(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072956
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】無線給電ケース
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20240522BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240522BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240522BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/00 301B
H02J7/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183870
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 実
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA01
5G503FA03
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】収容部に収容された電子機器に給電することができる無線給電装置を備えた無線給電ケースであって、発光表示機能を有しつつ製造コストが抑えられた無線給電ケースを提供する。
【解決手段】本発明の一態様として、電子機器40を収容する収容部10と、収容部10に収容された電子機器40に給電するための無線給電装置20と、発光表示部272と、を備え、無線給電装置20が、回路基板25と、回路基板25上に実装された光源26と、回路基板25を収容する筐体23とを有し、光源26が発する光を発光表示部272まで導く導光体27が無線給電装置20に取り付けられた、無線給電ケース1を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記電子機器に給電するための無線給電装置と、
発光表示部と、
を備え、
前記無線給電装置が、回路基板と、前記回路基板上に実装された光源と、前記回路基板を収容する筐体とを有し、
前記光源が発する光を前記発光表示部まで導く導光体が前記無線給電装置に取り付けられた、
無線給電ケース。
【請求項2】
前記導光体が、前記無線給電装置の前記筐体に固定され、
前記筐体と前記導光体の接続部分からの前記筐体の内部への水の浸入を抑えるために前記接続部分が止水部材に覆われた、
請求項1に記載の無線給電ケース。
【請求項3】
前記発光表示部が、前記収容部の開口部の周りの板状のパネル部の表面に露出するように設けられた、
請求項1に記載の無線給電ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機を保持するための携帯電話機用ホルダー装置であって、保持した携帯電話機に給電する機能と、携帯電話機の充電状態に応じて発光する充電インジケータを備えたものが知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には給電装置と充電インジケータを接続する手段は開示されていないが、一般的な構造では、給電装置の基板と充電インジケータの光源がハーネスで接続される。この場合、充電インジケータを設けるためのコストが大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、収容部に収容された電子機器に給電することができる無線給電装置を備えた無線給電ケースであって、発光表示機能を有しつつ製造コストが抑えられた無線給電ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[3]の無線給電ケースを提供する。
【0007】
[1]電子機器を収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子機器に給電するための無線給電装置と、発光表示部と、を備え、前記無線給電装置が、回路基板と、前記回路基板上に実装された光源と、前記回路基板を収容する筐体とを有し、前記光源が発する光を前記発光表示部まで導く導光体が前記無線給電装置に取り付けられた、無線給電ケース。
[2]前記導光体が、前記無線給電装置の前記筐体に固定され、前記筐体と前記導光体の接続部分からの前記筐体の内部への水の浸入を抑えるために前記接続部分が止水部材に覆われた、上記[1]に記載の無線給電ケース。
[3]前記発光表示部が、前記収容部の開口部の周りの板状のパネル部の表面に露出するように設けられた、上記[1]に記載の無線給電ケース。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収容部に収容された電子機器に給電することができる無線給電装置を備えた無線給電ケースであって、発光表示機能を有しつつ製造コストが抑えられた無線給電ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線給電ケースの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る無線給電ケースの設置位置の例を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る無線給電装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、受電用コイルを内部に有する電子機器が収容された状態の無線給電ケースの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(無線給電ケースの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る無線給電ケース1の斜視図である。無線給電ケース1は、電子機器を収容する収容部10と、収容部10に収容された電子機器に給電するための無線給電装置20と、無線給電装置20の動作状態などに応じて発光表示を行う発光表示部272を備える。
【0011】
無線給電ケース1においては、無線給電装置20の給電用コイルと、収容部10に収容された電子機器の受電用コイルを用いた電磁誘導により無線給電が行われる。電子機器を収容部10に収容する(挿し入れる)ことにより、無線給電装置20の給電用コイルと電子機器の受電用コイルが平行に近い状態で近づき、電磁誘導による給電が行われる。
【0012】
無線給電装置20により給電することのできる電子機器は、受電用コイルなどが含まれる受電装置を有する機器であり、例えば、スマートフォンなどの携帯電話機、オーディオプレーヤー、携帯ゲーム機などである。
【0013】
発光表示部272は、収容部10に収容された電子機器の充電中、充電完了などの充電状態や、収容部10内に金属製の異物が検知されたことを発光表示することができる。また、発光表示部272の点灯、点滅などの発光のタイミングや、発光色などを使い分けることにより、これらの複数の異なる状態を表示することができる。
【0014】
なお、金属製の異物が無線給電装置20の給電用コイルと電子機器の受電用コイルの間又はその近傍に入り込んだ状態で無線給電が行われると、金属製の異物に電流が流れることにより、金属製の異物の発熱や電力の損失などの問題が生じ得る。このため、FODと呼ばれる異物検知の結果を行い、検知されたときにその旨を発光表示部272によって表示することにより、使用者に対処を促すことができる。
【0015】
発光表示部272は、無線給電ケース1が設置された状態において使用者から視認できる位置、例えば、無線給電ケース1が車両室内に設置された状態で車両室内から視認できる位置、に設けられる。
【0016】
収容部10は、電子機器を立てた状態で収容する、上方に開口する開口部を有するポケット状の容器である。ここで、立てた状態とは、電子機器の短辺の側面が収容部10の内側の底面に対向する状態をいう。
【0017】
収容部10は、例えば、
図1に示されるように、開口部の周りに板状のパネル部11を有する。例えば、無線給電ケース1を取り付け対象物に取り付けた際に、パネル部11が取り付け対象物のパネル部分の一部となる。
【0018】
図2は、無線給電ケース1の設置位置の例を概略的に示す図である。
図2に示される例では、無線給電ケース1は、自動車50の運転席51と助手席52の間に配置されたセンターコンソール53に設置される。この場合、無線給電ケース1のパネル部11が、センターコンソール53のアッパーパネルの一部となり、アッパーパネル内に発光表示部272が設けられる。
【0019】
無線給電ケース1がセンターコンソール53に設置される場合、運転席51に座った乗員と助手席52に座った乗員のいずれも無線給電ケース1の近傍に容易に手が届くため、無線給電ケース1を利用することができ、かつ、窮屈でない姿勢で無線給電ケース1に電子機器を収容し、また、取り出すことができる。
【0020】
図3は、無線給電装置20の斜視図である。
図4は、受電用コイル41を内部に有する電子機器40が収容された状態の無線給電ケース1の垂直断面図である。
【0021】
無線給電装置20は、無線給電用の給電用コイル21と、給電用コイル21に給電用の電流を流すための回路を有する、給電用コイル21に接続された回路基板25と、回路基板25を収容する筐体23と、回路基板25に接続された外部から電力を供給するためのハーネスコネクター24とを有する。
【0022】
筐体23は、
図1及び後述する
図4に示される例では、無線給電装置20を収容部10に取り付けたときに収容部10側を向く、FR4(ガラスエポキシ)などからなる底板231と、底板231に被せられて給電用コイル21や回路基板25を覆う樹脂製のカバー232を有する。
【0023】
無線給電装置20は、収容部10の側壁の外側の面101に着脱可能に取り付けられる。無線給電装置20は、収容部10に取り付け、取り外しができるため、メンテナンス性に優れる。給電用コイル21は、典型的には平面コイルであり、無線給電装置20が収容部10に取り付けられた状態で、収容部10の側壁の外側の面101に対向する位置に設けられている。
【0024】
図1、
図3に示される例では、筐体23は、無線給電装置20を収容部10へ取り付けるための、両側部から側方に突出した板状の第1の突出部233と、下端から下方に突出したネジ止め用の孔を有する第2の突出部234とを有する。無線給電装置20を収容部10へ取り付ける際には、まず、無線給電装置20を下方から収容部10へ近づけ、2つの第1の突出部233の各々を対応する第1の固定部102の溝107にスライドさせて嵌め込む。その後、第2の突出部234の孔を通してネジ13を第2の固定部103の孔にねじ込み、第2の突出部234を第2の固定部103に固定する。
【0025】
給電用コイル21は、筐体23の内部に設置されているため、結露により生じる水分などの給電用コイル21への付着を抑えることができる。なお、収容部10に収容された電子機器の受電用コイルとの距離をより小さくするために、給電用コイル21を筐体23の外側に設置してもよい。また、給電用コイル21の表面はノイズ低減フィルターなどの部品で覆われていてもよい。
【0026】
給電用コイル21の大きさや形状は、例えば、無線給電の規格に応じて設定される。給電用コイル21の形状は、典型的には角が丸められた四角形や円形であるが、電子機器の給電可能な位置の調整などのために、角が丸められた三角形や卵型などの他の形状を採用してもよい。
【0027】
無線給電装置20には、光源26が発する光を発光表示部272まで導く導光体27が取り付けられている。典型的には、導光体27は、無線給電装置20の筐体23に固定され、
図3に示される例では、筐体23のカバー232に固定されている。導光体27は、光源26が発する光を透過するPMMA(メタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)などの透明材料からなる。
【0028】
図4に示されるように、電子機器40は、無線給電装置20が取り付けられている側の収容部10の側壁の内面104に沿うように、かつ受電用コイル41が配置されている側の面(例えば、電子機器40がスマートフォンである場合は表示画面が設けられた面の反対側の面)が内面104側を向くように、収容部10に収容される。
【0029】
図4中の一点鎖線Cは、電子機器40の面内方向の中心位置を示している。一般的には、受電用コイル41は電子機器40の中心近くに配置されている。このため、受電用コイル41の面内方向の中心位置は、一点鎖線Cで表される位置とほぼ一致する。
【0030】
無線給電装置20の給電用の給電用コイル21と電子機器40の受電用コイル41は、電磁誘導による無線給電を行うために、給電用コイル21に流れる電流により生じる磁界が受電用コイル41の内側を通るような位置関係にある。このため、給電用コイル21の面内方向の中心位置と受電用コイル41の面内方向の中心位置がある程度近ければ無線給電が可能であり、種々のサイズの電子機器40に対応することができる。
【0031】
電子機器40は、収容部10内に立てた状態で収容されるため、上下方向の位置は収容部10の内側の底面105の深さにより決まる。そのため、電子機器40の上下方向の位置ずれはほぼなく、電子機器40を給電可能な位置へ精度よく収めることができる。
【0032】
無線給電ケース1においては、スマートフォンなどの電子機器40は、通常、その上側の一部が収容部10の外に突出した状態で収容部10内に収容される。このため、この突出した部分を掴んで電子機器40を収容部10から取り出すことができる。また、電子機器40が収容部10に収容された状態でも突出した部分を容易に視認することができるため、電子機器40の置き忘れなどを防ぎやすい。
【0033】
無線給電装置20の回路基板25上には、光源26が実装されている。光源26は、発光表示部272の発光の光源であり、LEDチップなどの発光素子が用いられる。フルカラーLEDなどの複数の色の光を発することのできる発光素子を光源26として用いる場合には、発光表示部272が複数の色で発光表示を行うことができる。
【0034】
無線給電装置20は、受電用コイル41と給電用コイル21を介して、電子機器40に含まれる受電装置から、電子機器40の充電状態などの電子機器40の状態に関する情報を含むデータを受信することができる。そして、例えば、この電子機器40に含まれる受電装置から受け取った情報に基づいて、回路基板25に実装されたコントローラが、同じく回路基板25に実装されたドライバを制御し、給電用コイル21に電流を流す。
【0035】
具体的には、電子機器40の充電状態に応じて、給電用コイル21に電流を流して電子機器40に給電したり、電流を止めて給電を終わらせたりすることができる。そして、給電用コイル21への電流の制御に伴って、コントローラが光源26の動作を制御して、充電(給電)中、充電(給電)完了などの状態に応じた発光をさせることができる。
【0036】
また、収容部10内の金属製の異物を検知する場合には、例えば、コントローラが給電用コイル21のQ値をモニターし、得られたQ値の大きさに応じて光源26の動作を制御して、金属製の異物が検知された場合に応じた発光を光源26にさせることができる。金属製の異物が収容部10内に入り込んだ場合には、給電用コイル21のQ値が、電子機器40が収容部10内に収容されたときとは異なる値を示すため、Q値をモニターすることにより、金属製の異物を検知することができる。
【0037】
図5は、
図4の光源26周辺の拡大図である。
図5に示されるように、光源26の発する光が導光体27の長さ方向の一方の端面である光取込面271に主に向かうように、光源26と導光体27が設置される。光源26から発せられて光取込面271から導光体27内に進入した光は、導光体27の内部を伝播し、導光体27の光取込面271の反対側の端面である発光表示部272から放出される。このため、光源26の発光のタイミング、発光色などの発光状態に応じて発光表示部272が発光する。
【0038】
図5などに示されるように、導光体27の発光表示部272側の先端が、パネル部11の裏側からパネル部11に設けられた孔に嵌め込まれ、発光表示部272がパネル部11の表面に露出している。導光体27は、典型的には光取込面271と発光表示部272を端面とする棒状の形状を有するが、光源26と発光表示部272の位置関係などに応じて屈曲した形状など、様々な形状をとることができる。
【0039】
図5などに示される例では、導光体27の光取出面を発光表示部272として用いているが、発光表示部272は導光体27とは別部品であってもよい。例えば、パネル部11内に埋め込まれた透明部材を発光表示部272として、導光体27がその透明部材まで光を導くような構成であってもよい。
【0040】
上述のように、無線給電ケース1においては、回路基板25に直接実装された光源26から導光体27を用いて発光表示部272まで光を導き、発光させる。このため、ハーネスを用いて回路基板25に光源を接続するような構成をとる場合と比較して、製造コストを抑えることができる。
【0041】
回路基板25には、外部からの給電用のハーネスコネクター24や、その他、コンソールなどに設けられるボタンなどの操作部との接続を行うためのハーネスコネクターなどが設けられる場合があるが、発光表示部272用のハーネスコネクターは不要である。
【0042】
筐体23と導光体27の接続部分からの筐体23の内部への水の浸入を抑えるために、その接続部分が止水部材に覆われていることが好ましい。
図3~5に示される例では、導光体27の筐体23と接触する幅広部273の側面を筐体23の一部である環状の突起28が覆い、筐体23と導光体27の隙間からの筐体23の内部への水の浸入を抑えている。この場合、筐体23の(例えばカバー232の)突起28が止水部材として機能する。なお、止水部材の形態は特に限定されず、例えば、止水テープを筐体23と導光体27の接続部分の周りに巻き付けて、止水部材として用いてもよい。
【0043】
(実施の形態の効果)
上記の本発明の実施の形態に係る無線給電ケース1においては、回路基板25に直接実装された光源26から導光体27を用いて発光表示部272まで光を導き、発光させるため、ハーネスを用いて回路基板25に光源を接続するような構成をとる場合と比較して、製造コストを抑えることができる。このため、無線給電ケース1は、発光表示機能を有しつつ製造コストが抑えられている。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0045】
例えば、上記の無線給電ケース1においては、無線給電の方式に電磁誘導方式を採用しているが、電界結合方式などの他の方式を採用してもよい。また、上記の無線給電ケース1は、電子機器40を立てた状態で収容する構造を有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、電子機器40をトレー状の収容部内に平置きした状態で給電を行う構造を有していてもよい。
【0046】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0047】
1 無線給電ケース
10 収容部
11 パネル部
20 無線給電装置
23 筐体
25 回路基板
26 光源
27 導光体
272 発光表示部
28 突起
40 電子機器