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特開2024-72948GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法およびプログラム
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  • 特開-GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法およびプログラム 図1
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  • 特開-GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法およびプログラム 図3B
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  • 特開-GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法およびプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072948
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20230101AFI20240522BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240522BHJP
【FI】
G06Q40/00
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183855
(22)【出願日】2022-11-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】516140214
【氏名又は名称】booost technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218958
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青井 宏憲
【テーマコード(参考)】
5L040
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB00
5L049CC11
5L050CC11
5L055BB00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】GHG排出量導出装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】GHG排出量導出装置は、資産の第1分類と資産の第1分類をさらに細分化した第2分類と資産の活動量とを示す資産情報と、第2分類毎に割り当てられる資産の固有のGHG排出係数である一次排出係数及び第1分類毎に割り当てられる第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数とを示す排出係数情報と、に基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が排出係数情報に示されているか否かを判定する判定部と、対象資産の一次排出係数が排出係数情報に示されている場合、対象資産の一次排出係数と対象資産の活動量とに基づいて、対象資産のGHG排出量を導出し、対象資産の一次排出係数が排出係数情報に示されていない場合、対象資産の二次排出係数と対象資産の活動量とに基づいて、対象資産のGHG排出量を導出する導出部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数とを示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する判定部と、
前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する導出部と
を備えるGHG排出量導出装置。
【請求項2】
前記資産情報は、前記資産のGHG排出量をさらに示し、
前記導出部は、前記対象資産のGHG排出量が前記資産情報に示されている場合、前記資産情報に示される前記対象資産の前記GHG排出量を、前記対象資産の固有のGHG排出量として導出する、請求項1に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項3】
前記資産情報は、会計情報である、請求項1または2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項4】
前記会計情報は、固定資産台帳を示す情報である、請求項3に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項5】
前記第1分類は、資産の種類であり、前記第2分類は、資産名称または資産を一意に特定する識別情報である、請求項4に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項6】
判定部が、資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する段階と、
導出部が、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する段階と
を備えるGHG排出量導出方法。
【請求項7】
資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する判定部と、
前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する導出部と
してコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「資産ごとに、資産に対応する価値に排出係数を乗じて、資産ごとの環境負荷物質の排出量を算出する」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特許7043691号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様に係るGHG排出量導出装置は、資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する判定部と、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する導出部とを備えてよい。
【0004】
前記資産情報は、前記資産のGHG排出量をさらに示してよい。前記導出部は、前記対象資産のGHG排出量が前記資産情報に示されている場合、前記資産情報に示される前記対象資産の前記GHG排出量を、前記対象資産の固有のGHG排出量として導出してよい。
【0005】
前記資産情報は、会計情報であってよい。
【0006】
前記会計情報は、固定資産台帳を示す情報であってよい。
【0007】
前記第1分類は、資産の種類であってよく、前記第2分類は、資産名称または資産を一意に特定する識別情報であってよい。
【0008】
本発明の一態様に係るGHG排出量導出方法は、判定部が、資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する段階と、導出部が、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する段階とを備えてよい。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する判定部と、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する導出部としてコンピュータを機能させてよい。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】GHG排出量導出装置の機能ブロック図である。
図2】資産情報の一例のテーブルを示す図である。
図3A】第1分類と二次排出係数とを対応付けて格納したテーブルを示す図である。
図3B】第2分類と一次排出係数とを対応付けて格納したテーブルを示す図である。
図4】本実施形態によるGHG排出量を導出するフロー図である。
図5】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化してよいコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、本実施形態のGHG排出量導出装置100の機能ブロック図である。GHG排出量導出装置100は、通信部102と、記憶部104と、制御部106とを備える。制御部106は、取得部108と、判定部110と、導出部112とを含む。
【0014】
通信部102は、GHG排出量導出装置100内の各コンポーネント間の通信を管理する。加えて、通信部100は、インターネット等の情報通信網を介して外部のコンピュータ等と通信してよい。
【0015】
記憶部104は、本実施形態によるGHG排出量導出のためのプログラム、後述する資産情報のテーブル、第1分類と二次排出係数とを対応付けて格納したテーブルおよび第2分類と一次排出係数とを対応付けて格納したテーブル等を格納してよい。
【0016】
制御部106は、CPUまたはMPU等のマイクロプロセッサ、MCU等のマイクロコントローラ等により構成されてよい。
【0017】
近年、より精度の高いGHG排出係数を用いて製品・サービスのGHG排出量を導出するニーズが高まっている。しかしながら、先述の先行技術文献においては、資産に対応する価値、すなわち金額に排出係数を乗じて環境負荷物質を算出しており、算出されるGHG排出量の精度は高くない。よって、本実施形態では、より精度の高いGHG排出係数を用いてGHG排出量を導出するためのGHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法およびプログラムを提供する。
【0018】
取得部108は、会計情報、固定資産台帳情報等の資産情報を、通信部102を介して外部のコンピュータから取得する。外部のコンピュータは、会計ソフト等が実行されているサーバ等であってよい。あるいは、外部のコンピュータはクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、取得部108は、端末(不図示)のマウスやキーボード等の入力装置(不図示)および通信部102を介したユーザの入力に基づいて資産情報を取得してよいし、記憶部104または端末の記憶装置(不図示)に記憶されたCSVファイル等のデータを読み出すことによって資産情報を取得してもよい。取得部108は取得した資産情報を、記憶部104に格納してよい。ここで、取得部108は、資産の第1分類と資産の第1分類をさらに細分化した第2分類と資産の活動量とを示す資産情報と、第2分類ごとに割り当てられる資産の固有のGHG排出係数である一次排出係数および第1分類ごとに割り当てられる第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とを紐付けて記憶部104に格納してよい。資産情報および排出係数情報は、あらかじめ外部のコンピュータで紐付けられていてもよい。また、資産情報および排出係数情報は、取得部108が上述のとおり取得した資産情報と、取得部108がGHG排出量算定ソフト等のサーバ等、クラウドコンピューティングによる外部のコンピュータ、ユーザの入力、CSVファイル等のデータの読み出し等により取得した排出係数情報とを、当該資産情報の資産名称または資産を一意に特定する識別情報に基づいて紐付けてもよい。
【0019】
判定部110は、資産の第1分類と資産の第1分類をさらに細分化した第2分類と資産の活動量とを示す資産情報と、第2分類ごとに割り当てられる資産の固有のGHG排出係数である一次排出係数および第1分類ごとに割り当てられる第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が排出係数情報に示されているか否かを判定する。図2図3A図3Bを参照しつつ、説明する、図2は、資産情報の一例のテーブルを示す図である。図3Aは、第1分類と二次排出係数とを対応付けて格納したテーブルを示す図である。図3Bは、第2分類と一次排出係数とを対応付けて格納したテーブルを示す図である。資産情報テーブルは、「固定資産名」、「勘定科目」、「種類」、「購入価格」、「購入量」および「GHG排出量」という列項目を有する。資産情報テーブルは、行単位で各エントリが入力されている。列項目「固定資産名」を第2分類という。列項目「種類」を第1分類という。列項目「購入価格」および「購入量」を資産の活動量という。「固定資産名」は、エントリを一意に識別する情報である。「勘定科目」は「種類」より大きい分類である。例えば、資産情報テーブルの"パソコンA"および"パソコンB"は、共に「種類」が"パソコン"、「勘定科目」が"工具器具備品"である。資産情報テーブルの"コピー機A"は、「種類」が"コピー機"、「勘定科目」が"工具器具備品"である。資産情報テーブルの"車両A"は、「種類」が"車両"、「勘定科目」が"車両運搬具"である。
【0020】
資産情報テーブルの一番上の行の"パソコンA"のエントリについて、判定部110は、図3Bのテーブルを参照してパソコンAの一次排出係数"Xa"を特定する。これにより、判定部110は、第2分類「固定資産名」"パソコンA"に対応する一次排出係数"Xa"が図3Bのテーブルに示されていると判定する。
【0021】
導出部112は、対象資産の一次排出係数が排出係数情報に示されている場合、対象資産の一次排出係数と対象資産の活動量とに基づいて、対象資産のGHG排出量を導出し、対象資産の一次排出係数が排出係数情報に示されていない場合、対象資産の二次排出係数と対象資産の活動量とに基づいて、対象資産のGHG排出量を導出する。
【0022】
ここで、"パソコンA"には一次排出係数"Xa"が図3Bのテーブルに示されているので、導出部112は、購入量10に一次排出係数"Xa"を乗じて"パソコンA"のGHG排出量を導出する。ここで一次排出係数"Xa"は、パソコンAのメーカから入手することが望ましい。例えば、パソコンAのメーカは、パソコンAの生産に要したスコープ1~スコープ3の上流カテゴリにわたる総GHG排出量を算出した後、パソコンAの生産量で除して、パソコンAの1台当たりのGHG排出係数を算出してよいし、パソコンAの製品単位のライフサイクルアセスメントまたはカーボンフットプリントの手法に基づく固有のプロセスまたは活動からの直接測定から得られた、またはかかる直接測定に基づく計算から得られ定量化されたパソコンAの1台当たりのGHG排出係数でもよい。このようにして入手したGHG排出係数は実測値に基づいており、精度が高く一次排出係数という。これに対し、国または地域ごとの業界標準値、中央値、平均値等のGHG排出係数は二次排出係数という。二次排出係数は一次排出係数より精度が低い。そこで、本実施形態に係るGHG排出量導出装置100は、一次排出係数を二次排出係数より優先的に利用してそれぞれの対象資産のGHG排出量を導出する。
【0023】
次に、資産情報テーブルの一番下の行の"車両A"のエントリについて説明する。判定部110は、図3Bのテーブルを参照して"車両A"の一次排出係数が存在しないと判定する。次に、判定部110は、資産情報テーブルより、"車両A"の第1分類「種類」が"車両"であることを特定する。続けて、判定部110は、図3Aのテーブルを参照して、車両の二次排出係数が"Z"であることを特定する。よって、導出部112は、車両Aについては、購入量"1"に二次排出係数"Z"を乗じて車両AのGHG排出量を導出する。
【0024】
資産情報は、資産のGHG排出量をさらに示す。導出部112は、対象資産のGHG排出量が資産情報に示されている場合、資産情報に示される対象資産のGHG排出量を、対象資産の固有のGHG排出量として導出する。
【0025】
資産情報テーブルの上から二番目の行の"パソコンB"のエントリについて説明する。"パソコンB"の「GHG排出量」列には"XXb"が既に入力されている。よって、導出部112は、"XXb"を、"パソコンB"の固有のGHG排出量として導出する。既に資産情報テーブルに固有のGHG排出量が入力されているケースとしては、先述と同様、パソコンBのメーカがパソコンBの1台当たりのGHG排出係数を有しており、販売台数に乗じてGHG排出量として提供したことが考えられよう。資産情報テーブルにGHG排出量が入力済みの場合、GHG排出量導出装置100は、その一次排出係数を図3Bのテーブルに格納していてもよいし、格納していなくてもよい。
【0026】
ここで、資産情報は会計情報であってよい。特に、会計情報は、固定資産台帳を示す情報であってよい。固定資産台帳とは、個々の固定資産を購入した場合、取得日、取得価格、数量、償却方法、耐用年数、償却率等を記録したものである。固定資産台帳として各種の会計ソフトが適用されてよい。
【0027】
第1分類は、資産の種類であってよい。先述の例では、列項目「種類」を第1分類として説明したがこれは一例に過ぎない。「勘定科目」を第1分類としてもよい。第2分類は、資産名称または資産を一意に特定する識別情報であってよい。先述の例では、列項目「固定資産名」を第2分類として説明したがこれは一例に過ぎない。例えば、資産を一意に特定する「固定資産ID」を資産情報テーブルに追加して、「固定資産ID」を第2分類としてもよい。また資産情報テーブルに年月日を追加して、特定年度におけるGHG排出量または特定期間におけるGHG排出量を導出してもよい。また説明において、購入量に対し一次排出係数または二次排出係数を乗じたが、本実施形態はこの点において限定はされない。購入金額に対し対応する排出係数を乗じてよい。また例えば対象資産が設備、機器、施設であれば、それらにおけるエネルギー消費量に対し対応するエネルギー種別の排出係数を乗じてよい。あるいは設備、機器等の重量に対し排出係数を乗じてもよい。対象資産が不動産であれば、床面積に対し単位面積当たりの排出係数を乗じてよい。
【0028】
次に、本実施形態によるGHG排出量を導出するフローについて説明する。図4は、本実施形態によるGHG排出量を導出するフロー図である。
【0029】
S200において、取得部108は、固定資産台帳情報を取得する。固定資産台帳情報は、先述の資産情報テーブルであってよい。取得部108はまた図3Aおよび3Bに示した排出係数のテーブルも取得してよい。
【0030】
S202において、判定部110は、固定資産台帳から対象の固定資産を特定する。例えば、判定部110は、資産情報テーブル内の"パソコンA"、"パソコンB"、"コピー機A"および"車両A"のエントリを特定する。
【0031】
S204において、判定部110は、対象の固定資産のGHG排出量が固定資産台帳に含まれるか否かを判定する。ここで、判定部110は"パソコンB"については、GHG排出量が含まれていると判定する。判定部110は、"パソコンA"、"コピー機A"および"車両A"については、GHG排出量が含まれていないと判定する。
【0032】
S206において、導出部112は、資産情報テーブルに含まれるGHG排出量"XXb"を固定資産"パソコンB"のGHG排出量として導出する。
【0033】
S204において、判定部110は"パソコンA"、"コピー機A"および"車両A"については資産情報テーブルにGHG排出量が含まれていないと判定したため、S208に進む。S208において、判定部110は、対象の固定資産の一次排出係数があるか否かを判定する。判定部110は、図3Bのテーブルを参照して、"パソコンA"および"コピー機A"について一次排出係数が存在すると判定する。さらに判定部110は、図3Bのテーブルを参照して、"車両A"について一次排出係数が存在しないと判定する。
【0034】
"パソコンA"および"コピー機A"について、S212に進む。S212において、導出部112は、対象の固定資産の一次排出係数を用いて対象の固定資産のGHG排出量を導出する。導出部112は、"パソコンA"について、その購入量"10"に一次排出係数"Xa"を乗じてGHG排出量を導出する。同様に、導出部112は、"コピー機A"について、その購入量"1"に一次排出係数"Ya"を乗じてGHG排出量を導出する。
【0035】
S208において、判定部110は"車両A"については一次排出係数が存在しないと判定したため、S210に進む。S210において、判定部110はさらに、資産情報テーブルより"車両A"の第1分類「種類」が"車両"であることを特定する。判定部110は、図3Aのテーブルを参照して、車両の二次排出係数"Z"を特定する。よって導出部112は、"車両A"の購入量"1"に、車両の二次排出係数"Z"を乗じて"車両A"のGHG排出量として導出する。
【0036】
本実施形態によれば、一次排出係数が存在する場合は一次排出係数を優先的に使用して精度の高いGHG排出量を導出できる。また一次排出係数が存在しない場合は、簡易な二次排出係数を使用してGHG排出量を迅速に導出できる。また既にGHG排出量自体をメーカ等から入手した場合は、当該GHG排出量を対象資産の固有のGHG排出量として扱えばよく、導出の手間を省く。
【0037】
図5は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化してよいコンピュータ1200の一例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーションまたは当該装置の1または複数の「部」として機能させることができる。または、当該プログラムは、コンピュータ1200に当該オペレーションまたは当該1または複数の「部」を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつかまたは全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0038】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、及びRAM1214を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、入力/出力ユニットを含み、それらは入力/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータ1200はまた、ROM1230を含む。CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0039】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブが、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。プログラムが、CD-ROM、USBメモリまたはICカードのようなコンピュータ可読記録媒体またはネットワークを介して提供される。プログラムは、コンピュータ可読記録媒体の例でもあるRAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーションまたは処理を実現することによって構成されてよい。
【0040】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、またはUSBメモリのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0041】
また、CPU1212は、USBメモリ等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0042】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0043】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0044】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM(登録商標))、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0045】
コンピュータ可読命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードの何れかを含んでよい。ソースコードまたはオブジェクトコードは、従来の手続型プログラミング言語を含む。従来の手続型プログラミング言語は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語でよい。コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。プロセッサまたはプログラマブル回路は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0046】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0047】
100 GHG排出量導出装置
102 通信部
104 記憶部
106 制御部
108 取得部
110 判定部
112 導出部
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1220 入力/出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1230 ROM
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数とを示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する判定部と、
前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する導出部と
を備えるGHG排出量導出装置であって、
前記資産の活動量は、購入量、購入金額、エネルギー使用量、重量、または床面積であり、
前記資産情報は、前記資産のGHG排出量をさらに示し、
前記導出部は、前記対象資産のGHG排出量が前記資産情報に示されている場合、前記資産情報に示される前記対象資産の前記GHG排出量を、前記対象資産の固有のGHG排出量として導出する、前記装置
【請求項2】
前記資産情報は、会計情報である、請求項に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項3】
前記会計情報は、固定資産台帳を示す情報である、請求項に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項4】
前記第1分類は、資産の種類であり、前記第2分類は、資産名称または資産を一意に特定する識別情報である、請求項に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項5】
判定部が、資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する段階と、
導出部が、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する段階と
を備えるGHG排出量導出方法であって、
前記資産の活動量は、購入量、購入金額、エネルギー使用量、重量、または床面積であり、
前記資産情報は、前記資産のGHG排出量をさらに示し、
前記導出する段階は、前記対象資産のGHG排出量が前記資産情報に示されている場合、前記資産情報に示される前記対象資産の前記GHG排出量を、前記対象資産の固有のGHG排出量として導出する、前記方法
【請求項6】
資産の第1分類と前記資産の前記第1分類をさらに細分化した第2分類と前記資産の活動量とを示す資産情報と、前記第2分類ごとに割り当てられる前記資産の固有の温室効果ガス(GHG)排出係数である一次排出係数および前記第1分類ごとに割り当てられる前記第1分類に属する複数の資産に共通のGHG排出係数である二次排出係数を示す排出係数情報とに基づいて、対象資産の第2分類に対応する一次排出係数が前記排出係数情報に示されているか否かを判定する判定部と、
前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されている場合、前記対象資産の前記一次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出し、前記対象資産の前記一次排出係数が前記排出係数情報に示されていない場合、前記対象資産の前記二次排出係数と前記対象資産の活動量とに基づいて、前記対象資産のGHG排出量を導出する導出部と
してコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記資産の活動量は、購入量、購入金額、エネルギー使用量、重量、または床面積であり、
前記資産情報は、前記資産のGHG排出量をさらに示し、
前記導出部は、前記対象資産のGHG排出量が前記資産情報に示されている場合、前記資産情報に示される前記対象資産の前記GHG排出量を、前記対象資産の固有のGHG排出量として導出する、前記プログラム