(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073191
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法及びプリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
H05K3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184278
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬介
(72)【発明者】
【氏名】澤田 曜志
(72)【発明者】
【氏名】井川 裕二
【テーマコード(参考)】
5E314
【Fターム(参考)】
5E314AA24
5E314AA32
5E314AA39
5E314BB06
5E314BB09
5E314BB11
5E314CC01
5E314EE01
5E314FF01
5E314GG24
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板を製造するための製造方法の提供。
【解決手段】プリント配線板の製造方法は、最外の樹脂絶縁層上に電子部品を搭載するためのパッドを形成することと、前記最外の樹脂絶縁層と前記パッド上に前記パッドを露出するための開口を有するソルダーレジスト層を形成することと、前記パッド上にバンプを形成することと、前記ソルダーレジスト層上に第1枠を形成することと、前記第1枠を囲む第2枠を形成することと、前記第1枠と前記第2枠の間にダムを形成することと、前記バンプ上に前記電子部品を搭載することと、前記電子部品と前記ソルダーレジスト層の間にアンダーフィル材を充填すること、とを含む。前記第1枠と前記第2枠の表面張力は略等しく、ダムの表面張力は前記第1枠及び前記第2枠の表面張力より大きく、前記ソルダーレジスト層の表面張力は前記第1枠及び前記第2枠の表面張力より大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外の樹脂絶縁層を形成することと、
前記最外の樹脂絶縁層上に電子部品を搭載するためのパッドを形成することと、
前記最外の樹脂絶縁層と前記パッド上に前記パッドを露出するための開口を有するソルダーレジスト層を形成することと、
前記開口により露出される前記パッド上にバンプを形成することと、
前記ソルダーレジスト層上に第1枠を形成することと、
前記ソルダーレジスト層上であるとともに前記第1枠の外に前記第1枠を囲む第2枠を形成することと、
前記第1枠と前記第2枠の間にダムを形成することと、
前記バンプ上に前記電子部品を搭載することと、
前記電子部品と前記ソルダーレジスト層の間にアンダーフィル材を充填すること、とを含むプリント配線板の製造方法であって、
前記第1枠と前記第2枠の表面張力は略等しく、
前記ダムの表面張力は前記第1枠及び前記第2枠の表面張力より大きく、
前記ソルダーレジスト層の表面張力は前記第1枠及び前記第2枠の表面張力より大きい。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記バンプ上に前記電子部品を搭載することは、前記ダムを形成することの後に行われる。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記バンプ上に前記電子部品を搭載することは、前記ダムを形成することの前に行われる。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記ソルダーレジスト層の表面張力は前記ダムの表面張力よりも大きい。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記第1枠及び前記第2枠の高さは略等しく、前記ダムの高さは前記第1枠及び前記第2枠の高さよりも高い。
【請求項6】
請求項5のプリント配線板の製造方法であって、前記第1枠及び前記第2枠の高さは0.01μm以上5.0μm以下であり、前記ダムの高さは10μm以上30μm以下である。
【請求項7】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記第1枠及び前記第2枠は、スプレーまたは塗布により形成される。
【請求項8】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記第1枠及び前記第2枠は、フッ素系樹脂またはケイ素系樹脂によって形成される。
【請求項9】
樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層上に形成されていて、電子部品を搭載するためのパッドと、
前記樹脂絶縁層と前記パッド上に形成されていて、前記パッドを露出するための開口を有するソルダーレジスト層と、
前記開口により露出される前記パッド上に形成されているバンプと、
前記バンプ上に搭載されている前記電子部品と、
前記電子部品の直下に位置する部品搭載エリアと、
前記部品搭載エリアを囲み、前記ソルダーレジスト層上に形成されている第1枠と、
前記第1枠を囲み、前記ソルダーレジスト層上に形成されている第2枠と、
前記第1枠と前記第2枠の間の前記ソルダーレジスト層上に形成されていて、アンダーフィル材の流れを防止するためのダムと、
前記電子部品と前記ソルダーレジスト層の間を充填している前記アンダーフィル材、
とを有するプリント配線板であって、
前記第1枠と前記第2枠の表面張力は略等しく、
前記ダムの表面張力は前記第1枠及び前記第2枠の表面張力より大きく、
前記ソルダーレジスト層の表面張力は前記第1枠及び前記第2枠の表面張力より大きい。
【請求項10】
請求項9のプリント配線板であって、前記ソルダーレジスト層の表面張力は前記ダムの表面張力よりも大きい。
【請求項11】
請求項9のプリント配線板であって、前記第1枠及び前記第2枠の高さは略等しく、前記ダムの高さは前記第1枠及び前記第2枠の高さよりも高い。
【請求項12】
請求項11のプリント配線板であって、前記第1枠及び前記第2枠の高さは0.01μm以上5.0μm以下であり、前記ダムの高さは10μm以上30μm以下である。
【請求項13】
請求項9のプリント配線板であって、前記第1枠及び前記第2枠は、スプレーまたは塗布により形成される。
【請求項14】
請求項9のプリント配線板であって、前記第1枠及び前記第2枠は、フッ素系樹脂またはケイ素系樹脂によって形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板の製造方法及びプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プリント配線板の製造方法を開示している。特許文献1の
図3に示されるように、特許文献1は、ベース基板上にインクジェットでダム用インクを塗布することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
<特許文献1の課題>
特許文献1の技術では、ダム用インクがベース基板へ滴下される。そのため、塗布後、衝撃によりダム用インクはベース基板上で広がると考えられる。特許文献1の技術のプリント配線板の製造方法では、ダムの幅を制御することが難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板の製造方法は、最外の樹脂絶縁層を形成することと、前記最外の樹脂絶縁層上に電子部品を搭載するためのパッドを形成することと、前記最外の樹脂絶縁層と前記パッド上に前記パッドを露出するための開口を有するソルダーレジスト層を形成することと、前記開口により露出される前記パッド上にバンプを形成することと、前記ソルダーレジスト層上に第1枠を形成することと、前記ソルダーレジスト層上であるとともに前記第1枠の外に前記第1枠を囲む第2枠を形成することと、前記第1枠と前記第2枠の間にダムを形成することと、前記バンプ上に前記電子部品を搭載することと、前記電子部品と前記ソルダーレジスト層の間にアンダーフィル材を充填すること、とを含む。前記第1枠と前記第2枠の表面張力は略等しく、前記ダムの表面張力は前記第1枠及び前記第2枠の表面張力より大きく、前記ソルダーレジスト層の表面張力は前記第1枠及び前記第2枠の表面張力より大きい。
【0006】
本発明の実施形態の製造方法では、ソルダーレジスト層上に第1枠を形成することと、ソルダーレジスト層上に、第1枠の外に第1枠を囲む第2枠を形成することと、が行われる。第1枠と第2枠の間にダムが形成される。第1枠と第2枠の表面張力は略等しい。ダムの表面張力は第1枠及び第2枠の表面張力より大きい。そのため、ダムは、第1枠や第2枠を乗り越え難い。ダムは第1枠と第2枠との間にとどまりやすい。ソルダーレジスト層の表面張力は第1枠及び第2枠の表面張力より大きい。第1枠及び第2枠の表面張力がソルダーレジスト層の表面張力より小さい。そのため、第1及び第2枠はソルダーレジスト層よりもダムを弾く。実施形態の製造方法では、第1枠と第2枠の間の距離によって、ダムの幅を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
【
図2】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図6】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図7】実施形態のプリント配線板を模式的に示す平面図。
【
図8】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態のプリント配線板>
図3は途中基板2の断面を示す。
図1は、実施形態の半導体装置200の断面図である。半導体装置200は、実施形態のプリント配線板10とプリント配線板10に実装されている電子部品90で形成されている。
【0009】
図1に示されるように、プリント配線板10は、コア基板30とコア基板30の表裏に形成されているビルドアップ層80A,80Bを有する。ビルドアップ層80A,80Bは、樹脂絶縁層150U、150Lと導体層158U、158Lと樹脂絶縁層150U、150Lを貫通し隣接する導体層を接続するビア導体160U、160Dで形成されている。樹脂絶縁層150Uは最外の樹脂絶縁層である。
【0010】
プリント配線板10は、ビルドアップ層80A,80B上にソルダーレジスト層70U、70Dを有する。ソルダーレジスト層70Uは開口71Uを有する。開口71Uにより露出される導体層158Uは電子部品90を搭載するためのパッド158pとして機能する。パッド158p上に電子部品90を実装するためのバンプ76Uが形成されている。バンプ76Uは半田により形成されている。あるいは、バンプ76Uはめっきにより形成されている。ソルダーレジスト層70U上に、第1枠110と第2枠120が形成されている。第1枠110は、電子部品90の直下に位置する部品搭載エリアARを囲む。第2枠120は、第1枠110を囲む。
【0011】
図1に示されるように、実施形態の半導体装置200は、電子部品90とソルダーレジスト層70Uとの間に充填されたアンダーフィル材100を有する。プリント配線板10は、ソルダーレジスト層70Uの上にアンダーフィル材100の流れを防止するためのダム102を有する。ダム102は、第1枠110と第2枠120の間のソルダーレジスト層70U上に形成されている。ダム102は電子部品90を囲んでいる。ダム102の平面形状の例は環である。ダム102は、高さHを有している。高さHは、10μm以上30μm以下である。第1枠110は、高さH1を有している。第2枠120は、高さH2を有している。高さH、H1、H2はそれぞれほぼ均一な高さを有する。高さH1と高さH2は互いに略等しい。高さHは高さH1、H2より高い。高さH1、H2は、0.01μm以上5.0μm以下である。第1枠110と第2枠120の表面張力は略等しい。ダム102の表面張力は第1枠110及び第2枠120の表面張力より大きい。ソルダーレジスト層70Uの表面張力はダム102の表面張力より大きい。ソルダーレジスト層70Uの表面張力は第1枠110及び第2枠120の表面張力より大きい。
【0012】
<実施形態のプリント配線板の製造方法>
図2~
図8は実施形態のプリント配線板10の製造方法を示す。
【0013】
図2に示される途中基板1が製造される。途中基板1は、コア基板30と上側のビルドアップ層80Aと下側のビルドアップ層80Bを有する。コア基板30とビルドアップ層80A、80Bは周知な方法で製造される。上側のビルドアップ層80Aは樹脂絶縁層(最外の樹脂絶縁層)150Uと樹脂絶縁層150U上の導体層(最外の導体層)158Uを有する。
【0014】
図3に示されるように、樹脂絶縁層150Uと導体層158U上に、ソルダーレジスト層70Uが形成される。ソルダーレジスト層70Uは、導体層158Uを露出する開口71Uを有する。開口71Uにより露出される導体層158Uは電子部品90を搭載するためのパッド158pとして機能する。パッド158p上にバンプ76Uが形成される。
【0015】
図4に示されるように、ソルダーレジスト層70U上に第1枠110が形成される。第1枠110は部品搭載エリアARの外に形成される。第1枠110は部品搭載エリアARを囲んでいる。
図5に示されるように、ソルダーレジスト層70U上に第2枠120が形成される。第2枠120は第1枠110の外に位置する。第2枠120は第1枠110を囲んでいる。第1枠110及び第2枠120は、フッ素系樹脂またはケイ素系樹脂によって形成される。第1枠110及び第2枠120は、スプレーにより形成される。又は、第1枠110及び第2枠120は、塗布により形成される。
【0016】
図6に示されるように、第1枠110と第2枠120の間のソルダーレジスト層70U上にダム102が形成される。ダム102はエポキシ系樹脂によって形成される。ダム102はインクジェットにより形成される。又は、ダム102は塗布により形成される。
【0017】
実施形態では、ダム102の表面張力は第1枠110及び第2枠120の表面張力より大きい。そのため、ダム102は、第1枠110や第2枠120を乗り越え難い。ダム102は第1枠110と第2枠120との間にとどまることができる。ダム102の表面張力がソルダーレジスト層70Uの表面張力より小さい。そのため、ダム102がソルダーレジスト層70U上で広がる。しかしながら、ダム102の表面張力が第1枠110及び第2枠120の表面張力より大きい。そのため、第1枠110及び第2枠120によってダムの広がりを抑えることができる。ダム102が自由に広がらない。第1枠110と第2枠120によって、ダム102の幅が制御される。ソルダーレジスト層70Uの表面張力は第1枠110及び第2枠120の表面張力より大きい。第1枠110及び第2枠120の表面張力がソルダーレジスト層70Uの表面張力より小さい。そのため、第1枠110及び第2枠120はソルダーレジスト層70Uよりダム102を弾く。
図7に示されるように、第1枠110と第2枠120の間の間隔を調整することで、ダム102の幅Wを制御することができる。
【0018】
図8に示されように、バンプ76U上に電子部品90が搭載される。又は、
図4に示されるように、パンプ76U上に電子部品90が搭載される。その後、第1枠110と第2枠120の間にダム102が形成される。
【0019】
図1に示されるように、電子部品90とソルダーレジスト層70Uの間にアンダーフィル材100が充填される。実施形態の半導体装置200(
図1参照)が得られる。
【符号の説明】
【0020】
1 :途中基板
10 :プリント配線板
30 :コア基板
70D :ソルダーレジスト層
70U :ソルダーレジスト層
71U :開口
76U :バンプ
90 :電子部品
100 :アンダーフィル材
102 :ダム
110 :第1枠
120 :第2枠
150U:樹脂絶縁層
158L:導体層
158U:導体層
158p:パッド
160D:ビア導体
160U:ビア導体
200 :半導体装置
AR :部品搭載エリア
H :ダムの高さ
H1 :第1枠の高さ
H2 :第2枠の高さ