(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073202
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】車両用電力マネジメントシステム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240522BHJP
B60R 25/24 20130101ALN20240522BHJP
【FI】
E05B49/00 K
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184293
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】全 デホ
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB35
2E250BB36
2E250DD06
2E250FF23
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
【課題】乗員の降車後における車両の消費電力を低減する車両用電力マネジメントシステムを提供する。
【解決手段】車両用電力マネジメントシステム11は、車両10の電力をマネジメントするシステムである。車両用電力マネジメントシステム11は、車載ユニット16の動作状態を切り替える車両側制御部12と、乗員が携行する携帯機13と車外通信する車両側通信部14と、を有する。車両側制御部12は、携帯機13と車両側通信部14とが通信しない途絶状態が、予め定められた所定時間よりも長く継続した場合、車載ユニット16をスリープモードに移行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電力をマネジメントする車両用電力マネジメントシステムであり、
車載ユニットまたは車載ユニット間通信の動作状態を切り替える車両側制御部と、
乗員が携行する携帯機と通信する車両側通信部と、を有し、
前記携帯機は、振動または加速度を検知する検知センサを備え、
前記車両側制御部は、前記携帯機の前記検知センサにより、前記振動または前記加速度が検知されない不検知時間が所定時間を超えた場合、前記車載ユニットまたは車載ユニット間通信をスリープモードに移行することを特徴とする車両用電力マネジメントシステム。
【請求項2】
前記携帯機は、携帯機側制御部を有し、
前記携帯機側制御部は、前記不検知時間が所定時間を超えた場合、車両不使用状態であると判断し、前記車両側通信部に対して前記車両不使用状態である旨の信号を伝送し、
前記車両側制御部は、前記信号に基づき、前記車載ユニットまたは車載ユニット間通信をスリープモードに移行することを特徴とする請求項1に記載の車両用電力マネジメントシステム。
【請求項3】
前記車両側制御部は、前記不検知時間が所定時間を超えた場合、車両不使用状態であると判断し、前記車載ユニットまたは車載ユニット間通信をスリープモードに移行することを特徴とする請求項1に記載の車両用電力マネジメントシステム。
【請求項4】
前記携帯機は、携帯機側制御部を有し、
前記携帯機側制御部は、前記不検知時間が所定時間を超えた場合、電波の送信を停止することにより途絶状態とし、
前記車両側制御部は、前記途絶状態が所定時間を超えた場合、前記車両不使用状態であると判断することを特徴とする請求項3に記載の車両用電力マネジメントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電力をマネジメントする車両用電力マネジメントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両に於いて、スマートキーシステムが普及している。スマートキーシステムでは、車両と、乗員が携行する携帯機との間で認証コードを無線にて交信し、携帯機から発信されて車両側で受信した認証コードがその車両固有の認証コードである場合、ドアロックの解除やエンジン始動等の動作が可能とされる。
【0003】
また、スマートキーシステムを搭載した車両に於いて、携帯型無線通信機の電池の寿命低下を抑制する発明がある(特許文献1)。当該発明では、携帯検知センサにより携帯状態が検知された場合に、制御部の制御モードを低消費電力制御モードから通常制御モードに切り替え可能とする。これにより、無線携帯通信機は、乗員に携帯された状態とならない限り、制御部が起動することは無い。よって、無線携帯通信機の電池の無駄な寿命低下を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した各特許文献に記載された発明では、車両の消費電力を低減する観点から改善の余地があった。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載された発明は、スマートキーシステムにおいて無線携帯通信機の電池の消費量を抑制するものである。よって、係る発明では、スマートキーシステムにおいて車両側の消費電力を低減することは考慮されていない。
【0007】
また、乗員が車両の運転を終了した際、エンジンスイッチを押下するなどして車両電源とOFF状態とし、ドアを開閉することで乗員が降車し、乗員が車両から離れる。その後、乗員がスマートキーと共に車両から離れ、係る現象を検知することで車両は、各ユニットを接続する通信システムをOFF状態とし、車両全体としてはスリープモードに移行する。
【0008】
しかしながら、車両内の通信システムがOFF状態とならないことにより、車両全体としてはスリープモードに移行せず、消費電力が低減しないことによりバッテリが上がってしまう恐れがあった。
【0009】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、乗員の降車後における車両の消費電力を低減する車両用電力マネジメントシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用電力マネジメントシステムは、車両の電力をマネジメントする車両用電力マネジメントシステムであり、車載ユニットまたは車載ユニット間通信の動作状態を切り替える車両側制御部と、乗員が携行する携帯機と通信する車両側通信部と、を有し、前記携帯機は、振動または加速度を検知する検知センサを備え、前記車両側制御部は、前記携帯機の前記検知センサにより、前記振動または前記加速度が検知されない不検知時間が所定時間を超えた場合、前記車載ユニットまたは車載ユニット間通信をスリープモードに移行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用電力マネジメントシステムによれば、不検知時間が所定時間を超えた場合に、車載ユニットをスリープモードに移行させることで、車載ユニットのON状態が不必要に継続することを防止し、車載バッテリが上がってしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用電力マネジメントシステムを備えた車両を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用電力マネジメントシステムを備えた車両を示す接続図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用電力マネジメントシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【
図4】本発明の他形態に係る車両用電力マネジメントシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る車両用電力マネジメントシステム11を備えた車両10を図面に基づき詳細に説明する。更に、以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、車両10の内部における通信を車内通信と称し、車両10と携帯機13との通信を車外通信と称する場合もある。
【0014】
図1は、車両用電力マネジメントシステム11を備えた車両10を示す模式図である。
【0015】
車両10は、例えば、エンジン車、EV(Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等である。
【0016】
車両用電力マネジメントシステム11は、車両10の電力をマネジメントするシステムである。具体的には、車両用電力マネジメントシステム11は、車載ユニット16の動作状態を切り替える車両側制御部12と、乗員が携行する携帯機13と車外通信する車両側通信部14と、を主要に有する。後述するように、車両用電力マネジメントシステム11は、乗員が降車した後に、携帯機13の状態に応じて、自律的に車載ユニット16およびこれらを接続するネットワークをスリープモードに移行する。これにより、降車後における車両10の消費電力を低減し、バッテリ上がりを防止する。
【0017】
また、車両10は、複数の車載ユニット16を有する。複数の車載ユニット16は、ゲートウェイ機能を有する車両側制御部12を介して交互に接続される。ここでは、車載ユニットAないし車載ユニットCを示している。車載ユニット16には、車両側通信部14が含まれる。車両側通信部14は、後述する携帯機13と通信するための構成機器である。ここで、車載ユニット16としては、車両側通信部14の他にも、パワートレインユニット、制動ユニット、操舵ユニット、運転支援ユニット、ナビゲーションユニット等が含まれる。各々の車載ユニット16と車両側制御部12とは、例えばCAN(Controller Area Network)により相互に接続される。
【0018】
ここで、車両側制御部12は、各ユニットや操作システムに対応して設けられても良い。例えば、スマートキーシステムを制御するためのスマートECUが設けられても良い。以下の説明では、各ユニットや操作システムに対応して設けられる制御部も、車両側制御部12と総称する。
【0019】
携帯機13は、車両10を運転する乗員が携行する機器である。携帯機13は、例えば、スマートキーシステムを構成するスマートキーである。ここで、携帯機13として、スマートフォンの機能の一部を利用することもできる。
【0020】
図2は、車両用電力マネジメントシステム11を備えた車両10を示す接続図である。
【0021】
車両10は、車両側制御部12と、車両側通信部14と、ドアロックセンサ15と、エンジンスイッチ18と、車両側記憶部21と、エンジン20と、ドアロックアクチュエータ19と、を主要に有する。
【0022】
車両側制御部12は、CPU、ROM、RAM、タイマ等を有するコンピュータにより構成され、車両10および車両用電力マネジメントシステム11を制御するための各種処理を実行する。車両側制御部12は、車両10に備えられた車両側通信部14や各種センサ等の入力情報に基づいて、車両10の各構成機器を制御する。車両側制御部12は、後述する車両側記憶部21から読み出したプログラムに基づき、後述する動作を実行する。
【0023】
車両側通信部14は、車両側LF送信部141と、車両側RF送受信部142と、を有する。
【0024】
車両側LF送信部141は、LF信号によるID要求信号を携帯機13に対して送信する。
【0025】
車両側RF送受信部142は、RF信号によるID要求信号の送信や、携帯機13からのID信号(応答信号)の受信等を行う。このように、車両10は、車両側LF送信部141および車両側RF送受信部142によって、携帯機13と相互に車外通信する。車両側通信部14と携帯機側通信部22とが車外通信することにより、携帯機13が車両10の外部に存在する場合において、車両10と携帯機13との距離を計測できる。
【0026】
ドアロックセンサ15は、例えば、車両ドアの車外側のドアハンドル等に配設されたタッチセンサ等を備えている。ドアロックセンサ15は、乗員がドアハンドル等の所定箇所に接触する動作をセンシングすることにより、車両側制御部12に信号を送信する。車両側制御部12は、当該信号に基づきドアロックアクチュエータ19を制御する。
【0027】
エンジンスイッチ18は、乗員がエンジン20を始動する際や、エンジン20を停止する際に押下されるスイッチである。
【0028】
車両側記憶部21は、例えば、IC(Integrated Circuit)チップにより構成される。また、車両側記憶部21には、車両10が行う所定の動作を実行するためのプログラムも記憶されている。
【0029】
ドアロックアクチュエータ19は、車両ドアのロックやアンロックを行うためのアクチュエータであり、例えば、車両ドアのロック機構及びアンロック機構を駆動するためのモータ等を備えている。
【0030】
携帯機13は、携帯機側通信部22と、携帯機側制御部23と、携帯機側記憶部25と、ボタン24と、検知センサ17と、を有する。携帯機13は、車両10を運転する乗員が携行するものである。
【0031】
携帯機側通信部22は、携帯機側LF受信部221と、携帯機側RF送受信部222とを有する。
【0032】
携帯機側LF受信部221は、車両10から送信されるLF信号によるID要求信号を受信する。
【0033】
携帯機側RF送受信部222は、車両10側から送信されるRF信号によるID要求信号を受信し、RF信号によるID信号を送信する。
【0034】
携帯機側記憶部25は、例えば、IC(Integrated Circuit)チップにより構成される。また、携帯機側記憶部25には、携帯機13が行う所定の動作を実行するためのプログラムも記憶されている。
【0035】
携帯機側制御部23は、CPU、ROM、RAM、タイマ等を有するコンピュータにより構成され、携帯機13を制御するための各種処理を実行する。携帯機側制御部23は、携帯機側記憶部25から読み出したプログラムに基づき、後述する動作を実行する。また、携帯機側制御部23は、携帯機側通信部22を制御し、車両10の側からID要求信号を受信した場合に、自動的にID信号を車両10の側へと送信する。車両10の車両側制御部12は、携帯機13から送信されたID信号、即ち携帯機13のIDコードと、車両10の車両側記憶部21のIDコードと、を照合することにより、携帯機13を識別する。
【0036】
ボタン24は、車両ドアのロックやアンロックの遠隔操作を行うためのロックボタンやアンロックボタン等であり、乗員がボタン24を押すことにより、携帯機側通信部22から車両側通信部14に対して、車両ドアをロックまたはアンロックするための信号が、車両10に対して送信される。
【0037】
検知センサ17は、携帯機13に作用する振動または加速度を検知するセンサである。具体的には、検知センサ17は、携帯機13に作用する振動または加速度を常に検知し、振動または加速度が作用しているか否かを示す信号を、携帯機側制御部23に伝送する。
【0038】
上述した構成を有する車両10、車両用電力マネジメントシステム11および携帯機13において、車両10の運転が終了した後の、スマートキーシステムの動作を説明する。
【0039】
先ず、車両10が目的地に到着するなどして停車した後に、乗員はエンジンスイッチ18を押下し、エンジン20や図示しない車両駆動用モータを停止する。即ち、車両電源をOFF状態とする。
【0040】
その後、乗員は、ドアの開閉を行うことにより降車し、ドアロックセンサ15を操作し、ドアロックアクチュエータ19を動作させてドアをロックする。
【0041】
その後、携帯機13を携行した乗員が、車両10から一定距離以上離れると、車両側制御部12は、各々の車載ユニット16等をスリープモードにする。車載ユニット16等がスリープモードに移行することにより、車両10全体としての電力消費量が抑制され、車両10のバッテリ上がりを抑制できる。
【0042】
上記した構成および動作を有する車両用電力マネジメントシステム11および車両10では、運転が終了して乗員が車両10から離れても、車載ユニット16および車内通信がスリープモードに移行しないこともあり得る。例えば、車外通信に不具合が生じた場合や、車載ユニット16に不具合が生じた場合、車載ユニット16および車内通信がスリープモードに移行しない。本実施形態では、係る場合であっても、車両用電力マネジメントシステム11により、車両10の各車載ユニット16等を強制的にスリープモードに移行する制御を実行する。係る事項を
図3および
図4を参照して、説明する。
【0043】
図3は、車両用電力マネジメントシステム11の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、携帯機13に対して、一定以上の振動または加速度が作用しない場合、車両10と携帯機13との車外通信を途絶し、途絶状態が予め定められた所定時間よりも長く継続した場合、車両側制御部12が、車載ユニット16をスリープモードに移行するようにしている。更に、車載ユニット16どうしを接続するCAN(Controller Area Network)もスリープモードに移行する。即ち、車両側制御部12が、車両不使用状態であることを判断する。ここで、車両不使用状態とは、乗員が車両10を降車した後、当分の間、例えば数時間以上に渡って車両10を運転しない状態である。
【0044】
図3に示すタイミングチャートでは、上段から、車両電源のON状態およびOFF状態、車載ユニット16の電源のON状態およびOFF状態、車載ユニット16間における車内通信のON状態およびOFF状態、ユニット待機(スリープモード)のON状態およびOFF状態、車両側制御部12からの通信停止要求のON状態およびOFF状態を示している。係る事項は、後述する
図4に関しても同様である。
【0045】
時刻T11では、車両10の運転を終了した後に、乗員がエンジンスイッチ18を押下等することで、エンジン等を停止する。これにより、車両電源がOFF状態となる。
【0046】
時刻T12では、乗員が、ドアの開閉を行うことにより、車両10から降車する。
【0047】
時刻T13では、降車した乗員が、車両10から離れる。この際、乗員が携帯している携帯機13は、乗員と共に車両10から離れる。
【0048】
時刻T14では、例えば、車両10の車両側通信部14と、携帯機13の携帯機側通信部22とが車外通信することにより、車両10からの距離が一定以上になることを検知すれば、車両側制御部12は、車載ユニット16をスリープモードとする。即ち、車載ユニット16および車載ユニット16どうしの車内通信を、OFF状態とする。
【0049】
ここで、何らかの理由により車載ユニット16または車載ユニット16どうしの車内通信が、スリープモードと成らないことがある。この状態が続行すると、車両10がバッテリ上がりとなる恐れがある。本実施形態では、この様な状態であっても、車載ユニット16等をスリープモードに移行するべく、以下の動作を実行する。
【0050】
時刻T15では、携帯機側制御部23は、検知センサ17が所定時間以上に渡り、一定以上の振動または加速度を検知しない場合、携帯機側通信部22と車両側通信部14との通信を途絶する。
【0051】
時刻T16では、車両側制御部12は、車両側通信部14と携帯機側通信部22との通信が途絶してから所定時間が経過したか否かを判断する。かかる所定時間は、例えば、10分間である。車両側制御部12は、途絶してから所定時間が経過したら、乗員か車両10の使用を意図しない車両不使用状態であると判断し、通信停止要求を発する。即ち、ここでは、車両10が車両不使用状態であるか否かを、車両側制御部12が行っている。このようにすることで、車両10の内部で車両不使用状態の判断を行えることから、より確実に車載ユニット16等をスリープモードに移行させることを特徴とするができる。
【0052】
時刻T17では、車両側制御部12は、車載ユニット16どうしの車内通信、例えばCAN通信をOFF状態とする。このようにすることで、車載ユニット16どうしの車内通信に必要とされる電力が削減され、バッテリ上がりが防止される。
【0053】
時刻T18では、車両側制御部12は、車載ユニット16の電源をOFF状態とし、スリープモードとする。このようにすることで、車載ユニット16の動作に必要とされる電力が削減され、バッテリ上がりが防止される。
【0054】
時間T100は、本来であれば車載ユニット16およびその車内通信が本来的にスリープモードとなる時刻T14から、本実施形態の車両用電力マネジメントシステム11により強制的にスリープモードとする時刻T18までの時間である。時間T100は例えば、10分間程度である。このようにすることで、時刻T14にて車載ユニット16およびユニット間通信がスリープモードに移行しなかった場合でも、車載ユニット16の消費電力を少なくし、車両10のバッテリ上がりを防止することができる。
【0055】
図4は、他形態に係る車両用電力マネジメントシステム11の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、概略的には、携帯機13の検知センサ17により、予め定められた所定時間以上に渡り、振動または加速度が検知されない場合、携帯機側制御部23が、車両不使用状態であるとの判断を行っている。その後、車両側制御部12は、車載ユニット16をスリープモードに移行させるようにしている。同時に、車両側制御部12は、車載ユニット16どうしを接続するCAN(Controller Area Network)もスリープモードに移行する。
【0056】
時刻T21から時刻T24までの動作は、前述した、時刻T11から時刻T14までの動作と同様である。
【0057】
時刻T25では、携帯機側制御部23は、検知センサ17が所定時間以上に渡り、一定以上の振動または加速度を検知しない場合、車両不使用状態であると判断する。そして、携帯機側制御部23は、携帯機側通信部22および車両側通信部14を経由して、車載ユニット16および車載ユニット16どうしの通信をスリープモードにするための要求信号を車両10の車両側通信部14に伝送する。更に、携帯機側制御部23は、車両10の盗難を防止するべく、携帯機側通信部22と車両側通信部14との通信を停止する。ここで、所定時間とは、例えば10分間である。
【0058】
時刻T26では、車両側制御部12は、車両側通信部14を経由して伝送された、携帯機13からの要求に基づき、車載ユニット16どうしの車内通信を停止するための、通信停止要求を発する。
【0059】
その後、時刻T27および時刻T28における動作は、前述した時刻T17および時刻T18と同様である。即ち、車両側制御部12は、ユニット通信および各ユニット電源をOFF状態とすることにより、これらをスリープモードとし、車両10の消費電力を低減する。
【0060】
時間T200は、本来的であれば車載ユニット16およびその通信がスリープモードとなる時刻T24から、本実施形態の車両用電力マネジメントシステム11により強制的にスリープモードとする時刻T28までの時間である。時間T200は例えば、10分間程度である。具体的には、携帯機13に対して所定時間以上に渡り、振動や加速度が作用しない場合、携帯機13は屋内の所定箇所に載置または格納されている可能性が高い。よって、係る状況に於いて、携帯機側制御部23が、車両不使用状態であると判断し、これに応答して車両側通信部14が、車載ユニット16等をスリープモードに移行させることで、車載ユニット16の消費電力を少なくし、車両10のバッテリ上がりを防止することができる。
【0061】
以下に、前述した本実施形態から把握できる技術的思想を、その効果と共に記載する。
【0062】
本発明の車両用電力マネジメントシステムは、車両の電力をマネジメントする車両用電力マネジメントシステムであり、車載ユニットまたは車載ユニット間通信の動作状態を切り替える車両側制御部と、乗員が携行する携帯機と通信する車両側通信部と、を有し、前記携帯機は、振動または加速度を検知する検知センサを備え、前記車両側制御部は、前記携帯機の前記検知センサにより、前記振動または前記加速度が検知されない不検知時間が所定時間を超えた場合、前記車載ユニットまたは車載ユニット間通信をスリープモードに移行することを特徴とする。本発明の車両用電力マネジメントシステムによれば、不検知時間が所定時間を超えた場合に、車載ユニットをスリープモードに移行させることで、車載ユニットのON状態が不必要に継続することを防止し、車載バッテリが上がってしまうことを防止できる。
【0063】
また、本発明の車両用電力マネジメントシステムでは、前記携帯機は、携帯機側制御部を有し、前記携帯機側制御部は、前記不検知時間が所定時間を超えた場合、車両不使用状態であると判断し、前記車両側通信部に対して前記車両不使用状態である旨の信号を伝送し、前記車両側制御部は、前記信号に基づき、前記車載ユニットまたは車載ユニット間通信をスリープモードに移行することを特徴とする。本発明の車両用電力マネジメントシステムによれば、携帯機側制御部により車両不使用状態を判断することにより、不検知時間を正確に検知し、車載ユニット等を確実にスリープモードに移行させることが出来る。
【0064】
また、本発明の車両用電力マネジメントシステムでは、前記車両側制御部は、前記不検知時間が所定時間を超えた場合、車両不使用状態であると判断し、前記車載ユニットまたは車載ユニット間通信をスリープモードに移行することを特徴とする。本発明の車両用電力マネジメントシステムによれば、車両側制御部により車両不使用状態を判断することにより、小型な機器である携帯機の機能を簡素化することができる。
【0065】
また、本発明の車両用電力マネジメントシステムでは、前記携帯機は、携帯機側制御部を有し、前記携帯機側制御部は、前記不検知時間が所定時間を超えた場合、電波の送信を停止することにより途絶状態とし、前記車両側制御部は、前記途絶状態が所定時間を超えた場合、前記車両不使用状態であると判断することを特徴とする。本発明の車両用電力マネジメントシステムによれば、途絶状態に基づいて、簡素な判断方法により、車両不使用状態を判断することが出来る。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 車両
11 車両用電力マネジメントシステム
12 車両側制御部
13 携帯機
14 車両側通信部
141 車両側LF送信部
142 車両側RF送受信部
15 ドアロックセンサ
16 車載ユニット
17 検知センサ
18 エンジンスイッチ
19 ドアロックアクチュエータ
20 エンジン
21 車両側記憶部
22 携帯機側通信部
221 携帯機側LF受信部
222 携帯機側RF送受信部
23 携帯機側制御部
24 ボタン
25 携帯機側記憶部