(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072920
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】血液浄化装置用情報確認システム及び血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/14 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
A61M1/14 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183788
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 晴年
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077HH10
4C077HH21
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】血液浄化装置の確認作業時のミス防止、及びスタッフの負担軽減が可能であり、簡単な構成で実現可能な血液浄化装置用情報確認システム及び血液浄化装置を提供する。
【解決手段】血液浄化装置2における治療条件の設定情報41を確認する血液浄化装置用情報確認システム1であって、血液浄化装置2に搭載され、血液浄化装置2の表示器21に設定情報41をコード化したグラフィカルコード6を表示するコード設定部23と、グラフィカルコード6を読み取る読取機32aと、読取機32aによる読取を制御する読取制御部32bと、を有する携帯可能な端末装置3と、を備え、端末装置3は、予め設定された治療条件の指示情報40を記憶する記憶部36と、読取機32aで読み取ったグラフィカルコード6をデコードして設定情報41を取得する情報取得部33と、情報取得部33が取得した設定情報41と指示情報40とが一致するか否かを照合する照合部34と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化装置における治療条件の設定情報を確認する血液浄化装置用情報確認システムであって、
前記血液浄化装置に搭載され、前記血液浄化装置の表示器に前記設定情報をコード化したグラフィカルコードを表示するコード設定部と、
前記グラフィカルコードを読み取る読取機と、前記読取機による読取を制御する読取制御部と、を有する携帯可能な端末装置と、を備え、
前記端末装置は、
予め設定された治療条件の指示情報を記憶する記憶部と、
前記読取機で読み取った前記グラフィカルコードをデコードして前記設定情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記設定情報と前記指示情報とが一致するか否かを照合する照合部と、を有する、
血液浄化装置用情報確認システム。
【請求項2】
前記コード設定部は、前記設定情報のパラメータ毎に前記グラフィカルコードを生成し、前記表示器に表示する、
請求項1に記載の血液浄化装置用情報確認システム。
【請求項3】
前記コード設定部は、前記設定情報の複数のパラメータの情報を一括して含む前記グラフィカルコードを生成し、前記表示器に表示する、
請求項1に記載の血液浄化装置用情報確認システム。
【請求項4】
前記端末装置は、端末側表示器と、前記血液浄化装置の設定時に前記指示情報を前記端末側表示器に表示する指示情報表示部と、を有する、
請求項1に記載の血液浄化装置用情報確認システム。
【請求項5】
血液浄化装置における血液浄化治療の経過情報を確認する血液浄化装置用情報確認システムであって、
前記血液浄化装置に搭載され、前記血液浄化装置の表示器に前記経過情報をコード化したグラフィカルコードを表示するコード設定部と、
前記グラフィカルコードを読み取る読取機と、前記読取機による読取を制御する読取制御部と、を有する携帯可能な端末装置と、を備え、
前記端末装置は、
前記読取機で読み取った前記グラフィカルコードをデコードして前記経過情報を取得し、前記端末装置の記憶部に記憶する情報取得部と、を有する、
血液浄化装置用情報確認システム。
【請求項6】
前記端末装置は、端末側表示器と、前記情報取得部で取得した前記経過情報の各パラメータが異常値であるかを判定し、判定結果を前記端末側表示器に表示する経過情報以上判定部と、を有する、
請求項5に記載の血液浄化装置用情報確認システム。
【請求項7】
前記コード設定部は、前記経過情報のパラメータ毎に前記グラフィカルコードを生成し、前記表示器に表示する、
請求項5に記載の血液浄化装置用情報確認システム。
【請求項8】
前記コード設定部は、前記経過情報の複数のパラメータの情報を一括して含む前記グラフィカルコードを生成し、前記表示器に表示する、
請求項5に記載の血液浄化装置用情報確認システム。
【請求項9】
設定された治療条件に応じて血液浄化治療を行う血液浄化装置であって、
表示器と、
前記表示器に、前記治療条件の設定情報をコード化したグラフィカルコードを表示するコード設定部と、を備えた、
血液浄化装置。
【請求項10】
血液浄化治療の経過情報を提示可能に構成された血液浄化装置であって、
表示器と、
前記表示器に、前記経過情報をコード化したグラフィカルコードを表示するコード設定部と、を備えた、
血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置用情報確認システム及び血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透析施設等での透析治療等の血液浄化治療においては、施設のスタッフが血液浄化装置の設定を行った後に、正しく設定がなされたかを確認する確認作業を行う。また、血液浄化治療中においては、施設のスタッフが血液浄化装置を目視して経過情報を確認し、カルテに記録することが行われている。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、血液浄化装置の設定の確認作業や経過情報の記録作業は、施設のスタッフが目視や手書きで行うため、見間違いや記載ミスが発生してしまうおそれがある。例えば、確認ミス防止のために2名のスタッフでダブルチェックを行うことが考えられるが、スタッフは多忙であり負荷が大きくなってしまい、またミスを完全に防止することは困難である。また、管理装置等により血液浄化装置の監視を行うことも考えられるが、システムの規模が大きくなり大きな費用がかかってしまう。また、透析施設や病院においては電波による通信は周辺機器に障害を発生させるおそれがあるため、有線通信にてシステムを構成しなければならず、システムの導入・装置移動毎の配線敷設に手間がかかる。
【0006】
そこで、本発明は、血液浄化装置の確認作業時のミス防止、及びスタッフの負担軽減が可能であり、簡単な構成で実現可能な血液浄化装置用情報確認システム及び血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態に係る血液浄化装置用情報確認システムは、血液浄化装置における治療条件の設定情報を確認する血液浄化装置用情報確認システムであって、前記血液浄化装置に搭載され、前記血液浄化装置の表示器に前記設定情報をコード化したグラフィカルコードを表示するコード設定部と、前記グラフィカルコードを読み取る読取機と、前記読取機による読取を制御する読取制御部と、を有する携帯可能な端末装置と、を備え、前記端末装置は、予め設定された治療条件の指示情報を記憶する記憶部と、前記読取機で読み取った前記グラフィカルコードをデコードして前記設定情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記設定情報と前記指示情報とが一致するか否かを照合する照合部と、を有する。
【0008】
また、本発明の一実施の形態に係る血液浄化装置用情報確認システムは、血液浄化装置における血液浄化治療の経過情報を確認する血液浄化装置用情報確認システムであって、前記血液浄化装置に搭載され、前記血液浄化装置の表示器に前記経過情報をコード化したグラフィカルコードを表示するコード設定部と、前記グラフィカルコードを読み取る読取機と、前記読取機による読取を制御する読取制御部と、を有する携帯可能な端末装置と、を備え、前記端末装置は、前記読取機で読み取った前記グラフィカルコードをデコードして前記経過情報を取得し、前記端末装置の記憶部に記憶する情報取得部と、を有する。
【0009】
本発明の一実施の形態に係る血液浄化装置は、設定された治療条件に応じて血液浄化治療を行う血液浄化装置であって、表示器と、前記表示器に、前記治療条件の設定情報をコード化したグラフィカルコードを表示するコード設定部と、を備えている。
【0010】
また、本発明の一実施の形態に係る血液浄化装置は、血液浄化治療の経過情報を提示可能に構成された血液浄化装置であって、表示器と、前記表示器に、前記経過情報をコード化したグラフィカルコードを表示するコード設定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、血液浄化装置の確認作業時のミス防止、及びスタッフの負担軽減が可能であり、簡単な構成で実現可能な血液浄化装置用情報確認システム及び血液浄化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る血液浄化装置用情報確認システムの概略構成図である。
【
図3】(a)は、治療条件の設定を行う設定画面の一例を示す図、(b)は指示情報表示画面の一例を示す図、(c)は設定確認画面の一例を示す図である。
【
図4】(a)は運転画面の一例を示す図、(b)は経過情報取得画面の一例を示す図である。
【
図5】(a)は、履歴表示画面の一例を示す図、(b)はパラメータの履歴の情報を一括して含むグラフィカルコードの生成例を示す図である。
【
図6】治療条件の設定作業の手順を示すフロー図である。
【
図7】経過情報確認作業の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る血液浄化装置用情報確認システム1の概略構成図である。
図1に示すように、血液浄化装置用情報確認システム1は、血液浄化装置2における治療条件の設定情報41や経過情報42を確認するシステムであって、血液浄化装置2に搭載されたコード設定部23と、コード設定部23が表示したグラフィカルコード(グラフィックコードとも呼ばれる)6を読み取る読取機32aと、読取機32aによる読取を制御する読取制御部32bと、を有する携帯可能な端末装置3と、を備えている。すなわち、血液浄化装置用情報確認システム1は、血液浄化装置2に搭載された機能の一部と、携帯可能な端末装置3と、で構成されている。
【0015】
(血液浄化装置2)
血液浄化装置2は、設定された治療条件に応じて血液浄化治療を行う装置であって、表示器21と、血液浄化治療制御部22と、コード設定部23と、記憶部24と、を備えている。
【0016】
表示器21は、液晶ディスプレイ等のディスプレイである。ここでは、表示器21をタッチパネルディスプレイで構成しており、治療条件の設定等のための入力ができるように構成されている。ただし、これに限らず、例えばキーボードやマウス、トラックパッド等の入力装置が別途備えられていてもよい。また、
図2に示すように、表示器21は、血液浄化装置2から取り外し可能に構成されていてもよい。
図2では、表示器21のみが取り外し可能となっているが、これに限らず、表示器21を含む血液浄化装置2の筐体の一部が取り外し可能となっていてもよく、血液浄化装置2が分割可能な複数のユニットで構成されていてもよい。
【0017】
血液浄化治療制御部22は、設定された治療条件に応じて血液浄化治療を行うように血液浄化装置2を制御する。血液浄化治療を行うための具体的な装置構成や配管構成、血液浄化治療の具体的な制御内容等については、特に限定されるものではなく公知の構成を用いることができるため、ここでは説明を省略する。以下、血液浄化装置2を管理、運営する施設のスタッフや看護師、医師等をまとめて「スタッフ等」と呼称する。
【0018】
血液浄化治療制御部22は、血液浄化治療の開始前に、スタッフ等が治療条件を設定する(すなわち、設定情報41を入力する)ための設定画面51を表示器21に表示する(
図3(a)参照)。また、血液浄化治療制御部22は、血液浄化治療中に、血液浄化治療の運転画面52を表示器21に表示し、当該運転画面52上に経過情報42を表示することで、血液浄化治療の経過情報42をスタッフ等に提示可能に構成されている(
図4(a)参照)。さらに、血液浄化治療制御部22は、血液浄化治療中、または血液浄化治療後に、血液浄化治療に係る各パラメータの履歴(すなわち、経過情報42の履歴)を履歴表示画面53として表示器21に表示できるように構成されている(
図5(a)参照)。
【0019】
コード設定部23は、表示器21に、治療条件の設定情報41や、血液浄化治療の経過情報42をコード化したグラフィカルコード6を表示する。グラフィカルコード6としては、例えば、バーコードや、QRコード(登録商標)等の二次元コードを用いることができる。コード設定部23は、設定情報41や経過情報42のパラメータ毎にグラフィカルコード6を生成し、表示器21に表示する。各画面でのグラフィカルコード6の表示位置等の詳細については後述する。
【0020】
(端末装置3)
端末装置3は、タブレットやスマートフォン等の携帯可能な装置である。スタッフ等は、端末装置3を携帯しつつ、血液浄化装置2の設定や経過情報42の確認等の作業を行うことになる。
【0021】
端末装置3は、端末側表示器31と、読取機32aと、読取機32aによる読取を制御する読取制御部32bと、情報取得部33と、照合部34と、指示情報表示部35と、記憶部36と、を有しており、演算素子、メモリ、記憶装置、インターフェイス、ソフトウェア等を適宜組み合わせて実現されている。
【0022】
端末側表示器31は、例えば液晶ディスプレイである。本実施の形態では、端末側表示器31をタッチパネルで構成しており、端末側表示器31が入力装置を兼ねている。読取機32aは、グラフィカルコード6を読み取るものであり、例えば、カメラ等の撮像装置から構成される。なお、これに限らず、例えば、コードリーダを用いて読取機32aを構成してもよい。読取制御部32bは、例えば、読取機32aを制御するドライバ、アプリケーション等により構成され、読取機32aによるグラフィカルコード6の読み取り制御を行うものである。
【0023】
情報取得部33は、読取機32aであるカメラで取得した画像からグラフィカルコード6を抽出すると共に、抽出したグラフィカルコード6をデコードして設定情報41や経過情報42を取得し、記憶部36に記憶する。情報取得部33は、公知のエラー検出・訂正機能を有するとよい。照合部34は、情報取得部33が取得した設定情報41と、予め設定された指示情報40とが一致するか否かを照合する。照合部34は、照合の結果、設定情報41と指示情報40とが一致しなかった場合、入力間違いをスタッフ等に報知するためのアラート表示72bを端末側表示器31に表示する(
図3(c)参照)。
【0024】
指示情報表示部35は、血液浄化装置2の設定時に指示情報40を端末側表示器31に表示する。スタッフ等は、表示された指示情報40を参照しつつ、血液浄化装置2の治療条件の設定、入力を行うことになる。記憶部36は、メモリや記憶装置の所定の記憶領域を用いて実現されており、指示情報40、設定情報41、及び経過情報42を記憶する。ここで、指示情報40とは、医者等により指示された血液浄化治療における治療条件の情報である。指示情報40は、端末装置3により入力されてもよいし、パソコン等の他の装置から通信等により入力されてもよい。設定情報41は、血液浄化装置2で設定された治療条件の設定の情報であり、情報取得部33により取得された情報である。そして、経過情報42は、血液浄化治療の経過を示す情報であり、情報取得部33により取得された情報である。各情報の具体的なパラメータについては後述する。
【0025】
(設定画面51、指示情報表示画面71、及び設定確認画面72の一例)
図3(a)は、治療条件の設定を行う設定画面51の一例を示す図、
図3(b)は指示情報表示画面71の一例を示す図、
図3(c)は設定確認画面72の一例を示す図である。
図3(a)に示すように、設定画面51は、スタッフ等が治療条件の各パラメータを入力するための画面である。設定画面51への入力に際して、スタッフ等は、端末装置3の端末側表示器31に、
図3(b)に示すような指示情報表示画面71を表示する。スタッフ等は、この指示情報表示画面71を参照しつつ、設定画面51にて治療条件の各パラメータの入力を行う。設定画面51で入力するパラメータ(すなわち設定情報41のパラメータ)としては、患者を識別するための患者ID(患者名)、血液浄化装置2を識別するための装置ID、透析時間、除水量、除水速度、透析液濃度、透析液温度、IP速度(抗凝固剤の注入速度)、血液量、治療モード(図示例では、透析療法(HD)と体外式限外濾過療法(EUCM)のいずれかを選択可能となっている)等が挙げられる。なお、これらパラメータは一例であり、適宜変更可能である。また、例えば患者IDについては、予め設定された患者リストから選択できるように構成されていてもよい。また、一括表示するパラメータについては、血液浄化装置2で設定可能に構成されていてもよい。
【0026】
コード設定部23は、入力された設定情報41のパラメータ毎にグラフィカルコード6を生成し、生成したグラフィカルコード6を設定画面51の対応するパラメータ名の近傍(図示例では右横)にそれぞれ表示する。各グラフィカルコード6には、患者ID(または装置ID)と、パラメータの識別情報と、パラメータの値の情報を含む。例えば、透析時間の横に表示されるグラフィカルコード6は、患者ID(または装置ID)と、「透析時間」と識別するための識別情報と、3時間という値の情報とを含む。
【0027】
スタッフ等は、設定画面51の入力が完了したら、指示情報表示画面71の設定確認ボタン71aを押す(タップする)。すると、
図3(c)の設定確認画面72が端末側表示器31に表示される。設定確認画面72の下部のコード取得ボタン72aを押すことで、読取機32aであるカメラが起動してグラフィカルコード6の読み込みが可能になる。スタッフ等は、端末装置3の読取機32aで各パラメータのグラフィカルコード6を順次読み取ることで、設定情報41を取得する。取得した設定情報41は、設定確認画面72に表示されると共に記憶部36に記憶される。なお、
図3(b)の指示情報表示画面71を省略し、
図3(c)の設定確認画面72に指示情報表示画面71としての役割を兼ねさせてもよい。
【0028】
また、
図3(a)に示されるように、本実施の形態では、設定画面51の下部に一括読取コード設定ボタン51aを表示しており、当該一括読取コード設定ボタン51aを押すことで、設定情報41の全ての情報を一括して含むグラフィカルコード6を生成し、表示器21に表示するようコード設定部23を構成した。これにより、スタッフ等の読取にかかる手間をより省くことが可能になる。なお、この際、表示するグラフィカルコード6は、全てのパラメータの情報を含んでいる必要はなく、一部のパラメータの情報を含んでいなくてもよい。つまり、コード設定部23は、設定情報41の複数のパラメータの情報を含むグラフィカルコード6を生成可能に構成されていればよい。
【0029】
端末装置3の照合部34は、取得した設定情報41と指示情報40とが一致するか否かを判定し、一致しない場合にはアラートを発する。設定情報41と指示情報40との照合は、設定情報41のパラメータ読み込み毎に行われてもよいし、全ての設定情報41を読み取った後に一括して照合を行ってもよい。アラートの手段は特に限定するものではないが、例えば、端末側表示器31上にアラート表示72bを表示する、警告音を発する等の手段が挙げられる。図示例では、アラート表示72bとして、誤った設定情報41のパラメータの表示枠内を警告用の色(例えば赤色)で表示している。スタッフ等は、アラートが出た際には、血液浄化装置2の設定を修正した後に、再度グラフィカルコード6の読み込み作業を行うことになる。
【0030】
(運転画面52及び経過情報取得画面73の一例)
図4(a)は運転画面52の一例を示す図、
図4(b)は経過情報取得画面73の一例を示す図である。血液浄化治療中には、血液浄化装置2の表示器21には、
図4(a)のような運転画面52が表示されている。運転画面52では、例えば、動脈圧、静脈圧、返血圧、IP速度、血液量等の経過情報42のパラメータが表示されている。なお、これに限らず、経過情報42のパラメータとしては、例えば、除水量積算、除水速度、除水量設定(除水量の設定値)、血液量積算、IP注入積算、TMP(限外ろ過圧)、D血液入口圧(血液浄化器の入口圧)、D差圧(血液浄化器の差圧)、透析液濃度、透析液温度、透析液流量、Na濃度(透析液のNa濃度)、UFR(限外ろ過率)、ΔBV(ブラッドボリュームの変化率)、最高血圧、最低血圧、平均血圧、脈拍数、血圧測定時刻、補液量積算、補液速度、補液量設定、B液濃度(透析液のバイカーボ濃度)、Ht(ヘマトクリット)、ΔsO
2(酸素飽和度の変化率)などが挙げられ、どのパラメータを用いるかは適宜選択可能である。
【0031】
コード設定部23は、経過情報42のパラメータ毎に、患者ID(または装置ID)とパラメータの識別情報とパラメータの値の情報とを含むグラフィカルコード6を生成し、生成したグラフィカルコード6を運転画面52の対応するパラメータ名の近傍(図示例では右横)にそれぞれ表示する。
【0032】
経過情報42を取得する際には、端末装置3の端末側表示器31には、
図4(b)に示す経過情報取得画面73が表示される。経過情報取得画面73の下部のコード取得ボタン73aを押すことで、読取機32aであるカメラが起動してグラフィカルコード6の読み込みが可能になる。スタッフ等は、端末装置3の読取機32aで各パラメータのグラフィカルコード6を順次読み取ることで、経過情報42を取得する。取得した経過情報42は、経過情報取得画面73に表示されると共に、取得時刻と共に記憶部36に記憶される。
【0033】
また、
図4(a)に示されるように、本実施の形態では、運転画面52の下部に一括読取コード設定ボタン52aを表示しており、当該一括読取コード設定ボタン52aを押すことで、経過情報42の全ての情報を一括して含むグラフィカルコード6を生成し、表示器21に表示するようコード設定部23を構成した。これにより、スタッフ等の読取にかかる手間をより省くことが可能になる。なお、この際、表示するグラフィカルコード6は、全てのパラメータの情報を含んでいる必要はなく、一部のパラメータの情報を含んでいなくてもよい。つまり、コード設定部23は、経過情報42の複数のパラメータの情報を含むグラフィカルコード6を生成可能に構成されていればよい。また、一括表示するパラメータについては、血液浄化装置2で設定可能に構成されていてもよい。
【0034】
(履歴表示画面53)
図5(a)は、履歴表示画面53の一例を示す図である。
図5(a)に示すように、履歴表示画面53は、血液浄化治療中、または血液浄化治療後に、血液浄化治療に係る各パラメータの履歴情報(すなわち、経過情報42の履歴)を表示する画面である。履歴表示画面53の各パラメータ名横にはコードボタン53aがあり、このコードボタン53aを押すことで、
図5(b)に示すように、当該パラメータの履歴の情報を一括して含むグラフィカルコード6が生成される。スタッフ等は、このグラフィカルコード6を読み取ることで、経過情報42の履歴を含めて一括して取得することが可能である。
【0035】
図3~5を用いて各画面を具体的に説明したが、これら画面はあくまで一例であり、表示レイアウト、表示パラメータ、グラフィカルコード6の表示位置や表示形式等は、適宜変更可能である。
【0036】
(設定作業の手順)
図6は、治療条件の設定作業の手順を示すフロー図である。治療条件の設定を行う際には、まず、ステップS101にて、端末装置3の指示情報表示部35が、端末側表示器31に指示情報表示画面71を表示させる(
図3(b)参照)。なお、指示情報表示画面71に表示する指示情報40は、予め端末装置3に入力しておくとよい。その後、ステップS102にて、血液浄化装置2の表示器21に設定画面51を表示させ(
図3(a)参照)、ステップS103にて、スタッフ等が、指示情報表示画面71を参照しつつ、血液浄化装置2に設定情報41を入力する。設定情報41が入力されると、コード設定部23によりグラフィカルコード6が生成され表示器21に表示される。その後、ステップS104にて、スタッフ等が、端末側表示器31に設定確認画面72を表示し(
図3(c)参照)、端末装置3の読取機32aを用いてグラフィカルコード6を読み取り、これに応じて情報取得部33が設定情報41を取得し、設定確認画面72に表示すると共に記憶部36に記憶する。その後、ステップS105にて、照合部34が、取得した設定情報41と指示情報40とが一致しているか照合を行い、ステップS106にて、入力間違いがあったかを判定する。ステップS106でYES(Y)と判定された場合、照合部34は、端末装置3においてアラートを発し、アラート表示72bを端末側表示器31に表示する、あるいは警告音を鳴らす等して、入力間違いがあったことをスタッフ等に通知する。その後、ステップS108にて、スタッフ等が、設定情報41の修正を行い、ステップS104に戻る。ステップS106でNO(N)と判定された場合、ステップS109にて、スタッフ等が、現在設定している患者が、設定の必要な最後の患者かを判断する。ステップS109の判断がYES(Y)である場合には作業を終了する。ステップS109の判断がNO(N)である場合には、次の患者の設定に移り、ステップS101に戻る。なお、ステップS109の判断は、端末装置3により行われてもよい。この場合、例えば、照合していない指示情報40が存在している場合に、設定の必要な最後の患者でないと判断するよう構成することができる。
【0037】
(経過情報確認作業の手順)
図7は、経過情報確認作業の手順を示すフロー図である。経過情報確認作業では、まず、ステップS201にて、スタッフ等が、血液浄化装置2の表示器21に運転画面52を表示する(
図4(a)参照)。なお、既に運転画面52が表示されている場合にはステップS1は省略する。その後、ステップS202にて、端末装置3の読取機32aを用いて、運転画面52に表示されているグラフィカルコード6を読み取り、これに応じて情報取得部33が経過情報42を取得し経過情報取得画面73に表示した後、ステップS203にて取得した経過情報42を記憶部36に記憶する。その後、ステップS204にて、スタッフ等が、現在経過情報42を確認している患者が、経過情報42の確認が必要な最後の患者かを判断する。ステップS204の判断がYES(Y)である場合には作業を終了する。ステップS204の判断がNO(N)である場合には、次の患者の設定に移り、ステップS201に戻る。なお、ステップS204の判断は、端末装置3により行われてもよい。
【0038】
図示していないが、経過情報42の履歴を取得する際には、血液浄化装置2の表示器21に、
図5(a)に示したような履歴表示画面53を表示させ、所望のパラメータのグラフィカルコード6を表示させた後に、当該グラフィカルコード6を端末装置3にて読み取ることになる。
【0039】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る血液浄化装置用情報確認システム1は、血液浄化装置2に搭載され、血液浄化装置2の表示器21に、設定情報41をコード化したグラフィカルコード6を表示するコード設定部23と、グラフィカルコード6を読み取る読取機32aと、読取機32aによる読取を制御する読取制御部32bと、を有する携帯可能な端末装置3と、を備え、端末装置3は、予め設定された治療条件の指示情報40を記憶する記憶部36と、読取機32aで読み取ったグラフィカルコード6をデコードして設定情報41を取得する情報取得部33と、情報取得部33が取得した設定情報41と指示情報40とが一致するか否かを照合する照合部34と、を有している。
【0040】
これにより、2名のスタッフ等によるダブルチェック等を行わずとも、見間違いや転記ミス等の確認作業時のミスを防止することが可能になり、スタッフ等の負荷を軽減することが可能になる。また、本実施の形態によれば、グラフィカルコード6を用いることにより、有線の通信あるいは無線の通信(電波を用いた通信)を経ずに情報伝達が可能である。よって、非常に簡単なシステム構成で実現可能であり、電波により周辺機器に障害を発生させるおそれもなく、有線通信用の配線が不要となるために血液浄化装置2の移動も容易になる。さらには、本実施の形態に係る血液浄化装置用情報確認システム1を導入する際には、ファームウェアのアップデート等により血液浄化装置2にコード設定部23を追加し、タブレット等の端末装置3を準備するだけでよく、システムの導入が非常に簡単であり、既存の血液浄化装置2にも容易に適用可能である。
【0041】
(変形例等)
上記実施の形態では言及しなかったが、端末装置3は、記憶している経過情報42をグラフ形式等所定の形式で表示する機能を有していてもよい。また、端末装置3は、設定情報41や経過情報42の取得を行ったスタッフ等の情報を入力、記憶できるように構成されていてもよい。さらに、端末装置3は、管理用のパーソナルコンピュータ等に、設定情報41や経過情報42を出力する機能を有しているとよい。
【0042】
また、上記実施の形態では言及しなかったが、端末装置3は、情報取得部33で取得した経過情報42の各パラメータが異常値であるかを判定し、判定結果を端末側表示器31に表示する経過情報以上判定部をさらに有していてもよい。この場合、異常の判定に係る閾値等の情報は、端末装置3に予め入力され記憶されていてもよいし、血液浄化装置2からグラフィカルコード6を介して取得するよう構成してもよい。
【0043】
さらに、上記実施の形態では、血液浄化装置用情報確認システム1により設定情報41と経過情報42の両方を確認する場合について説明したが、血液浄化装置用情報確認システム1は、設定情報41と経過情報42のいずれか一方のみを確認するように構成されていてもよい。
【0044】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0045】
[1]血液浄化装置(2)における治療条件の設定情報(41)を確認する血液浄化装置用情報確認システム(1)であって、前記血液浄化装置(2)に搭載され、前記血液浄化装置(2)の表示器(21)に前記設定情報(41)をコード化したグラフィカルコード(6)を表示するコード設定部(23)と、前記グラフィカルコード(6)を読み取る読取機(32a)と、前記読取機(32a)による読取を制御する読取制御部(32b)と、を有する携帯可能な端末装置(3)と、を備え、前記端末装置(3)は、予め設定された治療条件の指示情報(40)を記憶する記憶部(36)と、前記読取機(32a)で読み取った前記グラフィカルコード(6)をデコードして前記設定情報(41)を取得する情報取得部(33)と、前記情報取得部(33)が取得した前記設定情報(41)と前記指示情報(40)とが一致するか否かを照合する照合部(34)と、を有する、血液浄化装置用情報確認システム(1)。
【0046】
[2]前記コード設定部(23)は、前記設定情報(41)のパラメータ毎に前記グラフィカルコード(6)を生成し、前記表示器(21)に表示する、[1]に記載の血液浄化装置用情報確認システム(1)。
【0047】
[3]前記コード設定部(23)は、前記設定情報(41)の複数のパラメータの情報を一括して含む前記グラフィカルコード(6)を生成し、前記表示器(21)に表示する、[1]に記載の血液浄化装置用情報確認システム(1)。
【0048】
[4]前記端末装置(3)は、端末側表示器(31)と、前記血液浄化装置(2)の設定時に前記指示情報(40)を前記端末側表示器(31)に表示する指示情報表示部(35)と、を有する、[1]に記載の血液浄化装置用情報確認システム(1)。
【0049】
[5]血液浄化装置(2)における血液浄化治療の経過情報(42)を確認する血液浄化装置用情報確認システム(1)であって、前記血液浄化装置(2)に搭載され、前記血液浄化装置(2)の表示器(21)に前記経過情報(42)をコード化したグラフィカルコード(6)を表示するコード設定部(23)と、前記グラフィカルコード(6)を読み取る読取機(32a)と、前記読取機(32a)による読取を制御する読取制御部(32b)と、を有する携帯可能な端末装置(3)と、を備え、前記端末装置(3)は、前記読取機(32a)で読み取った前記グラフィカルコード(6)をデコードして前記経過情報(42)を取得し、前記端末装置(3)の記憶部(36)に記憶する情報取得部(33)と、を有する、血液浄化装置用情報確認システム(1)。
【0050】
[6]前記コード設定部(23)は、前記経過情報(42)のパラメータ毎に前記グラフィカルコード(6)を生成し、前記表示器(21)に表示する、[5]に記載の血液浄化装置用情報確認システム(1)。
【0051】
[7]前記コード設定部(23)は、前記経過情報(42)の複数のパラメータの情報を一括して含む前記グラフィカルコード(6)を生成し、前記表示器(21)に表示する、[5]に記載の血液浄化装置用情報確認システム(1)。
【0052】
[8]前記端末装置(3)は、端末側表示器(31)と、前記情報取得部(33)で取得した前記経過情報(42)の各パラメータが異常値であるかを判定し、判定結果を端末側表示器(31)に表示する経過情報以上判定部と、を有する、[5]に記載の血液浄化装置用情報確認システム(1)。
【0053】
[9]設定された治療条件に応じて血液浄化治療を行う血液浄化装置(2)であって、表示器(21)と、前記表示器(21)に、前記治療条件の設定情報(41)をコード化したグラフィカルコード(6)を表示するコード設定部(23)と、を備えた、血液浄化装置(2)。
【0054】
[10]血液浄化治療の経過情報(42)を提示可能に構成された血液浄化装置(2)であって、表示器(21)と、前記表示器(21)に、前記経過情報(42)をコード化したグラフィカルコード(6)を表示するコード設定部(23)と、を備えた、血液浄化装置。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…血液浄化装置用情報確認システム
2…血液浄化装置
21…表示器
22…血液浄化治療制御部
23…コード設定部
24…記憶部
3…端末装置
31…端末側表示器
32a…読取機
32b…読取制御部
33…情報取得部
34…照合部
35…指示情報表示部
36…記憶部
6…グラフィカルコード
40…指示情報
41…設定情報
42…経過情報