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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007326
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】移動式医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240111BHJP
【FI】
A61B6/00 310
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023084662
(22)【出願日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】10 2022 206 844.0
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516308401
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョルト パーベル
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト シェーラー
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA00
4C093CA16
4C093EC04
4C093EC16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な操縦性を有する移動式医療装置を提供する。
【解決手段】移動式医療装置は装置台車を備えており、装置台車は、少なくとも3つ、特に4つのホイールを有し、そのうちの少なくとも2つは、モータ駆動型の全方向ホイールであり、全方向ホイールの少なくとも2つは、それぞれホイールサスペンションによって装置台車のシャーシの両側に対に配置されており、ホイールサスペンションは、特にダブルウィッシュボーンホイールサスペンションによって形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置台車(5)を有する移動式医療装置であって、前記装置台車(5)が、少なくとも3つ、特に4つのホイールを有し、前記ホイールのうち少なくとも2つがモータ駆動型の全方向ホイール(6)であり、
前記全方向ホイール(6)のうち少なくとも2つが、前記装置台車(5)のシャーシ(12)の両側に、それぞれホイールサスペンションによって対に配置されており、
前記ホイールサスペンションが、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンション(13)によって形成されている、
移動式医療装置。
【請求項2】
4つのモータ駆動型の全方向ホイール(6)を有する、請求項1記載の移動式医療装置。
【請求項3】
前記4つのモータ駆動型の全方向ホイール(6)のうちの2つが、それぞれダブルウィッシュボーンホイールサスペンション(13)によって、前記装置台車(5)のシャーシ(12)の両側に対に配置されている、請求項2記載の移動式医療装置。
【請求項4】
前記ホイールサスペンションのそれぞれが、少なくとも1つ、特に2つの、スプリングサスペンション要素(7)を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項5】
移動式CアームX線装置(1)として構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項6】
前記ダブルウィッシュボーンホイールサスペンション(13)が、それぞれ、互いに平行に配置されている上側及び下側のウィッシュボーン(8a,8b)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項7】
前記スプリングサスペンション要素(7)が、ばねによって形成されている、請求項4記載の移動式医療装置。
【請求項8】
前記全方向ホイール(6)がメカナムホイールによって形成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の、装置台車を有する移動式医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Cアーム装置の形態の移動式X線装置は、例えば、外科的処置中に用いる場合、術中イメージングのために使用される。その際に、それぞれの手術の前に、治療されるべき患者に対して、それらの装置を正確に配置することが必要である。それらの装置に、装置を手動で動かすことができるホイールを装備することが知られている。さらに、一方では、より少ない力で、又は全く力をかけないで装置の移動を可能にするために、他方では、臨床応用のために装置の特定の動きを自動化するために、ホイールを電動方式で駆動することが知られている。
【0003】
特許文献1は、少なくとも3つのホイールを備えた装置台車を有するCアームX線装置を開示している。良好な操縦性のために、少なくとも2つのホイールは、全方向ホイールとして構成されている。
【0004】
また、新しい用途では、4つのモータ駆動型の全方向ホイールを備えたCアームX線装置を採用し、特にメカナムホイールも採用することで、あらゆる回転であらゆる方向に柔軟に走行できるようになっている。このような構成では、これらのホイールは、それ相応に要求される操縦を高い信頼性と精度で実施することができるようにするために、床面との永久接触を必要とする。しかし、床面が平坦でない場合には、時々、4つのホイールのうち3つのホイールしか床面に接触しないことが起こり、その結果、ホイールの各回転に伴って、すべての可能な方向への装置の正確かつ確実な移動および位置決めが、もはや不可能である場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015218487号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、あらゆるタイプの床面上での確実な操縦を保証する移動式医療装置、特に全方向ホイールを備えたCアームX線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1記載の、装置台車を有する移動式医療装置によって解決される。本発明の有利な実施形態は、それぞれ従属関係にある下位請求項に記載されている。
【0008】
装置台車を有する本発明による移動式医療装置において、装置台車は、少なくとも3つ、特に4つのホイールを有し、そのうち少なくとも2つは、モータ駆動型の全方向ホイールであり、全方向ホイールのうち少なくとも2つは、それぞれホイールサスペンションによって装置台車のシャーシの両側に対に配置されており、ホイールサスペンションは、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンションによって形成されている。全方向ホイールでは、ローラからなる走行面が、走行面全体に対して確実な床面接触をすることが特に重要である。しかしながら、例えば、車軸内のバネ又は柔軟なゴム引きされたホイール接触面のような単純な解決策は十分ではなく、その理由は、走行面の一部のみが、したがってホイールのローラの一部のみが床面に接触するか、又はホイールのローラが覆われるからである。ダブルウィッシュホイールサスペンションは、平坦でない床の場合でも、単純な方法で床に一定の圧力を一貫して作用させることを可能にし、従って、全方向ホイール内の個々のローラが床とのトラクションを失うことを防止する。全方向ホイールと床との間の完全な接触を確保することによって、電動駆動装置が確実に機能し、ローラによる全方向ホイールの正確で有利な操縦性が保証される。したがって、全方向ホイールを備えた医療装置は、平坦でない床面上に配置することもでき、その改良された画像品質及び診断能力を使用することができる。
【0009】
有利には、装置の特に良好な安定性のために、移動式医療装置は、4つのモータ駆動型の全方向ホイールを有する。本発明の1つの実施形態によれば、4つのモータ駆動型の全方向ホイールの各2つが、それぞれダブルウィッシュボーンホイールサスペンションにより、装置台車のシャーシの両側に対に配置されている。各ホイールがそれ自身のダブルウィッシュボーンホイールサスペンションを持っているという事実は、個別に駆動される4つの全方向ホイール全てに対して連続的な床面接触を保証し、従って、毎回の回転で正確な動きを保証する。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、各ホイールサスペンションは、少なくとも1つの、特に2つの、スプリングサスペンション要素を有する。このようにして、装置とその敏感なコンポーネントは、平坦でない床上でも衝撃による損傷から保護される。これにより、構成要素の摩耗が大幅に減少する。スプリングサスペンション要素は、例えばばねとして具現化することができる。スプリングは容易に入手でき、安価で信頼性が高い。
【0011】
有利には、本装置は、移動式CアームX線装置として具現される。移動式CアームX線装置は、2Dイメージング、3Dイメージングおよびトモシンセシスに使用でき、多くの適用分野において汎用性がある。それらの可動性により、手術室だけでなく、診断や治療支援のための他の場所でも使用することが可能になる。
【0012】
本発明の他の実施形態によれば、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンションは、それぞれ、互いに平行に配置することができる上側および下側ウィッシュボーンを有する。ウィッシュボーンの各々は、例えば、装置台車のシャーシに2点で接続し、関節部を介してホイールハブに接続することができる。両ウィッシュボーンは、同じ長さであってもよいし、異なる長さ/大きさであってもよい。
【0013】
本発明の他の実施形態によれば、全方向ホイールはメカナムホイールによって形成される。これらは、あらゆる方向における装置の非常に精密なミリメートル精度の操作に適している。
【0014】
以下に、概略的に図面に示す実施例に基づいて、本発明および下位請求項の特徴による他の有利な実施形態をさらに詳細に説明するが、それによって本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、全方向ホイールとダブルウィッシュボーンホイールサスペンションを備えた移動式CアームX線装置の図である。
図2図2は、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンションの斜視図である。
図3図3は、4つの全方向ホイールと2つのダブルウィッシュボーンホイールサスペンションを備えたシャーシの図である。
図4図4は、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンションの側面図である。
図5図5は、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンションを上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、装置台車5上に配置されたCアーム2の形態の撮像システムのホルダを備えた移動式CアームX線装置1を示す。Cアーム2は、検査対象のX線画像を取得するために、それぞれ対向端部にX線源4およびX線検出器3を保持している。Cアーム2は、種々の取付部およびジョイントを介して、検査対象に対して種々の角度および方向(例えば、水平、垂直、環状)で調整可能である。装置台車5は、4つの全方向ホイール6(例えば、メカナムホイール)を備えたシャーシ12を有し、従って、装置台車5は、床面上で可能なあらゆる方向(右、左、対角線、回転)に移動可能である。全方向ホイール6は、走行面上に多数のローラを有し、その結果として、走行面自体は、完全には平坦ではない。4つの全方向ホイール6のうちの2つは、それぞれダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13を介して、シャーシ12に接続されている。これらは、例えば、後ろの2つのホイールであり、それらの車軸に関して互いに対向して配置されている。ダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13は、全方向ホイール6を正確に案内し、走行表面全体を床面上に確実に保持することを可能にし、従って、装置台車の高い安定性が達成される。
【0017】
図2は、単一のダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13を詳細に示す。それは、2つのウィッシュボーンを含み、その1つは上側ウィッシュボーン8aであり、もう1つは下側ウィッシュボーン8bであり、これは、長手方向の力に対してサスペンションを強固にする。2つのウィッシュボーン8a,8bは、例えば、それぞれ2点でシャーシ12に接続されており、ホイール6のホイールハブ9への可動結合部を有することができる。その接続は、フレキシブル結合および/又は関節結合であり得る。ウィッシュボーン8a,8bは、例えば、A形状で構成されている。さらに、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13は、シャーシ12を下側ウィッシュボーン8bに接続する2つの衝撃吸収に適したスプリングサスペンション要素7を有する。それらは、例えば、ばねの形態、例えば、螺旋ばね又はトーションバーばね、又は可撓性材料(例えば、ゴム)又は他のタイプのスプリングサスペンションから形成することができる。
【0018】
図4は、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13の側面図を示す。ここで、2つのウィッシュボーン8a,8bは、特にアイドル状態において、互いに平行であり得ることが認識可能である。図5は、上方からダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13を示し、従って、特に上側ウィッシュボーン8a、シャーシ12へのそれの2つの接続部、およびホイールハブ9への関節結合部を認識することができる。
【0019】
図3は、4つの全方向ホイール6を有する装置台車5のシャーシ12と、2つの後方ホイール6のための2つのダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13を示す。それぞれの全方向ホイールのモータ11は、例えば、ウィッシュボーン8a,8bの間の領域に配置することができる。
【0020】
2つのウィッシュボーン8a、8bは、垂直方向への移動を可能にし、スプリングサスペンション要素7は、ホイールを床面に保持するために、床面の方向にホイールに力を加える。これは(非常に)平坦でない床面の場合にも機能するので、ホイール6と床面との間の一定の接触が保証されている。ホイールローラが完全に床面に確実に接しなくなるようなホイールの傾きが生じるという結果ではなくて、ホイールの走行面の幅全体が床面に接触するという結果になる。ダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13は、連続的に駆動することができなければならない全方向ホイールが、床との一定の接触により、非常に平坦でない床面上でも全方向への精密な動きを発揮すること可能にする。
【0021】
全方向ホイールは、例えば、メカナムホイールによって形成される。メカナムホイールは、その円周上(走行面)に、例えばホイール軸に対して45°の角度で複数のローラが配置され、床との接触を確立するように構成されている。メカナムホイールは、回転方向が変化し、回転速度が変化するモータによって駆動される。例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/mecanum_wheelを参照されたい。
【0022】
また、4つのホイール全てがそれぞれダブルウィッシュボーンホイールサスペンション13を有することもできる。それによって、特にメカナムホイールの場合に、格別に良好な操縦性が保証されている。その理由は、非常に平坦でない床面でも4つのホイールの全てが常に確実に床と接触するからである。
【0023】
あるいは、移動式医療装置は、例えば、2つの後部全方向ホイールと1つの中央前部(全方向又は従来の)ホイールとを備えた配置において、3つのホイールのみを有することもできる。また、4つ以上のホイールを設けることも可能であり、例えば6つの全方向ホイールを設けることも可能である。
【0024】
医療装置は、代替的に、移動式X線装置、装置台車、移動式コンピュータ断層撮影装置、移動式超音波装置、又は別の移動式医療機装置によって形成することができる。
【0025】
本発明は、以下のように簡潔に要約することができる。特に良好な操縦性のために、移動式医療装置には装置台車が設けられ、装置台車は、少なくとも3つ、特に4つのホイールを有し、そのうちの少なくとも2つは、それぞれモータを含むモータ駆動の全方向ホイールであり、全方向ホイールの少なくとも2つは、それぞれホイールサスペンションによって装置台車のシャーシの両側に対に配置されており、ホイールサスペンションは床面に垂直に移動可能であり、長手方向の力に対して剛性があるものとして具現されている。ホイールサスペンションは、特にダブルウィッシュボーンホイールサスペンションによって形成される。

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置台車(5)を有する移動式医療装置であって、前記装置台車(5)が、少なくとも3つのホイールを有し、前記ホイールのうち少なくとも2つがモータ駆動型の全方向ホイール(6)であり、
前記全方向ホイール(6)のうち少なくとも2つが、前記装置台車(5)のシャーシ(12)の両側に、それぞれホイールサスペンションによって対に配置されており、
前記ホイールサスペンションが、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンション(13)によって形成されている、
移動式医療装置。
【請求項2】
4つのモータ駆動型の全方向ホイール(6)を有する、請求項1記載の移動式医療装置。
【請求項3】
前記4つのモータ駆動型の全方向ホイール(6)のうちの2つが、それぞれダブルウィッシュボーンホイールサスペンション(13)によって、前記装置台車(5)のシャーシ(12)の両側に対に配置されている、請求項2記載の移動式医療装置。
【請求項4】
前記ホイールサスペンションのそれぞれが、少なくとも1つの、スプリングサスペンション要素(7)を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項5】
移動式CアームX線装置(1)として構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項6】
前記ダブルウィッシュボーンホイールサスペンション(13)が、それぞれ、互いに平行に配置されている上側及び下側のウィッシュボーン(8a,8b)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項7】
前記スプリングサスペンション要素(7)が、ばねによって形成されている、請求項4記載の移動式医療装置。
【請求項8】
前記全方向ホイール(6)がメカナムホイールによって形成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【外国語明細書】