(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073087
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/133 20060101AFI20240522BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240522BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20240522BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G02F1/133 575
G02F1/13357
G02F1/1334
G09F9/00 336E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184093
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小橋 淳二
【テーマコード(参考)】
2H189
2H193
2H391
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA03
2H189LA05
2H189LA10
2H189LA20
2H193ZA04
2H193ZD23
2H193ZD32
2H193ZG01
2H193ZG14
2H193ZG27
2H193ZH43
2H193ZH52
2H193ZP04
2H391AA25
2H391AB05
2H391CB03
5G435AA03
5G435BB12
5G435EE25
5G435EE27
(57)【要約】
【課題】光源装置の光が側方から入射する表示パネルを有する表示装置において、複数の画素に対応する複数の階調値が互いに等しいときにおける画素の輝度の均一化を図ること。
【解決手段】表示装置1は、行列状に並ぶ複数の画素Pを有する表示パネル10と、表示パネル10の側方に配置され、表示パネル10の第1側面10c側から第1側面10cと反対側の第2側面10d側に向けて光を出射する光源装置20と、画像信号が有する入力階調値に基づいて出力階調値を算出し、出力階調値に応じた電圧を画素Pに印加する第1駆動回路30と、を備え、第1駆動回路30は、第1側面10cから第2側面10dに向かう第1方向に沿って並ぶ2つの画素Pに対応する2つの入力階調値が互いに等しい場合、2つの画素Pのうち第1側面10c側の画素Pに対応する出力階調値より、2つの画素Pのうち第2側面10d側の画素Pに対応する出力階調値を大きくする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に並ぶ複数の画素と平面視で重なる表示領域を有する表示パネルと、
前記表示パネルの側方に配置され、前記表示パネルの第1側面側から前記第1側面と反対側の第2側面側に向けて光を出射する光源装置と、
画像信号が有する入力階調値に基づいて出力階調値を算出し、前記出力階調値に応じた電圧を前記画素に印加する駆動回路と、を備え、
前記駆動回路は、前記第1側面から前記第2側面に向かう第1方向に沿って並ぶ2つの前記画素に対応する2つの前記入力階調値が互いに等しい場合、2つの前記画素のうち前記第1側面側の前記画素に対応する前記出力階調値より、2つの前記画素のうち前記第2側面側の前記画素に対応する前記出力階調値を大きくする、
表示装置。
【請求項2】
前記光源装置の光は、前記第1側面から前記第2側面に向けて前記表示パネル内を伝播し、
前記表示パネルは、高分子分散型液晶を含む液晶層を有する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光源装置の光は、平面視において、前記第1方向および前記第1方向に対して傾斜している第2方向に沿って複数の前記画素を伝播し、
前記駆動回路は、前記入力階調値、ならびに、前記第1方向および前記第2方向に沿って前記画素に入射する前記光源装置の光量を用いて前記出力階調値を算出する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記第1側面側の前記画素において前記表示パネルが有する素子に前記光源装置の光があたることで生じる第1の光の散乱の度合を用いて、前記第2側面側の前記画素に入射する前記光源装置の光量を算出する、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記駆動回路は、前記第1側面側の前記画素において前記出力階調値によって変化する第2の光の散乱の度合を用いて、前記第2側面側の前記画素に入射する前記光源装置の光量を算出する、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
複数の前記画素は、平面視で前記第1方向および前記第1方向と直交する第3方向に沿って行列状に配置され、
複数の前記画素のうち第1の画素から出射した前記第2方向に沿う前記光源装置の光は、前記第1方向に沿って前記第1の画素と隣接する第2の画素、および、前記第3方向に沿って前記第2の画素と隣接する第3の画素に入射する、
請求項3から5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1の画素から出射した前記光源装置の光量は、前記第1方向に対する前記第2方向の傾斜角度に基づいて、前記第2の画素に入射する前記光源装置の光量と前記第3の画素に入射する前記光源装置の光量とに分配される、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1方向に沿って並ぶ複数の前記画素に対応する複数の前記入力階調値が互いに等しい場合、
前記光源装置の光量が第1光量であるときにおいて前記第1方向に沿って並ぶ複数の前記画素のうち最も前記第1側面側にある第4の画素に入射する前記光源装置の光量は、
前記光源装置の光量が前記第1光量より大きい第2光量であるときにおいて前記第1方向に沿って並ぶ複数の前記画素のうち最も前記第2側面側にある第5の画素に入射する前記光源装置の光量と等しい、
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示パネルの一方の板面から、他方の板面側の背景を視認可能に構成されている表示装置が開示されている。特許文献1の表示装置は、いわゆるシースルーディスプレイであり、高分子分散型液晶を含む液晶層を有する表示パネル、および、表示パネルの側面に対向して配置されている光源を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示装置において、光源(光源装置)の光は、表示パネルの第1側面から入射し、第1側面と反対側の第2側面に向かって表示パネル内を伝播する。表示パネルにはスイッチング素子および電極などの素子が配置されており、当該素子によって表示パネル内を伝播する光源装置の光の一部が消費される。これにより、光源装置の光が表示パネル内を伝播するにしたがって、光源装置の光量が低下する。これにより、表示パネルにおいて第1側面側の光源装置の光量より第2側面側の光源装置の光量が小さくなる。よってこの場合、複数の画素に対応する複数の階調値が互いに等しいとき、第1側面側の画素の輝度より第2側面側の画素の輝度が低くなる。したがって、表示パネルの第2側面側で所望の画素の輝度を得ることができない可能性がある。
【0005】
本開示は、光源装置の光が側方から入射する表示パネルを有する表示装置において、複数の画素に対応する複数の階調値が互いに等しいときにおける画素の輝度の均一化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、行列状に並ぶ複数の画素と平面視で重なる表示領域を有する表示パネルと、前記表示パネルの側方に配置され、前記表示パネルの第1側面側から前記第1側面と反対側の第2側面側に向けて光を出射する光源装置と、画像信号が有する入力階調値に基づいて出力階調値を算出し、前記出力階調値に応じた電圧を前記画素に印加する駆動回路と、を備え、前記駆動回路は、前記第1側面から前記第2側面に向かう第1方向に沿って並ぶ2つの前記画素に対応する2つの前記入力階調値が互いに等しい場合、2つの前記画素のうち前記第1側面側の前記画素に対応する前記出力階調値より、2つの前記画素のうち前記第2側面側の前記画素に対応する前記出力階調値を大きくする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、表示装置の回路構成を示す図である。
【
図5】
図5は、表示パネルの部分拡大断面図である。
【
図6】
図6は、表示パネルに画像が表示される際における第1駆動回路および第2駆動回路の動作を示す図である。
【
図7】
図7は、発光体の光の伝播を模式的に示す表示領域の平面図である。
【
図9】
図9は、平面視において1つの画素に入射する発光体の光および1つの画素から出射する発光体の光を示す表示領域の模式図である。
【
図10】
図10は、第1駆動回路が出力階調値を算出する際に実行するフローチャートである。
【
図11】
図11は、複数の画素それぞれにおける入射光の量の合計を示す図である。
【
図12】
図12は、複数の画素における出力階調値を示す図である。
【
図13】
図13は、傾斜角度が0°(n=0)である場合において、1行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、2行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図14】
図14は、傾斜角度が+10°(n=+1)である場合において、1行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、2行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図15】
図15は、傾斜角度が-10°(n=-1)である場合において、1行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、2行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図16】
図16は、傾斜角度が+20°(n=+2)である場合において、1行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、2行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図17】
図17は、傾斜角度が-20°(n=-2)である場合において、1行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、2行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図18】
図18は、傾斜角度が+30°(n=+3)である場合において、1行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、2行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図19】
図19は、傾斜角度が-30°(n=-3)である場合において、1行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、2行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図20】
図20は、Y方向に対して正(プラス)の方向に傾斜している出射光が入射する画素を示す図である。
【
図21】
図21は、Y方向に対して負(マイナス)の方向に傾斜している出射光が入射する画素Pを示す図である。
【
図22】
図22は、傾斜角度が0°(n=0)である場合において、2行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、3行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図23】
図23は、傾斜角度が+10°(n=+1)である場合において、2行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、3行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図24】
図24は、傾斜角度が-10°(n=-1)である場合において、2行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、3行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図25】
図25は、傾斜角度が+20°(n=+2)である場合において、2行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、3行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図26】
図26は、傾斜角度が-20°(n=-2)である場合において、2行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、3行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図27】
図27は、傾斜角度が+30°(n=+3)である場合において、2行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、3行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図28】
図28は、傾斜角度が-30°(n=-3)である場合において、2行目の画素それぞれにおける入射光の量および出射光の量、ならびに、3行目の画素それぞれにおける入射光の量を示す図である。
【
図29】
図29は、本開示の実施形態に係る表示装置において補正係数を用いて第1駆動回路が出力階調値を算出する場合の
図8、
図11および
図12に示すi+3,i+4列目の画素Pにおける明るさおよび階調値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0009】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図面で示すX方向およびY方向は、表示装置1に含まれる基板の板面に平行な方向に相当する。X方向の+X側、-X側、Y方向の+Y側、-Y側は、表示装置1の側方に相当する。Z方向は、表示装置1の厚み方向に相当し、Z方向の+Z側は、表示装置1において画像が表示される前面側に相当し、Z方向の-Z側は、表示装置1の背面側に相当する。また、本明細書において、「平面視」は、Z方向に沿って+Z側から-Z側に向かって表示装置1を見ることである。なお、X方向は第3方向に相当し、Y方向は第1方向に相当する。また、X、Y、Zの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0011】
図1は、本開示の実施形態に係る表示装置1の構成を示す図である。
図2は、表示装置1の平面図である。表示装置1は、第1フレキシブル配線基板2aを介して電気的に接続されている外部装置(不図示)から出力される画像信号に基づいて画像を表示する。表示装置1は、表示パネル10、光源装置20、第1駆動回路30、および、第2駆動回路40を備えている。
【0012】
表示パネル10は、いわゆるシースルーディスプレイ(透明ディスプレイ)である。表示パネル10において、表示パネル10の一方側の板面(例えば前面10a)側から他方側の板面(例えば背面10b)側の背景が視認可能である。表示パネル10は、画像が表示される表示領域DAを板面(前面10a)に有している。表示パネル10は、第1基板11、第2基板12、液晶層13、第1基材14、および、第2基材15を備えている。
【0013】
第1基板11および第2基板12は、平面視矩形状であり、透光性を有する。第1基板11および第2基板12は、例えばポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製又はガラス製である。第1基板11は、平面視において第2基板12より露出している露出部Eを有している。第1基板11は、第2基板12の背面12b側に配置されている。第1基板11の前面11aと第2基板12の背面12bとが互いに対向する。液晶層13は、第1基板11と第2基板12との間に配置されている。
【0014】
図2に示すように、表示領域DAは、X方向およびY方向に沿って行列状に並ぶ複数の画素Pと平面視で重なる。画素Pは、平面視で正方形状である。液晶層13および画素Pの詳細は、後述する。
【0015】
図1および
図2に示す第1基材14および第2基材15は、第1基板11、第2基板12および液晶層13を保護する。第1基材14および第2基材15は、平面視矩形状であり、透光性を有する。第1基材14および第2基材15は、例えばガラス製又は樹脂製である。第1基材14は、第1接着剤部16を介して第1基板11の背面11bに貼り付けられている。第2基材15は、第2接着剤部17を介して第2基板12の前面12aに貼り付けられている。第1接着剤部16および第2接着剤部17は、透光性を有し、接着剤が硬化することで形成される。
【0016】
第1基板11の前面11aおよび背面11b、第2基板12の前面12aおよび背面12b、第1基材14の前面14aおよび背面14b、ならびに、第2基材15の前面15aおよび背面15bは、それぞれ平面であり、互いに平行である。なお、第2基材15の前面15aが表示パネル10の前面10aに相当し、第1基材14の背面14bが表示パネル10の背面10bに相当する。
【0017】
また、第1基板11、第2基板12、第1基材14、および、第2基材15の-X側の側面である第1XL側面11c、第2XL側面12c、第3XL側面14c、および、第4XL側面15cは、それぞれ平面であり、互いに平行である。さらに、第1基板11、第2基板12、第1基材14、および、第2基材15の+X側の側面である第1XR側面11d、第2XR側面12d、第3XR側面14d、および、第4XR側面15dは、それぞれ平面であり、互いに平行である。
【0018】
また、第1基板11、第2基板12、第1基材14、および、第2基材15の-Y側の側面である第1YB側面11e、第2YB側面12e、第3YB側面14e、および、第4YB側面15eは、それぞれ平面であり、互いに平行である。第1YB側面11e、第2YB側面12e、第3YB側面14e、および、第4YB側面15eは、表示パネル10の第1側面10cに相当する。
【0019】
さらに、第1基板11、第2基板12、第1基材14、および、第2基材15の+Y側の側面である第1YF側面11f、第2YF側面12f、第3YF側面14f、および、第4YF側面15fは、それぞれ平面であり、互いに平行である。第1YF側面11f、第2YF側面12f、第3YF側面14f、および、第4YF側面15fは、表示パネル10の第2側面10dに相当する。
【0020】
光源装置20は、表示パネル10の側方に配置されている。具体的には、光源装置20は、表示パネル10の第1側面10c側にあり、第2基材15の第4YB側面15eと対向している。光源装置20は、表示パネルの第1側面10c側から第1側面10cと反対側の第2側面10d側に向けて光を出射する(詳細は後述する)。光源装置20は、支持体18を介して第2基材15に固定されている。光源装置20は、発光部21および導光部22を備えている。
【0021】
発光部21は、複数あり、X方向に沿って並んでいる。発光部21は、第1色の第1発光体21a、第2色の第2発光体21b、および、第3色の第3発光体21cを備えている。第1色、第2色および第3色は互いに異なり、第1色は赤、第2色は緑、第3色は青である。つまり、第1発光体21aの光の色は赤であり、第2発光体21bの光の色は緑であり、第3発光体21cの光の色は青である。以下、第1発光体21a、第2発光体21bおよび第3発光体21cを区別せずに説明する場合、単に「発光体SL」と称する。
【0022】
なお、発光部21が有する発光体SLの個数および光の色が上記の個数および色に限定されないことは言うまでもない。例えば、発光体SLの個数が1つであり、発光体SLの色は白でもよい。この場合、表示領域DAには、グレースケールまたは白黒の画像が表示される。
【0023】
発光体SLは、導光部22に向けて光を発する。発光体SLは、例えばLED(Light Emitting Diode)である。発光体SLの光は、光源装置20の光に相当する。
【0024】
導光部22は、直方体状であり、発光体SLと対向する対向面22a、および、対向面22aの反対側にあり、第2基材15の第4YB側面15eと対向する反対面22bを有する。また、導光部22は、平面視で第4XL側面15cから第4XR側面15dまで連続している形状である。導光部22は、透光性を有する。発光体SLの光は、対向面22aから導光部22に入射し、導光部22内で拡散され、反対面22bから第2基材15の第4YB側面15eに向けて、光量を均一化された状態で出射される。
【0025】
第2基材15の第4YB側面15eから入射した発光体SLの光は、表示パネル10の第1側面10cから第1側面10cと反対側の第2側面10dに向けて表示パネル10内を伝播する。具体的には、発光体SLの光は、表示パネル10内において、第1基板11、第2基板12、第1基材14および第2基材15それぞれの前面11a,12a,14a,15aおよび背面11b,12b,14b,15bで反射し、第2側面10dまで伝播する。
【0026】
図3は、表示装置1の回路構成を示す図である。
図1および
図3に示すように、第1駆動回路30は、第1基板11に配置されている。第1駆動回路30は、外部装置から送信される画像信号に基づいて後述する出力階調値する。第1駆動回路30は、出力階調値に応じて複数の画素Pに電圧を印加する(詳細は後述する)。第1駆動回路30は、信号処理回路31、信号出力回路32、および、走査回路33を備えている。
【0027】
信号処理回路31は、画像信号に基づいて複数の画素駆動信号を生成し(詳細は後述する)、複数の画素駆動信号を信号出力回路32に出力する。また、信号処理回路31は、信号出力回路32の動作と走査回路33の動作とを同期させるクロック信号を信号出力回路32および走査回路33に出力する。
【0028】
信号出力回路32は、複数の画素駆動信号それぞれを対応する画素Pに出力する。
図3に示すように、信号出力回路32と複数の画素Pとは、Y方向に沿って延びる複数の信号線Lbを介して電気的に接続されている。
【0029】
走査回路33は、信号出力回路32による画素駆動信号の出力と同期して、複数の画素Pを走査する。走査回路33と複数の画素Pとは、X方向に沿って延びる複数の走査線Lcを介して電気的に接続されている。
【0030】
複数の画素Pは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶容量LC、および、保持容量KCを備えている。
【0031】
スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。スイッチング素子SWにおいて、ソース電極と信号線Lbとが電気的に接続され、ゲート電極と走査線Lcとが電気的に接続されている。
【0032】
画素電極PEは、スイッチング素子SWのドレイン電極に接続されている。共通電極CEは、複数の走査線Lcに対応して複数配置されている。画素電極PEおよび共通電極CEは、透光性を有する。
【0033】
液晶容量LCは、画素電極PEと共通電極CEとの間にある後述する液晶層13の液晶材料の容量成分である。保持容量KCは、共通電極CEと同電位の電極と、画素電極PEと同電位の電極との間に配置されている。
【0034】
図4は、表示パネル10の断面図である。なお、
図4において第1基材14および第2基材15は省略されている。第1基板11の前面11aには、信号線Lb(不図示)、画素電極PE、および、走査線Lcが電気的に絶縁された状態で配置されている。表示パネル10において平面視で互いに隣接する2つの信号線Lbおよび互いに隣接する2つの走査線Lcによって区画されている領域が画素Pに相当する。
【0035】
また、第1基板11の前面11aには、第1配向膜AL1が配置されている。第1配向膜AL1の配向方向は、Y方向に沿っている。第1基板11と第1配向膜AL1との間に、信号線Lb、画素電極PE、および、走査線Lcが配置されている。
【0036】
第2基板12の背面12bには、共通電極CE、および、第2配向膜AL2が配置されている。第2基板12と第2配向膜AL2との間に共通電極CEが配置されている。第2配向膜AL2の配向方向は、Y方向に沿っている。つまり、第1配向膜AL1の配向方向と第2配向膜AL2の配向方向とは、互いに平行である。なお、第1配向膜AL1の配向方向と第2配向膜AL2の配向方向とは、互いに直交してもよい。
【0037】
図5は、表示パネル10の部分拡大断面図である。液晶層13は、高分子分散型液晶を含む。具体的には、液晶層13は、3次元の網目状を有するポリマーネットワーク51および液晶分子52を有している。
【0038】
ポリマーネットワーク51は、第1配向膜AL1および第2配向膜AL2によって配向されたモノマーを、紫外線および熱などによって重合させることで形成される。液晶分子52は、ポリマーネットワーク51の隙間にある。
【0039】
図1に示すように、第2駆動回路40は、支持体18に配置されている。第2駆動回路40は、第2フレキシブル配線基板2bを介して電気的に接続されている外部装置(不図示)から出力される光制御信号に基づいて、光源装置20を駆動する。制御信号は、画像信号に基づいて定められる発光体SLの光量(発光体が出射する光の量)の情報を含む。
【0040】
次に、表示パネル10が画像を表示する際の表示装置1の基本動作について説明する。第1駆動回路30および第2駆動回路40は、フィールドシーケンシャル方式によって表示パネル10および光源装置20を駆動する。
【0041】
はじめに、画像信号および光制御信号が表示装置1に送信されておらず、表示パネル10が画像を表示していない場合について説明する。この場合、第1駆動回路30は画素駆動信号を出力しておらず、画素電極PEに電圧が印加されていない。また、第2駆動回路40は、光源装置20を駆動しておらず、発光体SLから光が発せられていない。
【0042】
画素電極PEに電圧が印加されていない場合、
図5に示すように、ポリマーネットワーク51の光軸AX1および液晶分子52の光軸AX2は、第1配向膜AL1および第2配向膜AL2の配向方向によって規制されている。本実施形態では、画素電極PEに電圧が印加されていない場合、ポリマーネットワーク51の光軸と液晶分子52の光軸とは、互いに平行であり、Y方向に沿っている。
【0043】
ポリマーネットワーク51の常光屈折率と液晶分子52の常光屈折率とは、互いに等しい。よって、画素電極PEに電圧が印加されていない場合、すべての方向において、ポリマーネットワーク51の屈折率と液晶分子52との屈折率との差がゼロになる。したがって、表示パネル10内を伝播する光は散乱しない。つまり、この場合、液晶層13は、表示パネル10内を伝播する光を散乱させない透過状態となる。
【0044】
液晶層13が透過状態である場合、表示パネル10の一方の板面(例えば前面10a)側から表示パネル10の他方の板面(例えば背面10b)側の背景が視認可能である。なお、液晶層13が透過状態である場合、表示パネル10内を伝播する発光体SLの光もほとんど散乱されない。よって、液晶層13が透過状態である場合、光制御信号に基づいて発光体SLの光が出射されているときにおいても、表示パネル10の一方の板面側から表示パネル10の他方の板面側の背景が視認可能である。
【0045】
次に、画像信号および光制御信号が表示装置1に送信され、表示パネル10が画像を表示する場合について説明する。まず、第1駆動回路30が画素駆動信号を出力し、画素電極PEに電圧が印加された状態について説明する。
【0046】
画素電極PEに電圧が印加された場合、液晶分子52の光軸AX2は、電圧の大きさに応じてY方向に対して傾斜する。一方、ポリマーネットワーク51の光軸AX1は、画素電極PEに電圧が印加された場合においても傾斜せず、Y方向に沿っている。つまり、ポリマーネットワーク51の光軸AX1に対して液晶分子52の光軸AX2が傾斜する。
【0047】
これにより、ポリマーネットワーク51の屈折率と液晶分子52との屈折率との間に差が生じる。このとき、光制御信号に基づいて第2駆動回路40が発光体SLから光を出射すると、表示パネル10内を伝播する光が散乱する。つまり、この場合、液晶層13は、表示パネル10内を伝播する光を散乱させる散乱状態となる。液晶層13で散乱した光は、表示パネル10の外部に放射し、表示パネル10の両板面側から視認可能である。
【0048】
また、液晶層13で散乱した光の量は、液晶層13の散乱の度合によって変化する。液晶層13の散乱の度合は、液晶分子52の傾き、つまり、画素電極PEに印加される電圧の大きさによって定まる。電圧の大きさは、画素駆動信号に含まれる出力階調値に基づいて定められる。出力階調値は、画像信号が有する入力階調値に基づいて複数の画素P毎に第1駆動回路30によって定められる。入力階調値および出力階調値は、画素Pの階調を示す値(階調値)である。入力階調値および出力階調値は、画素の色ごとに定められている。画素の色の数は3つであり、発光体SLの色は画素の色に対応している。
【0049】
第1駆動回路30は、入力階調値に基づいて定められた出力階調値を含む画素駆動信号を複数の画素P毎に生成し、画素駆動信号を複数の画素Pに送信する。これにより、複数の画素Pそれぞれにおいて、出力階調値に応じた電圧が画素電極PEに印加され、画素Pに対応する液晶分子52が出力階調値の大きさに応じて傾斜し、液晶層13の散乱の度合が変化することで、外部に放出する光の量が変化する。出力階調値が大きいほど、画素電極PEに印加される電圧が大きく、外部に放出する光の量が多くなり、表示パネル10の両板面(前面10aおよび背面10b)側から視認される画素Pの輝度が高くなる。
【0050】
図6は、表示パネル10に画像が表示される際における第1駆動回路30および第2駆動回路40の動作を示す図である。
図6は、1フレームFあたりの第1駆動回路30および第2駆動回路40の動作を示している。1フレームFは、第1サブフレームSF1、第2サブフレームSF2および第3サブフレームSF3をこの順に有している。
【0051】
第1サブフレームSF1では、画像に含まれる第1色(赤)の光が画素Pから放出される。具体的には、第1駆動回路30は、第1走査期間TS1において複数の画素Pを走査し、第1色の光を放出させる画素Pを選択し、選択した画素Pに第1色に対応する画素駆動信号を送信する。これにより、選択された画素Pに対応する液晶層13が第1色に対応する出力階調値に応じた散乱状態となる。画素電極PEに印加された電圧は、第1発光期間TL1において保持され、第1サブフレームSF1の終了時にリセットされる。
【0052】
また、第2駆動回路40は、第1発光期間TL1において第1発光体21aを発光させる。第1発光体21aの第1色の光は、表示パネル10内を伝播する。これにより、第1駆動回路30によって選択された画素Pに対応する液晶層13において、液晶層13の散乱の度合に応じて第1色の光が散乱し、外部に放出される。つまり、第1駆動回路30によって選択された画素Pから、出力階調値に応じた階調を有する第1色の光が放出される。
【0053】
第2サブフレームSF2では、画像に含まれる第2色(緑)の光が画素Pから放出される。具体的には、第1駆動回路30は、第2走査期間TS2において複数の画素Pを走査し、第2色の光を放出させる画素Pを選択し、選択した画素Pに第2色に対応する画素駆動信号を送信する。これにより、選択された画素Pに対応する液晶層13が第2色に対応する出力階調値に応じた散乱状態となる。画素電極PEに印加された電圧は、第2発光期間TL2において保持され、第2サブフレームSF2の終了時にリセットされる。
【0054】
また、第2駆動回路40は、第2発光期間TL2において第2発光体21bを発光させる。第2発光体21bの第2色の光は、表示パネル10内を伝播する。これにより、第1駆動回路30によって選択された画素Pに対応する液晶層13において、液晶層13の散乱の度合に応じて第2色の光が散乱し、外部に放出される。つまり、第1駆動回路30によって選択された画素Pから、出力階調値に応じた階調を有する第2色の光が放出される。
【0055】
第3サブフレームSF3では、画像に含まれる第3色(青)の光が画素Pから放出される。具体的には、第1駆動回路30は、第3走査期間TS3において複数の画素Pを走査し、第3色の光を放出させる画素Pを選択し、選択した画素Pに第3色に対応する画素駆動信号を送信する。これにより、選択された画素Pに対応する液晶層13が第3色に対応する出力階調値に応じた散乱状態となる。画素電極PEに印加された電圧は、第3発光期間TL3において保持され、第3サブフレームSF3の終了時にリセットされる。
【0056】
また、第2駆動回路40は、第3発光期間TL3において第3発光体21cを発光させる。第3発光体21cの第3色の光は、表示パネル10内を伝播する。これにより、第1駆動回路30によって選択された画素Pに対応する液晶層13において、液晶層13の散乱の度合に応じて第3色の光が散乱し、外部に放出される。つまり、第1駆動回路30によって選択された画素Pから、出力階調値に応じた階調を有する第3色の光が放出される。
【0057】
1フレームFの時間は、1フレームFにおいて放出される第1色の光、第2色の光および第3色の光が合成された光が人間の眼によって認識される時間に定められている。つまり、人間の眼は、第1色、第2色および第3色が合成された色および階調の光を認識する。よって、上記のように複数の画素Pから第1色の光、第2色の光および第3色の光が放出されることで、画像が視認される。また、この場合、表示パネル10の一方の板面側から表示領域DAを見た場合、表示パネル10の他方の板面側の背景が画像と重なった状態で視認される。
【0058】
このような表示装置1においては、次に説明する課題を有している。上記のように発光体SLの光は、表示パネル10の第1側面10cから第2側面10dに向けて表示パネル10内を伝播する。表示パネル10は上記のように信号線Lb、画素電極PEおよびスイッチング素子SWなどの素子を有しており、発光体SLの光は当該素子にあたることで散乱する。換言すれば、当該素子によって発光体SLの光が消費される。
【0059】
また、任意の画素Pに対応する液晶層13が散乱状態である場合、当該画素Pで発光体SLの光の一部が外部に放出されることで、当該画素Pに対応する液晶層13が透過状態である場合と比べて、当該画素Pより第2側面10d側に伝播する発光体SLの光の量が減少する。換言すれば、散乱状態である液晶層13によって発光体SLの光が消費される。このように、発光体SLの光が消費されると、第2側面10dに到達する発光体SLの光の量は減少する。
【0060】
図7は、発光体SLの光の伝播を模式的に示す表示領域DAの平面図である。上記のように発光体SLの光が消費されると、
図7に示すように、Y方向に沿って-Y側から+Y側に向かうにしたがって、つまり、第1側面10cから第2側面10dに向かうにしたがって発光体SLの光量が低下する。この場合、表示装置1が表示領域DAの全体に白を表示させるように動作した場合、つまり、複数の画素Pそれぞれにおいて、第1駆動回路30が第1色、第2色および第3色に対応する出力階調値を最大値に等しく設定した場合、第1側面10cから第2側面10dに向かうにしたがって画素Pの輝度すなわち表示領域DAの輝度が低下する。
【0061】
例えば、複数の画素Pのうち最も-Y側に位置する画素Pの輝度を1とした場合、複数の画素Pのうち最も-Y側に位置する画素Pの輝度は1より小さく、例えば0.6である。つまり、表示領域DAの全体に白を表示させるように表示装置1が動作しているにもかかわらず、所望の画素Pの輝度を得ることができず、表示領域DAにおける第2側面10d側では階調が低くなり、グレーが表示される。
【0062】
また、表示領域DAの一部に赤を表示させるように表示装置1が動作しているにもかかわらず、当該表示領域DAの一部より第2側面10d側の表示領域DAにおいて、赤の補色(シアン(青緑))が表示されることがある。このように、入力階調値で表現される色と、表示領域DAにおいて表示される色とが異なることで、所望の画像と異なる画像が表示領域DAに表示されることがある。
【0063】
上記の課題を解決するように、本開示の本実施形態の第1駆動回路30は、以下の説明するように出力階調値を算出する。
【0064】
図8は、表示領域DAの模式図である。上記のように表示領域DAにおいて複数の画素Pは行列状に並んでいる。Y方向に沿って並ぶ画素Pの列数、および、X方向に沿って並ぶ画素Pの行数は、表示パネル10のサイズおよび画素Pの総数などによって定められる。画素Pの行数は、所定値(例えば1080)である。画素Pの列数は、所定値に対応して定められており、画素Pの行数が1080である場合、例えば1920である。
【0065】
以下、説明を簡単にするために、画素Pの行番号を示す変数を「k」とし、行番号は、-Y側から+Y側に向かうにしたがって、1ずつ増加するものとする。なお、行番号の最大値は所定値(例えば1080)である。また、画素Pの列番号を示す変数を「i」とし、列番号は-X側から+X側に向かうにしたがって1ずつ増加するものとする。
【0066】
図8には、複数の画素Pの一部が示されている。具体的には、
図8には、行数が4つかつ列数が6つの複数の画素Pが示されている。
図8に示す4つの行(k=1,2,3,4)の画素Pは、最も-Y側(すなわち第1側面10c側)から1行目から4行目までの画素Pに相当する。つまり、1行目(k=1)の画素Pより-Y側には画素Pは存在せず、4行目(k=4)の画素Pより+Y側には複数の画素Pが並んでいる。
【0067】
また、
図8に示す6つの列(i+1,i+2,i+3,i+4,i+5,i+6)の画素Pは、X方向に並ぶ複数の画素PのうちX方向のほぼ中央部に位置する。つまり、i+1列目の画素Pの-X側には複数の画素Pが並んでおり、i+6列目の画素Pの+X側にも複数の画素Pが並んでいる。
【0068】
以下、k行目かつi列目の画素Pを、画素P(k,i)と記載する。また、
図8において画素P内に示されている値は、入力階調値を示している。本明細書において、入力階調値および出力階調値の最小値は0(ゼロ)であり、入力階調値および出力階調値の最大値は1である。また、
図8に示されている入力階調値は、第1色に対応するものである。以下、第1色に対応する出力階調値を算出する場合について説明する。なお、第2色および第3色についても、以下に説明する場合と同様に出力階調値が算出される。また、
図8に示されている入力階調値は、ガンマ補正された値である。
【0069】
説明を簡単にするために本実施形態では、1行目から所定値行目までにおいてi+3,i+4列目の画素Pそれぞれの入力階調値はすべて0.8とする。つまり、画像信号におけるi+3,i+4列目の画素Pの階調値は互いに等しい。よって、i+3,i+4列目の画素Pにおいて画素Pの輝度が均一であることが望ましい。
【0070】
また、1行目から所定値行目までにおいてi+3,i+4列目以外の列の画素Pそれぞれの入力階調値はすべて0とする。
図8においては、1行目から4行目(k=1,2,3,4)までにおいて、i+3,i+4列目の画素Pの入力階調値が0.8であること、i+1,i+2,i+5,i+6列目の画素Pの入力階調値が0であることが示されている。以下、
図8に示す6つの列の画素Pにおいて、
図8に示されている入力階調値に基づいて出力階調値を算出する過程について説明する。
【0071】
図9は、平面視において1つの画素Pに入射する発光体SLの光および1つの画素Pから出射する発光体SLの光を示す表示領域DAの模式図である。上記のように発光体SLの光は、第1側面10cから第2側面10dに向けて表示パネル10内を伝播する。つまり、発光体SLの光は、-Y側から+Y側に向けて複数の画素Pそれぞれを通過する。
【0072】
また、発光体SLの光は、平面視において、Y方向(第1方向に相当)およびY方向に対して傾斜している方向(第2方向に相当)に沿って表示パネル10内を伝播する。つまり、発光体SLの光は、平面視において、Y方向およびY方向に対して傾斜している方向に沿って-Y側から画素Pに入射する。平面視において、1つの画素Pに入射する発光体SLの光は、7つの入射光Jn(nは-3から+3までの7つの整数)によって表される。以下、Y方向を基準方位とし、平面視において時計回り方向を正(プラス)の方向とした場合、Y方向と光の進む方向とのなす角度を傾斜角度と称する。
【0073】
入射光J0の傾斜角度は、0°である。つまり、入射光J0は、Y方向に沿って進む。入射光J+1の傾斜角度は、+10°である。入射光J+2の傾斜角度は、+20°である。入射光J+3の傾斜角度は、+30°である。
【0074】
また、入射光J-1の傾斜角度は、-10°である。入射光J-2の傾斜角度は、-20°である。入射光J-3の傾斜角度は、-30°である。Y方向に対して傾斜している入射光J-1,J-2,J-3,J+1,J+2,J+3の進む方向は、第2方向に相当する。
【0075】
また、平面視において、1つの画素Pから出射する発光体SLの光は、7つの出射光In(nは-3から+3までの7つ整数)によって表される。
【0076】
出射光I0は、入射光J0と平行である。出射光I0の傾斜角度は、0°である。出射光I+1は入射光J+1と平行であり、出射光I+1の傾斜角度は、+10°である。出射光I+2は入射光J+2と平行であり、出射光I+2の傾斜角度は+20°である。出射光I+3は入射光J+3と平行であり、出射光I+3の傾斜角度は+30°である。
【0077】
また、出射光I-1は入射光J-1と平行であり、出射光I-1の傾斜角度は-10°である。出射光I-2は入射光J-2と平行であり、出射光I-2の傾斜角度は-20°である。出射光I-3は入射光J-3と平行であり、出射光I-3の傾斜角度は-30°である。
【0078】
入射光Jnおよび出射光Inの符号の添え字nは、傾斜角度に対応している。つまり、n=-3である場合の傾斜角度は-30°であり、n=-2である場合の傾斜角度は-20°であり、n=-1である場合の傾斜角度は-10°であり、n=0である場合の傾斜角度は0°である。また、n=+1である場合の傾斜角度は+10°であり、n=+2である場合の傾斜角度は+20°であり、n=+3である場合の傾斜角度は+30°である。
【0079】
第1駆動回路30は、上記の入力階調値、ならびに、Y方向(第1方向)およびY方向に対して傾斜する方向(第2方向)に沿って画素Pに入射する発光体SLの光量(すなわち光源装置20の光量)を用いて出力階調値を算出する。
【0080】
図10は、第1駆動回路30が出力階調値を算出する際に実行するフローチャートである。第1駆動回路30は、入力階調値(
図8参照)を取得すると、
図10のプログラムの処理を開始する。第1駆動回路30は、ステップS1で、k=1とする。つまり、第1駆動回路30は、行番号(k)を1とする。
【0081】
続けて、第1駆動回路30は、ステップS2で、k行目の画素Pを選択する。k=1の場合、第1駆動回路30は、1行目にある画素Pを選択する。
【0082】
さらに、第1駆動回路30は、ステップS3で、画素Pそれぞれについて入射光J
nの量(光量)を傾斜角度毎に算出する。
図8に示す1行目(k=1)の画素Pそれぞれに入射する入射光J
nの量(1行目の1つの画素Pあたりの光量)は、発光体SLの光量および複数の発光体SLの配置によって定まり、具体的には、表1に示される第1テーブルに格納されている。第1テーブルは、第1駆動回路30の記憶部(不図示)に記憶されている。
【0083】
【0084】
1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光Jnの量は互いに等しい。なお、入射光Jnの量は、1行目の画素Pの間で互いに異なってもよい。また、表1において、1行目の画素Pにおいて1つの画素Pにおける入射光Jnの量の合計は第1光量に相当する。第1光量は、画素Pにおいて所望の輝度を得ることができる光量である。本実施形態において第1光量は1である。
【0085】
本実施形態においては、上記のように階調値(入力階調値および出力階調値)の最大値が1であり、第1光量の値と等しい。よって、画素Pの輝度と入力階調値とが等しいことは、当該画素Pでは所望の輝度が得られていることを意味している。例えば、画素Pに入射する光の量が第1光量(上記のように本実施形態では1)であり、入力階調値が0.8である場合、当該画素Pの輝度が0.8であると、画素Pの輝度と入力階調値とが等しく、当該画素Pにおいて所望の輝度が得られている。
【0086】
ステップS3において、第1駆動回路30は、第1テーブルに格納されている値を取得し、1行目の画素Pそれぞれについて入射光Jnの量を、取得した値に補正係数を乗じた値にする。補正係数の詳細は後述する。補正係数は、1より大きく、本実施形態では1.6である。
【0087】
すなわち、1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J-3の量は0.0912(=0.057×1.6)であり、入射光J-2の量は0.2064(=0.129×1.6)であり、入射光J-1の量は0.3192(=0.1995×1.6)であり、入射光J0の量は0.3664(=0.229×1.6)であり、入射光J+1の値は0.3192(=0.1995×1.6)であり、入射光J+2の値は0.2064(=0.129×1.6)であり、入射光J+3の値は0.0912(=0.057×1.6)である。
【0088】
続けて、第1駆動回路30は、ステップS4で、選択された画素Pそれぞれについて入射光Jnの量の合計を算出する。具体的には、第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれについて入射光J-3,J-2,J-1,J0,J+1,J+2,J+3の量を合計する。入射光Jnの合計は、1.6(=0.0912+0.2064+0.3192+0.3664+0.3192+0.2064+0.0912)である。
【0089】
図11は、複数の画素Pそれぞれにおける入射光J
nの量の合計を示す図である。
図11には、
図8と同様に複数の画素Pの一部が示されている。
図11において画素P内に示されている値は、入射光J
nの量の合計を示している。1行目(k=1)の画素Pそれぞれにおいて、入射光J
nの量の合計は、1.6である。
【0090】
このように、補正係数を用いて第1駆動回路30が出力階調値を算出する場合、1行目の画素Pにおいて1つの画素Pにおける入射光Jnの量の合計は、第1光量(1)より大きい第2光量(1.6(=第1光量(1)×補正係数(1.6)))になる。このことは、補正係数を用いて第1駆動回路30が出力階調値を算出する場合における発光体SLの光量が、補正係数を用いずに第1駆動回路30が出力階調値を算出する場合における発光体SLの光量より大きいことを意味している。すなわち、第1光量は、発光体SLの最大輝度に対応していることを意味しない。発光体SLは、通常の使用状態においては最大輝度以下(例えば最大輝度の50%~85%程度)で駆動しており、最大輝度までまだ輝度を上げることができるものである。例えば第1光量が発光体SLの最大輝度の50%に対応している場合、第2光量は発光体の最大輝度のおよそ80%(=50%×1.6)に対応している。当該補正係数は適宜変更可能である。本実施形態においては、発光体SLの光量は、第2光量に対応する光量に調整されている。
【0091】
さらに、第1駆動回路30は、ステップS5で、選択された画素Pそれぞれについて出力階調値を算出する。具体的には、第1駆動回路30は、
図8に示す入力階調値および
図11に示す入射光J
nの量の合計を用いて、1行目の画素Pそれぞれについて、入力階調値を入射光J
nの量の合計で除することで、出力階調値(=入力階調値/入射光J
nの量の合計)を算出する。
【0092】
図12は、複数の画素Pにおける出力階調値を示す図である。
図12には、
図8および
図11と同様に複数の画素Pの一部が示されている。
図12において画素P内に示されている値は、最終的な出力階調値(或いは補正された出力階調値)を示している。これらi+3列目およびi+4列目の画素Pにおいて、各行ごとに出力階調値は異なるが、後述するように画素Pの輝度は均一化され、ユーザには同じ輝度に見える。換言すれば、画素Pの輝度が均一化され、ユーザから見て同じ輝度となるように各出力階調値が補正されている。
【0093】
具体的には、1行目の画素Pにおいて、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出力階調値は、0(=0/1.6)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出力階調値は0.5000(=0.8/1.6)である。
【0094】
続けて、第1駆動回路30は、ステップS6で、kが所定値以上であるか否かを判定する。所定値は、上記のように画素Pの行数の最大値(例えば1080)である。kが所定値以上である場合(ステップS6でYES)、すべての画素Pについて出力階調値が算出されており、第1駆動回路30は、プログラムを終了する。
【0095】
k=1である場合、kが所定値より小さい。この場合(ステップS6でNO)、第1駆動回路30は、ステップS7で、選択された画素Pそれぞれについて光の透過割合を算出する。まず、第1駆動回路30は、次に説明する第1減少割合(第1の光の散乱の度合)および第2減少割合(第2の光の散乱の度合)を算出する。
【0096】
画素Pを伝播する光は、上記のように表示パネル10が有する信号線Lb、画素電極PEおよびスイッチング素子SWなどの素子にあたって散乱することで消費される。また、画素Pを伝播する光は、スイッチング素子SW等の金属製の部位、および、第1基板11等のガラス製の部位に吸収されることで消費される。これらを踏まえ、第1減少割合は、各画素Pの表示の有無や位置に拘わらず画素Pを伝播する際に減少する光の割合に相当するものとする。すなわち、第1減少割合は、画素Pの構造によって定まる一方、画素Pの位置に関わらず一定の値である。本実施形態において、第1減少割合は、第1所定割合(具体的には1%)に定められており、複数の画素Pにおいて互いに等しい。すなわち、1行目の画素Pそれぞれの第1減少割合は、0.01(1%)である。
【0097】
他方、ある画素Pが表示状態、すなわち当該画素Pにおける液晶層13が散乱状態である場合、当該画素Pを伝播する光は液晶層13で散乱することで消費される。第2減少割合は、1つの画素Pに対応する液晶層13が散乱状態であることによって画素Pを伝播する光が減少する割合に相当するものとする。第2減少割合は、液晶層13の散乱状態の度合すなわち出力階調値に応じて変化する。具体的には、1つの画素Pにおいて、液晶層13の散乱の度合が大きいほど、すなわち、出力階調値が大きいほど、第2減少割合は大きくなる。本実施形態において、第1駆動回路30は、1つの画素Pに対応する出力階調値(
図12)に第2所定割合(具体的には5%)を乗ずることで第2減少割合を算出する。これにより、第2減少割合は出力階調値に応じて大きくなる。第2所定割合は、画素Pの位置に関わらず一定の値である。
【0098】
具体的には、1行目の画素Pにおいて、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の第2減少割合は、0(=0×0.05(5%))である。すなわち、これらの出力階調値が0であり表示が行われない画素Pに対応する液晶層13は透過状態であり、液晶層13での光の散乱が生じないため、第2減少割合は0である。他方、画素P(1,i+3),(1,i+4)の第2減少割合は0.025(=0.5000×0.05(5%))である。すなわち、出力階調値が0.5であり表示が行われる画素Pに対応する液晶層13は散乱状態であり、液晶層13での光の散乱が生じるため、第2減少割合は0より大きい。なお、第1所定割合および第2所定割合は、予め実験などで導出され第1駆動回路30の記憶部に記憶されている。なお、第1所定割合および第2所定割合が上記の値に限定されないことは言うまでもない。
【0099】
さらに、第1駆動回路30は、1から第1減少割合および第2減少割合を差し引くことで、透過割合を算出する。すなわち、1行目の画素Pにおいて、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の透過割合は、0.99(=1-0.01-0)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の透過割合は0.965(=1-0.01-0.025)である。
【0100】
さらに、第1駆動回路30は、ステップS8で、選択された画素Pそれぞれについて出射光Inの量を傾斜角度毎に算出する。上述の如く本実施形態においては1つの画素Pを通過する光が7つの方向(傾斜角度が-30°、-20°、-10°、0°、+10°、+20°および+30°となる方向)に伝播するとしている。以下、各方向(傾斜角度毎)に分けて説明する。
【0101】
図13は、傾斜角度が0°(n=0)である場合において、1行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
0の量および出射光I
0の量、ならびに、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
0の量を示す図である。1行目の画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+3),(1,i+4),(1,i+5),(1,i+6)において入射光J
0の量は、上記のステップS3にて算出されており、それぞれ、0.3664である。
【0102】
第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J0の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I0の量を算出する。具体的には、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I0の量は、0.3627(=0.3664×0.99)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I0の量は0.3536(=0.3664×0.965)である。
【0103】
図14は、傾斜角度が+10°(n=+1)である場合において、1行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+1の量および出射光I
+1の量、ならびに、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+1の量を示す図である。ここでは、当該画素Pに伝播してきた光は、進行方向を維持した状態すなわち直進して伝播していくと仮定している。すなわち、当該画素Pに対して+10°で入ってきた光(入射光J
+1)は、当該画素Pから+10°の方向に抜けていく光(出射光I
+1)を構成すると仮定する。以下の傾斜角度を有する他の光の説明においても同様である。1行目の画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+3),(1,i+4),(1,i+5),(1,i+6)において入射光J
+1の量は、上記のステップS3にて算出されており、それぞれ、0.3192である。
【0104】
第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J+1の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I+1の量を算出する。具体的には、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I+1の量は、0.3160(=0.3192×0.99)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I+1の量は0.3080(=0.3192×0.965)である。
【0105】
図15は、傾斜角度が-10°(n=-1)である場合において、1行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-1の量および出射光I
-1の量、ならびに、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-1の量を示す図である。1行目の画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+3),(1,i+4),(1,i+5),(1,i+6)において入射光J
-1の量は、上記のステップS3にて算出されており、それぞれ、0.3192である。
【0106】
第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J-1の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I-1の量を算出する。具体的には、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I-1の量は、0.3160(=0.3192×0.99)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I-1の量は0.3080(=0.3192×0.965)である。
【0107】
図16は、傾斜角度が+20°(n=+2)である場合において、1行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+2の量および出射光I
+2の量、ならびに、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+2の量を示す図である。1行目の画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+3),(1,i+4),(1,i+5),(1,i+6)において入射光J
+2の量は、上記のステップS3にて算出されており、それぞれ、0.2064である。
【0108】
第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J+2の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I+2の量を算出する。具体的には、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I+2の量は、0.2043(=0.2064×0.99)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I+2の量は0.1992(=0.2064×0.965)である。
【0109】
図17は、傾斜角度が-20°(n=-2)である場合において、1行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-2の量および出射光I
-2の量、ならびに、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-2の量を示す図である。1行目の画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+3),(1,i+4),(1,i+5),(1,i+6)において入射光J
-2の量は、上記のステップS3にて算出されており、それぞれ、0.2064である。
【0110】
第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J-2の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I-2の量を算出する。具体的には、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I-2の量は、0.2043(=0.2064×0.99)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I-2の量は0.1992(=0.2064×0.965)である。
【0111】
図18は、傾斜角度が+30°(n=+3)である場合において、1行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+3の量および出射光I
+3の量、ならびに、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+3の量を示す図である。1行目の画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+3),(1,i+4),(1,i+5),(1,i+6)において入射光J
+3の量は、上記のステップS3にて算出されており、それぞれ、0.0912である。
【0112】
第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J+3の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I+3の量を算出する。具体的には、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I+3の量は、0.0903(=0.0912×0.99)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I+3の量は0.0880(=0.0912×0.965)である。
【0113】
図19は、傾斜角度が-30°(n=-3)である場合において、1行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-3の量および出射光I
-3の量、ならびに、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-3の量を示す図である。1行目の画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+3),(1,i+4),(1,i+5),(1,i+6)において入射光J
-3の量は、上記のステップS3にて算出されており、それぞれ、0.0912である。
【0114】
第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J-3の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I-3の量を算出する。具体的には、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I-3の量は、0.0903(=0.0912×0.99)である。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I-3の量は0.0880(=0.0912×0.965)である。
【0115】
上記のように、第1駆動回路30は、1行目の画素Pそれぞれについて、入射光Jnの量、出力階調値、および、出射光Inの量を算出する。
【0116】
続けて、第1駆動回路30は、ステップS9で、kに1を加算する(すなわちk=k+1)。k=1である場合、第1駆動回路30は、k=2(=1+1)にする。さらに、第1駆動回路30は、プログラムをステップS2に戻す。
【0117】
第1駆動回路30は、ステップS2で、k行目の画素Pを選択する。k=2の場合、第1駆動回路30は、2行目にある画素Pを選択する。
【0118】
さらに、第1駆動回路30は、ステップS3で、選択された画素Pそれぞれについて入射光Jnの量を傾斜角度毎に算出する。2行目以降の画素Pにおいて画素Pそれぞれに入射する入射光Jnの量は、k-1行目の出射光Inの量によって定まり、傾斜角度毎に算出方法が異なる。
【0119】
具体的には、傾斜角度が0°(n=0)の出射光Inである出射光I0はY方向に沿っており、k-1行目の画素Pの出射光I0はk行目の画素PのうちY方向に沿って+Y側に隣接する同じ列番号の画素Pのみに入射する。
【0120】
一方、傾斜角度が0°と異なる出射光Inにおいて、k-1行目の画素Pの出射光I+1,I+2,I+3,I-1,I-2,I-3は、k行目の画素Pのうち2つの画素Pに入射する。
【0121】
図20は、Y方向に対して正(プラス)の方向に傾斜している出射光I
+1,I
+2,I
+3が入射する画素Pを示す図である。上記のように画素Pは正方形であり、画素Pの1辺の長さを1とする。θは傾斜角度である。
【0122】
画素Pt(具体的には画素P(k-1,i))の出射光In(ただしn=+1,+2,+3)は、画素P(k,i)およびその隣の画素P(k,i+1)に入射する。この場合、出射光Inの量は、画素P(k,i)および画素P(k,i+1)に、分配割合r0および分配割合r+に基づいて分配される。
【0123】
具体的には、出射光Inは画素幅(画素Pの1辺の長さ:1)と等しい幅を有していると仮定し、k-1行目の画素Pとk行目の画素Pとを区画する区画線L1と出射光Inとが重なる部分の長さDに対する画素P(k,i)に対応する部分の長さd0の割合が分配割合r0(=d0/D)に相当する。また、区画線L1と出射光Inとが重なる部分の長さD対する画素P(k,i+1)に対応する部分の長さd+の割合が分配割合r+(=d+/D)に相当する。なお、d0+d+=Dであることは言うまでもない。
【0124】
図21は、Y方向に対して負(マイナス)の方向に傾斜している出射光I
-1,I
-2,I
-3が入射する画素Pを示す図である。
【0125】
画素Ptの出射光In(ただしn=-1,-2,-3)は、画素P(k,i)およびその隣の画素P(k,i-1)に入射する。この場合、出射光Inの量は、画素P(k,i)および画素P(k,i-1)に、分配割合r0および分配割合r-に基づいて分配される。
【0126】
具体的には、出射光Inは画素幅に等しい幅を有していると仮定し、k-1行目の画素Pとk行目の画素Pとを区画する区画線L1と出射光Inとが重なる部分の長さDに対する画素P(k,i)に対応する部分の長さd0の割合が分配割合r0(=d0/D)に相当する。また、区画線L1と出射光Inとが重なる部分の長さDに対する画素P(k,i-1)に対応する部分の長さd-の割合が分配割合r-(=d-/D)に相当する。なお、d0+d-=Dであることは言うまでもない。
【0127】
分配割合r-,r0,r+の値は、表2に示す第2テーブルに格納されている。第2テーブルは、第1駆動回路30の記憶部に記憶されている。分配割合r-,r0,r+の値は、傾斜角度の大きさに応じて変化する。具体的には、分配割合r-,r+の値はtanθの値に対応しており、分配割合r0の値はDから分配割合r-,r+を差し引いた値である。例えばn=+1(θ=10°)の場合、分配割合r+=0.176(=tan10°)であり、分配割合r0=0.824(=D(=1)-r+(=0.176))である。また、傾斜角度がゼロ(n=0)の場合、上記のように出射光I0は分配されず、分配割合r0は1である。なお、第2テーブルに示す「N」は、値が存在しないことを示している。
【0128】
【0129】
なお、
図20および
図21に示す画素Ptは第1の画素に相当し、画素P(k,i)は第2の画素に相当し、画素P(k,i+1)および画素P(k,i-1)は第3の画素に相当する。このように、複数の画素Pのうち第1の画素である画素Ptから出射したY方向と傾斜する方向(第2方向)に沿う出射光I
n(発光体SL(光源装置20)の光)は、Y方向(第1方向)に沿って画素Ptと隣接する第2の画素である画素P(k,i)、および、X方向(第3方向)に沿って画素P(k,i)と隣接する第3の画素である画素P(k,i+1)および画素P(k,i-1)の一方に入射する。また、後述するように、第1の画素である画素Ptから出射した出射光I
nの量(発光体SL(光源装置20)の光量)は、Y方向(第1方向)に対する方向(第2方向)の傾斜角度に基づいて、第2の画素である画素P(k,i)に入射する入射光J
nの量(発光体SL(光源装置20)の光量)と第3の画素である画素P(k,i+1)および画素P(k,i-1)の一方に入射する入射光J
nの量とに分配される。
【0130】
k≧2である場合、第1駆動回路30は、ステップS3で、k-1行目の出射光Inの量および第2テーブルを用いて、k行目の画素Pそれぞれについて入射光Jnの量を傾斜角度毎に算出する。つまり、k=2である場合、第1駆動回路30は、1行目(k=1)の出射光Inの量および第2テーブルを用いて、2行目の画素Pそれぞれについて入射光Jnの量を傾斜角度毎に算出する。
【0131】
傾斜角度が0°(n=0)である場合、1つの画素Pの出射光I0は、当該画素Pの+Y側に隣接する1つの画素Pのみに入射する。例えば、画素P(1,i+2)の出射光I0は、画素P(2,i+2)に入射する。
【0132】
よって、傾斜角度が0°(n=0)である場合、第1駆動回路30は、
図13に示す1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
0の量に第2テーブルにおけるn=0に対応する分配割合r
0(具体的には1)を乗じることで、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの入射光J
0の量を算出する。
【0133】
具体的には、
図13に示すように、2行目(k=2)の画素Pにおいて、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+5),(2,i+6)の入射光J
0の量は、0.3627(=0.3627×1)である。また、画素P(2,i+3),(2,i+4)の入射光J
0の量は、0.3536(=0.3536×1)である。
【0134】
傾斜角度が+10°(n=+1)である場合において、1つの画素Pの出射光I+1は、当該1つの画素Pの+Y側に隣接する1つの画素P、および、当該+Y側に隣接する1つの画素Pの+X側に隣接する画素Pに入射する。例えば、画素P(1,i+2)の出射光I+1は、画素P(2,i+2)および画素P(2,i+3)に入射する。
【0135】
よって、傾斜角度が+10°(n=+1)である場合、第1駆動回路30は、
図14に示す1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
+1の量に第2テーブルにおけるn=+1に対応する分配割合r
0(具体的には0.824)および分配割合r
+(具体的には0.176)を乗じることで、1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
+1の量を分配する。
【0136】
具体的には、
図14に示すように、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I
+1の量は、0.2604(=0.3160×0.824)と、0.0556(=0.3160×0.176)とに分配される。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I
+1の量は、0.2538(=0.3080×0.824)と、0.0542(=0.3080×0.176)とに分配される。
【0137】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I
+1の量に基づいて、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの入射光J
+1の量を算出する。具体的には、画素P(2,i+1)の入射光J
+1は、画素P(1,i+1)の出射光I
+1のうち分配割合r
0に対応する光と、画素P(1,i+1)の-X側に隣接する画素P(1,i+0)(不図示)の出射光I
+1のうち分配割合r
+に対応する光とが合成した光に相当する。画素P(1,i+0)の出射光I
+1の量のうち分配割合r
+に対応する光量は0.0556である。つまり、画素P(2,i+1)の入射光J
+1の量は、0.3160(=0.2604+0.0556)である。なお、
図14に示す破線の矢印は、画素P(1,i+0)の出射光I
+1のうち分配割合r
+に対応する光が画素P(2,i+1)に入射することを表している。
【0138】
また、画素P(2,i+2)の入射光J+1は、画素P(1,i+2)の出射光I+1のうち分配割合r0に対応する光と、画素P(1,i+1)の出射光I+1のうち分配割合r+に対応する光とが合成した光に相当する。つまり、画素P(2,i+2)の入射光J+1の量は、0.3160(=0.2604+0.0556)である。
【0139】
さらに、第1駆動回路30は、上記の画素P(2,i+2)の入射光J+1と同様に、画素P(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)の入射光J+1の量を算出する。つまり、画素P(2,i+3)の入射光J+1の量は0.3094(=0.2538+0.0556)であり、画素P(2,i+4)の入射光J+1の量は0.3080(=0.2538+0.0542)である。また、画素P(2,i+5)の入射光J+1の量は0.3146(=0.2604+0.0542)であり、画素P(2,i+6)の入射光J+1の量は0.3160(0.2604+0.0556)である。
【0140】
傾斜角度が-10°(n=-1)である場合において、1つの画素Pの出射光I-1は、当該1つの画素Pの+Y側に隣接する1つの画素P、および、当該+Y側に隣接する1つの画素Pの-X側に隣接する画素Pに入射する。例えば、画素P(1,i+2)の出射光I-1は、画素P(2,i+2)および画素P(2,i+1)に入射する。
【0141】
よって、傾斜角度が-10°(n=-1)である場合、第1駆動回路30は、
図15に示す1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
-1の量に第2テーブルにおけるn=-1に対応する分配割合r
0(具体的には0.824)および分配割合r
-(具体的には0.176)を乗じることで、1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
-1の量を分配する。
【0142】
具体的には、
図15に示すように、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I
-1の量は、0.2604(=0.3160×0.824)と、0.0556(=0.3160×0.176)とに分配される。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I
-1の量は、0.2538(=0.3080×0.824)と、0.0542(=0.3080×0.176)とに分配される。
【0143】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I
-1の量に基づいて、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの入射光J
-1の量を算出する。具体的には、画素P(2,i+6)の入射光J
-1は、画素P(1,i+6)の出射光I
-1のうち分配割合r
0に対応する光と、画素P(1,i+6)の+X側に隣接する画素P(1,i+7)(不図示)の出射光I
-1のうち分配割合r
-に対応する光とが合成した光に相当する。画素P(1,i+7)の出射光I
-1の量のうち分配割合r
-に対応する光量は0.0556である。つまり、画素P(2,i+6)の入射光J
-1の量は、0.3160(=0.2604+0.0556)である。なお、
図15に示す破線の矢印は、画素P(1,i+7)の出射光I
-1のうち分配割合r
-に対応する光が画素P(2,i+6)に入射することを表している。
【0144】
また、画素P(2,i+1)の入射光J-1は、画素P(1,i+1)の出射光I-1のうち分配割合r0に対応する光と、画素P(1,i+2)の出射光I-1のうち分配割合r-に対応する光とが合成した光に相当する。つまり、画素P(2,i+1)の入射光J-1の量は、0.3160(=0.2604+0.0556)である。
【0145】
さらに、第1駆動回路30は、上記の画素P(2,i+1)の入射光J-1と同様に、画素P(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5)の入射光J-1の量を算出する。つまり、画素P(2,i+2)の入射光J-1の量は0.3146(=0.2604+0.0542)であり、画素P(2,i+3)の入射光J-1の量は0.3080(=0.2538+0.0542)である。また、画素P(2,i+4)の入射光J-1の量は0.3094(=0.2538+0.0556)であり、画素P(2,i+5)の入射光J-1の量は0.3160(0.2604+0.0556)である。
【0146】
傾斜角度が+20°(n=+2)である場合において、1つの画素Pの出射光I+2は、当該1つの画素Pの+Y側に隣接する1つの画素P、および、当該+Y側に隣接する1つの画素Pの+X側に隣接する画素Pに入射する。例えば、画素P(1,i+2)の出射光I+1は、画素P(2,i+2)および画素P(2,i+3)に入射する。
【0147】
よって、傾斜角度が+20°(n=+2)である場合、第1駆動回路30は、
図16に示す1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
+2の量に第2テーブルにおけるn=+2に対応する分配割合r
0(具体的には0.636)および分配割合r
+(具体的には0.364)を乗じることで、1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
+2の量を分配する。
【0148】
具体的には、
図16に示すように、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I
+2の量は、0.1300(=0.2043×0.636)と、0.0744(=0.2043×0.364)とに分配される。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I
+2の量は、0.1267(=0.1992×0.636)と、0.0725(=0.1992×0.364)とに分配される。
【0149】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I
+2の量に基づいて、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの入射光J
+2の量を算出する。具体的には、傾斜角度が+20°(n=+2)である場合における1行目の画素Pそれぞれの出射光I
+2と2行目の画素Pそれぞれの入射光J
+2との対応関係は、上記の傾斜角度が+10°(n=+1)である場合の対応関係と同じである。また、画素P(1,i+0)の出射光I
+2の量のうち分配割合r
+に対応する光量は0.0744である。つまり、画素P(2,i+1)の入射光J
+2の量は、0.2043(=0.1300+0.0744)である。なお、
図16に示す破線の矢印は、画素P(1,i+0)の出射光I
+2のうち分配割合r
+に対応する光が画素P(2,i+1)に入射することを表している。
【0150】
また、画素P(2,i+2)の入射光J+2の量は、0.2043(=0.1300+0.0744)である。画素P(2,i+3)の入射光J+2の量は0.2011(=0.1267+0.0744)であり、画素P(2,i+4)の入射光J+2の量は0.1922(=0.1267+0.0725)である。また、画素P(2,i+5)の入射光J+2の量は0.2025(=0.1300+0.0725)であり、画素P(2,i+6)の入射光J+2の量は0.2043(0.1300+0.0744)である。
【0151】
傾斜角度が-20°(n=-2)である場合において、1つの画素Pの出射光I-2は、当該1つの画素Pの+Y側に隣接する1つの画素P、および、当該+Y側に隣接する1つの画素Pの-X側に隣接する画素Pに入射する。例えば、画素P(1,2)の出射光I-2は、画素P(2,2)および画素P(2,1)に入射する。
【0152】
よって、傾斜角度が-20°(n=-2)である場合において、第1駆動回路30は、
図17に示す1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
-2の量に第2テーブルにおけるn=-2に対応する分配割合r
0(具体的には0.636)および分配割合r
-(具体的には0.364)を乗じることで、1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
-2の量を分配する。
【0153】
具体的には、
図17に示すように、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I
-2の量は、0.1300(=0.2043×0.636)と、0.0744(=0.2043×0.364)とに分配される。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I
-2の量は、0.1267(=0.1992×0.636)と、0.0725(=0.1992×0.364)とに分配される。
【0154】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I
-2の量に基づいて、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの入射光J
-2の量を算出する。具体的には、傾斜角度が-20°(n=-2)である場合における1行目の画素Pそれぞれの出射光I
-2と2行目の画素Pそれぞれの入射光J
-2との対応関係は、上記の傾斜角度が-10°(n=-1)である場合の対応関係と同じである。また、画素P(1,i+7)の出射光I
-2の量のうち分配割合r
-に対応する光量は0.0744である。つまり、画素P(2,i+6)の入射光J
-2の量は、0.2043(=0.1300+0.0744)である。なお、
図17に示す破線の矢印は、画素P(1,i+7)の出射光I
-2のうち分配割合r
-に対応する光が画素P(2,i+6)に入射することを表している。
【0155】
また、画素P(2,i+1)の入射光J-2の量は、0.2043(=0.1300+0.0744)である。画素P(2,i+2)の入射光J-2の量は0.2025(=0.1300+0.0725)であり、画素P(2,i+3)の入射光J-2の量は0.1922(=0.1267+0.0725)である。また、画素P(2,i+4)の入射光J-2の量は0.2011(=0.1267+0.0744)であり、画素P(2,i+5)の入射光J-2の量は0.2043(0.1300+0.0744)である。
【0156】
傾斜角度が+30°(n=+3)である場合において、1つの画素Pの出射光I+3は、当該1つの画素Pの+Y側に隣接する1つの画素P、および、当該+Y側に隣接する1つの画素Pの+X側に隣接する画素Pに入射する。例えば、画素P(1,i+2)の出射光I+3は、画素P(2,i+2)および画素P(2,i+3)に入射する。
【0157】
よって、傾斜角度が+30°(n=+3)である場合、第1駆動回路30は、
図18に示す1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
+3の量に第2テーブルにおけるn=+3に対応する分配割合r
0(具体的には0.423)および分配割合r
+(具体的には0.577)を乗じることで、1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
+3の量を分配する。
【0158】
具体的には、
図18に示すように、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I
+3の量は、0.382(=0.0903×0.423)と、0.0521(=0.0903×0.577)とに分配される。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I
+3の量は、0.0372(=0.0880×0.423)と、0.0508(=0.0880×0.577)とに分配される。
【0159】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I
+3の量に基づいて、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの入射光J
+3の量を算出する。具体的には、傾斜角度が+30°(n=+3)である場合における1行目の画素Pそれぞれの出射光I
+3と2行目の画素Pそれぞれの入射光J
+3との対応関係は、上記の傾斜角度が+10°(n=+1)である場合の対応関係と同じである。また、画素P(1,i+0)の出射光I
+3の量のうち分配割合r
+に対応する光量は0.0521である。つまり、画素P(2,i+1)の入射光J
+3の量は、0.0903(=0.0382+0.0521)である。なお、
図18に示す破線の矢印は、画素P(1,i+0)の出射光I
+3のうち分配割合r
+に対応する光が画素P(2,i+1)に入射することを表している。
【0160】
また、画素P(2,i+2)の入射光J+3の量は、0.0903(=0.0382+0.0521)である。画素P(2,i+3)の入射光J+3の量は0.0893(=0.0372+0.0521)であり、画素P(2,i+4)の入射光J+3の量は0.0880(=0.0372+0.0508)である。また、画素P(2,i+5)の入射光J+3の量は0.0890(=0.0382+0.0508)であり、画素P(2,i+6)の入射光J+3の量は0.0903(0.0382+0.0521)である。
【0161】
傾斜角度が-30°(n=-3)である場合において、1つの画素Pの出射光I-3は、当該1つの画素Pの+Y側に隣接する1つの画素P、および、当該+Y側に隣接する1つの画素Pの-X側に隣接する画素Pに入射する。例えば、画素P(1,i+2)の出射光I-3は、画素P(2,i+2)および画素P(2,i+1)に入射する。
【0162】
よって、傾斜角度が-30°(n=-3)である場合において、第1駆動回路30は、
図19に示す1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
-3の量に第2テーブルにおけるn=-3に対応する分配割合r
0(具体的には0.423)および分配割合r
-(具体的には0.577)を乗じることで、1行目(k=1)の画素Pそれぞれの出射光I
-3の量を分配する。
【0163】
具体的には、
図19に示すように、画素P(1,i+1),(1,i+2),(1,i+5),(1,i+6)の出射光I
-3の量は、0.382(=0.0903×0.423)と、0.0521(=0.0903×0.577)とに分配される。また、画素P(1,i+3),(1,i+4)の出射光I
-3の量は、0.0372(=0.0880×0.423)と、0.0508(=0.0880×0.577)とに分配される。
【0164】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I
-3の量に基づいて、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの入射光J
-3の量を算出する。具体的には、傾斜角度が-30°(n=-3)である場合における1行目の画素Pそれぞれの出射光I
-3と2行目の画素Pそれぞれの入射光J
-3との対応関係は、上記の傾斜角度が-10°(n=-1)である場合の対応関係と同じである。また、画素P(1,i+7)の出射光I
-3量のうち分配割合r
-に対応する光量は0.0521である。つまり、画素P(2,i+6)の入射光J
-3の量は、0.0903(=0.0382+0.0521)である。なお、
図17に示す破線の矢印は、画素P(1,i+7)の出射光I
-3のうち分配割合r
-に対応する光が画素P(2,i+6)に入射することを表している。
【0165】
また、画素P(2,i+1)の入射光J-3の量は、0.0903(=0.0382+0.0521)である。画素P(2,i+2)の入射光J-3の量は0.0890(=0.0382+0.0508)であり、画素P(2,i+3)の入射光J-3の量は0.0880(=0.0372+0.0508)である。画素P(2,i+4)の入射光J-3の量は0.0893(=0.0372+0.0521)であり、画素P(2,i+5)の入射光J-3の量は0.0903(0.0382+0.0521)である。
【0166】
続けて、第1駆動回路30は、ステップS4で、選択された画素Pそれぞれについて入射光Jnの量の合計を算出する。具体的には、第1駆動回路30は、2行目の画素Pそれぞれの入射光J-3,J-2,J-1,J0,J+1,J+2,J+3の量を合計する。
【0167】
具体的には、
図11に示すように、画素P(2,i+1)の入射光J
n(すなわち入射光J
-3,J
-2,J
-1,J
0,J
+1,J
+2,J
+3)の量の合計は、1.5840(=0.0903(
図19)+0.2043(
図17)+0.3160(
図15)+0.3627(
図13)+0.3160(
図14)+0.2043(
図16)+0.0903(
図18))である。同様に、画素P(2,i+6)の入射光J
nの量の合計は1.5840(=0.0903+0.2043+0.3160+0.3627+0.3160+0.2043+0.0903)である。
【0168】
また、画素P(2,i+2),(2,i+5)の入射光Jnの量の合計は1.5794(=0.0903+0.2043+0.3160+0.3627+0.3146+0.2025+0.0890)である。さらに、画素P(2,i+3),(2,i+4)の入射光Jnの量の合計は1.5486(=0.0893+0.2011+0.3094+0.3536+0.3080+0.1992+0.0880)である。
【0169】
さらに、第1駆動回路30は、ステップS5で、選択された画素Pそれぞれについて出力階調値を算出する。具体的には、第1駆動回路30は、
図8に示す入力階調値および
図11に示す入射光J
nの量の合計を用いて、2行目の画素Pそれぞれについて、入力階調値を入射光J
nの量の合計で除することで、出力階調値(=入力階調値/入射光J
nの量の合計)を算出する。
【0170】
図8に示すように画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+5),(2,i+6)の入力階調値が0であることで、
図12に示すように画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+5),(2,i+6)の出力階調値は0である。また、
図8に示すように画素P(2,i+3),(2,i+4)の入力階調値が0.8であることで、
図12に示すように画素P(2,i+3),(2,i+4)の出力階調値は0.5166(=0.8(
図8)/1.5486(
図11))である。
【0171】
図11に示すように、1行目の画素Pにおいて発光体SLの光が消費されていることにより、1行目の画素Pの入射光J
nの量の合計と比べて、2行目の画素Pの入射光J
nの量の合計は小さい。
【0172】
また、i+3列目およびi+4列目の画素Pにおいて、
図8に示すように1行目の画素Pの入力階調値(0.8)と2行目の画素Pの入力階調値(0.8)とは等しくても、
図12に示すように、1行目の画素Pの出力階調値(0.500)と比べて、2行目の画素Pの出力階調値(0.5166)は大きい。つまり、第1駆動回路30は、1行目の画素Pの入力階調値と2行目の画素Pの入力階調値とが等しくても、1行目の画素Pにおける発光体SLの光の消費量に基づいて、2行目の画素Pの出力階調値を大きくしている。
【0173】
続けて、第1駆動回路30は、ステップS6で、kが所定値以上であるか否かを判定する。k=2である場合、kが所定値より小さい。この場合(ステップS6でNO)、第1駆動回路30は、ステップS7で、選択された画素Pそれぞれについて光量の透過割合を算出する。
【0174】
上記のように、第1所定割合(1%)および第2所定割合(5%)は、画素Pの位置に関わらず一定の値である。第1減少割合は、第1所定割合に相当する。
【0175】
また、第2減少割合は、
図12に示す出力階調値に応じて変化する。具体的には、2行目の画素Pにおいて、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+5),(2,i+6)の第2減少割合は、0(=0×0.05(第2所定割合:5%))である。また、画素P(2,i+3),(2,i+4)の第2減少割合は0.0258(=0.5166×0.05(第2所定割合:5%))である。
【0176】
よって、2行目の画素Pにおいて、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+5),(2,i+6)の透過割合は、0.99(=1-0.01-0)である。また、画素P(2,i+3),(2,i+4)の透過割合は0.9642(=1-0.01-0.0258)である。
さらに、第1駆動回路30は、ステップS8で、選択された画素Pそれぞれについて出射光Inの量を傾斜角度毎に算出する。
【0177】
図22は、傾斜角度が0°(n=0)である場合において、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
0の量および出射光I
0の量、ならびに、3行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
0の量を示す図である。2行目の画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)において入射光J
0の量は、上記のステップS3にて算出されている(
図13)。
【0178】
第1駆動回路30は、2行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J0の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I0の量を算出する。すなわち、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+5),(2,i+6)の出射光I0の量は、0.3591(=0.3637×0.99)である。また、画素P(2,i+3),(2,i+4)の出射光I0の量は0.3409(=0.3536×0.9642)である。
【0179】
図23は、傾斜角度が+10°(n=+1)である場合において、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+1の量および出射光I
+1の量、ならびに、3行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+1の量を示す図である。2行目の画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)において入射光J
+1の量は、上記のステップS3にて算出されている(
図14)。
【0180】
第1駆動回路30は、2行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J+1の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I+1の量を算出する。すなわち、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)の出射光I+1の量は、0.3128(=0.3160×0.99),0.3128(=0.3160×0.99),0.2983(0.3094×0.9642),0.2970(=0.3080×0.9642),0.3115(=0.3146×0.99),0.3128(=0.3160×0.99)である。
【0181】
図24は、傾斜角度が-10°(n=-1)である場合において、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-1の量および出射光I
-1の量、ならびに、3行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-1の量を示す図である。2行目の画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)において入射光J
-1の量は、上記のステップS3にて算出されている(
図15)。
【0182】
第1駆動回路30は、2行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J-1の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I-1の量を算出する。すなわち、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)の出射光I-1の量は、0.3128(=0.3160×0.99),0.3115(=0.3146×0.99),0.2970(=0.3080×0.9642),0.2983(0.3094×0.9642),0.3128(=0.3160×0.99),0.3128(=0.3160×0.99)である。
【0183】
図25は、傾斜角度が+20°(n=+2)である場合において、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+2の量および出射光I
+2の量、ならびに、3行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+2の量を示す図である。2行目の画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)において入射光J
+2の量は、上記のステップS3にて算出されている(
図16)。
【0184】
第1駆動回路30は、2行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J+2の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I+2の量を算出する。すなわち、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)の出射光I+2の量は、0.2023(=0.2043×0.99),0.2023(=0.2043×0.99),0.1939(=0.2011×0.9642),0.1920(=0.1992×0.9642),0.2004(=0.2025×0.99),0.2023(=0.2043×0.99)である。
【0185】
図26は、傾斜角度が-20°(n=-2)である場合において、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-2の量および出射光I
-2の量、ならびに、3行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-2の量を示す図である。2行目の画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)において入射光J
-2の量は、上記のステップS3にて算出されている(
図17)。
【0186】
第1駆動回路30は、2行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J-2の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I-2の量を算出する。すなわち、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)の出射光I-1の量は、0.2023(=0.2043×0.99),0.2004(=0.2025×0.99),0.1920(=0.1992×0.9642),0.1939(=0.2011×0.9642),0.2023(=0.2043×0.99),0.2023(=0.2043×0.99)である。
【0187】
図27は、傾斜角度が+30°(n=+3)である場合において、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+3の量および出射光I
+3の量、ならびに、3行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
+3の量を示す図である。2行目の画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)において入射光J
+3の量は、上記のステップS3にて算出されている(
図18)。
【0188】
第1駆動回路30は、2行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J+3の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I+3の量を算出する。すなわち、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)の出射光I+3の量は、0.0894(=0.0903×0.99),0.0894(=0.0903×0.99),0.0861(=0.0893×0.9642),0.0849(=0.0880×0.9642),0.0881(=0.0890×0.99),0.0894(=0.0903×0.99)である。
【0189】
図28は、傾斜角度が-30°(n=-3)である場合において、2行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-3の量および出射光I
-3の量、ならびに、3行目の画素Pそれぞれにおける入射光J
-3の量を示す図である。2行目の画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)において入射光J
-3の量は、上記のステップS3にて算出されている(
図19)。
【0190】
第1駆動回路30は、2行目の画素Pそれぞれにおいて、入射光J-3の量に上記の透過割合を乗ずることで出射光I-3の量を算出する。すなわち、画素P(2,i+1),(2,i+2),(2,i+3),(2,i+4),(2,i+5),(2,i+6)の出射光I-1の量は、0.0894(=0.0903×0.99),0.0881(=0.0890×0.99),0.0849(=0.0880×0.9642),0.0861(=0.0893×0.9642),0.0894(=0.0903×0.99),0.0894(=0.0903×0.99)である。
【0191】
続けて、第1駆動回路30は、ステップS9で、kに1を加算する(すなわちk=k+1)。k=2である場合、第1駆動回路30は、k=3(=2+1)にする。さらに、第1駆動回路30は、プログラムをステップS2に戻す。
【0192】
第1駆動回路30は、ステップS2で、k行目の画素Pを選択する。k=3の場合、第1駆動回路30は、3行目にある画素Pを選択する。
【0193】
さらに、第1駆動回路30は、ステップS3で、選択された画素Pそれぞれについて入射光Jnの量を傾斜角度毎に算出する。上記のように、k≧2である場合、第1駆動回路30は、ステップS3で、k-1行目の出射光Inの量および第2テーブルを用いて、k行目の画素Pそれぞれについて入射光Jnの量を傾斜角度毎に算出する。
【0194】
つまり、第1駆動回路30は、ステップS3で、2行目(k=2)の出射光Inの量および第2テーブルを用いて、上記のk=2の場合と同様に、3行目(k=3)の画素Pそれぞれについて入射光Jnの量を傾斜角度毎に算出する。
【0195】
傾斜角度が0°(n=0)である場合、第1駆動回路30は、
図22に示す2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
0の量に第2テーブルにおけるn=0に対応する分配割合r
0(具体的には1)を乗じることで、3行目(k=3)の画素Pそれぞれの入射光J
0の量を算出する。
【0196】
具体的には、
図22に示すように、3行目の画素Pにおいて、画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+5),(3,i+6)の入射光J
0の量は、0.3591(=0.3591×1)である。また、画素P(3,i+3),(3,i+4)の入射光J
0の量は、0.3409(=0.3409×1)である。
【0197】
傾斜角度が+10°(n=+1)である場合、第1駆動回路30は、
図23に示す2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
+1の量に第2テーブルにおけるn=+1に対応する分配割合r
0(具体的には0.824)および分配割合r
+(具体的には0.176)を乗じることで、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
+1の量を分配する。
【0198】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I+1の量に基づいて、3行目(k=3)の画素Pそれぞれの入射光J+1の量を算出する。具体的には、画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+3),(3,i+4),(3,i+5),(3,i+6)の入射光J+1の量は、0.3128,0.3128,0.3009,0.2972,0.3089,0.3126である。
【0199】
傾斜角度が-10°(n=-1)である場合、第1駆動回路30は、
図24に示す2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
-1の量に第2テーブルにおけるn=-1に対応する分配割合r
0(具体的には0.824)および分配割合r
-(具体的には0.176)を乗じることで、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
-1の量を分配する。
【0200】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I-1の量に基づいて、3行目(k=3)の画素Pそれぞれの入射光J-1の量を算出する。具体的には、画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+3),(3,i+4),(3,i+5),(3,i+6)の入射光J-1の量は、0.3126,0.3089,0.2972,0.3009,0.3128,0.3128である。
【0201】
傾斜角度が+20°(n=+2)である場合、第1駆動回路30は、
図25に示す2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
+2の量に第2テーブルにおけるn=+2に対応する分配割合r
0(具体的には0.636)および分配割合r
+(具体的には0.364)を乗じることで、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
+2の量を分配する。
【0202】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I+2の量に基づいて、3行目(k=3)の画素Pそれぞれの入射光J+2の量を算出する。具体的には、画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+3),(3,i+4),(3,i+5),(3,i+6)の入射光J+2の量は、0.2023,0.2023,0.1969,0.1927,0.1974,0.2016である。
【0203】
傾斜角度が-20°(n=-2)である場合、第1駆動回路30は、
図26に示す2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
-2の量に第2テーブルにおけるn=-2に対応する分配割合r
0(具体的には0.636)および分配割合r
-(具体的には0.364)を乗じることで、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
-2の量を分配する。
【0204】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I-2の量に基づいて、3行目(k=3)の画素Pそれぞれの入射光J-2の量を算出する。具体的には、画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+3),(3,i+4),(3,i+5),(3,i+6)の入射光J-2の量は、0.2016,0.1974,0.1927,0.1969,0.2023,0.2023である。
【0205】
傾斜角度が+30°(n=+3)である場合、第1駆動回路30は、
図27に示す2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
+3の量に第2テーブルにおけるn=+3に対応する分配割合r
0(具体的には0.423)および分配割合r
+(具体的には0.577)を乗じることで、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
+3の量を分配する。
【0206】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I+3の量に基づいて、3行目(k=3)の画素Pそれぞれの入射光J+3の量を算出する。具体的には、画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+3),(3,i+4),(3,i+5),(3,i+6)の入射光J+3の量は、0.0894,0.0894,0.0880,0.0856,0.0862,0.0886である。
【0207】
傾斜角度が-30°(n=-3)である場合、第1駆動回路30は、
図28に示す2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
-3の量に第2テーブルにおけるn=-3に対応する分配割合r
0(具体的には0.423)および分配割合r
-(具体的には0.577)を乗じることで、2行目(k=2)の画素Pそれぞれの出射光I
-3の量を分配する。
【0208】
続けて、第1駆動回路30は、分配された出射光I-3の量に基づいて、3行目(k=3)の画素Pそれぞれの入射光J-3の量を算出する。具体的には、画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+3),(3,i+4),(3,i+5),(3,i+6)の入射光J-3の量は、0.0886,0.0862,0.0856,0.0880,0.0894,0.0894である。
【0209】
続けて、第1駆動回路30は、ステップS4で、選択された画素Pそれぞれについて入射光Jnの量の合計を算出する。具体的には、第1駆動回路30は、3行目の画素Pそれぞれについて入射光Jn(すなわち入射光J-3,J-2,J-1,J0,J+1,J+2,J+3)の量を合計する。
【0210】
具体的には、
図11に示すように、画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+3),(3,i+4),(3,i+5),(3,i+6)の入射光J
nの量の合計は、1.5665,1.5561,1.5022,1.5022,1.5561,1.5665である。
【0211】
さらに、第1駆動回路30は、ステップS5で、選択された画素Pそれぞれについて出力階調値(=入力階調値(
図8)/入射光J
nの量の合計(
図11))を算出する。
【0212】
図8に示すように画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+5),(3,i+6)の入力階調値が0であることで、
図12に示すように画素P(3,i+1),(3,i+2),(3,i+5),(3,i+6)の出力階調値は0である。また、
図8に示すように画素P(3,i+3),(3,i+4)の入力階調値が0.8であることで、
図12に示すように画素P(3,i+3),(3,i+4)の出力階調値は0.5325(=0.8(
図8)/1.5022(
図11))である。
【0213】
さらに、第1駆動回路30は、ステップS6,S7,S8,S9を実行し、ステップS2で4行目(k=4)の画素Pを選択し、上記のk=2,3の場合と同様に、ステップS4,S5を実行することで、4行目の画素Pそれぞれについて、入射光J
nの量の合計(
図11)および出力階調値(=入力階調値(
図8)/入射光J
nの量の合計(
図11))を算出する。
【0214】
図8に示すように画素P(4,i+1),(4,i+2),(4,i+5),(4,i+6)の入力階調値が0であることで、
図12に示すように画素P(4,i+1),(4,i+2),(4,i+5),(4,i+6)の出力階調値は0である。また、
図8に示すように画素P(4,i+3),(4,i+4)の入力階調値が0.8であることで、
図12に示すように画素P(4,i+3),(4,i+4)の出力階調値は0.5479(=0.8(
図8)/1.4602(
図11))である。
【0215】
図11に示すように、画素Pにおいて発光体SLの光が消費されていることにより、k行目の画素Pの入射光J
nの量の合計と比べて、k+1行目の画素Pの入射光J
nの量の合計は小さい。
【0216】
また、
図8および
図12に示すように、i+3列目およびi+4列目の画素Pにおいて、k行目の画素Pの入力階調値とk+1行目の画素Pの入力階調値とは等しくても(
図8)、k行目の画素Pの出力階調値と比べて、k+1行目の画素Pの出力階調値は大きい(
図12)。
【0217】
つまり、第1駆動回路30は、k行目の画素Pにおける発光体SLの光の消費量に基づいて、k+1行目の画素Pの出力階調値を大きくしている。すなわち、第1駆動回路30は、Y方向(第1方向)に沿って並ぶ2つの画素Pに対応する2つの入力階調値が互いに等しい場合、2つの画素Pのうち第1側面10c側の画素Pに対応する出力階調値より、2つの画素Pのうち第2側面10d側の画素Pに対応する出力階調値を大きくする。
【0218】
また、第1駆動回路30は、上記の透過割合を用いて、選択された画素Pそれぞれについてk-1行目の画素Pの出射光Inの量すなわちk行目の画素Pの入射光Jnを算出している。すなわち、第1駆動回路30は、第1側面10c側の画素Pにおいて表示パネル10が有する素子に発光体SLの光(光源装置20の光)があたることで生じる第1の光の散乱の度合(第1減少割合)を用いて、第2側面10d側の画素Pに入射する入射光Jnの量(発光体SL(光源装置20)の光量)を算出する。さらに、第1駆動回路30は、第1側面10c側の画素Pにおいて出力階調値によって変化する第2の光の散乱の度合(第2減少割合)を用いて、第2側面10d側の画素Pに入射する入射光Jnの量(発光体SL(光源装置20)の光量)を算出する。
【0219】
このように出力階調値が算出されることで、i+3列目およびi+4列目の画素Pにおいて、表示領域DAにおける1行目の画素Pの輝度(=(入射光J
nの量の合計(
図11))×(出力階調値(
図12)))は0.8000(=1.6×0.500)であり、表示領域DAにおける2行目の画素Pの輝度は0.8000(=1.5486×0.5166)である。また、表示領域DAにおける3行目の画素Pの輝度は0.7999(=1.5022×0.5325)であり、表示領域DAにおける4行目の画素Pの輝度は0.8000(=1.4602×0.5479)である。
【0220】
よって、i+3列目およびi+4列目の画素Pにおいて、
図8に示すように入力階調値が互いに等しく、
図11に示すようにY方向に沿って-Y側から+Y側に向かうにしたがって発光体SLの光量が低下する場合においても、画素Pの輝度はほぼ等しく、均一化されている。
【0221】
kが所定値以上となった場合(ステップS6でYES)、第1駆動回路30は、すべての画素Pに対応する出力階調値を算出している。よって、第1駆動回路30は、
図10に示すプログラムを終了し、出力階調値を逆ガンマ補正して画素駆動信号を生成する。
【0222】
次に、上記の補正係数、および、i+3,i+4列目の5行目以降の画素Pの輝度について説明する。
【0223】
図29は、本開示の実施形態に係る表示装置1において補正係数を用いて第1駆動回路30が出力階調値を算出する場合の
図8、
図11および
図12に示すi+3,i+4列目の画素Pにおける明るさおよび階調値を示す図である。
図29の横軸のkは、i+3,i+4列目の画素Pの行番号を示している。
図29の縦軸の明るさは、i+3,i+4列目かつk行目の画素Pにおける入射光J
nの量の合計、および、画素Pの輝度を示している。上記のように、i+3,i+4列目の画素Pそれぞれの入力階調値は0.8で互いに等しく一定である。
【0224】
また、上記のように、第2光量は、第1光量に補正係数(本実施形態では1.6)を乗ずることで算出されている。補正係数は、Y方向に沿って並ぶ複数の画素Pに対応する複数の入力階調値が所定の階調値で互いに等しい場合に、Y方向に沿って並ぶ複数の画素Pのうち最も第2側面10d側に位置する画素P(すなわち
図29においてk=所定値(1080)の画素P)における入射光J
nの量の合計が第1光量となる値に定められている。補正係数は、表示パネル10のサイズおよび構造などによって異なり、予め行われる実験等によって予め導出され、第1駆動回路30の記憶部に記憶されている。
【0225】
なお、補正係数の値は適宜変更可能である。本実施形態においては補正係数を1.6としているが、表示状態や使用状態に応じて補正係数を1.0以下とすることも可能である。この場合、第2光量としては第1光量よりも小さくなる一方、表示領域DA全体として暗い画像であっても当該画像の輝度差を低減することができる。
【0226】
所定の階調値は、表示パネル10のサイズおよび構造などに基づいて定められる階調値であり、本実施形態において0.8である。つまり、補正係数は、Y方向に沿って並ぶ複数の画素Pに対応する複数の入力階調値が所定の階調値で互いに等しい場合に、Y方向に沿って並ぶ複数の画素Pのうち最も第2側面10d側に位置する画素P(k=所定値(1080)の画素P)における入射光Jnの量の合計が第1光量(1)となる値に定められている。
【0227】
換言すれば、補正係数が用いられることにより、Y方向(第1方向)に沿って並ぶ複数の画素Pに対応する複数の入力階調値が互いに等しい場合、発光体SLの光量(光源装置20の光量)が第1光量であるときにおいてY方向に沿って並ぶ複数の画素Pのうち最も第1側面10c側にある1行目の画素P(第4の画素に相当)に入射する発光体SLの光量(入射光Jnの量の合計)は、発光体SLの光量が第1光量より大きい第2光量であるときにおいてY方向に沿って並ぶ複数の画素Pのうち最も第2側面10d側にある所定値行目の画素P(第5の画素に相当)に入射する発光体SLの光量(入射光Jnの量の合計)と等しい。
【0228】
よって、
図10に示すフローチャートによって第1駆動回路30が算出するi+3,i+4列目の画素Pにおける入射光J
nの量の合計は、1行目の画素Pから所定値行目の画素Pの間で第2光量(1.6)から第1光量(1)まで徐々に低下する。
【0229】
また、i+3,i+4列目の画素Pそれぞれにおいて入力階調値が0.8で等しい場合、
図10に示すフローチャートによって第1駆動回路30が算出するi+3,i+4列目の画素Pにおける出力階調値(=入力階調値/入射光J
nの量の合計)は、1行目の画素Pから所定値行目の画素Pの間で0.5から1まで徐々に増加する。
【0230】
よって、i+3,i+4列目の画素Pの輝度(=(入射光Jnの量の合計)×(出力階調値))は、1行目の画素Pから所定値行目の画素Pの間でほぼ0.8であり、均一化されている。また、画素Pの輝度は、入力階調値とほぼ等しく、所望の画素Pの輝度を得ることができる。
【0231】
つまり、補正係数を用いて第1駆動回路30が出力階調値を算出し、1行目の画素Pにおける入射光Jnの量の合計が第2光量となる発光体SLの光量にすることで、1行目の画素Pから所定値行目の画素Pの間で画素Pの輝度を均一化することができる。
【0232】
したがって、表示領域DAの全体に白を表示させるように表示装置1が動作した場合、すなわち、複数の画素Pそれぞれにおいて入力階調値を互いに等しく1にした場合、複数の画素Pの間で画素Pの輝度が均一化され、表示領域DAにおいて階調が均一化された状態で白が表示される。また、複数の画素Pの輝度が均一化されていることで、表示領域DAの一部に赤を表示させるように表示装置1が動作した場合、当該表示領域DAの一部より第2側面10d側の表示領域DAにおいて、赤の補色(シアン(青緑))が表示されない。つまり、表示領域DAにおいて所望の色が表示される。
【0233】
このように、光源装置20の光が側方から入射する表示パネル10を有する表示装置1において、複数の画素Pに対応する複数の階調値が互いに等しいときにおける画素Pの輝度の均一化を図ることができる。
【0234】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0235】
例えば、光源装置20は、第2基材15の第4XL側面15c、第4XR側面15dおよび第4YF側面15fの1つと対向して配置されてもよい。また、光源装置20は、第1基板11、第2基板12および第1基材14のうち何れか1つの側方に配置されてもよい。
【0236】
また、入射光Jnおよび出射光Inにおいて、添え字nに対応する整数の個数、および、傾斜角度が上記の角度に限定されないことは言うまでもない。この場合、第2テーブルに格納されている値は、傾斜角度の大きさに基づいて定められる。
【0237】
さらに、傾斜角度が大きくなると、k行目の画素Pの出射光I
nが入射するk+1行目の画素Pが上記の実施形態の場合と異なることがある。例えば、傾斜角度が+45度である場合、
図20に示す画素Ptの出射光I
nは、画素P(k,i+1)のみに入射する。また、傾斜角度が+45度より大きく+90度より小さい場合、画素Ptの出射光I
nは、画素P(k,i+1)および画素P(k,i+2)に入射し、画素Ptの出射光I
nの量は、画素P(k,i+1)および画素P(k,i+2)に分配される。
【0238】
また、第1駆動回路30がステップS4で選択された画素Pそれぞれについて入射光Jnの量の合計を算出する場合において、入射光J-3,J-2,J-1,J0,J+1,J+2,J+3の量それぞれについて重み係数を乗じてもよい。重み係数は、画素Pのサイズおよび構造などによって異なり、予め行われる実験等によって予め導出され、第1駆動回路30の記憶部に記憶される。
【0239】
また、表示パネル10は、透過型の液晶パネルでもよい。この場合、光源装置20は、発光体SLおよび導光板(不図示)を備え、表示パネル10の背面10b側に配置される、いわゆるサイドライト方式のバックライトである。導光板の板面は、表示パネル10の背面10bと対向している。発光体SLは、表示パネル10の第1側面10cと平行な導光板の側面に対向して配置される。発光体SLの光は、導光板の側面から導光板に入射し、導光板の側面から表示パネル10の背面10bに向けて出射する。発光体SLの光は導光板において消費され、発光体SLの光が入射する導光板の側面から当該側面の反対面に向かうほど発光体SLの光の量は低下する。よって、このような表示装置においても、上記の実施形態の表示装置1と同様に、表示パネル10の第1側面10cから第2側面10dに向かって画素Pの輝度が低下する課題を有する。そこで、上記の実施形態のように第1駆動回路30が出力階調値を算出することで、表示パネル10が透過型の液晶パネルであり、光源装置20が導光板の側方に発光体SLが配置されているバックライトである場合においても、複数の画素Pの均一化を図ることができる。
【0240】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0241】
1 表示装置
10 表示パネル
10c 表示パネルの第1側面
10d 表示パネルの第2側面
13 液晶層
14 第1基材
20 光源装置
30 第1駆動回路(駆動回路)
DA 表示領域
P 画素