(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072954
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/20 20060101AFI20240522BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G01N27/20 Z
B65B57/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183864
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522450266
【氏名又は名称】ミヤ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】榎戸 俊文
(72)【発明者】
【氏名】宮里 好典
(72)【発明者】
【氏名】二宮 健二
(72)【発明者】
【氏名】志水 恭
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA08
2G060AE01
2G060AE02
2G060AF07
2G060AG03
2G060AG11
2G060EA07
(57)【要約】
【課題】 飲料を充填密封した紙パックを安全且つ迅速に検査することができる検査装置を提供する。
【解決手段】 液体状の内容物が充填密封された直方体形状の紙パックを検査する検査装置であって、前記紙パックの長手方向における第一面を下方に向けたとき、前記第一面に対向する第二面を除く3面の長手方向中央部を下方から切断する切断部と、前記第二面の長手方向中央部を折り返す折返し部と、前記紙パック内を洗浄する洗浄部と、前記切断部により切断された前記紙パックの切り口が上を向くように前記紙パックを反転する反転部と、導電性の液体を収容する水槽と、前記紙パックを前記水槽内に移載する移載部と、前記紙パック内に導電性の液体を充填する充填部と、前記紙パック内に挿入される第1電極と、前記第1電極の対極であり、前記水槽内に挿入される第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極間の通電を判別する判別部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状の内容物が充填密封された直方体形状の紙パックを検査する検査装置であって、
前記紙パックの長手方向における第一面を下方に向けたとき、前記第一面に対向する第二面を除く3面の長手方向中央部を下方から切断する切断部と、
前記第二面の長手方向中央部を折り返す折返し部と、
前記紙パック内を洗浄する洗浄部と、
前記切断部により切断された前記紙パックの切り口が上を向くように前記紙パックを反転する反転部と、
導電性の液体を収容する水槽と、
前記紙パックを前記水槽内に移載する移載部と、
前記紙パック内に導電性の液体を充填する充填部と、
前記紙パック内に挿入される第1電極と、
前記第1電極の対極であり、前記水槽内に挿入される第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極間の通電を判別する判別部と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記折返し部は、板状部材を前記第二面の長手方向中央部に押し付けることにより前記第二面の長手方向中央部を谷折りする請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
2つの前記第1電極を備え、
一方の前記第1電極は前記切断部により切断された前記紙パックの一方の箱体内に、他方の前記第1電極は前記切断部により切断された前記紙パックの他方の箱体内に挿入される請求項1または請求項2記載の検査装置。
【請求項4】
4つ以上の前記第1電極を備え、
前記移載部は、複数の前記紙パックを前記水槽内に移載し、
前記第1電極のそれぞれは、前記切断部により切断された前記紙パックの一方の箱体内のそれぞれ、及び他方の箱体内のそれぞれに挿入される請求項1または請求項2記載の検査装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記紙パック毎に前記通電を判別する請求項4記載の検査装置。
【請求項6】
液体状の内容物が充填密封された直方体形状の紙パックを検査する検査装置を用いた検査方法であって、
前記紙パックの長手方向における第一面を下方に向けたとき、前記第一面に対向する第二面を除く3面の長手方向中央部を下方から切断する切断工程と、
前記第二面の長手方向中央部を折り返す折返し工程と、
前記紙パック内を洗浄する洗浄工程と、
前記切断工程において切断された前記紙パックの切り口が上を向くように前記紙パックを反転する反転工程と、
導電性の液体を収容する水槽内に前記紙パックを移載する移載工程と、
前記紙パック内に導電性の液体を充填する充填工程と、
前記紙パック内に第1電極を挿入する挿入工程と、
前記第1電極、及び前記第1電極の対極であり前記水槽内に挿入される第2電極間の通電を判別する判別工程と、
を含む検査方法。
【請求項7】
前記折返し工程は、板状部材を前記第二面の長手方向中央部に押し付けることにより前記第二面の長手方向中央部を谷折りする請求項6記載の検査方法。
【請求項8】
前記検査装置は2つの前記第1電極を有し、
前記挿入工程は、前記切断工程において切断された前記紙パックの一方の箱体内に一方の前記第1電極を挿入し、前記切断工程において切断された前記紙パックの他方の箱体内に他方の前記第1電極を挿入する請求項6または請求項7記載の検査方法。
【請求項9】
前記検査装置は4つ以上の前記第1電極を有し、
前記移載工程は、複数の前記紙パックを前記水槽内に移載し、
前記挿入工程は、前記切断工程において切断された前記紙パックの一方の箱体内のそれぞれ及び他方の箱体内のそれぞれに前記第1電極のそれぞれを挿入する請求項6または請求項7記載の検査方法。
【請求項10】
前記判別工程は、前記紙パック毎に前記通電を判別する請求項9記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等を充填密封した紙パックを検査する検査装置及び該検査装置を用いた検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等を収容する飲料用容器として、紙を基材とし、その表裏面に熱可塑性樹脂等をコーティングした積層体を成形し、端部をヒートシールした直方体形状の紙パックが存在する(例えば特許文献1参照)。この紙パックは、空気を混入させることなく飲料等を充填密封することができ、無菌包装を実現することができるため、長期保存に適した飲料用容器として広く普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の紙パックにおいては、気密性保持を前提としているが、例えば紙パック成形時におけるシール不良や積層体の内層に生じたピンホール・傷等により気密性が損なわれた場合、紙パック内に充填された飲料等が腐敗する。したがって、このような不良品を早期発見するために、紙パックのシール不良やピンホール・傷の有無を検査する必要がある。
【0005】
検査方法としては、飲料等が充填された紙パックを半切りし、飲料等の内容物を排出し、紙パック内を洗浄し、紙パック内外における通電をチェックする一連の作業をすべて作業者が行っている(通電有りの場合、不良品と判断する)。しかしながら、この作業者による検査においては、ハサミを使用することによる切創、内容物排出時における内容物飛散、通電チェック時における感電など、安全でないという問題があった。また、検査による作業負担の増大により、生産能力が低下するという問題もあった。
【0006】
本発明の目的は、飲料を充填密封した紙パックを安全且つ迅速に検査することができる検査装置及び該検査装置を用いた検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、飲料を充填密封した紙パックを検査する検査装置を製作することにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、以下を提供する。
【0009】
(1) 液体状の内容物が充填密封された直方体形状の紙パックを検査する検査装置であって、前記紙パックの長手方向における第一面を下方に向けたとき、前記第一面に対向する第二面を除く3面の長手方向中央部を下方から切断する切断部と、前記第二面の長手方向中央部を折り返す折返し部と、前記紙パック内を洗浄する洗浄部と、前記切断部により切断された前記紙パックの切り口が上を向くように前記紙パックを反転する反転部と、導電性の液体を収容する水槽と、前記紙パックを前記水槽内に移載する移載部と、前記紙パック内に導電性の液体を充填する充填部と、前記紙パック内に挿入される第1電極と、前記第1電極の対極であり、前記水槽内に挿入される第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極間の通電を判別する判別部と、を備える検査装置。
(2) 前記折返し部は、板状部材を前記第二面の長手方向中央部に押し付けることにより前記第二面の長手方向中央部を谷折りする(1)記載の検査装置。
(3) 2つの前記第1電極を備え、一方の前記第1電極は前記切断部により切断された前記紙パックの一方の箱体内に、他方の前記第1電極は前記切断部により切断された前記紙パックの他方の箱体内に挿入される(1)または(2)記載の検査装置。
(4) 4つ以上の前記第1電極を備え、前記移載部は、複数の前記紙パックを前記水槽内に移載し、前記第1電極のそれぞれは、前記切断部により切断された前記紙パックの一方の箱体内のそれぞれ、及び他方の箱体内のそれぞれに挿入される(1)または(2)記載の検査装置。
(5) 前記判別部は、前記紙パック毎に前記通電を判別する(4)記載の検査装置。
(6) 液体状の内容物が充填密封された直方体形状の紙パックを検査する検査装置を用いた検査方法であって、前記紙パックの長手方向における第一面を下方に向けたとき、前記第一面に対向する第二面を除く3面の長手方向中央部を下方から切断する切断工程と、前記第二面の長手方向中央部を折り返す折返し工程と、前記紙パック内を洗浄する洗浄工程と、前記切断工程において切断された前記紙パックの切り口が上を向くように前記紙パックを反転する反転工程と、導電性の液体を収容する水槽内に前記紙パックを移載する移載工程と、前記紙パック内に導電性の液体を充填する充填工程と、前記紙パック内に第1電極を挿入する挿入工程と、前記第1電極、及び前記第1電極の対極であり前記水槽内に挿入される第2電極間の通電を判別する判別工程と、を含む検査方法。
(7) 前記折返し工程は、板状部材を前記第二面の長手方向中央部に押し付けることにより前記第二面の長手方向中央部を谷折りする(6)記載の検査方法。
(8) 前記検査装置は2つの前記第1電極を有し、前記挿入工程は、前記切断工程において切断された前記紙パックの一方の箱体内に一方の前記第1電極を挿入し、前記切断工程において切断された前記紙パックの他方の箱体内に他方の前記第1電極を挿入する(6)または(7)記載の検査方法。
(9) 前記検査装置は4つ以上の前記第1電極を有し、前記移載工程は、複数の前記紙パックを前記水槽内に移載し、前記挿入工程は、前記切断工程において切断された前記紙パックの一方の箱体内のそれぞれ及び他方の箱体内のそれぞれに前記第1電極のそれぞれを挿入する(6)または(7)記載の検査方法。
(10) 前記判別工程は、前記紙パック毎に前記通電を判別する(9)記載の検査方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、飲料を充填密封した紙パックを安全且つ迅速に検査することができる検査装置及び該検査装置を用いた検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る検査装置の概略構成を示す図である。
【
図2】紙パックの外観を示す図であって、(A)は検査前の外観、(B)は切断後の外観、(C)は洗浄時の外観、(D)は検査時の外観を示す図である。
【
図3】紙パックを構成する紙6の断面を示す図であって、(1)は良品、(2)は最内層にピンホールがある状態、(3)は最内層及びアルミニウム層にピンホールがある状態、(4)は最内層、アルミニウム層及びポリエチレン層にピンホールがある状態、(5)は紙にピンホールがある状態、(6)は横シールにシール不良がある状態、(7)縦シールにシール不良がある状態を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る切断部の概略構成を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る折返し部及び洗浄部の概略構成を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る反転部及び移載部の概略構成を示す図である。
【
図7】実施の形態に係る充填部及び通電部の概略構成を示す図である。
【
図8】実施の形態に係る検査装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図9】実施の形態に係る検査装置を用いて紙パックを検査する際の処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る検査装置について説明する。
図1は、実施の形態に係る検査装置の概略構成を示す図である。検査装置2は、液体状(液体だけでなくゼリー状のものも含む)の内容物(食品等)が充填密封された紙パックを検査する装置であって、
図1に示すように、切断部8、折返し部10、洗浄部12、反転部14、移載部16、充填部18、通電部20、及び図示しないエアブロー部を備えている。なお、以下の説明においては、
図1に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係等について説明する。X軸を水平方向であって
図1の紙面左右方向に、Y軸を水平方向であって
図1の紙面に直交する方向に、Z軸を鉛直方向に設定する。
【0013】
検査装置2によって検査される紙パックは、例えば
図2に示すような直方体形状の密封容器である紙パック4であって、紙6(
図3参照)を基材とし、紙6の長手方向の端部同士をヒートシールした後、短手方向の上側及び下側の端部同士をヒートシールしたものである。
図3は基材である紙6の断面を示す図である。紙6は、
図3に示すように、原紙6bの表面にポリエチレン層6aをラミネートし、原紙6bの裏面にポリエチレン層6c、アルミニウム層6d及びポリエチレン(LDPEまたはLLDPE及びEMAAの接着性樹脂を含む)層6aを順に積層した積層体である。この実施の形態に係る検査装置2においては、紙パック4を構成する紙6が
図3の(1)に示すようにピンホール、傷またはシール不良がなく良品であるか、
図3の(2)~(7)に示すようにピンホール、傷またはシール不良があり不良品であるかを検査可能である。
図3の(2)はポリエチレン層6aにピンホールまたは傷がある場合、(3)はポリエチレン層6a及びアルミニウム層6dにピンホールまたは傷がある場合、(4)はポリエチレン層6a、アルミニウム層6d及びポリエチレン層6cにピンホールまたは傷がある場合、(5)は紙6にピンホールがある場合、(6)は横シール部4b,4c(
図2参照)にシール不良がある場合、(7)は縦シール部4a(
図2参照)にシール不良または縦シール部4aを補強するテープ部6fのテープ不良がある場合を示す。検査装置2においては、主に(2)及び(3)の不良の有無について検査する。
【0014】
即ち、紙パック4のアルミニウム層6dは、積層体端部(紙6の切断面)で露出している。水槽38(
図1参照)内に水を充填して紙パック4A,4B(
図1参照)を浸漬すると、水槽38に充填した水と積層体端部のアルミニウム層6dとが接触する状態となる。紙パック4A,4Bの内部は表面にポリエチレン層6aを有するため、紙パック4A,4B内外では基本的には非通電となる。しかしながら、ポリエチレン層6aにピンホールや傷等があると(
図3(2)参照)、その部分のアルミニウム層6dが露出し、紙パック4A,4B内部の水と露出したアルミニウム層6dとが接触する。このような状態になった場合、紙パック4A,4B内部の水、アルミニウム層6d、水槽38内の水を介して、紙パック4A,4B内外で通電する。通電した場合は異常があるものと判断することができる。
【0015】
なお、この実施の形態に係る検査装置2を用いて、アルミニウム層6dを有する紙パック4だけでなく、近年環境問題への影響からアルミ箔を透明バリアフィルムに置き換えたノンアルミ包材からなる紙パックの異常についても検査することができる。この場合アルミニウム層6dは存在しないが、紙6ピンホールがある場合(
図3(5)参照)には検査可能である。また、積層体の原紙6bはアルミニウム層6dと同様に積層体端部で露出しており、この積層体端部から原紙6bに水分が浸透する。浸透した水分を十分に含む原紙6b層が通電層の役割を果たすため、紙パックの異常、特に横シール4b,4c近傍(積層体端部近傍)のシール不良(
図3(6)参照)等について検査可能である。
【0016】
紙パック4は、
図2(A)に示すように、筒状にした紙6を縦シールした縦シール部4aを形成し、筒状になった包材に飲料等の内容物が充填され、紙6を横シールした横シール部4b,4cを形成し、横シール部4bの両端部を紙パック4の側面に、横シール4cの両端部を紙パック4の底面に溶着して形成された密封容器である。この紙パック4においては、縦シール部4aが形成された後、飲料等の内容物が充填され、横シール部4b,4cが筒状内部の充填物を押し潰つぶし形成されるため、紙パック4内に空気が混入することなく内容物を無菌でパックすることができる。なお、以下の説明においては、紙パック4の縦シール部4aが配置される面に対向する面を正面4dとし、背面4e、右側面4f、左側面4g、上面4h、及び底面4iを参照しつつ各部材との位置関係について説明する。
【0017】
検査装置2は、図示しない搬送部を備えており、搬送部は、検査装置2に搬入される2個の紙パック4(以下、一方を紙パック4A、他方を紙パック4Bという。)を、切断部8を介して折返し部10まで
図1に示す+X方向に移動させる。搬送部はスライダー及びレール等を備えて構成されており、スライダーには
図1に示す固定部材21が取り付けられている。固定部材21は、検査装置2に搬入される2個の紙パック4A,4Bを固定する。紙パック4A,4Bは、背面4eを+Z方向に向け、紙パック4Aを+X方向側、紙パック4Bを-X方向側に並列した状態で、検査装置2に搬入される。固定部材21は、少なくとも紙パック4Aの右側面4f及び紙パック4Bの左側面4gを固定する。スライダーは、レールに沿って+X方向にスライド移動することにより固定部材21、ひいては紙パック4A,4Bを移動させる。
【0018】
図4は、切断部8の概略構成を示す図である。切断部8は、
図1及び
図4に示すように、回転刃25を備えており、紙パック4A,4Bの長手方向(Y方向)における正面(第一面)4dを下方(-Z方向)に向けたとき、正面4dに対向する背面(第二面)4eを除く正面4d、右側面4f及び左側面4g(3面)の長手方向中央部4m(
図2参照)を下方から切断する。即ち、回転刃25は、背面4eを切断しない高さ(Z方向における位置)に予め設定されているため、駆動軸25aを軸として高速回転し、
図2(B)に示すように、搬送部により切断部8をスライド移動する紙パック4(4A,4B)の正面4d、右側面4f及び左側面4gの長手方向中央部4mを切断する。紙パック4A(4B)の背面4eの長手方向中央部4k(
図2参照)が切断されないため、紙パック4A(4B)の正面4d、右側面4f及び左側面4gの長手方向中央部4mが切断されることにより形成される紙パック4A(4B)のトップ側箱体及びボトム側箱体(後述する)がバラバラにならず、他の紙パックのトップ側箱体及びボトム側箱体との混同を防止することができる。
【0019】
図5は、折返し部10及び洗浄部12の概略構成を示す図である。折返し部10は、
図1及び
図5に示すように、板状部材27、折返しガイド28及び固定部材29を備えており、板状部材27を紙パック4A,4Bの背面4eに押し付けることにより、切断部8により切断されていない背面4eを谷折りする。即ち、板状部材27は、鉛直方向(Z方向)に移動可能に構成されており、
図1に示す待機位置から
図5の破線で示す折返し位置まで下降することにより、背面4eの長手方向中央部4k(
図2参照)に押し付けられる。
【0020】
図2(B)に示すように、紙パック4(4A,4B)の背面4eの長手方向中央部4kは折れ曲がり、切断部8により切断されている正面4d、右側面4f及び左側面4gは二つに分かれて開く。紙パック4Aは、板状部材27により背面4eの長手方向中央部4kを更に押され、折返しガイド28に案内(ガイド)されることにより、上面4h及び底面4iを+Z方向に向け、
図2(C)に示すように、トップ側(平面側)の背面4eとボトム側(底面側)の背面4eとを当接させた状態で固定部材29に固定される。同様に、紙パック4Bも、板状部材27により背面4eの長手方向中央部4kを更に押され、折返しガイド28に案内(ガイド)されることにより、上面4h及び底面4iを+Z方向に向け、
図2(C)に示すように、トップ側(平面側)の背面4eとボトム側(底面側)の背面4eとを当接させた状態で固定部材29に固定される。固定部材29は、紙パック4A,4Bの正面4d、紙パック4Aの左側面4g、及び紙パック4Bの右側面4fを固定する。なお、紙パック4A,4Bが切断部8により切断され、折返し部10により折り返されることにより、紙パック4A,4B内に充填されていた内容物は、切り口4j(
図2参照)から下方(-Z方向)に排出される。
【0021】
洗浄部12は、
図1及び
図5に示すように、4つのノズル(ノズル31a~31c及び図示しないノズル)等を備えて構成されており、紙パック4A,4B内を洗浄する。ノズル31a~31c及び図示しないノズルは、紙パック4A,4Bが固定部材29に固定されると、紙パック4A,4Bを切断したことにより形成された4つの箱体の内面に水を噴射する。固定部材29は図示しない搬送手段により+Y方向または-Y方向に移動し、ノズル31a~31c及び図示しないノズルは、固定部材29に固定され固定部材29と共に移動する4つの箱体の内面(紙パック4Aのトップ側箱体の内面、紙パック4Aのボトム側箱体の内面、トップ側箱体の内面及び紙パック4Bのボトム側箱体の内面)に順次水を噴射し、紙パック4A,4B内に残存する内容物及び紙パック4A,4Bの内面に付着する内容物を洗い流す。
【0022】
図6は、反転部14及び移載部16の概略構成を示す図である。反転部14は、保持部33及び回転軸33aを備えており、切断部8により切断された紙パック4A,4Bの4つの切り口4jが上(+Z方向)を向くように紙パック4A,4Bを反転する。保持部33は、固定部材29、ひいては固定部材29に固定されている紙パック4A,4Bを保持し、回転軸33aを軸として180度回転する。その結果、保持部33に保持されている固定部材29、ひいては固定部材29に固定されている紙パック4A,4Bは、180度回転、即ち反転する。紙パック4A,4Bは、180度回転することにより、
図2(D)に示すように、4つの切り口4jを上に向ける。
【0023】
移載部16は、
図1及び
図6に示すように、2つの移載ハンド35a,35b等を備えて構成されており、水を収容する水槽38内に紙パック4A,4Bを移載する。なお、水槽38には、水に代えて導電性の液体(例えば、塩化ナトリウム溶液等)を収容してもよい。移載ハンド35aはグリップ部36a(
図1参照)及び図示しないグリップ部を有し、グリップ部36a及び図示しないグリップ部はY方向に移動可能に構成されている。グリップ部36aは紙パック4Aのトップ側箱体の内側に挿入され、図示しないグリップ部は紙パック4Aのボトム側箱体の内側に挿入され、グリップ部36aは+Y方向に、図示しないグリップ部は-Y方向にそれぞれ移動することにより紙パック4Aの背面4e側の内壁面を挟持する。移載ハンド35bは2つのグリップ部37a,37b(
図6参照)を有し、グリップ部37a,37bはY方向に移動可能に構成されている。グリップ部37aは紙パック4Bのトップ側箱体の内側に挿入され、グリップ部37bは紙パック4Bのボトム側箱体の内側に挿入され、グリップ部37aは+Y方向に、グリップ部37bは-Y方向にそれぞれ移動することにより紙パック4Bの背面4e側の内壁面を挟持する。
【0024】
また、移載ハンド35a,35bは、鉛直方向(Z方向)及び水平方向(この実施の形態ではX方向)に移動可能に構成されている。移載ハンド35a,35bは、水槽38内に紙パック4A,4Bを移載するとき、
図1に示す待機位置から
図6に示す挟持位置Sまで下降し、紙パック4A,4Bを挟持した後、挟持位置Sから
図6に示す位置Pまで上昇し、水平方向(この実施の形態では+X方向)及び鉛直方向(この実施の形態では-Z方向)に移動することにより紙パック4A,4Bを水槽38に移載する。
【0025】
また、この実施の形態に係る検査装置2は、エアブロー部(図示せず)を備えている。エアブロー部は、紙パック4A,4Bが移載部16により移載されている間に、紙パック4A,4Bの内面(4つの箱体の内面)及び切断部8において切断された切断部分に対しエアブロー(通常のエアー又はホットエアーを噴射)することで紙パック4A,4Bの内面及び切断部分を乾燥する。紙パック4A,4B内に充填されていた内容物によっては油分が多く含まれるものもあり(牛乳、豆乳など)、油分の多い内容物が洗浄部12において洗浄しきれない場合がある。紙パック4A,4Bの内面及び切断部分に水分を含んだ油膜が残ると、パック内面から切断部分のアルミを通して積層体端部へ電気が流れてしまい、誤判定を起こすおそれがある。このような場合、エアブロー部で内容物を乾燥させ水分の連続性を失わせることで誤判定を防ぐことが可能となる。なお、エアブロー部による乾燥は、紙パック4A,4Bの切断部分を優先して行う。
【0026】
なお、この実施の形態では、紙パック4A,4Bを反転するとき紙パック4A,4B内に水滴が戻ることもあるため、紙パック4A,4Bを反転後、紙パック4A,4B内に水を充填する前にエアブロー部で内容物を乾燥させているが(ベストモード)、紙パック4A,4Bを洗浄後から紙パック4A,4B内に水を充填する前までの間のいずれかで乾燥させればよい。また、この実施の形態では、紙パック4A,4Bが移載されている間に紙パック4A,4Bを乾燥させているが、内容物が牛乳・豆乳の場合など、紙パック4A,4Bを移載後、充填部18による紙パック4A,4B内への水の充填前に、エアブロー部において紙パック4A,4Bにホットエアー等を噴射し、紙パック4A,4Bを乾燥させてもよい。この場合には、紙パック4A,4Bの内面及び切断部分をより確実に乾燥させることができる。また、エアブローは乾燥速度を向上させるため通常のエアーよりホットエアーとすることが望ましい。また、エアブロー部を設けない構成にしてもよい。
【0027】
図7は、充填部18及び通電部20の概略構成を示す図である。充填部18は、
図1及び
図7に示すように、4つのノズル(ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル)等を備えて構成されており、紙パック4A,4B内に水を充填する。なお、紙パック4A.4Bには、水に代えて導電性の液体(例えば、塩化ナトリウム溶液等)を充填してもよい。紙パック4A,4Bが水槽38内に移載されると、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズルから水が供給され、紙パック4A,4Bの4つの箱体の内面に水が充填される。ノズル39aから供給される水は紙パック4Aのトップ側箱体の内面に、図示しないノズルから供給される水は紙パック4Aのボトム側箱体の内面に、ノズル39cから供給される水は紙パック4Bのトップ側箱体の内面に、及びノズル39dから供給される水は紙パック4Bのボトム側箱体の内面に充填される。このとき、紙パック4A,4Bの外面に付着した内容物等による水槽38内に収容される水の懸濁を抑えるために、水槽38へも水の注入も行う。
【0028】
ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズルは、鉛直方向(Z方向)に移動可能に構成されている。ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズルは、第1電極40a~40d(
図8参照)とともに
図1に示す待機位置から
図7に示す検査位置まで下降し、紙パック4A,4B内に水を充填する。
【0029】
通電部20は、水が収容された水槽38、紙パック4A,4B内に挿入される4つの第1電極(正極)40a~40d(
図8参照)、及び第1電極40a~40dの対極であり、水槽38内に挿入される第2電極(負極)41を備え、第1電極40a~40d及び第2電極41間の通電を通電検出部68(
図8参照)により判別する。第1電極40aは切断部8により切断された紙パック4Aの一方の箱体(トップ側箱体)内に、第1電極40bは切断部8により切断された紙パック4Aの他方の箱体(ボトム側箱体)内に挿入される。同様に、第1電極40cは切断部8により切断された紙パック4Bの一方の箱体(トップ側箱体)内に、第1電極40dは紙パック4Bの他方の箱体(ボトム側箱体)内に挿入される。
【0030】
第1電極40a~40dは、鉛直方向(Z方向)に移動可能に構成されている。第1電極40a~40dは、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズルとともに
図1に示す待機位置から
図7に示す検査位置まで下降する。
【0031】
図8は、この実施の形態に係る検査装置2のシステム構成を示すブロック図である。検査装置2は、
図8に示すように、検査装置2の各部を統括的に制御する制御部50を備えている。制御部50には、スライダー駆動部52、刃回転駆動部54、板状部材昇降部56、第1バルブ開閉部58、反転駆動部59、移載ハンド昇降部60、グリップ駆動部62、移載ハンド駆動部64、第2バルブ開閉部65、第1電極昇降部66、及び通電検出部68が接続されている。
【0032】
スライダー駆動部52は、シリンダー等により構成されており、図示しないスライダーを駆動させ、図示しないレールに沿って±X方向にスライド移動させる。具体的には、スライダー駆動部52は、紙パック4A,4Bが検査装置2に搬入され固定部材21に固定されると、制御部50の制御に従い、スライダーを+X方向に移動させることにより、切断部8を介して折返し部10の下方までスライダーに取り付けられた固定部材21を移動させる。
【0033】
刃回転駆動部54は、駆動軸25a、ひいては回転刃25を回転駆動させる。即ち、刃回転駆動部54は、紙パック4A,4Bが検査装置2に搬入され固定部材21に固定されると、制御部50の制御に従い、駆動軸25aを回転駆動させることにより回転刃25を回転させ、スライダーに取り付けられた固定部材21が搬入されると、固定部材21により固定されている紙パック4A,4Bの長手方向中央部4mを切断する。
【0034】
板状部材昇降部56は、シリンダー等により構成されており、板状部材27を昇降させる。具体的には、板状部材昇降部56は、搬送部により折返し部10の下方に紙パック4A,4Bが搬入されると、制御部50の制御に従い、板状部材27を下降させ、板状部材27が紙パック4A,4Bの背面4eの長手方向中央部4kを押し込んだ後、板状部材27を上昇させる。
【0035】
第1バルブ開閉部58は、洗浄部12の4つのノズル(ノズル31a~31c及び図示しないノズル)から水を噴射させるためのバルブ(図示せず)の開閉を行う。具体的には、第1バルブ開閉部58は、紙パック4A,4Bが固定部材29に固定されると、制御部50の制御に従い、バルブを開き、ノズル31a~31c及び図示しないノズルから水を噴射させ、紙パック4A,4B内の洗浄を終えた後、バルブを閉じる。
【0036】
反転駆動部59は、回転軸33a、ひいては保持部33を回転駆動させる。即ち、反転駆動部59は、洗浄部12による紙パック4A,4B内の洗浄を終えた後、制御部50の指示に従い、回転軸33aを回転駆動させることにより保持部33を180度回転させることにより、保持部33に取り付けられた固定部材29を反転させ、固定部材29に固定されている紙パック4A,4Bも反転させる。
【0037】
移載ハンド昇降部60は、シリンダー等により構成されており、移載ハンド35a,35bを昇降させる。具体的には、移載ハンド昇降部60は、反転部14により紙パック4A,4Bが反転された後、制御部50の制御に従い、移載ハンド35a,35bを下降させ、グリップ部36a及び図示しないグリップ部が紙パック4Aを、グリップ37a,37bが紙パック4Bを挟持した後、移載ハンド35a,35bを上昇させる。また、移載ハンド昇降部60は、後述する移載ハンド駆動部64により移載ハンド35a,35bが水槽38の上方に移動された後、制御部50の制御に従い、移載ハンド35a,35bを下降させ、紙パック4A,4Bを水槽38内に移動させる。
【0038】
グリップ駆動部62は、クランプ等により構成されており、グリップ部36a及び図示しないグリップ部、並びにグリップ部37a,37bを水平方向(この実施の形態ではY方向)に移動させる。具体的には、グリップ駆動部62は、移載ハンド35a,35bを下降させた後、制御部50の指示に従い、グリップ部36aを+Y方向に、図示しないグリップ部を-Y方向にそれぞれ移動させることにより紙パック4Aを、グリップ部37aを+Y方向に、グリップ部37bを-Y方向にそれぞれ移動させることにより紙パック4Bを挟持させる。
【0039】
移載ハンド駆動部64は、移載ハンド35a,35bを水平方向(この実施の形態ではX方向)に移動させる。具体的には、移載ハンド駆動部64は、移載ハンド35a,35bが紙パック4A,4Bを挟持し+Z方向に移動した後、制御部50の制御に従い、移載ハンド35a,35bを+X方向に移動させることにより紙パック4A,4Bを水槽38の上方に移動させる。
【0040】
第2バルブ開閉部65は、充填部18の4つのノズル(ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル)から水を供給させるためのバルブ(図示せず)の開閉を行う。具体的には、第2バルブ開閉部65は、紙パック4A,4Bが水槽38内に配置され、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル、並びに第1電極40a~40dが下降を開始すると、制御部50の制御に従い、バルブを開き、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズルから水を出し、紙パック4A,4Bの各箱体内に水を充填する。そして、第2バルブ開閉部65は、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル、並びに第1電極40a~40dが下降を終了する前に、紙パック4A,4Bの各箱体内に水を充填し終え、制御部50の制御に従い、バルブを閉じる。
【0041】
第1電極昇降部66は、シリンダー等により構成されており、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル、並びに第1電極40a~40dを昇降させる。具体的には、第1電極昇降部62は、紙パック4A,4Bが水槽38内に配置されると、制御部50の制御に従い、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル、並びに第1電極40a~40dを下降させる。
【0042】
通電検出部68には、第1電極40a~40d及び第2電極41が接続されている。通電検出部68は、第1電極40a~40dのそれぞれと第2電極41との間で通電しているか否かを検出する。具体的には、通電検出部68は、第1電極40a~40dが紙パック4A,4Bの各箱体内に挿入された後、第1電極40a,40b及び第2電極41間で通電しているか否かを検出し、検出結果を制御部50に対して出力する。同様に、通電検出部68は、第1電極40c,40d及び第2電極41間で通電しているか否かを検出し、検出結果を制御部50に対して出力する。
【0043】
制御部50は、通電検出部68による検出結果に基づいて、第1電極40a,40b及び第2電極41間での通電を判別し、通電している場合には紙パック4Aが不良品(
図3(2)~(7)のいずれか)であると判定する。制御部50は、第1電極40a,40b及び第2電極41間で通電していない場合には紙パック4Aが良品(
図3(1))であると判定する。同様に、制御部50は、通電検出部68による検出結果に基づいて、第1電極40c,40d及び第2電極41間での通電を判別し、通電している場合には紙パック4Bが不良品(
図3(2)~(7)のいずれか)であると判定する。制御部50は、第1電極40c,40d及び第2電極41間で通電していない場合には紙パック4Bが良品(
図3(1))であると判定する。
【0044】
次に、図面を参照して、この実施の形態に係る検査装置2を用いて、紙パック4A,4Bを検査する方法について説明する。
図9は、検査装置2の制御部50が紙パック4A,4Bを検査するために実行する処理について説明するためのフローチャートである。
【0045】
まず、制御部50は、スライダー駆動部52に対して制御信号を出力し、固定部材21を取り付けた図示しないスライダーを図示しないレールに沿って+X方向にスライド移動させることにより、検査装置2に搬入され固定部材21に固定された紙パック4A,4Bを、切断部8の切断位置及び折返し部10の折返し位置まで順に移動させる(ステップS10)。
【0046】
次に、制御部50は、刃回転駆動部54に対して制御信号を出力し、回転刃25の中心である駆動軸25aを軸として回転刃25を高速回転させ、スライド移動することにより紙パック4A,4Bが切断部8に到達した際、正面4dを-Z方向に向けた紙パック4A,4Bの背面4eを除く正面4d、右側面4f及び左側面4gの長手方向中央部4mを下方から切断する(ステップS11、切断工程)。
【0047】
次に、制御部50は、スライド移動することにより紙パック4A,4Bが折返し部10に到達したことを確認した後、板状部材昇降部56に対して制御信号を出力し、板状部材27を待機位置から折返し位置まで-Z方向に下降させ、板状部材27を紙パック4A,4Bの背面4eの長手方向中央部4kに押し付けることにより、背面4eの長手方向中央部4kを谷折りする(ステップS12、折返し工程)。
図2(B)に示すように、紙パック4A,4Bの背面4eの長手方向中央部4kは谷折りされ、切断部8により切断されている正面4d、右側面4f及び左側面4gは二つに分かれて開き、紙パック4A,4Bは、板状部材27に背面4eの長手方向中央部4kを更に押されつつ、折返しガイド28に案内(ガイド)されることにより、
図2(C)に示す形状となり、固定部材29に固定される。紙パック4A,4B内に充填されていた内容物は、紙パック4A,4Bが切断工程において切断され、折返し工程において折り返されることにより、切り口4jから下方(-Z方向)に排出される。
【0048】
次に、制御部50は、図示しない搬送手段により紙パック4A,4Bを固定している固定部材29を反転部14まで搬送する。また、制御部50は、固定部材29を反転部14まで搬送している間に、第1バルブ開閉部58に対して制御信号を出力し、洗浄部12の4つのノズル(ノズル31a~31c及び図示しないノズル)から水を噴射させるためのバルブ(図示せず)を開き、ノズル31a~31c及び図示しないノズルから水を噴射させ、紙パック4A,4B内を洗浄する(ステップS13、洗浄工程)。
【0049】
次に、制御部50は、固定部材29が反転部14まで搬送され、反転部14の保持部33が固定部材29を保持した後、切断工程において切断された紙パック4A,4Bの切り口4jが上(+Z方向)を向くように紙パック4A,4Bを反転する(ステップS14、反転工程)。具体的には、制御部50は、反転駆動部59に対して制御信号を出力し、回転軸33aを軸として保持部33を180度回転させ、保持部33に保持されている固定部材29及び固定部材29に固定されている紙パック4A,4Bを反転させる。
【0050】
次に、制御部50は、水を収容する水槽38内に紙パック4A,4Bを移載する(ステップS15、移載工程)。具体的には、制御部50は、移載ハンド昇降部60に対して制御信号を出力し、移載ハンド35a,35bを待機位置から挟持位置まで-Z方向に下降させる。グリップ部36aは紙パック4Aのトップ側箱体の内側に挿入され、図示しないグリップ部は紙パック4Aのボトム側箱体の内側に挿入される。また、グリップ部37aは紙パック4Bのトップ側箱体の内側に挿入され、グリップ部37bは紙パック4Bのボトム側箱体の内側に挿入される。
【0051】
次に、制御部50は、グリップ駆動部62に対して制御信号を出力し、グリップ部36a及び図示しないグリップ部をY方向に移動させる。具体的には、制御部50は、グリップ部36aを+Y方向に、図示しないグリップ部を-Y方向にそれぞれ移動させることにより、グリップ部36a及び図示しないグリップ部に紙パック4Aの背面4e側の内壁面を挟持させる。同様に、制御部50は、グリップ部37aを+Y方向に、グリップ部37bを-Y方向にそれぞれ移動させることにより、グリップ部37a,37bに紙パック4Bの背面4e側の内壁面を挟持させる。
【0052】
次に、制御部50は、再び移載ハンド昇降部60に対して制御信号を出力し、移載ハンド35a,35bを挟持位置から待機位置まで+Z方向に上昇させる。グリップ部36a及び図示しないグリップ部に挟持された紙パック4A、並びにグリップ部37a,37bに挟持された紙パック4Bは、固定部材29から取り出され、移載ハンド35a,35bとともに+Z方向に上昇する。次に、制御部50は、移載ハンド駆動部64に対して制御信号を出力し、移載ハンド35a,35bを水槽38の上方まで+X方向に移動させる。なお、制御部50は、水槽38内に紙パック4A,4Bを移載させている間に、図示しないエアブロー部に対して制御信号を出力し、紙パック4A,4Bの内面(4つの箱体の内面)及び切断工程において切断された切断部分にエアー、好ましくはホットエアーを噴射し、紙パック4A,4Bの内面及び切断部分を乾燥させる(ステップS16、乾燥工程)。エアブロー部による紙パック内面及び切断部分の乾燥は、ステップS13の洗浄工程の後、ステップS14の反転工程の前に行ってもよい。また、エアブロー部による紙パック内面及び切断部分の乾燥は、内容物が牛乳・豆乳の場合など、反転工程もしくは移載工程の後、充填工程(
図9に示すステップS17)の前に行ってもよい。この場合には、紙パック4A,4Bの内面及び切断部分をより確実に乾燥させることができる。また、乾燥工程による乾燥は、紙パック4A,4Bの切断部分を優先して行う。
図9においては乾燥工程を一回としているが、乾燥が不十分な場合などは複数回乾燥工程を設定してもよい。
【0053】
制御部50は、再び移載ハンド昇降部60に対して制御信号を出力し、紙パック4A,4Bが水槽38内に配置されるまで、移載ハンド35a,35bを-Z方向に下降させる。次に、制御部50は、再びグリップ駆動部62に対して制御信号を出力し、グリップ部36aを-Y方向に、図示しないグリップ部を+Y方向にそれぞれ移動させることにより、グリップ部36a及び図示しないグリップ部による紙パック4Aの挟持を解除する。同様に、制御部50は、グリップ部37aを-Y方向に、グリップ部37bを+Y方向にそれぞれ移動させることにより、グリップ部37a,37bによる紙パック4Bの挟持を解除する。制御部50は、移載ハンド昇降部60に対して制御信号を出力し、移載ハンド35a,35bを+Z方向に上昇させる。
【0054】
次に、制御部50は、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズルから水を供給し、紙パック4A,4B内に水を充填し、且つ紙パック4A,4B内に第1電極(正極)40a~40dを挿入する(ステップS17、充填工程及び挿入工程)。具体的には、制御部50は、第1電極昇降部66に対して制御信号を出力し、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル、並びに第1電極40a~40dを待機位置から検査位置まで-Z方向に下降させる。更に、制御部50は、ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル、並びに第1電極40a~40dが下降している間に、第2バルブ開閉部65に対して制御信号を出力し、充填部18の4つのノズル(ノズル39a,39c,39d及び図示しないノズル)から水を供給させるためのバルブ(図示せず)を開き、紙パック4A,4B内に水を充填する。
【0055】
第1電極40a~40dが検査位置まで下降すると、第1電極40aは紙パック4Aのトップ側箱体の内側に挿入され、第1電極40bは紙パック4Aのボトム側箱体の内側に挿入される。また、第1電極40cは紙パック4Bのトップ側箱体の内側に挿入され、第1電極40dは紙パック4Bのボトム側箱体の内側に挿入される。
【0056】
次に、制御部50は、通電検出部68から検出結果を取得し、取得した検出結果から、第1電極40a~40d、及び第1電極40a~40dの対極であり前記水槽38内に挿入される第2電極(負極)41間の通電を、紙パック4A,4B毎に判別する(ステップS18、判別工程)。通電検出部68は、第1電極40a,40b及び第2電極41間で通電しているか否かを検出し、検出結果を制御部50に対して出力する。同様に、通電検出部68は、第1電極40c,40d及び第2電極41間で通電しているか否かを検出し、検出結果を制御部50に対して出力する。
【0057】
制御部50は、第1電極40a,40b及び第2電極41間で通電している場合には、紙パック4Aが
図3(2)~(7)に示すいずれかのピンホールまたはシール不良等が発生しているため、第1電極40a,40b及び第2電極41間で通電していると判断し、紙パック4Aが不良品(
図3(2)~(7)のいずれか)であると判定する。一方、制御部50は、第1電極40a,40b及び第2電極41間で通電していない場合には、紙パック4Aが
図3(1)に示す状態でいずれの不良も発生していないため、第1電極40a,40b及び第2電極41間で通電していないと判断し、紙パック4Aが良品であると判定する。
【0058】
同様に、制御部50は、第1電極40c,40d及び第2電極41間で通電している場合には、紙パック4Bが
図3(2)~(7)に示すいずれかのピンホールまたはシール不良等が発生しているため、第1電極40c,40d及び第2電極41間で通電していると判断し、紙パック4Bが不良品(
図3(2)~(7)のいずれか)であると判定する。一方、制御部50は、第1電極40c,40d及び第2電極41間で通電していない場合には、紙パック4Bが
図3(1)に示す状態でいずれの不良も発生していないため、第1電極40c,40d及び第2電極41間で通電していないと判断し、紙パック4Bが良品であると判定する。
【0059】
この実施の形態に係る検査装置及び検査方法によれば、作業者によらないで検査装置を用いて紙パックを検査するため、ハサミを使用することによる切創、内容物排出時における内容物飛散、通電チェック時における感電などを防止することができ、安全に紙パックを検査することができる。また、この実施の形態に係る検査装置及び検査方法によれば、作業者によらないで検査装置を用いて紙パックを検査するため、作業者の作業負担を軽減することができ、紙パックの検査効率、ひいては紙パックの生産能力を向上させることができる。
【符号の説明】
【0060】
2…検査装置、4,4A,4B…紙パック、6…紙、8…切断部、10…折返し部、12…洗浄部、14…反転部、16…移載部、18…充填部、20…通電部、21…固定部材、25…回転刃、25a…駆動軸、27…板状部材、28…折返しガイド、29…固定部材、31a~31c…ノズル、33…保持部、33a…回転軸、35a,35b…移載ハンド、36a,37a,37b…グリップ部、38…水槽、39a,39c,39d…ノズル、40a~40d…第1電極、41…第2電極、50…制御部、52…スライダー駆動部、54…刃回転駆動部、56…板状部材昇降部、58…第1バルブ開閉部、59…反転駆動部、60…移載ハンド昇降部、62…グリップ駆動部、64…移載ハンド駆動部、65…第2バルブ開閉部、66…第1電極昇降部、68…通電検出部。