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特開2024-73224作業車用無段変速動力伝達装置及び作業車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073224
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】作業車用無段変速動力伝達装置及び作業車
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/12 20100101AFI20240522BHJP
   F16H 59/46 20060101ALI20240522BHJP
   F16H 59/68 20060101ALI20240522BHJP
   F16H 59/44 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
F16H61/12
F16H59/46
F16H59/68
F16H59/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184323
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】土田 友也
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552MA02
3J552MA10
3J552MA27
3J552NA05
3J552NB01
3J552PA51
3J552PA54
3J552PB03
3J552PB09
3J552QC07
3J552QC09
3J552SA02
3J552TA16
3J552VA02X
3J552VA32X
3J552VA37X
3J552VC01X
(57)【要約】
【課題】無段変速装置と遊星変速装置とを組み合わせた無段変速動力伝達装置のための二重化された回転検出器の異常を正確かつ迅速に判定する技術を提供する。
【解決手段】作業車用無段変速動力伝達装置は、無段変速装置28と、エンジン動力と無段変速動力とを入力して遊星動力を出力する遊星変速装置31と、遊星変速装置31の変速段を選択する遊星クラッチ機構32と、エンジン回転数と無段変速回転数と遊星回転数と走行回転数とを用いて無段変速装置28と遊星クラッチ機構32とを制御する制御信号を生成する変速制御ユニット50と、エンジン回転数と無段変速回転数と遊星回転数と走行回転数とを検出する複数の回転検出器からなる回転検出器群70と、遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態に基づいて、複数の異常判定ルールから選択された選択判定ルールを用いて回転検出器群70の異常を判定する回転検出器判定部60とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからのエンジン動力を走行装置に伝達する作業車用無段変速動力伝達装置であって、
前記エンジン動力を入力して無段変速動力を出力する無段変速装置と、
前記エンジン動力と前記無段変速動力とを入力して遊星動力を出力する遊星変速装置と、
前記遊星変速装置の変速段を選択する遊星クラッチ機構と、
前記遊星動力を入力して前進動力または後進動力を前記走行装置に出力する前後進切換装置と、
変速操作指令に基づき、前記エンジンのエンジン回転数と、前記無段変速動力の回転数である無段変速回転数と、前記遊星動力の回転数である遊星回転数と、前記前進動力または前記後進動力の回転数である走行回転数とを用いて、前記無段変速装置と前記遊星クラッチ機構と前記前後進切換装置とを制御する制御信号を生成する変速制御ユニットと、
前記エンジン回転数と前記無段変速回転数と前記遊星回転数と前記走行回転数とを検出する複数の回転検出器からなる回転検出器群と、
前記遊星クラッチ機構及び前記前後進切換装置のクラッチ作動状態に基づいて、複数の異常判定ルールから選択された選択判定ルールを用いて前記回転検出器群の異常を判定する回転検出器判定部と、
を備えた作業車用無段変速動力伝達装置。
【請求項2】
前記回転検出器判定部は、前記選択判定ルールの選択時に前記エンジン回転数を考慮する請求項1に記載の作業車用無段変速動力伝達装置。
【請求項3】
前記回転検出器群には、前記エンジン回転数を検出する主エンジン回転検出器、前記エンジン動力を受け取る入力軸の回転数を前記エンジン回転数として検出する冗長エンジン回転検出器、前記無段変速回転数を検出する主無段変速回転検出器、前記遊星回転数を検出する主遊星回転検出器、前記遊星回転数を検出する冗長遊星回転検出器、前記走行回転数を検出する主走行回転検出器、前記走行回転数を検出する冗長走行回転検出器が含まれている請求項1に記載の作業車用無段変速動力伝達装置。
【請求項4】
前記回転検出器判定部によって判定された前記回転検出器群の異常は、警告報知のみを行う低度異常状態と、一時的な走行を許可する中度異常状態と、走行緊急停止を行う重度異常状態とに区分けされる請求項1に記載の作業車用無段変速動力伝達装置。
【請求項5】
前記遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態がONにおいて、前記回転検出器判定部は、
前記主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記主無段変速回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記主無段変速回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記主無段変速回転検出器が異常であると判定し、
前記主無段変速回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記主遊星回転検出器と前記主無段変速回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記主遊星回転検出器が異常であると判定し、
前記主無段変速回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記冗長遊星回転検出器と前記主無段変速回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記冗長遊星回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記冗長遊星回転検出器が異常であると判定する請求項3に記載の作業車用無段変速動力伝達装置。
【請求項6】
前記遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態が不完全結合状態において、前記回転検出器判定部は、
前記主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との検出値が不一致の場合、前記主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との両方が異常であると判定する請求項5に記載の作業車用無段変速動力伝達装置。
【請求項7】
前記前後進切換装置のクラッチ作動状態がONにおいて、前記回転検出器判定部は、
前記冗長走行回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記主走行回転検出器と前記冗長走行回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記主走行回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記主走行回転検出器が異常であると判定し、
前記主走行回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記冗長走行回転検出器と前記主走行回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記冗長走行回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記冗長走行回転検出器が異常であると判定し、
前記主走行回転検出器と前記冗長走行回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記主遊星回転検出器と前記主走行回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記主遊星回転検出器と前記冗長走行回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記主遊星回転検出器が異常であると判定する請求項5に記載の作業車用無段変速動力伝達装置。
【請求項8】
前記前後進切換装置のクラッチ作動状態が不完全結合状態において、前記回転検出器判定部は、
前記主走行回転検出器と前記冗長走行回転検出器との検出値が不一致の場合、前記主走行回転検出器と前記冗長走行回転検出器との両方が異常であると判定する請求項7に記載の作業車用無段変速動力伝達装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の作業車用無段変速動力伝達装置を備えた作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速装置と遊星変速装置とを備えた作業車用無段変速動力伝達装置、及び当該作業車用無段変速動力伝達装置を備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
無段変速装置と遊星変速装置とを組み合わせた無段変速動力伝達装置(HMTとも呼ばれる)は、ホイールローダやトラクタなどの作業車の動力伝達構造に利用されている。例えば、特許文献1には、エンジンからの動力が無段変速装置の油圧ポンプと遊星変速装置とに分岐され、さらに無段変速装置の油圧モータ軸からの無段変速出力が遊星変速装置に入力される無段変速動力伝達装置が開示されている。このような無段変速動力伝達装置では、遊星変速装置に入力される無段変速装置の無段変速出力と、遊星変速装置の選択された変速段とから、任意の変速動力が得られる。この無段変速動力伝達装置では、エンジン出力と無段変速出力とが遊星変速装置に入力され、遊星変速装置の選択された変速段からの出力が後段に伝達されるので、適正な変速制御においては、リアルタイムでのエンジン出力の回転数、無段変速出力の回転数、遊星変速装置の出力回転数の検出が重要となる。無段変速制御にとって重要なファクタである、エンジン出力の回転数、無段変速出力の回転数、遊星変速装置の出力回転数、などを検出する回転検出器(回転数センサまたは速度センサ)が故障すれば、正確な無段変速制御が不能となる。このため、複数の回転検出器を用いて回転検出器の二重化を行う、いわゆるフェイルセーフが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-96208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の回転検出器を用いて回転検出器の二重化を行った場合でも、回転検出器検出信号の異常発生時にどちらの回転検出器の検出信号が異常であるかを判定するには、無段変速動力伝達装置における他の構成部材の回転数を吟味する必要があり、この判定を正確かつ迅速に行うのは、容易ではない。
【0005】
本発明の目的は、無段変速装置と遊星変速装置とを組み合わせた無段変速動力伝達装置及び作業車における無段変速制御で必要となる回転数を検出する二重化された回転検出器の異常を正確かつ迅速に判定する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による作業車用無段変速動力伝達装置は、エンジンからのエンジン動力を走行装置に伝達する装置であり、前記エンジン動力を入力して無段変速動力を出力する無段変速装置と、前記エンジン動力と前記無段変速動力とを入力して遊星動力を出力する遊星変速装置と、前記遊星変速装置の変速段を選択する遊星クラッチ機構と、前記遊星動力を入力して前進動力または後進動力を前記走行装置に出力する前後進切換装置と、変速操作指令に基づき、前記エンジンのエンジン回転数と、前記無段変速動力の回転数である無段変速回転数と、前記遊星動力の回転数である遊星回転数と、前記前進動力または前記後進動力の回転数である走行回転数とを用いて、前記無段変速装置と前記遊星クラッチ機構と前記前後進切換装置とを制御する制御信号を生成する変速制御ユニットと、前記エンジン回転数と前記無段変速回転数と前記遊星回転数と前記走行回転数とを検出する複数の回転検出器からなる回転検出器群と、前記遊星クラッチ機構及び前記前後進切換装置のクラッチ作動状態に基づいて、複数の異常判定ルールから選択された選択判定ルールを用いて前記回転検出器群の異常を判定する回転検出器判定部とを備える。
【0007】
この構成によれば、回転検出器群の異常を判定する回転検出器判定部は、遊星クラッチ機構におけるクラッチ作動状態、及び前後進切換装置のクラッチ作動状態によって、選択される複数の異常判定ルールを用意している。回転検出器判定部は、回転検出器群から取得される無段変速回転数と遊星回転数と走行回転数とを、選択された異常判定ルールに適用させて、回転検出器群の異常を判定する。適切に異常判定ルールを選択することにより、無段変速動力伝達装置がどのような変速状態であっても、二重化された回転検出器の異常を正確かつ迅速に判定することができる。
【0008】
作業車では、エンジン回転数を一定に維持して作業することが少なくないが、作業内容や作業場の状態によって適正なエンジン回転数は変更される。無段変速動力伝達装置に最初に入力する動力はエンジン動力であることから、エンジン回転数は、無段変速動力伝達装置における基本回転数である。このため、無段変速動力伝達装置の各部域での回転数を検出する回転検出器群の異常判定において、エンジン回転数は重要である。このことから、本発明では、前記回転検出器判定部は、前記選択判定ルールの選択時に前記エンジン回転数を考慮する。
【0009】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記回転検出器群には、前記エンジン回転数を検出する主エンジン回転検出器、前記エンジン動力を受け取る入力軸の回転数を前記エンジン回転数として検出する冗長エンジン回転検出器、前記無段変速回転数を検出する主無段変速回転検出器、前記遊星回転数を検出する主遊星回転検出器、前記遊星回転数を検出する冗長遊星回転検出器、前記走行回転数を検出する主走行回転検出器、前記走行回転数を検出する冗長走行回転検出器が含まれている。
【0010】
エンジン回転数は、エンジン制御ユニットによって厳密に管理されているので、エンジン制御ユニットで管理されている回転検出機能を主エンジン回転検出器として用いることができる。しかしながら、エンジン制御ユニットから回転検出器判定部へのデータ伝送ラインにおける通信障害等で、エンジン制御ユニットからのエンジン回転数が途絶える可能性がある。このため、無段変速動力伝達装置の構成要素のうちで、エンジンからのエンジン動力を受け取る入力軸の回転数を検出する回転検出器が冗長エンジン回転検出器として設けられており、主エンジン回転検出器(エンジン制御ユニット)をバックアップする。
【0011】
遊星変速装置の出力回転数は、遊星変速装置の入力回転数(無段変速回転数)と遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態とから演算可能であるので、主無段変速回転検出器と主遊星回転検出器と冗長遊星回転検出器との3つの回転検出器の多数決などの論理演算でそれぞれの異常を判定することができる。このため、ここでは、無段変速回転数の検出のための冗長無段変速回転検出器は割愛されている。
【0012】
前後進切換装置へ入力される動力の回転数(遊星回転数)と、前後進切換装置から出力される前進動力の回転数(正の走行回転数)または後進動力の回転数(負の走行回転数)は、前後進切換装置のクラッチ伝動状態がON(完全結合状態)であれば、一定の関係(前後進切換装置の変速比に依存)で対応するが、クラッチ伝動状態がOFF(不完全結合状態)であれば、一定の関係で対応せず、その関係は不明となる。このことから、クラッチ伝動状態が完全結合状態であれば、遊星回転検出器または冗長遊星回転検出器と、主走行回転検出器と冗長走行回転検出器との3つの回転検出器の回転数の関係から、それぞれの異常を判定することが可能となる。
【0013】
異常と判定された回転検出器の種類や状況によって、行われるべき異常対処策は異なる。このため、本発明では、前記回転検出器判定部によって判定された前記回転検出器群の異常は、警告報知のみを行う低度異常状態と、一時的な走行を許可する中度異常状態と、走行緊急停止を行う重度異常状態とに区分けされる。
【0014】
回転検出器判定部による回転検出器の異常を判定する異常判定ルールの好適な例は、以下の通りである。
【0015】
(1)前記遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態がONにおいて、前記主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記主無段変速回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記主無段変速回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記主無段変速回転検出器が異常であると判定される。つまり、主遊星回転検出器の検出値と冗長遊星回転検出器との検出値とが実質的に同値であれば、主遊星回転検出器と冗長遊星回転検出器とは正常であるとみなされる。さらに、遊星クラッチ機構によって遊星変速装置の変速比が規定されることから、主無段変速回転検出器の検出値と主遊星回転検出器の検出値との間に遊星変速装置の変速比を超える相違が示され、かつ、主無段変速回転検出器の検出値と冗長遊星回転検出器の検出値との間に遊星変速装置の変速比を超える相違が示されと、主無段変速回転検出器が異常であると判定することができる。
【0016】
(2)前記遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態がONにおいて、前記主無段変速回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記主遊星回転検出器と前記主無段変速回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記主遊星回転検出器が異常であると判定される。つまり、主無段変速回転検出器の検出値と冗長遊星回転検出器の検出値との間に遊星変速装置の変速比を超える相違がなければ、主無段変速回転検出器と冗長遊星回転検出器とは正常とみなされる。その状態で、主遊星回転検出器と主無段変速回転検出器との検出値との間に遊星変速装置の変速比を超える相違があり、かつ主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との検出値とが実質的に異なっていれば、前記主遊星回転検出器が異常であると判定することができる。
【0017】
(3)前記遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態がONにおいて、前記主無段変速回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記冗長遊星回転検出器と前記主無段変速回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記冗長遊星回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記冗長遊星回転検出器が異常であると判定される。つまり、主無段変速回転検出器の検出値と主遊星回転検出器の検出値との間に遊星変速装置の変速比を超える相違がなければ、主無段変速回転検出器と主遊星回転検出器とは正常とみなされる。その状態で、冗長遊星回転検出器の検出値と主無段変速回転検出器の検出値との間に遊星変速装置の変速比を超える相違があり、かつ冗長遊星回転検出器の検出値と主遊星回転検出器の検出値とが実質的に異なっていれば、冗長遊星回転検出器が異常であると判定することができる。
【0018】
(4)遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態がOFFの場合、遊星変速装置の入力回転数と出力回転数の関係が不明となるので、入力回転数(エンジン回転数と無段変速回転数)から出力回転数を演算することは不可能となる。このような状態においても、主遊星回転検出器と冗長遊星回転検出器とが実質的に同じ検出値を出力すれば、主遊星回転検出器と冗長遊星回転検出器との両方が正常とみなすことができる。しかしながら、遊星回転検出器の検出値と冗長遊星回転検出器の検出値とが実質的に異なる検出値を出力すれば、いずれか一方もしくは両方が異常であるとみなされる。このことから、本発明では、前記遊星クラッチ機構のクラッチ作動状態がOFFにおいて、前記回転検出器判定部は、前記主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との検出値が不一致の場合、前記主遊星回転検出器と前記冗長遊星回転検出器との両方が異常であると判定する。
【0019】
(5)前記前後進切換装置のクラッチ作動状態がON(完全結合状態)において、前記冗長走行回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記主走行回転検出器と前記冗長走行回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記主走行回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記主走行回転検出器が異常であると判定される。前後進切換装置のクラッチ作動状態が完全結合状態であれば、前後進切換装置へ入力される動力の回転数(遊星回転数)と、数前後進切換装置から出力される動力の回転数(走行回転数)は一定の関係(前後進切換装置の変速比に依存)で対応する。したがって、冗長走行回転検出器と主遊星回転検出器とが正常であれば、主走行回転検出器の検出値と冗長走行回転検出器との間の検出値の関係が異常で、かつ、主走行回転検出器と主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常であれば、主走行回転検出器が異常であるとみなすことができる。
【0020】
(6)同様な理由で、前記前後進切換装置のクラッチ作動状態がON(完全結合状態)において、前記主走行回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記冗長走行回転検出器と前記主走行回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記冗長走行回転検出器と前記主遊星回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記冗長走行回転検出器が異常であると判定される。
【0021】
(7)さらには、前記前後進切換装置のクラッチ作動状態がON(完全結合状態)において、前記主走行回転検出器と前記冗長走行回転検出器との間の検出値の関係が正常で、前記主遊星回転検出器と前記主走行回転検出器との間の検出値の関係が異常で、前記主遊星回転検出器と前記冗長走行回転検出器との間の検出値の関係が異常である場合、前記主遊星回転検出器が異常であると判定される。
【0022】
(8)前後進切換装置のクラッチ伝動状態が不完全結合状態であれば、前後進切換装置へ入力される動力の回転数(遊星回転数)と、数前後進切換装置から出力される動力の回転数(走行回転数)は一定の関係で対応せず、その関係は不明となる。このような状態においては、主走行回転検出器と冗長走行回転検出器とが実質的に同じ検出値を出力すれば、主走行回転検出器と冗長走行回転検出器との両方が正常とみなすことができ、主走行回転検出器と冗長走行回転検出器とが実質的に異なる検出値を出力すれば、いずれか一方もしくは両方が異常であるとみなされる。このことから、本発明では、前記前後進切換装置のクラッチ作動状態が不完全結合状態において、前記回転検出器判定部は、前記主走行回転検出器と前記冗長走行回転検出器との検出値が不一致の場合、前記主走行回転検出器と前記冗長走行回転検出器との両方が異常であると判定する。
【0023】
本願は、上述した作業車用無段変速動力伝達装置を備えた作業車も、発明の対象としている。そのような作業車は、上述した作業車用無段変速動力伝達装置の作用及び効果を備える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】トラクタの側面図である。
図2】無段変速動力伝達装置の模式図である。
図3】遊星変速部の模式図である。
図4】変速制御ユニットにおける入出力機器を示すブロック図である。
図5】無段変速動力伝達装置の制御機能ブロック図である。
図6】変速制御ユニットにおける車速変速の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、トラクタ(「作業車」の一例)の走行車体に関し、図1に示される矢印Fの方向を「車体前側」、図1に示される矢印Bの方向を「車体後側」、図1に示される矢印Uの方向を「車体上側」、図1に示される矢印Dの方向を「車体下側」、図1の紙面表側の方向を「車体左側」、図1の紙面裏側の方向を「車体右側」とする。
【0026】
〔トラクタの全体〕
図1に、トラクタが示されている。このトラクタは、左右一対の操向操作可能、かつ駆動可能な前車輪1(走行装置)、左右一対の駆動可能な後車輪2(走行装置)によって支持される走行車体3を備えている。走行車体3の前部に、エンジン4を備える原動部5が設けられている。走行車体3の後部に、操縦者が搭乗して運転操作を行う運転部6、ロータリ耕耘装置等の作業装置を昇降操作可能に連結するリンク機構7が設けられている。運転部6には、運転座席8、前車輪1を操向操作するステアリングホィール9、搭乗空間を覆うキャビン10が備えられている。走行車体3の車体フレーム11は、エンジン4、エンジン4の後部に前部が連結されたミッションケース12、エンジン4の下部に連結された前輪支持フレーム13などによって構成されている。ミッションケース12の後部に、リンク機構7によって連結された作業装置にエンジン4からの動力を取り出して伝達する動力取出し軸14が設けられている。
【0027】
〔走行用の動力伝達装置〕
図2に示されるように、エンジン4からの動力(エンジン動力)を前車輪1および後車輪2に伝達する走行用の動力伝達装置15は、エンジン4からの動力を変速して後輪差動機構16および前輪差動機構17に伝達するトランスミッション18を備えている。トランスミッション18は、ミッションケース12に収容されている。
【0028】
図2に示されるように、トランスミッション18には、ミッションケース12の前部に設けられ、エンジン4の出力軸4aの動力が伝達される入力軸20と、入力軸20の動力が入力され、入力された動力を変速して出力する主変速部21と、主変速部21の出力が入力される前後進切換装置23と、前後進切換装置23の出力を後輪差動機構16の入力軸16aに伝達するギヤ機構24と、前後進切換装置23の出力が入力され、入力された動力を変速して前輪差動機構17に出力する前輪伝動部25と、が備えられている。
【0029】
〔主変速部〕
図2に示されるように、主変速部21は、入力軸20の動力が入力される無段変速装置28と、入力軸20の動力および無段変速装置28の出力が入力される遊星変速装置31と、遊星変速装置31の変速段を選択する遊星クラッチ機構37とを備えている。
【0030】
無段変速装置28は、図2に示されるように、入力軸20の後端部に連結された回転軸26の後端部に連結された第1ギヤ機構27を介して、入力軸20と連結されている無段変速入力軸としてのポンプ軸28aが連結された可変容量形の油圧ポンプPと、油圧ポンプPからの圧油によって駆動される油圧モータMとを備え、油圧ポンプPの斜板角が変更されることにより、入力軸20からの動力を正転動力と逆転動力とに変速して、かつ正転動力および逆転動力の回転速度を無段階に変速して、無段変速出力軸としてのモータ軸28bから出力する。無段変速装置28は、HST(Hydraulic Static Transmission)と称せられる静油圧式の無段変速装置である。
【0031】
遊星変速装置31は入力軸20の動力および無段変速装置28の出力が入力される遊星変速部31Aを有する。遊星クラッチ機構37は、遊星変速装置31の出力部31Bとして機能し、遊星変速部31Aの出力を4段階の速度レンジに分けして出力する。
【0032】
図2,3に示されるように、遊星変速部31Aには、第1太陽ギヤ32a、第1太陽ギヤ32aに噛み合う第1遊星ギヤ32b、第1遊星ギヤ32bに噛み合う内歯が備えられた第1リングギヤ32cを有する第1遊星変速部32が備えられている。遊星変速部31Aには、第1遊星変速部32よりも後側に設けられ、第2太陽ギヤ33a、第2太陽ギヤ33aに噛み合う第2遊星ギヤ33b、第2遊星ギヤ33bに噛み合う内歯が備えられた第2リングギヤ33c、第2遊星ギヤ33bを支持する第2キャリヤ33dを有する第2遊星変速部33が備えられている。
【0033】
図2に示されるように、第1太陽ギヤ32aと無段変速装置28のモータ軸28bとにわたって第2ギヤ機構30が設けられ、無段変速装置28の出力が第2ギヤ機構30を介して第1太陽ギヤ31aに入力される。第1リングギヤ32cと入力軸20とにわたって第3ギヤ機構29が設けられ、入力軸20の動力が第3ギヤ機構29を介して第1リングギヤ32cに入力される。図2,3に示されるように、第1遊星変速部32に、第1遊星ギヤ32bと噛み合う連動ギヤ32dが設けられ、連動ギヤ32dと第2遊星ギヤ33bとが連結部材33eによって連動連結されている。第1遊星変速部32と第2遊星変速部33とは、いわゆる複合遊星変速部を構成している。
【0034】
図2,3に示されるように、遊星クラッチ機構37は、3重軸構造の第1入力軸34a、第2入力軸34bおよび第3入力軸34cと、第1入力軸34aなどと平行に位置する出力軸35を備えている。第1入力軸34aは、第2リングギヤ33cに連結され、第2入力軸34bは、第2キャリヤ33dに連結され、第3入力軸34cは、第2太陽ギヤ33aに連結されている。第1入力軸34aに第1レンジギヤ機構36aが連結され、第1レンジギヤ機構36aと出力軸35とにわたって第1クラッチCL1が設けられている。第3入力軸34cに第2レンジギヤ機構36bが連結され、第2レンジギヤ機構36bと出力軸35とにわたって第2クラッチCL2が設けられている。第2入力軸34bに第3レンジギヤ機構36cが連結され、第3レンジギヤ機構36cと出力軸35とにわたって第3クラッチCL3が設けられている。第3入力軸34cに第4レンジギヤ機構36dが連結され、第4レンジギヤ機構36dと出力軸35とにわたって第4クラッチCL4が設けられている。
【0035】
主変速部21においては、エンジン4からの動力が入力軸20、回転軸26および第1ギヤ機構27を介して油圧ポンプPに入力されて無段変速装置28によって正転動力と逆転動力とに変速してモータ軸28bから出力され、かつ、出力される正転動力および逆転動力の回転数が無段階に変速される。無段変速装置28の出力が第2ギヤ機構30を介して第1遊星変速部32の第1太陽ギヤ32aに入力され、エンジン4からの動力が入力軸20および第3ギヤ機構29を介して第1遊星変速部32の第1リングギヤ32cに入力され、入力された無段変速装置28からの動力とエンジン4からの動力とが遊星変速部31Aの第1遊星変速部32と第2遊星変速部33とによって合成され、合成動力が第2遊星変速部33から出力部31Bに伝達されて出力軸35から出力される。
【0036】
主変速部21においては、第1クラッチCL1が入りにされた状態で無段変速装置28が変速操作されると、遊星変速部31Aによって合成される合成動力が第2リングギヤ33cから出力部31Bの第1入力軸34aに伝達され、出力部31Bにおいて第1レンジギヤ機構36a及び第1クラッチCL1によって1速レンジにおいて無段階に変速する動力にして出力軸35から出力される。
【0037】
第2クラッチCL2が入りにされた状態で無段変速装置28が変速操作されると、遊星変速部31Aによって合成される合成動力が第2太陽ギヤ33aから出力部31Bの第3入力軸34cに伝達され、出力部31Bにおいて第2レンジギヤ機構36b及び第2クラッチCL2によって2速レンジにおいて無段階に変速する動力にして出力軸35から出力される。
【0038】
第3クラッチCL3が入りにされた状態で無段変速装置28が変速操作されると、遊星変速部31Aによって合成される合成動力が第2キャリヤ33dから出力部31Bの第2入力軸34bに伝達され、出力部31Bにおいて第3レンジギヤ機構36c及び第3クラッチCL3によって3速レンジにおいて無段階に変速する動力にして出力軸35から出力される。
【0039】
第4クラッチCL4が入りにされた状態で無段変速装置28が変速操作されると、遊星変速部31Aによって合成される合成動力が第2太陽ギヤ33aから出力部31Bの第3入力軸34cに伝達され、出力部31Bにおいて第4レンジギヤ機構36d及び第4クラッチCL4によって4速レンジにおいて無段階に変速する動力にして出力軸35から出力される。
【0040】
〔前後進切換装置〕
図2に示されるように、前後進切換装置23は、遊星変速装置31の出力軸35に連結された入力軸23aと、入力軸23aと平行に設けられた出力軸23bと、を備えている。入力軸23aに、前進クラッチCLFおよび後進クラッチCLRが設けられている。前進クラッチCLFと出力軸23bとにわたって前進ギヤ連動機構23cが設けられ、後進クラッチCLRと出力軸23bとにわたって後進ギヤ連動機構23dが設けられている。
【0041】
前進クラッチCLFは、入りに操作されると、入力軸23aと前進ギヤ連動機構23cとを連結し、入力軸23aの動力が前進ギヤ連動機構23cを介して出力軸23bに伝達されるように前進伝動状態を現出する。後進クラッチCLRは、入りに操作されると、入力軸23aと後進ギヤ連動機構23dとを連結し、入力軸23aの動力が後進ギヤ連動機構23dを介して出力軸23bに伝達されるように後進伝動状態を現出する。
【0042】
前後進切換装置23においては、入力軸23aに遊星変速装置31の出力が入力され、前進クラッチCLFが入りに操作されることにより、入力軸23aの動力が前進クラッチCLFおよび前進ギヤ連動機構23cによって前進動力に変換されて出力軸23bに伝達される。後進クラッチCLRが入りに操作されることにより、入力軸23aの動力が後進クラッチCLRおよび後進ギヤ連動機構23dによって後進動力に変換されて出力軸23bに伝達される。出力軸23bの前進動力および後進動力は、ギヤ機構24によって後輪差動機構16および前輪伝動部25に伝達される。
【0043】
後輪差動機構16においては、前後進切換装置23から伝達された前進動力あるいは後進動力が左右の出力軸16bから左右の後車輪2に伝達される。左の出力軸16bの動力は、遊星減速機構38Bを介して左の後車輪2に伝達される。左の出力軸16bに操向ブレーキ38Aが設けられている。図示されないが、右の出力軸16bから右の後車輪2への伝動系には、左の後車輪2への伝動系と同様に、遊星減速機構38Bおよび操向ブレーキ38Aが設けられている。
【0044】
〔前輪伝動部〕
図2に示されるように、前輪伝動部25は、ギヤ機構24の出力軸24aに連結された入力軸25a、および、入力軸25aと平行に位置する出力軸25bを備えている。入力軸25aに、等速クラッチCLT、および、等速クラッチCLTよりも後側に位置する増速クラッチCLHが設けられている。等速クラッチCLTと出力軸25bとにわたり、等速ギヤ機構40が設けられている。増速クラッチCLHと出力軸25bとにわたり、増速ギヤ機構41が設けられている。ギヤ機構24の出力軸24aに駐車ブレーキ39が設けられている。
【0045】
前輪伝動部25においては、等速クラッチCLTが入りに操作されると、入力軸25aの動力が等速クラッチCLTおよび等速ギヤ機構40によって出力軸25bに伝達され、かつ等速ギヤ機構40によって等速伝動状態が現出され、前車輪1の周速度が後車輪2の周速度と同じになる状態で前車輪1を駆動する動力が出力軸25bから出力される。増速クラッチCLHが入りに操作されると、入力軸25aの動力が増速クラッチCLHおよび増速ギヤ機構41によって出力軸25bに伝達され、かつ増速ギヤ機構41によって前輪増速伝動状態が現出され、前車輪1の周速度が後車輪2の周速度よりも高速になる状態で前車輪1を駆動する動力が出力軸25bから出力される。出力軸25bからの出力は、出力軸25bと前輪差動機構17の入力軸17aとを連結する回転軸42を介して前輪差動機構17に入力される。
【0046】
走行車体3は、等速クラッチCLTが入りにされると、左右の前車輪1の平均周速度が左右の後車輪2の平均周速度と同じになる状態で前車輪1および後車輪2が駆動される四輪駆動状態になり、増速クラッチCLHが入りにされると、左右の前車輪1の平均周速度が左右の後車輪2の平均周速度よりも高速になる状態で前車輪1および後車輪2が駆動される四輪駆動状態になる。これにより、増速クラッチCLHが入りにされた場合、等速クラッチCLTが入り状態にされた場合の旋回半径よりも小さい旋回半径で走行車体3を旋回走行させることができる。
【0047】
〔回転検出器群について〕
エンジン動力の回転数であるエンジン回転数と、無段変速動力(無段変速装置28の出力)の回転数である無段変速回転数と、遊星動力(遊星変速装置31の出力)の回転数である遊星回転数と、前進動力(前後進切換装置23の出力)または後進動力(前後進切換装置23の出力)の回転数である走行回転数とを検出する回転検出器群70が動力伝達装置15に設けられている。回転検出器群70は、複数の回転検出器からなり、特に、エンジン回転数を検出する主エンジン回転検出器71と冗長エンジン回転検出器72、無段変速回転数を検出する主無段変速回転検出器73、遊星回転数を検出する主遊星回転検出器74と冗長遊星回転検出器75、走行回転数を検出する主走行回転検出器76と冗長走行回転検出器77が含まれている。「冗長」が付与された回転検出器は、「主」が付与された回転検出器のバックアップ回転検出器である。なお、この実施形態では、無段変速回転数を検出する回転検出器は、主無段変速回転検出器73だけであり、バックアップ用の回転検出器は用意されていない。冗長回転検出器は主回転検出器のバックアップであるので、コストを下げるために、回転方向の識別が不能な(回転方向検出不能な)、廉価な回転検出器が用いられている。
【0048】
主エンジン回転検出器71は、エンジン4を制御するエンジン制御ユニットEUによって管理されている回転検出器である。エンジン制御ユニットEUでは、エンジン回転数を厳しく管理しているので、主エンジン回転検出器71によるエンジン回転数は信頼性が高く、回転方向(正逆転)の識別も可能である。このエンジン回転数は、エンジン制御ユニットEUから車載LANを通じて取得される。冗長エンジン回転検出器72は、入力軸20と連動連結している第1ギヤ機構27のギヤ回転数(エンジン回転数に対応する)を検出するように設けられており、回転方向の識別は行わない。エンジン制御ユニットEUからのエンジン回転数が途絶えた場合に、冗長エンジン回転検出器72の検出信号からエンジン回転数が演算される。
【0049】
主無段変速回転検出器73は、第2ギヤ機構30のギヤ回転数(無段変速装置28の出力回転数に対応する)を検出するように設けられており、回転方向の識別も可能である。無段変速装置28が中立の場合、主無段変速回転検出器73による回転数はゼロとなる。
【0050】
主遊星回転検出器74と冗長遊星回転検出器75とは、遊星変速装置31の出力回転数である前後進切換装置23の入力回転数を検出する回転検出器である。主遊星回転検出器74は、前後進切換装置23の入力軸23aと一体回転するクラッチハウジング(第1回転体の一種)の回転数を検出するように設けられている。冗長遊星回転検出器75は、遊星変速装置31の出力軸35と一体回転する遊星クラッチ機構37のクラッチハウジング(第2回転体の一種)の回転数を検出するように設けられている。主遊星回転検出器74は、回転方向の識別も可能であるが、冗長遊星回転検出器75は、回転方向の識別は行わない。
【0051】
前後進切換装置23の入力側(エンジン側)の回転数は遊星変速装置31の変速段により変動する。また、エンジン回転数と無段変速装置28の出力回転数と遊星変速装置31の変速段とにより、前後進切換装置23の入力回転数は演算可能である。ただし、遊星クラッチ機構37の全てのクラッチがOFFであっても、連れ回りが生じることは、考慮される。
【0052】
主走行回転検出器76と冗長走行回転検出器77とは、車速を決定する部材の回転数である走行回転数を検出する回転検出器である。主走行回転検出器76は、前輪伝動部25の入力軸25aと連動する等速クラッチCLTのクラッチハウジング(第1回転部材の一種)の回転数を検出するように設けられている。冗長走行回転検出器77は、前輪伝動部25の入力軸25aと連動する増速クラッチCLHのクラッチハウジング(第2回転部材の一種)の回転数を検出するように設けられている。主走行回転検出器76は、回転方向の識別も可能であるが、冗長走行回転検出器77は、回転方向の識別は行わない。
【0053】
主走行回転検出器76または冗長走行回転検出器77の検出信号から、前後進切換装置23の出力側の回転数は演算可能である。ただし、前後進切換装置23のクラッチの結合状態に基づいて、前後進切換装置23の入力側の回転数と前後進切換装置23の出力側の回転数との関係が変化する。
【0054】
〔変速制御ユニットについて〕
この無段変速動力伝達装置における変速制御は、図4図5とに示す変速制御ユニット50によって行われる。運転者による変速操作は、変速操作指令を与える変速操作具45として運転部6に設けられている変速ペダル46と前後進レバー47とを用いて行われる。変速ペダル46と前後進レバー47との操作量は、変速制御ユニット50に入力される。回転検出器群70からの検出信号(回転数)も変速制御ユニット50に入力される。変速制御ユニット50は、無段変速装置28,遊星クラッチ機構37、前後進切換装置23などの動作を油圧制御するための制御信号を生成する。
【0055】
図5に示すように、変速制御ユニット50には、変速制御部51と、回転検出器判定部60と、回転数取得部61とが備えられている。変速制御部51には、無段変速制御部52と遊星クラッチ制御部53と、前後進クラッチ制御部54とが含まれている。無段変速制御部52は、無段変速装置28の動作(斜板角調整)を制御する制御信号を生成する。遊星クラッチ制御部53は、遊星クラッチ機構37の4つの油圧クラッチである、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3および第4クラッチCL4のON(接続)/OFF(遮断)を制御する制御信号を生成する。前後進クラッチ制御部54は、前後進切換装置23の2つの油圧クラッチである、前進クラッチCLFおよび後進クラッチCLRのON(接続)/OFF(遮断)を制御する制御信号を生成する。
【0056】
回転数取得部61には、エンジン回転数取得部62と、無段変速回転数取得部63と、遊星回転数取得部64と、走行回転数取得部65とが含まれている。エンジン回転数取得部62は、主エンジン回転検出器71と冗長エンジン回転検出器72とからのエンジン回転数信号である検出信号(検出値の一種)を取得して、エンジン4のエンジン回転数(検出値の一種)を求める。無段変速回転数取得部63は、主無段変速回転検出器73からの検出信号(検出値の一種である無段変速回転数信号)を取得して、無段変速回転数(検出値の一種)を求める。遊星回転数取得部64は、主遊星回転検出器74と冗長遊星回転検出器75とからの検出信号(検出値の一種である遊星回転数信号)を取得して、例えば、遊星出力軸の回転数である遊星回転数(検出値の一種)を求める。走行回転数取得部65は、主走行回転検出器76と冗長走行回転検出器77(走行回転数信号としての検出値の一種である、例えば前後進出力軸の回転を示す検出値)とからの検出信号を取得して、走行回転数(検出値の一種)を求める。なお、この実施形態では、無段変速回転数の検出に関しては、主無段変速回転検出器73だけが設けられており、冗長無段変速回転検出器は設けられていないが、別の実施形態として、冗長無段変速回転検出器が設けられてもよい。
【0057】
図6は、変速制御部51による車速変速の説明図である。図6の縦軸は、エンジン回転数と、車速に対応する走行装置への入力軸16aの回転数である走行回転数(車速)との比(走行回転数/エンジン回転数)であるギヤ比:Gを示している。また、縦軸は、入力軸16aの走行回転数(車速):Vも示している。図6の横軸は、無段変速装置28の変速状態を示し、[N]は、中立状態を示し、[-MAX]は、最高速の逆転動力を出力する変速状態を示す。[+MAX]は、最高速の正転動力を出力する変速状態を示す。[-K]は、逆転側のクラッチ切換えのための変速状態〔[-MAX]の手前の変速状態〕を示し、[+K]は、正転側のクラッチ切換えのための変速状態〔[+MAX]の手前の変速状態〕を示す。[G1]、[G2]、[G3]、[G4]は、予め設定されたギヤ比:Gである。変速制御部51は、ギヤ比:Gと無段変速装置28の変速状態とに基づいて、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3および第4クラッチCL4を切り換え操作して入力軸16aの走行回転数(車速):Vの変速制御を行う。
【0058】
すなわち、第1クラッチCL1が入りにされた状態で無段変速装置28が[-MAX]から[+MAX]に向けて変速されるに伴い、走行回転数(車速):Vが1速レンジで零速度[0]から無段階に増速する。無段変速装置28が[+K]になり、ギヤ比:Gが[G1]になると、変速制御手段48が第1クラッチCL1を切りに切換え、第2クラッチCL2を入りに切り換える。第2クラッチCL2が入りの状態で無段変速装置28が[-MAX]に向けて変速されるに伴い、走行回転数(車速):Vが2速レンジで無段階に増速する。無段変速装置28が[-K]になり、ギヤ比:Gが[G2]になると、変速制御手段48が第2クラッチCL2を切りに切換え、第3クラッチCL3を入りに切り換える。第3クラッチCL3の入り状態で無段変速装置28が[+MAX]に向けて変速操作されると、走行回転数(車速):Vが3速レンジで無段階に増速する。無段変速装置28が[+K]になり、ギヤ比:Gが[G3]になると、変速制御手段48が第3クラッチCL3を切りに切換え、第4クラッチCL4を入りに切り換える。第4クラッチCL4の入り状態で無段変速装置28が[-MAX]に向けて変速されるに伴い走行回転数(車速):Vが4速レンジで無段階に増速する。
【0059】
〔回転検出器の異常判定について〕
回転検出器判定部60は、遊星クラッチ機構37及び前後進切換装置23のクラッチ作動状態(ON/OFF状態)に基づいて、複数の異常判定ルールから少なくとも1つの選択判定ルールを選択し、この選択判定ルールを用いて各回転検出器の異常を判定する。
【0060】
回転検出器判定部60によって判定された回転検出器群70を構成する回転検出器の異常は、警告報知のみを行う低度異常状態と、一時的な走行を許可する中度異常状態と、走行緊急停止を行う重度異常状態とに区分けされる。
【0061】
〔異常判定ルール@1〕
エンジン制御ユニットEUからの車載LAN間通信が途絶え、定期的に送られてくる主エンジン回転検出器71によるエンジン回転数のデータが途絶えた場合、冗長エンジン回転検出器72からの検出信号を用いて、エンジン回転数が演算され、変速制御は継続される。事前に、冗長エンジン回転検出器72が異常判定されている場合、遊星クラッチ機構37の全クラッチ及び前後進切換装置23の全クラッチがOFFされ、エンジン4からの動力伝達が遮断され、車両は停止する。エンジン制御ユニットEUは、主エンジン回転検出器71の異常判定を行うとともに、そのバックアップ機能も有する。エンジン制御ユニットEUのバックアップ機能が有効な場合、冗長エンジン回転検出器72を用いた変速制御は行われない。エンジン制御ユニットEUによる主エンジン回転検出器71の異常判定は、回転検出器判定部60に送られる。つまり、この場合、エンジン制御ユニットEUは、主エンジン回転検出器71の回転検出器判定部60として機能する。
【0062】
〔異常判定ルール@2〕
エンジン制御ユニットEUからエンジン回転数のデータが順調に受け取られている状態で、エンジン制御ユニットEUからのエンジン回転数と冗長エンジン回転検出器72によるエンジン回転数との間に閾値条件を超える差異(検出値の不一致)が生じた場合、冗長エンジン回転検出器72が異常であると、判定される。エンジン制御ユニットEUからエンジン回転数のデータが途絶えている間は、冗長エンジン回転検出器72の異常判定は行わずに、冗長エンジン回転検出器72を用いた変速制御が行われる。冗長エンジン回転検出器72のみが異常となった場合、車両走行は制限なしに続行される。冗長エンジン回転検出器72が異常であるという警告は、行われる。
【0063】
〔異常判定ルール@3〕
遊星クラッチ機構37がON状態の場合、エンジン回転数と無段変速回転数とから演算される遊星回転数の絶対値と、主遊星回転検出器74の絶対値及び冗長遊星回転検出器75との3つの値を、それぞれ2つずつ比較し、所定閾値条件を超える相違(検出値の不一致)が生じた場合、特定回転検出器の異常が、以下のように判定される。なお、主無段変速回転検出器73による回転数を「Nm」、主遊星回転検出器74による回転数を「Ns_m」、冗長遊星回転検出器75による回転数を「Ns_r」とする。
(1)Ns_mとNs_rが正常で、NmとNs_m及びNmとNs_rが異常の場合、主無段変速回転検出器73が異常であると判定される。
(2)NmとNs_rが正常で、Ns_mとNm及びNs_mとNs_rが異常の場合、主遊星回転検出器74が異常であると判定される。
(3)NmとNs_mが正常で、Ns_rとNm及びNs_rとNs_mが異常の場合、冗長遊星回転検出器75が異常であると判定される。
主無段変速回転検出器73のみが異常となった場合、及び主遊星回転検出器74のみが異常の場合、前後進切換装置23が中立にされるか(車速が低下した時点では前後進切換装置23が操作されなくても車速が一定以下に下がれば、遊星クラッチ機構37の全クラッチ及び前後進切換装置23の全クラッチがOFFされることで、走行停止となる。冗長遊星回転検出器75のみが異常となった場合、車両走行は制限なしに続行される。主無段変速回転検出器73と主遊星回転検出器74と冗長遊星回転検出器75との全てが異常の場合、遊星クラッチ機構37の全クラッチ及び前後進切換装置23の全クラッチがOFF(完全遮断)され、車両は停止する。
【0064】
〔異常判定ルール@4〕
遊星クラッチ機構37がOFF状態(不完全結合状態)の場合、主遊星回転検出器74と冗長遊星回転検出器75との回転数の絶対値を比較し、閾値条件を超える相違(検出値の不一致)があれば、主遊星回転検出器74と冗長遊星回転検出器75との両方が異常であると判定される。
主無段変速回転検出器73のみが異常となった場合、及び主遊星回転検出器74と冗長遊星回転検出器75との両方が異常となった場合、遊星クラッチ機構37の全クラッチ及び前後進切換装置23の全クラッチがOFF(完全遮断)され、車両は停止する。
【0065】
〔異常判定ルール@5〕
前後進切換装置23のクラッチが完全に結合している場合、主走行回転検出器76による回転数と、冗長走行回転検出器77による回転数と、主遊星回転検出器74による回転数との3つの値(絶対値)を、それぞれ2つずつ比較し、所定閾値条件を超える相違(検出値の不一致)が生じた場合、以下のように特定回転検出器の異常が判定される。なお、主走行回転検出器76による回転数を「Nv_m」と、冗長走行回転検出器77による回転数を「Nv_r」とする。
(1)Nv_rとNs_mが正常で、Nv_mとNv_r及びNv_mとNs_mが異常の場合、主走行回転検出器76が異常であると判定される。
(2)Nv_mとNs_mが正常で、Nv_rとNv_m及びNv_rとNs_mが異常の場合、冗長走行回転検出器77が異常であると判定される。
(3)Nv_mとNv_rが正常で、Ns_mとNv_m及びNs_mとNv_rが異常の場合、主遊星回転検出器74が異常であると判定される。
(4)Nv_mとNv_mとNs_mとの間で、閾値条件を超える齟齬があれば、主走行回転検出器76と冗長走行回転検出器77と主遊星回転検出器74との全てが異常と判断される。
主遊星回転検出器74のみが異常となった場合、前後進切換装置23が中立にされるか(車速が低下した時点では前後進切換装置23が操作されなくても車速が一定以下に下がれば、遊星クラッチ機構37の全クラッチ及び前後進切換装置23の全クラッチがOFFされることで、走行停止となる。主走行回転検出器76のみが異常となった場合、前後進切換装置23が中立にされた後、遊星クラッチ機構37の全クラッチがOFFされる。冗長走行回転検出器77のみが異常となった場合、車両走行は制限なしに続行される。主走行回転検出器76と冗長走行回転検出器77と主無段変速回転検出器73との全てが異常となった場合、遊星クラッチ機構37の全クラッチ及び前後進切換装置23の全クラッチがOFF(完全遮断)され、車両は停止する。
【0066】
〔異常判定ルール@6〕
前後進切換装置23のクラッチが非結合状態(不完全結合状態)の場合、主走行回転検出器76による回転数と冗長走行回転検出器77による回転数の絶対値を比較し、閾値条件を超える相違があれば、主走行回転検出器76と冗長走行回転検出器77との両方が異常であると判定される。主遊星回転検出器74のみが異常となった場合、遊星クラッチ機構37の全クラッチ及び前後進切換装置23の全クラッチがOFF(完全遮断)され、車両は停止する。
【0067】
各回転検出器は、それぞれにおいて検出対象が回転しているとみなされる状況下で、検出回転数がゼロを示している場合、断線発生が推定される。特に、主走行回転検出器76及び冗長走行回転検出器77は、遊星クラッチ機構37及び前後進切換装置23のいずれかのクラッチが結合されていなければ、正常な回転検出が不能であるので、遊星クラッチ機構37及び前後進切換装置23が動力伝達状態であることが確認されてから、断線チェックが行われる。
【0068】
回転検出器群70の異常判定は、次のような所定の状況下ではスキップされる。
(1)回転数精度が低下する低車速の場合。
(2)エンジン回転数が負荷によりエンジンストールの発生近傍まで低下した場合。エンジンストールに対する制御演算を優先させるために、異常判定はスキップされる。
(3)特定の回転検出器が検出する回転数が所定閾値条件を逸脱している場合。当該特定回転検出器が組み込まれている異常判定はスキップされる。
【0069】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、無段変速装置28として、静油圧式無段変速装置が用いられたが、ベルト式無段変速装置や摩擦式無段変速装置が用いられてもよい。
(2)回転検出器群70を構成する各回転検出器の配置は、上述した実施形態での配置に限定されない。回転検出器群70は、実質的に同等な回転数を検出することができる全ての位置に配置することができる。
(3)変速制御ユニット50に含まれる制御機能部は、他の制御機能部と統合してもよいし、複数に分割されてもよい。また、特定の制御機能部は、変速制御ユニット50以外の制御ユニット(ECU)に構築されてもよい。
(4)上述した実施形態では、遊星変速装置31は、4段階の変速段に段階分けするように構成した例を示したが、3段階以下あるいは5段階以上の変速段に段階分けするものであってもよい。
【0070】
(5)上上述した実施形態では、前車輪1および後車輪2を備えた例を示したが、走行装置としては、クローラ走行装置、あるいは、ミニクローラと車輪とを組み合わせたものを採用したものであってもよい。
【0071】
(6)上述した実施形態では、変速ペダル46を設けた例を示したが、これに限らず、変速レバーを変速操作具45として採用したものであってもよい。
【0072】
(7)上記した実施形態では、前後進レバー47を設けた例を示したが、これに限らず、前後進ペダルを変速操作具45として採用したものであってもよい。
【0073】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、無段変速装置と遊星変速装置とを備えた作業車用無段変速動力伝達装置及び当該作業車用無段変速動力伝達装置を備えた種々の作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0075】
4 :エンジン
15 :動力伝達装置
18 :トランスミッション
20 :入力軸
21 :主変速部
23 :前後進切換装置
23a :入力軸
23b :出力軸
23c :前進ギヤ連動機構
23d :後進ギヤ連動機構
28 :無段変速装置
31 :遊星変速装置
31A :遊星変速部
31B :出力部
32 :第1遊星変速部
33 :第2遊星変速部
35 :出力軸
37 :遊星クラッチ機構
45 :変速操作具
46 :変速ペダル
47 :前後進レバー
48 :変速制御手段
50 :変速制御ユニット
51 :変速制御部
52 :無段変速制御部
53 :遊星クラッチ制御部
54 :前後進クラッチ制御部
60 :回転検出器判定部
61 :回転数取得部
62 :エンジン回転数取得部
63 :無段変速回転数取得部
64 :遊星回転数取得部
65 :走行回転数取得部
70 :回転検出器群
71 :主エンジン回転検出器
72 :冗長エンジン回転検出器
73 :主無段変速回転検出器
74 :主遊星回転検出器
75 :冗長遊星回転検出器
76 :主走行回転検出器
77 :冗長走行回転検出器
EU :エンジン制御ユニット
M :油圧モータ
P :油圧ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6