(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007309
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電力供給装置及びそれを含む半導体製造設備、搬送システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20240111BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240111BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20240111BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20240111BHJP
B60L 53/12 20190101ALN20240111BHJP
【FI】
H02J50/10
H01L21/68 A
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003962
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0082714
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チャン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン オ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ワン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ピョン、ヒ チェ
【テーマコード(参考)】
5F131
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA00
5F131CA12
5F131DA02
5F131DD03
5H105BA02
5H105CC02
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA11
5H125AC04
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】発熱を抑制することが可能な電力供給装置及びそれを含む半導体製造設備、搬送システムを提供する。
【解決手段】本発明による半導体製造設備において搬送装置へ電力を供給する電力供給装置は、前記搬送装置の移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材と、前記第1ベース部材の表面に形成され、磁心(magnetic core)素材からなる第2ベース部材と、前記第2ベース部材の一側に配置される設置構造物として提供されるトラック部材と、前記トラック部材に設置され、電力を供給するための電流が印加される給電部材と、前記給電部材から一定間隔をおいて前記搬送装置に設けられた受電コア部材に配置され、前記給電部材と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造設備において搬送装置へ電力を供給する電力供給装置であって、
前記搬送装置の移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材と、
前記第1ベース部材の表面に形成され、磁心(magnetic core)素材からなる第2ベース部材と、
前記第2ベース部材の一側に配置される設置構造物として提供されるトラック部材と、
前記トラック部材に設置され、電力を供給するための電流が印加される給電部材と、
前記給電部材から一定間隔をおいて前記搬送装置に設けられた受電コア部材に配置され、前記給電部材と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材と、を含む、電力供給装置。
【請求項2】
前記第2ベース部材は前記第1ベース部材の上面に形成される、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記第2ベース部材は、前記第1ベース部材に設けられた溝に挿入されるように構成される、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記第1ベース部材はアルミニウム(Al)素材で構成される、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記第2ベース部材はフェライトコア、粉末状パーマロイ(Permalloy)、又はミューメタル(mu-metal)のうちのいずれか1つで構成される、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記受電コア部材は、複数の突出部からなる「E」字状を有するフェライトコアであり、
前記給電部材は、前記受電コア部材の突出部同士の間の空間に位置し、
前記受電部材は、前記受電コア部材の中心側の突出部側面に備えられる、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項7】
前記受電コア部材は、中心に突出部が形成された「T」字状を有するフェライトコアであり、
前記給電部材は、前記突出部の両側から一定距離だけ離隔して位置し、
前記受電部材は、前記受電コア部材の突出部の両側面に備えられる、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項8】
半導体製造設備であって、
基板に対する工程処理が行われる工程処理モジュールと、
前記基板を搬送する基板搬送ロボットと、
前記基板搬送ロボットへ電力を供給する電力供給装置と、を含み、
前記電力供給装置は、
前記基板搬送ロボットの移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材と、
前記第1ベース部材の表面に形成され、磁心(magnetic core)素材からなる第2ベース部材と、
前記第2ベース部材に配置される設置構造物として提供されるトラック部材と、
前記トラック部材の一側に設置され、電力を供給するための電流が印加される給電部材と、
前記給電部材から一定間隔をおいて前記基板搬送ロボットに設けられた受電コア部材に配置され、前記給電部材と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材と、を含む、半導体製造設備。
【請求項9】
前記第2ベース部材は前記第1ベース部材の上面に形成される、請求項8に記載の半導体製造設備。
【請求項10】
前記第2ベース部材は、前記第1ベース部材に設けられた溝に挿入されるように構成される、請求項8に記載の半導体製造設備。
【請求項11】
前記第1ベース部材はアルミニウム(Al)素材で構成される、請求項8に記載の半導体製造設備。
【請求項12】
前記第2ベース部材はフェライトコア、粉末状パーマロイ(Permalloy)、又はミューメタル(mu-metal)のうちのいずれか1つで構成される、請求項8に記載の半導体製造設備。
【請求項13】
前記受電コア部材は、複数の突出部からなる「E」字状を有するフェライトコアであり、
前記給電部材は、前記受電コア部材の突出部同士の間の空間に位置し、
前記受電部材は、前記受電コア部材の中心側の突出部側面に備えられる、請求項8に記載の半導体製造設備。
【請求項14】
前記受電コア部材は、中心に突出部が形成された「T」字状を有するフェライトコアであり、
前記給電部材は、前記突出部の両側から一定距離だけ離隔して位置し、
前記受電部材は、前記受電コア部材の突出部の両側面に備えられる、請求項8に記載の半導体製造設備。
【請求項15】
半導体製造工場において物品を搬送する搬送システムであって、
前記物品を搬送する搬送台車の走行経路を提供する走行レールと、
前記搬送台車へ電力を供給する電力供給装置と、を含み、
前記電力供給装置は、
前記搬送台車の移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材と、
前記第1ベース部材の表面に形成され、磁心(magnetic core)素材からなる第2ベース部材と、
前記第2ベース部材の一側に配置される設置構造物として提供されるトラック部材と、
前記トラック部材に設置され、電力を供給するための電流が印加される給電部材と、
前記給電部材から一定間隔をおいて前記搬送台車に設けられた受電コア部材に配置され、前記給電部材と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材と、を含む、搬送システム。
【請求項16】
前記第2ベース部材は前記第1ベース部材の上面に形成される、請求項15に記載の搬送システム。
【請求項17】
前記第2ベース部材は、前記第1ベース部材に設けられた溝に挿入されるように構成される、請求項15に記載の搬送システム。
【請求項18】
前記第1ベース部材はアルミニウム(Al)素材で構成され、
前記第2ベース部材はフェライトコア、粉末状パーマロイ(Permalloy)、又はミューメタル(mu-metal)のうちのいずれか1つで構成される、請求項15に記載の搬送システム。
【請求項19】
前記受電コア部材は、複数の突出部からなる「E」字状を有するフェライトコアであり、
前記給電部材は、前記受電コア部材の突出部同士の間の空間に位置し、
前記受電部材は、前記受電コア部材の中心側の突出部側面に備えられる、請求項15に記載の電力供給設備。
【請求項20】
前記受電コア部材は、中心に突出部が形成された「T」字状を有するフェライトコアであり、
前記給電部材は、前記突出部の両側から一定距離だけ離隔して位置し、
前記受電部材は、前記受電コア部材の突出部の両側面に備えられる、請求項15に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置へ電力を供給する電力供給装置、及びそれを含む半導体製造設備、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、電気信号を処理することが可能な半導体製品を製造する工程であって、ウェーハ(基板)上に酸化、露光、エッチング、イオン注入、蒸着などの処理過程を介してパターンを形成する処理工程(前工程)と、パターンが形成されたウェーハに対するダイシング、ダイボンディング、配線、モールディング、マーキング、テストなどの過程を介して完成品形態の半導体パッケージを製造するパッケージング工程(後工程)と、を含む。それぞれの製造工程を行うために、半導体製造工場のクリーンルーム内に各工程を行う半導体製造設備が備えられ、半導体製造設備に投入された基板に対する工程処理が行われる。
【0003】
半導体製造設備の内部又は半導体製造工場で物品を搬送する搬送システムにおいて、物品(例えば、ウェーハ、キャリアなど)を搬送するための様々な搬送装置が適用されている。搬送装置は、モータのように電気信号を用いて動力を生成して移動するように構成される。半導体製造設備においてウェーハを搬送するウェーハ搬送ロボットの場合は、主に有線ケーブルを介して電力を供給する方式が用いられているが、設備内部の清浄度要求水準が高くなりながら非接触電力供給技術の適用が議論されている。
【0004】
一方、非接触電力供給のために、磁場を用いた無線電力伝送技術が導入できるが、この磁場を用いた無線電力伝送技術は、磁場の形態によって磁気誘導方式と磁気共鳴方式に大別される。磁気誘導方式は、一次コイルに流れる電流により発生する磁場によって二次コイルに誘導電流を発生させる方式であり、磁気共鳴方式は、一次コイルに共振周波数の信号により磁場が発生すると、一次コイルと同一の共振周波数を有する二次コイルに磁場が発生して誘導電流を発生させる方式である。
【0005】
一般に磁気誘導方式が広く用いられているが、半導体製造設備において搬送装置の要求速度が増加するにつれて、さらに大きな電力が必要となり、大きな電力を供給するために駆動周波数が高く且つ補償キャパシタ回路が設置された磁気共鳴方式の適用も必要となる。しかし、高い電力密度を有する磁気共鳴方式の場合は、高い発熱により、温度に敏感な半導体製造設備に適用され難いという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、発熱を抑制することが可能な電力供給装置及びそれを含む半導体製造設備、搬送システムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による半導体製造設備において搬送装置へ電力を供給する電力供給装置は、前記搬送装置の移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材と、前記第1ベース部材の表面に形成され、磁心(magnetic core)素材からなる第2ベース部材と、前記第2ベース部材の一側に配置される設置構造物として提供されるトラック部材と、前記トラック部材に設置され、電力を供給するための電流が印加される給電部材と、前記給電部材から一定間隔をおいて前記搬送装置に設けられた受電コア部材に配置され、前記給電部材と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材と、を含む。
【0008】
本発明の実施形態によれば、前記第2ベース部材は、前記第1ベース部材の上面に形成できる。
【0009】
本発明の実施形態によれば、前記第2ベース部材は、前記第1ベース部材に形成された溝に挿入されるように構成できる。
【0010】
本発明の実施形態によれば、前記第1ベース部材は、アルミニウム(Al)素材で構成できる。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記第2ベース部材は、フェライトコア、粉末状パーマロイ(Permalloy)、又はミューメタル(mu-metal)のうちのいずれか1つで構成できる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記受電コア部材は、複数の突出部からなる「E」字状を有するフェライトコアであり、前記給電部材は、前記受電コア部材の突出部同士の間の空間に位置し、前記受電部材は、前記受電コア部材の中心側の突出部側面に備えられることができる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記受電コア部材は、中心に突出部が形成された「T」字状を有するフェライトコアであり、前記給電部材は、前記突出部の両側から一定距離だけ離隔して位置し、前記受電部材は、前記受電コア部材の突出部の両側面に備えられることができる。
【0014】
本発明による半導体製造設備において、基板に対する工程処理が行われる工程処理モジュールと、前記基板を搬送する基板搬送ロボットと、前記基板搬送ロボットへ電力を供給する電力供給装置と、を含む。前記電力供給装置は、前記基板搬送ロボットの移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材と、前記第1ベース部材の表面に形成され、磁心(magnetic core)素材からなる第2ベース部材と、前記第2ベース部材に配置される設置構造物として提供されるトラック部材と、前記トラック部材の一側に設置され、電力を供給するための電流が印加される給電部材と、前記給電部材から一定間隔をおいて前記基板搬送ロボットに設けられた受電コア部材に配置され、前記給電部材と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材と、を含む。
【0015】
本発明による半導体製造工場において物品を搬送する搬送システムは、前記物品を搬送する搬送台車の走行経路を提供する走行レールと、前記搬送台車へ電力を供給する電力供給装置と、を含む。前記電力供給装置は、前記搬送台車の移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材と、前記第1ベース部材の表面に形成され、磁心素材からなる第2ベース部材と、前記第2ベース部材の一側に配置される設置構造物として提供されるトラック部材と、前記トラック部材に設置され、電力を供給するための電流が印加される給電部材と、前記給電部材から一定間隔をおいて前記搬送台車に設けられた受電コア部材に配置され、前記給電部材と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、導電性素材の第1ベース部材の表面にマグネティックコア素材の第2ベース部材を構成することにより、ベースプレートに発生する漂遊負荷損、及びこれによる発熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】電力供給装置によって発熱が発生する過程を説明するための図である。
【
図5】本発明による電力供給装置が適用された半導体製造設備を示す。
【
図6】本発明による電力供給装置が適用された半導体製造設備を示す。
【
図7】本発明による電力供給装置が適用された半導体製造工場の搬送システムを示す。
【
図8】本発明による電力供給装置が適用された半導体製造工場のタワーリフトを示す。
【
図9】本発明による電力供給装置が適用された半導体製造工場のタワーリフトを示す。
【
図10】本発明による電力供給装置が適用された半導体製造工場のタワーリフトを示す。
【
図11】本発明による電力供給装置が適用された半導体製造工場のタワーリフトを示す。
【
図12】本発明による電力供給装置の他の実施形態を示す。
【
図13】本発明による電力供給装置の他の実施形態を示す。
【
図14】本発明による電力供給装置が適用された搬送装置の他の例を示す。
【
図15】本発明による電力供給装置が適用された搬送装置の他の例を示す。
【
図16】本発明による電力供給装置が適用された搬送装置の他の例を示す。
【
図17】本発明による電力供給装置が適用された搬送装置の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0019】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたり、同一又は類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付す。
【0020】
また、幾つかの実施形態において、同一の構成を有する構成要素については同一の符号を用いて代表的な実施形態でのみ説明し、それ以外の他の実施形態では代表的な実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0021】
本明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結(又は結合)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(又は結合)」されている場合だけでなく、別の部材を挟んで「間接的に連結(又は結合)」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0022】
他に定義されない限り、技術的又は科学的用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を持っている。一般的に使用される辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明確に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0023】
図1は、従来技術による電力供給装置400を示す。電力供給装置400は、搬送装置500へ電力を供給するために構成される。電力供給装置400は、第1ベース部材410と、第1ベース部材410の上部に形成されたトラック部材430と、トラック部材430に形成された給電部材440と、搬送装置500に結合した受電コア部材460に設けられる受電部材450と、を含む。
【0024】
第1ベース部材410は、アルミニウム(Al)などの金属性物質(導体)で構成される。第1ベース部材410は、搬送装置500の搬送経路に沿って配置できる。第1ベース部材410の上部には、同様に搬送装置500の搬送経路に沿って配置されるトラック部材430が設けられる。トラック部材430は、受電コア部材460の形状に応じて対応する形状を有することができる。例えば、
図1のように「E」字状に形成された受電コア部材460の形状に合わせて一面が開放された四角形(「コ」字状)の形状などに最適トポロジーで構成できる。受電コア部材460における、給電部材440に隣接する位置に受電部材450が設置され、給電部材440から誘導された磁場によって受電部材450に誘導電流が発生して搬送装置500への電力が供給される。
【0025】
ただし、
図1のような従来の電力供給装置400の方式は、トラック部材430から誘導された漏れ磁場によって第1ベース部材410又は周辺電気機器を含む導電性物体に渦電流を発生させることができ、これは、発熱を誘発する。半導体製造ラインにおいて、このような発熱は、ウェーハの温度に影響を及ぼすおそれがあり、全般的な工程に影響を及ぼすのを防止するために電力供給装置400によって発生する発熱を防止する必要がある。
図2に示すように、電力供給装置400によって発生する磁場(B-field)が第1ベース部材410の上部の表面に渦電流(Eddy Current)を発生させ、渦電流により発熱が発生する可能性がある。これは、電力伝送効率及び送信、受信電力密度を高めるために高周波信号(1MHz以上)を使用する場合、さらに発熱が増加する可能性がある。
【0026】
したがって、本発明による電力供給装置400は、第1ベース部材410の表面に磁心(Magnetic core)素材からなる第2ベース部材420を構成して、漏れ磁場によって渦電流が発生しないようにして発熱を抑える。磁心(magnetic core)素材とは、高い透磁率(permeability)を有する磁気的物質であって、磁場を誘導することができる物質をいう。この明細書において、磁心素材の例としてフェライトコア(ferrite core)を代表的に説明する。第2ベース部材420は、フェライトコア、粉末状パーマロイ(Permalloy)、又はミューメタル(mu-metal)が使用されることもでき、第2ベース部材420の素材は、特定の素材に限定されない。フェライトは、酸化鉄を含むセラミック磁性体を示し、ニッケル-亜鉛(Ni-Zn)系フェライト又はマンガン-亜鉛(Mn-Zn)系フェライトが使用できる。パーマロイは、透磁率の高いニッケル-鉄(Ni-Fe)合金である。ミューメタルは、ニッケル-亜鉛(Ni-Zn)軟磁性(soft ferromagnetic)合金である。
【0027】
図3及び
図4は、本発明による電力供給装置400を示す。本発明による搬送装置500へ電力を供給する電力供給装置400は、搬送装置500の移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材410と、第1ベース部材410の表面に形成され、磁心素材からなる第2ベース部材420と、第2ベース部材420の一側に配置される設置構造物として提供されるトラック部材430と、トラック部材430に設置されるように電力を供給するための電流が印加される給電部材440と、給電部材440から一定間隔をおいて搬送装置500に設けられた受電コア部材460に配置され、給電部材440と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材450と、を含む。
【0028】
本発明によれば、第1ベース部材410に磁心素材からなる第2ベース部材420が備えられることにより、漏れ磁場によって第1ベース部材410の表面に渦電流が発生するのを防止し、発熱を防止することができる。
【0029】
本発明の実施形態によれば、給電部材440の電流の漏れ磁場を抑制するか、或いはトラック部材430の下部に位置する第1ベース部材410と接する部分に第2ベース部材420が挿入される。本発明によれば、アルミニウムなどの金属からなる導電性素材の第1ベース部材410を鎖交する磁束の量が減少でき、これによる渦電流強度が減少できる。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、第2ベース部材420は、第1ベース部材410の上部に形成できる。例えば、
図3に示すように、第1ベース部材410の上部に第2ベース部材420が形成できる。第2ベース部材420は、第1ベース部材410の上部に付着してもよい。第2ベース部材420は、粉末状の磁性体素材で構成され、第1ベース部材410の上部にコーティングできる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、第2ベース部材420は、第1ベース部材410に形成された溝に挿入できる。例えば、
図4に示すように、第2ベース部材420は、第1ベース部材410に形成された溝に挿入できる。アルミニウムなどの金属性素材の第1ベース部材410が金型になった後、第1ベース部材410に溝が設けられ、第1ベース部材410に設けられた溝にフェライトコア素材の第2ベース部材が挿入され得る。
【0032】
第1ベース部材410に第2ベース部材420を構成した後、第2ベース部材420の上側に設置構造物としてトラック部材430が設置できる。トラック部材430は、フェライトコア素材で構成でき、具体的には図示されていないが、トラック部材430の端部にPC(polycarbonate)素材のクリップ状構造物が設置され、クリップ状構造物に給電部材440が嵌められる形で設置できる。
【0033】
本明細書では、漏れ磁場によって渦電流を防止するために、第2ベース部材420の素材としてフェライトコア部材を挙げて説明するが、フェライトコア部材だけでなく、磁性を有する他の素材が適用されてもよい。また、本明細書において説明の便宜のために、第1ベース部材410の上部に第2ベース部材420が形成され、第2ベース部材420の上部にトラック部材430が形成される場合を例として説明するが、各構成が設置される方向は、特定の方向に限定されるものではなく、垂直方向(上下方向)、水平方向(左右方向)、対角線方向など、システムの構成に応じて多様に構成できる。
【0034】
本発明の実施形態によれば、第1ベース部材410は金属性素材で構成できる。例えば、第1ベース部材410は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの素材で構成できる。
【0035】
本発明の実施形態によれば、
図3及び
図4に示すように、受電コア部材460は、複数の突出部からなる「E」字状を有することができる。
図3及び
図4に示すように、給電部材440は、受電コア部材460の突出部同士の間の空間に位置し、受電部材450は、受電コア部材460の中心側の突出部側面に備えられることができる。
【0036】
本発明の実施形態によれば、電力供給装置400の形状は、特定の形状に限定されず、最適位相設計によって様々な形態で実現できる。例えば、受電コア部材460は、「S」字状又は「T」字状を有することができる。
【0037】
例えば、
図12に示すように、受電コア部材460は、中心に突出部が形成された「T」字状を有するフェライトコアであり、給電部材440は、突出部の両側から一定距離だけ離隔して位置し、受電部材450は、受電コア部材460の突出部の両側に備えられることができる。
【0038】
また、
図13に示すように、受電コア部材460は、互いに反対方向に開放された第1空間及び第2空間を有する「S」字状を有するフェライトコアであり、給電部材440は、前記第1空間及び前記第2空間にそれぞれ位置し、受電部材450は、受電コア部材460において前記第1空間及び前記第2空間に位置する給電部材440から一定距離だけ離隔して備えられることができる。
【0039】
本発明による電力供給装置400は、半導体製造設備の内部でウェーハなどの基板を搬送する搬送装置(ウェーハ搬送ロボット)に電力を供給するために使用できる。
【0040】
図5及び
図6は、本発明による電力供給装置400が適用された半導体製造設備を示す。
図5は、本発明による電力供給装置400が適用された半導体製造設備の概略レイアウトを示し、
図6は、本発明による電力供給装置400によって電力が供給される基板搬送ロボット340を示す。
【0041】
本発明が適用できる半導体製造設備は、エッチング、洗浄、塗布、現像、蒸着などの半導体処理工程を行うための装置であって、本発明は、特定工程のための装置に限定されるものではなく、如何なる種類の設備にも適用できる。
【0042】
本発明の実施形態による半導体製造設備は、基板が収納されたカセットFを収容し、カセットFから基板を引き出したりカセットFに基板を収納したりするローディング部10と、基板に対する工程処理を行う工程処理モジュール20と、ローディング部10と工程処理モジュール20との間で基板を搬送する基板搬送モジュール30と、を含む。
【0043】
ローディング部10は、基板が収納されたカセットFが搭載されるロードポート12と、ロードポート12に搭載されたカセットFから基板を引き出したりカセットFに工程処理済みの基板を搬入したりするインデックス部14と、を含む。ロードポート12は、半導体製造設備の外側に特定の方向(例えば、Y軸方向)に沿って複数配置でき、OHT(Overhead hoist transport)によって搬送されたカセットFが搭載された後、カセットFのドアを開放することができる。インデックス部14は、ロードポート12に隣接して配置できる。インデックス部14は、ロードポート12の配列方向(Y方向)に沿って配置されたインデックスガイド部材142と、インデックスガイド部材142に沿って移動しながら基板を伝達するインデックスロボット144と、を含むことができる。インデックスロボット144は、カセットFから基板を受け取り、基板が一時的に保管されるロードロックチャンバ15へ伝達するか、或いはロードロックチャンバ15に一時的に保管された基板を受け取ってカセットFの内部へ伝達することができる。
【0044】
工程処理モジュール20は、基板の工程処理が行われる装置であって、1つ又はそれ以上の工程処理チャンバ200を含むことができる。工程処理チャンバ200は、特定の方向(例えば、X方向)に沿って複数配置できる。それぞれの工程処理チャンバ200は、同じ工程を行ってもよく、異なる工程を行ってもよい。例えば、一部の工程処理チャンバ200は、基板に対するエッチング工程を行い、残りの一部の工程処理チャンバ200は、エッチング処理された基板に対する洗浄処理を行うこともできる。
【0045】
基板搬送モジュール30は、工程理モジュール20に隣接して配置され、ロードロックチャンバ15から基板を受け取って工程処理モジュール20へ搬送するか、或いは工程処理モジュール20で工程処理済みの基板をロードロックチャンバ15へ伝達することができる。基板搬送モジュール30は、工程処理チャンバ200が配置された方向(X方向)に沿って配置されたガイド部材330、及びガイド部材330に沿って移動しながら基板を搬送する基板搬送ロボット340を含むことができる。基板搬送モジュール30の底面には、アルミニウム(Al)などの導体からなる第1ベース部材410としてベースプレート315が位置し、ベースプレート315上には、渦電流損失を防止するためにマグネティックコア素材からなる第2ベース部材420が設置できる。第2ベース部材420は、第1ベース部材410において基板搬送ロボット340の移動区間全体に設置されてもよく、部分的に設置されてもよい。
【0046】
基板搬送ロボット340は、搬送チャンバ310の内部空間を移動しながら基板を搬送する。基板搬送ロボット340は、ガイド部材に沿って移動するように構成されるリニア駆動部342と、複数の軸を中心に回転駆動することにより基板をハンドリングするアーム部材からなるロボットアーム部346と、ロボットアーム部346の動作を制御するアーム駆動部344と、ロボットアーム部346に結合し、基板を下部から支持するロボットハンド部348と、を含む。
【0047】
本発明によれば、半導体製造設備の基板搬送ロボット340は、上述した電力供給装置400によって電力が供給できる。本発明による半導体製造設備は、基板に対する工程処理が行われる工程処理モジュール20、基板を搬送する基板搬送ロボット340と、基板搬送ロボット340へ電力を供給する電力供給装置400と、を含む。電力供給装置400は、基板搬送ロボット340の移動経路に沿って設置される導電性素材の第1ベース部材410と、第1ベース部材410に設けられるマグネティックコア素材の第2ベース部材420と、第2ベース部材420の上部に配置される構造物として提供されるトラック部材430と、トラック部材430に設置され、電力を供給するための電流が印加される給電部材440と、給電部材440から一定間隔をおいて基板搬送ロボット340に設けられた受電コア部材460に配置され、給電部材440と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材450と、を含む。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、第2ベース部材420は、第1ベース部材410の上部に形成できる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、第2ベース部材420は、第1ベース部材410に設けられた溝に挿入できる。
【0050】
本発明の実施形態によれば、第1ベース部材410は、金属性素材で構成できる。
【0051】
本発明の実施形態によれば、受電コア部材460は、複数の突出部からなる「E」字状を有することができる。給電部材440は、受電コア部材460の突出部同士の間の空間に位置し、受電部材450は、受電コア部材460の中心側の突出部側面に設けられ得る。
【0052】
一方、本発明による電力供給装置400は、製造工場で物品を搬送するOHT(Overhead hoist transport)やリフタなどの搬送システムに電力を供給するように構成できる。
【0053】
図7は、本発明による電力供給装置が適用された半導体製造工場の搬送システムを示す。半導体製造工場には、
図5に示すような半導体製造設備が配列され、各半導体製造設備へ物品を搬送するための搬送システムが設置される。搬送システムは、天井に設置された走行レール1010と、走行レール1010に沿って走行して物品を搬送する搬送台車1020と、を含むことができる。
図7は、走行レール1010に沿って走行する搬送台車1020を正面から見た図である。
【0054】
図7を参照すると、走行レール1010は、水平方向に互いに離隔して互いに対をなす一対のレール部材を含み、レールサポート1015によって製造工場の天井側に設置される。レールサポート1015のそれぞれは、下端部分が一対のレール部材を支持し、上端部が半導体製造工場の天井に定着できる。一対のレール部材は、上側に走行面を提供するように形成できる。
【0055】
図7を参照すると、搬送台車1020は、走行レール1010に沿って走行する走行部1100と、走行部1100の下方から物品を支持するホイスト部1200と、を含む。ホイスト部1200は、走行部1100と共に移動しながら、製造設備1030に対して物品を移載する。
【0056】
走行部100は、車体1110と走行ホイール1120と、を含む。車体1110には、左右方向に延びている車軸が取り付けられる。車軸は、複数設けられ、前後方向に互いに離隔することができる。走行ホイール1120は、車体1110が走行レール1010の案内に従って走行できるように車体1110に移動性を付与する走行ホイールである。走行ホイール1120は、車軸の両端部分にそれぞれ取り付けられ、一対の走行レール1010の上面にそれぞれ接触して回転することができる。走行部1100は、走行ホイール1120を回転させるための動力を提供するホイール駆動ユニット1130をさらに含む。一例として、ホイール駆動ユニット1130は、車軸を回転させるように構成できる。
【0057】
ホイスト部1200は、ホイストハウジング1210を含む。ホイストハウジング1210は、走行レール1010の下方で走行部1100と互いに連結される。ホイストハウジング1210は、上部が車体1110の下部に単数又は複数の連結器によって連結できる。ホイストハウジング1210は、物品が収容される収容空間を提供する。ホイストハウジング1210は、物品を収容空間内で水平方向(X方向)に移動させ且つ下方向に移動させることができるように、左右両側及び下側が全て開放された構造を持つように形成される。
【0058】
また、ホイスト部1200は、物品をグリップ又はアングリップするためのハンドユニット1220と、ハンドユニット1220を第1位置と第2位置との間で移動させるハンド移動ユニットと、をさらに含む。第1位置は、ハンドユニット1220がグリップした物品がホイストハウジング1210の収容空間に収容される位置であり、第2位置は、このような第1位置から外れた位置に該当するホイストハウジング1210の外部である。ホイスト部1200は、ハンド移動ユニットとして垂直駆動ユニット1230、回転駆動ユニット1240及び水平駆動ユニット1250を含む。
【0059】
ハンドユニット1220は、物品に対するグリップ及びアングリップを行うハンド、並びにハンドを支持するハンドサポートを含むことができる。垂直駆動ユニット1230は、ハンドユニット1220を上下方向に移動させる。垂直駆動ユニット1230は、少なくとも1つのベルト(belt)をドラム(drum)に対して巻き取ったり(winding)巻き戻したり(unwinding)する方式でハンドユニット1220を垂直方向(Z方向)に移動させることができる。回転駆動ユニット1240は、ハンドユニット1220を垂直方向の軸を中心に回転させ、水平駆動ユニット1250は、ハンドユニット1220を左右方向に移動させる。一例として、ハンドユニット1220を垂直駆動ユニット1230によって垂直方向に移動させ、垂直駆動ユニット1230を回転駆動ユニット1240によって垂直方向の軸を中心に回転させ、回転駆動ユニット1240を水平駆動ユニット1250によって左右方向に移動させることにより、ハンドユニット1220によってグリップされた物品を垂直方向に移動させたり、垂直方向の軸を中心に回転させたり、左右方向に移動させたりすることができる。
【0060】
本発明による電力供給装置400は、搬送台車1020へ電力を供給するように構成できる。例えば、
図7に示すように、走行レール1010の下部に形成された給電用構造物1042の上部と搬送台車1020の下部に形成された受電用構造物1300に電力供給装置400が構成できる。
【0061】
本発明による半導体製造工場で物品を搬送する搬送システムは、物品を搬送する搬送台車1020と、搬送台車1020の走行経路を提供する走行レール1010と、搬送台車1020へ電力を供給する電力供給装置400と、を含む。
【0062】
本発明による半導体製造設備は、基板に対する工程処理が行われる工程処理モジュール20、基板を搬送する基板搬送ロボット340と、基板搬送ロボット340へ電力を供給する電力供給装置400と、を含む。
【0063】
電力供給装置400は、搬送台車1020の移動経路に沿って設置される第1ベース部材410と、第1ベース部材410に設けられる第2ベース部材420と、第2ベース部材420の上部に配置されるトラック部材430と、トラック部材430に設置される給電部材440と、給電部材440から一定間隔をおいて搬送台車1020に設けられた受電コア部材460に配置され、給電部材440と磁気結合して誘導電流を発生させる受電部材450と、を含む。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、第2ベース部材420は、第1ベース部材410の上部に形成できる。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、第2ベース部材420は、第1ベース部材410に設けられた溝に挿入できる。
【0066】
本発明の実施形態によれば、第1ベース部材410は、金属性素材で構成できる。
【0067】
本発明の実施形態によれば、受電コア部材460は、複数の突出部からなる「E」字状を有することができる。給電部材440は、受電コア部材460の突出部同士の間の空間に位置し、受電部材450は、受電コア部材460の中心側の突出部側面に設けられることができる。
【0068】
図8~
図11は、本発明による電力供給装置400が適用された半導体製造工場のタワーリフト2100を示す。タワーリフト2100は、複層の建物内で垂直方向に物品を運ぶために使用できる。例えば、タワーリフト2100は、半導体又はディスプレイ製造設備が配置された複層の製造工場における各層間物品の搬送のために使用できる。
【0069】
タワーリフト2100は、半導体製造工場内の少なくとも2つの層の間で垂直方向に延びるメインフレーム2102と、メインフレーム2102に沿って垂直方向に移動可能に構成されたキャリッジモジュール2110と、キャリッジモジュール2110を垂直方向に移動させるための駆動モジュール2140と、キャリッジモジュール2110に非接触方式で電源を供給するための非接触式電源供給部2240と、を含むことができる。本発明による電力供給装置がタワーリフト2100の電源供給部2240に適用できる。
【0070】
電源供給部2240は、キャリッジモジュール2110が運行する全ての層を通過するようにメインフレーム2102に沿って延びた電源供給ケーブル2242と、キャリッジモジュール2110に取り付けられ、電源供給ケーブル2242から磁気誘導方式で電力の伝送を受け、キャリッジモジュール2110に電源を供給する少なくとも1つのピックアップユニット2244と、を含むことができる。また、タワーリフト2100は、キャリッジモジュール2110が運行する層のうちの1つに配置され、電源供給ケーブル2242に電源を供給する電源供給モジュール2250を含むことができる。
【0071】
タワーリフト2100は、キャリッジモジュール2110の動作を制御するための制御モジュール2200を含むことができる。特に、本発明の一実施形態によれば、制御モジュール2200は、キャリッジモジュール2110の制御のための制御信号を提供する主制御部2210と、キャリッジモジュール2110に装着され、制御信号に基づいてキャリッジモジュール2110の動作を制御するキャリッジ制御部2220と、を含むことができ、主制御部2210とキャリッジ制御部2220との間の信号伝達は、無線通信方式で行われることができる。
【0072】
例えば、主制御部2210とキャリッジ制御部2220との間の信号伝達は、主制御部2210及びキャリッジ制御部2220にそれぞれ連結された第1及び第2光モデムユニット2212、2222によって行われ得る。具体的には、第1光モデムユニット2212は、メインフレーム2102の上部に配置でき、第2光モデムユニット2222は、第1光モデムユニット2212と対向するようにキャリッジモジュール2110に取り付けられることができる。
【0073】
第1及び第2光モデムユニット2212、2222は、互いに異なる波長を有する非可視性レーザービームを用いて信号を伝達することができ、一例として、TCP/IPプロトコルを使用する有線又は無線ネットワークを介して前記主制御部2210及びキャリッジ制御部2220にそれぞれ連結できる。
【0074】
主制御部2210は、前記キャリッジモジュール2110の位置制御のために前記駆動モジュール2140の動作を制御することができるとともに、キャリッジモジュール2110のキャリッジロボット2118の動作のための制御信号をキャリッジ制御部2220へ伝送することができる。例えば、メインフレーム2102の上部には、キャリッジモジュール2110の位置を検出するための距離センサ2230が配置でき、主制御部2210は、前記距離センサ2230の測定値を用いて駆動モジュール2140の動作を制御することができる。距離センサ2230は、メインフレーム2102の上部からキャリッジモジュール2110までの距離を測定することができ、一例として、レーザーセンサが前記距離センサ2230として使用できる。
【0075】
タワーリフト2100は、メインフレーム2102に沿って垂直方向に互いに平行に延びるガイドレール2104と、前記キャリッジモジュール2110に取り付けられ、前記ガイドレール2104に沿って前記キャリッジモジュール2110を垂直方向に案内するガイドユニット2120、2130と、キャリッジモジュール2110に取り付けられ、駆動ベルト2142が破断した場合、キャリッジモジュール2110の墜落を防止するためにメインフレーム2102に密着するブレーキモジュール2150と、を含むことができる。
【0076】
例えば、メインフレーム2102の両側面には、垂直方向に互いに平行に延びる一対のガイドレール2104が設けられてもよく、キャリッジモジュール2110には、ガイドレール2104に結合する上部ガイドユニット2120と下部ガイドユニット2130が取り付けられてもよい。上部及び下部ガイドユニット2120、2130は、ガイドレール2104の側面上に配置される側面固定ローラ2128をそれぞれ含むことができる。側面固定ローラ2128は、キャリッジモジュール2110がガイドレール2104から離脱するのを防ぐために使用できる。
【0077】
一例として、駆動モジュール2140は、モータとプーリを用いて構成でき、駆動ベルト2142の一端部がキャリッジモジュール2110に連結できる。特に、キャリッジモジュール2110の正確な位置制御のために、駆動ベルト2142としてタイミングベルト(Timing Belt)が使用でき、駆動ベルト2142の他端部には、安定した垂直搬送のためのウェイトモジュール2144(Weight Module)が連結できる。また、キャリッジモジュール2110とウェイトモジュール2144にはバランスベルト2146が連結でき、メインフレーム2102の下部には、前記バランスベルト2146に所定の引張力を印加するためのオートテンショナ(Auto Tensioner)2148が配置できる。
【0078】
キャリッジモジュール2110は、上部及び下部ガイドユニット2120、2130とブレーキモジュール2150が取り付けられる後面を有する昇降フレーム2112、及び昇降フレーム2112に取り付けられ、搬送対象物、例えば、半導体ウェーハ又はガラス基板などの資材をハンドリングするためのキャリッジロボット2118を含むことができる。例えば、昇降フレーム2112は、後面を有する昇降プレート2114と、キャリッジロボット2118が設置されるサポートプレート2116(Support Plate)と、を含むことができ、キャリッジロボット2118は、複数の基板が収納されるFOUPなどの収納容器をハンドリングすることができる。昇降フレーム2112には、キャリッジロボット2118によって運搬された収納容器を把持するための保持ユニット2119が設けられることができる。
【0079】
一方、前記キャリッジ制御部2220は、キャリッジロボット2118の動作を制御することができ、キャリッジロボット2118の動作エラー、駆動ベルト2142の破断等による警報信号を主制御部2210へ伝送することができる。
【0080】
本発明による電力供給装置400がタワーリフト2100からキャリッジモジュール2110へ電力を供給する電源供給部2240の一部として提供できる。
図10を参照すると、キャリッジモジュール2110の移動経路に沿って第1ベース部材410が設けられ、第1ベース部材410の一側に磁心素材からなる第2ベース部材420が設けられる。第2ベース部材420にトラック部材430が設けられ、トラック部材430の両端部に給電部材440が設けられる。キャリッジモジュール2110から電力を受信するピックアップユニット2244の一部として、給電部材440から一定間隔をおいてキャリッジモジュール2110の一側に受電コア部材460が設けられ、給電部材440の電流によって誘導電流を発生させる受電部材450が受電コア部材460に設けられる。
【0081】
一方、
図2~
図4では、電力供給装置400が搬送装置500の下部に位置する構造を例として説明したが、第1ベース部材410の側面に電力供給装置400が構成されて搬送装置500へ電力が供給できる。
図14~
図17は、第1ベース部材410の側面に設けられた電力供給装置400の例を示す。
図14及び
図16は、第1ベース部材410の側面に第2ベース部材420が設けられる場合を示し、
図15及び
図17は、第1ベース部材410の側面に設けられた溝に第2ベース部材420が挿入される場合を示す。第1ベース部材410は、リニアモータのエンクロージャに相当し、搬送装置500は、リニアモータによって直線移動する移動体に相当することができる。
【0082】
図14及び
図16を参照すると、第1ベース部材410の側壁に、マグネティックコア素材(例えば:フェライトコア)からなる第2ベース部材420が設置され、第2ベース部材420の側面にトラック部材430が設置される。トラック部材430の両端に取り付けられ、電力供給のための電流が印加される給電部材440が設けられる。搬送装置500の一側に、マグネティックコア(例えば、フェライトコア)素材からなる受電コア部材460が位置する。受電コア部材460の一部領域に、誘導電流が発生する受電部材450が構成される。
【0083】
図15及び
図17を参照すると、第1ベース部材410の側壁に設けられた溝に、マグネティックコア素材(例えば、フェライトコア)からなる第2ベース部材420が挿入され、第2ベース部材420の側面にトラック部材430が設置される。トラック部材430の両端に取り付けられ、電力供給のための電流が印加される給電部材440が設けられる。搬送装置500の一側に、マグネティックコア(例えば、フェライトコア)素材からなる受電コア部材460が位置する。受電コア部材460の一部領域に、誘導電流が発生する受電部材450が構成される。
【0084】
本実施例及び本明細書に添付された図面は、本発明に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているものに過ぎず、本発明の明細書及び図面に含まれている技術的思想の範囲内で当業者が容易に推論することが可能な変形例及び具体的な実施形態はいずれも、本発明の権利範囲に含まれることが自明であると言える。
【0085】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等又は等価的な変形がある全てのものは本発明の思想の範疇に属するというべきである。
【符号の説明】
【0086】
400 電力供給装置
410 第1ベース部材
420 第2ベース部材
430 トラック部材
440 給電部材
450 受電部材
460 受電コア部材
500 搬送装置