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特開2024-73274リハビリ等計画作成支援装置、リハビリ等計画作成支援システム、リハビリ等計画作成支援方法及びリハビリ等計画作成支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073274
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】リハビリ等計画作成支援装置、リハビリ等計画作成支援システム、リハビリ等計画作成支援方法及びリハビリ等計画作成支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20240522BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184384
(22)【出願日】2022-11-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (公開1) ウェブサイトの掲載日 令和4年11月8日 ウェブサイトのアドレス https://www.konicaminolta.com/jp-ja/index.html https://www.konicaminolta.com/jp-ja/newsroom/index.html https://www.konicaminolta.com/jp-ja/newsroom/2022/1108-01-01.html https://www.konicaminolta.com/media-library/jp-ja/newsroom/2022/1108-01-01/1108-01-01-ja.pdf (公開2) ウェブサイトの掲載日 令和4年11月15日 ウェブサイトのアドレス https://novuscare.jp https://novuscare.jp/2022/11/15/%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9%ef%bc%9a%e3%82%b3%e3%83%8b%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%8e%e3%83%ab%e3%82%bf%e3%81%a8%e3%81%ae%e5%8d%94%e6%a5%ad%e3%81%ab%e5%90%88%e6%84%8f/ (公開3) ウェブサイトの掲載日 令和4年11月5日 ウェブサイトのアドレス https://www.sankei.com/article/20221105-TIMNRIHC7VN6PPWQWU7RLGQSXQ/ (公開4) ウェブサイトの掲載日 令和4年11月8日及び9日 ウェブサイトのアドレス 別紙記載のとおり (公開5) 発行日 令和4年11月16日 刊行物 高齢者住宅新聞 令和4年11月16日 第2面 (公開6) ウェブサイトの掲載日 令和4年11月17日 発行日 令和4年11月17日 ウェブサイトのアドレス https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00654504 https://newswitch.jp/p/34636 刊行物 日刊工業新聞 令和4年11月17日 第13面
(71)【出願人】
【識別番号】522451300
【氏名又は名称】株式会社ノバケア
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】比留川 博久
(72)【発明者】
【氏名】麻生 英樹
(72)【発明者】
【氏名】土井 麻莉子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】エビデンスベースで利用者の状態の改善等に適したリハビリ等計画作成を支援する。
【解決手段】利用者に応じたリハビリ等計画の作成を支援するリハビリ等計画作成支援装置であって、利用者の所定時点の状態に関する初期状態情報を取得する初期状態情報取得部と、利用者がリハビリ等により達成しようとする目標に関する目標情報を取得する目標情報取得部と、リハビリ等の内容に関するリハビリ等内容情報を取得するリハビリ等内容情報取得部と、過去にリハビリ等を利用した利用経験者について利用経験者が利用したリハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、リハビリ等に関連した利用経験者の状態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、利用者の初期状態情報及びリハビリ等のリハビリ等内容情報に基づき、目標に関する、所定時点から所定期間後の利用者の状態である予後状態を予測する予後予測部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リハビリ等を要する利用者に応じたリハビリ等計画の作成を支援するリハビリ等計画作成支援装置であって、
リハビリ等を利用する利用者の所定時点の状態に関する初期状態情報を取得する初期状態情報取得部と、
前記利用者が前記リハビリ等を利用することにより達成しようとする目標に関する目標情報を取得する目標情報取得部と、
前記リハビリ等の内容に関するリハビリ等内容情報を取得するリハビリ等内容情報取得部と、
過去にリハビリ等を利用した利用経験者について、該利用経験者が利用した該リハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、該リハビリ等に関連した該利用経験者の状態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、前記利用者の前記初期状態情報及び前記リハビリ等の前記リハビリ等内容情報に基づき、前記目標に関する、前記所定時点から所定期間後の該利用者の状態である予後状態を予測し、該予後状態に関する予後状態情報を出力する予後予測部と、
を備えたことを特徴とするリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項2】
前記利用者が前記リハビリ等を利用する場合に前記予後予測部によって出力される前記予後状態情報と、前記目標情報とに基づいて、リハビリ等プログラムを提案するリハビリ等プログラム提案部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項3】
前記利用経験者について関連付けられた、前記基礎リハビリ等内容情報と前記基礎状態情報とを、記憶した基礎情報記憶部と、
前記予後予測モデルを生成するモデル生成部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項4】
前記モデル生成部は、
機械学習手法として、決定木又は勾配ブースティング木を用いることを特徴とする請求項3に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項5】
前記初期状態情報、前記予後状態情報及び前記基礎状態情報は、前記利用者及び前記利用経験者のADL(Activities of daily living)に関する状態を評価するBarthel Indexを含むことを特徴とする請求項1に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項6】
前記予後予測部は、前記リハビリ等のうち、前記目標の達成に対する貢献度が高いリハビリ等に対して、前記予後状態を予測することを特徴とする請求項1に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項7】
前記リハビリ等プログラム提案部は、最適化手法により、前記目標に近い前記予後状態となる可能性の高い前記リハビリ等プログラムを提案することを特徴とする請求項2に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項8】
前記リハビリ等プログラム提案部によって提案された前記リハビリ等プログラムを参照して、操作者が第2リハビリ等プログラムを作成する第2リハビリ等プログラム作成部を備えたことを特徴とする請求項2に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項9】
前記第2リハビリ等プログラム作成部は、前記リハビリ等プログラム提案部によって提案された前記リハビリ等プログラムを修正することにより前記第2リハビリ等プログラム
を作成可能であることを特徴とする請求項8に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項10】
前記予後予測部は、
前記第2リハビリ等プログラムに含まれるリハビリ等に対する前記リハビリ等内容情報と、前記初期状態情報に基づいて、
前記利用者の、前記第2リハビリ等プログラムに含まれる前記リハビリ等に対する前記予後状態を予測することを特徴とする請求項8に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項11】
前記予後予測部によって予測された前記予後状態情報を表示する予後予測表示部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項12】
前記リハビリ等プログラム提案部によって提案された前記リハビリ等プログラムを表示する提案プログラム表示部を備えたことを特徴とする請求項2に記載のリハビリ等計画作成支援装置。
【請求項13】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のリハビリ等計画作成支援装置と、
該リハビリ等計画作成支援装置と通信可能に接続された端末と、
を備えたリハビリ等計画作成支援システム。
【請求項14】
リハビリ等を要する利用者に応じたリハビリ等計画の作成を支援するリハビリ等計画作成支援方法であって、
リハビリ等を利用する利用者の所定時点の状態に関する初期状態情報を取得するステップと、
前記利用者が前記リハビリ等を利用することにより達成しようとする目標に関する目標情報を取得するステップと、
前記リハビリ等の内容に関するリハビリ等内容情報を取得するステップと、
過去にリハビリ等を利用した利用経験者について、該利用経験者が利用した該リハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、該リハビリ等に関連した該利用経験者の状態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、前記利用者の前記初期状態情報及び前記リハビリ等の前記リハビリ等内容情報に基づき、前記目標に関する、前記所定時点から所定期間後の該利用者の状態である予後状態を予測するステップと、
を含むことを特徴とするリハビリ等計画作成支援方法。
【請求項15】
コンピュータに、請求項14に記載のリハビリ等計画作成支援方法を実行させるためのリハビリ等計画作成支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に応じたリハビリテーション(以下、単に「リハビリ」ともいう。)等の計画書の作成を支援するリハビリ等計画作成支援装置、リハビリ等計画作成支援システム、リハビリ等計画作成支援方法及びリハビリ等計画作成支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
リハビリサービスの提供形式として、介護老人保健施設、通所介護(デイサービス)、通所リハ(デイケア)、訪問リハなどにおけるリハビリ、介護老人福祉施設、通所介護(デイサービス)、地域密着型介護サービスなどにおける個別機能訓練がある。これらの施設やサービスでは、リハビリ計画書又は個別機能訓練計画書の作成をしなければならない。
【0003】
まず、リハビリプログラムを実施可能な施設又はサービスは、医師が常勤で在籍している施設又はサービスであり、病院、診療所、介護老人保健施設、デイサービスなどがそれにあたる。リハビリプログラムの実施に当たっては、リハビリテーション実施計画書の作成が必要であり、このリハビリ計画書は医師が作成し、患者の同意署名が必要である。また、LIFE(Long term care Information system For Evidence:科学的介護情報システム)と関連し、「ADL維持等加算(I)」、「ADL維持等加算(II)」、「リハビリテ
ーションマネジメント計画情報加算」、「リハビリテーションマネジメント加算(A)」
、「リハビリテーション加算(B)」がある。
一方、個別機能訓練加算には、LIFE関連で利用者の身体機能を維持することを目的とした「個別機能訓練加算I」と、ADL(Activities of daily living:日常生活動作)・
IADL(Instrumental activities of daily living:手段的日常生活動作)・趣味・
参加などの向上を目的とした「個別機能訓練加算II」の2種類がある。これは、CHASE(Care, HeAlth Status & Events:高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム)への
データ提出が要件となる。また、リハビリテーション実施事業所と連携しアセスメント結果に基づく計画を策定した場合、「生活機能向上訓練加算」、「ADL維持等加算」があるが、いずれも利用者ひとりひとりに個別機能訓練計画書を作成して課題や訓練内容を計画する必要がある 。特に、「ADL維持等加算」については、その評価をBathel Index
で行う。ちなみに、加算等の有無に関わらず、すべてのサービスにおいてCHASEによるデ
ータの利活用を政府は進めている。
【0004】
ちなみに、ADL維持等加算においては、「ハ.利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から調整済ADL利得の上位及び下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とし、評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が1以上であること。」が加算の要件であり、「ADL維持等加算(II)」は、調整済みADL利得が2以上になることが要件となる。
【0005】
しかし、このようなリハビリ計画書や個別機能訓練計画書は、記載の必要な項目に対してそれぞれ適切な表現で記載する必要があり、作成は容易ではない。さらに大きな課題としては、介護現場では直近の課題解決に集中するため、長期的なADLの維持や改善の計画の策定が二の次になることもまま生じる。
【0006】
そこで、特許文献1や特許文献2に開示されているようなリハビリ計画書や個別機能訓
練計画書作成を支援するリハビリ計画作成システムが開発されている。
【0007】
特許文献1に記載の技術では、利用者の目標と現状能力との差異を能力要素毎に特定し、差異を解消するためのリハビリ候補の中から、利用者の現状能力で実施可能なリハビリ候補を、実際に行うリハビリとして決定している。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、利用者の身体能力で実施可能なリハビリ候補は挙げられるが、その中でもどのリハビリプログラムにより長期的なBarthel Indexに基づくADLの維持・改善が図られるかは明らかではない。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、利用者の興味関心や現在の身体状態から利用者の目標を適切に設定するとともに、それに応じた適切なリハビリプログラムを選択することを可能にしている。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2の技術では、重みづけを用いてリハビリプログラムを選択しているが、そこで用いられる重みの値は、リハビリ計画作成支援装置やシステムの設計者が、その経験と知識に基づいて定めている。
【0011】
このように、現在のリハビリ計画作成支援技術では、過去のデータを利活用して利用者の目標や身体状況に適合した、客観的、効率的、効果的なエビデンスベースのリハビリプログラム作成が支援できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第5620880号公報
【特許文献2】特許第6792892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これに対して、厚生労働省は、より客観的、効率的、効果的な介護やリハビリテーションの実施をめざして、2021年度からLIFEを稼働させ、過去のリハビリテーション実施記録データに基づいた、エビデンスベースの介護、特に、リハビリテーションによる自立支援の推進を目標としている。より、明確にはBarthel IndexによるADLの維持・改善
が求められている。
【0014】
本発明は、過去のデータを利活用した、エビデンスベースで、利用者の状態の維持・改善に適したリハビリ等計画の作成を支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明は、
リハビリ等を要する利用者に応じたリハビリ等計画の作成を支援するリハビリ等計画作成支援装置であって、
リハビリ等を利用する利用者の所定時点の状態に関する初期状態情報を取得する初期状態情報取得部と、
前記利用者が前記リハビリ等を利用することにより達成しようとする目標に関する目標情報を取得する目標情報取得部と、
前記リハビリ等の内容に関するリハビリ等内容情報を取得するリハビリ等内容情報取得部と、
過去にリハビリ等を利用した利用経験者について、該利用経験者が利用した該リハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、該リハビリ等に関連した該利用経験者の状
態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、前記利用者の前記初期状態情報及び前記リハビリ等の前記リハビリ等内容情報に基づき、前記目標に関する、前記所定時点から所定期間後の該利用者の状態である予後状態を予測し、該予後状態に関する予後状態情報を出力する予後予測部と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
これによれば、過去にリハビリ等を利用した利用経験者について、利用経験者が利用したリハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、リハビリ等に関連した利用経験者の状態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、利用者の初期状態情報及びリハビリ等内容情報に基づき、所定時点から所定期間後の、目標に関する予後状態が予測される。このため、利用者が特定のリハビリ等を利用した場合に、利用者の状態が所定時点から所定期間を経過した時点で、どの程度改善又は維持されているのかを、リハビリ等の利用経験者に関する過去のデータを利活用したエビデンスベースで予測することができるので、利用者の状態の維持・改善に適したリハビリ等計画の作成を支援することができる。
予後予測モデルの生成に用いられる基礎状態情報は、利用経験者が利用したリハビリ等の時間経過に関連したいずれか時点における利用経験者の状態に関する情報であり、リハビリ等の前後、リハビリ等の前と途中時点、リハビリ等途中の2時点、リハビリ等の途中時点と利用後の時点等の2時点を少なくとも含むことが望ましい。
本発明及び以下の各発明において、リハビリ等とは、いわゆる「リハビリ」及び「個別機能訓練」を含むが、これらに限定されず、利用者の機能・能力の維持・回復・減退防止のための行動を含んでもよく、例えば、リハビリ行動、機能・能力回復行動と称することもできる。リハビリ等計画とは、リハビリテーション等の実施に関する計画であって、所定の事項を含む情報を指す。すなわち、本発明におけるリハビリ等計画は、法令等により記載事項が定められた「リハビリテーション計画」及び「個別機能訓練計画」を含み、「リハビリ等計画書」は、これらの情報を所定の書式に編集した情報である「リハビリテーション計画書」及び「個別機能訓練計画書」を含むが、これらに限定されない。
【0017】
また、本発明において、
前記利用者が前記リハビリ等を利用する場合に前記予後予測部によって出力される前記予後状態情報と、前記目標情報とに基づいて、リハビリ等プログラムを提案するリハビリ等プログラム提案部と、
を備えるようにしてもよい。
【0018】
これによれば、過去のデータを利活用したエビデンスベースで、利用者の状態の維持・改善に適したリハビリ等プログラムの提案が可能となる。
【0019】
また、本発明において、
前記利用経験者について関連付けられた、前記基礎リハビリ等内容情報と前記基礎状態情報とを、記憶した基礎情報記憶部と、
前記予後予測モデルを生成するモデル生成部を備えるようにしてもよい。
【0020】
これによれば、利用者の初期状態情報、リハビリ等内容情報及び予後状態情報を、基礎情報記憶部に蓄積し、蓄積された過去のデータを利活用して予後予測モデルを更新することができるので、より精度のよい予後予測が可能なる。
【0021】
また、本発明において、
前記モデル生成部は、
機械学習手法として、決定木又は勾配ブースティング木を用いてもよい。
【0022】
これらの機械学習手法を採用することにより、適切に予後状態を予測できる予後予測モデルを生成することができる。本発明において採用し得る機械学習手法は、これらに限らない。
【0023】
また、本発明において、
前記初期状態情報、前記予後状態情報及び前記基礎状態情報は、前記利用者及び前記利用経験者のADL(Activities of daily living)に関する状態を評価するBarthel Indexを含むようにしてもよい。
【0024】
これによれば、ADLに関する状態の評価方法が標準化されたBarthel Indexを用いて
、評価された状態に関する情報に基づいて予後予測モデルが生成され、さらに予後予測モデルを用いた予後状態の予測が行われるので、処理効率及び予測精度が向上する。
【0025】
また、本発明において、
前記予後予測部は、前記リハビリ等のうち、前記目標の達成に対する貢献度が高いリハビリ等に対して、前記予後状態を予測するようにしてもよい。
【0026】
これによれば、目標に関して利用者の状態の維持・改善に有効なリハビリ等による予後状態を認識することができる。
【0027】
また、本発明において、
前記リハビリ等プログラム提案部は、最適化手法により、前記目標に近い前記予後状態となる可能性の高い前記リハビリ等プログラムを提案するようにしてもよい。
【0028】
これによれば、目標に近くリハビリ等プログラムを提案することができる。
【0029】
また、本発明において、
前記リハビリ等プログラム提案部によって提案された前記リハビリ等プログラムを参照して、操作者が第2リハビリ等プログラムを作成する第2リハビリ等プログラム作成部を備えるようにしてもよい。
【0030】
これによれば、療法士等の操作者が、過去のデータを利活用してエビデンスベースで提案されたリハビリ等プログラムを参照し、さらに、自らの知識経験等を加味した第2リハビリ等プログラムを作成することができる。
【0031】
また、本発明において、
前記第2リハビリ等プログラム作成部は、前記リハビリ等プログラム提案部によって提案された前記リハビリ等プログラムを修正することにより前記第2リハビリ等プログラムを作成可能であるようにしてもよい。
【0032】
これによれば、療法士等の操作者が、過去のデータを利活用してエビデンスベースで提案されたリハビリ等プログラムを修正することにより、さらに、自らの知識経験等を加味した第2リハビリ等プログラムを簡単に作成することができる。
【0033】
また、本発明において、
前記予後予測部は、
前記第2リハビリ等プログラムに含まれるリハビリ等に対する前記リハビリ等内容情報と、前記初期状態情報に基づいて、
前記利用者の、前記第2リハビリ等プログラムに含まれる前記リハビリ等に対する前記予後状態を予測するようにしてもよい。
【0034】
これによれば、第2リハビリ等プログラム作成部を利用して作成した第2リハビリ等プログラムの評価及び修正に、予後予測部により予測された第2リハビリ等プログラムによる予後状態を用いることができる。
【0035】
また、本発明において、
前記予後予測部によって予測された前記予後状態情報を表示する予後予測表示部を備えるようにしてもよい。
【0036】
これによれば、操作者が、予後予測表示部により、予後予測部よって予測された予後状態を認識することができる。
【0037】
また、本発明において、
前記リハビリ等プログラム提案部によって提案された前記リハビリ等プログラムを表示する提案プログラム表示部を備えるようにしてもよい。
【0038】
これによれば、操作者が、提案プログラム表示部により、リハビリ等プログラム提案部によって提案されたリハビリ等プログラムを認識することができる。
【0039】
本発明は、
前記リハビリ等計画作成支援装置と、
該リハビリ等計画作成支援装置と通信可能に接続された端末と、
を備えたリハビリ等計画作成支援システムである。
【0040】
これによれば、リハビリ等計画作成支援装置と通信可能に接続された端末を利用して、利用者が特定のリハビリ等を利用した場合に、利用者の状態が所定時点から所定期間を経過した時点で、どの程度改善又は維持されているのかを、リハビリ等の利用経験者に関する過去のデータを利活用したエビデンスベースで予測することができるので、利用者の状態の維持・改善に適したリハビリ等計画の作成を支援することができる。
【0041】
また、本発明は、
リハビリ等を要する利用者に応じたリハビリ等計画の作成を支援するリハビリ等計画作成支援方法であって、
リハビリ等を利用する利用者の所定時点の状態に関する初期状態情報を取得するステップと、
前記利用者が前記リハビリ等を利用することにより達成しようとする目標に関する目標情報を取得するステップと、
前記リハビリ等の内容に関するリハビリ等内容情報を取得するステップと、
過去にリハビリ等を利用した利用経験者について、該利用経験者が利用した該リハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、該リハビリ等に関連した該利用経験者の状態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、前記利用者の前記初期状態情報及び前記リハビリ等の前記リハビリ等内容情報に基づき、前記目標に関する、前記所定時点から所定期間後の該利用者の状態である予後状態を予測するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0042】
これによれば、過去にリハビリ等を利用した利用経験者について、利用経験者が利用したリハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、リハビリ等に関連した利用経験者の状態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、利用者の初期状態情報及びリハビリ等内容情報に基づき、所定時点から所定期間後の、目標
に関する予後状態が予測される。このため、利用者が特定のリハビリ等を利用した場合に、利用者の状態が所定時点から所定期間を経過した時点で、どの程度改善又は維持されているのかを、リハビリ等の利用経験者に関する過去のデータを利活用したエビデンスベースで予測することができるので、利用者の状態の維持・改善に適したリハビリ等計画の作成を支援することができる。
これによれば、過去にリハビリ等を利用した利用経験者について、利用経験者が利用したリハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、リハビリ等に関連した少なくとも2時点における利用経験者の状態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、利用者の初期状態情報及びリハビリ等内容情報に基づき、所定時点から所定期間後の、目標に関する予後状態が予測される。このため、利用者が特定のリハビリ等を利用した場合に、利用者の状態が所定時点から所定期間を経過した時点で、どの程度改善又は維持されているのかを、リハビリ等の利用経験者に関する過去のデータを利活用したエビデンスベースで予測することができるので、利用者の状態の維持・改善に適したリハビリ等計画の作成を支援することができる。
【0043】
また、本発明は、
コンピュータに、前記リハビリ等計画作成支援方法を実行させるためのリハビリ等計画作成支援プログラムである。
【0044】
これによれば、過去にリハビリ等を利用した利用経験者について、利用経験者が利用したリハビリ等の内容に関する基礎リハビリ等内容情報と、リハビリ等に関連した利用経験者の状態に関する基礎状態情報を、機械学習させて生成した予後予測モデルによって、利用者の初期状態情報及びリハビリ等内容情報に基づき、所定時点から所定期間後の、目標に関する予後状態が予測される。このため、利用者が特定のリハビリ等を利用した場合に、利用者の状態が所定時点から所定期間を経過した時点で、どの程度改善又は維持されているのかを、リハビリ等の利用経験者に関する過去のデータを利活用したエビデンスベースで予測することができるので、コンピュータに、利用者の状態の維持・改善に適したリハビリ等計画の作成の支援を実行させることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、過去のデータを利活用した、エビデンスベースで、利用者の状態の維持・改善に適したリハビリ等計画の作成を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の実施例1に係るリハビリ等計画作成支援システムの概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1に係る計画書作成端末の表示部に表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
〔実施例1〕
以下、本発明の実施例1に係るリハビリ等計画作成支援システム1について、図面を用いて、より詳細に説明する。ただし、この実施例に記載されている装置及びシステムの構成は各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施例に限定する趣旨のものではない。
本実施例1において、リハビリ等とは、いわゆる「リハビリ」及び「個別機能訓練」を含むが、これらに限定されず、利用者の機能・能力の維持・回復・減退防止のための行動を含んでもよく、例えば、リハビリ行動、機能・能力回復行動と称することもできる。リハビリ等計画とは、リハビリテーション等の実施に関する計画であって、所定の事項を含む情報を指す。すなわち、本発明におけるリハビリ等計画は、法令等により記載事項が定
められた「リハビリテーション計画」及び「個別機能訓練計画」を含み、並びに、「リハビリ等計画書」は、これらの情報を所定の書式に編集した情報である「リハビリテーション計画書」及び「個別機能訓練計画書」を含むが、これらに限定されない。また、「リハビリテーション」のみに言及する記載も、「個別機能訓練」にも同様妥当する。
【0048】
図1に本発明の実施例1に係る支援サーバ3を含むリハビリ等計画作成支援システム1の概略構成図を示す。図2にリハビリ等計画提案表示及び予後予測表示の一例を示した説明図を示す。
【0049】
図1に示すように、本実施例に係るリハビリ等計画作成支援システム1 は、計画書作
成端末2と支援サーバ3とがインターネット等のネットワークNを介して接続されて構成されている。なお、計画書作成端末2と支援サーバ3とを接続するネットワークNは、インターネットの他、VPN(Virtual Private Network)、イントラネット等の種々の通信
網を採用することができる。また、計画書作成端末2と支援サーバ3は、有線又は無線等の適宜の通信手段を介して接続されていてもよい。また、説明の簡略化のため図1では支援サーバ3は一つの計画書作成端末2と接続されているが、支援サーバ3は複数の計画書作成端末2と接続可能である。
【0050】
計画書作成端末2を使用する者は、本実施例においてはリハビリ等計画書においては主に介護老人保健施設、デイケア、訪問リハのサービス事業者であり、個別機能訓練計画書においては介護福祉施設、デイサービス事業者となる。計画書作成端末2 を直接操作す
るのは、リハビリ計画書では医師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士であり、個別機能訓練計画書では機能訓練指導員(看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、又はあん摩マッサージ指圧師)又は管理者である。以下では、リハビリ等計画書は、リハビリ等プログラムを所定の書式に編集した情報を指し、リハビリ等計画書について説明する事項は、特に言及しないが、リハビリ計画書のみならず個別機能訓練計画書にも同様に妥当するものである。
【0051】
計画書作成端末2 は、パーソナルコンピュータ(以下、PCという。)であり、キー
ボード、タッチパネル、マウス、スキャナ、カメラ等の入力部10 と、ディスプレイ、
プリンタ等の出力部11を有している。図示しないが計画書作成端末2は、この他にもHDDやメモリ等の記憶装置やCPU等の演算装置を備えている。なお、計画書作成端末2は、PCに限られず、例えばスマートフォン、タブレットPC 、及び携帯電話のような携
帯端末であってもよい。
【0052】
計画書作成端末2は、図示しないが通信装置も備えており、入力部20に含まれる、利用者目標入力部22、利用者状態入力部23、計画書作成部24にて入力した情報を支援サーバ3に送信可能であり、支援サーバ3からの情報を受信して、出力部21に含まれる、予後予測表示部25、提案プログラム表示部26に表示することが可能である。
【0053】
支援サーバ3は、コンピュータプログラムに基づきリハビリ等計画作成の支援を行う1又は複数のサーバ(コンピュータ)から構成されている。支援サーバ3は、支援サーバ3は、1又は複数の記憶装置や1又は複数の演算装置及び通信装置を備え、キーボード、タッチパネル、マウス、スキャナ、カメラ等の入力部 と、ディスプレイ、プリンタ等の出
力部を備えてもよい。利用者情報データベース31(利用者情報記憶部)、リハビリ等プログラムデータベース32(リハビリ等プログラム記憶部) を有している(以下、デー
タベースを「DB」と表記する)。また、支援サーバ3は、目標設定部33、予後予測モデル作成部34、予後予測部35、リハビリ等プログラム提案部36を有している。以下、各DB及び各部について詳しく説明する。
【0054】
利用者情報DB31は、利用者に関する利用者情報を記憶するDBである。利用者情報には、性別、年齢等の基本情報、Barthel Indexで表された利用者のADLに関する情報
(食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、排尿コントロール)が含まれる。Barthel Indexについては後述する。利用者情報は、本発
明における、利用者又は利用経験者の状態に関する情報に相当する。また、リハビリ等に関連する所定時点、例えば、リハビリ等実施前、リハビリ等実施中、リハビリ等実施後等に関連付けられた離床者又は利用経験者の状態が、本発明の初期状態及び基礎状態に相当し、これらに関する情報が、それぞれ本発明の初期状態情報及び基礎状態情報に相当する。また、上述した所定時点から所定期間後の利用者の状態が、本発明の予後状態に相当し、これに関する情報が、本発明の予後状態情報に相当する。
【0055】
利用者情報DB31に記憶される利用者情報には、このほかに、利用者の疾患履歴情報、興味関心情報、居宅訪問情報、体重、握力、立ち座りテスト、長座体前屈 等の定期的
に行う身体チェックの結果情報、血圧、体重、筋力等の健康チェック結果に関する情報等が含まれていてもよい。また、利用者のADLに関する情報には、他にも環境に関する情報や、補助具等の情報、状況・生活課題の情報等が含まれていてもよい。
【0056】
リハビリ等プログラムDB32は、上記利用者情報と目標に応じて実施されたリハビリ等プログラムの情報、例えば、リハビリ等プログラム名、リハビリ等実施日、リハビリ等実施量(時間)等の情報が記憶されており、具体的にはLIFE図表9に対応した複数のリハビリ等項目と実施量が記憶されている。LIFE図表9については後述する。ここで説明したリハビリ等プログラムの情報は、本発明のリハビリ等内容情報に相当する。過去に実施されたリハビリ等の利用者が本発明の利用経験者に相当し、過去に実施されたリハビリ等プログラムの情報が本発明の基礎リハビリ等内容情報に相当する。また、リハビリ等プログラムDB32及び利用者情報DB31は本発明の基礎情報記憶部に相当する。
【0057】
予後予測モデル作成部34は、利用者情報DB31、リハビリ等プログラムDB32に記憶されたデータに、例えば、決定木や勾配ブースティング木を用いた機械学習アルゴリズムを適用して、利用者のADL情報とリハビリ等プログラムの情報を入力として、一定期間後の利用者のADL情報を予測するための予後予測モデルを作成する。予後予測モデル作成部34はリハビリ等目標の達成の可能性を高くするリハビリ等の種類を、目標達成に対して貢献度の高い種類に限定して、予後予測モデルを作成してもよい。また、予後予測モデル作成部34は、必要に応じて、新たに追加されたデータや修正されたデータを用いて予後予測モデルを更新してもよい。予後予測モデル作成部34は、本発明のモデル生成部に相当する。また、機械学習アルゴリズムは、本発明の機械学習手法に相当する。
【0058】
目標設定部33は、LIFE図表8に沿って表されたリハビリ等の目標から、それと関連するBarthel Indexの項目、あるいは合計を改善指標として設定する。目標設定部33の具
体的な構成例については、図2に示す利用者画面4として後述する。LIFE図表8については後述する。ここで説明したリハビリ等の目標は、本発明の目標情報に相当し、目標設定部33は、本発明の目標情報取得部に相当する。
【0059】
予後予測部35は、利用者情報とリハビリ等プログラムの情報を入力として、予後予測モデル作成部34が作成した予後予測モデルを用いて、目標設定部33により設定された改善指標の、一定期間後の変化を予測する機能を有している。上述の予後予測モデル作成部34及び予後予測部35は、ADLの評価方法として、評価方法が標準化されたBarthel Indexを利用してもよい。予後予測部35は、本発明の予後予測部に相当する。また、
計画書作成端末2において入力された利用者情報やリハビリ等プログラムの情報を、通信部を介して、又は、利用者情報dB31及びリハビリ等プログラムDB32から利用者情報やリハビリ等プログラムの情報を取得して、予後予測部35の利用に供する図示しない
演算装置が、本発明の初期状態情報取得部及びリハビリ等内容情報取得部に相当する。
【0060】
リハビリ等プログラム提案部36は、利用者状態入力部23で入力された計画作成対象利用者の情報と、目標設定部33により設定された改善指標と、予後予測モデル作成部34により作成された予後予測モデルとを用いて、一定期間後に改善指標が改善される確率が最も高くなるようなリハビリ等プログラムを提案する機能を有している。具体的には、たとえばNelder-Mead法やベイズ最適化等の最適化手法を用いて、予後予測モデルが出力
する改善指標の改善確率値を最大にするリハビリ等プログラムを探索して出力する。リハビリ等プログラム提案部36が、本発明のリハビリ等プログラム提案部に相当する。
【0061】
計画書作成部24 は、リハビリ等の目標及びそれに対応したリハビリ等プログラムを
確定して、最終的なリハビリ等計画書を作成する機能を有している。具体的には、リハビリ等プログラム提案部36が提案し、提案プログラム表示部26に表示されたリハビリ等プログラムや、前回作成したプログラムを参考にしつつ、LIFE 図表9に沿った形式でリ
ハビリ等計画書を作成する機能を有している。また、計画書作成部24は、リハビリ等プログラム提案部36によって提案されたリハビリ等プログラムを、利用者の嗜好、利用者情報の変化、計画書作成者の経験に応じて修正することもできる。計画書作成部24の具体的な構成例については、図2に示す利用者画面4として後述する。計画書作成部24は、本発明の第2リハビリ等プログラム作成部に相当する。また、計画書作成者が、計画書作成部24によって作成するリハビリ等プログラムが本発明の第2リハビリ等プログラムに相当する。
【0062】
予後予測表示部25は、計画書作成部24で作成されたリハビリ等プログラムを実施した際の一定期間後の改善指標の予測値を表示する機能を有している。支援サーバ3の使用者は予後予測の結果等を参照して、適宜リハビリ等計画書を修正し、修正したプログラムの予後予測を表示させることを繰り返すこともできる。予後予測表示部25の具体的な構成例については、図2に示す利用者画面4として後述する。予後予測表示部25は、本発明の予後予測表示部に相当する。
【0063】
提案プログラム表示部26は、リハビリ等プログラム提案部36により提案されたリハビリ等プログラムを表示する機能を有している。提案プログラム表示部26の具体的な構成例については、図2に示す利用者画面4として後述する。提案プログラム表示部26は、本発明の提案プログラム表示部に相当する。
【0064】
このように構成された支援サーバ3は、計画書作成端末2から必要な利用者情報や目標情報が入力されることで、自動的に統計的エビデンスに基づいた、利用者に適合した効果的、効率的なリハビリ等プログラムを提案可能である。
【0065】
このように構成されたリハビリ等計画作成支援システム1を用いることで、計画作成者は、提案されたリハビリ等プログラムを参照しつつ、容易に、統計的エビデンスに基づいたリハビリ等計画書を作成することが可能になる。
【0066】
上述した、リハビリ等計画作成支援システム1が本発明のリハビリ等計画作成支援システムに相当し、支援サーバ3が本発明のリハビリ等計画作成支援装置に相当し、計画書作成端末2が本発明の端末に相当する例について説明したが、支援サーバ3及び計画書作成端末2の一部又は全部が、本発明のリハビリ等計画作成支援装置に相当する構成とすることも可能であり、本発明のリハビリ等計画作成支援装置及び端末の構成は、実施例である支援サーバ3及び計画書作成端末2の構成と一致する場合に限られない。
【0067】
(Barthel Index)
Barthel Indexは、10項目からなる日常生活活動を評価するための指標であり、総計
は最高が100点、最低が0点であり、点数が高いほど動作の自立度が高いことを示す。各項目は15点、10点、5点、0点で評価し、自立の場合には10点又は15点、全介助や対象となる項目の動作が行えない場合は0となる。
【0068】
Barthel Indexの10項目は、食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、移動、階段昇降
、更衣、排便コントロール、排尿コントロールからなる。
【0069】
(個別機能訓練計画・リハビリテーション計画の目標)
LIFEの図表8に記載された個別機能訓練計画・リハビリテーション計画の目標(以下、単に「目標」ともいう。)について、以下に説明する。
目標は、心身機能、活動・参加の2分類から構成される。
心身機能には、精神機能、感覚機能と痛み、身体機能・構造の各目標(解決すべき課題)が含まれる。また、活動・参加には、学習、選択と行動、問題解決、日課の遂行、コミュニケーション、姿勢の変換、姿勢保持、移乗、物の運搬・移動・操作、歩行や移動、交通手段の利用、入浴、整容、トイレ動作、更衣、食事、健康管理、買物、料理、家事、家庭用品の管理、他者への援助、対人関係、仕事、趣味や社会活動、人権の各目標(解決すべき課題)が含まれる。
【0070】
例えば、心身機能に分類される精神機能には、含まれる行為として、活力と欲動、睡眠、注意機能、記憶、情動が挙げられており、これらの各行為にはNo.1~No.94までの番号、ICF(国際生活機能分類)コード、ICF名称が付与されるとともに、コードの説明が記載されている(活動・参加に分類される各目標(解決すべき課題)についても同様である。)。
【0071】
活動・参加に分類される移乗には、含まれる行為として、移乗、座位での乗り移り、臥位での乗り移りが挙げられている。また、活動・参加に分類される歩行や移動には、含まれる行為として、歩行、短距離歩行、長距離歩行、歩行以外での移動(走る、這う、跳ねる等)、自宅内の移動、屋外の移動、道具(杖、車いす、歩行器、下肢装具を用いての移動)が挙げられている。また、活動・参加に分類されている入浴には、含まれる行為として、洗体(自分の身体を洗って乾かす)が挙げられている。また、活動・参加に分類されている整容には、含まれる行為として、身体の一部(顔や手足など)を洗う、身体各部(化粧、歯、髪、爪など)の手入れが挙げられている。また、活動・参加に分類されているトイレ動作には、含まれる行為として、排泄(排泄・生理)を計画し、遂行し、清潔にする、が挙げられている。また、活動・参加に分類されている更衣には、含まれる行為として、更衣、衣類を選ぶ、着る、脱ぐ、履き物を履く(靴、靴下など)、履き物を脱ぐ、が挙げられている。また、活動・参加に分類されている健康管理には、含まれる行為として、健康管理、服薬管理、食事や体調の管理、寒暖調節が挙げられている。
【0072】
(個別機能訓練計画・リハビリテーション計画のプログラム内容・具体的支援内容)
LIFEの図表9に記載された個別機能訓練計画・リハビリテーション計画のプログラム内容・具体的支援内容について以下に説明する(以下、単に「プログラム内容・具体的支援内容」ともいう。)。
プログラム内容・具体的支援内容は、大項目及び細項目からなり、各項目にNo.2~No.53までの番号(No.1は未選択)が付されるとともに、その説明が記載されている。
【0073】
大項目には、1呼吸機能訓練、2全身持久力訓練、3関節可動域訓練、4筋力維持・増強訓練、5筋緊張緩和訓練、6筋持久力訓練、7運動機能訓練、8疼痛緩和、9構音機能訓練、10聴覚機能訓練等が含まれ、順にNo.2~No.11等の番号が付与されてい
る。これらの大項目には、細項目として、1呼吸機能訓練、2全身持久力訓練、3関節可動域訓練、4筋力維持・増強訓練、5筋緊張緩和訓練、6筋持久力訓練、7運動機能訓練、8疼痛緩和、9構音機能訓練、10聴覚機能訓練等が含まれる。これらの大項目には1つの細項目のみを含むものと複数の細項目を含むものがあり、番号は細項目ごとに付与されている。
【0074】
(利用者画面)
図2に、出力部21に表示される利用者画面4の表示例を示す。ここでは、出力部21の一つの画面が利用者目標入力部22、計画書作成部24、予後予測表示部25及び提案プログラム表示部26を含む例を示すが、計画書作成部24、予後予測表示部25及び提案プログラム表示部26がそれぞれ独立した画面として出力部21に表示されてもよい。また、利用者画面4の説明の中で、リハビリ等計画作成支援方法及びリハビリ等計画作成支援プログラムについても説明する。療法士等の計画書作成者が、計画書作成端末2の出力部21に表示させて、操作する画面である。
【0075】
利用者画面4は、「本人の希望」欄4a、「家族の希望」欄4b、「健康状態、経過」欄4c、「福祉用具等」欄4d、「リハビリテーションの目標となる活動(ADL)」欄4e、「AI推奨プラン作成」ボタン4f、「AI推奨プラン」欄4g、「リハビリテーションサービス」欄4h、「療法士プラン予後予測」ボタン4i、「AI推奨プラン予後予測」グラフ4j、「療法士プラン予後予測」グラフ4k、「改善確率」グラフ4mを含む。
【0076】
「本人の希望」欄4a及び「家族の希望」欄4bには、それぞれ、利用者本人の希望及び利用者の家族の希望が表示されるが、これらの欄には、図示しない帳票画面(利用者状態入力部23)を通じて入力され、利用者情報DB31に記憶された情報が表示される。
【0077】
「健康状態・経過」欄4cには、「合併疾患・コントロール状態」欄及び「運動禁忌」欄が含まれ、それぞれ利用者の合併疾患・コントロール状態及び運動禁忌が表示される。「合併疾患・コントロール状態」欄と「運動禁忌」欄には、図示しない帳票画面(利用者状態入力部23)を通じて入力され、利用者情報DB31に記憶された情報が表示される。
【0078】
「福祉用具等」欄4dには、「杖」、「装具」、「歩行器」、「車いす」、「手すり」、「ベッド」、「ポータブルトイレ」、「その他」の項目がチェックボックスとともに表示される。これらの各項目のチェックボックスは、図示しない帳票画面(利用者状態入力部23)を通じて入力され、利用者情報DB31に記憶された情報に基づいて表示される。
【0079】
「リハビリテーションの目標となる活動(ADL)」欄4eは、リハビリテーションの目標となる活動(ADL)を入力する欄である。「リハビリテーションの目標となる活動(ADL)」欄は、「項目」、「現状」及び「選択」の各欄を含む。「項目」欄の各行は、Barthel Indexの10項目に対応する「食事」、「イスとベッドの移乗」、「整容」、
「トイレ動作」、「入浴」、「平地歩行」、「階段昇降」、「更衣」、「排便コントロール」及び「排尿コントロール」の各活動から構成される。また、「項目」欄の最下行には、「合計点」を表示する行が設けられている。「項目」欄の各行に対応して、「現状」欄及び「選択」欄が設けられている。「現状」欄には、「項目」欄に示された活動についての利用者の現状を表すBarthel Indexが、図示しない帳票画面(利用者状態入力部23)
を通じて入力され、利用者情報DB31に記憶された情報に基づいて表示される。「現状」欄の最下行には、各行のBarthel Indexの合計点が表示される。「選択」欄は、「項目
」欄に示された活動を、AI推奨リハビリプランを作成する際にリハビリテーション等の
目標として選択するか否かを入力する欄であり、プルダウンメニューの選択により、目標として選択する場合には「〇」、選択しない場合には「―」が表示される。「リハビリテーションの目標となる活動(ADL)」欄4eの「選択」欄を介して選択するか否かを受け付ける支援サーバ3が目標設定部33であり、この欄に対して選択するか否かを入力する入力部20が利用者目標入力部22として機能する。ここでは、「現状」欄に表示される情報を、図示しない帳票画面(利用者状態入力部23)を通じて、又は、利用者情報DB31から支援サーバ3の演算装置が取得する処理は、本発明の初期状態情報を取得するステップに相当する。また、「選択」欄において、「項目」欄に示された活動が、AI推奨リハビリプランを作成する際にリハビリテーション等の目標として選択された旨の情報を、支援サーバ3の演算装置が取得する処理は、本発明の目標情報を取得するステップに相当する。
【0080】
「AI推奨プラン作成」ボタン4fは、支援サーバ3のリハビリ等プログラム提案部36に、AIが推奨するリハビリ等計画の作成を指示するためのボタンである。「AI推奨プラン作成」ボタン4fが、マウスのクリック等の入力部10に対する操作により押下されると、「リハビリテーションの目標となる活動(ADL)」欄4eの「選択」欄において選択された活動を目標とするリハビリ等計画(AI推奨プラン)がリハビリ等プログラム提案部36により生成される。
【0081】
「AI推奨プラン」欄4gは、リハビリ等プログラム提案部36により生成されたAI推奨プランの内容を表示する欄である。「AI推奨プラン」欄4gは、「支援コード」欄、「頻度」欄及び「時間」欄を含む。「支援コード」欄には、AI推奨プランの具体的支援内容が、上述したLIFE図表9の大項目に記載された支援コードにより表示される。「頻度」欄及び「時間」欄には、対応する行の支援コードに表示された具体的支援内容の頻度及び時間が、例えば、1週当たりの回数及び1回当たりの分単位の時間によりそれぞれ表示される。この「AI推奨プラン」欄4gを表示する出力部21は、提案プログラム表示部26として機能する。
【0082】
「リハビリテーションサービス」欄4hは、療法士等の操作者がリハビリテーション等計画(療法士プラン)を作成する際に利用する欄である。
「リハビリテーションサービス」欄4hは、各行が1つの短期目標又は長期目標に対応しており、所定数、例えば、5つまでの目標についてリハビリ等計画を入力できるように構成されている。「リハビリテーションサービス」欄4hは、「目標(解決すべき課題)」欄、「期間」欄、「対応する具体的支援内容」欄、「担当業種」欄、「療法士プラン」欄、「達成状況」欄を含む。また、「対応する具体的支援内容」欄は、「大項目」欄を含み、「療法士プラン」欄は、「大項目」欄、「小項目」欄、「頻度」欄及び「時間」欄を含み、「達成状況」欄は、「3ヶ月」欄、「6ヶ月」欄、「9ヶ月」欄及び「12ヶ月」欄を含む。「リハビリテーションサービス」欄4hに各種情報を入力する入力部20が、計画書作成部24として機能する。
【0083】
「リハビリテーションサービス」欄4hの「目標(解決すべき課題)」欄は、リハビリ等計画における目標を入力・表示する欄であり、LIFE図表8の「含まれる行為」欄に記載された行為のいずれかをプルダウンメニューにより選択できるように構成されており、操作者が選択した行為が表示される。「期間」欄は、対応する行のリハビリ等メニューを実施する期間を、例えば月単位として、操作者が数字を入力すると、その数字が表示される。「対応する具体的支援内容」欄の「大項目」欄は、「目標(解決すべき課題)」欄において選択した行為に対応する、LIFE図表9の大項目に記載された具体的支援内容のいずれかが表示される。「担当業種」欄は、予め設定された職種コードのプルダウンメニューから、操作者が自らの職種コードを選択すると、そのコード又は職種名が表示される。「リハビリテーションサービス」欄4hの「目標(解決すべき課題)」欄を介して、目標の設
定を受け付ける支援サーバ3が目標設定部33であり、この欄において目標を選択・入力する入力部20が利用者目標入力部22として機能する。
【0084】
「リハビリテーションサービス」欄4hの「大項目」欄及び「小項目」欄には、LIFE図表9の大項目及び小項目に記載された具体的支援内容のいずれを操作者がプルダウンメニューにより選択し、それぞれの選択された具体的支援内容が表示される。「細項目」欄は、1つの目標に対して、所定数、例えば6つまで設定できるようにすることができる。「頻度」欄及び「時間」欄には、「大項目」欄及び「小項目」欄で選択した具体的内容を実施する頻度及び時間を、例えば、1週当たりの回数及び1回当たりの分単位の時間として、操作者がそれぞれの数字を入力すると、入力された時間及び頻度表示される。「達成状況」欄の「3ヶ月」欄、「6ヶ月」欄、「9ヶ月」欄及び「12ヶ月」欄には、それぞれリハビリ等メニュー実施から3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12か月後の達成状況を操作者が入力し、又は、別途入力され、利用者情報DB31に記憶された3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12か月後の達成状況を読み出して表示する。
【0085】
「AI推奨プラン予後予測」グラフ4jは、生成されたAI推奨プランを実施した場合の利用者の予後を、予後予測部35により予測した結果をBarthel Indexの各項目を軸と
したレーダーチャートにより表示するグラフである。「AI推奨プラン予後予測」グラフ4jは、予後予測表示部25として機能する。「AI推奨プラン予後予測」グラフ4jは、本発明の目標に関する、支援サーバ3の予後予測部35が、予後状態を予測するステップを実行した結果を表示するグラフである。この過程で、支援サーバ3の演算装置は、リハビリ等プログラムDB32から本発明のリハビリ等内容情報を取得するステップを実行している。
また、「療法士プラン予後予測」グラフ4kは、療法士等の操作者が、「リハビリテーションサービス」欄4hを利用して作成したリハビリ等計画を実施した場合の利用者の予後を、予後予測部35により予測した結果をBarthel Indexの各項目を軸としたレーダー
チャートにより表示するグラフである。この「療法士プラン予後予測」グラフは、療法士(操作者)が、「リハビリテーションサービス」欄4hに必要事項を入力して、リハビリ等計画を作成した後に、「療法士プラン予後予測」ボタン4iをマウスのクリック等の入力部10に対する操作により押下することにより生成・表示される。「療法士プラン予後予測」グラフ4kは予後予測表示部25として機能する。「療法士プラン予後予測」グラフ4kは、「リハビリテーションサービス」欄4hにおいて入力または選択された目標及び療法士プランの内容を、支援サーバ3の演算装置が取得する処理が、本発明の目標情報及びリハビリ等内容情報を取得するステップに相当し、「リハビリテーションの目標となる活動(ADL)」欄4eの「現状」欄に4hの「現状」欄に表示される情報を、図示しない帳票画面(利用者状態入力部23)を通じて、又は、利用者情報DB31から支援サーバ3の演算装置が取得する処理が、本発明の初期状態情報を取得するステップに相当し、これらの情報に基づいて、支援サーバ3の予後予測部35が予後状態を予測するステップを実行した結果を表示するグラフである。
【0086】
「改善確率」グラフ4mは、「リハビリテーションの目標となる活動(ADL)」欄4eに含まれる各項目に対応して、AI推奨プラン及び療法士プランを実施した場合にそれぞれの活動が改善する確率(改善確率)を、AI推奨プラン及び療法士プランそれぞれについて並べて表示するものである。改善確率は、0.0から1.0までの数値が棒グラフで表示される。AI推奨プランの改善確率と療法士プランの改善確率は、異なる色等の異なる表示態様で区別可能に表示される。図2に示す例では、「イスとベッド間の移乗」、「平地歩行」及び「階段昇降」について、AI推奨プラン及び療法士プランによる改善確率が表示されている。「改善確率」グラフ4mは、予後予測表示部25として機能する。「改善確率」グラフ4mも、支援サーバ3の予後予測部35が、本発明の予後状態を予測するステップを実行した結果を示すグラフである。
【0087】
このように、計画書作成端末2の出力部21に表示される利用者画面4を利用することにより、療法士等の計画書作成者は、支援サーバ3により提案されたリハビリ等プログラムを参照しつつ、容易に、リハビリ等計画を統計的エビデンスに基づいたリハビリ等計画書を作成することが可能になる。
【符号の説明】
【0088】
1 リハビリ等計画作成支援システム
2 計画書作成端末
3 支援サーバ
4 利用者画面
20 入力部
21 出力部
22 利用者目標入力部
23 利用者状態入力部
24 計画書作成部
25 予後予測表示部
26 提案プログラム表示部
31 利用者情報DB (利用者情報記憶部)
32 リハビリ等プログラムDB (リハビリ等プログラム記憶部)
33 目標設定部
34 予後予測モデル作成部
35 予後予測部
36 リハビリ等プログラム提案部
図1
図2