(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007307
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】天板昇降式什器
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20240111BHJP
A47B 13/02 20060101ALI20240111BHJP
A47B 9/20 20060101ALI20240111BHJP
A47B 17/02 20060101ALI20240111BHJP
A47B 17/04 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47B13/00 B
A47B13/02
A47B9/20
A47B17/02
A47B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171366
(22)【出願日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2022108307
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】関川 秀峰
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 亜美
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NK00
3B053NN03
3B053NN04
3B053NQ04
3B053NQ07
3B053NR01
3B053NR04
3B053SF01
(57)【要約】
【課題】体裁を向上させることができるとともに、天板の下方空間において使用者と配線との干渉を抑制できる天板昇降式什器を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る天板昇降式什器は、床面上に配置される下部構造体と、下部構造体の上方に配置された天板を有する上部構造体と、下部構造体に対して上部構造体を上下方向に移動可能とする昇降脚と、を備えている。上部構造体は、下方に向けて開口する上部配線空間が形成されて天板から下方に延びる上遮蔽部を備えている。下部構造体は、上方に向けて開口する下部配線空間が形成されて床面から上方に延びる下遮蔽部を備えている。上部構造体は、上遮蔽部及び下遮蔽部のうち一方の遮蔽部に形成された配線空間である上部配線空間又は下部配線空間の内部に、上遮蔽部及び下遮蔽部のうち他方の遮蔽部の一部が収容された状態で、下部構造体に対して上下動可能に構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に配置される下部構造体と、
前記下部構造体の上方に配置された天板を有する上部構造体と、
前記下部構造体及び前記上部構造体間を接続し、前記下部構造体に対して前記上部構造体を上下方向に移動可能とする昇降脚と、を備え、
前記上部構造体は、下方に向けて開口する上部配線空間が形成されて前記天板から下方に延びる上遮蔽部を備え、
前記下部構造体は、上方に向けて開口する下部配線空間が形成されて前記床面から上方に延びる下遮蔽部を備え、
前記上部構造体は、前記上遮蔽部及び前記下遮蔽部のうち一方の遮蔽部に形成された配線空間である前記上部配線空間又は前記下部配線空間の内部に、前記上遮蔽部及び前記下遮蔽部のうち他方の遮蔽部の一部が収容された状態で、前記下部構造体に対して上下動可能に構成されている天板昇降式什器。
【請求項2】
前記下部構造体は、前記床面に沿って配置されて前記下遮蔽部及び前記昇降脚を下方から支持するベース部を備え、
前記昇降脚は、前記ベース部のうち前記下遮蔽部よりも前方に位置する部分に設けられている請求項1に記載の天板昇降式什器。
【請求項3】
前記上遮蔽部は、
前記天板の後端部から下方に延びる上部後板と、
前記天板のうち前記上部後板よりも前方に位置する部分から下方に延びるとともに、前記上部後板との間に前記上部配線空間を形成する上部前板と、
前記天板における左右方向の両端部から下方に延びるとともに、前記上部配線空間を左右方向の両側から閉塞する一対の上部側板と、を備え、
前記下遮蔽部は、
前記上部後板よりも前方に位置する下部後板と、
前記下部後板よりも前方に位置するとともに、前記下部後板との間に前記下部配線空間を形成する下部前板と、
一対の前記上部側板に対して左右方向の内側に配置され、前記下部配線空間を左右方向の両側から閉塞する一対の下部側板と、を備え、
前記上遮蔽部のうち、上下方向から見て一対の前記下部側板と重なり合う位置には、下方に開口するとともに、一対の前記下部側板を収容する収容部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の天板昇降式什器。
【請求項4】
前記上部前板は、
前記天板に固定される第1固定部と、
前記第1固定部よりも下方において、前記昇降脚又は一対の前記上部側板に固定される第2固定部と、を備えている請求項3に記載の天板昇降式什器。
【請求項5】
前記下部後板及び前記下部前板のうち、前後方向の一方側に位置する部材は、前記下部配線空間を前後方向の一方側に開放する開放状態、及び前記下部配線空間を前後方向の一方側から遮蔽する遮蔽状態の間を移動可能である請求項3に記載の天板昇降式什器。
【請求項6】
前記一方側に位置する部材は、前記下部前板であり、
前記下部前板は、前記開放状態及び前記遮蔽状態の間を一対の前記下部側板に上下動可能に支持されている請求項5に記載の天板昇降式什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板昇降式什器に関する。
【背景技術】
【0002】
天板付什器(例えば、デスク装置、テーブル装置、カウンター装置等)では、使用者の身長や好みや使用用途等に応じ、天板の高さを上下に変更可能とする昇降ユニットを備えたもの(以下、天板昇降式什器という。)が知られている。
【0003】
天板昇降式什器として、例えば下記特許文献1には、天板の後端部及び左右両端部に対応する位置に幕板を設ける構成が開示されている。
この構成によれば、天板の下方空間が幕板によって後方及び左右両側から囲まれることで、使用者の下肢が使用者とは反対側に露呈し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、天板の下方空間には、昇降ユニットの配線や天板上で使用する電子機器の配線等が引き回されている場合がある。この場合、従来技術にあっては、天板の下方空間において、各種配線が天板昇降式什器の前方(使用者側)に露呈する可能性があった。天板の下方空間に各種配線が露呈していると、天板昇降式什器の体裁が低下したり、使用者の下肢が配線等に干渉したりする可能性がある。
【0006】
本発明は、体裁を向上させることができるとともに、天板の下方空間において使用者と配線との干渉を抑制できる天板昇降式什器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る天板昇降式什器は、床面上に配置される下部構造体と、前記下部構造体の上方に配置された天板を有する上部構造体と、前記下部構造体及び前記上部構造体間を接続し、前記下部構造体に対して前記上部構造体を上下方向に移動可能とする昇降脚と、を備え、前記上部構造体は、下方に向けて開口する上部配線空間が形成されて前記天板から下方に延びる上遮蔽部を備え、前記下部構造体は、上方に向けて開口する下部配線空間が形成されて前記床面から上方に延びる下遮蔽部を備え、前記上部構造体は、前記上遮蔽部及び下遮蔽部のうち一方の遮蔽部に形成された配線空間である前記上部配線空間又は前記下部配線空間の内部に、前記上遮蔽部及び前記下遮蔽部のうち他方の遮蔽部の一部が収容された状態で、前記下部構造体に対して上下動可能に構成されている。
【0008】
本態様によれば、昇降脚の配線等を、上部配線空間及び下部配線空間を通して上方から下方まで引き回すことができる。すなわち、配線の周囲が幕板によって囲まれるため、天板昇降式什器の外部に配線が露呈することを抑制できる。その結果、体裁を向上させることができるとともに、天板の下方空間において使用者と配線との干渉を抑制できる。
【0009】
(2)上記(1)の態様に係る天板昇降式什器において、前記下部構造体は、前記床面に沿って配置されるとともに、前記下遮蔽部及び前記昇降脚を下方から支持するベース部を備え、前記昇降脚は、前記ベース部のうち前記下遮蔽部よりも前方に位置する部分に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、昇降脚が配線空間内に配線とともに収容される構成に比べ、配線空間の有効スペースを確保し易い。そのため、配線空間内で配線を引き回し易い。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の態様に係る天板昇降式什器において、前記上遮蔽部は、前記天板の後端部から下方に延びる上部後板と、前記天板のうち前記上部後板よりも前方に位置する部分から下方に延びるとともに、前記上部後板との間に前記上部配線空間を形成する上部前板と、前記天板における左右方向の両端部から下方に延びるとともに、前記上部配線空間を左右方向の両側から閉塞する一対の上部側板と、を備え、前記下遮蔽部は、前記上部後板よりも前方に位置する下部後板と、前記下部後板よりも前方に位置するとともに、前記下部後板との間に前記下部配線空間を形成する下部前板と、一対の前記上部側板に対して左右方向の内側に配置され、前記下部配線空間を左右方向の両側から閉塞する一対の下部側板と、を備え、前記上遮蔽部のうち、上下方向から見て一対の前記下部側板と重なり合う位置には、下方に開口するとともに、一対の前記下部側板を収容する収容部が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、上遮蔽部における上部前板及び上部後板間に上部配線空間を形成し、下遮蔽部における下部前板及び下部後板間に下部配線空間を形成することで、下部側板や上部側板に配線空間を形成する場合に比べ、下部側板及び上部側板を薄くすることができる。これにより、天板昇降式什器の体裁を向上させることができる。
しかも、上遮蔽部のうち、上下方向から見て一対の下部側板と重なり合う位置に、収容部が形成されているため、天板が上下動する際に、上遮蔽部及び下遮蔽部間の干渉を抑制できる。そのため、天板のストロークを確保し易い。
【0011】
(4)上記(3)の態様に係る天板昇降式什器において、前記上部前板は、前記天板に固定される第1固定部と、前記第1固定部よりも下方において、前記昇降脚又は一対の前記上部側板に固定される第2固定部と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、上部前板が上下2ヶ所で固定されるため、上部前板の支持強度を確保し易い。
【0012】
(5)上記(3)又は(4)の態様に係る天板昇降式什器において、前記下部後板及び前記下部前板のうち、前後方向の一方側に位置する部材は、前記下部配線空間を前後方向の一方側に開放する開放状態、及び前記下部配線空間を前後方向の一方側から遮蔽する遮蔽状態の間を移動可能であることが好ましい。
本態様によれば、一方側に位置する部材を開放状態とすることで、下部配線空間に対して前後方向の一方側からアクセスし易くなる。そのため、例えば下部構造体から上部構造体を取り外す等の作業を行うことなく、下部配線空間に収容される配線の施工やメンテナンスが行い易くなる。
【0013】
(6)上記(5)の態様に係る天板昇降式什器において、前記一方側に位置する部材は、前記下部前板であり、前記下部前板は、前記開放状態及び前記遮蔽状態の間を一対の前記下部側板に上下動可能に支持されていることが好ましい。
本態様によれば、下部前板が下部側板に上下動可能に支持されることで、天板昇降式什器の後方から下部前板の昇降機構(例えば、ガイド溝等)が視認されることを抑制できる。また、開放状態において、下部配線空間の下部が開放されるので、下部配線空間に対して下部配線空間の上方からアクセスする場合に比べて配線の施工やメンテナンスが行い易い。
【発明の効果】
【0014】
上記各態様によれば、体裁を向上させることができるとともに、天板の下方空間において使用者と配線との干渉を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る天板昇降式什器を前方から見た斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る天板昇降式什器を前方から見た正面図である。
【
図3】第1実施形態に係る天板昇降式什器を後方から見た背面図である。
【
図4】第1実施形態に係る天板昇降式什器の側面図である。
【
図5】第1実施形態に係る天板昇降式什器の平面図である。
【
図6】
図5のVI-VI線に対応する断面図である。
【
図7】
図3のVII-VII線に対応する断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る天板の下方空間を示す斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る天板昇降式什器の平面図である。
【
図10】下部配線空間が遮蔽状態にあるときを示す第3実施形態に係る天板昇降式什器の斜視図である。
【
図11】下部配線空間が開放状態にあるときを示す第3実施形態に係る天板昇降式什器の斜視図である。
【
図12】第3実施形態に係る
図7に対応する断面図である。
【
図13】変形例に係る天板昇降式什器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。また、本実施形態において、「向かい合う」とは、2つの面それぞれの直交方向(法線方向)が互いに一致している場合に限らず、直交方向同士が交差している場合も含んでいる。
【0017】
(第1実施形態)
[天板昇降式什器1]
図1は、天板昇降式什器1を前方から見た斜視図である。
図2は、天板昇降式什器1を前方から見た正面図である。
図3は、天板昇降式什器1を後方から見た背面図である。
図4は、天板昇降式什器1の側面図である。
図1~
図4に示す天板昇降式什器1は、各種施設(例えばオフィスやホール、公共施設等)に設置されている。以下の説明において、床面Fに直交する方向を上下方向(矢印UPが上側)とし、上下方向に直交する2方向をそれぞれ前後方向(矢印FRが前側)及び左右方向(矢印LHが左側)として説明する。
【0018】
天板昇降式什器1は、例えば電動昇降式の天板付什器である。天板昇降式什器1は、下部構造体10と、天板13を有する上部構造体11と、昇降ユニット12と、を備えている。天板昇降式什器1は、昇降ユニット12の駆動によって下部構造体10に対して上部構造体11が上下動することで、天板13の上下方向の高さが調整可能である。
【0019】
<下部構造体10>
下部構造体10は、ベース部21と、下遮蔽部22と、を備えている。
ベース部21は、上下方向を厚さ方向とし、床面Fに沿って延びる板状に形成されている。ベース部21は、平面視で(上下方向から見て)前方に開口するC字状に形成されている。具体的に、ベース部21は、左右方向に延びる左右延在部21aと、左右延在部21aにおける左右方向の両端部から前方に延びる一対の前後延在部21bと、を備えている。ベース部21は、左右延在部21aにおける両端部や前後延在部21bにおける前端部に設けられたキャスタ25を介して床面F上に接地している。
【0020】
下遮蔽部22は、天板13の下方空間のうち下半部を後方及び左右方向の両側から取り囲む。下遮蔽部22は、ベース部21から上方に延びている。下遮蔽部22の平面視形状は、ベース部21の平面視形状に倣って延びるC字状に形成されている。具体的に、下遮蔽部22は、下部前後幕板31と、一対の下部側板32と、を備えている。
【0021】
下部前後幕板31は、天板13の下方空間を前後方向に遮蔽する。下部前後幕板31は、下部前板35と、下部後板36と、を備えている。
下部前板35は、前後方向を厚さ方向として配置されている。下部前板35は、左右延在部21aから上方に向けて延びている。下部前板35は、左右延在部21aにおける左右方向の全長に亘って延びている。
【0022】
下部後板36は、前後方向を厚さ方向とし、下部前板35の後方に間隔をあけて設けられている。
図3、
図4に示すように、下部後板36は、下端部がベース部21よりも下方に突出した状態で、左右延在部21aの後端面に固定されている。但し、下部後板36は、ベース部21の上面に固着されていてもよい。図示の例において、下部後板36の下端面は、床面Fに近接している。左右延在部21aにおける左右方向の両端部は、ベース部21に対して左右方向の外側に突出している。なお、下部前板35及び下部後板36の上端面同士は、同等の高さに位置している。
【0023】
下部側板32は、下部前後幕板31に対して左右方向の両側にそれぞれ設けられている。具体的に、下部側板32は、左右方向を厚さ方向として配置されている。下部側板32は、下端部がベース部21よりも下方に突出した状態で、ベース部21(左右延在部21a及び前後延在部21b)における左右方向の外側端面に、それぞれ固定されている。図示の例において、下部側板32の下端面は、下部後板36の下端面と同等の高さに位置している。一方、下部側板32の上端面は、下部前板35の上端面及び下部後板36の上端面と同等の高さに位置している。下部側板32の前端面は、前後延在部21bの前端面と同等の位置に配置されている。但し、下部側板32の前端面は、前後延在部21bの前端面よりも前方に配置されていてもよい。下部側板32の後端面は、下部後板36の前面のうち、左右方向の両端部に固定されている。なお、下遮蔽部22の下面には、高さ調整可能なアジャスタ37が設けられている。
【0024】
下遮蔽部22のうち、下部前板35及び下部後板36間に位置する部分であって、下部側板32に囲まれた部分は、下部配線空間38を構成する。下部配線空間38は、左右延在部21aの上方において、左右方向を長手方向(前後方向を短手方向)とし、上下方向に延びる直方体状の空間である。下部配線空間38の下端開口部は、左右延在部21aによって閉塞されている。一方、下部配線空間38の上端開口部は、上方に向けて開放されている。
【0025】
<上部構造体11>
図5は、天板昇降式什器1の平面図である。
図6は、
図5のVI-VI線に対応する断面図である。
図2、
図5、
図6に示すように、上部構造体11は、昇降ユニット12を介して下部構造体10に接続されている。上部構造体11は、上遮蔽部51と、支持ビーム52と、天板13と、傾動機構53と、棚板54と、を備えている。
上遮蔽部51は、天板13の下方空間のうち上半部を後方及び左右方向の両側から取り囲む。上遮蔽部51は、平面視において、下遮蔽部22よりも一回り大きいC字状に形成されている。具体的に、上遮蔽部51は、上部前後幕板61と、一対の上部側板62と、を備えている。
【0026】
上部前後幕板61は、天板13の下方空間を前後方向に遮蔽する。上部前後幕板61は、上部前板65と、上部後板66と、を備えている。
上部前板65は、下部前板35の前方において、前後方向を厚さ方向として配置されている。上部前板65の下端部は、天板13が最上端位置にあるとき、下部前板35の上端部と正面視で(前後方向から見て)重なり合っている。したがって、天板13の全ストローク(最上端位置及び最下端位置間)において、上部前板65及び下部前板35は、少なくとも一部同士が正面視で重なり合っている。なお、上部前板65の下端面は、天板13が最下端位置にあるとき、下部前板35の上端面と床面Fとの間であって、下部前板35の下端面よりも上方である高さに位置している(
図6参照)。
【0027】
図7は、
図3のVII-VII線に対応する断面図である。
図8は、天板13の下方空間を示す斜視図である。
図7、
図8に示すように、上部前板65のうち、平面視で各下部側板32と重なり合う部分には、収容部65aが形成されている。本実施形態において、収容部65aは、上部前板65の左右方向の長さが各下部側板32間の距離よりも短くなっていることで形成された、上部前板65の側方空間である。天板13が最上端位置にあるとき、各下部側板32の上端部は、対応する収容部65a内に収容されている。したがって、各下部側板32は、天板13の全ストローク(最上端位置及び最下端位置間)において、対応する収容部65a内を上下動する。なお、収容部65aは、上部前板65のうち、天板13がストロークする際に下部側板32と干渉する部分のみに設けられていてもよい。
【0028】
図6、
図7に示すように、上部後板66は、前後方向を厚さ方向とし、上部前板65に対して後方に間隔をあけて配置されている。上部後板66は、下部後板36の後方で左右方向及び上下方向に亘って延びている。上部後板66における上下方向の両端部は、上部前板65に対して上下方向の外側に位置している。また、上部後板66における左右方向の両端部は、下部後板36における左右方向の両端部よりも左右方向の外側に位置している。上部後板66の下端部は、天板13が最上端位置にあるとき、下部後板36の上端部と前後方向から見て重なり合っている。したがって、天板13の全ストローク(最上端位置及び最下端位置間)において、上部後板66及び下部後板36は、少なくとも一部同士が正面視で重なり合っている。なお、上部後板66の下端面は、天板13が最下端位置にあるとき、下部前板35の下端面と床面Fとの間に位置している(
図6参照)。
【0029】
図4、
図5に示すように、上部側板62は、上部前後幕板61に対して左右方向の両側にそれぞれ設けられている。具体的に、上部側板62は、左右方向を厚さ方向として配置されている。上部側板62は、上部後板66の前面のうち、左右方向の両端部にそれぞれ固定されている。但し、上部側板62は、上部後板66の左右方向の両端面に固定されていてもよい。上部側板62の上端面は、上部後板66の上端面と同等の高さに位置している。上部側板62の下端面は、上部後板66の下端面と同等の高さに位置している。上部側板62の前端面は、下部側板32の前端面よりも前方に位置している。上部側板62の下端部は、天板13が最上端位置にあるとき、下部側板32の上端部に側面視で(左右方向から見て)重なり合っている。したがって、天板13の全ストローク(最上端位置及び最下端位置間)において、上部側板62及び下部側板32の少なくとも一部同士が側面視で重なり合っている。なお、上部側板62の下端面は、天板13が最下端位置にあるとき、下部側板32の下端面と床面Fとの間に位置している(
図6参照)。
【0030】
図5~
図7に示すように、上遮蔽部51において、上部前板65及び上部後板66間に位置する部分であって、上部側板62に囲まれた部分は、上部配線空間68を構成する。
上部配線空間68は、平面視において、下部配線空間38よりも一回り大きい長方形状に形成されている。上部配線空間68の下端開口部は、下方に向けて開放されている。上部配線空間68は、下端開口部を通じて下部配線空間38に連通している。下部前後幕板31の上端部は、天板13が最上端位置にあるとき、上部配線空間68の下端開口部を通じて上部配線空間68内に収容されている。したがって、天板13の全ストロークにおいて、下部前後幕板31の少なくとも一部は、上部配線空間68内に収容されている。
【0031】
図5、
図6に示すように、上部配線空間68には、配線トレー69が設けられている。
配線トレー69は、上部後板66の上部(天板13が最下端位置にあるとき、下部前後幕板31よりも上方に位置した部分であって、天板13よりも下方に位置する部分)に取り付けられている。配線トレー69は、側面視でL字状に形成されている。配線トレー69は、上部後板66から前方に突出している。配線トレー69は、上部配線空間68を左右方向に延びている。配線トレー69における左右方向の一方側端部(図示の例では右側端部)には、貫通孔69aが形成されている。貫通孔69aは、配線トレー69を上下方向に貫通している。なお、配線トレー69は、上部前板65の上部(天板13が最下端位置にあるとき、下部前後幕板31よりも上方に位置した部分であって、天板13よりも下方に位置する部分)に取り付けられ、上部前板65から後方に突出していてもよく、上部側板62の上部に取り付けられ、上部側板62から左右方向の内側に突出していてもよい。
【0032】
支持ビーム52は、上遮蔽部51で囲まれた部分を左右方向に延びる杆材である。支持ビーム52は、上部側板62の上端部のうち、前後方向の中間部同士の間を架け渡している。
【0033】
天板13は、上遮蔽部51で囲まれた部分に設けられている。天板13は、固定天板13aと傾動天板13bとが組み合わされることで、全体として平面視で長方形状に形成されている。
固定天板13aは、傾動不能な天板である。固定天板13aは、天板13の後部を構成する。固定天板13aは、後端面が上部後板66に固定され、左右方向の両端面が対応する上部側板62に固定されている。上部後板66及び上部側板62の上端部は、固定天板13aよりも上方に突出している。固定天板13aの前端部の下面には、上部前板65の上端部が固定されている。すなわち、上部前板65の上端部は、第1固定部65c(
図6参照)を構成する。なお、固定天板13aの前端面は、平面視において、後方に向けて突の円弧状をなしている。
【0034】
図5に示すように、固定天板13aの後端部には、電気的機能部13cが設けられている。電気的機能部13cは、接続部13dが固定天板13aの上面に露呈した状態で、固定天板13aに埋め込まれている。接続部13dは、例えばコンセントやUSB(Universal Serial Bus)コネクタ受け、LAN(Local Area
Network)コネクタ受け等である。
【0035】
図6に示すように、電気的機能部13cの下端部からは、上部配線空間68に向けて配線13eが引き出されている。配線13eは、上部配線空間68に設けられた配線トレー69上に配置されている。配線13eは、配線トレー69上を左右方向に案内された後、貫通孔69a(
図5参照)を通じて下方に引き回されている。貫通孔69aを通過した配線13eは、上部配線空間68及び下部配線空間38を通して下方に配索された後、ベース部21に形成された引出孔21cを通じてベース部21の下方に引き出されている。引出孔21cは、左右延在部21aに形成されている。引出孔21cを通過した配線13eは、下遮蔽部22と床面Fとの間を通して床面F上を配索された後、外部電源に接続される。なお、引出孔21cは、左右延在部21aの任意の位置に形成されていてもよく、前後延在部21bに形成されていてもよい。また、電気的機能部13cに代えて、天板13上で使用する電子機器から延びる配線を上部配線空間68内に引き回す配線挿通口が設けられていてもよい。
【0036】
各配線空間38,68内には、配線ガイド70が設けられている。配線ガイド70は、各配線空間38,68で引き回される各種配線が挿通されるとともに、天板13の上下動に伴い上下方向に変形可能に構成することによって、各種配線の変形に追従できるように構成されている。配線ガイド70は、例えば複数の駒がピンによって鎖状に連結されることで、隣り合う駒同士がピン回りに回動する構成である。但し、配線ガイド70は、不織布等のより軟質な素材によって中空の筒状に構成されていてもよい。配線ガイド70の第1端部は、配線トレー69に接続されている。配線ガイド70内には、貫通孔69aを通過した各種配線が第1端部側の開口部を通じて挿通される。配線ガイド70の第2端部は、左右延在部21aに接続されている。配線ガイド70内に挿通された各種配線は、第2端部の開口部を通じて引き出された後、引出孔21cに挿通される。
【0037】
図5、
図6に示すように、傾動天板13bは、固定天板13aに対して傾動可能に設けられた天板である。傾動天板13bは、天板13の前部を構成する。傾動天板13bは、傾動機構53を介して支持ビーム52に支持されている。本実施形態において、傾動天板13bは、傾動天板13bの上面が固定天板13aの上面と同一面上(水平)に配置されたフラット位置P1と、傾動天板13bの上面が前方に向かうに従い下方に向けて延びる傾斜位置P2と、の間を左右方向に沿う軸線回りに傾動(回動)する。
【0038】
傾動天板13bの後端面は、平面視において、固定天板13aの前端面と同等の曲率半径を有する円弧状に形成されている。フラット位置P1において、傾動天板13bの後端面は、固定天板13aの前端面との間に僅かな隙間をあけて向かい合っている。図示の例において、傾動天板13bにおける前後方向の最大長さは、固定天板13aにおける前後方向の最大長さよりも長くなっている。但し、天板13全長に対する固定天板13aと傾動天板13bとの前後方向の長さの割合は適宜変更が可能である。また、固定天板13aの前端面と、傾動天板13bの後端面とは、平面視において直線状に形成されていてもよい。
【0039】
傾動機構53は、一対の前側支持部71と、後側支持部72と、傾動操作部73と、を備えている。
一対の前側支持部71は、支持ビーム52において左右方向に間隔をあけて設けられている。各前側支持部71は、支持ビーム52から前方に向けて突出している。前側支持部71は、アーム本体71aと、回動片71bと、を備えている。アーム本体71aの後端部は、支持ビーム52に固定されている。回動片71bは、アーム本体71aの前端部に左右方向に沿う軸線O(
図6参照)回りに回動可能に連結されている。回動片71bは、傾動天板13bの下面に固定されている。
【0040】
後側支持部72は、左右方向において一対の前側支持部71同士の間に設けられている。後側支持部72は、第1固定ベース72aと、第2固定ベース72bと、ガススプリング72cと、引張ばね72dと、を備えている。
第1固定ベース72aは、支持ビーム52において後方に向けて突出した状態で固定されている。第2固定ベース72bは、傾動天板13bの下面のうち、支持ビーム52よりも後方に位置する部分に、第1固定ベース72aと前後方向に向かい合った状態で固定されている。
【0041】
ガススプリング72cは、第1端部が左右方向に沿う軸線回りに回動可能に第1固定ベース72aに連結される一方、第2端部が左右方向に沿う軸線回りに回動可能に第2固定ベース72bに連結されている。傾動機構53は、ガススプリング72cの伸長に伴い、傾動天板13bの後端部を押し上げることで、軸線O回りに傾動天板13bを回動させる。
引張ばね72dは、ガススプリング72cに対して左右方向に並んで設けられている。
引張ばね72dは、第1端部が左右方向に沿う軸線回りに回動可能に第1固定ベース72aに連結される一方、第2端部が左右方向に沿う軸線回りに回動可能に第2固定ベース72bに連結されている。引張ばね72dは、傾動天板13bの後端部をフラット位置P1に向けて付勢している。
【0042】
傾動操作部73は、傾動天板13bの前端部の下面において、左右方向の中間部分に設けられている。傾動操作部73は、ガススプリング72cの伸長動作の許可及び規制を切り替える。
【0043】
<昇降ユニット12>
昇降ユニット12は、天板13(固定天板13a及び傾動天板13b)を昇降させる。
昇降ユニット12は、一対の昇降脚81と、昇降操作部82と、制御ユニット83(
図6参照)と、を備えている。
昇降脚81は、下部構造体10と上部構造体11とを上下方向に相対移動可能に接続している。昇降脚81は、各前後延在部21bにおける前後方向の中間部分であって、各下部側板32に対して左右方向の内側に位置する部分にそれぞれ設けられている。したがって、昇降脚81は、下部前板35よりも前方において、下遮蔽部22によって囲まれた位置に配置されている。なお、昇降脚81は、平面視において、固定天板13aと傾動天板13bとを前後方向に跨るように配置されている。
【0044】
各昇降脚81は、外形の異なる複数の筒体が入れ子状に組み合わされている。各昇降脚81は、各昇降脚81の内部に設けられた駆動機構(例えば、モータ等)が動作することによって上下方向に伸縮可能に構成されている。本実施形態において、各昇降脚81は、複数の筒体のうち最も外形の大きい筒体(以下、大筒体81aという。)が、対応する前後延在部21bに固定されている。一方、各昇降脚81は、複数の筒体のうち最も外形の小さい筒体(以下、小筒体81bという。)がステー81cを介して上部構造体11に固定されている。
【0045】
図8に示すように、ステー81cは、正面視でL字状に形成されている。具体的に、ステー81cは、張出部81c1と、第1垂下部81c2及び第2垂下部81c3と、を備えている。張出部81c1は、小筒体81bの上端縁からフランジ状に張り出している。
張出部81c1の後端部は、固定天板13aの下面に固定されている。張出部81c1の前端部は、傾動天板13bの下面に向かい合っている。なお、張出部81c1の前端部は、傾動天板13bがフラット位置にあるとき、傾動天板13bの下面に当接していてもよい。第1垂下部81c2は、張出部81c1における左右方向の外側端縁から下方に延びている。第1垂下部81c2は、上部側板62の上端部に固定されている。第2垂下部81c3は、張出部81c1の前端縁から下方に延びている。第2垂下部81c3は、支持ビーム52に固定されている。なお、ステー81cは、固定天板13a、上部側板62及び支持ビーム52のうち少なくとも何れかに固定されていればよい。
【0046】
各昇降脚81からは、駆動機構と制御ユニット83とを接続する第1配線81eが引き出されている。第1配線81eは、各昇降脚81の上端部から後方に配索された後、上部前板65に形成された引込孔65bを通じて上部配線空間68内に引き込まれている。
図2に示すように、引込孔65bは、上部前板65の上端部において、左右一対で形成されている。図示の例において、引込孔65bは、上部前板65の左右方向における両端部で、各収容部65aにそれぞれ連通している。なお、引込孔65bの位置や大きさ等は、適宜変更が可能である。
【0047】
昇降操作部82は、傾動天板13bの前端部の下面において、左右方向の他方側(図示の例では左側)に設けられている。なお、昇降操作部82と傾動操作部73とを一体で設けてもよい。
図8に示すように、昇降操作部82からは、昇降操作部82と制御ユニット83とを接続する第2配線82aが引き出されている。第2配線82aは、天板13の下面に沿って後方に配索された後、何れかの引込孔65bを通じて上部配線空間68内に引き込まれている。
【0048】
図6に示すように、制御ユニット83は、昇降操作部82の操作に基づき、各昇降脚81(駆動機構)の動作を制御する。制御ユニット83は、上部配線空間68に設けられた配線トレー69上に配置されている。制御ユニット83には、各昇降脚81から延びる第1配線81eや、昇降操作部82から延びる第2配線82aが接続されている。制御ユニット83からは、制御ユニット83と外部電源とを接続する接続配線83aが引き出されている。接続配線83aは、配線トレー69上を左右方向に案内された後、貫通孔69aを通じて下方に引き回されている。貫通孔69aを通過した接続配線83aは、上部配線空間68及び下部配線空間38において配線ガイド70内を通じて下方に配索された後、引出孔21cを通じてベース部21の下方に引き出されている。引出孔21cを通過した接続配線83aは、下遮蔽部22と床面Fとの間を通して床面F上を配索された後、外部電源に接続される。
【0049】
図8に示すように、棚板54は、天板13の下方空間において、上部前後幕板61の前方に設けられている。棚板54は、天板13の下方に間隔をあけた状態で、上下方向を厚さ方向として配置されている。棚板54のうち、平面視で昇降脚81と重なり合う部分には、逃げ部54aが形成されている。昇降脚81は、逃げ部54aを通じて棚板54を上下方向に貫通している。
【0050】
棚板54における左右方向の両端部は、対応する上部側板62にそれぞれ固定されている。棚板54の後端部は、上部前板65に固定されている。したがって、上部前板65は、棚板54を介して上部側板62に接続されている。すなわち、棚板54は、上部前板65を天板13よりも下方で支持する補強部材としての機能も有している。また、棚板54の前端面は、固定天板13aよりも前方であって、傾動天板13bの前端面よりも後方に位置している。図示の例において、棚板54の前端面は、傾動天板13bにおける前後方向の中間部分に位置している。すなわち、棚板54は、平面視において、固定天板13aと傾動天板13bとの間の隙間を前後方向に跨って配置されている。したがって、固定天板13aの前端縁と、傾動天板13bの後端縁との間の隙間から、例えば筆記具等の物品が下方に落下した場合において、物品を棚板54の上面で受け止められる。なお、
図6に示すように、上部前板65のうち、棚板54が固定されている部分は、第2固定部65dを構成する。
【0051】
このように、本実施形態の天板昇降式什器1において、上部構造体11を構成する上遮蔽部51の内部に上部配線空間68が形成される一方、下部構造体10を構成する下遮蔽部22の内部に下部配線空間38が形成される構成とした。その上で、本実施形態において、上部構造体11は、下部配線空間38内に上遮蔽部51が収容された状態で、下部構造体10に対して上下動可能に構成されている。
この構成によれば、電気的機能部13cの配線13eや制御ユニット83の接続配線83aを、上部配線空間68及び下部配線空間38を通して上方から下方まで引き回すことができる。すなわち、配線13e,83aの周囲が遮蔽部22,51によって囲まれるため、天板昇降式什器1の外部に配線13e,83aが露呈することを抑制できる。その結果、体裁を向上させることができるとともに、天板13の下方空間において使用者と配線との干渉を抑制できる。
【0052】
本実施形態の天板昇降式什器1において、昇降脚81は、ベース部21のうち下遮蔽部22よりも前方に位置する部分に設けられている構成とした。
この構成によれば、昇降脚81が配線空間38,68内に配線13e,83aとともに収容される構成に比べ、配線空間38,68の有効スペースを確保し易い。そのため、配線空間38,68内で配線13e,83aを引き回し易い。
【0053】
本実施形態の天板昇降式什器1において、上遮蔽部51は、上部後板66と、上部後板66との間に上部配線空間68を形成する上部前板65と、上部配線空間68を左右方向の両側から閉塞する一対の上部側板62と、を備え、下遮蔽部22は、下部後板36と、下部後板36との間に下部配線空間38を形成する下部前板35と、下部配線空間38を左右方向の両側から閉塞する一対の下部側板32と、を備えている構成とした。
この構成によれば、上遮蔽部51における上部前板65及び上部後板66間に上部配線空間68を形成し、下遮蔽部22における下部前板35及び下部後板36間に下部配線空間38を形成することで、下部側板32や上部側板62に配線空間を形成する場合に比べ、下部側板32及び上部側板62を薄くすることができる。これにより、天板昇降式什器1の体裁を向上させることができる。
【0054】
しかも、本実施形態の天板昇降式什器1において、上遮蔽部51のうち、上下方向から見て一対の下部側板32と重なり合う位置には、下方に開口するとともに、一対の下部側板32を収容する収容部65aが形成されている構成とした。
この構成によれば、天板13が上下動する際に、上遮蔽部51及び下遮蔽部22間の干渉を抑制できる。そのため、天板13のストロークを確保し易い。
【0055】
本実施形態の天板昇降式什器1において、上部前板65は、天板13に固定される第1固定部65cと、第1固定部65cよりも下方において、上部側板62に固定される第2固定部65dと、を備えている構成とした。
この構成によれば、上部前板65が上下2ヶ所で固定されるため、上部前板65の支持強度を確保し易い。
【0056】
(第2実施形態)
上述した実施形態では、固定天板13a及び傾動天板13bのそれぞれが天板13の左右方向全体に亘って形成されている構成について説明したが、この構成に限られない。
図9に示す天板昇降式什器1において、固定天板13aは、平面視でC字状に形成されている。具体的に、固定天板13aは、後方載置部13a1と、一対の側方載置部13a2と、を備えている。
【0057】
後方載置部13a1は、天板13の後部のうち、左右方向の全長を構成する。後方載置部13a1は、後端面が上部後板66に固定され、左右方向の両端面が対応する上部側板62に固定されている。
各側方載置部13a2は、後方載置部13a1における左右方向の両端部から前方に向けて延びている。各側方載置部13a2における左右方向の外側端面は、上部側板62に固定されている。各側方載置部13a2の下面には、昇降脚81がステー81cを介して固定されている。各側方載置部13a2の下面において、ステー81cよりも前方に位置する部分には、支持ビーム52が固定されている。
【0058】
傾動天板13bは、平面視において、固定天板13aの内側(後方載置部13a1及び側方載置部13a2で囲まれた部分)に配置されている。傾動天板13bは、傾動機構53を介して支持ビーム52に支持されている。すなわち、傾動天板13bは、支持ビーム52及び固定天板13aを介して昇降脚81に接続されている。
【0059】
本実施形態では、特に傾動天板13bに対して左右方向の両側に固定天板13a(側方載置部13a2)が配置されるので、傾けたくない物品(筆記具や飲食物等)を側方載置部13a2に載置することができる。そのため、使い勝手を向上させることができる。
【0060】
(第3実施形態)
図10は、下部配線空間38が遮蔽状態にあるときを示す第3実施形態に係る天板昇降式什器1の斜視図である。
図11は、下部配線空間38が開放状態にあるときを示す第3実施形態に係る天板昇降式什器1の斜視図である。
図12は、第3実施形態に係る
図7に対応する断面図である。本実施形態では、下部配線空間38が開放可能である点で上述した第1実施形態と相違している。
【0061】
図10~
図12に示す天板昇降式什器1において、下部前板(一方側に位置する部材)35は、下部側板32に上下動可能に支持されている。具体的に、各下部側板32のうち、左右方向で向かい合う位置には、ガイド溝32aがそれぞれ形成されている。ガイド溝32aは、下部側板32の内側面上で開口するとともに、上下方向に延びている。ガイド溝32aは、上下方向において下部側板32の全長に亘って延びている。また、ガイド溝32aにおける前後方向の寸法は、下部前板35の前後方向の寸法(厚さ)よりも大きい。下部前板35における左右方向の両端部は、対応するガイド溝32aの上端開口部を通じてガイド溝32a内に挿入されている。これにより、下部前板35は、ガイド溝32aに沿って下部側板32に対して上下動可能に支持される。
【0062】
図10に示すように、下部前板35は、自重によってガイド溝32aの下端に位置するとき、下部配線空間38を前方から遮蔽する(遮蔽状態)。
図11に示すように、下部前板35は、ガイド溝32aに沿って遮蔽状態よりも上方に移動させた際、下部配線空間38を前方に開放させる(開放状態)。なお、本実施形態において、下部前板35は、遮蔽状態にあるとき、ベース部21の上面に上方から近接又は当接している。下部前板35の下端縁には、遮蔽状態においてベース部21に接触する緩衝材等が設けられていてもよい。
【0063】
但し、例えばガイド溝32aの下端縁をベース部21の上面よりも上方に配置し、下部前板35がガイド溝32aの下端縁に支持された際に下部前板35の下端縁とベース部21の上面との間に隙間が生じていてもよい。つまり、本実施形態において、遮蔽状態とは、下部前板35による下部配線空間38の遮蔽面積が開放状態よりも大きければよい。また、下部前板35には、上下動させる際の指掛け部として切欠き等を設けてもよい。さらに、下部配線空間38が開放状態にあるとき、下部前板35の下方移動を規制するストッパ等を設けてもよい。
【0064】
本実施形態によれば、下部配線空間38のメンテナンス時等において、下部前板35を下部側板32に対して上方に引き上げることで、ベース部21の上面と下部前板35の下端縁との間で下部配線空間38が前方に向けて開放される。これにより、下部配線空間38に対して前方からアクセスすることができる。そのため、例えば下部構造体10から上部構造体11を取り外す等の作業を行うことなく、下部配線空間38に収容される配線(例えば、配線13e等)の施工やメンテナンスが行い易い。
しかも、本実施形態では、下部前板35が下部側板32に上下動可能に支持されることで、天板昇降式什器1の後方から下部前板35の昇降機構(例えば、ガイド溝32a等)が視認されることを抑制できる。また、開放状態において、下部配線空間38の下部が開放されるので、下部配線空間38に対して下部配線空間38の上方からアクセスする場合に比べて配線の施工やメンテナンスが行い易い。
【0065】
なお、上述した実施形態では、下部前板35が移動することで、下部配線空間38の開放状態及び遮蔽状態が切り替わる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、下部後板36が移動することで、下部配線空間38の開放状態及び遮蔽状態が切り替わる構成であってもよい。
上述した実施形態では、下部前板35が上下動する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば下部前板35や下部後板36が下部側板32等に回動可能に支持されることで、下部配線空間38が開放される構成等でもよい。
上述した実施形態では、下部前板35の全体が移動する構成について説明したが、この構成に限られない。下部前板35の一部が移動することで、下部配線空間38が開放される構成であってもよい。
上述した実施形態では、第1実施形態の天板昇降式什器1を例にして説明したが、この構成に限られない。本実施形態の構成を、第2実施形態の天板昇降式什器1に採用してもよい。
【0066】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、天板13が固定天板13a及び傾動天板13bを備える構成について説明したが、この構成に限られない。例えば
図13に示す天板昇降式什器1のように、天板13が固定天板のみで構成されていてもよく、天板13が傾動天板のみで構成されていてもよい。
上述した実施形態では、下遮蔽部22が上遮蔽部51の上部配線空間68に収容される構成について説明したが、この構成に限られない。上遮蔽部51が下遮蔽部22の下部配線空間38に収容される構成であってもよい。
【0067】
上述した実施形態では、下部前後幕板31に下部配線空間38を形成し、上部前後幕板61に上部配線空間68を形成した構成について説明したが、この構成に限られない。例えば下部側板32に下部配線空間を形成し、上部側板62に上部配線空間を形成してもよい。また、下部前後幕板31及び下部側板32に亘って下部配線空間38を形成し、上部前後幕板61及び上部側板62に亘って上部配線空間68を形成してもよい。
上述した実施形態では、配線空間38,68が、それぞれ複数の板材を組み合わせて形成した場合について説明したが、この構成に限られない。配線空間は、板材に形成された孔であってもよい。
【0068】
上述した実施形態では、下遮蔽部22及び上遮蔽部51がそれぞれ前後幕板及び側板を備える構成について説明したが、この構成に限られない。下遮蔽部22及び上遮蔽部51は、前後幕板及び側板の少なくとも一方を備えていればよい。
上述した実施形態では、第2固定部として上部前板65が棚板54を介して上部側板62に固定された構成について説明したが、この構成に限られない。上部前板65は、上部前板65に直接固定されていてもよく、昇降脚81(小筒体81b)に固定されていてもよい。
上述した実施形態では、昇降脚81が配線空間38,68の外部に設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。昇降脚81は、配線空間38,68の内部に設けられていてもよい。
上述した実施形態では、天板昇降式什器としてデスク装置を例にして説明したが、この構成に限られない。本発明に係る態様は、棚やキャビネット(戸棚)、カート装置等、天板を有する種々の天板昇降式什器に採用可能である。
【0069】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1:天板昇降式什器
10:下部構造体
11:上部構造体
13:天板
21:ベース部
22:下遮蔽部(他方の遮蔽部、一方の遮蔽部)
32:下部側板
35:下部前板(一方側に位置する部材)
36:下部後板
38:下部配線空間
51:上遮蔽部(一方の遮蔽部、他方の遮蔽部)
62:上部側板
65:上部前板
65a:収容部
65c:第1固定部
65d:第2固定部
66:上部後板
68:上部配線空間
81:昇降脚
F:床面