択する例について説明したが、信号処理部21は、他の方法を用いて第1アンテナ素子rおよび第2アンテナ素子rを選択してもよい。たとえば、信号処理部21は、取得した電磁波情報に対応する波形の振幅、自己相関係数または波形面積(振幅の時間積分値)等に基づいて、第1アンテナ素子rおよび第2アンテナ素子rを選択してもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、信号処理部が取得する電磁波情報がアンテナ素子の受信電圧である例について説明したが、電磁波情報は、アンテナ素子が受信した電磁波に関する他の情報であってもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、測定装置が患者の心拍出量および一回拍出量を推定する例について説明したが、測定装置は、心係数等を推定してもよく、他の心臓から拍出される血液量に関する指標を推定してもよい。
【0112】
また、測定装置は、それぞれ上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0113】
また、送信部11、受信部12および制御部20は、それぞれ、複数の装置によって構成されてもよく、あるいはこれらの一部が単一の装置によって構成されてもよい。
【0114】
また、各構成が有する機能は、他の構成によって実現されてもよい。たとえば、送信部11および受信部12が有する各機能の一部または全部が制御部20によって実現されてもよく、制御部20の各機能の一部または全部が送信部11または受信部12が有する各機能の一部または全部によって実現されてもよい。
【0115】
また、上記の実施形態および変形例におけるフローチャートの処理単位は、各処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方によって、本願発明が制限されることはない。各処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0116】
上述した実施形態に係る測定装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、測定装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1000 測定装置、
11 送信部、
110 基板、
111 電磁波生成部、
112 素子切替部、
113 アンテナアレイ(送信側)、
t1~tx アンテナ素子(送信側)、
12 受信部、
120 基板、
121 アンテナアレイ(受信側)、
122 素子切替部、
123 サンプリング部、
13 信号ケーブル、
14 送受信コントローラー、
20 制御部、
21 信号処理部、
22 記憶部、
23 入出力I/F、
24 通信I/F、
51 液晶パネル、
61 PC。
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