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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073108
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240522BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20240522BHJP
   G10L 13/02 20130101ALI20240522BHJP
   G10L 13/00 20060101ALI20240522BHJP
   G10L 15/10 20060101ALN20240522BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/16 620
G06F3/16 650
G10L13/02 130Z
G10L13/00 100A
G10L13/00 100C
G10L15/10 500N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184139
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老名 亮彦
(72)【発明者】
【氏名】柳 拓良
(72)【発明者】
【氏名】高松 敦
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA48
5E555BA02
5E555BA23
5E555BB02
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE10
5E555CA47
5E555CB64
5E555CC01
5E555DA23
5E555DA27
5E555EA23
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザへの報知によりユーザを不快にした場合に適切なタイミングで謝罪し、ユーザの信頼感を高める。
【解決手段】エージェント機器200を用いて報知情報をユーザU1に報知する情報処理方法である。この情報処理方法は、報知情報をユーザU1に報知した後に、その報知情報又はその報知の態様に対するユーザU1の不快度を判定する不快度判定処理(ステップS502、S504、S512)と、ユーザU1の不快度が基準よりも高いと判定された場合に、その報知に関する謝罪をエージェント機器200に表現させる制御処理(ステップS505乃至S511、S513乃至S515)とを含み、制御処理(ステップS505乃至S511、S513乃至S515)では、ユーザU1の負荷に基づいて、その謝罪の態様を変更する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エージェント機器を用いて報知情報をユーザに報知する情報処理方法であって、
前記報知情報を前記ユーザに報知した後に、前記報知情報又は前記報知の態様に対する前記ユーザの不快度を判定する不快度判定処理と、
前記ユーザの不快度が基準よりも高いと判定された場合に、前記報知に関する謝罪を前記エージェント機器に表現させる制御処理と、を含み、
前記制御処理では、前記ユーザの負荷に基づいて、前記謝罪の態様を変更する、
情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記ユーザが発する音、及び、前記ユーザの外観のうちの少なくとも1つに基づいて、前記ユーザの負荷を判定する負荷判定処理、をさらに含み、
前記制御処理では、前記ユーザの負荷が基準よりも低い場合には、前記エージェント機器に音声出力をさせて前記謝罪を実行し、前記ユーザの負荷が基準よりも高い場合には、音声出力をさせずに前記エージェント機器に所定のしぐさを実行させることにより前記謝罪を実行する、
情報処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記エージェント機器は、車両に設置可能な機器であり、
前記ユーザの負荷として、前記ユーザの運転操作と、前記車両の周囲の状況とのうちの少なくとも1つに基づいて、前記車両を運転する際における前記ユーザの運転負荷を判定する負荷判定処理、をさらに含み、
前記制御処理では、前記ユーザの運転負荷が基準よりも低い場合には、前記エージェント機器に音声出力をさせて前記謝罪を実行し、前記ユーザの運転負荷が基準よりも高い場合には、音声出力をさせずに前記エージェント機器に所定のしぐさを実行させることにより前記謝罪を実行する、
情報処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理方法であって、
前記制御処理では、前記ユーザの運転負荷が基準よりも低い場合には、前記謝罪を示す表情とした前記エージェント機器の顔部を前記ユーザの方向に向け、前記謝罪を示す音声を出力させる態様とする、
情報処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記エージェント機器を制御する際に用いられる機器の稼働率と、前記機器の安定度とのうちの少なくとも1つに基づいて、前記報知情報の確信度を判定する確信度判定処理、をさらに含み、
前記制御処理では、前記ユーザの負荷と、前記確信度とに基づいて、前記謝罪の態様を変更する、
情報処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理方法であって、
前記制御処理では、
前記確信度が基準よりも高く、前記ユーザの負荷が基準よりも低い場合には、前記エージェント機器に前記謝罪に関する発話及び前記ユーザの不快度に関する理由を音声出力させて前記謝罪を実行し、
前記確信度が基準よりも低く、前記ユーザの負荷が基準よりも低い場合には、前記エージェント機器に前記謝罪に関する発話を音声出力させて前記謝罪を実行し、
前記ユーザの負荷が基準よりも高い場合には、前記確信度にかかわらず、音声出力をさせずに前記エージェント機器に所定のしぐさを実行させることにより前記謝罪を実行する、
情報処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理方法であって、
前記不快度判定処理では、前記ユーザの動作と、前記ユーザの周囲の状況とのうちの少なくとも1つに基づいて、前記ユーザを不快にさせた理由を推定し、
前記制御処理では、前記確信度が基準よりも高く、前記ユーザの負荷が基準よりも低い場合において、前記ユーザを不快にさせた理由が前記ユーザの周囲の状況に基づくと推定されたときには、当該周囲の状況に関する理由を音声出力させ、前記ユーザを不快にさせた理由が前記ユーザの動作に基づくと推定されたときには、当該ユーザの動作に関する理由を音声出力する、
情報処理方法。
【請求項8】
エージェント機器を用いて報知情報をユーザに報知する情報処理装置であって、
前記報知情報を前記ユーザに報知した後に、前記報知情報又は前記報知の態様に対する前記ユーザの不快度を判定する不快度判定部と、
前記ユーザの不快度が基準よりも高いと判定された場合に、前記報知に関する謝罪を前記エージェント機器に表現させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ユーザの負荷に基づいて、前記謝罪の態様を変更する、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに情報を報知する情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザとのコミュニケーションを行うことが可能な機器が存在する。例えば、ボット(自動又は半自動システム)とユーザとの間で電話を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、電話での会話中にその会話を解析してボット及びユーザ間の会話の緊張の増減を求め、その緊張が閾値を上回っていると判定された場合に、電話の相手をボットから人間のオペレータに交代する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-522914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、ボットが謝罪するタイミングで、ボット及びユーザ間の緊張が増加したと判定されるため、電話の相手をボットから人間のオペレータに交代してこのオペレータがユーザに謝罪することが可能である。しかし、電話の相手を交代するための判定処理後に、人間のオペレータがユーザに謝罪することになるため、ユーザに謝罪するまでの時間が長くなり、ユーザに謝罪する適切なタイミングを逃すおそれがある。このような場合には、ユーザをさらに不快にし、ユーザの信頼感を失うおそれがある。なお、仮に、適切なタイミングで謝罪ができたとしても、ユーザの負荷が大きいような状況では、その謝罪がユーザに不快な印象を与えることも想定される。このような場合にも、ユーザの不快度を高めてしまい、ユーザの信頼感を失うおそれがある。
【0005】
本発明は、ユーザへの報知によりユーザを不快にした場合に適切なタイミングで謝罪し、ユーザの信頼感を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、エージェント機器を用いて報知情報をユーザに報知する情報処理方法である。この情報処理方法は、報知情報をユーザに報知した後に、報知情報又は報知の態様に対するユーザの不快度を判定する不快度判定処理と、ユーザの不快度が基準よりも高いと判定された場合に、報知に関する謝罪をエージェント機器に表現させる制御処理とを含み、制御処理では、ユーザの負荷に基づいて、謝罪の態様を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザへの報知によりユーザを不快にした場合に適切なタイミングで謝罪し、ユーザの信頼感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車両の車室内の構成例を簡略化して示す図である。
図2図2は、エージェント機器が報知情報を出力した後に、その報知情報に対してエージェント機器が謝罪する場合の謝罪例を簡略化して示す図である。
図3図3は、エージェント機器の外観構成の一例を簡略化して示す正面図である。
図4図4は、車両に設置されている情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図5図5は、報知情報の確信度の判定方法の一例を示す図である。
図6図6は、ユーザの不快度の判定方法の一例と、ユーザの運転負荷の判定方法の一例とを示す図である。
図7図7は、信号待ちの状態で報知情報を出力した後にユーザの運転負荷に応じて謝罪の態様を変更する場合の遷移例を示す図である。
図8図8は、車両に乗車したユーザに対してシートベルトの着用に関する報知情報を出力した後にユーザの運転負荷に応じて謝罪の態様を変更する場合の遷移例を示す図である。
図9図9は、情報処理装置における報知謝罪処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、情報処理装置における車両の周囲の状況の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、情報処理装置におけるユーザの動作の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[エージェント機器の設置例]
図1は、車両C1の車室内の構成例を簡略化して示す図である。なお、図1では、運転席、助手席(図示省略)よりも前側を、車両C1の後ろ側から見た場合の外観構成例を示す。また、図1では、説明を容易にするため、ダッシュボード2、ステアリングホイール3、フロントウインド4、バックミラー5、カメラ101、エージェント機器200以外の図示は省略する。
【0011】
エージェント機器200は、車両C1のダッシュボード2上に設置される小型のロボットである。本実施形態では、人間を模したロボットをエージェント機器200とする例を示す。なお、図1では、ダッシュボード2上にエージェント機器200を設置する例を示すが、これに限定されない。例えば、フロントウインド4の上部にエージェント機器200を設置してもよい。また、図1では、人間の顔を模したロボットをエージェント機器200とする例を示すが、これに限定されない。例えば、人間の全身を模したロボット、ウサギ、豚等のような動物を模したロボット、仮想物の生物(例えばアニメのキャラクターの顔)を模したロボット、他の物体(例えばテレビ型の機器、ラジオ型の機器)を模したロボットをエージェント機器200としてもよい。このように、擬生物化されたエージェントをエージェント機器200とすることが可能である。
【0012】
エージェント機器200は、情報処理装置110(図4参照)からの指示に基づいて各種の動作を実行する。例えば、エージェント機器200は、情報処理装置110の制御に基づいて、ユーザが運転操作をする際における運転支援、周囲の施設等に関する各種情報を出力する。この運転支援として、前方又は後方の動体の報知等が想定される。例えば、前方の動体の報知として、「この先踏切だから気を付けてよ」と音声出力したり、「前方に人がいるよ」と音声出力したりすることができる。このように、エージェント機器200は、運転支援を実行する。なお、図1では、XYZ珈琲店の広告を示す音声情報S1を報知情報として出力する例を示す。
【0013】
ここで、報知は、何らかの情報を伝えたり、知らせたりすることを意味する。また、車両C1のユーザ(車両C1の乗員)に報知すべき情報を報知情報と称して説明する。報知情報については、画像表示によりユーザに伝えてもよく、音声出力によりユーザに伝えてもよい。本実施形態では、主に、報知情報を音声出力によりユーザに伝える例を示す。なお、本実施形態で示す報知については、通知、伝達等と称してもよい。
【0014】
カメラ101は、車両C1の内部の天井に設けられ、車両C1の内部の被写体を撮像して画像(画像データ)を生成するものである。なお、カメラ101は、例えば、被写体を撮像することが可能な1又は複数のカメラ機器や画像センサにより構成される。例えば、フロントウインド4の上部、すなわち、バックミラー5の上側にカメラ101を設けることができる。なお、図1では、少なくとも1つのカメラ101を備える例を示すが、2以上の撮像装置を備え、これらの撮像装置のうちの全部又は一部の画像を用いてもよい。また、各撮像装置の設置場所については、図1に示す例に限定されず、適宜変更可能である。また、車両C1の全方位に存在する被写体と、車両C1の内部の被写体とを取得可能な1又は複数の機器、例えば、360度カメラを用いてもよい。
【0015】
[エージェント機器による報知に対する謝罪例]
図2は、エージェント機器200が報知情報を出力した後に、その報知情報に対してエージェント機器200が謝罪する場合の謝罪例を簡略化して示す図である。なお、図2に示す例は、図1に示す構成例において、エージェント機器200の一部を変更したものであり、エージェント機器200以外の部分については図1と共通する。
【0016】
図2に示すように、エージェント機器200が報知情報を出力した後に、その報知情報又はその報知の態様に対してユーザU1を不快にさせたと判定された場合には、エージェント機器200は、ユーザU1に謝罪をする。例えば、音声出力、エージェント機器200の動きにより、ユーザU1に対する謝罪を表現することが可能である。図2では、エージェント機器200の顔がユーザU1の方向に向いた状態で、音声情報S2を出力することにより、ユーザU1に対する謝罪を表現する例を示す。
【0017】
なお、報知の態様は、例えば、報知の際の音声出力の音量、報知のタイミング、報知の際のエージェント機器200のしぐさ等である。例えば、音声出力の音量が大き過ぎたり、小さ過ぎたりする場合には、ユーザU1に不快感を与えるおそれがある。また、報知すべき対象に対して、報知のタイミングが遅い場合には、ユーザU1に不快感を与えるおそれがある。例えば、報知すべき対象がXYZ珈琲店の案内であり、報知タイミングがXYZ珈琲店を車両C1が通過した後であるような場合には、ユーザU1に不快感を与えるおそれがある。また、例えば、図1に示すように、報知すべき対象がXYZ珈琲店の7時から10時までの朝食セットであり、報知タイミングが10時24分であるような場合には、ユーザU1に不快感を与えるおそれがある。また、報知すべき対象に対して、エージェント機器200の動きや表情が合わない場合には、ユーザU1に不快感を与えるおそれがある。例えば、ユーザU1が珈琲好きで、かつ、報知すべき対象がXYZ珈琲店である場合において、エージェント機器200が悲しい表情で報知したようなときには、ユーザU1に不快感を与えるおそれがある。
【0018】
ここで、エージェント機器200は、車両C1に乗車するユーザU1にとって役に立つと思われる報知情報を提供する。この報知情報として、例えば、車両C1に関する情報、車両C1の運転支援に関する情報、車両C1の周囲に存在する商業施設、観光施設等に関する広告情報等が想定される。車両C1に関する情報は、例えば、バッテリ残量の報知、半ドアの報知等の車両C1自体に関する情報である。また、車両C1の運転支援に関する情報は、例えば、シートベルトの着用の報知、信号機の報知、道案内等のユーザU1が運転する際に必要となる各種情報である。また、車両C1の周囲に存在する商業施設、観光施設等に関する広告情報は、例えば、ショッピングモールの広告、観光地の案内等である。
【0019】
しかし、エージェント機器200から提供された報知情報が、ユーザU1にとってはあまり役に立つ情報ではないことも想定される。このように、あまり役に立たない報知情報がユーザU1に提供された場合には、ユーザU1は、その報知情報の提供に対して不快な反応を示すことが想定される。例えば、ユーザU1の表情、ユーザU1の動き、ユーザU1が発する声等に基づいて、ユーザU1の不快な反応を検出することが可能である。なお、ユーザU1の表情、ユーザU1の動きについては、カメラ101により取得された画像に基づいて取得可能である。また、ユーザU1が発する声については、音声入力部103(図4参照)により取得された音声情報に基づいて取得可能である。
【0020】
例えば、ユーザU1がシートベルトを着用しようとしている間に、シートベルトの着用に関する報知情報が出力された場合には、この報知情報は、ユーザU1にとってはあまり役に立つ情報ではなく、かつ、ユーザU1に不快な印象を与えるおそれがある。また、例えば、朝の6時頃において、珈琲好きなユーザU1に対して、車両C1の周囲に存在する商業施設として、朝7時に開店するXYZ珈琲店に関する報知情報が出力された場合を想定する。この場合に、仮に、ユーザU1がXYZ珈琲店に車両C1を移動させたとしても、XYZ珈琲店は開店していないため、ユーザU1はXYZ珈琲店に行くことができず、無駄な運転を行うおそれがある。また、例えば、図1に示すように、朝食を食べたいと考えているユーザU1に対して、XYZ珈琲店の朝7時から10時までの朝食セットに関する報知情報が朝10時24分に出力された場合を想定する。この場合には、ユーザU1がXYZ珈琲店に車両C1を移動させたとしても、ユーザU1は朝食セットを食べることができない。このような報知情報は、ユーザU1にとってはあまり役に立つ情報ではなく、かつ、ユーザU1に不快な印象を与えるおそれがある。
【0021】
このように、ユーザU1にとってはあまり役に立つ報知情報ではなく、かつ、ユーザU1に不快な印象を与えたような場合に、そのような報知情報の提供に対してユーザU1に何らかの対応をしないと、ユーザU1に対して不信感を与えるおそれがある。また、このようなエージェント機器200の行動は、ユーザU1との関係を大切にしていないとユーザU1に認識され、ユーザU1との絆を深めることが困難となるおそれがある。そこで、このような場合には、そのような報知情報をユーザU1に対して提供したことに対して、いかに迅速に対応するかが重要となる。そこで、本実施形態では、そのような報知情報をユーザU1に対して提供した後に、ユーザU1に何らかの苦情や文句を言われる前に、エージェント機器200が迅速にアクションを行うようにする。
【0022】
ただし、例えば、報知情報の提供に対して不快な反応を示したユーザU1が車両C1の運転中であるときに、エージェント機器200がユーザU1にすぐに謝罪をすると、ユーザU1の運転の邪魔になり、ユーザU1の不快度をさらに高めてしまうおそれもある。また、ユーザU1の運転負荷が高いときには、運転への影響が大きく、ユーザU1がエージェント機器200の方向に向くことができないことも想定される。そこで、本実施形態では、報知情報の提供に対して不快な反応を示したユーザU1が車両C1の運転中であり、かつ、ユーザU1の運転負荷が高い場合には、エージェント機器200は、ユーザU1に言葉による謝罪をせずに、ユーザU1を不快にして焦ったような振る舞いをする。このように、ユーザU1が車両C1の運転中であり、かつ、ユーザU1の運転負荷が高い場合には、エージェント機器200は、ユーザU1に言葉による謝罪をせずに、ユーザU1の運転の邪魔にならない程度の接点を持つようにする。そして、エージェント機器200は、ユーザU1の状況が落ち着いたタイミングで謝罪をするようにする。
【0023】
また、ユーザU1の運転負荷が高いときには、ユーザU1がエージェント機器200の方向に向くことができないことも多い。このような場合に、ユーザU1がエージェント機器200の方向にさりげなく振り向いたときに、焦っているような振る舞いをして謝罪の意図を出すようにする。
【0024】
このように、本実施形態では、ユーザU1の運転負荷が高いときには、言葉による謝罪(言い換えると言語による謝罪)ではなく、謝罪の意図を示す態度(例えば、謝罪の意図を示すしぐさ)をエージェント機器200に実行させる。なお、謝罪の意図を示す態度として、エージェント機器200が反省していることをユーザU1が気づいてくれるようなしぐさ(例えば、焦っている表情(青ざめた表情)、伏し目がちな表情)を実行することが好ましい。例えば、ユーザU1にすると、エージェント機器200の方向を見ないとわからないが、ちらっとエージェント機器200を見れば、エージェント機器200が反省していることが理解できるようなしぐさが好ましい。このように、謝罪の意図を示す態度として、ユーザU1の周辺で何かが起こっていることをユーザU1に感じられる動きをエージェント機器200に実行させることが好ましい。
【0025】
また、エージェント機器200は、謝罪の意図を示す態度を実行した後に、ユーザU1の運転負荷が低くなり、ユーザU1が落ち着いたと判定されたときに、言語化して謝罪する。
【0026】
また、ユーザU1の運転負荷が低いときには、運転への影響が小さく、ユーザU1がエージェント機器200の方向に向くことが可能なことも多い。そこで、ユーザU1の運転負荷が低いときには、エージェント機器200の眼がユーザU1の眼とあうような形態、すなわち、エージェント機器200の眼がユーザU1の顔の方向を向いた形態とすることが可能である。この場合には、例えば、エージェント機器200の顔を、上目使いで緊張しているような顔としたり、エージェント機器200の頭を下げる動作をしたりすることも可能である。
【0027】
このように、ユーザU1の運転負荷が低いときには、ユーザU1がエージェント機器200に直接向き合ってエージェント機器200を確認できるような態度とすることが可能である。また、このような態度とする点が、ユーザU1の運転負荷が高いときの謝罪の形態と異なる。なお、ユーザU1の運転負荷が低いときの謝罪の形態と、ユーザU1の運転負荷が高いときの謝罪の形態とを同じとしてもよい。ただし、謝罪の形態を同じとした場合でも、ユーザU1の運転負荷が低いときは、言葉による謝罪をしないようにする。
【0028】
また、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度に基づいて、謝罪の態様を変更してもよい。なお、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器は、例えば、図4に示す各部である。例えば、それらの各機器における処理の確信度が高くなるのに応じて、より正確にエージェント機器200が報知情報を出力することが可能となる。なお、確信度の判定方法については、図5を参照して詳細に説明する。また、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度に基づいて、報知情報の確信度又はユーザ状態の確信度を判定し、これらの判定結果に基づいて、謝罪の態様を変更してもよい。
【0029】
例えば、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度が低い場合には、報知情報の確信度が低くなり、かつ、ユーザU1に関する情報の取得精度も低下することが想定される。このような場合には、車両C1の周囲の状況、ユーザU1の周囲の状況、ユーザU1の動作、音声等を適切に取得することができないおそれもある。そこで、各機器における処理の確信度が低い場合には、適切な理由に基づくユーザU1に対する謝罪をすることが困難となることも想定される。そこで、このような場合には、何か間違ったことを表現する程度の謝罪をエージェント機器200に実行させることが好ましい。
【0030】
一方、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度が高い場合には、報知情報の確信度が高くなり、かつ、ユーザU1に関する情報の取得精度も高くなることが想定される。このような場合には、車両C1の周囲の状況、ユーザU1の周囲の状況、ユーザU1の動作、音声等を適切に取得することが可能である。そこで、各機器における処理の確信度が高い場合には、ユーザU1の不快な理由を把握することが可能となることも想定される。そこで、このような場合には、車両C1の周囲の状況、ユーザU1の周囲の状況、ユーザU1の動作、音声等に基づいて、ユーザU1の不快な理由を推定し、その推定結果に基づいて、車両C1の周囲の状況、ユーザU1の動作等に言及した謝罪をエージェント機器200に実行させることが好ましい。これらの例については、図9を参照して詳細に説明する。
【0031】
なお、報知情報の確信度は、報知情報の内容に対する確からしさの度合を表す指標である。また、報知情報の確信度は、センシング安定度、CPU稼働率等に基づいて算出可能である。図5では、センシング安定度、CPU稼働率に基づいて報知情報の確信度を算出する例を示す。
【0032】
このように、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度(又は報知情報の確信度)が高い場合には、車両C1の周囲の状況、ユーザU1の動作等に言及した謝罪とすることが好ましい。一方、それらの確信度が低い場合には、それらの言及をせずに謝罪することが好ましい。
【0033】
なお、本実施形態では、車両C1の乗員として運転席に乗車するユーザU1を例にして説明する。ただし、車両C1に複数の乗員が乗車している場合についても本実施形態を適用可能である。この場合には、報知情報、謝罪の対象を、運転席に乗車するユーザU1としてもよく、他の乗員としてもよい。また、報知情報の対象とした乗員を、謝罪の対象としてもよい。
【0034】
[エージェント機器の外観構成例]
図3は、エージェント機器200の外観構成の一例を簡略化して示す正面図である。本実施形態では、エージェント機器200がオン状態である場合には、表示部210(図4参照)に顔画像が表示される例を示す。なお、車両C1のオン操作に応じて、エージェント機器200をオン状態とすることが可能である。また、エージェント機器200に関するユーザ操作に応じて、エージェント機器200をオン状態とすることが可能である。なお、車両C1のオンオフ操作は、車両C1の起動又は停止に関するスタートキーのオン操作又はオフ操作を意味する。
【0035】
図3(A)には、エージェント機器200の斜視図を示す。図3(B)には、エージェント機器200の正面図を示す。なお、図3(B)に示すエージェント機器200は、図1に示すエージェント機器200に対応する。図3(C)には、エージェント機器200の上面図を示す。図3(D)には、エージェント機器200の側面図を示す。なお、本実施形態では、図3(A)乃至(F)に示すエージェント機器200の状態を通常状態と称して説明する。また、図3(G)、(H)には、エージェント機器200の動作態様として謝罪する場合の外観構成例を示す。
【0036】
エージェント機器200は、略球状の本体部201から構成される機器であり、本体部201の表面には表示部210が設けられる。表示部210には、各種画像、例えば眼部E1、E2が表示される。なお、本体部201の表面の全部に表示部210を設けてもよく、本体部201の表面のうちの一部に表示部210を設けてもよい。また、本体部201の表面のうちの一部に表示部210を設ける場合には、表示部210が設けられている部分以外の部分には、顔を構成する物理的な各部(例えば、口、鼻)を設けてもよい。
【0037】
本実施形態では、車両C1のダッシュボード2上に、眼部E1、E2が車内側を見る方向にエージェント機器200が設置される例を示す。このため、エージェント機器200における眼部E1、E2が表示される部分を含む一の面を前部又は顔部と称して説明する。また、エージェント機器200の前部をエージェント機器200の前側と称し、エージェント機器200の前部とは反対側をエージェント機器200の後側と称して説明する。また、エージェント機器200において、図3における右側をエージェント機器200の左側と称し、図3における左側をエージェント機器200の右側と称して説明する。
【0038】
本体部201は、車両C1のダッシュボード2への取付部分又はこれに近接する部分を回動中心として、エージェント機器200の前後方向、すなわち矢印A1(図3(A)(D)参照)方向に回動する。同様に、本体部201は、車両C1のダッシュボード2への取付部分を回動中心として、エージェント機器200の左右方向、すなわち矢印A2(図3(B)参照)方向に回動する。例えば、図3(E)に示すように、エージェント機器200の右方向、すなわち矢印A4方向に本体部201を回動させることができる。また、例えば、図3(F)に示すように、エージェント機器200の左方向、すなわち矢印A5方向に本体部201を回動させることができる。同様に、本体部201は、車両C1のダッシュボード2への取付部分を回動中心として、硬直方向を軸として回転する方向、すなわち矢印A3(図3(C)参照)方向に回動する。このように、エージェント機器200の下部には、本体部201を駆動させるための駆動部230(図4参照)が設けられる。そして、エージェント機器200の本体部201を左右方向に回転移動させたり、本体部201を前後方向に回転移動させたり、本体部201を左右方向に揺らせたり、本体部201を前後方向に揺らせたりすることが可能となる。
【0039】
また、表示部210は、各種画像を表示することが可能な表示媒体として構成することが可能である。この表示媒体として、例えば、発光シート、液晶表示器、有機EL(Electro Luminescence)等の各種表示媒体を使用可能である。例えば、図3(A)乃至(F)に示すように、通常の眼部E1、E2を表示させることができる。また、例えば、図3(G)に示すように、伏し目状態の眼部E1、E2とともに、汗画像SW1を表示させることができる。また、例えば、図3(H)に示すように、顔の上側に相当する部分B1を、焦る表情を示す所定色(例えば青色)とし、焦る表情を示す縦線画像V1を、その部分B1の一部に表示させることができる。また、図3(G)、(H)に示すように、左右方向(矢印A6、A7方向)に本体部201を揺らせることにより、さらに焦る態度を強調することが可能である。
【0040】
このように、表示部210のうちの少なくとも一部の色を特定色としたり、眼部E1、E2を変形させたりすることにより、エージェント機器200が焦る表情をしているような表示態様とすることが可能である。なお、ここで示す表示態様は、一例であり、他の表示態様により焦る表情を実現してもよい。例えば、眼部E1、E2を左右に早く動かしたり、眼部E1、E2をきょろきょろさせたり、本体部201を左右方向に早く動かしたり、本体部201を左右方向にきょろきょろさせたりすることにより焦る表情を実現してもよい。
【0041】
このように、本実施形態では、エージェント機器200の各部のうちの少なくとも一部を変化させる動作態様と、エージェント機器200の表面のうちの少なくとも一部の表示状態を変化させる表示態様とによりエージェント機器200を変化させることが可能である。また、その変化を見た車両C1の乗員は、エージェント機器200が何らかの動きをしていると認識可能となる。このため、本実施形態では、これらのエージェント機器200の変化をエージェント機器200の動作態様と称して説明する。
【0042】
なお、これらのエージェント機器200の動作態様は、一例であり、他の動作態様とすることも可能である。例えば、ダッシュボード2上の所定範囲内において、エージェント機器200をスライド移動させることも可能である。例えば、エージェント機器200を前後左右方向にスライド移動させることも可能である。また、例えば、エージェント機器200を一時的に浮かせるような演出も可能である。
【0043】
なお、図3では、表示部210の表示態様を変更することにより、焦る表情を2次元的に表現する例を示すが、物理的に設置された眼部、鼻部、口部等の各部材を変化させることにより、焦る表情を3次元的に表現して実現してもよい。この場合には、例えば、眼部材を移動させたり、眼部材の表面に黒画像、白画像を表示させたりして眼の動きを表現してもよい。
【0044】
また、本実施形態では、顔部のみを備えるエージェント機器200の例を示すが、他の身体の一部(例えば、手、足)をエージェント機器200に備えてもよい。この場合には、これらの各部(例えば、手、足)を変化させて焦る態度を実現してもよい。例えば、手を頭や顔に当てるように変化させたり、足や手をバタバタさせたりする動きを焦る態度として表現してもよい。
【0045】
なお、これらのエージェント機器200の形状、表示態様、音声出力態様は、一例であり、他の形状、表示態様、音声出力態様とすることも可能である。また、図3では、略球状の本体部201が顔部として機能するエージェント機器200を例にして示すが、本発明はこれに限定されない。例えば、平板状の本体部(例えば、平面状の表示パネル)が顔部として機能する機器をエージェント機器200としてもよい。また、例えば、顔部及び身体部を一体の筐体として構成する機器をエージェント機器200としてもよい。また、例えば、顔部及び身体部を別体として構成する機器をエージェント機器200としてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、生き物らしさを表す画像(生き物表示)として顔画像を表示する例を示すが、他の画像(例えば、エージェントの全身、機械的なもの、仮想的な顔)を生き物らしさを表す画像として表示してもよい。
【0047】
[情報処理システムの構成例]
図4は、車両C1に設置されている情報処理システム100のシステム構成の一例を示す図である。
【0048】
情報処理システム100は、カメラ101と、位置情報取得センサ102と、音声入力部103と、センサ類104と、情報処理装置110と、エージェント機器200とを備える。なお、情報処理装置110及びエージェント機器200は、有線通信又は無線通信を利用した通信方式によって接続される。また、情報処理装置110は、無線通信を利用した通信方式によってネットワーク20に接続されている。ネットワーク20は、公衆回線網、インターネット等のネットワークである。なお、エージェント機器200についても、無線通信を利用した通信方式によってネットワーク20に接続してもよい。なお、図4では、情報処理装置110及びエージェント機器200を別体として構成する例を示すが、情報処理装置110及びエージェント機器200を一体の機器として構成してもよい。
【0049】
カメラ101は、情報処理装置110の制御に基づいて、被写体を撮像して画像(画像データ)を生成するものであり、生成された画像に関する画像情報を情報処理装置110に出力する。カメラ101は、車両C1のうちの少なくとも内部に設けられ、車両C1の内部の被写体を撮像して画像(画像データ)を生成する。なお、図1では、車両C1の内部に設けられているカメラ101を示す。上述したように、カメラ101は、例えば、被写体を撮像することが可能な1又は複数のカメラ機器や画像センサにより構成される。例えば、1つのカメラ101を車両C1の前方に設け、車両C1の前方からの被写体を撮像して画像(画像データ)を生成してもよく、他のカメラ101を車両C1の後方に設け、車両C1からの後方の被写体を撮像して画像(画像データ)を生成してもよい。
【0050】
位置情報取得センサ102は、車両C1が存在する位置に関する位置情報を取得するものであり、取得された位置情報を情報処理装置110に出力する。例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を利用して位置情報を取得するGNSS受信機により実現できる。また、その位置情報には、GNSS信号の受信時における緯度、経度、高度等の位置に関する各データが含まれる。また、他の位置情報の取得方法により位置情報を取得してもよい。例えば、周囲に存在するアクセスポイントや基地局からの情報を用いて位置情報を導き出してもよい。また、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。例えば、位置情報取得センサ102により取得された情報に基づいて、車両C1の状態、例えば、走行中、停止中、後進中を判定可能である。
【0051】
また、例えば、車両C1の外部に存在する施設、例えば珈琲店の付近に車両C1が存在することを位置情報取得センサ102により取得された位置情報に基づいて判定可能である。
【0052】
音声入力部103は、車両C1の内部に設けられ、情報処理装置110の制御に基づいて、車両C1の内部の音を取得するものであり、取得された音に関する音情報を情報処理装置110に出力する。音声入力部103として、例えば、1又は複数のマイクや音取得センサを用いることができる。
【0053】
センサ類104は、車両C1に設置されている各種のセンサであり、各センサにより取得された検出情報を情報処理装置110に出力する。センサ類は、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)、RADAR(Radio Detection And Ranging)、Sonar、人感センサ、車速センサ、加速度センサ、着座センサ、シートベルトセンサ、ドアセンサ、バッテリセンサ、雨滴センサ、明暗センサ、ミラーセンサ等である。なお、これらは一例であり、他のセンサを用いてもよい。また、これらのうちの一部のセンサのみを用いてもよい。
【0054】
人感センサは、車両C1の内部に存在する人の有無、人数、位置、状態等を検出するセンサである。例えば、赤外線、超音波、可視光、撮像素子等を用いる人感センサを用いることが可能である。例えば、運転席、助手席、後部座席の何れかに人が着座している場合には、その人の存在を人感センサにより検出可能である。また、人感センサ及び着座センサの双方を用いることにより、各座席の着座状態の検出精度を高めることが可能である。また、これらにより、エージェント機器200が対象とする人物の位置を特定することが可能である。
【0055】
着座センサ(又はシートセンサ)は、車両C1の各座席に着座している乗員の有無を検出するセンサである。シートベルトセンサは、車両C1の各座席に着座している乗員がシートベルトを着用しているか否かを検出するセンサである。ドアセンサは、車両C1の各ドアが半ドアであるか否かを検出するセンサである。バッテリセンサは、車両C1に設置されているバッテリの残量を計測するためのセンサである。これらの各センサについては、公知のセンサを用いることが可能である。
【0056】
雨滴センサは、車両C1に降り注ぐ雨の有無を検出するセンサである。明暗センサは、車両C1の周囲における明るさを検出するセンサである。ミラーセンサは、車両C1に設置されている各ミラー(例えば、バックミラー、サイドミラー)の調整位置を検出するセンサである。
【0057】
情報処理装置110は、制御部120と、記憶部130と、通信部140とを備える。通信部140は、制御部120の制御に基づいて、有線通信又は無線通信を利用して、他の機器との間で各種情報のやりとりを行うものである。
【0058】
制御部120は、記憶部130に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の処理装置により実現される。例えば、GPUを用いて画像処理を実行することにより演算速度を速めることが可能である。また、GPUを用いて並列演算を実行することにより演算速度をさらに速めることが可能である。なお、車両C1の車両ECU(Electronic Control Unit)を制御部120としても使用してもよく、車両ECUとは異なる処理装置を制御部120として設けてもよい。なお、制御部120は、文字を音声に変換する変換機能を備える。この変換機能は、例えば、TTS(Text to Speech)により実現される。
【0059】
制御部120は、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104、通信部140等から出力された各情報に基づいて、エージェント機器200の動作状態を制御する制御処理を実行する。具体的には、制御部120は、不快度判定部121と、負荷判定部122と、確信度判定部123と、エージェント制御部124とを備える。
【0060】
不快度判定部121は、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104、通信部140等から出力された各情報に基づいて、車両C1に乗車するユーザU1の不快度を判定するものであり、その判定結果をエージェント制御部124に出力する。なお、ユーザU1の不快度の判定方法については、図6(A)を参照して詳細に説明する。
【0061】
負荷判定部122は、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104、通信部140等から出力された各情報に基づいて、車両C1に乗車するユーザU1の運転負荷を判定するものであり、その判定結果をエージェント制御部124に出力する。なお、ユーザU1の運転負荷の判定方法については、図6(B)を参照して詳細に説明する。
【0062】
確信度判定部123は、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104、通信部140等から出力された各情報に基づいて、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度を判定するものであり、その判定結果をエージェント制御部124に出力する。なお、確信度の判定方法については、図5を参照して詳細に説明する。
【0063】
エージェント制御部124は、不快度判定部121、負荷判定部122、確信度判定部123による判定結果と、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104、通信部140等から出力された各情報とに基づいて、エージェント機器200の動作状態を制御するものである。例えば、エージェント制御部124は、擬生物化されたエージェントの顔を構成する各部(眼部E1、E2)を表示部210に表示させる。また、エージェント制御部124は、車両C1の乗員に報知すべき情報(報知情報)を表示部210に表示させる。また、エージェント制御部124は、擬生物化されたエージェントの音声、車両C1の乗員に報知すべき情報に対応する音声等を音出力部220から出力させる。
【0064】
例えば、エージェント制御部124は、表示部210に表示させる報知情報と、音出力部220から出力させる報知情報とを決定し、それらの報知情報を出力させる制御を実行する。なお、車両C1の内部に存在する対象物に関する報知情報については、報知情報DB132に格納されている。また、これらの各報知情報の出力例については、図8に示す。例えば、シートベルトの着用に関する報知情報である場合には、シートベルトの着用に関する音声情報S21(図8(A)参照)を報知情報として出力する。なお、シートベルトを示す画像を報知情報として表示部210に表示してもよい。また、バッテリ残量に関する報知情報である場合には、バッテリ残量を示す音声情報を報知情報として出力したり、バッテリを示す画像を報知情報として表示部210に表示したりする。また、半ドアに関する報知情報である場合には、半ドアを示す音声情報を報知情報として出力したり、ドアを示す画像を報知情報として表示したりする。
【0065】
また、例えば、エージェント制御部124は、出力された報知情報に対してユーザU1に不快感を与えた場合には、その報知情報の出力に対する謝罪をエージェント機器200に実行させる。例えば、図3(G)(H)、図7(C)(D)、図7(B)(C)に示すように、エージェント機器200に謝罪を実行させる。この謝罪として、音声出力による謝罪、しぐさによる謝罪等を実行することが可能である。なお、エージェント機器200による謝罪方法については、図7乃至図9等を参照して詳細に説明する。また、エージェント制御部124は、謝罪タイミングを演算する謝罪タイミング演算部として機能する。
【0066】
記憶部130は、各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部130には制御部120が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、エージェント情報DB131、報知情報DB132、地図情報DB133、周囲状況DB134、ユーザ状態DB135、報知情報及び振る舞いDB136)が記憶される。また、記憶部130には、通信部140を介して取得された各種情報が記憶される。記憶部130として、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせを用いることができる。
【0067】
エージェント情報DB131には、エージェント機器200の各種動作を実現するために必要となる情報が格納されている。例えば、表示部210に表示される顔画像情報(例えば、眼部E1、E2、汗画像SW1、縦線画像V1)と、音出力部220から出力される音声情報とがエージェント情報DB131に格納される。また、例えば、謝罪の実行時にエージェント機器200を動作させるための動作情報等がエージェント情報DB131に格納される。
【0068】
報知情報DB132には、車両C1の内部又は外部に存在する対象物に関する報知情報を出力するために必要となる情報が格納されている。例えば、半ドアに関する報知情報である場合には、ドアを示す画像情報と半ドアを報知するための音声情報とが報知情報として報知情報DB132に格納される。また、例えば、シートベルトの着用に関する報知情報である場合には、シートベルトを示す画像情報とシートベルトの着用を報知するための音声情報とが報知情報として報知情報DB132に格納される。また、例えば、バッテリ残量に関する報知情報である場合には、バッテリを示す画像情報とシートベルトの着用を報知するための音声情報とが報知情報として報知情報DB132に格納される。
【0069】
地図情報DB133には、車両C1の経路案内に必要となる道路に関する道路情報等の地図情報が格納されている。その地図情報には、道路の勾配、道路の交差点、道路の車線数、道幅情報、道路の起伏情報、悪路状態が含まれる。また、地図情報には、速度制限、一方通行等を示す道路標識、横断歩道、区画線等を示す道路標示も含まれる。また、地図情報には、道路構造物(例えば信号機、電信柱)、建物等の施設情報、周囲の観光案内情報等を含めてもよい。なお、エージェント情報DB131、報知情報DB132、地図情報DB133については、車両C1が備える記憶部130に記憶して用いてもよく、ネットワーク20を介して外部機器から取得して用いてもよい。
【0070】
周囲状況DB134には、車両C1の周囲の状況に関する情報が格納されている。これらの情報は、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104、通信部140等から出力された各情報に基づいて取得されて格納される。
【0071】
周囲状況DB134に格納された情報については、車両C1の周囲の状況に関する情報を検出する際における検出精度を向上させるための学習に使用することが可能である。
【0072】
ユーザ状態DB135には、ユーザU1の状態に関する情報が格納されている。これらの情報は、カメラ101、音声入力部103、センサ類104、通信部140等から出力された各情報に基づいて取得されて格納される。
【0073】
ユーザ状態DB135については、ユーザU1の状態に関する情報を検出する際における検出精度を向上させるための学習に使用することが可能である。
【0074】
報知情報及び振る舞いDB136には、ユーザU1に対して提供された報知情報と、この報知情報に対するエージェント機器200の謝罪の振る舞いと、その振る舞いに対するユーザU1の行動とを関連付けた情報が格納されている。これらの情報は、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104、通信部140、エージェント制御部124等から出力された各情報に基づいて取得されて格納される。
【0075】
報知情報及び振る舞いDB136については、ユーザU1に提供された報知情報と、この報知情報に対するエージェント機器200の謝罪の振る舞いと、その振る舞いに対するユーザU1の行動とを学習する際に使用される。例えば、ユーザU1に提供された報知情報に対するエージェント機器200の謝罪の振る舞い後に、その振る舞いに対してユーザU1が肯定的な行動をした場合には、その報知情報と、謝罪の振る舞いと、その謝罪に対するユーザU1の肯定的な行動とが関連付けて格納される。
【0076】
これにより、次回以降に、ユーザU1に提供した報知情報に対して謝罪が必要になった場合には、その報知情報とともに肯定的な行動に関連付けられている謝罪の振る舞いを実行することが可能となる。これにより、過去の肯定的な行動をされた謝罪の振る舞いに基づいて、さらに適切な謝罪を実行することが可能となる。
【0077】
エージェント機器200は、情報処理装置110からの指示に基づいて各種動作を実行するロボット機器である。エージェント機器200は、表示部210と、音出力部220と、駆動部230とを備える。なお、表示部210、音出力部220及び駆動部230は、エージェント機器200が備える制御部(図示省略)に基づいて制御される。
【0078】
表示部210は、情報処理装置110からの指示に基づいて、各種画像を表示する表示部である。なお、表示部210として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルを用いることができる。なお、表示部210については、使用者がその指を表示面に接触又は近接することにより操作入力を行うことが可能なタッチパネルとして構成してもよく、別体のユーザインタフェースとして構成してもよい。
【0079】
音出力部220は、情報処理装置110からの指示に基づいて、各種音声を出力するものである。音出力部220として、例えば、1又は複数のスピーカを用いることができる。なお、表示部210及び音出力部220は、ユーザインタフェースの一例であり、これらのうちの一部を省略してもよく、他のユーザインタフェースを用いてもよい。
【0080】
駆動部230は、情報処理装置110からの指示に基づいて、エージェント機器200の各部を駆動するものである。例えば、駆動部230は、図3(A)乃至(H)に示すように、本体部201を回動させる機構を実現する駆動装置である。例えば、駆動部230は、本体部201を駆動させることが可能なモータ、サーボモータ等により構成される。
【0081】
[確信度の判定例]
次に、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度の判定方法について説明する。上述したように、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度が高い場合には、報知情報の確信度が高くなり、かつ、ユーザU1に関する情報の取得精度も高くなることが想定される。そこで、本実施形態では、主に、各機器における処理の確信度が高いことを、報知情報の確信度が高いと称して説明する。
【0082】
[センシング安定度に基づく報知情報の確信度の判定例]
図5は、報知情報の確信度の判定方法の一例を示す図である。図5(A)には、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104の各センサの検出値と、時間との関係を示す。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、カメラ101を構成するイメージセンサを例にして説明する。また、本実施形態では、イメージセンサから出力された画素値(センサ素子値)が0又は最大値(例えば255)になったことを、センサ素子値が張り付いた状態と称する。また、本実施形態では、報知情報を出力する出力タイミングを基準とする規定期間において、センサ素子値が張り付いた状態の割合に基づいて、センシング安定度を求める例を示す。
【0083】
例えば、0乃至255の画素値を出力するイメージセンサを想定する。なお、画素値が0のときは黒に相当し、画素値が255のときは白に相当する。このイメージセンサでは、入射光が強すぎる場合等には、検出できない値として、例えば0又は255を画素値として出力することがある。このように、イメージセンサから検出できない値が出力されている状態をロスト状態と称することもある。例えば、逆光の場合、光の急激な変化が発生した場合等には、イメージセンサがロスト状態となることがある。この場合には、画素値として0又は255が出力される。すなわち、画素値が0又は255に張り付いてしまう状態となる。このように、イメージセンサがロスト状態となり、画素値として0又は255が出力されている場合には、イメージセンサが不安定になっていると推定される。
【0084】
そこで、本実施形態では、イメージセンサがロスト状態となり、画素値として0又は255が出力されている時間の割合に基づいて、センシング安定度を算出する例を示す。例えば、規定期間(例えば数秒(例えば5秒)程度)において、画素値として0又は255が出力されている時間の割合(画素値が張り付いている時間の割合)を求め、この割合に基づいてセンシング安定度を算出することが可能である。具体的には、以下に示すように、張付き割合を算出し、その張付き割合の値を1から引いた値をセンシング安定度として算出する。
張付き割合=画素値が張り付いている時間/規定期間t
センシング安定度=1-張付き割合
【0085】
例えば、張付き割合が100%の場合には、センシング安定度は0%となり、張付き割合が0%の場合には、センシング安定度は100%となる。また、例えば、張付き割合が60%の場合には、センシング安定度は40%となり、張付き割合が30%の場合には、センシング安定度は70%となる。
【0086】
例えば、画素値として255が5秒間出力され続けた場合には、張付き割合=1となるため、センシング安定度は0%となる。すなわち、強い光を検出し続けているような場合には、センシング安定度は0%となり、カメラ101を用いた適切な検出ができていないと推定される。そこで、このような場合には、報知情報の確信度が低いと考えることができる。
【0087】
一般に、イメージセンサは、多数の画素により構成されている。このため、上述したセンシング安定度を算出する場合には、イメージセンサを構成する各画素のうち、一部の画素のみを用いてもよく、全部の画素を用いてもよい。例えば、イメージセンサを構成する各画素のうち、張り付いた画素が1画素でも存在する場合には、その1画素が張り付いている時間を用いてセンシング安定度を算出してもよい。また、例えば、イメージセンサを構成する各画素のうち、センシング安定度の算出に用いる1又は複数の画素を設定しておき、その画素の画素値を用いてセンシング安定度を算出してもよい。
【0088】
図5(A)に示すグラフにおいて、横軸は時間軸を示し、縦軸はセンサ検出値(画素値)を示す。また、イメージセンサからのセンサ検出値として、0乃至最大値MAXの値が出力されるものとする。
【0089】
図5(A)に示す例では、報知情報を出力した出力時t3を基準として、出力時t3からt秒前までの期間(すなわち時刻t1から時刻t3までの期間)を規定期間tとする例を示す。なお、時刻t2は、時刻t1から時刻t3までの期間の半分の値とする。なお、tは、例えば5秒程度の値とすることが可能である。なお、tについては、センサの種類、センシング安定度の精度等に基づいて適宜設定可能である。
【0090】
図5(A)に示す例では、時刻t1までのセンサ検出値SE1が、0から最大値MAXまでの間の値であり、時刻t1から時刻t2までのセンサ検出値SE2が0であり、時刻t2以降のセンサ検出値SE3が、0から最大値MAXまでの間の値である場合を想定して説明する。この場合には、センサ検出値が張り付いた状態は、センサ検出値が0となる時刻t1から時刻t2までの時間帯となる。このため、報知情報を出力した出力時t3を基準とする規定期間tにおいて、センサ検出値が張り付いた期間の割合(張付き割合)は、1/2となる。この場合には、センシング安定度は、50%(1-1/2)となる。
【0091】
図5(B)に示すグラフにおいて、横軸は時間軸を示し、縦軸はセンシング安定度を示す。また、図5(B)に示す例では、50%から100%の間に、報知情報の確信度を判定するための閾値TH1を設定する例を示す。なお、閾値TH1については、実験データ等に基づいて適宜設定可能である。
【0092】
例えば、図5(A)に示す例では、センシング安定度が50%であるため、閾値TH1未満となる。このため、報知情報の確信度は低いと判定される。一方、センシング安定度が閾値TH1以上となる場合には、報知情報の確信度は高いと判定される。
【0093】
[CPU稼働率に基づく報知情報の確信度の算出例]
上述したセンシング安定度に基づいて、報知情報の確信度を判定することが可能である。しかし、各センサから適切な検出値が出力された場合(すなわちセンシング安定度が高い場合)でも、制御部120の稼働率が高いときには、それらの検出値を用いた演算処理が適切に実行されないことも想定される。そこで、制御部120の稼働率を用いて報知情報の確信度を判定してもよい。なお、本実施形態では、制御部120を構成するCPUの稼働率を用いて報知情報の確信度を判定する例を示す。また、CPUの稼働率については、公知の算出方法を用いて算出可能である。
【0094】
図5(C)に示すグラフにおいて、横軸は時間軸を示し、縦軸はCPUの稼働率を示す。また、図5(C)に示す例では、50%から100%の間に、報知情報の確信度を判定するための閾値TH2を設定する例を示す。閾値TH2として、100%に近い値を設定することが可能である。なお、閾値TH2については、実験データ等に基づいて適宜設定可能である。
【0095】
例えば、報知情報を出力した出力時のCPUの稼働率、又は、その出力タイミングを基準とする所定期間におけるCPUの稼働率の平均値を求める。そして、CPUの稼働率(又は、その平均値)が閾値TH2以上の場合には、報知情報の確信度は低いと判定される。一方、CPUの稼働率(又は、その平均値)が閾値TH2未満である場合には、報知情報の確信度は高いと判定される。
【0096】
なお、以上では、センシング安定度に基づく報知情報の確信度の判定方法と、CPU稼働率に基づく報知情報の確信度の判定方法とについて説明したが、これらの双方の判定方法を用いて、報知情報の確信度を判定してもよく、何れか一方の判定方法を用いて、報知情報の確信度を判定してもよい。例えば、センシング安定度に基づく報知情報の確信度と、CPU稼働率に基づく報知情報の確信度との双方が高いと判定されたことを条件に、報知情報の確信度が高いと判定することが可能である。この場合には、センシング安定度に基づく報知情報の確信度と、CPU稼働率に基づく報知情報の確信度との少なくとも1つが低いと判定された場合には、報知情報の確信度が低いと判定する。また、他の報知情報の確信度の判定方法を用いてもよい。
【0097】
[ユーザの不快度の判定例]
次に、ユーザU1の不快度を判定する判定方法について説明する。ユーザU1の不快度は、ユーザU1の生体情報(例えば、心拍、血脈)と、ユーザU1から発せられる音と、ユーザU1の外観(例えば、表情、動き)とに基づいて算出が可能である。
【0098】
例えば、ユーザU1が不快になると、ユーザU1が興奮してユーザU1の心拍が早くなることが想定される。そこで、ユーザU1の心拍を数値化してユーザU1の不快度を算出可能である。また、ユーザU1が不快になると、ユーザU1の顔がむっとしたり、怒ったような表情となったり、目が吊り上がったりすることが想定される。そこで、ユーザU1の顔を含む画像を解析することによりユーザU1の表情の変化を取得し、その変化の程度に基づいて、ユーザU1の不快度を算出可能である。例えば、ユーザU1の表情が急激に変化し、かつ、その変化後の表情が所定の表情(例えば、むっとする表情、怒ったような表情、目が吊り上がる表情)になった場合に、ユーザU1の不快度が高いと判定することが可能である。なお、ユーザU1の顔が所定の表情になった場合に、ユーザU1の不快度が高いと判定することも可能である。なお、ユーザU1の顔を含む画像については、カメラ101(図4参照)により取得可能である。また、表情の判定については、公知の表情認識技術(例えば表情判定プログラム)を用いることが可能である。
【0099】
なお、顔に関する他の情報を用いてユーザU1の不快度を判定してもよい。例えば、ユーザU1が怒った場合には、ユーザU1の顔の表面の温度が高くなることが想定される。そこで、カメラ101により取得された画像(ユーザU1の顔を含む)、非接触温度センサ等に基づいて、ユーザU1の顔の表面の温度を推定し、その温度に基づいて、ユーザU1の不快度を判定することが可能である。例えば、ユーザU1の顔の表面の温度の変化に基づいて、ユーザU1の不快度を算出可能である。例えば、ユーザU1の顔の表面の温度が急激に変化し、かつ、その変化後の温度が所定値以上となった場合に、ユーザU1の不快度が高いと判定することが可能である。なお、温度の推定判定については、公知の温度推定技術を用いることが可能である。
【0100】
また、ユーザU1が不快になると、ユーザU1が興奮して特定のキーワード(例えば、このやろう)を発したり、ユーザU1が声を荒げてユーザU1から発せられる声の音量が高くなったりすることが想定される。そこで、ユーザU1から発せられる声を解析することにより、ユーザU1が発した特定のキーワード(例えば、このやろう)、ユーザU1から発せられる声の音量を取得する。そして、ユーザU1が特定のキーワード(例えば、このやろう)を発した場合、又は、ユーザU1から発せられた声の音量が閾値以上となった場合に、ユーザU1の不快度が高いと判定することが可能である。なお、ユーザU1が発する声については、音声入力部103(図4参照)により取得可能である。また、声の判定については、公知の音認識技術(例えば音判定プログラム)を用いることが可能である。また、表情及び音声を合わせて感情を推定する公知の推定技術を用いることも可能である。例えば、表情及び音声を合わせて感情を推定し、その感情をユーザU1の不快度として数値化することが可能である。この数値化されたユーザU1の不快度を用いる例を図6(A)に示す。なお、ユーザU1の生体情報と、ユーザU1の発話内容と、ユーザU1の動作とのうちの少なくとも1つに基づいて算出が可能なユーザU1の不快度に関する他の数値を用いてもよい。
【0101】
図6(A)は、ユーザU1の不快度の判定方法の一例を示す図である。図6(A)に示すグラフにおいて、横軸は時間軸を示し、縦軸はユーザU1の不快度を示す。この不快度については、上述した算出方法により算出可能である。また、閾値TH3を点線で示す。
【0102】
図6(A)に示すグラフにおいて、エージェント機器200から報知情報が出力されたタイミングを時刻t31で示す。また、時刻t31よりも前のユーザU1の不快度を線UH1で示す。また、時刻t31よりも後のユーザU1の不快度を線UH2、UH3で示す。線UH2は、ユーザU1の不快度が閾値TH3以上となる場合の例を示し、線UH3は、ユーザU1の不快度が閾値TH3未満となる場合の例を示す。
【0103】
なお、閾値TH3は、固定値としてもよく、可変値としてもよい。閾値TH3を固定値とする場合には、実験データ等に基づいて適宜可能である。また、閾値TH3を可変値とする場合には、時刻t31よりも前の所定期間内のユーザU1の不快度に基づいて、閾値TH3を設定することが可能である。例えば、時刻t31よりも前の所定期間(例えば数秒乃至数十秒程度)内のユーザU1の不快度の平均値を算出し、この平均値に所定値を加算した値を閾値TH3として設定することが可能である。なお、この場合の所定値については、その平均値に基づいて可変としてもよく、実験データ等に基づいて設定された固定値としてもよい。
【0104】
図6(A)に示すように、エージェント機器200から報知情報が出力されたタイミング(時刻t3)以降において、ユーザU1の不快度が上昇したか否かに基づいて、その報知情報が適切であったか不適切であったかを判定することが可能である。
【0105】
例えば、線UH2に示すように、時刻t3以降にユーザU1の不快度が閾値TH3以上となる場合には、時刻t3にエージェント機器200から出力された報知情報が不適切であったと判定可能である。一方、線UH3に示すように、時刻t3以降にユーザU1の不快度が閾値TH3未満となる場合には、時刻t3にエージェント機器200から出力された報知情報が適切であったと判定可能である。
【0106】
このように、報知情報の出力後に、ユーザU1の不快度が急激に上がったような場合には、その報知情報又はその報知の態様がユーザU1に不適切であったと判定することが可能である。この場合には、その報知情報又はその報知の態様に対する謝罪処理を実行する。一方、報知情報の出力後に、ユーザU1の不快度が徐々に下がったり、平均値となったりしたような場合には、その報知情報又はその報知の態様がユーザU1に適切であったと判定することが可能である。この場合には、その報知情報又はその報知の態様に対する謝罪処理を実行しない。
【0107】
[ユーザの運転負荷の判定例]
次に、ユーザU1の運転負荷を判定する判定方法について説明する。ユーザU1の運転負荷は、ユーザU1の運転操作、車両C1の周辺状況等に基づいて判定が可能である。
【0108】
ユーザU1の運転操作として、例えば、ステアリングエントロピーを用いることが可能である。ステアリングエントロピー法は、運転者の操舵角の滑らかさに基づいて運転者の負荷を測定して推定する測定方法であり、公知の演算方法を用いることが可能である。また、このステアリングエントロピー法では、時系列舵角データに基づいて計算される情報エントロピー値として数値化された測定結果(測定値)を用いることが可能である。このステアリングエントロピー法により求められた測定値が、閾値を超えたか否かに基づいて、ユーザU1の運転負荷が高いか低いかを判定可能である。例えば、ステアリングエントロピー法により求められた測定値が、閾値を超えた場合には、ユーザU1の運転負荷が高いと判定可能である。一方、ステアリングエントロピー法により求められた測定値(判定値)が、閾値未満である場合には、ユーザU1の運転負荷が低いと判定可能である。
【0109】
車両C1の周辺状況として、車両C1の周囲の交通参加者の数、車両C1の周囲の天候、車両C1の周囲の暗さ、車両C1の周囲の道路形状等を用いることが可能である。
【0110】
なお、交通参加者は、車両C1を基準とする所定範囲内に存在する、自動車、バイク、自転車、歩行者等の各種移動体を意味する。また、車両C1の周囲の交通参加者の数については、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像(例えば車両C1の前方の画像)、センサ類104に含まれる各種センサ(例えば、LiDAR、RADAR、Sonar)に基づいて取得可能である。また、これらを組み合わせて車両C1の周囲の交通参加者の数を推定してもよい。
【0111】
また、車両C1の周囲の交通参加者の数が多くなるのに応じて、ユーザU1の運転負荷が高くなると想定される。そこで、車両C1の周囲の交通参加者の数が多くなるのに応じて値が高くなる判定値を算出することが可能である。
【0112】
また、車両C1の周囲の天候については、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、通信部140を介して取得可能な天候情報、雨滴センサ等に基づいて取得可能である。例えば、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像に基づいて、車両C1の周囲の天候(晴、曇、雨、雪)を判定可能である。例えば、公知の画像認識技術を用いて天候判定が可能である。また、通信部140を介して外部機器(例えば、天候情報提供サーバ)から天候情報を取得可能な場合には、その天候情報と、位置情報取得センサ102により取得された車両C1の現在地とに基づいて、車両C1の周囲の天候(晴れ、曇り、雨、雪)を取得可能である。また、車両C1に雨滴センサが設置されている場合には、その雨滴センサにより車両C1の現在地で降雨があることを検出可能である。また、これらを組み合わせて車両C1の周囲の天候を推定してもよい。
【0113】
例えば、車両C1の周囲の天候が悪化(例えば、晴、曇、雨、雪の順で悪化したと判定)するのに応じて、ユーザU1の運転負荷が高くなると想定される。そこで、車両C1の周囲の天候が悪化するのに応じて値が高くなる判定値を算出することが可能である。
【0114】
また、車両C1の周囲の暗さについては、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、通信部140を介して取得可能な天候情報等に基づいて取得可能である。例えば、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像に基づいて、車両C1の周囲の明るさを判定可能である。例えば、公知の画像認識技術を用いて明るさ判定が可能である。また、通信部140を介して外部機器(例えば、天候情報提供サーバ)から天候情報を取得可能な場合には、その天候情報と、位置情報取得センサ102により取得された車両C1の現在地とに基づいて、車両C1の周囲の天候(晴れ、曇り、雨、雪)を取得可能である。そこで、車両C1の周囲の天候(晴れ、曇り、雨、雪)と、現在時刻とに基づいて、車両C1の周囲の暗さを推定可能である。例えば、車両C1の周囲の天候が悪化(例えば、晴、曇、雨、雪の順で悪化したと判定)するのに応じて、車両C1の周囲が暗くなると推定される。また、車両C1の現在地と季節との関係に基づいて、車両C1の現在地の日の出時刻と日の入時刻とが取得可能であるため、車両C1の現在地の日の出時刻及び日の入時刻と、現在時刻との関係に基づいて、車両C1の周囲の明るさを推定可能である。また、これらを組み合わせて車両C1の周囲の明るさを推定してもよい。
【0115】
例えば、車両C1の周囲が暗くなるのに応じて、ユーザU1の運転負荷が高くなると想定される。そこで、車両C1の周囲が暗くなるのに応じて値が高くなる判定値を算出することが可能である。
【0116】
また、車両C1の周囲の道路形状については、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、地図情報(通信部140を介して取得、又は、記憶部130に記憶)、加速度センサ等に基づいて取得可能である。例えば、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像に基づいて、車両C1の前方の道の狭さ、悪路状態等を判定可能である。例えば、公知の画像認識技術を用いて道路形状判定が可能である。また、地図情報を用いることが可能な場合には、その地図情報と、位置情報取得センサ102により取得された車両C1の現在地とに基づいて、車両C1の現在地の道路に関する情報(狭さ、交通量の多さ、渋滞の程度)を取得可能である。また、車両C1に設置されている各種センサ(例えば、加速度センサ)を用いて、車両C1の実際の揺れ等を取得することにより、車両C1の周囲の道路の悪路状態等を判定可能である。
【0117】
例えば、車両C1の周囲の道路が狭くなるのに応じて、ユーザU1の運転負荷が高くなると想定される。また、例えば、車両C1の周囲の道路が悪路となるのに応じて、ユーザU1の運転負荷が高くなると想定される。そこで、車両C1の周囲道路が狭くなったり、悪路になったりするのに応じて値が高くなる判定値を算出することが可能である。
【0118】
上述した各判定値を用いてユーザU1の運転負荷を求めることが可能である。例えば、上述した各判定値に所定の演算(例えば加算)を施し、この演算結果を用いてユーザU1の運転負荷を求めることが可能である。例えば、上述した各判定値の演算結果(演算値)が閾値以上である場合には、ユーザU1の運転負荷が高いと判定可能である。一方、上述した各判定値の演算結果(演算値)が閾値未満である場合には、ユーザU1の運転負荷が低いと判定可能である。なお、上述した各判定値のうちの少なくとも1つを用いてユーザU1の運転負荷を求めてもよい。
【0119】
図6(B)は、ユーザU1の運転負荷の判定方法の一例を示す図である。図6(B)に示すグラフにおいて、横軸は時間軸を示し、縦軸はユーザU1の運転負荷を示す。この運転負荷については、上述した算出方法により算出可能である。また、閾値TH4を点線で示す。なお、閾値TH4は、実験データ等に基づいて適宜設定可能である。
【0120】
図6(B)に示すグラフにおいて、エージェント機器200から報知情報が出力されたタイミングを時刻t41で示す。また、ユーザU1の運転負荷の遷移例を線OL1、OL2で示す。線OL1は、報知情報の出力後に、ユーザU1の運転負荷が増加して閾値TH4以上となる場合の遷移例を示す。また、線OL2は、報知情報の出力前後において、ユーザU1の運転負荷が徐々に減少して閾値TH4未満となる場合の例を示す。
【0121】
なお、ユーザU1が車両C1を運転している場合には、ステアリングエントロピーと、車両C1の周囲の状況との少なくとも1つを用いて、ユーザU1の運転負荷を求めることが可能である。しかし、ユーザU1が車両C1を運転していないことも想定される。この場合には、車両C1の周囲の状況を用いて、ユーザU1の運転負荷(又は負荷)を求めることが可能である。
【0122】
[報知情報の出力後にユーザの運転負荷に応じて謝罪の態様を変更する例]
次に、報知情報を出力した後にユーザU1の運転負荷に応じて謝罪の態様を変更する場合の遷移例について説明する。
【0123】
[青信号になったことを報知情報として出力した場合の謝罪例]
図7は、信号待ちの状態で報知情報を出力した後にユーザU1の運転負荷に応じて謝罪の態様を変更する場合の遷移例を示す図である。
【0124】
図7(A)には、道路R1において、赤信号が点灯している信号機SG1の手前で車両C1が停車している状態を示す。また、図7(A)では、赤信号で停車している他の車両C2と、信号機SG1の遠方に走行している他の車両C3とが車両C1の前方に存在する例を示す。また、道路R1の外側には、親子の歩行者W1が存在するものとする。また、ユーザU1は、矢印A11に示すように、顔を左右方向に移動させて、車両C1の周囲を確認しているものとする。
【0125】
図7(B)には、道路R1において、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わった直後の状態を示す。また、図7(B)では、車両C1の前方の車両C2が移動を開始し、車両C1の隣の走行車線を他の車両C4が通過した例を示す。また、道路R1の外側の親子の歩行者W1が道路D1に近づいている状態を示す。また、ユーザU1は、矢印A12に示すように、顔を左右方向に移動させて、車両C1の周囲を確認しているものとする。
【0126】
上述したように、エージェント機器200は、情報処理装置110からの指示に基づいて、ユーザU1の運転支援をするための報知情報を出力する。図7(B)に示す例では、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わったことを検出した情報処理装置110からの指示に基づいて、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わったことを報知するための音声情報S11を報知情報として出力する例を示す。ユーザU1は、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わったことを、目視により認識可能であるとともに、音声情報S11の出力により認識可能となる。
【0127】
図7(C)には、道路R1において、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わった後に親子の歩行者W1が道路D1に侵入した状態を示す。また、図7(C)では、車両C1の前方の車両C2が遠方に進み、車両C1の隣の走行車線を他の車両C5が通過した例を示す。このように、信号機SG1が青信号に切り替わったにもかかわらず、何らかの理由により、親子の歩行者W1が道路D1に侵入することも想定される。この場合に、情報処理装置110は、車両C1の周囲に多数の車両が存在し、親子の歩行者W1の存在を検出できないことも想定される。また、情報処理装置110は、親子の歩行者W1を、車両C1の周囲の車両として各センサが誤認識してしまうことも想定される。このような状況では、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わったことを示す音声情報S11がエージェント機器200から出力される。
【0128】
なお、図7(C)に示すような状況では、ユーザU1は、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わったと認識したにも関わらず、車両C1を走行することができない。また、ユーザU1は、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わったことを示す音声情報S11がエージェント機器200から出力されたため、エージェント機器200に対して不快に感じることも想定される。なお、エージェント機器200に対する不快度は、上述した不快度判定処理により判定可能である。また、図7(C)では、ユーザU1の不快感をユーザU1の後頭部の感嘆符で示す。
【0129】
図7(A)乃至(C)に示すように、信号機SG1が赤信号から青信号に切り替わった場合でも、歩行者W1が車両C1の前方に存在して車両C1を進めることができない状態も想定される。このような場合には、エージェント機器200は、音声情報S11により信号機SG1が青信号になった旨の報知情報を出力することが想定されるが、ユーザU1にとっては、車両C1の前方に歩行者W1が存在するのに進めないよね、エージェント機器200はちょっと危ないこと言わないでよ、と感じることが想定される。
【0130】
このように、エージェント機器200が報知情報を出力した後に、その報知情報に対してユーザU1が不快になったと判定された場合には、エージェント機器200は、迅速に適切なタイミングでユーザU1に謝罪をすることが好ましい。ただし、ユーザU1の運転負荷が高い場合に謝罪をすると、ユーザU1に対する負荷が増加し、ユーザU1をさらに不快にするおそれがある。そこで、本実施形態では、報知情報又はその出力方法に対して、ユーザU1の不快度が閾値以上となった場合には、エージェント機器200は、その報知に対してユーザU1に謝罪をするようにする。この場合に、ユーザU1の運転負荷が高い場合には、焦っている表情、伏し目がちの表情とし、ユーザU1の負荷を増加させず、かつ、エージェント機器200がユーザU1の不快に対して何らかの反省の姿勢を示していることをユーザU1に感じさせることができる。この例を図7(C)に示す。また、ユーザU1の運転負荷が低い場合には、音声情報S12を出力しつつ、謝罪を実行する。この例を図7(D)に示す。
【0131】
図7(C)に示すように、不快に感じているユーザU1の負荷をさらに高めないように、エージェント機器200は、焦っている表情、伏し目がちの表情等の所定のしぐさをして謝罪の意思をユーザU1に伝えるようにする。この場合には、エージェント機器200は、音声出力をせずに、表情と少しの動きにより謝罪の姿勢とすることにより、ユーザU1の負荷を高めることを防止することが可能となる。
【0132】
図7(D)には、図7(C)に示す状態から、道路R1を所定距離走行した場合の状態を示す。また、図7(D)では、車両C1の周囲に他の車両が存在せず、直線状の道路R1を走行している例を示す。このように、図7(C)に示す状態から所定時間が経過し、車両C1の周囲に他の車両が存在せず、直線状の道路R1を走行しているような場合には、ユーザU1の運転負荷も低くなると想定される。このように、ユーザU1の不快度が閾値以上となった後に、ユーザU1の運転負荷が低くなった場合には、図7(D)に示すように、不快に感じているユーザU1に対して音声情報S12を出力して謝罪の意思をユーザU1に伝えるようにする。
【0133】
図7(C)(D)に示すように、謝罪の開始時においてユーザU1の運転負荷が高かった場合には、異なる謝罪態様とする2段階での謝罪を実行する。これにより、エージェント機器200がユーザU1との関係を大切にしていることをユーザU1に伝えることが可能となる。また、ユーザU1をさらに不快にすることを防止し、ユーザU1の信頼感を失うことを防止することが可能である。
【0134】
なお、図7(B)(C)に示すように、親子の歩行者W1の存在を検出できない場合、各センサが誤認識した場合等には、エージェント機器200がユーザU1に不適切な報知情報を出力することも想定される。このような場合には、その報知情報の出力後のユーザU1の反応に基づいて、情報処理装置110が各センサの誤認識等を正す処理を実行してもよい。
【0135】
このように、図7では、ユーザU1の不快の理由が車両C1の周囲の状況に関連する場合の例を示す。このような場合には、図7(D)に示すように、車両C1の周囲の状況(青信号)に言及したけど、車両C1の周囲の状況等に基づく理由で正しい情報を提供できなかったね、と言及するような謝罪とすることが好ましい。
【0136】
[シートベルトの着用を報知情報として出力した場合の謝罪例]
図8は、車両C1に乗車したユーザU1に対してシートベルトの着用に関する報知情報を出力した後にユーザU1の運転負荷に応じて謝罪の態様を変更する場合の遷移例を示す図である。
【0137】
図8(A)には、車両C1の運転席に座ったユーザU1がシートベルトを着用しようとしている状態で、エージェント機器200がシートベルトの着用に関する報知情報を出力した場合の例を示す。このように、車両C1の運転席に座ったユーザU1がシートベルトを着用しようとしている間には、情報処理装置110は、シートベルトの着用を検出できないことが多い。このような場合には、エージェント機器200がシートベルトの着用に関する報知情報を出力することが多い。しかし、ユーザU1は、シートベルトを着用しようとしていたにもかかわらず、その旨の報知がされるため、エージェント機器200に対して不快に感じることも想定される。なお、エージェント機器200に対する不快度は、上述した不快度判定処理により判定可能である。
【0138】
図8(B)には、ユーザU1の運転負荷(又はユーザU1の負荷)が高い場合のエージェント機器200の謝罪例を示す。この場合には、焦っている表情、伏し目がちの表情とし、ユーザU1の負荷を増加させず、かつ、エージェント機器200がユーザU1の不快に対して何らかの反省の姿勢を示していることをユーザU1に感じさせる態様とすることができる。
【0139】
図8(B)に示すように、不快に感じているユーザU1の負荷をさらに高めないように、エージェント機器200は、焦っている表情、伏し目がちの表情等の所定のしぐさをして謝罪の意思をユーザU1に伝えるようにする。この場合には、エージェント機器200は、音声出力をせずに、表情と少しの動きにより謝罪の姿勢とすることにより、ユーザU1の負荷を高めることを防止することが可能となる。
【0140】
図8(C)には、図8(B)に示す状態から、道路R2を所定距離走行した場合の状態を示す。また、図8(C)では、車両C2の周囲に他の車両が存在せず、直線状の道路R2を走行している例を示す。このように、図8(B)に示す状態から所定時間が経過し、車両C1の周囲に他の車両が存在せず、直線状の道路R2を走行しているような場合には、ユーザU1の運転負荷も低くなると想定される。このように、ユーザU1の不快度が閾値以上となった後に、ユーザU1の運転負荷が低くなった場合には、図8(C)に示すように、不快に感じているユーザU1に対して音声情報S22を出力して謝罪の意思をユーザU1に伝えるようにする。
【0141】
図8(B)(C)に示すように、謝罪の開始時においてユーザU1の運転負荷が高かった場合には、異なる謝罪態様とする2段階での謝罪を実行する。これにより、エージェント機器200がユーザU1との関係を大切にしていることをユーザU1に伝えることが可能となる。また、ユーザU1をさらに不快にすることを防止し、ユーザU1の信頼感を失うことを防止することが可能である。
【0142】
このように、図8では、ユーザU1の不快の理由がユーザU1の動作に関連する場合の例を示す。このような場合には、図8(C)に示すように、ユーザU1の動作(シートベルトの着用)に言及したけど、ユーザU1が正しかったねと言及するような謝罪とすることが好ましい。
【0143】
[情報処理装置の動作例]
図9は、情報処理装置110における報知謝罪処理の一例を示すフローチャートである。また、この報知謝罪処理は、記憶部130に記憶されているプログラムに基づいて制御部120により実行される。また、この報知謝罪処理は、エージェント機器200から報知情報を出力するタイミングで実行される。また、この報知謝罪処理では、図1乃至図8を適宜参照して説明する。
【0144】
ステップS501において、エージェント制御部124は、エージェント機器200からユーザU1に対する報知情報を出力させる出力処理を実行する。
【0145】
ここで、報知情報を出力するタイミングは、カメラ101、位置情報取得センサ102、音声入力部103、センサ類104等から情報処理装置110に入力された情報、通信部140を介して外部から取得されて情報処理装置110に入力された情報等の入力情報を分析する分析処理の結果に基づいて決定される。例えば、エージェント制御部124は、入力情報の分析結果に基づいて、車両C1の乗員に報知すべき情報(報知情報)があるか否かを判定する。
【0146】
例えば、バッテリセンサに基づいて、車両C1のバッテリ残量を検出可能である。そこで、バッテリ残量が閾値以下となることが判定された場合には、バッテリ残量が低下していることを報知するための報知情報があると判定される。
【0147】
例えば、シートベルトの着用の有無を検出するシートベルトセンサと、車両C1の各座席の乗員の有無を検出する着座センサ(又はシートセンサ)とに基づいて、車両C1の各座席に乗車する乗員のシートベルトの着用の有無を判定可能である。そこで、乗員が着座しているにもかかわらず、シートベルトを着用していないことが判定された場合には、その乗員に対する報知情報があると判定される。
【0148】
また、例えば、車両C1の各ドアの半ドアを検出する半ドアセンサに基づいて、車両C1の半ドアを検出可能である。そこで、半ドア状態のドアが検出された場合には、半ドア状態のドアに対する報知情報があると判定される。
【0149】
また、例えば、通信部140を介して外部機器、例えば情報提供サーバから取得された情報と、位置情報取得センサ102により取得された車両C1の現在地とに基づいて、車両C1の周囲に存在する地物、商業施設等の有無を取得可能である。そこで、例えば、車両C1の周囲に商業施設、例えば珈琲店が存在することが判定された場合には、その珈琲店の広告が報知情報としてあると判定される。また、例えば、車両C1の周囲に観光施設、例えばABC城が存在することが判定された場合には、そのABC城を案内する情報が報知情報としてあると判定される。
【0150】
ステップS502において、制御部120は、車両C1の周囲の状況と、ユーザU1とに関するセンシングを実行し、ユーザU1の不快度、ユーザU1の運転負荷、報知情報の確信度を算出する。なお、報知情報の確信度については、報知情報を出力タイミングで算出することが好ましい。また、ユーザU1の不快度と、ユーザU1の運転負荷とについては、報知情報を出力してから所定期間(例えば、謝罪が終了するまでの期間)において算出処理を継続することが好ましい。
【0151】
具体的には、不快度判定部121は、各センサから取得された各情報に基づいて、ユーザU1の不快度を算出する。例えば、図6(A)で示したように、ユーザU1の生体情報(例えば、心拍、血脈)と、ユーザU1から発せられる音と、ユーザU1の外観(例えば、表情、動き)とに基づいて、ユーザU1の不快度を算出することが可能である。
【0152】
また、負荷判定部122は、各センサから取得された各情報に基づいて、ユーザU1の運転負荷を算出する。例えば、図6(B)で示したように、ユーザU1の運転操作、車両C1の周辺状況等に基づいてユーザU1の運転負荷を算出することが可能である。また、確信度判定部123は、各センサから取得された各情報に基づいて、報知情報の確信度を算出する。例えば、図5で示したように、センシング安定度、CPU稼働率等に基づいて報知情報の確信度を算出することが可能である。
【0153】
ステップS503において、確信度判定部123は、ステップS501で出力された報知情報の確信度が基準よりも高いか否かを判定する。すなわち、確信度判定部123は、ステップS502で算出された報知情報の確信度が基準よりも高いか否かを判定する。例えば、図5(B)に示すように、センシング安定度が閾値TH1以上である場合には、報知情報の確信度が基準よりも高いと判定され、センシング安定度が閾値TH1未満である場合には、報知情報の確信度が基準よりも低いと判定される。また、例えば、図5(C)に示すように、CPU稼働率が閾値TH2以上である場合には、報知情報の確信度が基準よりも低いと判定され、CPU稼働率が閾値TH2未満である場合には、報知情報の確信度が基準よりも高いと判定される。報知情報の確信度が基準よりも高い場合には、ステップS504に進む。一方、報知情報の確信度が基準よりも低い場合には、ステップS512に進む。
【0154】
ステップS504において、不快度判定部121は、ステップS501で出力された報知情報に対してユーザU1が不快になったか否かを判定する。具体的には、不快度判定部121は、ステップS502で算出されたユーザU1の不快度が閾値以上になったか否かに基づいて、ユーザU1が不快になったか否かを判定する。例えば、図6(A)に示すように、ユーザU1の不快度が閾値TH3以上である場合には、ユーザU1が不快になったと判定され、ユーザU1の不快度が閾値TH3未満である場合には、ユーザU1が不快になっていないと判定される。ユーザU1が不快になった場合(すなわちユーザU1の不快度が閾値以上の場合)には、ステップS505に進む。一方、ユーザU1が不快になっていない場合(すなわちユーザU1の不快度が閾値未満の場合)には、報知謝罪処理の動作を終了する。なお、この不快度の判定処理については、報知情報の出力タイミングを基準として所定時間(例えば数秒乃至数十秒程度)が経過したタイミングで実行することが好ましい。この場合の所定時間は、例えば、報知情報の内容に基づいて適宜設定可能である。また、ステップS505、ステップS513以降の各処理においても、この不快度の判定処理を継続して行い、ユーザU1が不快になっていないことが判定された場合(すなわちユーザU1の不快度が閾値未満の場合)には、この判定以降の謝罪処理を実行せずに報知謝罪処理の動作を終了させてもよい。
【0155】
ステップS505において、負荷判定部122は、ステップS502で算出されたユーザU1の運転負荷が高いか否かを判定する。具体的には、負荷判定部122は、ステップS502で算出されたユーザU1の運転負荷が閾値以上になったか否かに基づいて、ユーザU1の運転負荷が高いか否かを判定する。例えば、図6(B)に示すように、ユーザU1の運転負荷が閾値TH4以上である場合には、ユーザU1の運転負荷が高いと判定され、ユーザの運転負荷が閾値TH4未満である場合には、ユーザU1の運転負荷が低いと判定される。ユーザU1の運転負荷が高い場合(すなわちユーザU1の運転負荷が閾値以上の場合)には、ステップS506に進む。一方、ユーザU1の運転負荷が低い場合(すなわちユーザU1の運転負荷が閾値未満の場合)には、ステップS507に進む。
【0156】
ステップS506において、エージェント制御部124は、エージェント機器200を所定のしぐさをさせる態様とすることによりエージェント機器200に謝罪を実行させる。例えば、図3(G)(H)、図7(C)、図8(B)に示すように、エージェント機器200に所定のしぐさを実行させる。なお、ステップS505でユーザU1の運転負荷が高いと判定されるまでの間、所定のしぐさを継続して実行する。例えば、所定のしぐさとして複数のしぐさを実行することが可能な場合には、所定時間が経過する毎に異なるしぐさとしてもよい。これにより、ユーザU1にエージェント機器200が何らかのしぐさで謝罪の気持ちを出していることを認識させることが可能となる。なお、所定のしぐさが継続して実行されている間に、所定のしぐさを認識したことによりユーザU1の不快度が閾値未満となることも想定される。この場合には、音声出力を用いた謝罪をせずに報知謝罪処理の動作を終了させてもよい。
【0157】
ステップS507において、不快度判定部121は、ステップS504で不快になったと判定されたユーザU1の不快の理由が車両C1の周辺の状況に存在するか否かを判定する。この判定方法については、図10を参照して詳細に説明する。ユーザU1の不快の理由が車両C1の周辺の状況に存在する場合には、ステップS508に進む。一方、ユーザU1の不快の理由が車両C1の周辺の状況に存在しない場合には、ステップS509に進む。
【0158】
ステップS508において、エージェント制御部124は、エージェント機器200にユーザU1を不快にしたことを謝罪させ、車両C1の周囲の状況について言及する音声情報を出力させる。例えば、図7(D)に示すように、エージェント機器200にユーザU1を不快にしたことを謝罪させるとともに、車両C1の周囲の状況について言及する音声情報S12を出力させる。なお、音声出力される車両C1の周囲の状況については、図10を参照して詳細に説明する。
【0159】
ステップS509において、不快度判定部121は、ステップS504で不快になったと判定されたユーザU1の不快の理由がユーザU1の動作に存在するか否かを判定する。この判定方法については、図11を参照して詳細に説明する。ユーザU1の不快の理由がユーザU1の動作に存在する場合には、ステップS510に進む。一方、ユーザU1の不快の理由がユーザU1の動作に存在しない場合には、ステップS511に進む。
【0160】
ステップS510において、エージェント制御部124は、エージェント機器200にユーザU1を不快にしたことを謝罪させ、ユーザU1の動作について言及する音声情報を出力させる。例えば、図8(C)に示すように、エージェント機器200にユーザU1を不快にしたことを謝罪させるとともに、ユーザU1の動作について言及する音声情報S22を出力させる。なお、音声出力されるユーザU1の動作については、図11を参照して詳細に説明する。
【0161】
ステップS511において、エージェント制御部124は、エージェント機器200にユーザU1を不快にしたことを謝罪させる。例えば、図2に示すように、エージェント機器200にユーザU1を不快にしたことを音声出力により謝罪させる。
【0162】
なお、ステップS508、S510、S511での謝罪処理については、所定タイミングで終了させる。この所定タイミングは、例えば、音声出力による謝罪を開始してから所定時間(例えば数秒乃至数十秒)が経過したタイミング、ユーザU1の不快度が閾値未満となったタイミング、ユーザU1からの所定操作(例えば、謝罪終了操作、謝罪終了を指示する音声)がされたタイミング、ユーザU1が所定の音声(例えば、もういいよ、気にしていないよ)を発したタイミング等とすることが可能である。
【0163】
ステップS512乃至S515の各処理は、ステップS504乃至S506、S511の各処理に対応するため、ここでの説明を省略する。
【0164】
上述したように、報知情報の確信度が高い場合には、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器における処理の確信度(又は報知情報)が高いと想定される。この場合には、車両C1の周囲の状況、ユーザU1の動作についても適切な情報を取得することが可能であり、ユーザU1の不快の理由を適切に判定可能となることが多い。そこで、図9に示す例では、報知情報の確信度が高い場合において、ユーザU1の不快の理由が判定できたときには、車両C1の周囲の状況、ユーザU1の動作等に言及した謝罪とする。一方、報知情報の確信度が低い場合、又は、ユーザU1の不快の理由が判定できない場合には、それらの言及をせずに謝罪する。
【0165】
なお、図9では、報知情報の確信度の判定処理後に、ユーザU1の不快度判定処理を実行し、その後に、ユーザU1の運転負荷判定処理を実行する例を示した。ただし、ユーザU1の不快度判定処理の実行後に、報知情報の確信度の判定処理を実行し、その後に、ユーザU1の運転負荷判定処理を実行してもよい。
【0166】
[車両の周囲の状況の判定例]
図10は、情報処理装置110における車両C1の周囲の状況の判定処理の一例を示すフローチャートである。また、この判定処理は、記憶部130に記憶されているプログラムに基づいて制御部120により実行される。また、この判定処理は、エージェント機器200から報知情報を出力するタイミングで実行される。また、この判定処理では、図1乃至図9を適宜参照して説明する。
【0167】
ステップS521において、不快度判定部121は、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、明暗センサ等に基づいて、車両C1の周囲が暗いか否かを判定する。例えば、日の入りとなる夕方以降、曇、雨天等には、車両C1の周囲が暗いと判定される。この判定方法については、公知の明暗判定方法を用いることが可能である。車両C1の周囲が暗い場合には、ステップS522に進む。一方、車両C1の周囲が明るい場合には、ステップS523に進む。
【0168】
ステップS522において、不快度判定部121は、車両C1の周囲が暗かったことに言及する決定をする。
【0169】
ステップS523において、不快度判定部121は、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、雨滴センサ等に基づいて、車両C1の周囲で雨が降っているか否かを判定する。この判定方法については、公知の雨判定方法を用いることが可能である。車両C1の周囲で雨が降っている場合には、ステップS524に進む。一方、車両C1の周囲に雨が降っていない場合には、ステップS525に進む。
【0170】
ステップS524において、不快度判定部121は、車両C1の周囲で雨が降っていたことに言及する決定をする。
【0171】
ステップS525において、不快度判定部121は、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、LiDAR、RADAR、Sonar等に基づいて、車両C1の周囲に交通参加者が多いか否かを判定する。例えば、交通参加者が閾値以上である場合には、車両C1の周囲に交通参加者が多いと判定される。車両C1の周囲に交通参加者が多い場合には、ステップS526に進む。一方、車両C1の周囲に交通参加者が少ない場合には、ステップS527に進む。
【0172】
ステップS526において、不快度判定部121は、車両C1の周囲は混雑していたことに言及する決定をする。
【0173】
ステップS527において、不快度判定部121は、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、地図情報、加速度センサ等に基づいて、車両C1が走行している道路の形状が複雑であるか否かを判定する。例えば、車両C1が走行している道路が狭い道路である場合、悪路である場合等には、車両C1が走行している道路の形状が複雑であると判定される。車両C1が走行している道路の形状が複雑である場合には、ステップS528に進む。一方、車両C1が走行している道路の形状が複雑でない場合には、判定処理の動作を終了する。この場合には、ステップS507(図9参照)において、不快度判定部121は、ユーザU1の不快の理由が車両C1の周辺の状況に存在しないと判定する。
【0174】
ステップS528において、不快度判定部121は、車両C1が走行している道路の形状が複雑であることに言及する決定をする。
【0175】
なお、ステップS522、S524、S526、S528の決定処理がされた場合には、ステップS507(図9参照)において、不快度判定部121は、ユーザU1の不快の理由が車両C1の周辺の状況に存在すると判定する。また、不快度判定部121は、その決定内容をエージェント制御部124に通知する。その決定内容に基づいて、エージェント制御部124は、ステップS508(図9参照)で言及する車両C1の周囲の状況を取得することが可能となる。
【0176】
このように、ユーザU1の不快の理由が車両C1の周辺の状況に存在するか否かの判定については、報知情報の出力中又はその直後における車両C1の周辺の状況に基づいて判定される。
【0177】
なお、図10では、車両C1の周囲の状況として、周囲が暗さ、雨の有無、周囲の交通参加者の数、道路形状の複雑の有無等を判定する例を示したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、車両C1の周囲の道路の渋滞状況を検出可能である。そこで、車両C1の周囲の道路が渋滞している場合には、車両C1の周囲の道路が渋滞していることに言及することが可能となる。
【0178】
[ユーザ動作の判定例]
図11は、情報処理装置110におけるユーザU1の動作の判定処理の一例を示すフローチャートである。また、この判定処理は、記憶部130に記憶されているプログラムに基づいて制御部120により実行される。また、この判定処理は、エージェント機器200から報知情報を出力するタイミングで実行される。また、この判定処理では、図1乃至図10を適宜参照して説明する。
【0179】
ステップS531において、不快度判定部121は、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、シートセンサ等に基づいて、ユーザU1が座席(シート)の位置を調整しているか否かを判定する。例えば、ユーザU1が手動操作で座席の位置を調整していることが想定される。この判定方法については、公知の画像認識技術を用いることが可能である。ユーザU1が座席の位置を調整している場合には、ステップS532に進む。一方、ユーザU1が座席の位置を調整していない場合には、ステップS533に進む。
【0180】
ステップS532において、不快度判定部121は、座席(シート)の位置調整について言及する決定をする。
【0181】
ステップS533において、不快度判定部121は、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、ミラーセンサ等に基づいて、ユーザU1が車両C1のミラーを調整しているか否かを判定する。このミラーは、例えば、車両C1のバックミラー、サイドミラー等である。この判定方法については、公知の画像認識技術を用いることが可能である。ユーザU1が車両C1のミラーを調整している場合には、ステップS534に進む。一方、ユーザU1が車両C1のミラーを調整していない場合には、ステップS535に進む。
【0182】
ステップS534において、不快度判定部121は、ミラーの調整について言及する決定をする。
【0183】
ステップS535において、不快度判定部121は、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、シートベルトセンサ等に基づいて、ユーザU1がシートベルトを締める動作をしているか否かを判定する。この判定方法については、公知の画像認識技術を用いることが可能である。ユーザU1がシートベルトを締める動作をしている場合には、ステップS536に進む。一方、ユーザU1がシートベルトを締める動作をしていない場合には、ステップS537に進む。
【0184】
ステップS536において、不快度判定部121は、シートベルトを締めていることに言及する決定をする。
【0185】
ステップS537において、不快度判定部121は、カメラ101により取得された車両C1の周囲の画像、ETC(Electronic Toll Collection System)機器等に基づいて、ユーザU1がETCカードをETC機器に入れる動作をしているか否かを判定する。この判定方法については、公知の画像認識技術を用いることが可能である。ユーザU1がETCカードをETC機器に入れる動作をしている場合には、ステップS538に進む。一方、ユーザU1がETCカードをETC機器に入れる動作をしていない場合には、判定処理の動作を終了する。この場合には、ステップS509(図9参照)において、不快度判定部121は、ユーザU1の不快の理由がユーザU1の動作に存在しないと判定する。
【0186】
ステップS538において、不快度判定部121は、ETCカードを入れていることに言及する決定をする。
【0187】
なお、ステップS532、S534、S536、S538の決定処理がされた場合には、ステップS509(図9参照)において、不快度判定部121は、ユーザU1の不快の理由がユーザU1の動作に存在すると判定する。また、不快度判定部121は、その決定内容をエージェント制御部124に通知する。その決定内容に基づいて、エージェント制御部124は、ステップS510(図9参照)で言及するユーザU1の動作を取得することが可能となる。
【0188】
このように、ユーザU1の不快の理由がユーザU1の動作に存在するか否かの判定については、報知情報の出力中又はその直後におけるユーザU1の動作に基づいて判定される。
【0189】
なお、図11では、ユーザの動作として、シート位置の調整、ミラーの調整、シートベルトの着用、ETCカードの挿入の各動作をしているか否かを判定する例を示したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))を利用してユーザU1が電子機器(例えば、スマートフォン)を忘れているか否かを検出可能である。例えば、電子機器の電源をオフした状態でユーザU1が車両C1に乗車することも想定される。この場合には、ユーザU1が電子機器を忘れていることを報知情報として出力することが考えられる。この場合に、ユーザU1が電子機器を所持しているにも関わらず、電子機器を忘れている旨の報知情報が出力されるため、ユーザU1に不快感を与えることも想定される。そこで、このような場合には、ユーザU1が電子機器を所持していることに言及することが可能となる。
【0190】
[エージェント機器を2次元で表現する例]
以上では、3次元のエージェント機器200を例にして説明した。ただし、エージェント機器の生き物らしさを表現することが可能であれば、2次元画像として、エージェント画像を表示して本実施形態を適用してもよい。また、車両C1にHUD(Head Up Display)を実現するための表示媒体が設けられている場合には、その表示媒体にエージェント画像を表示して本実施形態を適用することが可能である。
【0191】
[車両以外に設置可能なエージェント機器の例]
以上では、車両C1に設置されるエージェント機器200の例を示した。ただし、車両C1から取り外し可能なエージェント機器、車両以外に設置可能なエージェント機器等についても本実施形態を適用可能である。例えば、例えば、携帯型のエージェント機器を所持するユーザが、車両C1に乗車するときには、車両C1のダッシュボード2上にそのエージェント機器を設置し、車両C1から降りる場合には、ユーザがそのエージェント機器を所持して持ち歩くことも想定される。また、ユーザが家庭内でエージェント機器を使用することも想定される。また、エージェント画像(エージェント機器200に相当)を表示させることが可能な各種機器(例えば、ゲーム機器、眼鏡型ディスプレイ)を使用することも想定される。
【0192】
例えば、家庭内では、家庭内に設置されている各機器に関する報知情報を出力することが考えられる。例えば、お風呂が沸いたタイミング、調理器具の調理が終了したタイミング等で、その旨を報知することが想定される。また、例えば、玄関のドア、窓が開いた状態の場合に、その旨を報知することが想定される。また、例えば、ガスコンロの火を消し忘れている場合に、その旨を報知することが想定される。これらの場合には、お風呂、各調理器具、ドア、窓等に関する報知情報を提供することが想定される。
【0193】
また、ユーザの負荷は、ユーザU1の移動の有無、ユーザU1の作業の有無(例えば、機器操作の有無、調理中の有無)、ユーザU1の周辺状況等に基づいて判定が可能である。例えば、ユーザU1が移動している場合には、ユーザU1の負荷が高いと判定し、ユーザU1が停止している場合には、ユーザU1の負荷が低いと判定することが可能である。このユーザU1の移動については、ユーザU1が所持する電子機器(例えば、スマートフォン、装着可能なウェアラブル機器)の加速センサ等に基づいて取得可能である。また、ユーザU1が電子機器(例えば、スマートフォン、ゲーム機器)の操作をしている場合には、ユーザU1の負荷が高いと判定し、ユーザU1が電子機器の操作をしていない場合には、ユーザU1の負荷が低いと判定することが可能である。なお、電子機器の操作の有無については、その電子機器から取得可能な制御情報に基づいて判定可能である。また、ユーザU1が他の人と会話している場合には、ユーザU1の負荷が高いと判定し、ユーザU1が他の人と会話していない場合には、ユーザU1の負荷が低いと判定することが可能である。なお、ユーザU1の会話の有無については、音声入力装置により取得された音声情報に基づいて判定可能である。
【0194】
例えば、ユーザU1に提供された報知情報、又は、その報知の態様に対して、ユーザU1が不快になった場合には、ユーザU1の負荷に基づいて謝罪の態様を変更して実行する。なお、ユーザU1の不快度については、上述した例と同様に、ユーザU1の生体情報(例えば、心拍、血脈)と、ユーザU1から発せられる音と、ユーザU1の外観(例えば、表情、動き)とに基づいて算出可能である。また、謝罪の態様については、図9に示す例と同様である。また、エージェント機器(又はエージェント画像)を制御する際に用いられる機器の確信度に基づいて謝罪の態様を変更して実行する。なお、確信度については、上述した例と同様に、センシング安定度、CPU稼働率等に基づいて算出可能である。
【0195】
[本実施形態の効果例]
このように、本実施形態では、報知情報の出力、又は、その報知の態様がユーザU1を不快にしたような場合には、車両C1の周囲の状況、ユーザU1の状況に応じて、適切なタイミングでエージェント機器200が謝罪をするようにする。この適切なタイミングは、例えば、可能な限り早いことが好ましい。また、ユーザU1の運転負荷を考慮して謝罪の態様を変更することが好ましい。
【0196】
具体的には、ユーザU1の運転負荷が基準よりも高い場合(例えば車両C1の周囲状況が混雑している場合)には、エージェント機器200による発話により気を引かないようにすることが好ましい。ただし、この場合でも、焦るような振る舞いで謝罪の意図をできるだけ早くユーザU1に対して表現することが重要である。そこで、ユーザU1の運転負荷が基準よりも高い場合には、音声出力をさせずにエージェント機器200に所定のしぐさ(例えば、図3(G)(H)、図7(C)、図8(B)に示すしぐさ)を実行させることによりエージェント機器200に謝罪を実行させる。これにより、報知情報の出力、又は、その報知の態様がユーザU1を不快にしたような場合には、ユーザU1の負荷を増加させることなく、適切なタイミングで、かつ、迅速にユーザU1に対してエージェント機器200が謝罪することが可能となる。
【0197】
また、ユーザU1の運転負荷が基準よりも低い場合には、エージェント機器200による発話をユーザU1が受け入れられる可能性が高い。この場合には、発話により謝罪の意図をできるだけ早くユーザU1に対して表現することが重要である。そこで、ユーザU1の運転負荷が基準よりも低い場合には、エージェント機器200に謝罪に関する音声出力(例えば、図2図7(D)、図8(C)に示す音声情報)をさせることによりエージェント機器200に謝罪を実行させる。これにより、報知情報の出力、又は、その報知の態様がユーザU1を不快にしたような場合には、ユーザU1の負荷を考慮して、適切なタイミングで、かつ、迅速にユーザU1に対してエージェント機器200が謝罪することが可能となる。
【0198】
また、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器の確信度が高い場合には、それらの機器により生成される報知情報、それらの機器により取得されるユーザU1の状況等の確信度も高くなると想定される。このような場合には、報知情報、又は、その報知の態様に対する間違いを特定し易いと想定される。一方、それらの機器の確信度が低い場合には、それらの機器により生成される報知情報、それらの機器により取得されるユーザU1の状況等の確信度も低くなると想定される。このような場合には、報知情報、又は、その報知の態様に対する間違いを特定することが困難となることも想定される。
【0199】
そこで、適切なタイミングで、かつ、迅速にユーザU1に対する謝罪を実行するとともに、上述した各機器の確信度に基づいて、ユーザU1の不快に関する理由にも言及するようにする。具体的には、上述した各機器の確信度が基準よりも高く、ユーザU1の運転負荷が基準よりも低い場合には、エージェント機器200に謝罪に関する発話及びユーザU1の不快に関する理由を音声出力させて謝罪を実行する。また、上述した各機器の確信度が基準よりも低く、ユーザU1の運転負荷が基準よりも低い場合には、ユーザU1の不快に関する理由を推定することが困難であるため、エージェント機器200に謝罪に関する発話のみを音声出力させて謝罪を実行する。また、ユーザU1の運転負荷が基準よりも高い場合には、その確信度にかかわらず、音声出力をさせずにエージェント機器200に所定のしぐさを実行させることにより謝罪を実行する。このように、謝罪とともに、ユーザU1を不快にさせた理由を推定してユーザU1に伝えることにより、エージェント機器200がユーザU1のことを見ていてユーザU1との関係を大切にしていることを迅速に伝えることができる。これにより、ユーザU1とエージェント機器200との絆を深め、エージェント機器200からの報知情報をユーザU1が適切に受け入れることが可能となる。
【0200】
このように、本実施形態では、報知情報の出力、又は、その報知の態様に対する謝罪を実行する場合には、適切なタイミングで迅速に謝罪するため、ユーザU1をさらに不快にすることを防止し、ユーザU1の信頼感を失うことを防止することが可能である。また、その謝罪の際のユーザの状態(例えば、快又は不快、運転負荷の高又は低)を考慮して、謝罪するタイミング、謝罪の内容を適切に決定して実行する。このため、ユーザU1をさらに不快にすることを防止し、ユーザU1の信頼感を失うことを防止することが可能である。
【0201】
ここで、エージェント機器200の間違え等に対しては、迅速に適切なタイミングで謝罪することが、ユーザU1との関係性で重要となる。すなわち、エージェント機器200が間違ったことに対して、何もしないのではなく、何らかのフォローを迅速に適切なタイミングで実行することが重要となる。これにより、何らかの間違えがエージェント機器200において発生した場合でも、ユーザU1とエージェント機器200との絆を深めることが可能となる。また、何らかの間違えがエージェント機器200において発生し、ユーザU1を不快にさせた場合でも、その不快感を速やかに低下させることが可能となる。
【0202】
このように、本実施形態では、エージェント機器200がユーザU1との関係を大切にしていると分かる行動をすることができる。これにより、ユーザU1とエージェント機器200との絆を深め、エージェント機器200からの報知情報をユーザU1が適切に受け入れることが可能となる。
【0203】
[他の機器、他のシステムにおいて処理を実行させる例]
なお、以上では、報知謝罪処理等をエージェント機器200、情報処理装置110(又は情報処理システム100)において実行する例を示したが、それらの各処理の全部又は一部を他の機器において実行してもよい。この場合には、それらの各処理の一部を実行する各機器により情報処理システムが構成される。例えば、車載機器、ユーザが使用可能な機器(例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、IVI)、インターネット等の所定のネットワークを介して接続可能なサーバ等の各種情報処理装置、各種電子機器を用いて各処理の少なくとも一部を実行させることができる。
【0204】
また、情報処理装置110(又は情報処理システム100)の機能を実行可能な情報処理システムの一部(又は全部)については、インターネット等の所定のネットワークを介して提供可能なアプリケーションにより提供されてもよい。このアプリケーションは、例えばSaaS(Software as a Service)である。
【0205】
[本実施形態の構成例及びその効果]
本実施形態に係る情報処理方法は、エージェント機器200を用いて報知情報をユーザU1に報知する情報処理方法である。この情報処理方法は、報知情報をユーザU1に報知した後に、その報知情報又はその報知の態様に対するユーザU1の不快度を判定する不快度判定処理(ステップS502、S504、S512)と、ユーザU1の不快度が基準よりも高いと判定された場合に、その報知に関する謝罪をエージェント機器200に表現させる制御処理(ステップS505乃至S511、S513乃至S515)とを含み、制御処理(ステップS505乃至S511、S513乃至S515)では、ユーザU1の負荷に基づいて、その謝罪の態様を変更する。また、本実施形態に係るプログラムは、これらの各処理をコンピュータに実行させるプログラムである。言い換えると、本実施形態に係るプログラムは、情報処理装置110が実行可能な各機能をコンピュータに実現させるプログラムである。
【0206】
この構成によれば、報知情報の出力、又はその報知の態様に対する謝罪の際のユーザの負荷を考慮して、謝罪するタイミング、謝罪の内容を決定するため、ユーザU1をさらに不快にすることを防止し、ユーザU1の信頼感を失うことを防止することが可能である。
【0207】
本実施形態に係る情報処理方法では、ユーザU1が発する音、及び、ユーザU1の外観(例えば、動き、表情)のうちの少なくとも1つに基づいて、ユーザU1の負荷を判定する負荷判定処理(ステップS502)をさらに含み、制御処理(ステップS505乃至S511、S513乃至S515)では、ユーザU1の負荷が基準よりも低い場合には、エージェント機器200に音声出力をさせて謝罪を実行し、ユーザU1の負荷が基準よりも高い場合には、音声出力をさせずにエージェント機器200に所定のしぐさを実行させることにより謝罪を実行する。例えば、ユーザU1の負荷が基準よりも低い場合には、図2図7(D)、図8(C)に示すように、エージェント機器200に音声出力をさせて謝罪を実行する。一方、ユーザU1の負荷が基準よりも高い場合には、図7(C)、図8(B)に示すように、音声出力をさせずにエージェント機器200に所定のしぐさを実行させることにより謝罪を実行する。
【0208】
この構成によれば、ユーザU1の負荷を考慮して、ユーザU1の負荷を増加させることなく、適切なタイミングで、かつ、迅速にユーザU1に対してエージェント機器200が謝罪することが可能となる。
【0209】
本実施形態に係る情報処理方法では、エージェント機器200は、車両C1に設置可能な機器であり、ユーザU1の負荷として、ユーザU1の運転操作と、車両C1の周囲の状況とのうちの少なくとも1つに基づいて、車両C1を運転する際におけるユーザU1の運転負荷を判定する負荷判定処理(ステップS502)をさらに含み、制御処理(ステップS505乃至S511、S513乃至S515)では、ユーザU1の運転負荷が基準よりも低い場合には、エージェント機器200に音声出力をさせて謝罪を実行し、ユーザU1の運転負荷が基準よりも高い場合には、音声出力をさせずにエージェント機器200に所定のしぐさを実行させることにより謝罪を実行する。例えば、ユーザU1の運転負荷が基準よりも低い場合には、図2図7(D)、図8(C)に示すように、エージェント機器200に音声出力をさせて謝罪を実行する。一方、ユーザU1の運転負荷が基準よりも高い場合には、図7(C)、図8(B)に示すように、音声出力をさせずにエージェント機器200に所定のしぐさを実行させることにより謝罪を実行する。
【0210】
この構成によれば、ユーザU1が運転中の場合でも、ユーザU1の運転負荷を考慮して、ユーザU1の運転負荷を増加させることなく、適切なタイミングで、かつ、迅速にユーザU1に対してエージェント機器200が謝罪することが可能となる。
【0211】
本実施形態に係る情報処理方法において、制御処理(ステップS507乃至S511、S515)では、ユーザU1の運転負荷が基準よりも低い場合には、謝罪を示す表情としたエージェント機器200の顔部をユーザU1の方向に向け、その謝罪を示す音声を出力させる態様とする。例えば、図2図7(D)、図8(C)に示すように、謝罪を示す表情としたエージェント機器200の顔部(眼部)をユーザU1の方向に向け、その謝罪を示す音声を出力させる。
【0212】
この構成によれば、発話を受け入れられ、かつ、エージェント機器200の方向を向く可能性が高い場合には、エージェント機器200がユーザU1の方向を向き、発話により謝罪の意図をできるだけ早くユーザU1に対して表現することができる。これにより、ユーザU1の運転負荷を考慮して、適切なタイミングで、かつ、迅速にユーザU1に対してエージェント機器200が謝罪することが可能となる。
【0213】
本実施形態に係る情報処理方法において、エージェント機器200を制御する際に用いられる機器(例えば、図4に示す各部(特にCPU))の稼働率と、機器(例えば、図4に示す各部(特に各センサ))の安定度とのうちの少なくとも1つに基づいて、報知情報の確信度を判定する確信度判定処理(ステップS502)をさらに含み、制御処理(ステップS503乃至S515)では、ユーザU1の負荷と、確信度とに基づいて、謝罪の態様を変更する。
【0214】
この構成によれば、報知情報の出力の際の報知情報の確信度を考慮して、ユーザU1の負荷が低い場合における謝罪の内容を適切に決定して実行するため、ユーザU1をさらに不快にすることを防止し、ユーザU1の信頼感を失うことを防止することが可能である。
【0215】
本実施形態に係る情報処理方法において、制御処理(ステップS503乃至S515)では、確信度が基準よりも高く、ユーザU1の負荷が基準よりも低い場合には、エージェント機器200に謝罪に関する発話及びユーザU1の不快度に関する理由を音声出力させて謝罪を実行し、確信度が基準よりも低く、ユーザU1の負荷が基準よりも低い場合には、エージェント機器200に謝罪に関する発話を音声出力させて謝罪を実行し、ユーザU1の負荷が基準よりも高い場合には、確信度にかかわらず、音声出力をさせずにエージェント機器200に所定のしぐさを実行させることにより謝罪を実行する。例えば、確信度が基準よりも高く、ユーザU1の負荷が基準よりも低い場合には、図7(D)、図8(C)に示すように、エージェント機器200に謝罪に関する発話及びユーザU1の不快度に関する理由を音声出力させて謝罪を実行する。一方、確信度が基準よりも低く、ユーザU1の負荷が基準よりも低い場合には、図2に示すように、エージェント機器200に謝罪に関する発話を音声出力させて謝罪を実行する。また、ユーザU1の負荷が基準よりも高い場合には、図7(C)、図8(B)に示すように、確信度にかかわらず、音声出力をさせずにエージェント機器200に所定のしぐさを実行させることにより謝罪を実行する。
【0216】
この構成によれば、報知情報の確信度が基準よりも高く、ユーザU1の負荷が基準よりも低い場合には、ユーザU1の不快に関する理由にも言及するようにする。このように、謝罪とともに、ユーザU1を不快にさせた理由を推定してユーザU1に伝えることにより、エージェント機器200がユーザU1のことを見ていてユーザU1との関係を大切にしていることを迅速に伝えることができる。これにより、ユーザU1とエージェント機器200との絆を深め、エージェント機器200からの報知情報をユーザU1が適切に受け入れることが可能となる。
【0217】
本実施形態に係る情報処理方法において、不快度判定処理(ステップS502、S521乃至S528、S531乃至S538)では、ユーザU1の動作と、ユーザU1の周囲の状況とのうちの少なくとも1つに基づいて、ユーザU1を不快にさせた理由を推定し、制御処理(ステップS507乃至S510)では、確信度が基準よりも高く、ユーザU1の負荷が基準よりも低い場合において、ユーザU1を不快にさせた理由がユーザU1の周囲の状況に基づくと推定されたときには、当該周囲の状況に関する理由を音声出力させ、ユーザU1を不快にさせた理由がユーザU1の動作に基づくと推定されたときには、当該ユーザの動作に関する理由を音声出力する。例えば、ユーザU1を不快にさせた理由がユーザU1の周囲の状況に基づくと推定されたときには、図7(D)に示すように、当該周囲の状況に関する理由を音声出力させて謝罪を実行する。一方、ユーザU1を不快にさせた理由がユーザU1の動作に基づくと推定されたときには、図8(C)に示すように、当該ユーザの動作に関する理由を音声出力させて謝罪を実行する。
【0218】
この構成によれば、謝罪とともに、ユーザU1を不快にさせた理由を推定してユーザU1に伝えることにより、エージェント機器200がユーザU1のことを見ていてユーザU1との関係を大切にしていることを迅速に伝えることができる。これにより、ユーザU1とエージェント機器200との絆を深め、エージェント機器200からの報知情報をユーザU1が適切に受け入れることが可能となる。
【0219】
情報処理装置110は、エージェント機器200を用いて報知情報をユーザU1に報知する情報処理装置である。情報処理装置110は、報知情報をユーザU1に報知した後に、その報知情報又はその報知の態様に対するユーザU1の不快度を判定する不快度判定部121と、ユーザU1の不快度が基準よりも高いと判定された場合に、その報知に関する謝罪をエージェント機器200に表現させるエージェント制御部124(制御部の一例)とを備え、エージェント制御部124は、ユーザU1の負荷に基づいて、その謝罪の態様を変更する。なお、情報処理装置110は、エージェント機器200に内蔵される機器としてもよく、エージェント機器200とは異なる機器としてもよい。また、情報処理装置110の代わりに、情報処理装置110により実現される各処理を実行可能な複数の機器により構成される情報処理システムとしてもよい。
【0220】
この構成によれば、報知情報の出力、又はその報知の態様に対する謝罪の際のユーザの負荷を考慮して、謝罪するタイミング、謝罪の内容を決定するため、ユーザU1をさらに不快にすることを防止し、ユーザU1の信頼感を失うことを防止することが可能である。
【0221】
なお、本実施形態で示した各処理手順は、本実施形態を実現するための一例を示したものであり、本実施形態を実現可能な範囲で各処理手順の一部の順序を入れ替えてもよく、各処理手順の一部を省略したり他の処理手順を追加したりしてもよい。
【0222】
なお、本実施形態で示した各処理は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行されるものである。このため、本実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記録媒体の実施形態としても把握することができる。例えば、情報処理装置に新機能を追加するためのアップデート処理により、そのプログラムを情報処理装置の記憶装置に記憶させることができる。これにより、そのアップデートされた情報処理装置に本実施形態で示した各処理を実施させることが可能となる。
【0223】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0224】
100 情報処理システム、110 情報処理装置、120 制御部、121 不快度判定部、122 負荷判定部、123 確信度判定部、124 エージェント制御部、130 記憶部、131 エージェント情報DB、132 報知情報DB、133 地図情報DB、134 周囲状況DB、135 ユーザ状態DB、136 報知情報及び振る舞いDB、140 通信部、200 エージェント機器、210 表示部、220 音出力部、230 駆動部
図1
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