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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073161
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】回収システム及び回収方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/22 20060101AFI20240522BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240522BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240522BHJP
   B64D 17/80 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B64D1/22
B64C39/02
B64C27/08
B64D17/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184229
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃浩
(57)【要約】
【課題】ロケットの能力の低下を抑制しつつ、安全に着地を行う。
【解決手段】着地時に推力を発生させながら、機体を降下させる宇宙航行体を回収する回収システムであって、前記機体に接続され、機体降下時に前記機体の外側へ向かって延びる複数の索状部材と、前記索状部材をそれぞれ捕縛して飛行する複数の無人航空機と、前記宇宙航行体の着地点に設けられ、前記無人航空機において捕縛解除された複数の前記索状部材が係止されることで、前記宇宙航行体を吊り下げた状態で支持する回収構造体と、を備え、機体降下時において、複数の前記無人航空機により、捕縛した複数の前記索状部材を前記回収構造体に係止させるステップと、複数の前記無人航空機による前記索状部材の捕縛を解除するステップと、前記宇宙航行体の推力停止後において、前記回収構造体により前記宇宙航行体を吊り下げ支持するステップと、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着地時に推力を発生させながら、機体を降下させる宇宙航行体を回収する回収システムであって、
前記機体に接続され、機体降下時に前記機体の外側へ向かって延びる複数の索状部材と、
前記索状部材をそれぞれ捕縛して飛行する複数の無人航空機と、
前記宇宙航行体の着地点に設けられ、前記無人航空機において捕縛解除された複数の前記索状部材が係止されることで、前記宇宙航行体を吊り下げた状態で支持する回収構造体と、を備え、
機体降下時において、複数の前記無人航空機により、捕縛した複数の前記索状部材を前記回収構造体に係止させるステップと、
複数の前記無人航空機による前記索状部材の捕縛を解除するステップと、
前記宇宙航行体の推力停止後において、前記回収構造体により前記宇宙航行体を吊り下げ支持するステップと、を実行する回収システム。
【請求項2】
機体降下時において、複数の前記索状部材を、前記機体の外側へ向かって射出する射出部を、さらに備え、
複数の前記無人航空機は、前記宇宙航行体の外側に配置され、
機体降下時において、前記射出部により射出された複数の前記索状部材を、複数の前記無人航空機により捕縛するステップを、さらに実行する請求項1に記載の回収システム。
【請求項3】
前記射出部は、前記索状部材の外側の端部に配置されたドラッグシュート、パラシュートまたはバルーンを含む請求項2に記載の回収システム。
【請求項4】
前記宇宙航行体を所定の着地点に着地させる位置制御として、地球座標系における絶対座標に基づいて前記宇宙航行体の位置を制御する第1の位置制御と、前記宇宙航行体と前記着地点との相対的な位置である相対位置に基づいて前記宇宙航行体の位置を制御する第2の位置制御と、を含み、
機体降下時において前記第1の位置制御から前記第2の位置制御に切り替える高度を、第1高度しきい値とし、
前記射出部は、前記第1高度しきい値よりも低い高度となる第2高度しきい値となると、複数の前記索状部材を射出する請求項2に記載の回収システム。
【請求項5】
前記宇宙航行体は、高度を計測する高度計を有し、前記高度計によって計測された前記高度を、複数の前記無人航空機へ向けて出力する請求項4に記載の回収システム。
【請求項6】
前記回収構造体への前記索状部材の係止を検出する係止検出センサを、さらに備え、
前記無人航空機は、前記係止検出センサにより前記回収構造体への前記索状部材の係止を検出すると、前記索状部材の捕縛を解除する請求項2に記載の回収システム。
【請求項7】
前記無人航空機による前記索状部材の捕縛の有無を検出する捕縛検出センサを、さらに備え、
前記捕縛検出センサにより捕縛有りと検出された複数の前記無人航空機は、前記回収構造体に対する前記宇宙航行体の支持荷重がバランスするように位置補正して、前記索状部材を前記回収構造体に係止させる請求項1に記載の回収システム。
【請求項8】
複数の前記無人航空機は、前記索状部材を捕縛した状態で、前記宇宙航行体の内側に配置され、
機体降下時において、複数の前記無人航空機が前記宇宙航行体の外側へ向かって飛行するステップを、さらに実行する請求項1に記載の回収システム。
【請求項9】
着地時に推力を発生させながら、機体を降下させる宇宙航行体を回収する回収システムにより実行される回収方法であって、
前記回収システムは、
前記機体に接続され、機体降下時に前記機体の外側へ向かって延びる複数の索状部材と、
前記索状部材をそれぞれ捕縛して飛行する複数の無人航空機と、
前記宇宙航行体の着地点に設けられ、前記無人航空機において捕縛解除された複数の前記索状部材が係止されることで、前記宇宙航行体を吊り下げた状態で支持する回収構造体と、を備え、
機体降下時において、複数の前記無人航空機により、捕縛した複数の前記索状部材を前記回収構造体に係止させるステップと、
複数の前記無人航空機による前記索状部材の捕縛を解除するステップと、
前記宇宙航行体の推力停止後において、前記回収構造体により前記宇宙航行体を吊り下げ支持するステップと、を実行する回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回収システム及び回収方法に関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、回収システムとして、切り離されて降下するロケットを、ヘリコプタにより空中でキャッチして、ロケットを運搬する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0049316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなロケット回収方法は、ヘリコプタを用いた難度の高いオペレーションとなっている。他の回収方法としては、切り離されたロケットが、着地時に推力を発生させつつ、位置及び姿勢を制御しながら機体を降下させ、機体後方から脚を展開して、垂直に着地する方法がある。しかしながら、ロケットの着地のために脚及び展開機構を設けることは、重量増加となり、ロケットの能力を低下させてしまう。また、着地付近においては、ロケットの降下速度が遅くなることから、姿勢制御等が難しく、安全な着地が困難なものとなる。
【0005】
そこで、本開示は、ロケットの能力の低下を抑制しつつ、安全に着地を行うことができる回収システム及び回収方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の回収システムは、着地時に推力を発生させながら、機体を降下させる宇宙航行体を回収する回収システムであって、前記機体に接続され、機体降下時に前記機体の外側へ向かって延びる複数の索状部材と、前記索状部材をそれぞれ捕縛して飛行する複数の無人航空機と、前記宇宙航行体の着地点に設けられ、前記無人航空機において捕縛解除された複数の前記索状部材が係止されることで、前記宇宙航行体を吊り下げた状態で支持する回収構造体と、を備え、機体降下時において、複数の前記無人航空機により、捕縛した複数の前記索状部材を前記回収構造体に係止させるステップと、複数の前記無人航空機による前記索状部材の捕縛を解除するステップと、前記宇宙航行体の推力停止後において、前記回収構造体により前記宇宙航行体を吊り下げ支持するステップと、を実行する。
【0007】
本開示の回収方法は、着地時に推力を発生させながら、機体を降下させる宇宙航行体を回収する回収システムにより実行される回収方法であって、前記回収システムは、前記機体に接続され、機体降下時に前記機体の外側へ向かって延びる複数の索状部材と、前記索状部材をそれぞれ捕縛して飛行する複数の無人航空機と、前記宇宙航行体の着地点に設けられ、前記無人航空機において捕縛解除された複数の前記索状部材が係止されることで、前記宇宙航行体を吊り下げた状態で支持する回収構造体と、を備え、機体降下時において、複数の前記無人航空機により、捕縛した複数の前記索状部材を前記回収構造体に係止させるステップと、複数の前記無人航空機による前記索状部材の捕縛を解除するステップと、前記宇宙航行体の推力停止後において、前記回収構造体により前記宇宙航行体を吊り下げ支持するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ロケットの能力の低下を抑制しつつ、安全に着地を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る回収システムの一例を示す概略構成図である。
図2図2は、実施形態1に係る回収システムのブロック図である。
図3図3は、ロケットに設けられるワイヤー周りを模式的に表した模式図である。
図4図4は、回収構造体を模式的に表した模式図である。
図5図5は、ワイヤートラップを模式的に表した模式図である。
図6図6は、ワイヤートラップの動作に関する説明図である。
図7図7は、ワイヤーストッパの一例を示す図である。
図8図8は、ワイヤートラップとワイヤーストッパとの係止時に関する説明図である。
図9図9は、ロケットと船舶との位置制御に関する説明図である。
図10図10は、第1の位置制御に関するフローチャートである。
図11図11は、第2の位置制御に関するフローチャートである。
図12図12は、回収システムの一例の動作に関する説明図である。
図13図13は、無人航空機の群制御に関する説明図である。
図14図14は、回収システムの一例の動作に関する説明図である。
図15図15は、回収後のロケットを示す説明図である。
図16図16は、実施形態2に係る回収システムの動作に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0011】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る回収システムの一例を示す概略構成図である。図2は、実施形態1に係る回収システムのブロック図である。図3は、ロケットに設けられるワイヤー周りを模式的に表した模式図である。図4は、回収構造体を模式的に表した模式図である。図5は、ワイヤートラップを模式的に表した模式図である。図6は、ワイヤートラップの動作に関する説明図である。図7は、ワイヤーストッパの一例を示す図である。図8は、ワイヤートラップとワイヤーストッパとの係止時に関する説明図である。図9は、ロケットと船舶との位置制御に関する説明図である。図10は、第1の位置制御に関するフローチャートである。図11は、第2の位置制御に関するフローチャートである。図12は、回収システムの一例の動作に関する説明図である。図13は、無人航空機の群制御に関する説明図である。図14は、回収システムの一例の動作に関する説明図である。図15は、回収後のロケットを示す説明図である。
【0012】
(回収システム)
実施形態1の回収システム1は、ロケット等の宇宙航行体を回収するシステムとなっている。ここで、宇宙航行体は、着地する際の機体降下時において、機体後方から推力を発生させながら、降下速度を減速させている。実施形態1では、宇宙航行体として、切り離し後の1段目のロケットに適用して説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、実施形態1にかかる回収システム1は、無人航空機8を用いて、機体降下するロケット3を、船舶5上に設けられる回収構造体50に、吊り下げた状態で回収する。回収システム1は、ロケット3及び船舶5に亘って搭載されると共に、無人航空機8を含む構成となっている。また、回収システム1は、ロケット3、船舶5及び無人航空機8が、無線通信等の通信ネットワーク9を介して、双方向に通信が可能となっている。
【0014】
図2に示すように、ロケット3は、航法装置20と、高度センサ25と、制御部30と、ワイヤー(索状部材)35と、ワイヤー射出部40と、を備えている。また、船舶5は、回収構造体50と、制御部60と、航法装置70と、を備える。そして、回収システム1は、ロケット3において、ワイヤー35と、ワイヤー射出部40と、を有し、船舶5において、回収構造体50を有し、また、無人航空機8を有するものとなっている。
【0015】
(ロケット)
上記したように、ロケット3は、航法装置20と、高度センサ25と、制御部30と、ワイヤー(索状部材)35と、ワイヤー射出部40と、を備えている。
【0016】
航法装置20は、例えば、慣性航法装置(INS:Inertial Navigation System)であり、ロケット3のロール方向、ヨー方向およびピッチ方向の姿勢角、ロケット3の機体速度、慣性速度、機体加速度、機首方位および地球座標系における位置座標等を取得する。なお、実施形態1において、航法装置20は、慣性航法装置に適用して説明するが、特に限定されず、いずれの航法装置20を用いてもよい。また、航法装置20は、実施形態1において、位置の計測精度を向上させるために、GPS(Global Positioning System)を含んだ慣性航法装置となっている。実施形態1では、GPSを含んだ慣性航法装置に適用して説明するが、GPSに特に限定されず、精度よく位置を計測可能なものであればよい。また、航法装置20は、ロケット3の姿勢角を検出する姿勢角センサ、ロケット3の機体速度を検出する速度センサ、ロケット3の機体加速度を検出する加速度センサ、ロケット3の機首方位を検出するセンサを有するものであってもよい。
【0017】
高度センサ25は、ロケット3の着地面または水面からの高度を検出する高度センサ25を備えている。高度センサ25は、例えば、レーザ高度計であり、ロケット3から着地点までの相対高度を計測している。なお、高度センサ25としては、電波高度計を用いてもよいし、気圧高度計を用いてもよく、いずれの高度計を用いてもよい。高度センサ25は、検出したロケット3の相対高度を制御部30に出力する。
【0018】
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路を含んでいる。制御部30は、ロケット3の機体降下時における姿勢及び推力を制御したり、ロケット3の機体降下時において後述するワイヤー35の射出を実行したりする。
【0019】
ワイヤー35は、ロケット3の機体降下時において、無人航空機8によって捕縛される。図3に示すように、ワイヤー35は、その一端が、ロケット3の上部に設けられるハードポイントに接続されている。また、ワイヤー35は、図13に示すように、ハードポイントに複数(例えば、10本)設けられ、ロケット3の胴部の周囲に沿って、所定の間隔を空けて設けられている。また、ワイヤー35には、無人航空機8によって捕縛される被捕縛部材36が設けられている。被捕縛部材36は、例えば、リング形状となっている。なお、被捕縛部材36の形状は、特に限定されず、無人航空機8によって捕縛可能な形状であれば、何れの形状であってもよい。また、ワイヤー35には、図4及び図7に示すように、後述するワイヤートラップ52に係止される係止部材37が設けられている。図7に示すように、係止部材37は、ワイヤー35の長手方向を中心とした円盤形状の係止部材37aであってもよいし、ワイヤー35の長手方向に直交して設けられるシャフト形状の係止部材37bであってもよい。
【0020】
ワイヤー射出部40は、ロケット3の機体降下時において、ワイヤー35を射出している。ワイヤー射出部40は、ドラッグシュート41を含んで構成されている。ドラッグシュート41は、ワイヤー35の他端に接続されており、ロケット3の機体降下時において、ワイヤー35に張力が付与されるように、空気抵抗を与えるものとなっている。ワイヤー射出部40は、制御部30に接続されており、制御部30は、所定のタイミングにおいて、ドラッグシュート41を展開するように、ワイヤー射出部40を制御する。なお、実施形態1では、ドラッグシュート41を設けたが、ドラッグシュート41に代えて、パラシュートを設けてもよいし、バルーンを設けてもよい。
【0021】
(船舶)
上記したように、船舶5は、回収構造体50と、制御部60と、航法装置70と、を備える。
【0022】
航法装置70は、例えば、慣性航法装置(INS:Inertial Navigation System)であり、船舶5のピッチ方向およびロール方向の姿勢角、船首方位、速度、加速度および地球座標系における位置座標等を取得する。なお、実施形態1において、航法装置70は、慣性航法装置に適用して説明するが、特に限定されず、いずれの航法装置70を用いてもよい。また、航法装置70は、実施形態1において、位置の計測精度を向上させるために、GPS(Global Positioning System)を含んだ慣性航法装置となっている。実施形態1では、GPSを含んだ慣性航法装置に適用して説明するが、GPSに特に限定されず、精度よく位置を計測可能なものであればよい。
【0023】
制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路を含んでいる。制御部60は、入力されるデータに基づいて、船舶5を所定の位置に移動させたり、無人航空機8との間で情報通信を行ったりしている。
【0024】
回収構造体50は、船舶5上に設けられており、ロケット3は、回収構造体50を着地点として着艦する。なお、実施形態1では、回収構造体50を船舶5上に設けたが、陸上または洋上施設に設けてもよく、ロケット3の回収場所であれば、特に限定されない。回収構造体50は、本体部51と、ワイヤートラップ52と、係止検出センサ53とを備えている。
【0025】
本体部51は、図1及び図4に示すように、船舶5上に立脚して設けられており、ロケット3を吊り下げ可能な高さとなっている。具体的に、本体部51は、鉛直方向の上部に設けられる円環部51aと、円環部51aから鉛直方向の下方に延びて船舶5に固定される複数の固定脚51bとを含んで構成されている。円環部51aは、中心側の空間が、ロケット3の胴部よりも大きな径となっており、機体降下するロケット3を収容可能な大きさとなっている。複数の固定脚51bは、円環部51aの周方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0026】
ワイヤートラップ52は、図5に示すように、本体部51の円環部51aに設けられ、周方向に亘って並べて設けられている。ワイヤートラップ52は、トラップ本体55と、可動扉56と、ばね付きヒンジ57とを含んで構成されている。トラップ本体55は、鉛直方向の上方側に延在して設けられ、下方側となる基端側が円環部51aに接続され、上方側となる先端側にガイド部位55aが形成されている。トラップ本体55は、隣接する他のトラップ本体55との間に、ワイヤー35を収容する収容空間を形成している。この収容空間は、ワイヤー35を収容可能な大きさとなっており、ワイヤー35に設けられた係止部材37が係止する大きさとなっている。ガイド部位55aは、基端側から先端側へ向かって先細りとなるテーパ形状に形成されている。ガイド部位55aは、先端側から入ってくるワイヤー35を表面に沿って移動させることで、ワイヤー35を、隣接するトラップ本体55同士の間に形成された収容空間に案内する。また、ガイド部位55aは、その基端側が、後述する可動扉56を閉塞する位置に規制するストッパとして機能している。可動扉56は、ガイド部位55a同士の間に形成された収容空間に連なる開口を開閉する。ばね付きヒンジ57は、トラップ本体55のガイド部位55aに対して可動扉56を開閉可能に接続しており、可動扉56を閉塞する側に付勢している。図6に示すように、ばね付きヒンジ57は、ワイヤー35がガイド部位55a同士の間の開口から入ってくることを許容するように可動扉56を開放側に可動させる。一方で、ばね付きヒンジ57は、収容空間に収容されたワイヤー35が離脱しないように可動扉56を閉塞側に可動させる。このとき、可動扉56は、トラップ本体55のガイド部位55aにより閉塞する位置に規制される。
【0027】
係止検出センサ53は、回収構造体50へのワイヤー35の係止を検出するセンサである。ここで、図8に示すように、ワイヤートラップ52のトラップ本体55の内部に収容されたワイヤー35は、ロケット3の機体降下によって、長手方向の下方側に引っ張られる。このとき、ワイヤー35に設けられた係止部材37は、トラップ本体55に引っ掛かることで、ワイヤー35がワイヤートラップ52に係止される。そして、係止検出センサ53は、ワイヤー35がワイヤートラップ52に係止されたことを検出する。係止検出センサ53は、例えば、係止部材37とトラップ本体55との接触を検出してもよいし、画像認識により、ワイヤー35とワイヤートラップ52との係止状態を検出してもよい。係止検出センサ53は、制御部60に接続されており、ワイヤー35とワイヤートラップ52との係止状態を制御部60へ向けて出力している。
【0028】
(無人航空機)
図1及び図2に示すように、無人航空機8は、回転翼機としての無人の飛行体(例えばヘリコプタ、ドローン等)である。無人航空機8は、前進、後進、横進、旋回、ホバリングが可能な飛行体であればよい。無人航空機8は、回収システム1の一部を構成している。無人航空機8は、ワイヤー35の数に応じて複数設けられる。複数の無人航空機8は、船舶5上に配置される。無人航空機8は、制御部80と、ワイヤー捕縛部85と、捕縛検出センサ90とを有している。
【0029】
制御部80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路を含んでいる。制御部80は、無人航空機8の飛行を制御したり、ワイヤー捕縛部85によるワイヤー35の捕縛動作を制御したりする。
【0030】
ワイヤー捕縛部85は、ワイヤー35に設けられた被捕縛部材36に対して捕縛動作を実行可能な機構となっており、例えば、アームが用いられる。ワイヤー捕縛部85は、被捕縛部材36を捕縛することで、無人航空機8によるワイヤー35の牽引移動を実行することが可能となる。また、ワイヤー捕縛部85は、被捕縛部材36の捕縛を解除することで、無人航空機8のワイヤー35からの離脱移動を実行することが可能となる。
【0031】
捕縛検出センサ90は、ワイヤー捕縛部85によるワイヤー35(被捕縛部材36)の有無を検出するセンサである。捕縛検出センサ90は、例えば、ワイヤー捕縛部85と被捕縛部材36との接触を検出してもよいし、画像認識により、ワイヤー捕縛部85と被捕縛部材36との捕縛状態を検出してもよい。捕縛検出センサ90は、制御部80に接続されており、ワイヤー捕縛部85と被捕縛部材36との捕縛状態を制御部80へ向けて出力している。
【0032】
次に、図9から図11を参照して、ロケット3の船舶5への着地時における、ロケット3及び船舶5の位置制御について説明する。回収システム1によるロケット3の回収時において、ロケット3及び船舶5は、ロケット3の機体降下時において、第1の位置制御から、第2の位置制御に切り替えている。第1の位置制御と第2の位置制御との切り替えは、高度センサ25によって計測される相対位置に基づいて実行される。つまり、機体降下時において第1の位置制御から第2の位置制御に切り替える高度を、第1高度しきい値H1としている。このため、ロケット3の制御部30及び船舶5の制御部60は、高度センサ25によって、相対高度が第1高度しきい値H1となると、第1の位置制御から第2の位置制御に切り替える。なお、船舶5の制御部60は、ロケット3から通信ネットワーク9を介して入力される高度センサ25の相対高度を取得している。
【0033】
第1の位置制御では、地球座標系における絶対座標に基づいてロケット3の位置及び船舶5の位置をそれぞれ制御している。ロケット3において、第1の位置制御では、着地点の直上における所定の領域を目標エリアとしており、ロケット3の制御部30は、ロケット3が目標エリアに位置するように位置制御を実行する。また、船舶5において、第1の位置制御では、海洋上における所定の領域を目標エリアとしており、船舶5の制御部60は、船舶5が目標エリアに位置するように位置制御を実行する。
【0034】
図10を参照して、第1の位置制御について具体的に説明する。なお、図10に示す第1の位置制御は、ロケット3及び船舶5のそれぞれにおいて実行される。制御部30、60は、航法装置20、70により地球座標系におけるロケット3及び船舶のそれぞれの現在の絶対座標を取得する(ステップS11)。続いて、制御部30、60は、取得した現在の絶対座標が、地球座標系において設定された目標エリアとなっているか否かを判定する(ステップS12)。制御部30、60は、取得した現在の絶対座標が目標エリアとなっていない場合(ステップS12:No)、目標エリアに位置するように、ロケット3及び船舶のそれぞれの位置を修正する(ステップS13)。ステップS13では、ロケット3の制御部30が、ロケット3を機体制御することで、位置を修正し、船舶5の制御部60が、船舶5を移動制御することで、位置を修正する。ステップS13の実行後、制御部30、60は、再びステップS11に進む。ステップS12において、制御部30、60は、取得した現在の絶対座標が目標エリアとなっている場合(ステップS12:Yes)、位置制御の切り替えがあるか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14において、制御部30、60は、相対高度が第1高度しきい値H1となったか否かによって、位置制御の切り替えがあるか否かを判定する。制御部30、60は、位置制御の切り替えがあると判定すると(ステップS14:Yes)、第1の位置制御の実行を終了する。一方で、制御部30、60は、位置制御の切り替えがないと判定すると(ステップS14:No)、再びステップS11に進む。
【0035】
第2の位置制御では、ロケット3と(船舶5上の)着地点との相対的な位置である相対位置に基づいてロケット3の位置を制御している。また、第2の位置制御では、ロケット3と(船舶5上の)着地点との相対的な速度である相対速度に基づいてロケット3の着地時における機体動作を制御している。第2の位置制御では、相対位置及び相対速度が目標値となるように位置制御を実行する。
【0036】
図11を参照して、第2の位置制御について具体的に説明する。なお、図11に示す第2の位置制御は、ロケット3において実行される。制御部30は、航法装置20及び高度センサ25により相対位置及び相対速度を取得する(ステップS21)。続いて、制御部30は、取得した相対位置及び相対速度が、予め設定された目標値となっているか否かを判定する(ステップS22)。制御部30は、取得した相対位置及び相対速度が目標値となっていない場合(ステップS22:No)、目標値となるように、ロケット3の位置及び機体降下速度を修正する(ステップS23)。ステップS23では、ロケット3の制御部30が、ロケット3の機体制御及び推力制御を実行することで、位置及び機体降下速度を修正する。ステップS23の実行後、制御部30は、再びステップS21に進む。ステップS22において、制御部30は、取得した相対位置及び相対速度が目標値となっている場合(ステップS22:Yes)、ロケット3が着地したか否かを判定する(ステップS24)。なお、ロケット3の着地とは、ロケット3が回収構造体50に吊り下げられた状態となることである。ロケット3の着地の判定は、例えば、ロケット3が推力停止したか否かに基づいて判定してもよい。ステップS24において、制御部30は、ロケット3が着地したと判定すると(ステップS24:Yes)、第2の位置制御の実行を終了する。一方で、制御部30は、ロケット3が着地していないと判定すると(ステップS24:No)、再びステップS21に進む。
【0037】
(回収方法)
次に、図12から図15を参照して、回収システム1によるロケット3の回収方法について説明する。先ず、回収システム1では、着地の際の機体降下時において、複数のワイヤー35を射出した後、複数の無人航空機8を離陸させるステップS31を実行する。この後、回収システム1では、離陸した複数の無人航空機8により、射出された複数のワイヤー35を捕縛するステップS32を実行する。次に、回収システム1では、複数の無人航空機8により、捕縛した複数のワイヤー35を回収構造体50に係止させるステップS33を実行する。続いて、回収システム1では、複数の無人航空機8による複数のワイヤー35の捕縛を解除するステップS34を実行する。そして、回収システム1では、ロケット3の推力停止後において、回収構造体50によりロケット3を吊り下げ支持するステップS35を実行する。
【0038】
ステップS31では、第1高度しきい値H1よりも低い高度となる第2高度しきい値H2となると、ワイヤー射出部40は、複数のワイヤー35を射出する。具体的に、ステップS31において、ロケット3の制御部30は、高度センサ25で取得した高度が第2高度しきい値H2となると、ワイヤー射出部40を制御して、ワイヤー射出部40のドラッグシュート41を射出することで、ワイヤー35がロケット3の外部に引き出される。引き出された複数のワイヤー35は、ロケット3の外側へ向かって延びる。この後、ステップS31において、ロケット3の制御部30は、高度センサ25で取得した高度が第2高度しきい値H2よりも低い高度となる第3高度しきい値H3となると、第3高度しきい値H3となる高度の情報を複数の無人航空機8へ向けて出力する。複数の無人航空機8は、第3高度しきい値H3となる高度の情報を取得すると、船舶5から離陸する。
【0039】
ステップS32では、船舶5から離陸した複数の無人航空機8が、射出された複数のワイヤー35を捕縛する。具体的に、ステップS32において、無人航空機8は、ワイヤー35に設けられる被捕縛部材36へ向かって飛行する。このとき、無人航空機8は、図示しないカメラにより撮像した画像を画像認識することよって、被捕縛部材36を認識し、被捕縛部材36へ向かって飛行する。また、無人航空機8は、被捕縛部材36を識別可能となっており、無人航空機8に対応付けられた所定の被捕縛部材36へ向かって飛行する。無人航空機8による被捕縛部材36の識別は、例えば、被捕縛部材36に小型のトランスポンダを設けることにより可能となる。複数の無人航空機8は、衝突回避動作を行いつつ、ワイヤー捕縛部85による捕縛動作を実行させることで、対応付けられた所定の被捕縛部材36を捕縛する。
【0040】
図13に示すように、ステップS32において、無人航空機8が捕縛動作を実行した後、無人航空機8は、捕縛検出センサ90により被捕縛部材36の捕縛の有無を検出する。無人航空機8は、捕縛検出センサ90により捕縛有りと検出すると、捕縛が成功した情報である捕縛成功信号D1を、通信ネットワーク9を介して船舶5の制御部60へ向けて出力する。また、無人航空機8は、捕縛検出センサ90により捕縛無しと検出すると、捕縛が失敗した情報である捕縛失敗信号D2を、通信ネットワーク9を介して船舶5の制御部60へ向けて出力する。船舶5の制御部60は、捕縛有りと検出された無人航空機8の配置に基づいて、回収構造体50に対するロケット3の支持荷重がバランスするように位置補正を実行し、無人航空機8に対して位置補正後の配置となるように、無人航空機8へ向けて位置補正信号D3を出力する。図13では、捕縛が成功した無人航空機8aが、捕縛が失敗した無人航空機8bの位置となるように移動する。なお、捕縛が成功した無人航空機8aの間隔が等間隔となるように、位置を補正してもよい。つまり、回収構造体50に対するロケット3の支持荷重がバランスするような位置補正であれば、特に限定されない。
【0041】
ステップS33では、ワイヤー35を捕縛した無人航空機8が、回収構造体50にワイヤー35を係止させるように移動する。具体的に、ステップS33において、ロケット3の制御部30は、高度センサ25で取得した高度が第3高度しきい値H3よりも低い高度となる第4高度しきい値H4となると、第4高度しきい値H4となる高度の情報を複数の無人航空機8へ向けて出力する。複数の無人航空機8は、第4高度しきい値H4となる高度の情報を取得すると、回収構造体50の円環部51aの外側に展開した後、円環部51aよりも下方側の位置に移動する。この移動により、複数の無人航空機8は、ワイヤー35をトラップ本体55同士の間の収容空間内に収容させて、係止部材37によりワイヤー35をワイヤートラップ52に係止させる。
【0042】
ステップS34では、複数の無人航空機8が、捕縛している複数のワイヤー35の捕縛を解除する。具体的に、ステップS34において、船舶5は、係止検出センサ53によりワイヤートラップ52への係止部材37の係止の有無を検出する。船舶5は、係止検出センサ53により係止有りを検出すると、係止が成功した情報である係止成功情報を、通信ネットワーク9を介して無人航空機8へ向けて出力する。無人航空機8は、係止成功情報が入力されると、ワイヤー捕縛部85によるワイヤー35の捕縛を解除して、回収構造体50から離脱移動する。
【0043】
ステップS35では、ロケット3の推力が停止されることで、ワイヤー35を介してロケット3が回収構造体50に吊り下げられた状態で支持される。ステップS35が実行されることで、回収システム1を用いたロケット3の回収方法が終了する。
【0044】
[実施形態2]
次に、図16を参照して、実施形態2について説明する。なお、実施形態2では、重複した記載を避けるべく、実施形態1と異なる部分について説明し、実施形態1と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。図16は、実施形態2に係る回収システムの動作に関する説明図である。
【0045】
実施形態2の回収システム100は、複数の無人航空機8がワイヤー35を捕縛した状態で、ロケット3の内側に配置されている。つまり、回収システム100は、ロケット3の内側に設けられ、複数の無人航空機8を設置する設置台101が設けられている。
【0046】
実施形態2の回収システム100を用いたロケット3の回収方法では、高度が第2高度しきい値H2となると、複数の無人航空機8がロケット3の外側へ向かって飛行するステップS41を実行する。つまり、回収方法では、実施形態1のステップS31に代えて、ステップS41を実行する。また、回収方法では、実施形態1のステップS32の実行は省かれ、ステップS33以降は、実施形態1と同様となる。
【0047】
以上のように、実施形態1から2に記載の回収システム及び回収方法は、例えば、以下のように把握される。
【0048】
第1の態様に係る回収システム1は、着地時に推力を発生させながら、機体を降下させる宇宙航行体(ロケット3)を回収する回収システム1であって、前記機体に接続され、機体降下時に前記機体の外側へ向かって延びる複数の索状部材(ワイヤー35)と、前記索状部材をそれぞれ捕縛して飛行する複数の無人航空機8と、前記宇宙航行体の着地点に設けられ、前記無人航空機8において捕縛解除された複数の前記索状部材が係止されることで、前記宇宙航行体を吊り下げた状態で支持する回収構造体50と、を備え、機体降下時において、複数の前記無人航空機8により、捕縛した複数の前記索状部材を前記回収構造体50に係止させるステップS33と、複数の前記無人航空機8による前記索状部材の捕縛を解除するステップS34と、前記宇宙航行体の推力停止後において、前記回収構造体50により前記宇宙航行体を吊り下げ支持するステップS35と、を実行する。
【0049】
この構成によれば、宇宙航行体に、従来のような脚及び展開機構を設けることがないため、宇宙航行体の能力低下を抑制することができる。また、着地付近においては、索状部材を介して回収構造体50に対して宇宙航行体を係止することができるため、宇宙航行体の着地姿勢を安定させることができ、安全に着地を行うことが可能となる。
【0050】
第2の態様として、第1の態様に係る回収システム1において、機体降下時において、複数の前記索状部材を、前記機体の外側へ向かって射出する射出部(ワイヤー射出部40)を、さらに備え、複数の前記無人航空機8は、前記宇宙航行体の外側に配置され、機体降下時において、前記射出部により射出された複数の前記索状部材を、複数の前記無人航空機8により捕縛するステップS32を、さらに実行する。
【0051】
この構成によれば、複数の索状部材を射出部から射出することができるため、索状部材を機体の外側に適切に展開することができ、複数の無人航空機8による捕縛を好適に行うことができる。
【0052】
第3の態様として、第2の態様に係る回収システム1において、前記射出部は、前記索状部材の外側の端部に配置されたドラッグシュート41、パラシュートまたはバルーンを含む。
【0053】
この構成によれば、機体の外側に射出された複数の索状部材に対して、張力を付与することができるため、索状部材を安定的な状態とすることができ、複数の無人航空機8による捕縛をより好適に行うことが可能となる。
【0054】
第4の態様として、第2の態様に係る回収システム1において、前記宇宙航行体を所定の着地点に着地させる位置制御として、地球座標系における絶対座標に基づいて前記宇宙航行体の位置を制御する第1の位置制御と、前記宇宙航行体と前記着地点との相対的な位置である相対位置に基づいて前記宇宙航行体の位置を制御する第2の位置制御と、を含み、機体降下時において前記第1の位置制御から前記第2の位置制御に切り替える高度を、第1高度しきい値H1とし、前記射出部は、前記第1高度しきい値よりも低い高度となる第2高度しきい値H2となると、複数の前記索状部材を射出する。
【0055】
この構成によれば、複数の索状部材の射出のタイミングを適切なタイミングとすることができるため、無人航空機8による索状部材の捕縛に要する時間を適切に確保することができる。
【0056】
第5の態様として、第4の態様に係る回収システム1において、前記宇宙航行体は、高度を計測する高度計(高度センサ25)を有し、前記高度計によって計測された前記高度を、複数の前記無人航空機8へ向けて出力する。
【0057】
この構成によれば、無人航空機8は、宇宙航行体の高度に基づく動作を実行することができるため、宇宙航行体と協調した動作を実行することが可能となる。
【0058】
第6の態様として、第2の態様に係る回収システム1において、前記回収構造体50への前記索状部材の係止を検出する係止検出センサ53を、さらに備え、前記無人航空機8は、前記係止検出センサ53により前記回収構造体50への前記索状部材の係止を検出すると、前記索状部材の捕縛を解除する。
【0059】
この構成によれば、回収構造体50への索状部材の係止を検出した上で、無人航空機8の捕縛解除を実行することができるため、回収構造体50への索状部材の係止に関する確実性を高めることができる。
【0060】
第7の態様として、第1から第6のいずれか1つの態様に係る回収システム1において、前記無人航空機8による前記索状部材の捕縛の有無を検出する捕縛検出センサ90を、さらに備え、前記捕縛検出センサ90により捕縛有りと検出された複数の前記無人航空機8は、前記回収構造体50に対する前記宇宙航行体の支持荷重がバランスするように位置補正して、前記索状部材を前記回収構造体50に係止させる。
【0061】
この構成によれば、回収構造体50に対する宇宙航行体の支持荷重の偏りを抑制することができる。
【0062】
第8の態様として、第1の態様に係る回収システム1において、複数の前記無人航空機8は、前記索状部材を捕縛した状態で、前記宇宙航行体の内側に配置され、機体降下時において、複数の前記無人航空機8が前記宇宙航行体の外側へ向かって飛行するステップS41を、さらに実行する。
【0063】
この構成によれば、無人航空機8による索状部材の捕縛を実行する必要がないことから、宇宙航行体の回収に関するオペレーションを簡易にすることができる。
【0064】
第9の態様に係る回収方法は、着地時に推力を発生させながら、機体を降下させる宇宙航行体(ロケット3)を回収する回収システム1により実行される回収方法であって、前記回収システム1は、前記機体に接続され、機体降下時に前記機体の外側へ向かって延びる複数の索状部材(ワイヤー35)と、前記索状部材をそれぞれ捕縛して飛行する複数の無人航空機8と、前記宇宙航行体の着地点に設けられ、前記無人航空機8において捕縛解除された複数の前記索状部材が係止されることで、前記宇宙航行体を吊り下げた状態で支持する回収構造体50と、を備え、機体降下時において、複数の前記無人航空機8により、捕縛した複数の前記索状部材を前記回収構造体50に係止させるステップS33と、複数の前記無人航空機8による前記索状部材の捕縛を解除するステップS34と、前記宇宙航行体の推力停止後において、前記回収構造体50により前記宇宙航行体を吊り下げ支持するステップS35と、を実行する。
【0065】
この構成によれば、宇宙航行体に、従来のような脚及び展開機構を設けることがないため、宇宙航行体の能力低下を抑制することができる。また、着地付近においては、索状部材を介して回収構造体50に対して宇宙航行体を係止することができるため、宇宙航行体の着地姿勢を安定させることができ、安全に着地を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1 回収システム
3 ロケット
5 船舶
8 無人航空機
9 通信ネットワーク
20 航法装置
25 高度センサ
30 制御部(ロケット)
35 ワイヤー
36 被捕縛部材
37 係止部材
40 ワイヤー射出部
41 ドラッグシュート
50 回収構造体
51 本体部
52 ワイヤートラップ
53 係止検出センサ
55 トラップ本体
56 可動扉
57 ばね付きヒンジ
60 制御部(船舶)
70 航法装置
80 制御部(無人航空機)
85 ワイヤー捕縛部
90 捕縛検出センサ
100 回収システム(実施形態2)
101 設置台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16