(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073026
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】3座ピンサー型ニッケル触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 31/24 20060101AFI20240522BHJP
C07F 15/04 20060101ALI20240522BHJP
C07F 19/00 20060101ALI20240522BHJP
C07F 9/50 20060101ALI20240522BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240522BHJP
【FI】
B01J31/24 Z
C07F15/04
C07F19/00
C07F9/50
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184002
(22)【出願日】2022-11-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載年月日 令和 3年11月25日 掲載アドレス https://www.ssocj.jp/kanto/81/index.html 開催日 令和 3年11月27日 開催場所 オンライン(Zoom)による開催 集会名 第81回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
(71)【出願人】
【識別番号】000242002
【氏名又は名称】北興化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳隆
(72)【発明者】
【氏名】沼里 征樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】難波 光太郎
【テーマコード(参考)】
4G169
4H039
4H050
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169AA11
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE02A
4G169BE02B
4G169BE06A
4G169BE06B
4G169BE10A
4G169BE10B
4G169BE14A
4G169BE14B
4G169BE26A
4G169BE27A
4G169BE27B
4G169BE36A
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE46A
4G169BE46B
4G169CB25
4G169CB66
4G169DA04
4G169EC27
4G169FA01
4H039CA41
4H039CL25
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アリールグリニャール試薬とハロゲン化アリールとのクロスカップリング反応が効率よく進行することのできる新規な3座ピンサー型ニッケル触媒を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される3座ピンサー型ニッケル触媒。
(式中、R
1は分岐鎖状のアルキル基、または芳香族基を示し、R
2は分岐鎖状のアルキル基、芳香族基、または脂環式基を示す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される3座ピンサー型ニッケル触媒。
【化1】
(式中、R
1は分岐鎖状のアルキル基、または芳香族基を示し、R
2は分岐鎖状のアルキル基、芳香族基、または脂環式基を示す。)
【請求項2】
R1が、t-ブチル基、またはフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の3座ピンサー型ニッケル触媒。
【請求項3】
R2が、i-プロピル基、t-ブチル基、C1-C6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはシクロヘキシル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の3座ピンサー型ニッケル触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成化学的に重要なクロスカップリング反応に高い活性を示す触媒である3座ピンサー型ニッケル触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゼン環同士が直接結合したビアリール化合物は、医薬品や農薬、電子材料などの機能性材料における重要な炭素骨格である。特に非対称ビアリール化合物は、その原料や中間体として非常に有用である。
非対称ビアリール化合物の合成手法の一つに、遷移金属錯体を触媒として用い、求電子試薬としてハロゲン化アリールを求核試薬として有機金属試薬の一つであるアリールグリニャール試薬を用いたビアリールクロスカップリング反応を挙げることができる(特許文献1~2、非特許文献1~2参照)。
これらの方法では、通常、触媒としてニッケル触媒やパラジウム触媒が使用されるが、パラジウム触媒はコストが高価となるため、工業的製造法としては、ニッケル触媒を用いることができる方が好ましい。
【0003】
求電子試薬としてのハロゲン化アリールには、有機塩化物や有機臭化物、有機ヨウ化物が、一般的に用いられている。一方、有機フッ素化合物は、物理的、化学的、および生物的に特徴的な性質を賦与することができることから、医農薬品や機能性材料に広く利用されている。しかし、炭素-フッ素結合は有機化合物における最も強固な単結合である。そのため、有機フッ素化合物を原料として非対称ビアリール化合物を合成するためには、非常に安定な炭素-フッ素結合を切断し、それに続く炭素-炭素結合生成反応、すなわちフッ化アリールを求電子試薬として用いたクロスカップリング反応の開発は有機化学分野における重要な課題である。
本発明者らは、非特許文献3、4において、配位原子が異なる4種類の3座ピンサー型ニッケル錯体を系統的に合成し、これらのニッケル錯体を用いたハロゲン化アリールとアリールグリニャール試薬とのクロスカップリング反応を子細に検討した。その結果、β-アミノケトナト型ONL錯体、およびβ-ジケトイミナト型NNL錯体のいずれにおいても、それぞれ下記式(2)、(3)に示す配位部位Lとしてリン配位子を有する錯体[ONP
Me]および錯体[NNP]が優れた触媒として機能することを報告した。特に、錯体[NNP]はフッ化アリールを求電子試薬として用いたクロスカップリング反応に対して高い触媒活性を示すことを明らかにしている。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-173756号公報
【特許文献2】特開2009-34672号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Zhong-Xia Wang et al, “Cross-Coupling of ArX with ArMgBr Catalyzed by N-Heterocyclic Carbene-Based Nickel Complexes”, J. Org. Chem. 2013, 78, 1054.
【非特許文献2】Zhong-Xia Wang et al, “P,N,N-Pincer nickel-catalyzed cross-coupling of aryl fluorides and chlorides”, Org. Biomol. Chem. 2014, 12, 6414.
【非特許文献3】Yamaguchi, Y. et al, “Acetylacetonato-based pincer-type nickel(II) complexes: synthesis and catalysis in cross-couplings of aryl chlorides with aryl Grignard reagents”, Dalton Trans. 2018, 47, 8003.
【非特許文献4】Yamaguchi, Y. et al, “A β-Diketiminato-Based Pincer-Type Nickel(II) Complex: Synthesis and Catalytic Performance in the Cross-Coupling of Aryl Fluorides with Aryl Grignard Reagents” Eur. J. Inorg. Chem. 2019, 126.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
錯体[NNP]は、錯体[ONPMe]に比べ、窒素上にかさ高い2,4,6-トリメチルフェニル基が存在することから、ニッケル中心における反応基質との立体障害により反応が阻害されることが懸念される。これらの理由から、β-ジケトイミナト型NNP錯体の触媒活性を凌駕するβ-アミノケトナト型ONP錯体の開発が強く求められる。
そこで、ONP型配位子における置換基修飾を施すことにより、高活性ONP型錯体の開発を検討することにした。この目的を実現するために、新規ONP型配位子の設計・合成を行った。実際には、出発原料としてアセチルアセトンの代わりにジピバロイルメタンおよびジベンゾイルメタンを用いたONP型配位子前駆体を合成し、これらの配位子を有する新規3座ピンサー型ニッケル錯体を合成した。
本発明は、アリールグリニャール試薬とハロゲン化アリールとのクロスカップリング反応が効率よく進行することのできる新規な3座ピンサー型ニッケル触媒を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するための手段は以下の通りである。
1.下記一般式(1)で表される3座ピンサー型ニッケル触媒。
【化2】
(式中、R
1は分岐鎖状のアルキル基、または芳香族基を示し、R
2は分岐鎖状のアルキル基、芳香族基、または脂環式基を示す。)
2.R
1が、t-ブチル基、またはフェニル基であることを特徴とする1.に記載の3座ピンサー型ニッケル触媒。
3.R
2が、i-プロピル基、t-ブチル基、C1-C6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはシクロヘキシル基であることを特徴とする1.または2.に記載の3座ピンサー型ニッケル触媒。
【発明の効果】
【0008】
本発明の3座ピンサー型ニッケル触媒により、アリールグリニャール試薬とハロゲン化アリールとのクロスカップリング反応を効率よく進行させることができる。
本発明の3座ピンサー型ニッケル触媒は、空気中で安定であり、取り扱いが容易である。
本発明の3座ピンサー型ニッケル錯体により、フッ化アリール化合物とアリールグリニャール試薬のクロスカップリング反応が効率よく進行させることができる。また、塩化アリール化合物、臭化アリール化合物とのクロスカップリング反応も効率よく進行させることができる。本発明の3座ピンサー型ニッケル触媒を用いたクロスカップリング反応により、フッ素基を含む、幅広いハロゲン化アリールを原料として、医農薬品や機能性材料に広く利用されているビアリール化合物等を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の3座ピンサー型ニッケル触媒(以下、ニッケル触媒ともいう)は、下記一般式(1)で表される。
【化3】
(式中、R
1は分岐鎖状のアルキル基、または芳香族基を示し、R
2は分岐鎖状のアルキル基、芳香族基、または脂環式基を示す。)
【0010】
一般式(1)で表されるニッケル触媒において、それぞれ独立してR1、R2で示される分岐鎖状のアルキル基としては、C3~C12の分岐鎖状のアルキル基である。具体的には、i-プロピル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。分岐鎖状のアルキル基としては、2級アルキル基または3級アルキル基が好ましく、i-プロピル基、t-ブチル基がより好ましい。
【0011】
一般式(1)で表されるニッケル触媒において、それぞれ独立してR1、R2で示される芳香族基としては、C6~C18アリール基である。具体的には、フェニル基、2-トリル基、3-トリル基、4-トリル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4―t―ブトキシフェニル基、3―t―ブトキシフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基、2,5-ジメトキシフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2-(トリフルオロメトキシ)フェニル基、3-(トリフルオロメトキシ)フェニル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、3,4-(メチレンジオキシ)フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。芳香族基としては、フェニル基、2-トリル基、3-トリル基、4-トリル基が好ましい。
【0012】
一般式(1)で表されるニッケル触媒において、それぞれ独立してR1、R2で示される脂環式基としては、C3~C18シクロアルキル基、C3~C18のシクロアルケニル基を含み、単環式もしくは多環式シクロアルキル基のいずれでもよく、例えば、アダマンチル基またはノルボニル基であってもよい。
C3~C18のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、2-メチルシクロプロピル基、1,2-ジメチルシクロプロピル基、2,2-ジメチルシクロプロピル基、2,3-ジメチルシクロプロピル基、2,4-ジメチルシクロプロピル基、3,3-ジメチルシクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、(1-メチルシクロプロピル)メチル基、(2-メチルシクロプロピル)メチル基、1-シクロプロピルエチル基、2-シクロプロピルエチル基、(1,2-ジメチルシクロプロピル)メチル基、(2,2-ジメチルシクロプロピル)メチル基、(1-エチルシクロプロピル)メチル基、(2-エチルシクロプロピル)メチル基、1-(1’-メチルシクロプロピル)エチル基、1-(2’-メチルシクロプロピル)エチル基、2-(1’-メチルシクロプロピル)エチル基、2-(2’-メチルシクロプロピル)エチル基、1-シクロプロピルプロピル基、2-シクロプロピルプロピル基、3-シクロプロピルプロピル基、1,2,2-トリメチルシクロプロピル基、1,2,3-トリメチルシクロプロピル基、2,2,3-トリメチルシクロプロピル基、1-エチル-2-メチルシクロプロピル基、2-エチル-1-メチルシクロプロピル基、2-エチル-2-メチルシクロプロピル基、1-プロピルシクロプロピル基、2-プロピルシクロプロピル基、シクロブチル基、1-メチルシクロブチル基、2-メチルシクロブチル基、3-メチルシクロブチル基、シクロブチルメチル基、(1-メチルシクロブチル)メチル基、(2-メチルシクロブチル)メチル基、(3-メチルシクロブチル)メチル基、1-シクロブチルエチル基、2-シクロブチルエチル基、1,2-ジメチルシクロブチル基、2,2-ジメチルシクロブチル基、2,3-ジメチルシクロブチル基、3,3-ジメチルシクロブチル基、1-エチルシクロブチル基、2-エチルシクロブチル基、3-エチルシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、1-メチルシクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1-メチルシクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2-シクロヘキシルエチル基、アダマンチル基、ノルボニル基等が挙げられる。
【0013】
C3~C18のシクロアルケニル基としては、1-シクロプロペニル基、2-シクロプロペニル基、(1-シクロプロペニル)メチル基、(2-シクロプロペニル)メチル基、1-シクロブテニル基、2-シクロブテニル基、2,3,3-トリフルオロ-1-シクロブテニル基、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、シクロヘキサ-2-エン-1-イル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-7-イル基、ビシクロ[3.2.1]オクタ-1-エン-3-イル基、1-フェニルビニル基、2-フェニルビニル基、3-フェニル-2-プロペニル基、シンナミル基(3-フェニルプロパ-2-エン-1-イル基)、2-エトキシエチレン基等が挙げられる。
脂環式基として具体的には、C3~C8シクロアルキル基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がより好ましい。
【0014】
本発明のニッケル触媒は、従来の触媒では反応させることが困難であるアリールグリニャール試薬とフッ化アリールを含むハロゲン化アリールとのクロスカップリング反応を進行させることができ、高効率でクロスカップリング体を製造することができる。
【実施例0015】
次に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0016】
・配位子前駆体H-ONP
t-Buの合成
【化4】
反応はすべて窒素雰囲気下または真空下で行った。シュレンクフラスコにモレキュラーシーブス3A(1.50g)を入れ真空下で加熱した後、室温まで放冷した。そこに、2-(ジフェニルホスフィノ)エチルアミン(2676mg,11.67mmol)、ジピバロイルメタン(4320mg,23.44mmol)を加え、130℃で45時間加熱撹拌した。CH
2Cl
2に溶解したのち、セライト503を詰めたGlass Filterを用いてろ過にすることによりモレキュラーシーブス3Aを除去し、減圧下で溶媒を留去した。得られた橙色のオイルを-78℃に冷却したペンタンで洗浄し、吸引ろ過することにより白色粉末を得た。その後、真空乾燥することにより配位子前駆体H-ONP
t-Buを白色固体として得た(2453mg,6.20mmol,53%)。
【0017】
1HNMR(500MHz,CDCl3)δppm:1.14(s,9H,C(CH3)3),1.15(s,9H,C(CH3)3),2.42(m,2H,NCH2CH
2P),3.52(m,2H,NCH
2CH2P),5.27(s,1H,CH),7.32-7.35(m,6H,C6H5),7.41-7.44(m,4H,C6H5),11.84(brs,1H,NH).
13C{1H}NMR(125MHz,CDCl3)δppm:28.1(s,C(CH3)3),29.0(s,C(CH3)3),29.8(d,J=13.7Hz,NCH2
CH2P),35.9(s,C(CH3)3),41.7(s,C(CH3)3),42.7(d,J=28.4Hz,NCH2CH2P),86.4(s,OCCCN),128.5(d,J=7.3Hz,P-m-C6H5),128.9(s,P-p-C6H5),132.6(d,J=19.2Hz,P-o-C6H5),137.4(d,J=11.9Hz,P-ipso-C6H5),173.6(s,OCCCN),203.9(s,OCCCN).
31P{1H}NMR(202MHz,CDCl3)δppm:-21.1.
HRMS(FAB+)m/z[M+H]+Calc.forC25H35NOP:396.2456;Found396.2452.
【0018】
・配位子前駆体H-ONP
Phの合成
【化5】
反応はすべて窒素雰囲気下または真空下で行った。シュレンクフラスコにモレキュラーシーブス3A(0.96g)を入れ真空下で加熱した後、室温まで放冷した。そこに、2-(ジフェニルホスフィノ)エチルアミン(1093mg,4.77mmol)、トルエン10ml、ジベンゾイルメタン(2142mg,9.55mmol)を加えて、45時間加熱還流を行った。CH
2Cl
2に溶解したのち,セライト503を詰めたGlassFilterを用いてろ過にすることによりモレキュラーシーブス3Aを除去し、減圧下で溶媒を留去した。得られた黄色粉末をジエチルエーテルで洗浄し真空乾燥することにより、配位子前駆体H-ONP
Phを薄黄色粉末として得た(1367mg,3.14mmol,66%)。
配位子前駆体H-ONP
Phをトルエンに溶解させ冷却法による再結晶を行うことで薄黄色の単結晶を得た。単結晶X線構造解析によりH-ONP
Phの構造を確認した。
【0019】
1HNMR(500MHz,CDCl3)δppm:2.31(m,2H,NCH2CH
2P),3.32(m,2H,NCH
2CH2P),5.74(s,1H,CH),7.27-7.45(m,18H,C6H5),7.88(d,J=6.9Hz,2H,o-C6H5),11.5(brs,1H).
13C{1H}NMR(125MHz,CDCl3)δppm:30.4(d,J=14.7Hz, NCH2
CH2P),41.7(d,J=24.7Hz,NCH2CH2P),93.8(s,OCCCN),127.0(s,C-C
6H5),127.6(s,C-C
6H5),128.2(s,C-C
6H5),128.5(d,J=7.3Hz,P-m-C6H5),128.5(s,P-p-C6H5),128.8(s,C-C
6H5),129.4(s,C-p-C
6H5),130.7(s,C-p-C
6H5),132.5(d,J=18.3Hz,P-o-C6H5),135.4(s,C-ipso-C
6H5),137.4(d,J=11.9Hz,P-ipso-C6H5),140.2(s,C-ipso-C
6H5),166.3(s,OCCCN),188.5(s,OCCCN).
31P{1H}NMR(202MHz,CDCl3)δppm:-21.7.
Anal. Calc. for C29H26NOP:C,79.98;H,6.02;N, 3.22%.Found:C,79.65;H,5.94;N,3.15%.
【0020】
Crystal data:C29H26NOP,FW=435.50,triclinic,a=9.99986(10),b=11.47080(11),c=11.60950(12)A,α=101.1620(8),β=114.3660(10),γ=96.7261(8)°,V=1160.85(2)A3,space group P-1(#2),Z=2,Dc=1.246gcm-3,F(000)=460.00,T=223(1)K,μ(Cu-Kα)=12.037cm-1,23637 reflections measured,4168 independent(Rint=0.0284).The final refinement converged to R1=0.0542 for I>2.00σ(I),wR2=0.1513 for all data.
【0021】
・3座ピンサー型ニッケル触媒[ONP
t-Bu]の合成
【化6】
反応はすべて窒素雰囲気下または真空下で行った。シュレンクフラスコに配位子前駆体H-ONP
t-Bu(1894mg,4.79mmol)、THF(30ml)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)(3148mg,4.81mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、トリエチルアミン(0.8ml,584mg,5.77mmol)を加え、50℃で一晩撹拌した。セライト503を詰めたGlass Filterを用いて反応溶液をろ過し、減圧下で溶媒を除去することにより赤色粉末を得た。ヘキサンで洗浄した後、真空乾燥した。得られた赤色粉末をTHFに溶解させ冷却法による再結晶を行うことで、3座ピンサー型ニッケル触媒[ONP
t-Bu]を赤色結晶として得た(2014mg,4.12mmol,86%)。
単結晶X線構造解析により3座ピンサー型ニッケル触媒[ONP
t-Bu]の構造を確認した。
【0022】
1HNMR(500MHz,CDCl3)δppm:1.17(s,9H,C(CH3)3),1.27(s,9H,C(CH3)3),1.79(brm,2H,NCH2CH
2P),3.51(dt,J=31.5,6.3Hz,2H,NCH
2CH2P),5.46(s,1H,CH),7.44-7.53(m,6H,C6H5),8.08-8.13(m,4H,C6H5).
13C{1H}NMR(125MHz,CDCl3)δppm:28.8(d,J=22.9Hz,NCH2
CH2P),28.9(s,C(CH3)3),31.1(s,C(CH3)3),38.9(s,NCC(CH3)3),39.5(d,J=3.7Hz,OCC(CH3)3),54.1(d,J=9.2Hz,NCH2CH2P),91.2(s,OCCCN),128.7(d,J=10.1Hz,P-m-C6H5),129.0(d,J=50.4Hz,P-ipso-C6H5),131.1(s,P-p-C6H5),133.5(d,J=10.1Hz,P-o-C6H5),174.5(s,OCCCN),189.3(s,OCCCN).
31P{1H}NMR(202MHz,CDCl3)δppm:35.9.
Anal. Calc. for C25H33ClNNiOP:C,61.45;H,6.81;N,2.87%.Found:C,61.32;H,7.04;N,2.79%.
【0023】
Crystal data:C25H33ClNNiOP,FW=488.67,monoclinic,a=13.8928(3),b=10.01550(14),c=18.2941(4)A,β=105.724(2)°,V=2450.25(9)A3,space group P21/n(#14),Z=4,Dc=1.325gcm-3,F(000)=1032.00,T=223(1)K,μ(Mo-Kα)=9.824cm-1,40859 reflections measured,5413 independent (Rint=0.0251).The final refinement converged to R1=0.0284 for I>2.00σ(I),wR2=0.0740 for all data.
【0024】
・3座ピンサー型ニッケル触媒[ONP
Ph]の合成
【化7】
反応はすべて窒素雰囲気下または真空下で行った。シュレンクフラスコに配位子前駆体H-ONP
Ph(907mg,2.08mmol)、THF(20ml)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)(906mg,1.39mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、トリエチルアミン(0.23mL,168mg,1.66mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。セライト503を詰めたGlass Filter用いてろ過し、減圧下で溶媒を除去することにより赤色粉末を得た。ジエチルエーテルで洗浄した後、真空乾燥を行った。得られた赤色粉末をTHFに溶解させ冷却法による再結晶を行うことで、3座ピンサー型ニッケル触媒[ONP
Ph]を赤色結晶として得た(647mg,1.22mmol,88%)。
3座ピンサー型ニッケル触媒[ONP
Ph]は単結晶X線構造解析によりその構造を確認した。
【0025】
1HNMR(500MHz,CDCl3)δppm:1.91(dt,J=10.7,6.6Hz,2H,NCH2CH
2P),3.07(dt,J=27.4,6.6Hz,2H,NCH
2CH2P),5.76(s,1H,CH),7.14(dd,J=7.6,2.2Hz,2H,C6H5),7.26-7.39(m,6H,C6H5),7.46-7.50(m,4H,C6H5),7.53-7.56(m,2H,C6H5),7.86(m,2H,C6H5),8.11(m,4H,C6H5).
13C{1H}NMR(125MHz,CDCl3)δppm:30.6(d,J=27.5Hz,NCH2
CH2P),55.0(d,J=6.4Hz,NCH2CH2P),97.5(s,OCCCN),126.2(s,C-C
6H5),127.3(s,C-C
6H5),128.0(s,C-C
6H5),128.1(d,J=51.3Hz,P-ipso-C6H5),128.3(s,C-C
6H5),128.6(s,C-C
6H5),128.9(d,J=10.1Hz,P-m-C6H5),129.9(s,C-C
6H5),131.5(d,J=2.7Hz,P-p-C6H5),133.4(d,J=10.1Hz,P-o-C6H5),137.4(d,J=5.5Hz,C-ipso-C
6H5),140.1(s,C-ipso-C
6H5),168.9(s,OCCCN),172.3(s,OCCCN).
31P{1H}NMR(202MHz,CDCl3)δppm:38.4.
Anal. Calc. for C29H25ClNNiOP: C,65.89; H,4.77;N, 2.65%.Found:C,65.77;H,4.73;N,2.62%.
【0026】
Crystal data:C29H25ClNNiOP,FW=528.65,triclinic,a=9.73667(11),b=12.63480(16),c=20.4989(2)A,α=90.6335(10),β=93.9443(9),γ=95.2804(10)°,V=2504.76(5)A3,space group P-1(#2),Z=4,Dc=1.402gcm-3,F(000)=1096.00,T=223(1)K,μ(Mo-Kα)=9.676cm-1,64423 reflections measured,10919 independent(Rint=0.0228).The final refinement converged to R1=0.0292 for I>2.00σ(I),wR2=0.0686 for all data.
【0027】
・[ONP
Me]および[NNP]の合成
上記非特許文献3および4に記載された方法に従い、一般式(2)、(3)に示す3座ピンサー型ニッケル錯体[ONP
Me]および[NNP]を得た。
【化8】
【0028】
「実施例1-1」
【化9】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(37.7mg,0.24mmol)、フルオロベンゼン(96.5mg,1.00mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.07M THF溶液,1.40ml,1.50mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率95%で得られた。
【0029】
「実施例1-2」
【化10】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.0mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(33.1mg,0.21mmol)、フルオロベンゼン(96.9mg,1.01mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.07M THF溶液,1.40ml,1.50mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率68%で得られた。
【0030】
「比較例1-1」
【化11】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](9.9mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(35.0mg,0.22mmol)、フルオロベンゼン(96.3mg,1.00mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.07M THF溶液,1.40ml,1.50mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率71%で得られた。
【0031】
「比較例1-2」
【化12】
窒素置換したシュレンクフラスコに[NNP](12.8mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(35.6mg,0.23mmol)、フルオロベンゼン(95.9mg,1.00mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.07M THF溶液,1.40ml,1.50mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率68%で得られた。
【0032】
「実施例2-1」
【化13】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(32.5mg,0.21mmol)、4-フルオロトルエン(110.7mg,1.01mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率84%で得られた。
【0033】
「実施例2-2」
【化14】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(32.4mg,0.21mmol)を加えた後、4-フルオロトルエン(109.8mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率40%で得られた。
【0034】
「比較例2-1」
【化15】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.1mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(32.5mg,0.21mmol)、4-フルオロトルエン(109.6mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率39%で得られた。
【0035】
「比較例2-2」
【化16】
窒素置換したシュレンクフラスコに[NNP](26.1mg,0.05mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてオクタデカン(132.9mg,0.52mmol)を加えた後、4-フルオロトルエン(111.9mg,1.02mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液,1.20ml,1.20mmol)を加え、反応溶液を25℃で6時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジエチルエーテルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率52%で得られた。
【0036】
「実施例3-1」
【化17】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(33.4mg,0.21mmol)、2-フルオロトルエン(109.6mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率44%で得られた。
【0037】
「実施例3-2」
【化18】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(33.0mg,0.21mmol)、2-フルオロトルエン(110.4mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率17%で得られた。
【0038】
「比較例3-1」
【化19】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.1mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(32.6mg,0.21mmol)、2-フルオロトルエン(109.5mg,0.99mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率20%で得られた。
【0039】
「比較例3-2」
【化20】
窒素置換したシュレンクフラスコに[NNP](13.0mg,0.025mmol)、CPME溶媒(5ml)、内部標準としてオクタデカン(130.2mg,0.51mmol)、2-フルオロトルエン(110.2mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液,1.50mL,1.50mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジエチルエーテルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率16%で得られた。
【0040】
「実施例4-1」
【化21】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(34.7mg,0.22mmol)、フルオロベンゼン(96.7mg,1.01mmol)、o-トリルマグネシウムブロマイド(0.80M THF溶液,1.90ml,1.52mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率18%で得られた。
【0041】
「実施例4-2」
【化22】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(36.6mg,0.23mmol)、フルオロベンゼン(95.0mg,0.99mmol)、o-トリルマグネシウムブロマイド(0.80M THF溶液,1.90ml,1.52mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率9%で得られた。
【0042】
「比較例4-1」
【化23】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.3mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(36.0mg,0.23mmol)、フルオロベンゼン(96.2mg,1.00mmol)、o-トリルマグネシウムブロマイド(0.80M THF溶液,1.90ml,1.52mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率18%で得られた。
【0043】
「比較例4-2」
【化24】
窒素置換したシュレンクフラスコに[NNP](13.0mg,0.025mmol)、CPME溶媒(5ml)、内部標準としてオクタデカン(126.4mg,0.50mmol)、フルオロベンゼン(95.5mg,0.99mmol)、o-トリルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液,1.50mL,1.50mmol)を加え、反応溶液を60℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジエチルエーテルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率61%で得られた。
【0044】
「実施例5-1」
【化25】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、1,4-ジフルオロベンゼン(113.0mg,0.99mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,2.50ml,2.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジクロロメタンを用いて抽出した。抽出した有機層を減圧下で溶媒を除去し、ジクロロメタン及びヘキサンを用いた気液拡散法にて再結晶させることで、p-テルフェニル(1,4-ジフェニルベンゼン)を白色固体として得た(201.3mg,0.87mmol,88%)。
【0045】
「実施例5-2」
【化26】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、1,4-ジフルオロベンゼン(115.4mg,1.01mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,2.50mL,2.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジクロロメタンを用いて抽出した。抽出した有機層を減圧下で溶媒を除去し、ジクロロメタン及びヘキサンを用いた気液拡散法にて再結晶させることで、p-テルフェニル(1,4-ジフェニルベンゼン)を白色固体として得た(0.180g,0.78mmol,77%)。
【0046】
「比較例5-1」
【化27】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.1mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、1,4-ジフルオロベンゼン(112.4mg,0.99mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,2.50ml,2.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジクロロメタンを用いて抽出した。抽出した有機層を減圧下で溶媒を除去し、ジクロロメタン及びヘキサンを用いた気液拡散法にて再結晶させることで、p-テルフェニル(1,4-ジフェニルベンゼン)を白色固体として得た(112.6mg,0.49mmol,49%)。
【0047】
「実施例6-1」
【化28】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(37.2mg,0.24mmol)、クロロベンゼン(112.3mg,1.00mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.13M THF溶液,1.30ml,1.47mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率96%で得られた。
【0048】
「実施例6-2」
【化29】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(36.2mg,0.23mmol)、クロロベンゼン(111.1mg,0.99mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.07M THF溶液,1.40ml,1.50mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率82%で得られた。
【0049】
「比較例6-1」
【化30】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(30.5mg,0.20mmol)、クロロベンゼン(112.5mg,1.00mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.13M THF溶液,1.30ml,1.47 mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率88%で得られた。
【0050】
「実施例7-1」
【化31】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(35.9mg,0.23mmol)、4-クロロトルエン(126.6mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率97%で得られた。
【0051】
「実施例7-2」
【化32】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(34.2mg,0.22mmol)、4-クロロトルエン(125.7mg,0.99mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率82%で得られた。
【0052】
「比較例7-1」
【化33】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(35.1mg,0.22mmol)、4-クロロトルエン(126.9mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率88%で得られた。
【0053】
「実施例8-1」
【化34】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.1mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(36.7mg,0.23mmol)、2-クロロトルエン(126.8mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率87%で得られた。
【0054】
「実施例8-2」
【化35】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(36.7mg,0.23mmol)、2-クロロトルエン(126.6mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率83%で得られた。
【0055】
「比較例8-1」
【化36】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてオクタデカン(112.3mg,0.44mmol)、2-クロロトルエン(131.1mg,1.04mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液,1.50ml,1.50mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジエチルエーテルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率67%で得られた。
【0056】
「実施例9-1」
【化37】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(34.7mg,0.22mmol)、クロロベンゼン(113.0mg,1.00mmol)、o-トリルマグネシウムブロマイド(0.80M THF溶液,1.90ml,1.52mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率73%で得られた。
【0057】
「実施例9-2」
【化38】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(31.7mg,0.20mmol)、クロロベンゼン(113.0mg,1.00mmol)、o-トリルマグネシウムブロマイド(0.80M THF溶液,1.90ml,1.52mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率63%で得られた。
【0058】
「比較例9-1」
【化39】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてオクタデカン(117.7mg,0.46mmol)、クロロベンゼン(113.6mg,1.01mmol)、o-トリルマグネシウムブロマイド(0.95M THF溶液,1.60ml,1.52mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジエチルエーテルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、2-メチルビフェニルが収率60%で得られた。
【0059】
「実施例10-1」
【化40】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.1mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、1,4-ジクロロベンゼン(147.0mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,2.50ml,2.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジクロロメタンを用いて抽出した。抽出した有機層を減圧下で溶媒を除去し、ジクロロメタン及びヘキサンを用いた気液拡散法にて再結晶させることで、p-テルフェニル(1,4-ジフェニルベンゼン)を白色固体として得た(205.6mg,0.89mmol,89%)。
【0060】
「実施例10-2」
【化41】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、1,4-ジクロロベンゼン(147.7mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,2.50ml,2.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジクロロメタンを用いて抽出した。抽出した有機層を減圧下で溶媒を除去し、ジクロロメタン及びヘキサンを用いた気液拡散法にて再結晶させることで、p-テルフェニル(1,4-ジフェニルベンゼン)を白色固体として得た(194.2mg,0.84mmol,84%)。
【0061】
「比較例10-1」
【化42】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.1mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、1,4-ジクロロベンゼン(146.6mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,2.50ml,2.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、ジクロロメタンを用いて抽出した。抽出した有機層を減圧下で溶媒を除去し、ジクロロメタン及びヘキサンを用いた気液拡散法にて再結晶させることで、p-テルフェニル(1,4-ジフェニルベンゼン)を白色固体として得た(191.6mg,0.83mmol,83%)。
【0062】
「実施例11-1」
【化43】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(35.4mg,0.23mmol)、ブロモベンゼン(157.3mg,1.00mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.13M THF溶液,1.30ml,1.47mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率97%で得られた。
【0063】
「実施例11-2」
【化44】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(36.9mg,0.24mmol)、ブロモベンゼン(157.6mg,1.00mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.07M THF溶液,1.40ml,1.50mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率88%で得られた。
【0064】
「比較例11-1」
【化45】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.0mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(34.5mg,0.22mmol)、ブロモベンゼン(157.3mg,1.00mmol)、p-トリルマグネシウムブロマイド(1.13M THF溶液,1.30ml,1.47mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率90%で得られた。
【0065】
「実施例12-1」
【化46】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
t-Bu](12,2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(33.3mg,0.21mmol)、4-ブロモトルエン(171.0mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率90%で得られた。
【0066】
「実施例12-2」
【化47】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Ph](13.2mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(35.1mg,0.22mmol)、4-ブロモトルエン(171.0mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率88%で得られた。
【0067】
「比較例12-1」
【化48】
窒素置換したシュレンクフラスコに[ONP
Me](10.1mg,0.025mmol)、THF溶媒(5ml)、内部標準としてn-ウンデカン(36.3mg,0.23mmol)、4-ブロモトルエン(171.0mg,1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(0.995M THF溶液,1.50ml,1.49mmol)を加え、反応溶液を25℃で3時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を停止した後、酢酸エチルを用いて反応溶液の一部をフロリジールでろ過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、4-メチルビフェニルが収率82%で得られた。