(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073136
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240522BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240522BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240522BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240522BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H01L29/78 658L
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 655B
H01L29/78 652P
H01L29/78 655F
H01L21/78 F
H01L21/78 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184178
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北市 幸佑
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA04
5F063AA15
5F063BA13
5F063BA28
5F063BA31
5F063BB01
5F063BB11
5F063CA01
5F063CA04
5F063DD01
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体基板の複数のチップ形成領域のそれぞれに半導体素子を形成し、スクライブ領域にダミー半導体素子を形成する。ウエハテスト工程では、スクライブ領域に設けられ、かつ、ダミー半導体素子と電気的に接続されたテスト用電極TEを用いて、前記ダミー半導体素子を検査する。ダイシング工程では、ダイシングブレードを用いて半導体基板のスクライブ領域を切断する。テスト用電極TEは、複数のパッド部PDと、それらを互いに連結する複数の連結部CNとを有する。複数の連結部CNのそれぞれの幅は、ダイシングブレードの幅よりも大きく、かつ、複数のパッド部PDのそれぞれの幅よりも小さい。平面視において、複数のパッド部PDは、ダイシングブレードの走査方向において直線状に配置され、かつ、複数の連結部CNは、ダイシングブレードの前記走査方向において千鳥状に配置されている。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)複数のチップ形成領域、および前記複数のチップ形成領域のうちの互いに隣り合う2つのチップ形成領域の間に位置するスクライブ領域を備えた半導体基板を準備する工程;
(b)前記(a)工程の後、前記複数のチップ形成領域のそれぞれに半導体素子を形成し、前記スクライブ領域にダミー半導体素子を形成する工程;
(c)前記(b)工程の後、前記スクライブ領域に設けられ、かつ、前記ダミー半導体素子と電気的に接続された金属パターンを用いて、前記ダミー半導体素子を検査する工程;
(d)前記(c)工程の後、ダイシングブレードを用いて前記半導体基板の前記スクライブ領域を切断する工程;
ここで、
前記金属パターンは、
複数の検査用パッド部と、
前記複数の検査用パッド部の間にそれぞれ設けられ、かつ、前記複数の検査用パッド部のうちの互いに隣り合う2つの検査用パッド部同士を互いに連結する複数の連結部と、
を有し、
平面視において、前記複数の連結部のそれぞれの幅は、前記ダイシングブレードの幅よりも大きく、かつ、前記複数の検査用パッド部のそれぞれの幅よりも小さく、
平面視において、前記複数の検査用パッド部は前記ダイシングブレードの走査方向において直線状に配置され、かつ、前記複数の連結部は前記ダイシングブレードの前記走査方向において千鳥状に配置されている。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の連結部のそれぞれは、前記ダイシングブレードの前記走査方向に延在し、かつ前記ダイシングブレードの前記走査方向と交差する第1方向において互いに反対側に位置する第1辺および第2辺を有しており、
前記複数の連結部は、前記検査用パッド部を間に挟んで交互に配列する第1の連結部および第2の連結部からなり、
前記第1の連結部の前記第1辺は、前記(d)工程で前記ダイシングブレードにより切断される切断領域に含まれないが、前記第1の連結部の前記第2辺は、前記切断領域に含まれ、
前記第2の連結部の前記第1辺は、前記切断領域に含まれるが、前記第2の連結部の前記第2辺は、前記切断領域に含まれない、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の検査用パッド部のそれぞれは、前記ダイシングブレードの前記走査方向に延在し、かつ前記第1方向において互いに反対側に位置する第3辺および第4辺を有している、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の連結部の前記第1辺は、前記第1の連結部の隣に位置する前記検査用パッド部の前記第3辺と整合し、
前記第2の連結部の前記第2辺は、前記第1の連結部の隣に位置する前記検査用パッド部の前記第4辺と整合している、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体素子および前記ダミー半導体素子は、それぞれIGBTである、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程により取得される半導体チップの表面には、ゲート電極とエミッタ電極と外周コレクタ電極とが形成され、かつ、前記半導体チップの前記表面とは反対側の裏面には、裏面コレクタ電極が形成されており、
前記半導体チップの表面において、前記外周コレクタ電極は、前記ゲート電極および前記エミッタ電極を囲むように、前記半導体チップの前記表面の外周部に形成されている、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1辺の長さの2倍と前記第3辺の長さの合計は、前記ゲート電極と前記外周コレクタ電極との間隔よりも小さく、かつ、前記エミッタ電極と前記外周コレクタ電極との間隔よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記ダイシングブレードの前記走査方向における前記金属パターンの長さは、前記ゲート電極と前記外周コレクタ電極との間隔よりも大きいか、あるいは、前記エミッタ電極と前記外周コレクタ電極との間隔よりも大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体チップの前記表面において、前記外周コレクタ電極と前記ゲート電極および前記エミッタ電極との間には、フィールドプレート電極が形成されている、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属パターンは、前記ダミー半導体素子を構成するIGBT用のエミッタ電極である、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)複数のチップ形成領域、および前記複数のチップ形成領域のうちの互いに隣り合う2つのチップ形成領域の間に位置するスクライブ領域を備えた半導体基板を準備する工程;
(b)前記(a)工程の後、前記複数のチップ形成領域のそれぞれに半導体素子を形成し、前記スクライブ領域にダミー半導体素子を形成する工程;
(c)前記(b)工程の後、前記スクライブ領域に設けられ、かつ、前記ダミー半導体素子と電気的に接続された金属パターンを用いて、前記ダミー半導体素子を検査する工程;
(d)前記(c)工程の後、ダイシングブレードを用いて前記半導体基板の前記スクライブ領域を切断する工程;
ここで、
前記金属パターンは、
複数の検査用パッド部と、
前記複数の検査用パッド部の間にそれぞれ設けられ、かつ、前記複数の検査用パッド部のうちの互いに隣り合う2つの検査用パッド部同士を互いに連結する複数の連結部と、
を有し、
平面視において、前記複数の連結部のそれぞれの幅は、前記ダイシングブレードの幅よりも大きく、かつ、前記複数の検査用パッド部のそれぞれの幅よりも小さく、
前記複数の連結部のそれぞれは、
前記ダイシングブレードの走査方向に延在する第1辺と、
前記ダイシングブレードの前記走査方向に延在し、かつ、前記走査方向と交差する第1方向において前記第1辺の反対側に位置する第2辺と、
を有しており、
前記複数の連結部は、各検査用パッド部を介して交互に配置された第1連結部および第2連結部からなり、
平面視において、前記複数の検査用パッド部は、前記ダイシングブレードの前記走査方向において直線状に配置され、
前記(d)工程において、前記第1連結部の前記第2辺および前記第2連結部の前記第1辺のそれぞれは前記ダイシングブレードにより切断される切断領域に含まれるが、前記第1連結部の前記第1辺および前記第2連結部の前記第2辺のそれぞれは前記切断領域に含まれない、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、例えば、半導体基板の切断工程を有する半導体装置の製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
特開2005-340423号公報(特許文献1)、特開2014-165388号公報(特許文献2)および特開2015-56605号公報(特許文献3)には、半導体基板を切断する工程を有する半導体装置の製造方法に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-340423号公報
【特許文献2】特開2014-165388号公報
【特許文献3】特開2015-56605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板の切断工程を有する半導体装置の製造方法により製造した半導体装置において、信頼性を向上させることが望まれる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、以下の(a)~(d)工程を含む。(a)複数のチップ形成領域および前記複数のチップ形成領域の間に位置するスクライブ領域を備えた半導体基板を準備する工程。(b)前記(a)工程の後、前記複数のチップ形成領域のそれぞれに半導体素子を形成し、前記スクライブ領域にダミー半導体素子を形成する工程。(c)前記(b)工程の後、前記スクライブ領域に設けられた金属パターンを用いて、前記ダミー半導体素子を検査する工程。(d)前記(c)工程の後、ダイシングブレードを用いて前記半導体基板の前記スクライブ領域を切断する工程。ここで、前記金属パターンは、複数の検査用パッド部と、それらを連結する複数の連結部とを有する。平面視において、前記複数の連結部のそれぞれの幅は、前記ダイシングブレードの幅よりも大きく、かつ、前記複数の検査用パッド部のそれぞれの幅よりも小さい。平面視において、前記複数の検査用パッド部は前記ダイシングブレードの前記走査方向において直線状に配置され、かつ、前記複数の連結部は前記ダイシングブレードの前記走査方向において千鳥状に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
【
図4】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図5】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図6】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図7】一実施の形態の半導体装置の製造工程で用いられる半導体基板の平面図である。
【
図8】
図7の一部を拡大した部分拡大平面図である。
【
図9】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図10】
図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図11】
図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図12】
図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図13】
図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図14】
図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図15】
図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図16】一実施の形態の半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
【
図17】半導体基板のスクライブ領域に形成されたテスト用電極を示す平面図である。
【
図18】半導体基板のスクライブ領域に形成されたテスト用電極を示す平面図である。
【
図19】ダイシング工程を行う前の段階における半導体基板のスクライブ領域の断面図である。
【
図20】ダイシング工程を行う前の段階における半導体基板のスクライブ領域の断面図である。
【
図21】ダイシング工程を行う前の段階における半導体基板のスクライブ領域の断面図である。
【
図22】半導体基板のスクライブ領域に形成された検討例のテスト用電極を示す平面図である。
【
図23】半導体基板のスクライブ領域に形成された検討例のテスト用電極を示す平面図である。
【
図24】ダイシング工程を行う前の段階における半導体基板のスクライブ領域の断面図である。
【
図25】ダイシング工程を行う前の段階における半導体基板のスクライブ領域の断面図である。
【
図26】検討例のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレードで切断する様子を示す断面図である。
【
図27】検討例のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレードで切断する様子を示す断面図である。
【
図28】検討例のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレーで切断した後の状態を示す断面図である。
【
図29】検討例のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレーで切断した後の状態を示す断面図である。
【
図30】ダイシング工程後における検討例のテスト用電極の切断残りを示す平面図である。
【
図31】飛散した金属パターンが保護膜上に付着した状態を示す断面図である。
【
図32】一実施の形態のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレードで切断する様子を示す断面図である。
【
図33】一実施の形態のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレードで切断する様子を示す断面図である。
【
図34】一実施の形態のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレードで切断する様子を示す断面図である。
【
図35】一実施の形態のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレーで切断した後の状態を示す断面図である。
【
図36】一実施の形態のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレーで切断した後の状態を示す断面図である。
【
図37】一実施の形態のテスト用電極が形成された半導体基板のスクライブ領域をダイシングブレーで切断した後の状態を示す断面図である。
【
図38】ダイシング工程後におけるテスト用電極の切断残りを示す平面図である。
【
図39】飛散した金属パターンが保護膜上に付着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0012】
<半導体装置の構造について>
本実施の形態の半導体装置(半導体チップ)CPの構造について、
図1~
図6を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置CPの上面図であり、
図2は、本実施の形態の半導体装置CPの下面図(裏面図)である。
図3は、本実施の形態の半導体装置CPの平面透視図であり、
図4~
図6は、本実施の形態の半導体装置CPの要部断面図である。
図4および
図5は、
図3に示される素子領域DRの要部断面図であるが、
図4は、エミッタ電極EEが保護膜PFの開口部(エミッタパッド用の開口部)から露出されている領域における断面図に対応し、
図5は、エミッタ電極EEが保護膜PFで覆われている領域における断面図に対応している。
図6は、
図3に示される周辺領域PRの要部断面図である。
【0013】
本実施の形態の半導体装置(半導体チップ)CPは、例えば、パワートランジスタ(電力系トランジスタ)を備えるパワーデバイスであり、半導体装置CPを構成する半導体基板SBにパワートランジスタが形成されている。半導体装置CPを構成する半導体基板SBは、例えば単結晶シリコンからなり、主面と、それとは反対側の裏面とを有している。半導体装置CPおよびそれを構成する半導体基板SBは、矩形状の平面形状を有している。
【0014】
半導体装置CPは、最上層配線(最上層の導体層)として、エミッタ電極EEとゲート電極GEとフィールドプレート電極FPと外周電極(外周配線、外周コレクタ電極)SEとを有している。エミッタ電極EEとゲート電極GEとフィールドプレート電極FPと外周電極SEと後述するテスト用電極TEは、いずれも金属材料からなるため、金属電極、金属配線または金属パターンとみなすことができる。
【0015】
エミッタ電極EEとゲート電極GEとフィールドプレート電極FPと外周電極SEとは、同層の金属パターンであり、例えば、バリア導体膜とその上に形成された主導体膜との積層導体膜からなる。バリア導体膜は、例えば、チタンタングステン(TiW)からなり、また、主導体膜は、バリア導体膜よりも厚く、例えば、アルミニウム(Al)膜またはアルミニウム合金膜からなる。
【0016】
平面視において、半導体装置CPの中央にエミッタ電極EEおよびゲート電極GEが配置され、エミッタ電極EEの外周側(外側)にフィールドプレート電極FPが配置され、フィールドプレート電極FPの外周側(外側)に外周電極SEが配置されている。エミッタ電極EEの平面寸法(平面積)は、ゲート電極GEの平面寸法(面積)よりも大きい。
【0017】
なお、本願において、平面視とは、半導体基板SBの主面または裏面に平行な平面で見た場合に対応している。
【0018】
また、
図3からも分かるように、半導体装置CPを構成する半導体基板SBの主面の中央には、素子領域DRが配置され、素子領域DRの外周側には、素子領域DRを取り囲むように周辺領域(外周領域)PRが配置されている。素子領域DRは、半導体素子が形成された領域である。素子領域DRには、複数(多数)の単位トランジスタセルが配置されており、それら複数の単位トランジスタが並列に接続されることで、半導体素子としてパワートランジスタが構成されている。個々の単位トランジスタセルは、同じ構造を有している。
【0019】
エミッタ電極EEは、半導体装置CP(半導体基板SB)に形成されたパワートランジスタのエミッタ領域と電気的に接続されている。エミッタ電極EEは、素子領域DR全体を覆うように形成されており、従って、平面視において、エミッタ電極EEは素子領域DRを内包している。
【0020】
ゲート電極GEは、半導体装置CP(半導体基板SB)に形成されたパワートランジスタのゲート(ゲート電極)と電気的に接続されている。
図1には示していないが、ゲート電極GEと一体的に形成されたゲート配線を設けることもできる。
【0021】
平面視において、フィールドプレート電極FPは、エミッタ電極EEおよびゲート電極GEを囲むように、エミッタ電極EEおよびゲート電極GEの外周側(外側)に配置されている。フィールドプレート電極FPは、環状または枠状の電極である。また、平面視において、外周電極SEは、フィールドプレート電極FPを囲むように、フィールドプレート電極FPの外周側(外側)に配置されている。外周電極SEは、環状または枠状の電極である。このため、平面視において、外周電極SEは、エミッタ電極EEおよびゲート電極GEを囲むように、半導体装置CPの表面の外周部(外縁部)に形成されている。外周電極SEは、半導体装置CPの表面の外周部(外縁部)に沿うように形成されている。フィールドプレート電極FPは、平面視において、エミッタ電極EEおよびゲート電極GEと外周電極SEとの間に配置されている。外周電極SEは、半導体装置CP(半導体基板SB)に形成されたパワートランジスタのコレクタ領域と電気的に接続されている。このため、外周電極SEもコレクタ電極とみなすことができる。
【0022】
半導体装置CPの裏面には、裏面電極としてコレクタ電極(裏面コレクタ電極)CEが形成されている。半導体装置CPにおいて、コレクタ電極CEは、エミッタ電極EE、ゲート電極GE、フィールドプレート電極FPおよび外周電極SEとは反対側に位置している。コレクタ電極CEは、半導体装置CPの裏面全体に形成されている。コレクタ電極CEは、半導体装置CP(半導体基板SB)に形成されたパワートランジスタのコレクタ領域と電気的に接続されている。
【0023】
半導体装置CPの外部端子(外部接続用端子)として機能するのは、表面側のエミッタ電極EEおよびゲート電極GEと、裏面側のコレクタ電極CEである。フィールドプレート電極FPおよび外周電極SEは、保護膜PFで覆われており、露出されていないため、半導体装置CPの外部端子としては機能しない。
【0024】
フィールドプレート電極FPは、少なくとも一つ設けるが、複数設けることが好ましい。
図1および
図6の場合は、一例として、フィールドプレート電極FPを3つ設けている場合が示されているが、フィールドプレート電極FPの数は、3つに限定されない。
【0025】
素子領域DRの単位トランジスタセルについて、
図4および
図5を参照して以下に説明する。
図4および
図5は、
図3の素子領域DRに配置された単位トランジスタセルの一例を示す要部断面図である。但し、上述のように、
図4は、エミッタ電極EEが保護膜PFの開口部から露出されている領域における断面図に対応し、
図5は、エミッタ電極EEが保護膜PFで覆われている領域における断面図に対応している。
【0026】
図4および
図5に示されるように、単位トランジスタセルとして、例えば、メサ型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)が形成されている。以下では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを、単にトランジスタと称する。トランジスタは、p型のコレクタ領域CLと、n型のエミッタ領域ERと、これらの間のn
-型のドリフト領域DFおよびp型のチャネル形成領域CHと、トレンチゲート電極TGとを有している。
【0027】
すなわち、半導体基板SBの裏面側には、半導体基板SBの裏面から所定の深さにわたってp型のコレクタ領域CLが形成されている。コレクタ領域CLは、半導体基板SBに形成されたp型半導体領域からなる。半導体基板SBの裏面上には、コレクタ電極CEが形成されており、コレクタ領域CLは、コレクタ電極CEに隣接して、コレクタ電極CEと電気的に接続されている。コレクタ電極CEは、例えば、半導体基板SBの裏面上のアルミニウム(Al)層と、その上のチタン(Ti)層と、その上のニッケル(Ni)層と、その上の金(Au)層との積層膜からなる。コレクタ電極CEは、半導体基板SBの裏面全面上に形成されている。
【0028】
p型のコレクタ領域CLとn-型のドリフト領域DFとの間には、n型のフィールドストップ領域FSが形成されている。フィールドストップ領域FSは、半導体基板SBに形成されたn型半導体領域からなり、ドリフト領域DFは、半導体基板SBに形成されたn型半導体領域からなる。フィールドストップ領域FSのn型不純物濃度は、ドリフト領域DFのn型不純物濃度よりも高く、また、エミッタ領域ERのn型不純物濃度は、フィールドストップ領域FSのn型不純物濃度よりも高い。
【0029】
半導体基板SBの主面側には、半導体基板SBの主面から所定の深さにわたってn型のエミッタ領域ERが形成されている。エミッタ領域ERは、半導体基板SBに形成されたn型半導体領域からなる。ドリフト領域DFおよびチャネル形成領域CHのうち、チャネル形成領域CHがエミッタ領域ERと隣接しており、チャネル形成領域CHの上部にエミッタ領域ERが位置し、エミッタ領域ERとドリフト領域DFとの間にはチャネル形成領域CHが介在している。p型のチャネル形成領域CHは、半導体基板SBに形成されp型半導体領域からなる。
【0030】
また、素子領域DRにおいて、半導体基板SBには、その主面から半導体基板SBの厚さ方向に延びる溝(ゲート溝)TRが形成されている。溝TRは、エミッタ領域ERとその下のチャネル形成領域CHとを貫通して、ドリフト領域DFに達するように形成されている。別の見方をすると、隣り合う溝TRの間にチャネル形成領域CHが形成され、チャネル形成領域CHの上部で、かつ、溝TRに隣接する位置に、エミッタ領域ERが形成されている。
【0031】
溝TR内には、ゲート絶縁膜GFを介してトレンチゲート電極TGが埋め込まれている。ゲート絶縁膜GFは、例えば酸化シリコン膜からなり、溝TRの底面および側面に形成されている。トレンチゲート電極TGは、例えばn型不純物(例えばリン)が導入された多結晶シリコン膜からなる。トレンチゲート電極TGは、上記単位トランジスタセルのゲート(ゲート電極)としての機能を有している。トレンチゲート電極TGは、上記ゲート電極GEと電気的に接続されている。
【0032】
また、半導体基板SBの主面上に、エミッタ領域ERおよびトレンチゲート電極TGの上面を覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)ZFが形成されている。絶縁膜ZFは、例えば酸化シリコン膜などからなる。絶縁膜ZFは、半導体基板SBの主面全体上に形成されており、層間絶縁膜として機能する。絶縁膜ZF上には、上記エミッタ電極EE、ゲート電極GE、フィールドプレート電極FPおよび外周電極SEが形成されている。但し、素子領域DRにおいては、絶縁膜ZF上には、エミッタ電極EEが形成されている。
【0033】
また、素子領域DRにおいて、絶縁膜ZFおよびエミッタ領域ERを貫通してチャネル形成領域CHに達するコンタクトホール(接続溝)CT1が形成されている。コンタクトホールCT1内は、エミッタ電極EEで埋め込まれている。エミッタ電極EEは、コンタクトホールCT1の側面から露出するエミッタ領域ERと接して、そのエミッタ領域ERと電気的に接続されている。また、エミッタ電極EEは、コンタクトホールCT1の底部で露出するp型のチャネル形成領域CHと接して、そのp型のチャネル形成領域CHと電気的に接続されている。なお、コンタクトホールCT1の底部に隣接する位置にp型のチャネル形成領域CHよりも高不純物濃度のp型半導体領域を設けておき、エミッタ電極EEを、そのp型半導体領域を通じてp型のチャネル形成領域CHと電気的に接続することもできる。平面視において、エミッタ電極EEは、パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルが形成された素子領域DR全体にわたって形成されている。
【0034】
半導体装置CPは、最上層の膜(絶縁膜)として、絶縁性の保護膜(表面保護膜、パッシベーション膜)PFを有している。保護膜PFは、絶縁膜からなるが、好ましくは、ポリイミド樹脂などの樹脂膜からなる。エミッタ電極EEとゲート電極GEとフィールドプレート電極FPと外周電極SEとは、保護膜PFで覆われている。すなわち、絶縁膜ZF上に、エミッタ電極EEとゲート電極GEとフィールドプレート電極FPと外周電極SEとを覆うように、保護膜PFが形成されている。
【0035】
但し、保護膜PFには、パッド(ボンディングパッド)用の開口部が形成されている。保護膜PFのエミッタパッド用の開口部OPEは、平面視においてエミッタ電極EEに内包されるように形成されており、保護膜PFのエミッタパッド用の開口部OPEからエミッタ電極EEの一部が露出される。保護膜PFのエミッタパッド用の開口部OPEから露出するエミッタ電極EEにより、エミッタパッド(エミッタ用のボンディングパッド)が形成される。また、保護膜PFのゲートパッド用の開口部OPGは、平面視においてゲート電極GEに内包されるように形成されており、保護膜PFのゲートパッド用の開口部OPGからゲート電極GEの一部が露出される。保護膜PFのゲートパッド用の開口部OPGから露出するゲート電極GEにより、ゲートパッド(ゲート用のボンディングパッド)が形成される。上記フィールドプレート電極FPと外周電極SEとは、全体が保護膜PFで覆われており、保護膜PFから露出されない。
【0036】
素子領域DRに形成されている複数の単位トランジスタセルのトレンチゲート電極TGは、トレンチゲート電極TGと一体的に形成されたゲート接続部(図示せず)や、ゲート電極GEと一体的に形成されたゲート配線(図示せず)などを通じて、互いに電気的に接続されるとともに、ゲート電極GEと電気的に接続されている。
【0037】
また、パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルのエミッタ領域ERは、エミッタ電極EEに電気的に接続されるとともに、そのエミッタ電極EEを通じて互いに電気的に接続されている。
【0038】
また、パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルのコレクタ領域は、コレクタ領域CLおよびコレクタ電極CEを通じて、互いに電気的に接続されている。
【0039】
また、ここでは、素子領域DRに形成する半導体素子としてIGBTを適用した場合について説明した。他の形態として、素子領域DRに形成する半導体素子として、上記したIGBTに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を形成してもよい。その場合は、エミッタ領域ERはソース領域となり、エミッタ電極EEはソース電極となり、コレクタ領域CLは形成されず、コレクタ電極CEはドレイン電極となり、後述するテスト電極TEはソース電極となる。なお、MOSFETにおいては、ゲート絶縁膜は、酸化膜(酸化シリコン膜)に限定されない。また、素子領域DRに形成する半導体素子として、IGBTやパワーMOSFETに代えて、RC(Reverse-Conducting)-IGBTやバイポーラトランジスタ(Bipolar Transistor)等のような他のトランジスタを単位トランジスタセルとして適用してもよい。また、素子領域DRに形成する半導体素子としてダイオードを適用することもできる。その場合は、エミッタ電極EEとコレクタ電極CEのうちの一方がアノード電極となり、他方がカソード電極となり、ゲート電極GEは形成されない。
【0040】
次に、半導体装置CP(半導体基板SB)の周辺領域(PR)について、
図1および
図6を参照して説明する。
【0041】
図6に示されるように、半導体装置CPの周辺領域において、半導体基板SBの主面側には、p型半導体領域FPRとn型半導体領域NRとが形成されている。p型半導体領域FPRは、平面視において、素子領域DRを囲むように形成されている。平面視において、p型半導体領域FPRは、環状または枠状のパターンであり、フィールドリミッティングリングとして機能する。p型半導体領域FPRは、フィールドプレート電極FPの下方を、フィールドプレート電極FPに沿うように延在しており、p型半導体領域FPRの数とフィールドプレート電極FPの数は一致している。n型半導体領域NRは、環状または枠状のパターンであり、外周電極SEの下方を、フィールドプレート電極FPに沿うように延在している。
【0042】
p型半導体領域FPR上には、絶縁膜ZFを貫通するコンタクトホール(接続溝)CT2が形成されており、コンタクトホールCT2内は、フィールドプレート電極FPで埋め込まれている。フィールドプレート電極FPは、p型半導体領域FPRと接して、そのp型半導体領域FPRと電気的に接続されている。n型半導体領域NR上には、絶縁膜ZFを貫通するコンタクトホール(接続溝)CT3が形成されており、コンタクトホールCT3内は、外周電極SEで埋め込まれている。外周電極SEは、n型半導体領域NRと接して、そのn型半導体領域NRと電気的に接続されている。外周電極SEは、半導体基板SBを通じてコレクタ電極CEと電気的に接続される。
【0043】
半導体装置CPの動作時には、エミッタ電極EEやゲート電極GEに印加される電圧(例えば0V~30V程度)よりもかなり高い電圧(例えば数百V、一例として750V程度)が、コレクタ電極CEに印加される。コレクタ電極CEに印加された電圧は、半導体装置CPを構成する半導体基板SBを通じて外周電極SEにも印加される。このため、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間、およびゲート電極GEと外周電極SEとの間には、大きな電位差が発生する。しかしながら、半導体基板SBに設けたp型半導体領域FPR(フィールドリミッティングリング)や半導体基板SB上に設けたフィールドプレート電極FPにより、周辺領域PRにおける半導体基板SBの内部の電界分布が均一化される。また、フィールドプレート電極FPを用いたことで、半導体基板SBの上面の電位が固定される。このため、半導体装置CPの周辺領域PRの耐圧が向上し、半導体装置CPの信頼性を向上させることができる。
【0044】
<半導体装置の製造方法>
本実施の形態の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。
図7は、本実施の形態の半導体装置の製造工程で用いられる半導体基板(半導体ウエハ)SBの平面図であり、
図8は、
図7の一部を拡大して示す部分拡大平面図である。
図9~
図15は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図9~
図15のそれぞれにおいて、図中の左側に示される断面は、上記
図5に対応する断面(すなわちチップ形成領域CRに含まれる素子領域DRの断面)であり、図中の右側に示される断面は、スクライブ領域SRに含まれるテスト素子領域TSの断面である。
【0045】
まず、
図7~
図9に示されるように、半導体基板(半導体ウエハ)SBを用意(準備)する。この段階では、半導体基板SBは、平面視で略円形状の半導体ウエハである。半導体基板SBは、主面と、それとは反対側の裏面とを有している。半導体基板SBは、例えば単結晶シリコンからなり、n型不純物が導入されたn
-型の半導体基板を用いることができる。半導体基板SBとして、半導体基板上にエピタキシャル半導体層を形成したエピタキシャルウエハを用いることもできる。
【0046】
ここで、
図7および
図8に示されるように、半導体基板SBは、そこから半導体チップ(半導体装置)が取得される予定の領域であるチップ形成領域(半導体チップ領域、半導体装置領域)CRと、各チップ形成領域CRの間のスクライブ領域(切断領域)SRとを有しており、各チップ形成領域CRは、平面視でスクライブ領域SRに囲まれている。すなわち、半導体基板SBにおいては、複数のチップ形成領域CRがアレイ状に配列しており、アレイ状に配列するチップ形成領域CRの間の領域が、スクライブ領域SRに対応している。従って、半導体基板SBにおいて、アレイ状に配列する複数のチップ形成領域CRは、スクライブ領域SRによって区画されている。ダイシング工程(切断工程)において、スクライブ領域SRに沿って半導体基板SBを切断(ダイシング)することにより、各チップ形成領域CRが個片化されて、半導体チップ(半導体装置CP)となり、その半導体チップが、上記半導体装置CPに対応している。チップ形成領域CRとスクライブ領域SRとは、同一の半導体基板SBの主面における互いに異なる平面領域に対応している。
【0047】
半導体基板SBのスクライブ領域SRには、テスト(試験、検査)用の半導体素子が形成されるテスト素子領域TSが存在している。テスト素子領域TSは、TEG(Test Element Group)が形成される領域とみなすこともできる。また、半導体基板SBのチップ形成領域CRには、上述した素子領域DRが存在している。素子領域DRは、チップ形成領域CRに含まれており、各チップ形成領域CRが個片化されて半導体装置CPが製造されると、素子領域DRは、その半導体装置CPに含まれることになる。この段階では、素子領域DRとテスト素子領域TSのいずれにも、半導体素子は形成されていない。以降の工程で、チップ形成領域CRの素子領域DRに、製造後の半導体装置CP(製品としての半導体装置CP)で使用され得る半導体素子(ここではIGBT)が形成される。スクライブ領域SRのテスト素子領域TSには、チップ形成領域CRの素子領域DRに形成される半導体素子と同じ構造の半導体素子(ここではIGBT)が、チップ形成領域CRの素子領域DRに形成される半導体素子と同じ工程で、形成される。但し、テスト素子領域TSの平面寸法(平面積)は、素子領域DRの平面寸法(平面積)よりも小さい。後述するウエハ工程において、テスト素子領域TSは、スクライブ領域SRに含まれており、各チップ形成領域CRが個片化されて半導体装置CPが製造されると、テスト素子領域TSの一部または全部は、その半導体装置CPには含まれないことになる。テスト素子領域TSに形成される半導体素子(ここではIGBT)は、テスト用の半導体素子(所謂、ダミー半導体素子)であり、製品としての半導体装置CPで使用される半導体素子ではない。本実施の形態では、素子領域DRに形成される半導体素子と、テスト素子領域TSに形成されるダミー半導体素子は、IGBTなどの縦型の半導体素子である。ここで、縦型の半導体素子とは、半導体基板の厚さ方向に電流が流れる半導体素子に対応している。
【0048】
次に、
図10に示されるように、素子領域DRおよびテスト素子領域TSにおける半導体基板SBに溝TRをエッチングにより形成してから、溝TRの内面(側面および底面)にゲート絶縁膜GFを熱酸化法などを用いて形成する。それから、半導体基板SBの主面上に、溝TR内を埋めるように、トレンチゲート電極TG形成用の導体膜(例えば多結晶シリコン膜)をCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などで形成してから、その導体膜をエッチバックする。これにより、溝TR内にゲート絶縁膜GFを介して残存する導体膜により、トレンチゲート電極TGが形成される。
【0049】
次に、素子領域DRおよびテスト素子領域TSにおける半導体基板SBにp型のチャネル形成領域CHをイオン注入法を用いて形成し、その後、n型のエミッタ領域ERをイオン注入法を用いて形成する。それから、チップ形成領域CRの上記周辺領域PRにおける半導体基板SBに、上記p型半導体領域FPR(上記
図6参照)をイオン注入法を用いて形成し、上記n型半導体領域NR(上記
図6参照)をイオン注入法を用いて形成する。p型のチャネル形成領域CH、n型のエミッタ領域ER、p型半導体領域FPRおよびn型半導体領域NRの形成順は、任意である。また、上記溝TRを形成する前に、p型のチャネル形成領域CH、n型のエミッタ領域ER、p型半導体領域FPRおよびn型半導体領域NRのうちの任意のものを形成することもできる。
【0050】
次に、
図11に示されるように、半導体基板SBの主面上に、トレンチゲート電極TGを覆うように、絶縁膜ZFを形成する。絶縁膜ZFは、例えば、酸化シリコン膜の単体膜や、あるいは、薄い窒化シリコン膜とそれよりも厚い酸化シリコン膜との積層膜などからなる。絶縁膜ZFは、層間絶縁膜として機能することができる。
【0051】
次に、
図12に示されるように、絶縁膜ZFに、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてコンタクトホールCT1,CT2,CT3(コンタクトホールCT2,CT3は上記
図6参照)を形成する。素子領域DRおよびテスト素子領域TSにおいて、コンタクトホールCT1は、絶縁膜ZFおよびエミッタ領域ERを貫通してチャネル形成領域CHに達するように形成される。
【0052】
次に、
図13に示されるように、コンタクトホールCT1,CT2,CT3内を埋め込むように絶縁膜ZF上に金属膜を形成してから、その金属膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、エミッタ電極EE、テスト用電極TE、上記ゲート電極GE、上記フィールドプレート電極FPおよび上記外周電極SEを形成する。なお、ゲート電極GE、フィールドプレート電極FPおよび外周電極SEについては、
図13には示されないが、上記
図1および
図6に示されている。
【0053】
テスト用電極(金属パターン)TEは、テスト素子領域TSに形成された半導体素子(ダミー半導体素子)と電気的に接続されている。具体的には、テスト用電極TEは、テスト素子領域TSに形成された半導体素子(IGBT)のエミッタ領域と電気的に接続されており、テスト素子領域TSに形成された半導体素子(IGBT)用のエミッタ電極として機能することができる。テスト用電極TEは、テスト素子領域TS全体を覆うように形成されており、従って、平面視において、テスト用電極TEは、テスト素子領域TSを内包している。
【0054】
テスト素子領域TSについて更に具体的に説明する。
図13に示されるように、テスト素子領域TSにおいて、絶縁膜ZFおよびエミッタ領域ERを貫通してチャネル形成領域CHに達するコンタクトホール(接続溝)CT1が形成されており、このコンタクトホールCT1内は、テスト用電極TEで埋め込まれている。テスト用電極TEは、コンタクトホールCT1の側面から露出するエミッタ領域ERと接して、そのエミッタ領域ERと電気的に接続されている。また、テスト用電極TEは、コンタクトホールCT1の底部で露出するp型のチャネル形成領域CHと接して、そのp型のチャネル形成領域CHと電気的に接続されている。なお、コンタクトホールCT1の底部に隣接する位置にp型のチャネル形成領域CHよりも高不純物濃度のp型半導体領域を設けておき、テスト用電極TEを、そのp型半導体領域を通じてp型のチャネル形成領域CHと電気的に接続することもできる。平面視において、テスト用電極TEは、パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルが形成されたテスト素子領域TS全体にわたって形成されている。
【0055】
テスト素子領域TSに形成されたトレンチゲート電極TGは、上記ゲート電極GEと電気的に接続されている。他の形態として、テスト素子領域TSに形成されたトレンチゲート電極TGと電気的に接続されたゲート電極(図示せず)を、スクライブ領域SRの絶縁膜ZF上に形成することもできる。
【0056】
次に、
図14および上記
図6に示されるように、絶縁膜ZF上に、エミッタ電極EE、テスト用電極TE、ゲート電極GE、フィールドプレート電極FPおよび外周電極SEを覆うように、ポリイミド樹脂などからなる保護膜PFを形成する。それから、保護膜PFに、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて上記開口部OPE,OPG(上記
図1参照)を形成する。開口部OPE,OPGを形成する際には、スクライブ領域SRの保護膜PFも除去する。
図14には、この段階が示されている。これにより、スクライブ領域SRでは、絶縁膜ZF上に保護膜PFは形成されておらず、テスト用電極TEは、保護膜PFで覆われずに露出された状態になる。保護膜PFのエミッタパッド用の開口部OPEからエミッタ電極EEの一部が露出されてエミッタパッドが形成され、保護膜PFのゲートパッド用の開口部OPGから上記ゲート電極部GEが露出されてゲートパッドが形成される。
【0057】
次に、必要に応じて半導体基板SBの裏面側を研削して半導体基板SBを薄くする。
【0058】
次に、
図15に示されるように、半導体基板SBの裏面側に、イオン注入法を用いてn型のフィールドストップ領域FSを形成してから、イオン注入法を用いてp型のコレクタ領域CLを形成する。
【0059】
次に、半導体基板SBの裏面上にスパッタリング法などを用いてコレクタ電極CEを形成する。
【0060】
このようにして、ウエハプロセスが行われる。
【0061】
図16は、半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
図16に示されるように、半導体装置の製造工程は、ウエハプロセスと、ウエハテスト工程(ウエハ検査工程)と、ダイシング工程(半導体基板SBの切断工程)と、組み立て工程と、を順に有している。
図7~
図15を参照して説明したのは、ウエハプロセスに対応している。
【0062】
ウエハプロセスの詳細は上述した。ウエハプロセスは、複数のチップ形成領域CR、および複数のチップ形成領域CRのうちの互いに隣り合う2つのチップ形成領域CR間に位置するスクライブ領域SRを備えた半導体基板SBを準備する工程、を含んでいる。ウエハプロセスは、更に、半導体基板SBを準備する工程の後、複数のチップ形成領域CR(の素子領域DR)のそれぞれに半導体素子を形成し、スクライブ領域SR(のテスト素子領域TS)にダミー半導体素子を形成する工程、を含んでいる。
【0063】
ウエハプロセスの後で、ウエハテスト(ウエハ検査)工程が行われる。ウエハテスト工程は、ダイシング工程(半導体基板SBの切断工程)の前に行われる検査工程である。ウエハテスト工程では、半導体基板SB(半導体ウエハ)のスクライブ領域SRに設けられたテスト用電極TEを用いて、スクライブ領域SRのテスト素子領域TSに形成された半導体素子(ダミー半導体素子)の検査(電気的試験)を行う。上述のように、テスト用電極TEは、スクライブ領域SRのテスト素子領域TSに形成された半導体素子(ダミー半導体素子)と電気的に接続されている。このため、テスト用電極TEを用いて、テスト素子領域TSに形成された半導体素子(ダミー半導体素子)を検査することができ、それによって、素子領域DRに形成された半導体素子を間接的に検査(評価)することができる。
【0064】
ウエハテスト工程では、テスト用電極TEに試験(検査)用のプローブPRB(後述の
図19参照)を接触させる(押し当てる)。テスト素子領域TSに形成された半導体素子の検査(電気的試験)を行い、その結果で、素子領域DRに形成された半導体素子を評価することができる。テスト素子領域TSに形成された半導体素子と素子領域DRに形成された半導体素子とは、ほぼ同様の構造を有し、かつ、同工程で形成されるため、テスト素子領域TSに形成された半導体素子を検査することで、素子領域DRに形成された半導体素子を間接的に評価することができる。
【0065】
ウエハテスト工程の後で、ダイシング工程が行われる。ダイシング工程は、ダイシングブレード(切断刃)DBRを用いて前記半導体基板SBのスクライブ領域SRを切断する工程である。ダイシングブレードDBRは、後述の
図26、
図27および
図32~
図34に示されている。ダイシング工程においては、回転するダイシングブレードDRBを用いて、スクライブ領域SRに沿って半導体基板SBを切断する。言い換えると、ダイシング工程においては、回転するダイシングブレードを用いて、半導体基板SBのスクライブ領域SRを切断(除去)する。これにより、半導体基板SBにおける各チップ形成領域CRが個片化されて、個片化されたチップ形成領域CRからなる半導体チップ(半導体装置CP)が取得される。
【0066】
ダイシング工程の後で、組み立て工程が行われる。組み立て工程は、ダイシング工程で取得された半導体チップ(半導体装置CP)を用いて半導体パッケージを製造する工程に対応している。例えば、リードフレーム(図示せず)のダイパッド上に半導体装置CPを搭載してダイパッドと半導体装置CPのコレクタ電極CEとダイパッドとを電気的に接続してから、リードフレームの複数のリードと半導体装置CPのエミッタ用パッド(エミッタ電極EE)およびゲート用パッド(ゲート電極GE)とを導電性接続部材(例えばボンディングワイヤ)を介してそれぞれ電気的に接続する。それから、半導体装置CPと導電性接続部材とダイパッドとリードとを樹脂封止してから、リードおよびダイパッドをリードフレームから切断して分離する。このようにして、半導体パッケージを製造することができる。
【0067】
<テスト用電極TEについて>
図17は、半導体基板SBのスクライブ領域SRに形成されたテスト用電極TEを示す平面図である。
図17では、ダイシング工程でダイシングブレードDRBによって切断(除去)される領域である切断領域RG1を、点線で示してある。すなわち、ダイシング工程では、回転するダイシングブレードDRBが
図17に示される切断領域RG1に沿って移動し、それによって切断領域RG1が切断(除去)される。また、
図18も、半導体基板SBのスクライブ領域SRに形成されたテスト用電極TEを示す平面図である。
図18では、テスト用電極TEを構成するパッド部PDと連結部CNとを判別しやすくするために、パッド部PDと連結部CNとにそれぞれ異なる向きのハッチングを付してある。また、
図19~
図21は、ダイシング工程を行う前の段階における半導体基板SBのスクライブ領域SRの断面図である。
図17および
図18のA1-A1線の位置での断面図が
図19に対応し、
図17および
図18のA2-A2線の位置での断面図が
図20に対応し、
図17および
図18のA3-A3線の位置での断面図が
図21に対応している。なお、
図19~
図21では、図面の簡略化のために、スクライブ領域SRのテスト素子領域TSに形成された半導体素子(IGBT)についての図示は省略しているが、実際には、テスト用電極TEの下には、
図15に示されるように半導体素子(IGBT)が形成されている。また、
図19では、ウエハテスト工程において、テスト用電極TEのパッド部PDに試験(検査)用のプローブPRBを接触させた状態が示されている。また、
図17および
図18に示されるY方向は、ダイシング工程におけるダイシングブレードの走査方向である。
図17および
図18に示されるX1方向およびX2方向は、Y方向と交差する方向であり、より特定的には、Y方向と直交する方向である。X1方向とX2方向とは、互いに反対の方向(逆方向)である。なお、X1方向とX2方向とY方向は、いずれも半導体基板SBの主面または裏面に平行な方向でもある。
【0068】
図17および
図18に示されるように、テスト用電極TEは、複数のパッド部(検査用パッド部)PDとそれらをつなぐ複数の連結部CNとで構成されている。テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDと複数の連結部CNとは、一体的に形成されている。ウエハテスト工程では、テスト用電極TEの複数のパッド部PDに試験(検査)用のプローブPRBを接触させる(
図19参照)。このため、パッド部PDは、検査用パッド部として機能することができる。
【0069】
テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDは、Y方向に互いに離間して並んでいる。Y方向に隣り合うパッド部PDの間には、それらのパッド部PDと一体的に形成された連結部CNが介在している。このため、Y方向に隣り合うパッド部PD同士は、連結部CNで連結されている。テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDは、Y方向に互いに離間して並んでいるため、Y方向に隣り合うパッド部PD同士をつなぐ連結部CNは、Y方向に延在している。
【0070】
テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDは、互いに同じ平面形状および平面寸法(平面積)を有していることが好ましい。パッド部PDは、四角形状(好ましくは長方形状)の平面形状を有しており、より特定的には、Y方向に平行な辺と、X1方向に平行な辺とを有する長方形状を有していることがより好ましい。なお、X1方向とX2方向とは互いに反対方向であるため、X1方向に平行な辺は、X2方向に平行な辺でもある。
【0071】
テスト用電極TEを構成する複数の連結部CNは、それぞれ四角形状(好ましくは長方形状)の平面形状を有しており、より特定的には、Y方向に平行な辺と、X1方向に平行な辺とを有する長方形状を有していることがより好ましい。また、
図17および
図18の場合は、テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDは、Y方向に等間隔に並んでいるが、その場合は、テスト用電極TEを構成する複数の連結部CN同士で、連結部CNのY方向の長さ(寸法)は、互いに同じになる。
【0072】
パッド部PDの幅W1は、連結部CNの幅W2よりも大きい(すなわちW1>W2)。ここで、パッド部PDの幅W1は、X1方向におけるパッド部PDの寸法(長さ)に対応している。また、連結部CNの幅W2は、X1方向における連結部CNの寸法(長さ)に対応している。ウエハテスト工程でプローブPRBをパッド部PDに接触させやすくするために、パッド部PDの幅W1を大きくしている。一例をあげると、パッド部PDの幅W1は、50μm~80μm程度とすることができる。一方、ウエハテスト工程において、連結部CNにプローブPRBを接触させる必要はない。このため、連結部CNの幅W2は、プローブPRBを接触させやすくするために大きくする必要はない。しかしながら、テスト用電極TEを的確に形成できるようにするためには、連結部CNの幅W2を小さくするには限界があり、連結部CNの幅W2はある程度確保することが好ましい。一例をあげると、パッド部PDの幅W1は、30μm~50μm程度とすることができる。
【0073】
本実施の形態では、連結部CNの幅W2は、パッド部PDの幅W1よりも小さく、かつ、ダイシング工程で用いられるダイシングブレードDBRの幅(厚さ)W3は、連結部CNの幅W2よりも小さい(すなわちW1>W2>W3)。なお、ダイシングブレードDBRの幅(厚さ)W3は、後述する
図26、
図27および
図32~
図34に示されている。ダイシングブレードDBRの幅(厚さ)W3は、
図17に示されている切断領域RG1の幅(X1方向の寸法)W4と実質的に一致している。本実施の形態は、連結部CNの幅W2をダイシング工程で用いられるダイシングブレードDBRの幅W3よりも大きくしたい場合、言い換えると、ダイシングブレードDBRの幅W3を連結部CNの幅W2よりも小さくしたい場合に適用すると有効な技術である。
【0074】
平面視において、テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDは、Y方向に直線状に配置されている。なお、ここで言う「直線状」とは、平面視において、テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDのそれぞれが、X1方向またはX2方向にずれることなく、
図18に示されるように、Y方向に直線状に配列していることを意味する。また、テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDのそれぞれの中心線CL1が、Y方向において互いに重なっている(一致している)ことを意味する。言い換えると、平面視において、テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDのそれぞれの中心線CL1が、Y方向に沿った同一直線上に位置していることを意味する。
【0075】
ここで、平面視において、各連結部CNは、それぞれY方向に延在し、かつX1方向において互いに反対側に位置する辺SD1および辺SD2を有し、また、各パッド部PDは、それぞれY方向に延在し、かつX1方向において互いに反対側に位置する辺SD3および辺SD4を有している。テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDおよび複数の連結部CNにおいて、複数のパッド部PDのそれぞれの辺SD3と複数の連結部CNのそれぞれの辺SD1とは、互いに同じ側(
図18の場合は右側)の辺であり、また、複数のパッド部PDのそれぞれの辺SD4と複数の連結部CNのそれぞれの辺SD2とは、互いに同じ側(
図18の場合は左側)の辺である。このため、テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDおよび複数の連結部CNにおいて、各パッド部PDの辺SD3と各連結部CNの辺SD1とは、そのテスト用電極TEに対してX1方向に隣り合うチップ形成領域CRの保護膜PFに対向している。また、テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDおよび複数の連結部CNにおいて、各パッド部PDの辺SD4と各連結部CNの辺SD2とは、そのテスト用電極TEに対してX2方向に隣り合うチップ形成領域CRの保護膜PFに対向している。すなわち、各パッド部PDの辺SD3と各連結部CNの辺SD1のX1方向に保護膜PFが存在し、また、各パッド部PDの辺SD4と各連結部CNの辺SD2のX2方向に保護膜PFが存在している。
【0076】
平面視において、パッド部PDの中心線CL1は、そのパッド部PD1の辺SD3から中心線CL1までの距離と辺SD4から中心線CL1までの距離とが互いに同じになるような線である。
【0077】
テスト用電極TEを構成する複数の連結部CNは、Y方向において千鳥状に配置されている。なお、ここで言う「千鳥状」とは、テスト用電極TEを構成する複数の連結部CNが、X1方向側にずれた連結部CN1と、X2方向側にずれた連結部CN2とで構成されており、かつ、X1方向側にずれた連結部CN1と、X2方向側にずれた連結部CN2とが、
図18に示されるように、パッド部PDを介して交互に配置されていることを意味する。
【0078】
ここで、テスト用電極TEを構成する複数の連結部CNのうち、X1方向側にずれた連結部CNを連結部CN1と称し、X2方向側にずれた連結部CNを連結部CN2と称することとする。連結部CN1の中心線CL2は、パッド部PDの中心線CL1に対してX1方向側にずれている。また、連結部CN2の中心線CL2は、パッド部PDの中心線CL1に対してX2方向側にずれている。すなわち、連結部CN1の中心線CL2と、連結部CN2の中心線CL2とは、Y方向において互いに重なっていない(一致していない)。
【0079】
平面視において、連結部CNの中心線CL2は、その連結部CNの辺SD1から中心線CL2までの距離と辺SD2から中心線CL2までの距離とが互いに同じになるような線である。
【0080】
図17および
図18を参照すると分かるように、連結部CN1の辺SD1は、ダイシング工程でダイシングブレードBRDにより切断される領域である切断領域RG1に含まれないが、連結部CN1の辺SD2は、切断領域RG1に含まれている。また、連結部CN2の辺SD1は、ダイシング工程でダイシングブレードBRDにより切断される領域である切断領域RG1に含まれているが、連結部CN2の辺SD2は、切断領域RG1に含まれない。これが実現されるように、連結部CN1と連結部CN2とをずらして(千鳥状に)配置している。
【0081】
また、
図17および
図18の場合は、平面視において、連結部CN1の辺SD1は、その連結部CN1の隣に位置するパッド部PDの辺SD3と整合している(Y方向に沿った同一直線上に位置している)。また、連結部CN2の辺SD2は、その連結部CN2の隣に位置するパッド部PDの辺SD4と整合している(Y方向に沿った同一直線上に位置している)。
【0082】
<検討の経緯>
図22および
図23は、半導体基板SBのスクライブ領域SRに形成された検討例のテスト用電極TE101を示す平面図であり、
図22は上記
図17に相当し、
図23は上記
図18に相当するものである。
図22では、ダイシング工程でダイシングブレードによって切断(除去)される領域である切断領域RG101を、点線で示してある。また、
図24および
図25は、ダイシング工程を行う前の段階における半導体基板SBのスクライブ領域SRの断面図であり、
図22および
図23のB1-B1線の位置での断面図が
図24に対応し、
図22および
図23のB2-B2線の位置での断面図が
図25に対応している。
図22および
図23のB3-B3線の位置での断面図も、
図25とほぼ同様である。なお、
図24および
図25では、図面の簡略化のために、スクライブ領域SRのテスト素子領域に形成された半導体素子(IGBT)についての図示は省略している。また、
図24では、ウエハテスト工程において、テスト用電極TE101のパッド部PD101に試験(検査)用のプローブPRBを接触させた状態が示されている。
【0083】
図22および
図23に示されるように、検討例のテスト用電極TE101は、複数のパッド部PD101とそれらをつなぐ複数の連結部CN101とで構成されており、それら複数のパッド部PD101と複数の連結部CN101とは、一体的に形成されている。ウエハテスト工程では、テスト用電極TE101の複数のパッド部PD101に試験(検査)用のプローブPRBを接触させる(
図24参照)。
【0084】
テスト用電極TE101を構成する複数のパッド部PD101は、Y方向に互いに離間して並んでおり、Y方向に隣り合うパッド部PD101の間には、それらのパッド部PD101と一体的に形成された連結部CN101が介在している。テスト用電極TE101を構成する複数のパッド部PD101は、Y方向に互いに離間して並んでいるため、Y方向に隣り合うパッド部PD101同士をつなぐ連結部CN101は、Y方向に延在している。
【0085】
図22および
図23に示される検討例の場合は、平面視において、テスト用電極TE101を構成する複数のパッド部PD101と複数の連結部CN101とは、Y方向に直線状に配置されている。すなわち、平面視において、テスト用電極TE101を構成する複数のパッド部PD101と複数の連結部CN101とは、X1方向またはX2方向にずれることなく、Y方向に直線状に配列している。具体的には、検討例のテスト用電極TE101においては、複数のパッド部PD101のそれぞれの中心線CL101と複数の連結部CN101のそれぞれの中心線CL102とは、Y方向において重なっている(一致している)。言い換えると、検討例のテスト用電極TE101においては、平面視において、複数のパッド部PD101のそれぞれの中心線CL101と複数の連結部CN101のそれぞれの中心線CL102とは、Y方向に沿った同一直線上に位置している。
【0086】
ところで、近年は、半導体装置の高機能化などに伴い、ウエハテスト工程における評価項目も増加する傾向にある。そのため、近年では、半導体基板のスクライブ領域に設けるテスト素子領域(検査用のダミー半導体素子を形成する領域)の面積が大きくなってきている。このテスト素子領域は、上記テスト素子領域TSに相当するものである。
【0087】
このため、半導体基板のスクライブ領域において、上記Y方向におけるテスト素子領域の長さは、大きくなる傾向にある。なぜなら、半導体基板におけるスクライブ領域の幅を大きくすることなくスクライブ領域に設けるテスト素子領域の面積を大きくするには、上記Y方向におけるテスト素子領域の長さを大きくする必要があるからである。なお、半導体基板においてスクライブ領域の幅を大きくすることは、その半導体基板から取得できる半導体チップの数を低減させてしまうため、望ましくない。
【0088】
テスト素子領域に形成される半導体素子が、IGBTなどの縦型の半導体素子の場合は、テスト素子領域全体を覆うように、テスト用電極(上記テスト用電極TEやテスト用電極TE101に対応)を設ける必要があり、上記Y方向におけるテスト素子領域の長さが大きくなると、必然的に、上記Y方向におけるテスト用電極の長さも大きくなる。
【0089】
上記Y方向におけるテスト用電極の長さが大きくなると、テスト用電極において、パッド部を複数設けておき、ウエハテスト工程では、それら複数のパッド部に試験用のプローブを接触させることが望ましい。このため、スクライブ領域のテスト素子領域上のテスト用電極は、複数のパッド部とそれらをつなぐ複数の連結部とで構成されていることが望ましい。このため、
図17および
図18に示される本実施の形態の場合は、半導体基板SBのスクライブ領域SRのテスト素子領域TS上のテスト用電極TEは、複数のパッド部PDとそれらをつなぐ複数の連結部CNとで構成されている。また、
図22および
図23に示される検討例の場合は、半導体基板のスクライブ領域のテスト素子領域上のテスト用電極TE101は、複数のパッド部PD101とそれらをつなぐ複数の連結部CN101とで構成されている。上述のように、テスト用電極TE,TE101のY方向の長さは、大きくなる傾向にあり、例えば300μm以上である。
【0090】
テスト用電極(TE,TE101)のパッド部(PD,PD101)の幅(X1方向の寸法)は、パッド部に試験用のプローブを接触させるのに不具合が生じないように、ある程度大きくする必要がある。一方、テスト用電極(TE,TE101)の連結部(CN,CN101)の幅(X1方向の寸法)は、パッド部(PD,PD101)の幅よりも小さくすることができるが、それでも、小さくするには限界がある。細い金属パターンは形成しにくいため、テスト用電極(TE,TE101)を精度よく形成するためには、テスト用電極(TE,TE101)の連結部(CN,CN101)の幅もある程度確保する必要がある。
【0091】
一方、近年、ダイシング工程で用いられるダイシングブレードの幅(厚さ)は、薄くなってきている。なぜなら、半導体ウエハから取得できる半導体チップの数を多くするためには、スクライブ領域の幅を小さくすることが求められ、それに伴い、ダイシングブレードの厚さを薄くすることが求められるようになってきたからである。
【0092】
その結果、ダイシングブレードの厚さが、テスト用電極(TE,TE101)の連結部(CN,CN101)の幅よりも小さくならざるを得ない場合が生じてしまう。すなわち、ダイシングブレードDBRの幅(厚さ)W3が、テスト用電極TEの連結部CNの幅W2よりも小さくなる場合(すなわちW2>W3となる場合)や、ダイシングブレードDBRの幅(厚さ)W3が、テスト用電極TE101の連結部CN101の幅W102よりも小さくなる場合(すなわちW102>W3となる場合)が生じてしまう。この場合、ダイシング工程後に、テスト用電極(TE,TE101)の切断残りが発生し、それが飛散してチップ形成領域CR(あるいは取得された半導体チップ)に再付着し、不具合の原因となることが懸念される。これについて、
図26~
図30を参照して説明する。
【0093】
図26および
図27は、検討例のテスト用電極TE101が形成された半導体基板SBのスクライブ領域SRをダイシングブレードDBRで切断する様子を示す断面図であり、
図28および
図29は、検討例のテスト用電極TE101が形成された半導体基板SBのスクライブ領域SRをダイシングブレードDBRで切断した状態(切断後の状態)を示す断面図である。
図26および
図28は、上記
図22および
図23のB1-B1線の位置での断面(従って上記
図24に相当する断面)に対応し、
図27および
図29は、上記
図22および
図23のB2-B2線の位置での断面(従って上記
図25に相当する断面)に対応している。
図30は、ダイシング工程後における検討例のテスト用電極TE101の切断残りを示す平面図である。
【0094】
ダイシング工程においては、
図26~
図29に示されるように、検討例のテスト用電極TE101が形成された半導体基板SBのスクライブ領域SRをダイシングブレードDBRで切断する。この際、ダイシングブレードDBRの幅W3がテスト用電極TE101の連結部CN101の幅W102よりも小さい(W102>W3)ことを反映して、
図30に示されるような、テスト用電極TE101の切断残りからなる細長い金属パターン(金属片)TE101aが残存する。
図30に示される金属パターンTE101aは、
図22に示されるテスト用電極TE101のうち、ダイシングブレードDBRによる切断領域RG101と重なる部分を除去した残りに対応している。この細長い金属パターンTE101aの長さ(Y方向の長さ)L102は、ダイシング工程前のテスト用電極TE101の長さ(Y方向の長さ)L101と同じである(すなわちL101=L102)。
【0095】
ダイシング工程後に、テスト用電極TE101の切断残りからなる細長い金属パターンTE101aが発生すると、その細長い金属パターンTE101aが飛散してチップ形成領域CR(あるいは取得された半導体チップ)に再付着し、不具合の原因となる虞があるが、金属パターンTE101aの長さが長いほど、不具合が生じるリスクは高くなる。
【0096】
図31は、飛散した金属パターンTE101aが保護膜PF上に付着した状態を示す断面図であり、上記
図6に相当する断面が示されている。
図31では、飛散した金属パターンTE101aが、保護膜PF上に、エミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着した状態が示されている。
【0097】
外周電極SEには、コレクタ電極CEに印加された電圧が半導体基板SBを通じて印加され得る。このため、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間、および、ゲート電極GEと外周電極SEとの間には、かなり大きな電位差(例えば数百V、一例として750V程度)が発生する。もしも
図31のように金属パターンTE101aがエミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着してしまうと、付着した金属パターンTE101aに起因して、上記周辺領域PRにおける半導体基板SB内部の電界分布が乱れてしまい、半導体装置CPの周辺領域PRの耐圧が低下し、半導体装置CPの信頼性が低下する虞がある。同様に、もしも金属パターンTE101aがゲート電極GEと外周電極SEとに跨るように付着してしまうと、付着した金属パターンTE101aに起因して、上記周辺領域PRにおける半導体基板SB内部の電界分布が乱れてしまい、半導体装置CPの周辺領域PRの耐圧が低下し、半導体装置CPの信頼性が低下する虞がある。
【0098】
このため、飛散した金属パターンTE101aが、保護膜PF上に、エミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着するのを防止することが望ましい。また、飛散した金属パターンTE101aが、保護膜PF上に、ゲート電極GEと外周電極SEとに跨るように付着するのを防止することが望ましい。そのためには、ダイシング工程後に残存する細長い金属パターンTE101aの長さL102を短くすることが有効であるが、Y方向におけるテスト用電極TE101の長さL101が大きくなると、ダイシング工程後に残存する細長い金属パターンTE101aの長さL102も長くなってしまう。このため、検討例のテスト用電極TE101を用いた場合は、ダイシング工程後に残存する金属パターンTE101aの長さL102を短くすることは難しい。
【0099】
<主要な特徴と効果について>
半導体基板SBのスクライブ領域SRに設けられたテスト用電極(金属パターン)TEは、複数のパッド部(検査用パッド部)PDと、複数のパッド部PDの間にそれぞれ設けられ、かつ、複数のパッド部PDのうちの互いに隣り合う2つのパッド部PD同士を互いに連結する複数の連結部CNと、を有している。
【0100】
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、平面視において、X1方向における連結部CNの幅W2は、ダイシングブレードDBRの幅(厚さ)W3よりも大きく、かつ、複数のパッド部PDのそれぞれの幅W1よりも小さいことである(すなわちW1>W2>W3)。そして、平面視において、テスト用電極TEを構成する複数のパッド部PDは、Y方向(ダイシングブレードDRBの走査方向)において直線状に配置され、かつ、テスト用電極TEを構成する複数の連結部CNは、Y方向において千鳥状に配置されている。
【0101】
これにより、X1方向側にずれた連結部CN1と、X2方向側にずれた連結部CN2とが、パッド部PDを間に挟んで交互に配置されることになる。その結果、ダイシング工程後に、テスト用電極TEの切断残りからなる細長い金属パターンTEa(後述の
図38参照)が発生するが、その金属パターンTEaの長さ(Y方向における長さ)L2を、ダイシング工程前のテスト用電極TEの長さ(Y方向における長さ)L1よりも短くすることができる(すなわちL2<L1)。このため、ダイシング工程後に、テスト用電極TEの切断残りからなる細長い金属パターンTEaが発生し、その細長い金属パターンTEaが飛散してチップ形成領域CR(あるいは取得された半導体チップ)に再付着したとしても、それが不具合を発生させるリスクを低減することができる。これにより、製造された半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。これについて、
図32~
図39を参照して具体的に説明する。
【0102】
図32~
図34は、本実施の形態のテスト用電極TEが形成された半導体基板SBのスクライブ領域SRをダイシングブレードDBRで切断する様子を示す断面図であり、
図35~
図37は、本実施の形態のテスト用電極TEが形成された半導体基板SBのスクライブ領域SRをダイシングブレードDBRで切断した状態(切断後の状態)を示す断面図である。
図32および
図35は、上記
図17および
図18のA1-A1線の位置での断面(従って上記
図19に相当する断面)に対応している。
図33および
図36は、上記
図17および
図18のA2-A2線の位置での断面(従って上記
図20に相当する断面)に対応している。
図34および
図37は、上記
図17および
図18のA3-A3線の位置での断面(従って上記
図21に相当する断面)に対応している。
図38は、ダイシング工程後における本実施の形態のテスト用電極TEの切断残りを示す平面図である。
【0103】
ダイシング工程においては、
図32~
図37に示されるように、本実施の形態のテスト用電極TEが形成された半導体基板SBのスクライブ領域SRをダイシングブレードDBRで切断する。この際、ダイシングブレードDBRの幅W3がテスト用電極TEの連結部CNの幅W2よりも小さい(W2>W3)ことを反映して、
図38に示されるような、テスト用電極TEの切断残りからなる細長い金属パターン(金属片)TEaが残存する。
図38に示される金属パターンTEaは、
図17に示されるテスト用電極TEのうち、ダイシングブレードDBRによる切断領域RG1と重なる部分を除去した残りに対応している。金属パターンTEaには、X1方向側にずれた連結部CN1の切断残りを含む金属パターンTEa(以下、金属パターンTEa1と称す)と、X2方向側にずれた連結部CN2の切断残りを含む金属パターンTEa(以下、金属パターンTEa2と称す)とがあり、金属パターンTEa1と金属パターンTEa2とは、互いに分離されている。この細長い金属パターンTEaの長さ(Y方向の長さ)L2は、ダイシング工程前のテスト用電極TEの長さ(Y方向の長さ)L1よりも短くなり、具体的には、最大でも、パッド部PDの辺SD3の長さの2倍と連結部CNの辺SD1の長さとの合計値となる(すなわちL2=SD1+SD3×2)。
【0104】
その理由は、X1方向側にずれた連結部CN1と、X2方向側にずれた連結部CN2とが、パッド部PDを間に挟んで交互に配置されていることで、X1方向側にずれた連結部CN1の切断残りを含む金属パターンTEa1と、X2方向側にずれた連結部CN2の切断残りを含む金属パターンTEa2とが、一体的ではなく、互いに分離されるからである。
【0105】
具体的には、連結部CN1と連結部CN2が次の条件を満たしていれば、連結部CN1の切断残りを含む金属パターンTEa1と、連結部CN2の切断残りを含む金属パターンTEa2とが、互いに分離されることになる。すなわち、
図17と
図18を参照すると分かるように、連結部CN1については、連結部CN1の辺SD1は、ダイシング工程でダイシングブレードDRBにより切断される切断領域RG1に含まれないが、連結部CN1の辺SD2は、ダイシング工程でダイシングブレードDRBにより切断される切断領域RG1に含まれることである。また、
図17と
図18を参照すると分かるように、連結部CN2については、連結部CN2の辺SD1は、ダイシング工程でダイシングブレードDRBにより切断される切断領域RG1に含まれるが、連結部CN2の辺SD2は、ダイシング工程でダイシングブレードDRBにより切断される切断領域RG1に含まれないことである。連結部CN1と連結部CN2がこの条件を満たすように配置されていれば、ダイシング工程において、連結部CN1はダイシングブレードDRBにより二分割されずに済み、また、連結部CN2もダイシングブレードDRBにより二分割されずに済む。そして、連結部CN1の切断残りを含む金属パターンTEa1と、連結部CN2の切断残りを含む金属パターンTEa2とは、互いに分離されることになる。
【0106】
連結部CN1の切断残りを含む金属パターンTEa1の長さ(Y方向の長さ)L2は、ダイシング工程前のテスト用電極TEの長さ(Y方向の長さ)L1よりも短く、また、連結部CN2の切断残りを含む金属パターンTEa2の長さ(Y方向の長さ)L2も、ダイシング工程前のテスト用電極TEの長さ(Y方向の長さ)L1よりも短い。金属パターンTEa1,TEa2のそれぞれの長さL2は、最大でも、パッド部PDの辺SD3の長さの2倍と連結部CNの辺SD1の長さの合計値となる。その理由は、金属パターンTEa1の一辺(Y方向に沿った辺)は、連結部CN1の辺SD1と、その連結部CN1で連結された2つのパッド部PDの辺SD3とにより、形成されるからである。また、金属パターンTEa2の一辺(Y方向に沿った辺)は、連結部CN2の辺SD2と、その連結部CN2で連結された2つのパッド部PDの辺SD4とにより形成され、辺SD1の長さと辺SD2の長さはほぼ同じであり、辺SD3の長さと辺SD4の長さはほぼ同じだからである。
【0107】
本実施の形態では、ダイシング工程前のテスト用電極TEの長さL1が長い場合でも、ダイシング工程後に、テスト用電極TEの切断残りからなる金属パターンTEaが残存しても、その金属パターンTEaの長さL2を、ダイシング工程前のテスト用電極TEの長さL1よりも短くすることができる(すなわちL2<L1)。このため、この金属パターンTEaが飛散してチップ形成領域CR(あるいは取得された半導体チップ)に再付着したとしても、それが不具合を発生させるリスクを低減することができる。なぜなら、金属パターンTEaが飛散してチップ形成領域CR(あるいは取得された半導体チップ)に再付着した場合には、金属パターンTEaの長さL2が長いほど、不具合が生じるリスクは高くなるからである。
【0108】
図39は、飛散した金属パターンTEaが保護膜PF上に付着した状態を示す断面図であり、上記
図6に相当する断面が示されている。本実施の形態では、ダイシング前のテスト用電極TEの長さL1が長い場合でも、ダイシング工程後に残存する金属パターンTEaの長さL2を短くすることができるため、飛散した金属パターンTEaが保護膜PF上に、エミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着するのを抑制または防止することができる。また、飛散した金属パターンTEaが保護膜PF上に、ゲート電極GEと外周電極SEとに跨るように付着するのを抑制または防止することができる。
【0109】
すなわち、金属パターンTEaの長さL2が長ければ、飛散した金属パターンTEaが保護膜PF上に、エミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着するリスクが生じる。しかしながら、金属パターンTEaの長さL2が短ければ、飛散した金属パターンTEaが保護膜PF上に付着したとしても、その金属パターンTEaがエミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着する可能性や、ゲート電極GEと外周電極SEとに跨るように付着する可能性は小さくなる。
【0110】
また、金属パターンTEaの長さL2が、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔よりも小さく、かつ、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4よりも小さければ、その金属パターンTEaがエミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着する懸念や、ゲート電極GEと外周電極SEとに跨るように付着する懸念は解消される。金属パターンTEaの長さL2は、上述のように、最大でも、パッド部PDの辺SD3の長さの2倍と連結部CNの辺SD1の長さの合計値となる。このため、パッド部PDの辺SD3の長さの2倍と連結部CNの辺SD1の長さの合計は、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔よりも小さく、かつ、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4よりも小さいことが好ましい。これにより、飛散した金属パターンTEaが、エミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着する懸念や、ゲート電極GEと外周電極SEとに跨るように付着する懸念を解消することができる。なお、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4は、
図31および
図39に示されている。
図39において、エミッタ電極EEをゲート電極GEに置換した場合は、
図39に示される間隔L4は、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔を指すものとなる。また、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4は、エミッタ電極EEと外周電極SEとの最近接距離に対応し、また、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔は、ゲート電極GEと外周電極SEとの最近接距離に対応している。
【0111】
また、本実施の形態は、Y方向におけるテスト用電極TEの長さL1が、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔よりも大きいか、あるいは、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4よりも大きい場合に適用すれば、効果は極めて大きなものとなる。その理由は、以下の通りである。
【0112】
すなわち、ダイシング工程の前のテスト用電極TE,TE101の長さL1,L101が、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔よりも大きいか、あるいは、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4よりも大きい場合を仮定する。この場合、本実施の形態を適用せずに上記検討例を適用すると、ダイシング工程後に残存する金属パターンTE101aの長さL102も、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔よりも大きくなるか、あるいは、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4よりも大きくなる。その場合、飛散した金属パターンTE101aが、エミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着する懸念や、ゲート電極GEと外周電極SEとに跨るように付着する懸念が生じてしまう。それに対して本実施の形態では、テスト用電極TEの長さL1が、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔よりも大きいか、あるいは、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4よりも大きい場合であっても、ダイシング工程後に残存する金属パターンTEaの長さL2を、ゲート電極GEと外周電極SEとの間隔や、エミッタ電極EEと外周電極SEとの間隔L4よりも短くすることができる。このため、飛散した金属パターンTEaが、エミッタ電極EEと外周電極SEとに跨るように付着する懸念や、ゲート電極GEと外周電極SEとに跨るように付着する懸念を解消することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、テスト用電極TEは、複数のパッド部PDとそれらをつなぐ複数の連結部CNとで構成されており、その複数の連結部CNは、Y方向において千鳥状に配置されている。このため、テスト用電極TEは、パッド部PDを3つ以上有し、かつ、連結部CNを2つ以上有している。テスト用電極TEにおいて、各連結部CNは、2つのパッド部PDをつなぐ部分であるため、テスト用電極TEが有する連結部CNの数は、テスト用電極TEが有するパッド部PDの数よりも1つ少ない。
【0114】
テスト用電極TEが有するパッド部PDが3つの場合は、パッド部PDと連結部CN1とパッド部PDと連結部CN2とパッド部PDとが、Y方向に順に並んでいるか、あるいは、パッド部PDと連結部CN2とパッド部PDと連結部CN1とパッド部PDとが、Y方向に順に並んでいる。テスト用電極TEが有するパッド部PDが4つの場合は、
図18のようにパッド部PDと連結部CN1とパッド部PDと連結部CN2とパッド部PDと連結部CN1とパッド部PDとが、Y方向に順に並んでいるか、あるいは、パッド部PDと連結部CN2とパッド部PDと連結部CN1とパッド部PDと連結部CN2とパッド部PDとが、Y方向に順に並んでいる。テスト用電極TEが有するパッド部PDが5つの場合は、パッド部PDと連結部CN1とパッド部PDと連結部CN2とパッド部PDと連結部CN1とパッド部PDと連結部CN2とパッド部PDとが、Y方向に順に並んでいるか、あるいは、パッド部PDと連結部CN2とパッド部PDと連結部CN1とパッド部PDと連結部CN2とパッド部PDと連結部CN1とパッド部PDとが、Y方向に順に並んでいる。テスト用電極TEが有するパッド部PDが6つ以上の場合も、同様に考えることができる。
【0115】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0116】
CE コレクタ電極
CH チャネル形成領域
CP 半導体装置
CL コレクタ領域
CN,CN101 連結部
CR チップ形成領域
CT1,CT2,CT3 コンタクトホール
DBR ダイシングブレード
DR 素子領域
EE エミッタ電極
ER エミッタ領域
FP フィールドプレート部
FPR p型半導体領域
FS フィールドストップ領域
GE ゲート電極
GF ゲート絶縁膜
NR n型半導体領域
OPE,OPG 開口部
PD,PD101 パッド部
PF 保護膜
PR 周辺領域
PRB プローブ
SB 半導体基板
SD1,SD2,SD3,SD4 辺
SE 外周電極
SR スクライブ領域
TE,TE101 テスト用電極
TG トレンチゲート電極
TR 溝
TS テスト素子領域
ZF 絶縁膜