(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073222
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】接続構造およびこれに用いる接続部品
(51)【国際特許分類】
F16L 41/08 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
F16L41/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184320
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】322011966
【氏名又は名称】有限会社彩孔技研
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】弁理士法人白浜国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 博文
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019DA01
3H019DA04
(57)【要約】
【課題】リブ付き管に枝管を簡単に接続することができるようにした接続構造を提供する。
【解決手段】接続構造1は、外周面にリブ5を有する本管2と、この本管2に取付けられる枝管3と、この枝管3を本管2に接着する第1接着部材8と、枝管3にスライド自在に外嵌される環状部11とこの環状部11から張出し本管2の周面に係合する鍔12とを有するスライド管9と、このスライド管9と枝管3の外周部とを液密に保つスリーブ10と、鍔12の本管2側に設けられ、リブ5の凹部14に介在して鍔12と本管2とを密着させる第2接着部材13と、枝管3およびスライド管9の周囲に配設され、枝管3およびスライド管9を一体的に固定する埋込み材15とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にリブを有する本管と、
該本管に取付けられる枝管と、
該枝管を前記本管に接着する第1接着部材と、
前記枝管にスライド自在に外嵌される環状部と該環状部から張出し前記本管の周面に係合する鍔とを有するスライド管と、
該スライド管と前記枝管の外周部とを液密に保つスリーブと、
前記鍔の前記本管側に設けられ、前記リブの凹部に介在して前記鍔と前記本管とを密着させる第2接着部材と、
前記枝管および前記スライド管の周囲に配設され、前記枝管および前記スライド管を一体的に固定する固定部材と、
を具備したことを特徴とする接続構造。
【請求項2】
前記鍔は、前記枝管の周囲に円環状に設け、かつ前記本管の面を前記リブの外周に沿って湾曲した形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記スリーブは、柔軟性を有する樹脂シートで筒状に形成し、前記環状部の外周部と前記枝管の外周部に接合したことを特徴とする請求項1または2に記載の接続構造。
【請求項4】
外周面にリブを有する本管に枝管を接続するために用いられる接続部品であって、
前記枝管にスライド自在に外嵌される環状部と該環状部から張出し前記本管の周面に係合する鍔とを有するスライド管と、
該スライド管と前記枝管の外周部とを液密に保つスリーブと、
を具備したことを特徴とする接続部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば土中に埋設されたリブ付き管に枝管を取付けるための接続構造およびこれに用いる接続部品に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の接続構造としては、従来、種々のものが提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、リブ付き管の接続孔と取付管とが止水可とう継手によって接続されている接続構造が開示されている。
【0004】
この接続構造では、止水可とう継手は、可とう性の継手本体と、板状の止水部材と、剛性の押えカバーとを有している。
【0005】
この継手本体は、取付管の外周に密着する筒状部と、筒状部から外方向へ突出し接続孔の周囲のリブ上に張り出すサドル部とを有している。
【0006】
また、止水部材は、接続孔を取り囲むようにサドル部の下側に設けられている。
【0007】
そして、押えカバーが結束バンドによってリブ付き管に締付けられることにより、押えカバーがサドル部および止水部材をリブ付き管に押え付けられる。
【0008】
これにより、止水部材が圧縮変形してリブを埋め込み、サドル部とリブ付き管との間が水密に密閉されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、押えカバーを結束バンドによってリブ付き管に締付ける構成であるため、結束バンドをリブ付き管のまわりに巻付ける必要があり、リブ付き管の周囲の土砂を退けるという大掛かりな工事が必要となる。
【0011】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、リブ付き管に枝管を簡単に接続することができるようにした接続構造およびこれに用いる接続部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る接続構造は、外周面にリブを有する本管と、この本管に取付けられる枝管と、この枝管を本管に接着する第1接着部材と、枝管にスライド自在に外嵌される環状部とこの環状部から張出し本管の周面に係合する鍔とを有するスライド管と、このスライド管と枝管の外周部とを液密に保つスリーブと、鍔の本管側に設けられ、リブの凹部に介在して鍔と本管とを密着させる第2接着部材と、枝管およびスライド管の周囲に配設され、枝管およびスライド管を一体的に固定する固定部材とを具備したことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明に係る接続部品は、外周面にリブを有する本管に枝管を接続するために用いられる接続部品であって、枝管にスライド自在に外嵌される環状部とこの環状部から張出し本管の周面に係合する鍔とを有するスライド管と、このスライド管と枝管の外周部とを液密に保つスリーブとを具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る接続構造およびこれに用いる接続部品によれば、リブ付き管に枝管を簡単に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本発明の一実施形態に係る接続構造を示す断面図。
【
図4】同接続構造に用いる接続部品を施工前に枝管に装着した状態を示す斜視図。
【
図5】同オーガービットを用いた本管への枝管の取付工法を示す工程図。
【
図6】同取付工法に用いるガイド管の先端部を示す斜視図。
【
図7】同取付工法に用いるガイド管取付状態を示す側断面図。
【
図8】同取付工法に用いる弁付きオーガービットを示す斜視図。
【
図9】同じく同取付工法に用いる弁付きオーガービットを示す斜視図。
【
図10】同取付工法のガイド管内掘削状態を示す側断面図。
【
図11】同取付工法のガイド管内排土状態を示す側断面図。
【
図12】同取付工法の本管削孔状態を示す側断面図。
【
図13】同取付工法の枝管接続状態を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1中、符号1は、本発明の一実施形態に係る接続構造を示している。
【0018】
この接続構造1は、土中に埋設された本管(リブ付き管)2に枝管3を接続するための接続部品4を備えている。
【0019】
本管2は、
図2および
図3にも示すように、周面に多数のリブ5を有している。
【0020】
また、この本管2には、枝管3を取付けるための取付口6が形成されている。
【0021】
枝管3は、先端部に取付管(特殊形状枝管)7が外嵌して固定されていて、この取付管7が取付口6に差込まれている。
【0022】
この取付管7は、差込前に先端部の外周面に第1接着部材8が塗布され、これにより本管2の取付口6に接着して固定されている。
【0023】
この第1接着部材8としては、たとえば水膨張性ゴム弾性シール材などが用いられる。
【0024】
また、取付管7の先端は、本管2の内部に飛び出さないように差込前にラウンド加工されている。
【0025】
接続部品4は、
図4にも示すように、スライド管9とたとえばポリエチレン樹脂などで成形されたスリーブ(ポリスリーブ)10を備えている。
【0026】
スライド管9は、枝管3にスライド自在に外嵌される環状部11と、この環状部11から張出し本管2の周面に係合する鍔12を有している。
【0027】
鍔12は、取付口6の周囲に円環状に設けられ、かつ下面が本管2のリブ5の外周に沿って湾曲した形状となっている。
【0028】
スリーブ10は、柔軟性を有する樹脂シートなどで筒状に形成され、下端側がスライド管9の環状部11の外周部に接合され、上端側が枝管3の外周部に接合されている。
【0029】
これにより、スライド管9が枝管3に対しスライド可能かつスライド管9と枝管3の外周部とが液密に保たれるようになっている。
【0030】
また、鍔12の本管2側には第2接着部材13が設けられ、この第2接着部材13がリブ5の凹部14に介在すなわち埋め込まれて鍔12と本管2とを密着固定させる構成となっている。
【0031】
この第2接着部材13としては、たとえばエポキシ樹脂シール材などが用いられる。
【0032】
さらに、枝管3および接続部品4(スライド管9およびスリーブ10)の周囲には、セメントやベントナイトなどからなる埋込め材(固定部材)15が配設され、枝管3およびスライド管9を一体的に固定する構成となっている。
【0033】
次に、このように構成される接続構造1の接続工法を
図5を参照しながら説明する。
【0034】
先ず、先行推進工程ST1を行う。
【0035】
この先行推進工程ST1では、予め枝管3の取付位置を定め、シャフトの周面に螺旋状にフィンを設けた汎用オーガービット(図示しない。)をボーリングマシンの主軸伝達ロッドに接続して回転させながら推進することにより、取付位置の地山を緩める。
【0036】
次いで、汎用オーガービットを引上げながら土砂を排土し、堀穴を形成する。
【0037】
次いで、ガイド管推進工程ST2を行う。
【0038】
このガイド管推進工程ST2では、
図6に示すガイド管(山留鋼管)21を先行推進工程ST1で形成した堀穴に吊り下ろす。
【0039】
ガイド管21は、管本体22と、その管本体22の先端に接続された刃管23を備えている。
【0040】
また、刃管23は、
図7にも示すように、先端が本管34の外周面に径方向から嵌合できるようにラウンド加工されている。
【0041】
次いで、ガイド管21に主軸伝達ロッドを接続し、正回転と逆回転を繰り返しながら推進し、本管2に密着させ固定する。
【0042】
なお、符号Gは地山、符号Sは汎用オーガービットにより緩められた地山Gを構成する土砂を示している。
【0043】
次いで、ガイド管内排土工程ST3を行う。
【0044】
このガイド管内排土工程ST3では、
図8および
図9に示す弁付きオーガービット31を用いる。
【0045】
この弁付きオーガービット31は、基端32側がボーリングマシンの主軸伝達ロッド(図示せず。)に取付けられ、先端33側で掘削するもので、基端32から先端33へ延びる回転可能な中空円管状のシャフト34を有している。
【0046】
このシャフト34の先端33側の外周面には、シャフト34の回転に伴って土砂Sを先端33から基端32に向けて案内するための案内部材35が取付けられている。
【0047】
この案内部材35は、シャフト34の外周面に沿って傾斜し且つ対称的に設けられた第1フィン36と第2フィン37を備えている。
【0048】
これら第1フィン36と第2フィン37は、それぞれシャフト34の全周の略1/4の長さに設けられ、螺旋形状の一部を構成する形状に形成されている。
【0049】
そして、これら第1フィン36の先端および第2フィン37の先端はそれぞれ、掘削刃38,39となっている。
【0050】
また、案内部材35には、案内部材35に案内される土砂Sの逆戻りを阻止する阻止部材40が取付けられている。
【0051】
この阻止部材40は、第1回動弁41および第2回動弁42を有している。
【0052】
第1回動弁41は、第1フィン36の基端32側で且つ裏面(先端33側の面)に設けられた第1ヒンジ43によって回動自在に枢支され、自由端44が第1フィン36より基端32側の位置(
図8に示す状態)から第2フィン37の先端33側の上面(基端32側の面)に当接する位置(
図9に示す状態)まで回動可能に構成されている。
【0053】
また、第2回動弁42は、第2フィン37の基端32側で且つ裏面(先端33側の面)に設けられた第2ヒンジ45によって回動自在に枢支され、自由端46が第2フィン37より基端32側の位置(
図8に示す状態)から第1フィン36の先端33側の上面(基端32側の面)に当接する位置(
図9に示す状態)まで回動可能に構成されている。
【0054】
さらに、第1回動弁41および第2回動弁42は、それぞれ螺旋形状の一部を構成する形状に形成されている。
【0055】
さらに、第1回動弁41および第2回動弁42の螺旋形状の傾斜は、第1フィン36と第2フィン37の螺旋形状の傾斜より大きい傾斜とされている。
【0056】
さらに、シャフト34内の先端33には通気弁47が設けられ、シャフト34の先端33の開口48を開閉することができるようになっている。
【0057】
すなわち、シャフト34の先端33は、凹部49と凸部50とからなる凹凸形状を呈している。
【0058】
そして、通気弁47は、凸部50の内周側にスライド可能に支持され、
図8に示すように基端32側にスライドすると開口48を閉鎖し、
図9に示すように先端33側にスライドすると開口48を開放するように構成されている。
【0059】
先ず、このガイド管内排土工程ST3では、
図10に示すように、ガイド管21内の土砂Sを弁付きオーガービット31を用いて土砂Sを排土する。
【0060】
このとき、弁付きオーガービット31を正回転させて推進させると、第1回動弁41および第2回動弁42は上方へ回動し、第1フィン36および第2フィン37の傾斜より大きく傾斜する。
【0061】
すなわち、第1回動弁41および第2回動弁42は、自由端44,46が第1フィン36および第2フィン37より基端32側まで回動する。
【0062】
したがって、土砂Sの通路を広く開放するので、排土量を多くすることができる。
【0063】
次いで、
図11に示すように、弁付きオーガビット31を引き上げながら排土する。
【0064】
このとき、第1回動弁41および第2回動弁42が第1フィン36および第2フィン37に当接する位置まで回動し、土砂Sの通路を閉鎖するので、確実に排土することができる。
【0065】
また、オーガービット31を引き上げ時には、通気弁47を開放し、シャフト34内および開口48を介して大気に連通させることにより、弁付きオーガービット31の引上げ抵抗を軽減させる。
【0066】
次いで、本管削孔工程ST4を行う。
【0067】
この本管削孔工程ST4では、
図12に示すように、ガイド管21内に本管削孔用ビット51を降ろし、本管2を削孔し取付口6を形成する。
このとき、リブ5も取付口6に沿って切断される。
【0068】
次いで、本管削孔用ビット51を引上げ、削孔コアー(本管2の削孔により切断された部分)を回収する。
【0069】
次いで、枝管接続工程ST5を行う。
【0070】
図13に示すように、枝管3の先端部には取付管(特殊形状枝管)7が外嵌固定されている。
【0071】
この取付管7の先端部は、回収した削孔コアーに基づき本管2内に飛び出さないようにラウンド加工する。
【0072】
また、枝管3および取付管7には、接続部品4(スライド管9およびスリーブ10)が外嵌固定する。
【0073】
すなわち、スライド管9の環状部11と枝管3および取付管7とをスリーブ10によって連結し、これにより、スライド管9が取付管7に対してスライド可能に、かつ枝管3および取付管7とスライド管9との隙間を液密にする。
【0074】
次いで、取付管7の先端部には、第1接着部材8を塗り付ける。
【0075】
また、スライド管9の鍔12の本管2側には第2接着部材13を塗り付ける。
【0076】
そして、取付管7を本管2の取付口6に差込み圧力をかけ圧着し接合する。
【0077】
また、スライド管9を本管2に向けて圧力をかけ第2接着部材13をリブ5の凹部14に埋め込み本管2に接着する。
【0078】
次いで、ガイド管21と枝管3、取付口6および接続部品4との間にセメントやベントナイトなどの裏込め材15を充填する。
【0079】
次いで、ガイド管引抜撤去工程ST6を行う。
【0080】
このガイド管引抜撤去工程ST6では、埋込み材15の硬化に伴いガイド管21を引抜撤去する。
【0081】
また、ガイド管21を引抜きながら枝管3、取付管7および接続部品4の周りに珪砂52を投入する。
【0082】
このようにして、
図1に示すように、土中埋設本管2への枝管3、取付管7および接続部品4の取付けが完了する。
【0083】
以上の構成によれば、ガイド管21を用いて土中に埋設された本管2(リブ付き管)に枝管3を簡単に接続することができる。
【0084】
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0085】
すなわち、本発明に係る接続構造は、外周面にリブを有する本管と、この本管に取付けられる枝管と、この枝管を本管に接着する第1接着部材と、枝管にスライド自在に外嵌される環状部とこの環状部から張出し本管の周面に係合する鍔とを有するスライド管と、このスライド管と枝管の外周部とを液密に保つスリーブと、鍔の本管側に設けられ、リブの凹部に介在して鍔と本管とを密着させる第2接着部材と、枝管およびスライド管の周囲に配設され、枝管およびスライド管を一体的に固定する固定部材とを具備したことを特徴とするものである。
【0086】
また、本発明に係る接続部品は、外周面にリブを有する本管に枝管を接続するために用いられる接続部品であって、枝管にスライド自在に外嵌される環状部とこの環状部から張出し本管の周面に係合する鍔とを有するスライド管と、このスライド管と枝管の外周部とを液密に保つスリーブとを具備したことを特徴とするものである。
【0087】
上記発明は、少なくとも下記実施形態を含むことができる。該実施形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
【0088】
(1)鍔は、枝管の周囲に円環状に設け、かつ本管側の面をリブの外周に沿って湾曲した形状に形成する。
【0089】
(2)スリーブは、柔軟性を有する樹脂シートで筒状に形成し、環状部の外周部と枝管の外周部に接合する。
【符号の説明】
【0090】
1 接続構造
2 本管
3 枝管
4 接続部品
5 リブ
7 取付管(特殊形状枝管)
8 第1接着部材
9 スライド管
10 スリーブ
11 環状部
12 鍔
14 凹部
13 第2接着部材
15 固定部材(埋込み材)