(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073150
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】スライサー
(51)【国際特許分類】
B26D 3/28 20060101AFI20240522BHJP
A22C 17/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B26D3/28 610B
B26D3/28 610J
B26D3/28 610C
A22C17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184209
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】500409127
【氏名又は名称】株式会社大道産業
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】坂田 浩一
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011EA02
(57)【要約】
【課題】
丸刃物の回転領域のうち回転中心から、肉塊の進入側と反対側に位置する逆回転領域に接触する割合を最小限に抑えることで、肉くずの飛散率を大幅に減少させる。
【解決手段】
回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする丸刃物の中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けたことを特徴とするスライサー。丸刃物は、肉塊の侵入側に向けて、侵入する肉塊側に傾斜させている。侵入する肉塊側への傾斜は1度ないし4度である。侵入する肉塊側への傾斜は2度ないし3度である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする丸刃物の中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けたことを特徴とするスライサー。
【請求項2】
丸刃物は、肉塊の侵入側に向けて、侵入する肉塊側に傾斜させていることを特徴とする請求項1記載のスライサー。
【請求項3】
侵入する肉塊側への傾斜は1度ないし4度であることを特徴とする請求項2記載のスライサー。
【請求項4】
侵入する肉塊側への傾斜は2度ないし3度であることを特徴とする請求項2記載のスライサー。
【請求項5】
回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする、スライサーに取り付ける丸刃物の中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けたことを特徴とするスライサー用丸刃物。
【請求項6】
丸刃物は、肉塊の侵入側に向けて、侵入する肉塊側に傾斜させていることを特徴とする請求項5記載のスライサー用丸刃物。
【請求項7】
侵入する肉塊側への傾斜は1度ないし4度であることを特徴とする請求項6記載のスライサー用丸刃物。
【請求項8】
侵入する肉塊側への傾斜は2度ないし3度であることを特徴とする請求項6記載のスライサー用丸刃物。
【請求項9】
中央部に、侵入する肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けた、回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスすることを特徴とする肉のスライス方法。
【請求項10】
丸刃物は、肉塊の侵入側に向けて、侵入する肉塊側に傾斜させていることを特徴とする請求項9記載のスライス方法。
【請求項11】
侵入する肉塊側への傾斜は1度ないし4度であることを特徴とする請求項10記載のスライス方法。
【請求項12】
侵入する肉塊側への傾斜は2度ないし3度であることを特徴とする請求項10記載のスライス方法。
【請求項13】
中央部に、侵入する肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けた、回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスするにあたり、
正回転領域より小さい肉塊は、丸刃物の正回転領域のみでスライスすることを特徴とする肉のスライス方法。
【請求項14】
回転する回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けた丸刃物、および、スライスする肉塊を載置する肉箱を、スライサー本体の基部である台部分に、設け、
スライサー本体の基部である台部分は、刃物を設置する刃物部載置部分と、肉を載置する肉箱を設置する肉箱載置部分とに、横方向に分割可能であることを特徴とするスライサー。
【請求項15】
回転する回転領域に、
肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けた丸刃物と、
スライスする肉塊を載置する肉箱と、
肉箱と駆動部品を隔たせる板である定盤部分とを、スライサー本体の基部である台部分に、設け、
定盤部分に傾斜を設けてあることを特徴とするスライサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライサーに係る。詳細には、肉塊用スライサー、更に詳細には食肉用スライサーに係る。
【背景技術】
【0002】
肉塊からすき焼き用スライス肉、しゃぶしゃぶ用スライス肉等にスライスする場合、肉塊を回転する丸刃物でスライスする。その場合、肉塊を載置したタンクを、回転する丸刃物前面に往復させて、タンクから所定の送り出し量で送り出される肉塊を回転する刃物で連続的に切り落としてスライスする。
肉塊を積載したタンクを、丸刃物全域に亘って往復させることは、「スライサー」(特許文献1)、「食肉スライサーの肉送り装置」(特許文献2)、「食肉スライサーの材料送り装置」(特許文献3)等で知られている。
更に、特許文献2、特許文献3で、肉送りモーターによって、肉箱(タンク)の移動速度と肉送り量を設定すること、肉送りモーターの速度を制御して材料の送り量を調節することは知られている。
【0003】
図17に図示するのは、従来例である。
111は、他の従来例のスライサー113における丸刃物である。112は、同肉箱である。丸刃物111で肉箱112に載置された肉塊をスライスする。丸刃物111と肉箱112との間隔は非常に狭い。肉塊の薄切りをおこなう上で、不可避な構造である。
この丸刃物111と肉箱112との間隔部分は、肉塊のスライス上最も重要な部分であり、丸刃物111と肉箱112との間隔を広く設定することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022―35279号公報
【特許文献2】特開2015―231660号公報
【特許文献3】特開昭53―127867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10に図示するように、肉塊Wを回転する丸刃物111でスライスする場合、肉塊Wを載置したタンク411を丸刃物111前面に往復させてスライスする。その場合、肉塊Wを積載したタンク411を、丸刃物111全域に亘って往復させる。
丸刃物111の回転領域は、肉塊の侵入側半分の半円状部分からなる正回転領域aと、肉塊Wの反侵入側の半円状部分からなる逆回転領域bからなる。肉塊Wをスライスするために有効な丸刃物111のスライスに有効な回転領域cは、肉塊Wの侵入側の正回転領域aの一部であって、それ以外の逆回転領域bを含めた領域では、丸刃物111は、肉塊Wと接触しても、肉くずを作成し飛散する。
【0006】
図10に図示するように、肉塊Wを回転する丸刃物111でスライスする場合、肉塊Wのスライスに要する回転領域cは、丸刃物111の回転領域全体のうち、丸刃111の回転中心から丸刃物の回転領域に侵入する肉塊側の25%前後に過ぎない。
残りの領域は、肉塊のスライスに不要な領域dである。同肉塊のスライスに不要な領域dで、
図10に図示するように、丸刃物111と肉塊Wが接触すると肉くずが発生して図中矢示するように四方に肉くずが飛散する。
したがって、丸刃物111全域にわたって肉塊Wを積載したタンク411を往復させると肉くずが四方に飛散する。
図10に図示する矢示方向は、肉くずの飛散方向である。
丸刃物111の裏面に肉塊Wの断面が接触すると、肉塊Wの断面に丸刃物111が擦れて肉が付着する。
【0007】
しかしながら、丸刃物111の逆回転領域bに入れることなく肉塊をスライスするのでは、スライスできる肉塊は小さなものに限られてしまう。そこで、丸刃物111の逆回転領域bをふくめた領域まで肉塊Wは、侵入させる一方、逆回転領域bで丸刃物の肉塊Wへの干渉を緩和させることが必要なことを知見した。
この発明は、これら知見に基づくものである。肉塊の丸刃物の逆回転領域bに接触する割合を最小限とする。
【0008】
図10乃至
図17に図示する他の従来例では、丸刃物111と肉箱112との間隔は非常に狭い。
丸刃物111と肉箱112との間隔は非常に狭いため、スライス後に肉の切りくずが、切りくずの蓄積エリアXに蓄積する。スライス後に肉の油脂分、肉かすが蓄積エリアXに付着する。
更に、従来のスライサー113は、台部分114一体に設けられ、丸刃物部分111は分離することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、
回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする丸刃物の中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けたことを特徴とするスライサー、
からなる。
【0010】
この発明は、さらに、
丸刃物は、肉塊の侵入側に向けて、侵入する肉塊側に傾斜させていることを特徴とするスライサー、
からなる。
【0011】
この発明は、さらに、
侵入する肉塊側への傾斜は1度ないし4度であることを特徴とするスライサー、
からなる。
【0012】
この発明は、さらに、
侵入する肉塊側への傾斜は2度ないし3度であることを特徴とするスライサー、
からなる。
【0013】
この発明は、
回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする、スライサーに取り付ける丸刃物の中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けたことを特徴とするスライサー用丸刃物、
からなる。
【0014】
この発明は、さらに、
丸刃物は、肉塊の侵入側に向けて、侵入する肉塊側に傾斜させていることを特徴とするスライサー用丸刃物、
からなる。
【0015】
この発明は、さらに、
侵入する肉塊側への傾斜は1度ないし4度であることを特徴とするスライサー用丸刃物、
からなる。
【0016】
この発明は、さらに、
侵入する肉塊側への傾斜は2度ないし3度であることを特徴とするスライサー用丸刃物、
からなる。
【0017】
この発明は、
中央部に、侵入する肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けた、回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスすることを特徴とする肉のスライス方法、
からなる。
【0018】
この発明は、さらに、
丸刃物は、肉塊の侵入側に向けて、侵入する肉塊側に傾斜させていることを特徴とするスライス方法、
からなる。
【0019】
この発明は、さらに、
侵入する肉塊側への傾斜は1度ないし4度であることを特徴とするスライス方法、
からなる。
【0020】
この発明は、さらに、
侵入する肉塊側への傾斜は2度ないし3度であることを特徴とするスライス方法、
からなる。
【0021】
この発明は、
中央部に、侵入する肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けた、回転する丸刃物の回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスするにあたり、
正回転領域より小さい肉塊は、丸刃物の正回転領域のみでスライスすることを特徴とする肉のスライス方法、
からなる。
【0022】
この発明は、
回転する回転領域に、肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けた丸刃物、および、スライスする肉塊を載置する肉箱を、スライサー本体の基部である台部分に、設け、
スライサー本体の基部である台部分は、刃物を設置する刃物部載置部分と、肉を載置する肉箱を設置する肉箱載置部分とに、横方向に分割可能であることを特徴とするスライサー、
からなる。
【0023】
この発明は、
回転する回転領域に、
肉塊を侵入させて丸刃物に接触させて肉塊をスライスする中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部を設けた丸刃物と、
スライスする肉塊を載置する肉箱と、
肉箱と駆動部品を隔たせる板である定盤部分とを、スライサー本体の基部である台部分に、設け、
定盤部分に傾斜を設けてあることを特徴とするスライサー、
からなる。
【発明の効果】
【0024】
丸刃物の回転領域のうち回転中心から、肉塊の進入側と反対側に位置する逆回転領域に接触する割合を最小限に抑えることで、肉くずの飛散率を大幅に減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の実施例に係るスライサーの正面図である。
【
図2】この発明の実施例に係るスライサーに用いられる丸刃物の正面図である。
【
図3】この発明の実施例に係るスライサーに用いられる丸刃物の使用状態の中央断面図である。
【
図4】この発明の実施例に係るスライサーに用いられる丸刃物の一部拡大断面図である。
【
図5】この発明の実施例に係るスライサーの使用状態の平面断面図である。
【
図6】この発明の実施例に係るスライサーの使用状態の丸刃物部分の正面概略図である。
【
図7】この発明の実施例に係るスライサーの使用状態の丸刃物部分の正面概略図である。
【
図9】この発明の実施例に係るスライサーの使用状態の平面断面図である。
【
図10】この発明の実施例に係るスライサーの使用状態の側面図である。
【
図11】この発明の実施例に係るスライサーの使用状態の斜視図である。
【
図12】この発明の実施例に係るスライサーの使用状態の断面図である。
【
図13】従来例に係るスライサーの使用状態の側面図である。
【
図14】他の従来例に係るスライサーの使用状態の斜視図である。
【
図15】他の従来例に係るスライサーの使用状態の斜視図である。
【
図16】他の従来例に係るスライサーの使用状態の背面図である。
【
図17】他の従来例に係るスライサーの使用状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
Aは、スライサー本体である。
11は、丸刃物である。12は、丸刃物11の回転中心である。丸刃物11は、回転中心12を回転中心として回転可能である。丸刃物11は、スライサー本体A上部に取り付ける。丸刃物11は、肉塊を接触させることで、肉塊をスライスすることが可能である。
21は、モーターである。モーター21は、丸刃物11の回転駆動用であり、丸刃物11を回転する。モーター21は、スライサー本体A下部に取り付ける。
22は、タイミングベルトである。タイミングベルト22は、モーター21の駆動力を丸刃物11に伝動し、丸刃物11を回転させる。
23は、インバータである。インバータ23により、モーター21は駆動制御される。
【0027】
31は、供給装置である。供給装置31は、スライサー本体A上部に、丸刃物11の側部に隣接して設置する。供給装置31は、丸刃物11に対して近接及び離隔の、往復移動をする。往復移動することで、丸刃物11前面に肉塊を供給する。
【0028】
32は、サーボモーター・エンコーダである。33は、ボールねじである。ボールねじ33は、供給装置31に取り付けられる肉箱駆動軸である。34は、シーケンサーである。35は、コントロールボックスである。
サーボモーター・エンコーダ32で、ボールねじ33を駆動して、供給装置31を丸刃物11前面に肉塊を移動し、あるいは後退の、往復移動させる。
シーケンサー34、コントロールボックス35によりサーボモーター・エンコーダ32は制御される。コントロールボックス35は、インバータ23も制御する。
【0029】
36は、幅寄せ板である。幅寄せ板36は、丸刃物11でスライスする肉塊を押さえることなく往復時に横ブレをおこさない程度に設定される。
37は、前板である。
前板37は作業中に刃先に手や指先が干渉しないための安全装置である。使用の際は、肉塊の押出し量プラス50%のスキマを設定することでタンク往復時の前板への干渉が最小限に防ぐことができる。
【0030】
41は、タンクである。Wは、肉塊である。
タンク41には、スライスする肉塊Wを載せる。
【0031】
丸刃物11の構造について更に説明する。
丸刃物11は、中心部分の円盤状からなるベース部Bと、ベース部Bの周囲に取り付けるドーナツ状、リング状からなる刃物部Cとからなる。丸刃物11のベース部B周辺に、ドーナツ状型刃物であるリング状からなる刃物部Cを溶接して固定する。
14は、丸刃物11の刃先である。刃先14は、刃物部Cを構成し丸刃物11の先端に設ける。
丸刃物11の先端は、刃先14は2枚の金属板で結合しており、径を大きくすることが可能である。
図3、
図4図中tで図示するのは、丸刃物11の肉厚である。丸刃物11は、円盤状回転刃物の中心から外周に向かい肉厚tを次第に薄くしていくことで、外周縁に形成する先鋭な刃先を有する円盤となっている。
【0032】
15は、丸刃物11の刃物部Cの裏面である。裏面15は、肉くぼみとすることで凹面状とする。
13は、凹部である。凹部13は、丸刃物11におけるベース部Bの中央部に設ける。
回転する丸刃物11の回転領域に、回転領域に肉塊Wを侵入させて接触させて肉塊Wをスライスするが、凹部13は、刃先14相互を結んだ線よりスライスする肉塊W側に対して凹んだ状態に設ける。
肉塊Wの丸刃物11の逆回転領域bに接触する割合を最小限とするため、回転する丸刃物11の回転領域に、肉塊Wを侵入させて丸刃物11に接触させて肉塊Wをスライスする丸刃物の中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部13を設けた。
凹部13は、そりを大きくしてあるので、肉塊W、肉に接触しづらい。
【0033】
16は、段部である。丸刃物11の裏面15に設けた肉くぼみから少し内側を段部16にてさらに段状に窪ませることで、えぐれ部である凹部13を形成する。
刃先14によって切断された肉くず等が裏面15に粘着し回転中心12方向に移動し段部16に至ると段部16から内側はえぐれ部である凹部13であることから、肉くずを離間しやすく、付着を妨げることが可能である。
さらに、肉箱(タンク)41が往復移動した際に、えぐれ部である凹部13のために、生肉の切断面に接触しがたくでき、擦れることがないので、肉表面が削りとられることもなく歩留まりを良くし、切断面の綺麗な商品価値の高い肉製品を提供できる。
刃物部Cは、ドーナツ状型刃物からなり、丸刃物11のベース部B外側周辺に取り付けるが、丸刃物11の製造においては、共通の円盤の外周に様々なサイズのドーナツ型刃物である刃物部Cを溶接して製造する。そのため、径の寸法変更が可能となり、幅広い用途に対応可能である。
【0034】
丸刃物11のベース部B周辺である段部16外周に、ドーナツ状型刃物であるリング状からなる刃物部Cを溶接して固定する際に、凸面状が形成される。そのため、刃物部Cの裏面15は、肉くぼみとすることで凹面状とするため肉くずや脂肪分の付着を防ぐことができる。
この発明の実施例では、接触面積は、ベース部Bである凹部は51パーセント、リング状からなる刃物部C裏面15の接触面積は、49パーセントである。
【0035】
aは、丸刃物11の正回転領域である。
bは、丸刃物11の逆回転領域である。
eは、肉塊Wの侵入方向である。
肉塊Wのスライスに必要な回転領域cは、丸刃物11の回転中心12に至る肉塊侵入方向eを中央にした約90度からなる。
【0036】
この発明の実施例に係るスライサー本体Aの使用状態の平面断面図である
図5に図示するように、丸刃物11は、平面視肉塊Wの侵入側に向けて、侵入する肉塊W側に角度l傾斜させている。侵入する肉塊側への傾斜角度lは1度ないし4度である。望ましくは、侵入する肉塊側への傾斜は2度で乃至3度、2度乃至2,5度、望ましくは2~3度の範囲である。
肉塊W側に丸刃物11を傾斜させているため、丸刃物11は、常に肉塊Wに対して食い込むことができ、スライス性に優れる。
【0037】
17は、肉箱である。
図13に図示する肉箱17には、スライスする肉塊を載置する。
18は、台部分である。台部分18は、スライサー本体Aの基部である。台部分17上に、刃物部C、肉箱17を取り付ける。
清掃時等に、スライサー本体Aは、台部分18で、刃物部載置部分A1と、肉箱載置部分A2とに、横方向に分割可能である。
スライサー本体Aは、台部分18で、刃物部載置部分A1と、肉箱載置部分A2とに、横方向に分割可能であるため、清掃と保守・点検(メインテナンス)を確実に行うことが可能となる。
【0038】
181は、刃物部載置部分A1に取り付ける板状からなる蓋である。蓋181は、肉箱載置部分A2との仕切りであって、肉箱載置部分A2からの肉片等の飛散の流入を防止する。蓋181は、刃物部載置部分A1本体から取り外しできることにより、保守・点検が容易に可能となる。
182は、肉箱載置部分A2に取り付ける板状からなる蓋である。蓋182は、刃物部載置部分A1との仕切りであって、刃物部載置部分A1からの肉片等の飛散の流入を防止する。蓋182は、肉箱載置部分A2本体から取り外しできることにより、保守・点検が容易に可能となる。
【0039】
211は、定盤部分である。
定盤部分211は、肉箱と駆動部品を隔たせる板である。定盤部分211は、スライサー本体Aの基部である台部分18上に設ける。定盤部分211は、排出側に向けて傾斜を設けてある。そのため、肉のドリップ、血液あるいは清掃時の水分Gを下部に自然に落下させる。
定盤部分211表面には、凹凸を設けていない。そのため、定盤部分211のふき取りの際に拭き残し確率は低下する。
図12に図示するように、スライサー本体Aの清掃時には、丸刃物11方向に向けて温水Fを噴出しておこなう。
【0040】
肉塊Wのスライス作業について説明する。
モーター21を駆動して、丸刃物11を駆動する。
他方、サーボモーター・エンコーダ32を駆動して、ボールねじ33を駆動し、供給装置31を、丸刃物11に対して近接及び離隔の、往復移動させる。肉塊Wを積載したタンク41は、丸刃物11に対して近接及び離隔の、往復移動をする。
W1は、肉塊Wからスライスされたスライス肉である。
肉塊Wを丸刃物11の回転領域に往復侵入させて、スライス肉W1を順次作成する。
【0041】
図6に図示するのは、スライサー本体Aで、牛ロース等の大型の肉をスライスする場合における、スライサー本体Aの使用状態の丸刃物11部分の正面概略図である。肉塊Wを載置するタンク41は、大型の肉塊Wに合わせてタンク幅は例えば380mmと大型となる。そのため肉塊Wの切断において、丸刃物11の正回転領域aのみならず、逆回転領域bにも、タンク41、肉塊Wは侵入させてスライスする。
回転する丸刃物11の回転領域に、肉塊Wを侵入させて丸刃物11に接触させて肉塊Wをスライスする丸刃物11の中央部には、肉塊本体側に対して凹んだ凹部13を設けたため、肉塊Wと丸刃物11との接触面積は従来に比し少なくなり、肉くずを発生することが少なくなる。
【0042】
図7に図示するのは、豚ロース等の小型の肉をスライスする場合における、スライサー本体Aの使用状態の丸刃物11部分の正面概略図である。肉塊Wを載置するタンク41は、小型の肉塊Wに合わせてタンク幅は例えば150mmと小型となる。そのため肉塊Wの切断において、丸刃物11の正回転領域aのみで、タンク41、肉塊Wは侵入させてスライスする。
中央部に、侵入する肉塊本体側に対して凹んだ凹部13を設けた、回転する丸刃物11の回転領域に、肉塊Wを侵入させて丸刃物11に接触させて肉塊をスライスするが、正回転領域aより小さい肉塊Wは、丸刃物11の正回転領域aのみでスライスする。
【0043】
肉塊Wのサイズに合わせて最小限の動作でスライスするので、丸刃物11の逆回転領域bに接触する割合を最小限に抑える。
丸刃物11の回転領域のうち、回転中心12から、肉塊Wの進入側と反対側に位置する逆回転領域bに接触する割合を最小限に押させる。
従来例に比し逆回転領域bの使用割合が少ない。正回転領域aの利用と、丸刃物11の形状との相乗効果である。
そのため、肉くずの飛散率を大幅に減少させる。肉の切断面の組織に乱れや汚れを生じさせることとなく肉製品の商品価値及び歩留まりを向上させるとともに、肉くずや脂肪分の付着を軽減し、清掃を容易にすることで、衛生管理も容易になる。
汚れない。接触率が低い。肉片の飛散が少ない。
【0044】
この発明の実施例に係る丸刃物11では、円盤状回転刃の回転中心12から外周に向かって肉厚tを次第に薄くすることで、外周縁先鋭な刃物が形成された丸刃物11である。丸刃物11の裏面15をえぐることで凹面状に形成するとともに、裏面の刃先14から少し内側を更に段状に窪ませえぐれ部である凹部13を形成する。そのため、生肉の切断面の組織に乱れや汚れを生じさせることなく肉製品の商品価値及び歩留まりを向上させるとともに、肉くずや脂肪分の付着が軽減され、清掃及び衛生管理を容易にすることができる。
精肉加工に携わるスーパーマーケットなど様々なアイテムを扱う業種から、すき焼き、しゃぶしゃぶ等を専門にスライスする業種に適するスライサーとなる。
多様化する牛肉、豚肉、細切れ、切り落とし、すき焼き、しゃぶしゃぶなどに応じた動作パターンを任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0045】
11 丸刃物
12 回転中心
13 凹部
14 刃先
15 裏面
16 段部
17 肉箱
18 台部分
21 モーター
211 定盤部分
A スライサー本体
A1 刃物部載置部分
A2 肉箱載置部分
B ベース部
C 刃物部
G 水分
W 肉塊
W1 スライス肉
X 切りくずの蓄積エリア