(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000729
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20231226BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20231226BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20231226BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231226BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H02G3/22
H05K7/00 B
H02G11/00
B60R16/02 622
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099594
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】上埜 博司
【テーマコード(参考)】
4E352
5G309
5G363
5G371
【Fターム(参考)】
4E352BB02
4E352BB10
4E352BB15
4E352CC02
4E352DD12
4E352DR25
4E352DR40
4E352GG20
5G309AA09
5G363AA07
5G363BA02
5G363CB08
5G363DC03
5G371AA01
5G371CA03
(57)【要約】
【課題】開閉体の開閉に伴って生じるねじれによる電線部材の損傷を抑制可能にしたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネスは、グロメット20と、グロメット20に通されている電線部材30と、を備える。開閉体が全開位置にあるときの電線部材30のねじれ角θをプラス値としたとき、開閉体が全開位置と全閉位置との間の中間位置にあるときのねじれ角θが0度となるように、かつ、開閉体が全閉位置にあるときのねじれ角θがマイナス値となるように、グロメット20が電線部材30を保持している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と前記固定部に対し全開位置と全閉位置との間で開閉される開閉体とを備える取付対象に取り付けられるワイヤハーネスであって、
前記固定部と前記開閉体との間に配置されるグロメットと、
前記グロメットに通されている電線部材と、を備え、
前記グロメットは、前記固定部に固定される固定側端部と、前記開閉体に固定される可動側端部と、を有し、
前記電線部材は、前記グロメットの内部を通りつつ前記固定部と前記開閉体とにわたって配策され、
前記開閉体が前記全開位置にあるときの前記電線部材のねじれ角をプラス値としたとき、前記開閉体が前記全開位置と前記全閉位置との間の中間位置にあるときの前記ねじれ角が0度となるように、かつ、前記開閉体が前記全閉位置にあるときの前記ねじれ角がマイナス値となるように、前記グロメットが前記電線部材を保持している、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記開閉体が前記全開位置にあるときの前記ねじれ角の絶対値と、前記開閉体が前記全閉位置にあるときの前記ねじれ角の絶対値とが同等である、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記中間位置は、前記全開位置と前記全閉位置との間の中央にあたる位置である、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記開閉体が前記全開位置にあるときの前記可動側端部の中心と前記固定側端部の中心とを結ぶ直線を第1仮想直線とし、
前記開閉体が前記全閉位置にあるときの前記可動側端部の中心と前記固定側端部の中心とを結ぶ直線を第2仮想直線とし、
前記開閉体が前記中間位置にあるときの前記可動側端部の中心と前記固定側端部の中心とを結ぶ直線を第3仮想直線としたとき、
前記第3仮想直線は、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線とがなす角を二等分する位置に設定されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記電線部材は、編組部材を含む、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載の車両用ワイヤハーネスは、車体側とドア等の開閉体側とに亘って配索される電線部材と、電線部材が通されるグロメットとを備える。グロメットは、車体と開閉体との間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなワイヤハーネスでは、開閉体の開閉に伴い電線部材にねじれが生じる場合がある。
本開示の目的は、開閉体の開閉に伴って生じるねじれによる電線部材の損傷を抑制可能にしたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のワイヤハーネスは、固定部と前記固定部に対し全開位置と全閉位置との間で開閉される開閉体とを備える取付対象に取り付けられるワイヤハーネスであって、前記固定部と前記開閉体との間に配置されるグロメットと、前記グロメットに通されている電線部材と、を備え、前記グロメットは、前記固定部に固定される固定側端部と、前記開閉体に固定される可動側端部と、を有し、前記電線部材は、前記グロメットの内部を通りつつ前記固定部と前記開閉体とにわたって配策され、前記開閉体が前記全開位置にあるときの前記電線部材のねじれ角をプラス値としたとき、前記開閉体が前記全開位置と前記全閉位置との間の中間位置にあるときの前記ねじれ角が0度となるように、かつ、前記開閉体が前記全閉位置にあるときの前記ねじれ角がマイナス値となるように、前記グロメットが前記電線部材を保持している。
【発明の効果】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、開閉体の開閉に伴って生じるねじれによる電線部材の損傷を抑制可能にする効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、ワイヤハーネスが取り付けられた取付対象を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態のワイヤハーネスの平面図である。
【
図4】
図4は、開閉体の開閉に伴うワイヤハーネスの動きを説明するための模式斜視図である。
【
図5】
図5は、開閉体の開閉に伴う電線部材のねじれを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]固定部と前記固定部に対し全開位置と全閉位置との間で開閉される開閉体とを備える取付対象に取り付けられるワイヤハーネスであって、前記固定部と前記開閉体との間に配置されるグロメットと、前記グロメットに通されている電線部材と、を備え、前記グロメットは、前記固定部に固定される固定側端部と、前記開閉体に固定される可動側端部と、を有し、前記電線部材は、前記グロメットの内部を通りつつ前記固定部と前記開閉体とにわたって配策され、前記開閉体が前記全開位置にあるときの前記電線部材のねじれ角をプラス値としたとき、前記開閉体が前記全開位置と前記全閉位置との間の中間位置にあるときの前記ねじれ角が0度となるように、かつ、前記開閉体が前記全閉位置にあるときの前記ねじれ角がマイナス値となるように、前記グロメットが前記電線部材を保持している。
【0009】
この構成によれば、開閉体が中間位置にあるときに、電線部材がねじれの無いニュートラルな状態となる。そして、電線部材が全開位置と全閉位置とで逆方向にねじれるように構成できる。したがって、開閉体が全開位置または全閉位置にあるときに電線部材がニュートラルな状態となるように設定した場合と比較して、開閉体の開閉に伴う電線部材のねじれの量を小さく抑えることが可能となる。その結果、開閉体の開閉に伴って生じるねじれによる電線部材の損傷を抑制可能となる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記開閉体が前記全開位置にあるときの前記ねじれ角の絶対値と、前記開閉体が前記全閉位置にあるときの前記ねじれ角の絶対値とが同等であってもよい。
【0011】
この構成によれば、電線部材のねじれの量を全開位置と全閉位置とで同等にすることが可能となる。したがって、開閉体の開閉に伴う電線部材のねじれの量を最小限に抑えることが可能となる。
【0012】
[3]上記[1]または[2]において、前記中間位置は、前記全開位置と前記全閉位置との間の中央にあたる位置であってもよい。
この構成によれば、電線部材のねじれの量を全開位置と全閉位置とで同等にすることが可能となる。したがって、開閉体の開閉に伴う電線部材のねじれの量を最小限に抑えることが可能となる。
【0013】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記開閉体が前記全開位置にあるときの前記可動側端部の中心と前記固定側端部の中心とを結ぶ直線を第1仮想直線とし、前記開閉体が前記全閉位置にあるときの前記可動側端部の中心と前記固定側端部の中心とを結ぶ直線を第2仮想直線とし、前記開閉体が前記中間位置にあるときの前記可動側端部の中心と前記固定側端部の中心とを結ぶ直線を第3仮想直線としたとき、前記第3仮想直線は、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線とがなす角を二等分する位置に設定されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、電線部材のねじれの量を全開位置と全閉位置とで同等にすることが可能となる。したがって、開閉体の開閉に伴う電線部材のねじれの量を最小限に抑えることが可能となる。
【0015】
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記電線部材は、編組部材を含んでいてもよい。
この構成によれば、電線部材が、ねじれによって損傷しやすい編組部材を含む。このため、電線部材のねじれの量を小さく抑えることによる損傷抑制効果をより顕著に得ることが可能となる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のワイヤハーネス10は、取付対象11に取り付けられている。取付対象11は、固定部12と、固定部12に支持された開閉体13とを備える。開閉体13は、固定部12に対し全開位置Poと全閉位置Pcとの間で開閉可能に構成されている。取付対象11は、例えば車両である。固定部12は、例えば車体である。開閉体13は、例えば、車両におけるバックドアや、サイドドアや、スライドドアや、サンルーフ装置の開閉体や、サイドミラーや、ルームミラー等である。
【0018】
開閉体13は、例えば、固定部12に対しヒンジ軸14を介して連結されている。開閉体13は、ヒンジ軸14を回動軸として全開位置Poと全閉位置Pcとの間で回動可能に構成されている。
【0019】
(ワイヤハーネス10の構成)
ワイヤハーネス10は、グロメット20と、電線部材30とを備える。グロメット20は、可撓性を有する材料にて形成されている。グロメット20を形成する材料としては、例えば、ゴムやエラストマなどを用いることができる。
【0020】
グロメット20は、固定部12と開閉体13との間に設けられている。また、グロメット20は、例えば、ヒンジ軸14の近傍に設けられている。グロメット20は、全体として筒状をなしている。グロメット20には、電線部材30が通されている。電線部材30は、グロメット20の内部を通りつつ固定部12と開閉体13とにわたって配策されている。電線部材30の一端部は、開閉体13に設けられる図示しない機器に接続される。
【0021】
図5に示すように、電線部材30は、例えば、電線31と、電線31の外周を覆う編組部材32とを有するLVDSケーブルである。電線31は、芯線と絶縁被覆とを有する1本の電線、または複数の電線の束である。編組部材32は、例えば、複数の金属素線が編み込まれて形成されている。編組部材32は、電線31を磁気的にシールドする。
【0022】
(グロメット20の構成)
図2及び
図3に示すように、グロメット20は、固定側端部21と、可動側端部22と、中間部23とを有している。固定側端部21は、グロメット20の長さ方向の一端部に設けられている。可動側端部22は、グロメット20の長さ方向の他端部に設けられている。中間部23は、固定側端部21と可動側端部22とを繋ぐ部位である。固定側端部21及び可動側端部22の各々は、例えば、中間部23に対して径方向に鍔状に延出している。電線部材30は、グロメット20における固定側端部21、中間部23及び可動側端部22を貫通している。
【0023】
図3に示すように、グロメット20は、電線部材30が固定される固定片24を有している。固定片24は、例えば、固定側端部21に設けられている。電線部材30は、例えば粘着テープ25により固定片24に固定される。
【0024】
中間部23は、長さ方向の少なくとも一部に蛇腹部26を有している。蛇腹部26は、長さ方向において径が大小繰り返す蛇腹形状をなす。すなわち、蛇腹部26は、長さ方向に沿って大径部26aと小径部26bとが交互に連なって設けられた構造を有している。なお、
図4では、説明の便宜上、蛇腹部26の詳細な形状の図示を省略している。
【0025】
図4に示すように、固定側端部21は、固定部12の取付面12aに固定される。可動側端部22は、開閉体13の取付面13aに固定される。
図3に示すように、固定側端部21は、取付面12aに密着するリップ部21aを備える。リップ部21aは、環状をなしている。リップ部21aは、取付面12aに形成された図示しない貫通孔を囲う位置で取付面12aに密着する。これにより、リップ部21aは、当該貫通孔をシールする。なお、後述する固定側端部21の中心C1は、環状のリップ部21aの中心と一致する。電線部材30は、取付面12aの前記貫通孔から固定部12の内部入り込んでいる。
【0026】
可動側端部22は、取付面13aに密着するリップ部22aを備える。リップ部22aは、環状をなしている。リップ部22aは、取付面13aに形成された図示しない貫通孔を囲う位置で取付面13aに密着する。これにより、リップ部22aは、当該貫通孔をシールする。なお、後述する可動側端部22の中心C2は、環状のリップ部22aの中心と一致する。電線部材30は、取付面13aの前記貫通孔から開閉体13の内部入り込んでいる。
【0027】
(開閉体13の開閉に伴うねじれについて)
図4に示すように、開閉体13の取付面13a及びグロメット20の可動側端部22は、開閉体13の開閉に伴い変位する。そして、開閉体13の開閉時に変位しない固定側端部21に対し可動側端部22が変位することで、グロメット20の中間部23及びグロメット20内の電線部材30にはねじれが生じる。グロメット20及び電線部材30の「ねじれ」とは、長さ方向に対して垂直な面内で回転させたときの変形である。
【0028】
図3に示すように、電線部材30において、グロメット20の固定側端部21の内側に位置する部分を第1部位30aとし、可動側端部22の内側に位置する部分を第2部位30bとする。以下の説明における電線部材30のねじれ角θは、第1部位30aに対する第2部位30bのねじれの角度を指す。
【0029】
図5に示すように、開閉体13が全開位置Poと全閉位置Pcとの間の中間位置Pmにあるときに、電線部材30のねじれ角θが0°になるように構成されている。すなわち、中間位置Pmでは、電線部材30にねじれが生じていない状態となる。そして、開閉体13が全開位置Poにあるとき、ねじれ角θはプラス値となり、開閉体13が全閉位置Pcにあるとき、ねじれ角θはマイナス値となる。すなわち、電線部材30の第2部位30bは、全開位置Poと全閉位置Pcとで逆方向にねじれるようになっている。
【0030】
図4に示すように、開閉体13が全開位置Poにあるときの可動側端部22の中心C2を開時中心C2aとする。また、開閉体13が全閉位置Pcにあるときの可動側端部22の中心C2を閉時中心C2bとする。また、開閉体13が中間位置Pmにあるときの可動側端部22の中心C2を中間時中心C2cとする。また、固定側端部21の中心C1と可動側端部22の開時中心C2aとを結ぶ直線を第1仮想直線L1とする。そして、固定側端部21の中心C1と可動側端部22の閉時中心C2bとを結ぶ直線を第2仮想直線L2とする。第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とは、互いに同等の長さに設定されている。すなわち、固定側端部21の中心C1と開時中心C2aと閉時中心C2bとを頂点とする三角形は、二等辺三角形をなす。
【0031】
ここで、例えば、開閉体13の中間位置Pmは、全開位置Poと全閉位置Pcの中央にあたる位置である。すなわち、開閉体13において、中間位置Pmから全開位置Poまでの移動量と、中間位置Pmから全閉位置Pcまでの移動量が同等である。したがって、固定側端部21の中心C1と可動側端部22の中間時中心C2cとを結ぶ直線を第3仮想直線L3としたとき、第3仮想直線L3が第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とがなす角θ1を二等分にする直線となる。これにより、開閉体13が全開位置Poにあるときのねじれ角θの絶対値|α|と、開閉体13が全閉位置Pcにあるときのねじれ角θの絶対値|α|とが同等になる。すなわち、電線部材30は、全開位置Poと全閉位置Pcとで同じ量だけねじれるようになっている。
【0032】
図3に示すように、グロメット20における固定側端部21の中心軸線L4は、固定側端部21の座面21bに直交し、かつ、固定側端部21の中心C1を通る。そして、中間部23の長さ方向に沿った軸線CLと前記中心軸線L4とのなす角を、第1砲台角θ2とする。また、可動側端部22の中心軸線L5は、可動側端部22の座面22bに直交し、かつ、可動側端部22の中心C2を通る。そして、中間部23の軸線CLと前記中心軸線L5とのなす角を、第2砲台角θ3とする。
【0033】
また、
図2に示す固定側端部21の回転角θ4は、軸線CLに対する固定側端部21の角度である。回転角θ4は、固定側端部21の前記中心軸線L4を中心とする回転方向における角度である。また、可動側端部22も回転角θ4と同様の回転角を有している。
【0034】
上記した固定側端部21の第1砲台角θ2、固定側端部21の回転角θ4、可動側端部22の第2砲台角θ3、及び可動側端部22の回転角は、取付対象11に対する組付状態において、中間部23が固定部12及び開閉体13に干渉しないように設定される。また、固定側端部21の第1砲台角θ2、固定側端部21の回転角θ4、可動側端部22の第2砲台角θ3、及び可動側端部22の回転角は、開閉体13の開閉時に中間部23が電線部材30に干渉して、電線部材30に部分的に応力が集中しないように設定される。
【0035】
本実施形態の効果について説明する。
(1)グロメット20は、開閉体13が全開位置Poと全閉位置Pcとの間の中間位置Pmにあるときのねじれ角θが0度となるように、電線部材30を保持している。この構成によれば、開閉体13が中間位置Pmにあるときに、電線部材30がねじれの無いニュートラルな状態となる。そして、電線部材30が全開位置Poと全閉位置Pcとで逆方向にねじれるように構成できる。したがって、開閉体13が全開位置Poまたは全閉位置Pcにあるときに電線部材30がニュートラルな状態となるように設定した場合と比較して、開閉体13の開閉に伴う電線部材30のねじれの量を小さく抑えることが可能となる。その結果、開閉体13の開閉に伴って生じるねじれによる電線部材30の損傷を抑制可能となる。
【0036】
(2)開閉体13が全開位置Poにあるときのねじれ角θの絶対値と、開閉体13が全閉位置Pcにあるときのねじれ角θの絶対値とが同等である。この構成によれば、電線部材30のねじれの量を全開位置Poと全閉位置Pcとで同等にすることが可能となる。したがって、開閉体13の開閉に伴う電線部材30のねじれの量を最小限に抑えることが可能となる。
【0037】
(3)中間位置Pmは、全開位置Poと全閉位置Pcとの間の中央にあたる位置である。この構成によれば、電線部材30のねじれの量を全開位置Poと全閉位置Pcとで同等にすることが可能となる。したがって、開閉体13の開閉に伴う電線部材30のねじれの量を最小限に抑えることが可能となる。
【0038】
(4)開閉体13が全開位置Poにあるときの可動側端部22の中心C2と固定側端部21の中心C1とを結ぶ直線を第1仮想直線L1とする。また、開閉体13が全閉位置Pcにあるときの可動側端部22の中心C2と固定側端部21の中心C1とを結ぶ直線を第2仮想直線L2とする。また、開閉体13が中間位置Pmにあるときの可動側端部22の中心C2と固定側端部21の中心C1とを結ぶ直線を第3仮想直線L3とする。第3仮想直線L3は、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とがなす角θ1を二等分する位置に設定されている。この構成によれば、電線部材30のねじれの量を全開位置Poと全閉位置Pcとで同等にすることが可能となる。したがって、開閉体13の開閉に伴う電線部材30のねじれの量を最小限に抑えることが可能となる。
【0039】
(5)電線部材30は、ねじれによって損傷しやすい編組部材32を含む。このため、電線部材30のねじれの量を小さく抑えることによる損傷抑制効果をより顕著に得ることが可能となる。また、電線部材30は、電線31のLVDSケーブルに含まれる編組線を含んでいる。当該編組線も編組部材32と同様でねじれによって損傷しやすいため、損傷抑制効果をより顕著に得ることが可能となる。
【0040】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0041】
・第3仮想直線L3を、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とがなす角θ1を二等分しない位置に設定してもよい。
・中間位置Pmは、全開位置Poと全閉位置Pcとの間の中央にあたる位置でなくてもよい。
【0042】
・開閉体13が全開位置Poにあるときのねじれ角θの絶対値と、開閉体13が全閉位置Pcにあるときのねじれ角θの絶対値とは、同等でなくてもよい。なお、開閉体13が全開位置Poにあるときのねじれ角θの絶対値と、開閉体13が全閉位置Pcにあるときのねじれ角θの絶対値の差が小さいほど、開閉体13の開閉に伴う電線部材30のねじれの量が小さくなる。
【0043】
・第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とを互いに異なる長さに設定してもよい。なお、第1仮想直線L1の長さと第2仮想直線L2の長さの差が小さいほど、開閉体13の開閉に伴う中間部23及び電線部材30の曲がり量が小さくなる。
【0044】
・電線部材30を例えば結束バンドにより固定片24に固定してもよい。
・固定片24を可動側端部22のみ、または固定側端部21と可動側端部22の各々に設けてもよい。
【0045】
・電線部材30は、複数の電線31を含む構成、または、電線31とそれとは別の1本または複数本の電線とを含む構成であってもよい。
・電線部材30は、電線31と編組部材32とを有するLVDSケーブルに限定されるものではない。例えば、電線31の芯線が、複数の金属素線が編み込まれて形成された編組部材によって構成されていてもよい。この場合、電線31の芯線が、ねじれによって損傷しやすい編組部材にて構成されるため、電線部材30のねじれの量を小さく抑えることによる損傷抑制効果をより顕著に得ることが可能となる。
【0046】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
10 ワイヤハーネス
11 取付対象
12 固定部
12a 取付面
13 開閉体
13a 取付面
14 ヒンジ軸
20 グロメット
21 固定側端部
21a リップ部
21b 座面
22 可動側端部
22a リップ部
22b 座面
23 中間部
24 固定片
25 粘着テープ
26 蛇腹部
26a 大径部
26b 小径部
30 電線部材
30a 第1部位
30b 第2部位
31 電線
32 編組部材
θ ねじれ角
θ1 角
θ2 第1砲台角
θ3 第2砲台角
θ4 回転角
C1 固定側端部の中心
C2 可動側端部の中心
C2a 開時中心
C2b 閉時中心
C2c 中間時中心
CL 軸線
L1 第1仮想直線
L2 第2仮想直線
L3 第3仮想直線
L4 中心軸線
L5 中心軸線
Pc 全閉位置
Pm 中間位置
Po 全開位置