(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073057
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20240522BHJP
A63F 13/803 20140101ALI20240522BHJP
A63F 13/85 20140101ALI20240522BHJP
G09B 19/22 20060101ALI20240522BHJP
G09B 9/05 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G09B19/00 H
A63F13/803
A63F13/85
G09B19/22
G09B9/05 E
G09B9/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184049
(22)【出願日】2022-11-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年3月24日、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000067474.html (2)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年3月24日、https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2022/03/24/5959.html (3)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年3月24日、https://japan.zdnet.com/article/35185312/ (4)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年3月31日、https://www.famitsu.com/news/202203/31255482.html (5)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年5月28日、https://ascii.jp/elem/000/004/092/4092448/ (6)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年7月20日、https://www.racing-hero.com/news/rh/20220720/4016/ (7)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年7月27日、https://i4u.gmo/ixGsb (8)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年9月28日、https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1442614.html (9)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年10月16日、https://ascii.jp/elem/000/004/108/4108665/
(71)【出願人】
【識別番号】515059979
【氏名又は名称】VIE株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】今村 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】茨木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓允
(72)【発明者】
【氏名】白石 里咲
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 悟
(57)【要約】
【課題】現実空間又は仮想空間における競技において、脳の認知スキルに着目した新しいトレーニングを支援するプログラム、情報処理方法、及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】コンピュータに、第1競技に関する脳の各認知スキルに対する第1プレイヤの評価を含む第1認知評価情報を取得すること、第1競技又は第1競技に類似する第2競技に関する脳の各認知スキルに対する第2プレイヤの評価を含む第2認知評価情報と、第1認知評価情報とを分析すること、第1認知評価情報及び第2認知評価情報の分析結果に基づいて、第1プレイヤの訓練対象とする対象認知スキルを特定すること、対象認知スキルに関する認知スキル情報を出力すること、を実行させるプログラム。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
第1競技に関する脳の各認知スキルに対する第1プレイヤの評価を含む第1認知評価情報を取得すること、
前記第1競技又は前記第1競技に類似する第2競技に関する脳の各認知スキルに対する第2プレイヤの評価を含む第2認知評価情報と、前記第1認知評価情報とを分析すること、
前記第1認知評価情報及び前記第2認知評価情報の分析結果に基づいて、前記第1プレイヤの訓練対象とする対象認知スキルを特定すること、
前記対象認知スキルに関する認知スキル情報を出力すること、
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記取得することは、
前記第1競技及び/又は前記第2競技に関する各競技スキルに対する前記第1プレイヤの評価を含む第1競技評価情報を取得することを含み、
前記分析することは、
前記第1競技及び/又は前記第2競技に関する各競技スキルに対する前記第2プレイヤの評価を含む第2競技評価情報と、前記第1競技評価情報とを分析すること、を含み、
前記特定することは、
前記第1競技評価情報及び前記第2競技評価情報の分析結果にさらに基づいて、前記対象認知スキルを特定すること、を含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記取得することは、
前記第1競技及び/又は前記第2競技に関する各競技スキルに対する前記第1プレイヤの評価を含む第1競技評価情報を取得することを含み、
前記分析することは、
前記第1競技評価情報と前記第1認知評価情報とを分析することを含み、
前記特定することは、
前記第1競技評価情報及び前記第1認知評価情報の分析結果にさらに基づいて、前記対象認知スキルを特定すること、を含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記分析することは、
前記認知スキルに対する評価と前記競技スキルに対する評価との相関関係を分析することを含み、
前記特定することは、
前記相関関係に基づいて、前記対象認知スキルを特定することを含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1競技は、現実空間で行われる競技であり、
前記第2競技は、前記現実空間を模擬する仮想空間で行われ、前記第1競技を模擬するものである、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、
前記仮想空間を生成すること、
前記仮想空間において、前記第2競技に関する処理を実行することをさらに実行させる、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記分析することは、
前記第1認知評価情報と、前記第2認知評価情報との比較を行うことを含み、
前記特定することは、
前記比較の結果に基づいて、前記対象認知スキルを特定することを含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記各認知スキルを訓練する認知タスクに関する認知タスク情報を出力すること、
前記第1プレイヤから、前記認知タスク情報に対する入力を受け付けること、
前記認知タスク情報と前記入力の結果とに基づいて、前記各認知スキルを評価すること、をさらに実行させる、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項9】
前記評価することは、
前記第2認知評価情報に基づいて、競技の種類、プレイヤの性質、及び/又は競技が行われる空間が現実空間か仮想空間かを示す空間の種類の少なくともいずれかごとに、前記第1プレイヤの評価の基準を設定することと、
前記評価の基準を用いて、前記第1競技に関する前記第1プレイヤの前記各認知スキルを評価することを含む、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記評価することは、
前記第1競技に関する各競技スキルに対する前記第1プレイヤの評価に基づいて、前記各認知スキルの評価方法を設定することと、
前記評価方法を用いて、前記各認知スキルを評価することを含む、請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータに、
前記第1競技の種類、及び/又は前記第2競技の種類の少なくともいずれかの種類ごとに、複数のプレイヤ共通の訓練対象とする共通対象認知スキルを特定すること、をさらに実行させ、
前記認知スキル情報は、前記共通対象認知スキルに関する情報を含む、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項12】
前記出力することは、
前記対象認知スキルに関する認知タスクを含む前記第1競技に関する訓練プラン情報を出力することを含む、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項13】
前記認知タスクは、前記第1プレイヤの注意制御に関する注意制御タスク、前記第1プレイヤの感覚運動に関する感覚運動タスク、及び/又は前記第1プレイヤの感情制御に関する感情制御タスクを含む、
請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータに、
前記第1競技が、現実空間におけるモータースポーツであり、かつ、前記第2競技が、前記モータースポーツを模擬する仮想空間におけるeスポーツである場合、前記感情制御タスク、及び/又は前記感覚運動タスクに優先度を設定すること、をさらに実行させ、
前記認知タスクを特定することは、前記感情制御タスク、及び/又は前記感覚運動タスクの前記優先度に基づいて、前記認知タスクを特定すること、を含む、
請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
コンピュータが、
第1競技に関する脳の各認知スキルに対する第1プレイヤの評価を含む第1認知評価情報を取得すること、
前記第1競技に類似する第2競技に関する脳の各認知スキルに対する第2プレイヤの評価を含む第2認知評価情報と、前記第1認知評価情報とを分析すること、
前記第1認知評価情報及び前記第2認知評価情報の分析結果に基づいて、前記第1プレイヤの訓練対象とする対象認知スキルを特定すること、
前記対象認知スキルに関する認知スキル情報を出力すること、
を実行する情報処理方法。
【請求項16】
ユーザが使用するユーザ装置と、前記ユーザ装置と通信可能に接続されたシミュレーション装置と、を含むトレーニングシステムであって、
第1競技は、現実空間で行われる競技であり、
第2競技は、前記現実空間を模擬する仮想空間で行われ、前記第1競技を模擬するものであり、
前記シミュレーション装置は、
前記仮想空間を生成し、
前記仮想空間において、第1プレイヤの操作入力に応じて前記第2競技に関する処理を実行し、
前記処理の結果、前記第2競技に関する各競技スキルに対する前記第1プレイヤの評価を含む第1競技評価情報を、前記ユーザ装置に提供し、
前記ユーザ装置は、
前記シミュレーション装置から、前記第1競技評価情報を取得し、
前記第1競技に関する各競技スキルに対する前記第1プレイヤの評価を含む第1競技評価情報を取得し、
前記第1競技又は前記第2競技に関する脳の各認知スキルに対する第1プレイヤの評価を含む第1認知評価情報を取得し、
前記第1競技又は前記第2競技に関する脳の各認知スキルに対する第2プレイヤの評価を含む第2認知評価情報と、前記第1競技評価情報と、前記第1認知評価情報を含む第1評価情報とを分析し、
前記分析の結果に基づいて、前記第1プレイヤの訓練対象とする対象認知スキルを特定し、
前記対象認知スキルに関する認知スキル情報を出力する、
トレーニングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツなどの競技のプレイヤを、現実空間でのトレーニングとは別に、この現実空間を模擬する仮想空間におけるシミュレーターで訓練する技術が知られている。例えば、特許文献1には、実際の走行中のスポーツ選手(ドライバ)の心拍数などの生体計測学的な状態の時間変化曲線を検出し、このスポーツ選手が使用する車両のパラメータの時間変化曲線との関係を求める方法が記載されている。この方法では、この関係に基づいて、走行シミュレーターでのトレーニングにおいて、この走行シミュレーターの制御ユニット等により、このスポーツ選手のストレスレベルを高める車両のパラメータの変化を特定した際に、スポーツ選手の生体計測学的な状態の時間変化曲線を、このスポーツ選手の実際の走行中の状態の時間変化曲線に近づけることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、シミュレーターで現実空間を模擬できるものには限界があり、例えば、現実空間では競技中に雨が降り出して、視界が悪くなる、または競技することが通常より困難になる等の状況がありうるが、これらの状況を全てシミュレーターで模擬することは困難である。このため、現実空間での競技におけるプレイヤの訓練にあたって、現実空間の競技中に起こりうる種々の状況、かつシミュレーターによる模擬訓練ではカバーしきれない状況に対応するためのスキルの習得が課題となっている。
【0005】
そこで、開示技術の一態様は、現実空間又は仮想空間における競技において、脳の認知スキルに着目した新しいトレーニングを支援するプログラム、情報処理方法、及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示技術の一態様におけるプログラムは、コンピュータに、第1競技に関する脳の各認知スキルに対する第1プレイヤの評価を含む第1認知評価情報を取得すること、第1競技又は第1競技に類似する第2競技に関する脳の各認知スキルに対する第2プレイヤの評価を含む第2認知評価情報と、第1認知評価情報とを分析すること、第1認知評価情報及び第2認知評価情報の分析結果に基づいて、第1プレイヤの訓練対象とする対象認知スキルを特定すること、対象認知スキルに関する認知スキル情報を出力すること、を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
開示技術の一態様によれば、現実空間又は仮想空間における競技において、脳の認知スキルに着目した新しいトレーニングを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るトレーニングシステムのシステム構成例を説明するための図である。
【
図2】実施形態に係るイヤホンセットの一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るイヤホンの断面の概略の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るトレーニングシステムの概要を説明するための図である。
【
図5】本実験(1回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図6】本実験(1回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図7】本実験(1回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図8】本実験(2回目)における参加プレイヤの実証結果の一例を示す表である。
【
図9】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図10】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図11】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図12】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図13】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図14】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図15】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図16】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図17】本実験(2回目)におけるトレーニープレイヤ及びコントロールプレイヤの実証結果の一例を示す図である。
【
図18】実施形態に係るユーザ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図19】実施形態に係るトレーニングシステムの動作例を示す図である。
【
図20】実施形態に係るトレーニングシステムの動作例を示す図である。
【
図21】実施形態に係るトレーニングシステムの動作例を示す図である。
【
図22】実施形態に係るユーザ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0010】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係るトレーニングシステム1のシステム構成例を説明する。
【0011】
トレーニングシステム1は、第1競技に関するスキルを向上することを目的として、訓練対象のプレイヤ(以下、「第1プレイヤ」ともいう)に訓練させるためのシステムである。トレーニングシステム1は、例えば、第1プレイヤに対して訓練環境および訓練プラン等を提供する。第1競技は、例えば、現実空間で行われる競技であってもよい。本実施形態では、第1競技を実際の車両(以下、「実車」ともいう)によるモータースポーツ(例えば、カーレース等)とするが、本発明に係る第1競技はこれに限定されない。他の例として、第1競技は、野球やテニス等のスポーツであってもよいし、競輪や競艇等の公営競技であってもよい。また、第1競技は、仮想空間において行われる競技でもよい。
【0012】
トレーニングシステム1では、第1競技に類似する競技(以下、「第2競技」ともいう)を利用して、第1競技の訓練を行う。本実施形態では、第2競技を、後述するシミュレーション装置200による現実空間を模擬する仮想空間で行われる第1競技を模擬するもの(言い換えれば、シミュレーション)とする例を説明する。例えば、第1競技が現実空間のモータースポーツである場合、第2競技は、仮想空間において第1競技を模擬したモータースポーツ(eモータースポーツ)である。また、第2競技は、仮想空間における競技に限られず、現実空間における競技でもよい。例えば、第1競技がテニスの場合、第2競技は、テニスと同じラケット競技である現実空間のスカッシュやバドミントン等であってもよい。
【0013】
上記のように、トレーニングシステム1は、第2競技による第1競技の訓練を提供することで、第1競技の訓練環境等を十分に確保できないプレイヤ等に対して支援を行う。さらに、トレーニングシステム1は、仮想空間での模擬等の第2競技による訓練を補うために、第1競技に関する脳の認知機能に関するスキル(以下、「認知スキル」ともいう)に対するタスク(以下、「認知タスク」ともいう)を第1プレイヤに提供する。特に第1競技が現実空間のモータースポーツ等のマシンやレース場等の施設を使用する競技の場合、訓練環境等を十分に確保することができない場合がある。この場合において、本開示技術の構成によれば、第1競技に関する認知タスクによる訓練を少なくとも実施させることで、より効率的に第1競技に関するスキルを向上させることができる。また、仮想空間において模擬した第2競技による訓練を実施することで、第1競技に関するスキルをさらに向上させることが可能になる。
【0014】
以下に示す例では、第1競技として現実空間のコースでタイムを競うカーレース、第2競技として仮想空間のコースでタイムを競うカーレースを例にして説明する。この場合、認知タスクは、例えば、(ア)第1プレイヤの注意制御に関する注意制御タスク、(イ)第1プレイヤの感情制御に関する感情制御タスク、及び/又は(ウ)第1プレイヤの感覚運動に関する感覚運動タスクを含んでもよい。(ア)~(ウ)それぞれについて、具体的には、以下のようなタスクであってもよい。
(ア)注意制御タスク:ストループ課題を行うタスク(以下、「ストループタスク」ともいう)、Go/NoGo課題を行うタスク(以下、「Go/NoGoタスク」ともいう)
(イ)感情制御タスク:ニューロフィードバック(以下、「NF」ともいう)を利用して脳波の自己調整を行うことで感情制御を強化するタスク(以下、「NFタスク」ともいう)
(ウ)感覚運動タスク:アクセルやブレーキ特性の異なる車両に順応する能力を強化するためこのような特性の異なる車両でパーキングを行うタスク(以下、「パーキングタスク」ともいう)、Sensory Motor TaskにおけるSpeed-Accuracy Optimizationとして、オブジェクトを操作して周回路を1周する課題を行うタスク(以下、「Speed-Accuracyタスク」ともいう)
【0015】
図1に示すように、トレーニングシステム1は、第1ユーザ装置100aと、第2ユーザ装置100bと、シミュレーション装置200と、サーバ装置300と、を含む。また、第1ユーザ装置100aと第2ユーザ装置100bとは、特に区別の必要がない場合、総称して「ユーザ装置100」ともいう。第1ユーザ装置100aと、シミュレーション装置200と、サーバ装置300とは、第1ネットワークN1を介して互いに接続されている。また、第1ユーザ装置100aとシミュレーション装置200とは、例えば、第2ネットワークN2を介して互いに接続されてもよい。また、第1ユーザ装置100aと第2ユーザ装置100bとは、第3ネットワークN3を介して接続されている。
【0016】
[ユーザ装置]
第1ユーザ装置100aは、ユーザが使用する装置であり、例えば、スマートフォンまたはラップトップ、ヘッドマウントディスプレイ等の情報処理装置である。なお、ユーザと第1プレイヤが同じであってもよいし、異なってもよい。第1ユーザ装置100aは、例えば、ユーザに対して後述する訓練プラン情報を出力したり、出力した訓練プラン情報に対する入力を受け付けたり、サーバ装置300との通信を行ったりすることが可能である。
【0017】
第1ユーザ装置100aは、例えば、所定のプログラム(以下、「ユーザプログラム」ともいう)として、トレーニングシステム1専用のアプリケーションプログラム(以下、「トレーニングアプリ」という)がインストールされてもよい。トレーニングアプリは、例えば、ユーザに対してトレーニングシステム1を利用するためのユーザIFを提供するネイティブアプリであってもよい。ユーザ装置100は、例えば、アプリケーションストアやサーバ装置300等からインストールしてトレーニングアプリを利用する。本実施形態では、ユーザプログラムとして、第1ユーザ装置100aにトレーニングアプリがインストールされているものとするが、本実施形態に係るユーザプログラムはこれに限定されない。他の例として、ユーザプログラムは、トレーニングアプリの他に、第1ユーザ装置100aに汎用的にインストールされているWebブラウザ、又はトレーニングシステム1用に提供されたサードパーティによるアプリ等であってもよい。また、例えば、トレーニングシステム1では、トレーニングアプリとWebブラウザのどちらもユーザプログラムとして利用できるようにしてもよい。
【0018】
第1ユーザ装置100aは、例えば、第2ユーザ装置100bから脳波信号を順に取得してもよい。第1ユーザ装置100aは、順に取得される脳波信号を推定モデルに入力し、第1プレイヤの感情を推定してもよい。
【0019】
第1ユーザ装置100aは、例えば、ニューロフィードバックタスクに関する処理として、上記推定される感情に基づいて、ユーザの感情を調整するようなコンテンツ(以下、「感情調整コンテンツ」ともいう)を画面に出力してもよく、音データ等を音出力装置(例、イヤホンセットの第2ユーザ装置100b)に出力してもよい。感情調整コンテンツは、例えば、音声、動画、静止画、及び/又はアニメーション等を含んでもよい。これにより、ユーザの感情に応じて、そのユーザの感情を調整するようなコンテンツを適切に選択することができる。例えば、感情調整コンテンツは、音楽、音声、音データ、動画、写真、アニメーション及びゲームなどのうちの少なくとも1つを含む。なお、本開示技術において、感情調整コンテンツは、音を含むコンテンツが好適であり、音楽がより好適である。
【0020】
第2ユーザ装置100bは、第1プレイヤが使用する装置であり、第1プレイヤの脳波を測定する装置である。例えば、第2ユーザ装置100bは、認知タスクを行うための装置である。本実施形態では、第2ユーザ装置100bの一例として、外耳道に生体電極が設けられるイヤホンセットを用いて説明するが、本実施形態に係る第2ユーザ装置100bはこれに限定されない。
【0021】
第2ユーザ装置100bは、例えば、首掛け式のイヤホンセットがあるが、外耳道から脳波信号がセンシング可能であれば、いずれのイヤホンを用いてもよい。例えば、リファレンス信号を耳たぶから取得するようなイヤホンセットや、その他の位置(外耳道の他の位置)からリファレンス信号やアース信号を取得するようなイヤホンや、完全ワイヤレスのイヤホンなどが利用可能である。また、第2ユーザ装置100bは、イヤホンタイプに限らず、例えばヘッドホンタイプであり、イヤーマフ部分に生体電極を設けるような構成でもよい。また、他の例として、第2ユーザ装置100bは、HMD(Head Mounted Display)等のように、頭部に装着するヘッドバンド型の装置やヘルメット型の装置であってもよい。
【0022】
第2ユーザ装置100bは、例えば、外耳道から脳波信号を取得し、第3ネットワークN3を介して脳波信号を第1ユーザ装置100aに送信してもよい。また、第2ユーザ装置100bは、例えば、脳波信号に所定の処理を実行し、第1ユーザ装置100aに送信してもよい。所定の処理は、増幅処理、サンプリング、フィルタリング、差分演算等の処理のうち少なくともいずれかを含んでもよい。
【0023】
<第2ユーザ装置100b(イヤホンセット)の構成>
ここで、
図2~3を参照して、第2ユーザ装置100bの構成例について説明する。なお、第2ユーザ装置100bは、
図2~3に示す例に限られず、外耳道から脳波をセンシングすることが可能であり、外部装置に出力可能であれば、いずれのイヤホンでも本開示の技術に適用することができる。
【0024】
図2は、第2ユーザ装置100bの外観の一例を示す図である。
図2に示す第2ユーザ装置100bは、一対のイヤホン150R、150Lと、首掛け部160とを有する。各イヤホン150R、150Lは、首掛け部160と信号通信可能なケーブルを用いて接続されるが、無線通信を用いて接続されてもよい。以下、左右を区別する必要がない場合はRLを省略する。
【0025】
首掛け部160は、首の後方に沿う中央部材と、首の両サイドに沿って湾曲した形状を有する棒状部材(アーム)162R、162Lとを有する。中央部材の背中側の首に接触する表面には、脳波信号をセンシングする電極172、124が設けられる。電極172、174それぞれは、アース接続される電極と、リファレンス電極とである。また、首掛け部160は、脳波信号を処理する処理部や外部と通信を行う通信装置を有してもよいが、これらの処理部や通信部は第1ユーザ装置100aに設けられてもよい。
【0026】
また、首掛け部160の両サイドの棒状部材162R、162Lは、その先端側が、付け根側(中央部材側)よりも重くなっており、これにより電極172、174は、装着者の首に適切に圧着するようになる。例えば、棒状部材162R、162Lの先端側には重りが設けられる。なお、電極172、174の位置はこの位置に限られない。
【0027】
図3は、イヤホン150Rの断面の概略の一例を示す図である。
図3に示すイヤホン150Rは、例えば、スピーカ152とノズル154との間に弾性部材(例えばウレタン)158を設けてもよい。この弾性部材158を設けることにより、スピーカ152の振動がイヤーチップ156の弾性電極に伝わりにくくなり、イヤーチップ156の弾性電極とスピーカ152とが音について干渉することを防ぐことができる。
【0028】
さらに、弾性電極を含むイヤーチップ156は、音導口に位置しているが、弾性電極自身の弾性により、音振動による干渉を防ぐことが可能である。また、ハウジングには弾性部材を採用することで、この弾性部材により、音振動をイヤーチップ156の弾性電極に伝えにくく、音振動による干渉を防ぐことが可能である。
【0029】
第2ユーザ装置100bは、オーディオ・サウンド・プロセッサを含み、このオーディオ・サウンド・プロセッサを使用して、脳波信号に相当する所定の周波数(例えば50Hz)以下の音信号をカットしてもよい。特にオーディオ・サウンド・プロセッサは、脳波信号として特徴が出やすい周波数帯域の30Hz以下の音信号をカットするが、ベース音を損なわないようにするため、70Hz周辺の周波数の音信号を増幅してもよい。
【0030】
これにより、音信号と脳波信号とが干渉することを防ぐことができる。また、オーディオ・サウンド・プロセッサは、脳波信号のセンシングがなされている場合にのみ、所定の周波数をカットするようにすればよい。
【0031】
イヤーチップ106は、外耳道からセンシングする脳波信号を、ノズル104に設けられる電極の接点に伝導させる。脳波信号は、イヤーチップ106から接点を介して第2ユーザ装置100b内部の生体センサ(不図示)に伝えられる。生体センサは、順に取得する脳波信号を、ケーブルを介して首掛け部160に設けられる処理装置に出力したり、外部の装置に送信したりする。また、イヤーチップ156と、生体センサやオーディオ・サウンド・プロセッサを含むハウジングとは、絶縁されていてもよい。
【0032】
[シミュレーション装置]
図1に戻って説明を続ける。シミュレーション装置200は、ユーザ装置100とサーバ装置300との通信が可能な装置である。シミュレーション装置200は、現実空間を模擬する仮想空間を生成し、仮想空間で行われ、第1競技を模擬する第2競技に関する処理を実行する。また、シミュレーション装置200は、例えば、第2競技に関する各競技スキルに対する第1プレイヤの評価を含む第1競技評価情報を、ユーザ装置100に送信し、提供してもよい。なお、特に区別の必要がない場合、第1認知評価情報と第1競技評価情報とを総称して「第1評価情報」ともいう。
【0033】
[サーバ装置]
サーバ装置300は、ユーザ装置100、及びシミュレーション装置200との通信が可能な情報処理装置である。サーバ装置300は、例えば、トレーニングシステム1を運営する者が使用する装置であってもよい。サーバ装置300は、所定のプログラム(以下、「サーバプログラム」ともいう)を実行することにより、トレーニングアプリをユーザ装置100にダウンロードさせたり、プレイヤに関する情報(以下、「プレイヤ情報」ともいう)を管理したりする。第1プレイヤのプレイヤ情報は、例えば、第1評価情報と第1プレイヤに対応する第2プレイヤの第2評価情報とを含んでもよい。第2評価情報は、例えば、第2プレイヤの第2認知評価情報及び/又は第2競技評価情報を含んでもよい。
【0034】
第2プレイヤは、第1プレイヤとは異なるプレイヤであり、例えば、第1プレイヤのベンチマークとなるプレイヤ(例えば、評価の基準となる認知スキルや競技スキルを有するプレイヤ等)、及び/又は訓練の成果を確認する際のプレイヤ(例えば、訓練の有無による影響を比較するための訓練を受けていないプレイヤ(以下、「コントロールプレイヤ」ともいう)等)等であってもよい。
【0035】
サーバ装置300は、例えば、第2ユーザ装置100bにより測定される脳波信号を取得して各処理を実行する。例えば、サーバ装置300は、第1プレイヤの脳波信号から特徴データを抽出し、この特徴データにプレイヤの感情をラベル付けした学習データを用いて機械学習を行い、プレイヤの感情を推定する推定モデルを生成する。これにより、簡便なデバイスを利用してプレイヤへの装着負担を減らしながら、脳波信号を取得してプレイヤの感情を推定する推定モデルを生成することが可能になる。また、サーバ装置300は、生成した推定モデルを第1ユーザ装置100aに送信してもよい。
【0036】
[ネットワーク]
第1ネットワークN1は、広域通信網のネットワークであり、インターネット、移動体通信網、電話回線を含む。また、第1ネットワークN1は、例えば、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、またはLTE(登録商標)(Long Term Evolution)回線などを用いた無線通信方式を用いてもよい。
【0037】
第2ネットワークN2及び第3ネットワークN3は、近距離通信のネットワークである。第2ネットワークN2は第1ユーザ装置100aと第2ユーザ装置100bとの間を、第3ネットワークN3は第1ユーザ装置100aとシミュレーション装置200との間を双方向または単一方向の接続をするための通信ネットワークである。第2ネットワークN2及び/又は第3ネットワークN3は、例えば、NFC(Near Field Communication)等の電磁誘導等を利用した10cm程度の至近距離での無線通信、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信等の10m程度の近距離無線通信を実現するネットワークを含む。また、第2ネットワークN2及び/又は第3ネットワークN3は、例えば、Wi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線LANを含んでもよく、ルータ(不図示)が中継することで、第1ユーザ装置100aとシミュレーション装置200の間の接続を実現させる。なお、第1ユーザ装置100aと第2ユーザ装置100bとの間の通信の場合は、例えば、有線のネットワークであってもよい。
【0038】
<2.概要>
<2-1.システム概要>
図4を参照して、トレーニングシステム1の概要の一例を説明する。本例では、上述したとおり、第1競技を実車によるカーレース(以下、単に「カーレース」ともいう)、第2競技をカーレースゲーム等のモータースポーツを模擬するeスポーツ(以下、「eモータースポーツ」ともいう)とする。
【0039】
(1)
図4に示すように、トレーニングシステム1では、カーレースのラップタイムの短縮に関する訓練を行うことができる。まず、第1プレイヤは、訓練前に、カーレースを実施して、カーレースに関する各競技スキルを評価する。第1プレイヤは、例えば、カーレースに関する各競技スキルの評価として、カーレースにおける第1プレイヤのラップタイムを計測したり、コーナリングスキルやブレーキングスキル、ステアリングやペダルの操作スキル、燃料補給やタイヤ交換等の車両の管理スキル、重力加速度への耐性等を第三者や他の装置に評価されたりしてもよい。また、第1ユーザ装置100aは、第1プレイヤ等のユーザの指定により、これらの各競技スキルの評価を示す情報を、第1競技評価情報として記憶部130(
図18参照)に登録してもよい。
【0040】
(2)(3)訓練の開始にあたって、まず、ユーザ装置100は、第1プレイヤに認知タスクを実施させるために、第1プレイヤの操作入力に応じて認知タスクに関する処理(以下、「認知タスク処理」ともいう)を実行する。ユーザ装置100は、この実行の結果に基づいて、各認知スキルの評価を行う。認知タスクに関する認知スキルの評価として、例えば、認知タスクがストループタスクの場合、認知スキルの評価として、ストループや逆ストループの正答数、これらの正答数から算出されるストループ干渉率や逆ストループ干渉率、又はストループタスクの開始から完了までの所要時間等が第1ユーザ装置100aにより評価されてもよい。第1ユーザ装置100aは、第1プレイヤの指示入力に応じて、これらの各認知スキルの評価を示す情報を、第1認知評価情報として記憶部130に登録してもよい。
【0041】
シミュレーション装置200は、第1プレイヤの操作入力に応じて、eモータースポーツに関する処理を実行する。シミュレーション装置200は、この実行の結果に基づいて、eモータースポーツに関する各競技スキルの評価を行う。第1プレイヤは、例えば、eモータースポーツに関する各競技スキルの評価として、各ステージのレースにおける第1プレイヤのラップタイムを計測したり、コーナリングスキルやブレーキングスキル、ステアリングやペダルの操作スキル等をシミュレーション装置200に評価されたりしてもよい。また、第1ユーザ装置100aは、第1プレイヤの指示入力に応じて、これらの各競技スキルの評価を示す情報を、第1競技評価情報として記憶部130に登録してもよい。すなわち、第1競技評価情報は、第1プレイヤにおける、カーレース(第1競技)及び/又はeモータースポーツ(第2競技)に関する各競技スキルの評価を含んでもよい。
【0042】
(4)次に、第1ユーザ装置100aが、第1プレイヤの第1認知評価情報及び/又は第1競技評価情報と、第2プレイヤの第2認知評価情報及び/又は第2競技評価情報とを分析する。本例では、第2プレイヤをベンチマークとなるプレイヤとする例を説明する。第1ユーザ装置100aは、例えば、カーレースゲームの大会で優勝しているプロのプレイヤをベンチマークとして、このベンチマークプレイヤのストループタスクのストループ干渉率や所用時間等の認知スキルの評価の数値(以下、「ベンチマークの数値」ともいう)と、第1プレイヤのこれらの数値とを比較してもよい。また、第1ユーザ装置100aは、競技スキルの評価の比較として、実車によるカーレースにおけるベンチマークプレイヤのラップタイムと、第1プレイヤのラップタイムとを比較してもよい。
【0043】
(5)次に、第1ユーザ装置100aは、上記(3)の比較の結果、例えば、ベンチマークの数値を基準として第1プレイヤの数値が所定範囲内にない場合、該当する第1プレイヤの認知スキルを、訓練対象とする認知スキル(以下、「対象認知スキル」ともいう)に特定する。
【0044】
(6)次に、第1ユーザ装置100aは、画面に、上記(5)で特定した対象認知スキルに関する訓練プラン情報を出力する。訓練プラン情報は、例えば、目標とする競技スキル及び/認知スキルの評価、訓練スケジュール(訓練頻度や訓練期間を含む)、訓練方法等を含んでもよい。
【0045】
(7)上記(6)で出力された訓練プラン情報にそって、第1プレイヤは、カーレースのスキルアップのための訓練を行う。
【0046】
(7a)第1プレイヤは、出力された訓練プラン情報により、eモータースポーツの各競技スキルを訓練する各タスクについて、訓練スケジュール(例えば、週1回を4週間続ける等)、訓練方法等を訓練プランで確認することができる。第1ユーザ装置100aは、例えば、訓練プラン情報を、シミュレーション装置200に送信し、シミュレーション装置200は訓練プラン情報に基づいて、レースゲームを実行させてもよい。
【0047】
(7b)第1プレイヤは、出力された訓練プラン情報により、各対象認知スキルを訓練する各認知タスクについて、訓練スケジュール及び訓練方法等を訓練プランで確認することができる。訓練プラン情報は、第1ユーザ装置100aの画面に表示される情報であってもよく、例えば、訓練プランのメニューとして各認知タスクのリストを表示させてもよい。第1プレイヤはこのメニューから訓練するタスクを選択し、第1ユーザ装置100aは、この選択入力を受付て、認知タスク処理を実行してもよい。
【0048】
第1ユーザ装置100aは、上記(7)の実施の結果に基づき上記(3)の認知スキルや競技スキルの再評価を行い、上記(4)のベンチマークプレイヤとの比較分析を再度行い、上記(5)の対象認知スキルを再特定する。そして、第1ユーザ装置100aは、再特定した対象認知スキルに基づいて、上記(6)の訓練プランを再生成し、出力する。トレーニングシステム1は、このように、目標とする競技スキルや認知スキルの評価に到達するよう上記(3)~(7)を繰り返し実施する。以上の処理により、トレーニングシステム1では、カーレースのラップタイムの短縮等のスキルアップを図ることができる。
【0049】
上記構成のもと、トレーニングシステム1は、第1プレイヤのカーレースに関する認知スキルを、認知タスクにより向上させることができる。このため、トレーニングシステム1は、現実空間におけるカーレース等の競技において、脳の認知スキルに着目した新しいトレーニングを支援することができる。
【0050】
<2-2.実証実験>
図5~17を参照して、トレーニングシステム1において、対象認知スキルを特定するために行われた発明者らの実験について説明する。
【0051】
[実証実験の概要]
本実験では、プレイヤの脳の認知スキルを高めることによるeモータースポーツやカーレースに関するスキルの向上を検証するために、以下の1回目と2回目の実証実験を行った。
・(1回目)発明者らは、eモータースポーツにおける認知スキルの訓練前後のラップタイムを計測し、認知スキルの訓練との関係性を分析した。具体的には、発明者らは、カーレースやeモータースポーツで活躍する4人のプレイヤをベンチマークとして、認知スキルの評価や分析を行い、訓練対象とする対象認知スキルを特定した。
・(2回目)発明者らは、カーレース及びeモータースポーツにおける認知スキルの訓練前後のラップタイムを計測し、認知スキルの訓練との関係性を分析した。具体的には、発明者らは、カーレースやeモータースポーツで活躍するプレイヤ以外のプレイヤも参加して、認知スキルの評価や分析を行い、訓練対象とする対象認知スキルを特定した。
【0052】
[1回目:参加者]
本実験に参加するプレイヤは、訓練の対象とするトレーニープレイヤの群(2名)(第1プレイヤに相当)、認知スキルの評価の基準とするベンチマークプレイヤの群(4名)(第2プレイヤに相当)、訓練しないコントロールプレイヤ群(6名)(第2プレイヤに相当)の3つの群に分けられた。いずれの群もトッププレイヤが参加し、ベンチマークプレイヤとして、カーレースのプロのレーサーも参加した。
【0053】
[1回目:実証方法]
ベンチマークプレイヤに対して脳の各認知スキルが評価され、その評価の結果に基づいて対象認知スキルが特定された。その後、トレーニープレイヤは、特定された対象認知スキルに関する認知タスクを訓練として実施した。トレーニープレイヤ1、2の対象認知スキルとして、ストループタスクのストループ効果、ポジティブな感情制御、Go/NoGo課題における反応時間が特定された。これらの3つ対象認知スキルは、ベンチマークプレイヤの認知スキルの評価と比較して相対的に不足しており、伸びしろのある認知スキルとして特定された。
【0054】
[1回目:訓練方法]
トレーニープレイヤ1、2は、以下のタスクを週1回、4週間にわたって実施した。
トレーニープレイヤ1
・Go/NoGo課題における認知スキルの評価に影響を与えると報告されているNF(α波(8-13Hzの脳波成分)抑制)タスク
・Go/NoGoタスク
・ポジティブ感情制御のNFタスク
トレーニープレイヤ2
・NF(α波(8-13Hzの脳波成分)抑制)タスク
・Go/NoGoタスク
・ストループタスク
ポジティブ感情制御のNFタスクでは、ポジティブ又はネガティブなエピソードを繰り返し想起し、その際の脳波信号に基づいて脳情報解読器(デコーダ―)(推定モデルの一態様)を学習させ、それを利用して本人がポジティブなことを想起している脳の状態を自ら作り出せるように訓練した。
【0055】
[1回目:評価方法]
ドライビングシミュレーター「T3R Simulator」とレーシングシミュレータゲーム(以下、「レースゲーム」ともいう)「iRacing」で筑波サーキットを5周したベストタイムを訓練前後で比較した。なお、「iRacing」では、MAZDA Roadstar(MX-5)を使用した。
【0056】
[1回目:検証結果]
<認知スキルの評価の変化の確認>
図5~7は、トレーニープレイヤ1、2(
図5~7では、「Trainee1、2」と表記。以下同じ)とコントロールプレイヤ1~6(
図5~7では、「Ctrl1~6」と表記)との実証結果の一例を示す図である。
図5及び6のグラフは、縦軸が各認知スキルの評価(例えば、
図5ではストループタスクにおけるcongruent課題及び/incongruent課題におけるストループ効果(色名と色が一致していない際に反応時間が遅くなってしまう現象)、
図6ではGo/NoGoタスクにおける反応時間(msec))、横軸が訓練前後を表すグラフである。
図5及び6のグラフによれば、ストループタスクによる訓練を実施したトレーニープレイヤ2のストループ効果の減弱とGo/NoGoタスクの反応時間の短縮とが確認された。
【0057】
<競技スキル(ラップタイム)の変化の確認>
図7は、トレーニープレイヤ1、2とコントロールプレイヤ1~6との実証結果の一例を示す図である。
図7のグラフは、縦軸がラップタイム(sec)、横軸が訓練前後を表すグラフである。このグラフによれば、トレーニープレイヤ1、2は、ラップタイムの両者の平均を65.496秒から64.886秒にし、訓練後では0.61秒の短縮が確認された。1回目の実験において、交互作用のF値は、15.5402となり、トレーニープレイヤとコントロールプレイヤとの間の平均値に差があることが確認され、P値は、0.0076062となり、トレーニープレイヤとコントロールプレイヤとの結果に有意な差があることが確認された。
【0058】
[2回目:参加者]
本実験に参加するプレイヤは、訓練するトレーニープレイヤの群(10名)(第1プレイヤに相当)、訓練しないコントロールプレイヤ群(10名)の2つの群に分けられた。本実験では、トッププレイヤではないアマチュアのプレイヤが参加した。
【0059】
[2回目:実証方法]
発明者らは、参加したプレイヤの脳の各認知スキルと実車によるカーレース及びeモータースポーツとの相関関係を分析し、その分析の結果に基づいて対象認知スキルを特定した。
図8は、参加したプレイヤにおける認知スキルと、(a)eモータースポーツ及び(b)実車によるカーレースとの相関関係の度合い(ただし、外れ値は除く)を示す表である。
図8の表によれば、感覚運動タスクのSpeed-AccuracyタスクにおけるBestTimeや感情制御タスクのNFタスクにおける感情の抑制等にeモータースポーツ及びカーレースのラップタイムとの相関が強いことが確認された。トレーニープレイヤは、この特定された対象認知スキルに関する認知タスクとして、感情制御タスクであるNFタスク、感覚運動タスクであるパーキングタスク及びSpeed-Accuracyタスク、そして1回目で特定されたストループタスク及びGo/NoGoタスクを訓練として実施した。
【0060】
[2回目:訓練方法]
トレーニープレイヤ1~10は、以下のタスクを週1回、4週間にわたって実施した。
・ストループタスク
・Go/NoGoタスク
・NFタスク
・パーキングタスク
・Speed-Accuracyタスク
すなわち、2回目の実証実験の目的は、実車によるカーレースに関するスキルと認知タスクによる訓練との関係性を確認する以外に、サンプル数(n数)を増やした場合の認知タスクによる訓練の有効性を確認する目的も含まれる。
【0061】
[2回目:評価方法]
カーレースでは実車(トヨタ86)によるジムカーナ、eモータースポーツではドライビングシミュレーター「T3R Simulator」(以下、「T3R」ともいう)で計測したタイムを訓練前後で比較した。
【0062】
[2回目:検証結果]
<認知スキルの評価の変化の確認>
図9~17は、トレーニープレイヤ1~10とコントロールプレイヤ1~10との合計20名の実証結果の一例を示す図である。
図9~15のグラフは、縦軸が各認知スキルの評価、横軸が訓練前後を表すグラフである。各グラフにおける各認知スキルの評価は、以下のとおりである。
図9:ストループタスクにおける(a)congruent課題の所用時間、(b)incongruent課題の所用時間、(c)それぞれの課題のストループ効果
図10~11:Go/NoGoタスクにおける(a)HitRate、(b)FalseAlarm、(c)Accuracy、(d)dprime、(e)RT(反応時間)
図12~13:NFタスクにおける(a)楽しい感情を増やす戦略、(b)不愉快な感情を増やす戦略、(c)感情の再評価、(d)感情の抑制
図14:パーキングタスクにおける(a)Distance、(b)SuccessRate、(c)SuccessTime
図15:Speed-Accuracyタスクにおける(a)BestTime、(b)MeanTime、(c)FinishRate
【0063】
図9のグラフによれば、ストループタスクでは、両群の差は確認されなかった。また、
図10~11のグラフによれば、Go/NoGoタスクでは、コントロールプレイヤの群で反応時間(RT)が遅くなる傾向が確認された。また、
図12~13のグラフによれば、NFタスクでは有意な交互作用は確認されなかった。また、
図14のグラフによれば、パーキングタスクでは、有意な交互作用は確認されなかったが、トレーニープレイヤの群のみ有意にSuccessRate(成功率)が上がった。また、両群ともにSuccessTime(駐車までの時間)の短縮が確認された。また、
図15のグラフによれば、Speed-Accuracyタスクでは、BestTimeについて、トレーニープレイヤの群の方が速くなる傾向が確認された。また、MeanTime(平均ラップタイム)については、トレーニープレイヤの群の方が速くなる傾向が確認された。また、FinishRate(完走率)について、トレーニープレイヤの群の方が高くなる傾向が確認された。
【0064】
<競技スキル(ラップタイム)の変化の確認>
図16~17は、トレーニープレイヤ1~10とコントロールプレイヤ1~10との実証結果の一例を示す図である。
図16(a)は、縦軸が実車によるカーレース(ジムカーナ)のラップタイム、横軸が訓練前後を表すグラフである。このグラフによれば、交互作用は10%水準だが、トレーニープレイヤの群で速くなる傾向が確認された。
図16(b)は、縦軸がラップタイムの訓練前後の短縮率、横軸がコントロールプレイヤの群とトレーニープレイヤの群とを表すグラフである。このグラフによれば、トレーニープレイヤの群のみ有意にラップタイムが短縮(p<0.1)したことが確認された。
【0065】
図17(a)は、縦軸がシミュレーター(T3R)によるeモータースポーツのラップタイム、横軸が訓練前後を表すグラフである。このグラフによれば、交互作用は有意であることが確認されなかった。
図17(b)は、縦軸がラップタイムの訓練前後の短縮率、横軸がコントロールプレイヤの群とトレーニープレイヤの群とを表すグラフである。このグラフによれば、トレーニープレイヤの群のみ有意にラップタイムが短縮(p<0.1)したことが確認された。
【0066】
以上のとおり、1回目及び2回目の実験から、以下の点が実証された。
・1回目の実験では、ストループタスクやGo/NoGoタスクに関する認知スキルの向上と、訓練前後におけるeモータースポーツのラップタイムの短縮が確認された。
・2回目の実験では、パーキングタスクやSpeed-Accuracyタスクに関する認知スキルの向上が確認された。また、実車による訓練を実施していないのにも関わらず、訓練前後において実車によるカーレースのラップタイムの短縮が確認された。eモータースポーツでもパフォーマンス向上の可能性が確認された。
・1回目及び2回目のいずれも、訓練の対象とした対象認知スキルがカーレースやeモータースポーツのパフォーマンスに因果的に寄与することが示唆される結果となった。また、1回目と2回目とで参加したプレイヤの性質(例えば、トッププレイヤのみ参加か、トッププレイヤではないプレイヤも含まれるか等)やサンプル数等の検証方法が異なっていても、競技に関するパフォーマンスの向上が確認された。
【0067】
<3.機能構成>
図18を参照して、本実施形態に係るユーザ装置100の機能構成を説明する。
図18に示すように、ユーザ装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130と、を備える。
【0068】
制御部110は、取得部111と、分析部112と、特定部113と、出力部115と、を備える。また、制御部110は、例えば、評価部114、受付部116、推定部117、選択部118、及び/又は生成部119を備えてもよい。
【0069】
[取得部]
取得部111は、ユーザ装置100、シミュレーション装置200、及び/又はサーバ装置300から、各種要求および/または各種情報を取得する。例えば、取得部111は、感情制御タスクの認知タスク処理として、感情調整コンテンツが出力される場合に脳波信号を第2ユーザ装置100bから順に取得することを含んでもよい。
【0070】
取得部111は、第1取得部111aを備える。第1取得部111aは、第1認知評価情報を取得する。第1認知評価情報は、第1競技に関する脳の各認知スキルに対する第1プレイヤの評価を含む。
【0071】
第1取得部111aは、例えば、第1競技評価情報を取得することを含んでもよい。第1競技評価情報は、第1競技及び/又は第2競技に関する各競技スキルに対する第1プレイヤの評価を含む。
【0072】
[分析部]
分析部112は、第2認知評価情報と、第1認知評価情報とを分析する。第2認知評価情報は、第1競技又は第2競技に関する脳の各認知スキルに対する第2プレイヤの評価を含む。例えば、分析部112は、第1認知評価情報と、第2認知評価情報との比較を行うことを含んでもよい。
【0073】
例えば、分析部112は、第2プレイヤをベンチマークプレイヤとして、このベンチマークプレイヤの第1競技に関する各認知スキルの評価と第1プレイヤの第1競技に関する各認知スキルの評価との差分(以下、「ベンチマークとの認知スキル差分」ともいう)を算出してもよい。また、他の例として、分析部112は、第2プレイヤをコントロールプレイヤとして、このコントロールプレイヤの第1競技に関する各認知スキルの認知タスクによる訓練前後の評価と第1プレイヤの第1競技に関する各認知スキルの認知タスクによる訓練前後の評価との差分(以下、「コントロールとの認知スキル差分」ともいう)を算出してもよい。
【0074】
分析部112は、例えば、第2競技評価情報と、第1競技評価情報とを分析することを含んでもよい。第2競技評価情報は、例えば、第1競技及び/又は第2競技に関する各競技スキルに対する第2プレイヤの評価を含む。分析部112は、例えば、第2プレイヤをベンチマークプレイヤとして、このベンチマークプレイヤの第1競技に関する各競技スキルの評価と第1プレイヤの第1競技に関する各競技スキルの評価との差分(以下、「ベンチマークとの競技スキル差分」ともいう)を算出してもよい。他の例として、分析部112は、例えば、第1プレイヤと第2プレイヤの第1競技に関する各競技スキルの評価として、それぞれの競技スキルのタイプを分析してもよい。分析部112は、例えば、競技スキルのタイプとして、第1競技と第2競技がモータースポーツとeモータースポーツの場合、それぞれのプレイヤがコーナリングスキルにおいてスピード重視のタイプか正確性重視のタイプかを分析してもよい。
【0075】
分析部112は、例えば、第1競技評価情報と第1認知評価情報とを分析することを含んでもよい。具体的には、分析部112は、第1プレイヤの認知スキルの認知タスクによる訓練前後の評価の差分と、競技スキルの認知タスクによる訓練前後の評価の差分とを分析してもよい。また、分析部112は、例えば、上記
図8の例のように、認知スキルに対する評価と競技スキルに対する評価との相関関係を分析することを含んでもよい。具体例として、分析部112は、第1プレイヤの認知スキルの認知タスクによる訓練前後の評価と、競技スキルの認知タスクによる訓練前後の評価とを分析し、認知タスクによる訓練における第1プレイヤの認知スキルと競技スキルの評価との相関関係の度合いを算出してもよい。
【0076】
[特定部]
特定部113は、第1認知評価情報及び第2認知評価情報の分析結果に基づいて、第1プレイヤの訓練対象とする対象認知スキルを特定する。例えば、特定部113は、分析部112により算出されたベンチマークとの認知スキル差分が所定の閾値を超える認知スキルを、第1プレイヤに不足し、又は第1プレイヤが得意とし、かつ向上させる必要があるスキルとして対象認知スキルに特定してもよい。また、他の例として、特定部113は、分析部112により算出されたコントロールとの認知スキル差分が所定の閾値を超える認知スキルを、訓練によるスキル向上が期待できるスキルとして対象認知スキルに特定してもよい。
【0077】
特定部113は、例えば、第1競技評価情報及び第2競技評価情報の分析結果にさらに基づいて、第1プレイヤの対象認知スキルを特定することを含んでもよい。例えば、特定部113は、複数の第2プレイヤのうち、分析部112により算出されたベンチマークとの競技スキル差分が所定の閾値を超える第2プレイヤを、第1プレイヤとの比較対象として絞り込み、又は特定してもよい。また、特定部113は、複数の第2プレイヤのうち、分析部112により分析された競技スキルが同一又は類似する第2プレイヤを、第1プレイヤとの比較対象として特定してもよい。
【0078】
上記構成によれば、特定部113は、第1プレイヤの競技スキルの評価と第2プレイヤの競技スキルの評価を分析した結果にさらに基づいて対象認知スキルを特定することができる。例えば、特定部113は、この分析の結果により、比較対象の第2プレイヤを第1プレイヤより優位な競技スキルを持つプレイヤに絞り、この優位な競技スキルを持つ第2プレイヤの認知スキルを、第1プレイヤの対象認知スキルとして特定してもよい。このため、競技スキルと認知スキルとの関係性をふまえて対象認知スキルを特定することができる。よって、第1競技のパフォーマンス向上により効果のある対象認知スキルを特定して訓練させることができる。
【0079】
特定部113は、例えば、第1競技評価情報及び第1認知評価情報の分析結果にさらに基づいて、第1プレイヤの対象認知スキルを特定することを含んでもよい。特定部113は、例えば、分析部112により分析された第1プレイヤの競技スキルの評価と認知スキルの評価との相関関係に基づいて、第1プレイヤの対象認知スキルを特定することを含んでもよい。具体的には、特定部113は、スキルアップの対象とする競技スキルの評価との相関関係の度合いが所定の閾値を超える(又は下回る)評価をもつ認知スキルを、この競技スキルと相関が強い認知スキルとして対象認知スキルとして特定してもよい。
【0080】
上記構成によれば、特定部113は、認知スキルの評価と競技スキルの評価との相関関係を利用して対象認知スキルを特定することができる。このため、特定部113は、どの認知スキルを対象認知スキルとするかを定量的に特定することができる。
【0081】
特定部113は、例えば、第1認知評価情報と第2認知評価情報との比較の結果に基づいて、第1プレイヤの対象認知スキルを特定してもよい。このような構成によれば、第1プレイヤと第2プレイヤの認知スキルの評価の差分を利用して対象認知スキルを特定することができる。また、上記
図5~17の実証実験によれば、このように特定した対象認知スキルを向上させることで第1競技に関する競技スキルの向上を図ることができる可能性が確認されているため、より効果的に競技スキルの向上を図ることができる。
【0082】
特定部113は、例えば、第1競技の種類、及び/又は第2競技の種類の少なくともいずれかの種類ごとに、複数のプレイヤ共通の訓練対象とする共通対象認知スキルを特定してもよい。この場合、認知スキル情報は、共通対象認知スキルに関する情報を含んでもよい。
【0083】
特定部113は、例えば、第1競技が、現実空間におけるモータースポーツであり、かつ、第2競技が、モータースポーツを模擬する仮想空間におけるeスポーツである場合、感情制御タスク、及び/又は感覚運動タスクに優先度を設定してもよい。具体的には、特定部113は、感情制御タスク、及び/又は感覚運動タスクの優先度を他の認知タスクより上げるよう設定してもよい。この場合、特定部113は、感情制御タスク、及び/又は感覚運動タスクの優先度に基づいて、認知タスクを特定してもよい。上記
図9~17の実証実験2回目によれば、感情制御タスク及び/又は感覚運動タスクの訓練によりモータースポーツのラップタイムの短縮が図れる可能性が確認されているため、より効果的に競技スキルの向上を図ることができる。
【0084】
[評価部]
評価部114は、認知タスク情報と受付部116が受け付けた認知タスク情報に対する入力の結果とに基づいて、第1プレイヤの各認知スキルを評価する。このような構成によれば、ユーザ装置100で各認知スキルに関する認知タスク処理の実行とその実行の結果に基づいて、各認知スキルの評価を行うことができるため、ユーザ装置100で関連する機能をまとめることができる。その結果、認知タスク処理の実行とその実行の結果に基づく評価とを別々の装置で実行する場合と比較して、これらの装置が通信可能に接続されている必要がないため、例えばユーザ装置100がオフライン環境であっても認知タスク処理の実行と評価の各機能を実行することができる。
【0085】
評価部114は、例えば、第2認知評価情報に基づいて、競技の種類(例えば、「オートバイ競技」、「四輪自動車競技」、「競艇(モーターボート)」等)、プレイヤの性質(例えば、ポジティブタイプかネガティブタイプか等)、及び/又は競技が行われる空間が現実空間か仮想空間かを示す空間の種類の少なくともいずれかごとに、第1プレイヤの評価の基準を設定してもよい。評価部114は、この設定した評価の基準を用いて、第1競技に関する第1プレイヤの各認知スキルを評価してもよい。
【0086】
上記構成によれば、評価部114は、競技の種類やプレイヤの性質、空間の種類に応じて評価の基準を変えることができる。このため、より妥当性のある認知スキルの評価を実現させることができる。
【0087】
評価部114は、例えば、第1競技に関する各競技スキルに対する第1プレイヤの評価に基づいて、各認知スキルの評価方法を設定することを含んでもよい。具体例として、評価部114は、競技スキルの評価値に対応した各認知スキルの閾値を用いて、各認知スキルの評価を行ってもよい。評価部114は、この設定した評価方法を用いて、各認知スキルを評価してもよい。
【0088】
[出力部]
出力部115は、ユーザ装置100に、各種情報を出力させる。出力部115は、対象認知スキルに関する認知スキル情報を出力する。このような構成によれば、第1プレイヤは、第1競技又は第2競技の訓練のために、対象認知スキルをディスプレイによる画面やスピーカによる音声で確認することができる。このため、第2競技のシミュレーション等による訓練に加え、効果的な第1競技に関する認知スキルを提供することができる。よって、現実空間及び仮想空間における競技において、脳の認知スキルに着目した新しいトレーニングを支援することができる
【0089】
出力部115は、例えば、認知タスク情報を出力することを含んでもよい。認知タスク情報は、例えば、各認知スキルを訓練する認知タスクに関する情報であり、認知スキルをユーザに訓練させる処理に関する情報でもよい。
【0090】
出力部115は、例えば、推定部117により推定された感情に関する感情情報を出力する。例えば、出力部115は、推定された感情の推定値を含む感情情報や感情調整コンテンツをディスプレイや第2ユーザ装置100bに出力する。
【0091】
出力部115は、例えば、第1競技に関する訓練プラン情報を出力してもよい。訓練プラン情報は、例えば、対象認知スキルに関する認知タスクを含み、訓練期間、訓練方法などを含んでもよい。このような構成によれば、第1プレイヤ等のユーザは、訓練プランとして、訓練対象の認知スキルを確認することができる。
【0092】
[受付部]
受付部116は、第1プレイヤから、認知タスク情報に対する入力を受け付ける。例えば、受付部116は、認知タスクを訓練する処理が実行される場合、この訓練処理に対するユーザの応答内容を受け付けてもよい。
【0093】
[推定部]
推定部117は、第1プレイヤにおける、取得部111により順に取得される脳波信号、及び脳波信号とこの脳波信号に対する感情ラベルとを含む学習データを学習した学習モデルを用いて、順に取得される脳波信号に対する感情を推定する。例えば、学習モデルは、サーバ30により生成された推定モデルでもよいし、生成部119により生成された推定モデルでもよいし、推定部117によりカスタマイズされた推定モデルでもよい。
【0094】
[選択部]
選択部118は、推定された第1プレイヤの感情に基づいて感情調整コンテンツのデータを選択する。例えば、選択部118は、第1プレイヤの感情の推定値が所定の閾値を下回った場合に、一般的にリラックス効果が高いと言われている音(音楽、バイノーラルビーツ)を1又は複数含むプレイリストの中から1つの音を選択してもよい。
【0095】
[生成部]
生成部119は、脳波測定対象のユーザから取得される所定時間内の脳波信号と、この脳波信号に対するユーザの感情とに基づいて推定モデルを生成する。例えば、生成部119は、所定時間内に取得される脳波信号と、この脳波信号にアノテーションされた教師ラベルとを含む学習データを推定モデルに入力することで、このユーザに適したモデルを生成してもよい。
【0096】
[通信部]
通信部120は、第1ネットワークN1、第2ネットワークN2及び/又は第3ネットワークN3を介して、ユーザ装置100、シミュレーション装置200及び/又はサーバ装置300との間で、各種情報を送受信する。
【0097】
[記憶部]
記憶部130は、トレーニングシステム1で処理されるプレイヤ情報、第1評価情報、第2評価情報、訓練プラン情報(対象認知スキル情報と認知タスク情報を含む)等の各種情報を記憶する。記憶部130は、例えば、これらの情報を相互に関連付けて記憶してもよい。記憶部130は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各種情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各種情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、情報ごとにテーブルを設けて、このテーブル間を関連付けて各種情報を管理してもよい。
【0098】
<4.動作例>
図19~21を参照して、本実施形態に係るユーザ装置100の動作例を説明する。なお、以下に示す処理の順番や単位は一例であって、適宜、変更されてもよい。本例では、第2競技をカーレースゲームとする例を説明する。
【0099】
図19は、訓練前において、第1プレイヤが第2競技を実施し、その実施の結果に基づいて第1プレイヤの競技スキルを評価する際の処理の流れや各装置間の相互作用の一例を示すシーケンス図である。
【0100】
図19に示すように、ユーザ装置100は、トレーニングシステム1へのログインとして、第1プレイヤからのアカウント情報(例えば、ユーザIDやパスワード)の入力を受け付ける(S10)。ユーザ装置100は、入力を受け付けたアカウント情報をシミュレーション装置200に送信する(S11)。この際、ユーザ装置100とシミュレーション装置200とは、第2ネットワークN2がBluetooth等の場合、ペアリング等の通信接続を確立させてもよい。シミュレーション装置200は、この送信されたアカウント情報を取得する。シミュレーション装置200は、アカウント情報とシミュレーション装置200に関する装置情報とをサーバ装置300に送信する(S12)。サーバ装置300は、アカウント情報に基づいて、このアカウント情報に対応する第1プレイヤを特定する(S13)。サーバ装置300は、特定した第1プレイヤのプレイヤ情報を抽出する(S14)。
【0101】
プレイヤ情報は、例えば、カーレースゲーム及び/又は認知タスクを実行させるプレイヤに関する各パラメータを含んでもよい。プレイヤ情報は、例えば、プレイヤがカーレースゲームを進行させるために必要な情報(例えば、プレイヤのレベル、マシンオブジェクトのセッティング情報、前回までのプレイ履歴情報等)を含んでもよい。また、プレイヤ情報は、例えば、プレイヤが認知タスクを進行させるために必要な情報(例えば、前回までのタスク実行履歴情報等)を含んでもよい。
【0102】
サーバ装置300は、抽出したプレイヤ情報をシミュレーション装置200に送信する(S15)。シミュレーション装置200は、送信されたプレイヤ情報を取得して、取得したプレイヤ情報に基づいて、第1プレイヤの操作入力に応じてカーレースゲーム(第2競技)に関する処理、例えばカーレースゲームのタイムトライアルを実行する(S16)。シミュレーション装置200は、この実行の結果に基づいて、カーレースゲームに関する第1プレイヤの競技スキルを評価する(S17)。シミュレーション装置200は、この評価の結果を示す第1競技評価情報をユーザ装置100に送信する(S18)。ユーザ装置100は、送信された第1競技評価情報を取得して、第1競技評価情報を記憶部130に登録する(S19)。また、シミュレーション装置200は、この評価の結果を示す第1競技評価情報をサーバ装置300に送信する(S20)。ユーザ装置100は、送信された第1競技評価情報を取得して、プレイヤ情報として記憶部130に登録する(S21)。
【0103】
図20は、訓練前において、第1プレイヤが認知タスクを実施し、その実施の結果に基づいて第1プレイヤの認知スキルを評価する際の処理の流れや各装置間の相互作用の一例を示すシーケンス図である。
【0104】
図20に示すように、ユーザ装置100は、トレーニングシステム1へのログインとして、アカウント情報の入力を受け付ける(S30)。ユーザ装置100は、入力を受け付けたアカウント情報をサーバ装置300に送信する(S31)。サーバ装置300は、この送信されたアカウント情報を取得して、このアカウント情報に対応する第1プレイヤを特定する(S32)。サーバ装置300は、特定した第1プレイヤのプレイヤ情報を抽出する(S33)。
【0105】
サーバ装置300は、抽出したプレイヤ情報をユーザ装置100に送信する(S34)。ユーザ装置100は、送信されたプレイヤ情報を取得して、取得したプレイヤ情報に基づいて、第1プレイヤの操作入力に応じて認知タスク処理を実行する(S35)。ユーザ装置100は、この実行の結果に基づいて、第1プレイヤの認知スキルを評価する(S36)。ユーザ装置100は、この評価の結果を示す第1認知評価情報を記憶部130に登録する(S37)。
【0106】
図21は、第1プレイヤがカーレースゲームや認知タスクによりカーレースの訓練をする際の処理の流れや各装置間の相互作用の一例を示すシーケンス図である。本例では、第1プレイヤは、トレーニングシステム1にログインしているものとする。
【0107】
図21に示すように、ユーザ装置100は、第1プレイヤから訓練開始の要求入力を受け付ける(S40)。ユーザ装置100は、この要求を受け付けると、サーバ装置300に第1プレイヤの第1評価情報と、第1プレイヤのベンチマークとなる第2プレイヤの第2評価情報を要求する(S41)。サーバ装置300は、この要求を受けると、要求された第1評価情報及び第2評価情報を抽出する(S42)。この際、第1評価情報は第1認知評価情報と第1競技評価情報とを含み、第2評価情報は第2認知評価情報と第2競技評価情報とを含む。サーバ装置300は、この抽出された第1評価情報及び第2評価情報をユーザ装置に送信する(S43)。ユーザ装置100は、送信された第1評価情報及び第2評価情報を記憶部130に登録する(S44)。
【0108】
ユーザ装置100は、上記登録された第1評価情報と第2評価情報とを分析する(S45)。ユーザ装置100は、この分析の結果に基づいて、第1プレイヤの訓練対象とする対象認知スキル及び対象競技スキルを特定する(S47)。ユーザ装置100は、特定された対象認知スキルに関する認知タスク及び対象競技スキルに関する競技タスクを特定する(S48)。ユーザ装置100は、これらの特定された対象認知スキル及び対象競技スキル、並びに認知タスク及び競技タスクを含む訓練プラン情報を画面に出力する(S49)。
【0109】
トレーニングシステム1の各装置は、複合フラグメントpar(Parallel)が示すエリアにおける破線の上部のエリア内の処理と下部のエリア内の処理とを並列で行う。
【0110】
具体的には、破線の上部のエリア内の処理として、ユーザ装置100は、訓練プラン情報をシミュレーション装置200に送信する(S50)。シミュレーション装置200は、送信された訓練プラン情報を取得して、取得した訓練プラン情報に基づいて、第1プレイヤの操作入力に応じてカーレースゲームに関する処理を実行する(S51)。シミュレーション装置200は、この実行の結果に基づいて、カーレースゲームに関する第1プレイヤの競技スキルを評価する(S52)。シミュレーション装置200は、この評価の結果を示す第1競技評価情報をユーザ装置100に送信する(S53)。ユーザ装置100は、送信された第1競技評価情報を取得して、第1競技評価情報を記憶部130に登録する(S54)。
【0111】
具体的には、破線の下部のエリア内の処理として、ユーザ装置100は、出力された訓練プラン情報に示された各認知タスクの中から、第1プレイヤが行う認知タスクの選択入力を受け付ける(S55)。ユーザ装置100は、この選択された認知タスクについて、第1プレイヤの操作入力に応じて認知タスク処理を実行する(S56)。ユーザ装置100は、この実行の結果に基づいて、第1プレイヤの認知スキルを評価する(S57)。ユーザ装置100は、この評価の結果を示す第1認知評価情報を記憶部130に登録する(S58)。
【0112】
ユーザ装置100は、上記登録された第1競技評価情報と第1認知評価情報とを含む第1評価情報を出力する(S59)。
【0113】
<5.ハードウェア構成>
図22を参照して、上述してきたユーザ装置100やサーバ装置300をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0114】
図22に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、及び表示装置813を含む。
【0115】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置300の制御部110が備える各機能部などは、メモリ803に一時記憶されたプログラムを、プロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0116】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0117】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラム(例えば、ユーザプログラムやサーバプログラム等)を記憶する。この他、記憶装置805は、第1評価情報、第2評価情報、訓練プラン情報(対象認知スキル情報を含む)、及び/又は推定モデル等の各種情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0118】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイスなどが挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0119】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置などがある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0120】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線または無線により、ネットワークNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0121】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイなどが挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブルなどを介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0122】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、上記に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0123】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0124】
[変形例1]
上記実施形態では、第2競技(eモータースポーツ)に関する処理を実行する装置とユーザ装置100とを異なる装置として説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザ装置100の制御部110は、ユーザである第1プレイヤの操作入力に応じて、第2競技に関する処理をさらに実行してもよい。言い換えれば、ユーザ装置100がシミュレーション装置200の全部又は一部の機能又は構成を備えてもよい。本例では、第2競技を第1競技のシミュレーションとして、このシミュレーションに関する処理(以下、「シミュレーション処理」ともいう)を実行するものとする。このような構成によれば、ユーザ装置100のみで、認知タスクと第2競技に関する処理とを実行することができる。このため、第1プレイヤは、より簡易に訓練を行うことができる。また、逆に、シミュレーション装置200が、ユーザ装置100の機能の全部又は一部を備えてもよい。
【0125】
生成部119は、例えば、シミュレーション処理として、仮想空間に関する仮想空間データを生成してもよい。仮想空間データは、例えば、仮想建造物のポリゴンデータやテクスチャデータ、及び/又は仮想空間上の各オブジェクトを制御する制御データ等を含んでもよい。
【0126】
出力部115は、例えば、シミュレーション処理として、仮想空間データに基いて、仮想空間を画面および音声で出力させるための出力情報を生成し、この出力情報に基づいて、自装置に仮想空間を生成してもよい。
【0127】
仮想空間データは、例えば、第2競技がゲームの場合、ゲームデータを含んでもよい。ゲームデータは、ユーザ装置100でゲームを実行させるためのデータであり、例えば、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタやマシンオブジェクト、その他のゲーム空間オブジェクト(ゲーム空間の地形、フィールドを構成するオブジェクトや、NPC(non player character)オブジェクト)を自動的に操作させるための操作データなどを含んでもよい。
【0128】
[変形例2]
上記実施形態では、第1評価情報、第2評価情報、訓練プラン情報等の各種情報を記憶する記憶部をユーザ装置100の記憶部とする例を示したが、本発明をこれに限る趣旨ではない。例えば、これらの記憶部の少なくとも一部は、サーバ装置300やサードパーティシステム等の外部システムの装置が備えてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1…トレーニングシステム、100…ユーザ装置、110…制御部、111…取得部、112…分析部、113…特定部、114…評価部、115…出力部、116…受付部、117…推定部、118…選択部、119…生成部、120…通信部、130…記憶部、200…シミュレーション装置、300…サーバ装置、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。