(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007303
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】水難救命スーツ
(51)【国際特許分類】
B63C 9/087 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
B63C9/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022118290
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】504390702
【氏名又は名称】篠田 静男
(72)【発明者】
【氏名】篠田 静男
(57)【要約】
【課題】[0016]船舶の海難時における救命設備には救命ボート、救命いかだ、救命胴衣などが実用に供されている。その中でも救命胴衣については遭難者が着用することにより水上での浮力性のみが重視され低温の海水、湖水、川水等から水難者の体温を保護し低体温症を防ぐことができないという問題点があった。また、小型船舶での乗船定員数を満たすための救命ボート、救命いかだは設備費用が高額になるため装備されていなかった。
【解決手段】[0017]本発明の水難救命スーツでは、スーツの製作素材を気泡緩衝材としてる
め気泡緩衝材の保温効果により低温の海水、湖水、川水等から水難者の体温を保護し水難者の体温が保たれる。また外部からの衝撃により素材の一部が破損しても破損部分の一部の浮力を失うだけで水難救命スーツ全体の浮力の効果は失われない。さらには気泡緩衝材に赤や黄色の着色を施すことにより遭難者の早期発見が期待
できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水難救命スーツの素材に気泡性緩衝材を使用することを特徴とする水難事故時に救命胴衣とともに使用する水難救命スーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海や湖などで水難事故に遭遇し、人が水面を浮遊する状況でも低温である海水、湖水により体温を奪われることがなく救助を待つことができる水難救命スーツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
海難事故などの水難事故に遭遇した場合、水上で救助を待つ方法として、救命ボート、救命いかだ、救命胴衣などが実用に供されている。沿岸で観光や、遊漁のために利用されている小型船舶では救命胴衣、救命浮環等は法律で装備が義務付けられているが、法律で義務付けのない救命ボート、救命いかだを装備している小型船舶は少なく、事故船から海中に避難した人を低温の海水、湖水、川水から体温を奪われる低体温症の危険から人命を守る方法は無いという問題点があった。
【0003】
また、小型船舶において救命ボート、救命いかだは高価であり、乗船定員数を見満たすだけの救命ボート、救命いかだの購入費用が高額であり、さらに保管場所にスペースを取るために装備に至らないという問題点があった。
【0004】
この改善策として、保温性のある気泡緩衝材を素材として使用した水難救命スーツにより、水難時に低温の海水、湖水、川水から体温を奪われる低体温症の危険から人命を守るという方法がある。
【0005】
図1は気泡緩衝材を使用した救命スーツの形状を示す説明図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019―141542
【特許文献2】特開2014-014458
【特許文献3】特開2012-254685
【特許文献4】特開2005-320670
【特許文献5】実登3101802
【特許文献6】実全昭58―157796
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本救命器具イマーションスーツ
【非特許文献2】EX、自働膨張救命いかだ HYF―10C
【非特許文献3】BLUESTORMブルーストームカヤックドライウエアハイドハイドライトライススーツ BSJ-RV402
【非特許文献4】ライフジャケットネオジャケットMOBBY‘SMモビーズL(122)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、水難時における実用の水難救命用具では、救命胴衣など水面での浮遊性だけを前提とした浮力を得るためのジャッケット型や浮環型であり水難時には水難者の体全体が水中に没しており長時間水中で救助を待つ間に低温の海水、湖水、川水等により水難者の体温が奪われ低体温症により救助を待つことなく死に至る場合があった。特に冬季間におけ水難事故では海水、湖水、川水の冷たさに急激に体温が奪われ低体温症で命を失うという問題があった。水難救命スーツにおいて、水中に浮遊していても体温が奪われることを最小限にとどめさらに、水難救命スーツの一部が破損しても気泡緩衝材の構造の特性から浮力を失うことがなく、安価で安全性の優れた水難救命スーツを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、救命用具における水難救命スーツにおいて、水難救命スーツの製作素材に気泡緩衝材を使用することにより水上では水難者の体全体が浮遊し、かつ気泡緩衝材の持つ構造上の断熱効果、保温効果も有し、救命スーツの一部が外力によって破損しても、破損部分の一部が浮力を失うだけで全体的に浮力を失うことはなく、また低温の海水、湖水、川水等により体温を奪われる低体温症を防ぎ、かつ安価で提供できることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水難救命スーツは水難救命スーツの製作素材に気泡緩衝材を使用することにより、気泡緩衝材の持っている、断熱効果、保温効果により低温の海水、湖水、川水から体温を奪われる低体温症を防ぐことができる。また気泡緩衝材を使用しているため避難時に漂流物等との接触等による素材の破壊に対して、一部の浮力は失われても水難救命スーツ全体の浮力が失われることはない。また、気泡緩衝材に赤色や黄色等の着色を施すことにより遭難者の早期発見が可能となる等の効果が期待できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】水難救命スーツの製作状況を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
水難救命スーツの製作素材を気泡緩衝材とした製作方法である。
【実施例0013】
図2は、救命スーツの使用状況を示した実施例の説明図である。
本発明における水難救命スーツは気泡緩衝材を救命スーツの製作素材として使用していることから、水難時における要救助者を低温の海水、湖水、川水等から体温を奪われる低体温症の発生を防ぐことができる。また、水難時において漂流物等により水難救命スーツへの外部からの衝撃による素材の破損にも気泡緩衝材の構造の特徴から破損した一部分の浮力が失われるだけで水難救命スーツの機能には影響を及ぼさない。さらには1着当たりの単価が非常に安価なことから乗船定員当たりの設備費用も安価になることから、乗船者の命の安全が確保される。