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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073192
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20240522BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240522BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240522BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20240522BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/13357
G02F1/1334
G02F1/1343
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184279
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】花田 明紘
(72)【発明者】
【氏名】海東 拓生
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 涼
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 良典
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H192
2H391
5C094
【Fターム(参考)】
2H092GA29
2H092GA50
2H092HA04
2H092HA06
2H092JA26
2H092JA35
2H092JA36
2H092JA39
2H092JA40
2H092JA46
2H092JB52
2H092KA08
2H092KA17
2H092PA13
2H092QA15
2H189AA04
2H189LA10
2H189LA20
2H192AA24
2H192BA02
2H192BC31
2H192CB05
2H192CB37
2H192CB83
2H192CC32
2H192EA22
2H192EA74
2H192EA76
2H192FB22
2H192JA53
2H391AA25
2H391AB04
5C094AA07
5C094BA43
5C094DA13
5C094DA15
5C094FB12
5C094FB14
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】表示装置の輝度を向上させる。
【解決手段】表示装置は、第1基板の上に設けられた第1窒化絶縁膜と、第1窒化絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、ゲート電極の上に設けられた第2窒化絶縁膜と、第2窒化絶縁膜の上に設けられた第1酸化絶縁膜と、第1酸化絶縁膜の上に設けられた酸化物半導体層と、を含み、ゲート電極は、第1チタン層、アルミニウム層、及び第2チタン層が第1窒化絶縁膜側から順に積層されており、第2チタン層の膜厚は、第1チタン層の膜厚より大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の上に設けられた第1窒化絶縁膜と、
前記第1窒化絶縁膜の上に第1方向に沿って設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極の上に設けられた第2窒化絶縁膜と、
前記第2窒化絶縁膜の上に設けられた第1酸化絶縁膜と、
前記第1酸化絶縁膜の上に設けられた酸化物半導体層と、を含み、
前記ゲート電極は、第1チタン層、アルミニウム層、及び第2チタン層が前記第1窒化絶縁膜側から順に積層されており、
前記第2チタン層の膜厚は、前記第1チタン層の膜厚より大きい、表示装置。
【請求項2】
前記第2チタン層の膜厚は、前記第1チタン層の膜厚の5倍以上10倍以下である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1チタン層は、前記第1窒化絶縁膜と接する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1窒化絶縁膜は、前記第2窒化絶縁膜と接し、
前記第1窒化絶縁膜及び前記第2窒化絶縁膜の合計の膜厚は、600nm以上1000nm以下である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1窒化絶縁膜の膜厚は、前記第2窒化絶縁膜の膜厚よりも大きい、請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2窒化絶縁膜の膜厚は、200nm以上400nm以下である、請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2窒化絶縁膜及び前記第1酸化絶縁膜は、ゲート絶縁膜として機能する、請求項3に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1基板に対向して設けられた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
前記第1基板の側面又は前記第2基板との側面に向かって光が入るように配置される光源と、をさらに有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記液晶層は、高分子分散型液晶であり、
前記高分子分散型液晶が散乱状態にあるとき、表示領域において画像を表示し、
前記高分子分散型液晶が非散乱状態にあるとき、前記表示領域において、前記第1基板から前記第2基板の背景が視認され、前記第2基板から前記第1基板の背景が視認される、請求項8に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一方の面から、反対側の他方の面の背景を視認可能な透明ディスプレイの開発が進んでいる(特許文献1参照)。透明ディスプレイでは、表裏両面から映像を見ることができるため、透明ディスプレイを間に挟んで対向する二つの方向から映像又は文字を視認することができる。
【0003】
透明ディスプレイなどの表示装置では、ゲート配線及びソース配線等の配線抵抗を低減するために、抵抗が低い配線材料を用いることが好ましい。抵抗が低い配線材料として、例えば、アルミニウム、銅を用いることで、信号遅延を低減することができる。その一方で、アルミニウムは、耐熱性が低く、マイグレーションにより配線の表面に凹凸が生じることが知られている。そこで、アルミニウムの上に、チタン、モリブデン、又はタングステンなどのアルミニウムよりも融点が高い金属材料を積層することで、アルミニウムのマイグレーションを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-160254号公報
【特許文献2】国際公開第2018/130920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルミニウムのように耐熱性が低い配線材料として用いて積層構造にて配線を形成する場合、配線の側面においてエッチング残渣が生じる場合がある。配線の側面においてこのようなエッチング残渣が生じている場合には、表示装置において、光の導光を妨げることになり、輝度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明の一実施形態では、表示装置の輝度を向上させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板の上に設けられた第1窒化絶縁膜と、第1窒化絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、ゲート電極の上に設けられた第2窒化絶縁膜と、第2窒化絶縁膜の上に設けられた第1酸化絶縁膜と、第1酸化絶縁膜の上に設けられた酸化物半導体層と、を含み、ゲート電極は、第1チタン層、アルミニウム層、及び第2チタン層が第1窒化絶縁膜側から順に積層されており、第2チタン層の膜厚は、第1チタン層の膜厚より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概要を説明する斜視図である。
図2図1に示す表示装置のA1-A2間に対応する構造を示す断面模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を説明する平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素を表すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素のタイミングチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトである。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトである。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトである。
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトである。
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトである。
図12】試料A~試料Iの各々について、ゲート電極の表面凹凸及び端部の形状について観察したSEM写真である。
図13】試料J~試料Mの各々について、ゲート電極の表面凹凸及び端部の形状について観察したSEM写真である。
図14】本実施例における光学シミュレーションのモデル図である。
図15】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図16】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図17】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図18】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図19】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図20】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図21】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図22】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図23】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図24】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
図25】本実施例における光学シミュレーションによって得られたxy色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面に関して、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて各部の幅、厚さ、形状等を模式的に表す場合があるが、それら模式的な図は一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同一又は類似の要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。なお、本明細書等において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与するためのものであり、優先順位や順番を示すものではない。
【0010】
本発明において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。また、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、本明細書等において、-1、-2等と区別して記載する場合がある。
【0011】
なお、本明細書等において、「上」、「下」などの表現は、着目する構造体と他の構造体との相対的な位置関係を表現している。本明細書等では、側面視において、後述する第1基板から画素電極に向かう方向を「上」と定義し、その逆の方向を「下」と定義する。本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
また、本明細書等において、ボトムゲート駆動とは、半導体層の下方に配置されたゲート電極によって、オンオフが制御されるものである。また、本明細書等において、トップゲート駆動とは、半導体層の上方に配置されたゲート電極によって、オンオフが制御されるものである。また、本明細書において、デュアルゲート駆動とは、半導体層の上下に配置されたゲート電極に、同じ制御信号を入力することによって、オンオフが制御されるものである。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態に係る表示装置10について、図1図11を参照して説明する。
【0014】
<表示装置の概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の斜視図を示す。表示装置10は、アレイ基板150、対向基板152、及びアレイ基板150と対向基板152との間の液晶層(図示されず)と、ゲート駆動回路28と、ソース駆動回路38と、を含む表示パネル102と、光源104と、表示パネル102を挟む第1透明基板151A及び第2透明基板151Bと、を含む。図1を参照する以下の説明において、表示パネル102における平面の一方向をD1方向とし、D1方向と直交する方向をD2方向とし、D1-D2平面に直交する方向をD3方向とする。
【0015】
アレイ基板150及び対向基板152は透光性を有する。アレイ基板150及び対向基板152は、好ましくは可視光に対して透明である。対向基板152は、アレイ基板150に対向するようにD3方向に配置される。アレイ基板150と対向基板152とは間隙を有して対向配置された状態で、シール材154によって貼り合わされている。アレイ基板150と対向基板152との間の間隙には、図示されない液晶層が設けられている。
【0016】
表示パネル102は、表示領域12と、表示領域12の外側の周辺領域14とを有する。表示領域12には、複数の画素PIXが行方向及び列方向に配置されている。ここで、行方向とはD1方向に平行な方向を指し、列方向とはD2方向に平行な方向を指すものとする。表示領域12には、行方向にm個の画素が配列され、列方向にはn個の画素が配列される。そして、mとnとの値は、垂直方向の表示解像度と水平方向の表示解像度に応じて適宜設定される。表示領域12には、D1方向にゲート配線(走査信号線ともいう)が配設され、D2方向にソース配線(データ信号線ともいう)が配設される。
【0017】
アレイ基板150の周辺領域14には、ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38が設けられる。図1は、ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38が、集積回路(IC)で提供され、アレイ基板150にCOG(Chip on Glass)方式で実装される態様を示す。ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38は、図示される態様に限定されず、COF(Chip on Film)方式で実装されてもよいし、アレイ基板150の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)によって形成されてもよい。
【0018】
周辺領域14には、ゲート配線領域32、コモン配線領域22、及びソース配線領域42が配設される。ゲート配線領域32は、ゲート駆動回路28と表示領域12に配設されるゲート配線GLとを接続する配線により形成されるパターンが設けられる領域である。コモン配線領域22は、コモン配線により形成されるパターンが設けられる領域である。コモン配線領域22は、回路的には、対向基板152に設けられるコモン電極218(図4参照)にコモン電圧を印加する配線として用いられる。ソース配線領域42は、ソース駆動回路38と表示領域12に配設されるデータ信号線109とを接続する配線により形成されるパターンが設けられる領域である。
【0019】
光源104は、D1方向に沿った構造を有する。光源104は、例えば、D1方向に沿って配列された発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)により構成される。光源104の詳細な構造に限定はなく、D1方向に配列される発光ダイオードに加え、反射板、拡散板、レンズなどの光学部材が含まれてもよい。光源104及び光源104を制御する発光制御回路110は表示パネル102と独立した別部材として設けられていてもよい。また、光源104は、ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38と同期する発光制御回路110により発光のタイミングが制御されるものであってもよい。光源104を制御する発光制御回路110は、表示パネル102とは別に光源104と同じく別部材として設けられていてもよく、個別部品としてアレイ基板150に実装されてもよいし、ゲート駆動回路28又はソース駆動回路38に組み込まれていてもよい。
【0020】
第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは、表示領域12及び周辺領域14を挟むように設けられる。第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは、表示パネル102の保護部材としての機能を有する。また、図2を参照して説明されるように、第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは光源104から出射された光を表示パネル102に導入する導光板としての機能を有する。
【0021】
図2は、図1に示すA1-A2間に対応する表示装置10の断面構造を示す。図2に示すように、表示パネル102のアレイ基板150側に第1透明基板151Aが設けられ、対向基板152側に第2透明基板151Bが設けられる。第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは、ガラス基板、又はプラスチック基板が用いられる。第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは、アレイ基板150及び対向基板152と同等の屈折率を有していることが好ましい。アレイ基板150と第1透明基板151A、及び対向基板152と第2透明基板151Bとは、図示されない透明接着剤で接着される。
【0022】
表示パネル102は、アレイ基板150と、対向基板152とが対向するように配置され、その間に液晶層210が設けられる。アレイ基板150は対向基板152より大きく、周辺領域14の一部が対向基板152から露出するような大きさを有する。アレイ基板150には、駆動回路(図2では、ソース駆動回路38)が実装される。また、アレイ基板150の周縁部には、フレキシブル配線基板124が取り付けられる。
【0023】
光源104は、第1透明基板151A又は第2透明基板151Bの一つの側面に隣接するように配置される。図2は、光源104が第2透明基板151Bの一つの側面に沿って配置された構成を示す。また、図2は、光源104がアレイ基板150に取り付けられた構成を示すが、光源104を配置する構成に限定はなく、取り付け位置を固定できるものであれば取り付け構造に限定はない。光源104は、例えば、表示パネル102を囲む筐体によって支持されてもよい。
【0024】
図2に示すように、光源104は、第2透明基板151Bの第1側面15Cに沿って配置される。図2に示すように、光源104は、第2透明基板151Bの第1側面15Cへ光Lを照射する。光源104は、第1側面15Cに向けて光Lを出射することからサイド光源と呼ばれることもある。光源104に対向する第2透明基板151Bの第1側面15Cは光入射面となる。
【0025】
図2に模式的に示すように、第2透明基板151Bの第1側面15Cから入射した光Lは、対向基板152の第2平面15B、第1透明基板151Aの第1平面15Aで反射しながら、第1側面15Cから遠ざかる方向(D2方向)へ伝搬する。第1透明基板151Aの第1平面15A及び第2透明基板151Bの第2平面15Bから外部へ光Lが向かうと、屈折率の大きな媒質から屈折率の小さな媒質へ進むことになる。このとき、第1平面15A及び第2平面15Bへ入射する光Lの入射角が臨界角よりも大きければ、全反射することになり、第1平面15A及び第2平面15Bで反射しながらD2方向へ導光する。
【0026】
液晶層210は、高分子分散型液晶で形成される。高分子分散型液晶で形成される液晶層210は、画素PIX(図1参照)ごとに散乱状態と非散乱状態が制御される。図2に示すように、第1平面15A及び第2平面15Bで反射しながら伝搬する光Lは、液晶層210が散乱状態となっている画素があると、少なくとも一部の光が散乱され、散乱光の入射角が臨界角よりも小さな角度となって、散乱光LA、LBがそれぞれ第1平面15A及び第2平面15Bから外部に出射され、出射された散乱光LA、LBは、観察者に観察される。表示パネル102において、散乱光LA、LBが出射される以外の領域は、アレイ基板150及び対向基板152、並びに第1透明基板151A及び第2透明基板151Bが透光性を有し(可視光に対して透明であり)、液晶層210が非散乱状態であるため実質的に透明であり、観察者は表示パネル102を通して背面側を視認することができる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置10のアレイ基板150の構成を説明する平面図である。図3に示すように、アレイ基板150は、表示領域12及び周辺領域14を含む。
【0028】
表示領域12は、マトリクス状に配列された複数の画素PIXを有する。複数の画素PIXの各々は、複数のトランジスタ及び液晶素子を有する。
【0029】
周辺領域14は、表示領域12を囲むように設けられる。なお、周辺領域14とは、アレイ基板150において、表示領域12からアレイ基板150の端部までの領域をいう。言い換えると、周辺領域14は、アレイ基板150上で表示領域12が設けられる以外の領域(すなわち、表示領域12の外側の領域)をいうものとする。
【0030】
周辺領域14には、ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38の他に、ゲート配線領域32、ソース配線領域42、コモン配線16、18、コモン配線領域22、端子部26、36、フレキシブルプリント回路24、34及び各種検査回路が設けられている。端子部26、36は、アレイ基板150の一辺に沿って配置されている。
【0031】
端子部26には、フレキシブルプリント回路24が接続されている。フレキシブルプリント回路24は、ゲート駆動回路28、コモン配線16、18、ESD用保護回路59、QDパッド56に各種信号を供給する。ゲート駆動回路28は、複数のゲート配線GLと接続されており、複数のゲート配線GLの各々は、表示領域12における複数の画素PIXの各々と電気的に接続されている。図3では、複数のゲート配線GLが設けられた領域をゲート配線領域32として表しており、複数のゲート配線GLの詳細な配置については図示を省略している。2つのゲート駆動回路28と接続されるゲート配線GLの本数は、表示領域12における画素PIXの行の数に相当する。なお、図3において、ゲート配線領域32は、表示領域12と離間して設けられている構成を示すが、実際にはゲート配線GLと画素PIXとは電気的に接続されている。
【0032】
端子部36には、フレキシブルプリント回路34が接続されている。フレキシブルプリント回路34は、ソース駆動回路38に映像信号を供給する。ソース駆動回路38は、複数のソース配線SLと接続されており、複数のソース配線SLの各々は、表示領域12における複数の画素PIXの各々と電気的に接続されている。図3では、複数のソース配線SLが設けられた領域を、ソース配線領域42として表しており、複数のソース配線SLの詳細な配置については図示を省略している。8つのソース駆動回路38と接続されるソース配線SLの本数は、表示領域12における画素PIXの列の数の少なくとも3倍に相当する。本実施形態では、ソース配線SLの本数は、表示領域12における画素PIXの列の数の4倍の場合について説明する。なお、図3において、ソース配線領域42は、表示領域12と離間して設けられている構成を示すが、実際にはソース配線SLと画素PIXとは電気的に接続されている。
【0033】
ゲート配線領域32と表示領域12との間には、コモン配線18、ESD用保護回路46、ゲート検査回路48、及び検査ライン54が設けられている。ソース配線領域42と表示領域12との間には、コモン配線18、ESD用保護回路46、ソース検査回路52及び検査ライン54が設けられている。検査ライン54は、ESD用保護回路58と、QDパッド56と接続されている。また、コモン配線18は、ESD用保護回路59と接続されている。
【0034】
コモン配線16は、アレイ基板150における周辺領域14を囲むように設けられており、2つのフレキシブルプリント回路24から信号が供給される。また、コモン配線16は、メッシュ状のコモン配線領域22と電気的に接続されている。
【0035】
<画素の断面構造>
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置10における画素PIXの断面図である。
【0036】
図4に示すように、アレイ基板150の上に、トランジスタTrが設けられている。トランジスタTrは、アレイ基板150の上に設けられた導電層202-1と、導電層202-1と対向して設けられた酸化物半導体層204-1と、導電層202-1と酸化物半導体層204-1との間に設けられたゲート絶縁膜203と、酸化物半導体層204-1の上に設けられた導電層206-3及び導電層206-4と、を有する。ここで、導電層202-1は、ゲート配線GL(ゲート電極)として機能し、導電層206-4はソース配線SL(ソース電極)として機能する。本実施形態では、トランジスタTrとして、ボトムゲート型のトランジスタを用いる例について説明する。
【0037】
表示装置10を大型や高精細なパネルに適用する場合、ゲート配線GL及びソース配線SL等の配線抵抗を低減するために、抵抗が低い配線材料を用いることが好ましい。抵抗が低い配線材料として、例えば、アルミニウム、銅を用いることで、信号遅延を低減することができる。その一方で、アルミニウムは、耐熱性が低く、マイグレーションにより配線の表面に凹凸が生じることが知られている。そこで、アルミニウムの上に、チタン、モリブデン、又はタングステンなどのアルミニウムよりも融点が高い金属材料を積層することで、アルミニウムのマイグレーションを抑制している。
【0038】
例えば、アルミニウムの上に膜厚が厚いチタンを積層する場合、チタンを成膜するときにチタンが柱状に成長する。このようなチタンの上にレジストマスクを形成してエッチングを行うと、レジストマスクの端部にてチタンが柱状に沿って柱状にエッチングされてしまう。また、この柱状にエッチングされたチタンがマスクとなり、アルミニウムも柱状にエッチングされてしまう。これにより、配線の側面には、エッチング残渣が生じてしまう。
【0039】
図2において説明したように、透明ディスプレイでは、光源104から射出された光は、第2透明基板151Bの第1側面15Cに入射されて、全反射を繰り返してD2方向へ導光する。そのため、ゲート配線GL及びソース配線SLの表面に凹凸が生じている場合や、側面にエッチング残渣が生じている場合には、光の導光を妨げることになり、輝度が低下するおそれがある。
【0040】
また、透明ディスプレイを構成するトランジスタTrに用いる半導体層として、透光性を有する酸化物半導体を用いる。酸化物半導体は成膜過程において、酸素欠陥が生じやすいという性質がある。酸化物半導体層と酸化絶縁膜とが接することにより、表示パネル102の製造工程における熱処理により、酸化シリコン膜から酸素が放出されることで、酸素によって酸素欠陥を修復することができる。酸化物半導体層と接する酸化絶縁膜として、例えば、酸化シリコン膜を用いることが好ましい。
【0041】
ボトムゲート構造のトランジスタでは、酸化シリコン膜をゲート絶縁膜として用いる場合、酸化シリコン膜がアレイ基板と接する場合がある。しかしながら、アレイ基板に含まれる不純物元素が、酸化シリコン膜を通じて酸化物半導体層に到達してしまうおそれがある。ゲート絶縁膜として、ゲート電極側から窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とを積層する場合、窒化シリコン膜とアレイ基板とが接することにより、アレイ基板に含まれる不純物元素をブロックすることができる。
【0042】
このように、ゲート絶縁膜として窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とを積層して設ける場合、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との屈折率の違いにより、透明ディスプレイの色度ばらつきが大きくなってしまうという問題が生じてしまう。
【0043】
本発明の一実施形態において、下地膜として機能する窒化絶縁膜201(第1窒化絶縁膜ともいう)の上に、導電層202-1(ゲート電極)として第1チタン層202a-1、アルミニウム層202b-1、第2チタン層202c-1の積層を設ける。このとき、第2チタン層202c-1の膜厚は、第1チタン層202a-1の膜厚よりも大きくすることが好ましい。
【0044】
窒化絶縁膜201の上に、第1チタン層202a-1、アルミニウム層202b-1、及び第2チタン層202c-1の積層を設けることにより、ゲート電極の表面凹凸を低減することができる。このとき、第2チタン層202c-1の膜厚は、第1チタン層202a-1の膜厚の5倍以上10倍以下であることが好ましい。第1チタン層202a-1の膜厚は、例えば、10nm以上25nm以下である。第2チタン層202c-1の膜厚は、例えば、50nm以上250nn以下、好ましくは50nm以上150nm以下であり、より好ましくは50nm以上100nm以下である。また、アルミニウム層202b-1に膜厚は、例えば、100nm以上700nm以下である。
【0045】
また、第1チタン層202a-1は、窒化絶縁膜201と接することが好ましい。下地膜として、酸化絶縁膜を用いる場合、ゲート電極の表面凹凸が改善されない。
【0046】
これに対し、第1チタン層202a-1を窒化絶縁膜201と接するように設けることで、ゲート電極(導電層202)の表面凹凸を低減することができる。また、窒化絶縁膜201によって、アレイ基板150からの不純物をブロックすることができるため好ましい。
【0047】
窒化絶縁膜201は、窒化絶縁膜203a(第2窒化絶縁膜ともいう)と接し、窒化絶縁膜201及び窒化絶縁膜203aの合計の膜厚は、600nm以上1000nm以下である。このように、窒化絶縁膜201及び窒化絶縁膜203aの膜厚を設定することで、表示装置10の色度のばらつきを抑制することができる。
【0048】
窒化絶縁膜203aは、ゲート絶縁膜203の一部として用いられるため、膜厚の範囲に制限がある。例えば、窒化絶縁膜203aの膜厚は、200nm以上400nm以下であることが好ましい。このとき、窒化絶縁膜201の膜厚は、200nm以上800nm以下である。窒化絶縁膜201は、導電層202-1(ゲート電極)よりも下方に設けられるため、トランジスタTrの特性に影響を与えない。そのため、窒化絶縁膜201の膜厚は、窒化絶縁膜203aの膜厚に応じて、適宜設定すればよい。窒化絶縁膜201の膜厚は、窒化絶縁膜203aの膜厚よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0049】
窒化絶縁膜203a及び酸化絶縁膜203bは、ゲート絶縁膜203として機能する。このとき、ゲート絶縁膜203の膜厚は、例えば、300nm以上700nm以下であることが好ましい。
【0050】
トランジスタTrの上には絶縁膜205が設けられている。絶縁膜205は、パッシベーション膜として機能する。絶縁膜205は、酸化絶縁膜205a及び窒化絶縁膜205bを有する。酸化絶縁膜205aと、酸化絶縁膜203bとにより、酸化物半導体層204-1を挟むことにより、プロセス中に、酸化絶縁膜203b及び酸化絶縁膜205aから酸素が放出される。これにより、酸化物半導体層204-1の酸素欠陥を修復できるため、好ましい。また、絶縁膜205の上において、酸化物半導体層204-1と対向する位置に導電層208-1が設けられている。導電層208-1は、バックゲート電極として機能する。本実施形態では、トランジスタTrをボトムゲート駆動のトランジスタであるとして説明するが、これに限定されず、トップゲート駆動のトランジスタであってもよいし、デュアルゲート駆動のトランジスタであってもよい。
【0051】
導電層208-1及び絶縁膜205の上に、平坦化膜207が設けられている。平坦化膜207は、トランジスタTrを構成する各種配線の凹凸を緩和するために設けられている。表示装置10を、透明ディスプレイに適用する場合、画素PIXの開口領域において、平坦化膜207は除去されることが好ましい。これにより、開口領域において平坦化膜207により光が吸収されてしまうことを抑制することができる。
【0052】
平坦化膜207及び絶縁膜205の上に、透明導電層212が設けられている。透明導電層212の上に、導電層214が設けられている。透明導電層212及び導電層214は、容量配線として機能する。透明導電層212及び導電層214の上に絶縁膜209が設けられている。絶縁膜209の上に画素電極216が設けられている。画素電極216は、絶縁膜205、209に設けられた開口を介して導電層206-3と接続されている。
【0053】
アレイ基板150と対向するように対向基板152が設けられている。対向基板152には、遮光層219及びコモン電極218が設けられている。遮光層219は、ブラックマトリクスとして機能する。図4に示す構造では、遮光層219は、導電層206-4と重なる領域に設けられる。遮光層219は、ゲート配線GL、及び図7に示すソース配線SL1~ソース配線SL4を覆うように、格子状に配置される。コモン電極218は、表示領域12の全面に広がる大きさを有する。遮光層219は、金属膜で形成されていてもよく、透明導電膜で形成されるコモン電極218に接して設けられることで、補助電極としての機能を有する。アレイ基板150と対向基板152との間には液晶層210が設けられており、シール材154(図1参照)によって封止されている。画素電極216と、液晶層210と、コモン電極218とにより、液晶素子LEが構成される。
【0054】
<表示装置10の各部材の材質>
アレイ基板150、対向基板152として、ガラス基板、石英基板、およびサファイア基板など、透光性を有し、可撓性を有しない剛性基板を用いることができる。一方、アレイ基板150、対向基板152が可撓性を有する必要がある場合は、アレイ基板150、対向基板152としてポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、またはフッ素樹脂基板など、樹脂を含み、可撓性を有するフレキシブル基板を用いることができる。アレイ基板150、対向基板152の耐熱性を向上させるために、上記の樹脂に不純物を導入してもよい。また、表示装置10を透明ディスプレイや大型や高精細のディスプレイに適用する場合には、アレイ基板150及び対向基板152として、ガラス基板を用いることが好ましい。また、第1透明基板151A及び第2透明基板151Bについては、アレイ基板150及び対向基板152を保護するために設ける。そのため、例えば、透光性を有するガラス基板、プラスチック基板等を用いることが好ましい。
【0055】
窒化絶縁膜201、203a、205b、絶縁膜209として、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxy)、窒化アルミニウム(AlNx)、窒化酸化アルミニウム(AlNxy)、を用いる。本実施形態では、窒化絶縁膜201、203a、205b、絶縁膜209として、窒化シリコンを用いる。窒化シリコン膜は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。
【0056】
酸化絶縁膜203b、205aとして、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxy)、を用いる。本実施形態では、酸化絶縁膜203b、205aとして、酸化シリコンを用いる。酸化シリコン膜は、例えば、CVD法により形成される。
【0057】
上記のSiOxy及びAlOxyは、酸素(O)よりも少ない比率(x>y)の窒素(N)を含有するシリコン化合物及びアルミニウム化合物である。また、SiNxy及びAlNxyは、窒素よりも少ない比率(x>y)の酸素を含有するシリコン化合物及びアルミニウム化合物である。
【0058】
平坦化膜207として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はシロキサン樹脂などの有機絶縁材料を用いることができる。
【0059】
導電層202として、上述したように、抵抗が低い配線材料を、融点が高い配線材料で挟む構成が好ましい。抵抗が低い配線材料として、アルミニウム、又は銅が挙げられる。また、融点が高い配線材料として、チタン、モリブデン、又はタングステンが挙げられる。同様に、導電層206についても、抵抗が低い配線材料を、融点が高い配線材料で挟む構成が好ましい。なお、導電層206は、導電層202と同様に、第1チタン層202a、アルミニウム層202b、第2チタン層202cの順で積層された構造を有していてもよい。
【0060】
導電層208、及び導電層214として、一般的な金属材料を用いることができる。例えば、これらの部材として、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、及びこれらの合金又は化合物が用いられる。上記の部材として、上記の材料が単層で用いられてもよく、積層で用いられてもよい。
【0061】
酸化物半導体層204として、半導体の特性を有する酸化物半導体を用いることができる。酸化物半導体層204は透光性を有する。例えば、酸化物半導体層204として、インジウム(In)を含む2種類以上の金属を含む酸化物半導体が用いられる。酸化物半導体層204として、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を含む酸化物半導体を酸化物半導体層204として用いてもよい。特に、In:Ga:Zn:O=1:1:1:4の組成比を有する酸化物半導体を用いてもよい。ただし、本実施形態で使用される酸化物半導体層204は上記の組成に限定されるものではなく、上記とは異なる組成の酸化物半導体を用いることもできる。例えば、移動度を向上させるためにInの比率を上記より大きくしてもよい。また、バンドギャップを大きくし、光照射による影響を小さくするためにGaの比率を上記より大きくしてもよい。酸化物半導体層204はアモルファスであってもよく、多結晶であってもよい。酸化物半導体層204はアモルファスと結晶の混相であってもよい。
【0062】
透明導電層212、画素電極216、及びコモン電極218として、酸化インジウム及び酸化スズの混合物(ITO)及び酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物(IZO)を用いることができる。当該透明導電層として、上記以外の材料が用いられてもよい。ブラックマトリクスBMに用いる遮光層219は黒色の樹脂又は金属材料で形成することができる。ブラックマトリクスBMはコモン電極218と接して形成される(図4参照)。透明導電膜で形成されるコモン電極218に対し、ブラックマトリクスBMを金属材料で形成することで、抵抗損失を低減するための補助電極としての機能を持たせることができる。ブラックマトリクスBMを形成する金属材料としては、アルミニウムに対して相対的に反射率が低い、クロム、モリブデン、チタンなどを単層で、又は積層して用いてもよい。積層の場合はアルミニウムを用いてもよい。
【0063】
表示装置10を透明ディスプレイに適用する場合、液晶層210として、高分子分散型液晶を用いることが好ましい。高分子分散型液晶は、バルク及び微粒子を含む。微粒子は、バルク内で画素電極216とコモン電極218との電位差に応じて配向が変化する。画素PIX毎に、画素電極216の電位が個別に制御されることで、画素PIX毎に少なくとも透光及び分散のいずれかの度合いが制御される。液晶層(微粒子)の散乱度は、各画素電極216の電圧とコモン電極218の電圧に応じて制御される。例えば、液晶層は各画素Pixの電圧とコモン電極218との間の電圧が大きくなるほど散乱度が大きくなるような高分子分散型液晶を用いてもよいし、各画素電極216の電圧とコモン電極218との間の電圧が小さくなるほど散乱度が大きくなるような高分子分散型液晶を用いてもよい。
【0064】
液晶層210において、バルク及び微粒子の常光屈折率は互いに等しい。画素電極216とコモン電極218との間に電圧が印加されていない状態では、あらゆる方向においてバルク及び微粒子との間の屈折率差がゼロになる。液晶層210は、光源から射出された光を散乱しない非散乱状態となる。光源から射出された光は、図2に示すように、第2透明基板151Bの第2平面15B及び第1透明基板151Aの第1平面15Aで反射しながら、光源104(発光部)から遠ざかる方向に伝播する。液晶層210が光源から射出された光Lを散乱しない非散乱状態であると、アレイ基板150から対向基板152の背景が視認され、対向基板152からアレイ基板150の背景が視認される。
【0065】
電圧が印加された画素電極216とコモン電極218との間では、微粒子の光軸は、画素電極216とコモン電極218との間に発生する電界によって傾くことになる。バルクの光軸は、電界によって変化しないため、バルクの光軸と微粒子の光軸の向きは互いに異なる。電圧が印加された画素電極216がある画素PIXにおいて、光源から射出された光が散乱される。上述したように散乱された光源から射出された光の一部が第1透明基板151Aの第1平面又は第2透明基板151Bの第2平面から外部に放射された光は、観察者に観察される。
【0066】
電圧が印加されていない画素電極216がある画素PIXでは、アレイ基板150の第1主面から対向基板152の第1主面側の背景が視認され、対向基板152の第1主面20Aからアレイ基板150の第1主面10A側の背景が視認される。そして、本実施形態の表示装置10は、映像信号が入力されると、画像が表示される画素PIXの画素電極216に電圧が印加され、映像信号に基づく画像が背景とともに視認される。このように、高分子分散型液晶が散乱状態にあるとき、表示領域において画像が表示される。
【0067】
本実施形態では、アレイ基板150と、アレイ基板150の上に設けられるゲート電極(導電層202-1)との間に、窒化絶縁膜201を設ける場合について説明するが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。例えば、対向基板152と、対向基板152の上に設けられる遮光層219(図4中では、遮光層219は、対向基板152の下方に設けられる)と、の間に窒化絶縁膜を設けてもよい。このとき、遮光層219の積層構造を、ゲート電極の積層構造と同様にしてもよい。つまり、遮光層219を、例えば、第1チタン層、アルミニウム、第2チタンの積層構造としてもよい。このとき、第1チタン層は、窒化絶縁膜と接して設けられ、第2チタン層は、コモン電極218と接して設けられる。また、第2チタン層の膜厚は、第1チタン層の膜厚よりも大きいことが好ましく、第2チタン層の膜厚は、第1チタン層の膜厚の5倍以上10倍以下であることが好ましい。
【0068】
遮光層219は、対向基板152の上に形成された窒化絶縁膜の上に形成される。遮光層219を導電層202(ゲート電極)と同様の積層構造とすることで、遮光層219の表面に凹凸が生じること、及び遮光層219の側面にエッチング残渣が生じることを抑制することができる。
【0069】
<画素回路>
図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置10が有する画素PIXの画素回路を説明する図である。本実施形態では、4本のゲート配線に同時にオン電圧を供給し、列方向に並ぶ4つの画素を4本のソース配線によって同時に充電することが可能な表示装置10について説明する。これにより、ライン順次の水平期間よりも、1水平期間を長くすることができる。言い換えると、表示領域12に配置された全画素ラインのスキャンに必要な時間を1/4に短縮することができる。したがって、透明ディスプレイのような高速駆動パネルや、大型や高精細なパネルにおいて、画素の充電期間を十分に確保することができる。以下に、本実施形態における画素の構成について詳細に説明する。
【0070】
図5において、4つの画素PIX1~PIX4が列方向(D2方向)に配列されている。4つの画素PIX1~PIX4の各々は、4本のゲート配線GL1~GL4の各々と電気的に接続されている。また、4つの画素PIX1~PIX4の各々は、4本のソース配線SL1~SL4の各々と電気的に接続されている。4つの画素PIX1~PIX4の各々は、容量配線CWと接続されている。表示領域12においては図4に示す導電層214及び透明導電層212が容量配線CWに相当する。以降の説明において、画素PIX1~PIX4を各々区別しない場合には、画素PIXと記載する。ゲート配線GL1~GL4の各々、及びソース配線SL1~SL4の各々についても区別しない場合には、ゲート配線GL及びソース配線SLと記載する。
【0071】
画素PIXは、トランジスタTr、液晶素子LE、及び保持容量Cを有する。トランジスタTrのゲートは、ゲート配線GLと接続され、トランジスタTrのソースは、ソース配線SLと接続され、トランジスタTrのドレインは液晶素子LEの一方の電極及び保持容量Cの一方の電極と接続される。液晶素子LEの他方の電極は、コモン配線CLと接続される。保持容量Cの他方の電極は、容量配線CWと接続される。
【0072】
トランジスタTrは、オン状態とオフ状態とを切り替えることにより、ソース配線から供給された映像信号の画素への書き込み時間を制御する機能を有する。トランジスタTrをオン状態とすることにより、ソース配線から供給された映像信号に対応する電位を、トランジスタTrと電気的に接続された保持容量Cに書き込むことができる。また、トランジスタTrをオフ状態とすることにより、保持容量Cに保持された電位を保持することができる。
【0073】
図6は、本発明の一実施形態に係る表示装置10のタイミングチャートである。通常、ゲート配線GLは、1行ずつオン電圧が供給されることで、D2方向に並ぶ画素列を同一のソース配線で順次充電する。これに対し、本実施形態では、4本のゲート配線GLに同時にオン電圧が供給されることで、4つの画素の各々のトランジスタTrが同時にオン状態となる。この状態で、異なるソース配線SL1~SL4に対して同時に映像信号が供給される。これにより、D2方向に並ぶ4つの画素を同時に駆動することが可能となる。
【0074】
図5に示すように、1列の画素を挟むように、ソース配線SL1及びソース配線SL3と、ソース配線SL2及びソース配線SL4とが設けられている。言い換えると、1列の画素と1列の画素との間には、4本のソース配線SL1~SL4が配置されることになる。
【0075】
ソース配線SL1とソース配線SL3とは、交差する領域を有する。また、ソース配線SL2とソース配線SL4とは、交差する領域を有する。言い換えると、ソース配線SL1とソース配線SL3とを入れ替えて配置し、ソース配線SL2とソース配線SL4とを入れ替えて配置している。これにより、ソース配線SL1~SL4の抵抗や、容量の均一化を図ることができる。また、表示パネルの製造時等における静電気による不良を抑制することができる。この理由については、図7図11を参照して説明する。
【0076】
<画素の平面レイアウト>
図7図11を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10における画素PIXの平面レイアウトを説明する。図7図11において、PIX-A1、PIX-A2、PIX-B1、PIX-B2を平面視した構成を示す。
【0077】
図7に示すように、D1方向に沿って、ゲート配線GLn-1~GLn+1が配置されている。また、D2方向に沿って、ソース配線S1~S4が配置されている。ここで、画素PIX-B1の開口領域は、隣接するゲート配線GLn-1と、ゲート配線GLnと、ソース配線S3と、ソース配線S4とによって囲まれた領域である。画素PIX-B1は、領域250に配置されたトランジスタTrによって制御される。
【0078】
図8図11においては、ソース配線SL1とソース配線SL3とが交差する領域、及びソース配線SL2とソース配線SL4とが交差する領域250の構成について詳細に説明する。
【0079】
図8は、領域250における導電層202-1~202-9、酸化物半導体層204-1~204-5、及び導電層206-1~206-11の平面レイアウトである。導電層202-1~202-9は、窒化絶縁膜201の上に設けられる。導電層202-1は、D1方向に延在しているが、D2方向に分岐する領域を有する。また、導電層202-2~202-9は、D2方向に延在する。酸化物半導体層204-1~204-5は、導電層202-1の上に、ゲート絶縁膜203(図4参照)を介して設けられる。酸化物半導体層204-1~204-5は、D2方向に並んで配置されている。本実施形態では、トランジスタTrを構成するために5つの酸化物半導体層204-1~204-5で構成している例について示す。酸化物半導体層は、複数の層に分離して設けることで発熱の影響を低減することができる。酸化物半導体層の数は、特に限定されない。酸化物半導体層204-1~204-5は、導電層202-1によって、導電層202-1側から酸化物半導体層204-1~204-5に向かうガラス基板(アレイ基板150)を導光してきた光が反射され、酸化物半導体層204-1~204-5に光リークが生じにくくなる。導電層206-1~206-11は、ゲート絶縁膜203及び酸化物半導体層204-1~204-5の上に設けられる。導電層206-1、206-2、206-11は、D1方向に延在し、導電層206-3~206-10は、D2方向に延在する。
【0080】
導電層202-1は、導電層206-1、206-2、206-11と重畳する。導電層202-1は、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-1を介して導電層206-1と接続されており、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-2を介して、導電層206-2と接続されている。導電層202-1のうち、D1方向に延在する領域は、ゲート配線として機能する。また、導電層202-1のうち、D2方向に延在する領域は、ゲート電極として機能する。図4で説明した通り、導電層202は、第1チタン層202a、アルミニウム層202b、第2チタン層202cの積層で構成されており、第2チタン層202cの膜厚は、第1チタン層202aの膜厚よりも大きい。そのため、ゲート絶縁膜203に開口213を形成する際に、第2チタン層202cがエッチングされてアルミニウム層202bが露出してしまうことを抑制することができる。
【0081】
導電層202-2、202-3は、導電層206-4と重畳する。導電層202-2は、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-3を介して導電層206-4と接続されており、導電層202-3は、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-4を介して導電層206-4と接続されている。導電層206-4は、導電層202-1と交差している。導電層206-4は、第1ソース配線SL1として機能する。また、導電層206-4において、導電層202-2、202-3と重畳しない領域は、トランジスタTrのソース電極として機能する。導電層206-3は、トランジスタTrのドレイン電極として機能する。
【0082】
導電層202-4は、導電層206-5と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-5を介して、導電層206-5と接続されている。導電層202-5は、導電層206-6と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-6を介して、導電層206-6と接続されている。導電層206-5は、導電層208-2(図9参照)を介して導電層206-6と接続される。これにより、導電層206-5、導電層206-6、及び導電層208-2は、第3ソース配線SL3として機能する。
【0083】
導電層202-6は、導電層206-7と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-7を介して、導電層206-7と接続されている。導電層202-7は、導電層206-8と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-8を介して、導電層206-8と接続されている。導電層206-7は、導電層208-3(図9参照)を介して導電層206-8と接続される。導電層206-7、導電層206-8及び導電層208-3は、第2ソース配線SL2として機能する。
【0084】
導電層202-8は、導電層206-9と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-9を介して、導電層206-9と接続されている。導電層202-9は、導電層206-9及び導電層206-10と重畳している。導電層202-9は、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-10を介して、導電層206-9と接続されている。導電層202-9は、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-11を介して導電層206-10と接続されている。導電層206-9は、導電層202-1と交差する領域を有する。導電層206-9及び導電層206-10は、第4ソース配線SL4として機能する。
【0085】
また、導電層202-1は、導電層206-11と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられた開口213-12を介して、導電層206-11と接続されている。
【0086】
導電層202-9及び導電層206-8は、屈曲した領域を有する。導電層202-9は、導電層206-8と重畳し、交差する領域を有する。つまり、第2ソース配線SL2と、第4ソース配線SL4とが交差する領域を有している。
【0087】
図示しないが、導電層202-2及び導電層206-5は、屈曲した領域を有する。導電層202-2は、導電層206-5と重畳し、交差する領域を有する。つまり、第1ソース配線SL1は、第3ソース配線SL3と交差する領域を有している。
【0088】
図7に示すように、ゲート配線GLは、導電層202-1と、導電層206-1、206-2とが積層されることで構成されている。導電層202-1は、D1方向に沿って延在している。また、ゲート配線GLは、ソース配線SL1~ソース配線SL4と交差する領域においては、導電層202-1のみが設けられており、導電層206-1と導電層206-2とは離間して設けられている。また、図8に示すように、ソース配線SL1は、導電層202-2、202-3と、導電層206-4とが積層されることで構成されている。また、ソース配線SL1は、ゲート配線GLと交差する領域においては、導電層206-4のみが設けられており、導電層202-2と導電層202-3とは離間して設けられている。これにより、アレイ基板150における表示領域12及び周辺領域14の製造工程において静電気が発生したとしても、静電気を逃がすことができるため、静電気に起因する不良の発生を抑制することができる。
【0089】
図9は、領域250における導電層206-1~206-11及び導電層208-1~208~3の平面レイアウトである。導電層206-1~206-11については、図8において説明した通りである。導電層208-1~208-3は、絶縁膜205(図4参照)の上に設けられている。導電層208-1は、D2方向に延在する領域と、D1方向に延在する領域と、を有する。D2方向に延在する領域は、酸化物半導体層204-1~204~5と重畳する。また、D1方向に延在する領域は、導電層206-11と重畳しており、絶縁膜205に設けられた開口215-1を介して導電層206-11と接続されている。導電層208-2は、D2方向に延在している。導電層208-2は、導電層206-5及び導電層206-6と重畳しており、絶縁膜205に設けられた開口215-2、215-3を介して導電層206-5及び導電層206-6と接続されている。導電層208-3は、D2方向に延在している。導電層208-3は、導電層206-7及び導電層206-8と重畳しており、絶縁膜205に設けられた開口215-4、215-5を介して導電層206-7及び導電層206-8と接続されている。
【0090】
図10は、領域250における平坦化膜207、透明導電層212、及び導電層214の平面レイアウトである。平坦化膜207は、図4に示すように画素PIX1~PIX4の開口領域において除去されている。つまり、平坦化膜207は、配線領域の上に設けられている。平坦化膜207の上に、透明導電層212が設けられている。また、透明導電層212の上に、導電層214が設けられている。透明導電層212及び導電層214は、容量配線として機能する。透明導電層212は、導電層206-1~206-11の上に、平坦化膜207を介して設けられている。そのため、ソース配線SL1~SL4と、容量配線CW配線とが離間して設けられるため、容量配線CWからの電位の影響を受けにくくなる。また、導電層214の電気抵抗は、透明導電層212の電気抵抗よりも小さい。そのため、表示領域12のうち、画素PIXがある位置による容量配線CWの電位のばらつきが抑制される。なお、透明導電層212は、開口223を有しており、導電層214は、開口225を有している。開口223と開口225とは、重なるように設けられている。
【0091】
透明導電層212及び導電層214は、ゲート配線GL及びソース配線SL1~SL4の上方を覆うように、格子状に設けられている。これにより、透明導電層212が設けられていない領域と、画素電極216との間の保持容量Cが減少する。透明導電層212がない領域の大きさにより、保持容量Cが調整される。なお、透明導電層212は、格子状ではなく、全面に設けられていてもよい。また、導電層214は、トランジスタTrを覆うように設けられている。これにより、トランジスタTrの光リークを抑制することができる。
【0092】
導電層214は、透明導電層212の上に設けられている例を示すが、透明導電層212の下に設けられていてもよい。導電層214は、透明導電層212と積層されていればよい。導電層214は、遮光性を有している。そのため、配線領域を遮光することができる。導電層214の幅は、平面視で、ソース配線SL1~SL4を合わせた幅よりも大きくなるように設けられている。また、導電層214の幅は、平面視で、ゲート配線GLの幅よりも大きくなるように設けられている。これにより、ソース配線SL1~SL4のエッジで反射する反射光を表示パネル11により放射することを抑制することができる。なお、導電層214の幅、ソース配線SL1~SL4を合わせた幅とは、ソース配線SL1~SL4が延在する方向と交差する方向(D2方向)の長さをいう。また、ゲート配線GLの幅とは、ゲート配線GLが延在する方向と交差する方向(D2方向)の長さをいう。
【0093】
図11は、領域250における導電層206-1~206-11、及び画素電極216-1~216-4の平面レイアウトである。導電層206-1~206-11については、図8において説明した通りである。画素電極216-1~216-4は、絶縁膜209の上に設けられている。画素電極216-1~216-4は、画素PIXの開口領域に設けられる。画素電極216-1は、絶縁膜209に設けられた開口217-1、絶縁膜205に設けられた開口215-6(図9参照)を介して、導電層206-3と接続される。なお、絶縁膜209は、開口217-2を有する。開口217-2は、開口223及び開口225と重なるように設けられている。平坦化膜207の上において、開口223、225、217-2が重なるように設けられることで、平坦化膜207に含まれる水分を、開口223、225、217-2を介して、放出することができる。
【0094】
以上説明したように、表示領域12において、ゲート配線GL1~GL4、ソース配線SL1~SL4として、導電層202と導電層206とを互いに積層して延在するように配置している。ソース配線SL1~SL4を、導電層202と導電層206とを積層して延在して配置することにより、ソース配線SL1~SL4の抵抗を均一化、及び配線容量の均一化を図ることができる。また、ソース配線SL1とソース配線SL3とを交差して配置し、ソース配線SL2とソース配線SL4とを交差して配置することができる。
【実施例0095】
本実施例では、ゲート電極を形成する表面と、ゲート電極の積層構造との関係において、ゲート電極の表面凹凸及び端部の形状について検証した結果について説明する。
【0096】
まず、ガラス基板上にゲート電極を形成する場合の試料について説明する。
【0097】
(試料A)
ガラス基板の上に、240nmのアルミニウム層と、150nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、誘導結合プラズマ方式でCl、BCl、及びN混合ガスを用いて、アルミニウム層及びチタン層をパターン状に加工した。以降の全試料も同一のエッチング条件でアルミニウム層及びチタン層をパターン状に加工している。
【0098】
(試料B)
ガラス基板の上に、240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、アルミニウム層及びチタン層をパターン状に加工した。
【0099】
(試料C)
ガラス基板の上に、10nmのチタン層と、240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、チタン層、アルミニウム層、及びチタン層をパターン状に加工した。
【0100】
次に、ガラス基板上に設けられた50nmの酸化シリコン膜の上にゲート電極を形成する場合の試料について説明する。
【0101】
(試料D)
酸化シリコン膜の上に、240nmのアルミニウム層と、150nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、アルミニウム層及びチタン層をパターン状に加工した。
【0102】
(試料E)
酸化シリコン膜の上に、240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、アルミニウム層及びチタン層をパターン状に加工した。
【0103】
(試料F)
酸化シリコン膜の上に、10nmのチタン層と、240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、チタン層、アルミニウム層、及びチタン層をパターン状に加工した。
【0104】
次に、ガラス基板上に設けられた50nmの窒化シリコン膜の上にゲート電極を形成する場合の試料について説明する。
【0105】
(試料G)
窒化シリコン膜の上に、240nmのアルミニウム層と、150nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、アルミニウム層及びチタン層をパターン状に加工した。
【0106】
(試料H)
窒化シリコン膜の上に、240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、アルミニウム層及びチタン層をパターン状に加工した。
【0107】
(試料I)
窒化シリコン膜の上に、10nmのチタン層と、240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層して形成した。その後、チタン層、アルミニウム層、及びチタン層をパターン状に加工した。
【0108】
パターン状に加工されたそれぞれの試料について、走査電子顕微鏡(SEM)にて、SEM像を撮像した。図12は、試料A~試料Iの各々について、ゲート電極の表面凹凸及び端部の形状について観察したSEM写真である。
【0109】
240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層してパターンを形成した試料A、試料D、試料Gはいずれも、パターンの表面に凹凸が生じ、パターンの端部においても剣山のような凹凸が確認された。240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層してパターンを形成した試料B、試料E、試料Hはいずれもパターンの表面に凹凸が生じたが、パターン端部における剣山状の残渣は改善した。特に、窒化シリコン膜上にパターン形成した試料Hのパターン端部は形状が非常に滑らかである。10nmのチタン層と、240nmのアルミニウム層と、50nmのチタン層と、を積層してパターンを形成した試料C、試料F、試料Iにおいて、いずれもパターン端部に剣山状の凹凸が生じたが、ガラス基板上にパターン形成した試料C及び窒化シリコン膜上にパターン形成した試料Iはパターン表面の凹凸が改善した。
【実施例0110】
本実施例では、ゲート電極の積層構造の条件を変更して表面凹凸及び端部の形状について検証した結果について説明する。
【0111】
(試料J)
ガラス基板の上に、240nmのアルミニウム層(Al)と、150nmのチタン層(T-Ti)を積層して形成した。その後、アルミニウム層及びチタン層をパターン状に加工した。
【0112】
(試料K)
ガラス基板の上に、10nmのチタン層(B-Ti)と、240nmのアルミニウム層(Al)と、150nmのチタン層(T-Ti)を積層して形成した。その後、チタン層、アルミニウム層、及びチタン層をパターン状に加工した。
【0113】
(試料L)
ガラス基板の上に、240nmのアルミニウム層(Al)と、50nmのチタン層(T-Ti)を積層して形成した。その後、アルミニウム層、及びチタン層をパターン状に加工した。
【0114】
(試料M)
ガラス基板の上に、10nmのチタン層(B-Ti)と、240nmのアルミニウム層(Al)と、50nmのチタン層(T-Ti)を積層して形成した。その後、アルミニウム層、及びチタン層をパターン状に加工した。
【0115】
パターン状に加工されたそれぞれの試料について、走査電子顕微鏡(SEM)にて、SEM像を撮像した。図13は、試料J~試料Mの各々について、ゲート電極の表面凹凸及び端部の形状について観察したSEM写真である。試料J~試料Mの各々において、基板の中央と端の双方にてSEMによる観察を行った。
【0116】
試料Jについては、パターンの表面に凹凸が生じ、パターンの端部のエッチング残渣も改善しなかった。試料Kについては、パターンの表面の凹凸は、改善したが、パターンの端部のエッチング残渣は改善しなかった。試料Lについては、パターンの表面に凹凸が生じたが、パターンの端部のエッチング残渣は改善した。また、試料Mについては、パターンの表面の凹凸も、パターンの端部のエッチング残渣も改善した。
【実施例0117】
次に、本実施例では、絶縁膜の膜厚について条件振りをして、色度ばらつきについて光学シミュレーションを行った結果について説明する。
【0118】
まず、本実施例で用いた光学シミュレーションのモデルについて説明する。図14は、光学シミュレーションのモデル図である。図14に示すように、ガラス302の上に、窒化シリコン304、酸化シリコン306、酸化シリコン308、窒化シリコン310、窒化シリコン312、ITO314、液晶316、ITO318、及びガラス320の順で積層されている。ここで、窒化シリコン304及び酸化シリコン306は、ゲート絶縁膜203に相当し、酸化シリコン308及び窒化シリコン310は、絶縁膜205に相当し、窒化シリコン312は、絶縁膜209に相当し、ITO314は、画素電極216に相当し、液晶316は、液晶に相当し、ITO318は、コモン電極218に相当し、ガラス320は、対向基板に相当する。
【0119】
シミュレーションに用いた各層の膜厚は、酸化シリコン306の膜厚は、200nm、酸化シリコン308は、300nm、窒化シリコン310は、100nm、窒化シリコン312は、220nm、ITO314は、50nm、液晶316は、3150nm、ITO318は、35nmとした。ここで、窒化シリコン304の膜厚を、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、800nm、及び1000nmと条件振りした。なお、窒化シリコン304の膜厚を、±10%で面内でばらつくと仮定して計算を行った。
【0120】
複数の画素PIXの開口領域おける色度のばらつきを確認するため、転送行列法を用いて、色度を算出する光学シミュレーションを行った。
【0121】
図15図22は、光学シミュレーションによって得られたxy色度図であり、図15図16図17図18図19図20図21図22は窒化シリコン304の膜厚がそれぞれ100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、800nm、1000nmのときのxy色度図である。図15図22では、CIE1931色空間のxy色度図において、xが0.315~0.35であり、yが0.32~0.355である領域を拡大した図である。xが0.315~0.35であり、yが0.32~0.355である領域は、白色点(0.33、0.33)近傍の領域である。なお、プロットの数は、500である。
【0122】
図16図19に示すように、窒化シリコン膜の膜厚が200nm以上500nm以下の範囲では、色度がばらつくことが示された。これに対し、ゲート絶縁膜の窒化シリコンの膜厚が、600nm以上1000nm以下の場合、色度のばらつきが抑制されることが示された。
【0123】
第1実施形態において説明したように、ゲート絶縁膜の一部として用いる窒化絶縁膜の膜厚には制限がある。ゲート絶縁膜の一部として用いる窒化絶縁膜の膜厚が、200nm以上400nm以下の場合、下地膜として機能する窒化絶縁膜は、200nm以上800nm以下とすることにより、表示装置における色度のばらつきが低減できることが示唆される。
【0124】
比較のために、図14において、ゲート絶縁膜の膜厚を300nmとして、窒化シリコン310及び窒化シリコン312の合計膜厚を、320nm、500nm、及び700nmと条件振りした。窒化シリコン310及び窒化シリコンは312の合計膜厚に応じて、複数の画素PIXの開口領域おける色度のばらつきを確認するため、転送行列法を用いて、色度を算出する光学シミュレーションを行った。
【0125】
図23図25は、光学シミュレーションによって得られたxy色度図であり、図23図24図25は窒化シリコン310及び窒化シリコン312の合計膜厚がそれぞれ320nm、500nm、及び700nmのときのxy色度図である。図23図25では、CIE1931色空間のxy色度図において、xが0.315~0.35であり、yが0.32~0.355である領域を拡大した図である。xが0.315~0.35であり、yが0.32~0.355である領域は、白色点(0.33、0.33)近傍の領域である。なお、プロットの数は、500である。
【0126】
図23図25に示すように、窒化シリコン310及び窒化シリコン312の合計膜厚を条件振りしても、色度のばらつきは改善しなかった。
【0127】
以上、好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0128】
10:表示装置、11:表示パネル、12:表示領域、14:周辺領域、16:コモン配線、18:コモン配線、22:コモン配線領域、24:フレキシブルプリント回路、26:端子部、28:ゲート駆動回路、32:ゲート配線領域、34:フレキシブルプリント回路、36:端子部、38:ソース駆動回路、42:ソース配線領域、46:ESD用保護回路、48:ゲート検査回路、52:ソース検査回路、54:検査ライン、56:QDパッド、58:ESD用保護回路、59:ESD用保護回路、62:領域、64:領域、66:領域、71:領域、72:領域、102:表示パネル、104:光源、105:絶縁層、150:アレイ基板、152:対向基板、202:導電層、203:ゲート絶縁膜、204:酸化物半導体層、205:絶縁膜、206:導電層、207:平坦化膜、208:導電層、209:絶縁膜、210:液晶層、212:透明導電層、213:開口、214:導電層、215:開口、216:画素電極、217:開口、218:コモン電極、219:遮光層、220:封止材、GL:ゲート配線、SL:ソース配線、CL:コモン配線、CW:容量配線、C:保持容量、LE:液晶素子、PIX:画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図19
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