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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073284
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】複合材成形品
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/09 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
B65D81/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184398
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187791
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晃志郎
(72)【発明者】
【氏名】牧原 伸征
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066BA02
3E066CA01
3E066CB03
3E066KA20
3E066LA30
3E066MA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取扱容易な材料によって反発力を高めた複合材成形品を提供すること。
【解決手段】複合材成形品1は、第一弾性材料を含む粒状物2と、第二弾性材料を含むシート片3を備える。粒状物2とシート片3とは、バインダー4によって結合されている。粒状物2とシート片3とは、互いに絡み合った状態で結合している。シート片3は、平面状態が維持されていてもよいし、部分的に屈折を伴いながら変形した状態でもよい。また、粒状物2と粒状物2との間、或いは粒状物2とシート片3との間は隙間5が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一弾性材料を含む粒状物と、
第二弾性材料を含むシート片を備え、
前記粒状物と前記シート片とがバインダーによって結合された複合材成形品。
【請求項2】
前記シート片の密度は、前記粒状物の見掛け密度以上である請求項1に記載の複合材成形品。
【請求項3】
前記粒状物は発泡体であり、
前記シート片は非発泡体である請求項1または2に記載の複合材成形品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反発性を有する複合材成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反発力を高めた複合材成形品が提案されている。例えば、特許文献1による自動車用高弾性防音材の製造方法は、天然繊維、再生繊維、合成繊維、又は裁断屑布等を解繊した繊維を単独又は2種以上使用し、これにピン又はガーネットシリンダ式の解繊機により粒度が2~10mmメッシュのスラブウレタンチップを対繊維で20~40重量パーセント均一に混合すると同時に解繊し、次にこれを撹拌機に投入し、混合材料比が20~40重量パーセントの液状ウレタン接着剤をスプレーしながら均一拡散し、しかる後これを夫々の部品に必要な成形型に0.025~0.07g/cmの密度で充填して高温蒸気、又は高温度乾熱で液状ウレタン接着剤を固化させることを特徴とした自動車用高弾性防音材の製造方法を特徴とするものである。
【0003】
これによれば、自動車用高弾性防音材は遮音性を向上させると同時に通気性、反発弾性率、繰り返し圧縮による永久歪等の諸特性を大幅に改善し、原材料費も軽減され低コストでの生産が可能であるなど種々の有益な効果がある、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-63703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される従来例では、天然繊維、再生繊維、合成繊維、又は裁断屑布等を解繊した繊維を単独、又は2種以上使用する必要がある。さらに、これにピン又はガーネットシリンダ式の解繊機により粒度が2~10mmメッシュのスラブウレタンチップを対繊維で20~40重量パーセント均一に混合すると同時に解繊する必要がある。製造過程において、繊維を解繊する作業によって粉塵等が発生するので材料の取扱が容易でなく、適切に粉塵等の処理をしないと作業環境が悪くなるという課題がある。
【0006】
本発明は、従来の課題を解決するものであり、取扱容易な材料によって反発力を高めた複合材成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る複合材成形品は、第一弾性材料を含む粒状物と、第二弾性材料を含むシート片を備え、前記粒状物と前記シート片とがバインダーによって結合されたものである。
【0008】
これによれば、複合材成形品は、第一弾性材料を含む粒状物と第二弾性材料を含むシート材とがバインダーによって結合されたものなので、材料の取扱いが容易で、かつ反発力を得ることができる。
【0009】
また、前記複合材成形品は、前記シート片の密度が、前記粒状物の見掛け密度以上でもよい。この場合、粒状物よりもシート片の剛性が高くなり、シート片の反りによる反力によって反発力を高めることができる。
【0010】
また、前記複合材成形品は、前記粒状物が発泡体であり、前記シート片が非発泡体でもよい。この場合、粒状物は単独で弾性力を有し、シート片は一定の剛性を維持するので、複合材成形品はより反発力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の複合材成形品1を示す模式図である。
図2】比較例である成形品10を示す模式図である。
図3】本発明の複合材成形品において、粒状物2とシート片3のそれぞれの材質を組み合わせたときの反発性に対する効果を比較した図表である。
図4】(a)は粒状物2における形態について、反発性に対する効果を比較し、(b)はシート片3における形態について、反発性に対する効果を比較した図表である。
図5】本発明の複合材製造方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の複合材成形品1である実施例の形態と、比較例の形態を比較した図表である。
図7】本発明の複合材成形品1である実施例と比較例において、損失正接tanδによって反発力を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明を具現化した複合材成形品1及び複合材製造方法を説明する。なお、発明を実施するための形態、及び参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。本発明はこれらに限定されるものではない。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0013】
<複合材成形品1の説明>
本発明の第一の態様に係る複合材成形品1を説明する。複合材成形品1は、第一弾性材料を含む粒状物2と、第二弾性材料を含むシート片3を備える。粒状物2とシート片3とは、バインダー4によって結合されている。図1は、本発明の複合材成形品1を示す模式図である。粒状物2とシート片3とは、互いに絡み合った状態で結合している。シート片3は、平面状態が維持されていてもよいし、部分的に屈折を伴いながら変形した状態でもよい。また、粒状物2と粒状物2との間、或いは粒状物2とシート片3との間は隙間5が形成される。隙間5は、図1及び図2において格子状のハッチングを付した部分である。なお、シート片3は、扁平な形状であり、立体を形成する面のうちで最大面積を有する面と二番目に大きい面積を有する面とが、略平行に形成されているものである。
【0014】
第一弾性材料及び第二弾性材料は、ウレタン、又は/及びゴム、又は/及び樹脂からなる。この場合の樹脂は、ウレタンとゴムを除く。バインダー4は、ウレタン系接着剤が望ましい。第一弾性材料と第二弾性材料は、それぞれ単独の材料でもよいし、複数の材料が含まれてもよい。粒状物2は、全てが第一弾性材料でもよいし、一部が非弾性材料でもよい。同様に、シート片3は、全てが第二弾性材料でもよいし、一部が非弾性材料でもよい。バインダー4は、例としてイソシアネートプレポリマーを使用する。イソシアネートプレポリマーを例とするウレタン系接着剤は弾性を有し、粒状物2及びシート片3との親和性が高い。
【0015】
図3に示すように、粒状物2とシート片3はそれぞれ種々の材料を選択可能である。粒状物2とシート片3は、それぞれ発泡体又は非発泡体を使用することができるが、選択する材質によって反発性に対する効果が異なる。それぞれの材質と反発性に対する効果は後述する。
【0016】
また、重量割合において、粒状物2はシート片3よりも多く含まれることが望ましい。例として、粒状物2の重量を100としたとき、シート片3は5から20までの間である。さらに、バインダー4は、5から30までの間である。
【0017】
また、シート片3の密度は、粒状物2の見掛け密度以上であることが望ましい。粒状物2及びシート片3は、それぞれ発泡体又は非発泡体を使用可能である。具体的には、発泡体の場合、粒状物2の見掛け密度は100~800kg/mであり、シート片3の密度は1000~2000kg/mである。非発泡体の場合、粒状物2の密度は1000~2000kg/mであり、シート片3の密度も1000~2000kg/mでほぼ同等である。
【0018】
また、図4(a)に示すように、粒状物2は多面体であることが望ましい。多面体は、いわゆる凸多面体と凹多面体を含む。特に、多面体のうちで六面以上の多面体が望ましい。多面体の辺は、曲線状に形成されたものよりも、直線によって形成されたものが望ましい。すなわち、粒状物2の形状として球体は望ましい形状ではない。なお、多面体のそれぞれの面には、凹凸があってもよい。
【0019】
また、粒状物2は、一辺が2mm以上、10mm以下であることが望ましく、シート片3は、厚みが3mm未満であり、平面寸法は一辺が10mm以下の正方形の範囲内であることが望ましい。これらのサイズは、後述するように複合材成形品1における反発性に影響を与える。図4は、粒状物2及びシート片3における各形態を比較したものである。
【0020】
図4(a)に示すように、粒状物2は、一辺が3から5mmまでのサイズが最も望ましく、3mmから10mmまでの範囲が望ましい範囲である。一辺が3mm未満、又は10mmを超えるサイズは望ましくない。
【0021】
図4(b)に示すように、シート片3は、平面寸法が4×4~7×7までの寸法範囲であることが最も望ましい。特に、一辺長さが3×5mmの範囲の粒状物2との組合せが最も望ましい。さらに、平面寸法が3×3~10×10mmの寸法であることが望ましい。これに対して、平面寸法が3mm未満×3mm未満のサイズ、又は一辺が10mmを超える寸法は望ましくない。シート片3の厚みは、0.2~1mmの範囲が最も望ましく、3mm未満であることが望ましい。これに対して、厚みが3mm以上は望ましくない。
【0022】
また、粒状物2は発泡体であり、シート片3は非発泡体であることが望ましい。複合材成形品1における反発性に対し、粒状物2とシート片3とのそれぞれの材質等の組合せが及ぼす効果は後述する。
【0023】
<複合材成形品1の効果>
以上説明した複合材成形品1の構成によれば、以下の効果を奏する。複合材成形品1は、第一弾性材料を含む粒状物2と第二弾性材料を含むシート片3とがバインダー4によって結合されたものなので、材料の取扱いが容易で、かつ反発力を得ることができる。複合材成形品1は、押圧されたときに粒状物2の弾性力に加え、シート片3が反ることによって反発力が発生する。また、粒状物2は、押圧されると隙間5の間に変形し、復元しようとすることで反発力が発生する。よって、複合材成形品1は、取扱容易な材料によって反発力が高められる。
【0024】
また、複合材成形品1は第一弾性材料及び第二弾性材料が、それぞれウレタン、又は/及びゴム、又は/及び樹脂(ウレタンとゴムを除く)からなるものでもよい。この場合、複合材成形品1は、材料それぞれが有する弾性力と、粒状物2及びシート片3とが混合されることにより、高い反発力を得ることができる。
【0025】
また、複合材成形品1は、バインダー4がウレタン系接着剤でもよい。この場合、複合材成形品1は、高い反発力を得ることができる。ウレタン系接着剤は、それ自身で弾性力を有するので、反発力を高める効果に寄与する。また、ウレタン系接着剤は、粒状物2及びシート片3との親和性が高いので、複合材成形品1が一体的に安定した状態となる。
【0026】
また、複合材成形品1は、重量割合において、粒状物2がシート片3よりも多く含まれてもよい。この場合、複合材成形品1に外力が加わったとき、粒状物2によって変形が一定程度制限され、シート片3の反力によって反発力が得られる。
【0027】
また、複合材成形品1は、シート片3の密度が、粒状物2の見掛け密度以上でもよい。この場合、粒状物2よりもシート片3の剛性が高くなり、シート片3の反りによる反力によって反発力を高めることができる。また、複合材成形品1は、粒状物2よりもシート片3の重量割合が少ない場合、質量を低減させることができる。
【0028】
また、複合材成形品1は、粒状物2が多面体でもよい。この場合、複合材成形品1は、粒状物2同士、或いは粒状物2とシート片3との間で滑りが生じにくいので、シート片3の反りによる反力によって高い反発力を得ることができる。
【0029】
また、粒状物2は一定範囲のサイズの立体物であり、シート片3は一定の厚み未満なので、粒状物2とシート片3とが絡み合い、互いにズレが生じにくい。さらに、シート片3は一定の剛性を維持できる。よって、複合材成形品1は、高い反発力を得ることができる。
【0030】
また、複合材成形品1は、粒状物2が発泡体であり、シート片3が非発泡体でもよい。この場合、粒状物2は単独で弾性力を有し、シート片3は一定の剛性を維持するので、複合材成形品1はより高い反発力を得ることができる。
【0031】
次に、図3を参照して、粒状物2とシート片3の組合せにおいて、それぞれの材質又は形態によって反発力を高める効果を比較する。図3において、◎は最も反発力を高める組合せ、○は反発力を高める効果を有する組合せ、△は反発力を高める効果を得るボーダーライン、×は反発力を高める効果が認められない組合せである。
【0032】
まず、複合材成形品1の反発力が高められるのは、粒状物2が発泡体であり、シート片3が非発泡体の組合せである。そのうち、特に効果が認められる組合せは、粒状物2が発泡ウレタン又は発泡ゴムであり、シート片3が非発泡ウレタン又は非発泡ゴムの組合せである。次に、粒状物2が発泡ウレタン又は発泡ゴムであり、シート片3が弾性を有する非発泡樹脂の組合せである。
【0033】
また、次に効果がある組合せとして、粒状物2が非発泡ウレタン、非発泡ゴム、又は弾性を有する非発泡樹脂であり、シート片3が非発泡ウレタン、非発泡ゴム、又は弾性を有する非発泡樹脂の組合せである。なお、粒状物2及びシート片3のいずれかを問わず、弾性を有さない樹脂、発泡スチロール、及び発泡ポリエチレンは反発力を高める効果に寄与しない。さらに、シート片3が発泡体の場合は、ウレタン、ゴム、又は弾性を有する樹脂であり、粒状物2が発泡体と非発泡体を含みウレタン、ゴム、又は弾性を有する樹脂であれば、反発力を高める効果がボーダーラインである。
【0034】
<複合材製造方法の説明>
次に、図5を参照して、本発明の第二の態様に係る複合材製造方法を説明する。複合材製造方法は、粒状物2とシート片3を所定の割合で混合する工程と、粒状物2とシート片3にバインダー4を噴霧して混合物を形成する工程と、混合物を型に投入し、水蒸気を加えて加熱成形する工程を備える。
【0035】
例として、粒状物2は素材を粉砕して形成する。素材は、いわゆる廃材、或いは端材を使用してもよい。粉砕後のサイズは、すでに説明したように、一辺が2mm以上、10mm以下が望ましい。粉砕の際は、粒状物2の角が取れてしまわないように、過度の粉砕は避けたほうがよい。粒状物2の形状は、図4を参照して説明したとおりである。なお、粒状物2は、粉砕されたものではなく、予め成形等によって形成されたものでもよい。
【0036】
また、例として、シート片3もシート状の素材を粉砕して形成する。粒状物2と同様に、いわゆる廃材、或いは端材を使用してもよい。シート片3は、すでに説明したように、厚みが3mm未満であり、平面寸法は一辺が10mm以下の正方形の範囲内であることが望ましい。なお、必ずしも正方形に近い形状である必要は無く、長方形、或いは多角形状の平面を有してもよい。シート片3は、所定の平面積があり、平面積に比べて厚みが薄いことで、撓みが生じやすい形状であることが望ましい。
【0037】
図5に示すように工程P1は、粒状物2とシート片3との重量を測定して混合する工程である。粒状物2とシート片3との混合割合は、すでに説明したように、例として粒状物2の重量を100としたとき、シート片3は5から20までの間である。次に、工程P2は、粒状物2とシート片3にバインダー4を噴霧する、或いは塗布する工程である。次に、工程P3は粒状物2とシート片3を混合し、工程P4は混合物を成形型に投入する工程である。成形工程である工程P5は、水蒸気による加熱成形である。加熱温度は、50度から180度であり、加熱時間は1分から30分までの間である。加熱成形の際は、約0.5MPaの圧力を加える。成形が終了後、型から複合材成形品1を取り出すのが工程P6である。
【0038】
なお、以上説明した複合材製造方法では、過熱水蒸気を導入する方法について説明したが、過熱水蒸気を用いずに単に加熱するのみでバインダー4による接着を行ってもよい。
【0039】
<複合材製造方法の効果>
以上説明した複合材製造方法によれば以下の効果を奏する。粒状物2及びシート片3は、いずれも粉砕によって成形用の材料を形成できる。本発明に適する材料である発泡ウレタン、発泡ゴムは産業廃棄物として廃棄すると環境への影響は少なくない。粒状物2及びシート片3は、廃材或いは端材を粉砕して成形材料とすることができる。すなわち、複合材製造方法はリサイクルが可能であり、環境負荷を低減して複合材成形品1を製造することができる。特に、バージン材を使用する場合に比べて、廃材或いは端材を使用する場合でも、同等の高反発力を有する複合材成形品1を製造することができる。
【0040】
なお、複合材成形品1において説明した種々の効果は、複合材製造方法によって製造した複合材成形品1においても同様の効果を奏する。
【0041】
<実施例>
次に、本発明の複合材成形品1の実施例と、比較例である成形品10とを比較検討する。図6は、実施例と比較例の粒状物2と、実施例のみに有するシート片3の例を示す。複合材成形品1の実施例は、すでに説明したように図1に示し、粒状物2が発泡ウレタンエラストマーであり、サイズは一辺が2~10mmである。シート片3は、非発泡ウレタンエラストマーであり、5mm×5mmの平面サイズで厚みは1mmである。これに対して、比較例の成形品10は図2に示す形態であり、図6に示すように、粒状物12の一辺が2~10mmであり、シート片3は無い。成形品10は、実施例と同様のバインダー4によって粒状物12同士が結合され、隙間15を有する。すなわち、実施例の複合材成形品1と比較例の成形品10との違いは、シート片3を有するか否かである。
【0042】
図7は、実施例の複合材成形品1と、比較例の成形品10において、反発力を示す損失正接tanδを測定してグラフ化した図である。縦軸は、損失正接tanδを示し、値が小さいほど反発力が高いことを示す。損失正接tanδはJISK6394に準拠して測定した結果である。以下測定方法を説明する。
【0043】
測定装置は、株式会社鷺宮製作所製の動特性試験機で形式KCH-701-30を使用した。試料のサイズは直径100mm、厚み20mmであり、初期圧縮は7mmである。振幅は±5mmであり、周波数は1~10Hzまでを1Hzピッチで計測した。なお、損失正接tanδ=損失弾性係数/貯蔵弾性係数で表される。
【0044】
図7において、下側の曲線が実施例の複合材成形品1の結果を示し、上側の曲線が比較例の成形品10の結果を示す。図から明らかなように、周波数が1Hzから10Hzまでの周波数領域の全てにおいて、実施例の複合材成形品1の方が、比較例の成形品10よりも小さな値を示し、約0.02の差を有する。この結果から、実施例は比較例と比較して反発力が高いことを示す。
【0045】
比較例である成形品10はシート片3を有さないため、圧力が加わると粒状物12が隙間15に入り込んでしまい、反力が低減する。これに対し、実施例である複合材成形品1は、すでに説明したように、シート片3の反力によって反発力が高められる。
【符号の説明】
【0046】
1 複合材成形品
2 粒状物
3 シート片
4 バインダー
P1、P2、P3、P4、P5、P6 工程

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7