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  • 特開-気泡シールド工法用起泡材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072904
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】気泡シールド工法用起泡材
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20240522BHJP
   E21D 9/06 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C09K3/00 111B
E21D9/06 301L
E21D9/06 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183768
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】390029458
【氏名又は名称】ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】篠原 明
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC06
2D054DA33
2D054FA12
(57)【要約】
【課題】 本発明は、消泡し難く安定性に優れた気泡が得られる、気泡シールド工法用起泡材を提供することを目的とする。
【解決手段】
(A)アニオン性界面活性剤と、
(B)両性界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上と、
(C)炭素数が8~30である脂肪族アルコールと、
を含む気泡シールド工法用起泡材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン性界面活性剤と、
(B)両性界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上と、
(C)炭素数が8~30である脂肪族アルコールと、
を含む気泡シールド工法用起泡材。
【請求項2】
(A)成分が、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸エステルジ塩、ジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1記載の気泡シールド工法用起泡材。
【請求項3】
さらに、(D)有機溶剤を含む、請求項1または2に記載の気泡シールド工法用起泡材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡シールド工法用起泡材に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法は、切羽およびチャンバー内に加泥材を注入することで掘削土砂(混合土)が塑性流動性を有し、この混合土がチャンバー内を充填することで、土圧と水圧に対し平衡を維持しつつ、マシン外へスムーズに土砂を排出する工法である。この工法のうち、加泥材として気泡を注入するものが、気泡シールド工法と呼ばれる。
【0003】
注入する気泡は、対象土の粒度によって使用する剤を使い分けている(特許文献1)。一般的に細粒分が一定量ある場合は、陰イオン界面活性剤を主成分とするAタイプ気泡、細粒分が少ない、砂質~砂礫質土については、カルボキシメチルセルロース(CMC)に代表される粉体の増粘剤を溶解させた液に、Aタイプで使用される起泡材原液を混合し、発泡させることで粘性の高い気泡を生成し、粘性により細粒分不足を補うBタイプ気泡、粗粒な礫質土に対しては、増粘剤に対して、ゲル化作用のある薬剤を発泡時に散布することで、固く非常に強い気泡を作成し、礫を強固にまとめることができるCタイプ気泡の大きく3種類に分類される。
なお、Bタイプ及びCタイプ気泡については、起泡材溶液を調製する際、Aタイプで必要となる設備に加え、粉体を溶解する設備が別途必要となる。なお、Aタイプ気泡では任意に発泡倍率を変えることができるのに対し、増粘剤を含むBタイプ気泡(Cタイプ気泡も同様)では起泡材溶液の粘性が高いため、発泡しづらく概ね6倍発泡が限度であり、Aタイプ気泡に比べて、多量の起泡材溶液を使用する。また発泡性を確保するため、別途添加材を必要とする場合がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-092018号公報
【特許文献2】特開2014-234484号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】気泡シールド工法 技術資料 シールド工法技術協会 (http://shield-method.gr.jp/wp/wp-content/uploads/doc_tec_rf.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シールド掘進時に、当初の地質調査によって想定していなかった砂礫互層により、地山中の細粒分が急激に減少した場合や、礫分が多い場合、Aタイプ気泡からBタイプ気泡への変更が必要となる場合がある。かかる場合、2剤での調製が必要なため、新たにBタイプ気泡の設備(希釈水タンク、溶解槽等の混合希釈設備、増粘剤貯蔵タンク並びに供給設備など)が必要になる。しかしながら、シールド工法の多くが、都市部の狭隘な場所で施工することが多いことから、設備のためのスペース確保が難しい。また設備を導入できる場合においても、設備の確保、設置等に大幅な時間が必要となり、その間施工は停止する必要がある。そこで、新たな設備を必要としない、1剤で起泡と増粘の効果を持つ剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは鋭意研究の結果、アニオン性界面活性剤または両性界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤からなる群から選択されるものの少なくとも1種類と疎水膜剤と、所定の化合物を含む起泡材は、消泡し難く安定性に優れた気泡が生成可能であることを新たに見出した。
【0008】
従って、本願発明は以下の通りである。
[1](A)アニオン性界面活性剤と、
(B)両性界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上と、
(C)炭素数が8~30である脂肪族アルコールと、
を含む気泡シールド工法用起泡材。
[2](A)成分が、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸エステルジ塩、ジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種以上である、前記[1]に記載の気泡シールド工法用起泡材。
[3]さらに、(D)有機溶剤を含む、前記[1]または[2]に記載の気泡シールド工法用起泡材。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、消泡し難く安定性に優れた、気泡シールド工法用起泡材が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】シールドマシンの概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を用いて詳細に説明するが、必ずしもこれに限定するわけではない。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。
以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。
本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0012】
まず、気泡シールド工法に用いられるシールドマシンの概略について説明する。
図1に示すように、本工法に用いられるシールドマシン1は、スキンプレート2と、隔壁3と、カッター4と、カッターモーター5と、気泡注入管6と、スクリューコンベア7と、土圧センサ8を備えている。
【0013】
スキンプレート2は、シールドマシン1の外殻部となる鋼製の筒状部材である。隔壁3は、スキンプレート2に設けられており、スキンプレート2の前側部分にチャンバー9を区画する。カッター4は、回転によって地中を掘削する部分であり、スキンプレート2よりも前方に配設されている。カッターモーター5は、カッター4を回転させるための駆動源であり、隔壁3の後側に設けられている。カッターモーター5の駆動力は支持アーム10を介してカッター4に伝達される。
【0014】
気泡注入管6は、起泡材溶液が発泡装置(図示せず)で発泡されることで得られたシェービングクリーム状の微細気泡を案内する部材である。気泡注入管6の先端はカッター4の前方に位置しているため、案内された微細気泡はカッター4に向けて注入される。カッター4で掘削された掘削土は、このカッター4の回転によって気泡と混合されることで流動性が高められ、チャンバー9に流入する。そして、チャンバー9では、気泡の存在によって壁面への掘削土の付着が抑制される。また、土粒子同士の間に気泡が入り込むので、止水性も高められる。
なお、前記微細気泡は、チャンバー9内に直接注入されてもよく、又はカッター4及びチャンバー9の両方に注入されてもよい。
【0015】
次に、(A)アニオン性界面活性剤と、(B)両性界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上と、(C)炭素数が8~30である脂肪族アルコールと、を含む気泡シールド工法用起泡材について説明する。
【0016】
(A)成分であるアニオン性界面活性剤は、気液界面に配列して気泡の泡膜を形成する主剤である。
「アニオン性界面活性剤」としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α-オレフィンスルホン酸塩(AOSとも言う)、内部オレフィンスルホン酸塩(IOS、インナーオレフィンスルホネートとも言う)、直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩(MESとも言う)、アルキルスルホコハク酸エステルジ塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤における塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、これらのうち1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上記(A)成分であるアニオン性界面活性剤のうちアルキルエーテル硫酸エステル、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩が好ましく、アルキルエーテル硫酸エステル塩がより好ましい。
(A)成分は、気泡シールド工法用起泡材全体の質量に対して3~40質量%であることが好ましく、10~30質量%がより好ましい。
【0018】
(B)成分である両性界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上は、前記(A)成分と共に気泡の泡膜を安定化する基材である。
「両性界面活性剤」としてはアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型等が挙げられる。両性界面活性剤は、ベタイン型が好ましい。ベタイン型の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。ベタイン型としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)がより好ましい。両性界面活性剤は、これらのうち1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
「アミンオキシド型界面活性剤」としては、ドデシルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。アミンオキシド型界面活性剤は、これらのうち1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
上記(B)成分である両性界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のうち、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましく、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)がより好ましい。
(B)成分は、気泡シールド工法用起泡材全体の質量に対して0.1~20質量%であることが好ましく、1~10質量%がより好ましい。
【0021】
(C)成分である炭素数が8~30である脂肪族アルコールは、前記(A)、(B)成分と相互作用することで泡膜表面の粘性を向上させ、強固な気泡を形成させる作用がある。
(C)成分である炭素数が8~30である脂肪族アルコールとしては、炭素数8~30、8~20、8~14の炭化水素基をもつ脂肪族アルコールが挙げられ、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール、リノレイルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、オクチルシクロヘキシルアルコール及びノニルシクロヘキシルアルコール等の一価アルコールが挙げられる。
これらの脂肪族アルコールは直鎖でも、分岐上でも、環状でもよいが、直鎖状が好ましく、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、デシルアルコール、オクチルアルコールが好ましい。これらのうち1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分は、気泡シールド工法用起泡材全体の質量に対して1~20質量%であることが好ましく、2~10質量%がより好ましい。
【0022】
<任意成分>
[有機溶剤]
本願発明に係る起泡材は、(D)有機溶剤を含有してもよい(前記(C)成分を除く)。有機溶剤は起泡性を阻害しないものであって水に溶解しやすい有機溶剤(水溶性溶剤ともいう)であれば制限なく使用できる。例えば炭素数2~4の一価アルコール、炭素数2~6の多価アルコール、グリコールエーテル系溶剤等、有機溶剤が挙げられる。具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、へキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等である。
これらのうち、エタノール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、へキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。水溶性溶剤は、これらのうち1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)有機溶剤は、気泡シールド工法用起泡材全体の質量に対して5~40質量%であることが好ましく、10~30質量%がより好ましい。
【0023】
[水]
本願発明に係る起泡材は、水を含有してもよい。水剤は、気泡シールド工法用起泡材全体の質量に対して20~80質量%であることが好ましく、30~60質量%がより好ましい。
【0024】
本願発明の気泡シールド工法用起泡材において、
(A)成分は、(A)~(D)成分の総質量(合計質量)に対し、30~60質量%が好ましく、35~50質量%がさらに好ましい。この範囲であると十分な起泡性と液安定性が得られるので好ましい。
(B)成分は、(A)~(D)成分の総質量(合計質量)に対し、1~40質量%が好ましく、1~30質量%がさらに好ましい。この範囲であると十分な起泡性と液安定性が得られるので好ましい。
(C)成分は、(A)~(D)成分の総質量(合計質量)に対し、1~30質量%が好ましく、1~15質量%がさらに好ましい。この範囲であると十分な起泡性と液安定性が得られるので好ましい。
(D)成分は、(A)~(D)成分の総質量(合計質量)に対し、20~60質量%が好ましく、30~50質量%がさらに好ましい。この範囲であると十分な起泡性と液安定性が得られるので好ましい。
【0025】
本願発明の気泡シールド工法用起泡材は、適宜水で希釈して使用するのが好ましい。
希釈倍率は、本願発明の気泡シールド工法用起泡材の総質量(合計質量)に対し、4~199倍の水で希釈する(希釈倍率:5~200倍)のが好ましく、19~99倍の水で希釈する(希釈倍率:20~100倍)のがさらに好ましい。この範囲であると十分な起泡性と気泡安定性が得られるので好ましい。
【0026】
[その他の添加剤]
本願発明に係る起泡材は、その機能に影響を及ぼさない範囲で適宜の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、たとえばカチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、高分子化合物、不溶化剤、キレート剤、増粘剤、粘土鉱物、防腐剤、等が挙げられ、特にノニオン性活性剤である脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物、アルカノールアミド等は気泡の発泡性や安定性を向上させる作用があり好ましい。
【0027】
本願発明の気泡シールド工法用起泡材は、消泡し難く安定性に優れた気泡が望まれる、他の土木工事用または建築工事用の起泡材として用いることもできる。
他の土木工事または建築工事としては、気泡掘削工法、地中連続壁工法、機械撹拌工法、噴射撹拌工法、軽量盛土工法、気泡コンクリート、気泡モルタル、等などが挙げられる。
【実施例0028】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。なお、表1、2に示す配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も有効成分換算量を示す。
本実施例において使用した原料は、下記の<使用原料>に示す通りである。
【0029】
<使用原料>
[(A)成分]
・A-1:ラウリル硫酸ナトリウム(商品名「Texapon OC-P」、BASFジャパン株式会社製)。
・A-2:ラウリル硫酸トリエタノールアミン(商品名「タイポールNLT-42」、泰光油脂化学工業株式会社製)。
・A-3:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム EO=1モル(商品名「シノリンSPE-1150」、新日本理化株式会社製)。
・A-4:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム EO=2モル(商品名「シノリンSPE-1250」、新日本理化株式会社製)。
・A-5:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム EO=3モル(商品名「シノリンSPE-1350」、新日本理化株式会社製)。
・A-6:2級アルコールアルコキシレート硫酸エステルナトリウム EO=3モル(商品名「タイポールSFES-326」、泰光油脂化学工業株式会社製)。
・A-7:2級アルコールアルコキシレート硫酸エステルナトリウム EO=7モル(商品名「タイポールSFES-733」、泰光油脂化学工業株式会社製」。
・A-8:2級アルコールアルコキシレート硫酸エステルナトリウム EO=12モル(商品名「タイポールSFES-1233」、泰光油脂化学工業株式会社製)。
・A-9:AOS、テトラデセンスルホン酸ナトリウム(商品名「リポランLB-440」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)。
・A-10:MES、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム(商品名「WILFAMES C 16 FR」、WILMAR製)。
・A-11:IOS、特開2001-247534号公報の実施例7に記載された方法により合成されたインナーオレフィンスルホネート。
【0030】
[(B)成分]
・B-1:ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(商品名「エナジコールC-30B」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)。
・B-2:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(商品名「エナジコールL-30B」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)。
・B-3:ヤシアルキルジメチルアミンオキシド(商品名「カデナックスDMC-W、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)。
・B-4:テトラジメチルアミンオキシド(商品名「カデナックスDM 14D-N、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)。
【0031】
[(C)成分]
・C-1:ミリスチルアルコール(商品名「コノール1495」、新日本理化株式会社製)。
・C-2:ラウリルアルコール(商品名「コノール20P」、新日本理化株式会社製)。
・C-3:デシルアルコール(商品名「コノール1098」、新日本理化株式会社製)。
・C-4:オクチルアルコール(商品名「コノール10WS」、新日本理化株式会社製)。
【0032】
[(D)有機溶剤]
・D-1:ジプロピレングリコール
・D-2:エチレングリコールモノブチルエーテル(商品名「ブチルグリコール」、日本乳化剤株式会社製)
・D-3:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名「ブチルジグリコール」、日本乳化剤株式会社製)
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
<気泡の作成>
表1、2に示した起泡材液を水で希釈して3%希釈液を調整した。得られた希釈液をコンプレッサーにて圧縮した空気と共に同じ圧力で、セラミックボールが充填された筒内で二流体混合することで発泡させ、発泡倍率10倍の気泡を得た。なお、発泡倍率は得られた気泡の質量Agと、体積Bmlを測定し、式1で算出した。

発泡倍率(倍)=(気泡の体積Bml)/(気泡の質量Ag)・・・式1
【0036】
<評価方法>
得られた気泡を容積1000mlのメスシリンダーに充填し、室温下で静置した。時間経過とともに消泡の進行によってメスシリンダー底部に溜まっていく廃液量Cmlを計測し、式2で消泡率を計算した。

消泡率(%)=(排液量Cml)/(1000/10)×100・・・式2

気泡作成30分後の消泡率が80%未満である場合は〇、80%以上である場合は×と評価した。
【0037】
<結果>
表1、2から明らかなように、実施例1~21はいずれも安定性の高い気泡であり、評価は〇となった。一方、比較例1、2は消泡しやすく安定性の低い気泡であり、評価は×となった。すなわち、これらの実験結果から、本願発明の気泡シールド工法用起泡材は安定性に優れた気泡が得られることが明かとなった。
【符号の説明】
【0038】
1…シールドマシン,2…スキンプレート,3…隔壁,4…カッター,5…カッターモーター,6…気泡注入管,7…スクリューコンベア,8…土圧センサ,9…チャンバー,10…支持アーム



図1